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▶ ゾエティス・サービシーズ・エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-19
(54)【発明の名称】抗TGFβ抗体及びその治療的使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230711BHJP
   C07K 16/22 20060101ALI20230711BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230711BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230711BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230711BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230711BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230711BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20230711BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230711BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20230711BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230711BHJP
   C07K 1/14 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230711BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/22 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C07K19/00
C07K16/46
C12N15/62 Z
C07K1/14
A61P43/00 105
A61P19/08
A61P35/00
A61P13/12
A61P11/00
A61P1/16
A61P25/00
A61P43/00 171
A61P17/00
A61K39/395 U
A61K39/395 N
A61K39/395 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576392
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 US2021036347
(87)【国際公開番号】W WO2021252455
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】63/036,092
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】515230154
【氏名又は名称】ゾエティス・サービシーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100111501
【弁理士】
【氏名又は名称】滝澤 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】ベルジェロン リサ マリー
(72)【発明者】
【氏名】バマート ゲイリー エフ
(72)【発明者】
【氏名】カンポス ヘンリー ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ライトル サンドラ アン マリー
(72)【発明者】
【氏名】ストリーツェル キャサリン ジェイ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA02
4B064CA05
4B064CA06
4B064CA08
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE00
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085BB41
4C085BB42
4C085BB43
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG04
4C085GG06
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、新規の抗TGFβ抗体、抗原結合タンパク質、及びそれをコードするポリヌクレオチドを包含する。本開示は更に、本発明の新規の抗体、抗原結合タンパク質及び/又はヌクレオチドの、TGFpβ関連障害の治療及び/又は予防のための、特にイヌ科動物及びネコ科動物の線維症関連障害の管理のための使用を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヌ科動物又はネコ科動物の形質転換成長因子ベータ-1(TGFβ1)に特異的に結合する抗原結合タンパク質。
【請求項2】
抗原結合タンパク質が、配列番号223のアミノ酸91~104に結合することができる、請求項1に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項3】
タンパク質が、
a.重鎖可変領域(VH)であって、
i.配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、
ii.配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、
iii.配列番号224(T-G-E-Y-S-G-Y-D-T-(X1)-(X2)-(X3)-(X4)-(X5))を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、式中、
●X1が、D、K又はRを含み、
●X2が、P、T、又はAを含み、
●X3が、Q、N、D、E又はKを含み、
●X4が、Y、F、I又はTを含み、
●X5が、S、E、Q又はDを含む、相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH);及び
b.軽鎖可変領域(VL)であって、
i.配列番号44を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、
ii.配列番号45を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、
iii.配列番号46を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む軽鎖可変領域(VL);並びに
1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項1又は2に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項4】
タンパク質が、
a.重鎖可変領域(VH)であって、
i.配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、
ii.配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、
iii.配列番号43、配列番号141、配列番号142、配列番号149、配列番号150、配列番号153、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号162、配列番号166、配列番号167、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、及び配列番号178からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH);並びに
b.軽鎖可変領域(VL)であって、
i.配列番号44を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、
ii.配列番号45を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、
iii.配列番号46を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む軽鎖可変領域(VL);および
1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項5】
タンパク質が、
a.重鎖可変領域(VH)であって、
i.配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、
ii.配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、
iii.配列番号43からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH);及び
b.軽鎖可変領域(VL)であって、
i.配列番号44を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、
ii.配列番号45を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、
iii.配列番号46を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む軽鎖可変領域(VL);並びに
1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項6】
抗原結合タンパク質が、イヌ化、ネコ化、ヒト化、又はキメラ抗原結合タンパク質を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項7】
抗原結合タンパク質が、イヌ化抗原結合タンパク質を含む、請求項6に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項8】
抗原結合タンパク質が、
a.配列番号38、配列番号55、配列番号231、配列番号232、配列番号239、配列番号240、配列番号243、配列番号244、配列番号245、配列番号246、配列番号252、配列番号256、配列番号257、配列番号259、配列番号260、配列番号261、配列番号262、及び配列番号268からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH);並びに
b.配列番号49、配列番号51、及び配列番号53からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL);および
1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項7に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項9】
抗原結合タンパク質が、配列番号55を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号49を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項8に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項10】
抗原結合タンパク質が、前記重鎖(配列番号127)の定常領域、及び前記軽鎖(配列番号129)の前記定常領域、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項11】
抗原結合タンパク質が、ネコ化抗原結合タンパク質を含む、請求項6に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項12】
抗原結合タンパク質が、
a.配列番号38又は配列番号59から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH);及び
b.配列番号40又は配列番号61から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL);並びに
1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項11に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項13】
抗原結合タンパク質が、配列番号59を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号61を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項11に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項14】
抗原結合タンパク質が、配列番号59を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号40を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項11に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項15】
抗原結合タンパク質が、配列番号38を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号61を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項11に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項16】
抗原結合タンパク質が、前記重鎖(配列番号131)の定常領域、及び前記軽鎖(配列番号133)の前記定常領域、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項11~15のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項17】
タンパク質が、ヒト化抗原結合タンパク質を含む、請求項6に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項18】
タンパク質が、キメラ抗原結合タンパク質を含む、請求項6に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項19】
タンパク質が、モノクローナル抗原結合タンパク質、一本鎖抗原結合タンパク質、四量体抗原結合タンパク質、四価抗原結合タンパク質、多重特異性抗原結合タンパク質、ドメイン特異的抗原結合タンパク質、ドメイン欠失抗原結合タンパク質、融合タンパク質、ScFc融合タンパク質、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ScFv断片、Fd断片、単一ドメイン抗原結合タンパク質、dAb断片、小モジュール免疫薬(SMIP)ナノボディ、及びIgNAR分子からなる群から選択される、請求項1~18のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項20】
抗原結合タンパク質が、モノクローナル抗原結合タンパク質である、請求項19に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項21】
TGFβ関連障害についてのイヌ科動物の処置における使用のための、請求項7~10、19、及び20のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項22】
TGFβ関連障害についてのネコ科動物の処置における使用のための、請求項11~16、19、及び20のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項23】
TGFβ関連障害についてのヒトの処置における使用のための、請求項16、19及び20のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項24】
TGFβ関連障害が、線維症障害、結合組織障害、骨障害、及び細胞増殖障害からなる群から選択される、請求項21~23のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項25】
前記TGFβ関連障害が、線維症障害を含む、請求項24に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項26】
線維症障害が、腎臓線維症/慢性腎臓疾患、肺線維症、肝硬変、グリア瘢痕、及び全身性硬化症/強皮症からなる群から選択される、請求項25に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項27】
前記TGFβ関連障害が、腎臓線維症/慢性腎臓疾患である、請求項26に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項28】
治療有効量の請求項1~27のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項29】
TGFβ関連障害について対象を処置する方法であって、治療量の請求項28に記載の薬学的組成物を前記対象に投与することによって処置する、方法。
【請求項30】
対象が、イヌ科動物を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
対象が、ネコ科動物を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
対象が、ヒトを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
TGFβ関連障害が、線維症障害、結合組織障害、骨障害、及び細胞増殖障害からなる群から選択される、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
TGFβ関連障害が、線維症障害を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
線維症障害が、腎臓線維症/慢性腎臓疾患、肺線維症、肝硬変、グリア瘢痕、及び全身性硬化症/強皮症からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
TGFβ障害が、腎臓線維症/慢性腎臓疾患である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
請求項28に記載の薬学的組成物を投与することによって、対象におけるTGFβ1活性を阻害する、方法。
【請求項38】
対象が、イヌ科動物を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
対象が、ネコ科動物を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
対象が、ヒトを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
請求項1~27のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質、及び保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するその任意のバリアントをコードする核酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する、単離された核酸配列。
【請求項42】
請求項9に記載の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列であって、前記配列が、配列番号54に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、及び配列番号293に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、単離された核酸配列。
【請求項43】
請求項10に記載の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列であって、前記核酸配列が、配列番号54に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、配列番号293に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、配列番号128に対して95%の配列同一性を有するイヌ科動物重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、及び配列番号130に対して95%の配列同一性を有するイヌ科動物軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、単離された核酸配列。
【請求項44】
請求項13に記載の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列であって、前記配列が、配列番号58に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、及び配列番号60に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、単離された核酸配列。
【請求項45】
請求項14に記載の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列であって、前記配列が、配列番号58に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、及び配列番号39に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、単離された核酸配列。
【請求項46】
請求項15に記載の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列であって、前記配列が、配列番号37に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、及び配列番号60に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、単離された核酸配列。
【請求項47】
請求項44に記載の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列であって、前記核酸配列が、配列番号58に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、配列番号60に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、配列番号132に対して95%の配列同一性を有するネコ科動物重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、及び配列番号134に対して95%の配列同一性を有するネコ科動物軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、単離された核酸配列。
【請求項48】
請求項45に記載の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列であって、前記核酸配列が、配列番号58に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、配列番号39に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、配列番号132に対して95%の配列同一性を有するネコ科動物重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、及び配列番号134に対して95%の配列同一性を有するネコ科動物軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、単離された核酸配列。
【請求項49】
請求項46に記載の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列であって、前記核酸配列が、配列番号37に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、配列番号60に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、配列番号132に対して95%の配列同一性を有するネコ科動物重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、及び配列番号134に対して95%の配列同一性を有するネコ科動物軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、単離された核酸配列。
【請求項50】
請求項41~49のいずれか一項に記載の核酸配列を含む、ベクター。
【請求項51】
請求項41~49のいずれか一項に記載の核酸配列を含む、宿主細胞。
【請求項52】
請求項50に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項53】
請求項1~27のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質を産生する、宿主細胞。
【請求項54】
請求項1~27のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質を産生する方法であって、請求項51~53のいずれか一項に記載の宿主細胞を、前記抗原結合タンパク質の産生をもたらす条件下で培養することと、前記宿主細胞又は前記宿主細胞の培養培地から前記抗原結合タンパク質を単離することと、を含む、方法。
【請求項55】
抗原結合タンパク質が、イヌ科動物又はネコ科動物の形質転換成長因子ベータ-3(TGFβ3)に更に特異的に結合する、請求項1又は2に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項56】
タンパク質が、
a.重鎖可変領域(VH)であって、
i.配列番号5を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、
ii.配列番号6を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、
iii.配列番号7を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH);及び
b.軽鎖可変領域(VL)であって、
i.配列番号8を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、
ii.配列番号9を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、
iii.配列番号10を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む軽鎖可変領域(VL);並びに
並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項55に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項57】
抗原結合タンパク質が、イヌ化、ネコ化、ヒト化、又はキメラ抗原結合タンパク質を含む、請求項55又は56に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項58】
抗原結合タンパク質が、イヌ化抗原結合タンパク質を含む、請求項57に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項59】
抗原結合タンパク質が、
a.配列番号12、配列番号14、配列番号16からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH);及び
b.アミノ酸配列の配列番号24に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL);並びに
並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項57に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項60】
抗原結合タンパク質が、配列番号12を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号24を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項59に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項61】
抗原結合タンパク質が、配列番号14を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号24を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項59に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項62】
抗原結合タンパク質が、配列番号16を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号24を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項59に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項63】
重鎖(配列番号127)の定常領域、及び軽鎖(配列番号129)の定常領域、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを更に含む、前記抗原結合タンパク質である、請求項59~62のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項64】
抗原結合タンパク質が、ネコ化抗原結合タンパク質を含む、請求項57に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項65】
抗原結合タンパク質が、
a.アミノ酸配列の配列番号26に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH);及び
b.アミノ酸配列の配列番号32に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL);並びに
並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項64に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項66】
抗原結合タンパク質が、重鎖(配列番号131)の定常領域、及び軽鎖(配列番号133)の定常領域、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを更に含む、請求項64又は65に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項67】
抗原結合タンパク質が、ヒト化抗原結合タンパク質を含む、請求項57に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項68】
前記抗原結合タンパク質が、キメラ抗原結合タンパク質を含む、請求項57に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項69】
タンパク質が、モノクローナル抗原結合タンパク質、一本鎖抗原結合タンパク質、四量体抗原結合タンパク質、四価抗原結合タンパク質、多重特異性抗原結合タンパク質、ドメイン特異的抗原結合タンパク質、ドメイン欠失抗原結合タンパク質、融合タンパク質、ScFc融合タンパク質、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ScFv断片、Fd断片、単一ドメイン抗原結合タンパク質、dAb断片、小モジュール免疫薬(SMIP)ナノボディ、及びIgNAR分子からなる群から選択される、請求項55~68のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項70】
抗原結合タンパク質が、モノクローナル抗原結合タンパク質である、請求項69に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項71】
TGFβ関連障害についてのイヌ科動物の処置における使用のための、請求項55~63のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項72】
TGFβ関連障害についてのネコ科動物の処置における使用のための、請求項55~57及び64~66のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項73】
TGFβ関連障害についてのヒトの処置における使用のための、請求項67に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項74】
TGFβ関連障害が、線維症障害、結合組織障害、骨障害、及び細胞増殖障害からなる群から選択される、請求項71~73のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項75】
TGFβ関連障害が、線維症障害を含む、請求項74に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項76】
線維症障害が、腎臓線維症/慢性腎臓疾患、肺線維症、肝硬変、グリア瘢痕、及び全身性硬化症/強皮症からなる群から選択される、請求項75に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項77】
TGFβ関連障害が、腎臓線維症/慢性腎臓疾患である、請求項76に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項78】
治療有効量の請求項55~77のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項79】
TGFβ関連障害について対象を処置する方法であって、治療量の請求項78に記載の薬学的組成物を前記対象に投与することによって処置する、方法。
【請求項80】
対象が、イヌ科動物を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項81】
対象が、ネコ科動物を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項82】
対象が、ヒトを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項83】
TGFβ関連障害が、線維症障害、結合組織障害、骨障害、及び細胞増殖障害からなる群から選択される、請求項79~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
TGFβ関連障害が、線維症障害を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
線維症障害が、腎臓線維症/慢性腎臓疾患、肺線維症、肝硬変、グリア瘢痕、及び全身性硬化症/強皮症からなる群から選択される、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
TGFβ障害が、腎臓線維症/慢性腎臓疾患である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
請求項78に記載の薬学的組成物を投与することによって、対象におけるTGFβ1及びTGFβ1活性を阻害する、方法。
【請求項88】
対象が、イヌ科動物を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
対象が、ネコ科動物を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
対象が、ヒトを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項91】
請求項55~77のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質、及び保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するその任意のバリアントをコードする核酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する、単離された核酸配列。
【請求項92】
請求項60に記載の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列であって、前記配列が、配列番号11に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、及び配列番号23に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、単離された核酸配列。
【請求項93】
請求項61に記載の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列であって、前記核酸配列が、配列番号13に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、配列番号23に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、及び保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、単離された核酸配列。
【請求項94】
請求項62に記載の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列であって、前記配列が、配列番号15に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、及び配列番号23に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、単離された核酸配列。
【請求項95】
配列番号128に対して95%の配列同一性を有するイヌ科動物重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、及び配列番号130に対して95%の配列同一性を有するイヌ科動物軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを更に含む、請求項91~94のいずれか一項に記載の核酸配列。
【請求項96】
請求項65に記載の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列であって、前記配列が、配列番号25に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、及び配列番号32に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、単離された核酸配列。
【請求項97】
請求項96に記載の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列であって、前記核酸配列が、配列番号132に対して95%の配列同一性を有するネコ科動物重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列をコードするヌクレオチド配列、及び配列番号134に対して95%の配列同一性を有するネコ科動物軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを更に含む、単離された核酸配列。
【請求項98】
請求項91~97のいずれか一項に記載の核酸配列を含む、ベクター。
【請求項99】
請求項91~97のいずれか一項に記載の核酸配列を含む、宿主細胞。
【請求項100】
請求項98に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項101】
請求項55~77のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質を産生する、宿主細胞。
【請求項102】
請求項55~77のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質を産生する方法であって、請求項99又は100に記載の宿主細胞を、前記抗原結合タンパク質の産生をもたらす条件下で培養することと、前記宿主細胞又は前記宿主細胞の培養培地から前記抗原結合タンパク質を単離することと、を含む、方法。
【請求項103】
抗原結合タンパク質が、イヌ科動物又はネコ科動物の形質転換成長因子ベータ-2(TGFβ2)に更に特異的に結合する、請求項55に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項104】
タンパク質が、
a.重鎖可変領域(VH)であって、
i.配列番号270(G-Y-(X1)-F-(X2)-(X3)-Y)を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、式中、
●(X1)が、T又はIを含み、
●(X2)が、I又はMを含み、
●(X3)が、T又はKを含む、相補性決定領域1(CDR1)と、
ii.配列番号271(F-P-(X4)-(X5)-G-(X6))を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、式中、
●(X4)が、A又はGを含み、
●(X5)が、S又はWを含み、
●(X6)が、S、M又はVを含む、相補性決定領域2(CDR2)と、
iii.配列番号272(G-(X7)-G-N-Y-A-L-D-A-M-D-Y)を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、式中、(X7)が、D又はYを含む、相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH);及び
b.軽鎖可変領域(VL)であって、
i.配列番号69を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、
ii.配列番号70を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、
iii.配列番号273(Q-Q-N-(X8)-E-D-P-L-(X9))を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、
●(X8)が、N又はDを含み、
●(X9)が、T又はSを含む、相補性決定領域3(CDR3)と、を含む軽鎖可変領域(VL);並びに
1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項103に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項105】
タンパク質が、
a.重鎖可変領域(VH)であって、
i.配列番号66、配列番号274、配列番号275、配列番号276、及び配列番号277からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、
ii.配列番号67、配列番号278、配列番号279、及び配列番号280を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、
iii.配列番号68又は配列番号281からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH);並びに
b.軽鎖可変領域(VL)であって、
iv.配列番号69を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、
v.配列番号70を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、
vi.配列番号71、配列番号282、及び配列番号283からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む軽鎖可変領域(VL);および
1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項103又は104に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項106】
タンパク質が、
a.重鎖可変領域(VH)であって、
i.配列番号66を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、
ii.配列番号67を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、
iii.配列番号68を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH);及び
b.軽鎖可変領域(VL)であって、
i.配列番号69を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、
ii.配列番号70を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、
iii.配列番号71を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む軽鎖可変領域(VL);並びに
1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項107】
抗原結合タンパク質が、イヌ化、ネコ化、ヒト化、又はキメラ抗原結合タンパク質を含む、請求項103~106のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項108】
抗原結合タンパク質が、イヌ化抗原結合タンパク質を含む、請求項107に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項109】
抗原結合タンパク質が、
a.配列番号73、配列番号187、配列番号189、配列番号191、配列番号193、配列番号195、及び配列番号199からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH);並びに
b.アミノ酸配列の配列番号85、配列番号218に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL);および
1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項108に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項110】
抗原結合タンパク質が、配列番号73を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号85を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、請求項109に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項111】
重鎖(配列番号127)の定常領域、及び軽鎖(配列番号129)の定常領域、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを更に含む、前記抗原結合タンパク質である、請求項110に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項112】
タンパク質が、モノクローナル抗原結合タンパク質、一本鎖抗原結合タンパク質、四量体抗原結合タンパク質、四価抗原結合タンパク質、多重特異性抗原結合タンパク質、ドメイン特異的抗原結合タンパク質、ドメイン欠失抗原結合タンパク質、融合タンパク質、ScFc融合タンパク質、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ScFv断片、Fd断片、単一ドメイン抗原結合タンパク質、dAb断片、小モジュール免疫薬(SMIP)ナノボディ、及びIgNAR分子からなる群から選択される、請求項103~111のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項113】
抗原結合タンパク質が、モノクローナル抗原結合タンパク質である、請求項112に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項114】
TGFβ関連障害についてのイヌ科動物の処置における使用のための、請求項103~113のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項115】
TGFβ関連障害が、線維症障害、結合組織障害、骨障害、及び細胞増殖障害からなる群から選択される、請求項114に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項116】
TGFβ関連障害が、線維症障害を含む、請求項115に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項117】
線維症障害が、腎臓線維症/慢性腎臓疾患、肺線維症、肝硬変、グリア瘢痕、及び全身性硬化症/強皮症からなる群から選択される、請求項116に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項118】
TGFβ関連障害が、腎臓線維症/慢性腎臓疾患である、請求項117に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項119】
治療有効量の請求項103~119のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項120】
TGFβ関連障害について対象を処置する方法であって、治療量の請求項119に記載の薬学的組成物を前記対象に投与することによって処置する、方法
【請求項121】
対象が、イヌ科動物を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
TGFβ関連障害が、線維症障害、結合組織障害、骨障害、及び細胞増殖障害からなる群から選択される、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
TGFβ関連障害が、線維症障害を含む、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
前記線維症障害が、腎臓線維症/慢性腎臓疾患、肺線維症、肝硬変、グリア瘢痕、及び全身性硬化症/強皮症からなる群から選択される、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
TGFβ障害が、腎臓線維症/慢性腎臓疾患である、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
請求項119に記載の薬学的組成物を投与することによって、対象におけるTGFβ1活性を阻害する、方法。
【請求項127】
対象が、イヌ科動物を含む、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
請求項103~118のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質、及び保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するその任意のバリアントをコードする核酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する、単離された核酸配列。
【請求項129】
請求項9に記載の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列であって、前記配列が、配列番号72に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、及び配列番号84に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、単離された核酸配列。
【請求項130】
請求項129に記載の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列であって、前記核酸配列が、配列番号72に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、配列番号84に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、配列番号128に対して95%の配列同一性を有するイヌ科動物重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、及び配列番号130に対して95%の配列同一性を有するイヌ科動物軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、単離された核酸配列。
【請求項131】
請求項128~130のいずれか一項に記載の核酸配列を含む、ベクター。
【請求項132】
請求項128~130のいずれか一項に記載の核酸配列を含む、宿主細胞。
【請求項133】
請求項131に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項134】
請求項103~118のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質を産生する、宿主細胞。
【請求項135】
請求項103~118のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質を産生する方法であって、請求項51~53のいずれか一項に記載の宿主細胞を、前記抗原結合タンパク質の産生をもたらす条件下で培養することと、前記宿主細胞又は前記宿主細胞の培養培地から前記抗原結合タンパク質を単離することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年6月8日に出願された米国仮特許出願第63/036,092号に対する米国特許法第119条(e)の利益を主張する。
【0002】
本出願は、モノクローナル抗体、それらの産生方法、及びそれらの抗体の治療的使用に関する。ある特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、形質転換成長因子ベータ(TGFβ、TGFB又はTGFベータ)を対象とする。他の実施形態では、抗体は、キメラ又は生物種化された抗体である。他の実施形態では、本発明の抗体を含む治療方法が開示される。
【背景技術】
【0003】
形質転換成長因子ベータ(本明細書で互換的に使用される、TGFB、TGFβ、又はTGFベータ)は、増殖、分化、生存、移動、及び上皮間葉転移を含む多くの主要な細胞機能を制御するサイトカインである。それは、TGFβ、骨形態形成タンパク質(BMP)、成長分化因子、阻害剤、及びアクチビンを含む38個のサイトカインのスーパーファミリーのメンバーである。TGFβタンパク質は、細胞外マトリックス形成、創傷治癒、胚発生、骨発生、造血、免疫及び炎症応答、並びに悪性形質転換などの多様な生物学的プロセスを調節する。TGFβの調節解除は、先天性異常、がん、慢性炎症、自己免疫性及び線維性疾患を含む病理学的状態に繋がる。
【0004】
TGFβには3つの既知のアイソフォーム、TGFβ1、2、及び3がある。3つのアイソフォームは全て、最初にプロペプチドとして翻訳される。アイソフォームは、二量体複合体を形成する大型前駆体タンパク質(プロTGFβ)として小胞体で合成され、その後、カルボキシ末端の近くで開裂され、3つのTGFβアイソフォームにわたって60~80%の保存性を共有する成熟112-アミノ酸ポリペプチドが得られる。成熟TGFβ二量体は、不活性潜在複合体として、前駆体の開裂された潜在ペプチド部分と会合したままである。小型潜在複合体(SLC)を形成する潜在関連ペプチド(LAP)に結合した新たに合成されたTGFβは、生物学的に不活性であり、その受容体であるTGFβRIIに結合することができない。ジスルフィド結合の形成を通じて、この複合体は、潜在TGFβ結合タンパク質(LTBP)に緩く結合して、大型潜在複合体(LLC)を形成する。次いで、TGFβは潜在状態で分泌され、細胞外マトリックス(ECM)に保存される。TGFβの活性化は、TGFβシグナル伝達の開始のためのその細胞表面受容体への結合を可能にする、インテグリン、プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、活性酸素種(ROS)、プラスミン、及び酸を含む多数の異なる因子への曝露後の潜在複合体からの放出を伴う。
【0005】
TGFβ1、2、及び3は、その機能において多面的であり、細胞及び組織型にわたって異なるパターンで発現される。それらは、同様のインビトロ活性を有するが、特定の細胞型における個々のノックアウトは、同じ受容体に結合するためのそれらの共有能力にもかかわらず、インビボでの非同一の役割を示唆する(Akhurst et al.,Nat Rev Drug Discov(2012)11(10):790-811)。TGFβがTGFβRIIに結合すると、受容体の構成的キナーゼ活性がTGFβRIをリン酸化して活性化し、それによりSMAD2/3をリン酸化して、SMAD4との会合を可能にする。この複合体は核に局在し、TGFβ応答性遺伝子の転写因子として機能する。この古典的シグナル伝達カスケードに加えて、非古典的経路は、p38、MAPK、PI3K、AKT、JUN、JNK、及びNK-KBを含む他の因子を介してシグナルを伝達する。最終的な結果は、細胞の状態及び環境を統合するこれらの全てのシグナル伝達経路のクロストークである。
【0006】
多くの重症疾患は、TGFβ誘導シグナル伝達経路の機能不全と関連している。本発明は、イヌ科動物とネコ科動物との両方の慢性腎臓疾患(CKD)の潜在的な治療を対象とする。CKDは、長期にわたる進行プロセスに起因する機能的腎臓組織の喪失を伴う。腎臓の構造的及び機能的変化は、緩やかに相関するに過ぎないが、腎臓の構造の劇的な変化が見られる可能性がある。疾患は、それが臨床的に明らかになる前に、通常、数ヶ月又は数年にわたって存在し、それは必ず不可逆的である。先天性疾患は、3歳超の動物の有病率の一過性の増加をもたらすが、5~6歳以降の齢の進行に伴い、有病率は増加する。高齢集団において、CKDは、イヌのうちの10%及びネコのうちの40~80%に影響を及ぼしている。獣医学の分野では、TGFβタンパク質の過剰産生によって影響される状態であることが示唆される、イヌとネコとの両方におけるCKDを治療するための明確で満たされていない必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、TGFβ1に結合する新規の抗形質転換成長因子ベータ(本明細書で定義され、互換的に使用される、TGFB、TGFベータ又はTGFβ)抗原結合タンパク質(本明細書で定義され、互換的に使用される抗体、抗体断片、アンタゴニスト抗体)を提供する。全ての実施形態では、本発明は、TGFβ1に結合する抗体を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、TGFβ3に追加的に結合する抗原結合タンパク質を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、TGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に結合する抗原結合タンパク質を提供する。本発明の抗原結合タンパク質は、TGFβ1、2、及び/又は3のその受容体への結合を予防することにより、TGFβ1、2、及び/又は3の生物学的活性をブロッキングし、結合に関連する経路の活性化を予防する。追加的に、本発明は、本発明の抗体のアンタゴニスト作用が、本明細書で定義されるようなTGFβ関連障害を予防及び/又は治療することを提供する。本発明は更に、本発明の抗原結合タンパク質をコードするヌクレオチド、並びにベクター及び宿主細胞の産生を提供する。本発明は更に、当該抗体/抗原結合タンパク質を作製及び使用する方法、並びに本発明の抗体を投与することによって、イヌ科動物、ネコ科動物及びヒトにおけるTGFβ障害を治療する治療の方法を提供する。
【0008】
一態様では、本発明は、TGFβ1に結合する抗体/抗原結合タンパク質(本明細書で互換的に使用される)を提供する。1つ以上の実施形態では、抗原結合タンパク質はまた、TGFβ3に特異的に結合する。1つ以上の実施形態では、抗原結合タンパク質はまた、TGFβ2及びTGFβ3に特異的に結合する。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、イヌ科動物のTGFβ1に結合する。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、ネコ科動物のTGFβ1に結合する。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、TGFβ関連障害を治療するために、賦形剤を更に含む薬学的組成物として投与される。1つ以上の実施形態では、TGFβ関連障害は、腎臓線維症/慢性腎臓疾患を含む。
【0009】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物の形質転換成長因子ベータ-1(TGFβ1)に特異的に結合する抗原結合タンパク質を提供する。一実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号220を含むアミノ酸配列を含むイヌ科動物のTGFβ1に特異的に結合する。一実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号222を含むアミノ酸配列を含むイヌ科動物のTGFβ1に特異的に結合する。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号223のアミノ酸91~104を含むTGFβ1上のエピトープ領域に結合することができる。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号223のアミノ酸60~64に更に結合することができる。
【0010】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性(Complimentary)決定領域1(CDR1)と、配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号224[スレオニン(T)-グリシン(G)-グルタミン酸(E)-チロシン(Y)-セリン(S)-グリシン(G)-チロシン(Y)-アスパラギン酸(D)-スレオニン(T)-(X1)-(X2)-(X3)-(X4)-(X5)]を含み、式中、X1が、リシン(K)又はアルギニン(R)を含み、X2が、スレオニン(T)又はアラニン(A)を含み、X3が、グルタミン(Q)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)又はリシン(K)を含み、X4が、セリン(S)、グルタミン酸(E)、グルタミン(Q)又はアスパラギン酸(D)を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む、重鎖可変領域(VH);及び配列番号44を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号45を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号46を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む軽鎖可変領域(VL);並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0011】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号43、配列番号141、配列番号142、配列番号149、配列番号150、配列番号153、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号162、配列番号166、配列番号167、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、及び配列番号178からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む、重鎖可変領域;並びに配列番号44を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号45を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号46を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む軽鎖可変領域(VL);および1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0012】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号43を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH)、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0013】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号141を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH)、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0014】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号142を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH)、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0015】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号149を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH)、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0016】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号150を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH)、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0017】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号153を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH)、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0018】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号154を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH)、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0019】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号155を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH)、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0020】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号156を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH)、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0021】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号162を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH)、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0022】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号166を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH)、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0023】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号167を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH)、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0024】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号169を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH)、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0025】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号170を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH)、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0026】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号171を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH)、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0027】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号172を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH)、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0028】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号41を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号42を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号178を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH)、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0029】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない、本発明の抗原結合タンパク質は、イヌ化、ネコ化、ヒト化、又はキメラ結合タンパク質を含む。1つ以上の実施形態では、抗原結合タンパク質は、イヌ化抗原結合タンパク質である。1つ以上の実施形態では、抗原結合タンパク質は、ネコ化抗原結合タンパク質である。1つ以上の実施形態では、抗原結合タンパク質は、ヒト化抗原結合タンパク質である。1つ以上の実施形態では、抗原結合タンパク質は、キメラ抗原結合タンパク質である。
【0030】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号38、配列番号47、配列番号48、配列番号55、配列番号57、配列番号231、配列番号232、配列番号239、配列番号240、配列番号243、配列番号244、配列番号245、配列番号246、配列番号252、配列番号256、配列番号257、配列番号259、配列番号260、配列番号261、配列番号262、及び配列番号268からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH);並びに配列番号49、配列番号51、及び配列番号53からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL);および1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0031】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号38を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号49を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0032】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号38を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号51を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0033】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号38を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号53を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0034】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号47を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号53を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0035】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号56を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号51を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0036】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号231を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号51を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0037】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号232を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号51を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0038】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号239を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号51を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号240を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号51を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0039】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号243を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号51を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0040】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号244を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号51を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0041】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号245を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号51を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0042】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号246を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号51を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0043】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号252を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号51を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0044】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号256を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号51を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0045】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号257を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号51を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0046】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号259を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号51を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0047】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号260を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号51を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0048】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号261を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号51を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0049】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号262を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号51を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0050】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号268を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号51を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0051】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない本発明のイヌ化抗原結合タンパク質を提供し、イヌ化抗原結合タンパク質は、配列番号127を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むイヌ科動物重鎖定常領域、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを更に含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0052】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3にはしない本発明のイヌ化抗原結合タンパク質が、配列番号129を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むイヌ科動物軽鎖定常領域を更に含むことを提供する。一実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号55を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号49を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL);重鎖(配列番号127)の定常領域、及び軽鎖(配列番号129)の定常領域;並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0053】
一実施形態では、本発明は、ネコ化抗原結合タンパク質を含む、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない抗原結合タンパク質を提供する。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号38又は配列番号59から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号40又は配列番号61から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0054】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号59に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号61を含むアミノ酸に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0055】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号131を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むネコ科動物重鎖定常領域、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを更に含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0056】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号133を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むネコ科動物軽鎖定常領域、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを更に含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0057】
一実施形態では、本発明は、ヒト化抗原結合タンパク質を含む、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない抗原結合タンパク質を提供する。一実施形態では、本発明は、キメラ抗原結合タンパク質、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、抗原結合タンパク質を提供する。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0058】
一実施形態では、本発明は、キメラ抗原結合タンパク質を含む、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない抗原結合タンパク質を提供する。一実施形態では、キメラ抗原結合タンパク質は、配列番号38からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、並びに配列番号40及び配列番号61を含むアミノ酸に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、および1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0059】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、当該タンパク質は、モノクローナル抗原結合タンパク質、一本鎖抗原結合タンパク質、四量体抗原結合タンパク質、四価抗原結合タンパク質、多重特異性抗原結合タンパク質、ドメイン特異的抗原結合タンパク質、ドメイン欠失抗原結合タンパク質、融合タンパク質、ScFc融合タンパク質、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ScFv断片、Fd断片、単一ドメイン抗原結合タンパク質、dAb断片、小モジュール免疫薬(SMIP)ナノボディ、及びIgNAR分子からなる群から選択される。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、モノクローナル抗原結合タンパク質である。
【0060】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない本発明の抗原結合タンパク質は、TGFβ関連障害についてのイヌ科動物の処置に使用するためのものである。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、TGFβ関連障害についてのネコ科動物の処置に使用するためのものである。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、TGFβ関連障害についてのヒトの処置に使用するためのものである。
【0061】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、当該結合タンパク質は、TGFβ関連障害を低減又は排除するために使用される。一実施形態では、TGFβ関連障害は、線維症障害、結合組織障害、骨障害、及び細胞増殖障害からなる群から選択される。一実施形態では、TGFβ関連障害は、線維症障害を含む。一実施形態では、線維症障害は、腎臓線維症/慢性腎臓疾患、肺線維症、肝硬変、グリア瘢痕、及び全身性硬化症/強皮症からなる群から選択される。一実施形態では、TGFβ障害は、腎臓線維症/慢性腎臓疾患である。
【0062】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない薬学的組成物を提供し、薬学的組成物は、治療有効量の本発明の抗原結合タンパク質と、薬学的に許容される担体と、を含む。
【0063】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない、本発明の抗原結合タンパク質は、TGFβ関連障害について対象を処置する方法であって、治療量の本発明の薬学的組成物を当該対象に投与することによって治療する、方法を提供する。1つ以上の実施形態では、本発明は、TGFβ関連障害についてイヌ科動物を処置する方法を提供する。一実施形態では、本発明は、TGFβ関連障害についてネコ科動物を処置するための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、TGFβ関連障害についてヒトを処置するための方法を提供する。一実施形態では、本方法は、本発明の抗原結合タンパク質を含む、治療有効量の薬学的組成物を投与することを提供する。1つ以上の実施形態では、本発明は、TGFβ関連障害が、線維症障害、結合組織障害、骨障害、及び細胞増殖障害からなる群から選択されることを提供する。一実施形態では、TGFβ関連障害は、線維症障害を含む。一実施形態では、線維症障害は、腎臓線維症/慢性腎臓疾患、肺線維症、肝硬変、グリア瘢痕、及び全身性硬化症/強皮症からなる群から選択される。一実施形態では、TGFβ障害は、腎臓線維症/慢性腎臓疾患である。
【0064】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない、本発明の抗原結合タンパク質を含む薬学的組成物を投与することによって、対象におけるTGFβ活性を阻害する方法を提供する。一実施形態では、対象は、イヌ科動物、ネコ科動物、又はヒトを含む。一実施形態では、対象は、イヌ科動物を含む。一実施形態では、対象は、ネコ科動物を含む。一実施形態では、対象は、ヒトを含む。
【0065】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない、本発明の抗原結合タンパク質、及び保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するその任意のバリアントをコードする核酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する単離された核酸配列を提供する。1つ以上の実施形態では、本発明は、本発明の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列を提供し、当該配列は、配列番号54に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、及び配列番号293に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。
【0066】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない本発明の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列を提供し、当該核酸配列は、配列番号54に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、配列番号293に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、配列番号128に対して95%の配列同一性を有するイヌ科動物重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、及び配列番号130に対して95%の配列同一性を有するイヌ科動物軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。
【0067】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない本発明の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列を提供し、当該配列は、配列番号58に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、及び配列番号60に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。
【0068】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない本発明の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列を提供し、当該配列は、配列番号58に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、及び配列番号39に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。
【0069】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない本発明の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列を提供し、当該配列は、配列番号37に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、及び配列番号60に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。
【0070】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない本発明の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列を提供し、当該配列は、配列番号58に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、配列番号60に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、配列番号132に対して95%の配列同一性を有するネコ科動物重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、及び配列番号134に対して95%の配列同一性を有するネコ科動物軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。
【0071】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない本発明の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列を提供し、当該配列は、配列番号58に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、配列番号39に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、配列番号132に対して95%の配列同一性を有するネコ科動物重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、及び配列番号134に対して95%の配列同一性を有するネコ科動物軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。
【0072】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない本発明の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列を提供し、当該配列は、配列番号37に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、配列番号60に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、配列番号132に対して95%の配列同一性を有するネコ科動物重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、及び配列番号134に対して95%の配列同一性を有するネコ科動物軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。
【0073】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない本発明の抗原結合タンパク質をコードする核酸配列を含むベクターを提供する。
【0074】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない本発明の抗原結合タンパク質をコードする核酸配列を含む宿主細胞を提供する。一実施形態では、本発明は、本発明の抗原結合タンパク質をコードする核酸を含むベクターを含む、宿主細胞を提供する。一実施形態では、本発明は、本発明の抗原結合タンパク質を産生する宿主細胞を提供する。
【0075】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1に特異的に結合するが、TGFβ2又はTGFβ3には結合しない本発明の抗原結合タンパク質を産生する方法を提供し、方法は、本発明の宿主細胞を、抗原結合タンパク質の産生をもたらす条件下で培養することと、宿主細胞又は宿主細胞の培養培地から抗原結合タンパク質を単離することと、を含む。
【0076】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物の形質転換成長因子ベータ-1(TGFβ1)及び形質転換成長因子-3(TGFβ3)に特異的に結合する抗原結合タンパク質を提供する。一実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号223のアミノ酸82~91を含むTGFβ1上のエピトープ領域に結合することができる。一実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、配列番号223のアミノ酸60~64に更に結合することができる。
【0077】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない本発明の抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号5を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を含むアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号6を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を含むアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号7を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を含むアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH);及び配列番号8を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を含むアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号9を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を含むアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号10を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を含むアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む軽鎖可変領域(VL);並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質のバリアントは、保存的アミノ酸置換を含まない。
【0078】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない本発明の抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号5を含む相補性決定領域1(CDR1)と、アミノ酸の配列番号6を含む相補性決定領域2(CDR2)と、アミノ酸配列の配列番号7を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH);及びアミノ酸の配列番号8を含む相補性決定領域1(CDR1)と、アミノ酸配列の配列番号9を含む相補性決定領域2(CDR2)と、アミノ酸配列の配列番号10を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む軽鎖可変領域(VL);並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質のバリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0079】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、イヌ化、ネコ化、ヒト化、マウス、又はキメラ抗原結合タンパク質を含む。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、イヌ化抗原結合タンパク質を含む。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号12、配列番号14、配列番号16からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH);及び配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL);並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、保存的アミノ酸置換ではないバリアントを含む。
【0080】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、イヌ化、ネコ化、ヒト化、マウス、又はキメラ抗原結合タンパク質を含む。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、イヌ化抗原結合タンパク質を含む。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号12、配列番号14、配列番号16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);及び配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質のバリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0081】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号12を含むアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号24を含むアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質のバリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0082】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号14を含むアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号24を含むアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質のバリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0083】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号13を含むアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号23を含むアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質のバリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0084】
1つ以上の実施形態では、本発明は更に、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号127を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、イヌ科動物重鎖定常領域を含む。1つ以上の実施形態では、イヌ科動物重鎖定常領域は、保存的アミノ酸置換を含む。1つ以上の実施形態では、アミノ酸置換は、保存的ではない。
【0085】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号127を含むイヌ科動物重鎖定常領域を含む。1つ以上の実施形態では、イヌ科動物重鎖定常領域は、保存的アミノ酸置換を含む。1つ以上の実施形態では、アミノ酸置換は、保存的ではない。
【0086】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号129を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、イヌ科動物軽鎖定常領域を含む。1つ以上の実施形態では、本発明は、アミノ酸配列の配列番号129を含むイヌ科動物軽鎖定常領域を含む、抗原結合タンパク質を提供する。1つ以上の実施形態では、イヌ科動物軽鎖定常領域は、保存的アミノ酸置換を含む。1つ以上の実施形態では、アミノ酸置換は、保存的ではない。
【0087】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号12を含むアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号24を含むアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、配列番号127を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むイヌ科動物重鎖定常領域、及び配列番号129を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むイヌ科動物軽鎖定常領域、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質のバリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0088】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号12を含む重鎖可変領域(VH)、及びアミノ酸配列の配列番号24を含む軽鎖可変領域(VL)、配列番号127を含むアミノ酸配列を含むイヌ科動物重鎖定常領域、及び配列番号129を含むアミノ酸配列を含むイヌ科動物軽鎖定常領域、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質のバリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0089】
一実施形態では、本発明は、ネコ化抗原結合タンパク質を含む、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない抗原結合タンパク質を提供する。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号26、配列番号28、及び配列番号30から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、並びに配列番号32又は配列番号34、及び配列番号36から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、および1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質のバリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0090】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない抗原結合タンパク質が、配列番号26を含むアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号32を含むアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含むことを提供する1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質のバリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0091】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号131を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むネコ科動物重鎖定常領域、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを更に含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質のバリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0092】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号133を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むネコ科動物軽鎖定常領域、及び1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質のバリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0093】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号26を含むアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号32を含むアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、配列番号131を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むネコ科動物重鎖定常領域、及び配列番号133を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むネコ科動物軽鎖定常領域、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質のバリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0094】
一実施形態では、本発明は、ヒト化抗原結合タンパク質を含む、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない抗原結合タンパク質を提供する。一実施形態では、本発明は、キメラ抗原結合タンパク質を含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0095】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない本発明の抗原結合タンパク質は、TGFβ関連障害についてのイヌ科動物の処置に使用するためのものである。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、TGFβ関連障害についてのネコ科動物の処置に使用するためのものである。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、TGFβ関連障害についてのヒトの処置に使用するためのものである。
【0096】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない抗原結合タンパク質を提供し、当該タンパク質は、モノクローナル抗原結合タンパク質、一本鎖抗原結合タンパク質、四量体抗原結合タンパク質、四価抗原結合タンパク質、多重特異性抗原結合タンパク質、ドメイン特異的抗原結合タンパク質、ドメイン欠失抗原結合タンパク質、融合タンパク質、ScFc融合タンパク質、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ScFv断片、Fd断片、単一ドメイン抗原結合タンパク質、dAb断片、小モジュール免疫薬(SMIP)ナノボディ、及びIgNAR分子からなる群から選択される。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、モノクローナル抗原結合タンパク質である。
【0097】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない、TGFβ関連障害の処置に使用するための抗原結合タンパク質を提供し、当該結合タンパク質は、TGFβ関連障害を低減又は排除する。一実施形態では、TGFβ関連障害は、線維症障害、結合組織障害、骨障害、及び細胞増殖障害からなる群から選択される。一実施形態では、TGFβ関連障害は、線維症障害を含む。一実施形態では、線維症障害は、腎臓線維症/慢性腎臓疾患、肺線維症、肝硬変、グリア瘢痕、及び全身性硬化症/強皮症からなる群から選択される。一実施形態では、TGFβ障害は、腎臓線維症/慢性腎臓疾患である。
【0098】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない、治療有効量の本発明の抗原結合タンパク質と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。
【0099】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない本発明の抗原結合タンパク質は、TGFβ関連障害について対象を処置する方法であって、治療量の本発明の薬学的組成物を当該対象に投与することによって処置する、方法を提供する。1つ以上の実施形態では、本発明は、TGFβ関連障害についてイヌ科動物を処置する方法を提供する。一実施形態では、本発明は、TGFβ関連障害についてネコ科動物を処置するための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、TGFβ関連障害についてヒトを治療するための方法を提供する。一実施形態では、本方法は、本発明の抗原結合タンパク質を含む、治療有効量の薬学的組成物を投与することを提供する。1つ以上の実施形態では、本発明は、TGFβ関連障害が、線維症障害、結合組織障害、骨障害、及び細胞増殖障害からなる群から選択されることを提供する。一実施形態では、TGFβ関連障害は、線維症障害を含む。一実施形態では、線維症障害は、腎臓線維症/慢性腎臓疾患、肺線維症、肝硬変、グリア瘢痕、及び全身性硬化症/強皮症からなる群から選択される。一実施形態では、TGFβ障害は、腎臓線維症/慢性腎臓疾患である。
【0100】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない本発明の抗原結合タンパク質を含む薬学的組成物を投与することによって、対象におけるTGFβ活性を阻害する方法を提供する。一実施形態では、対象は、イヌ科動物、ネコ科動物、又はヒトを含む。一実施形態では、対象は、イヌ科動物を含む。一実施形態では、対象は、ネコ科動物を含む。一実施形態では、対象は、ヒトを含む。
【0101】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない本発明の抗原結合タンパク質、及び保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するその任意のバリアントをコードする核酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する単離された核酸配列を提供する。
【0102】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない本発明の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列を提供し、当該配列は、配列番号11に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、及び配列番号23に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。
【0103】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない本発明の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列を提供し、当該核酸配列は、配列番号11に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、配列番号23に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、配列番号128に対して95%の配列同一性を有するイヌ科動物重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、及び配列番号130に対して95%の配列同一性を有するイヌ科動物軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。
【0104】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない本発明の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列を提供し、当該配列は、配列番号13に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、及び配列番号23に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。
【0105】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない、本発明の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列を提供し、当該配列は、配列番号15に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、及び配列番号23に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、本発明は更に、配列番号128に対して95%の配列同一性を有するイヌ科動物重鎖定常領域をコードする単離された核酸配列、及び配列番号130に対して95%の配列同一性を有するイヌ科動物軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを提供する。
【0106】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない本発明の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列を提供し、当該配列は、配列番号25に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、及び配列番号32に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。
【0107】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない本発明の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列を提供し、当該核酸配列は、配列番号132に対して95%の配列同一性を有するネコ科動物重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列をコードするヌクレオチド配列、及び配列番号134に対して95%の配列同一性を有するネコ科動物軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを更に含む。
【0108】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない、本発明の抗原結合タンパク質をコードする核酸配列を含むベクターを提供する。
【0109】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない、本発明の抗原結合タンパク質をコードする核酸配列を含む宿主細胞を提供する。一実施形態では、本発明は、本発明の抗原結合タンパク質をコードする核酸を含むベクターを含む、宿主細胞を提供する。一実施形態では、本発明は、本発明の抗原結合タンパク質を産生する宿主細胞を提供する。
【0110】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1及びTGFβ3に特異的に結合するが、TGFβ2には結合しない本発明の抗原結合タンパク質を産生する方法を提供し、方法は、本発明の宿主細胞を、抗原結合タンパク質の産生をもたらす条件下で培養することと、宿主細胞又は宿主細胞の培養培地から抗原結合タンパク質を単離することと、を含む。
【0111】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物の形質転換成長因子ベータ-1(TGFβ1)、形質転換成長因子2(TGFβ2)、及び形質転換成長因子3(TGFβ3)に特異的に結合する抗原結合タンパク質を提供する。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号223のアミノ酸57~66及びアミノ酸90~103を含むTGFβ1上のエピトープ領域に結合することができる。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号223のアミノ酸25~43に更に結合することができる。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号223のアミノ酸67~89に更に結合することができる。
【0112】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号270[グリシン(G)-チロシン(Y)-(X1)-フェニルアラニン(F)-(X2)-(X3)-チロシン(Y)]を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、式中、(X1)が、スレオニン(T)又はイソロイシン(I)を含み、(X2)が、イソロイシン(I)又はメチオニン(M)を含み、(X3)が、スレオニン(T)又はリジン(K)を含む、相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号271[フェニルアラニン(F)-プロリン(P)-(X4)-(X5)-グリシン(G)-(X6)]を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、式中、(X4)が、アラニン(A)又はグリシン(G)を含み、(X5)が、セリン(S)又はトリプトファン(W)を含み、(X6)が、セリン(S)、メチオニン(M)又はバリン(V)を含む、相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号272[グリシン(G)-(X7)-グリシン(G)-アスパラギン(N)-チロシン(Y)-アラニン(A)-ロイシン(L)-アスパラギン酸(D)-アラニン(A)-メチオニン(M)-アスパラギン酸(D)-チロシン(Y)を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、式中、(X7)が、アスパラギン酸(D)又はチロシン(Y)を含む、相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH);及び配列番号69を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号70を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号273[グルタミン(Q)-グルタミン(Q)-アスパラギン(N)-(X8)-グルタミン酸(E)-アスパラギン酸(D)-プロリン(P)-ロイシン(L)-(X9))を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、式中、(X8)が、アスパラギン(N)又はアスパラギン酸(D)を含み、(X9)が、スレオニン(T)又はセリン(S)を含む、相補性決定領域3(CDR3)と、を含む軽鎖可変領域(VL);並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。いくつかの実施形態では、バリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0113】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号66、配列番号274、配列番号275、配列番号276、及び配列番号277からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号67、配列番号278、配列番号279、及び配列番号280を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号68、又は配列番号281からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH);並びに配列番号69を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号70を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号71、配列番号282、及び配列番号283からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む軽鎖可変領域(VL);および1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、バリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0114】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号66に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号67を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号68を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む重鎖可変領域(VH);及び配列番号69を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号70を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、アミノ酸配列の配列番号71に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む軽鎖可変領域(VL);並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、バリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0115】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、イヌ化、ネコ化、ヒト化、又はキメラ抗原結合タンパク質を含む。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、イヌ化抗原結合タンパク質を含む。
【0116】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号181、配列番号183、配列番号185、配列番号配列番号187、配列番号189、配列番号191、配列番号193、配列番号195、配列番号197、配列番号199、配列番号201、配列番号203、配列番号205、配列番号207、配列番号209、配列番号211、配列番号213、及び配列番号215からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH);並びに配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号216、及び配列番号218からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL);および1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、バリアントは、保存的アミノ置換ではない。
【0117】
一実施形態では、本発明は、
a.配列番号181を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号85を含む軽鎖可変領域(VL)、
b.配列番号181を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号216を含む軽鎖可変領域(VL)、
c.配列番号183を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号85を含む軽鎖可変領域(VL)、
d.配列番号185を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号85を含む軽鎖可変領域(VL)、
e.配列番号187を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号85を含む軽鎖可変領域(VL)、
f.配列番号187を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号218を含む軽鎖可変領域(VL)、
g.配列番号185を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号218を含む軽鎖可変領域(VL)、
h.配列番号189を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号218を含む軽鎖可変領域(VL)、
i.配列番号191を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号218を含む軽鎖可変領域(VL)、
j.配列番号193を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号218を含む軽鎖可変領域(VL)、
k.配列番号195を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号218を含む軽鎖可変領域(VL)、
l.配列番号197を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号218を含む軽鎖可変領域(VL)、
m.配列番号199を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号218を含む軽鎖可変領域(VL)、
n.配列番号199を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号85を含む軽鎖可変領域(VL)、
o.配列番号193を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号85を含む軽鎖可変領域(VL)、
p.配列番号195を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号85を含む軽鎖可変領域(VL)、
q.配列番号191を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号85を含む軽鎖可変領域(VL)、
r.配列番号197を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号85を含む軽鎖可変領域(VL)、
s.配列番号189を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号85を含む軽鎖可変領域(VL)、
t.配列番号201を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号218を含む軽鎖可変領域(VL)
u.配列番号203を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号218を含む軽鎖可変領域(VL)、
v.配列番号205を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号218を含む軽鎖可変領域(VL)
w.配列番号201を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号85を含む軽鎖可変領域(VL)、
x.配列番号205を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号85を含む軽鎖可変領域(VL)
y.配列番号215を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号218を含む軽鎖可変領域(VL)を含むアミノ酸に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域(VL)と対をなす重鎖可変領域(VH)の両方、並びに
1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む、抗原結合タンパク質を提供する。1つ以上の実施形態では、バリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0118】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号127を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、イヌ科動物重鎖定常領域を含む。1つ以上の実施形態では、本発明は、アミノ酸配列の配列番号127を含むイヌ科動物重鎖定常領域を含む、抗原結合タンパク質を提供する。1つ以上の実施形態では、イヌ科動物重鎖定常領域は、保存的アミノ酸置換を含む。1つ以上の実施形態では、バリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0119】
1つ以上の実施形態では、本発明は、配列番号129を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むイヌ科動物軽鎖定常領域を含む、抗原結合タンパク質を提供する。1つ以上の実施形態では、本発明は、アミノ酸配列の配列番号129を含むイヌ科動物軽鎖定常領域を含む、抗原結合タンパク質を提供する。1つ以上の実施形態では、イヌ科動物軽鎖定常領域は、保存的アミノ酸置換を含む。1つ以上の実施形態では、バリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0120】
一実施形態では、本発明は、ネコ化抗原結合タンパク質を含む、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する抗原結合タンパク質を提供する。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号120又は配列番号122から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号99を含むアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。1つ以上の実施形態では、バリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0121】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号73を含むアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号85を含むアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。
【0122】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する本発明の抗原結合タンパク質であって、配列番号127を含むアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖の定常領域、及びアミノ酸配列の配列番号129に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖の定常領域、並びに1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するそれらの任意のバリアントを更に含む、当該抗原結合タンパク質である、抗原結合タンパク質。1つ以上の実施形態では、バリアントは、保存的アミノ酸置換ではない。
【0123】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号131を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ネコ科動物重鎖定常領域を含む。1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する抗原結合タンパク質を提供し、抗原結合タンパク質は、配列番号133を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ネコ科動物軽鎖定常領域を含む。
【0124】
一実施形態では、本発明は、ヒト化抗原結合タンパク質を含む、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する抗原結合タンパク質を提供する。一実施形態では、本発明は、キメラ抗原結合タンパク質を含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0125】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する抗原結合タンパク質を提供し、当該タンパク質は、モノクローナル抗原結合タンパク質、一本鎖抗原結合タンパク質、四量体抗原結合タンパク質、四価抗原結合タンパク質、多重特異性抗原結合タンパク質、ドメイン特異的抗原結合タンパク質、ドメイン欠失抗原結合タンパク質、融合タンパク質、ScFc融合タンパク質、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ScFv断片、Fd断片、単一ドメイン抗原結合タンパク質、dAb断片、小モジュール免疫薬(SMIP)ナノボディ、及びIgNAR分子からなる群から選択される。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、モノクローナル抗原結合タンパク質である。
【0126】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する抗原結合タンパク質を提供し、当該結合タンパク質は、TGFβ関連障害の低減又は排除に使用するためのものである。一実施形態では、TGFβ関連障害は、線維症障害、結合組織障害、骨障害、及び細胞増殖障害からなる群から選択される。一実施形態では、TGFβ関連障害は、線維症障害を含む。一実施形態では、線維症障害は、腎臓線維症/慢性腎臓疾患、肺線維症、肝硬変、グリア瘢痕、及び全身性硬化症/強皮症からなる群から選択される。一実施形態では、TGFβ障害は、腎臓線維症/慢性腎臓疾患である。
【0127】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する、治療有効量の本発明の抗原結合タンパク質と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。
【0128】
1つ以上の実施形態では、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合するイヌ科動物又はネコ科動物に特異的に結合する、本発明の抗原結合タンパク質は、TGFβ関連障害について対象を処置する方法であって、治療量の本発明の薬学的組成物を当該対象に投与することによって処置する、方法を提供する。1つ以上の実施形態では、本発明は、TGFβ関連障害についてイヌ科動物を処置する方法を提供する。一実施形態では、本発明は、TGFβ関連障害についてネコ科動物を処置するための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、TGFβ関連障害についてヒトを処置するための方法を提供する。一実施形態では、本方法は、本発明の抗原結合タンパク質を含む、治療有効量の薬学的組成物を投与することを提供する。1つ以上の実施形態では、本発明は、TGFβ関連障害が、線維症障害、結合組織障害、骨障害、及び細胞増殖障害からなる群から選択されることを提供する。一実施形態では、TGFβ関連障害は、線維症障害を含む。一実施形態では、線維症障害は、腎臓線維症/慢性腎臓疾患、肺線維症、肝硬変、グリア瘢痕、及び全身性硬化症/強皮症からなる群から選択される。一実施形態では、TGFβ障害は、腎臓線維症/慢性腎臓疾患である。
【0129】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する本発明の抗原結合タンパク質を含む薬学的組成物を投与することによって、対象におけるTGFβ活性を阻害する方法を提供する。一実施形態では、対象は、イヌ科動物、ネコ科動物、又はヒトを含む。一実施形態では、対象は、イヌ科動物を含む。一実施形態では、対象は、ネコ科動物を含む。一実施形態では、対象は、ヒトを含む。
【0130】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する本発明の抗原結合タンパク質、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するその任意のバリアントをコードする核酸配列に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する単離された核酸配列を提供する。
【0131】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する本発明の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列を提供し、当該配列は、配列番号72に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、及び配列番号84に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。
【0132】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する本発明の抗原結合タンパク質をコードする単離された核酸配列を提供し、当該核酸配列は、配列番号72に対して95%の配列同一性を有するVHをコードするヌクレオチド配列、配列番号84に対して95%の配列同一性を有するVLをコードするヌクレオチド配列、配列番号128に対して95%の配列同一性を有するイヌ科動物重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、及び配列番号130に対して95%の配列同一性を有するイヌ科動物軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列、並びに保存的アミノ酸置換をもたらす1つ以上の核酸置換を有するそれらの任意のバリアントを含む。
【0133】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する、本発明の抗原結合タンパク質をコードする核酸配列を含むベクターを提供する。
【0134】
一実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する、現在の抗原結合タンパク質をコードする核酸配列を含む宿主細胞を提供する。一実施形態では、本発明は、本発明の抗原結合タンパク質をコードする核酸を含むベクターを含む、宿主細胞を提供する。一実施形態では、本発明は、本発明の抗原結合タンパク質を産生する宿主細胞を提供する。
【0135】
1つ以上の実施形態では、本発明は、イヌ科動物又はネコ科動物のTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に特異的に結合する、本発明の抗原結合タンパク質を産生する方法を提供し、方法は、本発明の宿主細胞を、抗原結合タンパク質の産生をもたらす条件下で培養することと、宿主細胞又は宿主細胞の培養培地から抗原結合タンパク質を単離することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0136】
図1】TGFβ1に結合する本発明の抗TGFβ抗体のエピトープマッピングデータを提示する。
図2】抗原結合部位を強調する天然マウス免疫グロブリンG(IgG)の一般構造を表す。
図3】マウス:イヌ科動物IgGの一実施形態の一般構造の略図である。
図4】ヘテロキメラ分子を表す。
図5】マウスIgGの生物種化又はイヌ化を表す。
図6】TGFβ1及びTGFβ3についてのZTS-426 SMAD3阻害曲線のグラフ表示である。
図7】ZTS-426の結合したFab断片を有する成熟TGFβ1二量体の二次構造のモデルを表す。
図8】TGFβ1結合TGFβRI/TGFβRII複合体とのZTS-426Fab複合体の重ね合わせのモデルを表す。
図9】異なる用量におけるZTS-426により処置したAlportイヌの疾患進行の調節のグラフ表示である。
図10】CKDの処置に関連する研究についての段階2シナリオ計画を表す。
図11A】ZTS-426による処置後のsCr倍増までの時間に関連する生存曲線のグラフ表示である。
図11B】ZTS-426による処置後の生存曲線/ステージ4(sCr>5.0)までの時間のグラフ表示である。
図11C】ZTS-426による処置後の生存曲線/Phos上昇(>4.5g/dl)までの時間のグラフ表示である。
図11D】ZTS-426による処置後の生存曲線/CKDに起因する死亡/中止までの時間のグラフ表示である。
図11E】ZTS-426による処置後の生存曲線/研究終了までの時間のグラフ表示である。
図11F】ZTS-426による処置後の生存曲線/尿毒症危機までの時間のグラフ表示である。
図12】平均のイヌ血清のZTS-4155濃度-時間グラフのグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0137】
配列の簡単な説明
配列番号1は、マウス04H09モノクローナル抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号2は、マウス04H09モノクローナル抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号3は、マウス04H09モノクローナル抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号4は、マウス04H09モノクローナル抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号5は、本明細書で04H09 CDR-H1と称される、04H09モノクローナル抗体の重鎖における第1のCDRのアミノ酸配列を含む。
配列番号6は、本明細書で04H09 CDR-H2と称される、04H09モノクローナル抗体の重鎖における第2のCDRのアミノ酸配列を含む。
配列番号7は、本明細書で04H09 CDR-H3と称される、04H09モノクローナル抗体の重鎖における第3のCDRのアミノ酸配列を含む。
配列番号8は、本明細書で04H09 CDR-K1と称される、04H09モノクローナル抗体の軽鎖における第1のCDRのアミノ酸配列を含む。
配列番号9は、本明細書で04H09 CDR-K2と称される、04H09モノクローナル抗体の軽鎖における第2のCDRのアミノ酸配列を含む。
配列番号10は、本明細書で04H09 CDR-K3と称される、04H09モノクローナル抗体の軽鎖における第3のCDRのアミノ酸配列を含む。
配列番号11は、本明細書でCan04H09-VH1と称される、イヌ化04H09抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号12は、本明細書でCan04H09-VH1と称される、イヌ化04H09抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号13は、本明細書でCan04H09-VH2と称される、イヌ化04H09抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号14は、本明細書でCan04H09-VH2と称される、イヌ化04H09抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号15は、本明細書でCan04H09-VH3と称される、イヌ化04H09抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号16は、本明細書でCan04H09-VH3と称される、イヌ化04H09抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号17は、本明細書でCan04H09-VL1と称される、イヌ化04H09抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号18は、本明細書でCan04H09-VL1と称される、イヌ化04H09抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号19は、本明細書でCan04H09-VL2と称される、イヌ化04H09抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号20は、本明細書でCan04H09-VL2と称される、イヌ化04H09抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号21は、本明細書でCan04H09-VL3と称される、イヌ化04H09抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号22は、本明細書でCan04H09-VL3と称される、イヌ化04H09抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号23は、本明細書でCan04H09-VL4と称される、イヌ化04H09抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号24は、本明細書でCan04H09-VL4と称される、イヌ化04H09抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号25は、本明細書でFel04H09-H636と称される、ネコ化04H09抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号26は、本明細書でFel04H09-H636と称される、ネコ化04H09抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号27は、本明細書でFel04H09-H1-2と称される、ネコ化04H09抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号28は、本明細書でFel04H09-H1-2と称される、ネコ化04H09抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号29は、本明細書でFel04H09-H618と称される、ネコ化04H09抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号30は、本明細書でFel04H09-H618と称される、ネコ化04H09抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号31は、本明細書でFel04H09-K4-1と称される、ネコ化04H09抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号32は、本明細書でFel04H09-K4-1と称される、ネコ化04H09抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号33は、本明細書でFel04H09-K36と称される、ネコ化04H09抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号34は、本明細書でFel04H09-K36と称される、ネコ化04H09抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号35は、本明細書でFel04H09-K1-1と称される、ネコ化04H09抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号36は、本明細書でFel04H09-K1-1と称される、ネコ化04H09抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号37は、マウスSL501モノクローナル抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号38は、マウスSL501モノクローナル抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号39は、マウスSL501モノクローナル抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号40は、マウスSL501モノクローナル抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号41は、本明細書でSL501 CDR-H1と称される、SL501モノクローナル抗体の重鎖における第1のCDRのアミノ酸配列を含む。
配列番号42は、本明細書でSL501 CDR-H2と称される、SL501モノクローナル抗体の重鎖における第2のCDRのアミノ酸配列を含む。
配列番号43は、本明細書でSL501 CDR-H3と称される、SL501モノクローナル抗体の重鎖における第3のCDRのアミノ酸配列を含む。
配列番号44は、本明細書でSL501 CDR-K1と称される、SL501モノクローナル抗体の軽鎖における第1のCDRのアミノ酸配列を含む。
配列番号45は、本明細書でSL501 CDR-K2と称される、SL501モノクローナル抗体の軽鎖における第2のCDRのアミノ酸配列を含む。
配列番号46は、本明細書でSL501 CDR-K3と称される、SL501モノクローナル抗体の軽鎖における第3のCDRのアミノ酸配列を含む。
配列番号47は、本明細書でCan SL501-VH1と称される、イヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号48は、本明細書でCan SL501-VH2と称される、イヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号49は、本明細書でCan SL501-VL1と称される、イヌ化SL501抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号50は、本明細書でCan SL501-VL2と称される、イヌ化SL501抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号51は、本明細書でCan SL501-VL2と称される、イヌ化SL501抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号52は、本明細書でCan SL501-VL-ハイブリッドと称される、部分的にイヌ化されたSL501抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号53は、本明細書でCan SL501-VL-ハイブリッドと称される、部分的にイヌ化されたSL501抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号54は、本明細書でCan SL501-VH3と称される、イヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号55は、本明細書でCan SL501-VH3と称される、イヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号56は、本明細書でcan SL501-VH3-FW2と称される、can SL501-VH3のフレームワーク2領域内の44位及び46位にアミノ酸置換をもたらすヌクレオチド置換を有する、can SL501-VH3抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号57は、本明細書でcan SL501-VH3-FW2と称される、can SL501-VH3のフレームワーク2領域内の44位及び46位にアミノ酸置換を有する、can SL501-VH3抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号58は、本明細書でFel SL501-VH3-9と称される、ネコ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号59は、本明細書でFel SL501-VH3-9と称される、ネコ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号60は、本明細書でFel SL501-VL1-1と称される、ネコ化SL501抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号61は、本明細書でFel SL501-VL1-1と称される、ネコ化SL501抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号62は、mHcLbモノクローナル抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号63は、mHcLbモノクローナル抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号64は、mHcLbモノクローナル抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号65は、mHcLbモノクローナル抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号66は、本明細書でmHcLb CDR-H1と称される、mHcLbモノクローナル抗体の重鎖における第1のCDRのアミノ酸配列を含む。
配列番号67は、本明細書でmHcLb CDR-H2と称される、mHcLbモノクローナル抗体の重鎖における第2のCDRのアミノ酸配列を含む。
配列番号68は、本明細書でmHcLb CDR-H3と称される、mHcLbモノクローナル抗体の重鎖における第3のCDRのアミノ酸配列を含む。
配列番号69は、本明細書でmHcLb CDR-K1と称される、mHcLbモノクローナル抗体の軽鎖における第1のCDRのアミノ酸配列を含む。
配列番号70は、本明細書でmHcLb CDR-K2と称される、mHcLbモノクローナル抗体の軽鎖における第2のCDRのアミノ酸配列を含む。
配列番号71は、本明細書でmHcLb CDR-K3と称される、mHcLbモノクローナル抗体の軽鎖における第3のCDRのアミノ酸配列を含む。
配列番号72は、本明細書でCanHcLb-VH1と称される、イヌ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号73は、本明細書でCanHcLb-VH1と称される、イヌ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号74は、本明細書でCanHcLb-VH2と称される、イヌ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号75は、本明細書でCanHcLb-VH2と称される、イヌ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号76は、本明細書でCanHcLb-VH3と称される、イヌ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号77は、本明細書でCanHcLb-VH3と称される、イヌ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号78は、本明細書でCanHcLb-VL1と称される、イヌ化HcLb抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号79は、本明細書でCanHcLb-VL1と称される、イヌ化HcLb抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号80は、本明細書でCanHcLb-VL2と称される、イヌ化HcLb抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号81は、本明細書でCanHcLb-VL2と称される、イヌ化HcLb抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号82は、本明細書でCanHcLb-VL3と称される、イヌ化HcLb抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号83は、本明細書でCanHcLb-VL3と称される、イヌ化HcLb抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号84は、本明細書でCanHcLb-VL4と称される、イヌ化HcLb抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号85は、本明細書でCanHcLb-VL4と称される、イヌ化HcLb抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号86は、本明細書でCanHcLb-VL5と称される、イヌ化HcLb抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号87は、本明細書でCanHcLb-VL5と称される、イヌ化HcLb抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号88は、本明細書でcanHcLb-VL4-S71Pと称される、canHcLb-VL4のフレームワーク2領域内の71位にアミノ酸置換をもたらすヌクレオチド置換を有する、canHcLb-VL4抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号89は、本明細書でcanHcLb-VL4-S71Pと称される、canHcLb-VL4のフレームワーク2領域内の71位にアミノ酸置換を有する、canHcLb-VL4抗体の軽鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号90は、本明細書でcanHcLb-VL4-Q73Kと称される、canHcLb-VL4のフレームワーク2領域内の73位でアミノ酸置換をもたらすヌクレオチド置換を有する、canHcLb-VL4抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号91は、本明細書でcanHcLb-VL4-Q73Kと称される、canHcLb-VL4のフレームワーク2領域内の73位にアミノ酸置換を有する、canHcLb-VL4抗体の軽鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号92は、本明細書でcanHcLb-VL4-S71Pと称される、canHcLb-VL4のフレームワーク2領域内の71位及び73位にアミノ酸置換をもたらすヌクレオチド置換を有する、canHcLb-VL4抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号93は、本明細書でcanHcLb-VL4-S71P-Q73Kと称される、canHcLb-VL4のフレームワーク2領域内の71位及び73位にアミノ酸置換を有する、canHcLb-VL4抗体の軽鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号94は、本明細書でFelHcLb-H636と称される、ネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号95は、本明細書でFelHcLb-H636と称される、ネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号96は、本明細書でFelHcLb-H1-1と称される、ネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号97は、本明細書でFelHcLb-H1-1と称される、ネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号98は、本明細書でFelHcLb-K1-1と称される、ネコ化HcLb抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号99は、本明細書でFelHcLb-K1-1と称される、ネコ化HcLb抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号100は、本明細書でFelHcLb-K36と称される、ネコ化HcLb抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号101は、本明細書でFelHcLb-K36と称される、ネコ化HcLb抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号102は、本明細書でFelHcLb-K4-1と称される、ネコ化HcLb抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号103は、本明細書でFelHcLb-K2D-2と称される、ネコ化HcLb抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号104は、本明細書でFelHcLb-K1-1と称される、ネコ化HcLb抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号105は、本明細書でFelHcLb-K2D-2と称される、ネコ化HcLb抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号106は、本明細書でFelHcLb-H618sと称される、ネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号107は、本明細書でFelHcLb-H618sと称される、ネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号108は、本明細書でFelHcLb-H636xと称される、修飾CDR-H2領域を有するネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号109は、本明細書でFelHcLb-H636xと称される、修飾CDR-H2領域を有するネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号110は、本明細書でFelHcLb-H1-1xと称される、修飾CDR-H2領域を有するネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号111は、本明細書でFelHcLb-H1-1xと称される、修飾CDR-H2領域を有するネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号112は、本明細書でFelHcLb-H618xと称される、修飾CDR-H2領域を有するネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号113は、本明細書でFelHcLb-H618xと称される、修飾CDR-H2領域を有するネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号114は、本明細書でFelHcLb-H634xと称される、修飾CDR-H2領域を有するネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号115は、本明細書でFelHcLb-H634xと称される、修飾CDR-H2領域を有するネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号116は、本明細書でmHcLb CDR-H2xと称される、mHcLbモノクローナル抗体の重鎖における第2のCDRの修飾バージョンのアミノ酸配列を含む。
配列番号117は、本明細書でmHcLb CDR-H1-WMNと称される、mHcLbモノクローナル抗体の重鎖における第1のCDRの修飾バージョンのアミノ酸配列を含む。
配列番号118は、本明細書でmHcLb CDR-H1-MNと称される、mHcLbモノクローナル抗体の重鎖における第1のCDRの修飾バージョンのアミノ酸配列を含む。
配列番号119は、本明細書でFelHcLb-H1-1WMNと称される、修飾CDR-H1領域を有するネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号120は、本明細書でFelHcLb-H1-1WMNと称される、修飾CDR-H1領域を有するネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号121は、本明細書でFelHcLb-H1-1xWMNと称される、修飾CDR-H1及びCDR-H2領域を有するネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号122は、本明細書でFelHcLb-H1-1xWMNと称される、修飾CDR-H1及びCDR-H2領域を有するネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号123は、本明細書でFelHcLb-H1-1WMと称される、修飾CDR-H1領域を有するネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号124は、本明細書でFelHcLb-H1-1WMと称される、修飾CDR-H1領域を有するネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号125は、本明細書でFelHcLb-H1-1xWMと称される、修飾CDR-H1及びCDR-H2領域を有するネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号126は、本明細書でFelHcLb-H1-1xWMと称される、修飾CDR-H1及びCDR-H2領域を有するネコ化HcLb抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号127は、本発明のイヌ化抗体のイヌ科動物重鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号128は、本発明のイヌ化抗体のイヌ科動物重鎖定常領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号129は、本発明のイヌ化抗体のイヌ科動物軽(カッパ)鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号130は、本発明のイヌ化抗体のイヌ科動物軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号131は、本発明のネコ化抗体のネコ科動物重鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号132は、本発明のネコ化抗体のネコ科動物重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号133は、本発明のネコ化抗体のネコ科動物軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号134は、本発明のネコ化抗体のネコ科動物軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列を含む。
配列番号135は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(D108E)アミノ酸配列を含む。
配列番号136は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(D108P)アミノ酸配列を含む。
配列番号137は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(D108Q)アミノ酸配列を含む。
配列番号138は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(D108N)アミノ酸配列を含む。
配列番号139は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(D108S)アミノ酸配列を含む。
配列番号140は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(D108T)アミノ酸配列を含む。
配列番号141は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(D108K)アミノ酸配列を含む。
配列番号142は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(D108R)アミノ酸配列を含む。
配列番号143は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(D108H)アミノ酸配列を含む。
配列番号144は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(P109S)アミノ酸配列を含む。
配列番号145は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(P109H)アミノ酸配列を含む。
配列番号146は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(P109Y)アミノ酸配列を含む。
配列番号147は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(P109W)アミノ酸配列を含む。
配列番号148は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(P109F)アミノ酸配列を含む。
配列番号149は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(P109T)アミノ酸配列を含む。
配列番号150は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(P109A)アミノ酸配列を含む。
配列番号151は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(P109G)アミノ酸配列を含む。
配列番号152は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(Q110S)アミノ酸配列を含む。
配列番号153は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(Q110N)アミノ酸配列を含む。
配列番号154は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(Q110D)アミノ酸配列を含む。
配列番号155は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(Q110E)アミノ酸配列を含む。
配列番号156は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(Q110K)アミノ酸配列を含む。
配列番号157は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(Q110R)アミノ酸配列を含む。
配列番号158は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(Q110H)アミノ酸配列を含む。
配列番号159は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(Q110T)アミノ酸配列を含む。
配列番号160は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(Q110V)アミノ酸配列を含む。
配列番号161は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(Y111P)アミノ酸配列を含む。
配列番号162は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(Y111F)アミノ酸配列を含む。
配列番号163は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(Y111W)アミノ酸配列を含む。
配列番号164は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(Y111H)アミノ酸配列を含む。
配列番号165は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(Y111M)アミノ酸配列を含む。
配列番号166は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(Y111I)アミノ酸配列を含む。
配列番号167は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(Y111L)アミノ酸配列を含む。
配列番号168は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(Y111V)アミノ酸配列を含む。
配列番号169は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(Y111T)アミノ酸配列を含む。
配列番号170は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(Y111E)アミノ酸配列を含む。
配列番号171は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(S112E)アミノ酸配列を含む。
配列番号172は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(S112Q)アミノ酸配列を含む。
配列番号173は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(S112N)アミノ酸配列を含む。
配列番号174は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(S112T)アミノ酸配列を含む。
配列番号175は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(S112A)アミノ酸配列を含む。
配列番号176は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(S112G)アミノ酸配列を含む。
配列番号177は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(S112P)アミノ酸配列を含む。
配列番号178は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(S112D)アミノ酸配列を含む。
配列番号179は、Can SL501-VH3の重鎖可変領域(VH)におけるCDR H3内の単一置換(S112L)アミノ酸配列を含む。
配列番号180は、本明細書でHcLb/mat/P/H3/100/DYと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号181は、本明細書でHcLb/mat/P/H3/100/DYと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号182は、本明細書でHcLb/mat/P/H2/55/SWと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号183は、本明細書でHcLb/mat/P/H2/55/SWと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号184は、本明細書でcanHcLb/54AG/100DYと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号185は、本明細書でcanHcLb/54AG/100DYと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号186は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DYと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号187は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DYと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号188は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/28/TIと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号189は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/28/TIと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号190は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/30/IMと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号191は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/30/IMと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号192は、本明細書でCanHcLb/55SW/100DY/57/SMと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号193は、本明細書でCanHcLb/55SW/100DY/57/SMと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号194は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/57/SVと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号195は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/57/SVと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号196は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/31/TKと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号197は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/31/TKと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号198は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/30IM/31TKと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号199は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/30IM/31TKと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号200は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/30IM/31TK/28TIと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号201は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/30IM/31TK/28TIと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号202は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/30IM/31TK/57SMと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号203は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/30IM/31TK/57SMと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号204は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/30IM/31TK/28TI/57SMと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号205は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/30IM/31TK/28TI/57SMと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号206は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/57SM/30IMと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号207は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/57SM/30IMと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号208は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/57SV/30IMと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号209は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/57SV/30IMと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号210は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/57SM/30IM/31TFと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号211は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/57SM/30IM/31TFと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号212は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/57SM/30IM/31TF/28TKと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号213は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/57SM/30IM/31TF/28TKと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号214は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/57SM/30IW/31TF/28TKと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号215は、本明細書でcanHcLb/55SW/100DY/57SM/30IW/31TF/28TKと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号216は、本明細書でHcLb/mat/K3/237/NDと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号217は、本明細書でHcLb/mat/K3/237/NDと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号218は、本明細書でcanHcLb/237ND/242TSと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の軽鎖(VL)の可変領域をコードするDNAのヌクレオチド配列を含む。
配列番号219は、本明細書でcanHcLb/237ND/242TSと称される、親和性成熟イヌ化Hclb H1K4抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号220は、イヌ科動物のTGFβ1のアミノ酸配列を含む。
配列番号221は、ヒトのTGFβ1のアミノ酸配列を含む。
配列番号222は、ネコ科動物のTGFβ1のアミノ酸配列を含む。
配列番号223は、本発明の抗TGF抗体のためのエピトープを含有するTGFβ1断片のアミノ酸配列を含み、図1に示されるとおりである。
配列番号224は、SL501抗原結合タンパク質のVH CDR3のアミノ酸配列を含み、(X1)は(K又はR)であり得、(X2)は(T又はA)であり得、(X3)は(Q、N、D、E、又はK)であり得、X4は(S、E、Q、又はD)であり得る。
配列番号225は、D108E点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号226は、D108P点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号227は、D108Q点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号228は、D108N点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号229は、D108S点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号230は、D108T点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号231は、D108K点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号232は、D108R点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号233は、D108H点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号234は、P109S点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号235は、P109H点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号236は、P109Y点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号237は、P109W点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号238は、P109F点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号239は、P109T点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号240は、P109A点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号241は、P109G点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号242は、Q110S点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号243は、Q110N点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号244は、Q110D点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号245は、Q110E点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号246は、Q110K点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号247は、Q110R点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号248は、Q110H点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号249は、Q110T点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号250は、Q110V点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号251は、Y111P点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号252は、Y111F点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号253は、Y111W点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号254は、Y111H点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号255は、Y111M点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号256は、Y111I点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号257は、Y111L点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号258は、Y111V点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号259は、Y111T点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号260は、Y111E点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号261は、S112E点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号262は、S112Q点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号263は、S112N点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号264は、S112T点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号265は、S112A点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号266は、S112G点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号267は、S112P点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号268は、S112D点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号269は、S112L点変異を含むイヌ化SL501抗体の重鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号270は、G-Y-(X1)-F-(X2)-(X3)-Yのアミノ酸配列を含み、式中、(X1)が、T又はIを含み、(X2)が、I又はMを含み、(X3)が、T又はKを含む、HcLBの重鎖(VH)CDR1の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号271は、F-P-(X4)-(X5)-G-(X6)のアミノ酸配列を含み、(X4)が、A又はGを含み、(X5)が、S又はWを含み、(X6)が、S、M又はVを含む、HcLBの重鎖(VH)CDR2の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号272は、G-(X7)-G-N-Y-A-L-D-A-M-D-Yのアミノ酸配列を含み、式中、(X7)が、D又はYを含む、HcLBの重鎖(VH)CDR3の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号273は、Q-Q-N-(X8)-E-D-P-L-(X9)のアミノ酸配列を含み、(X8)が、N又はDを含み、(X9)が、T又はSを含む、HcLBの軽鎖(VL)CDR3の可変領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号274は、T28I点変異を含む重鎖(VH)のHcLB抗体の可変領域のCDR1のアミノ酸配列を含む。
配列番号275は、I30M点変異を含むHcLB抗体の重鎖(VH)の可変領域のCDR1のアミノ酸配列を含む。
配列番号276は、T31K点変異を含むHcLB抗体の重鎖(VH)の可変領域のCDR1のアミノ酸配列を含む。
配列番号277は、I30M及びT31K点変異を含む、HcLB抗体の重鎖(VH)の可変領域のCDR1のアミノ酸配列を含む。
配列番号278は、T28I、I30M及びT31K点変異を含む、HcLB抗体の重鎖(VH)の可変領域のCDR1のアミノ酸配列を含む。
配列番号279は、A54G点変異を含むHcLB抗体の重鎖(VH)の可変領域のCDR2のアミノ酸配列を含む。
配列番号280は、S55W点変異を含むHcLB抗体の重鎖(VH)の可変領域のCDR2のアミノ酸配列を含む。
配列番号281は、S57M点変異を含むHcLB抗体の重鎖(VH)の可変領域のCDR2のアミノ酸配列を含む。
配列番号282は、S55W及びS57M点変異を含む、HcLB抗体の重鎖(VH)の可変領域のCDR2のアミノ酸配列を含む。
配列番号283は、D100Y点変異を含むHcLB抗体の重鎖(VH)の可変領域のCDR3のアミノ酸配列を含む。
配列番号284は、N237D点変異を含むHcLB抗体の軽鎖(VL)の可変領域のCDR3のアミノ酸配列を含む。
配列番号285は、T242S点変異を含むHcLB抗体の軽鎖(VH)の可変領域のCDR3のアミノ酸配列を含む。
配列番号286は、N237D及びT242S点変異を含む、HcLB抗体の軽鎖(VL)の可変領域のCDR3のアミノ酸配列を含む。
配列番号287は、HC-65eイヌ科動物重鎖定常領域の核酸配列を含む。
配列番号288は、HC-65eイヌ科動物重鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号289は、ネコ科動物重鎖定常領域のヌクレオチド配列を含む。
配列番号290は、ネコ科動物重鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号291は、HC-65イヌ科動物重鎖定常領域の核酸配列を含む。
配列番号292は、HC-65イヌ科動物重鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。
配列番号293は、本明細書でCan SL501-VL1と称される、イヌ化SL501抗体の軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0138】
本明細書に開示される本発明は、高い親和性及び特異性によりTGFβ1及び/又はTGFβ2及び/又はTGFβタンパク質に結合する、抗TGFβ抗原結合タンパク質/抗体/抗体断片(用語は互換的に使用される)を提供する。本発明は更に、当該抗原結合タンパク質のバリアントである、本明細書に記載されるTGFβタンパク質又はポリペプチドのうちのいずれか1つにも結合する抗原結合タンパク質及びポリペプチド、並びに当該タンパク質を作製及び使用する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明はまた、当該抗原結合タンパク質及び/又はポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。本明細書に開示される本発明はまた、治療有効量の本明細書に記載される本発明の抗TGFβ抗原結合タンパク質及びそれぞれのバリアントの投与による、線維症障害、結合組織障害、骨障害、及び細胞増殖障害の群から選択されるTGFβ関連障害を予防及び/又は治療するための方法を提供する。
【0139】
一般的な技法及び定義
本発明は、本明細書に記載される特定の方法論、プロトコル、及び試薬などに限定されず、それ自体が変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とするものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義される。別段に定義されない限り、本明細書に記載の本発明に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。更に、文脈によって別段の必要がない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。一般に、本明細書に記載される細胞及び組織培養、分子生物学、並びにタンパク質及びオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドの化学及びハイブリダイゼーションと関連して利用される専門用語及びそれらの技術は、当該技術分野で周知であり、一般的に使用されている。異なる技法が、記載されているものに置き換えられ得ることは、当該技術分野で周知である。
【0140】
特定された全ての特許及び他の刊行物は、例えば、本発明に関連して使用され得るそのような刊行物に記載される方法論を記載し、開示する目的で、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。これらの刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示についてのみ提供される。
【0141】
標準的な技法が、当業者に周知の他の多くの一般的に使用される技法のうち、組換えDNA、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチド合成、組織培養、細胞のトランスフェクション及び形質転換に使用される。当業者に周知の一般的な技法は、製造業者の仕様に従って、又は当該技術分野で一般的に達成されるように、又は本明細書に記載されるように実施される。前述の技法及び手順は、一般的に、当該技術分野で周知の従来の方法に従って、及び記載されるように実行されるが、本明細書全体を通して引用され、議論される様々な一般的及びより具体的な参考文献に限定されるものではない。例えば、Sambrook et al.MOLECULAR CLONING:LAB.MANUAL(3rd ed.,Cold Spring Harbor Lab.Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,2001)、及びAusubel et al.Current Protocols in Molecular Biology(New York:Greene Publishing Association J Wiley Interscience),Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984)、Methods in Molecular Biology,Humana Press、Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press、Animal Cell Culture(R.1.Freshney,ed.1987)、Introduction to Cell and Tissue Culture(1.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press、Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993-1998)J.Wiley and Sons、Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.)、Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.)、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987)、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987)、PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,eds.,1994)、Current Protocols in Immunology(E.Coligan et al.,eds.,1991)、Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999)、Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997)、Antibodies(P.Finch,1997)、Antibodies:a practical approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988-1989)、Monoclonal antibodies:a practical approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000)、Using antibodies:a laboratory manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999)、The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995)、及びCancer:Principles and Practice of Oncology(Y.T.DeVita et al.,eds.,J.B.Lippincott Company,1993)、並びに当業者によって使用される異なる及び現在のプロトコルを参照されたい。本発明を詳細に説明する前に、本発明の文脈において使用されるいくつかの用語を定義する。これらの用語に加えて、他の用語は、必要に応じて本明細書の他の場所で定義される。上及び本開示を通じて用いられる場合、以下の用語及び略語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有するものと理解されるものとする。本明細書で明示的に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語は、それらの技術分野で認識される意味を有する。
【0142】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「a」、「an」及び「the」といった単数形は、文脈上別段明らかに指示されない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「抗体」への言及は、複数のそのような抗体を含む。
【0143】
本開示において、「含む(comprises)」、「含んでいた(comprised)」、「含む(comprising)」、「含有する(contains)」、「含有する(containing)」、「からなる」、「からなっていた」、「から本質的になる」、「含む(includes)」、「含んでいた(included)」などの用語は、標準的な米国特許法及び国際的な特許法の慣行に従って定義されることに留意されたい。
【0144】
「約」という用語は、ある値が、その値を決定するために用いられるデバイス又は方法に関する誤差の標準偏差を含むことを示すために本明細書で使用される。「少なくとも約」という用語は、範囲の下限を示すために本明細書で使用される。例えば、「少なくとも約95%の配列同一性を有する」という用語の場合、当業者には、これが100%の配列同一性を通じて95%の配列同一性を含むことが明らかであるはずである。特許請求の範囲における「又は」という用語の使用は、代替物のみを指すことが明示的に示されない限り、又は代替物が互いに排他的である場合を除き、「及び/又は」を意味するために使用されるが、本開示は、代替物のみを指す定義及び「及び/又は」を指す定義を支持する。
【0145】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸、並びに天然に存在するアミノ酸と同様の方法で機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣物を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝コードによってコードされたもの、並びに後に修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、及びO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、限定されないが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合するα炭素、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを有する化合物を指す。そのような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)又は修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持する。アミノ酸模倣物は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様の方法で機能する化学化合物を指す。
【0146】
アミノ酸は、本明細書において、一般に知られている3文字記号、又はIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨される1文字記号のいずれかによって言及されてもよい。ヌクレオチドは、同様に、それらの一般に受け入れられている1文字コードによって言及されてもよい。ポリペプチド構造などの巨大分子構造は、様々なレベルの組織化の観点から説明され得る。「一次構造」は、特定のペプチドのアミノ酸配列を指す。「二次構造」は、ポリペプチド内の局所的に規則正しい三次元構造を指す。これらの構造は、ドメイン、例えば、酵素ドメイン、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、細孔ドメイン、又は細胞質尾部ドメインとして一般的に知られている。ドメインは、ポリペプチドのコンパクトな単位を形成するポリペプチドの部分である。例示的なドメインとしては、酵素活性を有するドメインが挙げられる。ドメインは、βシートの伸長部及びαヘリックスなどのより小さな組織化切片で構成され得る。「三次構造」は、ポリペプチド単量体の完全な三次元構造を指す。「四次構造」は、独立した三次単位の非共有会合によって形成される三次元構造を指す。
【0147】
「保存的アミノ酸置換」という用語は、所与のアミノ酸残基に対する任意のアミノ酸置換を示し、置換残基は、所与の残基のものと化学的に非常に類似しているため、ポリペプチド機能(例えば、酵素活性)の実質的な低下は生じない。保存的アミノ酸置換は、当該技術分野で一般的に知られており、その例は、例えば、米国特許第6790639号、同第6774107号、同第6,194167号、又は同第5350576号に記載されている。好ましい実施形態では、保存的アミノ酸置換は、以下の6つの群のうちの1つ内で生じる任意のものである。
●小さな脂肪族の実質的に非極性の残基:Ala、Gly、Pro、Ser、及びThr、
●大きな脂肪族の非極性の残基:Ile、Leu、及びVal、Met、
●極性の負に帯電した残基及びそれらのアミド:Asp及びGlu、
●極性の負に帯電した残基のアミド:Asn及びGln、His、
●極性の正に帯電した残基:Arg及びLys、His、並びに
●大きな芳香族残基:Trp及びTyr、Phe。
【0148】
好ましい実施形態では、保存的アミノ酸置換は、天然残基(保存的置換)対として列挙される以下のもののうちのいずれか1つである。Ala(Ser);Arg(Lys);Asn(Gln;His);Asp(Glu);Gin(Asn);Glu(Asp);Gly(Pro);His(Asn;Gln);Ile(Leu;Val);Leu(Ile;Val);Lys(Arg;Gln;Glu);Met(Leu;Ile);Phe(Met;Leu;Tyr);Ser(Thr);Thr(Ser);Trp(Tyr);Tyr(Trp;Phe)、及びVal(Ile;Leu)。
【0149】
「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」という用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために本明細書で互換的に使用される。ポリマーは、直鎖状又は分岐状であり得、それは場合により、修飾されたアミノ酸を含み得、それは、非アミノ酸によって中断され得る。これらの用語はまた、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、又は標識化成分とのコンジュゲーションなどの任意の他の操作若しくは修飾の、天然で修飾された又は介入によって修飾されたアミノ酸ポリマーを包含する。また、定義内に含まれるのは、例えば、アミノ酸の1つ以上の類似体(例えば、非天然アミノ酸などを含む)、及び当該技術分野で既知の他の修飾を含有するポリペプチドである。本発明のポリペプチドが抗体に基づくため、ポリペプチドは、一本鎖又は会合鎖として生じ得ることが理解される。
【0150】
本明細書で使用される場合、「抗体」、「抗原結合タンパク質」などは、抗原に特異的に結合し、および認識する免疫グロブリン遺伝子又はその抗体断片によってコードされた領域を含むポリペプチドを指す。例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含んでいてもよく、各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対からなり、各対は、1本の「軽」鎖(約25kD)と、1本の「重」鎖(約50~70kD)とを有する。各鎖のN末端は、抗原認識に主に関与する約100~110個又はそれ以上のアミノ酸の可変領域を定義する。可変軽鎖及び可変重鎖という用語は、これらの軽鎖及び重鎖を指す。抗体は、例えば、無傷の免疫グロブリンとして、又は様々なペプチダーゼによる消化によって産生されるいくつかの十分に特徴付けされた断片として存在する。様々な抗体断片は、無傷の抗体の消化の観点から定義されるが、当業者は、そのような断片が、化学的にデノボ合成され得るか、又は組換えDNA方法論を使用することによってデノボ合成され得るかのいずれかであることを理解するであろう。したがって、「抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、全抗体の修飾によって産生される抗体断片、又は組換えDNA方法論を使用してデノボ合成される抗体断片、又は当該技術分野で既知の他の方法を使用して特定される抗体断片のいずれかも含む。
【0151】
本明細書で使用される場合、任意の脊椎動物種からの無傷の抗体の軽鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に異なるタイプのうちの1つに割り当てられ得る。全ての軽鎖は、1つの可変ドメイン(VL)及び1つの定常ドメイン(CL)を含有し、本明細書に記載されるように、抗体のクラス又はアイソタイプを定義するいくつかの異なるタイプの重鎖が存在する。全ての重鎖は、一連の免疫グロブリンドメインを含有し、通常、3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)と、抗原の結合に重要な1つの可変ドメイン(VH)とを有する。
【0152】
「可変」領域という用語は、フレームワーク及びCDR(別名、「超可変領域」として知られている)を含み、可変ドメインのある特定の部分が抗体間の配列において広範囲に異なり、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合及び特異性において使用されるという事実を指す。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメイン全体に均等に分布していない。それは、軽鎖及び重鎖可変ドメインの両方における、「相補性(Complementarity)決定領域(CDR)」又は「超可変領域」と呼ばれる3つのセグメントに濃縮される。可変ドメインのうちのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、βシート構造を接続し、場合によってはその一部を形成するループを形成する、3つの超可変領域によって接続されたβシート構成を主に採用する複数のFRを含む。各鎖内の超可変領域は、FRによって極めて近接して一緒に保持され、他の鎖からの超可変領域とともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991),pages 647-669、及びChothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987)を参照されたい)。定常ドメインは、抗体を抗原に結合することに直接関与しないが、本明細書に記載されるように、様々なエフェクター機能を示す。
【0153】
4つのヒトIgGサブクラスの特性は十分に確立されており、各々が異なる特徴を有し、免疫系にかなり異なる関与をする。ヒトIgGサブクラスは、新生児Fc受容体(FcRn)、Fcガンマ受容体(FcγR)、及び補体タンパク質C1qを含む免疫エフェクタータンパク質に対するそれらの結合親和性によって分化される。これらの受容体タンパク質は、それぞれ、血清半減期、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)、及び補体依存性細胞傷害性(CDC)において役割を果たす。これらの受容体に対する親和性は、抗体の機能的特性を特徴付けるためにしばしば使用されている(Bruggemann et al.,1987)。FcγR1及びFcγRIIIに対するより高い親和性は、抗体がADCC活性を有することを示すが、一方で、阻害性受容体のFcγRIIbへの結合は、より少ないADCC活性に寄与する(Daeron,1997、Armour et al.,1999、Clynes et al.,2000)。同様に、C1q、補体カスケードにおける第1のタンパク質への結合は、食細胞を活性化し、病原体を破壊するのに役立つ補体活性を示す(Schifferli et al.,1986、Garred et al.,1989、Moore et al.,2010)。FcRn結合は、抗体リサイクリングに関連し、インビボ半減期の相関である(Ghetie et al.,1996、Israel et al.,1996、Praetor and Hunziker,2002、Jefferis,2007)。IgGサブクラスの独自の機能は、抗体治療薬の設計を補助する。
【0154】
1967年に、Johnson及びVaughanは、6つのイヌ科動物免疫グロブリンの存在を報告した(Johnson and Vaughan,1967、Johnson et al.,1967)。その後の研究は、IgGに焦点が絞られ、Mazza et al.(1993)は、IgGに富むイヌ科動物血清から4つの画分を単離し、各々をゲル濾過、タンパク質A/G結合、及び電気泳動移動度によって分離した。これらの画分を使用して、イヌ科動物IgGに特異的な抗体試薬を得た(Mazza et al.,1994)。この研究により、様々な疾患状態におけるイヌ科動物IgGを調査する一連の研究が開始されたが、イヌ科動物免疫グロブリンの機能性及びそれらが免疫エフェクタータンパク質とどのように相互作用するかは依然として不明瞭であった。2001年に、Tang et al.(2001)は、これらの疑問の解決を始めるために必要なイヌ科動物IgG配列を提供した。ヒトIgGと同様に、イヌ科動物IgGは4つのサブクラスからなる。受託番号[AF354264、AF354265、AF354266、及びAF354267]の順によって、Bergeron et al(Veterinary Immunology and Immunopathology 157(2014)31-41)は、これらのイヌ科動物IgGサブクラスを、それぞれA、B、C、及びDと称した。イヌ科動物のIgG配列に関連するアルファベット命名法は、体内での有病率に基づく。Bergeron et alは、各サブクラスの機能的分析を提供した。
【0155】
Strietzel et al.(Veterinary Immunology and Immunopathology 158(2014)214-223)が、ネコ科動物の脾臓cDNAライブラリーから以前に単離されていた2つの既知の配列に関連する機能的特性を開示したときの2014年までは、ネコ科動物IgGについてほとんど知られていなかった。これらの2つのIgG配列、IgG1a及びIgG1bは単離されていたが、特徴付けられていなかった(Kanai,T.H.,et al.,2000 Vet Immunol,Immunopathol.73(1),53-62)。Strietzel et alは、IgG2と称される第3のネコ科動物IgG配列を報告し、特定されたネコ科動物FcγRI、FcγRIII、FcRn及びC1qとの3つのネコ科動物IgGの相互作用を記載した。ネコ科動物のカッパ及びラムダ軽鎖領域を、追加的に単離した。
【0156】
「機能的Fc領域」は、天然配列Fc領域の少なくとも1つのエフェクター機能を有する。例示的な「エフェクター機能」としては、C1q結合、補体依存性細胞傷害性(CDC)、Fc受容体結合、新生児受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体、BCR)の下方調節などが挙げられる。そのようなエフェクター機能は、一般に、結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わされるようなFc領域を必要とし、そのような抗体エフェクター機能を評価するための当該技術分野で既知の様々なアッセイを使用して評価され得る。
【0157】
「天然配列Fc領域」は、天然に見出されるFc領域のアミノ酸配列に対して同一であるアミノ酸配列を含む。天然Fc領域配列についての配列の非限定的な例は、配列番号292に対して約80~99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、本発明の抗体は、配列番号292を含む天然Fc領域を含む。本明細書における天然Fc領域は、好ましくは、天然配列Fc領域及び/又は親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の配列同一性、最も好ましくは、それと少なくとも約90%の配列同一性、より好ましくは、それと少なくとも約95%の配列同一性を有する。「バリアントFc領域」、又は「変異した」若しくは「変異型」Fc領域は、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって、天然配列Fc領域のものとは異なるアミノ酸配列を含み、天然Fc領域配列と比較して天然配列Fc領域の少なくとも1つのエフェクター機能を、保持し得るか、又は保持し得ない。好ましくは、バリアントFc領域は、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば、約1~約10個アミノ酸置換を有し、好ましくは、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域において約1~約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書におけるバリアントFc領域は、好ましくは、天然配列Fc領域及び/又は親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の配列同一性、最も好ましくは、それと少なくとも約90%の配列同一性、より好ましくは、それと少なくとも約95%の配列同一性を有する。バリアント又は変異したFc領域はまた、本質的に、抗体のFc領域の機能を排除し得る。バリアント又は変異したFc領域はまた、抗体のFc領域の機能を付加又は増強し得る。例えば、Fc領域変異は、抗体のエフェクター機能を排除し得る。別の例では、変異したFc領域は、抗体のエフェクター機能を増強し得る。更に別の例では、変異したFc領域は、抗体の特性を決定し得る細胞内の他の因子の半減期を変化させるか、又は結合に影響を及ぼし得る。一実施形態では、本発明の抗体は、変異したFc領域を含む。一実施形態では、本発明の抗体は、配列番号288に対して約80~99%の配列同一性を含むアミノ酸配列を含むバリアント又は変異したFc領域を含む。一実施形態では、本発明の抗体は、配列番号288を含むアミノ酸配列を含むバリアント又は変異したFc領域を含む。
【0158】
本明細書で使用される場合、「Fc受容体」及び「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を説明する。好ましいFcRは、天然配列FcRである。更に、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合し、これらの受容体の対立遺伝子バリアント及び代替的にはスプライシングされた形態を含む、FcyRI、FcyRII、及びFcyRIIIサブクラスの受容体を含むものである。FcyRII受容体としては、主にその細胞質ドメインにおいて異なる類似のアミノ酸配列を有する、FcyRIIA(「活性化受容体」)及びFcyRIIB(「阻害受容体」)が挙げられる。FcRは、Ravetch and Kinet,1991,Ann.Rev.Immunol.,9:457-92、Capel et al.,1994,Immunomethods,4:25-34、及びde Haas et al.,1995,J.Lab.Clin.Med.,126:330-41に概説されている。「FcR」はまた、母体IgGの胎児への移行を担う新生児受容体のFcRnを含む(Guyer et al.,1976,J.Immunol.,117:587、及びKim et al.,1994,J.Immunol.,24:249)。
【0159】
本明細書で使用される場合、「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性」及び「ADCC」は、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)が、標的細胞上に結合した抗体を認識し、その後標的細胞の溶解を引き起こす、細胞媒介性反応を指す。目的の分子のADCC活性は、例えば、米国特許第5,500,362号又は同第5,821,337号に記載される、インビトロADCCアッセイを使用して評価され得る。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びNK細胞が挙げられる。代替的又は追加的に、目的の分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes et al.,1998,PNAS(USA),95:652-656に開示されるものなどの動物モデルにおいて評価され得る。
【0160】
「補体依存性細胞傷害性」及び「CDC」は、補体の存在下における標的の溶解を指す。補体活性化経路は、補体系(C1q)の第1の成分の、同族抗原と複合した分子(例えば、抗体)への結合によって開始される。補体活性化を評価するために、例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods,202:163(1996)に記載されるような、CDCアッセイが実施され得る。
【0161】
抗体、例えば、組換え、モノクローナル、又はポリクローナル抗体の調製のために、当該技術分野で既知の多くの技法が使用され得る。目的の抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子を細胞からクローニングし、組換えモノクローナル抗体を産生するために使用することができる。モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子ライブラリーも使用され得る。重鎖及び軽鎖遺伝子産物のランダムな組み合わせは、異なる抗原特異性を有する抗体の大きなプールを生成する。一本鎖抗体又は組換え抗体を産生する技術は、当該技術分野で見出され、本発明に係るポリペプチドに対する抗体を産生するように適合され得る。ファージディスプレイ技術は、選択された抗原に特異的に結合する抗体及びヘテロマー断片を特定するためにも使用され得る。抗体はまた、二重特異性、すなわち、2つの異なる抗原を認識することができるか、又はヘテロコンジュゲート、例えば、2つの共有結合した抗体、又は免疫毒素が作製され得る。
【0162】
「天然抗体」及び「天然免疫グロブリン」は、通常、2つの同一の軽(l)鎖及び2つの同一の重(H)鎖からなる、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は、1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖に連結し、一方、ジスルフィド連結の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の間で変化する。各重鎖及び軽鎖はまた、規則的に離隔された鎖内ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は、一端に可変ドメイン(VH)、続いて多数の定常ドメインを有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)及びそのもう一方の端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインとアライメントされ、軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインとアライメントされる。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間の界面を形成すると考えられている。図2は、抗原結合部位を強調する天然マウス免疫グロブリンG(IgG)の一般構造の例である。
【0163】
本明細書で使用される場合、本明細書で互換的に使用され得る「抗原結合タンパク質」、「抗体」、「アンタゴニスト抗体」、「抗原結合断片」などという用語は、抗原結合部位を含むポリペプチド又はその断片を指す。したがって、単離された抗体又は断片は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、合成抗体、組換え抗体、キメラ抗体、ヘテロキメラ抗体、イヌ化抗体、ネコ化抗体、ヒト化抗体、完全イヌ科動物抗体、完全ネコ科動物抗体、又は完全ヒト抗体であり得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、「抗原結合タンパク質」「抗体」「アンタゴニスト抗体」などという用語は、好ましくは、TGFβタンパク質及びその断片に結合し得る、モノクローナル抗体及びそれらの断片、並びにそれらの免疫学的結合同等物を指す。例示的な抗体断片としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、Fd、dAb、ダイアボディ、それらの抗原認識断片、小モジュール免疫薬(SMIP)ナノボディ、IgNAR分子、及び抗原結合タンパク質又は抗体断片であることが当業者によって認識される同等物、並びに上述の断片及びそれらの化学的又は遺伝子操作された対応物のうちのいずれか、並びに他の抗体断片及びそれらの変異型、抗体部分を含む融合タンパク質、並びに抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された構成が挙げられる。抗体及び抗原結合タンパク質は、例えば、限定されないが、従来のハイブリドーマ技法(Kohler et al.,Nature 256:495-499(1975))、組換えDNA方法(米国特許第4,816,567号)、若しくは抗体ライブラリーを使用するファージディスプレイ技法(Clackson et al.,Nature 352:624-628(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1991))、又は当業者によって用いられ、および周知である他の技法を介して作製され得る。
【0165】
本明細書で定義される場合、「モノクローナル抗体」は、単一の純粋な均質タイプの抗体である。産生される全てのモノクローナル抗体は、同一であり、同じ抗原特異性を有する。モノクローナル抗体は、モノクローナル抗体が、抗原の選択的結合に関与する(天然に存在する、及び非天然に存在する)アミノ酸から構成される、均質な抗体集団である。モノクローナル抗体の集団は、非常に特異的であり、単一の抗原部位に対して指向される。「モノクローナル抗体」という用語は、無傷のモノクローナル抗体及び全長モノクローナル抗体だけでなく、それらの断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、Fd、dAb、ダイアボディ、それらの抗原認識断片、小モジュール免疫薬(SMIP)ナノボディ、IgNAR分子など)、それらの変異型、抗体部分を含む融合タンパク質、並びに必要な特異性の抗原認識部位、及び抗原に結合する能力を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾構成も包含する。抗体の供給源、又は抗体が作製される様式(例えば、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、トランスジェニック動物など)に対して限定されることは意図されない。
【0166】
抗体のパパイン消化は、各々、単一の抗原結合部位を有する「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、容易に結晶化するその能力を反映する名称である残りの「Fc」断片とを産生する。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原を架橋結合することができるF(ab’)2断片をもたらす。
【0167】
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含有する最小の抗体断片である。この領域は、密接な非共有性会合における、1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。各可変ドメインの3つの超可変領域が相互作用して、VH-VL二量体の表面上の抗原結合部位を画定するのは、この構成における。集合的に、6つの超可変領域は、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つの超可変領域のみを含むFvの半分)であっても、結合部位全体よりも低い親和性にあるが、抗原を認識しそれに結合する能力を有する。Fab断片はまた、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含有する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシル末端におけるいくつかの残基の付加により、Fab断片とは異なる。Fab’-SHは、本明細書において、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有するFab’に対する表記である。F(ab’)2抗体断片は、元々、ヒンジシステインをそれらの間に有するFab’断片の対として産生された。抗体断片の他の化学的カップリングも既知である。
【0168】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体としては、具体的には、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が、特定の種に由来する抗体中の対応する配列と同一又は相同であり、一方で、残りの鎖が、別の種に由来する抗体中の対応する配列と同一又は相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)が挙げられ、およびそれらが所望の生物学的活性を示す限り、そのような抗体の断片も挙げられる。典型的には、キメラ抗体は、軽鎖及び重鎖遺伝子が、典型的には、遺伝子操作によって、異なる種に属する抗体可変及び定常領域遺伝子から構築されている抗体である。例えば、マウスモノクローナル抗体(又はヒト及びネコ科動物を含む任意の他の種の抗体)からの遺伝子の可変セグメントは、イヌ科動物定常セグメント、例えば、配列番号288によって本明細書で表されるHC-65eイヌ科動物重鎖定常領域のアミノ酸配列に連結され得る。追加的に、配列番号290を含むアミノ酸配列、ネコ科動物重鎖定常領域が、別の種の抗体(マウス、イヌ科動物、ヒトなど)の可変セグメントに連結されることを除いて、キメラネコ科動物抗体は、同じ様式で産生される。図3は、マウス:イヌ科動物IgGの一実施形態の一般構造の略図である。この実施形態では、抗原結合部位は、マウスに由来するが、一方で、Fc部分は、イヌ科動物である。この例示は、特許請求される発明をマウス/イヌ科動物のキメラのみに限定するものではなく、本明細書に記載されるように、いくつかを列挙するためのイヌ科動物、ネコ科動物、マウス、及びヒトのいずれかの種の抗体の組み合わせにも適用され得る。
【0169】
本明細書で定義される場合、「ヘテロキメラ」という用語は、抗体鎖(重又は軽)のうちの1つが生物種化される(すなわち、イヌ化又はネコ化される)が、一方で、他がキメラである抗体を指す。図4は、ヘテロキメラ分子の一実施形態を示す。この実施形態では、イヌ化可変重鎖(CDRのうちの全てがマウスであり、全てのFRがイヌ科動物である)は、(CDRのうちの全てがマウスであり、全てのFRがマウスである、キメラ可変軽鎖と対をなす。この実施形態では、可変重鎖と可変軽鎖との両方が、イヌ科動物定常領域に融合される。キメラ抗体と同様に、抗体の種及び部分の組み合わせに制限はない。
【0170】
「イヌ科動物抗体」、「ネコ科動物抗体」、「ヒト抗体」などという用語は、本明細書で使用される場合、標的に対して生成される抗体(抗原結合タンパク質)及び標的種内からのリンパ球から単離された抗体を指す。これらの抗体は、本明細書に記載されるように、標的種の特定の定常領域を含むようにインビトロで組換え修飾されている。追加的に、本明細書に記載されるような抗体を同定し、単離し、抗体定常領域を変化させるように修飾し、続いて、当業者によって既知であり、日常的に使用されるインビトロ細胞培養システムからの発現及び単離を行った。
【0171】
「組換えイヌ科動物抗体」、「組換えネコ科動物抗体」、「組換えヒト抗体」などという語句は、全て、宿主細胞にトランスフェクションされた組換え発現ベクターを使用して発現される抗体、組換えの組み合わせイヌ科動物(若しくはネコ科動物、ヒトなど)抗体ライブラリーから単離された抗体、イヌ科動物免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor,L.D.,et al.(1992)Nucl.Acids Res.20:6287-6295を参照されたい)などの組換え手段によって調製、発現、作成、若しくは単離された生物種化された抗体、又はイヌ科動物(若しくはネコ科動物、ヒトなど)免疫グロブリン遺伝子配列を他のDNA配列に組換えることを伴う任意の他の手段によって調製、発現、作成、若しくは単離された抗体を含む。
【0172】
簡潔さの目的のために、以下は、「イヌ化」抗体を説明するが、しかしながら、それは、ネコ化、ヒト化、又は任意の他の「生物種化された」抗原結合タンパク質に適用され得る。一例として、「イヌ化」は、非イヌ科動物抗原結合領域をドナー抗体からより低い免疫原性のイヌ科動物抗体アクセプタに移送し、イヌにおける治療薬として有用な処置を生じるための方法として定義される。イヌ化抗体は、レシピエントの超可変領域残基が、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ヤギ、ニワトリ、ウシ、ウマ、ラマ、ラクダ、ヒトコブラクダ、サメ、非ヒト霊長類、ヒト、ヒト化、組換え配列、又は所望の性質、特異性、親和性、及び能力を有する操作された配列などの非イヌ科動物種(ドナー抗体)からの超可変領域残基によって置き換えられるイヌ科動物抗体配列である。更に、イヌ化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体中に見出されない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体性能を更に向上するために行われる。本明細書に記載されるように、超可変領域及び/又はフレームワーク領域への修飾は、当該実験の前に予測することはできないが、当業者に既知の実験に基づいて、各々の別個に操作された生物種化された(イヌ化)抗体について決定される。イヌ化抗体は、任意選択的に、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはイヌ科動物免疫グロブリンの定常領域(Fc)の、全体、又はそのうちの少なくとも一部分を含み得る。図5は、マウスIgGの生物種化又はイヌ化を示す一実施形態の図解である。この実施形態では、マウスCDRは、イヌ科動物のフレームワーク上に移植される。場合によっては、超可変領域の外側にあるマウスのフレームワーク又はその残基が維持される。抗原結合タンパク質のイヌ化の全ての説明、及びイヌ化抗原結合タンパク質の全ての説明は、概念的には、それがイヌ化、ネコ化、ヒト化などであるかどうかにかかわらず、任意の「生物種化された」抗体に適用可能であり得る。
【0173】
本明細書に記載されるような「親」抗体は、バリアントの調製のために使用されるアミノ酸配列によりコードされる抗体である。好ましくは、イヌ化又はイヌ科動物抗体では、親抗体は、イヌ科動物のフレームワーク領域を有し、存在する場合、イヌ科動物抗体定常領域を有する。例えば、親抗体は、イヌ化又はイヌ科動物抗体であり得る。同様のことが、ネコ化、ヒト化、ウマ化、ウシ化抗体にも言える。
【0174】
「復帰変異」という用語は、イヌ科動物抗体の体細胞性に変異したアミノ酸のうちの一部又は全てが相同的な生殖細胞系列抗体配列からの対応する生殖細胞系列残基により置き換えられるプロセスを指す。本発明のイヌ科動物抗体の重鎖及び軽鎖配列は、最も高い相同性を有する配列を同定するために生殖細胞系列配列と別個にアライメントされる。本発明のイヌ科動物抗体における差異は、そのような異なるアミノ酸をコードする定義されたヌクレオチド位置を変異させることにより生殖細胞系列配列に戻される。こうして復帰変異のための候補として同定された各アミノ酸の役割が抗原結合における直接的又は間接的な役割について調査されるべきであり、イヌ抗体の任意の望ましい特徴に影響を与える変異の後に見出されるいかなるアミノ酸も最終のイヌ科動物抗体において含まれるべきではなく、例として、選択的な変異誘発アプローチにより同定された活性増強アミノ酸は復帰変異に供されない。復帰変異に供されるアミノ酸の数を最小限に抑えるために、最も近い生殖細胞系列配列とは異なるが第2の生殖細胞系列配列中の対応するアミノ酸に対して同一であることが見出されたそれらのアミノ酸位置は、第2の生殖細胞系列配列が本発明のイヌ科動物抗体の配列に対して同一かつ共直線性である限り、残すことができる。対応するドナー残基への選択された標的フレームワーク残基の復帰変異は、親和性を回復及び/又は改善させるために必要とされ得る。
【0175】
「抗原」は、抗体によって結合されることができる分子、又は分子の一部分である。一般に、エピトープは、分子、例えば、アミノ酸又は糖側鎖の化学的に活性な表面の分類からなり、特異的な三次元構造特徴及び特異的な電荷特徴を有する。エピトープは、免疫系によって認識されるタンパク質上の抗原決定基である。免疫系のエピトープを認識する成分は、抗体、T細胞、及びB細胞である。T細胞エピトープは、抗原提示細胞(APC)の表面に表示され、典型的には、8~11(MHCクラスI)又は15プラス(MHCクラスII)アミノ酸長である。T細胞による表示されたMHC-ペプチド複合体の認識は、それらの活性化にとって重要である。これらの機構は、細菌及びウイルスなどの「自己」対「非自己」タンパク質の適切な認識を可能にする。必ずしも隣接していない独立したアミノ酸残基は、APC結合溝との相互作用、及びT細胞受容体によるその後の認識に寄与する(Janeway,Travers,Walport,Immunobiology:The Immune System in Health and Disease.5th edition New York:Garland Science;2001)。可溶性抗体及び細胞表面関連B細胞受容体によって認識されるエピトープは、長さ及び連続性の程度において大きく異なる(Sivalingam and Shepherd,Immunol.2012;51(3-4):304-309)。再び、線状エピトープ又はタンパク質配列の連続したストレッチに見出されるエピトープでさえも、抗体パラトープ又はB細胞受容体との接触の主要な点を表す不連続なアミノ酸を有することが多い。抗体及びB細胞によって認識されるエピトープは、三次元空間内のタンパク質上の共通の接触領域を含むアミノ酸とコンフォメーションであり得、タンパク質の三次及び四次構造特徴に依存する。これらの残基は、一次アミノ酸配列の空間的に異なる領域に見出されることが多い。
【0176】
本明細書で使用される場合、「TGFベータ」、「TGFβ」、及び「TGFB」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、形質転換成長因子ベータタンパク質1(TGFβ1)、形質転換成長因子ベータタンパク質2(TGFβ2)及び形質転換成長因子ベータタンパク質3(TGFβ3)を指す。TGFβタンパク質は、細胞増殖及び移動、細胞分化、アポトーシス、ECM(細胞外マトリックス)産生、並びに免疫調節を調節することによって、創傷治癒に多面的効果を発揮する関連成長因子のスーパーファミリーの一部である。本明細書で使用される場合、本発明の抗原結合タンパク質の使用によるTGFβタンパク質の阻害は、線維症障害、骨障害、及び細胞増殖障害などのTGFβ関連障害を処置するために使用される。
【0177】
本明細書で使用される場合、「抗TGFβ抗原結合タンパク質」は、「抗TGFβ抗体」及び「抗TGFβアンタゴニスト抗体」、「抗TGFβ抗原結合断片」、「抗TGFβ抗原結合部分」などと互換的に称することができ、TGFβ1及び/又はTGFβ2及び/又はTGFβ3タンパク質のその特異的受容体への結合を阻害する任意の機能性分子を記載し、したがって、それらに関連するそれぞれのTGFβシグナル伝達経路の生物学的機能を阻害する。いくつかの実施形態では、本発明は、抗TGFβ抗原結合タンパク質がTGFβ1タンパク質に結合することを提供する。いくつかの実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、TGFβ1に対するより強力な結合及び機能的阻害を有するが、依然として、TGFβ2及び/又はTGFβ3に対するより弱い結合及び機能的阻害を有し得る。いくつかの実施形態では、本発明は、抗TGFβ抗原結合タンパク質がTGFβ2タンパク質に結合することを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、抗TGFβ抗原結合タンパク質がTGFβ3タンパク質に結合することを提供する。いくつかの実施形態では、抗TGFβ抗原結合タンパク質は、TGFβ1、2、及び3タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、抗TGFβ抗原結合タンパク質は、TGFβ1及びTGFβ2に結合する。いくつかの実施形態では、本発明のTGFβ抗原結合タンパク質は、TGFβ1及び3タンパク質に結合する。本発明の抗TGFβ抗原結合タンパク質は、TGFβ1及び/若しくはTGFβ2及び/若しくはTGFβ3シグナル伝達、若しくはそれらの任意の組み合わせによって媒介される下流経路を含む、TGFβ生物学的活性をブロッキングする、アンタゴナイズする、抑制する、若しくは低減させる(著しく低減させることを含む)、並びに/又は受容体結合及び/若しくはTGFβ1及び/若しくはTGFβ2及び/若しくはTGFβ3タンパク質への細胞応答の誘発などの、TGFβタンパク質がTGFR2受容体を結合することを阻害する、結合タンパク質及び抗体を包含する。本発明の目的のために、「抗TGFβ抗原結合タンパク質」又は「抗TGFβアンタゴニスト抗体」又は「TGFβB抗体」という用語は、全ての以前に同定された用語、表題、並びに機能的状態及び特徴であって、それにより、線維症障害、骨障害、及び/若しくは細胞増殖障害などのTGFβ関連障害の発生若しくは治療の任意の態様を媒介するその能力を含むがこれらに限定されない、TGFβ自体の生物学的活性、又は生物学的活性の結果が、実質的に無化され、減少し、又は任意の意味のある程度まで中和されるものを包含することが明示的に理解される。抗TGFβ抗原結合タンパク質の例は、本明細書で提供される。
【0178】
「バリアント」抗TGFβ抗体は、本明細書において、親抗体配列中の1つ以上のアミノ酸残基の付加、欠失、及び/又は置換によって、「親」抗TGFβ抗体アミノ酸配列とはアミノ酸配列が異なり、親抗TGFβ抗体の少なくとも1つの所望な活性を保持する分子を指す。所望の活性には、抗原に特異的に結合する能力、動物におけるTGFβ活性を低減、阻害又は中和する能力、及び細胞ベースのアッセイにおけるTGFβ媒介性SMADシグナル伝達を阻害する能力が含まれ得る。一実施形態では、バリアントは、親抗体の1つ以上の超可変及び/又はフレームワーク領域における1つ以上のアミノ酸置換を含む。例えば、バリアントは、親抗体の1つ以上の超可変及び/又はフレームワーク領域における、少なくとも1個、又は約1~約10個、又は約2~約5個の置換を含み得る。通常、バリアントは、親抗体の重鎖若しくは軽鎖可変ドメイン配列と少なくとも50%のアミノ酸配列同一性、又は親抗体と少なくとも約65%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の間の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。この配列に関する同一性又は相同性は、配列をアラインメントし、必要な場合、ギャップを導入して最大配列同一性パーセントを達成した後、親抗体残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして本明細書で定義される。抗体配列へのN末端、C末端、又は内部の伸長、欠失、又は挿入のいずれも、配列同一性又は相同性に影響を及ぼすと解釈されるべきではない。バリアントは、TGFβバリアントに結合する能力を保持し、より強力な結合親和性、動物におけるTGFβ活性を低減、阻害、若しくは中和するための増強された能力、及び/又は細胞ベースのアッセイにおけるTGFβ媒介性SMADシグナル伝達を阻害するための増強された能力を有し得る。
【0179】
「TGFβ受容体」は、TGFβタンパク質により結合されるか、又は活性化されるポリペプチドを指す。TGFβ受容体は、TGFβ受容体ファミリーに属する1回貫通型セリン/スレオニンキナーゼ受容体である。それらは、ホモ二量体又はヘテロ二量体であり得るいくつかの異なるアイソフォームに存在する。TGFβタンパク質に特異的な3つのTGFβ受容体は、それらの構造的及び機能的特性によって区別され得る。TGFβR1(ALK5)及びTGFβR2は、同様のリガンド結合親和性を有する。TGFβR1とTGFβR2との両方が、TGFβ1に対する高い親和性及びTGFβ2に対する低い親和性を有する。TGFβR3(β-グリカン)は、ホモ二量体TGFβ1とTGFβ2との両方に対して、かつヘテロ二量体TGFβ1、2に加えて高い親和性を有する。TGFβ受容体は、TGFβ3にも結合する。機構的には、TGFβタンパク質は、TGFβR1を動員しリン酸化するTGFβR2受容体に最初に結合する。TGFβR1は次いで、受容体調節SMAD(R-SMAD)をリン酸化し、これは次いで、co-SMAD SMAD4に結合し得る。R-SMAD/co-SMAD複合体は転写因子として機能し、標的遺伝子発現の調節に関与する核内に蓄積する。
【0180】
本発明のモノクローナル抗体の活性に関して本明細書で使用される「中和する」という用語は、生物学的活性又は特性、疾患又は状態を含むが、これらに限定されない、阻害されるものの進行又は重症度を、実質的にアンタゴナイズ、禁止、予防、制限、遅延、破壊、排除、停止、低減、又は逆行させる能力を意味する。阻害又は中和は、好ましくは、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上である。抗原結合タンパク質は、抗原に結合する抗体が、抗原の生物学的機能の部分的又は完全な阻害又は低減をもたらす場合、その抗原を「中和する」と言われる。TGFβタンパク質の生物学的活性の中和は、TGFβ受容体結合及びシグナル伝達経路における差異などの、TGFβ活性の1つ以上のインビトロ又はインビボ指標の、部分的又は完全な阻害又は低減を測定することによって評価される。TGFβ活性を中和する能力は、本明細書に記載されるインビトロアッセイに記載されるように、Smad2リン酸化の阻害を測定することによって本明細書に記載されるように評価される。TGFβのインビボでの中和は、疾患の状態におけるTGFβに起因する細胞表現型の切り替え、細胞増殖、及び細胞生存の阻害をもたらし得る。
【0181】
本明細書で使用される場合、抗体の「免疫特異的」結合は、抗体の抗原組み合わせ部位とその抗体により認識される特定の抗原との間で起こる抗原特異的な結合相互作用を指す(すなわち、抗体はELISA又は他のイムノアッセイにおいてタンパク質と反応し、無関係のタンパク質とは検出可能に反応せず、追加的に、本発明の抗体が、インビボでエピトープで標的抗原にも結合するであろうことも意味する)。抗体又はポリペプチドに「特異的に結合する」、又は「優先的に結合する」(本明細書で互換的に使用される)エピトープは、当該技術分野でよく理解された用語であり、そのような特異的又は優先的な結合を決定する方法もまた当該技術分野で周知である。分子が、代替的な細胞又は物質と比較して、当該抗原を含む特定の細胞又は物質とより頻繁に、より迅速に、より長い持続時間で、及び/又はより高い親和性で反応する又は会合する場合、その分子は、「特異的結合」又は「優先的結合」を示すと言われる。抗体が、他の物質に結合するよりも高い親和性、アビディティで、より容易に、及び/又はより長い持続時間で結合する場合、その抗体は、標的に「特異的に結合する」又は「優先的に結合する」。例えば、TGFβエピトープに特異的又は優先的に結合する抗原結合タンパク質は、それが他のエピトープ又は非TGFBエピトープに結合するよりも高い親和性、アビディティ、より容易に、および/又はより長い継続期間によりこのエピトープに結合するタンパク質である。
【0182】
抗体結合の文脈における「特異的に」という用語は、特定の抗原、すなわち、ポリペプチド、又はエピトープへの抗体の高アビディティ及び/又は高親和性の結合を指す。抗原に特異的に結合する抗体は、他の抗原への同じ抗体の結合よりも強い。ポリペプチドに特異的に結合する抗体は、弱いが検出可能なレベル(例えば、目的のポリペプチドに対して示される結合の10%以下)において他のポリペプチドに結合することが可能であり得る。そのような弱い結合、又はバックグラウンド結合は、例えば、適切な対照の使用により、特異的抗体の対象ポリペプチドへの結合から容易に識別可能である。一般に、特異的抗体は、10-7M以下、10-8M以下10-9M以下、10-10M以下、10-11M以下、10-12M以下、又は10-13M以下などのKDを有する結合親和性により抗原に結合する。
【0183】
本明細書で使用される場合、「親和性」という用語は、抗原決定基との単一の抗原組み合わせ部位の結合の強度を指す。親和性は、抗体又は抗原結合タンパク質の組み合わせ部位と抗原決定基との間の立体化学的適合の緊密性、それらの間の接触面積のサイズ、荷電性及び疎水性基の分布などに依存する。抗体親和性は、平衡分析又は表面プラズモン共鳴「SPR」方法(例えば、BIACORE(商標))により測定し得る SPR方法は、表面プラズモン波が金属/液体境界面において励起された場合に起こる表面プラズモン共鳴(SPR)の現象に依拠する。光は、試料と接触していない表面の側に方向付けられ、そこから反射されて、SPRは、角度及び波長の特定の組み合わせにおいて反射光強度の低減を引き起こす。二分子結合事象は、表面層において屈折率の変化を引き起こし、それがSPRシグナルの変化として検出される。
【0184】
「KD」という用語は、本明細書で使用される場合、抗体-抗原相互作用の解離定数を指すことが意図される。解離定数KD、及び会合定数Kaは、親和性の定量的尺度である。平衡において、遊離抗原(Ag)及び遊離抗体(Ab)は抗原-抗体複合体(Ag-Ab)と平衡にあり、速度定数、ka及びkdは、個々の反応の速度を定量化する。平衡において、ka[Ab][Ag]=kd[Ag-Ab]。解離定数、Kdは、KD=kd/ka=[Ag][Ab]/[Ag-Ab]により与えられる。KDは濃度の単位、最も典型的には、M、mM、μM、nM、pMなどを有する。KDとして表現される抗体親和性を比較する場合、TGFBについてより高い親和性を有することは、より低い値により示される。会合定数、Kaは、Ka=ka/kd=[Ag-Ab]/[Ag][Ab]により与えられる。Kaは濃度の逆数の単位、最も典型的には、M-1、mM-1、μM-1、nM-1、pM-1などを有する。本明細書で使用される場合、「アビディティ」という用語は、可逆的な複合体の形成後の抗原-抗体結合の強度を指す。抗TGFB抗体は、「約(より低いKD値)~約(より高いKD値)の範囲内の解離定数(KD)を有する」結合として、TGFBタンパク質へのそれらの結合についてのKDに関して特徴付けられ得る。
【0185】
「核酸」、「ポリヌクレオチド」、「核酸分子」などの用語は、本明細書で互換的に使用され得、DNA及びRNA中の一連のヌクレオチド塩基(「ヌクレオチド」とも呼ばれる)を指す。核酸は、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、及び/又はそれらの類似体を含有し得る。「核酸」という用語は、例えば、一本鎖及び二本鎖分子を含む。核酸は、例えば、遺伝子又は遺伝子断片、エクソン、イントロン、DNA分子(例えば、cDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、組換え核酸、プラスミド、並びに他のベクター、プライマー及びプローブであり得る。5’→3’(センス)及び3’→5’(アンチセンス)ポリヌクレオチドの両方が含まれる。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド若しくは塩基、及び/又はそれらの類似体、又はDNA若しくはRNAポリメラーゼによってポリマーに組み込むことができる任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体などの修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの組み立ての前又は後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断されてもよい。ポリヌクレオチドは、例えば、標識化成分とのコンジュゲーションによって、重合後に更に修飾され得る。他の種類の修飾としては、例えば、「キャッピング」、類似体による天然に存在するヌクレオチドのうちの1つ以上の置換、ヌクレオチド間の修飾、例えば、非荷電性連結(例えば、メチルホスホネート、リン酸トリエステル、ホスホアミデート、カバメートなど)を有するもの及び荷電性連結(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を有するものなど、ペンダント部分、例えば、タンパク質など(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リジンなど)を含有するもの、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を有するもの、キレーター(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化性金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された連結(例えば、アルファアノマー核酸など)を有するもの、並びにポリヌクレオチドの非修飾形態が挙げられる。更に、通常は糖中に存在するヒドロキシル基のうちのいずれかは、例えば、ホスホネート基、リン酸基により置き換えられ、標準的な保護基により保護され、若しくは追加のヌクレオチドへの追加の連結を調製するために活性化されてもよく、又は固体支持体にコンジュゲートされてもよい。5’及び3’末端のOHは、リン酸化され得るか、又はアミン若しくは1~20個の炭素原子の有機キャッピング基部分により置換され得る。他のヒドロキシルもまた、標準的な保護基に誘導体化されてもよい。ポリヌクレオチドはまた、当該技術分野で一般に既知であるリボース又はデオキシリボース糖の類似形態を含有し得、形態としては、例えば、2’-0-メチル-、2’-0-アリル、2’-フルオロ-又は2’-アジド-リボース、炭素環糖類似体、アノマー糖、エピマー糖、例えばアラビノース、キシロース若しくはリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体及び脱塩基ヌクレオシド類似体、例えばメチルリボシドが挙げられる。1つ以上のホスホジエステル連結は、代替的な連結基によって置き換えられてもよい。これらの代替的な連結基としては、限定されないが、ホスフェートが、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、「(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO、又はCH2(「ホルムアセタール」)により置き換えられる実施形態が挙げられ、式中、各R又はR’は、独立して、H、又は任意選択的にエーテル(-0-)連結、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル若しくはアラルジルを含有する置換若しくは非置換のアルキル(1~20個のC)である。ポリヌクレオチド中の全ての連結が同一である必要はない。前述の説明は、RNA及びDNAを含む、本明細書で言及される全てのポリヌクレオチドに適用される。
【0186】
本明細書で使用される場合、「ベクター」は、宿主細胞において目的の1つ以上の遺伝子又は配列を送達し、好ましくは発現させることができる構築物を意味する。ベクターの例としては、限定されないが、ウイルスベクター、ネイキッドDNA又はRNA発現ベクター、プラスミド、コスミド又はファージベクター、カチオン性縮合剤に関連するDNA又はRNA発現ベクター、リポソームに封入されたDNA又はRNA発現ベクター、及びプロデューサー細胞などの特定の真核細胞が挙げられる。ベクターは、本明細書に記載されるように、核酸の転写を指示する核酸配列を意味する発現制御配列を有する。発現制御配列は、構成的プロモーター若しくは誘導性プロモーターなどのプロモーター、又はエンハンサーであり得る。発現制御配列は、転写される核酸配列に「作動可能に連結されている」。核酸は、それが別の核酸配列と機能的関係に配置されるときに、「作動可能に連結される」。例えば、プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結され、又はリボソーム結合部位は、翻訳を容易にするように位置付けられる場合、コード配列に作動可能に連結される。一般的に、「作動可能に連結される」とは、連結されるDNA配列が隣接しており、分泌リーダーの場合には、隣接しており、かつ読み取り枠内にあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは、隣接している必要はない。
【0187】
ポリペプチドが、保存的アミノ酸置換を含有し得るのと同様に、そのポリヌクレオチドは、保存的コドン置換を含有し得る。コドン置換は、発現されるときに、上述のような保存的アミノ酸置換を産生する場合、保存的であるとみなされる。アミノ酸置換をもたらさない縮退コドン置換もまた、本発明のポリヌクレオチドにおいて有用であり得る。したがって、例えば、本発明の一実施形態で有用な選択されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、それとともに形質転換される発現宿主細胞によって示されるコドン使用頻度に近似させるために、又はそれ以外の方法でその発現を改善するために、縮退コドン置換によって変異され得る。
【0188】
「バリアント」核酸は、本明細書において、「親」核酸と配列が異なる分子を指す。ポリヌクレオチド配列の逸脱は、1つ以上のヌクレオチドの欠失、置換、又は付加などの変異の変化から生じ得る。これらの変化の各々は、単独で、又は組み合わせて、所与の配列において1回以上発生し得る。
【0189】
「単離された」という用語は、材料(例えば、本明細書に記載されるような抗原結合タンパク質又は核酸)がその天然の環境の成分から分離及び/又は回収されることを意味する。その天然の環境の混入成分は、材料についての診断的又は治療的使用を妨げるであろう材料であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質を挙げることができる。核酸に関して、単離された核酸は、それが染色体中で通常会合している5’→3’配列から分離されたものを含んでもよい。好ましい実施形態では、材料は、材料の95質量%超、最も好ましくは99質量%超まで精製される。材料の天然の環境の少なくとも1つの成分が存在しないので、単離された材料は材料を組換え細胞内にインサイチュで含む。しかしながら、通常、単離された材料は、本明細書で使用される少なくとも1つの精製ステップにより調製される。
【0190】
「細胞」、「細胞株」、及び「細胞培養物」という用語は、互換的に使用され得る。これらの用語はまた、全ての後続世代である、その子孫を含む。全ての子孫は、計画的又は偶発的な変異に起因して同一ではない可能性があることが理解される。異種核酸配列の発現の文脈において、「宿主細胞」は、インビトロ又はインビボのいずれに位置していようと、原核又は真核細胞(例えば、細菌細胞、酵母細胞、哺乳類細胞、及び昆虫細胞)を指す。例えば、宿主細胞は、トランスジェニック動物中に位置し得る。宿主細胞は、ベクター用のレシピエントとして使用することができ、ベクターを複製すること、及び/又はベクターによりコードされる異種核酸を発現することができる任意の形質転換可能な生物を含み得る。
【0191】
本明細書で使用される場合、「標識」という語は、抗体又は核酸に直接的又は間接的にコンジュゲートされる検出可能な化合物又は組成物を指す。標識はそれ自体が検出可能であってもよく(例えば、放射性同位体標識若しくは蛍光標識)、又は酵素標識の場合、検出可能な基質化合物若しくは組成物の化学的変化を触媒してもよい。
【0192】
「対象」又は「患者」は、本発明の分子によって影響され得る処置を必要とする動物を指す。本発明に従って処置され得る動物としては脊椎動物が挙げられ、具体的には、イヌ科動物、ネコ科動物、又はヒトなどの哺乳類が特に好ましい例である。
【0193】
「組成物」は、化学組成物、生物学的組成物、又は生物学的処置(特に、本明細書に記載されるような抗原結合タンパク質)のいずれであろうと、活性薬剤と、不活性(例えば、標識)又は活性、例えばアジュバントであり得る別の化合物又は組成物との組み合わせを意味することが意図される。
【0194】
本明細書で定義される場合、本発明における使用に好適な「薬学的に許容される担体」は、当業者に周知である。そのような担体としては、水、生理食塩水、緩衝生理食塩水、リン酸緩衝液、アルコール/水性溶液、エマルション又は懸濁液が挙げられるが、これらにそれに限定されない。他の従来用いられている希釈剤、アジュバント及び賦形剤は、従来の技法に従って添加され得る。そのような担体としては、エタノール、ポリオール、及びそれらの好適な混合物、植物油、及び注射可能な有機エステルを挙げることができる。緩衝液及びpH調整剤もまた用いられてもよい。緩衝液としては、有機酸又は塩基から調製された塩が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な緩衝液としては、有機酸塩、例えば、クエン酸(citric acid)、クエン酸(citrate)、アスコルビン酸、グルコン酸、ヒスチジン-Hel、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、若しくはフタル酸の塩、トリス、トリメタンミン塩酸塩、又はリン酸塩緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル液、又は固定油が含まれる。静脈内ビヒクルには、流体及び栄養補充剤、電解質補充剤(リンゲルデキストロースに基づくものなど)などが含まれる。防腐剤及び他の添加物、例えば、抗菌物質、酸化防止剤、キレート剤(例えば、EDTA)、不活性ガスなどもまた、薬学的担体中に提供されてもよい。本発明は、担体の選択によって限定されない。適切なpH等張性、安定性、及び他の従来の特徴を有する上記の成分からのこれらの薬学的に許容される組成物の調製は、当該技術分野内にある。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th ed,Lippincott Williams & Wilkins,publ.,2000、及びThe Handbook of Pharmaceutical Excipients,4.sup.th edit.,eds.R.C.Rowe et al,APhA Publications,2003などのテキストを参照されたい。
【0195】
「治療有効量」(又は「有効量」)は、対象又は患者に投与された場合に有益な又は所望の結果をもたらすために十分な活性成分、例えば、本発明による薬剤の量を指す。有効投与量は、1回以上の投与で投与することができる。本発明による組成物の治療有効量は、当業者によって容易に決定され得る。本発明の文脈において、「治療有効量」は、疼痛感覚の緩和又は低減などの臨床結果を含む有益な又は所望の結果をもたらすために十分なTGFB関連状態に関連付けられる1つ以上のパラメータにおける客観的に測定される変化を生じさせるものである。有効投与量は、1回以上の投与で投与することができる。本発明の目的のために、組成物の有効量は、本明細書において線維症障害、骨障害、又は細胞増殖障害として定義されるTGFβ関連障害を予防、治療、低減、又は排除するのに十分な量である。治療有効量は、処置される特定の対象及び状態、対象の体重及び齢、状態の重症度、選択される特定の組成物、従うべき投薬レジメン、投与のタイミング、投与の様式などに応じて変化し、これらのうちの全ては、当業者によって容易に決定され得る。
【0196】
本明細書で使用される場合、「治療的」という用語は、疾患、状態、又は障害に対する治療の全スペクトルを包含する。本発明の「治療的」薬剤は、リスクがあると同定され得る対象を標的とするように設計された手順を組み込んだものを含む予防的若しくは防止的な様式で作用してもよく、又は治療されている疾患若しくは障害のうちの少なくとも1つの症状の進行の速度又は程度を遅延させるように作用してもよい。
【0197】
更なる態様では、本発明は、本発明の抗体が治療的又は予防的使用のために提供される獣医学的組成物を特徴とする。本発明は、特定の抗原、例えば、疾患又は状態に関連する抗原を有するイヌ科動物、ネコ科動物、又はヒト対象を処置するための方法を特徴とする。方法は、本明細書に記載されるような本発明の抗体を伴う、1つ以上のTGFβタンパク質に特異的な治療有効量の抗体を投与することを含む。
【0198】
本発明の抗原結合タンパク質を、対象への投与に好適な薬学的組成物に組み込むことができる。本発明の化合物は、単一又は複数投薬において、単独で投与され得るか、又は薬学的に許容される担体、希釈剤、及び/若しくは賦形剤と組み合わせて投与され得る。投与用組成物は、選択された投与の方式に適しているように設計されており、薬学的に許容される希釈剤、担体、及び/又は賦形剤、例えば分散剤、緩衝液、界面活性剤、保存剤、可溶化剤、等張剤、安定剤などが適宜使用される。
【0199】
本発明の抗原結合タンパク質を含む組成物は、静脈内、腹腔内、皮下、肺、経皮、筋肉内、鼻腔内、頬側、舌下、又は坐剤投与を含む標準的な投与技法を使用して、本明細書に記載されるような病態又は障害を示す対象に投与され得る。本発明の抗体の投与の経路は、非経口であってもよい。注入は、典型的には、静脈内経路によって与えられる。好ましくは、本発明の抗体は、非経口投与に好適な薬学的組成物に組み込むことができる。本明細書で使用される場合、非経口という用語は、静脈内、筋肉内、皮下、直腸、膣、又は腹腔内投与を含む。静脈内又は腹腔内又は皮下注射による末梢全身送達が好ましい。更に、本発明の方法の対象はまた、患者とも称され、イヌ科動物、ネコ科動物、又はヒトとして本明細書に記載される。
【0200】
本明細書で使用される場合、TGFβ関連障害は、1つ以上のTGFβタンパク質の調節又は全体的なレベルが、結合組織障害、線維症/線維性障害、骨障害、又は細胞増殖障害をもたらす障害である。TGFβは、増殖、アポトーシス、分化、及び炎症を含む多様な細胞機能を調節し、したがって、これらのタンパク質の調節不全は、いくつかの命名された障害をもたらす可能性がある。
【0201】
本明細書で使用される場合、結合組織障害は、臓器及び身体の他の部分を支持するタンパク質豊富な組織を伴う障害の群を指す。結合組織の例は、脂肪、骨、及び軟骨である。これらの障害には、関節、筋肉、及び皮膚がしばしば関与するが、それらにはまた、眼、心臓、肺、腎臓、消化管、及び血管を含む他の臓器及び臓器系が関与し得る。
【0202】
線維症関連疾患は、本明細書に記載されるように、組織損傷への応答として、瘢痕形成及び結合組織による細胞外マトリックスの過剰産生を含む病理学的プロセスに関する。分子プロセスは、正常な臓器における結合組織及び細胞外マトリックスの正常な形成とは異ならない。生理学的には、線維症は結合組織を沈着させるように作用し、これは、基礎にある臓器又は組織の正常なアーキテクチャ及び機能を妨げるか、又は完全に阻害し得る。線維症は、線維組織の過剰沈着の病理学的状態、及び治癒における結合組織沈着のプロセスを記載するために使用され得る。細胞外マトリックス(ECM)タンパク質の病理学的蓄積によって定義される場合、線維症は罹患組織の瘢痕化及び肥厚をもたらし、それは本質的に、正常な臓器機能を妨げる誇大な創傷治癒応答である。線維症の形成は、多くの細胞型とサイトカインとの間の相互作用を含み、均衡が線維化になると、線維症の形成がある。線維症は、両方ともコラーゲン及びグリコサミノグリカンを含む結合組織を横倒しにする刺激された線維芽細胞を伴うという点で、瘢痕のプロセスに類似している。プロセスは、マクロファージなどの免疫細胞が線維芽細胞を刺激する可溶性因子を放出するときに開始される。最もよく特徴付けられる前線維性メディエーターは、TGFβであり、これは、マクロファージ、及び間質と呼ばれる表面間の任意の損傷組織によって放出される。本明細書で定義される場合、線維性状態は、嚢胞性肺線維症と特発性肺線維症との両方を含む肺線維症、肝硬変、脳内のグリア瘢痕、膝、肩及び他の関節における関節線維症、後腹膜線維症、全身性硬化症(強皮症)、並びに特に慢性腎臓疾患(CKD)に繋がる腎臓線維症からなる群から選択される。線維症は、血管、皮膚、肺、腎臓、心臓、及びGI管の進行性変性疾患であり、現在までに、不可逆的なプロセスとみなされ、古典的には抗炎症及び免疫抑制薬剤によって治療されており、何度も危害を引き起こす。
【0203】
慢性腎臓疾患(CKD)は、本明細書に記載されるように、長期にわたる進行性線維性プロセスに起因する機能的腎臓組織の喪失を伴う。腎臓の構造的及び機能的変化は、緩やかに相関するに過ぎないが、腎臓の構造の劇的な変化が見られる可能性がある。疾患は、それが臨床的に明らかになる前に、通常、数ヶ月又は数年にわたって存在し、それは必ず不可逆的である。CKDの多くの原因は、進行性間質性線維症に関連している。間質性線維症の重症度は、GFRの減少の大きさに対して正に相関があり、予後と負に相関がある。全身性CKDを有する動物に見られる糸球体、尿細管間質性、及び血管性病変は、開始原因に関係なく、多くの場合、類似している。TGFβは、筋線維芽細胞活性化を担う最も重要な前線維性メディエーターとして記載されている。それは、多くの他の線維形成因子の効果を統合する収束経路を駆動する。TGFβ1は、最も豊富なアイソフォームであり、腎臓の全ての細胞型によって合成される。TGFβは、論じたように前線維性サイトカインとして機能するとともに、骨リモデリングを制御し、適切な骨量を維持するために、骨芽細胞及び破骨細胞の形成、機能、及び細胞-細胞相互作用に影響を与える豊富な骨マトリックスタンパク質でもあり、それは、TGFβ阻害が、CKDに起因するSRHP中の骨の鉱質除去を減少させるための潜在的な機構であることが示されている。
【0204】
「処置(treatment)」「処置する(treating)」などは、治療的処置及び予防的又は防止的手段の両方を指す。処置を必要としている動物には、既に障害を患っている動物、及び障害が発症する又は進行することを予防するべき動物が含まれる。処置はまた、症状又は状態の発症を遅延させるか、又は発症の重症度を遅延させると説明されてもよい。疾患又は障害の「処置(treatment)」又は「処置する(treating)」という用語は、疾患若しくは障害に対する予防若しくは保護(すなわち、臨床症状の原因を引き起こさない)、疾患若しくは障害の阻害(すなわち、臨床症状の発生を阻止若しくは抑制する、及び/又は疾患若しくは障害の緩和(すなわち、臨床症状の退縮を引き起こす)を含む。理解されるように、最終的な誘導事象又は事象が不明であり得るか、又は潜在し得るため、疾患又は障害を「予防する」ことと、「抑制する」こととの間を区別することは必ずしも可能ではない。したがって、「予防(prophylaxis)」という用語は、「予防する」ことと「抑制する」こととの両方を包含する「処置」の一種を構成すると理解されるであろう。したがって、「処置」という用語は「予防」を含む。
【0205】
本方法を説明する前に、本発明は、記載される特定の方法、及び実験条件に限定されず、かかる方法、及び条件は変化し得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0206】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法及び材料と同様又は同等の任意の方法及び材料は、本開示の実施又は試験においても使用され得るが、好ましい方法及び材料が、これより記載される。本明細書で言及される全ての刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0207】
本明細書に開示される本発明は、TGFβタンパク質のうちの1つ以上に特異的に結合する抗原結合タンパク質(本明細書に記載されるように、「抗体」、「アンタゴニスト抗体」、「抗体断片」などという用語と互換的に使用される)、特に、TGFβ1及びTGFβ2又はTGFβ3に特異的に結合し、したがって、TGFβがTGFβRII受容体に結合するのを予防し、したがって、シグナル伝達経路がTGFβタンパク質のうちの1つによって活性化されるのを予防するという点でアンタゴニストとして機能する抗体であって、それがイヌ科動物、ネコ科動物、マウス、ヒト若しくは任意の他の種、組換え方法、ハイブリドーマ技術若しくはファージディスプレイ技術によって産生されるイヌ化、ネコ化、ヒト化若しくは任意の他の生物種化された抗体、又は完全に生物種化されたモノクローナル抗体であるかどうかにかかわらない、抗体に関する。一実施形態では、本発明は、TGFβ2又はTGFβ3を含むか又は含まない、TGFβ1にのみ結合する抗体を提供する。一実施形態では、本発明は、TGFβ1及びTGFβ3に結合する抗体を提供する。一実施形態では、本発明は、TGFβ1及びTGFβ2及びTGFβ3に結合する抗体を提供する。
【0208】
抗体の特性はそれを非常に魅力的な治療的薬剤とするが、一方で多数の制限がある。モノクローナル抗体(mAb)の大部分は、前述したように、げっ歯類起源である。そのような抗体が異なる種において投与される場合、患者/対象は、そのような異種抗体に対してそれら自身の抗体応答を増大させる可能性がある。そのような応答は、抗体の最終的な中和及び排除をもたらし得る。上記のように、抗体の産生はマウスに限定されないが、マウスは、モノクローナル抗体の産生に広く使用される。イヌ科動物などの種は、抗原及び回収され特徴付けられた抗体により免疫化され得る特定の種によって産生された抗体の使用における1つの問題は、例えば、元々マウスで生成された場合、当該抗体により処置されている非マウス対象が、マウス抗体に対してそれらが外来物質であるかのように反応し、したがって、マウス抗体に対する新しい抗体のセットを作成することである。マウス抗体は、非マウス、例えば、イヌ科動物(又は任意の他の非マウス種)免疫系によって「見られ」、免疫系は、外来としての異種抗体を外来物として「みなし」、次いで、分子に対する免疫応答を開始し得る。当業者は、抗原特異的抗体を用いて対象を処置できるが、使用のために特異的な抗体種を有することができる必要性を認識する。種間抗体投与、例えば、イヌ科動物に投与されるマウスモノクローナル抗体から生成される反応の部分は、発疹のような軽度の形態から、腎不全などのより極端かつ生命を脅かす応答までの範囲であり得る。この免疫応答はまた、処置の有効性を減少させ、又はマウス抗体を含有するその後の処置を対象が与えられる場合に将来的な反応を生じさせる可能性がある。したがって、本発明に記載のように、本発明の抗体の「イヌ化」又は「イヌ化」により、この欠点を克服することを記載する。特に、このプロセスは、免疫グロブリン可変ドメインのフレームワーク領域に焦点を当てるが、可変ドメインの相補性決定基領域(CDR)も含み得る。このプロセスを実施するための可能化ステップ及び低減は、本開示に記載されており、CDRの配列を中心とした親和性成熟のプロセスは、当該分野で周知である。
【0209】
動物からのモノクローナル抗体(本明細書に記載されるような抗原結合タンパク質、アンタゴニスト抗体など、及び互換的に使用される用語)を修飾して、異なる種への治療的投与のためにそれをより低い免疫原性とするプロセスは、積極的に追及され、多数の刊行物において記載されている(例えば、Antibody Engineering:A practical Guide.Carl A.K.Borrebaeck ed.W.H.Freeman and Company,1992)。しかしながら、このプロセスは、非ヒトに対する治療的又は診断の開発のために近年まで日常的に適用されていない。実際、イヌ科動物、ネコ科動物、又は他の種特異的可変ドメインに関しては、ほとんど発表されていない。Wasserman and Capra,Biochem.6,3160(1977)は、両方のイヌ科動物重鎖の可変領域のアミノ酸配列を決定した。Wasserman and Capra,Immunochem.15,303(1978)は、イヌ科動物IgAからのK軽鎖のアミノ酸配列を決定した。McCumber and Capra,Mol.Immunol.16,565(1979)は、イヌ科動物ミュー鎖の完全なアミノ酸配列を開示する。Tang et al.,Vet.Immunology Immunopathology 80,259(2001)は、単一のイヌ科動物IgG-Ay鎖cDNA及び4つのイヌ科動物IgG-Ay鎖タンパク質配列を開示する。Bergeron et al.は、4つのイヌ科動物重鎖の機能的特性を記載する。これまで、イヌ科動物抗体に関する入手可能な情報の不足は、イヌ科動物疾患の処置のための治療薬としてのそれらの開発を妨げていた。
【0210】
これらの注目すべき制限は、治療的抗体の「ヒト化」に関して当業者に周知の「生物種化」として知られる操作技術の開発を促した。抗体の「イヌ化」、「ネコ化」、「ヒト化」は、「生物種化」の技法のうちのいくつかの例であり、これらの分子は、非標的免疫グロブリンに由来する最小の配列を含有する抗体又は断片として生成される。一例として、レシピエント/標的の相補性決定領域(CDR)からの残基が、特異性、親和性、及び効力などの所望の特性を有するマウスなどの非標的種(すなわち、「ドナー抗体」又は「起源種抗体」)のCDRからの残基によって置き換えられる、イヌ化抗体(「標的種抗体」)。この戦略は、最も適切な標的(CDR移植のための生殖細胞系列抗体配列)を同定することに基づいている。可変重鎖と可変軽鎖との両方についての全ての利用可能な生殖細胞系列配列の広範な分析の後、マウス/ドナーmAbに対するそれらの相同性に基づいて生殖細胞系列の候補を選択し、マウス/ドナー前駆体mAbからのCDRを使用して、天然のイヌ科動物CDRを置き換えた。目的は、治療薬として使用される場合、常に高い親和性及び最終的なインビボ有効性を保持することである。イヌ科動物抗体フレームワークを使用することは、一般に、イヌに投与されるときのインビボでの免疫原性の可能性を最小限に抑える。しかしながら、いくつかの事例では、イヌ科動物免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、低減された親和性又は機能が観察される場合、対応する非イヌ科動物残基によって置き換えられる。対応するドナー残基への選択された標的フレームワーク残基の復帰変異は、注目されるような親和性を回復及び又は改善させるために必要とされ得る。構造ベースの方法も、US7,261,890に記載されているように、イヌ化及び親和性成熟のために用いられてもよい。上記の説明は、標的種としてのイヌ科動物、及びドナー種としてのマウスを使用する。生物種化された抗体は、これらの標的及びドナーに限定されない。標的種としては、ネコ科動物などを使用することができる。
【0211】
タンパク質を標的化する治療的抗体を開発するための別の課題は、異なる種における相同タンパク質上のエピトープが頻繁に異なり、他のタンパク質との交差反応性についての可能性もまた異なることである。結果として、抗体は、治療される特定の種における特定の標的のために作製、試験及び開発されなければならない。異なる種における相同標的間の抗体結合は、予測不可能であり、有効性の試験及び評価を必要とする。
【0212】
抗体は、抗体分子の可変領域との相互作用による抗原上の特定のエピトープのその結合を通じて抗原を標的とする。更に、抗体は、様々な生物学的活性を媒介し、(本発明のアンタゴニスト抗TGFB抗原結合タンパク質の場合と同様に)阻害し、および/又は開始させる能力を有する。治療的抗体のための広範囲の機能があり、例えば、抗体は、アゴニスト又はアンタゴニストとして受容体-リガンド相互作用を調節し得る。抗体結合は、細胞内シグナル伝達を開始させて、細胞増殖、サイトカイン産生、又はアポトーシスを刺激し得る。抗体は、Fc領域に結合した薬剤を特定の部位に送達し得る。抗体はまた、ADCC、CDCなどを誘発する細胞内のそれぞれの分子に対する抗体のFc領域の結合を通じて、抗体媒介性細胞傷害性(ADCC)、補体媒介性細胞傷害性(CDC)、及び食作用を誘発する。ADCC、CDC、C1q結合及び食作用機能が排除されているように変化させている抗体もある。一実施形態では、本発明は、抗体のエフェクター機能を変化させる当該抗体のFc領域における変化を含む、抗原結合タンパク質を提供する。本発明は、本発明の抗体を発現する細胞及び細胞株を更に提供する。代表的な宿主細胞としては、細菌、酵母、哺乳類及びヒト細胞、例えば、CHO細胞、HEK-293細胞、HeLa細胞、CV-1細胞、及びCOS細胞が挙げられる。宿主細胞への異種構築物の形質転換後に安定な細胞株を生成するための方法は、当該技術分野で周知である。代表的な非哺乳類宿主細胞としては、昆虫細胞が挙げられる(Potter et al.(1993)Int.Rev.Immunol.10(2-3):103-112)。抗体はまた、トランスジェニック動物(Houdebine(2002)Curr.Opin.Biotechnol.13(6):625-629)及びトランスジェニック植物(Schillberg et al.(2003)Cell Mol.Life Sci.60(3):433-45)において産生されてもよい。
【0213】
上で論じたように、例えば、抗体の他の部分、例えば、定常領域の、欠失、付加、又は置換により修飾されている、モノクローナル、キメラ、種特異的及び生物種化抗体もまた本発明の範囲内である。例えば、抗体は、以下のとおりに修飾され得る:(i)定常領域を欠失させること、(ii)別の定常領域、例えば、抗体の半減期、安定性若しくは親和性を増加させることを意味する定常領域、若しくは別の種若しくは抗体クラスからの定常領域により定常領域を置き換えること、又は(iii)定常領域中の1つ以上のアミノ酸を修飾して、例えば、とりわけ、グリコシル化部位の数、エフェクター細胞機能、Fc受容体(FcR)結合、補体固定を変化させること。本発明の一実施形態では、本発明の抗体は、抗体のエフェクター機能を変化させる変化したFc領域を含む。本発明のいくつかの実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質のFc領域は、置き換え、修飾、又は除去されている。
【0214】
抗体定常領域を変化させるための方法は、当該技術分野で知られている。変化した機能、例えば、細胞上のFcR、又は補体のC1成分などのエフェクターリガンドに対する変化した親和性を有する抗体は、抗体の定常部分における少なくとも1つのアミノ酸残基を異なる残基により置き換えることにより産生され得る(例えば、EP388151A1、米国特許第5,624,821号、及び米国特許第5,648,260号を参照されたい、これらの全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0215】
例えば、指定された残基をその側鎖上に適切な官能基を有する残基により置き換えることにより、あるいは荷電性官能基、例えば、グルタミン酸塩若しくはアスパラギン酸塩、又はおそらくは芳香族非極性残基、例えば、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン若しくはアラニンを導入することにより、FcR(例えば、Fc.ガンマR1)、又はC1q結合についての抗体のFc領域の親和性を変化させることが可能である(例えば、米国特許第5,624,821号を参照されたい)。抗体又はその結合断片は、細胞毒素、治療的薬剤、又は放射性金属イオンとコンジュゲートされ得る。一実施形態では、コンジュゲートされるタンパク質は、抗体又はその断片である。細胞毒素又は細胞障害性薬剤としては、細胞に有害である任意の薬剤が挙げられる。非限定的な例としては、カリケアマイシン、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、ミトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン(colchicin)、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、及びその類似体、又は相同体が挙げられる。治療的薬剤としては、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、及び5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)及びロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、ミトマイシンC、及びシス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)、シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン及びドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン)、並びに抗有糸分裂薬剤(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)が挙げられるが、これら限定されない。そのような部分をタンパク質にコンジュゲートするための技法は、当該技術分野で周知である。
【0216】
組成物、誘導組成物、及び組成物を作製する方法
本発明は、抗原結合タンパク質(本明細書で互換的に使用されるような、「抗体」、「抗体断片」、及び「アンタゴニスト抗体」など)、ポリペプチド並びに本発明の抗原結合タンパク質又はポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む、薬学的組成物を含む組成物を包含する。
【0217】
本明細書で使用される場合、組成物は、TGFBタンパク質のうちの1つ以上に結合する1つ以上の抗体、抗原結合タンパク質若しくはポリペプチド(抗体であってもよく、若しくはそうでなくてもよい)、及び/又はTGFBタンパク質のうちの1つ以上に結合する1つ以上の抗体若しくはポリペプチドをコードする配列を含む1つ以上のポリヌクレオチドを含む。これらの組成物は、緩衝液を含む薬学的/獣医学的に許容される賦形剤などの好適な賦形剤を更に含んでもよく、賦形剤は当該技術分野で周知である。本発明はまた、単離された抗体、ポリペプチド及びポリヌクレオチドの実施形態を包含する。本発明はまた、実質的に純粋な抗体、ポリペプチド及びポリヌクレオチドの実施形態を包含する。
【0218】
1つ以上の実施形態では、本発明は、TGFβタンパク質のうちの1つ以上に特異的に結合する新規抗原結合タンパク質を提供する。1つ以上の実施形態では、抗原結合タンパク質は、抗体又は抗体断片として定義される。1つ以上の実施形態では、抗原結合タンパク質は、完全にイヌ科動物、完全にネコ科動物、ネコ科動物、完全にヒト、イヌ化、ネコ化、又はヒト化である。1つ以上の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、イヌ科動物、ネコ科動物、又はヒトTGFβタンパク質のうちの1つ以上に結合する。一実施形態では、抗原結合タンパク質は、モノクローナル抗体である。一実施形態では、本発明のモノクローナル抗体は、TGFβのうちの1つ以上に結合し、その受容体への結合及びその活性化を予防し、したがって、本明細書に記載されるようなシグナル伝達カスケードを予防する。
【0219】
1つ以上の実施形態では、本発明は、TGFβタンパク質のうちの1つ以上に結合する単離された組換え抗原結合タンパク質を提供し、可変重鎖は、本明細書に記載されるような本発明の抗原結合タンパク質のアミノ酸配列に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、可変軽鎖は、本明細書に記載されるような本発明の抗原結合タンパク質を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び当該抗原結合タンパク質の可変軽鎖又は可変重鎖のうちのいずれかにおけるCDR1、CDR2又はCDR3のうちの少なくとも1つにおいて1つ以上の保存的アミノ酸置換を有するその任意のバリアントを含む。
【0220】
本発明は、組換え抗原結合タンパク質、本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、モノクローナル抗体、及び抗体断片、並びに臨床的投与及び診断手順を含む科学的手順におけるその使用を提供する。分子生物学の方法及び組換え技術を使用することにより、組換え手段により抗体及び抗体様分子を産生すること、並びにそれによって抗体のポリペプチド構造中に見出される特定のアミノ酸配列をコードする遺伝子配列を生成することができる。そのような抗体は、当該抗体のポリペプチド鎖をコードする遺伝子配列をクローニングするか、又は当該ポリペプチド鎖を直接合成し、合成された鎖を組み立てて、特定のエピトープ及び抗原決定基に対する親和性を有する活性四量体(H2L2)構造を形成することのいずれかによって生成され得る。これによって、異なる種及び供給源からの抗体を中和することを特徴とする配列を有する抗体の即時生成が可能になった。
【0221】
抗体の供給源、どのようにそれらが構築されるのか、若しくはどのようにそれらが合成されるのか、インビトロ若しくはインビボであるのか、トランスジェニック動物を使用するのか、実験室の大きな細胞培養若しくは商業用の規模であるのか、トランスジェニック植物を使用するのか、又はプロセスのうちのいずれかのステージにおいても生きた生物を用いない直接的な化学合成によるのかに関係なく、全ての抗体は類似の全体的な三次元構造を有する。この構造は、多くの場合、H2L2として提供され、抗体が、一般的に、2つの軽鎖(L)アミノ酸及び2つの重鎖(H)アミノ酸を含むという事実を指す。両方の鎖は、構造的に相補的な抗原標的と相互作用することが可能な領域を有する。標的と相互作用する領域は、「可変」又は「V」領域と称され、異なる抗原特異性の抗体からのアミノ酸配列における差異により特徴付けられる。H又はL鎖のいずれかの可変領域は、抗原標的に特異的に結合することが可能なアミノ酸配列を含有する。
【0222】
本明細書で使用される場合、「抗原結合領域」という用語は、抗原と相互作用し、抗原に対するその特異性及び親和性を抗体に付与するアミノ酸残基を含有する、抗体分子の一部分を指す。抗体結合領域は、抗原結合残基の適切なコンフォメーションを維持するために必要な「フレームワーク」アミノ酸残基を含む。抗原結合領域を提供するH又はL鎖の可変領域内には、異なる特異性の抗体間の極端な可変性の理由である、「超可変」と称されるより小さい配列が存在する。そのような超可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR領域」とも称される。これらのCDR領域は、特定の抗原決定基構造に対する抗体の基本的な特異性を担う。
【0223】
CDRは、可変領域内のアミノ酸の非連続的な範囲を表すが、種にかかわらず、可変重鎖及び軽鎖領域内のこれらの重要なアミノ酸配列が配置される位置は、可変鎖のアミノ酸配列内の同様の位置を有することが見出されている。全ての抗体の可変重鎖及び軽鎖は、各々3つのCDR領域を有し、各々が他と非連続である。全ての哺乳類種において、抗体ペプチドは、定常(すなわち、高度に保存された)領域及び可変領域を含有し、後者の中には、CDRと、重鎖又は軽鎖の可変領域内であるが、CDRの外側にあるアミノ酸配列で構成されるいわゆる「フレームワーク領域」とが存在する。
【0224】
本発明は、上述の核酸のうちの少なくとも1つを含むベクターを更に提供する。遺伝コードは縮退しているので、特定のアミノ酸をコードするために1つを超えるコドンが使用され得る。遺伝コードを使用して、1つ以上の異なるヌクレオチド配列が同定され得、これらの各々がそのアミノ酸をコードすることが可能であろう。特定のオリゴヌクレオチドが実際のコーディング配列を構成する事実上の確率は、異常な塩基対の関係性及び抗TGFΒ抗体又は部分を発現する真核又は原核細胞において(特定のアミノ酸をコードするために)特定のコドンが実際に使用される頻度を考慮することにより推定することができる。そのような「コドン使用規則」は、Lathe,et aI.,183 J.Molec.Biol.1-12(1985)によって開示されている。Latheの「コドン使用規則」を使用して、抗TGFΒ配列をコードすることができる理論的に「最も可能性の高い」ヌクレオチド配列を含有する単一のヌクレオチド配列、又はヌクレオチド配列のセットを同定することができる。また、本発明における使用のための抗体コード領域は、本明細書に記載される抗体及びペプチドのバリアント(アゴニスト)をもたらす標準的な分子生物学技法を使用して既存の抗体遺伝子を変化させることによっても提供され得ることが意図される。そのようなバリアントとしては、抗TGFΒ抗体又はペプチドのアミノ酸配列における欠失、付加、及び置換が挙げられるが、これらに限定されない。
【0225】
抗体誘導体
本発明の範囲内には、抗体誘導体が含まれる。抗体の「誘導体」は、通常、タンパク質の一部ではない追加の化学的部分を含有する。タンパク質の共有結合修飾は、本発明の範囲内に含まれる。そのような修飾は、抗体の標的アミノ酸残基を、選択された側鎖又は末端残基と反応可能である有機誘導体化剤と反応させることによって、分子に導入され得る。例えば、当該技術分野で周知の二官能性薬剤を用いる誘導体化は、抗体又は断片を水不溶性支持体マトリックス又は他の巨大分子担体に架橋するのに有用である。
【0226】
誘導体はまた、放射活性標識されたモノクローナル抗体を含む。例えば、放射性ヨウ素(251,1311)、炭素(4C)、硫黄(35S)、インジウム、トリチウム(H3)などによる標識;ビオチン又はアビジンを含むモノクローナル抗体と、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-D-ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコアミラーゼ、カルボン酸アンヒドラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、リゾチーム、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、又はグルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼなどの酵素とのコンジュゲート;及び、また、モノクローナル抗体と、生物発光剤(ルシフェラーゼなど)、化学発光剤(アクリジンエステルなど)、又は蛍光剤(フィコビルタンパク質など)とのコンジュゲートが用いられる。
【0227】
本発明の別の誘導体二機能性抗体は、2つの異なる抗原基を認識する2つの別個の抗体の一部を組み合わせることによって生成される、二重特異性抗体である。これは、架橋又は組換え技法によって達成され得る。追加的に、部分は、インビボでの半減期を増加させる(例えば、血流からのクリアランスまでの時間を長期化させることによる)ために抗体又はその部分に付加されてもよい。そのような技法としては、例えば、PEG部分を付加すること(ペグ化とも称される)が挙げられ、当該技術分野で周知である。米国特許出願公開第2003/0031671号を参照されたい。
【0228】
抗体の組換え発現
いくつかの実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質をコードする核酸は宿主細胞に直接的に導入され、および、細胞は、コードされる抗体の発現を誘導するために十分な条件下でインキュベートされる。対象核酸が細胞に導入された後に、細胞は、典型的には、通常は37℃において、場合により選択下で、抗体の発現を可能にするために約1~24時間の期間にわたりインキュベートされる。一実施形態では、抗体は、細胞が増殖している培地の上清に分泌される。従来的には、モノクローナル抗体は、マウスハイブリドーマ株において天然分子として生成されている。その技術に加えて、本発明は、モノクローナル抗体の組換えDNA発現を提供する。これによって、選択された宿主種における当該抗体の産生、並びに抗体誘導体及び融合タンパク質のスペクトルの生成を可能にする。
【0229】
DNAなどの核酸分子は、転写及び翻訳調節情報を含有するヌクレオチド配列を含有し、そのような配列が、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に「作動可能に連結されている」場合、ポリペプチドを「発現することが可能である」と言われる。操作可能な連結は、調節DNA配列と、発現させようとするDNA配列とが、回収可能な量で抗TGFβ抗原結合タンパク質又は抗体断片としての遺伝子発現を可能にするような方式で接続される連結である。遺伝子発現に必要な調節領域の正確な性質は、類似の技術において周知であるように、生物によって変動し得る。
【0230】
したがって、本発明は、抗TGFβ抗原結合タンパク質の、又は原核細胞又は真核細胞のいずれかにおける発現を包含する。好適な宿主としては、インビボ若しくはインサイチュでの、又は哺乳類、昆虫、鳥類、若しくは酵母起源の宿主細胞のいずれかにおける細菌、酵母、昆虫、真菌、鳥類、及び哺乳類細胞を含む、細菌又は真核生物宿主が挙げられる。哺乳類細胞又は組織は、ヒト、霊長類、ハムスター、ウサギ、げっ歯類、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ヤギ、イヌ、又はネコ起源のものであり得るが、任意の他の哺乳類細胞が制限なく使用され得る。
【0231】
本発明のキメラの、生物種化された抗原結合タンパク質構築物又は抗TGFΒ抗原結合タンパク質を担持する発現ベクターは、様々な好適な手段のうちのいずれかにより適切な宿主細胞に導入することができ、手段としては、形質転換、トランスフェクション、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、リン酸カルシウム沈殿、及びジエチルアミノエチル(DEAE)デキストランなどのポリカチオンとの適用としてのそのような生化学的手段、並びにエレクトロポレーション、直接的なマイクロインジェクション、及び微粒子銃としてのそのような機械的手段が挙げられる。Johnston et at,240 Science 1538(1988)、又は限定されないが、当業者に既知の他の技法
【0232】
組換え抗体の長期的な高収率の生成のために、安定した発現が使用され得る。例えば、抗体分子を安定的に発現する細胞株が、操作され得る。複製物の起源を含有する発現ベクターを使用するよりもむしろ、宿主細胞が、免疫グロブリン発現カセット及び選択可能なマーカーにより形質転換され得る。外来DNAの導入に続いて、操作された細胞を濃縮培地で増殖させてもよく、次いで選択培地に切り替える。組換えプラスミド中の選択可能なマーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞がプラスミドを染色体に安定的に組み込み増殖して、ひいては細胞株にクローニング及び拡大することができるフォーカスを形成することを可能にする。そのような操作された細胞株は、抗体分子と直接又は間接的に相互作用する化合物/構成要素のスクリーニング及び評価において特に有用であり得る。
【0233】
本発明の抗体が産生されると、それは、免疫グロブリン分子の精製のための当該技術分野で既知の任意の方法、例えば、限定されないが、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特にプロテインA後の特定の抗原に対する親和性、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度の差異によって、又はタンパク質の精製のための任意の他の標準的な技法によって精製され得る。多くの実施形態では、抗体は、細胞から培養培地に分泌され、培養培地から採取される。
【0234】
薬学的及び獣医学的用途
本明細書に記載されるような本発明の抗TGFβ抗原結合タンパク質又は抗体断片は、例えば、イヌ科動物及びネコ科動物におけるTGFβ関連障害の処置において使用され得る。より具体的には、本発明は、薬学的に許容される担体又は希釈剤、及び活性成分として、本発明による抗体又は抗体断片を含む薬学的組成物を更に提供する。抗体は、異なる種に適合するためのキメラ、ヘテロキメラ、イヌ化、ネコ化、ヒト化、又は生物種化された抗原結合タンパク質であり得る。無傷の免疫グロブリン又はそれらの結合断片も想定される。本発明の抗体及びその薬学的組成物は、非経口投与、例えば、皮下、筋肉内、又は静脈内投与のために有用である。
【0235】
いくつかの望ましい実施形態では、本発明の抗体は、非経口注射によって投与される。非経口投与のために、抗TGFβ抗体又は断片は、薬学的に許容される非経口ビヒクルと関連する、溶液、懸濁液、エマルション、又は凍結乾燥粉末として製剤化され得る。例えば、ビヒクルは、限定されないが、水性担体などの許容される担体に溶解された抗体又はそのカクテルの溶液であり得、そのようなビヒクルは、水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、トレハロース若しくはスクロース溶液、又は血清アルブミン、グリシンなどである。リポソーム及び固定油などの非水性ビヒクルもまた使用され得る。これらの溶液は、無菌であり、概して、粒子状物質を含まない。これらの組成物は、従来の周知の滅菌技法によって滅菌され得る。組成物は、pH調整剤、及び緩衝液、毒性調整剤などの生理学的条件に近づけるために必要な薬学的に許容される補助物質、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどを含有し得る。これらの製剤中の抗体の濃度は、例えば、約0.5質量%未満、通常、約1質量%以上~最大で15質量%又は20質量%と広範に変動し得、選択される特定の投与モードに従って、主に流体体積、粘度などに基づいて選択されるであろう。ビヒクル又は凍結乾燥粉末は、等張性(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール)及び化学的安定性(例えば、緩衝液及び防腐剤)を維持する添加剤を含有し得る。製剤は、一般的に使用される技法によって滅菌される。非経口投与可能な組成物を調製するための実際の方法は、当業者に既知であるか、又は明らかであり、例えば、REMINGTON’S PHARMA.SCI.(15th ed.,Mack Pub.Co.,Easton,Pa.,1980)により詳細に記載されている。
【0236】
本発明の抗体は、保存のために凍結乾燥され、使用前に好適な担体中で再構成され得る。この技法は、従来の免疫グロブリンに対して有効であることが示されている。任意の好適な凍結乾燥及び再構成技法が用いられ得る。凍結乾燥及び再構成が、多様な程度の抗体活性損失をもたらし得、使用レベルを調整して相殺する必要があることを、当業者は理解するであろう。本発明の抗体組成物は、既存の疾患についての再発の予防及び/又は治療的処置のために投与され得る、そのカクテルを提供し得る。好適な薬学的担体は、とりわけ、当業者に周知の当該技術分野の参考文献において標準的な参考文献テキストであるREMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCESの最新版に記載されている。治療的用途において、組成物は、疾患又は状態、及びその合併症を治癒するか、又は少なくとも部分的に阻止するか、若しくは緩和するために十分な量で、疾患又は状態を既に患っている対象に投与される。これを達成するために十分な量は、「治療有効用量」又は「治療有効量」として定義される。
【0237】
投与される用量は、当然ながら、既知の要因に依存して変動し、要因は、例えば、特定の薬剤の薬力学的特徴、及びその投与の方式及び経路;レシピエントの齢、健康、及び体重;症状の性質及び程度、同時的な治療の種類、治療の頻度、並びに所望の効果である。
【0238】
非限定的な例として、イヌ及びネコにおけるTGFβ関連病態の処置は、必要に応じた用量の範囲で提供され得る。イヌ科動物又はネコ科動物の治療的使用のための例示的な抗体は、本発明による、強力なインビボ抗TGFB活性を有する高親和性抗体、並びにその断片、領域及び誘導体である。組成物の単回又は複数回の投与は、治療する獣医師によって選択される用量レベル及びパターンで実行され得る。いずれにせよ、薬学的製剤は、対象を効果的に処置するのに十分な量の本発明の抗体を提供すべきである。
【0239】
診断用途
本発明はまた、TGFβ関連障害であることが既知の又はそれを有することが疑われる種、特にイヌ科動物、ネコ科動物、又はヒトにおいてTGFβを検出するための診断方法において使用するための上記の抗TGFB抗体を提供する。本発明の抗TGFB抗体は、試料中の1つ以上のTGFB、又は抗TGFB抗体を検出又は定量化するイムノアッセイのために有用である。TGFβのためのイムノアッセイは、典型的には、TGFβに選択的に結合することができる本発明の検出可能に標識された高親和性(又は高アビディティ)抗TGFB抗体の存在下で、臨床又は生物学的試料をインキュベートすることと、試料中に結合する標識されたペプチド又は抗体を検出することと、を含む。様々な臨床アッセイ手順は、当該技術分野で周知である。そのような試料としては、当業者に既知のように、組織生検、血液、血清、及び糞便試料、又は動物対象から収集され、ELISA分析に供される液体が挙げられる。
【0240】
「固相支持体」又は「担体」は、ペプチド、抗原、又は抗体に結合することができる任意の支持体を指す。周知の支持体又は担体としては、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然及び修飾セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、並びにマグネタイトが挙げられる。担体の性質は、本発明の目的のために、ある程度可溶性であり得るか、又は不溶性であり得る。支持体材料は、カップリングした分子が1つ以上のTGFβタンパク質又は抗TGFβ抗体に結合することができる限り、実質上任意の可能な構造的構成を有し得る。したがって、支持体の構成は、ビーズにおけるように球状、又は試験管の内側表面におけるように円筒形、又は棒状の外的表面であり得る。代替的に、表面は、シート、培養皿、試験ストリップなどの平坦であり得る。例えば、支持体は、ポリスチレンビーズを含んでもよい。当業者は、抗体、ペプチド若しくは抗原に結合するための多くの他の好適な担体を知っているか、又は日常的な実験によりそれを確認することができる。周知の方法ステップは、抗TGFBペプチド及び/又は抗体又は抗原結合タンパク質の所与のロットの結合活性を決定することができる。当業者は、日常的な実験によって操作的及び最適なアッセイ条件を決定することができる。
【0241】
TGFβ特異的ペプチド及び/又は抗体を検出可能に標識することは、酵素イムノアッセイ(EIA)、又は酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)において使用するための酵素に連結することにより達成され得る。連結された酵素は、曝露された基質と反応して、例えば、限定されないが、分光光度、蛍光定量又は視覚的手段により検出され得る化学的部分を生成する。本発明のTGFβ特異的抗体を検出可能に標識するために使用され得る酵素としては、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、デルタ5-ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α-グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、及びアセチルコリンエステラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。TGFβ特異的抗体を放射標識することにより、ラジオイムノアッセイ(RIA)の使用を通じてTGFBを検出することが可能である。放射性同位体は、ガンマカウンタ又はシンチレーションカウンタの使用などの手段によって、又はオートラジオグラフィによって検出され得る。本発明の目的のために特に有用な同位体としては、3H、125I、131I、35S、及び14Cが挙げられる。
【0242】
蛍光化合物を用いてTGFβ特異的抗体を標識することも可能である。蛍光標識された抗体が適切な波長の光に曝露される場合、次いで、その存在は蛍光に起因して検出され得る。最も一般的に使用される蛍光標識化合物には、当業者に既知のもののうち、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルデヒド、及びフルオレスカミンがある。TGFβ特異的抗体又は抗原結合タンパク質はまた、125Eu、又はランタニド系列の他のものなどの蛍光放出金属を使用しておいしく(delectably)標識することができる。これらの金属は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)又はエチレンジアミン-テトラ酢酸(EDTA)などの金属キレート基などを使用してTGFβ特異的抗体に取り付けることができる。
【0243】
TGFβ特異的抗体はまた、化学発光化合物にカップリングすることによって検出可能に標識することができる。化学発光的に標識された抗体の存在は、次いで、化学反応の過程の間に生じる発光の存在を検出することにより決定される。有用な化学発光標識化合物の例は、ルミノール、イソルミノール、セロマティック(theromatic)アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩、及びシュウ酸エステルである。
【0244】
同様に、本発明のTGFβ特異的抗体、部分、断片、ポリペプチド、又は誘導体を標識するために生物発光化合物を使用することができる。生物発光は、触媒タンパク質が化学発光反応の効率を増加させる生物学的な系において見出される化学発光の一種である。生物発光タンパク質の存在は、発光の存在を検出することによって決定される。標識化の目的のための重要な生物発光化合物は、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、及びエクオリンである。
【0245】
TGFβ特異的抗体、部分、断片、ポリペプチド、又は誘導体の検出は、例えば、検出可能な標識が放射性ガンマ放出体である場合にはシンチレーションカウンタにより、又は例えば、標識が蛍光材料である場合には蛍光光度計により達成することができる。酵素標識の場合、検出は、酵素に対する基質を用いる比色法(colorometric method)により達成することができる。検出はまた、同様に調製された標準物質との比較における基質の酵素反応の程度の視覚的比較によっても達成することができる。
【0246】
本発明の目的のために、上記のアッセイによって検出されるTGFβは、生物学的試料中に存在することができる。TGFβを含有する任意の試料が使用され得る。例えば、試料は、例えば、血液、血清、リンパ液、尿、糞便、炎症性滲出液、脳脊髄液、羊水、組織抽出物、又はホモジネートなどの生体液、及び任意の生検関連材料である。本発明は、これらの試料のみを使用するアッセイに限定されないが、しかしながら、本明細書に照らして、当業者は他の試料の使用を可能にする好適な条件を決定することが可能である。
【0247】
インサイチュ検出は、動物対象から組織学的検体を取り出し、本発明の標識された抗体の組み合わせをそのような検体に提供することによって達成され得る。抗体(又はその部分)は、標識された抗体(又はその部分)を生物学的試料に適用するか、又はそれに重ねることによって提供され得る。そのような手順の使用を通じて、TGFBの存在だけでなく、検査した組織中のTGFβの分布も決定することが可能である。本発明を使用して、当業者は、多様な組織学的方法のうちのいずれか(例えば、染色手順)をそのようなインサイチュ検出を達成するために改変することができることを容易に認識する。
【0248】
本発明の抗体、断片又は誘導体は、「2部位」又は「サンドイッチ」アッセイとしても既知の免疫測定アッセイにおける利用のために適合させることができる。典型的な免疫測定アッセイでは、ある量の非標識抗体(又は抗体の断片)を、試験されている液体中に不溶性である固体支持体に結合させ、ある量の検出可能に標識された可溶性の抗体を加えて、固相抗体と、抗原と、及び標識された抗体との間で形成された三元複合体の検出及び/又は定量化を可能にする。
【0249】
抗体は、試料中の1つ以上のTGFβタンパク質を定量的若しくは定性的に検出するために、又はTGFβタンパク質のうちの1つ以上を発現する細胞の存在を検出するために使用され得る。これは、蛍光顕微鏡、フローサイトメトリー、又は蛍光測定検出とカップリングさせた、蛍光標識された抗体を用いる免疫蛍光技法(以下を参照されたい)によって達成することができる。診断目的のために、抗体は、標識又は非標識のいずれであり得る。非標識抗体は、イヌ科動物免疫グロブリン定常領域に特異的な抗体などの、抗体と反応性である他の標識された抗体(第2の抗体)と組み合わせて使用することができる。代替的に、抗体は、直接的に標識することができる。放射性核種、フルオール(fluor)、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤、リガンド(特にハプテン)などの多様な標識を用いてもよい。先に論じたものなどの多数の種類のイムノアッセイが利用可能であり、当業者には周知である。重要なことに、本発明の抗体は、イヌ科動物、ネコ科動物、ヒトなどにおけるTGFB関連障害の診断において役立ち得る。より具体的には、本発明の抗体/抗原結合タンパク質は、コンパニオン動物におけるTGFβの過剰発現を同定し得る。したがって、本発明の抗体は、重要な免疫組織化学ツールを提供し得る。本発明の抗体は、遺伝子発現プロファイル及び当業者に周知の他の診断ツールを測定するのに非常に好適な、抗体アレイにおいて使用されてもよい。
【0250】
キット
本発明の範囲内には、対象の方法を実施するためのキットも含まれる。キットは少なくとも、本発明の抗体、それをコードする核酸、又はそれを含有する細胞のうちの1つ以上を含む。本発明の抗体は、容器中で、通常は凍結乾燥形態で提供され得る。標識若しくは毒素にコンジュゲートされ得るか、又は非コンジュゲートされ得る抗体は、典型的には、トリス、リン酸塩、炭酸塩などの緩衝液、安定化剤、殺生物剤、不活性タンパク質、例えば、血清アルブミンなどを伴うキット中に含まれる。一般に、これらの材料は、活性抗体の量に基づいて5質量%未満で存在し、通常、抗体濃度に基づいて再び少なくとも約0.001質量%の総量で存在する。頻繁に、活性成分を希釈するための不活性の増量剤又は賦形剤を含むことが望ましく、賦形剤は、全組成物の約1質量%~99質量%で存在し得る。一次抗体に結合することができる第2の抗体がアッセイに用いられる場合、これは通常、別個のバイアル中に存在する。第2の抗体は、典型的には、標識にコンジュゲートされ、上記の抗体製剤と類似の様式で製剤化される。キットはまた、一般に、使用説明書のセットを含む
【0251】
本発明の組成物及び方法を説明する前に、本発明は、記載される特定の組成物、方法、及び実験条件に限定されず、かかる組成物、方法、及び条件は変化し得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図するものではないことも理解されたい。ここで本発明を、以下の非限定的な実施例によって更に記載する。
【実施例
【0252】
本発明は、以下の実施例によって更に例示され、裏付けられる。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を更に制限するために決して考慮されるべきではない。それどころか、当業者は、本発明の精神及び/又は付属の特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明の他の実施形態、修正、及び同等物が存在することを容易に理解するであろう。
【0253】
実施例1:
抗TGFβ1、3抗体
イヌ科動物TGFβ1を認識するマウスモノクローナル抗体の特定
AJ、CF-1、及びBalbCマウスを、フロイント完全アジュバント、次いで不完全アジュバントとともに製剤化した両生類及びトラウトのTGFβ1の組み合わせを用いて、標準的なRIMMSプロトコルに従って免疫化した。ワクチン接種後、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して、免疫化した動物からの血清抗体力価を決定した。個々の免疫原に対する抗体力価を決定し、イヌ科動物TGFβ1に対する交差反応性抗体応答についてプローブするために、個々のELISAを実行して、イヌ科動物TGFβ1、配列番号220(50ng/ウェル)、又は両生類及びトラウトのTGFβ1の混合物(100ng/ウェル)をポリスチレンマイクロプレートに固定化し、捕捉抗原として使用した。免疫化した動物からの血清を、0.05%のツウィーン(tween)-20(PBST)とともにリン酸緩衝生理食塩水中で希釈した。抗TGFβ1抗体の存在を、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)により標識されたヤギ抗マウス二次抗体(KPL,Inc.、Gaithersburg,MD)により検出した。発色基質(SureBlue Reserve TMB 1-Component Microwell Peroxidase Substrate,KPL,Inc.、Gaithersburg,MD)を添加し、室温(RT)で10分間インキュベーションした後、100μLの0.1N HClを添加して反応を停止した。各ウェルの吸光度を、450nmの光学密度(OD)で決定した。これらの状況下では、全ての群の動物は、それらのそれぞれの免疫原に対する堅牢な応答を示したが、しかしながら、TGFβ1のイヌ科動物形態に対して指向する免疫応答を生成することはできなかった。最高の応答は、3匹全ての動物についての力価が1:31250であったCF-1群によって例示された(データは示さず)。
【0254】
種間でのTGFβの保存された性質に起因する可能性のある自己寛容を克服するために、イヌ科動物TGFβ1(配列番号220)を、標準的な架橋化学を使用してジフテリア毒素(CRM197)の不活性変異型(非毒性)形態である担体タンパク質にコンジュゲートし、本明細書でTGFβ1-CRMと称される免疫原を作成した。TGFβ1-CRMによる2つの追加の免疫化を、2週間離してAJ及びCF-1群からのマウスを使用して実施した。これらの取り組みは、上記のように、ELISAによって評価した場合に、イヌ科動物TGFβ1タンパク質に対する免疫応答をマウスのいずれも増大することをもたらさなかった。
【0255】
腹腔内(IP)注射によるミョウバンアジュバント化TGFβ1-CRMの、2週間離れた2つの追加用量を与える最終的な戦略を行った。これらの取り組みにより、融合を実施するのに十分な力価を有する単一のマウスが得られた。このマウスからのドナー脾細胞のプールを融合のために使用し、抗TGFβ1抗体を検出するための一次スクリーニングの結果により、8つのウェルが拡大及び二次スクリーニングのために選択された。二次スクリーニングは、5つの融合体が抗TGFβ1抗体を産生する能力を保持していたことを確認した。タンパク質A/G樹脂を使用して、15mlの培養物からの消費した上清を精製し、更なる評価のためのIgGの濃縮された集団を得た。
【0256】
マウス抗体04H09をコードするDNA配列
RNeasy-ミニキット(Qiagen,Inc.、Germantown,MD)及び製造業者のプロトコルを使用して、04H09ハイブリドーマ細胞からリボ核酸(RNA)を単離した。簡潔には、100万個の凍結細胞を遠心分離により採取し、RNeasyスピンカラムを使用して細胞溶解物からRNAを精製した。RNAを各カラムから溶出し、直ちに定量及びcDNA調製のために使用した。GeneQuantプロ分光光度計(GE Healthcare、Uppsala,Sweden)を使用して、260nm及び280nmでその吸光度を測定することによって、RNAの収率及び純度を分析した。単離後、残りのRNAを、更なる使用のために-80℃で保存した。
【0257】
マウス免疫グロブリン(Ig)可変ドメインの増幅のために設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを、製造業者の説明書(EMD Chemicals,Inc.、Gibbstown,NJ)に従って使用した。cDNAを、製造業者の説明書に従って熱スクリプトRTキット(Invitrogen Corp.、Carlsbad,CA)を使用する逆転写(RT)によって、全ハイブリドーマRNAから調製した。簡潔には、可変Ig領域に近位の位置でIg遺伝子にハイブリダイズする3’Ig定常領域プライマーを含有する個々の反応チューブに、200~400ngのRNAを添加し、したがって、マウス抗体の可変領域を表す第1の鎖cDNAを転写する。3’定常重鎖プライマー及び3’定常カッパ軽鎖プライマーを使用して、個々のRT反応を実施した。
【0258】
04H09ハイブリドーマからのこれらのcDNAを、配列決定の目的で可変IgG重鎖及びカッパ軽鎖cDNAを増幅するためのポリメラーゼ鎖反応(PCR)における鋳型として使用した。マウスIg可変ドメインのシグナル配列コード領域にアニーリングするように設計した縮重5’プライマー又はプライマープールを使用して、各PCRについて複数の反応を実施した。マウス可変重鎖及び可変軽鎖領域の増幅のための縮重プライマー又はプライマープールを用いて、別個のPCR反応を実施した。PCRは、製造業者のプロトコルに従って、Expand High Fidelity DNAポリメラーゼキット(Roche Diagnostics Corp.、Indianapolis,IN)を使用して、1ulのcDNA反応により実施した。PCRについての熱サイクルパラメータは、次のとおりであった:94℃で2分間、35サイクル(94℃15秒間、55℃30秒間、72℃1分間)、72℃7分間。PCRから増幅された断片を、1%のアガロースゲル上でのゲル電気泳動によって分離し、Qiagenゲル抽出キット(Qiagen,Inc.、Germantown,MD)を使用して精製した。重鎖及び軽鎖可変領域のためのフォワードプライマーは、EcoRI又はSalI切断部位を組み込み、リバースプライマーは、pUC19プラスミドへのクローニングを容易にするためにHindIII切断部位を組み込む。精製したPCR断片及びpUC19プラスミドを、上記の制限エンドヌクレアーゼ(New England Biolabs(NEB),Inc.、Ipswich,MA)により37℃で1~2時間消化した。消化後、Qiaquick PCRクリーンアップキット(Qiagen,Inc.、Germantown,MD)を使用してPCR断片を精製した。消化されたプラスミドを、1%のアガロースゲル上でのゲル電気泳動によって分離し、Qiagenゲル抽出キットを使用して精製した。可変IgG重鎖及びカッパ軽鎖DNAを表す精製されたPCR断片を、T4DNAリガーゼ及びライゲーション緩衝液(NEB,Inc.、Ipswich,MA)を使用して4℃で一晩、pUC19プラスミドにライゲーションした。3ulの各ライゲーション反応を使用して、E.coli TOP10細胞(Invitrogen Corp.、Carlsbad,CA)を形質転換した。
【0259】
プラスミドを、製造業者のプロトコルに従って、Qiagenミニプレップキット(Qiagen 27106)を使用して、各ハイブリドーマの可変領域を表す陽性クローンから単離した。M13フォワード及びリバースプライマーを使用して、製造業者のプロトコルに従って、BigDye配列決定反応(Applied Biosystems by Life Technologies Corp.、Carlsbad,CA)を使用して、各クローニングされた挿入物についてのDNA配列を増幅した。配列決定反応物を、製造業者のプロトコルに従って、96ウェル精製キット(Zymo Research、Irvine,CAを使用して精製した。試料をABI-3730キャピラリー配列決定装置にローディングし、得られる配列トレースを、Sequencher(GeneCodes v.4.2)を使用して完全なオープンリーディングフレームの存在について分析した。抗体04H09について決定されたマウス抗TGFβ可変配列は次のとおりである:
配列番号1 04H09 VHヌクレオチド配列、
配列番号2 04H09 VHアミノ酸配列、
配列番号3 04H09 VLヌクレオチド配列、
配列番号4 04H09 VLアミノ酸配列。
更に、04H09モノクローナル抗体についての6つのCDRは次のとおりである:
【0260】
表1
【0261】
組換えマウス:イヌ科動物キメラ04H09の構築
抗体可変ドメインは、抗原結合に関与し、したがって、04H09抗体の完全な可変ドメインの、異なる定常領域、例えば、異なる種からの定常領域への移植は、イヌ科動物TGFβ1免疫原に結合する抗体の能力にほとんど又はまったく影響を及ぼさないはずである。そのようなものであるから、発現ベクターを、哺乳類発現系において組換えキメラ又は完全イヌ科動物抗体を産生するように設計した。本明細書に記載されるキメラ抗体は、異なる種からのIgG分子のそれぞれの重及び軽定常領域上に移植された、宿主種抗体からの可変配列(CDRとフレームワークとの両方)からなる。例えば、可変領域は、マウス宿主種、例えば、04H09の配列番号2及び4、並びに本明細書でマウス:イヌ科動物キメラと称されるであろう、イヌ科動物種(配列番号127)からの重鎖定常領域からのものであり得る。所望のキメラ抗体を産生するために、特有の制限エンドヌクレアーゼ部位、Kozakコンセンサス配列、及びN末端分泌リーダーを含有する選択された抗体の可変重(VH)配列及び可変軽(VL)配列のための合成DNA配列を構築して、哺乳類細胞株からの組換え抗体の発現及び分泌を容易にした。
【0262】
本明細書でchi04H09と称される、マウス:イヌ科動物04H09キメラについて、各マウス可変領域(配列番号1及び3)を、イヌ科動物IgG重鎖(配列番号127)又は軽鎖(配列番号129)定常領域のいずれかを含有する哺乳類発現プラスミドにクローニングした。
【0263】
CMVプロモーターの制御下で、各重鎖及び軽鎖をコードするプラスミドを、標準的な方法を使用してHEK293細胞に同時トランスフェクションした。6日間の発現後、キメラmAbを、タンパク質精製のための標準的な方法に従って、MabSelect Sureタンパク質A樹脂(GE Healthcare、Uppsala,Sweden)を使用して、50mlの一過性トランスフェクションしたHEK293FS細胞上清から精製した。溶出した画分を中和し、公称で10,000MWカットオフのAmicon Ultra遠心デバイス(Millipore Sigma、Burlington,MA)を使用して約0.5~1.0mLまで濃縮し、20mMの酢酸ナトリウム、pH5.0、85g/Lのスクロース、+/-0.05g/LのEDTAにおいて4℃で一晩透析し、更なる使用のために4℃で保存した。
【0264】
04H09及びchi04H09の親和性及び細胞ベースの効力を、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して評価し、候補モノクローナル抗体(mAb)がTGFβに結合する親和性を特徴付けるために、表面プラズモン共鳴(SPR)を、Biacore T200システム(Biocore Life Sciences(GE Healthcare)、Uppsala,Sweden)を使用して評価した。抗体を表面に固定化するときに生じ得る異なる表面調製に関連する親和性の差異を回避するために、TGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3(R&D Systems)を個々の表面に直接コンジュゲートした。固定化は、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)/1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)化学を使用して、5μg/mLのアミンカップリングによって得た。チップをエタノールアミンによりクエンチし、固定化されたTGFβに結合した全ての候補mAbとの親和性を評価した。全ての曲線を1:1のモデルに適合させた。10-11未満の親和性は機器に対する検出の定量下限未満である。これにより、TGFβ1>TGFβ3>TGFβ2に対する親和性の範囲を有する、04H09と称される、単一のマウス抗体が同定された(以下の表3におけるKDデータを参照されたい)。ハイブリドーマ産生均質抗体を生成するために、および可変重鎖及び軽鎖の配列決定のために、マウス抗TGFβ 04H09を更に(furthered)サブクローニングした。
【0265】
効力についてアッセイするために、イヌ科動物僧帽弁間質細胞(CMVIC)におけるTGFβ1誘導SMAD3リン酸化の阻害を測定する初代細胞ベースのアッセイ。このアッセイのために、抗体を有するか又は有さない細胞に、TGFβ1、2、又は3を添加し、AlphaLISA検出キットを介してSMAD3シグナル伝達を決定した。抗TGFβ抗体のマウス(04H09)形態とキメラ(chi04H09)形態との両方のTGFβ1、2及び3表面に対する親和性、並びに各抗体の効力を、表3(以下)に示す(それぞれ、KDデータ及びCMVICデータ)。
【0266】
これらの観察は、キメラ形態への変換が、3つ全てのアイソフォームに対する親和性のいくらかの喪失をもたらすことを示す。しかしながら、それらはまた、CMVIC細胞におけるTGFβ1及び3媒介pSmadシグナル伝達の遮断を通じての効力の増加を示す(表3における04H09及びchi04H09についてのCMVICデータを比較する)。これらの結果は、マウスハイブリドーマサブクローンからの精製された材料と比較して、組換えマウス:イヌ科動物キメラについてのより高いレベルの均質性及び純度に起因する可能性がある。TGFβ1及び3の遮断は奨励され、この抗体のイヌ化形態を追求する更なる研究をもたらした。
【0267】
抗体04H09のイヌ化
抗薬物抗体(ADA)の生成は、モノクローナル抗体を含む任意の生物学的治療タンパク質にとって有効性の喪失と関連付けられ得る。免疫原性完全ヒトmAb及び非免疫原性キメラmAbの例を見出し得るが、モノクローナル抗体の生物種化は、mAbについて免疫原性になる傾向を低減させ得る。本明細書に提供される04H09モノクローナル抗体においてADA形成に関連するリスクを軽減するのに役立つために、イヌ化戦略を用いた。このイヌ化戦略は、CDR移植のための最も適切なイヌ科動物生殖細胞系列抗体の配列を同定することに基づいている。
【0268】
可変重鎖と可変軽鎖との両方について利用可能なイヌ科動物生殖細胞系列の配列の広範な分析の後、マウス04H09抗体可変領域のフレームワーク領域に対するそれらの相同性に基づいて生殖細胞系列の候補を選択し、マウス前駆体04H09抗体(配列番号5~10)からのCDRを使用して、天然のイヌ科動物CDRを置き換えた。目的は、インビボでの免疫原性の可能性を最小限に抑えるために、イヌ科動物抗体フレームワークを使用して高い親和性及び細胞ベースの活性を保持することであった。
【0269】
04H09抗体についてのイヌ化可変重鎖及び軽鎖を表す合成ヌクレオチド構築物を作製した。マウス抗体04H09を用いるイヌ化の取り組みは、以下のように、3つのイヌ科動物VHフレームワーク及び4つのイヌ科動物VLフレームワークに焦点を当てた。
【0270】
表2
【0271】
各可変鎖を、それぞれのイヌ科動物重鎖(配列番号127)又は軽鎖(カッパ)定常領域(配列番号129)を含有するプラスミドにサブクローニングした後、プラスミドを、HEK293細胞における抗体発現のために、12の可能な全ての組み合わせ(can04H09 VH1/VL1、can04H09 VH1/VL2、can04H09 VH1/VL3、can04H09 VH1/VL4、can04H09 VH2/VL1、can04H09 VH2/VL2、can04H09 VH2/VL3、can04H09 VH2/VL4、can04H09 VH3/VL1、can04H09 VH3/VL2、can04H09 VH3/VL3、及びcan04H09 VH3/VL4)において同時トランスフェクションした。全ての組み合わせは、can04H09-VL2と対をなす任意の重鎖を除いて、一過性に抗体を産生することができた。
【0272】
発現後、イヌ化mAbを、上記のように細胞ベースのアッセイにおけるそれらの効力を評価することに加えて、イヌ科動物TGFβ1、2、及び3に結合するそれらの親和性について特徴付けた(以下の表3におけるデータを参照されたい)。一般に、移植された04H09 CDRを有するイヌ科動物フレームワークのうちの全ての組み合わせは、イヌ科動物TGFβ2及び3に対して同等の親和性をもたらした。親和性の最も劇的な喪失は、抗体can04H09 VH1/VL1、can04H09 VH2/VL1、及びcan04H09 VH3/VL1を有するTGFβ1に対して観察された。マウス04H09のchi04H09への変換によって観察されるように、イヌ化は、各TGFβアイソフォームに応答して、細胞pSmadシグナル伝達に関して、各抗体の効力に可変効果を有した。マウス04H09及びchi04H09と同様に、フレームワークの組み合わせのいずれも、TGFβ2媒介性細胞シグナル伝達に対する活性をもたらさなかった。イヌ科動物VL2フレームワークを除いて、各重及び軽イヌ科動物フレームワークからの代表的な対は、TGFβ1及び3によって誘導されるシグナル伝達を阻害することができる抗体を産生した。併せて、これらのデータは、マウス抗体04H09からのCDRが、候補イヌ科動物フレームワークとの堅牢な組み合わせを形成し、生物種化が、結合及び効力表現型を保持するためにイヌ科動物生殖細胞系列配列にいかなる修飾も伴わずに達成され得ることを示す。
【0273】
表3
【0274】
イヌ化ZTS-426のエピトープマッピング
ZTS-426Fab(VH配列番号12及びVL配列番号24)及びTGFβ1の共結晶化、並びに続いて抗原結合mAb Fab断片構造を、2.2Åの最終解像度まで解析した。図7は、二次ZTS-426:TGFβ1二量体結晶構造の表示である。複雑な構造は、成熟TGFβ1の残基とのZTS-426 Fabの相互作用を支配する主要な認識要素への構造的な洞察を提供する。
【0275】
哺乳類系は、少なくとも3つのTGFβアイソフォーム(TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3)からなり、したがって、サブタイプ特異性を追加的にプローブした。成熟TGFβ1とのZTS-426 Fabの相互作用分析に基づいて、Fabに近位であるおよそ16個の特有の抗原残基を同定した。
【0276】
全体的なアーキテクチャは、参照TGFβ1ホモ二量体に対して対角的に反対側に結合した2つのZTS-426 Fab分子を含む結晶構造非対称単位から決定され(図7)、全体的な複合体重心からほぼ2回回転対称性を示した。成熟TGFβ1ホモ二量体は、TGFβ1単量体内及びTGFβ1単量体間のシステイン側鎖チオ官能基によって形成された一連の共有ジスルフィド結合によって一緒に保持される。最も顕著には、Fab断片の各々は、TGFβ1単量体のうちの1つのみと排他的に相互作用する。X線B因子は、TGFβ1及びFab界面残基が、結合親和性に寄与する主要な相互作用を明らかにするために適切に分解されることを示唆する。
【0277】
複合体X線構造を、シュレディンガーからのMAESTROモデリングアプリケーション一式内のタンパク質調製モジュールを使用して調製し、任意の欠失原子/残基を欠いている複合体の完全な説明と、任意の過度な立体を緩和するために最小限に抑えたエネルギーを有するようにした。この最終構造を、Fab残基についてのKabat番号付けスキームとともに、その後の全ての分析のために使用する。抗原-抗体結合仮説のうちの1つは、親油性抗体CDR残基が抗原表面上の疎水性表面を埋め込むことを好むことを示唆する。したがって、表面特性プローブは、F8、Q19、Y21、H34、E35、H40、V89、R94、P96、V98残基を含む、約388.5Å2の疎水性表面領域を覆う不連続であるが近位のパッチを同定した。この領域は、約343.1Å2の疎水性表面領域に及ぶFab軽(L)及び重(H)鎖からのZTS-426残基L_I2、L_Y30、L_Y49、L_A50、L_F91、L_W92、H_W33、H_Y52、H_H95、及びH_Y96に対してドッキング部位として機能する。全体的に、ZTS-426:(TGFβ12:ZTS-426複合体は、約3514Å2のファンデルワールス表面領域を遮蔽し、約1939Å2は、疎水性表面成分によって寄与されている。定性的に、軽鎖CDR-1及び-2は最小限に寄与し、CDR-3残基が顕著な寄与を示す。
【0278】
表4
成熟TGFβ1二量体残基の界面でのZTS-426 Fabの超可変領域残基。CDR定義のために使用されるKabat番号付け
【0279】
表4は、成熟TGFβ1とZTS-426 Fabとの間の界面の結合強度を説明する、近位残基及び特異的相互作用のうちのいくつかを列挙する。具体的には、R25側鎖と重鎖D54及びD56カルボキシレート官能基との間のイオン結合は、抗原-Fab複合体を係留する。これは更に、Fab重鎖残基からの抗原K31及びD54の側鎖間の追加のイオン結合によって支持される。Q19…L_N53、E35…L_Y96、K37…H_Q50、及びH40…H_Y96対の側鎖間の明示的なH結合相互作用のネットワークは、結合強度に更に寄与する。
【0280】
TGFβ2及びTGFβ3複合体の構造を現在のX線構造に重ね合わせたところ、抗原残基のうちの10個がTGFβサブファミリーメンバーにおいて完全に保存されていることが明らかになった。しかしながら、特有の残基のうちの4個は相同極性のものであり(ヒト配列を比較した)、2個の残基(Q19P及びP87T)は、結合及びその後の効力に影響を及ぼし得る極性スイッチとして同定される。他のTGFβサブファミリーメンバーへのZTS-426の結合に対する任意の影響は、これらの残基における差異に起因し得る。
【0281】
文献に報告されているGC1008 scFv結合TGFβ1複合体とのZTS-426 Fab結合TGFβ1複合体の追加の構造的重ね合わせは、現在の抗体がGC1008のものと同じ結合領域を占有しないことを明らかにする。更に、構造的重ね合わせは、GC1008抗体とZTS-426抗体との間の非競合的結合を示す。しかしながら、TGFβ1結合TGFβRI/TGFβRII細胞外ドメイン受容体の三元複合体との現在の複合体の重ね合わせは、競合的結合を示唆する。
【0282】
クライアントが所有するイヌにおける進行したCKDの臨床進行に対するZTS-426の影響を調査する現場研究
ZTS-501により処置したAlportイヌ(以下の実施例に記載の研究)において注目された有益な影響が、天然に存在するCKDを有するイヌ科動物獣医学的患者に変換されたかどうかを調査するために、概念実証(PoC)現場研究を実行した。本明細書に記載されるPoC研究は、天然に生じたCKDを有するクライアント所有のイヌにおける進行したステージのCKDの臨床進行に対する、ZTS-426の安全性及び作用の機構を評価した。
【0283】
研究を、米国においてランダム化、二重盲検、多施設臨床研究として実行した。進行性CKD(IRISステージ2、3、及び4)と診断されたイヌを、11の一般獣医学的診療から登録した。IRISステージングは、水分補給した安定した患者において少なくとも2回評価された、空腹時血中クレアチニン若しくは空腹時血中SDMA濃度、又はその両方に基づいている。イヌ科動物についてのIRISステージングを記載する表5を参照されたい。
【0284】
表5
【0285】
次いで、イヌ科動物は、以下に基づいてサブステージ化される
●mmHgとして表した収縮期血圧:
○正常血圧:140未満 前高血圧:140~159
○高血圧160~179 重度に高血圧:180超
●タンパク尿に基づくUPC比:
○非タンパク尿 0.2未満
○境界域タンパク尿 0.2~0.5
○タンパク尿 0.5超
【0286】
登録時に、イヌは、CKDに起因する臨床徴候、又は腎臓タンパク尿(尿タンパク質/クレアチニン比(UP/C)0.5超)を有することに加えて、不適切に濃縮された尿(尿比重(USG)1.030未満)及び次のうちの少なくとも1つ、血清クレアチニン(sCr)2.0mg/dL超(IRISステージ3及び4)、又は1.4mg/dL超のsCr(IRISステージ2)を示すことが必要であった。
【0287】
IRISステージ2及び3のイヌを、表6に示されるように、IVP又は対照製品(CP)(生理食塩水)を受けるように3:1の比でランダム化した。
【0288】
表6
ZTS-426 PoC研究設計
【0289】
IRISステージ4のCKDを有するイヌは、ランダム化しなかったが、IVPを受けるように割り当て、T02に登録したイヌと同じスケジュールに従った。全ての動物(プラセボを含む)は、IRISガイドライン及び検査する獣医師によって推奨されるような標準処置(SoC)治療を受けた。合計65匹のイヌが研究に登録され、T01において19匹(IRISステージ2の5匹、及びIRISステージ3の14匹)、及びT02において46匹(IRISステージ2の13匹、IRISステージ3の27匹、及びIRISステージ4の4匹)であった。
【0290】
包括的な身体検査(身体状態スコアリング、筋肉状態スコアリング、及び血圧測定を含む)を実行し、訪問毎に血液及び尿試料を収集した。CKDに関連する生活の質(QoL)評価も収集した。これは、摂食量、嘔吐、活動、及びエネルギーレベルなどのパラメータを考慮したQoLアンケートを通じて行われ、各訪問時に所有者によって記入された。追加的に、所有者は、そのイヌの全体的なQoLに対するCKDの総影響を記録するために、視覚的アナログスコア(VAS)評価を、各訪問時に記入した。所有者は、これらのフォームに記入する際に、そのスケジュールされた研究訪問の最後の7日前を考慮するように指示された。
【0291】
収集された血液及び尿試料を、CKDのIRISステージングに対応する確立されたバイオマーカーについて分析した。確立されたバイオマーカーの実験結果を、試験中に報告及び評価した。尿毒症危機事象の決定を、IRISガイドラインに基づいて行った。
【0292】
研究は、2つの段階(段階1及び2)、及び単一の中間分析による試料サイズ再評価(SSR)適応設計を使用するように設計された。中間分析は、20の評価可能な症例(IRISステージ2及び3:T01においてn=5、及びT02においてn=15)が段階1において3ヶ月間の処置を受けたら完了するように計画された。中間分析の結果を使用して、試料サイズを再評価し、及び/又は処置有効性に基づいて用量を調整した。中間分析結果に応じて、図10に示された決定木に基づいて、4つの異なるシナリオが段階2において可能であった。
【0293】
3ヶ月間の中間分析
中間分析を、3ヶ月間で、この時間点に到達した研究におけるイヌのサブセットについて完了した。この分析に含まれるイヌの数を以下の表7に列挙する。
【0294】
表7
【0295】
3ヶ月間の中間分析では、以下のパラメータを評価した:sCr、血中尿素窒素(BUN)、対称ジメチルアルギニン(SDMA)、副甲状腺ホルモン(PTH)、血清リン(phos)、UP/C、ヘマトクリット(HCT)、体重(bwt)、及びQoLの所有者評価VAS結果における前処理からの絶対及び変化%。データは、T01とT02との間の統計的に有意な(α1=0.06201での)結果が以下のパラメータにて見出されたことを示した:IVP治療群に有利な、BUN、sCr、1/sCr、1/sCrについての前処理からの変化%、PTH、及びSDMA。血清phos、sCrについての前処理からの変化%、phos、及びSDMAについて、IVP処置群に有利な、T01とT02との間の(α1=0.10での)傾向が、観察された。
【0296】
6ヶ月間の中間分析
分析の時点で少なくとも6ヶ月間のデータを有した研究のイヌ(6ヶ月より前に中止したイヌを含む)を含む、中間解析を実行した。この6ヶ月間の分析には、事象までの時間(TTE)分析(進行性、生存曲線)及び生存中の要約が含まれていた。これらを、IRISステージによって、及び処置によって分析した。この分析に含まれるイヌの数を表8に列挙する。
【0297】
表8
【0298】
生存中の要約には、sCr、BUN、SDMA、PTH、血清phos、UPC、HCT、bwt、及びQoLの所有者評価VAS結果における前処理からの絶対及び変化%が含まれていた。中間分析は、以下の変数を評価し、データを表9に示す。
●ベースラインからのsCr倍増までの時間
●ステージ4までの時間(sCr>5.0、尿毒症危機に起因しない)
●phos上昇までの時間(>4.5mg/dL)
●CKDに起因する死亡(安楽死を含む)/中止までの時間
●研究終了までの時間(終了の理由に関係なく)
●尿毒症危機までの時間(治験責任医師によって決定される)
【0299】
表9
6ヶ月間の中間分析での、TTEパラメータに対してのT01とT02との間の生存曲線の対比についての統計分析の結果
【0300】
IRISステージは、sCr倍増までの時間、ステージ4までの時間、CKDに起因する死亡/中止までの時間、理由に関係ない終了までの時間、及び尿毒症危機までの時間について、IVP処置群に有利な、T01及びT02群の生存曲線の間の有意差を示した。6ヶ月間での全てのIRISステージについての生存曲線を、図11A~Fに示す。IRISステージ2について、phos上昇までの時間(>4.5g/dL)、CKDに起因する死亡/中止までの時間、及び理由に関係ない終了までの時間について、IVP処置群に有利な、T01及びT02の生存曲線の間の有意差が見られた。IRISステージ3について、sCr倍増までの時間、CKDに起因する死亡/中止までの時間、理由に関係ない終了までの時間、及び尿毒症危機までの時間について、IVP処置群に有利な、T01及びT02の生存曲線の間の有意差が見られた。ZTS-426による処置は、CKDの進行を反映する変数についてのTTE生存曲線における有意差を介して、天然に存在する疾患を有するイヌにおけるCKDの進行を遅延させることが実証されている。
【0301】
抗体04H09のネコ化
抗体04H09からのCDRを使用するイヌ化抗体の生成について上記された、同じCDR移植戦略を使用して、ネコにおける免疫原性のリスクを低減させるために、ネコ化抗体も操作した。ネコ科動物フレームワーク配列を、利用可能なネコ科動物IgG配列データベースから同定した。
【0302】
mAb 04H09についてのネコ化可変重鎖及び軽鎖を表す合成ヌクレオチド構築物を作製した。マウス抗体04H09を用いるネコ化の取り組みは、以下のように、3つのネコ科動物VHフレームワーク及び3つのネコ科動物VLフレームワークに焦点を当てた。
【0303】
表10
【0304】
各可変鎖を、それぞれのネコ科動物重(配列番号131)又はカッパ定数(配列番号133)領域を含有するプラスミドにサブクローニングした後、プラスミドを、HEK293細胞における抗体発現のために同時トランスフェクションした。これらの重鎖及び軽鎖の全ての可能な組み合わせを作製することにより、全て、一過性HEK発現から抗体を産生することができた、9つの組み合わせが得られた:fel04H09 H636/K4-1(SL501 fel04H09-17)、fel04H09 H636/K36(SL501 fel04H09-18)、fel04H09 H636/K1-1(SL501 fel04H09-19)、fel04H09 H1-2/K4-1(SL501 fel04H09-20)、fel04H09 H1-2/K36(SL501 fel04H09-21)、fel04H09 H1-2/K1-1(SL501 fel04H09-22)、fel04H09 H618/K4-1(SL501 fel04H09-23)、fel04H09 H618/K36(SL501 fel04H09-24)、及びfel04H09 H618/K1-1(SL501 fel04H09-25)(表11を参照されたい)。
【0305】
マウス04H09 mAbのネコ化バージョンを発現させ、SPRを介してネコ科動物TGFβ1、2、及び3に結合するその能力について特徴付けた(表6を参照されたい)。これらの結果は、ネコ化抗体が高い親和性によりTGFβ1、2、及び3に結合することを実証した。2つのネコ化04H09 mAbを、CMVIC及びネコ科動物腎臓細胞株において機能的活性について試験し、TGFβ1の強力な中和を示し、pSMADシグナル伝達を阻害するためのTBFB2の中和を示さなかった。Fel04H09-24 mAbはTGFβ3の弱い中和を示し、一方で、fel04H09-17はTGFβ3の極めて弱い中和を示した。追加のフレームワーク変異は必要なかった。
【0306】
表11
【0307】
表12
【0308】
実施例2:
抗TGFβ1抗体
組換えヒト:イヌ科動物キメラ抗TGFβ1抗体の構築
抗TGFβ1抗体を、Cambridge Antibody Technologyプラットフォームに対するヒトTGFβ1のファージディスプレイを介して得られたモノクローナル抗体を操作することによって得た。この抗体は、本明細書でSL501と称される。操作されたマウス抗TGFβ1抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域の配列は、次のとおりである:
配列番号37:マウスSL501 VHヌクレオチド配列、
配列番号38:マウスSL501 VHアミノ酸配列、
配列番号39:マウスSL501VLヌクレオチド配列、
配列番号40:マウスSL501VLアミノ酸配列。
更に、SL501抗体についての6つのCDRを、以下の表13に列挙する:
【0309】
表13
【0310】
04H09キメラ抗体について上記した同じ戦略を用いて、活性TGFβ1に対して非常に特異的であるキメラヒト:イヌ科動物抗体を生成した。前駆体ヒトSL501モノクローナル抗体からの可変領域を、これに使用し、上で論じたように、適切なプラスミドへのサブクローニングを通じて、イヌ科動物重(配列番号127)及び軽鎖(配列番号129)の定常領域と組み合わせた。得られるキメラ抗体(chiSL501)は、HEK293の一過性発現系において良好な発現を示し、良好な結合親和性を示した(以下の表14を参照されたい)。
【0311】
抗体SL501のイヌ化
04H09のCDR移植について上記したように、SL501抗体を、重鎖及び軽鎖の両方について最も適切なイヌ科動物生殖細胞系列配列を同定することによってイヌ化した。前駆体モノクローナル抗体配列に対するその相同性について配列を選択し、天然イヌ科動物CDRをSL501抗体のものと置き換えた。2つのイヌ科動物重鎖可変フレームワーク(VH1及びVH2)、及び2つのイヌ科動物カッパ軽鎖可変フレームワーク(VL1及びVL2)を、初期のイヌ化のために選択し、以下の可変領域の産生をもたらした。表14を参照されたい:
【0312】
表14
【0313】
各可変鎖を、それぞれのイヌ科動物重鎖(配列番号127)又はカッパ定常(配列番号129)領域を含有するプラスミドにサブクローニングした後、プラスミドを、HEK293細胞における抗体発現のために、全ての可能な組み合わせ(VH1/VL1、VH1/VL2、VH2/VL1、及びVH2/VL2)において同時トランスフェクションし、4つのイヌ化抗体構築物を作製した。発現後、上で論じたように、TGFβ1への結合を評価した。残念ながら、イヌ化構築物のうちの4つの全てが一過性のHEK293発現系で発現したが、これらの抗体のいずれもTGFβ1に結合しなかった(表15を参照されたい)。
【0314】
どの鎖がTGFβ1に対するイヌ化SL501抗体の親和性の喪失の原因であるかを単離するために、各イヌ化重鎖及び軽鎖をキメラ重鎖及び軽鎖と対にして、4つの異なるヘテロキメラ抗体(canSL501-VH1重鎖(配列番号47)+chiSL501-VL軽鎖(配列番号40と同じ)、canSL501-VH2重鎖(配列番号48)+chiSL501-VL軽鎖(配列番号40)、chiSL501-VH重鎖(配列番号38と同じ)+canSL501-VL1軽鎖(配列番号49)、及びchiSL501-VH重鎖+canSL501-VL2軽鎖(配列番号51)を生成した。これらの抗体の発現に成功した後、TGFβ1に対する親和性を再び評価した(表15を参照されたい)。
【0315】
これらの結合研究の結果は、キメラ重鎖をイヌ化軽鎖のうちのいずれかと対にすると、結合が回復したことを実証した。同時に、重鎖を再分析し、本明細書でcanSL501canSL501-VH3(配列番号54[ヌクレオチド]及び55[アミノ酸])と称される、第3のイヌ化可変重鎖を産生した。全ての3つのイヌ化重鎖(canSL501-VH1、canSL501-VH2、及びcanSL501-VH3のアラインメントは、可変重鎖フレームワーク2(FW2)がキメラ抗体のTGFβ1結合親和性を維持するために修飾を必要とするという証拠を支持した。追加のペアワイズフレームワーク置換を実施して、このアプローチによる親和性調節の程度を決定した。can SL501-VH3重鎖のフレームワーク2領域内の44位及び46位にアミノ酸置換を含有した1つの二重変異型を産生し、これは、本明細書でcan SL501-VH3-FW2(配列番号56[ヌクレオチド]及び57[アミノ酸])と称される。canSL501canSL501-VL1軽鎖とのcan SL501-VH3-FW2重鎖の同時発現は機能的抗体をもたらさないことが分かったが、canSL501canSL501-VL2軽鎖との同時発現は成功であることが分かった。canSL501-VH3-FW2/can SL501-VL2抗体をTGFβ1結合親和性について検査したとき、この二重変異型が、キメラと比較した場合、TGFβ1親和性の回復、およびおそらく改善をもたらしたことを決定した(表15を参照されたい)。
【0316】
表15
【0317】
追加的に、単一アミノ酸置換を、以下に記載されるように、canSL501-VH3(配列番号55)イヌ化可変重鎖のCDR-VH3における5つの異なるアミノ酸位置(D108、P109、Q110、Y111、及びS112)で行った。
【0318】
表16
【0319】
合計で、canSL501-VH3のCDR3配列(配列番号55)を含む、canSL501-VH3重鎖の45個の異なる異形を作製し、各々は、単一アミノ酸置換(配列番号135~179によって表されるCDR配列、及び配列番号231~268によって表されるこれらの置換を含むVH配列)を含有する。次いで、これらの重鎖ペプチドのうちの各々を、canSL501-VL2軽鎖と同時発現させ、TGFβ1結合親和性を、上記のような単一点KDにより分析した(表10を参照されたい)。追加的に、15個の選択されたバリアントは、SPRによる全滴定結合(表17を参照されたい)と、TGFβ1 SMADリン酸化に対する効力(表18を参照されたい)を有した。
【0320】
表17
【0321】
表18
【0322】
ZTS-501のインビボ有効性
CKDの多くのげっ歯類モデルが利用可能であり、ヒト疾患に対する前臨床モデルとして、疾患特異的機構、分子病因を調査し、新規治療薬を評価するために広く使用されている。例としては、5/6腎切除術、片側尿管閉塞、Thy-1腎炎、アルポート(Alport)症候群、自発的な高血圧ラット、及びMunich Wistar Fromterラットが挙げられる。これらのモデルは有用であることが証明されているが、これらのモデルにおける有効性は、治療的研究の他の多くの領域と同様に、必ずしもヒト臨床試験の成功へと変換されていない。したがって、いくつかのげっ歯類モデルは、関連する機構を調査するのに適切であり得るが、イヌ科動物CKDモデルの適合性は、評価された。
【0323】
イヌ科動物CKDのためのモデルとして、イヌ科動物X連鎖性遺伝性腎症(XLHN)モデルを採用した。50年以上前、獣医師が、English Cocker Spanielにおける腎臓疾患の遺伝形態を初めて認識した。その後の研究にもかかわらず、障害の根本的な性質は、状態が、一般に遺伝性腎症(HN)として知られ、ヒトにおいてAlport(アルポート)症候群とも呼ばれる基底膜(IV型)コラーゲンの遺伝性疾患であることが示されるまで、疑問のままであった(Lees GE et al.Am J Vet Rs.1999)。
【0324】
イヌ(「Alportイヌ」)におけるXLHN状態では、糸球体基底膜(GBM)組成物中の分子欠損は、タンパク尿を引き起こす糸球体病変、及び慢性腎不全に至る二次的な慢性進行性尿細管間質性傷害をもたらす。これらのイヌにおける腎臓疾患の臨床的及び組織学的進行は、他の非遺伝性糸球体疾患を有するイヌにおけるものと同様である(表19)。したがって、Alportイヌは、原発性糸球体病変の全ての原因によって開始される進行性腎臓傷害及び瘢痕のプロセスを伴うため、イヌ科動物腎臓疾患を研究するために使用され得る。
【0325】
表19
Alportモデルの正当化のための臨床腎臓疾患の比較
【0326】
Alportイヌモデルは、CKDの病因を数年から数ヶ月に圧縮する攻撃的な疾患モデルである。その最も初期のステージを含む疾患の全経過は、罹患した雄イヌの場合は平均40~41週齢で(表20)、キャリアの雌イヌの場合は約4~8年で発生する末期腎臓疾患(ESRD)を伴って前向きに研究され得る。
【0327】
表20
罹患した雄のAlportイヌにおける疾患の進行のタイムライン
【0328】
このモデルを使用して、尿細管間質性傷害についてのいくつかの初期の尿バイオマーカーが以前に同定されている。これらのバイオマーカーのうちのいくつかは、ヒト尿細管間質性損傷において十分に確立されており、CKDを有するイヌにおいて初期評価にある。TGFβ発現は、これらのイヌの腎臓において上方制御されることが示されている。
【0329】
Alportイヌモデルを使用して、CKDの疾患進行に対するZTS-501(VH:配列番号55、VL:配列番号49)の安全性及び有効性を調査した。罹患した雄のAlportイヌ、齢が一致した罹患していない同腹子、及びビーグルをこれらの研究において使用した。これらの研究を、関連するデータ収集とともに2年間の期間にわたって行った。これらの2年間にわたって、合計10匹のイヌ(n=8の罹患した雄のAlportイヌ、n=1の罹患していないAlportイヌ、及びn=1のビーグル)に、ZTS-501を週1回又は2回、5mg/kgで最大55週間SC投与した。これらの研究における有効性を、特定のマイルストーンへの経時的な腎臓臨床病理学パラメータ(例えば、血清クレアチニン(sCr))及びバイオマーカーの評価、各ステージにおける日数、並びに臨床観察(食物摂取/嘔吐/一般健康)により、疾患の進行を監視することによって評価した。全てのデータを、データパラメータ対日齢、又は特定のマイルストーンへの時間として表した
【0330】
Alportイヌモデルにおける疾患の進行の1つの尺度は、ある特定の疾患のマイルストーンに到達するのにかかる時間であり、より具体的には、Alportイヌが次のマイルストーンに到達するのにかかる時間(日数)である。IRISステージング及びガイドラインの確立に先立って、以下のとおりである血清クレアチニン(sCr)に基づく3つのステージシステムを代わりに使用して、初期研究を実行した。
ステージ1=sCr≧1.2mg/dL
ステージ2=sCr≧2.4mg/dL
ステージ3=sCr>5.0mg/dL
【0331】
各マイルストーンまでの時間を増加させることは、これらのイヌにおける腎臓疾患の進行を遅らせる顕著な効果を有すると仮定した。
【0332】
図8は、歴史的対照として使用した以前の研究からの8匹の未処置の罹患した雄のAlportイヌ、3匹の未処置の罹患した雄のAlportイヌ(同時対照)、及び6匹のZTS-501により処置したAlportイヌのマイルストーンまでの時間を示す。ZTS-501により処置したイヌは、ステージ2及び3に到達するために延長されたタイムラインを有することが注目された。臨床観察において、ZTS-501により処置したイヌにおける臨床徴候において、陽性かつ顕著な影響が観察された。ESRDで未処置のAlportイヌは、拒食性、嘔吐、無気力、ねこ背の姿勢、活動レベルの低下、及び抑うつを示した。ZTS-501により処置したAlportイヌでは、ESRDと一致する最小限の臨床徴候があった。ZTS-501により処置したAlportイヌがESRDで拒食性にならず、それらがESRDに近づくにつれて嘔吐事象の数が減少したことが観察された。処置したAlportイヌは、5回の嘔吐事象を平均とし、一方で、未処置のAlportイヌは、その寿命中に24回の嘔吐事象を平均とした。全体として、ステージ2及び3(上記)に到達するまでのタイムラインの延長を介して、ZTS-501の処置したAlportイヌ内で有益な効果が注目され、処置したAlportイヌと未処置のAlportイヌとの間で臨床的差異が観察されたと結論付けられた。
【0333】
SL501抗体のネコ化
SL501抗体のイヌ化と同様に、イヌ化に使用されたのと同じCDR領域配列を採取し、それらをネコ科動物可変フレームワーク配列と組み込むことによって、ネコ化抗体を生成した。キメラ抗体に対して同様のフレームワークについてネコ科動物科データベースを検索することに加えて、イヌ化抗体を使用してデータベースを検索し、調査するために追加のネコ科動物生殖細胞系列を提供した。最終的に、単一の可変重鎖フレームワーク及び単一の可変軽鎖フレームワークを選択し、本明細書でfelSL501-VH3-9(配列番号58[ヌクレオチド]及び59[アミノ酸])と称される、単一のネコ化可変重鎖と、単一のネコ化可変軽鎖、felSL501-VL1-1(配列番号60[ヌクレオチド]及び61[アミノ酸])との産生をもたらした。各可変鎖を、それぞれのネコ科動物重(配列番号131)又はカッパ(配列番号133)定常領域を含有するプラスミドにサブクローニングした後、プラスミドを、HEK293細胞における抗体発現のために同時トランスフェクションした。重鎖及び軽鎖の以下の3つの組み合わせを得るために、同時トランスフェクションを実施した。1)felSL501-VH3-9重鎖(配列番号59)+マウス軽鎖(配列番号40)、2)マウス重鎖(配列番号38)+felSL501-VL1-1軽鎖(配列番号61)、及び3)felSL501-VH3-9重鎖+felSL501-VL1-1軽鎖。発現後、TGFβ結合を調査した(表21を参照されたい)。
【0334】
表21
【0335】
実施例3:
抗TGFβ1、2、3抗体
マウス抗体HclbをコードするDNA配列
マウス抗TGFβ1、2、3「1D11」抗体(Dasch et al.,J Immunol 1989 March 1:142(5):1536-41)を同定し、本明細書ではmHcLbと称される。この抗体の可変重鎖及び可変軽鎖をコードするDNAを先に記載したように配列決定し、重鎖及び軽鎖の可変領域の対応するアミノ酸配列をそのDNA配列から導出した。mHcLb抗体について決定される配列は次のとおりである:
配列番号62:mHcLb VHヌクレオチド配列、
配列番号63:mHcLb VHアミノ酸配列、
配列番号64:mHcLb VLヌクレオチド配列、
配列番号65:mHcLb VLアミノ酸配列。
【0336】
更に、mHcLbモノクローナル抗体についての6つのCDRは次のとおりである:
【0337】
表22
【0338】
組換えマウス:イヌ科動物キメラHclbの構築
04H09キメラ抗体について上記した同じ戦略を用いて、活性TGFβ1、2、及び3に対して非常に特異的であるキメラ抗体を生成した。前駆体マウスmHcLbモノクローナル抗体(配列番号62~65)からの可変領域を、これに使用し、上で論じたように、適切なプラスミドへのサブクローニングを通じて、イヌ科動物重(配列番号127)及び軽鎖(配列番号129)の定常領域と組み合わせた。得られるキメラ抗体(chiHcLb)は、全ての3つTGFβアイソフォームによる誘導時に、HEK293の一過性発現系において良好な発現を示し、良好な結合親和性を示し、TGFβ1 SMADリン酸化に対する優れた効力を示した。
【0339】
抗体HcLbのイヌ化
04H09のCDR移植について上記したように、mHcLb抗体を、重鎖及び軽鎖の両方について最も適切なイヌ科動物生殖細胞系列配列を同定することによってイヌ化した。前駆体モノクローナル抗体配列に対するその相同性について配列を選択し、天然イヌ科動物CDRをmHcLb抗体のものと置き換えた。3つのイヌ科動物重鎖可変フレームワーク(VH1、VH2、及びVH3)、及び5つのイヌ科動物カッパ軽鎖可変フレームワーク(VL1、VL2、VL3、VL4、及びVL5)を、初期のイヌ化のために選択し、以下の可変領域の産生をもたらした:
【0340】
表23
【0341】
各可変鎖を、それぞれのイヌ科動物重(配列番号127)又はカッパ(配列番号129)定常領域を含有するプラスミドにサブクローニングした後、プラスミドを、HEK293細胞における抗体発現のために、全ての可能な組み合わせ(chiHcLb-VH/chiHcLb-VL、chiHcLb-VH/VL1、chiHcLb-VH/VL2、chiHcLb-VH/VL3、chiHcLb-VH/VL4、chiHcLb-VH/VL5、VH1/chiHcLb-VL、VH1/VL1、VH1/VL2、VH1/VL3、VH1/VL4、VH1/VL5、VH2/chiHcLb-VL、VH2/VL1、VH2/VL2、VH2/VL3、VH2/VL4、VH2/VL5、VH3/chiHcLb-VL、VH3/VL1、VH3/VL2、VH3/VL3、VH3/VL4、及びVH3/VL5)において同時トランスフェクションし、多数のイヌ化抗体構築物を作製した。イヌ化構築物のうちの2つを除く全ては、一過性のHEK293発現系で発現した。発現後、上で論じたように、全ての3つTGFβアイソフォームへの結合を評価した。
【0342】
データが示すように、いくらかの親和性は、イヌ化時に喪失した。chiHcLb-VL又はcanHclb-VL3からのカッパ鎖を含有する、分析された抗体のサブセットについての効力測定を、表に示す。試験した全てのイヌ化抗体は、生物種化からいくらかの親和性を喪失し、したがって、親和性成熟を行い、マウス抗体について観察された効力を取り戻そうと試みた。
【0343】
抗体Hclbの親和性成熟
結合親和性を増加させる初期の試みでは、2つの点変異(S71P及びQ73K)を、両方とも個別に及び組み合わせて、canHcLb-VL4可変軽鎖のフレームワーク2領域に操作し、それによって、以下のように称される3つの新しい可変軽領域を産生した。
【0344】
表24
【0345】
これらの各軽鎖ペプチドのうちの各々を、イヌ科動物定常軽領域(配列番号129)と組み合わせ、次いで、これらの軽鎖を、canHcLb-VH1(配列番号73)重鎖と同時発現させた。発現後、TGFβ1、2及び3の結合親和性を上記のように分析した(データについては、表25を参照されたい)。全ての3つの構築物は活性タンパク質を発現したが、しかしながら、これらの変異によって、TGFβ1、2、又は3に対する親和性は増加しなかった。したがって、結合親和性を増加させるために、更なる成熟を行った。
【0346】
表25

【0347】
イヌ化Hclb「H1K4」(canHcLb-VH1:配列番号73及びcanHcLb-VL4:配列番号85)抗体の親和性成熟は、イヌ化mAbの親和性を前駆体マウス抗体の親和性に戻すために必要であった。抗体ライブラリーは、CDR領域内のみの抗体配列内の個々の点変異を含有するように設計された。部位飽和変異誘発(SSM)を使用して、成熟のために選択された領域内の各天然アミノ酸(システインを除外した)を試料化した。このSSMライブラリーを、CDRH1、CDRH2、CDRH3、及びCDRL3における有益な変異を同定するように構築した。このライブラリーを、遺伝子合成(GenScript、NJ)を介して一本鎖抗体(scFv)ライブラリーとして構築し、ファージディスプレイパンニング及び選択に使用されるファージミドベクターにサブクローニングした。この変異誘発ライブラリーのサイズはおよそ1E9であり、TG1 E.coli細胞において増幅した。
【0348】
抗体親和性を増強させるための変異を同定するために、SSM Hclbライブラリーを、TGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3に対するファージディスプレイを介してバイオパンニングに使用した。多様なscFvファージライブラリーをスクリーニングするために5ラウンドのパンニングを実施した。抗原TGFβ1、B2、及びB3を10ug~0.25ugの範囲で磁気ビーズにコーティングし、続く各バイオパンニングラウンドによりコーティングした抗原量を減少させた。次いで、コーティングされたビーズをカスタマイズされたブロッキング剤によりブロッキングした。結合ステップ中の各バイオパンニングラウンドのために、過剰の1011~1012scFVファージ投入を使用した。各連続するラウンドについて、洗浄の回数及び長さを増加させたカスタマイズされた洗浄剤を使用した。洗浄後に結合したscFVファージを、標的関連モノクローナル抗体の過剰濃度を使用して溶出した。各バイオパンニングラウンド出力を収集し、DNAを単離した。次世代配列決定を使用して、その後の各ラウンドにわたる配列の濃縮を分析した。生の配列決定読み取りを、3つのプライムトリミングについて分析し、配列アダプタを除去して、低品質配列を廃棄した。データベースとして使用した抗体配列、及び品質トリミングした生の読み取りをブラストし(blasted)、クエリとして使用した。0.001のE値を、アラインメント長にわたって少なくとも14個のアミノ酸の一致に大まかに翻訳される閾値として選択した。各読み取りについて最適なアラインメントを選択した。各位置での各アミノ酸の存在量が計算されるデータマトリックスへアラインメントを変換するために、カスタマイズした内部スクリプトを作成した。初期ライブラリーと比較して、全ての試料についての各位置での選択を計算するための差別選択。これにより、各部位での各アミノ酸についてのlog2比が生成された。出力を使用して、傾き及びp値を計算した。負の傾きは特定の位置における特定のアミノ酸の枯渇を示し、一方で、正の傾きは豊富な存在を示す。特定の位置において正の傾きを有するアミノ酸を、更なる試験及び確認のために編集した。数百の理論的に濃縮された配列を完全なIgGへと変換し、一過性の細胞中で発現させた。個々の及び組み合わされた変異についての発現の結果を提供する。初期スクリーニングのために、完全なIgGに対する単一希釈SPR分析を実施した。全滴定SPR分析を、KD確認のための良好な結合剤にて実施し、その後のpSmad阻害アッセイを実施して、IC50値を得た。300を超える抗体を、本明細書に記載されるように評価した。TGFβ1、B2又はB3タンパク質のうちの少なくとも1つ以上に関連する改善された結合及び/又は機能的特性を示したmAbについての結合結果及び機能的効力は、以下の表27に含まれるアミノ酸置換とともに、以下の表26に含まれる。上述のように、300を超える抗体をスクリーニングし、28の抗体を改善された結合及び機能的特性を示し、本明細書に例示した。
【0349】
表26

【0350】
表27

【0351】
抗体HcLbのネコ化
mHcLb抗体のイヌ化と同様に、イヌ化に使用されたのと同じCDR領域配列を採取し、それらをネコ科動物可変フレームワーク配列と組み込むことによって、ネコ化抗体を生成した。ネコ科動物のデータベースを、調査するネコ科動物生殖細胞系列を同定するために、キメラ及び/又はイヌ化抗体に対して同様のフレームワークについて検索した。最初に、2つの重鎖フレームワーク及び4つの軽鎖フレームワークを選択し、以下のネコ化可変領域の産生をもたらした。
【0352】
表28
【0353】
各可変鎖を、それぞれのネコ科動物重(配列番号132)又はカッパ(配列番号134)定常領域を含有するプラスミドにサブクローニングした後、プラスミドを、HEK293細胞における抗体発現のために同時トランスフェクションした。重鎖及び軽鎖の以下の5つの組み合わせを得るために、同時トランスフェクションを実施した。1)felHcLb-H636重鎖+felHcLb-K1-1軽鎖、2)felHcLb-H1-1重鎖+felHcLb-K36軽鎖、3)felHcLb-H1-1重鎖+felHcLb-K1-1軽鎖、4)felHcLb-H1-1重鎖+felHcLb-K4-1軽鎖、及び5)felHcLb-H1-1重鎖+felHcLb-K2D-2軽鎖。発現後、TGFβ結合をSPRを介して調査した(表29を参照されたい)。結果は、ネコ化抗体がTGFβ1、2、及び3に非常に弱く結合することを実証した。
【0354】
表29
【0355】
増加した親和性を有するネコ化抗体を得るために、追加の重鎖フレームワーク(H618及びH634と称される)の同定を通じて、及びHcLb CDRH2バリアントの構築を通じて、追加のネコ化HcLb重鎖を開発した。これらのCDRH2バリアントを、CDR領域のソフトウェア指定間の差異に基づいて作製した;例えば、Kabat対Chothia。最初、CDR領域は、Kabat方法を使用することによって指定されたが、しかしながら、異なる分析は、CDRが、より長い配列を有することが示唆されたことを示唆した。HcLbについては、この相違点は特にCDRH2に対して顕著であり、CDRH1に対してはより小さい程度である。したがって、HcLbの元のネコ化は、Kabatからのより短いCDR出力に基づいたが、しかしながら、これらのmAbは、TGFβに対する親和性を喪失した。したがって、より長い配列を有することに基づいて、伸長CDRH2バリアントのパネルを生成した。これらのバリアントは、その名称の末尾に「x」を有し、以下の表に示される。
【0356】
表30
【0357】
これらのうちの全てに用いられる修飾されたCDR領域は、CDRH2xと称され、CDRH2xは、以下のアミノ酸配列を有する:QIFPASGSTNYNEMFEG(配列番号116)。これらの追加の可変重鎖のうちの各々を、それぞれのネコ科動物重定常領域(ネコ科動物重鎖定常領域の配列番号131についてのヌクレオチド配列、及びネコ科動物軽鎖定常領域の配列番号133についてのヌクレオチド配列)を含有する表31に列挙されるプラスミドにサブクローニングした後、プラスミドを、HEK293細胞における抗体発現のために同時トランスフェクションした。同時トランスフェクションを実施して、重鎖及び軽鎖の19個の異なる組み合わせを得、次いで、SPRを介してTGFβ結合について調査した。結果は、これらのネコ化抗体が、全ての3つアイソタイプに対して無視できるほどのTGFβ結合を有することを実証した。表32は、結合があってもほとんど示されていなかった重鎖及び軽鎖の対を示す。
【0358】
表31
【0359】
この結果に続いて、およびネコ化mAbにおける親和性を回復させるために、上記のネコ化HcLb重鎖のうちの最良のTGFβ結合を有する6つを、元のマウス軽鎖(mHcLb-VL)又は軽鎖のイヌ化バージョンのうちの1つ(canHcLb-VL4)と対にした。同様に、上述のネコ化HcLb軽鎖のうちの4つを、元のマウス重鎖(mHcLb-VH)又は重鎖のイヌ化バージョンのうちの1つ(canHcLb-VH1)と対にした。これらのmAbは、ネコ化鎖が他の種の鎖と対をなすため、本明細書で「ヘテロ対」として定義される。マウス重鎖を有する4つを除いて、全てのヘテロ対が発現している。しかしながら、ネコ化カッパ鎖と対をなすイヌ化重鎖(canHcLb-VH1)のみが、TGFβ1、2、及び3に対するネコ化抗体の高親和性結合を回復した(表32を参照されたし)
【0360】
表32
【0361】
ヘテロ対から得られた結果に基づいて、ネコ化重鎖がTGFβ結合親和性の喪失の原因であると推定した。HcLbのネコ化バージョンに対する親和性を回復する更なる取り組みにおいて、重鎖CDR1バリアントを、CDRH2バリアント生成のために上記した同じ方法を使用して生成した。より具体的には、重鎖CDR1領域の2つの異なるバリアント下流伸長バージョン、WMN又はYMNのいずれかを生成した。
【0362】
表33
【0363】
これらのCDRH1バリアントを、上で論じたCDRH2バリアント領域の有無にかかわらず、felHcLb-H1-1可変重領域に組み込み、それによって、4つの追加のネコ化可変重領域を作成した。
【0364】
表34
【0365】
これらの追加の可変重領域のうちの各々を、それぞれのネコ科動物重定常領域(ネコ科動物重鎖定常領域の配列番号131についてのヌクレオチド配列、及びネコ科動物軽鎖定常領域の配列番号133についてのヌクレオチド配列)を含有するプラスミドにサブクローニングした後、プラスミドを、HEK293細胞における抗体発現のために、上記のfelHcLb-K1-1軽鎖とともに同時トランスフェクションした。発現後、TGFβ結合をSPRを介して調査した。CDRH1領域とCDRH2領域との両方においてバリアントを含むfelHcLb-H1-1xWMN抗体は、TGFβ1、2及び3に対する高親和性結合を回復させ、主にイヌ科動物弁間質初代細胞におけるTGFβ1、2及び3のpSMAD機能的活性の強力な中和をもたらした(表35を参照されたい)。
【0366】
表35
【0367】
ZTS-4155の薬物動態
イヌにおける、イヌ化抗TGFβ1、2、3モノクローナル抗体、ZTS-4155(VH:配列番号73、VL:配列番号85)の皮下及び静脈内の薬物動態を決定する研究。研究設計を表36に表す。
【0368】
表36
【0369】
Watson(v7.4.1、Thermo Electron Corp.、Philadelphia,PA)の補助を用いるノンコンパートメントアプローチ(AUC計算の線形台形法)を使用して、薬物動態計算を実施した。PKパラメータは、期間1、2、及び3について、それぞれ試験0~28日目、試験28~56日目、及び試験56~84日目からのデータを使用して計算した。バイオアベイラビリティは、期間1の期間2への、及び期間2の期間3への繰り越しを修正するために、Microsoft Excelを使用して計算した。バイオアベイラビリティは、静脈内用量に対する皮下用量の推定AUC0-∞に基づいた。
【0370】
表37
イヌにおける血清ZTS-4155濃度(μg/mL)
【0371】
表38
期間1についてのイヌにおける血清ZTS-4155薬物動態
(0日目の2.0mg/kg皮下用量)
【0372】
表19
期間2についてのイヌにおける血清ZTS-4155薬物動態
(28日目の2.0mg/kg皮下用量)
【0373】
表40
期間3についてのイヌにおける血清ZTS-4155薬物動態
(56日目の2.0mg/kg静脈内用量)
【0374】
図12は、平均イヌ血清ZTS-4155濃度時間グラフを表す。誤差バーは、1つの標準偏差を示す。ZTS-4155についての半減期は、およそ4.1日であると決定した。
【0375】
実施例4:
水素重水素交換を介するエピトープマッピング
水素重水素交換(HDX)実験を使用して、各抗体シリーズが結合するTGFβ1上のエピトープを決定した。この方法は、各mAbによって標的化されるTGFβ1上のペプチドレベルエピトープを、HDX質量分析によって確立する。各mAb分析について、TGFβ1を、mAbの存在下及び非存在下で重水素酸化物中でインキュベートし、消化し、次いで断片を分析し、質量分析を介して水素/重水素交換について比較する。
【0376】
より具体的には、方法を以下のとおりに実施した。1ミリグラムのTGFβ1を500μLの対照緩衝液(pH7.4における50mMのリン酸塩、100mMの塩化ナトリウム)中で再構成した。10μLのヒトTGFβ1(10μg)(PeproTech)又は10μLのヒトTGFβ1及びmAb混合物(10μg:70μg)を、70μLの重水素酸化物標識化緩衝液(pD7.4における50mMのリン酸ナトリウム、100mMの塩化ナトリウム)とともに、1分間、10分間、及び1時間インキュベートした。160μLの8Mの尿素、0.85MのTCEP緩衝液(最終pHは4.0)を添加することにより、水素/重水素交換をクエンチした。その後、クエンチされた試料をカラムのペプシン消化及びLC-MS分析に供した。質量スペクトルを、MSのみモードで記録した。
【0377】
ペプシン消化のために、80μLの対照緩衝液(pH7.4における50mMのリン酸塩、100mMの塩化ナトリウム)中の10μgのヒトTGFβ1を、160μLの8Mの尿素、0.85MのTCEP緩衝液(最終pHは4.0)を添加し、混合物を6℃で3分間インキュベートすることによって変性させた。次いで、混合物を、11℃でハウス充填ペプシンカラム(2.1x30mm)を使用してペプシン消化に供し、Q Exactive(商標)Hybrid Quadrupole-Orbitrap質量分析計(Thermo)にカップリングさせたWaters Acquity UPLCから構成されるUPLC-MSシステムを使用して、得られるペプチドを分析した。ペプチドを捕捉し、次いで、2~32%の溶媒B(アセトニトリル中0.2%のギ酸)から20.5分のグラジエントにより50mm×1mmのC8カラムにて分離した。溶媒Aは、水中の0.2%のギ酸である。注入バルブ及びペプシンカラム、並びにそれらの関連する接続チューブは、11℃で維持された冷却ボックスの内部にある。そして、第2の切り替えバルブ、捕捉カラム、C8カラム、及びそれらの関連する接続ステンレス鋼チューブは、0℃で維持された冷蔵された循環ボックスの内部にある。マウスTGFβ1配列に対して、Mascotを用いてMS/MSデータを検索することによって、ペプチドの同定を行う。前駆体及び生成物イオンについての質量許容度は、それぞれ、10ppm及び0.02Daである。
【0378】
生のMSデータは、H/D交換MSデータの分析のためのソフトウェアであるHDX WorkBenchを使用して処理した(J.Am.Soc.Mass Spectrom.2012,23(9),1512-1521)。重水素化ペプチドとその天然形態との平均質量差異(t0)を使用して、重水素レベルを計算した。
【0379】
以下の抗体を、この方法を介して特徴付けた。04H09(マウス)、can04H09(VH1/VL4)、SL501(マウス)、canSL501(イヌ化VH3/FW2/Q110D+VL2)、mHcLb(マウス)、及びcanHcLb(イヌ化)。得られるエピトープ領域を図1に示し、ペプチドストレッチとして表す。参考として、ヒトTGFβ1の配列(イヌ科動物及びネコ科動物に対して100%同一)を表の上に示す。したがって、強い重水素交換応答が表され、これがその抗体に対して明確なエピトープであることを示している。表される二次エピトープはまた、mAb結合時の重水素取り込みの適度な低減を示し、エピトープの末梢領域である可能性が高い。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12
【配列表】
2023530663000001.app
【国際調査報告】