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特表2023-530667ステロイド誘導体生産用遺伝子組換え生物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-19
(54)【発明の名称】ステロイド誘導体生産用遺伝子組換え生物
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/21 20060101AFI20230711BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230711BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230711BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230711BHJP
   C12P 33/00 20060101ALI20230711BHJP
   C12N 15/53 20060101ALN20230711BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20230711BHJP
【FI】
C12N1/21 ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N5/10
C12P33/00
C12N15/53
C12N15/09 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576400
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 US2021036287
(87)【国際公開番号】W WO2021252411
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】63/037,432
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/162,229
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522479991
【氏名又は名称】サンドヒル ワン,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100227008
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 沙央里
(72)【発明者】
【氏名】リード,ジェイ.グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】レッディ,ジャヤチャンドラ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ポール,バ-ナード ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シェル,アースラ
(72)【発明者】
【氏名】リーマーマン,リチャード
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AH07
4B064CA02
4B064CA05
4B064CA06
4B064CA08
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA44
4B065CA46
(57)【要約】
ステロール誘導体を産生するための生合成プロセス、およびステロール誘導体を産生することが可能な非天然起源生物が提供される。より具体的には、コレステロール、β-シトステロール、カンペステロールおよびそのアナログから、KCEA、KCDA、および関連化合物を産生するための遺伝子組換え非天然起源生物が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の酵素活性:好気性9,10-seco分解活性および4-(ステロイド-17-イル)ペンタノイル側鎖分解活性が破壊されている、非天然起源ステロイド分解微生物。
【請求項2】
以下の酵素活性:ステロイド9-α-ヒドロキシル化活性および4-(ステロイド-17-イル)ペンタノイル側鎖分解活性が破壊されている、非天然起源ステロイド分解微生物。
【請求項3】
前記4-(ステロイド-17-イル)ペンタノイル側鎖分解活性が、22,23位の4-(ステロイド-17-イル)ペンタノイル脱水素化に対する活性を含む、請求項1または2に記載の非天然起源生物。
【請求項4】
以下のアイソザイムが破壊されていることを特徴とする非天然起源ステロイド分解微生物:
a) オキシゲナーゼサブユニット、フェレドキシン還元酵素サブユニット、またはその組合せにおいて破壊された1つ以上の3-ケトステロイド-9-α-ヒドロキシラーゼアイソザイム;および
b) 5炭素側鎖を有するステロイドCoAエステルに作用する、1つ以上のアシル-CoAデヒドロゲナーゼアイソザイム。
【請求項5】
以下の酵素活性が破壊されていることを特徴とする非天然起源ステロイド分解微生物:
a) オキシゲナーゼサブユニット、フェレドキシン還元酵素サブユニット、またはその組合せにおいて破壊された1つ以上の3-ケトステロイド-9-α-ヒドロキシラーゼアイソザイム;
b) 5炭素側鎖を有するステロイドCoAエステルに作用する1つ以上のアシル-CoAデヒドロゲナーゼアイソザイム;および
c) 1つ以上の3-ケトステロイドδ-1デヒドロゲナーゼアイソザイム。
【請求項6】
前記1つ以上のアシル-CoAデヒドロゲナーゼアイソザイムが、FadE34/ChsE3およびCasCアイソザイム、ならびにその組合せからなる群から選択される、請求項4または5に記載の非天然起源微生物。
【請求項7】
ロドコッカス(Rhodococcus)属に由来する、請求項1~6のいずれかに記載の非天然起源微生物。
【請求項8】
ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)RHA1に由来する、請求項1~7のいずれかに記載の非天然起源微生物。
【請求項9】
ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)DSM 1444またはDSM 1445に由来する、請求項1~8のいずれかに記載の非天然起源微生物。
【請求項10】
a) RHA1_RS21845、
b) RHA1_RS28395、
c) RHA1_RS22120、
d) RHA1_RS12175、
e) RHA1_RS28370、
f) RHA1_RS40090、
g) またはその組合せ
において破壊された発現配列を有する、請求項7、8、または9に記載の非天然起源微生物。
【請求項11】
a) RHA1_RS22090、
b) RHA1_RS12140、
c) RHA1_RS28305、
d) RHA1_RS28380、
e) RHA1_RS40180、
f) RHA1_RS40260、
g) またはその組合せ
において破壊された発現配列を有する、請求項7、8、または9に記載の非天然起源微生物。
【請求項12】
マイコバクテリウム(Mycobacterium)属に由来する請求項1~6のいずれかに記載の非天然起源微生物。
【請求項13】
KstD酵素活性が破壊されている、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属に由来する、請求項1~6のいずれかに記載の非天然起源微生物。
【請求項14】
Ksh酵素活性が破壊されている、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属に由来する、請求項1~6のいずれかに記載の非天然起源微生物。
【請求項15】
KstDおよびKshの酵素活性が破壊されている、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属に由来する、請求項1~6のいずれかに記載の非天然起源微生物。
【請求項16】
前記1つ以上のアシル-CoAデヒドロゲナーゼアイソザイムが、ChsE1、ChsE2、ChsE3、およびCasCアイソザイム、ならびにその組合せからなる群から選択される、請求項1~6または12~15のいずれかに記載の非天然起源微生物。
【請求項17】
前記1つ以上のアシル-CoAデヒドロゲナーゼアイソザイムが、ChsE1、ChsE2、ChsE3、およびCasCアイソザイムを含む、請求項1~6または12~15のいずれかに記載の非天然起源微生物。
【請求項18】
スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)MC(2)155に由来する、請求項1~6または12~17のいずれかに記載の非天然起源微生物。
【請求項19】
a) MSMEG_6041、
b) MSMEG_0603、
c) MSMEG_6039、
d) MSMEG_5941、
e)またはその組合せ
において破壊された発現配列を有する、請求項18に記載の非天然起源微生物。
【請求項20】
a) MSMEG_6041、
b) MSMEG_0603、
c) MSMEG_6039、および
d) MSMEG_5941
において破壊された発現配列を有する請求項18に記載の非天然起源微生物。
【請求項21】
マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)属に由来する請求項1~6または12~17のいずれかに記載の非天然起源微生物。
【請求項22】
マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805属に由来する請求項1~6または12~17のいずれかに記載の非天然起源微生物。
【請求項23】
a) MyAD_RS24250;
b) MyAD_RS03655;
c) MyAD_RS24025;
d) MyAD_RS24020;または
e)その組合せ
において破壊された発現配列を有する、請求項21または22のいずれかに記載の非天然起源微生物。
【請求項24】
a) MyAD_RS24250;
b) MyAD_RS03655;
c) MyAD_RS24025;および
d) MyAD_RS24020
において破壊された発現配列を有する、請求項21または22のいずれかに記載の非天然起源微生物。
【請求項25】
相同組換え、変異誘発、またはその組合せによって活性が破壊されている、請求項1~24のいずれかに記載の生物。
【請求項26】
請求項1~25のいずれかに記載の非天然起源微生物を1つ以上の植物ステロールの存在下で増殖させ、KCEAおよび/またはKCDAを産生することを含む、ステロイドの作製方法。
【請求項27】
請求項1~25のいずれかに記載の非天然起源微生物をβ-シトステロール、カンペステロール、コレステロール、またはその混合物の存在下で増殖させ、KCEAおよび/またはKCDAを産生することを含む、ステロイドの作製方法。
【請求項28】
請求項1~25のいずれかに記載の非天然起源微生物をβ-シトステロール、カンペステロール、コレステロール、またはその混合物の存在下で増殖させ、20%、30%、40%、50%、60%、70%、または80%を超える収率でKCEAおよび/またはKCDAを産生することを含む、ステロイドの作製方法。
【請求項29】
前記増殖がシクロデキストリンの存在下で生じる、請求項26~28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記KCEAまたはKCDAをUDCAに変換することをさらに含む、請求項26~29のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステロール誘導体を産生するための生合成プロセス、およびステロール誘導体を産生することができる非天然起源の生物に関する。より具体的には、本発明は、コレステロール、β-シトステロールおよび関連化合物から、KCEA、KCDAおよび関連化合物を産生するための遺伝子組換え非天然起源の生物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ステロイドは、以下の化学構造:
【0003】
【化1】
で表される4つの縮合シクロアルカン環のゴナンコアを含むテルペノイド脂質の特定のクラスを表す。
【0004】
ゴナンコアは、1つ以上のエチレン性不飽和度を有することができ;1つ以上の有機官能基部分によって改変することができ;そして、いくつかの異なる光学的配向で存在し得る。したがってステロイドスーパーファミリーは、ステロール(例えば、コレステロール、β-シトステロール、エルゴステロール);胆汁酸;コルチコイド;心臓アグリコン;ホルモン;ビタミンD;および昆虫脱皮ホルモン等の様々な構造を含む。
【0005】
ステロイドは、動物界および植物界の生体内で多機能を果たしており、ステロイドの構造改変は生物活性に大きな影響を与える。ステロイドのシクロアルカン環ならびに側鎖のヒドロキシル基の位置およびそれらが結合している炭素の周囲の立体化学は非常に重要である。例えば、11β位および17α位にヒドロキシル官能基が存在することは抗炎症活性に必須であり(例えば、コルチゾール、プレドニゾロン)、14β-ヒドロキシル基は典型的には心臓活性ステロイドに見られ、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)およびエピアンドロステロン(EpiA)の7-ヒドロキシル化誘導体は神経保護効果があり、1α-および25α-ヒドロキシル官能基はビタミンD活性に重要である。
【0006】
近年、代謝工学によって、新しいステロイド産生株の生産が可能になった。Fernandez-Cabezon et alの概説(Frontiers in Microbiology, Volume 9, Article 958)(May, 2018)で報告されているように、例えばGalanら(Microb. Biotechnol. 10, 138-150)(2017)はADD(「1,4-アンドロスタジエン-3,17-ジオン)およびAD(「4-アンドロステン-3,17-ジオン」)ステロール誘導体を産生するようにスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)の変異体株を産生した。Yao et al(Metab. Eng. 24, 181-191)(2014)は、9OH-ADおよびC-22ステロール誘導体を産生するようにマイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)の複数の遺伝子欠失変異体を開発した。Wei et al(Appl. Environ. Microbiol. 76, 4578-4582)(2010)は、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NwlB-01のKstD遺伝子を欠失させることによってAD産生変異体を設計した。他の著者らは、ロドコッカス(Rhodococcus)属の種でステロールからステロイド中間体を産生する変異株の構築を試みている。しかし、複数のステロイド異化経路の存在および特定のアイソザイム(例えば、KstD、KshA、およびKshB)の基礎レベルの存在により、これらの種における安定な産生体の開発が妨げられている。
【0007】
必要なのは、重要な酵素の活性をノックアウトした、分解経路の特定の接合部でステロイド無機化を停止させ、それによって商業的に有用なステロイドおよびステロイド中間体を不要な副産物を最小限に抑えながら高収率で産生することが可能な新しい遺伝子組換え微生物である。
【0008】
特に必要とされているのは、コレステロール、β-シトステロール、カンペステロール、および少なくとも5個の炭素の長さのアルキル側鎖を有する他の同様のステロールから、KCEA、KCDA、および同様の化合物を産生することができる、重要な酵素の選択的活性がノックアウト、無効化、または他の方法で破壊された遺伝子組換え生物である。
【発明の概要】
【0009】
本発明者らは、β-シトステロール、コレステロール、およびカンペステロール等の市販のステロールから、KCEAおよびKCDAならびに関連ステロールを高収率で産生する予想外の能力を有するいくつかの遺伝子組換え生物を発見した。この生物は、好ましくは、相同組換えまたは誘導変異誘発によって、ネイティブな生物の染色体にコードされている必須の酵素活性が破壊されている。生物の9,10-seco分解経路、特に9-α-ヒドロキシル化活性を破壊することによって、および4-(ステロイド-17-イル)ペンタノイルCoA側鎖を、特に22,23位で分解する生物の能力を破壊することによって、KCDAおよびKCEA等の貴重なステロール誘導体が驚くほど高い収率で産生され得る。さらに3-ケトステロイドδ-1デヒドロゲナーゼ活性を破壊することによって、KCDAに優先してKCEAを産生することができる。
【0010】
したがって、第1の主要な実施形態において、本発明は、以下の酵素活性:好気性9,10-seco分解活性および4-(ステロイド-17-イル)ペンタノイル側鎖分解活性が破壊されている非天然起源のステロイド分解微生物を提供する。
【0011】
第2の主要な実施形態において、本発明は、以下の酵素活性:ステロイド9-α-ヒドロキシル化活性および4-(ステロイド-17-イル)ペンタノイル側鎖分解活性が破壊されている非天然起源のステロイド分解微生物を提供する。
【0012】
第3の主要な実施形態において、本発明は、以下の酵素活性が破壊されていることを特徴とする非天然起源のステロイド分解微生物を提供する:(a)1つ以上の3-ケトステロイド-9-α-ヒドロキシラーゼアイソザイムが、オキシゲナーゼサブユニット、フェレドキシン還元酵素サブユニットまたはその組合せにおいて破壊されていること;および(b)5炭素側鎖を有するステロイドCoAエステルに作用する1つ以上のアシル-CoAデヒドロゲナーゼアイソザイム。
【0013】
第4の主要な実施形態において、本発明は、以下の酵素活性が破壊されていることを特徴とする非天然起源のステロイド分解微生物を提供する:(a)1つ以上の3-ケトステロイド-9-α-ヒドロキシラーゼアイソザイムがオキシゲナーゼサブユニット、フェレドキシン還元酵素サブユニット、またはその組合せにおいて破壊されていること;(b)5炭素側鎖を有するステロイドCoAエステルに作用する1つ以上のアシル-CoAデヒドロゲナーゼアイソザイム;および(c)1つ以上の3-ケトステロイドδ-1デヒドロゲナーゼアイソザイム。
【0014】
本発明のさらなる利点は、一部は以下の説明に記載され、一部は説明から明らかであるか、または本発明の実施により学習することができる。本発明の利点は、添付の特許請求の範囲に特に指摘された要素および組合せによって実現および達成されるであろう。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的および説明的なものであるに過ぎず、請求項に記載の本発明を限定するものではないことは理解されるべきである。
【0015】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明のいくつかの実施形態を示し、説明とともに本発明の原理を説明するのに役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1に記載されたロドコッカス(Rhodococcus)株SAND001~SAND006を作製する遺伝子ノックアウトの順序、および植物ステロールまたはコレステロールで増殖させた場合のこれらの株の産物を示すフローチャート図である。
図2】実施例2に記載されたロドコッカス(Rhodococcus)株SAND007~SAND012を作製する遺伝子ノックアウトの順序、および植物ステロールまたはコレステロールで増殖させた場合のこれらの株の産物を示すフローチャート図である。
図3】実施例4および実施例5に記載されたロドコッカス(Rhodococcus)株SAND013~SAND015をもたらす遺伝子ノックアウトの順序、および植物ステロールまたはコレステロールで増殖させた場合のこれらの株の産物を示すフローチャート図である。
図4】実施例7および実施例8に記載されたマイコバクテリウム(Mycobacterium)株SAND016~SAND019を作製する遺伝子ノックアウトの順序、および植物ステロールまたはコレステロールで増殖させた場合のこれらの株の産物を示すフローチャート図である。
図5】実施例14に記載された実験から得られたHPLC/MSトレースのグラフ描写である。A:抽出ブロスサンプルのUVトレース、B:抽出ブロスサンプルのm/z373.55(KCEA)の抽出イオンクロマトグラム(EIC)、C:KCEA標準のUVトレース、KCEA標準のTICである。
図6】実施例で報告された抽出ブロスサンプル(A)およびKCEA標準(B)のKCEAピークのMSスペクトル比較である。
図7】実施例21に記載されるように植物ステロール混合物を供給したマイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND029の解析である。A)単離KCEA標準(上)および全ブロス抽出物(下)のLCMSトレース(246nmにおけるUV)、B)単離KCEA標準(上)および全ブロス抽出物(下)のMSスペクトルである。
図8】実施例23に記載されるようにコレステロールを供給したマイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND030の解析である。A)単離KCEA標準(上)および全ブロス抽出物(下)のLCMSトレース(246nmにおけるUV)、B)単離KCEA標準(上)および全ブロス抽出物(下)のMSスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
用語の定義および使用
本明細書およびそれに続く特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈から明確に指示されない限り、複数形の参照語を含む。「含む(comprise)」および、「含むこと(comprising)」および「含む(comprises)」などのこの単語の変形は、「含むが限定されない」ことを意味し、例えば、他の添加物、構成要素、整数またはステップを除外することを意図していない。ある要素が複数の構成要素、ステップまたは条件を含むものと記載される場合、この要素は、そのような複数の任意の組合せを含む、または複数の構成要素、ステップまたは条件またはそれらの組合せから「なる」または「本質的になる」ことも記載できると理解されるであろう。
【0018】
アルキルは、1つ以上のアシル、ヒドロキシ、またはカルボン酸によって任意に置換された、1~20個の炭素を有する飽和直鎖または分岐炭化水素を指す。好ましくは、アルキルは単に1~20個の炭素を有する飽和直鎖または分岐炭化水素を指す。
【0019】
アイソザイム(isozymeまたはisoenzyme)は、アミノ酸配列が異なるが、同じ化学反応を触媒する酵素である。同じ活性を持つアイソザイムは、同じ微生物種内に存在することもあれば、異なる微生物種にまたがって存在することもある。
【0020】
生物の「ネイティブな状態」は、本発明の方法にしたがって、好ましくは組換え技術または変異誘発技術によって改変する前の、生物の天然起源の状態を指す。したがって、例えば、本明細書において、「前記活性は、そのネイティブな状態の前記生物の染色体にコードされている」と記載されている場合、これは、「前記活性は、誘導された改変前の染色体にコードされている」ことを意味する。
【0021】
FadE34(すなわちChsE3)はコレステロール分解に関与する5-炭素ACADを、CasCはコール酸分解に関与するホモログACADを表す。ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)RHA1、スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)は全てFadE34およびCasCの両方をコードしている。
【0022】
考察
本発明の概要で述べたように、本発明者らは、ステロイド分子を分解する能力を有する生物に由来する突変異微生物であって、ステロイド分解を重要な酵素的ステップで停止させ、それによって、不要な副産物をほとんどまたは全く産生することなく、所望のステロイド誘導体を高収率で産生できる突然変異微生物を発見した。
【0023】
したがって、第1の主要な実施形態において、本発明は、以下の酵素活性:好気性9,10-seco分解活性および4-(ステロイド-17-イル)ペンタノイル側鎖分解活性が破壊されている非天然起源のステロイド分解微生物を提供する。
【0024】
第2の主要な実施形態において、本発明は、以下の酵素活性:ステロイド9-α-ヒドロキシル化活性および4-(ステロイド-17-イル)ペンタノイル側鎖分解活性が破壊されている非天然起源ステロイド分解微生物を提供する。
【0025】
第3の主要な実施形態において、本発明は、以下の酵素活性が破壊されていることを特徴とする非天然起源のステロイド分解微生物を提供する:(a)1つ以上の3-ケトステロイド-9-α-ヒドロキシラーゼアイソザイムが、オキシゲナーゼサブユニット、フェレドキシン還元酵素サブユニットまたはその組合せにおいて破壊されていること;および(b)5炭素側鎖を有するステロイドCoAエステルに作用する1つ以上のアシル-CoAデヒドロゲナーゼアイソザイム。
【0026】
第4の主要な実施形態において、本発明は、以下の酵素活性が破壊されていることを特徴とする非天然起源のステロイド分解微生物を提供する:(a)1つ以上の3-ケトステロイド-9-α-ヒドロキシラーゼアイソザイムがオキシゲナーゼサブユニット、フェレドキシン還元酵素サブユニット、またはその組合せにおいて破壊されていること;(b)5炭素側鎖を有するステロイドCoAエステルに作用する1つ以上のアシル-CoAデヒドロゲナーゼアイソザイム;および(c)1つ以上の3-ケトステロイドδ-1デヒドロゲナーゼアイソザイム。
【0027】
遺伝子組換え生物において破壊されるべき正確な酵素活性は、3つの別個の要素:(i)所望の最終産物、(ii)最終産物の産生のための出発物質、および(iii)遺伝子組換え生物のネイティブな酵素活性の関数である。本発明者らは、これら3つの要素に関する知見をもとに、微生物の増殖、およびその微生物からの所望の最終産物の採取および精製に関する公知の工業的技術を利用して、ステロイド分解産物を高収率で産生することができる遺伝子組換え生物を合理的に設計した。例えば、ロドコッカス(Rhodococcus)属またはマイコバクテリウム(Mycobacterium)属に由来する微生物を、コレステロール、β-シトステロール、またはカンペステロール等のステロール上で適切な増殖環境で増殖させることにより、KCEAまたはKCDA、またはKCEAとKCDAの組合せを20%、35%、または50%さえをも超える変換収率で得ることが可能である。
【0028】
本発明の最終産物
本発明のプロセスの最終産物は、広義には、以下を含むステロイドと定義することができる:
a)インタクトなゴナンコア;
b)A環の3位におけるケトン;および
c)KCEAおよびKCDAのような、D環の17位における4-イル-ペンタン酸。
【0029】
議論を容易にするために、このジャンルの最終産物を、本明細書において、4-(3-ケトステロイド-17-イル)ペンタン酸と称する。
【0030】
より特定の実施形態において、4-(3-ケトステロイド-17-イル)ペンタン酸は、ゴナンコアに対する以下の改変の1つまたは組合せによって特徴付けることができる:
a)ゴナンコア上の10炭素におけるメチル置換;
b)ゴナンコア上の13炭素におけるメチル置換;および/または
c)A環上の1または2度のエチレン性不飽和。
【0031】
なおさらなる実施形態において、4-(3-ケトステロイド-17-イル)ペンタン酸は、4-イル-ペンタン酸側鎖における(r)立体化学によって特徴付けることができ、これはステロール出発物質におけるものと同じとなる。なおさらなる実施形態において、4-(3-ケトステロイド-17-イル)ペンタン酸は、17位および20位における(r)立体化学によって特徴付けられる。
【0032】
特に好ましい最終産物は、以下の化学構造:
【0033】
【化2】
によって定義される、KCEA(3-ケトコール-4-エン酸)およびKCDA(3-ケトコーラ-1,4-ジエノイン酸)およびその対応するアルコールである。
【0034】
本発明における出発物質
本発明で使用するための出発物質は、広義には、以下を含む任意のステロイドとして定義することができる:
a)インタクトなゴナンコア;
b)A環の3位におけるヒドロキシ;および
c)6~20の炭素原子を含むD環の17位のアルカン-2-イル。
【0035】
議論を容易にするために、このジャンルの出発物質を、本明細書において、3-ヒドロキシ、17-(アルカン(6~20)-2-イル)ステロイドと称する。
【0036】
より特定の実施形態において、3-ヒドロキシ、17-(アルカン(6~20)-2-イル)ステロイドは:
a) ゴナンコア上の10炭素におけるメチル置換;
b) ゴナンコア上の13炭素におけるメチル置換;および
c) B環の5-6結合における1度のエチレン性不飽和
を特徴とするであろう。
【0037】
他のより特定の実施形態において、D環の17位のアルカン-2-イルは、6~15個の炭素原子、7~12個の炭素原子、または8~10個の炭素原子を含む。好ましい実施形態において、D環の17位のアルカン-2-イルは、コレステロールを特徴付ける8炭素側鎖、カンペステロールを特徴付ける9炭素側鎖、またはβ-シトステロールを特徴付ける10炭素側鎖を含む。特に好ましい出発物質としては、以下の化学構造:
【0038】
【化3】
で定義されるコレステロール、β-シトステロール、およびカンペステロールが挙げられる。
【0039】
ステロイド分解微生物
ステロイドを分解できるほとんどのネイティブな生物における前述の出発物質の完全な無機化は、典型的には、様々な活性を有する複数の酵素、および同じ生物内の共通の酵素活性を持つことが多い複数のアイソザイムに依存する。これらの酵素は一般的に、(1)A環分解に関与するもの、(2)側鎖分解に関与するもの、(3)AB環分解に関与するもの、および(4)CD環分解に関与するものの4つの別個のカテゴリーに分類することができる。様々な微生物分類群の代表的な酵素活性としては、放線菌の以下の酵素およびそのアイソザイムが挙げられる(括弧内は例示種の略称と共に示す)。
【0040】
A環分解酵素
- コレステロールオキシダーゼアイソザイム(ChOx);
- 3-ケトステロイド-δ-1デヒドロゲナーゼアイソザイム(「KstD」);
側鎖分解酵素
- 5炭素側鎖を有するステロイドCoAエステルに作用するアシル-CoAデヒドロゲナーゼ(「ACAD」)アイソザイム(FadE34/ChsE3またはCasC);
- 5炭素側鎖を有するステロイドCoAエステル以外のステロイドCoAエステルに作用するアシル-CoAデヒドロゲナーゼ(ACAD)アイソザイム;
AB環分解酵素
- オキシゲナーゼ活性(「KshA」)およびフェレドキシン還元酵素活性(「KshB」)を担うサブユニットを含む3-ケトステロイド-9-α-ヒドロキシラーゼアイソザイム;
CD環分解酵素
- 3-ヒドロキシ-9,10-セコナンドロスト-1,3,5(10)-トリエン-9,17-ジオン-4-ヒドロキシラーゼ(オキシゲナーゼ)(「HsaA」)アイソザイム;
- 3,4-ジヒドロキシ-9,10-セコアンドロスタ-1,3,5(10)-トリエン-9,17-ジオン-4,5-ジオキシゲナーゼ(「HsaC」)アイソザイム;
- 4,5-9,10-ジセコ-3-ヒドロキシ-5,9,17-トリオキソアンドロスタ-1(10),2-ジエン-4-オエートヒドロラーゼ(「HsaD」)アイソザイム;
- 2-ヒドロキシヘキサ-2,4-ジエノエートヒドラターゼ(「HsaE」)アイソザイム;
- 4-ヒドロキシ-2-オキソヘキサノエートアルドラーゼ(「HsaF」)アイソザイム;および
- プロパノールデヒドロゲナーゼ(「HsaG」)アイソザイム。
【0041】
本発明の目的のために、本明細書に記載の「必須破壊酵素」および本明細書に記載の「必須維持酵素」をそのネイティブな状態で含む任意のステロイド分解微生物は、本発明の方法の実施に適しているであろう。必須破壊酵素は、本発明の方法を実施するためにその活性を破壊する必要がある、本発明のネイティブな生物に存在するステロイド分解酵素である。
【0042】
したがって、必須破壊酵素としては、5炭素側鎖を有するステロイドCoAエステルに作用するアシル-CoAデヒドロゲナーゼアイソザイム(例えば、FadE34/ChsE3またはCasC)が含まれる。特に好ましい実施形態において、生物は、4-(ステロイド-17-イル)ペンタノイル側鎖の分解を担う酵素活性が破壊されている。4-(ステロイド-17-イル)ペンタノイル側鎖は、CoAエステル、カルボン酸、またはアルコールとして生物に蓄積することができ、その分解を担うアシル-CoAデヒドロゲナーゼ(「ACAD」)アイソザイムが破壊されている限り、側鎖の正確な構造は本発明に重要ではないことは理解されるであろう。
【0043】
破壊しておくべき他の必須酵素活性は、2構成要素3-ケトステロイド-9-α-ヒドロキシラーゼ(「Ksh」)酵素系に関連する酵素活性である。Ksh酵素系は、オキシゲナーゼ(「KshA」)活性およびフェレドキシン還元酵素(「KshB」)活性を含み、本発明は、いずれかの活性または両方、ならびにかかる活性を担う1つ以上のアイソザイムを破壊することにより実施し得る。言い換えれば、本発明はKsh酵素系の3-ケトステロイド-9-α-ヒドロキシラーゼ、オキシゲナーゼサブユニット、および/または3-ケトステロイド-9-α-ヒドロキシラーゼ、フェレドキシン還元酵素サブユニットを破壊することによって実施し得る。
【0044】
上記2つの活性が破壊された生物は、適切なステロイド出発物質からKCEAおよびKCDAを産生することができる。A環のC1~2位の二重結合が望ましくない実施形態においては、第3のクラスとして3-ケトステロイド-δ-1デヒドロゲナーゼアイソザイム(「KstD」)活性を破壊することも必須である。したがって、KstD活性も破壊することによって、KCDAに優先してKCEAを産生することが可能である。
【0045】
本発明のネイティブな生物は、上述の各活性を担う1つ以上のアイソザイムを含み得ること、およびネイティブな微生物に存在するアイソザイムの1つまたは任意の組合せの活性を、本発明の実施において破壊し得ることは理解されるであろう。また、本発明にしたがって破壊される活性は、ネイティブな生物の染色体にコードされていることも理解されるであろう。したがって、本発明の好ましい生物は、相同組換えまたは誘導変異誘発による関連活性の遺伝的ノックアウトによって改変される。
【0046】
本発明を実施するための好ましい生物はただ1つの染色体を有するが、他の適切な生物は複数の染色体を含むことに留意すべきである。「染色体」という用語は、生物を複数の染色体を有する生物に限定することを意味するものではなく、単に、明確に反対のことを述べない限り、単一および複数の染色体を有する生物が本発明によって意図されるという事実を指す。
【0047】
必須維持酵素は、本発明の方法を実施するためにその活性が維持されなければならない、本発明のネイティブな生物に存在するステロイド分解酵素である。本発明の目的のために、必須維持酵素は、5炭素側鎖を有するステロイドCoAエステル以外のステロイドCoAエステルに作用する1つ以上のアシル-CoAデヒドロゲナーゼ(「ACAD」)アイソザイム、例えば、天然起源のC8~C10側鎖を、側鎖の末端24位でCoAエステルまたはカルボン酸を有するC5側鎖に変換するために必要な酵素およびアイソザイムを含む。繰り返しになるが、生物が側鎖のCoAエステル、カルボン酸、またはアルコールを蓄積しているかどうかは重要ではない。
【0048】
他の必須維持酵素としては、3-β-ヒドロキシ-5-エンステロイドを3-ケト-4-エンステロイドに変換することができる酵素が挙げられる。
【0049】
本発明の方法を実施するのに有用な変異体ステロイド分解微生物は、本明細書に定義される必須破壊酵素および必須維持酵素を有するネイティブな生物に由来し、ここで、必須破壊酵素の活性は、相同組換えまたは誘導変異誘発によるように、除去、破壊または分解されている。
【0050】
したがって、一実施形態において、本発明を実施するための変異体生物は、以下のアイソザイム:
5炭素側鎖を有するステロイドCoAエステルに作用するアシル-CoAデヒドロゲナーゼアイソザイム(例えばFadE34/ChsE3またはCasC;3-ケトステロイド-9-αヒドロキシラーゼ、オキシゲナーゼサブユニット、および/または3-ケトステロイド-9-αヒドロキシラーゼ、フェレドキシン還元酵素サブユニットで破壊された活性を有するKsh酵素系のアイソザイム;および任意に3-ケトステロイド-δ-1デヒドロゲナーゼアイソザイム(「KstD」)によって;5炭素側鎖を有するステロイドCoAエステルに作用しない1つ以上のインタクトなアシル-CoAデヒドロゲナーゼ(「ACAD」)アイソザイムおよび3-β-ヒドロキシ-5-エンステロイドを3-ケト-4-エンステロイドに変換できる1つ以上の酵素(複数可)と組み合わせて活性が損なわれているかまたは分解されている生物を指す。
【0051】
好ましい生物としては、Bergstrand et al.(mBio Volume 7 Issue 2 e00166-16)(American Society of Microbiology)(2016)により全て記載された、アクチノバクテリア属(Actinobacteria spp.)、ならびにα-、β-およびγプロテオバクテリアを含む。アクチノバクテリア(Actinobacteria)は、好ましくは、コリネバクテリウム(Corynebacterineae)亜目の属(アミコリシコッカス(Amycolicicoccus)、ディエツィア(Dietzia)、ゴルドニア(Gordonia)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、ノカルジア(Nocardia)、ロドコッカス(Rhodococcus)、およびツカムレラ(Tsukamurella))、ならびにアクチノプラネス(Actinoplanes)属、アエロミクロビウム(Aeromicrobium)属、アミコラトプシス(Amycolatopsis)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、ノカルジオイデス(Nocardioides)属、サッカロモノスポラ(Saccharomonospora)属、サリニスポラ(Salinispora)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属およびサーモモノスポラ(Thermomonospora)属を含む。プロテオバクテリア(Proteobacteria)生物は、好ましくは、バークホルデリア(Burkholderia)属、コマモナス(Comamonas)属、カプリアビダス(Cupriavidus)属、グラシエコラ(Glaciecola)属、ヒドロカーボニファーガ(Hydrocarboniphaga)属、マリノバクテリウム(Marinobacterium)属、ノボスフィンゴビウム(Novosphingobium)属、シュードアルテロモナス(Pseudoalteromonas)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、シュワネラ(Shewanella)属およびスフィンゴモナス(Sphingomonas)属内の個々の種を含む。
【0052】
本発明を実施するための例示的な生物は、ロドコッカス(Rhodococcus)またはマイコバクテリウム(Mycobacterium)属の微生物、例えばロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)RHA1、ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)DSM 1444またはDSM 1445、スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)MC(2)155、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805を含む。マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805は、KstD、Ksh等のいくつかのアイソザイムをコードする遺伝子クラスター(スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)に記載のいわゆるC-19+クラスター)を欠く他のマイコバクテリウム(Mycobacterium)株と共に好ましい(スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)酵素名:KstD2、KstD3、KshA2、KshB2、HsaA2、HsaC2およびHsaD2。Fernandez-Cabezon et al(Environ Microbiol. 2018 May;20(5):1815-1827)を参照されたい。マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805の遺伝子は、相同組換えによって破壊されたのではなく;その活性は誘導変異誘発およびAD産生改善のための選択によって破壊された。Fernandez-Cabezon et al. (Front. Microbiol., 15 May 2018 https://doi.org/10.3389/fmicb.2018.00958)およびLorraine and Smith(Methods Mol Biol. 2017;1645:93-108. doi: 10.1007/978-1-4939-7183-1_7)を参照されたい。
【0053】
酵素活性の破壊
標的とするアイソザイムの発現を変化させるために、任意の公知の遺伝子技術を用いることができるが、好ましい方法は、プラスミド、バクテリオファージ(ファージλ等)、コスミド、または細菌人工染色体(BAC)等のクローニングベクターを挿入し、これがその後複製されて宿主生物の染色体遺伝子機構に不可欠となることを含む。
【0054】
相同組換えまたは誘導突然変異誘発による株操作に好ましいプラスミドは、一般的な大腸菌(Escherichia coli)クローニングベクターをベースとしている。プラスミドの生物への侵入は、一般的に、形質転換(例えば、化学的または電気穿孔法)またはコンジュゲーションによって促進されるであろう。適切なプラスミドは、周知のバイオテクノロジー技術を使用して設計および構築することができ、これは一般的に、プラスミドへのまたはプラスミドからのDNA断片の挿入または除去を伴う。最も早期から一般的に使用されているクローニングベクターの1つはpBR322プラスミドである。他のクローニングベクターとしてはpUCシリーズのプラスミドが挙げられるが、現在では多数の異なるクローニングプラスミドベクターが利用可能である。pK18mobsacBは、広範囲のグラム-およびグラム+細菌へ動員することを可能にする例示的なクローニングベクターである。
【0055】
好ましい方法は、相同組換えによる遺伝子欠失の導入を伴う。この方法では、欠失させる領域の近傍配列を含むDNA断片を所望の株に移入し、2回の組換え事象またはクロスオーバー事象によって所望の株の染色体に組み込むか、または関連株に存在する遺伝子の配列を、欠失を有する遺伝子に交換するか、または完全に欠失させる。この方法において、DNA断片は、典型的にはベクター、特にプラスミド中に存在し、好ましくは欠失を提供されるべき株中で複製されない。一般的に、エシェリヒア(Escherichia)属の細菌、好ましくは大腸菌(Escherichia coli)種の細菌を、ベクターが複製され得る補助宿主または中間宿主として使用することができる。
【0056】
このようなプラスミドベクターの例は、例えば、Schafer et al.(Gene 145, 69-73 (1994))によって記載されているpK18mobsacB等のpK mobおよびpKmobsacBベクターである。これらは、大腸菌(Escherichia coli)では複製可能であるが、例えばロドコッカス(Rhodococcus)またはマイコバクテリウム(Mycobacterium)では複製不可能である。これらは、形質転換、またはmob遺伝子の存在によるコンジュゲーションのいずれかによって、標的生物に導入され得る。特に好適なベクターは、例えば、バチルス(Bacillus)のsacB遺伝子(レバンスクラーゼ遺伝子)等の条件付きに負の優性作用を有する遺伝子を含むものである。pK18mobsacBの場合、本実施例でより詳細に説明するように、10%スクロースを含む培地上で選択することにより、第2のクロスオーバー事象を促進させることができる。
【0057】
組込みをもたらす第1のクロスオーバー事象、および標的遺伝子または標的配列における切除をもたらす適切な第2のクロスオーバー事象で起こる相同組換えは、欠失の組込みを達成し、組換え細菌をもたらす。所望の欠失が起こるべき遺伝子を、標的遺伝子と称する。
【0058】
ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)RHA1における好ましい必須破壊酵素は、例えば、RHA1_RS21845(アシル-CoAデヒドロゲナーゼをコードする)、RHA1_RS28395(アシル-CoAデヒドロゲナーゼをコードする)、RHA1_RS22120(3-ケトステロイド-9-α-ヒドロキシラーゼサブユニットAをコードする)、RHA1_RS12175(3-ケトステロイド-9-α-ヒドロキシラーゼサブユニットAをコードする)、RHA1_RS28370(3-ケトステロイド-9-α-ヒドロキシラーゼサブユニットAをコードする)、RHA1_RS40090(3-ケトステロイド-9-α-ヒドロキシラーゼサブユニットAをコードする)、RHA1_RS22090(3-ケトステロイド-δ-1-デヒドロゲナーゼ(KstD)をコードする)、RHA1_RS12140(FAD結合タンパク質(KstD2)をコードする)、RHA1_RS28305(FAD結合タンパク質(KstD3)をコードする)、RHA1_RS28380(FAD結合タンパク質(KstD3b)をコードする)、RHA1_RS40180(3-ケトステロイド-δ-1-デヒドロゲナーゼ(KstD4)をコードする)、およびRHA1_RS40260(3-ケトステロイド-δ-1-デヒドロゲナーゼ(KstD4b)をコードする)である。
【0059】
一実施形態において、生物はマイコバクテリウム(Mycobacterium)であり、1つ以上のKstDアイソザイムが破壊されている。すなわち、マイコバクテリウム(Mycobacterium)は、破壊されたKstD酵素活性を含む。特に好ましいのは、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805またはスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)MC(2)155である。
【0060】
他の実施形態において、生物はマイコバクテリウム(Mycobacterium)であり、1つ以上のKshアイソザイムが破壊されている。すなわち、マイコバクテリウム(Mycobacterium)は、破壊されたKsh酵素活性を含む。特に好ましいのは、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805またはスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)MC(2)155である。
【0061】
他の実施形態において、生物はマイコバクテリウム(Mycobacterium)であり、1つ以上のKstDアイソザイムおよび1つ以上のKshアイソザイムが破壊されている。すなわち、マイコバクテリウム(Mycobacterium)は、破壊されたKstD活性および破壊されたKsh酵素活性を含む。特に好ましいのは、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805またはスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)MC(2)155である。
【0062】
他の実施形態において、生物はマイコバクテリウム(Mycobacterium)であり、1つ以上のアシル-CoAデヒドロゲナーゼアイソザイムは、ChsE1、ChsE2、ChsE3、およびCasCアイソザイムならびにその組合せからなる群から選択される。特に好ましいのは、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805またはスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)MC(2)155である。
【0063】
他の実施形態において、生物はマイコバクテリウム(Mycobacterium)であり、1つ以上のアシル-CoAデヒドロゲナーゼアイソザイムは、ChsE1、ChsE2、ChsE3、およびCasCアイソザイムの組合せを含む。特に好ましいのは、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805またはスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)MC(2)155である。
【0064】
一実施形態において、生物はマイコバクテリウム(Mycobacterium)であり、1つ以上のアシル-CoAデヒドロゲナーゼアイソザイムは、ChsE1、ChsE2、ChsE3、およびCasCアイソザイムならびにその組合せからなる群から選択され、1つ以上のKstDアイソザイムが破壊されている。特に好ましいのは、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805またはスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)MC(2)155である。
【0065】
一実施形態において、生物はマイコバクテリウム(Mycobacterium)であり、1つ以上のアシル-CoAデヒドロゲナーゼアイソザイムは、ChsE1、ChsE2、ChsE3、およびCasCアイソザイムならびにその組合せからなる群から選択され、1つ以上のKshアイソザイムが破壊されている。特に好ましいのは、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805またはスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)MC(2)155である。
【0066】
一実施形態において、生物はマイコバクテリウム(Mycobacterium)であり、1つ以上のアシル-CoAデヒドロゲナーゼアイソザイムは、ChsE1、ChsE2、ChsE3、およびCasCアイソザイムならびにその組合せからなる群から選択され、1つ以上のKshアイソザイムが破壊されている。特に好ましいのは、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805またはスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)MC(2)155である。
【0067】
一実施形態において、生物はマイコバクテリウム(Mycobacterium)であり、1つ以上のアシル-CoAデヒドロゲナーゼアイソザイムは、ChsE1、ChsE2、ChsE3、およびCasCアイソザイムの組合せならびにその組合せを含み、1つ以上のKstDアイソザイムが破壊されている。特に好ましいのは、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805またはスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)MC(2)155である。
【0068】
一実施形態において、生物はマイコバクテリウム(Mycobacterium)であり、1つ以上のアシル-CoAデヒドロゲナーゼアイソザイムは、ChsE1、ChsE2、ChsE3、およびCasCアイソザイムの組合せならびにその組合せを含み、1つ以上のKshアイソザイムが破壊されている。特に好ましいのは、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805またはスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)MC(2)155である。
【0069】
一実施形態において、生物はマイコバクテリウム(Mycobacterium)であり、1つ以上のアシル-CoAデヒドロゲナーゼアイソザイムは、ChsE1、ChsE2、ChsE3、およびCasCアイソザイムの組合せならびにその組合せを含み、1つ以上のKshアイソザイムが破壊されている。特に好ましいのは、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805またはスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)MC(2)155である。
【0070】
スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)MC(2)155の1つの特定の実施形態において、好ましい必須破壊酵素は、MSMEG_6041(アシル-CoAデヒドロゲナーゼ)、MSMEG_0603(アシル-CoAデヒドロゲナーゼ)、MSMEG_6039(フェレドキシン--NADP還元酵素)、またはMSMEG_5941(3-ケトステロイド-δ-1-デヒドロゲナーゼ)またはその組合せによってコードされている。
【0071】
マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)またはマイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805の1つの特定の実施形態において、好ましい必須破壊酵素は、MyAD_RS24250;MyAD_RS03655;MyAD_RS24025;MyAD_RS24020;またはその組合せによってコードされている。
【0072】
ステロイドの作製方法
本発明はさらに、本発明の新規な生物を用いて、UDCAおよび他の下流産物に加えて、ステロイド、特にKCEA、KCDAを作製する方法に関する。したがって、一実施形態において、本発明は、請求項1~25のいずれかに記載の非天然起源の微生物を1つ以上の植物ステロールの存在下で増殖させてKCEAおよび/またはKCDAを産生することを含む、ステロイドの作製方法を提供する。
【0073】
他の実施形態において、本発明は、請求項1~25のいずれかに記載の非天然起源の微生物をβ-シトステロール、カンペステロール、コレステロール、またはその混合物の存在下で増殖させて、KCEAおよび/またはKCDAを産生することを含む、ステロイドの作製方法を提供する。
【0074】
さらに他の実施形態において、本発明は、請求項1~25のいずれかに記載の非天然起源の微生物をβ-シトステロール、カンペステロール、コレステロール、またはその混合物の存在下で増殖させ、20%、30%、40%、50%、60%、70%または80%よりも高い収率でKCEAおよび/またはKCDAを産生することを含む、ステロイドの作製方法を提供する。
【0075】
増殖を支援するために他の増殖培地を添加することができるが、特に注目すべき添加物は、実施例でさらに説明するように、シクロデキストリンである。
【0076】
上述の方法の実施形態のいずれかにおいて、KCEAは、好ましくは、ADに対して0.1:1、0.2:1、0.3:1. 0.4:1、0.5:1、または0.6:1を超える比率で産生される。同様に、上述の方法の実施形態のいずれかにおいて、KCEAは、好ましくは、他の主要異化産物(すなわち、AD、BA、およびKCEA-アルコール)に対して0.1:1、0.2:1、0.3:1、0.4:1、または0.5:1を超える比率で産生される。
【0077】
上述の方法の実施形態のいずれかにおいて、本方法は、任意に、前記KCEAまたはKCDAをUDCAに変換することをさらに含むことができる。KCEA、KCDA、または2つの化合物の混合物は、以下の3ステップ変換を含む様々な先行技術の方法を使用してUDCAに変換されてもよい。まず、A環の二重結合(複数可)を水素化して、優先的に3-ケト-5β-コラン酸を得る。Tsuji Natsuko, et al, Journal of Organic Chemistry, 1980, vol. 45, p. 2729(3-ケト-4-エンステロイドおよび3-ケト-1,4-ジエンステロイドの両方から出発する5β-産物の高い選択性を示す)を参照のこと。その後、3-ケト-5β-コラン酸を、水性THF中で、水素化ホウ素ナトリウムで処理し、リトコール酸を得ることができる。中国特許第112375117号(2021)(水性THF中で水素化ホウ素ナトリウムを用いた反応を例示)を参照のこと。リトコール酸はその後、7β-水酸化を経て変換し、フザリウム・エクイセチ(Fusarium equiseti)M-41を用いた生物変換によりUDCAを得ることができる。米国特許第4,579,819号(1986)(フザリウム・エクイセチ(Fusarium equiseti)M-41を用いた同反応を例示)を参照のこと。
【0078】
したがって、UDCAへの変換は、以下のステップを含むことができる:(a)KCDAまたはKCEAの3-ケト-5β-コラン酸への触媒的水素化、(b)水性THF中の水素化ホウ素ナトリウム処理による3-ケト-5β-コラン酸のリトコール酸への還元、および(c)フザリウム・エクイセチ(Fusarium equiseti)M-41への曝露による酵素的7-β-ヒドロキシル化によるリトコール酸のウルソデオキシコール酸への変換。
【実施例
【0079】
以下の実施例では、数値(例えば、量、温度等)に関して正確性を確保するよう努めたが、多少の誤差および逸脱は考慮されるべきである。以下の実施例は、本明細書で特許請求される方法がどのように作成および評価されるかの完全な開示および説明を当技術分野の当業者に提供するために提示され、本発明の純粋な例示であることを意図し、本発明者が本発明と考える範囲を限定することを意図するものではない。
【0080】
一般的な方法
DNAの単離、取り扱いおよび操作は、制限酵素による消化、PCR、クローニング技術および細菌細胞の形質転換を含む標準的な方法(Green and Sambrook, 2012)を用いて実施される。
【0081】
配列決定用のゲノムDNAは、塩析法(Pospiech and Neumann, 1995)等の確立された方法を用いて単離する。PCRが容易なゲノムDNAの調製には、FastDNA Spin Kit for Soil(MP Biomedicals)を製造者のプロトコールにしたがって使用する。
【0082】
培地
培地は、特に断りのない限り、以下のように作製する。1リットルを作製するために、全ての成分を800mLの脱イオン水に示す順序で溶解させる。その後、脱イオン水を加えて最終体積を1リットルにした後、液体を121℃で20分間オートクレーブすることによって滅菌する。
【0083】
LB(Lysogeny broth)は、10g/L トリプトン、10g/L NaCl、および5g/L 酵母エキスを含む。LB寒天プレートを作製するためには、滅菌前に15g/Lの寒天を添加する。
【0084】
TSB(Trypticase soy broth)は、Sigma-Aldrich(カタログ番号22092)からプレミックス粉末として供給され、17g/L トリプトン、3g/L ソイトーン、2.5g/L グルコース、5g/L 塩化ナトリウムおよび2.5g/L リン酸二カリウムを含む。製造者の指示にしたがって調製する。
【0085】
トリプティカーゼ大豆寒天(TSA)は、Sigma-Aldrich(カタログ番号22091)からプレミックス粉末として供給され、17g/Lトリプトン、3g/Lソイトーン、2.5g/Lグルコース、5g/L塩化ナトリウム、2.5g/Lリン酸二カリウムおよび15g/L寒天を含む。製造者の指示にしたがって調製する。
【0086】
Middlebrook 7H9ブロスは、Sigma-Aldrich(カタログ番号:M0178)からプレミックス粉末として供給され、製造者の指示にしたがって作製される。0.05% Tween 80を滅菌前に添加し、ADC増殖補助剤(Sigma-Aldrichカタログ番号M0553)を添加して複合Middlebrook 7H9を作製する。Middlebrook 7H9最小培地を作製するために、ADC増殖補助剤は省略され、14mMグリセロールは上記のレシピまたは実施例に示されるようにTween 80に置き換えられている。
【0087】
M3培地は、0.5g/L KHPO、0.5g/L KHPO、1.5g/L (NHHPO、0.005g/L FeSO.7HO、0.002g/L ZnSO.7HO、0.2g/L MgSO.7HO、5g/L 酵母エキスおよび5g/L グリセロールを含む。
【0088】
M3-Tw培地はM3と同様だが、0.05%(v/v)濾過滅菌Tween 80が補足されている。
【0089】
M3およびM3-Tw寒天プレートは、上記と同様であるが、18g/L寒天を用いて調製する。
【0090】
培地Aは、8g/L Difco栄養ブロスおよび1g/L 酵母エキスを含む。滅菌前にpHは7.0に設定される。
【0091】
マイコバクテリウム(Mycobacterium)最小生物変換培地は、0.5g/L尿素、3g/L (NHPO、4g/L KHPO、1g/K KHPO、0.2g/L MgSO 7HO、0.01g/L FeSO 7HO、0.002g/L ZnSO 7HOを含む。滅菌前にpHを7.0に設定する。
【0092】
材料
制限酵素は New England Biolabs(NEB)またはPromegaから購入する。培地構成要素、化学物質、およびPCRプライマーはSigma-Aldrich(Merck)から入手する。
【0093】
欠失変異導入
無印の遺伝子欠失変異導入を用いて、全ての遺伝子を欠失させる。簡潔に言えば、上流の相同配列と下流の相同配列を、標準的な方法を用いて、ゲノムDNAテンプレートからPCRによって増幅させる。特定の標的遺伝子の近傍相同配列は、以前に破壊された標的遺伝子と重複しているため、正しい株からのゲノムDNAを使用するように注意する必要がある。プラスミドpK18mobsacB(ATCC 87097)を制限消化により直鎖化し、PCR産物をInFusion cloning kit(Takara Bio.)を用いて製造者の指示にしたがって挿入する。相同性配列の挿入は、制限消化および配列決定によって確認する。得られたプラスミドを、標準的な方法(Bibb and Hatfull, 2002; van der Geize et al, 2000; Lorraine and Smith, 2017)にしたがって電気穿孔法によりロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)、ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)DSM1444またはスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)またはマイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805に導入する。最初に、クロスオーバーコロニーは、カナマイシン耐性および10%スクロースに対する感受性を用いて選択され(Geize et al., 2001;Pelicic et al., 1996)、次に、二次組換えコロニーは、カナマイシン感受性およびスクロース耐性を用いて選択される。
【0094】
欠失変異体は、実施例に示すプライマーを用いたPCRおよび配列決定によって確認される。実施例で用いた遺伝子IDは、NCBI(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から入手可能な公開ゲノム配列から取ったものである:ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)RHA1のアクセッション番号NC_008268、およびスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)mc(2) 155のアクセッション番号NC_008596、およびマイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805のアクセッション番号NZ_CP011022。遺伝子名は、ゲノム配列中または文献のいずれかで使用されているものである。
【0095】
全ゲノム配列決定
細菌ゲノムは、hiSeq PCR-フリーペアードエンドデータおよびメイトペアを用いたIllumina配列決定を用いて配列決定する。アセンブリ、アノテーション、および解析は、Biopython、BLAST、Artemis、ACT、Mauve、Phyre 2、Interpro等の標準的なソフトウェアを用いて行う。
【0096】
培養抽出物の解析
実施例に記載の液体培養物の溶媒抽出後、サンプルを、Waters VanGuardおよびAcquityインラインカラムフィルターを取り付け、60℃で操作したWaters XSelect CSH C18カラム(2.1mm×50mm×3.5μm)を備えたAgilent 1100 HPLCでのKCEAおよびKCDAの生成について解析した。移動相は溶媒A(0.005M酢酸アンモニウム、0.012% ギ酸)および溶媒B(95% メタノール、5% 水、0.012% ギ酸)からなり、流速は1.0mL/分であった。勾配は50%溶媒Bから100%溶媒Bに9.5分間にわたってランした。サンプルは、204nmおよび246nmのUV、ならびに質量範囲m/zが200~800のエレクトロスプレーポジティブイオンモードでランするWaters ZQシングル四重極MSを用いたMSによって解析した)。
【0097】
[実施例1] ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)RHA1におけるFadE34/ChsE3、CasC、KshAホモログの不活性化
ΔFadE34(RHA1_RS21845)変異体を作製するために、プラスミドpSAND001は、以下のように構築される。プラスミドpK18mobsacBを制限酵素BamHIおよびPstIで切断する。上流の相同配列は、プライマー対配列番号1および配列番号2を用いてゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅される(1525bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号3および配列番号4を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅される(1530bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、InFusion Cloning kit(Takara Bio.)を用いて、製造者の指示にしたがって切断されたpK18mobsacBに挿入する。挿入物の挿入および同一性は、プライマー配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8を用いた制限消化および配列決定により確認される。
【0098】
ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)RHA1を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND001で形質転換し、その後、細胞懸濁液を、カナマイシンを含むLB寒天プレートに広げる。次に、シングルコロニーを、10%スクロースを含むLB寒天プレートに移す。シングルコロニーは、プライマー対配列番号6および配列番号7を用いたPCRによってFadE34の破壊が成功したかどうかを確認し、ここで、1407bpのPCR産物の存在および3465bpのPCR産物の不在が破壊の成功を示す。得られた株をロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND001と命名する。
【0099】
ΔCasC(RHA1_RS28395)変異体を作製するために、プラスミドpSAND002は、以下のように構築されている。プラスミドpK18mobsacBを制限酵素BamHIおよびPstIで切断する。上流の相同配列は、プライマー対配列番号9および配列番号10を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1528bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号11および配列番号12を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1530bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、InFusion Cloning kit(Takara Bio.)を用いて、製造者の指示にしたがって切断されたpK18mobsacBに挿入する。挿入物の挿入および同一性は、プライマー配列番号5、配列番号13、配列番号14および配列番号8を用いた制限消化および配列決定によって確認される。
【0100】
上記のロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND001を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND002で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンを含むLB寒天プレートに広げる。次に、シングルコロニーを、10%スクロースを含むLB寒天プレートに移す。シングルコロニーは、プライマー対配列番号13および配列番号14を用いたPCRによって、CasCの破壊が成功したかどうか確認され、ここで、1376bpのPCR産物の存在および2828bpのPCR産物の不在が破壊の成功を示している。得られた株をロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND002と命名する。
【0101】
ΔKshA1(RHA1_RS22120)変異体を作製するためのプラスミドpSAND003は、以下のように構築される。プラスミドpK18mobsacBは制限酵素BamHIおよびPstIで切断される。上流の相同配列は、プライマー対配列番号15および配列番号16を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1534bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号17および配列番号18を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1568bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、製造者の指示にしたがってInFusion Cloning kit(Takara Bio.)を用いて切断されたpK18mobsacBに挿入する。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号19、配列番号20および配列番号8を用いた配列決定により確認される。
【0102】
上記のロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND002を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND003で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンを含むLB寒天プレートに広げる。次に、シングルコロニーを、10%スクロースを含むLB寒天プレートに移す。シングルコロニーは、プライマー対配列番号19および配列番号20を用いたPCRによってKshA1の破壊が成功しているかどうかを確認し、ここで、1422bpのPCR産物の存在および2490bpのPCR産物の不在が破壊の成功を示す。得られた株をロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND003と命名する。
【0103】
ΔKshA2(RHA1_RS12175)変異体を作製するためのプラスミドpSAND004は、以下のように構築される。プラスミドpK18mobsacBは制限酵素BamHIおよびPstIで切断される。上流の相同配列は、プライマー対配列番号21および配列番号22を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1530bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号23および配列番号24を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1528bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、製造者の指示にしたがってInFusion Cloning kit(Takara Bio.)を用いて、切断されたpK18mobsacBに挿入する。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号25、配列番号26および配列番号8を用いた配列決定により確認される。
【0104】
上述のロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND003を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND004で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンを含むLB寒天プレートに広げる。次に、シングルコロニーを、10%スクロースを含むLB寒天プレートに移す。シングルコロニーは、プライマー対配列番号25および配列番号26を用いたPCRによってKshA2の破壊が成功したかどうかを確認し、1380bpのPCR産物の存在および2436bpのPCR産物の不在が破壊の成功を示す。得られた株をロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND004と命名する。
【0105】
ΔKshA3(RHA1_RS28370)変異体を作製するためのプラスミドpSAND005は、以下のように構築される。プラスミドpK18mobsacBは制限酵素BamHIおよびPstIで切断される。上流の相同配列は、プライマー対配列番号27および配列番号28を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1526bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号29および配列番号30を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1532bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、製造者の指示にしたがってInFusion Cloning kit(Takara Bio.)を用いて切断されたpK18mobsacBに挿入する。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号31、配列番号32および配列番号8を用いた配列決定により確認される。
【0106】
上記のロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND004を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND005で形質転換し、その後、細胞懸濁液を、カナマイシンを含むLB寒天プレートに広げる。次に、シングルコロニーを、10%スクロースを含むLB寒天プレートに移す。シングルコロニーは、プライマー対配列番号31および配列番号32を用いたPCRによってKshA3の破壊が成功したかどうかを確認し、ここで、1374bpのPCR産物の存在および2427bpのPCR産物の不在が破壊の成功を示す。得られた株をロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND005と命名する。
【0107】
ΔKshA4(RHA1_RS40090)変異体を作製するためのプラスミドpSAND006は、以下のように構築される。プラスミドpK18mobsacBは制限酵素BamHIおよびPstIで切断される。上流の相同配列は、プライマー対配列番号33および配列番号34を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用したPCRにより増幅する(1535bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号35および配列番号36を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用したPCRにより増幅する(1532bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、製造者の指示にしたがってInFusion Cloning kit(Takara Bio.)を用いて切断されたpK18mobsacBに挿入する。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号37、配列番号38および配列番号8を用いた配列決定により確認される。
【0108】
上記のロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND005を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND006で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンを含むLB寒天プレートに広げる。次に、シングルコロニーを、10%スクロースを含むLB寒天プレートに移す。シングルコロニーは、プライマー対配列番号37および配列番号38を用いたPCRによってKshA4の破壊が成功したかどうかを確認し、ここで、1401bpのPCR産物の存在および2457bpのPCR産物の不在は破壊の成功を示す。得られた株をロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND006と命名する。
【0109】
[実施例2] ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND006におけるKstDホモログの不活性化
ΔKstD(RHA1_RS22090)変異体を作製するためのプラスミドpSAND007は、以下のように構築される。プラスミドpK18mobsacBを制限酵素BamHIおよびPstIで切断する。上流の相同配列は、プライマー対配列番号39および配列番号40を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1533bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号41および配列番号42を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1528bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、製造者の指示にしたがってInFusion Cloning kit(Takara Bio.)を用いて、切断されたpK18mobsacBに挿入する。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号43、配列番号44および配列番号8を用いた配列決定により確認される。
【0110】
上記のロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND006を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND007で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンを含むLB寒天プレートに広げる。次に、シングルコロニーを、10%スクロースを含むLB寒天プレートに移す。シングルコロニーは、プライマー対配列番号43および配列番号44を用いたPCRによってKstDの破壊が成功したかどうかを確認し、ここで、1387bpのPCR産物の存在および2851bpのPCR産物の不在は破壊の成功を示す。得られた株をロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND007と命名する。
【0111】
ΔKstD2(RHA1_RS12140)変異体を作製するためのプラスミドpSAND008は、以下のように構築される。プラスミドpK18mobsacBは制限酵素BamHIおよびPstIで切断される。上流の相同配列は、プライマー対配列番号45および配列番号46を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRで増幅する(1527bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号47および配列番号48を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1526bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、製造者の指示にしたがってInFusion Cloning kit(Takara Bio.)を用いて、切断されたpK18mobsacBに挿入する。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号49、配列番号50および配列番号8を用いた配列決定により確認される。
【0112】
上記のロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND007を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND008で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンを含むLB寒天プレートに広げる。次に、シングルコロニーを、10%スクロースを含むLB寒天プレートに移す。シングルコロニーは、プライマー対配列番号49および配列番号50を用いたPCRによってKstD2の破壊が成功したかどうか確認され、ここで、1350bpのPCR産物の存在および2862bpのPCR産物の不在が破壊の成功を示す。得られた株をロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND008と命名する。
【0113】
ΔKstD3(RHA1_RS28305)変異体を作製するためのプラスミドpSAND009は、以下のように構築されている。プラスミドpK18mobsacBは制限酵素BamHIおよびPstIで切断される。上流の相同配列は、プライマー対配列番号51および配列番号52を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRで増幅する(1529bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号53および配列番号54を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1531bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、製造者の指示にしたがってInFusion Cloning kit(Takara Bio.)を用いて、切断されたpK18mobsacBに挿入する。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号55、配列番号56および配列番号8を用いた配列決定により確認される。
【0114】
上記のロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND008を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND009で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンを含むLB寒天プレートに広げる。次に、シングルコロニーを、10%スクロースを含むLB寒天プレートに移す。シングルコロニーは、プライマー対配列番号55および配列番号56を用いたPCRによってKstD3の破壊が成功しているかどうかを確認し、ここで、1361bpのPCR産物の存在および2927bpのPCR産物の不在が破壊の成功を示す。得られた株をロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND009と命名する。
【0115】
ΔKstD3b(RHA1_RS28380)変異体を作製するためのプラスミドpSAND010は、以下のように構築されている。プラスミドpK18mobsacBは制限酵素BamHIおよびPstIで切断される。上流の相同配列は、プライマー対配列番号57および配列番号58を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRで増幅する(1545bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号59および配列番号60を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1500bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、製造者の指示にしたがってInFusion Cloning kit(Takara Bio.)を用いて、切断されたpK18mobsacBに挿入する。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号61、配列番号62および配列番号8を用いた配列決定により確認される。
【0116】
上述のロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND009を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND010で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンを含むLB寒天プレートに広げる。次に、シングルコロニーを、10%スクロースを含むLB寒天プレートに移す。シングルコロニーは、プライマー対配列番号61および配列番号62を用いたPCRによってKstD3bの破壊が成功しているかどうかを確認し、ここで、1381bpのPCR産物の存在および2785bpのPCR産物の不在が破壊の成功を示す。得られた株をロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND010と命名する。
【0117】
ΔKstD4(RHA1_RS40180)変異体を作製するためのプラスミドpSAND011は、以下のように構築される。プラスミドpK18mobsacBは制限酵素BamHIおよびPstIで切断される。上流の相同配列は、プライマー対配列番号63および配列番号64を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1548bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号65および配列番号66を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1542bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、製造者の指示にしたがってInFusion Cloning kit(Takara Bio.)を用いて、切断されたpK18mobsacBに挿入する。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号67、配列番号68および配列番号8を用いた配列決定により確認される。
【0118】
上述のロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND010を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND011で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンを含むLB寒天プレートに広げる。次に、シングルコロニーを、10%スクロースを含むLB寒天プレートに移す。シングルコロニーは、プライマー対配列番号67および配列番号68を用いたPCRによってKstD4の破壊が成功しているかどうかを確認し、ここで、1413bpのPCR産物の存在および3027bpのPCR産物の不在が破壊の成功を示す。得られた株をロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND011と命名する。
【0119】
ΔKstD4b(RHA1_RS40260)変異体を作製するためのプラスミドpSAND012は、以下のように構築されている。プラスミドpK18mobsacBは制限酵素BamHIおよびPstIで切断される。上流の相同配列は、プライマー対配列番号69および配列番号70を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRで増幅する(1590bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号71および配列番号72を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1523bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、製造者の指示にしたがって、InFusion Cloning kit(Takara Bio.)を用いて、切断されたpK18mobsacBに挿入する。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号73、配列番号74および配列番号8を用いた配列決定により確認される。
【0120】
上記のロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND011を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND012で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンを含むLB寒天プレートに広げる。次に、シングルコロニーを、10%スクロースを含むLB寒天プレートに移す。シングルコロニーを、プライマー対配列番号73および配列番号74を用いたPCRによってKstD4bの破壊が成功しているかどうかを確認し、ここで、1451bpのPCR産物の存在および3002bpのPCR産物の不在が破壊の成功を示す。得られた株をロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND012と命名する。
【0121】
[実施例3] ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND001~SAND012の発酵およびKCDA/KCEAの単離
株ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND001、ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND002、ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND003、ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND004、ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND005、ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND006、ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND007、ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND008、ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND009、ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND010、ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND011、ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)SAND012を米国特許第4362815号に記載の方法等にしたがってそれぞれ独立に培養する。1つの方法において、100mLの滅菌培養培地(0.06%コレステロールまたはβ-シトステロール等の植物ステロール、0.06%Tween 80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、0.8%ペプトン、0.9%酵母エキス、0.3%グルコース、水を補充およびpH7.2に調整)を含む500mLアーレンマイヤーフラスコに変異体株を接種する。これを30℃で62時間、150rpmで振盪しながらインキュベートする。次に、フラスコに滅菌したBRIJ(登録商標)35(ポリオキシエチレンモノラウリルエーテル)を最終濃度0.1%になるように添加し、さらなる量のコレステロールまたは植物ステロール等のステロール供給を最終量0.1%になるように添加する。その後、フラスコを150rpmで振盪しながら、30℃でさらに120時間インキュベートする。
【0122】
KCEAおよびKCDAを含む産物は、Ahmad et al., 1991およびMcDonald et al. 2012に記載されているような標準的な方法を用いてブロスから抽出される。1つの方法において、培養物を等体積の酢酸エチル中に抽出し、次いで蒸発させ、次いで、クロマトグラフィーを用いて目的のステロールを精製する。
【0123】
[実施例4] ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)のDSM1444またはDSM1445’におけるFadE34/CasCホモログのノックアウト変異体の作製
ゲノムDNAを一般的な方法に記載されたように単離し、hiSeq PCR-フリーペアードエンドデータおよびメイトペアでIllumina配列決定を用いて配列決定する。アセンブリアノテーションおよび解析は、一般的な方法に記載されているように行われる。
【0124】
FadE34およびCasCをコードする遺伝子のホモログは、アセンブリした、アノテーションされたゲノムに対するタンパク質BLAST検索、または検索クエリとして配列番号75および配列番号76を用いる、得られた塩基配列に対するtblastn検索のいずれかにより同定される。
【0125】
得られたBLASTヒットのうち、最も高いビットスコアを有するものが破壊の標的となる。各変異体は、実施例6に記載の方法にしたがって、コレステロールまたは植物ステロール側鎖分解の中断、KCDAおよびKCEAならびに形成し得る任意の代替分解産物のスクリーニングについて試験する(Ruprecht et al., 2015)。ブロス中に何も存在しない場合、配列番号75および配列番号76に対して次に高い相同性を有するBLASTヒットが、破壊の標的となる。標的遺伝子を破壊するために使用されるプラスミドは、以下に記載されるように構築される。
【0126】
ΔFadE34変異体を作製するためのプラスミドpSAND013は、以下のように構築される。アノテーション付きゲノム配列をガイドとして、インフレーム欠失を意図してFadE34ホモログ開始コドンの1~2kb上流から開始し、FadE34ホモログ開始コドンの下流の少数コドン(例えば10~25コドン)で終了する配列を増幅するようにプライマー対を設計する。
【0127】
アノテーション付きゲノム配列をガイドとして使用し、インフレーム欠失を意図して、FadE34ホモログ停止コドンの上流にある少数のコドン、例えば10~25コドンから始まり、FadE34ホモログ停止コドンの下流1~2kbで終了する配列を増幅するようにプライマー対が設計される。
【0128】
さらに、プライマーセットは両方、ライゲーション、InFusionクローニング、Gibsonアセンブリまたは他の選択された方法のいずれかによって、pK18mobsacBまたは他の適切なベクターに好都合にクローニングできるように設計されている。プラスミドは、上流と下流のホモロジー配列を一般的なPCR法で増幅し、その後、選択したベクターにクローニングすることにより構築される。ベクターの正しいアセンブリおよび挿入物の同一性は、制限消化および適切なプライマーを用いた配列決定によって確認される。
【0129】
ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)DSM1444(ATCC31459)またはDSM1445(ATCC31460)、3-オキソ-プレグナ-1,4-ジエン-20-カルボキシル酸(1,4-BNCとしても知られる;3-オキソ-23,24-ビスノルコラ-1,4-ジエン-22-オン酸)、3-オキソ-プレグナ-4-エン-20-カルボキシル酸(4-BNCとしても知られる;23,24-ビス-ノル-コレスタ-4-エン-22-オン酸)、4-アンドロステン-3,17-ジオン(AD)および1,4-アンドロスタジエン-3,17-ジオン(ADD)を産生できる微生物株は、標準的な方法を用いて電気穿孔法によりプラスミドpSAND013で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンまたはpK18mobsacB以外のプラスミドが用いられる場合には他の適切な抗生物質を含むTSAプレート上に広げる。次に、シングルコロニーを新鮮なTSAプレートに移し、適切な方法、例えば10%スクロースによるpK18mobsacBに対するカウンター選択によって、二次組換え体が選択される。シングルコロニーを、適切なプライマー対を用いたPCRによって、FadE34の破壊が成功しているかどうか確認する。得られた株をロドコッカス属(Rhodococcus sp.)SAND013と命名する。
【0130】
ΔCasC変異体を作製するためのプラスミドpSAND014は、以下のように構築される。アノテーション付きゲノム配列をガイドとして使用して、インフレーム欠失を意図してCasCホモログ開始コドンの1~2kb上流から開始し、CasCホモログ開始コドンの下流の少数コドン(例えば10~25コドン)で終了する配列を増幅するようにプライマー対が設計される。
【0131】
アノテーション付きゲノム配列をガイドとして使用して、インフレーム欠失を意図して、CasCホモログ停止コドンの上流の少数のコドン、例えば10~25コドンで開始し、CasCホモログ停止コドンの下流1~2kbで終了する配列を増幅するようにプライマー対を設計した。
【0132】
さらに、プライマーセットは共に、ライゲーション、InFusionクローニング、Gibsonアセンブリ、または他の選択した方法のいずれかによって、pK18mobsacBまたは他の適切なベクターに好都合にクローニングできるように設計されている。プラスミドは、上流および下流の相同配列を一般的なPCR法によって増幅し、その後、選択したベクターにクローニングすることにより構築される。ベクターの正しいアセンブリおよび挿入物の同一性は、制限消化および適切なプライマーを用いた配列決定によって確認される。
【0133】
ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)SAND013を、標準的な方法を用いて電気穿孔法によりプラスミドpSAND014で形質転換し、その後、細胞懸濁液を、カナマイシンまたはpK18mobsacB以外のプラスミドを使用する場合には他の適切な抗生物質を含むTSAプレート上に広げる。次に、シングルコロニーを新鮮なTSAプレートに移し、適切な方法、例えば10%スクロースによるpK18mobsacBに対するカウンター選択によって、二次組換え体が選択される。シングルコロニーを、適切なプライマー対を用いたPCRによって、CasCの破壊が成功しているかどうか確認する。得られた株をロドコッカス属(Rhodococcus sp.)SAND014と命名する。
【0134】
[実施例5] ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)SAND014におけるKstDホモログのノックアウト変異体の作製
KstDをコードする遺伝子のホモログは、アノテーション付きゲノムに対するタンパク質BLAST検索、または検索クエリとして配列番号101を使用する、得られたヌクレオチド配列に対するtblastn検索のいずれかによって同定される。以下の手順が一例となり、ノックアウトする各ホモログについて実施される。
【0135】
ΔKstD変異体を作製するためのプラスミドpSAND019は、以下のように構築される。アノテーション付きゲノム配列をガイドとして使用して、インフレーム欠失を意図して、KstD開始コドンの上流1~2kbから始まり、KstD開始コドンの下流にある少数のコドン、例えば10~25コドンで終了する配列を増幅するようにプライマー対を設計する。
【0136】
アノテーション付きゲノム配列をガイドとして使用して、インフレーム欠失を意図して、KstD停止コドンの上流にある少数のコドン、例えば10~25コドンで始まり、KstD停止コドンの下流1~2kbで終了する配列を増幅するようにプライマー対を設計した。
【0137】
さらに、プライマーセットは共に、ライゲーション、InFusionクローニング、Gibsonアセンブリ、または他の選択した方法のいずれかによって、pK18mobsacBまたは他の適切なベクターに好都合にクローニングできるように設計されている。プラスミドは、上流と下流の相同配列を一般的なPCR法によって増幅し、その後、選択したベクターにクローニングすることにより構築される。ベクターの正しいアセンブリおよび挿入物の同一性は、制限消化および適切なプライマーを用いた配列決定によって確認される。
【0138】
ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)SAND014またはその誘導体を、標準的な方法を用いて電気穿孔法によりプラスミドpSAND019で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンまたはpK18mobsacB以外のプラスミドを使用する場合は他の適当な抗生物質を含むTSAプレート上に広げる。次に、シングルコロニーを新鮮なTSAプレートに移し、適切な方法、例えば10%スクロースによるpK18mobsacBに対するカウンター選択によって、二次組換え体が選択される。シングルコロニーを、アノテーション付きゲノム配列をガイドとして使用して、適切なプライマー対を用いたPCRによって、KstDの破壊が成功しているかどうか確認する。得られた株をロドコッカス属(Rhodococcus sp.)SAND015と命名する。
【0139】
[実施例6] ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)SAND013~SAND015の発酵およびKCDA/KCEAの単離
ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)株SAND013、ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)株SAND014およびロドコッカス属(Rhodococcus sp.)株SAND015を、米国特許第4362815号に記載の方法等の標準的な方法にしたがって独立に培養する。1つの方法では、100mLの滅菌培養培地(0.06%コレステロールまたはβ-シトステロール等の植物ステロール、0.06%Tween 80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、0.8%ペプトン、0.9%酵母エキス、0.3%グルコース、水を補充、pH7.2に調整)を含む500mLアーレンマイヤーフラスコに変異体株を接種する。これを30℃で62時間、150rpmで振盪しながらインキュベートする。次に、フラスコに滅菌したBRIJ(登録商標)35(ポリオキシエチレンモノラウリルエーテル)を最終濃度0.1%まで添加し、さらなる量のコレステロールまたは植物ステロール等のステロール供給を最終量0.1%となるように添加する。その後、フラスコを150rpmで振盪しながら、30℃でさらに120時間インキュベートする。
【0140】
KCEAおよびKCDAを含む産物は、Ahmad et al., 1991およびMcDonald et al., 2012に記載されているような標準的な方法を用いてブロスから抽出される。1つの方法において、培養物を等体積の酢酸エチルで抽出し、次いで蒸発させ、次いで、クロマトグラフィーを用いて目的のステロールを精製する。
【0141】
[実施例7] スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)mc(2)155におけるFadE34/CasCおよびKshBのノックアウト変異体の作製
ΔFadE34(MSMEG_6041)変異体を作製するためのプラスミドpSAND015は、以下のように構築される。プラスミドpK18mobsacBは制限酵素BamHIおよびPstIで切断される。プライマー対配列番号77および配列番号78を用いる、ゲノムDNAをテンプレートとして使用する、PCRによって上流の相同配列を増幅する(1530bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号79および配列番号80を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1536bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、製造者の指示にしたがってInFusion Cloning kit(Takara Bio.)を用いて、切断されたpK18mobsacBに挿入する。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号81、配列番号82および配列番号8を用いた配列決定により確認される。
【0142】
スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)mc(2)155(ATCC 700084)を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND015で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンを含む複合7H9寒天プレートに広げる。次に、シングルコロニーを10%スクロースを含む複合7H9寒天プレートに移す。シングルコロニーは、プライマー対配列番号81および配列番号82を用いたPCRによってFadE34の破壊が成功しているかどうかを確認し、ここで、1341bpのPCR産物の存在および3369bpのPCR産物の非存在が破壊の成功を示す。得られた株をスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)SAND016と命名する。
【0143】
ΔCasC(MSMEG_0603)変異体を作製するためのプラスミドpSAND016は、以下のように構築されている。プラスミドpK18mobsacBは制限酵素BamHIおよびPstIで切断される。上流相同配列は、プライマー対配列番号83および配列番号84を用いる、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRによって増幅する(1536bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号85および配列番号86を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1537bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、製造者の指示にしたがってInFusion Cloning kit(Takara Bio.)を使用して、切断されたpK18mobsacBに挿入する。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号87、配列番号88および配列番号8を用いた配列決定により確認される。
【0144】
上記のスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)SAND016を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND016で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンを含む複合7H9寒天プレートに広げる。次に、シングルコロニーを、10%スクロースを含む複合7H9寒天プレートに移す。シングルコロニーは、プライマー対配列番号87および配列番号88を用いたPCRによってCasCの破壊が成功しているかどうかを確認し、ここで、1346bpのPCR産物の存在および3428bpのPCR産物の不在が、破壊の成功を示す。得られた株をスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)SAND017と命名する。
【0145】
ΔKshB(MSMEG_6039)変異体を作製するためのプラスミドpSAND017は、以下のように構築されている。プラスミドpK18mobsacBは制限酵素BamHIおよびPstIで切断される。上流の相同配列を、プライマー対配列番号89および配列番号90を用いた、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRによって増幅する(1526bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号91および配列番号92を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1539bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、製造者の指示にしたがってInFusion Cloning kit(Takara Bio.)を用いて、切断されたpK18mobsacBに挿入する。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号93、配列番号94および配列番号8を用いた配列決定により確認される。
【0146】
上記のスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)SAND017を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND017で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンを含む複合7H9寒天プレートに広げる。次に、シングルコロニーを、10%スクロースを含む複合7H9寒天プレートに移す。シングルコロニーは、プライマー対配列番号93および配列番号94を用いたPCRによってKshBの破壊が成功しているかどうかを確認し、ここで、1395bpのPCR産物の存在および2268bpのPCR産物の不在が、破壊の成功を示す。得られた株をスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)SAND018と命名する。
【0147】
[実施例8] スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)SAND018におけるΔKstDノックアウト変異体の作製
ΔKstD(MSMEG_5941)変異体を作製するためのプラスミドpSAND018は、以下のように構築されている。プラスミドpK18mobsacBは制限酵素BamHIおよびPstIで切断される。上流の相同配列は、プライマー対配列番号95および配列番号96を用いた、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1522bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号97および配列番号98を用いた、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(1527bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、製造者の指示にしたがってInFusion Cloning kit(Takara Bio.)を用いて、切断されたpK18mobsacBに挿入する。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号99、配列番号100および配列番号8を用いた配列決定により確認される。
【0148】
スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)SAND018を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND018で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンを含む複合7H9寒天プレートに広げる。次に、シングルコロニーを、10%スクロースを含む複合7H9寒天プレートに移す。シングルコロニーは、プライマー対配列番号99および配列番号100を用いたPCRによってKstDの破壊が成功しているかどうかを確認し、ここで、1354bpのPCR産物の存在および2929bpのPCR産物の不在が、破壊の成功を示す。得られた株をスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)SAND019と命名する。
【0149】
[実施例9] スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)SAND016~SAND019の発酵およびKCDA/KCEAの単離
スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)株SAND016、スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)株SAND017、スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)株SAND018およびスメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)株SAND019を、(Galan et al., 2017)に記載の方法等にしたがって独立して培養する。
【0150】
1つの方法において、9mMグリセロールおよび0.4g/Lコレステロールまたはβ-シトステロール等の植物ステロールを含むアルブミン-デキストロース-カタラーゼ補助剤なしの滅菌Middlebrook7H9ブロス培地を100mL含む500mLアーレンマイヤーフラスコに変異体株を接種する。これらを200rpmで振盪しながら37℃で100時間インキュベートする。
【0151】
KCEAおよびKCDAを含む産物は、Ahmad et al., 1991およびMcDonald et al. 2012に記載されるような標準的な方法を用いてブロスから抽出される。1つの方法において、培養物を等体積の酢酸エチルで抽出し、次いで蒸発させ、次いで、クロマトグラフィーを用いて目的のステロールを精製する。
【0152】
[実施例10] マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805におけるΔChsE3およびΔCasCノックアウト変異体の作製
ΔChsE3(GENE ID MyAD_RS24250)変異体を作製するためのプラスミドpSAND019は、以下のように構築されている。プラスミドpK18mobsacBは制限酵素BamHIおよびHindIIIで切断される。上流の相同配列を、プライマー対配列番号121および配列番号102を用いた、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(2034bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号103および配列番号104を用いる、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(2034bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、製造者の指示にしたがってInFusion Cloning kit(Takara Bio.)を用いて、切断されたpK18mobsacBに挿入する。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号105、配列番号106、配列番号107および配列番号8を用いた配列決定により確認される。
【0153】
マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND019で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンを含むM3寒天プレートに広げる。その後、シングルコロニーを、5%スクロースを含むM3寒天プレートに移す。シングルコロニーは、プライマー対配列番号105および配列番号107を用いたPCRによってChsE3の破壊が成功しているかどうかを確認し、ここで、2352bpのPCR産物の存在および4434bpのPCR産物の不在は、破壊の成功を示す。得られた株をマイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND020と命名する。
【0154】
ΔCasC(GENE ID MyAD_RS03655)変異体を作製するためのプラスミドpSAND020は、以下のように構築されている。プラスミドpK18mobsacBは制限酵素BamHIおよびHindIIIで切断される。上流の相同配列は、プライマー対配列番号108および配列番号109を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅される(1996bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号110および配列番号111を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(2004bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、製造者の指示にしたがってInFusion Cloning kit(Takara Bio.)を用いて、切断されたpK18mobsacBに挿入する。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号112、配列番号113、配列番号114および配列番号8を用いた配列決定により確認される。
【0155】
マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND020を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND020で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンを含むM3寒天プレートに広げる。その後、シングルコロニーを5%スクロースを含むM3寒天プレートに移す。シングルコロニーは、プライマー対配列番号112および配列番号114を用いたPCRによって、CasCの破壊が成功しているかどうかを確認し、ここで、2281bpのPCR産物の存在および4399bpのPCR産物の不在が破壊の成功を示す。得られた株をマイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND021と命名する。
【0156】
[実施例11]:マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND020~SAND021におけるKstDホモログのノックアウト変異体の作製
ΔKstD(GENE ID MyAD_RS23810)変異体を作製するためのプラスミドpSAND021は、以下のように構築されている。プラスミドpK18mobsacBは制限酵素BamHIおよびHindIIIで切断される。上流の相同配列を、プライマー対配列番号115および配列番号116を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(2037bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号117および配列番号118を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅する(2022bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、製造者の指示にしたがってInFusion Cloning kit(Takara Bio.)を用いて、切断されたpK18mobsacBに挿入する。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号119、配列番号120、配列番号121および配列番号8を用いた配列決定により確認される。
【0157】
マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND020を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND021で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンを含むM3寒天プレートに広げる。次に、シングルコロニーを、5%スクロースを含むM3寒天プレートに移す。シングルコロニーは、プライマー対配列番号119および配列番号121を用いたPCRによってKstDの破壊が成功しているかどうかを確認し、ここで、2572bpのPCR産物の存在および4081bpのPCR産物の不在が破壊の成功を示す。得られた株をマイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND022と命名する。
【0158】
マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND021を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND021で形質転換し、その後、細胞懸濁液をカナマイシンを含むM3寒天プレートに広げる。その後、シングルコロニーを5%スクロースを含むM3寒天プレートに移す。シングルコロニーは、プライマー対配列番号119および配列番号121を用いたPCRによってKstDの破壊が成功しているかどうかを確認し、ここで、2572bpのPCR産物の存在および4081bpのPCR産物の不在が破壊の成功を示す。得られた株をマイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND023と命名する。
【0159】
[実施例12]:マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND020~SAND023の発酵およびKCDA/KCEAの単離
マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)株SAND020、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)株SAND021、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)株SAND022およびマイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)株SAND023を、文献(例えばMarsheck et al., 1972)に記載の方法等にしたがって独立に培養する。1つの方法において、250mlの培地Aを含む1リットルアーレンマイヤーフラスコに、株の48時間液体培養物を接種し、250RPM(2.5cmスロー)で振盪しながら31℃で培養した。48時間後、各フラスコに粉末ステロール(コレステロールまたはβ-シトステロール等の植物ステロール等)100mgを添加し、72~96時間インキュベーションを継続した。
【0160】
KCEAおよびKCDAを含む産物は、Ahmad et al., 1991およびMcDonald et al. 2012に記載されるような標準的な方法を用いてブロスから抽出される。1つの方法において、培養物を等体積の酢酸エチル中に抽出し、次いで蒸発させ、次いで、クロマトグラフィーを用いて目的のステロールを精製する。
【0161】
[実施例13]:ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)DSM1444におけるFadE34ホモログのノックアウト変異体の作製
遺伝子ノックアウトプラスミドの骨格として使用するプラスミドpSAND022は以下のように構築された。プラスミドpKC1132(Bierman et al.,1992)を制限酵素PciIで直鎖化した。枯草菌(Bacillus subtilis)遺伝子sacB(配列番号122)をコードする配列を制限酵素NcoIで消化し、標準的な方法にしたがったライゲーションにより、切断されたpKC1132に挿入した。挿入物の挿入および同一性は制限消化により確認した。得られたプラスミドをpSAND022と標識した。
【0162】
ΔFadE34ホモログ変異体を作製するためのプラスミドpSAND023は、以下のように構築された。プラスミドpSAND022は制限酵素BglIIおよびHindIIIで切断された。上流の相同配列を、プライマー対配列番号123および配列番号124を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅した(1549bpの産物を生成する)。このPCR産物を制限酵素BamHIおよびSpeIで消化した。下流の相同配列は、プライマー対配列番号125および配列番号126を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅した(1579bpの産物を生成する)。このPCR産物を制限酵素HindIIIおよびSpeIで消化した。両方の消化されたPCR産物を、標準的な方法にしたがってライゲーションにより、切断されたpSAND022に挿入した。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号127、配列番号128および配列番号8を用いた配列決定により確認された。
【0163】
ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)DSM1444を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND023で形質転換し、その後、細胞懸濁液をアプラマイシンを含むTSA寒天プレートに広げた。シングルコロニーを250RPMで振盪しながら、250mlアーレンマイヤーフラスコ中の50ml TSB中、30℃で2日間増殖させた。この培養物の希釈物を10%スクロースを含むTSA寒天プレート上にプレーティングした。シングルコロニーを、プライマー対配列番号129および配列番号130を用いたPCRによって、FadE34ホモログの破壊が成功しているかどうかを確認し、ここで、3213bpのPCR産物の存在および5223bpのPCR産物の不在が破壊の成功を示した。3213bpのPCR産物の同一性は、プライマー配列番号127および配列番号128を用いた配列決定により確認された。得られた株をロドコッカス・ネオアウルム(Rhodococcus neoaurum)SAND024と命名した。
【0164】
[実施例14]:ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)SAND024の発酵および培養抽出物の解析
50mLファルコンチューブ中の5mLの滅菌培養培地(0.8%ペプトン、0.9%酵母エキス、0.3%グルコース、0.06% Tween 80、水を補充し、滅菌前にpH7.2に調整)にロドコッカス属(Rhodococcus sp.)SAND024を接種し、250RPMで振盪しながら、30℃で24時間インキュベートし、これを種培養物とて使用する。250mLコニカル振盪フラスコに0.06%コレステロールを含む滅菌培養培地(0.8%ペプトン、0.9%酵母エキス、0.3%グルコース、0.06% Tween80、水を補充し滅菌前にpH7.2に調整)40mLに種培養物0.709mLを接種し、250RPMで振盪しながら30℃で2日インキュベートした。40mgのコレステロールを2mLのエタノールに溶解し、この溶液に0.13mLのBRIJ(登録商標)-35(水中30w/v%溶液)を添加し、懸濁液を培養物に添加した。この培養物を250RPMで振盪しながら30℃で5日間インキュベートした。培養物から0.8mLのブロスを抜き取り、0.8mLの酢酸エチルを用いて1時間振盪して抽出した。遠心分離により相を分離し、0.3mLの溶媒相を清浄なチューブに移し、蒸発させた。ペレットを0.15mLのメタノールに溶解し、HPLC-MSで解析した(一般的な方法を参照)。KCEAおよびKCDAの産生を単離標準との比較で確認した(図1および図2参照)。
【0165】
[実施例15]:ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)RHA1におけるKshA1のノックアウト変異体の作製
ΔKshA1変異体を作製するためのプラスミドpSAND024は、以下のように構築された。プラスミドpUC19は制限酵素EcoRIおよびHindIIIで切断された。上流の相同配列をプライマー対配列番号131および配列番号132を用いてゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRによって増幅した(1544bpの産物を生成する)。このPCR産物を制限酵素EcoRIおよびSpeIで消化した。下流の相同配列を、プライマー対配列番号133および配列番号134を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅した(1578bpの産物を生成する)。このPCR産物を制限酵素HindIIIおよびSpeIで消化した。両方の消化されたPCR産物を、標準的な方法にしたがってライゲーションにより、切断されたpUC19に挿入した。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号19および配列番号8を用いた配列決定によって確認された。続いて、得られたプラスミドを制限酵素EcoRIおよびHindIIIで消化した。断片をアガロースゲル電気泳動によって分離し、上流相同領域および下流相同領域を含む2941bpの断片を、製造者の指示にしたがってMacherey-Nagel Nucleospin Gel およびPCR clean-up Kitを用いて単離した。プラスミドpSAND022は制限酵素EcoRIおよびHindIIIにより消化した。断片をアガロースゲル電気泳動によって分離し、5429bpの断片をMacherey-Nagel Nucleospin GelおよびPCR Clean-up Kitを製造者の指示にしたがって使用して、単離した。消化されたpSAND022は、標準的な方法にしたがって上流相同領域および下流相同領域を含む2941bpのDNA断片とライゲーションされた。
【0166】
ロドコッカス・ジョスティ(Rhodococcus jostii)RHA1を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND024で形質転換し、その後、細胞懸濁液をアプラマイシンを含むLB寒天プレートに広げた。シングルコロニーを50mlファルコンチューブ中の3ml LBで、250RPMで振盪させながら、28℃で24時間増殖させた。この培養物の希釈物を、10%スクロースを含むLB寒天プレートにプレーティングした。シングルコロニーを、プライマー対配列番号135および配列番号136を用いたPCRによってKshA1の破壊が成功しているかどうか確認し、ここで、3147bpのPCR産物の存在および4209bpのPCR産物の不在が破壊の成功を示した。3147bpのPCR産物の同一性は、プライマー配列番号19および配列番号20を用いた配列決定により確認された。得られた株をロドコッカス属(Rhodococcus sp.)SAND025と命名した。
【0167】
[実施例16]:ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)SAND025におけるFadE34のノックアウト変異体の作製
ΔFadE34変異体を作製するためのプラスミドpSAND025は、以下のように構築された。プラスミドpSAND022は制限酵素EcoRIおよびHindIIIで切断された。上流の相同配列は、プライマー対配列番号1および配列番号137を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅した(1535bpの産物を生成する)。このPCR産物は制限酵素EcoRIおよびSpeIで消化した。下流の相同配列は、プライマー対配列番号138および配列番号4を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅した(1540bpの産物を生成する)。このPCR産物は制限酵素HindIIIおよびSpeIによって消化した。両方の消化されたPCR産物を、標準的な方法にしたがったライゲーションにより、切断されたpSAND022に挿入した。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8を用いた配列決定によって確認された。
【0168】
ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)SAND025を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND025で形質転換し、その後、細胞懸濁液をアプラマイシンを含むLB寒天プレートに広げた。シングルコロニーを50mlファルコンチューブ中の3ml LB中で、250RPMで振盪しながら、28℃で24時間増殖させた。この培養物の希釈物を、10%スクロースを含むLB寒天プレートにプレーティングした。シングルコロニーは、プライマー対配列番号139および配列番号140を用いたPCRによってFadE34の破壊が成功しているかどうかを確認し、ここで、3203bpのPCR産物の存在および5255bpのPCR産物の不在が破壊の成功を示した。3203bpのPCR産物の同一性は、プライマー配列番号6および配列番号7を用いた配列決定によって確認された。得られた株をロドコッカス属(Rhodococcus sp.)SAND026と命名した。
【0169】
[実施例17]:ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)SAND026におけるCasCのノックアウト変異体の作製
ΔCasC変異体を作製するためのプラスミドpSAND026は、以下のように構築された。プラスミドpSAND022は制限酵素BamHIおよびHindIIIで切断された。上流の相同配列を、プライマー対配列番号9および配列番号141を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRによって増幅した(1543bpの産物を生成する)。このPCR産物を制限酵素BglIIおよびSpeIによって消化した。下流の相同配列は、プライマー対配列番号12および配列番号142を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRによって増幅した(1541bpの産物を生成する)。このPCR産物を制限酵素HindIIIおよびSpeIで消化した。両方の消化されたPCR産物を、標準的な方法にしたがったライゲーションにより、切断されたpSAND022に挿入した。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号13、配列番号14および配列番号8を用いた配列決定によって確認された。
【0170】
ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)SAND026を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND026で形質転換し、その後、細胞懸濁液をアプラマイシンを含むLB寒天プレートに広げた。シングルコロニーを50mlファルコンチューブ中の3ml LB中で、250RPMで振盪しながら、28℃で24時間増殖させた。この培養物の希釈物を、10%スクロースを含むLB寒天プレートにプレーティングした。シングルコロニーを、プライマー対配列番号143および配列番号144を用いたPCRによってCasCの破壊が成功しているかどうか確認し、ここで、3066bpのPCR産物の存在および4506bpのPCR産物の不在が破壊の成功を示した。3066bpのPCR産物の同一性は、プライマー配列番号13を用いた配列決定によって確認された。得られた株をロドコッカス属(Rhodococcus sp.)SAND027と命名した。
【0171】
[実施例18]:ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)SAND027の発酵および培養抽出物の解析
50mLファルコンチューブ中の50μg/mLコレステロールを含む5mLの滅菌培養培地(0.8%ペプトン、0.9%酵母エキス、0.3%グルコース、0.06% Tween80、水を補充し、滅菌前にpH7.2に調整)にロドコッカス属(Rhodococcus sp.)SAND027を接種し、250RPMで振盪しながら28℃で48時間インキュベートし、これを種培養物として使用した。50mLファルコンチューブ中の0.06%コレステロールを含む滅菌培養培地(0.8%ペプトン、0.9%酵母エキス、0.3%グルコース、0.06% Tween80、水を補充し、滅菌前にpH7.2に調整)7mLに、600nmにおける光学濃度が0.05になるまで種培養物を接種し、250RPMで振盪しながら、28℃で48時間インキュベートを行った。7mgのコレステロールを小体積の滅菌培養培地に懸濁し、0.23μLのBRIJ(登録商標)-35(水中30%w/v溶液)と混合して培養物に添加した。この培養物を250RPMで振盪しながら28℃で5日間インキュベートした。培養物から0.8mLのブロスを抜き取り、これを0.8mLの酢酸エチルによって1時間振盪して抽出した。遠心分離により相を分離し、0.3mLの溶媒相を清浄なチューブに移し、蒸発させた。ペレットを0.15mLのメタノールに溶かし、HPLC-MSで解析した(一般的な方法を参照)。KCEAおよびKCDAの生成は、単離標準との比較において確認された。
【0172】
[実施例19]:マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805におけるChsE3ノックアウト変異体の作製
ΔChsE3(MyAD_RS24250)変異体を作製するためのプラスミドpSAND027は、以下のように構築された。プラスミドpSAND022は、制限酵素BamHIおよびHindIIIで切断した。上流の相同配列は、プライマー対配列番号145および配列番号146を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅した(2034bpの産物を生成する)。下流の相同配列は、プライマー対配列番号147および配列番号148を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅した(2034bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、製造者の指示にしたがってInFusion Cloning kit(Takara Bio.)を用いて、切断されたpSAND022に挿入した。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号105、配列番号106、配列番号107および配列番号8を用いた配列決定によって確認された。
【0173】
マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND027で形質転換し、その後、細胞懸濁液をアプラマイシンを含むM3寒天プレートに広げた。単一コロニーを、アプラマイシンを含む新鮮なM3寒天プレートに移した。パッチからの細胞は、50mLファルコンチューブ中の5mL M3-Tw培地中で、220RPMで振盪しながら、30℃で48時間増殖させた。この培養物を少量、5%スクロースを含むM3寒天プレートにプレーティングした。シングルコロニーを、プライマー対配列番号149および配列番号150を用いたPCRによってChsE3の破壊が成功しているかどうかを確認し、ここで、6.2kbのバンドの不在および4.1kbのバンドの存在が破壊の成功を示す。得られた株をマイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND028と命名する。
【0174】
[実施例20]:マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND028におけるCasCノックアウト変異体の作製
ΔCasC(MyAD_RS03655)変異体を作製するための、プラスミドpSAND028は以下のように構築された。プラスミドpSAND022は制限酵素BamHIおよびHindIIIで切断した。上流相同配列は、プライマー対配列番号151および配列番号152を用いた、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅した(1996bpの産物を生成する)。下流相同配列は、プライマー対配列番号153および配列番号154を用いた、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅した(2007bpの産物を生成)。両方のPCR産物を、製造者の指示にしたがってInFusion Cloning kit (Takara Bio.)を用いて、切断されたpSAND022に挿入した。挿入物の挿入および同一性は、制限消化およびプライマー配列番号5、配列番号112、配列番号113、配列番号114および配列番号8を用いた配列決定により確認した。
【0175】
マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND028を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND028で形質転換し、その後、細胞懸濁液をアプラマイシンを含むM3寒天プレートに広げた。シングルコロニーを、アプラマイシンを含む新鮮なM3寒天プレートに移した。パッチからの細胞を50mLファルコンチューブ中の3mL M3-Tw培地中で、220RPMで振盪しながら30℃で48時間増殖させた。この培養物20μLを、5%スクロースを含むM3寒天プレートにプレーティングした。シングルコロニーは、プライマー対配列番号155および配列番号156を用いたPCRによって、CasCの破壊が成功しているかどうか確認し、ここで、6.2kbバンドの不在および4.1kbバンドの存在が、破壊の成功を示す。得られた株をマイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND029と命名した。
【0176】
[実施例21] マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND029によるコレステロールおよびβ-シトステロールのKCEAへの生物変換
50mLファルコンチューブ中の5mL M3-Tw培地にマイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND029を接種し、220RPMで振盪しながら30℃で3日間インキュベートし、これを種培養物として使用した。3日後、種培養物から遠心分離(2000×g、5分間)によって細胞を採取し、5mLのマイコバクテリウム(Mycobacterium)最小生物変換培地に懸濁し、接種物として使用した。40mLのマイコバクテリウム(Mycobacterium)最小生物変換培地を含むフラスコ2本に、この接種物1mLを接種し、生物変換培養物として使用した。
【0177】
ステロール製剤を以下のように調製した。2.1gのヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを秤量し、ソニケーターバス、ボルテックスミキサーの助けを借りて2.1mLのdHOに溶解し、60℃に設定したオーブンで最大30分間インキュベートした。45mgのコレステロールおよび植物ステロール混合物(75%β-シトステロール、10%カンペステロール)(Acros Organics)を秤量し、それぞれ1.93mLのヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン溶液(Roquette)中にソニケーターバス、ボルテックスミキサーの助けを借りて溶解し、60℃に設定したオーブンで最大30分間インキュベートした。
【0178】
1.72mLのコレステロール製剤を生物変換培養物の1つに添加し、1.72mLのβ-シトステロール/カンペステロール製剤を他方の生物変換培養物に添加した。両方の生物変換培養物を220RPMで振盪しながら、30℃で2日または3日間インキュベートした。0.8mLのサンプルを一定間隔で採取し、以下のように抽出した。15μLのギ酸をサンプルに混合し、その後、等量の酢酸エチルで抽出した。溶媒層を減圧下で蒸発させ、残ったペレットを元の半分の体積のメタノールに溶解した。このメタノール溶液をLCMSで解析したところ(一般的な方法を参照)、並行してランを行ったKCEA標準と同じ保持時間およびマススペクトルプロファイルを有するピークが見られた(図7を参照)。また、KCEA-アルコール標準で見られるものと同一の保持時間およびマススペクトルプロファイルを有するピークが見られた。
【0179】
[実施例22] マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND029におけるChsE1/2ノックアウト変異体の作製
ΔChsE1-ChsE2(MyAD_RS24025およびMyAD_RS24020)二重変異体を作製するためのプラスミドpSAND029は、以下のように構築された。プラスミドpSAND022は制限酵素NotIで切断された。上流相同配列は、プライマー対配列番号157および配列番号158を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRによって増幅した(1831bpの産物を生成する)。下流相同配列は、プライマー対配列番号159および配列番号160を用いて、ゲノムDNAをテンプレートとして使用するPCRにより増幅した(1974bpの産物を生成する)。両方のPCR産物を、全ての断片を混合し、37℃で15分間インキュベートすることにより、SLiCE Cloning Method(Zhang et al., 2014)を使用して、切断されたpSAND022に挿入した。挿入物の挿入および同一性は、制限消化によって確認した。続いて、プライマー配列番号5、配列番号161、配列番号162、配列番号163および配列番号8を用いて挿入物を配列決定した。
【0180】
マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND029を、標準的な方法を用いて、電気穿孔法によりプラスミドpSAND029で形質転換し、その後、細胞懸濁液をアプラマイシンを含むM3寒天プレートに広げた。シングルコロニーを、アプラマイシンを含む新鮮なM3寒天プレートに移した。パッチからの細胞を50mLファルコンチューブ中の3mL M3-Tw培地中で、220RPMで振盪しながら30℃で48時間増殖させた。この培養物20μLを、5%スクロースを含むM3寒天プレートにプレーティングした。シングルコロニーを、プライマー対配列番号164および配列番号165を用いたPCRによってChsE3の破壊が成功しているかどうかを確認し、ここで、6.0kbバンドの不在および3.9kbバンドの存在が破壊の成功を示す。変異した配列の組込みは、配列決定プライマー配列番号160、配列番号161および配列番号162を用いた3.9kbのPCR産物の配列決定により確認した。得られた株を、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND030と命名した。
【0181】
[実施例23] マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND030によるコレステロールのKCEAへの生物変換。
50mLファルコンチューブ中の5mLのM3-Tw培地にマイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND030を接種し、220RPMで振盪しながら30℃で3日間インキュベートし、これを種培養物として使用した。3日後、この種培養物3.5mLから細胞を遠心分離(2000×g、5分間)により採取し、3.5mLのマイコバクテリウム(Mycobacterium)最小生物変換培地に懸濁し、これを接種物として使用した。40mLのマイコバクテリウム(Mycobacterium)最小生物変換培地を含むフラスコ3本に、接種物1mLを接種し、これを生物変換培養物として使用した。ステロール製剤を、各生物変換培養物について、以下のように調製した。2.1gのヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを秤量し、ソニケーターバス、ボルテックスミキサーの助けを借りて2.1mLのdHOに溶解し、60℃に設定したオーブンで最大30分間インキュベートした。45mgのコレステロールを秤量し、ソニケーターバス、ボルテックスミキサーの助けを借りて1.93mLのヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン溶液に溶解し、60℃に設定したオーブン内で最大30分間インキュベートした。
【0182】
1.72mLのコレステロール製剤を、それぞれの生物変換培養物に添加した。両方の生物変換培養物を、220RPMで振盪しながら、30℃で7日間インキュベートした。0.5mLのサンプルを一定間隔で採取し、以下のように抽出した。10μLのギ酸をサンプルに混合し、その後、等体積の酢酸エチルで抽出した。溶媒層を減圧下で蒸発させ、残ったペレットを元の半分の体積のメタノールに溶解した。このメタノール溶液をHPLC-MSで解析したところ(一般的な方法を参照)、並行してランを行ったKCEA標準と同じ保持時間およびマススペクトルプロファイルを有するピークが見られた(図8参照)。また、KCEA-アルコール標準と同一の保持時間およびマススペクトルプロファイルを有するピークが見られた。
【0183】
異なる株間のKCEAへの変換のレベルおよび効率を経時的に比較するために、KCEAおよびAD(アンドロステン-3,17-ジオン)のレベルを試験期間中に測定した。表1に最大濃度およびKCEAとADの最大濃度の比率の解析を示す。この解析により、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)NRRL B-3805よりも効率的であったマイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND029よりも、最大測定濃度およびADに対するKCEAの比率が高いことからわかるように、マイコバクテリウム・ネオアウルム(Mycobacterium neoaurum)SAND030はコレステロールをKCEAへ変換する効率がより高いことが明らかになった。また、KCEA濃度と他の主要異化産物(AD、BA(ビスノラルコール)、KCEA-アルコール)の総量を比較すると、同様の傾向が見られた。
【0184】
【表1】
【0185】
引用文献
【0186】
【表2】
【0187】
本出願を通じて、様々な刊行物が参照されている。これらの刊行物の開示は、その全体が、本発明が属する技術の状態をより完全に記載するために、参照により本願に組み込まれる。本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明において様々な修正および変形を行うことができることは、当技術分野の当業者にとって明らかであろう。本発明の他の実施形態は、本明細書に開示された発明の明細書および実施の検討から当技術分野の当業者には明らかであろう。本明細書および実施例は、例示的なものとしてのみ考慮されることが意図され、本発明の真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲によって示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
2023530667000001.app
【国際調査報告】