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▶ シェルタード ウィングス インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-19
(54)【発明の名称】ゼロストップを有するターレット
(51)【国際特許分類】
   F41G 1/16 20060101AFI20230711BHJP
   F41G 1/387 20060101ALI20230711BHJP
   F41G 3/30 20060101ALI20230711BHJP
   F41G 1/18 20060101ALI20230711BHJP
   F41G 1/28 20060101ALI20230711BHJP
   G02B 23/14 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
F41G1/16
F41G1/387
F41G3/30
F41G1/18
F41G1/28
G02B23/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577522
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-02-09
(86)【国際出願番号】 US2021037632
(87)【国際公開番号】W WO2022010625
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】63/039,791
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520168099
【氏名又は名称】シェルタード ウィングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100224672
【弁理士】
【氏名又は名称】深田 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル リック
(72)【発明者】
【氏名】ヘルテムズ ジョセフ
【テーマコード(参考)】
2H039
【Fターム(参考)】
2H039AB65
2H039AB68
(57)【要約】
【課題】ゼロストップ機能を有するターレット及びライフルスコープを提供する。
【解決手段】ターレットは、ターレットのスクリュー、カムピンシャーシ、ストップリング、及びターレットキャップを備える。カムピンシャーシは、シャーシから軸と平行に延びるカムピンを有し、シャーシ内で直線的に移動可能である。ストップリングは、第1の表面と、第1及び第2のストップ面で終端する螺旋溝を含む第2の表面とを有する。カムピンは、螺旋溝に係合している。ネジは、ターレットキャップ、ストップリング、及びカムピンシャーシの各々の中心ボアを通って延び、これらが共通の回転軸を有するようになる。ターレットの回転限界は、第1及び第2ストップのうちの1つによって定められる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸を定めるネジを有するターレットであって、
中心ボアを有し、カムピンを固定するカムピンシャーシであって、前記ネジが前記中心ボアを通って延び、前記カムピンが前記カムピンシャーシから前記軸と平行に延び、前記カムピンが前記カムピンシャーシ内で直線的に移動可能である、カムピンシャーシと、
中心ボアと、第1の表面と、第1及び第2のストップ面で終端する螺旋溝を含む第2の表面と、を有するストップリングであって、前記ネジが前記中心ボアを通って延び、前記カムピンが前記螺旋溝と係合する、ストップリングと、
中心ボアを有するターレットキャップであって、前記ネジが前記中心ボアを通って延びて、前記ターレットキャップ、前記ストップリング、及び前記カムピンシャーシが共通の回転軸を有する、ターレットキャップと、
を備え、
前記ターレットの回転限界は、前記ストップリングの前記第1及び第2のストップ面のうちの一方によって定められる、ターレット。
【請求項2】
前記ターレットキャップは、前記第1及び第2のストップ面で終端する溝を含む第1の表面を有し、前記ストップリングの第1の表面はピンを含み、前記ストップリングの前記ピンは、前記ターレットキャップの溝と係合する、請求項1に記載のターレット。
【請求項3】
前記ストップリングは、第1の平面と平行な第2の平面を有し、前記ピンは前記第2の平面から垂直に延びる、請求項2に記載のターレット。
【請求項4】
前記ターレットキャップの溝は、前記ターレットのスクリューの周囲で300°~720°まで延びる、請求項2に記載のターレット。
【請求項5】
前記螺旋溝が、前記ターレットのスクリューの周囲で360°~1,080°まで延びる、請求項1に記載のターレット。
【請求項6】
前記ストップリングが、前記軸に垂直な第1の平面を有し、前記螺旋溝が、前記第1の平面に定められている、請求項1に記載のターレット。
【請求項7】
前記螺旋溝は、前記ネジの軸を各々が中心とし且つ前記軸を実質的に包含する少なくとも2つの同心円弧を含み、前記螺旋溝は前記少なくとも2つの同心円弧を接続する少なくとも1つの移行部分を含む、請求項1に記載のターレット。
【請求項8】
前記カムピンが半径方向に移動可能である、請求項1に記載のターレット。
【請求項9】
前記カムピンは、前記カムピンシャーシのコードの少なくとも一部に沿って直線的に移動可能である、請求項1に記載のターレット。
【請求項10】
請求項1に記載のターレットを含むライフルスコープ。
【請求項11】
ライフルスコープであって、
スコープ本体と、
前記スコープ本体に接続された光軸を定める可動光学素子と、
ネジの軸を定めるネジを有し、前記ネジの回転に応答して前記光軸を変更するために前記光学要素に動作可能に接続されたターレットであって、カムピンシャーシ、ストップリング、及びターレットキャップを含むターレットと、
前記カムピンシャーシが、中心ボアを有してカムピンを固定し、前記ネジが前記中心ボアを通って延び、前記カムピンが、前記シャーシから前記軸と平行に延び、前記カムピンが前記カムピンシャーシ内で直線的に移動可能であり、
前記ストップリングが、中心ボアと、第1の表面と、第1及び第2のストップ面で終端する螺旋溝を含む第2の表面と、を有し、前記ネジが前記中心ボアを通って延び、前記カムピンが前記螺旋溝に係合し、前記ターレットキャップが中心ボアを有し、前記ネジが前記中心ボアを通って延びて、前記ターレットキャップ、前記ストップリング、前記カムピンシャーシが共通の回転軸を有する、ライフルスコープ。
【請求項12】
前記ターレットの回転限界は、前記ストップリングの前記第1及び第2のストップ面のうちの一方によって定められる、請求項11のライフルスコープ。
【請求項13】
前記ターレットキャップは、第1及び第2のストップ面で終端する溝を含む第1の表面を有し、前記ストップリングの前記第1の表面はピンを含み、前記ストップリングの前記ピンは、前記ターレットキャップの前記溝に係合する、請求項11に記載のライフルスコープ。
【請求項14】
前記ターレットキャップの溝は、前記ターレットのスクリューの周りに300°~720°まで延びる、請求項13に記載のライフルスコープ。
【請求項15】
前記ターレットの回転限界が、前記ストップリングの前記第1及び第2のストップ面のうちの一方と、前記ターレットキャップの前記第1及び第2のストップ面の一方とによって定められる、請求項13に記載のライフルスコープ。
【請求項16】
前記ターレットキャップの第1の方向への回転は、前記ターレットキャップの前記溝を前記第1の方向に移動させ、前記ピンが前記溝の前記第1及び第2のストップ面の一方に係合することに応答して、前記ターレットキャップの第1の方向への更なる回転は、前記ストップリングの前記第1の方向への回転を引き起こす、請求項13に記載のライフルスコープ。
【請求項17】
前記ターレットキャップの第2の方向への回転は、前記ターレットキャップの前記溝を前記第2の方向に移動させ、前記ピンが前記溝の前記第1及び第2のストップ面の他方に係合することに応答して、前記ターレットキャップの第2の方向への更なる回転が、前記ストップリングの前記第2の方向への回転を引き起こす、請求項16に記載のライフルスコープ。
【請求項18】
前記螺旋溝が、前記ターレットのスクリューの周囲で360°~1,080°まで延びる、請求項11に記載のライフルスコープ。
【請求項19】
前記螺旋溝が、前記ネジの軸を各々が中心とし且つ前記軸を実質的に包含する少なくとも2つの同心円弧を含み、前記螺旋溝は前記少なくとも2つの円弧を接続する少なくとも1つの移行部分を含む、請求項11に記載のライフルスコープ。
【請求項20】
前記ターレットに対する前記ターレットキャップの軸方向の動きが、前記ターレットをロック位置からアンロック位置に変更する、請求項11に記載のライフルスコープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2020年6月16日に出願された米国仮出願第63/039,791号に対する優先権を主張し、当該仮出願の本出願であり、引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、観察光学機器用のターレットに関する。一実施形態において、本開示は、ゼロストップを有するターレットに関する。
【背景技術】
【0003】
長距離射撃は、過去10年間で、米国及び世界中でますます人気が高まっている。長距離射撃の形態には、長距離狩猟、標的射撃、競技、法執行、及び軍事的用途が含まれる。長距離射撃の人気が高まるにつれ、射手は射撃に習熟し、射撃業界全体が進歩した。
【0004】
過去10年間の長距離射撃の進歩の1つは、弾道技術である。射撃の進歩に伴って、長距離での弾丸の真の着弾点の補償をクロスヘアに正確に行う方法が望まれてきた。これにより、ユーザは、軌道(又は弾丸落下)補償のために標的を「ホールドオーバー」することなく、意図した着弾点上に直接クロスヘアを配置することが可能となる。通常、クロスヘア補償を行う方法は、ターレットシステムによって行われる。
【0005】
ターレットとは、ライフルスコープのボディ中央部外側にある2又は3以上のダイヤルのうちの1つである。ターレットにはマークが付けられ、着弾点を変えるために仰角及びウィンデージを調整するのに使用される。従来のターレットには、ターレット上で、ダイヤルで何クリックの調整が行われたか、角度偏差、又は所与のカートリッジに対する距離補償を示すマークが付けられている。クリックとは、スコープのウィンデージ又は仰角のターレットに対して、触覚的調整の1刻みのことである。
【0006】
ターレットは通常、各目盛りにマークが付けられ、「0」から始まって、ターレットをダイヤルするにつれて増えていく。必ずしもそうだとは限らないが、多くの場合は、ターレットは2回転以上することができる。一般的なターレットの例としては、ターレット1回転で15MOAの調整を有し、1/4MOA刻みで目盛りが付けられ、合計で60ポジション(又はクリックデテント)のターレットである。各1/4MOA刻みでのデテントはクリッカーであり、通常は、人は、あるデテントから次のデテントにクリックすると音と感触の両方を感じることができる。ターレットが1回転で15MOA移動する場合、ターレット上の典型的なマーキング方式は、各フルMOAの数値がハッシュマークで表示し、各中間の1/4MOAでは、数値なしでハッシュマークのみとなる。その結果、ユーザには0から14までがターレット上にリストアップされ、15MOAは実際にはゼロに戻る1回転ということになる。
【0007】
欠点は、ターレットに15MOAよりも大きくダイヤルを入れる必要がある場合に発生する。この場合、ユーザは2回転以上して、MOAを幾つダイヤルしたか決定するため計算を行う必要がある。例えば、2ターン目、つまり2回転目に、ターレットが5番で止まった場合、20MOA(15MOA+5MOA=20MOA)になる。
【0008】
超長距離射撃の場合、弾丸の軌道に合わせてクロスヘアを適切に調整するために、ターレットに30MOA又はそれ以上の補償をダイヤルすることが必要となる場合がある。ターレットに十分な移動量を持たせる一方法としては、ターレットの1回転で30MOA以上の移動量を有するターレットを作ることである。別の方法は、ターレットを2回転以上させることを可能にすることである。ターレットの全「移動量」が機械的に不足するまでに、3~4回転以上するターレットも業界では珍しくはない。
【0009】
1回転の移動量が30MOAであることの利点は、2回転以上の移動量が必要になる可能性が低いため、計算をしなくても数字を見るだけでどこにダイヤルを合わせたのかが分かることである。一方、1回転に30MOAであることの欠点は、所与のターレット直径で、1/4MOAの目盛りの間隔が狭くなることである。このような近接した目盛りであれば、個々のクリックをユーザが感じることが難しくなり、誤ってクリックを「スキップ」し易くなる。
【0010】
クリック感を良くする唯一の方法は、ターレットの直径を大きくして機械的なデテントを大きくすることである。しかしながら、多くのスコープでは、スコープを小型化で簡素化し軽量化することが目的であるので、これは欠点である。特にハンターは、タクティカルシューター又は競技シューターよりもコンパクトで軽量なライフルスコープを好む。ほとんどのハンティングスコープでは、理想的なターレットの大きさ、クリック感、及び1回転当たりの移動量、つまり1回転当たりのターレット調整量は、通常は15MOA前後がベストであるとされる。
【0011】
加えて、新しいライフルスコープをライフルに装着する際には、ライフルを「ゼロ調整」するのが一般的である。また、所与の距離及び環境に対して弾道補償を計算し、ターレットにダイヤル調整して射手を補助することができる、多くのスマートフォンのアプリ及び他のデバイスがある。例えば、1000ヤードで308口径の射撃では、弾丸の軌道を補償するためにライフルスコープ内の正しいスポットにクロスヘアを配置するために、30MOA補償をターレットにダイヤルすることが必要となる可能性がある。長距離標的の射撃後、射手は通常、ターレットを「0」位置までダイヤルダウンする。
【0012】
理解するのに重要な別の要因は、多くの状況では、射手が長距離の標的を射撃すると、突然、近距離に別の「隙のある標的」が現れることがあることである。このような「ストレスの多い」状況では、人間は細かい運動能力を失い、ほとんどは粗大運動能力の動きを保持するようになることはよく知られていることである。
【0013】
以上のような理由から、「ゼロストップ」ターレットを有することは大きな利点である。従って、これらの懸念点に対処することができるゼロストップターレットに対する大きな必要性が存在する。
【発明の概要】
【0014】
一実施形態において、本開示は、ターレットを提供する。本開示の実施形態によれば、軸を定めるネジを有するターレットは、中心ボアを有し、カムピンを固定するカムピンシャーシであって、ネジが中心ボアを通って延び、カムピンがカムピンシャーシから軸と平行に延び、カムピンがカムピンシャーシ内で直線的に移動可能である、カムピンシャーシと、中心ボアと、第1の表面と、第1及び第2のストップ面で終端する螺旋溝を含む第2の表面と、を有するストップリングであって、ネジが中心ボアを通って延び、カムピンが螺旋溝と係合する、ストップリングと、中心ボアを有するターレットキャップであって、ネジが中心ボアを通って延びて、ターレットキャップ、ストップリング、及びカムピンシャーシが共通の回転軸を有するようになる、ターレットキャップと、を備え、ターレットの回転限界は、ストップリングの第1及び第2のストップ面のうちの一方によって定められる。
【0015】
一実施形態において、ターレットキャップは、第1及び第2のストップ面で終端する溝を含む第1の表面を有し、ストップリングの第1の表面はピンを含み、ストップリングのピンは、ターレットキャップの溝と係合する。更に別の実施形態では、ストップリングは、第1の平面と平行な第2の平面を有し、ピンは第2の平面から垂直に延びる。更なる実施形態では、ターレットキャップの溝は、ターレットのスクリューの周囲で300°~720°まで延びる。更に別の実施形態では、螺旋溝が、ターレットのスクリューの周囲で360°~1,080°まで延びる。
【0016】
更に別の実施形態において、ストップリングが、軸に垂直な第1の平面を有し、螺旋溝が、第1の平面に定められている。更に別の実施形態では、螺旋溝は、ネジの軸を各々が中心とし且つ軸を実質的に包含する少なくとも2つの同心円弧を含み、螺旋溝は少なくとも2つの同心円弧を接続する少なくとも1つの移行部分を含む。別の実施形態では、カムピンが半径方向に移動可能である。更に別の実施形態では、カムピンは、カムピンシャーシのコードの少なくとも一部に沿って直線的に移動可能である。
【0017】
別の実施形態において、本開示は、ライフルスコープを提供する。本開示の実施形態によれば、ライフルスコープは、スコープ本体と、スコープ本体に接続された光軸を定める可動光学素子と、ネジの軸を定めるネジを有し、ネジの回転に応答して光軸を変更するために光学要素に動作可能に接続されたターレットであって、カムピンシャーシ、ストップリング、及びターレットキャップを含むターレットと、カムピンシャーシが、中心ボアを有してカムピンを固定し、ネジが中心ボアを通って延び、カムピンが、シャーシから軸と平行に延び、カムピンがカムピンシャーシ内で直線的に移動可能であり、ストップリングが、中心ボアと、第1の表面と、第1及び第2のストップ面で終端する螺旋溝を含む第2の表面と、を有し、ネジが中心ボアを通って延び、カムピンが螺旋溝に係合し、ターレットキャップが中心ボアを有し、ネジが中心ボアを通って延びて、ターレットキャップ、ストップリング、カムピンシャーシが共通の回転軸を有し、ストップリングのピンが溝を係合する。
【0018】
別の実施形態では、ターレットの回転限界は、ストップリングの第1及び第2のストップ面によって定められる。別の実施形態では、ターレットキャップは、第1及び第2のストップ面で終端する溝を含む第1の表面を有し、ストップリングの第1の表面はピンを含み、ストップリングのピンは、ターレットキャップの溝に係合する。更なる実施形態において、ターレットキャップの溝は、ターレットのスクリューの周囲で300°~720°まで延びる。更に別の実施形態では、ターレットのスクリューの回転限界は、ターレットキャップの第1及び第2のストップ面のうちの一方と、ストップリングの第1及び第2のストップ面のうちの一方とによって定められる。更に別の実施形態では、ターレットキャップの第1の方向への回転は、ターレットキャップの溝を第1の方向に移動させ、ピンが溝の第1及び第2のストップ面の一方に更に係合することに応答して、ターレットキャップの第1の方向への回転が、ストップリングの第1の方向への回転を引き起こす。別の実施形態では、ターレットキャップの第2の方向への回転は、ターレットキャップの溝を第2の方向に移動させ、ピンが溝の第1及び第2のストップ面のうちの他方に係合することに応答して、ターレットキャップの第2の方向への更なる回転が、ストップリングの第2の方向への回転を引き起こす。
【0019】
一実施形態において、螺旋溝は、ターレットのスクリューの周囲で360°~1,080°まで延びる。別の実施形態では、螺旋溝は、ネジの軸を各々が中心とし且つ軸を実質的に包含する少なくとも2つの同心円弧を含み、螺旋溝は少なくとも2つの円弧を接続する少なくとも1つの移行部分を含む。更なる実施形態において、ターレットに対するターレットキャップの軸方向の動きは、ターレットをロック位置からアンロック位置に変更する。
【0020】
本開示の実施形態は、添付図面を参照して開示され、例証の目的のものである。本開示は、その適用において、構造の詳細又は図面に示された構成要素の配置に限定されるものではない。本開示は、他の実施形態、又は他の様々な方法で実施又は実行することが可能である。同様の参照数字は、同様の構成要素を示すために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の実施形態による、スコープの形態の例示的な観察光学機器を示す図である。
図2】スコープの様々な代表的な部品を示す図である。
図3】本開示の実施形態による、ターレットの分解図である。
図4A】本開示の実施形態による、ターレットキャップの上面斜視図である。
図4B】本開示の実施形態による、ターレットキャップの底面斜視図である。
図4C】本開示の実施形態による、ターレットキャップの底面図である。
図5A】本開示の実施形態による、ゼロストップリングの上面斜視図である。
図5B】本開示の実施形態による、ゼロストップリングの底面斜視図である。
図5C】本開示の実施形態による、ゼロストップリングの底面図である。
図5D】本開示の実施形態による、ゼロストップリングの更なる実施形態の上方斜視図である。
図5E】本開示の実施形態による、ゼロストップリングの更なる実施形態の底面斜視図である。
図6A】本開示の実施形態による、カムピンシャーシの上方分解斜視図である。
図6B】本開示の実施形態による、カムピンシャーシの上方斜視図である。
図6C】本開示の実施形態による、カムピンシャーシの上面図である。
図6D】本開示の実施形態による、カムピンシャーシの底面斜視図である。
図6E】本開示の実施形態による、カムピンシャーシの底面図である。
図6F】本開示の実施形態による、カムピンシャーシの断面図である。
図6G】本開示の実施形態による、第1の位置にあるカムピンシャーシの更なる実施形態の底面斜視図である。
図6H】第2の位置にある図6Gのカムピンシャーシを示す図である。
図7A】本開示の実施形態による、ターレットキャップの上部が取り外された、組み立てられたターレットの上方斜視図である。
図7B図7Aの組み立てられたターレットの断面図である。
図8】本開示の実施形態による、組み立てられたターレットの更なる断面図である。
図9A】本開示の実施形態による、ターレットの例示的な第1の回転量を示す図である
図9B】本開示の実施形態による、ターレットの例示的な第1の回転量を示す図である
図9C】本開示の実施形態による、ターレットの例示的な第1の回転量を示す図である
図9D】本開示の実施形態による、ターレットの例示的な第1の回転量を示す図である
図9E】本開示の実施形態による、ターレットの例示的な第1の回転量を示す図である
図10A】本開示の実施形態による、ターレットが部分断面で示されターレットキャップが取り外された、ターレットの例示的な第2の回転量を示す図である。
図10B】本開示の実施形態による、ターレットが部分断面で示されターレットキャップが取り外された、ターレットの例示的な第2の回転量を示す図である。
図10C】本開示の実施形態による、ターレットが部分断面で示されターレットキャップが取り外された、ターレットの例示的な第2の回転量を示す図である。
図11A】本開示の実施形態による、ターレットが部分断面で示されターレットキャップが取り外された、ターレットの例示的な第3の回転量を示す図である。
図11B】本開示の実施形態による、ターレットが部分断面で示されターレットキャップが取り外された、ターレットの例示的な第3の回転量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、その適用が、以下の説明に記載され、又は図面に例示された構造の詳細及び構成要素の配置に限定されないことが理解されるであろう。本開示の技術は、他の実施形態が可能であり、又は様々な方法で実施又は実行される。また、本明細書で採用される言い回し及び用語は、説明のためのものであり、限定的なものと見なすべきではないことが理解される。
【0023】
本開示における数値範囲は概算であるため、特に指示しない限り、範囲外の値を含むことがある。数値範囲は、任意の低い値と任意の高い値との間に少なくとも2単位の隔たりがあることを条件として、1単位刻みで、低い値と高い値との間の全ての値を含む。例として、例えば分子量、メルトインデックス、温度などの組成的、物理的又は他の特性が100から1000の場合、100、101、102などの全ての個々の値、及び100から144、155から170、197から200などのサブ範囲が明示的に列挙されていることが意図されている。1未満の値を含む範囲、又は1より大きい小数を含む範囲(例えば、1.1、1.5など)については、1単位は、適宜、0.0001、0.001、0.01又は0.1であると見なされる。10未満の1桁の数字を含む範囲(例:1~5)については、典型的には、1単位は0.1であると見なされる。これらは、具体的に意図されたものの例に過ぎず、列挙された最低値と最高値との間の数値の全ての可能な組み合わせは、本開示において明示的に記載されたものと見なされる。
【0024】
本明細書で使用される場合、「弾道」は、多数の要因に基づいて弾丸の弾道を極めて正確に計算する方法である。
【0025】
本明細書で使用される場合、「軌道」は、重力、空気密度、弾丸形状、弾丸重量、銃口速度、バレルツイスト方向、バレルツイストレート、飛行経路の真方位、銃口の垂直角度、風、及び他の多数の様々な要因によって影響を受ける距離にわたる弾丸飛行経路のことを指す。
【0026】
本明細書で使用する「ターレット」は、通常、ライフルスコープの回転式ダイヤルのことである。通常、仰角ターレット及びウィンデージターレットがある。仰角ターレットはクロスヘアを垂直方向に調整し、ウィンデージターレットは、クロスヘアを水平方向に調整する。仰角ターレットとウィンデージターレットを併用することで、ライフルスコープのクロスヘアを適切な量だけ動かし、範囲にわたる弾丸軌道を補償することができる。
【0027】
ターレットは通常、補償量を正確にダイヤル操作できるように、デテント刻みを備えている。ターレットのデテントは通常、分角(MOA)又はミリラジアン(MRAD)という角度単位で表示され、これらは射程距離に対する弾丸の軌道変化量と相関がある。MOAとMRADはどちらも使用可能で、距離を測るときにインチとセンチメートルを使い分けるのと同じようなものである。
【0028】
本明細書で使用される場合、「レチクル」は、一実施形態では、弾丸のためのクロスヘアの照準点である。本明細書で使用される場合、「レチクル」は、自分の弾丸の照準パターンである。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「観察光学機器」は、標的を選択、識別又は監視するために射手又はスポッターによって使用される器具を指す。「観察光学機器」は、標的の視覚的観察に、例えば、赤外線(IR)、紫外線(UV)、レーダー、熱、マイクロ波、又は磁気イメージング、X線、ガンマ線、同位体及び粒子線を含む放射線、暗視、超音、音パルス、ソナー、地震振動、磁気共鳴、重力受容体、電波、テレビ及び細胞受容体を含む放送周波数、又は標的の他のイメージに依存することができる。「観察光学機器」デバイスによって射手に提示される標的の像は、変更されていなくてもよいし、或いは、例えば、拡大、増幅、減算、重ね合わせ、ろ過、安定化、テンプレートマッチング、又は他の手段によって強調することもできる。「観察光学機器」によって選択、識別又は監視される標的は、射手の視線内にあってもよく、又は、射手の視線に接線方向であってもよく、標的取得デバイスが射手に標的の焦点像を提示する間、射手の視線は妨げられるものであってもよい。「観察光学機器」によって取得された標的の像は、例えば、アナログ又はデジタルであってよく、例えば、html、SML、SOAP、X.25、SNA等のプロトコル、Bluetooth(商標)、シリアル、USB又は他の適切な像配信方法を用いた、ビデオ、物理ケーブル又はワイヤ、IR、電波、セルラー接続、レーザーパルス、光学、802.11b又は他の無線伝送によって、1又は2以上の射手とスポッターのネットワーク内で共有、保存、アーカイブ又は転送することができる。一実施形態では、観察光学機器はライフルスコープである。用語「観察光学機器」は、「光学照準機」と互換可能に使用される。
【0030】
本明細書で使用する場合、ゼロ調整とは、所定の距離、通常は100ヤードにおいて、ターレットを「0」位置に調整した状態で、クロスヘアが意図した弾丸の衝突点にあるように、ターレットを調整することをいう。100ヤードを超えて目標が現れると、射手は、容易に知られた弾道計算に基づいて補償するために、ターレットを「0」位置から「アップ」ダイヤルすることになる。
【0031】
本明細書において、ゼロストップとは、ライフルが100ヤードでゼロ調整された後、又は「ゼロ」範囲に望まれる任意の距離で、ユーザがターレットに機械的ストップを設定することを可能にする機構である。900ヤードの標的を撃った後、100ヤードの地点に突然標的が現れた場合、ユーザは、ターレットがゼロストップに対して機械的に停止するまで、ターレットを「下降」させるだけでよい。ユーザは、ターレットの数字を見ながら回転数を数え、元のゼロ位置の細かいクリック位置で止めようと心配する必要はない。これにより、ユーザは微細な運動能力ではなく、感覚のみと総体的な運動能力に頼ることができる。
【0032】
図1は、例示的なライフルスコープを示し、図2は、ライフルスコープの様々な内部構成要素を示している。より詳細には、ライフルスコープ10は、図示の例示的な実施形態のように、対物レンズ20、レチクル2、可変パワー光学部品3、及び接眼レンズ5を含む、図2において一般に8として示される光学部品を囲む本体12を有する。図示の実施形態では、光学構成要素の1又は2以上は、エレクタチューブなどの可動光学要素内に含まれる。
【0033】
スコープ本体12は、その前部に大きな開口部14を有し、その後部16に小さな開口部を有する細長い管体である。スコープ本体12の後部16に接眼レンズ18が取り付けられ、スコープ本体の前部には、対物レンズ20が取り付けられる。光学素子8の中心軸は、スコープの光軸を定める。
【0034】
仰角ターレット22とウィンデージターレット24は、スコープ本体12の中央部外側にある2つのダイヤルである。これらは、その外周部30、32に標識34によって刻みでマーキングされており、光学素子の仰角とウィンデージを衝撃変化点に対して調整するために使用される。これらのターレットは、ターレットハウジング36から突出している。ターレットは、仰角ターレット回転軸26がウィンデージターレット回転軸28に垂直となるように配置されている。標識は、典型的には、それぞれがクリックに対応するティックマーク、及び選択された間隔におけるより大きなティックマーク、並びに調整角度又は弾丸落下補償のための距離を示す数字を含む。
【0035】
光学素子は、ターレットを1又は2以上のクリックで回転させることによって調整される。クリックは、ライフルスコープのウィンデージ又は仰角ターレット上の1つの触覚的調整刻みであり、その各々は、標識34の1つに対応する。一実施形態では、1クリックは、スコープの着弾点を0.1MRADだけ変化させる。別の実施形態では、1クリックは、100ヤードでスコープの着弾点を1/4インチ変化させる。他の実施形態では、クリックは、1/2インチ、他のOAミリラジアンなど、他の値をとることができる。本明細書で使用されるように、分角度(MOA)は、円の測定単位であり、100ヤードで1.0472インチである。従来、100ヤードで1インチ、200ヤードで2インチ、500ヤードで5インチ、50ヤードで1/2インチなどと称されている。
【0036】
図3は、例示的なターレット200の分解斜視図である。ターレット200は、ターレットキャップ300と、ゼロストップリング400と、カムピンシャーシ500とから構成される円筒体である。ターレットキャップ300、ゼロストップリング400、カムピンシャーシ500は各々、ターレットキャップ300、ストップリング400、カムピンシャーシ500がターレットのスクリュー600の周りを回転自在であるように、同軸で且つターレットのスクリュー600の直径より少しだけ大きい直径を有する中心ボア320、420、520を有している(図示せず)。従って、ターレットキャップ300、ゼロストップリング400、カムピンシャーシ500、及びターレットのスクリュー600の回転軸は、同一線上にある。
【0037】
図4A~4Cは、ターレットキャップ300を更に詳細に示している。特に、ターレットキャップ300は、トップキャップ301が取り外された状態で示されている。ターレットキャップ300の上部305は、中央部分315と溝部分318とを有する凹部310を定める。央部分315は、溝部分318よりも高くなっているが、頂部305ほど高くは延びていない。中央部分315はまた、中心ボア320を定める。中心ボア320、中央部分315及び溝部分318は、同軸である。
【0038】
凹部310の内面及び溝部分318の床は、隆起した中央部分315の内側垂直面317、内側垂直面319及び上面321と同様に、滑らかである。中心ボア320の下縁323は歯付きである。
【0039】
ターレットキャップ300の外面325は、上部触覚部分330と下部平滑部分335とを有する。上部触覚部分330は、ユーザの利便性のために、また、低い照明の中などでターレット200を見ることなく使用する際に触覚フィードバックを提供するために、テクスチャ加工されている。
【0040】
特に図4B及び図4Cを参照すると、ターレットキャップ300の底部350は、溝370を有する概して平坦な表面360を有する凹部355を定める。中心ボア320は、凹部355を通って延び、ターレットキャップ300を通る通路を形成している。凹部355の側壁358は、平坦な表面360に対してほぼ垂直であり、平滑部分357及び歯付き部分359を有する。外面325の上部触覚部分330を貫通して切欠390が設けられ、切欠390は上部触覚部分330の他の触覚特徴を越えて延びている。
【0041】
溝370は、凹部355の平坦面360に凹み、ボア320と側壁358との間に半径方向に配置される。溝370は、概ね円形であり、終端部372、374は、円を完成しないように閉じられている。図示の実施形態では、溝370は一貫した半径を有し、終端した端部372、374は互いに隣接している。しかしながら、更なる実施形態では、終端した端部372、374は、オフセットされてもよい(例えば、溝370は、一貫性のない半径を有する)。
【0042】
図示の実施形態では、溝370は、ターレットキャップ300の底面360の周囲を約330°に達する。更なる実施形態では、溝370は、300°、又は310°、又は320°、又は330°から、335°、又は340°、又は345°、又は350°、又は355°、又は360°、又は450°、又は540°、又は630°、又は720°に達する。更に別の実施形態では、溝370は、300°、又は310°、又は320°、又は330°から、335°、又は340°、又は345°、又は350°、又は355°、又は360°に達する。
【0043】
図5A図5Cは、ストップリング400を示す図である。リング400の上部402は、滑らかな内面422を有する中心ボア420を定める滑らかな上部表面405を有する。図示の実施形態では、上面405は、回転軸/ネジの軸に垂直な概ね平面的な表面である。リング400の外面は、その円周の周りにチャネル425を有する。ピン410が上面405から上方に延びている。図示の例示的な実施形態では、ピン410は、回転軸/ネジの軸と平行に表面405から垂直に延びている。ピン410は、溝416によって分離された上部部分412及び下部部分414を有する。ピン410の上側部分412は、ターレットキャップ300の底部350に設けられた溝370と界面する。すなわち、溝370の幅は、ピン410が溝370内で容易にスライドできるように、ピン410の頭部412より少し大きくなっている。底部430は、螺旋溝435を有する概ね平坦な表面440を有する。図示の特定の実施形態では、平坦面440は、回転軸/ネジの軸に垂直な概ね平面的な面である。平坦な表面440は、表面405と平行である。螺旋溝435は、平面に定められ、終端部437、439を有する。終端部437、439は、以下で更に詳細に説明するように、ストップ面として機能する。図示の実施形態では、螺旋溝435は、螺旋溝435がストップリング400について360°より大きく進むことを可能にするために、移行部445においてそれ自体が重なり合う。すなわち、螺旋溝435は、非一貫性の半径を有する。言い換えれば、螺旋溝435は、回転軸/ネジの軸を中心とし、軸を本質的に包含する2つの同心円弧から構成されて示されている。移行部445は、2つの円弧を接続する。更なる実施形態では、螺旋溝は、図5D~5Eに示されるような、2又は3以上の円弧と2以上の移行部分とで作ることができる。
【0044】
図示の実施形態において、螺旋溝435は、ストップリング400の周りに約660°延びる。更なる実施形態では、螺旋溝435は、360°、又は450°、又は540°、又は630°より大きい方から660°、又は680°、又は700°、又は710°、又は720°、又は810°、又は900°、又は990°、1020°、又は1,080°まで延びている。更に別の実施形態では、螺旋溝435は、360°、又は450°、又は540°、又は630°より大きく、660°、又は680°、又は700°、又は710°、又は720°まで延びている。
【0045】
組み合わせると、ストップリング400とターレットキャップ300は、660°、又は705°、又は750°、又は795°、又は840°から885°、又は930°、又は975°、又は1,020°、又は1,065°、又は1,080°、又は1,170°、又は1,260°、又は1,350°、又は1,440°までの合計回転制限を許容する。
【0046】
上部402及び下部430は、ゼロストップリング400の円周上にある溝によって分離されている。
【0047】
図5D及び図5Eを更に参照すると、幾つかの実施形態では、ストップリング400′は、螺旋溝を含む唯一の構成要素であるように設計されている。すなわち、一実施形態において、ターレットキャップ300は、溝(例えば、図4B及び図4Cに示すような溝370など)を有さない。このような実施形態では、螺旋溝435′は、ストップリング400′の周りに約1,020°延びる。更なる実施形態では、ターレットキャップ300に溝が設けられていない場合、スパイラル溝435′は、660°、又は680°、又は700°、又は710°、又は720°、又は810°、又は900°、又は990°、又は1020°、又は1,080°より大きく延びる。更に、ターレットキャップ300が溝を有しないこのような実施形態では、ストップリング400′は、その上面にピンを含まない。図示の特定の実施形態では、開口部410′が設けられる。固定構造は、ストップリング400′をターレットキャップ300に固定するために、開口部410′に係合することができる。
【0048】
図6A~6Fは、カムピンシャーシ500の一実施形態を示す。カムピンシャーシ500は、凹部504を定める頂部502を有する円筒形である。凹部504は、滑らかな表面506及び滑らかな側壁504を有する。ノッチ510は、頂部502の内周に配置される。カムピンシャーシ500の外側の側壁525は、歯付き部分526と平滑部分527とを有する。溝535は、外側側壁525の外周に延びて、歯付き部分526と平滑部分527とを分離している。
【0049】
中心ボア520は、表面506を貫通して延びる。図示の実施形態では、中心ボア520は、中心ボア520に接続され、そこから延びる3つのローブ521a、521b、521cを有する。外側側壁525の平滑部527の開口部523は、表面506を通過するスロット522に開口している。スロット522は、示された実施形態におけるローブの2つ、521b及び521cの間の位置で、中心ボア520の滑らかな側壁530を通って中心ボア520に開口している。スロット522の上部は、滑らかな面530を通して開口している。
【0050】
ダボ552は、スロット522内で滑動可能である。ダボ552は、カムピン550が配置される開口部554を有する。カムピン550は円筒形であり、ゼロストップリング400の螺旋状溝435の幅よりも少し小さい直径を有する。ダボ552の開口部554は、カムピン550の直径より少し大きい。スロット522及び開口部523は、ダウエル552の直径よりも少し大きい直径を有する。スロット522は、ターレットのスクリュー(図示せず)の軸から半径方向に延びている。この配置は、図6Fに示されるように、カムピン550の半径方向の動きを可能にする。カムピン550が螺旋溝435に係合すると、カムピン550は、進行方向に応じて半径方向外側又は内側に延びるように螺旋溝435に沿って追跡することができる。
【0051】
カムピンシャーシ500の底部560は、カムピンシャーシ500について360°未満に延びるチャネル562を有する概して滑らかな表面561である。図示の実施形態において、チャネル562は、3つのローブ521a、521b、521cのそれぞれと交差するが、孔523/スロット522領域とは交差しない。図7Bに関して示されるように、ローブ521a、521b、521c及びチャネル562は、その機能を達成するためにターレットの他の部分と係合し、相互作用する。
【0052】
図6G及び図6Hに示されるような他の実施形態では、カムピンシャーシ500′は、カムピンがカムピンシャーシ500′に対して半径方向以外に移動するように構成されてもよい。
【0053】
図6G及び6Hに示すように、中心ボア(ターレットのスクリューが係合した状態で示されている)は、カムピンシャーシ500′の中央を通って延びている。カムピンシャーシ500とは異なり、中心ボアは3つのローブを有さない。むしろ、中央のボアは、単一の丸いボアである。この設計は、カムピン(図示せず)が移動することができる表面を増加させることを提供する。外側側壁525′の開口部523′は、表面506′を通過するスロット522′に向かって開口している。
【0054】
図6G及び図6Hに示すように、ダボ552′は、スロット522′内で滑動可能である。ダボ552′は、カムピン(図示せず)が配置されることになる開口部554′を有する。カムピンシャーシ500のスロット522は、ターレットのスクリューの軸から半径方向に延びているが、カムピンシャーシ500′のスロット522′は、円形カムピンシャーシ500′のコードの一部を横切って直線的に延びている。カムピンシャーシ500′のコードを使用することによって、ダウエル552′及びカムピン(図示せず)は、半径の距離よりも大きい距離を移動することができ、軸を中心としたストップリングの螺旋溝の追加の回転を許容する。例えば、図6Gでは、ダボ552′は、スロット522′の右端に対して完全に示されており(示された向きで)、図6Hでは、ダボ552′は、開口523′から延びて示されている。
【0055】
図7A~7Bは、ターレットキャップ300のゼロストップチャネル370の機能を説明する図である。カムピンシャーシ500及びストップリング400は、ターレット200を完成させるためにカムピンシャーシ500及びストップリング400の上に固定されたターレットキャップ300と共にターレットネジ600の周りに取り付けられているのが示されている。ターレット200の機能性(例えば、光学素子の調整)に寄与する残りの構成要素は、一般に、数字650で参照される。ピン410は、図7Bに示すように、隆起した中央部分315に突出する溝370に係合する。ターレットキャップ300の回転は、ピンがストップ面372、374に係合するまで、ピン410に対する溝370の相対的な移動につながる。
【0056】
溝370の深さとピン410の高さは、ピン410の端部と溝370の上面との間に空間700を確保することを可能にする。また、図7Bの図には、ターレットキャップカバー750が装着された状態が示されている。カバー750は、ターレットのスクリュー600に固定されている。カバー750は、カバー750とターレットキャップ300との間に空間702、703が設けられるように配置される。空間700、702、703は、ターレットキャップ300の限定された軸方向移動を可能にする。この軸方向移動により、ターレット200のロック/アンロックが可能となる。すなわち、図7Bに示すように、ターレットはそのロック位置にあり、ターレットキャップ300は回転自在ではない。カバー750によって軸方向の移動が停止されるまでターレットキャップ300を持ち上げると、ターレット200のロックが解除され、ターレットキャップ300は回転自在となることを意味する。
【0057】
図8は、図7Aの組み立てられたターレットの断面図であるが、カムピン550がストップリング400の螺旋溝435に係合するように異なる位置で切断した図である。図8に示すように、カムピン550は、スロットを通して螺旋溝435の最も内側の部分に係合し、ダボ552が穴523の中で半径方向内側にある状態で示されている。
【0058】
ライフルスコープ(又は他の観望光学系)をゼロにするために、ユーザは、ターレットキャップ300を取り外し、次にストップリング400をターレット200から取り外す。ターレットキャップ300は、(ストップリング400が省略された状態で)交換される。その後、ライフルスコープは、機械的なストップに干渉されることなく、ゼロ調整することができる。ターレットキャップ300はターレットのスクリュー600に機械的に結合されているので、ターレットキャップ300の回転はターレットのスクリュー600の回転を引き起こし、レチクルを調整するように変換される。従って、ターレットキャップ300の回転は、レチクルをターレット200から直線的に近づけたり遠ざけたりして調整する。ライフルスコープがゼロ調整されると、ターレットキャップ300が取り外され、ストップリング400が交換される。ストップリング400は、カムピン550が螺旋溝435の最も内側のストップ面437に接触するまで時計回りに回転される。
図示の実施形態の場合、これはストップリング400の開始位置である。
【0059】
ストップリング400が適切に位置決めされると、ターレットキャップ300が交換される。ターレットキャップ300は、特に、その「0」標識(又は他の所望の標識)がターレットベース又はライフルスコープ本体上の固定標識と垂直に整列するように、ターレット200上で整列される。そのように適切に配向されると、ストップリング400上のピン410は、チャネル370内で最も反時計回りの位置に、すなわち、図示の実施形態では、ストップ面374に対して位置付けられる。
【0060】
調整の最初の回転を達成するための反時計回り方向へのターレットキャップ300の最初の回転が、図9A~9Eに示されている。ユーザが拡張された距離で標的に射撃しようとするとき、ターレット200のロックを解除するためにターレットカバー750によって止められるまで、ターレットキャップ300は点灯される。適切にゼロにされると、時計回り方向へのターレットキャップ300の初期回転は、図9Aに示すように、ストップリング400のピン410がターレットキャップ300のチャネル370のストップ面347と係合することにより制限される。ターレットキャップ300が反時計回りに回転されると、図9B~9Eに示すように、チャネル370はピン410に対して相対的に移動し(すなわち、ピン410及び従ってストップリング400は静止したまま)、ピン410がストップ面372に係合するまで第1の量の回転を達成することができる。図示の実施形態では、それは約330°の回転である。ストップ面372と係合した後、ターレットキャップ300の更なる反時計回りの回転は、ストップリング400の回転も引き起こす。
【0061】
図10A~10Cは、2回転目の調整を説明する図である。ターレットキャップ300が図9Eに示す点を越えて反時計回り方向に回転し続けると、ストップリング400はターレットキャップ300と共に回転する。ストップリング400が回転すると、カムピン550は、図10Cに示すように、最も内側のストップ面437からストップリング400の螺旋状溝435を通り、移行部445を通って滑動する。カムピン550が螺旋溝435内をスライドすると、ダウエル552はスロット522内を軸方向に移動する。図示の実施形態では、この2回目の調整の回転は約330°であり、その結果、ここまでの回転のおおよその合計は660°である。
【0062】
ターレットキャップ300が反時計方向に更に回転されると、カムピン550は、図11A~11Bに示すように、移行部445を過ぎてストップ面439(すなわち、図示の実施形態では最外部のストップ面)まで螺旋溝435内を移動し続ける。その点を超える更なる反時計回りの回転はストップ面439によって阻止され、ターレットキャップ300は更に約330°、すなわち合計約990°又は合計約3回転したことになる。
【0063】
ライフルスコープが、ターレット200によって提供される調整連続体に沿ってどこでも適切に調整されると、ターレットキャップ300は、そのロック位置に下向きに押し込まれ、ユーザは、セットアップして、ショットを取るために狙いを定めることができる。ゼロに戻すには、ターレットキャップ300を上方に移動してアンロック位置にし、時計回り方向に回転させる。ターレットキャップ300の最初の回転は、チャネル370をピン410に対して移動させ、その移動は、ゼロストップリング400のピン410がチャネル370のストップ面347に係合するまで継続される。ターレット200が、示された実施形態において、第2又は第3の回転が使用されるように調整された場合、ユーザは、ターレットキャップ300を時計方向に回転させて、カムピン550を、その移動の終わりに達するまで、すなわち、最も内側のストップ面437に達するまで螺旋溝435を通して押し戻し続ける。ターレットキャップ300の時計回りの回転が防止されると、ターレットはその開始時のゼロ位置に戻っている。
【0064】
図7A~11Bは、ターレットキャップ300、ゼロストップリング400及びカムピンシャーシ500を用いるものとして説明されているが、ストップリング400′及び/又はカムピンシャーシ500′は、それぞれゼロストップリング400及び/又はカムピンシャーシ500の代わりに、残りの構成要素に若干の設計変更を加えて使用できることが理解されよう。
【0065】
ゼロストップ機能を有するターレット及びライフルスコープの複数の実施形態を詳細に説明したが、それに対する修正及び変形が可能であり、その全てが本発明の真の精神及び範囲に属することは明らかであるはずである。次に、上記の説明に関して、サイズ、材料、形状、形態、機能及び操作、組立及び使用の方法のバリエーションを含むように、開示された技術の部品の最適な寸法関係は、当業者にとって容易に明白であると考えられ、図面に例示され明細書に記載されたものと同等の全ての関係は、本発明に包含されることが意図されていると理解されよう。従って、上述のことは、本発明の原理の例示に過ぎないと考えられる。更に、多数の修正及び変更が当業者には容易に想起されるので、本発明を図示及び記載された正確な構造及び動作に限定することを望むものではなく、従って、本発明の範囲内に入る全ての適切な修正及び均等物を行使することができる。
【符号の説明】
【0066】
500 カムピンシャーシ
502 頂部
504 凹部
506 表面
510 ノッチ
520 中心ボア
525 外側の側壁
526 歯付き部分
527 平滑部分
535 溝
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
【国際調査報告】