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特表2023-530722磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む光学効果層を作製する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-19
(54)【発明の名称】磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む光学効果層を作製する方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/36 20060101AFI20230711BHJP
   B41M 3/06 20060101ALI20230711BHJP
   B41M 3/14 20060101ALI20230711BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230711BHJP
   B05D 5/06 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
B05D1/36 B
B41M3/06 Z
B41M3/14
B05D7/24 303D
B05D7/24 301T
B05D1/36 Z
B05D5/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577622
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(85)【翻訳文提出日】2022-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2021057718
(87)【国際公開番号】W WO2021259527
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】20181614.7
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】311007051
【氏名又は名称】シクパ ホルディング ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】SICPA HOLDING SA
【住所又は居所原語表記】Avenue de Florissant 41,CH-1008 Prilly, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ピットット, エルヴェ
(72)【発明者】
【氏名】マルティーニ, ティボー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェヤ, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ルッジェロン, リカルド
(72)【発明者】
【氏名】ガルニエ, ジャン
【テーマコード(参考)】
2H113
4D075
【Fターム(参考)】
2H113AA04
2H113AA06
2H113BA01
2H113BA03
2H113BA09
2H113BA41
2H113BB02
2H113BB07
2H113BB09
2H113BB10
2H113BB22
2H113BC11
2H113CA37
2H113CA39
2H113CA47
2H113FA43
4D075AC06
4D075AC09
4D075AC23
4D075AC25
4D075AC42
4D075AC45
4D075AE03
4D075AE06
4D075BB42Z
4D075BB46Z
4D075BB91Z
4D075CA47
4D075CA48
4D075CB01
4D075DA04
4D075DA06
4D075DB18
4D075DB31
4D075DC19
4D075DC21
4D075DC30
4D075DC36
4D075DC38
4D075EA21
4D075EA33
4D075EA41
4D075EB13
4D075EB14
4D075EB22
4D075EB33
4D075EB35
4D075EB38
4D075EB43
4D075EC03
4D075EC07
4D075EC11
4D075EC21
4D075EC23
4D075EC30
4D075EC35
4D075EC37
4D075EC51
(57)【要約】
本発明は、例えば、偽造及び違法複製に対する紙幣及びアイデンティティ文書などのセキュリティ文書の保護の分野に関する。特に、本発明は、基材(x20)上に、1つ又は複数のしるし(x30)を示す光学効果層(OEL)を作製する方法であって、非球状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を配向するために非球状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むコーティング層(x10)を磁界発生装置の磁界にさらすステップと、コーティング層(x10)上にトップコーティング組成物を1つ又は複数のしるし(x30)の形態で付与するステップと、コーティング層(x10)及び1つ又は複数のしるし(x30)を、少なくとも部分的に硬化装置(x50)で硬化するステップとを含む、方法を提供する。
【選択図】 図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(x20)上に、1つ又は複数のしるし(x30)を示す光学効果層(OEL)を作製する方法であって、
a)基材(x20)表面上に、非球状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物を付与するステップであり、前記放射線硬化性コーティング組成物が、コーティング層(x10)を形成するために第1の液体状態である、ステップと、
b)前記磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を配向するために前記コーティング層(x10)を磁界発生装置の磁界にさらすステップと、
c)ステップb)後に、前記コーティング層(x10)上にトップコーティング組成物を付与するステップであり、前記トップコーティング組成物が、1つ又は複数のしるし(x30)の形態で付与される、ステップと、
d)ステップc)と部分的に同時に又はその後に、前記コーティング層(x10)及び前記1つ又は複数のしるし(x30)を少なくとも部分的に硬化装置(x50)で硬化するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記コーティング層(x10)をさらす前記ステップb)が、前記非球状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コーティング層(x10)をさらす前記ステップb)が、前記非球状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するために実行され、前記非球状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が、小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子であり、前記粒子の主要な延出面を定義するX軸及びY軸を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティング層(x10)をさらす前記ステップb)が、前記小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向して、それらのX軸及びY軸の両方を前記基材表面に実質的に平行にするために実行される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップb)が、2つのステップからなり、第1のステップb1)が、前記小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するために、前記コーティング層(x10)を前記磁界発生装置の前記磁界にさらすことからなり、さらなるステップb2)が、前記小平板形状の磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために、前記コーティング層(x10)を第2の磁界発生装置の磁界にさらすことからなり、前記さらなるステップb2)が、前記ステップb1)と部分的に同時に、同時に、又はその後に実行される、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記コーティング層(x10)の1つ又は複数の第2のエリアが照射にさらされないままであるように、前記コーティング層(x10)の1つ又は複数の第1のエリアを選択的に少なくとも部分的に硬化して、前記磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部をそれらの採用された位置及び配向に固定するステップx)と、
前記コーティング層(x10)を第2の磁界発生装置の磁界にさらすステップy)と、
をさらに含み、
前記ステップx)が、前記ステップc)と部分的に同時に又はその後に実行され、前記ステップy)が、前記ステップx)後、かつ前記ステップd)と部分的に同時に又はその前に実行される、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記コーティング層(x10)の1つ又は複数の第2のエリアが照射にさらされないままであるように、前記コーティング層(x10)の1つ又は複数の第1のエリアを選択的に少なくとも部分的に硬化して、前記磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部をそれらの採用された位置及び配向に固定するステップx)と、
前記コーティング層(x10)を第3の磁界発生装置の磁界にさらすステップy)と、
をさらに含み、
前記ステップx)が、前記ステップc)と部分的に同時に又はその後に実行され、前記ステップy)が、前記ステップx)後、かつ前記ステップd)と部分的に同時に又はその前に実行される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記コーティング層(x10)の1つ又は複数の第2のエリアが照射にさらされないままであるように、前記コーティング層(x10)の1つ又は複数の第1のエリアを選択的に少なくとも部分的に硬化して、前記磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部をそれらの採用された位置及び配向に固定するステップx)と、
前記コーティング層(x10)を第2の磁界発生装置の磁界にさらすステップy)と、
をさらに含み、
前記ステップx)が、前記ステップb)と部分的に同時に又はその後に実行され、前記ステップy)が、前記ステップx)後かつ前記ステップc)前に実行される、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コーティング層(x10)の1つ又は複数の第2のエリアが照射にさらされないままであるように、前記コーティング層(x10)の1つ又は複数の第1のエリアを選択的に少なくとも部分的に硬化して、前記磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部をそれらの採用された位置及び配向に固定するステップx)と、
前記コーティング層(x10)を第3の磁界発生装置の磁界にさらすステップy)と、
をさらに含み、
前記ステップx)が、前記ステップb)と部分的に同時に又はその後に実行され、前記ステップy)が、前記ステップx)後かつ前記ステップc)前に実行される、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記放射線硬化性コーティング組成物を付与する前記ステップa)は、スクリーン印刷、グラビア印刷、パッド印刷、及びフレキソ印刷からなる群から選択されるプロセスによって実行される、請求項1~9のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記トップコーティング組成物を付与する前記ステップc)が、非接触流体マイクロディスペンシング技術、好ましくは、インクジェット印刷プロセスによって実行される、請求項1~10のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記非球状の磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部が、非球状の光学的可変磁性又は磁化可能な顔料粒子によって構成される、請求項1~11のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記非球状の光学的可変磁性又は磁化可能な顔料粒子が、磁性薄膜干渉顔料、磁性コレステリック液晶顔料、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ又は複数のしるしが、コード、シンボル、英数字のシンボル、モチーフ、幾何学模様、文字、単語、数、ロゴ、図、ポートレート、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1~13のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~14のうちのいずれか一項に記載の方法によって作製された光学効果層(OEL)。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
[001]本発明は、磁気的に配向された小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む光学効果層(OEL)を作製するための磁界発生装置及び方法の分野に関する。特に、本発明は、OELを作製するためにコーティング層中で小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を磁気的に配向する磁界発生装置及び方法、並びに前記OELの装飾の目的と同様にセキュリティ文書又はセキュリティ物品に対する偽造防止の手段としての使用を提供する。
【発明の背景】
【0002】
[002]例えば、セキュリティ文書の分野において、セキュリティ要素の作製に対して、配向された磁性又は磁化可能な顔料粒子、特に、また、光学的可変磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むインク、組成物、コーティング、又は層を使用することは本技術分野において公知である。配向された磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むコーティング又は層は、例えば、米国特許第2,570,856号;米国特許第3,676,273号;米国特許第3,791,864号;米国特許第5,630,877号、及び米国特許第5,364,689号において開示されている。配向された磁性カラーシフト顔料粒子を含むコーティング又は層は、特に魅力的な光学的効果をもたらし、セキュリティ文書の保護に役立ち、国際公開第2002/090002号及び国際公開第2005/002866号において開示されている。
【0003】
[003]例えば、セキュリティ文書についてのセキュリティ特徴は、一般に、一方では「秘密」セキュリティ特徴に、他方では「公然」セキュリティ特徴に分類することができる。秘密セキュリティ特徴によってもたらされる保護は、そのような特徴が検知するのが難しいという原理に依存し、典型的には、専門的な装置及び検知のための知識を必要とする一方で、「公然」セキュリティ特徴は、自力での人間感覚で容易に検知できる概念に依存し、例えば、そのような特徴は、作製及び/又は複製することがさらに困難である一方、可視である、及び/又は触覚によって検知可能であり得る。しかし、公然セキュリティ特徴の有効性は、セキュリティ特徴としてそれらの容易な認識に著しく依存する。
【0004】
[004]印刷インク又はコーティング中の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、対応して構成された磁界の付与による磁気誘導画像、デザイン及び/又はパターンの作製を可能にさせ、未硬化(つまり湿潤)コーティングにおける磁性又は磁化可能な顔料粒子の局所的配向、その後コーティングの硬化を引き起こす。この結果は、固定安定磁気誘導画像、デザイン、又はパターンである。コーティング組成物中の磁性又は磁化可能な顔料粒子の配向のための材料及び技術は、例えば、米国特許第2,418,479号;米国特許第2,570,856号;米国特許第3,791,864号、独国特許出願公開第2006848号、米国特許第3,676,273号、米国特許第5,364,689号、米国特許第6,103,361号、欧州特許第0406667号;米国特許出願公開第2002/0160194号;米国特許出願公開第2004/0009308号;欧州特許出願公開第0710508号;国際公開第2002/09002号;国際公開第2003/000801号;国際公開第2005/002866号;国際公開第2006/061301号において開示されている。そのような方法では、偽造に対して耐性の高い磁気誘導パターンを作製することができる。問題のセキュリティ要素は、磁性又は磁化可能な顔料粒子又は対応する顔料インク及び前記インクを印刷し、印刷されたインク中で前記顔料を配向するために使用される特定の技術の両方にアクセスすることによってのみ作製することができる。
【0005】
[005]土及び/又は水分の使用及び時間への時期尚早の不利益な影響から磁気誘導画像を含むセキュリティ文書又は物品を保護する目的で、慣行的に保護ワニスを付与している。前記保護ワニスは、既に調製された乾燥/硬化磁気誘導画像上に連続層として付与される。
【0006】
[006]国際公開第2011/012520号は、デザインの形態を有するコーティング層を含む転写箔を開示し、前記デザインは、画像、しるし、又はパターンを表す配向された光学的可変磁性顔料を含む。転写箔は、さらにトップコーティング層を含んでいてもよく、前記トップコーティング層は、光学的可変磁性顔料を含む層の付与の前に付与される。前記転写箔を作製するプロセスは、a)トップコーティング層を付与し、前記トップコーティング層を硬化(hardening)/硬化(curing)するステップ、及びb)光学的可変磁性顔料を含む層を付与し、粒子を磁気的に配向し、前記層を硬化(hardening)/硬化(curing)するステップを含む。開示された方法は、個人用可変しるしを示すのに必要な磁気誘導画像を作製するのに適切でない。
【0007】
[007]欧州特許第1641624号、欧州特許第1937415号、及び欧州特許第2155498号は、しるしを、光学効果層(OEL)を形成するために磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む未硬化(つまり湿潤)コーティング組成物に磁気的に転写するための装置及び方法を開示している。開示された方法は、顧客固有の磁気的デザインを有するセキュリティ文書及び物品の作製を可能にする。しかし、開示された磁気デバイスは、顧客固有の磁気的デザインを満足するように調製され、前記デザインが、ある物品から他の物品に変わることが必要とされる場合、変更することができず、したがって、方法は、個人用可変しるしを示すのに必要なOELを作製するのに適切でない。
【0008】
[008]欧州特許第3170566号及び欧州特許出願公開第3459758号、欧州特許第2542421号は、光学的可変磁気インクへの可変しるしの作製のための異なる方法を開示している。しかし、前記方法は、フォトマスク又はレーザーなどの特別の装置の使用を必要とする。
【0009】
[009]セキュリティ文書又は物品に磁気特性を有する可変情報をもたらす目的で、磁気粒子を含むインクジェットインクは、磁気インキ文字認識(MICR)を可能にするように開発されている。しかし、前記インクジェットインクは、特に、前記インクの有効期限安定性、インク印刷性、不均一磁気インクデポジット、及び印刷ヘッド目詰りに関係する様々な問題に直面する。欧州特許第2223976号は、MICR特徴を含む書類の作製のための方法を開示し、前記方法は、ゲル化剤を含む硬化性インクのパターンを基材上にインクジェットによって付与するステップ、インクをインクのゲル化温度より下の温度に冷却するステップ、インクに磁性材料を付与するステップ、最後に前記インクを硬化するステップを含む。あるいは、磁気粒子を含むトナーも開発されており、例えば、米国特許第10,503,091号及び米国特許第10,359,730号において開示されている。しかし、特定の専用装置はそれらのトナーを印刷することが必要である。
【0010】
[010]したがって、汎用的に、工業規模上で1つ又は複数のしるしを示すカスタマイズされた光学効果層を作製する方法の必要性があり、前記光学効果層は目立つ効果を示す。さらに、前記方法は、信頼でき、実施することが簡単で、高い作製速度で機能することが可能であるべきである。
【発明の概要】
【0011】
[011]したがって、本発明は、先行技術の欠陥を克服することを目的とする。これは、基材(x20)上に、1つ又は複数のしるし(x30)を示す光学効果層(OEL)を作製する方法であって、
a)基材(x20)表面上に、非球状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物を付与するステップであり、前記放射線硬化性コーティング組成物が、コーティング層(x10)を形成するために第1の液体状態である、ステップと、
b)磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を配向するためにコーティング層(x10)を磁界発生装置の磁界にさらすステップと、
c)ステップb)後に、コーティング層(x10)上にトップコーティング組成物を付与する轍鮒であり、前記トップコーティング組成物が、1つ又は複数のしるし(x30)の形態で付与される、ステップと、
d)ステップc)と部分的に同時に又はその後に、コーティング層(x10)及び1つ又は複数のしるし(x30)を少なくとも部分的に硬化装置(x50)で硬化するステップとを含む、方法の提供によって達成される。
【0012】
[012]1つの好ましい実施形態では、コーティング層(x10)をさらすステップb)は、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために実行される。他の好ましい実施形態では、コーティング層(x10)をさらすステップb)は、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するために実行される。
【0013】
[013]1つの好ましい実施形態では、放射線硬化性コーティング組成物を付与するステップa)は、スクリーン印刷、グラビア印刷、パッド印刷、及びフレキソ印刷からなる群から選択されるプロセスによって実行される。
【0014】
[014]1つの好ましい実施形態では、トップコーティング組成物を付与するステップc)は、非接触流体マイクロディスペンシング技術、好ましくは、インクジェット印刷プロセスによって実行される。
【0015】
[015]また、本明細書に記載する方法によって作製された光学効果層(OEL)及びセキュリティ文書、並びに本明細書に記載する1つ又は複数の光学OELを含む装飾要素及び装飾体が本明細書に記載されている。
【0016】
[016]また、セキュリティ文書、又は装飾要素若しくは装飾体を製造する方法が記載され、方法は、a)セキュリティ文書、又は装飾要素若しくは装飾体を設けること、及びb)本明細書に記載するもの、特に本明細書に記載する方法によって得られるものなどの光学効果層を設けて、それはセキュリティ文書又は装飾要素若しくは装飾体によって含まれることを含む。
【0017】
[017]本明細書に有利に記載する方法は、2つの組成物を有利に使用し、前記2つの組成物は、ウェットオンウェット状態で互いに付与される。特に、本発明による方法は、汎用的に1つ又は複数のしるしを示す光学効果層(OEL)の作製を可能にし、高い作製速度で工業規模で容易に実施することができる。本明細書に記載する方法において使用される2つの組成物は、第1の組成物として、非球状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む、基材(x20)上に付与される放射線硬化性コーティング組成物、及び放射線硬化性コーティング組成物がまだ湿潤未重合状態である場合、顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物上に付与され、前記組成物に部分的に重なり(つまり、少なくとも1つのエリアで重なり)、1つ又は複数のしるしの形態で付与される第2の組成物としてのトップコーティング組成物を含む。
【0018】
[018]本発明は、本明細書に記載する1つ又は複数のしるしを示す目立つ光学効果層(OEL)を作製する、信頼でき、実施することが容易な方法を提供する。開示された方法は、有利に、各可変又は個人用しるしについて、及び一つ一つの顧客固有の光学効果層(OEL)について、非球状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を配向するために使用される磁性アセンブリのカスタマイゼーションを要求することなく、汎用のオンライン変化で、実施することが容易で、非常に信頼できる方法で1つ又は複数のしるしも示す顧客固有の磁性デザインを有するセキュリティ文書及び物品の作製を可能にする。本発明は、また、可変ハーフトーンを含む、本明細書に記載する1つ又は複数のしるしを示す目立つ光学効果層(OEL)を作製する方法を実現する、信頼でき、容易な方法を提供する。
【0019】
[019]本明細書に記載する基材(x20)上に1つ又は複数のしるし(x30)を示す光学効果層(OEL)を作製する、本明細書に記載する方法は、図面及び特有の実施形態を参照してより詳細に以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、小平板形状の顔料粒子を概略的に説明する。
図2A図2Aは、本発明による基材(220)上に1つ又は複数のしるし(230)を示す光学効果層(OEL)を作製する方法を概略的に説明する。方法は、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために、コーティング層(210)を磁界発生装置(B1)の磁界にさらすステップb)と、ステップb)後に、コーティング層(210)上にトップコーティング組成物を付与するステップであり、前記トップコーティング組成物は、1つ又は複数のしるし(230)の形態で付与される、ステップc)と、コーティング層(210)及び1つ又は複数のしるし(230)を少なくとも部分的に硬化装置(250)で硬化するステップd)とを含む。
図2B図2Bは、本発明による基材(220)上に1つ又は複数のしるし(230)を示す光学効果層(OEL)を作製する方法を概略的に説明する。方法は、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するために、コーティング層(210)を磁界発生装置(B1)の磁界にさらすステップb)と、ステップb)後に、コーティング層(210)上にトップコーティング組成物を付与するステップであり、前記トップコーティング組成物は、1つ又は複数のしるし(230)の形態で付与される、ステップc)と、コーティング層(210)及び1つ又は複数のしるし(230)を少なくとも部分的に硬化装置(250)で硬化するステップd)とを含む。
図2C図2Cは、本発明による基材(220)上に1つ又は複数のしるし(230)を示す光学効果層(OEL)を作製する方法を概略的に説明する。方法は、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するために、コーティング層(210)を磁界発生装置(B1)の磁界にさらすステップb1)と、ステップb1)と部分的に同時に、同時に、又はその後に、小平板形状の磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部を単軸方向に再配向するために、コーティング層(210)を第2の磁界発生装置(B2)の磁界にさらすステップb2)と、ステップb2)後に、コーティング層(210)上にトップコーティング組成物を付与するステップであり、前記トップコーティング組成物は、1つ又は複数のしるし(230)の形態で付与される、ステップc)と、コーティング層(210)及び1つ又は複数のしるし(230)を少なくとも部分的に硬化装置(250)で硬化するステップd)とを含む。
図2D-1】図2D-1は、本発明による基材(220)上に1つ又は複数のしるし(230)を示す光学効果層(OEL)を作製する方法を概略的に説明する。方法は、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために、コーティング層(210)を磁界発生装置(B1)の磁界にさらすステップb)と、ステップb)後に、コーティング層(210)上にトップコーティング組成物を付与するステップであり、前記トップコーティング組成物は、1つ又は複数のしるし(230)の形態で付与される、ステップc)と、ステップc)と部分的に同時に又はその後に、コーティング層(210)及び任意選択でトップコーティング(230)の1つ又は複数の第2のエリアが照射にさらされないままであるように、コーティング層(210)の1つ又は複数の第1のエリアを、選択的に少なくとも部分的に選択硬化装置(260)で硬化して、磁性又は磁化可能な粒子及び任意選択でトップコーティング(230)の少なくとも一部をそれらの採用された位置及び配向に固定するステップx)と、ステップx)後に、コーティング層(210)の1つ又は複数の第2のエリアの磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために、コーティング層(210)を第2の磁界発生装置(B2)の磁界にさらすステップy)と、コーティング層(210)及び1つ又は複数のしるし(230)を少なくとも部分的に硬化装置(250)で硬化するステップd)とを含む。
図2D-2】図2D-2は、本発明による基材(220)上に1つ又は複数のしるし(230)を示す光学効果層(OEL)を作製する方法を概略的に説明する。方法は、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するために、コーティング層(210)を磁界発生装置(B1)の磁界にさらすステップb)と、ステップb)後に、コーティング層(210)上にトップコーティング組成物を付与するステップであり、前記トップコーティング組成物は、1つ又は複数のしるし(230)の形態で付与される、ステップc)と、ステップc)と部分的に同時に又はその後に、コーティング層(210)及び任意選択でトップコーティング(230)の1つ又は複数の第2のエリアが照射にさらされないままであるように、コーティング層(210)の1つ又は複数の第1のエリアを、選択的に少なくとも部分的に選択硬化装置(260)で硬化して、磁性又は磁化可能な粒子及び任意選択でトップコーティング(230)の少なくとも一部をそれらの採用された位置及び配向に固定するステップx)と、ステップx)後に、コーティング層(210)の1つ又は複数の第2のエリアの磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために、コーティング層(210)を第2の磁界発生装置(B2)の磁界にさらすステップy)と、コーティング層(210)及び1つ又は複数のしるし(230)を少なくとも部分的に硬化装置(250)で硬化するステップd)とを含む。
図2D-3】図2D-3は、本発明による基材(220)上に1つ又は複数のしるし(230)を示す光学効果層(OEL)を作製する方法を概略的に説明する。方法は、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するために、コーティング層(210)を磁界発生装置(B1)の磁界にさらすステップb1)と、ステップb1)後に、小平板形状の磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部を単軸方向に再配向するために、コーティング層(210)を第2の磁界発生装置(B2)の磁界にさらすステップb2)と、ステップb2)後に、コーティング層(210)上にトップコーティング組成物を付与するステップであり、前記トップコーティング組成物は、1つ又は複数のしるし(230)の形態で付与される、ステップc)と、ステップc)と部分的に同時に又はその後に、コーティング層(210)及び任意選択でトップコーティング(230)の1つ又は複数の第2のエリアが照射にさらされないままであるように、コーティング層(210)の1つ又は複数の第1のエリアを、選択的に少なくとも部分的に選択硬化装置(260)で硬化して、磁性又は磁化可能な粒子及び任意選択でトップコーティング(230)の少なくとも一部をそれらの採用された位置及び配向に固定するステップx)と、ステップx)後に、コーティング層(210)の1つ又は複数の第2のエリアの磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に再配向するために、コーティング層(210)を第3の磁界発生装置(B3)の磁界にさらすステップy)と、コーティング層(210)及び1つ又は複数のしるし(230)を少なくとも部分的に硬化装置(250)で硬化するステップd)とを含む。
図2E-1】図2E-1は、本発明による基材(220)上に1つ又は複数のしるし(230)を示す光学効果層(OEL)を作製する方法を概略的に説明する。方法は、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために、コーティング層(210)を磁界発生装置(B1)の磁界にさらすステップb)と、ステップb)と部分的に同時に又はその後に、コーティング層(210)及び任意選択でトップコーティング(230)の1つ又は複数の第2のエリアが照射にさらされないままであるように、コーティング層(210)の1つ又は複数の第1のエリアを、選択的に少なくとも部分的に選択硬化装置(260)で硬化して、磁性又は磁化可能な粒子及び任意選択でトップコーティング(230)の少なくとも一部をそれらの採用された位置及び配向に固定するステップx)と、ステップx)後に、コーティング層(210)の1つ又は複数の第2のエリアの磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に再配向するために、コーティング層(210)を第2の磁界発生装置(B2)の磁界にさらすステップy)と、ステップy)後に、コーティング層(210)上にトップコーティング組成物を付与するステップであり、前記トップコーティング組成物は、1つ又は複数のしるし(230)の形態で付与される、ステップc)、及びコーティング層(210)及び1つ又は複数のしるし(230)を少なくとも部分的に硬化装置(250)で硬化するステップd)とを含む。
図2E-2】図2E-2は、本発明による基材(220)上に1つ又は複数のしるし(230)を示す光学効果層(OEL)を作製する方法を概略的に説明する。方法は、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するために、コーティング層(210)を磁界発生装置(B1)の磁界にさらすステップb)と、ステップb)と部分的に同時に又はその後に、コーティング層(210)及び任意選択でトップコーティング(230)の1つ又は複数の第2のエリアが照射にさらされないままであるように、ステップb)の放射線硬化性コーティング組成物のコーティング層(210)の1つ又は複数の第1のエリアを、選択的に少なくとも部分的に選択硬化装置(260)で硬化して、磁性又は磁化可能な粒子及び任意選択でトップコーティング(230)の少なくとも一部をそれらの採用された位置及び配向に固定するステップx)と、ステップx)後に、コーティング層(210)の1つ又は複数の第2のエリアの磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために、コーティング層(210)を第2の磁界発生装置(B2)の磁界にさらすステップy)と、ステップy)後に、コーティング層(210)上にトップコーティング組成物を付与するステップであり、前記トップコーティング組成物は、1つ又は複数のしるし(230)の形態で付与される、ステップc)と、コーティング層(210)及び1つ又は複数のしるし(230)を少なくとも部分的に硬化装置(250)で硬化するステップd)とを含む。
図2E-3】図2E-3は、本発明による基材(220)上に1つ又は複数のしるし(230)を示す光学効果層(OEL)を作製する方法を概略的に説明する。方法は、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するために、コーティング層(210)を磁界発生装置(B1)の磁界にさらすステップb1)と、ステップb1)と同時に、部分的に同時に、又はその後に、小平板形状の磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために、コーティング層(210)を第2の磁界発生装置(B2)の磁界にさらすステップb2)と、ステップb2)と部分的に同時に又はその後に、コーティング層(210)及び任意選択でトップコーティング(230)の1つ又は複数の第2のエリアが照射にさらされないままであるように、磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部をそれらの採用された位置及び配向に固定するために、ステップb)の放射線硬化性コーティング組成物のコーティング層(210)及び任意選択でトップコーティング(230)の1つ又は複数の第1のエリアを、選択的に少なくとも部分的に選択硬化装置(260)で硬化するステップx)と、ステップx)後に、コーティング層(210)の1つ又は複数の第2のエリアの磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために、コーティング層(210)を第3の磁界発生装置(B3)の磁界にさらすステップy)と、ステップy)後に、コーティング層(210)上にトップコーティング組成物を付与するステップであり、前記トップコーティング組成物は、1つ又は複数のしるし(230)の形態で付与される、ステップc)と、コーティング層(210)及び1つ又は複数のしるし(230)を少なくとも部分的に硬化装置(250)で硬化するステップd)とを含む。
図3図3は、基材(320)上にコーティング層(310)中に磁性又は磁化可能な顔料粒子を2軸方向に配向する磁界発生装置を概略的に説明する。
図4A図4Aは、基材(420)上に光学効果層(OEL)を作製するための比較の方法を概略的に説明する。
図4B図4Bは、基材(420)上に光学効果層(OEL)を作製するための比較の方法を概略的に説明する。
図4C図4Cは、基材(420)上に光学効果層(OEL)を作製するための比較の方法を概略的に説明する。
図4D図4Dは、基材(420)上に光学効果層(OEL)を作製するための比較の方法を概略的に説明する。
図4E図4Eは、基材(420)上に光学効果層(OEL)を作製するための比較の方法を概略的に説明する。
図4F図4Fは、基材(420)上に光学効果層(OEL)を作製するための比較の方法を概略的に説明する。
図5A図5Aは、本発明(E1~E21)による方法で調製され、比較の方法(C1~C11)によって調製されたOELの2つの視野角(-30°及び+30°)での写真を示す。
図5B図5Bは、本発明(E1~E21)による方法で調製され、比較の方法(C1~C11)によって調製されたOELの2つの視野角(-30°及び+30°)での写真を示す。
図5C図5Cは、本発明(E1~E21)による方法で調製され、比較の方法(C1~C11)によって調製されたOELの2つの視野角(-30°及び+30°)での写真を示す。
図5D図5Dは、本発明(E1~E21)による方法で調製され、比較の方法(C1~C11)によって調製されたOELの2つの視野角(-30°及び+30°)での写真を示す。
図5E図5Eは、本発明(E1~E21)による方法で調製され、比較の方法(C1~C11)によって調製されたOELの2つの視野角(-30°及び+30°)での写真を示す。
【詳細な説明】
【0021】
定義
[020]次の定義は、詳細な説明で検討され、特許請求の範囲に列挙される用語の意味を解釈するために使用される。
【0022】
[021]本明細書において使用される用語「少なくとも1つ」は、1つ又は1つより多い、例えば、1、2又は3を定義するように意味される。
【0023】
[022]本明細書において使用される用語「約」及び「実質的に」は、問題となる量又は値が、指定した特定値、又はその近傍の他のある値を意味する。一般に、ある値を示す用語「約」及び「実質的に」は、値の±5%以内の範囲を示すことが意図される。一例として、表現「約100」は、100±5の範囲、つまり95~105の範囲を示す。一般に、用語「約」及び「実質的に」が使用される場合、本発明による同様の結果又は効果を指示値の±5%の範囲内で得ることができることが期待できる。
【0024】
[023]用語「実質的に平行」は、平行配列から10°以下外れることを指し、用語「実質的に垂直」は、垂直配列から10°以下外れることを指す。
【0025】
[024]本明細書において使用される用語「及び/又は」は、前記グループの要素の全て又は1つのみが存在していてもよいことを意味する。例えば、「A及び/又はB」は、「Aのみ、又はBのみ、又はA及びBの両方」を意味するものとする。「Aのみ」の場合には、用語は、Bが存在しない可能性、つまり「AのみでありBはない」も包含する。
【0026】
[025]本明細書において使用される用語「含む」は、非排他的及び比限定的であるように意味される。したがって、例えば、化合物Aを含むコーティング組成物は、Aに加えて他の化合物を含んでいてもよい。しかし、用語「含む」は、その特定の実施形態として、より限定的な意味の「から実質的になる」及び「からなる」も包含し、その結果、例えば、「A、B及び任意選択でCを含む湿し水」は、また、(実質的に)A及びBからなってもよく、又は(実質的に)A、B及びCからなってもよい。
【0027】
[026]本明細書において使用される用語「光学効果層」(OEL)は、配向された磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むコーティング層を表し、前記磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁界によって配向され、配向された磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁気誘導画像を形成するために、それらの配向及び位置に固定/固化される(つまり硬化後)。
【0028】
[027]用語「コーティング組成物」は、固体基材上に光学効果層(OEL)を形成することができ、限定するものではないが好ましくは印刷方法によって付与することができるいずれの組成物を指す。コーティング組成物は、本明細書に記載する小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子、及び本明細書に記載するバインダーを含む。
【0029】
[028]本明細書において使用される用語「湿潤」は、未硬化のコーティング層、例えば、小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が、それらに作用する外力の影響下でそれらの位置及び配向をさらに変更することができるコーティング層を指す。
【0030】
[029]用語「セキュリティ文書」は、少なくとも1つのセキュリティ特徴による偽造又は不正行為から通常保護される書類を指す。セキュリティ文書の例としては、限定されないが、価値書類及び価値商品が挙げられる。
【0031】
[030]用語「セキュリティ特徴」は、認証目的に使用することができる画像、パターン、又は図形要素を表すために使用される。
【0032】
[031]本詳細な説明が「好ましい」実施形態/特徴を指す場合、これらの「好ましい」実施形態/特徴の組合せはまた、この「好ましい」実施形態/特徴の組合せが技術的に意味のある限り開示されるように判断されるものともする。
【0033】
[032]本発明は、基材(x20)上の1つ又は複数のしるし(x30)を示す光学効果層(OEL)を作製する方法を提供し、前記OELは、磁気的に配向された小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子に基づき、さらに1つ又は複数のしるし(x30)を示す。
【0034】
[033]本明細書に記載する方法は、本明細書に記載する基材(x20)表面上に本明細書に記載するコーティング層(x10)を形成するために本明細書に記載する非球状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物を付与するステップa)を含み、前記組成物は、層としてその付与を可能にし、顔料粒子が層内で移動、回転することができる未硬化(つまり、湿潤)状態である第1の液体状態である。本明細書に記載する放射線硬化性コーティング組成物が基材(x20)表面上に設けられることになるので、放射線硬化性コーティング組成物は、少なくともバインダー材料及び磁性又は磁化可能な顔料粒子を含み、前記組成物は、所望の印刷又はコーティング機器でのその処理を可能にする形態にある。好ましくは、前記ステップa)は、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、凹版印刷(刻印銅印刷、刻印鋼ダイ印刷としても本技術分野において称する)、パッド印刷、及びカーテンコーティングからなる群から好ましくは選択され、より好ましくは凹版印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、パッド印刷、及びフレキソ印刷、さらに好ましくはスクリーン印刷、グラビア印刷、パッド印刷、及びフレキソ印刷からなる群から選択される印刷プロセスによって実行される。
【0035】
[034]本明細書に記載する非球状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、好ましくは、扁長若しくは扁平楕円体形状、小平板形状若しくは針形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子、又はそれらの2つ以上の混合物、より好ましくは小平板形状の粒子である。
【0036】
[035]本明細書に記載する非球状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、それらの非球形状により、硬化されたバインダー材料が少なくとも部分的に透明である入射電磁放射線に対して異方性反射率を有しているとして定義される。本明細書において使用される用語「異方性反射率」は、粒子によって反射される第1の角度からある(観察)方向(第2の角度)への入射放射線の割合が粒子の配向の関数であること、つまり、第1の角度に対する粒子の配向の変化が、観察方向への反射の異なる大きさを引き起こすことができることを表す。好ましくは、本明細書に記載する非球状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、粒子の配向の変化がある方向へのその粒子による反射の変化をもたらすように、一部に、又は約200~約2500nm、より好ましくは約400~約700nmの完全な波長領域において入射電磁放射線に対して異方性反射率を有する。当業者によって公知のように、本明細書に記載する磁性又は磁化可能な顔料粒子は、従来の顔料粒子が、粒子配向と無関係に同じ色及び反射率を示すという点で、前記従来の顔料とは異なる一方、本明細書に記載する磁性又は磁化可能な顔料粒子は、粒子配向に依存する反射若しくは色、又は両方を示す。
【0037】
[036]本明細書に記載する方法の実施形態について、コーティング層(x10)を本明細書に記載する磁界発生装置の磁界にさらすステップb)又はb1)は、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するために実行され、本明細書に記載する非球状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部は、粒子の主要な延出面を定義するX軸及びY軸を有する小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子からなることを必要とする。一次元の粒子と考えることができる針形状の顔料粒子とは対照的に、小平板形状の顔料粒子は、粒子の主要な延出面を定義するX軸及びY軸を有する。言いかえれば、小平板形状の顔料粒子は、図1から理解できるように、それらの寸法の大きなアスペクト比による二次元の粒子であると考えられてもよい。図1に示されるように、小平板形状の顔料粒子は、寸法X及びYが寸法Zより実質的に大きい二次元の構造と考えることができる。小平板形状の顔料粒子は、本技術分野において楕円粒子又はフレークとも称する。そのような顔料粒子は、顔料粒子を横断する最長の寸法に対応する主軸X及び前記顔料粒子内にも位置するXに垂直な第2の軸Yで説明され得る。
【0038】
[037]本明細書に記載する方法は、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を配向するために、コーティング層(x10)を本明細書に記載する磁界発生装置の磁界にさらすステップb)を含む。1つの実施形態によれば、ステップb)は、本明細書に記載する磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために実行される。他の実施形態によれば、ステップb)は、小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するために、好ましくは小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向して、それらのX軸及びY軸の両方を基材表面に実質的に平行にするために実行される。本明細書に記載する方法が、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するために、コーティング層(x10)を本明細書に記載する磁界発生装置の磁界にさらすステップを含む実施形態について、コーティング層(x10)は、前記磁界発生装置に1回より多くさらされてもよい。
【0039】
[038]磁性又は磁化可能な顔料粒子の本明細書に記載する磁気配向(ステップb)中に、コーティング層(x10)を支持する基材(x20)は、1つ又は複数の非磁性材料からなる非磁性支持板(x40)上に配置され得る。
【0040】
[039]磁性又は磁化可能な顔料粒子の本明細書に記載する磁気配向(ステップb)中に、磁界発生装置の位置は限定されず、作製される磁気配向パターンの選択及びデザインに依存する。したがって、図2及び4における磁界発生装置(B1、B2、B3)の位置は、説明目的のためだけであり限定されない。作製される磁気配向パターンの選択及びデザインに依存して、図2及び4における磁界発生装置(B1、B2、B3)は、基材(x20)の下、又はコーティング層(x10)上に位置し得る。
【0041】
[040]磁性又は磁化可能な顔料粒子が、それらの主軸のみが磁界によって抑制されるように配向される単軸配向とは対照的に、2軸配向手段を実行することは、小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が、それらの主な2つの軸が抑制されるように配向されることを意味する。すなわち、小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子はそれぞれ、顔料粒子の面における長軸及び顔料粒子の面における直交短軸を有すると考えられることができる。小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の長軸及び短軸はそれぞれ、磁界に従って配向させる。有効に、これは、実質的に互いに平行に間隙を介して、互いに近接して隣接する小平板形状の磁気顔料粒子をもたらす。言い換えれば、2軸配向は、前記顔料粒子の面が隣接する(全ての方向に)小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の面に対して実質的に平行に配向されるように、小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の面を整列させる。本明細書に記載する磁界発生装置及び方法は、小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が、基材(x20)表面と好ましくは実質的に平行なそれらのX及びY軸を有するシート状の構造を形成し、前記二次元で平坦化されるように、本明細書に記載する小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を2軸方向に配向することを可能にする。
【0042】
[041]本明細書に記載する磁性又は磁化可能な顔料粒子を単軸方向に配向するのに適切な磁界発生装置は限定されないが、例えば、双極子磁石、四極子磁石、及びそれらの組合せが挙げられる。次の装置は、実例として本明細書にて提供される。
【0043】
[042]フリップフロップ効果(本技術分野においてスイッチ効果としても称する)として知られている光学的効果は、移行部によって分離された第1の印刷部分及び第2の印刷部分を含み、顔料粒子は、第1の部分における第1の面に平行に整列し、第2の部分における顔料粒子は第2の面に平行に整列する。前記効果をもたらす方法及び磁石は、例えば、米国特許出願公開第2005/0106367号及び欧州特許第1819525号において開示されている。
【0044】
[043]米国特許出願公開第2005/0106367号において開示されるようなローリングバー効果として知られている光学的効果ももたらされてもよい。「ローリングバー」効果は、コーティングにわたって曲面を模倣する顔料粒子配向に基づく。観察者は、画像が傾けられる場合に観察者から離れる、又は観察者の方に向かう鏡面反射ゾーンを見る。顔料粒子は湾曲して整列し、凸曲面(本技術において負の曲面配向とも称する)又は凹曲面(本技術において正の曲面配向とも称する)に続く。前記効果をもたらす方法及び磁石は、例えば、欧州特許出願公開第2263806号、欧州特許第1674282号、欧州特許出願公開第2263807号、国際公開第2004/007095号、国際公開第2012/104098号、及び国際公開第2014/198905号において開示されている。
【0045】
[044]ベネチアンブラインド効果として知られている光学的効果ももたらされてもよい。ベネチアンブラインド効果は、基材表面上又は中に存在するしるし又は他の特徴が、それらが観測の他の方向に沿った視認性を妨害しながら観察者に明白になるように、観察の特定方向に沿って、下層の基材表面に視認性を与えるように配向される顔料粒子を含む。前記効果をもたらすための方法及び磁石は、例えば、米国特許第8,025,952号及び欧州特許第1819525号において開示されている。
【0046】
[045]移動リング効果として知られている光学的効果ももたらされてもよい。移動リング効果は、前記光学効果層の傾斜角に依存する任意のx-y方向に移動するように見えるじょうご、円錐、ボウル、円、楕円、及び半球などの物体の光学的錯覚画像からなる。前記効果をもたらす方法及び磁石は、例えば、欧州特許出願公開第1710756号、米国特許第8,343,615号、欧州特許出願公開第2306222号、欧州特許出願公開第2325677号、国際公開第2011/092502号、米国特許出願公開第2013/084411号、国際公開第2014/108404号、及び国際公開第2014/108303号において開示されている。
【0047】
[046]前記効果を傾斜させる際に移動する明暗エリアのパターンの光学的印象をもたらす光学的効果ももたらしてもよい。前記効果をもたらす方法及び磁石は、例えば、国際公開第2013/167425号において開示されている。
【0048】
[047]前記効果を傾斜させる際にサイズが変化するループ形状体の光学的印象をもたらす光学的効果ももたらされてもよい。これらの光学的効果をもたらす方法及び磁石は、例えば、国際公開第2017/064052号、国際公開第2017/080698号、及び国際公開第2017/148789号において開示されている。
【0049】
[048]光学効果層を傾斜させる際に形状が変化する1つ又は複数のループ形状体の光学的印象ももたらされてもよい。前記効果をもたらす方法及び磁石は、例えば、国際公開第2018/054819号において開示されている。
【0050】
[049]傾斜時に移動、回転する月の三日月の光学的印象をもたらす光学的効果ももたらされてもよい。前記効果をもたらす方法及び磁石は、例えば、国際公開第2019/215148号において開示されている。
【0051】
[050]傾斜時にサイズ及び形状が変化するループ形状体の光学的印象をもたらす光学的効果はもたらされてもよい。前記効果をもたらす方法及び磁石は、例えば、同時係属PCT特許出願の国際公開第2020/052862号において開示されている。
【0052】
[051]オルト視差効果の光学的印象をもたらす光学的効果は、つまり、この場合、基材が水平/緯度軸の周りに傾斜される場合縦方向に移動する、又は基材が長手軸の周りに傾斜される場合、水平/緯度方向に移動する明るい反射垂直バーの形態でもたらされてもよい。前記効果をもたらす方法及び磁石は、例えば、同時係属PCT特許出願の国際出願PCT/EP2020/052265号において開示されている。
【0053】
[052]1つ又は複数のループ形状体に囲まれた1つのループ形状体の光学的印象をもたらす光学的効果はもたらされてもよく、前記1つ又は複数のループ形状体は、傾斜時にそれらの形状及び/又はそれらの明るさが変化する。前記効果をもたらす方法及び磁石は、例えば、同時係属PCT特許出願の国際出願PCT/EP2020/054042号において開示されている。
【0054】
[053]基材が垂直/長手軸の周りで傾斜される場合、斜め方向に移動及び/又は出現及び/又は消失するだけでなく、基材が傾斜される場合、斜め方向に移動及び/又は出現及び/又は消失する複数の暗いスポット及び複数の明るいスポットの光学的印象をもたらす光学的効果は、もたらされてもよい。前記効果をもたらす方法及び磁石は、例えば、同時係属の欧州特許出願EP19205715.6号及び欧州特許出願19205716.4号において開示されている。
【0055】
[054]本明細書に記載する磁界発生装置は、1つ又は複数の非磁性材料からなる、非磁性支持マトリックスに少なくとも部分的に埋め込まれていてもよい。
【0056】
[055]本明細書に記載する非磁性支持板(x40)及び本明細書に記載する非磁性支持マトリックスの非磁性材料は、好ましくは、非磁性金属並びにエンジニアリングプラスチック及びポリマーからなる群から独立的に選択される。非磁性金属としては、限定されないが、アルミニウム、アルミニウム合金、真鍮(銅及び亜鉛の合金)、チタン、チタン合金、及びオーステナイト鋼(つまり、非磁性鋼)が挙げられる。エンジニアリングプラスチック及びポリマーとしては、限定されないが、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)及びその誘導体、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、及びポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK);ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、コポリエーテルエステル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)共重合体、フッ素化及び過フッ素化ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、及び液晶ポリマーが挙げられる。好ましい材料は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、POM(ポリオキシメチレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ナイロン(登録商標)(ポリアミド)、及びPPSである。
【0057】
[056]本明細書に記載する磁界発生装置は、1つ又は複数のレリーフ、刻印又は切り込みを支持する磁性プレートを含んでもよい。国際公開第2005/002866号及び国際公開第2008/046702号は、そのような刻印磁気板についての例である。
【0058】
[057]本明細書に記載する小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を2軸方向に配向するのに適切な磁界発生装置は限定されない。
【0059】
[058]顔料粒子を2軸方向に配向するための特に好ましい装置は、欧州特許出願公開第2157141号において開示されている。顔料粒子を含むコーティング層を支持する基材の動作に際して、欧州特許出願公開第2157141号において開示される装置は、主軸の両方(X軸及びY軸)が基材表面と実質的に平行になるまで、その方向を変更して顔料粒子を急速に振動させる動的な磁界をもたらし、つまり、顔料粒子は、それらのX及びY軸が基材表面と実質的に平行な安定したシート状の形成物となるまで回転し、前記二次元において平坦化される。
【0060】
[059]顔料粒子を2軸方向に配向するための他の特に好ましい装置は、直線状の永久磁石ハルバッハアレイ、つまり、異なる磁化方向を有する複数の磁石及びシリンダ装置を含む装置を含む。ハルバッハ永久磁石の詳細な説明は、Z.Q.Zhu and D.Howe(Halbach permanent magnet machines and applications:a review、IEE.Proc.Electric Power Appl、2001、148、299~308頁)によって与えられた。そのようなハルバッハアレイによってもたらされる磁界は、それが一方の側では集中される一方、他の側でほぼ0に弱められる特性を有する。直線状のハルバッハアレイは、例えば、国際公開第2015/086257号及び国際公開第2018/019594号において開示されており、ハルバッハシリンダ装置は、欧州特許第3224055号において開示されている。
【0061】
[060]顔料粒子を2軸方向に配向するための他の特に好ましい装置は回転磁石であり、前記磁石は、それらの径に沿って実質的に磁化される円盤状の回転磁石又は磁界発生装置を含む。適切な回転磁石又は磁界発生装置は、米国特許出願公開第2007/0172261号に記載されており、前記回転磁石又は磁界発生装置は、放射対称時変磁界を発生し、未硬化コーティング組成物の磁性又は磁化可能な顔料粒子の2重配向を可能にする。これらの磁石又は磁界発生装置は、外部モーターに接続された軸(又はスピンドル)によって駆動される。中国特許第102529326号は、磁性又は磁化可能な顔料粒子を2軸方向に配向するのに適切であろう回転磁石を含む装置の例を開示している。好ましい実施形態では、磁性又は磁化可能な顔料粒子を2軸方向に配向するために適切な装置は、非磁性、好ましくは非導電材料からなる筐体において抑制された軸なしの円盤状の回転磁石又は磁界発生装置であり、筐体の周りに巻きつけられた1つ又は複数のマグネットワイヤーコイルによって駆動される。そのような軸なしの円盤状の回転磁石又は磁界発生装置の例は、国際公開第2015/082344号、国際公開第2016/026896号、及び国際公開第2018/141547号において開示されている。
【0062】
[061]顔料粒子を2軸方向に配向するための他の特に好ましい装置は、図3に示され、a)少なくとも第1のセット(S1)及び第2のセット(S2)であり、第1及び第2のセット(S1、S2)の各々は、磁気配向中に基材と実質的に平行に配向された磁軸を有する第1の棒状双極子磁石及び基材に実質的に垂直に配向された磁軸を有する2つの第2の棒状双極子磁石を含む第1のセット(S1)及び第2のセット(S2)、及びb)同時係属の欧州特許出願EP20176506.2号において開示したものなどの基材に実質的に平行に配向された磁軸を有する第3の棒状双極子磁石のペア(P1)を含む。
【0063】
[062]本明細書に記載する放射線硬化性コーティング組成物及び本明細書に記載するコーティング層(x10)は、本明細書に記載する非球状、好ましくは小平板形状磁性又は磁化可能な顔料粒子を、好ましくは約5重量%~約40重量%、より好ましくは10重量%~約30重量%の量で含み、重量割合は、放射線硬化性コーティング組成物又はコーティング層(x10)の全重量に基づく。
【0064】
[063]本明細書に記載するOELでは、本明細書に記載する磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁性又は磁化可能な顔料粒子の配向及び位置を固定する、硬化されたバインダー材料を含む放射線硬化性コーティング組成物に分散される。バインダー材料は、少なくとも硬化又は固体状態(本明細書において第2の状態とも称する)であり、200nm~3500nmの波長の範囲、つまり「光学スペクトル」と典型的に称し、電磁スペクトルの赤外、可視、及びUV部分を含む波長範囲の電磁放射線に少なくとも部分的に透過性である。したがって、硬化又は固体状態のバインダー材料に含まれる粒子及びそれらの配向依存反射率は、この範囲内のいくつかの波長でバインダー材料を通じて認識されることができる。好ましくは、硬化されたバインダー材料は、200nm~800nm、より好ましくは400nm~700nmの波長の範囲の電磁放射線に少なくとも部分的に透過性である。本明細書において、用語「透過性」は、OELに存在する硬化されたバインダー材料の20μmの層を通じた電磁放射線の透過(小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含まないが、そのような成分が存在する場合、OELの他の全ての任意成分を含む)は、関連波長で少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%であることを示す。これは、十分に確立した試験方法、例えば、例えば、DIN5036-3(1979-11)に従って硬化されたバインダー材料(非球状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含まずに)の試験片の透過率を測定することによって決定することができる。OELが秘密セキュリティ特徴として機能を果たすなら、そのとき、典型的に、技術手段は、選択された非可視波長を含むそれぞれの照明条件で、OELによって生じた(完成した)光学的効果を検知することが必要であり、前記検知は、入射放射線の波長が可視範囲外、例えば、近UV範囲において選択されることを必要とする。
【0065】
[064]本明細書に記載する非球状、好ましくは小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の適切な例としては、限定されないが、コバルト(Co)、鉄(Fe)、及びニッケル(Ni)からなる群から選択される磁性金属;鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、又はそれらの2つ以上の混合物の磁性合金;クロム、マンガン、コバルト、鉄、ニッケル、又はそれの2つ以上の混合物の磁性酸化物;又はそれらの2つ以上の混合物を含む顔料粒子が挙げられる。金属、合金、及び酸化物に関する用語「磁性」は、強磁性又はフェリ磁性金属、合金、及び酸化物を対象とする。クロム、マンガン、コバルト、鉄、ニッケル、又はそれらの2つ以上の混合物の磁性酸化物は、純粋又は混合酸化物であってもよい。磁性酸化物の例としては、限定されないが、赤鉄鉱(Fe)、磁鉄鉱(Fe)、二酸化クロム(CrO)、磁性フェライト(MFe)、磁性スピネル(MR)、磁性ヘキサフェライト(MFe1219)、磁性オルトフェライト(RFeO)、磁性ガーネットM(AOなどの酸化鉄が挙げられ、Mは2価金属を表し、Rは3価金属を表し、Aは4価金属を表す。
【0066】
[065]本明細書に記載する非球状、好ましくは小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の例としては、限定されないが、コバルト(Co)、鉄(Fe)、又はニッケル(Ni)などの磁性金属;及び鉄、コバルト、又はニッケルの磁性合金のうちの1つ以上からなる磁性層Mを含む顔料粒子が挙げられ、前記磁性又は磁化可能な顔料粒子は、1つ又は複数のさらなる層を含む多層構造であってもよい。好ましくは、1つ又は複数のさらなる層は、弗化マグネシウム(MgF)などの金属フッ化物、酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化チタン(TiO)、及び酸化アルミニウム(Al)からなる群から選択される1つ以上、より好ましくは二酸化ケイ素(SiO)から独立的になる層A;又は金属及び金属合金からなる群から選択される、好ましくは反射金属及び反射合金からなる群から選択される、より好ましくはアルミニウム(Al)、クロム(Cr)、及びニッケル(Ni)からからなる群から選択される1つ以上、さらにより好ましくはアルミニウム(Al)から独立的になる層B;又は上記のものなどの1つ又は複数の層A及び上記のものなどの1つ又は複数の層Bの組合せである。上記多層構造である小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の代表例としては、限定されないが、A/M多層構造、A/M/A多層構造、A/M/B多層構造、A/B/M/A多層構造、A/B/M/B多層構造、A/B/M/B/A/多層構造、B/M多層構造、B/M/B多層構造、B/A/M/A多層構造、B/A/M/B多層構造、B/A/M/B/A/多層構造が挙げられ、層A、磁性層M、及び層Bは、上記のものから選択される。
【0067】
[066]本明細書に記載する放射線硬化性コーティング組成物は、非球状、好ましくは小平板形状、光学的可変磁性又は磁化可能な顔料粒子、及び/又は光学的可変特性を有さない非球状、好ましくは小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含んでいてもよい。好ましくは、本明細書に記載する磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部は、非球状、好ましくは小平板形状、光学的可変磁性又は磁化可能な顔料粒子によって構成される。自力の人間の感覚を使用して、本明細書に記載するインク、コーティング組成物、又は光学的可変磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むコーティング層を支持する物品又はセキュリティ文書をそれらの考えられる偽造品から容易に検知、認識及び/又は識別することを可能にする、光学的可変磁性又は磁化可能な顔料粒子のカラーシフト特性によってもたらされる公然のセキュリティに加えて、光学的可変磁性又は磁化可能な顔料粒子の光学的特性も、OELの認識用の機械読み取り可能のツールとして使用されてもよい。したがって、光学的可変磁性又は磁化可能な顔料粒子の光学的特性は、顔料粒子の光学(例えば、スペクトル)特性が解析される認証プロセスにおいて秘密又は半秘密セキュリティ特徴として同時に使用され、したがって偽造抵抗性を向上させ得る。
【0068】
[067]OELを作製するためのコーティング層における非球状、好ましくは小平板形状の光学的可変磁性又は磁化可能な顔料粒子の使用は、そのような材料がセキュリティ文書印刷業に確保され、一般に市販されていないので、セキュリティ文書用途でのセキュリティ特徴としてOELの有意性を向上させる。
【0069】
[068]上記のように、好ましくは、非球状、好ましくは小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部は、非球状、好ましくは小平板形状の光学的可変磁性又は磁化可能な顔料粒子によって構成される。これらは、磁性薄膜干渉顔料粒子、磁性コレステリック液晶顔料粒子、磁性材料及びそれらの2つ以上の混合物を含む干渉被覆顔料粒子からなる群から選択されることが好ましい。
【0070】
[069]磁性薄膜干渉顔料粒子は、当業者に公知であり、例えば、米国特許第4,838,648号;国際公開第2002/073250号;欧州特許第0686675号;国際公開第2003/000801号;米国特許第6,838,166号;国際公開第2007/131833号;欧州特許第2402401号;国際公開第2019/103937号;国際公開第2020/006286号、及びそれらに引用された文献において開示されている。好ましくは、磁性薄膜干渉顔料粒子は、5層ファブリペロー多層構造を有する顔料粒子、及び/又は6層ファブリペロー多層構造を有する顔料粒子、及び/又は7層ファブリペロー多層構造を有する顔料粒子、及び/又は1つ又は複数の多層ファブリペロー構造を組み合わせた多層構造を有する顔料粒子を含む。
【0071】
[070]好ましい5層ファブリペロー多層構造は、吸収体/誘電体/反射体/誘電体/吸収体の多層構造からからなり、反射体及び/又は吸収体は、磁性層でもあり、好ましくは反射体及び/又は吸収体は、ニッケル、鉄、及び/又はコバルト、及び/又はニッケル、鉄、及び/又はコバルトを含む磁性合金、及び/又はニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/又はコバルト(Co)を含む磁性酸化物を含む磁性層である。
【0072】
[071]好ましい6層ファブリペロー多層構造は、吸収体/誘電体/反射体/磁性体/誘電体/吸収体の多層構造からなる。
【0073】
[072]好ましい7層ファブリペローの多層構造は、米国特許第4,838,648号において開示されるなどの吸収体/誘電体/反射体/磁性体/反射体/誘電体/吸収体の多層構造からなる。
【0074】
[073]1つ又は複数のファブリペロー構造を組み合わせた多層構造を有する好ましい顔料粒子は、国際公開第2019/103937号に記載されるものであり、少なくとも2つのファブリペロー構造の組合せからなり、前記2つのファブリペロー構造は、独立的に反射体層、誘電体層、及び吸収体層を含み、反射体及び/又は吸収体層は、それぞれ独立的に1つ又は複数の磁性材料を含むことができる、及び/又は磁性層は2つの構造間のサンドイッチである。国際公開第2020/006/286号及び欧州特許出願公開第3587500号は、多層構造を有するさらに好ましい顔料粒子を開示している。
【0075】
[074]好ましくは、本明細書に記載する反射体層は、金属及び金属合金からなる群から選択される、好ましくは反射金属及び反射金属合金からなる群から選択される、より好ましくはアルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、プラチナ(Pt)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、及びそれらの合金からなる群から選択される、さらに好ましくはアルミニウム(Al)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、及びそれらの合金からなる群から選択される1つ以上から独立的になり、さらに好ましくはアルミニウム(Al)から独立的になる。好ましくは、誘電体層は、フッ化マグネシウム(MgF)、フッ化アルミニウム(AlF)、フッ化セリウム(CeF)、フッ化ランタン(LaF)、ナトリウムフッ化アルミニウム(例えば、NaAlF)、フッ化ネオジム(NdF)、フッ化サマリウム(SmF)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化リチウム(LiF)などの金属フッ化物、及び酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)などの金属酸化物からなる群から選択される、より好ましくはフッ化マグネシウム(MgF)及び二酸化ケイ素(SiO)からなる群から独立的に選択される1つ以上から独立的になり、さらに好ましくはフッ化マグネシウム(MgF)から独立的になる。好ましくは、吸収体層は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、それらの金属酸化物、それらの金属硫化物、それらの金属炭化物、及びそれらの金属合金からなる群から選択される、より好ましくはクロム(Cr)、ニッケル(Ni)、それらの金属酸化物、及びそれらの金属合金からなる群から選択される、さらに好ましくはクロム(Cr)、ニッケル(Ni)、及びそれらの合金からなる群から選択される1つ以上から独立的になる。好ましくは、磁性層は、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/又はコバルト(Co);及び/又はニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/又はコバルト(Co)を含む磁性合金;及び/又はニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/又はコバルト(Co)を含む磁性酸化物を含む。7層ファブリペロー構造を含む磁性薄膜干渉顔料粒子が好ましい場合、磁性薄膜干渉顔料粒子は、Cr/MgF/Al/Ni/Al/MgF/Cr多層構造からなる7層ファブリペロー吸収体/誘電体/反射体/磁性体/反射体/誘電体/吸収体の多層構造を含むことが特に好ましい。
【0076】
[075]本明細書に記載する磁性薄膜干渉顔料粒子は、人間の健康及び環境にとって安全なものとして考えられ、例えば、5層ファブリペロー多層構造、6層ファブリペロー多層構造、及び7層ファブリペロー多層構造に基づく多層顔料粒子であってもよく、前記顔料粒子は、約40重量%~約90重量%の鉄、約10重量%~約50重量%のクロム、及び約0重量%~約30重量%のアルミニウムを含む実質的にニッケルを含まない組成を有する磁性合金を含む1つ又は複数の磁性層を含む。人間の健康及び環境にとって安全なものとして考えられる多層顔料粒子の代表例は、欧州特許第2402401号に見出すことができ、この記載内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0077】
[076]光学的可変特性を示す適切な磁性コレステリック液晶顔料粒子としては、限定されないが、磁性単層コレステリック液晶顔料粒子及び磁性多層コレステリック液晶顔料粒子が挙げられる。そのような顔料粒子は、例えば、国際公開第2006/063926号、米国特許第6,582,781号、及び米国特許第6,531,221号において開示されている。国際公開第2006/063926号は、単層及びそこから得られる顔料粒子を開示し、高い輝度及びカラーシフト特性を備え、着磁性などのさらなる特定の特性を備えている。開示された単層及び顔料粒子は、前記単層を粉砕することによってそこから得られ、3次元的に架橋されたコレステリック液晶混合物及び磁性ナノ粒子を含む。米国特許第6,582,781号及び米国特許第6,410,130号は、シーケンスA/B/Aを含む小平板形状のコレステリック多層顔料粒子を開示し、A及びAは同一であっても異なっていてもよく、各々は少なくとも1つのコレステリック層を含み、Bは、層A1及びA2によって透過される光の全て又は一部を吸収し、前記中間層に磁気特性を付与する中間層である。米国特許第6,531,221号は、シーケンスA/B、及び任意選択でCを含む小平板形状のコレステリック多層顔料粒子を開示し、A及びCは、磁気特性を付与する顔料粒子を含む吸収層であり、Bは、コレステリック層である。
【0078】
[077]1つ又は複数の磁性材料を含む適切な干渉被覆顔料としては、限定されないが、1つ又は複数の層で被覆されたコアからなる群から選択される基材からなる構造が挙げられ、コアの少なくとも1つ又は1つ又は複数の層は磁気特性を有する。例えば、適切な干渉被覆顔料は、上記のものなどの磁性材料からなるコアを含み、前記コアは、1つ又は複数の金属酸化物からなる1つ又は複数の層で被覆され、又はそれらは、合成又は天然マイカ、層状ケイ酸塩(例えば、タルク、カオリン、及びセリサイト)、ガラス(例えば、ホウケイ酸塩)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、グラファイト、及びそれらの2つ以上の混合物からなるコアからなる構造を有する。さらに、着色層などの1つ又は複数のさらなる層が存在していてもよい。
【0079】
[078]本明細書に記載する非球状、好ましくは小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、好ましくは約2μm~約50μmのサイズd50(直接光学粒度分布によって測定された)を有する。
【0080】
[079]本明細書に記載する非球状、好ましくは小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、コーティング組成物及びコーティング層で起こり得る劣化からそれらを保護する、及び/又は前記コーティング組成物及びコーティング層へのそれらの組み込みを促進するために処理された表面であってもよく、典型的には、腐食抑制材料及び/又は湿潤剤を使用してもよい。
【0081】
[080]本明細書に述べるように、本明細書に記載する方法は、磁性又は磁化可能な顔料粒子をそれらの採用された位置及び配向に固定するために、コーティング層(x10)を第2の状態に少なくとも部分的に硬化するステップd)を含む。放射線硬化性コーティング組成物の第1の液体状態では、磁性又は磁化可能な顔料粒子が移動、回転することができ、第2の状態では、磁性又は磁化可能な顔料粒子は、あるタイプの放射線硬化性コーティング組成物を使用することによって固定、設けられる。例えば、非球状の磁性又は磁化可能な顔料粒子以外の放射線硬化性コーティング組成物の成分は、セキュリティ用途、例えば、紙幣の印刷において使用されるものなどインク又は放射線硬化性コーティング組成物の形態をとっていてもよい。前述の第1及び2の状態は、電磁放射線への暴露に反応して粘性の増加を示す材料を使用することによってもたらされる。すなわち、流動性バインダー材料が硬化又は固化される場合、前記バインダー材料は第2の状態に変わり、非球状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、それらの現在位置及び配向に固定され、もはやバインダー材料内で移動、回転することができない。本明細書において使用される「コーティング層(x10)を少なくとも部分的に硬化すること」によって、非球状、好ましくは小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子がそれらの採用された位置及び配向に固定/固化され、もはや移動、回転することができないことを意味する(本技術分野において粒子の「ピン止め」とも称する)。
【0082】
[081]本明細書に記載するコーティング層(x10)を作製するために使用される放射線硬化性コーティング組成物は、本明細書に記載する非球状、好ましくは小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む。放射線硬化、特にUV-Vis硬化は、照射への暴露後にコーティング組成物の粘性の瞬間的な増加に有利に結びつき、したがって、顔料粒子のさらなる移動、その結果、磁気配向ステップ後の情報の消失を防止する。好ましくは、ステップc)と部分的同時に又はその後に、コーティング層(x10)及び1つ又は複数のしるし(x30)を少なくとも部分的に本明細書に記載する硬化装置(x50)で硬化するステップd)は、UV可視光(つまり、UV-Vis光放射線硬化)での照射又はE-ビーム(つまり、e-ビーム放射線硬化)、より好ましくはUV-Vis光での照射によって実行される。好ましい実施形態によれば、本明細書に記載する非球状、好ましくは小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物は、UV-Vis硬化性コーティング組成物である。
【0083】
[082]好ましくは、本明細書に記載する非球状、好ましくは小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むUV-Vis硬化性コーティング組成物は、ラジカル硬化性組成物;カチオン硬化性組成物;又は、ラジカルカチオン(本技術分野においてハイブリッドと称する)硬化性組成物である。言いかえれば、UV-Vis硬化性コーティング組成物は、好ましくはラジカル硬化性化合物、カチオン硬化性化合物、及びラジカル及びカチオン硬化性化合物の混合物から選択されるモノマー及び/又はオリゴマーを含む。
【0084】
[083]カチオン硬化性組成物は、モノマー及び/又はオリゴマーを反応及び/又は架橋し、それによってコーティング組成物を硬化するために、酸などのカチオン種を解放し、次に硬化を開始する1つ又は複数の光開始剤の放射線による活性化を典型的に含むカチオン機構によって硬化される1つ以上からカチオン化合物を含む。好ましくは、1つ又は複数のカチオン硬化性化合物は、ビニルエーテル、プロペニルエーテル、エポキシド、オキセタン、及びテトラヒドロフランなどの環状エーテル、ラクトン、環状チオエーテル、ビニルチオエーテル、プロペニルチオエーテル、水酸基含有化合物、及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはビニルエーテル、プロペニルエーテル、エポキシド、オキセタン、及びテトラヒドロフランなどの環状エーテル、ラクトン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるカチオン硬化性化合物である。
【0085】
[084]ラジカル硬化性組成物は、典型的には1つ又は複数の光開始剤の放射線による活性化を含むフリーラジカル機構によって硬化され、それによってコーティング組成物を硬化するために次に重合を開始するラジカルを発生する1つ又は複数のラジカル化合物を含む。好ましくは、ラジカル硬化性化合物は、エポキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル化油、ポリエステル及びポリエーテル(メタ)アクリレート、脂肪族又は芳香族ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物から好ましく選択される(メタ)アクリレートから選択される。用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び対応するメタアクリレートを指す。
【0086】
[085]ハイブリッド硬化性組成物は、本明細書に記載する両方の機構によって硬化される1つ又は複数のカチオン化合物及び1つ又は複数のラジカル化合物を含む。
【0087】
[086]本明細書に記載する非球状、好ましくは小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むUV-Vis硬化性コーティング組成物を調製するために使用される化合物に応じて、異なる光開始剤を使用してもよい。フリーラジカル光開始剤の好適な例は、当業者に知られており、限定されないが、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、α-アミノケトン、α-ヒドロキシケトン、ホスフィンオキシド、ホスフィンオキシド誘導体、及びそれらの2つ以上の混合物が挙げられる。カチオン光開始剤の好適な例は、当業者に知られており、限定されないが、有機ヨードニウム塩(例えば、ジアリールヨードニウム塩)、オキソニウム(例えば、トリアリールオキソニウム塩)、及びスルホニウム塩(例えば、トリアリールスルホニウム塩)などのオニウム塩、及びそれらの2つ以上の混合物が挙げられる。有用な光開始剤の他の例は、標準の教科書で見出すことができる。効率的な硬化を達成するために、1つ又は複数の光開始剤と組み合わせて感光剤を含むことも有利であり得る。適切な光増感剤の代表例としては、限定されないが、イソプロピル-チオキサントン(ITX)、1-クロロ-2-プロポキシ-チオキサントン(CPTX)、2-クロロ-チオキサントン(CTX)、及び3,4-ジエチル-チオキサントン(DETX)、重合体誘導体(例えば、Omnipol TX、GENOPOLTX-2、SpeedCure7010などの多機能チオキサントン化合物など)、及びそれらの2つ以上の混合物が挙げられる。UV-Vis硬化性コーティング組成物に含まれる1つ又は複数の光開始剤は、約0.1重量%~約20重量%の総量で存在することが好ましく、1重量%~約15重量%であることがより好ましく、重量パーセントはUV-Vis硬化性コーティング組成物の全重量に基づいている。
【0088】
[087]本明細書に記載する非球状、好ましくは小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物は、さらに、有機顔料粒子、無機顔料微粒子、及び有機染料からなる群から選択される1つ又は複数の着色成分、及び/又は1つ又は複数の添加剤を含んでいてもよい。後者の例としては、限定されないが、粘性(例えば、溶媒、糊稠剤、及び界面活性剤)、稠度(例えば、沈降防止剤、充填剤、及び可塑剤)、発泡性(例えば、消泡剤)、潤滑性(ワックス、油)、UV安定性(光安定剤)、接着性、帯電防止性、保存安定性(重合防止剤)などのコーティング組成物の物理的、レオロジー的、及び化学的パラメータを調節するために使用される化合物及び材料が挙げられる。本明細書に記載する添加剤は、添加剤の寸法の少なくとも1つが1~1000nmの範囲にあるいわゆるナノ材料を含めて、本技術分野において公知の量及び形態でコーティング組成物中に存在していてもよい。
【0089】
[088]本明細書に記載する非球状、好ましくは小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物は、さらに、磁性材料(本明細書に記載する磁性又は磁化可能な顔料粒子と異なる)、発光材料、電界発光材料、アップコンバート材料、電気的導電材料、及び赤外線吸収材料からなる群から選択される1つ又は複数の標識物質又は識別用添加剤、及び/又は1つ又は複数の機械読み取り可能材料を含んでいてもよい。本明細書において使用される用語「機械読み取り可能の材料」は、装置又は機械によって検知可能であり、その検知及び/又は認証に対して特定の装置の使用によってコーティング又は前記コーティングを含む物品を認証する方法を与えるために、前記コーティングに含むことができる、少なくとも1つの独特の性質を示す材料を指す。
【0090】
[089]本明細書に記載する放射線硬化性コーティング組成物は、本明細書に記載するバインダー材料の存在下で存在する場合に、本明細書に記載する磁性又は磁化可能な顔料粒子及び1つ又は複数の添加剤を分散又は混合し(特に、UV-Vis硬化性コーティング組成物は、好ましくはラジカル硬化性化合物、カチオン硬化性化合物、及びラジカル及びカチオン硬化性化合物の混合物から選択されるモノマー及び/又はオリゴマーを含む)、液状組成物を形成することによって調製されてもよい。存在する場合、1つ又は複数の光開始剤は、他の全ての成分の分散又は混合ステップの間に組成物に添加されてもよく、又は後の段階、つまり、液体コーティング組成物の形成後に添加されてもよい。
【0091】
[090]本明細書に記載する方法は、さらに、本明細書に記載するステップb)後に、本明細書に記載するコーティング層(x10)上に本明細書に記載するトップコーティング組成物を付与するステップc)を含む。本明細書に記載するトップコーティング組成物は、本明細書に記載する1つ又は複数のしるし(x30)の形態で付与され、部分的に本明細書に記載するコーティング層(x10)に重なり(つまり、少なくとも1つのエリアで重なり)、コーティング層(x10)の放射線硬化性コーティング組成物は、湿潤未重合状態であり、磁性又は磁化可能な顔料粒子は自由に移動、回転可能である。
【0092】
[091]好ましくは、本明細書に記載するステップb)と、本明細書に記載するステップc)との間の時間は、約60秒未満、より好ましくは5秒未満、さらに好ましくは約2秒未満である。言いかえれば、コーティング層(x10)上に、1つ又は複数のしるし(x30)の形態でトップコーティング組成物を付与するステップは、ステップb)後に実行され、コーティング層(x10)を支持する基材(x20)は、磁界発生装置の磁界から取り除かれた。
【0093】
[092]本明細書において使用される用語「しるし」は、マーキング又はサイン又はパターンの識別からなる連続及び不連続層を意味する。好ましくは、本明細書に記載する1つ又は複数のしるし(x30)は、コード、シンボル、英数字のシンボル、モチーフ、幾何学模様(例えば、円、三角形、及び規則的又は不規則的多角形)、文字、単語、数、ロゴ、図、ポートレート、及びそれらの組合せからなる群から選択される。コードの例としては、コード化された英数字データ、一次元バーコード、二次元バーコード、QRコード(登録商標)、データ行列、及びIR読み取りコードなどのコード化されたマークが挙げられる。本明細書に記載する1つ又は複数のしるし(x30)は、固体しるし及び/又はラスターしるしであってもよい。
【0094】
[093]本明細書に記載するトップコーティング組成物は、付与プロセス、好ましくは非接触流体マイクロ分配プロセスによって本明細書に記載する1つ又は複数のしるし(x30)の形態で付与され、プロセスは、好ましくはスプレーコーティング、エアロゾルインクジェット印刷、電気流体力学印刷、及びインクジェット印刷からなる群から選択され、より好ましくはインクジェット印刷プロセスであり、前記インクジェット印刷プロセスは、本明細書に記載する光学効果層(OEL)上の、又はその層中に1つ又は複数のしるし(x30)の特有の作製を可能にする可変情報印刷方法である。付与プロセスは、作製される1つ又は複数のしるしのデザイン及び分解能の関数として選択される。
【0095】
[094]インクジェット印刷は、可変ハーフトーンを含む、本明細書に記載する1つ又は複数のしるしを示す光学効果層(OEL)を作製するために有利に使用され得る。インクジェットハーフトーン印刷は、可変インクジェット付着量又は坪量の付与による、無数の色又は灰色を含む連続階調画像をシミュレートする複写技術である。
【0096】
[095]スプレーコーティングは、ノズルを介して組成物を押し進めて微細なエアロゾルが形成される技術である。キャリヤガス及び静電帯電は、プリントされる表面にエアロゾルを向けるように機能するために関連し得る。スプレー印刷は、スポット及びラインを印刷することを可能にする。スプレー印刷に適切な組成物は、典型的には、約10mPa.s~約1Pa.s(25℃(1000s-1)の粘性を有する。スプレーコーティング印刷の分解能は、ミリメートル範囲にある。スプレー印刷は、例えば、F.C.Krebs、Solar Energy Materials & Solar Cells(2009)、93、407頁に記載されている。
【0097】
[096]エアロゾルインクジェット印刷(AJP)は、広範囲の基材上で微細な特徴をもたらすことを目的とした新たな非接触直接書き込みアプローチである。AJPは、広い材料範囲及び自由形状の堆積と対応し、配向の独立性に加えて、比較的大きな離間距離(例えば、1~5mm)と一緒に高解像度(約10マイクロメートル程度)を可能にする。技術は、超音波又は空気圧アトマイザーを使用するエアロゾル発生を含み、典型的に約1mPa.s~約1Pa.s(25℃(1000s-1)の粘性を有する組成物からエアロゾルを発生する。エアロゾルジェット印刷は、例えば、N.J.Wilkinsonら、The International Journal of Advanced Manufacturing Technology(2019)105:4599~4619頁に記載されている。
【0098】
[097]電気流体力学的インクジェット印刷は、高解像度インクジェット印刷技術である。電気流体力学的インクジェット印刷技術は、外部的に付与される電界を使用して、基材上に小滴サイズ、放出回数、及び配置を操作して高い作製速度を維持しながら従来のインクジェット印刷より高い解像度を得る。電気流体力学的インクジェット印刷の分解能は、従来のインクジェット印刷技術より約2桁高く、したがって、それは、ナノスケールパターン及びミクロスケールパターンの配向に使用することができる。電気流体力学的インクジェット印刷は、DOD又は連続モードの両方で使用されてもよい。電気流体力学的インクジェット印刷用組成物は、典型的には約1mPa.s~約1Pa.s(25℃(1000s-1)の粘性を有する。電気流体力学的インクジェット印刷技術は、例えば、P.V.Raje and N.C.Murmu、International Journal of Emerging Technology and Advanced Engineering、(2014)、4(5)、174~183頁に記載されている。
【0099】
[098]スロットダイコーティングは、1次元コーティング技術である。スロットダイコーティングは、異なる材料のストライプが互いの上に層状に重ねられた多層コーティングを作製することによく適する材料のストライプのコーティングを可能にする。パターンの整列は、コーティングヘッドをウェブ移動の方向に垂直な方向に沿って移動することによってもたらされる。スロットダイコーティングヘッドは、スロットダイコーティングインクが分散されるコーティングヘッドのスロットを規定するマスクを含む。スロットダイコーティングヘッドの一例は、F.C.Krebs、Solar Energy Materials & Solar Cells(2009)、93、405~406頁において説明されている。スロットダイコーティングに適切な組成物は、典型的に約1mPa.s~約20mPa.s(25℃(1000s-1)の粘性を有する。
【0100】
[099]1つの実施形態によれば、本明細書に記載するトップコーティング組成物は、インクジェット印刷プロセス、好ましくは連続インクジェット(CIJ)印刷プロセス、又はドロップオンデマンド(DOD)インクジェット印刷プロセス、より好ましくはドロップオンデマンド(DOD)インクジェット印刷プロセスによって本明細書に記載する1つ又は複数のしるし(x30)の形態で印刷される。ドロップオンデマンド(DOD)印刷は、非接触印刷プロセスであり、小滴は、印刷に必要な場合、ジェットを不安定にすることによるのではなく一般に排出機構によって単に作製される。小滴を作製するために印刷ヘッドにおいて使用される機構によって、DOD印刷は、圧電インパルス、サーマルジェット、バルブジェット(約1mPa.s~約1Pa.s(25℃(1000s-1)の粘性)、及び静電プロセスに分割される。
【0101】
[0100]1つの実施形態によれば、本明細書に記載するトップコーティング組成物は、本明細書に記載する磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物について本明細書に記載するものなどのラジカル硬化性化合物、カチオン硬化性化合物、及びラジカル及びカチオン硬化性化合物の混合物から選択される1つ又は複数のモノマー及び/又はオリゴマーを含む。磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物がカチオン硬化性組成物である実施形態について、トップコーティング組成物は、好ましくは、放射線硬化性コーティング組成物について本明細書に記載するものなどのカチオン硬化性化合物から選択された1つ又は複数のモノマー及び/又はオリゴマーを含む。磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物がラジカル硬化性組成物である実施形態について、トップコーティング組成物は、好ましくは、放射線硬化性コーティング組成物について本明細書に記載するものなどのラジカル硬化性化合物から選択された1つ又は複数のモノマー及び/又はオリゴマーを含む。磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物がハイブリッド硬化性組成物である実施形態について、トップコーティング組成物は、好ましくは、放射線硬化性コーティング組成物について本明細書に記載するものなどのカチオン硬化性化合物から選択される1つ又は複数のモノマー及び/又はオリゴマー、及び/又はラジカル硬化性化合物から選択される1つ又は複数のモノマー及び/又はオリゴマーを含む。トップコーティング組成物が、本明細書に記載する放射線硬化性コーティング組成物について本明細書に記載するものなどのラジカル硬化性化合物、カチオン硬化性化合物、及びラジカル及びカチオン硬化性化合物の混合物から選択された1つ又は複数のモノマー及び/又はオリゴマーを含み、前記トップコーティング組成物がインクジェット印刷プロセスによって付与される実施形態について、前記トップコーティング組成物は、さらに、例えば、放射線硬化性インクジェットの分野において使用される湿潤剤、消泡剤、界面活性剤、(共)溶媒、及びそれらの混合物などの従来の添加剤及び成分を含んでいてもよい。
【0102】
[0101]他の実施形態によれば、本明細書に記載するトップコーティング組成物は、1つ又は複数の溶媒を含む。本明細書に記載するトップコーティング組成物が1つ又は複数の溶媒を含む実施形態について、熱を付与するさらなるステップが行われてもよい。
【0103】
[0102]本明細書に記載するトップコーティング組成物は、さらに、本明細書に記載する非球状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むコーティング層(x10)について記載されたものなどの1つ又は複数の標識物質又は識別用添加剤及び/又は1つ又は複数の機械読み取り可能の材料を含んでいてもよく、但し、前記物質、識別用添加剤、材料のサイズが、本明細書に記載する付与プロセスに適する。本明細書に記載するように、本明細書に記載するトップコーティング組成物は、磁性又は磁化可能な顔料粒子を含まない。
【0104】
[0103]本明細書に記載する方法は、さらに、ステップc)と部分的に同時に、又はその後に、コーティング層(x10)及び1つ又は複数のしるし(x30)を少なくとも部分的に本明細書に記載する硬化装置(x50)で硬化するステップd)を含む。「部分的に同時に」によって、両方のステップは、部分的に同時に行われる、つまり、各ステップを行う時間は、部分的に重なることが意味される。本明細書に記載する前後関係では、硬化が付与ステップc)と部分的に同時に行われる場合、硬化が、完全又は部分的な硬化の前に、1つ又は複数のしるしの形成後に有効になることが理解されるに違いない。
【0105】
[0104]本明細書に記載するコーティング層(x10)上にトップコーティング組成物を付与するステップc)とコーティング層(x10)及び1つ又は複数のしるし(x30)を少なくとも部分的に本明細書に記載する硬化装置(x50)で硬化するステップd)との間に中間ステップがない本明細書に記載する方法の実施形態(例えば、図2A、2B、2C及び2E-1~2E-3参照)について、前記ステップc)とステップd)との間の時間は、好ましくは約0~5分、より好ましくは約0~1分、さらに好ましくは約0~10秒、さらに好ましくは約0~5秒である。
【0106】
[0105]本明細書に記載する少なくとも部分的な硬化ステップが、放射線の少なくとも部分的硬化ステップであり、UV-Vis光放射線硬化はより好ましく、これらの技術が非常に速い硬化プロセスを有利にもたらし、したがって、本明細書に記載するOELを含む任意の物品の調製時間を大幅に減少させるからである。さらに、放射線硬化は、コーティング組成物の粘性のほとんど瞬間的な増加をもたらすという利点を有する。電磁スペクトルのUV又は青色部分(典型的に、200nm~650nm、より好ましくは200nm~420nm)に波長成分を有する化学光の影響下で、光重合による放射線硬化が特に好ましい。UV可視硬化用装置は、化学線源として、高性能発光ダイオード(LED)ランプ、又は中圧水銀アーク(MPMA)又は金属蒸気アークランプなどのアーク放電ランプを含んでいてもよい。コーティング層(x10)及び1つ又は複数のしるし(x30)を少なくとも部分的に硬化するステップd)は、記載する硬化装置(x50)で実行される。適切な硬化ユニットは、化学線源として、高性能発光ダイオード(LED)ランプ、又は中圧水銀アーク(MPMA)又は金属蒸気アークランプなどのアーク放電ランプを含むUV可視硬化用装置が挙げられる。
【0107】
[0106]コーティング層(x10)を本明細書に記載する磁界発生装置の磁界にさらすステップb)及びy)についてのいくつかの実施形態が、図2A~Eに示される。
【0108】
[0107]図2Aにおいて示される1つの実施形態によれば、本明細書に記載する方法は、
磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために、コーティング層(x10)を磁界発生装置(B1)の磁界にさらすステップb);
ステップb)後に、コーティング層(x10)上にトップコーティング組成物を付与するステップであり、前記トップコーティング組成物は、本明細書に記載する1つ又は複数のしるし(x30)の形態で付与される、ステップc);及び
ステップc)と部分的に同時に、又はその後に、コーティング層(x10)及び1つ又は複数のしるし(x30)を少なくとも部分的に本明細書に記載する硬化装置(x50)で硬化するステップd)を含む。
【0109】
[0108]図2Bにおいて示される1つの実施形態によれば、本明細書に記載する方法は、
磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するために、コーティング層(x10)を磁界発生装置(B1)の磁界にさらし、前記磁性又は磁化可能な顔料粒子は、粒子の主要な延出面を定義するX軸及びY軸を有する小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子であり、好ましくは、前記ステップは、小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向して、X軸及びY軸の両方を基材表面に実質的に平行にするために実行されるステップb);
ステップb)後に、コーティング層(x10)上にトップコーティング組成物を付与するステップであり、前記トップコーティング組成物は、本明細書に記載する1つ又は複数のしるし(x30)の形態で付与される、ステップc);及び
ステップc)と部分的に同時に、又はその後に、コーティング層(x10)及び1つ又は複数のしるし(x30)を少なくとも部分的に本明細書に記載する硬化装置(x50)で硬化するステップd)を含む。
【0110】
[0109]1つの実施形態によれば、本明細書に記載する方法は、
2つのステップからなる本明細書に記載するステップb)であり、第1のステップb1)は、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するために、コーティング層(x10)を磁界発生装置(B1)の磁界にさらすことからなり、前記磁性又は磁化可能な顔料粒子は、粒子の主要な延出面を定義するX軸及びY軸を有する小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子であり、さらなるステップb2)は、小平板形状の磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部を単軸方向に再配向するために、コーティング層(x10)を第2の磁界発生装置(B2)の磁界にさらすことからなり、前記ステップb2)は、ステップb1)と部分的に同時に、同時に、又はその後に実行されるステップb)(ステップb1)にステップb2)が実行される図2C参照);
ステップb)後に、コーティング層(x10)上にトップコーティング組成物を付与するステップであり、前記トップコーティング組成物は、本明細書に記載する1つ又は複数のしるし(x30)の形態で付与される、ステップc);及び
ステップc)と部分的に同時に、又はその後に、コーティング層(x10)及び1つ又は複数のしるし(x30)を少なくとも部分的に本明細書に記載する硬化装置(x50)で硬化するステップd)を含む。
【0111】
[0110]図2D-1において示される他の実施形態によれば、本明細書に記載する方法は、
磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために、コーティング層(x10)を磁界発生装置(B1)の磁界にさらすステップb);
ステップb)後に、コーティング層(x10)上にトップコーティング組成物を付与するステップであり、前記トップコーティング組成物は、本明細書に記載する1つ又は複数のしるし(x30)の形態で付与される、ステップc);
ステップc)と部分的に同時に、又はその後に、コーティング層(x10)の1つ又は複数の第2のエリアが照射にさらされないままであるように、コーティング層(x10)の1つ又は複数の第1のエリアを選択的に少なくとも部分的に硬化して、磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部をそれらの採用された位置及び配向に固定し、前記選択的に少なくとも部分的に硬化するステップは、本明細書に記載する選択硬化装置(x60)によって実行されるステップx);
ステップx)後に、コーティング層(x10)の1つ又は複数の第2のエリアの磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために、コーティング層(x10)を第2の磁界発生装置(B2)の磁界にさらすステップy);及び
ステップy)と部分的に同時に、又はその後に、コーティング層(x10)及び1つ又は複数のしるし(x30)を少なくとも部分的に本明細書に記載する硬化装置(x50)で硬化するステップd)を含み、
前記ステップy)は、ステップd)と部分的に同時に、又はその前に実行される。
【0112】
[0111]図2D-2において示される他の実施形態によれば、本明細書に記載する方法は、
磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するために実行される、コーティング層(x10)を磁界発生装置(B1)の磁界にさらすステップb);
ステップb)後に、コーティング層(x10)上にトップコーティング組成物を付与するステップであり、前記トップコーティング組成物は、本明細書に記載する1つ又は複数のしるし(x30)の形態で付与される、ステップc);
ステップc)と部分的に同時に、又はその後に、コーティング層(x10)の1つ又は複数の第2のエリアが照射にさらされないままであるように、コーティング層(x10)の1つ又は複数の第1のエリアを選択的に少なくとも部分的に硬化して、磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部をそれらの採用された位置及び配向に固定し、前記選択的に少なくとも部分的に硬化するステップは、本明細書に記載する選択硬化装置(x60)によって実行されるステップx);
ステップx)後に、コーティング層(x10)の1つ又は複数の第2のエリアの磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために、コーティング層(x10)を第2の磁界発生装置(B2)の磁界にさらすステップy);及び
ステップy)と部分的に同時に、又はその後に、コーティング層(x10)及び1つ又は複数のしるし(x30)を少なくとも部分的に本明細書に記載する硬化装置(x50)で硬化するステップd)を含む。
【0113】
[0112]他の実施形態によれば、本明細書に記載する方法は、
本明細書に記載する2つのステップからなるステップb1)であり、第1のステップb1)は、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するために、コーティング層(x10)を磁界発生装置(B1)の磁界にさらすことからなり、さらなるステップb2)は、小平板形状の磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部を単軸方向に再配向するために、コーティング層(x10)を第2の磁界発生装置(B2)の磁界にさらすことからなり、前記さらなるステップb2)は、ステップb1)と部分的に同時に、同時に、又はその後に実行されるステップb)(ステップb2)がステップb1)後に実行される図2D-3参照);
ステップb)後に、コーティング層(x10)上にトップコーティング組成物を付与するステップであり、前記トップコーティング組成物は、本明細書に記載する1つ又は複数のしるし(x30)の形態で付与される、ステップc);
ステップc)と部分的に同時に、又はその後に、コーティング層(x10)の1つ又は複数の第2のエリアが照射にさらされないままであるように、コーティング層(x10)の1つ又は複数の第1のエリアを選択的に少なくとも部分的に硬化して、磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部をそれらの採用された位置及び配向に固定し、前記選択的に少なくとも部分的に硬化するステップは、本明細書に記載する選択硬化装置(x60)によって実行されるステップx);
ステップx)後に、コーティング層(x10)の1つ又は複数の第2のエリアの磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に再配向するために、コーティング層(x10)を第3の磁界発生装置(B3)の磁界にさらすステップy);及び
ステップy)と部分的に同時に、又はその後に、コーティング層(x10)及び1つ又は複数のしるし(x30)を少なくとも部分的に本明細書に記載する硬化装置(x50)で硬化するステップd)を含む。
【0114】
[0113]図2E-1において示される他の実施形態によれば、本明細書に記載する方法は、
磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために実行される、コーティング層(x10)を磁界発生装置(B1)の磁界にさらすステップb);
ステップb)と部分的に同時に、又はその後に、コーティング層(x10)の1つ又は複数の第2のエリアが照射にさらされないままであるように、コーティング層(x10)の1つ又は複数の第1のエリアを選択的に少なくとも部分的に硬化して、磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部をそれらの採用された位置及び配向に固定し、前記選択的に少なくとも部分的に硬化するステップは、本明細書に記載する選択硬化装置(x60)によって実行されるステップx);
ステップx)後に、コーティング層(x10)の1つ又は複数の第2のエリアの磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に再配向するために、コーティング層(x10)を第2の磁界発生装置(B2)の磁界にさらすステップy);
ステップy)後に、コーティング層(x10)上にトップコーティング組成物を付与するステップであり、前記トップコーティング組成物は、本明細書に記載する1つ又は複数のしるし(x30)の形態で付与される、ステップc);及び
ステップc)と部分的に同時に、又はその後に、コーティング層(x10)及び1つ又は複数のしるし(x30)を少なくとも部分的に本明細書に記載する硬化装置(x50)で硬化するステップd)を含む。
【0115】
[0114]図2E-2において示される他の実施形態によれば、本明細書に記載する方法は、
磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するために、コーティング層(x10)を磁界発生装置(B1)の磁界にさらすステップb);
ステップb)と部分的に同時に、又はその後に、コーティング層(x10)の1つ又は複数の第2のエリアが照射にさらされないままであるように、コーティング層(x10)の1つ又は複数の第1のエリアを選択的に少なくとも部分的に硬化して、磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部をそれらの採用された位置及び配向に固定し、前記選択的に少なくとも部分的に硬化するステップは、本明細書に記載する選択硬化装置(x60)によって実行されるステップx);
ステップx)後に、コーティング層(x10)の1つ又は複数の第2のエリアの磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために、コーティング層(x10)を第2の磁界発生装置(B2)の磁界にさらすステップy);
ステップy)後に、コーティング層(x10)上にトップコーティング組成物を付与するステップであり、前記トップコーティング組成物は、本明細書に記載する1つ又は複数のしるし(x30)の形態で付与される、ステップc);及び
ステップc)と部分的に同時に、又はその後に、コーティング層(x10)及び1つ又は複数のしるし(x30)を少なくとも部分的に本明細書に記載する硬化装置(x50)で硬化するステップd)を含む。
【0116】
[0115]他の実施形態によれば、本明細書に記載する方法は、
本明細書に記載する2つのステップからなるステップb)であり、第1のステップb1)は、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するために、コーティング層(x10)を磁界発生装置(B1)の磁界にさらすことからなり、さらなるステップb2)は、小平板形状の磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために、コーティング層(x10)を第2の磁界発生装置(B2)の磁界にさらすことからなり、前記さらなるステップb2)は、ステップb1)と部分的に同時に、同時に、又はその後に実行されるステップb)(ステップb2)がステップb1)後に実行される図2E-3参照);
ステップb)後に、又は部分的に同時に、コーティング層(x10)の1つ又は複数の第2のエリアが照射にさらされないままであるように、磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部をそれらの採用された位置及び配向に固定するために、ステップb)の放射線硬化性コーティング組成物のコーティング層(x10)の1つ又は複数の第1のエリアを少なくとも部分的に硬化し、前記少なくとも部分的に硬化するステップは、本明細書に記載する選択硬化装置(x60)によって実行されるステップx);
ステップx)後に、コーティング層(x10)の1つ又は複数の第2のエリアの磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために、コーティング層(x10)を第3の磁界発生装置(B3)の磁界にさらすステップy);
ステップy)後に、コーティング層(x10)上にトップコーティング組成物を付与するステップであり、前記トップコーティング組成物は、本明細書に記載する1つ又は複数のしるし(x30)の形態で付与される、ステップc);及び
ステップc)と部分的に同時に、又はその後に、コーティング層(x10)及び1つ又は複数のしるし(x30)を少なくとも部分的に本明細書に記載する硬化装置(x50)で硬化するステップd)を含む。
【0117】
[0116]コーティング層(x10)の1つ又は複数の第2のエリアが本明細書に記載する照射にさらされないままであるように、磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部をそれらの採用された位置及び配向に固定するために、ステップb)又はステップc)の放射線硬化性コーティング組成物のコーティング層(x10)の1つ又は複数の第1のエリアを選択的に少なくとも部分的に硬化するステップx)を含む本明細書に記載する実施形態について、選択硬化装置(x60)が使用される。選択的な硬化は、異なるエリアからなるモチーフを示す光学効果層(OEL)の作製を可能にし、前記異なるエリアは、異なる磁気配向パターンを有する。選択硬化装置(x60)は、本明細書に記載する硬化装置(x50)、及びコーティング層の一部として形成されるパターンに対応する1つ又は複数の空間を含む1つ又は複数の固定又は取外し可能なフォトマスクを含んでいてもよい。あるいは、選択硬化装置(x60)は、欧州特許出願公開第2468423号において開示された走査レーザービーム、国際公開第2017/021504号において開示された発光ダイオード(LED)のアレイ、又は同時係属の特許出願の国際出願PCT/EP2019/087072号において開示された個別アドレス可能化学線エミッターのアレイを含む化学線LED光源(x41)など、アドレス指定可能であってもよい。
【0118】
[0117]本発明は、本明細書に記載する基材(x20)上に1つ又は複数のしるし(x30)を示す光学効果層(OEL)及びその得られた1つ又は複数の光学効果層(OEL)を含む基材(x20)を作製する、本明細書に記載する方法を提供する。本明細書に記載する基材(x20)は、好ましくは、セルロース、紙含有材料、ガラス、金属、セラミック、プラスチック及びポリマー、金属化プラスチック又はポリマー、複合材料、及びそれらの2つ以上の混合物又は組合せなどの紙又は他の繊維状材料(織物及び不織布繊維状材料を含む)からなる群から選択される。典型的な紙、紙状又は他の繊維状材料は、限定されないが、アバカ、綿、亜麻布、木材パルプ、及びそれらの混合物を含む様々な繊維からなる。当業者によく知られているように、綿及び綿/亜麻布の混合物は、紙幣に好ましく、一方、木材パルプは、非紙幣セキュリティ文書において一般に使用されている。他の実施形態によれば、本明細書に記載する基材(x20)は、プラスチック及びポリマー、金属化プラスチック又はポリマー、複合材料、及びそれらの2つ以上の混合物又は組合せに基づく。プラスチック及びポリマーの好適な例としては、ポリエチレン(PE)及び2軸配向ポリプロピレン(BOPP)を含むポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリアミド、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(1,4-ブチレンテレフタラート(PBT)、ポリ(エチレン2,6-ナフトアート)(PEN)などのポリエステル、及びポリ塩化ビニル(PVC)が挙げられる。商標Tyvek(登録商標)で販売されるものなどのスパンボンドオレフィン繊維は、また、基材として使用されてもよい。メッキプラスチック又はポリマーの代表例としては、表面上に連続又は不連続に金属を配置した上記プラスチック又は高分子材料が挙げられる。金属の代表例としては、限定されないが、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、それらの合金、及び前述の金属の2つ以上の組合せが挙げられる。前記プラスチック又は高分子材料の金属化は、電着プロセス、高真空コーティングプロセス、又はスパッタリングプロセスによって行われてもよい。複合材料の代表例としては、限定されないが、紙の多層構造又は積層品及び上記のものなどの少なくとも1つのプラスチック又は高分子材料、並びに上記のものなどの紙状又は繊維状材料に組み込まれたプラスチック及び/又はポリマー線維が挙げられる。当然、基材は、さらに、充填剤、糊剤、漂白剤、加工助剤、補強剤、又は湿潤強度増強剤などの、当業者に公知の添加剤を含むことができる。本発明によって作製された1つ又は複数のしるし(x30)を示すOELが、例えば、爪のラッカーを含む装飾又は化粧目的に使用される場合、前記OELは、動物又は人間の爪、人工爪、又は他の部分を含む他のタイプの基材上に作製されてもよい。
【0119】
[0118]また、セキュリティ文書、又は装飾要素若しくは装飾体を製造する方法を本明細書に記載し、方法は、a)セキュリティ文書、又は装飾要素若しくは装飾体を準備すること、b)特に、本明細書に記載する方法によって得られたものなどの、本明細書に記載する1つ又は複数の光学効果層を、セキュリティ文書、又は装飾要素若しくは装飾体に含まれるように準備することを含む。
【0120】
[0119]本発明によって作製されたOELが、セキュリティ文書又は物品上にあれば、前記セキュリティ文書又は物品の偽造及び違法複製に対するセキュリティレベル及び抵抗性をさらに向上させることを目的として、基材は、印刷、コーティング、又はレーザーマーク若しくはレーザー穿孔しるし、水量標、偽造防止糸、繊維、プランシェット、発光化合物、窓、箔、デカール、及びそれらの2つ以上の組合せを含んでいてもよい。セキュリティ文書及び物品の偽造及び違法複製に対するセキュリティレベル及び抵抗性をさらに向上させる同じ目的で、基材は、1つ又は複数の標識物質又は識別用添加剤及び/又は機械読み取り可能物質(例えば、発光物質、UV/可視/IR吸収物質、磁性体、及びそれらの組合せ)を含んでいてもよい。
【0121】
[0120]必要に応じて、プライマー層は、ステップa)の前に基材に付与されてもよい。これは、本明細書に記載するOELの質を高める、又は接着を促進し得る。そのようなプライマー層の例は、国際公開第2010/058026号に見出され得る。
【0122】
[0121]汚れに対する耐久性又は耐薬品性及び清浄度、したがって本明細書に記載する方法によって得られたOELを含むセキュリティ文書、物品、又は装飾要素若しくは装飾体の循環寿命を向上させる目的で、又はそれらの美観性(例えば、光学的光沢)を変更する目的で、1つ又は複数の保護層がOEL上に付与されてもよい。存在する場合、1つ又は複数の保護層は、典型的に保護ワニスからなる。保護ワニスは、放射線硬化性組成物、熱乾燥組成物、又はそれらの任意の組合せであってもよい。好ましくは、1つ又は複数の保護層は、放射線硬化性組成物、より好ましくはUV-Vis硬化性組成物である。保護層は、OELの形成後に典型的に付与される。
【0123】
[0122]本発明は、さらに本明細書に記載する1つ又は複数のしるし(x30)を示し、本明細書に記載する方法によって作製された光学効果層(OEL)を提供する。本明細書に記載する光学効果層(OEL)の形状は、連続又は不連続であってもよい。1つの実施形態によれば、コーティング層(x10)の形状は、1つ又は複数のしるし、ドット、及び/又はラインを表し、前記しるしは、本明細書に記載するトップコーティング組成物からなる1つ又は複数のしるし(x30)と同じ形状を有していてもよく、異なる形状を有していてもよい。
【0124】
[0123]本明細書に記載する1つ又は複数のしるし(x30)を示すOELは、それが永久に残る基材上に直接設けられてもよい(紙幣用途など)。あるいは、光学効果層は、また、OELがその後に取り除かれる作製目的の仮基材上に設けられてもよい。これは、特に、バインダー材料がまだその流体状態にある間、例えば、光学効果層(OEL)の作製を促進し得る。その後、OELの作製用のコーティング組成物を硬化した後、仮基材は、OELから取り除かれてもよい。
【0125】
[0124]あるいは、他の実施形態では、接着剤層は、1つ又は複数の示すしるし(x30)上に存在してもよく、又はOELを含む基材側に存在してもよく、前記接着剤層は、OELが設けられる側と反対の基材上又はOELと同じ側、及びOEL上にあってもよい。したがって、接着剤層は、OEL又は基材に付与されてもよく、前記接着剤層は、硬化ステップが終了後に付与されてもよい。そのような物品は、機械類及びかなり高い効果を伴う印刷及び他のプロセスなしで様々な種類の書類又は他の物品若しくは商品に取り付けられてもよい。あるいは、本明細書に記載するOELを含む本明細書に記載する基材は、転写箔の形態であってもよく、それは、個別の転写ステップで書類又は物品に付与されることができる。この目的のために、基材は、本明細書に記載するように、OELが設けられる剥離コーティングを備える。1つ又は複数の接着剤層は、そのように設けられた光学効果層に付与されてもよい。
【0126】
[0125]また、本明細書に記載する方法によって得られた1つより多い、つまり2、3、4つなどの光学効果層(OEL)を含む基材を本明細書に記載する。
【0127】
[0126]また、本発明によって作製された光学効果層(OEL)を含む物品、文書、特に、セキュリティ文書、装飾要素、及び装飾体を本明細書に記載する。物品、特にセキュリティ文書、装飾要素、又は装飾体は、本発明によって作製された1つより多い(例えば、2、3つなど)OELを含んでいてもよい。
【0128】
[0127]上述されるように、本発明によって作製されたOELは、装飾の目的に、及びセキュリティ文書を保護及び認証するために使用されてもよい。
【0129】
[0128]装飾要素又は装飾体の代表例としては、限定されないが、高級品、化粧品包装、自動車部品、電子/電気器具、家具及び爪の物品が挙げられる。
【0130】
[0129]セキュリティ文書としては、限定されないが、価値書類及び価値商品が挙げられる。価値書類の代表例としては、限定されないが、紙幣、証書、チケット、請求書、証明書、収入印紙、及び税ラベル、協定等、旅券、身分証明書、ビザ、運転免許、バンクカード、クレジットカード、取引カード、アクセス書類又はカード、入場券、公共交通チケット、学術卒業証書又は権利等、好ましくは紙幣、アイデンティティ文書、権利付与文書、運転免許、及びクレジットカードなどのアイデンティティ文書が挙げられる。用語「価値商品」は、特に、化粧品、栄養補助食品、医薬品、アルコール、タバコ物品、飲料又は食料、電気/電子物品、織物又は宝石、つまり、例えば、本物の医薬品用などの包装の内容物を保証するために偽造及び/又は違法複製から保護される物品のためのパッケージング材料を指す。これらのパッケージング材料の例としては、限定されないが、認証ブランドラベル、タンパ証明ラベル、及びシールなどのラベルが挙げられる。本発明の範囲を制限することなく、開示された基材、価値書類、及び価値商品は、もっぱら例示のために与えられることが指摘される。
【0131】
[0130]あるいは、本明細書に記載する光学効果層(OEL)は、例えば、セキュリティスレッド、セキュリティストライプ、箔、デカール、窓、又はラベルなどの補助基材上に設けられ、したがって、個別のステップでセキュリティ文書に転写されてもよい。
【0132】
[0131]当業者は、本発明の趣旨から逸脱することなく、上記特定の実施形態からいくつかの変更を予測することができる。そのような変更は、本発明に包含される。
【0133】
[0132]さらに、明細書全体を通して参照した文献は全て、本明細書において十分に記載するように、参照によりその全体が組み込まれる。
【0134】
実施例
[0133]本発明は、以下、非限定的な実施例を参照してより詳細に説明する。下記の実施例は、1つ又は複数のしるしを示す光学効果層(OEL)の作製についてより詳細に述べる。UV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物及びトップコーティングインクジェット印刷組成物の4つの一連の組合せを調製し、表1~3に説明する。
表1A:小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むラジカルUV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物及びトップコーティングインクジェット印刷組成物の組合せ(E1、E3~E6、及びC1~C5)。
表1B:小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むラジカルUV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物及びトップコーティングインクジェット印刷組成物の組合せ(E2)。
表1C:小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むラジカルUV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物及びトップコーティングインクジェット印刷組成物の組合せ(C11)。
表2:小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むカチオンUV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物及びトップコーティングインクジェット印刷組成物の組合せ(E7~E11、E17、E19~E21、及びC6~C10)。
表3:小平板形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むハイブリッドUV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物及びトップコーティングインクジェット印刷組成物の組合せ(E12~E16及びE18)。
【0135】
【表1】
【0136】
【表2】
【0137】
【表3】
【0138】
【表4】
【0139】
【表5】
【0140】
【表6】
【0141】
組成物の調製
[0134]UV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物を、ディスパーマットCV-3を使用して、2000rpmで10分間、表1~3に示す成分を混合することによって独立的に調製した。
【0142】
[0135]トップコーティングインクジェット印刷組成物を、ディスパーマット(LC220-12)を使用して、室温及び1000rpmで10分間、表2~3に示す成分を混合することによって独立的に調製した。
【0143】
[0136]組成物の粘性を、ブルックフィールド粘度計(型式「DV-I Prime」、UV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物については100rpmでスピンドルS27及びトップコーティングインクジェット印刷組成物については50rpmでS00)で25℃で独立的に測定し、表1~4に示す。
光学効果層(OEL)の調製法
[0137]光学効果層(OEL)を、本発明の方法(E1~E21)及び比較の方法(C1~C11)によって調製した。表5A~Cは、i)印刷方法中に使用される組成物の組合せ、ii)方法自体を概略的に示す図、iii)UV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物が付与された基材、及びiv)磁性2軸配向中に磁界発生装置上のパス数の概要を提供する。
【0144】
【表7】
【0145】
【表8】
【0146】
【表9】
【0147】
基材(x20)No1~3は、次のものであった:
基材No1は、ポリマー基材(CCL SecureのGuardian(商標)、基材No2は、信用紙(Louisenthal BNP紙100g/m)、基材No3は、UV照射(2つのランプ:ISTメッツ社の鉄ドープ水銀ランプ200W/cm+水銀ランプ200W/cm、2パス、100m/min)によって硬化された表4(プライマー厚さ20μm)において開示されたプライマー組成物でT90スクリーンを使用して、ハンドスクリーン印刷によってコーティングされた信用紙(Louisenthal BNP紙100g/m)である。
【0148】
[0138]図2A(本発明による方法)では、方法は、以下のステップ:
コーティング層(210)を形成するために、基材(220)上にUV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物をスクリーン印刷するステップa)(図示せず)、
ステップa)後に、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するステップb)
ステップb)後に、しるし(230)を形成するために、トップコーティングインクジェット印刷組成物をインクジェット印刷するステップc)、及び
ステップc)後に、光学効果層を形成するために、コーティング層(210)及びしるし(230)を硬化装置(250)で硬化するステップd)を含んでいた。
【0149】
[0139]本発明による方法によって作製された全ての実施例(E6、E11、E16、及び21)について、ステップb)とステップc)との間で約1.2秒であった。本発明による方法によって作製された実施例(E6、E11、E16、及び21)について、ステップc)とステップd)との間で10秒未満であった。
【0150】
[0140]図2B(本発明による方法)では、方法は、以下のステップ:
コーティング層(210)を形成するために、基材(220)上にUV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物をスクリーン印刷するステップa)(図示せず)、
ステップa)後に、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するステップb)
ステップb)後に、しるし(230)を形成するために、トップコーティングインクジェット印刷組成物をインクジェット印刷するステップc)、及び
ステップc)後に、光学効果層を形成するために、コーティング層(210)及びしるし(230)を硬化装置(250)で硬化するステップd)を含んでいた。
【0151】
[0141]本発明による方法によって作製された全ての実施例(E1~E4、E7~E9、E12~E14、E17~18、E19)について、ステップb)とステップc)との間で約1.2秒であった。ステップc)とステップd)、例えば、E4とE9とE14との間で5分であった。他の全ての実施例E1~E3、E7~8、E12~13、E17~18、及びE19において、前記期間は10秒未満であった。
【0152】
[0142]図2C(本発明による方法)では、方法は、以下のステップ:
コーティング層(210)を形成するために、基材(220)上にUV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物をスクリーン印刷するステップa)(図示せず)、
ステップa)後に、2つのステップからなるステップb)であり、第1のステップb1)は、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向することからなり、後のステップb2)は、磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部を単軸方向に再配向することからなるステップb)
ステップb)後に、しるし(230)を形成するために、トップコーティングインクジェット印刷組成物をインクジェット印刷するステップc)、及び
ステップc)後に、光学効果層を形成するために、コーティング層(210)及びしるし(230)を硬化装置(250)で硬化するステップd)を含んでいた。
【0153】
[0143]本発明による方法によって作製された全ての実施例(E5、E10、E15、及びE20)について、ステップb2)とステップc)との間で約1.2秒であった。本発明による方法によって作製された実施例E5、E10、E15、及びE20について、ステップc)とステップd)との間で約1.2秒であった。
【0154】
[0144]図4A(比較の方法)において、方法は、以下のステップ:
コーティング層(410)を形成するために、基材(420)上にUV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物をスクリーン印刷するステップa)(図示せず)、
ステップa)後に、しるし(430)を形成するために、トップコーティングインクジェット印刷組成物をインクジェット印刷するステップc)、及び
ステップc)後に、光学効果層を形成するために、コーティング層(410)及びしるし(430)を硬化装置(450)で硬化するステップd)を含んでいた。
【0155】
[0145]この比較の方法によって作製された全ての例(C1及びC6)について、ステップc)とステップd)との間で約1.2秒であった。
【0156】
[0146]図4B(比較の方法)、方法は、以下のステップ:
コーティング層(410)を形成するために、基材(420)上にUV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物をスクリーン印刷するステップa)(図示せず)、
ステップa)後に、しるし(430)を形成するために、トップコーティングインクジェット印刷組成物をインクジェット印刷するステップc)
ステップc)後に、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するステップb)、及び
ステップc)後に、光学効果層を形成するために、コーティング層(410)及びしるし(430)を硬化するステップd)を含んでいた。
【0157】
[0147]この比較の方法によって作製された全ての例(C2及びC7)について、ステップc)とステップb)との間で約10秒であり、ステップb)とステップd)との間で2.4秒であった。
【0158】
[0148]図4C(比較の方法)において、方法は、以下のステップ:
コーティング層(410)を形成するために、基材(420)上にUV-Visビス硬化性スクリーン印刷組成物をスクリーン印刷するステップa)(図示せず)、
ステップa)後に、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するステップb)/b1)
ステップ/b1)後に、しるし(430)を形成するために、トップコーティングインクジェット印刷組成物をインクジェット印刷するステップc)
ステップc)後に、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に再配向するステップb2)
ステップb2)後に、光学効果層を形成するために、コーティング層(410)及びしるし(430)を硬化装置(450)で硬化するステップd)を含んでいた。
【0159】
[0149]この比較の方法によって作製された全ての例(C3及びC8)について、ステップb1)とステップc)との間で約0.3秒であり、ステップc)とステップb2)との間で約1.2秒であり、ステップb2)とステップd)との間で約3.2秒であった。
【0160】
[0150]図4D(比較の方法)では、方法は、以下のステップ:
コーティング層(410)を形成するために、基材(420)上にUV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物をスクリーン印刷するステップa)(図示せず)、
ステップa)後に、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するステップb1)
ステップb)/b1)後に、しるし(430)を形成するために、トップコーティングインクジェット印刷組成物をインクジェット印刷するステップc)
ステップc)後に、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に再配向するステップb2)、及び
ステップb)/b2)と部分的に同時に、光学効果層を形成するために、コーティング層(410)及びしるし(430)を硬化装置(450)で硬化するステップd)を含んでいた。
【0161】
[0151]この比較の方法によって作製された全ての例(C4及びC9)について、ステップb1)とステップc)との間で約0.3秒であり、ステップc)とb2)との間で約1.2秒であった。
【0162】
[0152]図4E(比較の方法)では、方法は、以下のステップ:
コーティング層(410)を形成するために、基材(420)上にUV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物をスクリーン印刷するステップa)(図示せず)、
ステップa)後に、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するステップb)
ステップb)と部分的に同時に(つまり、基材(420)を磁界発生装置の磁界(B1)に維持している間)、しるし(430)を形成するために、トップコーティングインクジェット印刷組成物をインクジェット印刷するステップc)
ステップb)と部分的に同時に(つまり、それは、基材(420)を磁界発生装置の磁界(B1)に維持しながら)ではあるがステップc)後に、光学効果層を形成するために、コーティング層(410)及びしるし(430)を硬化装置(450)で硬化するステップd)を含んでいた。
【0163】
[0153]この比較の方法によって作製された全ての例(C5及びC10)について、ステップc)とステップd)との間で約2.2秒であった。
【0164】
[0154]図4F(比較の方法)では、方法は、以下のステップ:
コーティング層(410)を形成するために、基材(420)上にUV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物をスクリーン印刷するステップ(図示せず)、
前記ステップ後に、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するステップb)
ステップb)と部分的に同時に(つまり、基材(420)を磁界発生装置の磁界(B1)に維持しながら)コーティング層(410)を硬化装置で硬化するステップd)
前記ステップd)後に、しるし(430)を形成するために、トップコーティングインクジェット印刷組成物をインクジェット印刷するステップc)
前記ステップc)後に、しるし(430)を硬化装置で硬化するステップを含んでいた。
【0165】
[0155]この比較の方法によって作製された例(C11)について、最後の2つのステップ間で約5秒であった。
【0166】
UV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物のスクリーン印刷
[0156]表1~3に記載されたUV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物は、次の寸法:25mm×25mm及び厚さ約20μmを有するコーティング層(x10)を形成するために、表5に記載する基材(x20)(70mm×70mm)上にT90スクリーンを使用してハンドスクリーン印刷によって独立的に付与した。
【0167】
UV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物の磁気配向
[0157]本明細書に記載するスクリーン印刷ステップ後に、コーティング層(x10)を以下に記載する磁界発生装置の磁界にさらすステップは、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を配向するために実行された。
【0168】
2軸配向用の磁界発生装置(図3に示される)
[0158]磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を2軸方向に配向するために使用される磁界発生装置は、a)第1の棒状双極子磁石(371)及び2つの第2の棒状双極子磁石(372及び372)を含む第1のセット(S1)及び第1の棒状双極子磁石(371)及び第2の棒状双極子磁石(372及び372)を含む第2のセット(S2)、及びb)第3の棒状双極子磁石(373及び373)の一対(P1)を含んでいた。
【0169】
[0159]第1及び第2のセット(S1、S2)の第1の棒状双極子磁石(371)の、第1及び第2のセット(S1、S2)の第2の棒状双極子磁石(372及び372)の、及び一対(P1)の第3の棒状双極子磁石(373及び373)の最表面は、同一面であった。
【0170】
[0160]第3の棒状双極子磁石(373)は、ラインを形成するために、第1のセット(S1)の第2の棒状双極子磁石(372)及び第2のセット(S2)の第2の棒状双極子磁石(372)と位置合わせされた。第3の棒状双極子磁石(373)は、ラインを形成するために、第1のセット(S1)の第2の棒状双極子磁石(372)及び第2のセット(S2)の第2の棒状双極子磁石(372)と位置合わせされた。
【0171】
[0161]第1及び第2のセット(S1、S2)の第1の棒状双極子磁石(371)は、次の寸法:第1の厚さ(L1)5mm、第1の長さ(L4)60mm、及び第1の幅(L5)40mmを有していた。第1及び第2のセット(S1、S2)の第2の棒状双極子磁石(372及び372)の各々は、次の寸法:第2の厚さ(L2)10mm、第2の長さ(L6)40mm、及び第2の幅(L7)10mmを有していた。一対の(P1)の第3の棒状双極子磁石(373a及び373b)の各々は、次の寸法:第3の厚さ(L3)10mm、第3の長さ(L8)20mm、及び第3の幅(L9)10mmを有していた。
【0172】
[0162]第1のセット(S1)の第1の棒状双極子磁石(371)及び第1のセット(S1)の第2の棒状双極子磁石(372及び372)は位置合わせされて列を形成し、第2のセット(S2)の第1の棒状双極子磁石(371)及び第2のセット(S2)の第2の棒状双極子磁石(372及び372)は位置合わせされて列を形成した。本明細書に記載する各セット(S1、S2)及び各列について、第1の棒状双極子磁石(371)及び2つの第2の棒状双極子磁石(372及び372)は、第2の距離(d2)2mmだけ離間していた。本明細書に記載する各ラインについて、第3の棒状双極子磁石(373及び373)及び2つの第2の棒状双極子磁石(372)は、第3の距離(d3)2mmだけ離間していた。
【0173】
[0163]第1及び第2のセット(S1、S2)の第1の棒状双極子磁石(371)は、基材(320)と実質的に平行に配向された磁軸を有しており、第1のセット(S1)の第1の棒状双極子磁石(371)は、第2のセット(S2)の第1の棒状双極子磁石(371)の磁気方向と反対の磁気方向を有しており、第3の長さ(L8)及び2つの第3の距離(d3)の合計に対応する)第1の距離(d1)24mmだけ離間していた。
【0174】
[0164]第1及び第2のセット(S1、S2)の2つの第2の棒状双極子磁石(372及び372)は、第1の平面に実質的に垂直に、基材(320)に実質的に垂直に配向された磁軸を有していた。第1のセット(S1)の第2の棒状双極子磁石(372)のS極は、第1の平面及び基材(320)に向かい、第2の棒状双極子磁石(372)のN極は、基材(320)に向かい、第1のセット(S1)の第1の棒状双極子磁石(371)のN極は、第1のセット(S1)の第2の棒状双極子磁石(372)に向かっていた。第2のセット(S2)の第2の棒状双極子磁石(372)のN極は、第1の平面及び基材(320)に向かい、第2のセット(S2)の第2の棒状双極子磁石(372)のS極は、基材(320)に向かい、第2のセット(S2)の第1の棒状双極子磁石(371)のN極は、第2のセット(S2)の第2の棒状双極子磁石(372)に向かっていた。
【0175】
[0165]第3の棒状双極子磁石(373)のS極は、第1のセット(S1)の第2の棒状双極子磁石(372)に向かい、前記第2の棒状双極子磁石(372)は、基材(320)に向かうS極を有し、第3の棒状双極子磁石(373)のN極は、第1のセット(S1)の第2の棒状双極子磁石(372)に向かい、前記第2の棒状双極子磁石(372)は、基材(320)に向かうN極を有する。
【0176】
[0166]第1及び第2のセット(S1、S2)の第1の棒状双極子磁石(371)、第1及び第2のセット(S1、S2)の第2の棒状双極子磁石(373及び373)、及び一対(P1)の第3の棒状双極子磁石(372及び372)は、NdFeB N42からなり、次の寸法:115mm×115mm×12mmを有するポリオキシメチレン(POM)からなる、非磁性支持マトリックス(図示せず)に埋め込まれた。
【0177】
[0167]磁気配向中に、コーティング層(310)を支持する基材(320)は、アセンブリを形成するために、コーティング層(310)が環境に面して上記POMからなる非磁性支持板上に配置され、前記非磁性支持板(340)は、次の寸法:180mm×130mm×2mmを有し、コーティング層(310)が、磁界発生装置(300)に面して、中央に位置合わせされた開口(48mm×48mm)を含んでいた。アセンブリは、磁界発生装置(300)の近傍及び上で前記装置の上面から約2mmの距離で表5に記載するように前後に移動した。
【0178】
単軸配向用磁界発生装置
[0168]磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を単軸方向に配向するために使用される磁界発生装置は、長さ約30mm、幅約24mm、及び約6mmの厚さを有する棒状双極子磁石を含んでおり、前記棒状双極子磁石は、POMからなり、次の寸法:40mm×40mm×15mmを有するマトリックスに埋め込まれた。棒状双極子磁石のN-S磁軸は、基材(x20)表面と平行で、幅と平行であった。棒状双極子磁石は、NdFeB N42からなっていた。
【0179】
[0169]磁気配向中に、コーティング層(x10)を支持する基材(x20)は、アセンブリを形成するために、コーティング層(x10)が環境に面する上記POMからなる非磁性支持板上に配置された。アセンブリは、基材(x20)が、棒状双極子磁石の表面の上面から約6mmの距離であるように磁界発生装置の近傍及び上に置かれた。
【0180】
[0170]図2A、2C、及び4Cに示される方法(図2C及び4Cで磁界B2を生成する装置)について、磁界発生装置は、次のステップを実行する前に層(x10)を支持する表面と反対の基材(x20)の表面から垂直に取り除かれた。
【0181】
[0171]図4D及び4E(磁界B2を生成する装置)に示される方法について、アセンブリを下記ステップの間に磁界発生装置上に維持した。
トップコーティングインクジェット印刷組成物のインクジェット印刷
[0172]表1~3に記載したトップコーティングインクジェット印刷組成物を、次の寸法:20mm×12mmを有する長方形形状を有するしるしを形成するために、京セラKJ4A-TA印刷ヘッド(600dpi)を使用してDODインクジェット印刷によって独立的に付与した。
【0182】
[0173]実施例E1~E18及び比較例C1~C11について、それぞれのトップコーティング組成物を約4g/mで付与した。
【0183】
[0174]実施例E19~E21(トップコーティング組成物のハーフトーンインクジェット印刷)について、トップコーティング組成物を、約0.4g/m、約2.0g/m、約4.1g/m、及び約8.1g/mでそれぞれ付与した(図5Eにおける上から下の長方形の写真参照)。
【0184】
UV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物からなるコーティング層(x10)及びトップコーティングインクジェット印刷組成物からなるしるし(x30)の硬化
[0175]表1~3に記載したUV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物からなるコーティング層(x10)及びトップコーティングインクジェット印刷組成物からなるしるしを、約0.5秒、Phoseon(タイプFireLine、125×20mm、395nm、8W/cm)のUV-LEDランプへの暴露によって硬化した。
【0185】
[0176]比較例C11のUV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物からなるコーティング層(x10)を、約0.5秒、Phoseon(タイプFireLine、125×20mm、395nm、8W/cm)のUV-LEDランプへの暴露によって硬化し、C11のトップコーティングインクジェット印刷組成物からなるしるしを、約0.7秒、硬化装置への暴露によって硬化した(2つのランプ:ISTメッツ社の鉄ドープ水銀ランプ200W/cm+水銀ランプ200W/cm)。
【0186】
[0177]本発明による方法、及び比較の方法によって得られた光学効果層の写真を、2つの異なる視野角(左-30℃;右+30℃)で、図5A~E(図5Aは表5Aの例に対応する;図5Bは表5Bの例に対応する;図5Cは表5Cの例に対応する;図5Dは表5Bの実施例E17及び表5CのE18に対応する;5Eは表5Bの実施例E19~E21に対応し、トップコーティングをハーフトーンで印刷する)に提供する。
【0187】
[0178]例(C1及びC6)を調製するための図4Aに示す比較の方法は、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を磁気的に配向するステップを欠き、1つ又は複数のしるしを示すことなく、不規則に配向された粒子を有する光学的効果層を提供した。トップコーティング組成物を1つ又は複数のしるし(x30)の形態でコーティング層(x10)上に付与するステップの前に粒子の少なくとも一部を配向するために、コーティング層(x10)を磁界発生装置の磁界にさらすステップを欠く方法によって得られた光学効果層は、1つ又は複数のしるしを示さない。
【0188】
[0179]インクジェット印刷ステップ後に磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を磁気的に配向するステップを行う、例(C2及びC7)を調製するための図4Bに示される比較の方法(つまり、インクジェット印刷ステップ後に少なくとも部分的に硬化するステップを欠く方法)は、しるしを示すことなく基材表面に実質的に平行なX軸及びY軸の両方を有する2軸方向に配向された粒子を有する光学的効果層を提供した。粒子の少なくとも一部を配向するために、コーティング層(x10)を磁界発生装置の磁界にさらすステップを、トップコーティング組成物を少なくとも部分的に硬化する中間ステップなしで、トップコーティング組成物を1つ又は複数のしるし(x30)の形態でコーティング層(x10)上に付与するステップ後に実行する方法によって得られた光学効果層は、1つ又は複数のしるしを示さない。
【0189】
[0180]磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を磁気的に2軸方向に配向するステップを、インクジェット印刷ステップの前に実行し、その後、粒子を磁気的に単軸方向に再配向するステップを行う、例(C3、C4、C8、及びC9)を調製するための図4C及び4Dに示す比較の方法(つまり、インクジェット印刷ステップ後に少なくとも部分的に硬化するステップを欠く方法)は、しるしを示すことなく、前記OELを傾ける際にローリングバーを示す2軸方向に配向された粒子を有する光学的効果層を提供した。少なくとも部分的に硬化する中間ステップなしで、トップコーティング組成物を1つ又は複数のしるし(x30)の形態でコーティング層(x10)上に付与するステップ後に、粒子の少なくとも一部を配向するために、コーティング層(x10)を磁界発生装置の磁界にさらすステップを、トップコーティング組成物を付与するステップ後に実行しない、方法によって得られた光学効果層は、1つ又は複数のしるしを示さない。
【0190】
[0181]磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を磁気的に単軸方向に配向するステップを、インクジェット印刷ステップと同時に、及び少なくとも部分的に硬化するステップと同時に実行する例(C5及びC10)を調製するための図4Eに示された比較の方法(つまり、インクジェット印刷ステップ後に少なくとも部分的に硬化するステップを欠く方法、又はインクジェット印刷ステップと同時に、又はその後に磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を配向するステップを含む方法)は、しるしを示すことなく、前記OELを傾ける際にローリングバーを示す単軸方向に配向された粒子を有する光学的効果層を提供した。粒子の少なくとも一部を配向するために、コーティング層(x10)を磁界発生装置の磁界にさらすステップを、1つ又は複数のしるし(x30)の形態でコーティング層(x10)上にトップコーティング組成物を付与するステップと部分的に同時に、及び少なくとも部分的に硬化するステップと同時に実行する方法によって得られた光学効果層は、1つ又は複数のしるしを示さない。
【0191】
[0182]磁性又は磁化可能な顔料粒子を、インクジェット印刷ステップの前に硬化することによって配向、固定する例C11を調製するための図4Fに示された比較の方法は、1つ又は複数のしるしを示すことなく、前記OELを傾ける際にローリングバーを示す光学効果層をもたらした。
【0192】
[0183]図4A~4Fに示された比較の方法によって調製された例(C1~C11)に反して、図2A~2Cに示された本発明による方法によって調製された実施例(E1~E18)は、目立つ効果だけでなく、本明細書に記載する1つ又は複数のしるしを示した。
【0193】
[0184]磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を磁気的に2軸方向に配向するステップを、インクジェット印刷ステップ前に実行し、その後、コーティング層(x10)及び1つ又は複数のしるし(x30)を少なくとも部分的に硬化するステップを行う実施例(E1~E4、E7~E9、E12~E14、及びE17~18)を調製するための図2Bに示された本発明による方法は、基材(x20)表面に実質的に平行で、しるしを示すX軸及びY軸の両方を有する2軸方向に配向された粒子有する光学的効果層を提供し、このように提供された光学的効果層は、しるしと同様に輝く高反射エリアを備えていた。
【0194】
[0185]2つの磁気配向ステップを、インクジェット印刷ステップ前に実行し(つまり、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を磁気的に単軸方向に再配向する第2のステップを、粒子の少なくとも一部を磁気的に2軸方向に配向する第1のステップ後に実行し)、その後、コーティング層(x10)及び1つ又は複数のしるし(x30)を少なくとも部分的に硬化するステップを行う、実施例(E5、E10、及びE15)を調製するための図2Cに示された本発明による方法は、前記OELを傾ける際にローリングバーを示し、しるしを示す2軸方向に配向された粒子有する光学的効果層を提供し、このように提供された光学的効果層は、しるしと同様に輝く高反射エリアを備えていた。
【0195】
[0186]磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を磁気的に単軸方向に配向するステップを、インクジェット印刷ステップ前に実行し、その後、コーティング層(x10)及び1つ又は複数のしるし(x30)を少なくとも部分的に硬化するステップを行う、実施例(E6、E11、及びE16)を調製するための図2Aに示された本発明による方法は、前記OELを傾ける際にローリングバーを示し、しるしを示す単軸方向に配向された粒子を有する光学的効果層を提供した。
【0196】
[0187]図5A~Eに示すように、磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むUV-Vis硬化性スクリーン印刷組成物の組合せは、前記組成物が、本発明による方法で1つ又は複数のしるしを作製するためのトップコーティングインクジェット印刷組成物を備えたコーティング層(x10)を作製するために、カチオン硬化性組成物、ラジカル硬化性組成物、又はハイブリッド組成物であってもよく、1つ又は複数のしるしを示す光学効果層の調製を可能にし、前記OELは、異なるタイプの基材上に作製されてもよい。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D-1】
図2D-2】
図2D-3】
図2E-1】
図2E-2】
図2E-3】
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5A-1】
図5B
図5B-1】
図5C
図5D
図5E
【国際調査報告】