(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-19
(54)【発明の名称】流動性物質基材上のマーカーの識別のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20230711BHJP
【FI】
G06T7/00 300D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578612
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(85)【翻訳文提出日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 IL2021050754
(87)【国際公開番号】W WO2021260689
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521313463
【氏名又は名称】リップルズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Ripples Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリアフ,エイル
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA18
5L096CA17
5L096JA09
(57)【要約】
流動性物質基材上のマーカーを識別するためのシステムであって、システムが、(a)対応するマーカー、及び(b)対応するアクションに各々関連付けられた、1つ以上の基準画像を提供し、流動性物質基材上に塗布された所与のマーカーを含む画像を取得し、基準画像のうちのマッチング基準画像であって、所与のマーカーに対応するマーカーに関連付けられている、マッチング基準画像を識別し、かつマッチング基準画像を識別すると、マッチング基準画像に関連付けられたアクションを実行するように構成された処理回路を備える、システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性物質基材上のマーカーを識別するためのシステムであって、前記システムが、
(a)対応するマーカー、及び(b)対応するアクションに各々関連付けられた、1つ以上の基準画像を提供し、
流動性物質基材上に塗布された所与のマーカーを含む画像を取得し、
前記基準画像のうちのマッチング基準画像であって、前記所与のマーカーに対応する前記マーカーに関連付けられている、マッチング基準画像を識別し、かつ
前記マッチング基準画像を識別すると、前記マッチング基準画像に関連付けられた前記アクションを実行するように構成された処理回路を備える、システム。
【請求項2】
前記基準画像が、前記対応するマーカーを含む対応する元画像の操作である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記操作が、(a)前記元画像の色を操作する色操作、(b)前記元画像にぼかし効果を生じさせるぼかし操作、(c)前記元画像の色相を変更する色相操作、又は(d)前記元画像にノイズを追加すること、のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記元画像が、1つ以上のコンテンツジェネレータによって提供される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
(a)前記画像が、前記マーカーを含む前記画像のサブ部分の識別を可能にする複数の既知の幾何学的形状を含み、(b)前記マッチング基準画像の前記識別が、前記幾何学的形状を識別するために前記画像を分析し、それによって前記サブ部分を識別することを含み、(c)前記マッチング基準画像が、前記サブ部分内のコンテンツと一致する前記基準画像である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記マッチング基準画像に関連付けられた前記アクションが、(a)前記マッチング基準画像に関連付けられた拡張現実コンテンツを前記システムのユーザーに表示すること、又は(b)前記システムの前記ユーザーに通知を提供すること、のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記拡張現実コンテンツが、前記ユーザーの1つ以上の特徴に従って前記ユーザーにパーソナライズされる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記通知が、1つ以上のルールが満たされた場合、前記ユーザーに提供される、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記流動性物質基材が、飲料の表面であり、前記画像が、前記飲料の消費者によって提供される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記流動性物質基材が、食用である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記流動性物質基材が、食用泡沫から作製される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記泡沫が、飲料のものである、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記飲料が、コーヒー、ビール、シェイク、又はカクテルのうちの1つである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記所与のマーカーが、食用インクを印刷するプリンタによって前記流動性物質基材上に塗布される、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記食用インクが、可視スペクトルにおいて不可視であり、紫外線(UV)スペクトルにおいて可視である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記画像が、前記所与のマーカーが前記流動性物質基材上に塗布された後、未知の時点でユーザーのユーザーデバイスによって捕捉される、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記画像は、前記所与のマーカーが前記流動性物質基材上に塗布されたときに、未知である、前記流動性物質基材からの距離から、ユーザーのユーザーデバイスによって捕捉される、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記画像は、前記所与のマーカーが前記流動性物質基材上に塗布されたときに、未知である照明条件において、ユーザーのユーザーデバイスによって捕捉される、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
流動性物質基材上のマーカーを識別するための方法であって、前記方法が、
処理回路によって、(a)対応するマーカー、及び(b)対応するアクションに各々関連付けられた、1つ以上の基準画像を提供することと、
前記処理回路によって、流動性物質基材上に塗布された所与のマーカーを含む画像を取得することと、
前記処理回路によって、前記基準画像のうちのマッチング基準画像であって、前記所与のマーカーに対応する前記マーカーに関連付けられている、マッチング基準画像を識別することと、
前記マッチング基準画像を識別すると、前記処理回路によって、前記マッチング基準画像に関連付けられた前記アクションを実行することと、を含む、方法。
【請求項20】
前記基準画像が、前記対応するマーカーを含む対応する元画像の操作である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記操作が、(a)前記元画像の色を操作する色操作、(b)前記元画像にぼかし効果を生じさせるぼかし操作、(c)前記元画像の色相を変更する色相操作、又は(d)前記元画像にノイズを追加すること、のうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記元画像が、1つ以上のコンテンツジェネレータによって提供される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
(a)前記画像が、前記マーカーを含む前記画像のサブ部分の識別を可能にする複数の既知の幾何学的形状を含み、(b)前記マッチング基準画像の前記識別が、前記幾何学的形状を識別するために前記画像を分析し、それによって前記サブ部分を識別することを含み、(c)前記マッチング基準画像が、前記サブ部分内のコンテンツと一致する前記基準画像である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記マッチング基準画像に関連付けられた前記アクションが、(a)前記マッチング基準画像に関連付けられた拡張現実コンテンツを前記システムのユーザーに表示すること、又は(b)前記システムの前記ユーザーに通知を提供すること、のうちの1つ以上を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記拡張現実コンテンツが、前記ユーザーの1つ以上の特徴に従って前記ユーザーにパーソナライズされる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記通知が、1つ以上のルールが満たされた場合、前記ユーザーに提供される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記流動性物質基材が、飲料の表面であり、前記画像が、前記飲料の消費者によって提供される、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記流動性物質基材が、食用である、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記流動性物質基材が、食用泡沫から作製される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記泡沫が、飲料のものである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記飲料が、コーヒー、ビール、シェイク、又はカクテルのうちの1つである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記所与のマーカーが、食用インクを印刷するプリンタによって前記流動性物質基材上に塗布される、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記食用インクが、可視スペクトルにおいて不可視であり、紫外線(UV)スペクトルにおいて可視である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記画像は、前記所与のマーカーが前記流動性物質基材上に塗布された後、未知の時点でユーザーのユーザーデバイスによって捕捉される、請求項19に記載の方法。
【請求項35】
前記画像は、前記所与のマーカーが前記流動性物質基材上に塗布されたときに、未知である、前記流動性物質基材からの距離から、ユーザーのユーザーデバイスによって捕捉される、請求項19に記載の方法。
【請求項36】
前記画像が、前記所与のマーカーが前記流動性物質基材上に塗布されたときに、未知である照明条件において、ユーザーのユーザーデバイスによって捕捉される、請求項19に記載の方法。
【請求項37】
具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読プログラムコードが、コンピュータの少なくとも1つの処理回路によって、
前記処理回路によって、(a)対応するマーカー、及び(b)対応するアクションに各々関連付けられた、1つ以上の基準画像を提供することと、
前記処理回路によって、流動性物質基材上に塗布された所与のマーカーを含む画像を取得することと、
前記処理回路によって、前記基準画像のうちのマッチング基準画像であって、前記所与のマーカーに対応する前記マーカーに関連付けられている、マッチング基準画像を識別することと、
前記マッチング基準画像を識別すると、前記処理回路によって、前記マッチング基準画像に関連付けられた前記アクションを実行することと、を含む方法を実行するために実行可能である、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーカー識別、より具体的には、流動性物質基材上のマーカーの識別に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータビジョン技術は、様々な目的のために、コンピュータビジョンアルゴリズムによって分析された画像内のマーカーの識別を可能にする。しかしながら、現在の技術は、通常、コンピュータが識別するのを妨げるような方法でマーカーが変形されないように、マーカーが固体表面上に印刷される(又は他の方法で塗布される)必要がある。したがって、マーカーが、泡沫などの流動性物質基材上に印刷される(又は他の方法で塗布される)ときに、既存の技術は、マーカーを識別することに失敗する。
【0003】
泡沫などの流動性物質基材上に印刷されたマーカーを識別することの困難性についてのいくつかの理由として、流動性物質基材(例えば、泡沫)が流動及び/又は溶解し、経時的にマーカーの分解能の劣化を引き起こすという事実が挙げられる。したがって、マーカーが流動性物質基材上に印刷された後、少なくとも一定期間は、その識別を可能にする方法で印刷されていることを確認することが重要である。追加的に、流動性物質基材上に印刷されたマーカーを含む画像を捕捉するために使用されるデバイスは、通常、手持ち型(例えば、スマートフォン)であり、マーカーを印刷した時点では未知である距離から画像が獲得される場合が多い。なお更に、流動性物質基材上に印刷されたマーカーは、小さなサイズであることができ(小さな直径(例えば、約50~100ミリメートル)を有する一般的な飲料容器上に印刷されるため)、単色インクを使用して印刷されることができ、低い解像度及び低い光学密度を有し得る(これらの両方はまた、マーカーが流動性物質基材上に印刷されるという事実を考慮して、経時的に劣化する)。なお更に、印刷されたマーカーの画像が捕捉された場所における照明条件も、マーカーを印刷する時には不明である。これらの不確実性は、流動性物質基材上に印刷され得、なおかつコンピュータビジョンアルゴリズムを使用して識別可能であるマーカーを設計することを更により困難にする。
【0004】
したがって、当技術分野において、流動性物質基材上のマーカーの識別のための新しいシステム及び方法が必要とされる。
【0005】
概要
本開示の主題の第1の態様によれば、流動性物質基材上のマーカーを識別するためのシステムが提供され、システムは、(a)対応するマーカー、及び(b)対応するアクションに各々関連付けられた、1つ以上の基準画像を提供し、流動性物質基材上に塗布された所与のマーカーを含む画像を取得し、基準画像のうちのマッチング基準画像であって、所与のマーカーに対応するマーカーに関連付けられている、マッチング基準画像を識別し、かつマッチング基準画像を識別すると、マッチング基準画像に関連付けられたアクションを実行するように構成された処理回路を備える。
【0006】
いくつかの場合では、基準画像は、対応するマーカーを含む対応する元画像の操作である。
【0007】
いくつかの場合では、操作は、(a)元画像の色を操作する色操作、(b)元画像にぼかし効果を生じさせるぼかし操作、(c)元画像の色相を変更する色相操作、又は(d)元画像にノイズを追加すること、のうちの少なくとも1つを含む。
【0008】
いくつかの場合では、元画像は、1つ以上のコンテンツジェネレータによって提供される。
【0009】
いくつかの場合では、(a)画像は、マーカーを含む画像のサブ部分の識別を可能にする複数の既知の幾何学的形状を含み、(b)マッチング基準画像の識別は、幾何学的形状を識別するために画像を分析し、それによってサブ部分を識別することを含み、(c)マッチング基準画像は、サブ部分内のコンテンツと一致する基準画像である。
【0010】
いくつかの場合では、マッチング基準画像に関連付けられたアクションは、(a)マッチング基準画像に関連付けられた拡張現実コンテンツをシステムのユーザーに表示すること、又は(b)システムのユーザーに通知を提供すること、のうちの1つ以上を含む。
【0011】
いくつかの場合では、拡張現実コンテンツは、ユーザーの1つ以上の特徴に従ってユーザーにパーソナライズされる。
【0012】
いくつかの実施形態では、通知は、1つ以上のルールが満たされた場合、ユーザーに提供される。
【0013】
いくつかの場合では、流動性物質基材は、飲料の表面であり、画像は、飲料の消費者によって提供される。
【0014】
いくつかの場合では、流動性物質基材は、食用である。
【0015】
いくつかの場合では、流動性物質基材は、食用泡沫から作製される。
【0016】
いくつかの場合では、泡沫は、飲料のものである。
【0017】
いくつかの場合では、飲料は、コーヒー、ビール、シェイク、又はカクテルのうちの1つである。
【0018】
いくつかの場合では、所与のマーカーは、食用インクを印刷するプリンタによって流動性物質基材上に塗布される。
【0019】
いくつかの場合では、食用インクは、可視スペクトルにおいて不可視であり、紫外線(UV)スペクトルにおいて可視である。
【0020】
本開示の主題の第2の態様によれば、流動性物質基材上のマーカーを識別するための方法が提供され、方法は、処理回路によって、(a)対応するマーカー、及び(b)対応するアクションに各々関連付けられた、1つ以上の基準画像を提供することと、処理回路によって、流動性物質基材上に塗布された所与のマーカーを含む画像を取得することと、処理回路によって、基準画像のうちのマッチング基準画像であって、所与のマーカーに対応するマーカーに関連付けられている、マッチング基準画像を識別することと、マッチング基準画像を識別すると、処理回路によって、マッチング基準画像に関連付けられたアクションを実行することと、を含む。
【0021】
いくつかの場合では、基準画像は、対応するマーカーを含む対応する元画像の操作である。
【0022】
いくつかの場合では、操作は、(a)元画像の色を操作する色操作、(b)元画像にぼかし効果を生じさせるぼかし操作、(c)元画像の色相を変更する色相操作、又は(d)元画像にノイズを追加すること、のうちの少なくとも1つを含む。
【0023】
いくつかの場合では、元画像は、1つ以上のコンテンツジェネレータによって提供される。
【0024】
いくつかの場合では、(a)画像は、マーカーを含む画像のサブ部分の識別を可能にする複数の既知の幾何学的形状を含み、(b)マッチング基準画像の識別は、幾何学的形状を識別するために画像を分析し、それによってサブ部分を識別することを含み、(c)マッチング基準画像は、サブ部分内のコンテンツと一致する基準画像である。
【0025】
いくつかの場合では、マッチング基準画像に関連付けられたアクションは、(a)マッチング基準画像に関連付けられた拡張現実コンテンツをシステムのユーザーに表示すること、又は(b)システムのユーザーに通知を提供すること、のうちの1つ以上を含む。
【0026】
いくつかの場合では、拡張現実コンテンツは、ユーザーの1つ以上の特徴に従ってユーザーにパーソナライズされる。
【0027】
いくつかの実施形態では、通知は、1つ以上のルールが満たされた場合、ユーザーに提供される。
【0028】
いくつかの場合では、流動性物質基材は、飲料の表面であり、画像は、飲料の消費者によって提供される。
【0029】
いくつかの場合では、流動性物質基材は、食用である。
【0030】
いくつかの場合では、流動性物質基材は、食用泡沫から作製される。
【0031】
いくつかの場合では、泡沫は、飲料のものである。
【0032】
いくつかの場合では、飲料は、コーヒー、ビール、シェイク、又はカクテルのうちの1つである。
【0033】
いくつかの場合では、所与のマーカーは、食用インクを印刷するプリンタによって流動性物質基材上に塗布される。
【0034】
いくつかの場合では、食用インクは、可視スペクトルにおいて不可視であり、紫外線(UV)スペクトルにおいて可視である。
【0035】
本開示の主題の第3の態様によれば、具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有する非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供され、コンピュータ可読プログラムコードが、コンピュータの少なくとも1つの処理回路によって、処理回路によって、(a)対応するマーカー、及び(b)対応するアクションに各々関連付けられた、1つ以上の基準画像を提供することと、処理回路によって、流動性物質基材上に塗布された所与のマーカーを含む画像を取得することと、処理回路によって、基準画像のうちのマッチング基準画像であって、所与のマーカーに対応するマーカーに関連付けられている、マッチング基準画像を識別することと、マッチング基準画像を識別すると、処理回路によって、マッチング基準画像に関連付けられたアクションを実行することと、を含む方法を実行するために実行可能である。
【0036】
本開示の主題を理解し、実際にそれがどのように実行され得るかを見るために、主題は、非限定的な実施例としてのみ、添付の図面を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本開示の主題に従った、流動性物質基材上のマーカーの識別を示す概略説明図である。
【
図2】本開示の主題に従った、流動性物質基材上に塗布されたときのマーカーの識別を可能にするためのマーカーを含む、基準画像の調整の概略説明図である。
【
図3】本開示の主題に従った、マーカー識別システムの一実施例を概略的に示すブロック図である。
【
図4】本開示の主題に従った、流動性物質基材上に塗布されたマーカーの識別のために実行される一連の動作の一実施例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下の詳細な記載では、多数の具体的な詳細は、本開示の主題の徹底的な理解を提供するために記載されている。しかしながら、本開示の主題は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることが、当業者によって理解されるであろう。他の例では、周知の方法、手順及び構成要素は、本開示の主題を曖昧にしないために、詳細には記載されていない。
【0039】
記載される図面及び記載では、同一の参照番号は、異なる実施形態又は構成に共通である構成要素を示す。
【0040】
特に明記しない限り、以下の考察から明らかなように、「提供する」、「取得する」、「識別する」、「実行する」、「分析する」などの用語を利用した明細書全体の考察は、データを操作し及び/又は他のデータに変換するコンピュータのアクション及び/又はプロセスを含み、当該データは、例えば、電子量としての物理量として表され、及び/又は物理オブジェクトを表す当該データであることが理解される。「コンピュータ」、「プロセッサ」、「処理回路」、及び「コントローラ」という用語は、非限定的な実施例として、パーソナルデスクトップコンピュータ/ラップトップコンピュータ、サーバ、コンピューティングシステム、通信デバイス、スマートフォン、タブレットコンピュータ、スマートテレビ、プロセッサ(例えば、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)など)、様々なタスクのパフォーマンスを共有する複数の物理マシンのグループ、単一の物理マシン上に共存する仮想サーバ、任意の他の電子コンピューティングデバイス、及び/又はそれらの任意の組み合わせを含む、データ処理能力を有する任意の種類の電子デバイスをカバーするように広範囲に解釈されるべきである。
【0041】
本明細書の教示に従う動作は、所望の目的のために特別に構築されたコンピュータによって、又は所望の目的のために特別に構成された汎用コンピュータによって、非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムによって実行され得る。「非一時的」という用語は、本明細書において、一過性の伝播信号を除外するために使用されるが、それ以外の場合、本出願に好適な任意の揮発性又は不揮発性コンピュータメモリ技術を含む。
【0042】
本明細書で使用される場合、「例えば(for example)」、「のような」、「例えば(for instance)」という語句及びその変形例は、本開示の主題の非限定的な実施形態を記載する。本明細書における「1つの場合」、「いくつかの場合」、「他の場合」又はその変形例への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特性、構造又は特徴が、本開示の主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、「1つの場合」、「いくつかの場合」、「他の場合」という語句又はそれらの変形例の出現は、必ずしも同一の実施形態を指すものではない。
【0043】
別途具体的に述べられない限り、本開示の主題の特定の特性は、明確にするために、別個の実施形態の文脈で記載されており、単一の実施形態では組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載される、本開示の主題の様々な特性はまた、別個に、又は任意の好適なサブコンビネーションで提供され得る。
【0044】
本開示の主題の実施形態では、
図4に示されるものよりも少ない、より多くの、及び/又は異なる段階が実行され得る。本開示の主題の実施形態では、
図4に示される1つ以上の段階は、異なる順序で実行され得、及び/又は1つ以上の段階のグループは、同時に実行され得る。
図3は、本開示の主題の実施形態に従ったシステムアーキテクチャの一般的な概略図を示す。
図3における各モジュールは、本明細書で定義及び説明されるような機能を実行するソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアの任意の組み合わせで構成され得る。
図3のモジュールは、本明細書に詳細に記載されるように、1つの場所に集中され得るか、又は2つ以上の場所に分散され得る。本開示の主題の他の実施形態では、システムは、
図3に示されるものよりも少ない、より多い、及び/又は異なるモジュールを備え得る。
【0045】
本明細書における方法への任意の参照は、方法を実行することが可能であるシステムに準用され、かつ、コンピュータによって一度実行されると方法が実行される命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体に準用されるべきである。
【0046】
本明細書におけるシステムへの任意の参照は、システムによって実行され得る方法に準用され、かつ、システムによって実行され得る命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体に準用されるべきである。
【0047】
本明細書における非一時的コンピュータ可読媒体への任意の参照は、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行することができるシステムに準用され、かつ、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された命令を読み取るコンピュータによって実行され得る方法に準用されるべきである。
【0048】
これを念頭に置いて、
図1が、本開示の主題に従った、流動性物質基材上のマーカーの識別を示す概略説明図であることに注意が向けられる。
【0049】
本開示の主題によれば、所与のマーカー130は、流動性物質基材120上に塗布される。流動性物質基材120は、液体(例えば、カクテル、シェイク(例えば、ミルクシェイク)、ビール、コーヒー、茶、(例えば、チア、抹茶など)、フルーツシェイク、野菜シェイク、ソーダ、ヨーグルトなどの飲料)又は泡沫(例えば、飲料の泡沫)の食用物質表面を含むが、これらに限らない、流動できる任意の物質の上面であることができる。泡沫の実施例は、ビール泡沫、卵白泡沫、ミルク泡沫、及び代用ミルク泡沫、大豆泡沫、アクアファバ(aquafaba)泡沫、ひよこ豆泡沫、ニトロ泡沫(窒素を注入した飲料であって、飲料と窒素気泡との発泡混合物を生じさせるものを意味する)、キラヤ(quillaia)抽出物、ユッカ(yucca)抽出物などを含むが、これらに限定されない。
図1に示された実施例では、流動性物質基材120は、カップ150に入れられた飲料可能液体の上面である。液体は、例えば、コーヒーであることができ、その上面は、発泡乳で作製され得る。
【0050】
流動性物質基材120は、本質的に一定の動的性質を有することに留意されたい。具体的には、流動性物質基材120が泡沫であるときに、泡沫が経時的に変化する(例えば、溶解する)ことが理解され得る。流動性物質基材120におけるそのような変化は、経時的に所与のマーカー130の分解能の劣化を引き起こす。したがって、所与のマーカー130が流動性物質基材120上に印刷された後、少なくとも一定期間は、その識別を可能にする方法で印刷されていることを確認することが重要である。特定の非限定的な実施例では、所与のマーカー130は、飲料を顧客に提供する前に、コーヒー泡沫又はビール泡沫上に印刷され得る。そのような場合では、本明細書に更に詳述されるように、コンピュータビジョンアルゴリズムによる識別性を維持するために、マーカーは、最大数分間(例えば、最大2.5、若しくは更に4分、又はそれ以上)の間、実質的に変形しないことが望ましい場合がある。
【0051】
所与のマーカー130は、カメラによって捕捉された現実世界の画像(例えば、カメラ110を有するユーザーデバイスによって捕捉された、例えば、人物の自撮り画像)に基づくことができるか、又は任意選択でコンテンツプロバイダ/ジェネレータによって提供されることができるコンピュータによって生成された画像であることができる。所与のマーカー130は、食用インク(例えば、Ripples Ltd.のRipples Podで提供されるインク、装飾のための天然ベースの抽出物)を印刷するプリンタ(例えば、Ripples(商標)Ltd.のRipple Maker(商標))によって、流動性物質基材120に塗布され得る。いくつかの場合では、プリンタは、所与のマーカー130をその上に塗布するときに、流動性物質基材の様々なパラメータを考慮することができる。例えば、プリンタは、ビール泡沫上に印刷するときに、ミルク泡沫上に印刷するときの、より小さな食用インク滴と比較して、より大きな食用インク滴を噴射するように構成され得る。代替的に、プリンタは、二重印刷パス(流動性物質基材上に二層の食用インク滴を印刷する)、又は三重以上の印刷パスを実行するように構成され得る。加えて、いくつかの場合では、マーカーを印刷するために使用される食用インクは、人工色及び/又は添加剤を含まない抽出物に基づくことができる。そのような抽出物は、流動性物質基材上への抽出物液滴の噴射中にソフトウェア及び/又は電気機械的介入を必要とし得る低い光学密度を有する。
【0052】
いくつかの場合では、所与のマーカーに加えて、1つ以上の既知の幾何学的形状(geometrical shapes)(本明細書では「幾何学的形状(geo-shapes)」とも呼ばれる)140(例えば、矩形、三角形、多角形など)はまた、流動性物質基材120上に塗布される。そのような既知の幾何学的形状140は、本明細書で更に詳述されるように、所与のマーカー130を含む画像が分析されるときに、所与のマーカー130を含む画像のサブ部分の識別を可能にする。また、所与のマーカーが流動性物質基材120上に印刷された結果として、変形(ある程度まで)及び/又は希釈により光学密度を失うことを開始する場合であっても、幾何学的形状140は、コンピュータビジョンアルゴリズムによって所与のマーカー130の識別性を向上させることに留意されたい。
【0053】
いくつかの場合では、幾何学的形状140の量及び/又は分布は、所与のマーカー130の画像分析を使用して判定され得る。幾何学的形状140の量及び/又は分布が判定されるパラメータは、所与のマーカー130上で識別されるいくつかの頂点であることができる。頂点がより多く存在するほど、画像処理アルゴリズム(「画像処理アルゴリズム」及び「コンピュータビジョンアルゴリズム」という用語が詳細な説明全体を通して互換的に使用されることに留意されたい)が所与のマーカー130を識別することは、特にマーカーが流動性物質基材120に塗布されたときに容易であることに留意されたい。逆に、いくつかの場合では、頂点の数が少ないと、特にマーカーが流動性物質基材120上に塗布されたときに、画像分析によって所与のマーカー130を識別不能にする場合がある。
【0054】
幾何学的形状が追加される場合、幾何学的形状140は、各々が少なくとも1つの頂点を有する、複数の異なる幾何学的形状140を含むデータリポジトリから取得され得る。いくつかの場合では、データリポジトリに記憶された幾何学的形状140のいくつか又はすべては、外部輪郭であり得る。そのような幾何学的形状140が閉じられている場合、それらは、空の中心を有することができる。そのような場合、輪郭は、各頂点が実際に2倍になるように一定の厚さを有することができ、それによって幾何学的形状140上の頂点の数を増加させる。頂点の倍増は、輪郭が実際には2つの境界線、幾何学的形状の内側を向いている内側の境界線、及び幾何学的形状の外側を向いている外側の境界線を有するという事実の結果である。各境界線は、実際には、それぞれの頂点の別の線に接続する線である。
【0055】
追加される幾何学的形状140は、いくつかの場合では、流動性物質基材120上に塗布される幾何学的形状140の組み合わせが、それぞれの異なるマーカーに一意に関連付けられるように選択され得る。そのような場合、マーカーは、それに一意に関連付けられた幾何学的形状140の組み合わせを識別することによって識別され得る。
【0056】
幾何学的形状140は、例えば、円形の様式で、所与のマーカー130の周りに分布され得る。これは、所与のマーカー130の周りに識別可能な頂点の存在をもたらし、所与のマーカー130を含む画像のサブ部分の識別を可能にする。
【0057】
ユーザー(例えば、消費者)は、カメラ110を有するユーザーデバイス(例えば、スマートフォン)を使用して、所与のマーカー130、及び任意選択で1つ以上の既知の幾何学的形状140(そのようなものが存在する場合)を含む写真を撮影する。その結果は、
図1に示されるように、所与のマーカー160を含む画像である。
【0058】
ユーザーが所与のマーカー130を含む画像を捕捉するという事実は、所与のマーカー130の識別にいくつかの課題、(a)画像が、所与のマーカー130の印刷時に未知である距離からユーザーによって捕捉され得、それによってコンピュータビジョンアルゴリズムを使用して所与のマーカー130を識別することが複雑になること、(b)ユーザーが、所与のマーカー130が流動性物質基材120上に印刷された後のある未知の時点で画像を捕捉し、それによって、所与のマーカー130の変形(流動性物質基材上に印刷されているという事実の結果である)が、画像を捕捉するまで事前に推定することができないこと、並びに(c)カメラの角度及び様々な色合いが所与のマーカー130の照明に影響を及ぼす可能性があるため、画像の捕捉中の照明条件が未知であること、を課すことに留意されたい。既知の幾何学的形状140の使用は、これらの不確実性の少なくともいくつかに対処するのを支援することができ、他のものは、本明細書で更に詳述されるような他のメカニズム(例えば、操作された基準画像の使用)を使用して対処することができる。
【0059】
画像は、所与のマーカー130を含むそのサブ部分を識別するために分析される。いくつかの場合では、既知の幾何学的形状140は、画像分析技術を使用して容易に識別可能であるため、この目的のために利用され得る。既知の幾何学的形状140は、既知の幾何学的形状140を識別すると、サブ部分も識別されるように、所与のマーカー130を含む画像のサブ部分を画定する様式で分布され得る。
【0060】
次いで、画像のサブ部分は、データリポジトリに記憶され得る基準画像170と比較される。基準画像170の各々は、対応するマーカーに関連付けられ、対応するマーカーを含む画像が識別されたときに実行される対応するアクションに関連付けられる。所与のマーカー130に関連付けられたマッチング基準画像180が見つかったときに、マッチング基準画像180に対応するアクションは、トリガされて実行され得る。例えば、カメラ110を有するユーザーデバイス(例えば、スマートフォン)は、特定の通知又はコンテンツ(例えば、拡張現実(AR)コンテンツ)をユーザー(例えば、消費者、バーテンダー、バリスタ、又は任意の他のユーザー)に表示することができる。いくつかの場合では、コンテンツはパーソナライズされ得ることに留意されたい(例えば、誕生日を有する特定のユーザーが、AR誕生日の挨拶を提供され得る)。更に、いくつかの場合では、コンテンツが、1つ以上のルールが満たされたときにユーザーに提供され得ることに留意されたい(例えば、ユーザーが消費者であり、アルコール消費の許可された制限に達したとき、コンテンツは、別のアルコール飲料を注文することを許可されないことを示すAR通知であり得る)。
【0061】
本明細書に示されるように、所与のマーカー130は、現実世界の画像、又はコンピュータによって生成された画像に基づくことができる。しかしながら、流動性物質基材上に所与のマーカー130が塗布されているため、その画像が捕捉されるときに、所与のマーカー130は、元画像(現実世界の画像であっても、又はコンピュータ生成の画像であってもよい)における特性と比較されたときに、異なる特性を有する。差は、色、ぼかし、色相、シャープネス、強度、コントラスト、彩度、ノイズなどのパラメータのうちの1つ以上であり得る。そのような特性の差は、所与のマーカー130を含む画像のサブ部分を、それがベースとなる元画像と一致するための能力が低い、存在しないことをもたらすことができる。したがって、基準画像170は、基準画像170のパラメータを調整して、ユーザーデバイスによって捕捉される画像の特性と一致する、又は少なくともより類似させることを目的とした、対応する元画像の操作であり得る。
【0062】
これを例証するために、
図2が、本開示の主題に従った、流動性物質基材上に塗布されたときのマーカーの識別を可能にするためのマーカーを含む、基準画像の調整の概略説明図であることに注目する。
【0063】
図では、元画像210は、コンテンツプロバイダによって提供され、幾何学的形状140が追加されているように示される。元画像210は、色、ぼかし、色相、シャープネス、強度、コントラスト、彩度、ノイズレベルなどのようなそれぞれの特性を有する。しかしながら、そのような画像が流動性物質基材上に印刷されるときに、その外観が変化するため、印刷された元画像210の画像が捕捉されるときに、同じようには見えない。したがって、元画像210は、基準画像として使用され得るように、元画像210の印刷出力を含む画像の外観をより近似させるように操作され得、これにより基準画像220が生じる。
【0064】
図3を参照すると、本開示の主題に従った、マーカー識別システムの一実施例を概略的に示すブロック図が示されている。
【0065】
本開示の主題によれば、マーカー識別システム300は、処理回路320を備える。処理回路320は、関連するマーカー識別システム300のリソースを制御するために、及びマーカー識別システム300のリソースに関連する動作を可能にするために、データを独立して又は協働して処理するように適合される、複数及び/又は並列及び/又は分散処理ユニットを含む、1つ以上の処理ユニット(例えば、中央処理ユニット)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ(例えば、マイクロコントローラユニット(MCU))、又は任意の他のコンピューティングデバイス若しくはモジュールであり得る。
【0066】
処理回路320は、とりわけ
図1、2及び4を参照して、本明細書で更に詳述されるように、流動性物質基材(例えば、泡沫)上に塗布される(例えば、印刷される)マーカーを識別するように構成されたマーカー識別モジュール330を備える。
【0067】
マーカー識別システム100は、幾何学的形状140(例えば、円形、矩形、三角形、多角形など)、基準画像(本明細書で更に詳述されるように、各々が、(a)対応するマーカー、及び(b)対応するアクションに関連付けられる)などを含む、データを記憶するように構成されたデータリポジトリ310(例えば、データベース、記憶システム、読み取り専用メモリ-ROM、ランダムアクセスメモリ-RAM、又は任意の他のタイプのメモリなどを含むメモリ)を更に備える、又はそれ以外の場合、関連付けられている。基準画像は、流動性物質基材上に塗布されたマーカーを識別するために、マーカー識別モジュール330によって使用される。データリポジトリ310は、記憶されたデータの検索及び/又は更新及び/又は削除を可能にするように更に構成され得る。いくつかの場合では、データリポジトリ310は、分布され得、一方で、マーカー識別システム300は、例えば、マーカー識別システム300が接続することができる有線又は無線ネットワークを介して、その上に記憶された情報へのアクセスを有することに留意されたい。
【0068】
ここで、
図4が、本開示の主題に従った、流動性物質基材上に塗布されたマーカーの識別のために実行される一連の動作の一実施例を示すフローチャートであることに注目する。
【0069】
本開示の主題の特定の例によれば、マーカー識別システム300は、例えば、マーカー識別モジュール330を利用して、マーカー識別プロセス400を実行するように構成され得る。
【0070】
この目的のために、マーカー識別システム300は、各々が、(a)対応するマーカー、及び(b)対応するアクションに関連付けられた1つ以上の基準画像170を提供するように構成されている(ブロック410)。基準画像の実施例は、
図2に示される基準画像220である。
【0071】
本明細書に示されるように、各基準画像は、そのようなオブジェクトが基準画像の一部に過ぎないか、又はそのようなオブジェクトが基準画像の全体であるかどうかに関わらず、基準画像に含まれる任意のオブジェクト(例えば、シンボル、形状、形状のグループ、又は任意の他のオブジェクト)であり得る、対応するマーカーに関連付けられている。各基準画像はまた、例えば、コンテンツ(任意選択で、拡張現実(AR)コンテンツであり得る)の表示、通知の提供などであり得る、対応するアクションに関連付けられる。
【0072】
いくつかの場合では、基準画像170は、対応するマーカーを含む対応する元画像(コンピュータによって生成された画像であるか、又は現実世界の画像であるかに関わらず)の操作である。本明細書に示されるように、とりわけ、流動性物質基材上に所与のマーカー130が塗布されているため、その画像が捕捉されるときに、所与のマーカー130は、元画像(現実世界の画像であっても、又はコンピュータ生成の画像であってもよい)におけるその特性と比較されたときに、異なる特性を有する。差は、色、ぼかし、色相、シャープネス、強度、コントラスト、彩度、ノイズなどのパラメータのうちの1つ以上であることができる。そのような特性の差は、所与のマーカー130を含む画像のサブ部分を、それがベースとなる元画像と一致するための能力が低い、存在しないことをもたらすことがある。したがって、基準画像170は、基準画像170のパラメータを調整して、ユーザーデバイスによって捕捉される画像の特性と一致する、又は少なくともより類似させることを目的とした、対応する元画像の操作であり得る。
【0073】
基準画像170は、基準画像170のパラメータを調整して、ユーザーデバイスによって捕捉される画像の特性と一致するか、又は少なくともより類似させることを目的とした、対応する元画像の操作であり得る。操作は、元画像の色(元画像の色を変更する)、ぼかし(元画像にぼかし効果を作成する)、色相(元画像の色相を変更する)、シャープネス(元画像のシャープネスを変更する)、強度(元画像の強度を変更する)、コントラスト(元画像のコントラストを変更する)、彩度(元画像の彩度を変更する)、ノイズ(元画像に粒子ノイズ効果を追加する)などの操作であり得る。
【0074】
元画像は、コンテンツジェネレータによって提供され得るか、又は元画像を捕捉するために使用されるユーザーデバイスを介して提供され得る(例えば、ユーザーが、自撮り写真、又は別の人物/オブジェクト/シーンの画像を捕捉し、画像が、マーカー識別システム300に伝送される)ことに留意されたい。
【0075】
マーカー識別システム300は、流動性物質基材120上に塗布された所与のマーカー130を含む画像を取得するように更に構成されている(ブロック420)。画像は、有線/無線ネットワーク接続を介して、画像を捕捉し、マーカー識別システム300に伝送する、カメラ110を有するユーザーデバイスから(又はカメラを有する任意の他のデバイスによって)取得され得る。
【0076】
本明細書に示されるように、ユーザーが所与のマーカー130を含む画像を捕捉するという事実は、所与のマーカー130の識別にいくつかの課題、(a)画像が、所与のマーカー130の印刷時に未知である距離からユーザーによって捕捉され得、それによってコンピュータビジョンアルゴリズムを使用して所与のマーカー130を識別することが複雑になること、(b)ユーザーが、所与のマーカー130が流動性物質基材120上に印刷された後のある未知の時点で画像を捕捉し、それによって、所与のマーカー130の変形(流動性物質基材上に印刷されているという事実の結果である)が、画像を捕捉するまで事前に推定することができないこと、並びに(c)カメラの角度及び様々な色合いが所与のマーカー130の照明に影響を及ぼす可能性があるため、画像の捕捉中の照明条件が未知であること、を課すことに留意されたい。既知の幾何学的形状140の使用は、これらの不確実性の少なくともいくつかに対処するのを支援することができ、他のものは、本明細書で更に詳述されるような他のメカニズム(例えば、操作された基準画像の使用)を使用して対処することができる。
【0077】
所与のマーカー130が塗布される流動性物質基材120に関して、食用材料で作製され得る。いくつかの場合では、流動性物質基材120は、飲料の表面などの液体基材であり得る。食用材料は、任意選択で、食用泡沫(例えば、コーヒー又はビールなどの飲料の泡沫)の層であり得る飲料(例えば、コーヒー、ビール、カクテル、シェイク(例えば、ミルクシェイク)、茶(例えば、チア、抹茶など)、フルーツシェイク、野菜シェイク、ソーダ、ヨーグルト)の表面であり得る。
【0078】
所与のマーカー130は、食用インクを印刷するプリンタによって流動性物質基材120上に塗布され得る。そのようなプリンタの実施例は、例えば、Ripples Pods(イスラエル、Petach TikvaのRipples Ltd.による)で提供されるような食用インクを印刷することができる、Ripple Maker(商標)(イスラエル、Petach TikvaのRipples(商標) Ltd.による)である。食用インク自体は、任意選択で、可視スペクトルにおいて不可視であり、紫外線(UV)スペクトル、又は任意の他のスペクトルにおいて可視であることができるが、好適なカメラが、食用インク(したがって、所与のマーカー130)が可視であるその画像を獲得することができる限りである。
【0079】
特定のアクションが行われない限り、(紙又は他の固体表面上に印刷するのとは対照的に)流動性物質基材120上に塗布される所与のマーカー130の光学密度は、所与のマーカー130の画像を処理するときに画像処理アルゴリズムに悪影響を及ぼす様式で低くあり得ることに留意されたい。加えて、光学密度は、流動性物質基材における変化を考慮して経時的に劣化する可能性がある。したがって、いくつかの場合では、各画素を少なくとも2回印刷することによって(例えば、印刷ヘッドの各印刷パスを先行印刷パスと少なくとも部分的に重複させることによって、又はより低い印刷速度で印刷し、それによって、各画素に複数のインク液滴が付着することによって)並びに/又は流動性物質基材120上に印刷された印刷ファイルのドットゲイン及び/若しくはキャリブレーション曲線を強化することによって、所与のマーカー130(及び任意選択で、幾何学的形状140)を塗布することが望ましい。いくつかの場合では、薄暗い周囲照明は、光学密度にも影響を及ぼす可能性がある。そのような場合、光学密度を向上させるために、カメラ110を有するユーザーデバイスのライトを利用することが望ましい場合がある。
【0080】
ブロック420で画像を取得した後、マーカー識別システム300は、ブロック410で取得された基準画像170のマッチング基準画像を識別するように更に構成され、マッチング基準画像は、所与のマーカーに対応するマーカーに関連付けられる(ブロック430)。本明細書に示されるように、基準画像170の各々は、対応するマーカーに関連付けられ、ブロック420で取得された画像は、所与のマーカー130を含む。したがって、マーカー識別システム300は、基準画像170内で、例えば、画像比較によって、所与のマーカー130に関連付けられた基準画像を見つけることを試みることができる。
【0081】
いくつかの場合では、ブロック420で取得された画像内で所与のマーカー130を識別することは困難であり得る。したがって、いくつかの場合では、所与のマーカー130に加えて、複数の既知の幾何学的形状140はまた、流動性物質基材120上に塗布される。そのような場合、ブロック420で取得された画像は、所与のマーカー130を含む画像のサブ部分の識別を可能にする様式で、流動性物質基材120上に塗布される所与のマーカー130及び既知の幾何学的形状140を含む。これは、所与のマーカー130を含む画像のサブ部分を識別するために画像分析を使用することを可能にする。所与のマーカー130を含む画像のサブ部分が一旦識別されると、それは、画像全体の代わりに、(所与のマーカー130を含む)サブ部分内のコンテンツと一致するマッチング基準画像180を見つけるために使用され得る。
【0082】
本明細書に示されるように、いくつかの場合では、幾何学的形状140の量及び/又は分布は、所与のマーカー130の画像分析を使用して判定され得る。幾何学的形状140の量及び/又は分布が判定されるパラメータは、所与のマーカー130上で識別されるいくつかの頂点であり得る)。頂点がより多く存在するほど、画像処理アルゴリズムが所与のマーカー130を識別することは、特にマーカーが流動性物質基材120上に塗布されたときにより容易であることに留意されたい。逆に、いくつかの場合では、頂点の数が少ないと、特にマーカーが流動性物質基材120上に塗布されたときに、画像分析によって所与のマーカー130を識別不能にする場合がある。
【0083】
幾何学的形状が追加される場合、幾何学的形状140は、各々が少なくとも1つの頂点を有する、複数の異なる幾何学的形状140を含むデータリポジトリ310から取得され得る。いくつかの場合では、データリポジトリに記憶された幾何学的形状140のいくつか又はすべては、外部輪郭であり得る。そのような幾何学的形状140が閉じられている場合、それらは、空の中心を有することができる。そのような場合、輪郭は、各頂点が実際に2倍になるように一定の厚さを有することができ、それによって幾何学的形状140上の頂点の数を増加させる。頂点の倍増は、輪郭が実際には2つの境界線、幾何学的形状の内側を向いている内側の境界線、及び幾何学的形状の外側を向いている外側の境界線を有するという事実の結果である。各境界線は、実際には、それぞれの頂点の別の線に接続する線である。
【0084】
追加される幾何学的形状140は、いくつかの場合では、流動性物質基材120上に塗布される幾何学的形状140の組み合わせが、それぞれの異なるマーカーに一意に関連付けられるように選択され得る。そのような場合、マーカーは、それに一意に関連付けられた幾何学的形状140の組み合わせを識別することによって識別され得る。
【0085】
幾何学的形状140は、例えば、円形の様式で、所与のマーカー130の周りに分布され得る。これは、所与のマーカー130の周りに識別可能な頂点の存在をもたらし、所与のマーカー130を含む画像のサブ部分の識別を可能にする。
【0086】
マッチング基準画像180を識別すると、マーカー識別システム300は、マッチング基準画像180に関連付けられたアクションを実行するように構成されている(ブロック440)。本明細書に示されるように、基準画像170の各々は、マッチング基準画像180を見つけたときに実行され得る、対応するアクションに関連付けられている。
【0087】
マッチング基準画像180に関連付けられたアクションは、(a)マッチング基準画像180に関連付けられた拡張現実コンテンツをマーカー識別システム300のユーザー(例えば、消費者、バーテンダー、バリスタ、又は任意の他のユーザー)に表示すること、又は(b)マーカー識別システム300のユーザー(例えば、消費者、バーテンダー、バリスタ、又は任意の他のユーザー)に通知を提供すること、のうちの1つ以上を含み得る。
【0088】
例えば、カメラ110を有するユーザーデバイス(例えば、スマートフォン)は、特定の通知又はコンテンツ(例えば、拡張現実(AR)コンテンツ)をユーザー(例えば、消費者、バーテンダー、バリスタ、又は任意の他のユーザー)に表示することができる。
【0089】
いくつかの場合では、コンテンツがパーソナライズされ得ることに留意されたい(例えば、誕生日を有する特定のユーザーが、AR誕生日ケーキを提供され得る)。そのような場合では、コンテンツは、(非限定的な)、年齢、生年月日、体重、性別、マーカー識別システム300との過去の相互作用に関する履歴情報などのユーザーの特徴に基づいてパーソナライズされ得る。
【0090】
更に、いくつかの場合では、コンテンツが、1つ以上のルールが満たされたときにユーザーに提供され得ることに留意されたい(例えば、ユーザーが消費者であり、アルコール消費の許可された制限に達したとき、コンテンツは、別のアルコール飲料を注文することを許可されないことを示すAR通知であり得る)。
【0091】
プロセス400は、ブロック420で、流動性物質基材120上に塗布される単一の所与のマーカー130を含む画像の取得を指すが、いくつかの場合では、ブロック420で取得される画像は、複数のそれぞれの流動性物質基材120上に塗布される複数のマーカーを含み得ることに留意されたい。そのような場合では、マッチング基準画像は、ブロック430で複数のマーカーの各々について識別され得、ブロック240で実行されるアクションは、複数のユーザー間の相互作用を包含することができる。非限定的な実施例として、2人の友人がバーに到着し、各々が特定の画像が印刷されたビールを注文すると仮定する。ビールが供給されるときに、友人の1人は、(それぞれのマーカーが塗布された)両方のビールの写真を単発で撮ることができる。システム300は、ビールに印刷された両方のマーカーを識別し、2人の友人が互いに対戦するゲームを起動することができる。
【0092】
図4を参照して、いくつかのブロックは、連結されたブロックに統合され得るか、又はいくつかのブロックに分解され得る、及び/又は他のブロックが追加され得ることに留意されたい。また、フロー図は、それらを実現するシステム要素を参照して記載されるが、これは、決して結合する意味によるものではなく、ブロックは、本明細書に記載されるもの以外の要素によって実行され得ることに留意されたい。
【0093】
本開示の主題が、その塗布において、本明細書に包含される記載に記載されるか、又は図面に示される詳細に限定されないことを理解されたい。本開示の主題は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施及び実行されることが可能である。したがって、本明細書で用いられる表現及び用語は、記載の目的のためのものであり、限定するものとみなされるべきではないことを理解されたい。したがって、当業者は、本開示が基礎となる概念が、本開示の主題のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法、及びシステムを設計するための基礎として容易に利用され得ることを理解するであろう。
【0094】
本開示の主題によるシステムは、少なくとも部分的に、好適にプログラムされたコンピュータとして実装され得ることも理解されよう。同様に、本開示の主題は、本開示の方法を実行するためのコンピュータによって読み取り可能なコンピュータプログラムを企図する。本開示の主題は、本開示の方法を実行するための機械によって実行可能な命令のプログラムを有形に具現化する機械可読メモリを更に企図する。
【国際調査報告】