(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-19
(54)【発明の名称】光電複合ケーブル及び通信システム
(51)【国際特許分類】
H01B 11/22 20060101AFI20230711BHJP
G02B 6/44 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H01B11/22
G02B6/44 366
G02B6/44 381
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579123
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 CN2021082227
(87)【国際公開番号】W WO2021258793
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】202010588796.2
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ジンシン
(72)【発明者】
【氏名】タン、フェン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、シェンハオ
【テーマコード(参考)】
2H201
5G319
【Fターム(参考)】
2H201AX22
2H201BB22
2H201BB65
2H201FF01
2H201FF12
5G319HA08
5G319HB05
5G319HC01
5G319HD04
(57)【要約】
本願の一実施形態は、光電複合ケーブル及び通信システムを提供する。光電複合ケーブルは、光学ユニット、電気ユニット、及び外側ジャケットを含む。光学ユニットは、光ファイバ及びフェルールを含み、及びフェルールは、光ファイバ上でスリーブ付けされている。電気ユニットは、ワイヤ及びワイヤジャケットを含み、及びワイヤジャケットは、ワイヤ上でスリーブ付けされている。外側ジャケットは、光学ユニット及び電気ユニットの外側を包み、及び光学ユニット及び電気ユニットは、互いに密接に隣接して配置されている。光学ユニットの伸長方向は、電気ユニットの伸長方向と一致し、及び少なくとも1つの凸状構造が、外側ジャケットの外壁上に配置されている。凸状構造が、光電複合ケーブルの外側ジャケットの外壁上に配置されているので、外側ジャケット及びパイプとの間の摩擦面積が低減され、光電複合ケーブルがパイプ内に敷設されるときの抵抗が低減され、及び光電複合ケーブルを敷設する効率が向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学ユニット、電気ユニット、及び外側ジャケット、ここで、前記光学ユニットは、光ファイバ及びフェルールを有し、及び前記フェルールは、前記光ファイバ上でスリーブ付けされており;前記電気ユニットは、ワイヤ及びワイヤジャケットを有し、及び前記ワイヤジャケットは、前記ワイヤ上でスリーブ付けされており;前記外側ジャケットは、前記光学ユニット及び前記電気ユニットの外側を包み、前記光学ユニット及び前記電気ユニットは、互いに密接に隣接して配置されており、及び前記光学ユニットの伸長方向は、前記電気ユニットの伸長方向と一致し;及び少なくとも1つの凸状構造が、前記外側ジャケットの外壁上に配置されている
を備える光電複合ケーブル。
【請求項2】
複数の凸状構造が、前記外側ジャケットの前記外壁上に並んで配置されており、及び前記凸状構造は、前記光学ユニット及び前記電気ユニットの前記伸長方向に沿って配置されている、請求項1に記載の光電複合ケーブル。
【請求項3】
複数の凸状構造が、前記外側ジャケットの前記外壁上に並んで配置されており、及び前記凸状構造は、前記外側ジャケットの前記外壁に螺旋状に巻き付けられている、請求項1に記載の光電複合ケーブル。
【請求項4】
前記フェルール及び前記ワイヤジャケットは、剛性構造であり、及び前記フェルール及び前記ワイヤジャケットの剛性は、互いに整合する;又は前記フェルール及び前記ワイヤジャケットは、柔軟構造である、請求項1から3のいずれか一項に記載の光電複合ケーブル。
【請求項5】
前記電気ユニットは、第1の電気ユニット及び第2の電気ユニットを有し、及び前記光学ユニット、前記第1の電気ユニット、及び前記第2の電気ユニットは、互いに密接に隣接して及び前記外側ジャケットの中心の周りに配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の光電複合ケーブル。
【請求項6】
複数の光学ユニット及び複数の電気ユニットが存在し、及び前記光学ユニット及び前記電気ユニットは、互いに密接に隣接して及び前記外側ジャケットの中心の周りに連続的に配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の光電複合ケーブル。
【請求項7】
溝が、前記外側ジャケットの前記外壁上の2つの隣接する全ての凸状構造の間に設けられている、請求項1から6のいずれか一項に記載の光電複合ケーブル。
【請求項8】
前記光学ユニットには、複数の光ファイバが存在し、及び前記電気ユニット内には、複数のワイヤが存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の光電複合ケーブル。
【請求項9】
遮水層が、前記フェルール及び前記光ファイバの間に配置されており、及び前記遮水層の材料は、軟膏又は硬化樹脂である、請求項1から8のいずれか一項に記載の光電複合ケーブル。
【請求項10】
前記フェルールの高温耐性範囲は、80℃から200℃までである、請求項1から9のいずれか一項に記載の光電複合ケーブル。
【請求項11】
前記外側ジャケットの摩擦係数は、0.5以下であり、及び前記外側ジャケットの硬度は、70ショアA以上である、請求項1から10のいずれか一項に記載の光電複合ケーブル。
【請求項12】
第1の通信デバイス及び第2の通信デバイス、ここで、前記第1の通信デバイス及び前記第2の通信デバイスは、光電複合ケーブルを通じて接続されており、及び前記光電複合ケーブルは、請求項1から11のいずれか一項に記載の光電複合ケーブルであり;
前記第1の通信デバイスは、光信号及び電気信号を出力するように構成されており;及び
前記第2の通信デバイスは、前記光信号及び前記電気信号を受信するように構成されている
を備える通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年6月24日に中国国家知識産権局に提出され、「光電複合ケーブル及び通信システム(PHOTOELECTRIC COMPOSITE CABLE AND COMMUNICATION SYSTEM)」と題する中国特許出願第202010588796.2号に基づく優先権を主張し、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本願は、光ケーブルのフィールドに関し、特に、光電複合ケーブル及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0003】
第5世代のモバイルネットワーク(5th Generation Mobile Networks、5G)及び次世代の固定ネットワークの発展に伴い、アンテナへのファイバ、カメラへのファイバ、交通信号機へのファイバ、部屋へのファイバ、及び天井へのファイバ等のアクセス端末へのファイバに対する要件が、列挙するには多数過ぎる。アクセススタブ端末へのファイバは、インテリジェント時代における高速及びタイムリーな通信のための基礎を構築し、及びインテリジェント時代における大量の情報及び高品質な帯域幅への需要を満たす。
【0004】
高密度スタブ端末に接続するために、光ケーブル及び電気ケーブルの両方は、限定された敷設スペース及び複数回の敷設等の問題に直面しながら、敷設される必要がある。したがって、小さいサイズの軽量光電複合ケーブルは、スタブへのファイバに対する例示的な解決策である。光電複合ケーブルを敷設するプロセスにおいて、光電複合ケーブルは、パイプを貫通する必要があるが、光電複合ケーブルがパイプを貫通するときの抵抗は、比較的大きく、光電複合ケーブルを敷設する効率に影響を与える。
【発明の概要】
【0005】
本願の実施形態は、光電複合ケーブル及び通信システムを提供する。凸状構造が、光電複合ケーブルの外側ジャケットの外壁上に配置されており、それにより、外側ジャケット及びパイプとの間の摩擦面積を低減し、光電複合ケーブルがパイプ内に敷設されるときの抵抗を低減し、及び光電複合ケーブルを敷設する効率を向上させる。
【0006】
第1の態様によると、本願の一実施形態は、光電複合ケーブルを提供する。光電複合ケーブルは、光学ユニット、電気ユニット、及び外側ジャケットを含む。光学ユニットは、光ファイバ及びフェルールを含む。フェルールは、光ファイバ上でスリーブ付けされている。電気ユニットは、ワイヤ及びワイヤジャケットを含み、及びワイヤジャケットは、ワイヤ上でスリーブ付けされている。外側ジャケットは、光学ユニット及び電気ユニットの外側を包み、及び光学ユニット及び電気ユニットは、互いに密接に隣接して配置されている。光学ユニットの伸長方向は、電気ユニットの伸長方向と一致し、及び少なくとも1つの凸状構造が、外側ジャケットの外壁上に配置されている。
【0007】
本実装において、外側ジャケットの内壁は、光学ユニット及び電気ユニットと密着しており、その結果、光学ユニット及び電気ユニットの構造は、より安定的である。光学ユニット及び電気ユニットが使用される設計方式は、光ファイバ及びワイヤに対する保護を向上させる。光学ユニット及び電気ユニットは、互いに密接に隣接して配置されており、その結果、光電複合ケーブルの全体的な構造は、よりコンパクトである。これは、光電複合ケーブルの敷設する密度を増加させることに役立ち、及び光電複合ケーブルのコンパクトコネクタへの適応を容易にする。更に、光電複合ケーブルが敷設プロセスにおいてパイプを貫通する必要があることが多いことを考慮して、凸状構造が、外側ジャケットの外壁上に配置されており、それにより、外側ジャケット及びパイプ間の摩擦面積を低減させ、光電複合ケーブルがパイプ内に敷設されるときの抵抗を低減させ、及び光電複合ケーブルを敷設する効率を向上させる。
【0008】
必要に応じて、いくつかの可能な実装において、複数の凸状構造が、外側ジャケットの外壁上に並んで配置されており、及び凸状構造は、光学ユニット及び電気ユニットの伸長方向に沿って配置されている。これら実装において、複数の凸状構造の配置方式が提供され、本解決手段の実用性を向上させる。
【0009】
必要に応じて、いくつかの可能な実装において、複数の凸状構造が、外側ジャケットの外壁上に並んで配置されており、及び凸状構造は、外側ジャケットの外壁に螺旋状に巻き付けられている。これら実装において、複数の凸状構造の別の配置方式が提供され、本解決手段の発展性を向上させる。
【0010】
必要に応じて、いくつかの可能な実装において、フェルール及びワイヤジャケットの両方は、柔軟構造である。この場合、光電複合ケーブルがパイプ内に敷設されるとき、牽引ツールが使用される必要がある。代替的に、フェルール及びワイヤジャケットの両方は、剛性構造であり、及び2つの剛性が同様である。光電複合ケーブルの全体的な剛性は、より高く、及び光電複合ケーブルは、牽引ツール無しで、パイプに円滑に押し入れられ得る。
【0011】
必要に応じて、いくつかの可能な実装において、電気ユニットは、第1の電気ユニット及び第2の電気ユニットを含み、及び光学ユニット、第1の電気ユニット、及び第2の電気ユニットは、互いに密接に隣接して及び外側ジャケットの中心の周りに配置されている。これら実装において、外側ジャケットの中心からの光学ユニット、第1の電気ユニット、及び第2の電気ユニットの距離は、同様であり、光電複合ケーブルの全体的なコンパクト性を向上させるのに役立つ。これに応じて、外側ジャケットの外壁からの光学ユニット、第1の電気ユニット、及び第2の電気ユニットの距離は、同様であり、外側ジャケットが光学ユニット、第1の電気ユニット、及び第2の電気ユニットに対する良好な保護を形成するのに役立つ。
【0012】
必要に応じて、いくつかの可能な実装において、第1の電気ユニット及び第2の電気ユニットの電気極性が異なる。例えば、第1の電気ユニットの電気極性は、正であり、及び第2の電気ユニットの電気極性は、負である。第1の電極識別構造及び第2の電極識別構造が、外側ジャケット内に更に配置されている。第1の電極識別構造は、第1の電気ユニット近くに配置されており、及び第1の電極識別構造の伸長方向は、第1の電気ユニットの伸長方向と一致する。第2の電極識別構造は、第2の電気ユニット近くに配置されており、及び第2の電極識別構造の伸長方向は、第2の電気ユニットの伸長方向と一致する。第1の電極識別構造及び第2の電極識別構造を配置することにより、ユーザにとって第1の電気ユニット及び第2の電気ユニット間を区別することが簡便である。
【0013】
必要に応じて、いくつかの可能な実装において、第1の電極識別構造及び第2の電極識別構造は、異なる色を有するカラーストリップであり、又は第1の電極識別構造及び第2の電極識別構造は、異なる断面形状を有するスロット付き構造である。これら実装において、電極識別構造の複数の実装が提供され、本解決手段の柔軟性を向上させる。
【0014】
必要に応じて、いくつかの可能な実装において、複数の光学ユニット及び複数の電気ユニットが存在し、及び光学ユニット及び電気ユニットは、互いに密接に隣接して及び外側ジャケットの中心の周りに連続的に配置されており、光電複合ケーブルの全体的なコンパクト性を向上させるのに役立つ。
【0015】
必要に応じて、いくつかの可能な実装において、溝が、外側ジャケットの外壁上の2つの隣接する全ての凸状構造の間に更に設けられてよい。このように、外側ジャケットの断面積が低減され、光電複合ケーブルの敷設密度を向上させるのにより良く役立つ。溝が外側ジャケットの外壁上に設けられてよいが、溝の深さは、制御される必要があり、その結果、溝の底部及び光学ユニット及び電気ユニットの間の具体的な安全な距離が維持されて、光学ユニット及び電気ユニットに対する良好な保護を形成することを理解されたい。
【0016】
必要に応じて、いくつかの可能な実装において、光学ユニット及び電気ユニットの総数は、凸状構造の総数と同じであり、及び一対一の対応関係にある。これに応じて、2つの隣接する全ての光学ユニット又は電気ユニットが互いに近い位置は、外側ジャケット上の溝と対応する。凹状が2つの隣接する全ての光学ユニット又は電気ユニットが互いに近い位置において形成されてよいことが理解され得る。凹状位置が溝と明確に対応して設けられていることは、光学ユニット又は電気ユニットが溝に対応して配置されるというより良い包み効果を有する。この設計方式において、光電複合ケーブルのコンパクト性を向上させることに基づいて、光学ユニット及び電気ユニットは、更に十分に保護され得る。
【0017】
必要に応じて、いくつかの可能な実装において、光電複合ケーブルは、サスペンションワイヤ、及びサスペンションワイヤを更に含み、及び外側ジャケットは、一体的に成形されている。サスペンションワイヤは、外側ジャケットをつるすように構成されている。サスペンションワイヤを配置することにより、光電複合ケーブルは、実際の適用シナリオにおいてより容易に取り付けられる。更に、サスペンションワイヤ及び外側ジャケットが一体的に成形されるので、光電複合ケーブルの強度が向上する。
【0018】
必要に応じて、いくつかの可能な実装において、光学ユニット内には、複数の光ファイバが存在し、及び電気ユニット内には、複数のワイヤが存在し、光学ユニット及び電気ユニットの適用シナリオを拡張する。
【0019】
必要に応じて、いくつかの可能な実装において、遮水層が、光学ユニット内にあるフェルール及び光ファイバの間に更に配置されており、遮水層の材料は、軟膏又は硬化樹脂等であってよい。遮水層を配置することにより、光学ユニットは、防水効果を有し、及び光学ユニットに適用される外力は、緩和され得る。
【0020】
必要に応じて、いくつかの可能な実装において、フェルールの高温耐性範囲は、80℃から200℃までである。
【0021】
必要に応じて、いくつかの可能な実装において、外側ジャケットの摩擦係数は、0.5以下であり、及び外側ジャケットの硬度は、70ショアA以上である。
【0022】
第2の態様によると、本願は、第1の通信デバイス及び第2の通信デバイスを含む通信システムを提供し、ここで、第1の通信デバイス及び第2の通信デバイスは、光電複合ケーブルを通じて接続されており、及び光電複合ケーブルは、第1の態様の実装のいずれか1つに係る光電複合ケーブルである。第1の通信デバイスは、光信号及び電気信号を出力し、これらは、光電複合ケーブルを通じて第2の通信デバイスに送信される。同様に、第2の通信デバイスは、光信号及び電気信号を出力し、これらは、光電複合ケーブルを通じて第1の通信デバイスに送信される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本願が適用されるネットワークアーキテクチャの図である。
【0024】
【
図2】本願の一実施形態に係る光電複合ケーブルの第1の構造の概略図である。
【0025】
【
図3(a)】本願の一実施形態に係る凸状構造の第1の配置方式の概略図である。
【0026】
【
図3(b)】は、本願の一実施形態に係る、長さ方向における、外側ジャケットの第1の断面の概略図である。
【0027】
【
図4(a)】本願の一実施形態に係る凸状構造の第2の配置方式の概略図である。
【0028】
【
図4(b)】は、本願の一実施形態に係る、長さ方向における、外側ジャケットの第2の断面の概略図である。
【0029】
【
図5】本願の一実施形態に係る光学ユニットの構造の概略図である。
【0030】
【
図6】本願の一実施形態に係る電気ユニットの構造の概略図である。
【0031】
【
図7】本願の一実施形態に係る光電複合ケーブルの第2の構造の概略図である。
【0032】
【
図8】本願の一実施形態に係る光電複合ケーブルの第3の構造の概略図である。
【0033】
【
図9】本願の一実施形態に係る光電複合ケーブルの第4の構造の概略図である。
【0034】
【
図10】本願の一実施形態に係る光電複合ケーブルの第5の構造の概略図である。
【0035】
【
図11】本願の一実施形態に係る光電複合ケーブルの第6の構造の概略図である。
【0036】
【
図12】本願の一実施形態に係る光電複合ケーブルの第7の構造の概略図である。
【0037】
【
図13】本願の一実施形態に係る通信システムの構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本願の実施形態は、光電複合ケーブル及び通信システムを提供する。凸状構造が、光電複合ケーブルの外側ジャケットの外壁上に配置されており、それにより、外側ジャケット及びパイプとの間の摩擦面積を低減し、光電複合ケーブルがパイプ内に敷設されるときの抵抗を低減し、及び光電複合ケーブルを敷設する効率を向上させる。
【0039】
理解を容易にするために、以下では、本発明の実施形態における添付図面を参照して、本発明の実施形態における技術的解決手段を説明する。説明される実施形態は、本発明の実施形態の一部に過ぎず、全てではないことが明確である。本発明の実施形態に基づいて、創造的努力無しで、当業者により取得される全ての他の実施形態は、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【0040】
図1は、本願が適用されるネットワークアーキテクチャの図である。本願において提供される平坦なドロップケーブルは、主に、FTTxの光ネットワークに適用される。FTTxは、FTTH(fiber to the home、ファイバ・トゥ・ザ・ホーム)であってよく、又はFTTC(fiber to the curb、ファイバ・トゥ・ザ・カーブ)であってよく、又はFTTP(ファイバ・トゥ・ザ・敷地、fiber to the premises)であってよく、又はFTTN(ファイバ・トゥ・ザ・ノード又は近隣、fiber to the node or neighborhood)、又はFTTO(ファイバ・トゥ・ザ・オフィス、fiber to the office)であってよく、又はFTTSA(ファイバ・トゥ・ザ・サービスエリア、fiber to the service area)であってよい。FTTHネットワークは、一例として使用される。センタオフィス(centre office、CO)のダウンストリームの観点から、FTTHは、フィーダリンク1、1:Nスプリッタ2、ホームパス3、1:mスプリッタ4、及び少なくとも1つのブランチリンク5を含む。本願において、光電複合ケーブルは、主に、前述のブランチリンク5、つまり、スタブアクセスシナリオにおけるホーム接続に適用される。本願は、一例として、FTTx構造にある1つの種類のネットワークを使用するが、別のネットワーク構造もまた適用可能である。以下では、本願において提供される光電複合ケーブルを詳細に説明する。
【0041】
図2は、本願の一実施形態に係る光電複合ケーブルの第1の構造の概略図である。光電複合ケーブルは、外側ジャケット10、光学ユニット20、及び電気ユニット30を含む。外側ジャケット10は、光学ユニット20及び電気ユニット30の外側を包む。光学ユニット20及び電気ユニット30は、互いに密接に隣接して配置されており、及び光学ユニット20の伸長方向は、電気ユニット30の伸長方向と一致する。凸状構造101が、外側ジャケット10の外壁上に更に配置されており、凸状構造101及び外側ジャケット10は、一体的に成形されている。凸状構造101の数は、本願において限定されない。凸状構造101の断面は、
図2に示された半円であってよく、又は長方形、三角形、又は台形等の別の形状であってよく、本明細書において特に限定されないことを理解されたい。
【0042】
外側ジャケットの断面は、円形であってよく、又は楕円形であってよく、本明細書において特に限定されないことに留意されたい。
【0043】
本願の本実施形態において、外側ジャケット10の内壁は、光学ユニット20及び電気ユニット30と密着しており、その結果、光学ユニット20及び電気ユニット30の構造は、より安定的である。光学ユニット20及び電気ユニット30は、互いに密接に隣接して配置されており、その結果、光電複合ケーブルの全体的な構造は、よりコンパクトである。これは、光電複合ケーブルの敷設する密度を増加させることに役立ち、光電複合ケーブルのコンパクトコネクタへの適応を容易にする。更に、光電複合ケーブルが敷設プロセスにおいてパイプを貫通する必要があることが多いことを考慮して、凸状構造101は、外側ジャケット10の外壁上に配置されており、それにより、外側ジャケット10及びパイプ間の摩擦面積を低減させ、光電複合ケーブルがパイプ内に敷設されるときの抵抗を低減させ、及び光電複合ケーブルを敷設する効率を向上させる。
【0044】
本願において、凸状構造101の複数の配置方式が存在してよく、これらは、以下において別個に説明される。
【0045】
図3(a)は、本願の一実施形態に係る凸状構造の第1の配置方式の概略図である。複数の凸状構造101が、外側ジャケット10の外壁上に並んで配置されている。凸状構造101は、
図3(a)に示されるように、互いに平行な直線的なストリップ構造であってよいことを理解されたい。更に、凸状構造101は、代替的に、他の形態の構造であってよい。例えば、凸状構造101は、互いに平行な波状のストリップ構造であってよい。これは、本明細書において特に限定されない。
図3(b)は、本願の一実施形態に係る、長さ方向における、外側ジャケットの第1の断面の概略図である。凸状構造101は、互いに平行であり及び光電複合ケーブルの伸長方向に配置されていることが分かる。
【0046】
図4(a)は、本願の一実施形態に係る凸状構造の第2の配置方式の概略図である。複数の凸状構造101が、外側ジャケット10の外壁上に並んで配置されており、及び凸状構造101は、外側ジャケット10の外壁に螺旋状に巻き付けられている。
図4(b)は、本願の一実施形態に係る、長さ方向における、外側ジャケットの第2の断面の概略図である。
図3(b)に示された凸状構造101と異なり、
図4(b)に示された各凸状構造101の伸長方向は、光電複合ケーブルの伸長方向との特定の傾斜角度を有することが分かる。
【0047】
本願は、上で列挙された凸状構造の2つの配置方式に限定されず、凸状構造が光電複合ケーブルの外壁上で配布される任意の方式が本願の保護範囲に含まれることを理解されたい。
【0048】
構築する間、光電複合ケーブルは、必然的にカールされ、ツイストされ、又は不均等に圧力が加えられることに留意されたい。この場合、最も圧力が加えられる光電複合ケーブルの部分は、光電複合ケーブルの中心的位置である。中心的位置は、光ファイバ及びワイヤに厳密に提供され、及び光ファイバ及びワイヤに対する保護は、比較的弱い。したがって、光ファイバ及びワイヤに対する保護は、本願において提供される光電複合ケーブルが光学ユニット及び電気ユニットを使用する設計方式を用いて、向上する。以下では、更なる説明を提供する。
【0049】
図5は、本願の一実施形態に係る光学ユニットの構造の概略図である。光学ユニット20は、光ファイバ201及びフェルール202を含む。フェルール202は、光ファイバ201を保護するために、光ファイバ201上でスリーブ付けされている。具体的には、1又は複数の光ファイバ201が存在してよい。必要に応じて、遮水層203が、光ファイバ201及びフェルール202の間に更に配置されていてよく、及び遮水層203は、防水効果を有し及び光学ユニット20に適用される外力を緩和し得る。遮水層203の材料は、軟膏又は硬化樹脂であってよい。フェルール202の材料は、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PBT)、ポリエステル硬化材料、又はステンレス鋼であってよい。フェルール202の高温耐性範囲は、80℃から200℃までである。
【0050】
図6は、本願の一実施形態に係る電気ユニットの構造の概略図である。電気ユニット30は、ワイヤ301及びワイヤジャケット302を含む。ワイヤジャケット302は、ワイヤ301を保護するために、ワイヤ301上でスリーブ付けされている。具体的には、1又は複数のワイヤ301が存在してよい。
【0051】
光学ユニット20及び電気ユニット30は、互いに密接に隣接して配置されているので、フェルール202の硬度及びワイヤジャケット302の硬度が大きく異なる場合に、光電複合ケーブルを敷設するプロセスにおいて、押し出しが不平均力に起因して光学ユニット20及び電気ユニット30間で発生し得、光学ユニット20又は電気ユニット30の安定性に影響を与えることに留意されたい。したがって、本願において、フェルール202及びワイヤジャケット302の両方は、柔軟構造である。この場合、光電複合ケーブルがパイプ内に敷設されるとき、牽引ツールが使用される必要がある。代替的に、フェルール202及びワイヤジャケット302の両方は、剛性構造であり、及び2つの剛性は、同様である。光電複合ケーブルの全体的な剛性は、より高く、及び光電複合ケーブルは、牽引ツール無しで、パイプに円滑に押し入れられ得る。
【0052】
必要に応じて、光電複合ケーブルがパイプ内に敷設されるときの抵抗を更に低減させるために、外側ジャケット10は、高い硬度及び低摩擦係数を有する材料を使用してよい。例えば、外側ジャケット10の摩擦係数は、0.5以下であってよく、及び外側ジャケット10の硬度は、70ショアA以上である。
【0053】
いくつかの可能な実装において、光電複合ケーブルの全体的なサイズを更に低減させるために、外側ジャケット10は、ある程度更に向上されてよい。以下では、詳細な説明を提供する。
【0054】
図7は、本願の一実施形態に係る光電複合ケーブルの第2の構造の概略図である。複数の凸状構造101が、外側ジャケット10の外壁上に並んで配置されている。光電複合ケーブルがパイプ内に敷設されるとき、凸状構造101は、パイプと接触するようになる。したがって、溝102が、外側ジャケット10の外壁上の2つの隣接する全ての凸状構造101の間に更に設けられてよい。このように、外側ジャケット10の断面積が低減され、光電複合ケーブルの敷設密度を向上させるのにより良く役立つ。溝102が外側ジャケットの外壁上に設けられてよいが、102溝の深さは、制御される必要があり、その結果、溝102の底部及び光学ユニット20及び電気ユニット30の間の具体的な安全な距離が維持されて、光学ユニット20及び電気ユニット30に対する良好な保護が形成されることを理解されたい。必要に応じて、溝102の断面は、
図7に示された半円であってよく、又は長方形、三角形、又は台形等の別の形状であってよく、本明細書において特に限定されない。
【0055】
1又は複数の光学ユニット20、及び1又は複数の電気ユニットが存在してよいことに留意されたい。以下では、光学ユニット20及び電気ユニット30のいくつかの典型的な配置方式を提供する。
【0056】
図8は、本願の一実施形態に係る光電複合ケーブルの第3の構造の概略図である。光電複合ケーブルは、1つの光学ユニット20及び2つの電気ユニット(第1の電気ユニット301及び第2の電気ユニット302)を含む。光学ユニット20、第1の電気ユニット301、及び第2の電気ユニット302は、互いに密接に隣接して配置されている。光学ユニット20、第1の電気ユニット301、及び第2の電気ユニット302は、外側ジャケット10の中心の周りに配布されており;言い換えると、外側ジャケット10の中心からの光学ユニット20、第1の電気ユニット301、及び第2の電気ユニット302の距離は、同様であり、光電複合ケーブルの全体的なコンパクト性を向上させるのに役立つ。これに応じて、外側ジャケット10の外壁からの光学ユニット20、第1の電気ユニット301、及び第2の電気ユニット302の距離は、同様であり、外側ジャケットが光学ユニット20、第1の電気ユニット301、及び第2の電気ユニット302に対する良好な保護を形成するのに役立つ。
【0057】
可能な実装において、第1の電気ユニット301及び第2の電気ユニット302の電気極性が異なる。例えば、第1の電気ユニット301の電気極性は、正であり、及び第2の電気ユニット302の電気極性は、負である。2つの電気ユニットの電気極性を区別するのにユーザに役立つように、電極識別構造が、外側ジャケット10内に更に配置されてよい。電極識別構造は、複数の方式において実装されてよい。例えば、
図9は、本願の一実施形態に係る光電複合ケーブルの第4の構造の概略図である。電極識別構造は、異なる色を有する正極カラーストリップ401及び負極カラーストリップ402を含む。正極カラーストリップ401及び負極カラーストリップ402は、外側ジャケットにより包まれている。正極カラーストリップ401は、第1の電気ユニット301の近くに配置されており、及び正極カラーストリップ401の伸長方向は、第1の電気ユニット301の伸長方向と一致する。負極カラーストリップ402は、第2の電気ユニット302の近くに配置されており、及び負極カラーストリップ402の伸長方向は、第2の電気ユニット302の伸長方向と一致する。代替的に、電極識別構造は、異なる断面形状を有するスロット付き構造を含む。例えば、第1の電気ユニット301の近くにあるスロット付き構造の断面は、矩形であり、及び第2の電気ユニット302の近くにあるスロット付き構造の断面は、円形である。上に列挙された電極識別構造に加えて、電気ユニットの電極を区別するために使用される任意の他の構造が本願の保護範囲に含まれ、及び本明細書において1つずつ列挙されないことを理解されたい。電極識別構造はまた、外側ジャケット10の内部に配置され、電極識別構造に対する良好な保護を形成することに役立つ。
【0058】
図10は、本願の一実施形態に係る光電複合ケーブルの第5の構造の概略図である。複数の光学ユニット20及び複数の電気ユニット30が存在する。例えば、
図10に示されるように、光学ユニット20は、光学ユニット201、光学ユニット202、光学ユニット203、光学ユニット204、及び光学ユニット205を含む。電気ユニット30は、電気ユニット301、電気ユニット302、電気ユニット303、電気ユニット304、及び電気ユニット305を含む。光学ユニット及び電気ユニットは、連続的に互いに密接に隣接して配置されており、及び光学ユニット及び電気ユニットは、外側ジャケット10の中心の周りに配布されており、光電複合ケーブルの全体的なコンパクト性を向上させるのに役立つ。
【0059】
可能な実装において、光学ユニット20及び電気ユニット30の総数は、凸状構造101の総数と同じであり、及び一対一の対応関係にある。具体的には、各光学ユニット20は、光学ユニット20に対応する凸状構造101及び外側ジャケット10の中心と同一線上に配置されており、及び各電気ユニット30は、電気ユニット30に対応する凸状構造101及び外側ジャケット10の中心と同一線上に配置されている。これに応じて、2つの隣接する全ての光学ユニット20又は電気ユニット30が互いに近い位置は、外側ジャケット10上の溝102と対応する。凹状が2つの隣接する全ての光学ユニット20又は電気ユニット30が互いに近い位置において形成されてよいことが理解され得る。凹状位置が溝102と明確に対応して設けられていることは、光学ユニット20又は電気ユニット30が溝102に対応して配置されるというより良い包み効果を有する。この設計方式において、光電複合ケーブルのコンパクト性を向上させることに基づいて、光学ユニット20及び電気ユニット30は、更に十分に保護され得る。光学ユニット及び電気ユニットの前述の配置方式は、
図10に示されるように、光学ユニット201から205までが連続的に配置され及び電気ユニット301から305までが連続的に配置されるものであってよいことに留意されたい。更に、別の配置方式が使用されてよい。例えば、光学ユニット及び電気ユニットは、互いに交互に配列される。
【0060】
図11は、本願の一実施形態に係る光電複合ケーブルの第6の構造の概略図である。
図10に示された構造に基づいて、光電複合ケーブルは、補強材50を更に含んでよい。補強材50は、外側ジャケット10により包まれ、及び補強材50の伸長方向は、光学ユニット20及び電気ユニット30の伸長方向と一致する。好ましくは、補強材50は、外側ジャケット10の中心において配置され、及び光学ユニット及び電気ユニットは、補強材50の周りに配置される。補強材50を配置することにより、光電複合ケーブルの引張性能が向上する。必要に応じて、いくつかの可能な実装において、前述の補強材50は、代替的に、光学ユニット20又は電気ユニット30と置換されてよく、その結果、同様の効果がまた実現され得る。
【0061】
図12は、本願の一実施形態に係る光電複合ケーブルの第7の構造の概略図である。いくつかの可能な実装において、光電複合ケーブルは、天井等にぶら下げられた取付け溝内に敷設される必要がある。光電複合ケーブルのぶら下げを容易にするために、光電複合ケーブルは、サスペンションワイヤ60を更に含んでよい。サスペンションワイヤ60及び外側ジャケット10は、一体的に成形され、及びサスペンションワイヤ60は、外側ジャケット10をつるすように構成されている。サスペンションワイヤ60を配置することにより、光電複合ケーブルは、実際の適用シナリオにおいてより容易に取り付けられる。更に、サスペンションワイヤ60及び外側ジャケット10が一体的に成形されるので、光電複合ケーブルの強度が向上する。必要に応じて、サスペンションワイヤ60は、単一の鋼線、より合わせた鋼線、アラミド糸、ガラス糸、ガラス糸補強ロッド、又はアラミド糸補強ロッド等のうちいずれか1つ又は任意の組み合わせを代替的に使用して、サスペンションワイヤ60の引張性能を向上させてよい。
【0062】
前述の事項は、本願において提供される光電複合ケーブルを説明し、以下では、本願において提供される通信システムを説明する。
図13は、本願の一実施形態に係る通信システムの構造の概略図である。通信システムは、第1の通信デバイス1301及び第2の通信デバイス1302を含む。第1の通信デバイス1301及び第2の通信デバイス1302は、光電複合ケーブル1303を通じて接続されている。光電複合ケーブル1303は、具体的には、
図2及び
図7から
図12までにおける前述の実施形態のいずれか1つにおいて説明される光電複合ケーブルであってよい。第1の通信デバイス1301により出力される光信号及び電気信号は、光電複合ケーブル1303を通じて、第2の通信デバイス1302に送信されてよい。同様に、第2の通信デバイス1302により出力される光信号及び電気信号もまた、光電複合ケーブル1303を通じて、第1の通信デバイス1301に送信されてよい。
【0063】
前述の説明は、本発明の具体的な例示的実装に過ぎず、本発明の保護範囲を限定することを意図するものではない。本発明において開示される技術的範囲内で、当業者が容易に考えつくあらゆる変形又は置換は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
【国際調査報告】