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特表2023-530782フェーズドアレイアンテナ装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-19
(54)【発明の名称】フェーズドアレイアンテナ装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 3/34 20060101AFI20230711BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20230711BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H01Q3/34
H01Q21/06
H04B7/06 150
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023504442
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(85)【翻訳文提出日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 GB2021051889
(87)【国際公開番号】W WO2022018443
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】2011276.9
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513302226
【氏名又は名称】ソファント テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティール,ビクター
(72)【発明者】
【氏名】クリスティ,アンドリュー
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA09
5J021DB01
5J021FA06
5J021FA11
5J021FA17
5J021FA26
5J021FA31
5J021FA32
5J021JA07
(57)【要約】
本発明は、6ギガヘルツを上回る周波数で動作するためのフェーズドアレイアンテナ装置(200)を提供する。装置(200)は、フェーズドアレイアンテナを形成するように共に構成された複数のサブアレイ(208)を備え、各サブアレイ(208)は、少なくとも4つのアンテナ要素(220)であって、各アンテナ要素(220)は、サブアレイ(220)から入力信号を受信するためのものであり、入力信号を送信するためのアンテナ(230)を備える、少なくとも4つのアンテナ要素(220)と、アンテナ(230)への伝搬中に入力信号の位相を調整するための信号修正構成要素(222)と、複数の電力増幅器(212)と、を備え、各サブアレイ(208)には、複数の電力増幅器(212)のうちの1つが提供されており、各サブアレイ(208)は、増幅された入力信号が提供されるように配置されており、サブアレイ(208)の各アンテナ要素(220)は、アンテナ要素(220)への入力信号としてそれぞれのサブアレイ(208)の増幅された入力信号が提供されるように構成されており、各サブアレイ(208)のための電力増幅器(212)は、増幅のためのフェーズドアレイ入力信号を受信するように、かつそれぞれの増幅された入力信号を、それぞれのサブアレイ(208)に出力するように構成されている。各サブアレイ(208)のための電力増幅器(212)は、各サブアレイ(208)とは物理的に別個であり、かつ異なり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
6ギガヘルツを上回る周波数で動作するためのフェーズドアレイアンテナ装置であって、
フェーズドアレイアンテナを形成するように共に構成された複数のサブアレイを備え、前記複数のサブアレイは、各サブアレイが、少なくとも4つのアンテナ要素と、入力信号を受信するように構成された入力と、前記入力とそれぞれの前記アンテナ要素のアンテナとの間の複数のそれぞれのサブアレイ回路と、を備え、前記アンテナが、前記入力信号の送信のためのものであり、各サブアレイ回路が、
前記アンテナへの伝搬中に、前記入力信号の位相を調整するように構成された信号修正構成要素を備え、前記装置はさらに、
複数の電力増幅器であって、各サブアレイの前記サブアレイ回路が、前記入力を介して、前記複数の電力増幅器のうちの1つに接続されている、複数の電力増幅器と、を備え、
各サブアレイは、前記入力への前記入力信号として、前記入力において、増幅された入力信号が提供されるように配置されており、
各電力増幅器が、増幅のためのフェーズドアレイ入力信号を受信するように、かつ前記それぞれの増幅された入力信号を、前記電力増幅器に接続された前記それぞれのサブアレイの前記複数のサブアレイ回路に出力するように構成されている、フェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項2】
各電力増幅器が、前記複数のアンテナ要素が提供されている前記サブアレイの1つ以上のアンテナボードとは別個に、前記フェーズドアレイアンテナ装置の制御ボード上に提供されており、任意選択的に、前記制御ボードが、前記サブアレイから離れて提供されている、請求項1に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項3】
前記複数の電力増幅器が共に、複数の異なる増幅された入力信号を出力するように構成されており、前記複数の異なる増幅された入力信号の各々が、異なる電力に増幅され、前記増幅された入力信号を前記フェーズドアレイアンテナ装置内の前記複数のサブアレイの中央サブアレイの入力に提供する前記複数の電力増幅器のうちの第1の電力増幅器が、前記増幅された入力信号を前記フェーズドアレイアンテナ装置内の前記複数のサブアレイの周辺サブアレイの入力に提供する前記複数の電力増幅器のうちの第2の電力増幅器よりも大きい電力に前記フェーズドアレイ入力信号を増幅するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項4】
テスト機器をそれに接続するための複数のテストポートを備え、各テストポートが、それぞれのサブアレイの前記複数のサブアレイ回路内に提供されている、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項5】
前記複数のサブアレイ回路を制御するように構成された少なくとも1つのコントローラを更に備え、任意選択的に、各サブアレイには、前記サブアレイの前記サブアレイ回路の各々を制御するための別個のそれぞれのコントローラが提供されている、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項6】
少なくとも1つのサブアレイ回路が、前記入力信号を減衰させるための減衰器を更に備え、任意選択的に、前記減衰器が、低電力減衰器、例えば、MEMS減衰器などの受動減衰器である、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項7】
前記増幅された入力信号の受動減衰及び電力増幅のうち、前記増幅された入力信号の受動減衰のみが、前記サブアレイ回路内で実行される、請求項6に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項8】
前記複数のサブアレイ回路のうちの少なくとも1つにおいて、前記入力で受信される前記増幅された入力信号を修正するための1つ以上の能動構成要素及び1つ以上の受動構成要素のうち、前記1つ以上の受動構成要素のみが提供されており、任意選択的に、前記1つ以上の受動構成要素の各々が、100ミリアンペア未満の最大電流を有する制御信号を受信するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項9】
前記1つ以上の受動構成要素が、1つ以上のMEMS構成要素を備え、任意選択的に、前記1つ以上のMEMS構成要素が、前記サブアレイ回路における前記増幅された入力信号に対して、減衰、位相シフト、及びRFスイッチングのうちの少なくとも2つを提供するように構成されている、請求項8に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項10】
各信号修正構成要素が、前記入力信号に位相シフトを付与して、それによって、前記アンテナへの伝搬中に前記入力信号の前記位相を調整するように構成された1つ以上の位相シフタを備え、任意選択的に、前記1つ以上の位相シフタが、1つ以上の受動位相シフタ、例えば、1つ以上のMEMS位相シフタなどの1つ以上の低電力位相シフタである、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項11】
少なくとも1つのサブアレイが、1つ以上のRFスイッチを更に備え、任意選択的に、前記1つ以上のRFスイッチが、各々、受動構成要素、例えば、MEMS RFスイッチなどの低電力RFスイッチである、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項12】
前記複数のサブアレイ回路内の少なくとも1つの電気構成要素が、前記入力信号を選択的に(例えば、制御可能に)改変するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項13】
前記複数のサブアレイ回路のうちの少なくとも1つが、前記複数のサブアレイ回路のうちの少なくとも1つの他のものとは独立して制御可能である、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項14】
1つ以上の電力増幅器には、前記それぞれのサブアレイにおける前記電力の指標を提供するための電力モニタが提供されている、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項15】
前記電力増幅器のうちの1つ以上が、高調波チューニングを提供するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項16】
前記電力増幅器のうちの1つ以上が、DC/DC変換を提供されるように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項17】
前記複数のサブアレイが、少なくとも5、好ましくは少なくとも10である、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項18】
前記フェーズドアレイアンテナ装置内のアンテナ要素の総数が、少なくとも100、好ましくは少なくとも1000である、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項19】
前記増幅された入力信号を前記フェーズドアレイアンテナ装置内の前記複数のサブアレイの中央サブアレイの前記入力に提供する前記複数の電力増幅器のうちの第1の電力増幅器が、前記増幅された入力信号を前記フェーズドアレイアンテナ装置内の前記複数のサブアレイの周辺サブアレイの前記入力に提供する前記複数の電力増幅器のうちの第2の電力増幅器よりも大きい電力に前記フェーズドアレイ入力信号を増幅するように構成されており、前記フェーズドアレイアンテナ装置が、テスト機器をそれに接続するための複数のテストポートを更に備え、各テストポートが、それぞれのサブアレイの前記複数のサブアレイ回路に提供されており、前記電力増幅器のうちの1つ以上が、DC/DC変換を提供されるように構成されており、1つ以上の電力増幅器には、前記それぞれのサブアレイでの前記電力の指標を提供するための電力モニタが提供されている、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項20】
フェーズドアレイアンテナ装置をテストする方法であって、
請求項4又は請求項4に従属する場合の請求項5~19のいずれかに記載のフェーズドアレイアンテナ装置を提供することと、
前記フェーズドアレイアンテナ装置の複数のテストポートにテスト機器を接続して、前記フェーズドアレイアンテナ装置内の複数の電力増幅器によって出力されるRF信号の1つ以上の信号特性をテストすることと、を含む、方法。
【請求項21】
フェーズドアレイアンテナ装置を組み立てる方法であって、
フェーズドアレイアンテナ装置の第1の部分を提供することであって、前記第1の部分が、
複数の中間接続ポートと、
複数の電力増幅器であって、各々が、入力及び出力を有し、各それぞれの電力増幅器の前記出力が、前記複数の中間接続ポートのそれぞれ1つとRF信号通信する、複数の電力増幅器と、
前記複数の電力増幅器の各々の前記入力とRF信号通信する、フェーズドアレイ入力ポートと、を備える、提供することと、
テスト機器を前記中間接続ポートの1つ以上に接続することと、
前記テスト機器を使用して、前記第1の部分上でテスト手順を実行することと、
前記フェーズドアレイアンテナ装置の第2の部分を提供することであって、前記第2の部分が、フェーズドアレイアンテナを形成するように共に構成された複数のサブアレイを備え、各サブアレイが、サブアレイ接続ポートと、少なくとも4つのアンテナ要素と、前記サブアレイ接続ポートと前記それぞれのアンテナ要素のアンテナとの間の複数のそれぞれのサブアレイ回路と、を備え、各サブアレイ回路が、前記サブアレイ回路への入力信号として前記それぞれのサブアレイ接続ポートを介して増幅された入力信号を提供されるように配置されており、前記アンテナが、前記入力信号の送信のためのものであり、各サブアレイ回路が、
前記アンテナへの伝搬中に前記入力信号の位相を調整するように構成された信号修正構成要素、を備える、提供することと、
前記第1の部分の各中間接続ポートを、前記第2の部分の前記それぞれのサブアレイ接続ポートに接続して、前記フェーズドアレイアンテナ装置を組み立てることと、を含み、
組み立てられると、前記フェーズドアレイ入力ポートに印加されるフェーズドアレイ入力信号が、前記中間接続ポート、前記サブアレイ接続ポート、及び前記サブアレイ回路を介して、前方送信のために前記複数のアンテナに提供される、方法。
【請求項22】
6ギガヘルツを上回る周波数で動作するためのフェーズドアレイアンテナ装置であって、
複数のサブアレイのそれぞれ1つの入力に各々接続するための複数の中間接続ポートであって、各サブアレイが、少なくとも4つのアンテナ要素と、前記サブアレイの前記入力と前記少なくとも4つのアンテナ要素のそれぞれのアンテナとの間の複数のサブアレイ回路と、を備える、複数の中間接続ポートと、
複数の電力増幅器であって、各々が、入力及び出力を有し、各それぞれの電力増幅器の前記出力が、前記複数の中間接続ポートのそれぞれ1つとRF信号通信する、複数の電力増幅器と、
前記複数の電力増幅器の各々の前記入力とRF信号通信するフェーズドアレイ入力ポートと、を備える、フェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項23】
6GHzを上回る周波数でフェーズドアレイアンテナ装置を動作させる方法であって、
フェーズドアレイアンテナ装置を提供することであって、前記フェーズドアレイアンテナ装置が、
フェーズドアレイ入力信号を受信するように構成されたフェーズドアレイ入力と、
フェーズドアレイアンテナを形成するように共に構成された複数のサブアレイとを備え、前記複数のサブアレイは、各サブアレイが、少なくとも4つのアンテナ要素と、入力信号を受信するように構成された入力と、前記入力とそれぞれの前記アンテナ要素のアンテナとの間の複数のそれぞれのサブアレイ回路と、を備え、前記アンテナが、前記入力信号の送信のためのものである、提供することと、
前記複数のサブアレイの各々に前記入力として提供するために、前記フェーズドアレイ入力信号を少なくとも2つの異なるそれぞれの電力レベルに増幅することと、
1つ以上のサブアレイ回路において、前記アンテナへの伝搬中に、前記入力信号の位相を調整することと、
前記アンテナから前記入力信号を送信することと、を含む、方法。
【請求項24】
前記サブアレイ回路の1つ以上において、前記入力信号を減衰させることを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記サブアレイ回路の1つ以上において、前記入力信号を切り替えてルーティングすることを更に含む、請求項23又は請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェーズドアレイアンテナ装置、及びそれらをテストし、動作させる方法に関する。特に、本発明は、6ギガヘルツを上回る周波数で動作するためのフェーズドアレイアンテナ装置、及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数、例えば6ギガヘルツを上回る周波数で動作するためのフェーズドアレイアンテナは、複数のアンテナ要素を備える。典型的には、いくつかのアンテナ要素は、サブアレイに共に取り付けられる。フェーズドアレイアンテナは、いくつかのサブアレイから形成され得る。フェーズドアレイアンテナのアンテナ要素の個々のアンテナから送信される各信号の位相を改変することによって、アンテナのビームは、動作効率を最適化するために形作られ及び/又は操縦され得る。いくつかの例では、ビームの操縦はまた、どの特定のアンテナ要素が使用されるかを選択することによって達成することができる。
【0003】
典型的には、フェーズドアレイアンテナによって送信される信号は、送信される信号の電力を増加させるために増幅を必要とする。増幅の正確な量は、フェーズドアレイアンテナの各アンテナ要素によって異なる。現在、これを達成するために、各アンテナ要素は、必要な異なるレベルの増幅を提供するための専用の電力増幅器を備える。各電力増幅器は、典型的には、RF信号損失を回避するためにアンテナ要素の近くに位置付けられる。そのような場所では、電力増幅器によって生成された熱をアンテナ要素から離れてルーティングするために、慎重な熱管理が必要である。更なる電気構成要素(位相シフタ及び減衰器など)も各アンテナ要素上に提供される。
【0004】
本開示が考案されたのは、この文脈においてである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様によれば、フェーズドアレイアンテナ装置が提供されている。典型的には、フェーズドアレイアンテナ装置は、無線周波数、例えば、6ギガヘルツを上回る周波数で動作するためのものである。装置は、フェーズドアレイアンテナを形成するように共に構成された複数のサブアレイを備える。各サブアレイは、少なくとも4つのアンテナ要素を備え得る。各サブアレイは、入力信号を受信するように構成された入力、及び入力とそれぞれのアンテナ要素のアンテナとの間の複数のそれぞれのサブアレイ回路を備え得る。アンテナは、入力信号の送信のためのものである。各サブアレイ回路は、アンテナへの伝搬中に入力信号の位相を調整するように構成された信号修正構成要素を備え得る。装置は、複数の電力増幅器を更に備える。典型的には、各サブアレイのサブアレイ回路は、入力を介して、複数の電力増幅器のうちの1つに接続される。各サブアレイは、入力への入力信号として、入力において、増幅された入力信号が提供されるように配置され得る。各電力増幅器は、増幅のためのフェーズドアレイ入力信号を受信するように、かつそれぞれの増幅された入力信号を、電力増幅器に接続されたそれぞれのサブアレイの複数のサブアレイ回路に出力するように構成され得る。
【0006】
したがって、単一の電力増幅器を使用して、サブアレイ内の全てのアンテナ要素の信号を増幅することによって、サブアレイ内の各アンテナ要素のための専用の電力増幅器を提供する必要はない。このようにして、動作中に著しい熱を生成し得る電力増幅器は、アンテナ要素から離れて位置付けることができる。更に、より少ない電力増幅器が使用されるため、電力増幅器からの廃熱を効率的に除去することがより容易である。言い換えると、サブアレイの性能及び効率が改善される。加えて、サブアレイは、故障の可能性を有する電力増幅器が少ないため、特に信頼性が高い。別の利点は、機能性が改善された、より洗練された電力増幅器を、同じか、又は更に低い製造コストで使用することができることである。したがって、フェーズドアレイアンテナ装置を、より効率的に製造することができる。更に、各アンテナ要素に電力増幅器を含めることによって導入されるいかなる位相不一致も、サブアレイ内の全てのアンテナ要素によって共有される単一の電力増幅器を提供することによって除去することができる。
【0007】
典型的には、各サブアレイ回路のアンテナ及び信号修正構成要素は、アンテナ要素の一部として提供されることが理解されるであろう。したがって、サブアレイ回路は、サブアレイ回路がアンテナ要素の一部である構成要素を含む場合でも、入力とそれぞれのアンテナ要素との間に提供されると依然として考えられる。
【0008】
いくつかの例では、アレイ入力信号のより少ない増幅を必要とするサブアレイのいくつかは、専用の電力増幅器なしで提供され得る。代わりに、そのようなサブアレイは、アレイ入力信号の予備増幅を実行するように構成された更なる電力増幅器によって提供される増幅を使用する。典型的には、更なる電力増幅器の出力は、前述の複数の他の電力増幅器の各々に提供される。典型的には、そのようなサブアレイは、フェーズドアレイの1つ以上のエッジに向けられている(例えば、1つ以上のエッジにある)。
【0009】
各電力増幅器は、複数のアンテナ要素から分離され得る。したがって、アンテナ要素が提供されるアンテナボードは、電力増幅器からの熱除去を提供するように構成される必要はない。これにより、アンテナボードをより簡略的にすることができ、より簡略的なフェーズドアレイアンテナを可能にする。
【0010】
電力増幅器は、複数のアンテナ要素が提供されるサブアレイの1つ以上のアンテナボードから別個に、フェーズドアレイアンテナ装置の制御ボード上に提供され得る。制御ボードは、サブアレイから離れて提供され得る。制御ボードには、電力増幅器を制御するように構成された制御回路が更に提供され得る。制御回路は、サブアレイの複数のアンテナ要素の1つ以上の構成要素を制御するように更に構成され得、例えば、複数のアンテナ要素の各々の信号修正構成要素を制御するように構成され得る。
【0011】
複数の電力増幅器は、複数の異なる増幅された入力信号を出力するように共に構成され得、複数の異なる増幅された入力信号の各々は、異なる電力に増幅される。いくつかの例では、複数の電力増幅器の第1の電力増幅器は、第1の電力レベルに増幅された第1の増幅された入力信号を出力するように構成され得、複数の電力増幅器の第2の電力増幅器は、第1の電力レベルとは異なる第2の電力レベルに増幅された第2の増幅された入力信号を出力するように構成され得る。第1の電力増幅器は、第2の電力増幅器と同じであり得る。第1の電力増幅器は、第1の電力増幅器によって提供される電力増幅が、第2の電力増幅器によって提供される電力増幅と異なるように制御され得る。他の例では、第1の電力増幅器は、第2の電力増幅器とは異なり得、異なる電力増幅レベルをもたらす。
【0012】
したがって、別の態様から見ると、本開示は、例えば、6GHzを上回る周波数でフェーズドアレイアンテナ装置を動作させる方法を提供する。本方法は、フェーズドアレイアンテナ装置を提供することを含む。フェーズドアレイアンテナ装置は、典型的には、フェーズドアレイ入力信号を受信するように構成されたフェーズドアレイ入力と、フェーズドアレイアンテナを形成するように共に構成された複数のサブアレイと、を備える。各サブアレイは、複数のアンテナ要素、例えば、少なくとも4つのアンテナ要素、入力信号を受信するように構成された入力、及び入力とそれぞれのアンテナ要素のアンテナとの間の複数のそれぞれのサブアレイ回路を備え得る。アンテナは、入力信号の送信のためのものである。本方法は、複数のサブアレイの各々に入力として提供するために、フェーズドアレイ入力信号を少なくとも2つの異なるそれぞれの電力レベルに増幅することを更に含む。本方法は、アンテナから入力信号を送信することを更に含む。こうして、各サブアレイにおける電力レベルは、前述の理由のために非効率的であり得るサブアレイの各アンテナ要素において別個の増幅を必要とせずに、フェーズドアレイアンテナの異なる領域において異なり得る。異なるそれぞれの電力レベルは、フェーズドアレイ入力信号の増幅を第1の電力レベルに提供するための第1の電力増幅器と、フェーズドアレイ入力信号の増幅を第1の電力レベルとは異なる第2の電力レベルに提供するための第2の電力増幅器と、を使用することによって、提供され得る。
【0013】
本方法は、1つ以上のサブアレイ回路において、アンテナへの伝搬中に、入力信号の位相を調整することを含み得る。本方法は、サブアレイ回路の1つ以上において、入力信号を減衰させることを含み得る。本方法は、サブアレイ回路のうちの1つ以上において、入力信号を切り替えてルーティングすることを含み得る。
【0014】
フェーズドアレイアンテナ装置内の複数のサブアレイの中央サブアレイに増幅された入力信号を提供する複数の電力増幅器のうちの第1の電力増幅器は、フェーズドアレイアンテナ装置内の複数のサブアレイの周辺サブアレイに増幅された入力信号を提供する複数の電力増幅器のうちの第2の電力増幅器よりも大きい電力にフェーズドアレイ入力信号を増幅するように構成され得る。こうして、電力増幅器から出力される振幅は、フェーズドアレイアンテナの動作効率を改善するために有利であり得るように、フェーズドアレイにわたってテーパ状にすることができる。これは、振幅テーパリングと称されることもある。言い換えると、フェーズドアレイアンテナのエッジにより近いサブアレイに提供される増幅された入力信号の振幅は、フェーズドアレイアンテナの中心により近いサブアレイに提供される増幅された入力信号の振幅よりも小さくなるように構成されている。このようにして、フェーズドアレイアンテナの送信ビームは、特に効率的に形作ることができる。
【0015】
フェーズドアレイアンテナ装置は、テスト機器をそれに接続するための複数のテストポートを備え得る。テスト機器は、フェーズドアレイアンテナ装置の位相及び振幅応答を評価し、任意選択的に整列させるための信号分析器を備え得る。信号分析器は、隣接チャネル電力比(ACPR)及びスプリアスエミッションなどの1つ以上の非線形応答を更に評価し、任意選択的に整列させ得る。各テストポートは、それぞれのサブアレイの複数のサブアレイ回路内に提供され得る。いくつかの例では、複数のテストポートは、複数の電力増幅器が複数のサブアレイ回路を介して複数のサブアレイの各々の複数のアンテナ要素と信号通信しているときに、テスト機器のそれへの接続を可能にする。他の例では、複数のテストポートは、複数の電力増幅器が複数のサブアレイ回路を介して複数のサブアレイの各々の複数のアンテナ要素と信号通信しているときに、テスト機器のそれへの接続のためにアクセスすることができない。重要なことに、複数のテストポートを含めることにより、フェーズドアレイアンテナ装置の少なくとも電力増幅器を、しばしば不正確、高価かつ時間のかかる無線経由(OTA)テスト手順に依存することなくテストすることが可能になる。いくつかの例では、サブアレイまでのフェーズドアレイアンテナ装置の実質的に全体の送信/受信チェーンは、上述の様態でテストすることができる。場合によっては、テストは、複数の電力増幅器からのそれぞれの出力に各サブアレイの入力を接続する前に、フェーズドアレイアンテナ装置の製造中に完了される。そのような場合、複数のテストポートは、その後、複数の電力増幅器からのそれぞれの出力への各サブアレイの入力の接続のために再利用することができる。
【0016】
サブアレイ回路は、アンテナ要素の1つ以上の電気構成要素を備え得る。
少なくとも1つのサブアレイ回路は、入力から受信した入力信号を減衰させる減衰器を備え得る。少なくとも1つのアンテナ要素は、減衰器を備え得る。2つ以上のサブアレイ回路は、それぞれの減衰器を備え得る。2つ以上のサブアレイの少なくとも1つのサブアレイ回路は、それぞれの減衰器を備え得る。いくつかの例では、全てのサブアレイ回路が、それぞれの減衰器を備え得る。こうして、サブアレイ回路内の個々の減衰器は、前述の振幅テーパリングの微調整を提供することができるが、振幅テーパリングの大部分は、フェーズドアレイアンテナ装置内の異なるサブアレイに対して異なる振幅を提供する電力増幅器の使用によって提供することができる。
【0017】
減衰器は、入力信号の信号電力を低減させるように配置された任意の構成要素であることが理解されるであろう。減衰量は、制御可能であり得る。典型的には、本明細書に記載される減衰器は、抵抗減衰器である。言い換えると、信号電力の低減は、典型的には、抵抗構成要素を使用して達成される。別の見方をすると、減衰器は、典型的には、能動構成要素において必要とされるような、能動手段を使用して減衰を達成するための別個の電源を必要としないとみなされ得る。典型的には、減衰器は、入力信号のRF信号電力を低減させるように構成されている。
【0018】
減衰器は、受動減衰器であり得る。したがって、減衰器は、入力信号を減衰させるために、実質的に外部電力を使用しない(例えば、外部電力なし)。受動減衰器による減衰は、典型的には、減衰される入力信号とは別個の電源から受動減衰器に供給される電力を必要としない。当然ながら、制御信号は、減衰器によって実行される減衰量を制御するために受動減衰器に提供され得るが、制御信号は電源とはみなされ得ないことが理解されるであろう。電力増幅器は典型的には別個の電源を必要とするため、1未満の利得を有する電力増幅器は、受動減衰器とはみなされ得ないことが更に理解されるであろう。減衰器は、時にはMEMS減衰器と称されるMEMSスイッチによって実現され得る。言い換えると、減衰は、1つ以上の小型化された機械的及び電気機械的要素によって提供され得る。MEMS減衰器のための配置は、当業者に既知であることが理解されるであろう。
【0019】
増幅された入力信号の受動減衰及び電力増幅のうち、増幅された入力信号の受動減衰のみが、複数のサブアレイ回路のうちの少なくとも1つにおいて実行され得ることがあり得る。言い換えると、電力増幅は、複数のサブアレイ回路のうちの少なくとも1つにおいて実行されない。こうして、複数のサブアレイ回路のうちの少なくとも1つを形成する電気構成要素に対する電力要件が低減される。典型的には、複数のサブアレイ回路の電気構成要素のうちの少なくとも1つ(例えば、複数、場合によっては各々)がそれぞれのアンテナ要素上に提供され、アンテナ要素への電力要件もまた低減されることも意味する。いくつかの例では、電力増幅は、複数のサブアレイ回路のいずれにおいても実行されない。
【0020】
入力は、入力ポートであり得る。このようにして、各サブアレイは、増幅された入力信号を受信するための入力ポートを備え得る。入力ポートとそれぞれのサブアレイ回路のアンテナとの間の、入力ポートで受信された増幅された入力信号を修正するための1つ以上の能動構成要素及び1つ以上の受動構成要素のサブアレイ回路の少なくとも1つにおいて、1つ以上の受動構成要素のみが存在し得る。
【0021】
受動構成要素は、受動構成要素の動作によって受動構成要素が動作する入力信号の全体的な電力が増加しない構成要素であることが理解されるであろう。言い換えると、受動構成要素は、動作中に外部電力をほとんど消費しないか、又は実質的に外部電力を全く消費しないことさえある(例えば、外部電力なし)。受動構成要素の動作は、典型的には、受動構成要素が動作するように構成されている入力信号とは別個の電源から受動構成要素に供給される電力を必要としない。当然ながら、受動構成要素によって実行される動作を制御するために、制御信号が受動構成要素に提供され得るが、制御信号は電源であるとはみなされ得ないことが理解されるであろう。逆に、能動構成要素は、能動構成要素の動作によって、能動構成要素が動作する入力信号の全体的な電力が増加し、増加した電力は、典型的には、能動構成要素とは別個の電源から供給される構成要素である。電力増幅器は、能動構成要素の一例である。能動構成要素は、典型的には、能動構成要素がアンテナ要素上に提供される場合、アンテナ要素から離れてルーティングされる必要があるかなりの量の熱を生成する。受動構成要素はまた、熱を生成し得るが(例えば、抵抗減衰器)、生成された熱の量は、典型的には、多くの能動構成要素よりも少ない。このため、サブアレイ回路内で1つ以上の受動構成要素のみを使用することは、アンテナ要素がその上に提供されるそのような重要な熱管理を必要としないことを保証する。前述のように、これは、そのようなアンテナ要素が、より簡略的な構造、及びより少ない信号劣化を有することを可能にする。典型的には、受動構成要素を制御するためのいかなる制御信号もまた、比較的低電力であり得、電源とみなすことはできない。いくつかの例では、入力ポートとサブアレイ内の各アンテナとの間のサブアレイ回路において、1つ以上の能動構成要素及び1つ以上の受動構成要素のうち、1つ以上の受動構成要素のみが存在する。このため、上記の利点は、サブアレイ内の全てのアンテナ要素、及び/又はフェーズドアレイアンテナ装置内の全てのサブアレイに適用することができる。したがって、サブアレイは、その上に提供されるそのような重要な熱管理を有する必要がない場合がある。
【0022】
典型的には、本明細書に記載の受動構成要素は、それへの入力信号のDC電力に実質的に影響を及ぼさず、意図的なRF減衰によるものか、又は受動構成要素内の固有のRF損失を通じて、入力信号のRF電力を低減する。
【0023】
1つ以上の受動構成要素のうちの少なくとも1つには、それぞれの受動構成要素の動作を制御するための低電流制御信号が提供され得る。低電流制御信号は、100ミリアンペア未満の最大電流を有するように構成され得る。最大電流は、50ミリアンペア未満であり得る。最大電流は、20ミリアンペア未満であり得る。このため、受動構成要素は、低電力制御信号のみによって動作可能であり、これは、動作中に任意の制御信号から非常に少量の熱のみが生成されることを意味する。
【0024】
いくつかの例では、フェーズドアレイアンテナ装置の各サブアレイは、フェーズドアレイアンテナ装置の別個の物理的ボード上に提供され得ることが理解されるであろう。他の例では、サブアレイは、論理構造物であることが理解され、その構成要素は、別個に配置された複数の異なるボード上に提供することができる。
【0025】
1つ以上の受動構成要素は、1つ以上のMEMS構成要素を備え得る。MEMS構成要素は、典型的には受動構成要素であることが理解されるであろう。1つ以上のMEMS構成要素は、1つ以上のMEMSスイッチを備え得る。
【0026】
1つ以上のMEMS構成要素は、減衰を提供するように構成され得る。1つ以上のMEMS構成要素は、位相シフトを提供するように構成され得る。1つ以上のMEMS構成要素は、RFスイッチングを提供するように構成され得る。1つ以上のMEMS構成要素は、インピーダンスチューニングなどのRFチューニングを提供するように構成され得る。こうして、アンテナ要素のための入力ポートとアンテナ要素のアンテナとの間の信号経路で実行される、信号上の実質的に必要な全ての動作は、MEMS構成要素などの受動構成要素を使用して実行することができる。このようにしてMEMS構成要素を使用することは、特に低いRF損失をもたらし、信号の更なる増幅が、アンテナからの送信に成功するために、アンテナ要素において必要とされないことを意味する。いくつかの例では、1つ以上のMEMS構成要素は、信号経路内の増幅された入力信号への減衰、位相シフト、RFチューニング、及びRFスイッチングのうちの少なくとも2つを提供するように構成されている。いくつかの例では、1つ又は複数のMEMS構成要素は、減衰、位相シフト、RFチューニング、及びRFスイッチングの全てを提供するように構成されている。典型的には、MEMS構成要素は、減衰、位相シフト、RFチューニング、及びRFスイッチングのうちの1つ以上を提供するように構成された1つ以上のMEMSスイッチであり得る。
【0027】
このようにしてMEMS構成要素の使用は、サブアレイ内の各アンテナのための各入力信号がすでにサブアレイに対する電力増幅器によって増幅されている前述の構成の使用によって特に可能とされることが理解されるであろう。サブアレイでは、典型的には、フェーズドアレイ装置の効率的な動作のために必要とされる振幅テーパリングを提供するために、各それぞれのアンテナに対して入力信号の電力レベルの小さな調整(すなわち、減衰)のみが必要とされる。より大きな減衰が必要な場合、少なくともいくつかのMEMS減衰器の設計が不適切になり、システムの効率を低下させる場合がある。
【0028】
いくつかの例では、電力増幅器とアンテナとの間の送信経路内のアンテナ要素の構成要素の各々は、低損失構成要素である。言い換えると、構成要素の固有のRF損失(意図的ではない)は低い。例えば、30GHzなどの高周波数での構成要素のRF損失は、0.5~2.5dBの範囲である。これは、サブアレイが提供される電力増幅器が、サブアレイの複数のアンテナ要素から離れている場合に望ましいことが理解されるであろう。アンテナ要素の構成要素が低損失とはみなされ得ない損失を提示する場合、電力増幅器をアンテナ要素から離して位置付けることができない。したがって、電力増幅器とアンテナとの間の送信経路に低損失構成要素を使用することによって、電力増幅器は、例えば、アンテナ要素と同じボード上に提供される必要はない。このようにして、サブアレイのアンテナ要素が提供されるボードの冷却要件及び/又は複雑さを低減することができる。
【0029】
本明細書で使用される場合、「低損失」という用語は、RF信号の固有の電力損失が低いことを意味すると理解される。当然ながら、制御可能な減衰器は、最小損失が低い場合(例えば、0.5~2.5dB)、更には、減衰器が入力信号をより大きい範囲で減衰させる(例えば、最大15.5dBのRF減衰を提供する)ように制御することができる場合であっても、低損失構成要素であるとみなすこともできることが理解されるであろう。
【0030】
信号修正構成要素は、信号の少なくとも1つの周波数の位相シフトを引き起こすための実質的に任意の構成要素であることが理解されるであろう。いくつかの例では、信号修正構成要素は、信号の伝搬を遅延させるために時間遅延構成要素によって実装され得る。他の例では、信号修正構成要素は、信号の少なくとも1つの周波数について信号の位相を改変するために位相シフト構成要素によって実装され得る。位相シフト構成要素が、信号の伝搬を実質的に遅延させることなく、信号の位相を改変する場合がある。そのような構成要素は、フェーズドアレイアンテナのビーム(送信機又は受信機ビーム)を電子的に「操縦」するために、異なるアンテナへの信号の位相を異なる量だけ遅延又はシフトさせるためにフェーズドアレイアンテナにおいて必要とされる。
【0031】
各信号修正構成要素は、入力信号に位相シフトを付与して、それによってアンテナへの入力信号の位相を全波長未満の量だけ改変するために1つ以上の位相シフタを備え得る。信号修正構成要素は、必要な位相シフトの全てを付与するように配置された単一の位相シフタ構成要素によって、又は代替的に、各々が必要な位相シフトの全体の一部のみを付与するように配置された複数の位相シフタ構成要素によって実現され得ることが理解されるであろう。典型的には、1つ以上の位相シフタは、アンテナ要素への入力信号に付与される位相シフトの量を制御するように制御可能である。このようにして、所与のアンテナ要素に対して付与される位相シフトは、所与の用途に対して送信ビームを最も効率的な方向(又は複数の方向)に操縦するために必要に応じて変更することができる。
【0032】
1つ以上の位相シフタは、1つ以上の受動位相シフタであり得る。こうして、1つ以上の位相シフタは、1つ以上の位相シフタへの外部電源を有することなく、入力信号の位相を改変するように構成されている。1つ以上の位相シフタは、1つ以上のMEMS位相シフタであり得る。
【0033】
別の例では、信号修正構成要素は、入力信号のアンテナへの伝搬を遅延させるための真の時間遅延構成要素を備え得る。
【0034】
少なくとも1つのサブアレイは、1つ以上のRFスイッチを更に備え得る。少なくとも1つのサブアレイ回路は、1つ以上のRFスイッチのうちのRFスイッチを更に備え得る。RFスイッチは、1つ以上の代替送信経路を通して交流(例えば、高周波)信号をルーティングするための実質的に任意のデバイスであることが理解されるであろう。例えば、RFスイッチは、各々がアンテナにおいて信号に異なるそれぞれの偏波を適用するために、複数の送信経路のうちの1つを通して信号をルーティングするために使用することができる。別の例では、RFスイッチは、所望の選択可能な位相シフトのためにハイパス又はローパスネットワークトポロジを選択するために使用される。いくつかの例では、RFスイッチは、フェーズドアレイアンテナが送信モード又は受信モードで動作されるかどうかに応じて、送信経路を改変するために提供され得る。
【0035】
RFスイッチは、受動構成要素であり得る。このように、RFスイッチは、典型的には、外部電源を必要としない。前述のように、制御信号は、外部電源とはみなされ得ないことが理解されるであろう。RFスイッチは、MEMS RFスイッチであり得る。
【0036】
具体的には、PINダイオードベースのRFスイッチは、PINダイオードが、スイッチングを実行するために外部電源を典型的には必要としないため、受動構成要素の例とみなされ得ることが理解されるであろう。
【0037】
複数のサブアレイ回路内の少なくとも1つの電気構成要素は、入力信号を選択的に(例えば、制御可能に)改変するように構成され得る。
【0038】
複数のサブアレイ回路のうちの少なくとも1つは、複数のサブアレイ回路のうちの少なくとも1つの他の回路とは独立して制御可能であり得る(すなわち制御される)。複数のサブアレイ回路のうちの少なくとも1つは、複数のサブアレイ回路のうちの少なくとも1つの他の回路と同じサブアレイであり得る。言い換えると、同じサブアレイのサブアレイ回路は、必要に応じて異なって構成することができる。
【0039】
フェーズドアレイアンテナ装置は、複数のサブアレイ回路を制御するように構成された少なくとも1つのコントローラを更に備え得る。本方法は、複数のサブアレイ回路を制御することを含み得る。
【0040】
各サブアレイには、サブアレイのサブアレイ回路の各々を制御するための別個のそれぞれのコントローラが提供され得る。このため、第1のサブアレイのサブアレイ回路の各々を制御するための制御回路の少なくとも一部分は、第2のサブアレイのサブアレイ回路の各々を制御するための制御回路の少なくとも一部分とは別個であり得る。
【0041】
フェーズドアレイアンテナ装置は、それぞれのサブアレイ回路に増幅された入力信号を提供する電力増幅器の各々を全般的に制御するために、サブアレイから離れて提供された更なる制御回路を備え得ることが理解されるであろう。
【0042】
1つ以上の電力増幅器には、それぞれのサブアレイで電力の指標を提供するための電力モニタが提供され得る。こうして、電力増幅器からの増幅出力は、キャリブレーション中及び/又は動作中に監視することができる。いくつかの例では、電力増幅器の各々の増幅出力を監視することができるように、電力増幅器の各々には電力モニタが提供されている。
【0043】
電力増幅器のうちの1つ以上は、高調波チューニングを提供するように構成され得る。そのような機能性は、専用の電力増幅器がサブアレイ内のサブアレイ回路の各々に提供される場合、典型的には、提供するのに経済的に実現可能ではないことが理解されるであろう。高調波チューニングは、最適化された電力増幅器効率及び低減されたスプリアスエミッションを提供することができる。
【0044】
電力増幅器のうちの1つ以上は、DC/DC変換を提供されるように構成され得る。DC/DC変換は、電力増幅器が、効率劣化がほとんどなく、低電力レベルで使用されることを可能にする。
【0045】
電力増幅器のうちの1つ以上は、ドハーティ構成又はアウトフェーズ構成で動作するように構成され得る。これらの構成は、標準の電力増幅器と比較して電力が低減されるため、大幅な効率改善を提供する。
【0046】
複数のサブアレイは、少なくとも5個であり得る。複数のサブアレイは、少なくとも10個であり得る。
【0047】
フェーズドアレイアンテナ装置におけるアンテナ要素の総数は、少なくとも100個であり得る。フェーズドアレイアンテナ装置におけるアンテナ要素の総数は、少なくとも1000個であり得る。
【0048】
フェーズドアレイアンテナ装置におけるサブアレイ回路の総数は、少なくとも100個であり得る。フェーズドアレイアンテナ装置におけるサブアレイ回路の総数は、少なくとも1000個であり得る。
【0049】
電力増幅器の総数は、フェーズドアレイアンテナ装置内のサブアレイ回路(例えば、アンテナ要素)の総数よりも少ない場合がある。
【0050】
各サブアレイは、少なくとも9個のアンテナ要素を備え得る。各サブアレイは、少なくとも16個のアンテナ要素を備え得る。各サブアレイは、少なくとも9個のサブアレイ回路を備え得る。各サブアレイは、少なくとも16個のサブアレイ回路を備え得る。
【0051】
電力増幅器の総数は、サブアレイの総数よりも少ない場合がある。
本開示の別の態様によれば、フェーズドアレイアンテナ装置をテストする方法が提供される。本方法は、複数の電力増幅器と、それぞれのサブアレイ上に提供された複数のアンテナ要素との間のそれぞれのRF信号経路に提供された複数のテストポートを有する実施形態において、前述したフェーズドアレイアンテナ装置を提供することと、フェーズドアレイアンテナ装置の複数のテストポートにテスト機器を接続して、フェーズドアレイアンテナ装置内の複数の電力増幅器によって出力されるRF信号の1つ以上の信号特性をテストすることと、を含む。
【0052】
こうして、複数の電力増幅器の機能を含むフェーズドアレイアンテナ装置の機能は、時間がかかり、かつ高価な無線経由(OTA)テスト手順の使用を必要とすることなくテストすることができる。このような可能性は、出力信号を複数のサブアレイ回路に提供し、典型的にはサブアレイ回路から離れて提供される電力増幅器の提供によって可能になる。典型的には、電力増幅器は各々、50Ωの出力インピーダンスなどの標準出力インピーダンスを有する。前述のように、いくつかの例において、テストは、フェーズドアレイアンテナ装置が完全に組み立てられる前、すなわち、複数のサブアレイがフェーズドアレイアンテナ装置の電力増幅器に取り付けられる前に実行することができる。
【0053】
50Ωの出力インピーダンスなどの標準出力インピーダンスを有するテストポートを有することにより、送信構成及び受信構成のいずれか又は両方において、フェーズドアレイアンテナ装置の機能性を評価することができることが理解されるであろう。
【0054】
本開示の更なる態様によれば、フェーズドアレイアンテナ装置を組み立てる方法が提供される。本方法は、フェーズドアレイアンテナ装置の第1の部分を提供することを含む。第1の部分は、複数の中間接続ポートと、各々が入力及び出力を有する複数の電力増幅器と、複数の電力増幅器の各々の入力とRF信号通信するフェーズドアレイ入力ポートと、を備える。各それぞれの電力増幅器の出力は、複数の中間接続ポートのそれぞれ1つとRF信号通信している。本方法は、テスト機器を中間接続ポートの1つ以上に接続することと、テスト機器を使用して第1の部分にテスト手順を実行することと、フェーズドアレイアンテナ装置の第2の部分を提供することと、を更に含む。第2の部分は、フェーズドアレイアンテナを形成するように共に構成された複数のサブアレイを備え、各サブアレイは、サブアレイ接続ポート、複数の(例えば、少なくとも4つの)アンテナ要素、及びサブアレイ接続ポートとそれぞれのアンテナ要素のアンテナとの間の複数のそれぞれのサブアレイ回路を備える。各サブアレイ回路は、サブアレイ回路への入力信号として、それぞれのサブアレイ接続ポートを介して増幅された入力信号が提供されるように配置される。アンテナは、入力信号の送信のためのものである。各サブアレイ回路は、入力信号のアンテナへの伝搬を遅延させるための信号遅延構成要素を備える。本方法は、第1の部分の各中間接続ポートを、第2の部分のそれぞれのサブアレイ接続ポートに接続して、フェーズドアレイアンテナ装置を組み立てることを更に含む。組み立てられると、フェーズドアレイ入力ポートに印加されるフェーズドアレイ入力信号は、中間接続ポート、サブアレイ接続ポート、及びサブアレイ回路を介して、前方送信のために複数のアンテナに提供される。
【0055】
テスト機器は、接続プローブを介して中間接続ポートの1つ以上に接続され得ることが理解されるであろう。
【0056】
こうして、前述のように、複数のテストポート(上記で中間接続ポートと称される)は、最初にテスト機器のそれへの接続のために使用され得、その後、第2の部分のそれへのサブアレイ接続ポートの接続によってフェーズドアレイアンテナ装置の更なる組み立てのために使用され得る。このようにして、一旦組み立てられると、テストポートをフェーズドアレイアンテナ装置内に提供し続ける必要はない。
【0057】
こうして、本開示のなお更なる態様によれば、6ギガヘルツを上回る周波数で動作するためのフェーズドアレイアンテナ装置が提供される。装置は、各々複数のサブアレイのそれぞれの1つに接続するための複数の中間接続ポートを備える。各サブアレイは、複数の(例えば、少なくとも4つの)アンテナ要素、及び、サブアレイの入力と少なくとも4つのアンテナ要素のそれぞれのアンテナとの間の複数のサブアレイ回路を備える。装置は、複数の電力増幅器を備え、各々が、入力及び出力を有し、各それぞれの電力増幅器の出力が、複数の中間接続ポートのそれぞれ1つとRF信号通信する。装置は、複数の電力増幅器の各々の入力とRF信号通信するフェーズドアレイ入力ポートを備える。
【0058】
本開示は、前述の特徴のうちのいずれかの機能を(任意の組み合わせで)実行すること、並びに前述の方法機能のうちのいずれか1つ以上を実行するように構成された構成要素に及ぶことが理解されるであろう。
【0059】
上記の開示は、受信機として使用するためのフェーズドアレイアンテナ装置を対象としているが、実質的に同様のフェーズドアレイアンテナ装置はまた、受信機構成でも使用され得ることが理解されるであろう。
【0060】
ここで、本発明の例示的な実施形態を、以下の図面を参照して例解する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】本明細書に開示されるフェーズドアレイアンテナ装置の一部分の概略図を示す。
図2図1に示されるフェーズドアレイアンテナ装置の一部分の概略図を示す。
図3】本明細書に開示されるフェーズドアレイアンテナ装置の更なる概略例解図を示す。
図4】本明細書に開示されるフェーズドアレイアンテナ装置の例の概略図を示す。
図5】本明細書に開示されるフェーズドアレイアンテナ装置に関連する方法を例解するフローチャートを示す。
図6】本明細書に開示されるフェーズドアレイアンテナ装置に関連する方法を例解する更なるフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
前述のように、本発明者らは、フェーズドアレイアンテナ装置は、各々が複数のアンテナ要素を有する複数のサブアレイと、入力信号を受信するように構成された入力と、入力とそれぞれのアンテナ要素との間に複数のそれぞれのサブアレイ回路と、を有して、形成することができることを認識した。装置はまた、複数の電力増幅器を備える。各サブアレイのサブアレイ回路は、入力を介して、複数の電力増幅器のうちの1つに接続される。電力増幅器は、フェーズドアレイ入力信号を増幅して、増幅された入力信号を入力における入力信号として提供するように構成されている。
【0063】
結果として、各アンテナ要素への入力信号を増幅するためのフェーズドアレイアンテナを典型的に含む従来技術のフェーズドアレイアンテナと比較して、より少ない電力増幅器が提供される。必要とされる電力増幅器の数を低減することにより、フェーズドアレイアンテナの冷却要件も低減される。更に、電力増幅器をアンテナ要素から離して位置付けることにより、アンテナ要素で必要とされる冷却が低減され、あまり複雑でない、及び/又はより弾力的なフェーズドアレイアンテナがもたらされる。なお更に、より少ない電力増幅器を使用することによって、製造のために比較的簡略的な(したがって、費用対効果の高い)フェーズドアレイアンテナを提供しながら、機能性、精度、及び/又は信頼性が改善された電力増幅器を使用することが、より経済的及び/又は技術的に実現可能である。
【0064】
図1は、本明細書に開示されるフェーズドアレイアンテナ装置の一部分の概略図を示す。フェーズドアレイアンテナ装置100は、フェーズドアレイ入力信号102を受信するように構成されている。フェーズドアレイ入力信号102は、フェーズドアレイアンテナ装置100による送信のための入力信号である。典型的には、フェーズドアレイ入力信号は、典型的にはキャリア信号上で符号化されたデータ信号を含む。フェーズドアレイアンテナ装置100からのフェーズドアレイ入力信号102の送信の前に、フェーズドアレイ入力信号のデータ信号は高周波数キャリア信号上で符号化される。高周波数キャリア信号は、典型的には、約6ギガヘルツ以上、例えば、10ギガヘルツ超又は更に高い周波数を有する。いくつかの例では、データ信号は、フェーズドアレイ入力信号102を形成するために高周波数キャリア信号上で符号化され得る。他の例では、データ信号は、フェーズドアレイアンテナ装置内の後続の信号処理中に高周波数キャリア信号上で符号化される。データ信号は、振幅変調、周波数変調、位相変調、又はキャリア周波数の実質的に任意の他の変調を含む、当業者に既知の技術の実質的にいずれかを使用して、キャリア信号上で符号化され得ることが理解されるであろう。図1は、フェーズドアレイアンテナ装置の簡略化された概略図を示す。したがって、図1には示されていない更なる要素が、フェーズドアレイアンテナ装置の少なくともいくつかの実装形態において提供され得ることが理解されるであろう。
【0065】
フェーズドアレイ入力信号102は、典型的には、少なくともある程度すでに増幅されている。フェーズドアレイ入力信号102は、フェーズドアレイ入力信号102を複数の(この場合は4つの)送信経路106a、106b、106c、106dに分割するためにスプリッタ104に入力される。各送信経路106a、106b、106c、106dは、フェーズドアレイアンテナ装置100の異なるサブアレイ108a、108b、108c、108dに方向付けられる。具体的には、各送信経路106a、106b、106c、106dは、それぞれのサブアレイ108a、108b、108c、108dのサブアレイ入力109a、109b、109c、109dに方向付けられる。
【0066】
本明細書で使用される場合、いくつかの例では、「サブアレイ」という用語は、フェーズドアレイアンテナ装置100内の別個の物理モジュールを意味することが理解されるであろう。他の例では、「サブアレイ」という用語は、第1のサブアレイ108aのいくつかの構成要素が、第2のサブアレイ108bの1つ以上の構成要素と同じボード上に併置されている場合であっても、フェーズドアレイアンテナ装置内の別個の論理モジュールを意味することが理解されるであろう。
【0067】
電力増幅器は、112a、112b、112c、112dであり、スプリッタ104と入力109a、109b、109c、109dとの間の送信経路106a、106b、106c、106dの各々に配置される。各電力増幅器112a、112b、112c、112dは、スプリッタ104を介して増幅のためにフェーズドアレイ入力信号102を受信し、それぞれの増幅された入力信号をそれぞれのサブアレイ108a、108b、108c、108dのそれぞれの入力109a、109b、109c、109dに出力するように構成されている。電力増幅器112a、112b、122c、112dによる増幅は、フェーズドアレイアンテナ装置100から送信されると、信号が十分な距離を伝搬するのに十分な電力を有するために必要である。
【0068】
電力増幅器112a、112b、112c、112dの各々の増幅レベルは、独立して制御可能である。典型的には、電力増幅器112a、112b、112c、112dからの複数の増幅された入力信号の電力レベルは、電力レベルのうちの少なくとも1つが電力レベルのうちの少なくとも1つの他のものと異なるように制御される。典型的には、電力増幅器112a、112b、112c、112dのうちの少なくとも1つは、電力増幅器112a、112b、112c、112dのうちの少なくとも1つの他のもとは異なる。
【0069】
サブアレイ108a、108b、108c、108dにおいて、入力109a、109b、109c、109dで受信された増幅された入力信号は、複数のサブアレイ回路(図1に標識されていない)を通って方向付けられる。サブアレイ108a、108b、108c、108dは、入力109a、109b、109c、109dで受信された増幅された入力信号を、4つのアンテナ要素(図1において120a、120b、120c、120dとしてグループ化されて示される)への前方伝搬のために4つのサブアレイ回路に分割するために、サブアレイ108a、108b、108c、108dの複数のサブアレイ回路の各々に配置された更なるスプリッタ118a、118b、118c、118dを備える。
【0070】
図1を参照して説明したスプリッタの各々は、iが2より大きい1~iスプリッタとして直接実装することができることが理解されるであろう。この特定の実施形態が説明されてきたが、信号を必要とされる数の信号経路に分割する実質的に任意のスプリッタ配置が使用され得ることが理解されるであろう。
【0071】
制御回路170もまた、示されている。簡略的にするために、制御回路170は単に、第1の送信経路106a上の第1の電力増幅器112aに、及び第1のサブアレイ108a内の関連付けられた第1のグループのアンテナ要素120aに接続されて示されている。それにもかかわらず、制御回路は、典型的には、他の電力増幅器112b、112c、112d、及び他のグループのアンテナ要素120b、120c、120dの各々に提供されることが理解されるであろう。制御回路170は、コントローラ172からの1つ以上の制御信号を搬送して電力増幅器112a、及びアンテナ要素120aの動作を制御する。
【0072】
電力増幅器112a、112b、112c、112dを入力109a、109b、109c、109dに接続するフェーズドアレイアンテナ装置100の部分は、フェーズドアレイアンテナ装置100の組み立て中に、電力増幅器112a、112b、112c、112dを含むフェーズドアレイアンテナ装置の一部分の動作をテストするためのテストポートとして、各々機能することができる。
【0073】
サブアレイ108a、108b、108c、108dの構成要素、具体的にはアンテナ要素120a、120b、120c、120dは、図2及び図3を参照して更に説明される。
【0074】
図2は、フェーズドアレイアンテナ装置の一部分の更なる例を示す。フェーズドアレイアンテナ装置200は、以下に説明する区別は別として、図1を参照して前述したフェーズドアレイアンテナ装置100と実質的に同様である。同様の数字は、同様の特徴を指すために使用され、数字の最初の桁は図を表す。更に、図2はまた、図1を参照して説明されるアンテナ要素120a、120b、120c、120dの構造及び機能に関する更なる詳細を提供する。
【0075】
スプリッタ204は、フェーズドアレイ入力信号202をN個の送信経路206a~206nに分割するように構成されている。図2は、第1の送信経路206aにおいて実行される信号処理動作を示すが、同様の信号処理動作は、他の信号経路においても実行され得ることが理解されるであろう。
【0076】
フェーズドアレイ入力信号202がスプリッタ204によって分割された後、第1の送信経路206aは、アップコンバータ210を通過して、フェーズドアレイ入力信号202の周波数を第1の周波数から第1の周波数よりも高い第2の周波数に変更し、フェーズドアレイアンテナ装置200から送信される。
【0077】
次にアップコンバートされた信号は、電力増幅器212で増幅される。電力増幅器212の増幅レベルは、振幅コントローラ214からの信号に基づいて設定される。アップコンバータ210の増幅レベルはまた、振幅コントローラ214によって制御される。振幅コントローラ214は、更なる制御回路(図示せず)によって制御される。この例では、振幅コントローラ214からの信号は、特に効率的な実装を提供するために、制御入力を電力増幅器212に提供する前に、DC/DC電圧コンバータ216を通して更に渡される。
【0078】
更なるスプリッタ218での信号の更なる分割に続いて、信号の各々は、アンテナ要素220に渡される。図2において、サブアレイ208への入力は、更なるスプリッタ218がサブアレイ208の一部であるように、電力増幅器212と更なるスプリッタ218との間に提供されることが理解されるであろう。アンテナ要素220は、更なるスプリッタ218からアンテナ要素220に入力される信号を更に修正するために、複数の更なる構成要素222、224、226、228を備える。最終的に、修正された信号は、アンテナ230を介してフェーズドアレイアンテナ装置200から送信される。
【0079】
位相シフタ222の形態の信号修正構成要素222は、更なるスプリッタ218からアンテナ230へのサブアレイ回路における信号の位相を改変する。位相シフタ222は、更なるスプリッタ218からそこへ伝搬される信号を有する他のアンテナ要素によって付与された1つ以上の位相シフトとは異なる位相シフトを付与するように制御可能である。このようにして、信号の位相は、フェーズドアレイアンテナ装置200の送信ビームを電子的に操縦するように修正することができる。
【0080】
減衰器224は、更なるスプリッタ218からアンテナ230への送信経路における信号の減衰を提供する。信号を減衰させることは、信号が全て同じ信号から生じ、電力増幅器212によって増幅されたにもかかわらず、サブアレイ208の複数のアンテナ230から送信される信号のテーパ状振幅プロファイルが提供されることを可能にすることが理解されるであろう。
【0081】
この例では、単極双投(SPDT)スイッチ226の形態のRFスイッチ226が提供されて、SPDTスイッチ226とアンテナ230との間のサブアレイ回路の2つの送信線のうちの1つのみに存在する偏波特定ルート228を通して信号を選択的にルーティングする。したがって、アンテナ230によって送信される信号の偏波は、SPDTスイッチ226の動作によって制御することができる。言い換えると、RFスイッチ226は、アンテナ230のための2つの送給ポートのうちの1つを選択するために使用される。各送給ポートは、アンテナにおいて異なる偏波を励起するように構成することができる。
【0082】
電力増幅器212とアンテナ要素230との間のサブアレイ208の構成要素の各々は、受動構成要素である。すなわち、電力増幅器212とアンテナ要素230との間のサブアレイ208の構成要素の各々は、信号の電力を増加させないように構成されている。更に、電力増幅器212とアンテナ要素230との間のサブアレイ208の構成要素の各々は、構成要素の動作のための電力要件が比較的低く、特に、電力増幅器212の電力要件よりも低いという点で、低電力構成要素である。更に、電力増幅器212とアンテナ要素230との間のサブアレイ208の構成要素の各々は、更なるスプリッタ218からアンテナ230への伝搬中に構成要素によって引き起こされる固有の信号損失が低く、例えば2.5dB未満であるという点で、低損失構成要素である。
【0083】
位相シフタ222、減衰器224、及びRFスイッチ226は各々、マイクロ電気機械システム(MEMS)構成要素として、当業者に既知の好適な実装形態のMEMSスイッチの形態で、実装される。したがって、構成要素222、224、226の配置、したがって、アンテナ要素自体220は、コンパクトである。
【0084】
位相シフタ222、減衰器224及びRFスイッチ226の制御は、制御回路(図示せず)から受信される制御信号によって提供される。制御回路は、サブアレイ208に、例えば、アンテナ要素220に、又はアンテナ要素220から離れて提供され得ることが理解されるであろう。いくつかの例では、制御回路は、フェーズドアレイアンテナ装置200のいくつかの部分の間に分散され得る。
【0085】
電力増幅器212は、いくつかの例では、追加の機能性を含み得る。例えば、電力増幅器212は、フェーズドアレイアンテナ装置200の効率を改善するために高調波チューニングを提供することができる。
【0086】
典型的には、フェーズドアレイアンテナ装置200の複数のサブアレイ208の各々における電力増幅器212は、フェーズドアレイアンテナ装置200の第1のサブアレイにおいて、第1の増幅された入力信号が第1の電力増幅器からアンテナ要素に提供され、フェーズドアレイアンテナ装置200の第2のサブアレイにおいて、第2の増幅された入力信号が第2の電力増幅器からアンテナ要素に提供されるように、各々異なる。第1の増幅された入力信号は、第2の増幅された入力信号よりも増幅される。第1のサブアレイは、第2のサブアレイよりもフェーズドアレイアンテナ装置の中心により近く取り付けられ得る。このようにして、フェーズドアレイアンテナ装置のサブアレイに対して振幅テーパリングが提供され得ることが分かる。所望の振幅テーパリングを達成するために必要な増幅を効率的に提供することができるように各増幅器を選択することによって、フェーズドアレイアンテナ装置の特に効率的な実装を提供することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、テストポートを、電力増幅器212からアンテナ230(図1には示さず)に向かう送信経路に提供することができる。このようにして、多くの場合、請負うのに時間がかかり、費用がかかり得る無線経由(OTA)アンテナテストを使用せずに、電力増幅器212を含むフェーズドアレイアンテナ装置200の性能をテストすることが可能であることが理解されるであろう。フェーズドアレイアンテナ装置200は、サブアレイ208のアンテナ要素220をそれに接続する前であっても、製造中にテストすることができる。当然ながら、テストは、典型的には電力増幅器212を含む、フェーズドアレイアンテナ装置200内の特定の構成要素のみのものであり得ることも理解されるであろう。
【0088】
上記の開示は、送信機として使用するためのフェーズドアレイアンテナ装置100、200を記載しているが、本明細書に記載されるフェーズドアレイアンテナ装置100、200は、代わりに又は追加的に受信機として更に使用され得ることが理解されるであろう。フェーズドアレイアンテナ装置が受信機として使用される例では、低ノイズ増幅器(LNA)が、典型的には、電力増幅器の代わりに、又は電力増幅器と並列の更なる送信経路に提供されることが理解されるであろう。低ノイズ増幅器は、フェーズドアレイ装置100、200のアンテナによって受信された信号を増幅するように構成されている。
【0089】
図3は、本明細書に開示されるフェーズドアレイアンテナ装置の更なる概略例解図を示す。フェーズドアレイアンテナ装置300は、サブアレイ308を形成する複数のアンテナ要素320a、320b、320c、320dを備える。複数のアンテナ要素は各々、スプリッタネットワーク318を介して電力増幅器312から増幅された入力信号を受信するように構成されている。受信構成において、低ノイズ増幅器332が、複数のアンテナ要素320a、320b、320c、320dの各々から受信信号を受信するように配置されている。図1及び図2のように、各それぞれのアンテナ330と電力増幅器312(又は低ノイズ増幅器332)との間の各送信経路(各サブアレイ回路と称されることもある)は、位相シフタ322の形態のそれぞれの信号修正構成要素322を備える。図3には示されていないが、各それぞれのアンテナ330と電力増幅器312(又は低ノイズ増幅器332)との間の送信経路の一部又は全てに、必要に応じて、RFスイッチ及び減衰器などの追加の構成要素も含まれ得ることも理解されるであろう。
【0090】
フェーズドアレイアンテナ装置300の動作モードに応じて、ミキサ334は、アップコンバータ又はダウンコンバータとして機能し得る。フェーズドアレイアンテナ装置300が送信動作モードで動作しているとき、ミキサ334は、アップコンバータとして機能する。フェーズドアレイアンテナ装置300が受信動作モードで動作しているとき、ミキサ334はダウンコンバータとして機能する。アップコンバータ及びダウンコンバータの動作は、当業者によって理解されるであろう。
【0091】
明確にするために、全ての要素が図3に標識されているわけではない。それにもかかわらず、図3は、サブアレイ308が各々位相シフタ322及びアンテナ330を有する16個のアンテナ要素320a、320b、320c、320dを備えるフェーズドアレイアンテナシステム300を例解することが理解されるであろう。
【0092】
図4は、本明細書に開示されるフェーズドアレイアンテナ装置の概略図を示す。フェーズドアレイアンテナ装置400は、第1のサブアレイボード402及び第2のサブアレイボード404を備える。2つのサブアレイボード402、404のみが示されているが、例えば、少なくとも4つ、少なくとも16、又は更に多くのサブアレイボードが存在し得ることが理解されるであろう。サブアレイボード402、404には各々、その上に製造されたアンテナ要素406のMEMS構成要素が提供され、また、その上に提供されたアンテナ(図示せず)を更に備える。マザーボード408は、サブアレイボード402、404の下側に取り付けられる。マザーボードは、複数の電力増幅器410を含む複数の増幅器を備え、各々、前述のように、サブアレイボード402、404上にそれぞれのサブアレイを形成する複数のアンテナ要素406に増幅された入力信号を供給するためのものである。
【0093】
マザーボード408から離れる熱伝達は、熱伝導スタンドオフ412(この例では、真鍮から形成された)を介して促進されて、熱をマザーボード308から離れて背面板414に伝導する。背面板414は、アルミニウムから形成される。
【0094】
図5は、組み立て中にフェーズドアレイアンテナをテストする方法を例解するフローチャートを示す。簡単に説明すると、方法500は、無線経由(OTA)テストを必要とせずに、組み立て中にフェーズドアレイアンテナ装置100、200、300、400の電力増幅器をテストすることを含む。
【0095】
方法500は、実質的に前述のように、フェーズドアレイアンテナ装置の第1の部分を提供すること510を含む。フェーズドアレイアンテナ装置の第1の部分は、フェーズドアレイ入力ポート、複数の電力増幅器、及び複数の中間接続ポートを備える。フェーズドアレイ入力ポートは、例えばテスト入力信号を含むフェーズドアレイ入力信号を受信するためのものである。フェーズドアレイ入力ポートは、複数の電力増幅器の各々の入力と信号通信する。複数の電力増幅器は各々、入力及び出力を有する。各電力増幅器の出力は、複数の中間接続ポートのそれぞれの1つと信号通信する。したがって、電力増幅器から出力される増幅された信号は各々、それぞれの中間接続ポートに提供される。
【0096】
方法500は、テスト機器を1つ以上の中間接続ポートに接続すること520を更に含む。テスト機器は、フェーズドアレイ入力信号として提供されるテスト入力信号に対する複数の中間接続ポートの各々における出力を検出及び測定するための実質的に任意の好適な機器であり得る。
【0097】
方法500は、テスト機器を使用して、フェーズドアレイアンテナ装置の第1の部分に対してテスト手順を実行すること530を更に含む。したがって、フェーズドアレイ入力ポートと電力増幅器の出力との間のフェーズドアレイアンテナ装置の構成要素のうちのいずれかの機能性は、テスト手順において評価することができる。
【0098】
本方法は、フェーズドアレイアンテナ装置の第1の部分の各中間接続ポートを、フェーズドアレイアンテナ装置の第2の部分に接続すること540を更に含む。フェーズドアレイアンテナ装置の第2の部分は、フェーズドアレイアンテナを形成するように共に構成された複数のサブアレイを備える。各サブアレイは、サブアレイ接続ポート、複数の(例えば、少なくとも4つの)アンテナ要素、及びサブアレイ接続ポートとそれぞれのアンテナ要素のアンテナとの間の複数のそれぞれのサブアレイ回路を備える。各サブアレイ回路は、サブアレイ回路への入力信号として、それぞれのサブアレイ接続ポートを介して増幅された入力信号が提供されるように配置される。アンテナは、入力信号を送信するように構成されている。各サブアレイ回路は、信号遅延構成要素を備える。信号遅延構成要素は、アンテナに対する入力信号の位相を調整するように構成されている。このようにして、組み立てられると、フェーズドアレイ入力ポートに印加されたフェーズドアレイ入力信号は、中間接続ポート、サブアレイ接続ポート、及びサブアレイ回路を介して、前方送信のために複数のアンテナに提供される。
【0099】
方法500のステップは、記載された順序で典型的に実行される。言い換えると、テスト手順を実行すること530は、通常、各中間接続ポートをフェーズドアレイアンテナ装置の第2の部分に接続すること540に先だって発生する。
【0100】
図6は、フェーズドアレイアンテナを動作させる方法を例解するフローチャートを示す。簡単に述べると、方法600は、フェーズドアレイ入力信号を少なくとも2つのそれぞれの異なる電力レベルに増幅すること、及びフェーズドアレイアンテナ装置のサブアレイへの入力として増幅された信号のうちの1つを提供することを含む。このようにして、増幅は、信号が分割されてサブアレイ内の個々のアンテナ要素に送信される前に実行される。
【0101】
方法600は、例えば、前述したように、フェーズドアレイアンテナ装置を提供すること610を含む。フェーズドアレイアンテナ装置は、フェーズドアレイ入力及び複数のサブアレイを備える。フェーズドアレイ入力は、フェーズドアレイ入力信号を受信するように構成されている。複数のサブアレイが、フェーズドアレイアンテナを形成するように共に構成されている。各サブアレイは、複数の(例えば、少なくとも4つの)アンテナ要素、入力、及び入力とそれぞれのアンテナ要素のアンテナとの間の複数のそれぞれのサブアレイ回路を備える。入力は、入力信号を受信するように構成されている。アンテナは、入力信号の送信のためのものである。
【0102】
方法600は、複数のサブアレイの各々に入力として提供するために、フェーズドアレイ入力信号を少なくとも2つの異なるそれぞれの電力レベルに増幅すること620を更に含む。
【0103】
方法600は、1つ以上のサブアレイ回路内のアンテナへの入力信号の位相を調整すること630を更に含む。いくつかの例では、方法600は、入力信号がアンテナで受信される前に入力信号に関して他の動作、例えば減衰及び/又は切り替えルーティングを実行することを更に含み得る。
【0104】
方法600は、アンテナから入力信号を送信することを更に含む。
本開示は、6ギガヘルツを超えるキャリア周波数に関連して説明されてきたが、他の例では、キャリア周波数は、6ギガヘルツ未満の周波数であっても、フェーズドアレイアンテナが使用され得る実質的に任意のキャリア周波数であり得ることが理解されるであろう。
【0105】
要約すると、6ギガヘルツを上回る周波数で動作するためのフェーズドアレイアンテナ装置(200)が提供されている。装置(200)は、フェーズドアレイアンテナを形成するように共に構成された複数のサブアレイ(208)を備え、各サブアレイ(208)は、少なくとも4つのアンテナ要素(220)であって、各アンテナ要素(220)は、サブアレイ(220)から入力信号を受信するためのものであり、入力信号を送信するためのアンテナ(230)を備える、少なくとも4つのアンテナ要素(220)と、アンテナ(230)への入力信号の位相を調整するための位相シフト構成要素(222)と、複数の電力増幅器(212)と、を備え、各サブアレイ(208)には、複数の電力増幅器(212)のうちの1つが提供されており、各サブアレイ(208)は、増幅された入力信号が提供されるように配置されており、サブアレイ(208)の各アンテナ要素(220)は、アンテナ要素(220)への入力信号としてそれぞれのサブアレイ(208)の増幅された入力信号が提供されるように構成されており、各サブアレイ(208)のための電力増幅器(212)は、増幅のためのフェーズドアレイ入力信号を受信するように、かつ、それぞれの増幅された入力信号を、それぞれのサブアレイ(208)に出力するように構成されている。
【0106】
特定の実施形態及び実施例に関連して本明細書に記載される特徴及び特性は、明示的に除外されない限り、本明細書に記載される任意の他の実施形態及び実施例に適用可能であるか、又はそうでなければ任意の好適な組み合わせで本開示の範囲内にあると理解されるであろう。本開示の範囲は、本明細書に記載される特定の実施例及び実施形態に限定されることを意図しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-01-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
6ギガヘルツを上回る周波数で動作するためのフェーズドアレイアンテナ装置であって、
フェーズドアレイアンテナを形成するように共に構成された複数のサブアレイを備え、前記複数のサブアレイは、各サブアレイが、少なくとも4つのアンテナ要素と、入力信号を受信するように構成された入力と、前記入力とそれぞれの前記アンテナ要素のアンテナとの間の複数のそれぞれのサブアレイ回路と、を備え、前記アンテナが、前記入力信号の送信のためのものであり、各サブアレイ回路が、
前記アンテナへの伝搬中に、前記入力信号の位相を調整するように構成された信号修正構成要素と、
前記サブアレイの振幅テーパリングの微調整が提供されるように、前記アンテナへの伝搬中に、前記入力信号を減衰させるための減衰器と、を備え、前記装置はさらに、
複数の電力増幅器であって、各サブアレイの前記サブアレイ回路が、前記入力を介して、前記複数の電力増幅器のうちの1つに接続されている、複数の電力増幅器と、を備え、
各サブアレイは、前記入力への前記入力信号として、前記入力において、増幅された入力信号が提供されるように配置されており、
各電力増幅器が、増幅のためのフェーズドアレイ入力信号を受信するように、かつ前記それぞれの増幅された入力信号を、前記電力増幅器に接続された前記それぞれのサブアレイの前記複数のサブアレイ回路に出力するように構成されており、
前記増幅された入力信号を前記フェーズドアレイアンテナ装置内の前記複数のサブアレイの中央サブアレイの入力に提供する、前記複数の電力増幅器のうちの第1の電力増幅器が、前記増幅された入力信号を前記フェーズドアレイアンテナ装置内の前記複数のサブアレイの周辺サブアレイの入力に提供する、前記複数の電力増幅器のうちの第2の電力増幅器よりも大きい電力に前記フェーズドアレイ信号を増幅するように構成されており、その結果、前記振幅テーパリングの大部分が、前記サブアレイに対して異なる振幅を提供する前記電力増幅器によって提供される、フェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項2】
各サブアレイ回路の前記減衰器が、前記サブアレイ回路への前記増幅された入力信号の前記増幅の微調整を前記それぞれのサブアレイに提供するように構成されている、請求項1に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項3】
各電力増幅器が、前記複数のアンテナ要素が提供されている前記サブアレイの1つ以上のアンテナボードとは別個に、前記フェーズドアレイアンテナ装置の制御ボード上に提供されており、任意選択的に、前記制御ボードが、前記サブアレイから離れて提供されている、請求項1又は2に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項4】
テスト機器をそれに接続するための複数のテストポートを備え、各テストポートが、それぞれのサブアレイの前記複数のサブアレイ回路内に提供されている、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項5】
前記複数のサブアレイ回路を制御するように構成された少なくとも1つのコントローラを更に備え、任意選択的に、各サブアレイには、前記サブアレイの前記サブアレイ回路の各々を制御するための別個のそれぞれのコントローラが提供されている、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項6】
前記減衰器が、低電力減衰器などの受動減衰器である、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項7】
前記減衰器が、MEMS減衰器である、請求項6に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項8】
前記増幅された入力信号の受動減衰及び電力増幅のうち、前記増幅された入力信号の受動減衰のみが、前記サブアレイ回路内で実行される、請求項6又は7に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項9】
前記複数のサブアレイ回路のうちの少なくとも1つにおいて、前記入力で受信される前記増幅された入力信号を修正するための1つ以上の能動構成要素及び1つ以上の受動構成要素のうち、前記1つ以上の受動構成要素のみが提供されており、任意選択的に、前記1つ以上の受動構成要素の各々が、100ミリアンペア未満の最大電流を有する制御信号を受信するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項10】
前記1つ以上の受動構成要素が、1つ以上のMEMS構成要素を備え、任意選択的に、前記1つ以上のMEMS構成要素が、前記サブアレイ回路における前記増幅された入力信号に対して、減衰、位相シフト、及びRFスイッチングのうちの少なくとも2つを提供するように構成されている、請求項9に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項11】
各信号修正構成要素が、前記入力信号に位相シフトを付与して、それによって、前記アンテナへの伝搬中に前記入力信号の前記位相を調整するように構成された1つ以上の位相シフタを備え、任意選択的に、前記1つ以上の位相シフタが、1つ以上の受動位相シフタ、例えば、1つ以上のMEMS位相シフタなどの1つ以上の低電力位相シフタである、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項12】
少なくとも1つのサブアレイが、1つ以上のRFスイッチを更に備え、任意選択的に、前記1つ以上のRFスイッチが、各々、受動構成要素、例えば、MEMS RFスイッチなどの低電力RFスイッチである、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項13】
前記複数のサブアレイ回路内の少なくとも1つの電気構成要素が、前記入力信号を選択的に改変するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項14】
前記複数のサブアレイ回路のうちの少なくとも1つが、前記複数のサブアレイ回路のうちの少なくとも1つの他のものとは独立して制御可能である、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項15】
1つ以上の電力増幅器には、前記それぞれのサブアレイ又は複数のサブアレイにおける前記電力の指標を提供するための電力モニタが提供されている、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項16】
前記電力増幅器のうちの1つ以上が、高調波チューニングを提供するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項17】
前記電力増幅器のうちの1つ以上が、DC/DC変換を提供されるように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項18】
前記複数のサブアレイが、少なくとも5、好ましくは少なくとも10である、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項19】
前記フェーズドアレイアンテナ装置内のアンテナ要素の総数が、少なくとも100、好ましくは少なくとも1000である、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項20】
前記フェーズドアレイアンテナ装置が、テスト機器をそれに接続するための複数のテストポートを更に備え、各テストポートが、それぞれのサブアレイの前記複数のサブアレイ回路に提供されており、前記電力増幅器のうちの1つ以上が、DC/DC変換を提供されるように構成されており、1つ以上の電力増幅器には、前記それぞれのサブアレイ又は複数のサブアレイでの前記電力の指標を提供するための電力モニタが提供されている、先行請求項のいずれか一項に記載のフェーズドアレイアンテナ装置。
【請求項21】
6GHzを上回る周波数でフェーズドアレイアンテナ装置を動作させる方法であって、
フェーズドアレイアンテナ装置を提供することであって、前記フェーズドアレイアンテナ装置が、
フェーズドアレイ入力信号を受信するように構成されたフェーズドアレイ入力と、
フェーズドアレイアンテナを形成するように共に構成された複数のサブアレイを備え、前記複数のサブアレイは、各サブアレイが、少なくとも4つのアンテナ要素と、入力信号を受信するように構成された入力と、前記入力とそれぞれの前記アンテナ要素のアンテナとの間の複数のそれぞれのサブアレイ回路と、を備え、前記アンテナが、前記入力信号の送信のためのものである、提供することと、
前記フェーズドアレイアンテナ装置内の前記複数のサブアレイの中央サブアレイの入力に提供される前記フェーズドアレイ入力信号を、前記複数のサブアレイの周辺サブアレイの入力に提供される前記フェーズドアレイ入力信号よりも大きい電力に増幅することであって、その結果、振幅テーパリングの大部分が、前記サブアレイに対して異なる振幅を提供する前記電力増幅器によって提供される、増幅することと、
1つ以上のサブアレイ回路において、前記アンテナへの伝搬中に、前記入力信号の位相を調整することと、
前記サブアレイ回路の各々において、前記アンテナへの伝搬中に、前記入力信号を減衰させることであって、その結果、前記サブアレイの振幅テーパリングの微調整が提供される、減衰させることと、
前記アンテナから前記入力信号を送信することと、を含む、方法。
【請求項22】
前記サブアレイ回路の1つ以上において、前記入力信号を切り替えてルーティングすることを更に含む、請求項21に記載の方法。
【国際調査報告】