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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】真空エジェクタポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04F 5/20 20060101AFI20230712BHJP
【FI】
F04F5/20 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540722
(86)(22)【出願日】2022-04-04
(85)【翻訳文提出日】2022-07-08
(86)【国際出願番号】 KR2022004812
(87)【国際公開番号】W WO2022244976
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0064101
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521311115
【氏名又は名称】ブイテク カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ホ-ヨン
【テーマコード(参考)】
3H079
【Fターム(参考)】
3H079AA18
3H079AA23
3H079BB01
3H079CC03
3H079CC20
3H079DD02
3H079DD14
(57)【要約】
本発明は、組み立てられた複数のノズルを含み、前記ノズルを高速で通過する圧縮空気によって作用して外側の包囲空間に負圧を発生する真空エジェクタポンプに関する。本発明のポンプは、中間ノズルを中心に、その一端部の外径に差し込まれる前方カバー部が形成される第1ノズルと、その他端部の外径に差し込まれる後方カバー部が形成される第2ノズルを含んでエジェクタ本体を構成する。前記包囲空間はエジェクタ本体の側壁に形成される通孔と前記各ノズルとの間に形成されるスロットを介して各ノズルと疎通するが、前記通孔は適正形態に構成される弁部材によって気密に開閉される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み立てられた複数のノズルを含み、前記ノズルを高速で通過する圧縮空気によって作用して外側の包囲空間に負圧を発生する真空エジェクタポンプであって、
長方向チャネルを有するパイプ状の中間ノズル(12)を中心に、
その一端部(16a)の外径に差し込まれる前方カバー部(17)が形成される第1ノズル(13)と、その他端部(16b)の外径に前記前方カバー部(17)と互いに対向する方向に差し込まれる後方カバー部(18)が形成される第2ノズル(14)とを含んで、エジェクタ本体(11)を構成し、
前記包囲空間(S)は、前記エジェクタ本体(11)の側壁に形成される通孔(19)と各ノズル(12、13、14)との間に形成されるスロット(20)を介して各ノズル(12、13、14)と疎通することを特徴とする真空エジェクタポンプ。
【請求項2】
前記通孔(19)は各カバー部(17、18)を貫通して形成されることを特徴とする請求項1に記載の真空エジェクタポンプ。
【請求項3】
前記中間ノズル(12)はその中心部の外径に環状に形成されるストッパフランジ(15)を含むが、前記前方カバー部(17)及び前記後方カバー部(18)は各端部が前記ストッパフランジ(15)の両側面に対向して接触することを特徴とする請求項1に記載の真空エジェクタポンプ。
【請求項4】
前記エジェクタ本体(11)は、組み立てられた各ノズル(12、13、14)の任意回転を防止するために、前記中間ノズル(12)と各カバー部(17、18)との間に形成される相互掛け構造(21)を含むことを特徴とする請求項3に記載の真空エジェクタポンプ。
【請求項5】
前記掛け構造(21)は、「キー(23)-キー溝(22)」対応構造であり、前記フランジ(15)と各カバー部(17、18)の端部に互いに対応して形成されることを特徴とする請求項4に記載の真空エジェクタポンプ。
【請求項6】
前記真空エジェクタポンプ(10)は、エジェクタ本体(11)の内部に設置されて通孔(19)を開閉するように動作する可撓性弁部材(24)を更に含み、
前記弁部材(24)は、第1及び第2ノズル(13、14)のカバー部(17、18)とその内側の中間ノズル(12)との間の空間に設置されることを特徴とする請求項1に記載の真空エジェクタポンプ。
【請求項7】
前記弁部材(24)は、中間ノズル(12)の外径に差し込まれて固定されるOリング(25)と、前記Oリング(25)から延長されて通孔(19)をカバーするチェック弁フラップ(26)を含むことを特徴とする請求項6に記載の真空エジェクタポンプ。
【請求項8】
前記チェック弁フラップ(26)は、その表面から前記通孔(19)の周辺を囲む形態に突出して形成される気密性サークル(27)を含むことを特徴とする請求項7に記載の真空エジェクタポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は真空エジェクタポンプに関し、より詳しくは、高速で流入及び排出される圧縮空気によって作用し、一定空間に負圧を発生するのに使用される真空エジェクタポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、真空エジェクタポンプは真空移送システムで使用される装置であり、直列配置される多段ノズルを含むエジェクタ本体と、前記本体の側壁に形成される通孔と、前記通孔の内側に設置される可撓性弁とを含んでなる。特に、小型の真空エジェクタポンプは排気を要する筐体の内部に直接取り付けられるが、この際、筐体内部の真空チェンバは前記通孔と疎通するようになる。そして、別途の吸着装置、例えば、吸着カップやパッドが前記真空チェンバに連結されて真空システムを構成する。
【0003】
システムを動作する際に供給された圧縮空気がエジェクタ本体を高速に通過して排出される際、前記真空チェンバの内部空気が前記通孔を介して本体内部に導かれて圧縮空気と共に排出される。それによって、前記真空チェンバ及び吸着装置に真空及び負圧が生成されるが、その生成された負圧が一定レベル以下になると前記通孔が弁によって閉鎖されて、真空チェンバはその圧力レベルを維持するようになる。この過程で生成された吸着装置の内部負圧は物品の把持及び搬送に利用される。
【0004】
このような真空エジェクタポンプの代表的な類型として、特許文献1(米国特許第6394760号)及び特許文献3に開示された真空エジェクタポンプがある。前者は同じ形態の複数のノズルが一方向に並んで配置される状態に組み立てられ、各ノズルの間に弁要素が設置される構成であり、後者は別途の円筒状部材を利用して各ノズルを組み立てる構成である。
【0005】
前記開示された装置は現在の真空移送の作業現場で実際に使用されている。
【0006】
しかし、この装置はいずれも:
各構成の組み立てが複雑で生産性が落ちるという問題と、
使用時に各部品、特にノズルが任意に分離または回転されるなど、構造的に脆弱で安定的ではないという問題と、
気密性が弱くて真空漏れ(leakage)が発生しやすく、それによって真空移送の際に事故が発生するという問題と、
がある。それに後者の場合は:
部品数が多くて生産及び組み立てが煩わしくて非経済的な問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0393434号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-0629994号公報
【特許文献3】韓国登録特許第10-1039470号公報
【特許文献4】韓国登録特許第10-1685998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述した従来の真空エジェクタポンプの問題点を解決しようと提案されたものである。本発明は簡便に組み立て及び製造され、使用時に堅固で安定的な状態に維持され、更に真空漏れが最小化される真空エジェクタポンプを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の真空エジェクタポンプは、
組み立てられた複数のノズルを含み、前記ノズルを高速で通過する圧縮空気によって作用して外側の包囲空間に負圧を発生することにおいて、
長方向チャネルを有するパイプ状の中間ノズルを中心に、
その一端部の外径に差し込まれる前方カバー部が形成される第1ノズルと、その他端部に前記前方カバー部と互いに対向する方向に差し込まれる後方カバー部が形成される第2ノズルを含んで
エジェクタ本体を構成し、
前記包囲空間は、
前記エジェクタ本体の側壁に形成される通孔と前記各ノズルとの間に形成されるスロットとを介して各ノズルと疎通すること
を特徴とする。
【0010】
ここで、前記圧縮空気は第1ノズルに流入されて、中間ノズルを通過した後、第2ノズルを介して外部に排出される。
【0011】
好ましくは、前記通孔は各カバー部を貫通して形成される。
【0012】
また、前記中間ノズルはその中心部の外径に環状に形成されるストッパフランジを含むが、これで前方カバー部及び後方カバー部は各端部が前記フランジの両側面に対向して接触するようになる。
【0013】
前記エジェクタ本体は、組み立てられた各ノズルの任意回転を防止するために、中間ノズルとカバー部との間に形成される相互掛け構造を更に含む。詳しくは、前記掛け構造は「キー-キー溝」の対応構造であり、好ましくは、前記フランジと各カバー部の端部に対応して形成される。
【0014】
本発明の真空エジェクタポンプは、前記エジェクタ本体の内部に設置されて通孔を開閉するように動作する可撓性弁部材を更に含む。好ましくは、前記弁部材は、第1及び第2ノズルの各カバー部とその内側の中間ノズルとの間の空間に設置される。
【0015】
詳しくは、前記弁部材は、中間ノズルの外径に差し込まれて固定されるOリングと、前記Oリングから延長されて通孔をカバーするチェック弁フラップを含む。
【0016】
好ましくは、前記弁フラップは、その表面から前記通孔の周辺を囲む形態に突出して形成される気密性サークルを含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明による真空エジェクタポンプは、基本的に中間ノズルを中心にその両側端部に第1ノズル及び第2ノズルの各カバー部が対称に差し込まれる形態に構成されるが、この構造は従来の他のポンプ装置に比べ組み立てが容易で簡便ながらも堅固で安定的な効果がある。
【0018】
好ましくは、前記弁部材がOリングと弁の一体型に成形されて前記中間ノズルに差し込まれるが、この場合、弁の構成及び組み立てが容易で簡便ながらも、一方では空気の不必要な流れを効率的に遮断して装置の真空漏れを最小化する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例による真空エジェクタポンプの外径の斜視図である。
図2図1-1の分解図である。
図3図1のA-A’線の断面図である。
図4図1のB-B’線の断面図である。
図5図1の真空エジェクタポンプの作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
前記に記載のまたは不記載の本発明の「真空エジェクタポンプ」の特徴と作用効果は、以下で添付図面を参照して説明する実施例の記載を介して更に明確になるはずである。図1乃至図5において、本発明の実施例による真空エジェクタポンプが符号「10」で示されている。
【0021】
図1乃至図4を参照すると、本発明の真空エジェクタポンプ10は、直列に配置される複数のノズル12、13、14を含むが、従来の真空エジェクタポンプと同じく、前記ノズル12、13、14を高速で通過する圧縮空気によって作用して外側の包囲空間(図5の「S」を参照)を排気することでその内部に負圧を発生する装置である。詳しくは、前記真空エジェクタポンプ10は、長方向(図面上横方向)チャネルを有するパイプ状の中間ノズル12と、その両側にそれぞれ組み立てられる第1ノズル13と、第2ノズル14を含んでエジェクタ本体11を構成している。
【0022】
符号28は第1ノズル13に提供される圧縮空気の流入口であり、符号29は第2ノズル14に提供される排出口である。前記圧縮空気は第1ノズル3に供給され、中間ノズル12を通過した後、第2ノズル14を介して外部に排出される。
【0023】
詳しくは、前記第1ノズル13は中間ノズル12の一端部16aの外径に差し込まれる前方カバー部17が一体に形成されるノズルであり、前記第2ノズル14は中間ノズル12の他端部16bの外径に差し込まれる後方カバー部18が一体に形成されるノズルである。つまり、前記前方カバー部17と後方カバー部18は中間ノズル12の両端部16a、16bをそれぞれ収容しながら互いに対向する方向に差し込まれて組み立てられるが(図2の矢印(1)、(3)を参照)、これで3つのノズル12、13、14を含むエジェクタ本体11を構成する。
【0024】
このエジェクタ本体11の構造は、従来の他の装置のノズル構造に比べて組み立てが容易で簡便ながらも堅固で安定的である。
【0025】
ここで、前記包囲空間Sは、このように構成されるエジェクタ本体11の側壁に形成される通孔19と各ノズル12、13、14のチャネルとの間に形成されるスロット20を介して各ノズル12、13、14と疎通する。前記スロット20は通孔19と各ノズル12、13、14を疎通する通路の役割をする構成であって、その具体的な名称や形態に限らない。前記通孔19は加工の便宜上、各カバー部17、18を貫通して形成されるようにする。
【0026】
前記エジェクタ本体11の組み立ての便宜上、前記中間ノズル12はその中心部の外径に形成される環状のストッパフランジ15を含むが、これで前方カバー部17及び後方カバー部18は各端部が前記フランジ15の両側面に対向接触するように差し込まれる。
【0027】
前記エジェクタ本体11は、組み立てられた各ノズル12、13、14の任意回転を防止するために、中間ノズル12と各カバー部17、18との間に形成される相互掛け構造21を更に含む。詳しくは、前記掛け構造は「キー23-キー溝22」の構造であり、好ましくは、前記フランジと15各カバー部17、18の端部に対応して形成される。
【0028】
本発明の真空エジェクタポンプ10は、前記エジェクタ本体11の内部に設置されて前記通孔19を開閉するように動作する可撓性弁部材24を更に含む。
【0029】
好ましくは、前記弁部材24は、第1及び第2ノズル13、14の各カバー部17、18とその内側の中間ノズル12の端部16a、16bとの間の空間に設置される。
【0030】
詳しくは、前記弁部材24は、中間ノズル12の外径に差し込まれるOリング25と、そのOリング25から延長されて通孔19をカバーするようになるチェック弁フラップ26を含む。好ましくは、前記弁フラップ26は、その表面から前記通孔19の周辺を囲む形態に突出形成される気密性サークル27を含む。
【0031】
本発明の真空エジェクタポンプ10を組み立てる際、まず前記弁部材24を中間ノズル12の端部16a、16b側に設置した後、その中間ノズル12の両側から第1及び第2ノズル13、14の各カバー部17、18を対向して差し込みながら溝22とキー23を合わせると(図2の矢印(1)、(2)を参照)、前記弁フラップ26が自然に通孔19をカバーするようになる。
【0032】
図5を参照すると、本発明の前記エジェクタポンプ10は、別途に備えられた筐体Hの内部に取り付けられてその外側の包囲空間S、つまり、筐体H内部の真空チェンバを排気する。例えば、前記筐体Hには包囲空間Sと連通する吸着カップパッドなどの吸着装置が連結される。まず、高速の圧縮空気が第1ノズル13の流入口28に供給され、中間ノズル12を経て第3ノズルの排出口29を介して外部に排出(矢印(3)を参照)される。
【0033】
この過程で、各ノズル12、13、14の間のスロット20の部分に圧力降下が発生し、それによって弁フラップ26が動作して前記通孔19を開放するが、この状態で包囲空間Sの排気が行われる。つまり、前記包囲空間Sの内部空気は通孔19、スロット20を経由してエジェクタ本体11の内部に導かれて、前記圧縮空気と共に外部に排出(矢印(4)を参照)される。このような排気過程によって前記包囲空間S及び吸着装置の内部には真空及び負圧が発生する。
【0034】
それで前記包囲空間Sの内部圧力レベルがエジェクタ本体11の内部圧力レベルと同等なレベルに至ると、弁フラップ26が逆に動作して前記通孔19を閉鎖する。それによって前記空間S及び吸着装置の内部には真空及び負圧が生成・維持されるが、真空移送システムではこのように生成された負圧を利用して物品を把持し移送できるようになる。
【0035】
この際、前記通孔19と弁部材24との間の気密が弱くなると空気が通孔19を介して前記包囲空間Sに入るようになるが、すると前記生成された真空と負圧が瞬時に破棄されて移送中に物品が落下するという問題が発生する恐れがある。このような問題に対して、圧縮空気を継続して供給する場合もあるが、このような場合は相当なエネルギー損失がある。一方では多様なシーリング要素を複合的に使用する場合もあるが、複雑で不便でその効果も微々たるものである。
【0036】
それに対し、本発明の前記弁部材24はOリング25と弁フラップ26が一体に構成されることでその構成と設置が簡便ながらも、前記通孔19の開閉及び密閉が効果的に行われ、適正に設計された前記気密性サークル27が構成されることで、前記通孔19の気密が強化される。
【符号の説明】
【0037】
10:真空エジェクタポンプ 11:エジェクタ本体
12:中間ノズル 13:第1ノズル
14:第2ノズル 15:フランジ
16a:一端部 16b:他端部
17:前方カバー部 18:後方カバー部
19:通孔 20:スロット
21:掛け構造 22:キー溝
23:キー 24:弁部材
25:Oリング 26:弁フラップ
27:サークル 28:流入口
29:排出口 H:筐体
S:包囲空間
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】