(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】電池セル、電池及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/593 20210101AFI20230712BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20230712BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20230712BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20230712BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20230712BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20230712BHJP
H01M 50/176 20210101ALI20230712BHJP
【FI】
H01M50/593
H01M50/103
H01M50/15
H01M50/531
H01M50/586
H01M50/55 101
H01M50/176
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552247
(86)(22)【出願日】2022-01-05
(85)【翻訳文提出日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 CN2022070207
(87)【国際公開番号】W WO2022247292
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】202121164665.8
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】陳文偉
(72)【発明者】
【氏名】周文林
(72)【発明者】
【氏名】卜祥艶
(72)【発明者】
【氏名】陳新祥
(72)【発明者】
【氏名】王鵬
(72)【発明者】
【氏名】金海族
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA13
5H011BB03
5H011EE04
5H043AA04
5H043AA11
5H043AA13
5H043BA15
5H043BA16
5H043BA19
5H043CA04
5H043DA09
5H043EA06
5H043EA35
5H043GA22
5H043GA24
5H043JA01E
(57)【要約】
本願は、電池セル、電池及び電力消費装置を開示する。本願の実施例の電池セルは、開口を有するケースと、ケース内に収容され、本体部及び本体部から突出するタブ部を含む電極ユニットと、ケースに接続され、且つ開口に被せられて結合されるエンドカバーアセンブリと、ケース内に収容され、且つ本体部の少なくとも一部をケースから隔離するための第1の絶縁部材と、を備える。第1の絶縁部材は、本体部のエンドカバーアセンブリに対向する側に設けられ、且つ本体部に装着される第1の絶縁板を備える。第1の絶縁部材は、本体部の少なくとも一部をケースから絶縁的に隔離することができ、ケース内に残った粒子が本体部のセパレータを突き破っても、第1の絶縁部材により本体部における電極シートがケースと導通されることを避け、短絡リスクを低減させることができる。第1の絶縁板は更に粒子を遮断することができるので、本体部内に落下した粒子を減少させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するケースと、
前記ケース内に収容され、本体部及び前記本体部から突出するタブ部を含む電極ユニットと、
前記ケースに接続され、且つ前記開口に被せられて結合されるエンドカバーアセンブリと、
前記ケース内に収容され、且つ前記本体部の少なくとも一部を前記ケースから隔離するための第1の絶縁部材と、を備え、
前記第1の絶縁部材は、前記本体部の前記エンドカバーアセンブリに対向する側に設けられ、且つ前記本体部に装着される第1の絶縁板を備える、
電池セル。
【請求項2】
前記第1の絶縁板は、前記本体部の前記タブ部が引き出された表面に装着されている、
請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記第1の絶縁板は、絶縁層と、前記絶縁層の前記本体部に対向する表面に設けられ且つ前記本体部に接着される接着層とを備える、
請求項1又は2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記第1の絶縁板は、複数設けられ、複数の前記第1の絶縁板は、前記本体部の周方向に沿って間隔を置いて設けられている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項5】
前記第1の絶縁部材は、
それぞれ前記本体部の第1の方向に沿った両側に設けられる2つの第2の絶縁板と、
それぞれ前記本体部の第2の方向に沿った両側に設けられ、2つの前記第2の絶縁板に接続される2つの第3の絶縁板と、を更に備え、
前記第2の絶縁板の前記エンドカバーアセンブリに近い端部に前記第1の絶縁板が接続され、及び/又は、前記第3の絶縁板の前記エンドカバーアセンブリに近い端部に前記第1の絶縁板が接続され、
前記第1の方向と前記第2の方向とは、交差して設けられ、前記第1の方向と前記第2の方向とは、それぞれ前記エンドカバーアセンブリの厚さ方向に対して垂直である。
請求項1~4のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項6】
前記第3の絶縁板は、一方の前記第2の絶縁板と一体に設けられる第1の部分と、他方の前記第2の絶縁板と一体に設けられる第2の部分とを含み、
前記第1の部分と前記第2の部分とは、前記第2の方向において少なくとも一部が重なり、且つ前記第1の部分と前記第2の部分とは重なる領域で接続され、及び/又は、前記第1の部分と前記第2の部分とはいずれも前記本体部に接着されている、
請求項5に記載の電池セル。
【請求項7】
前記第1の絶縁部材は、前記本体部の前記第1の絶縁板から離れた側に位置し、且つ2つの前記第2の絶縁板に接続される第4の絶縁板を更に備え、
前記第1の絶縁板と前記第4の絶縁板とは第3の方向に沿って配置され、
前記第1の方向、前記第2の方向及び前記第3の方向の三者は互いに交差している、
請求項5又は6に記載の電池セル。
【請求項8】
前記第4の絶縁板は、一方の前記第2の絶縁板と一体に設けられる第3の部分と、他方の前記第2の絶縁板と一体に設けられる第4の部分とを備え、
前記第3の部分と前記第4の部分とは、前記第3の方向において少なくとも一部が重なり、且つ前記第3の部分と前記第4の部分とは重なる領域で接続され、及び/又は、前記第3の部分と前記第4の部分とはいずれも前記本体部に接着されている、
請求項7に記載の電池セル。
【請求項9】
前記エンドカバーアセンブリは、前記開口に被せられて結合されるエンドカバーと、前記エンドカバーに取り付けられる電極端子と、前記エンドカバーの前記電極ユニットに対向する側に位置する第2の絶縁部材とを備え、
前記電池セルは、前記電極端子及び前記タブ部を接続するための集電部材を更に備え、
前記第2の絶縁部材は、前記本体部に対向する側に第1の凹部が形成され、前記第1の凹部は、前記タブ部の少なくとも一部及び/又は前記集電部材の少なくとも一部を収容するように配置され、
前記第1の絶縁板の少なくとも一部は、前記第2の絶縁部材と前記本体部との間に挟まれている、
請求項1~8のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項10】
前記第2の絶縁部材の前記本体部から離れた側は、前記第1の凹部に対応する位置に第1の凸部が形成され、前記エンドカバーの前記本体部に対向する側に前記第1の凸部を収容するための第2の凹部が形成されている、
請求項9に記載の電池セル。
【請求項11】
前記第1の絶縁板の2つの表面は、それぞれ前記第2の絶縁部材と前記本体部とに接着されている、
請求項9又は10に記載の電池セル。
【請求項12】
筐体と、請求項1~11のいずれか一項に記載の、前記筐体内に収容される電池セルとを備える、電池。
【請求項13】
電気エネルギーを供給するための請求項12に記載の電池を備える、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年5月27日に提出された名称が「電池セル、電池及び電力消費装置」である中国特許出願202121164665.8の優先権を主張し、該出願の全ての内容は、引用により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、電池の分野に関し、特に電池セル、電池及び電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0003】
電池セルは、例えば携帯電話、ノートパソコン、電動スクーター、電気自動車、電動飛行機、電動船舶、電動玩具自動車、電動玩具船舶、電動玩具飛行機及び電動ツール等の電子機器に広く用いられる。電池セルは、カドミウムニッケル電池セル、水素ニッケル電池セル、リチウムイオン電池セル、及び二次アルカリ亜鉛マンガン電池セルなどを備えることができる。
【0004】
電池技術の発展において、電池セルの性能を向上させる以外に、安全問題も無視できないという課題である。電池セルの安全問題を保証することができなければ、該電池セルを用いることができない。従って、電池セルの安全性をどのように向上させるかは、電池技術において早急に解決すべき技術的課題である。
【発明の概要】
【0005】
本願は、短絡のリスクを低減し、安全性能を向上させることができる電池セル、電池、及び電力消費装置を提供する。
【0006】
第1の態様において、本願は、
開口を有するケースと、ケース内に収容され、本体部及び本体部から突出するタブ部を含む電極ユニットと、ケースに接続され、且つ開口に被せられて結合されるエンドカバーアセンブリと、ケース内に収容され、且つ本体部の少なくとも一部をケースから隔離するための第1の絶縁部材と、を備え、
第1の絶縁部材は、本体部のエンドカバーアセンブリに対向する側に設けられ、且つ本体部に装着される第1の絶縁板を備える電池セルを提供する。
【0007】
上記技術手段において、本願は、第1の絶縁部材を設置することにより、本体部の少なくとも一部をケースから絶縁的に隔離することができる。ケース内に残った粒子が本体部のセパレータを突き破っても、第1の絶縁部材は、本体部における電極シートがケースと導通されることを回避し、短絡のリスクを低減させることができる。第1の絶縁板は、本体部のエンドカバーアセンブリに対向する端面の一部を覆うことができ、粒子を遮断することができるので、本体部内に落下した粒子を減少させ、短絡のリスクを低減させることができる。第1の絶縁部材は、本体部に装着された第1の絶縁板を介して本体部に接続されるため、電極ユニットと第1の絶縁部材とは予め組み立てられ、次に電極ユニットと他の部材とが組み立てられる。このようにして、第1の絶縁部材は、組立過程において電極ユニットを保護し、外部不純物が電極ユニットに付着されるリスクを低減させ、電池セルの安全性能を向上させることができる。
【0008】
いくつかの実施例において、第1の絶縁板は、本体部のタブ部が引き出された表面に装着されている。本体部のタブ部が引き出された表面に隙間が存在し、本願の実施例の第1の絶縁板は本体部の表面の隙間を覆うことができ、粒子が本体部に入るリスクを低減させ、電池セルの安全性能を向上させることができる。
【0009】
いくつかの実施例において、第1の絶縁板は、絶縁層と、絶縁層の本体部に対向する表面に設けられ且つ本体部に接着される接着層とを備える。接着の接続方式は、操作が簡単であり、第1の絶縁部材と電極ユニットとの組立プロセスを簡略化することに役立つ。
【0010】
いくつかの実施例において、第1の絶縁板は、複数設けられ、複数の第1の絶縁板は、本体部の周方向に沿って間隔を置いて設けられている。複数の第1の絶縁板は第1の絶縁部材と本体部との接続面積を増大させ、第1の絶縁部材と本体部との接続強度を増大させることができる。複数の第1の絶縁板は、本体部の周方向に沿って間隔を置いて設けられるため、第1の絶縁部材と本体部との間の作用力をより均一にさせ、応力集中を低減させることができる。
【0011】
いくつかの実施例において、第1の絶縁部材は、それぞれ本体部の第1の方向に沿った両側に設けられる2つの第2の絶縁板と、それぞれ本体部の第2の方向に沿った両側に設けられ、2つの第2の絶縁板に接続される2つの第3の絶縁板と、を更に備える。第2の絶縁板のエンドカバーアセンブリに近い端部に第1の絶縁板が接続され、及び/又は、第3の絶縁板のエンドカバーアセンブリに近い端部に第1の絶縁板が接続されている。第1の方向と第2の方向とは、交差して設けられ、第1の方向と第2の方向とは、それぞれエンドカバーアセンブリの厚さ方向に対して垂直である。2つの第2の絶縁板は、第1の方向において本体部とケースとを隔離することができ、2つの第3の絶縁板は、第2の方向において本体部とケースとを隔離することができる。
【0012】
いくつかの実施例において、第3の絶縁板は、一方の第2の絶縁板と一体に設けられる第1の部分と、他方の第2の絶縁板と一体に設けられる第2の部分とを含む。第1の部分と第2の部分とは、第2の方向において少なくとも一部が重なり、且つ第1の部分と第2の部分とは重なる領域で接続され、及び/又は、第1の部分と第2の部分とはいずれも本体部に接着されている。
【0013】
いくつかの実施例において、第1の絶縁部材は、本体部の第1の絶縁板から離れた側に位置し、且つ2つの第2の絶縁板に接続される第4の絶縁板を更に備え、第1の絶縁板と第4の絶縁板とは第3の方向に沿って配置され、第1の方向、第2の方向及び第3の方向の三者は互いに交差している。第4の絶縁板は、ケースのエンドカバーに対向する底壁と本体部とを絶縁的に隔離することができ、短絡のリスクを低減させることができる。
【0014】
いくつかの実施例において、第4の絶縁板は、一方の第2の絶縁板と一体に設けられる第3の部分と、他方の第2の絶縁板と一体に設けられる第4の部分とを備える。第3の部分と第4の部分とは、第3の方向において少なくとも一部が重なり、且つ第3の部分と第4の部分とは重なる領域で接続され、及び/又は、第3の部分と第4の部分とはいずれも本体部に接着されている。
【0015】
いくつかの実施例において、エンドカバーアセンブリは、開口に被せられて結合されるエンドカバーと、エンドカバーに取り付けられる電極端子と、エンドカバーの電極ユニットに対向する側に位置する第2の絶縁部材とを備える。電池セルは、電極端子及びタブ部を接続するための集電部材を更に備える。第2の絶縁部材は、本体部に対向する側に第1の凹部が形成され、第1の凹部は、タブ部の少なくとも一部及び/又は集電部材の少なくとも一部を収容するように配置される。第1の絶縁板の少なくとも一部は、第2絶縁部材と本体部との間に挟まれている。
【0016】
上記技術手段において、第1の凹部はタブ部の少なくとも一部及び/又は集電部材の少なくとも一部を収容することができ、電極ユニットに対してより多くの空間を空けることができる。第2の絶縁部材は一側から第1の絶縁板に押し立てられることで、第1の絶縁板を本体部に密着させ、第1の絶縁板と本体部との接続強度を向上させ、第1の絶縁板が本体部から離脱するリスクを低減させることができる。
【0017】
いくつかの実施例において、第2の絶縁部材の本体部から離れた側は、第1の凹部に対応する位置に第1の凸部が形成され、エンドカバーの本体部に対向する側に第1の凸部を収容するための第2の凹部が形成されている。一方、第1の凸部は、第2の絶縁部材の第1の凹部が設けられた位置で補強作用を果たすことができ、他方で、第1の凸部の設置は第1の凹部を本体部から離れる方向にできるだけ凹ませることにより、第1の凹部の凹みの深さを増大させることができる。第1の凸部は第2の凹部内に収容され、このようにして第2の絶縁部材の占用するケースの内部空間を減少させることができ、更に電極ユニットに対してより多くの空間を空けることで、電池セルの容量を効果的に向上させることができる。
【0018】
いくつかの実施例において、第1の絶縁板の2つの表面は、それぞれ第2の絶縁部材と本体部とに接着されていることで、第1の絶縁板が第2の絶縁部材と本体部との間から離脱するリスクを低減させることができる。
【0019】
第2の態様において、本願は、筐体と、筐体内に収容される、第1の態様のいずれかの実施例の電池セルを備える電池を提供する。
【0020】
第3の態様において、本願は、電気エネルギーを供給するための、第2の態様の電池を備える電力消費装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下に図面を参照して本願の例示的な実施例の特徴、利点及び技術的効果を説明する。
【
図1】本願のいくつかの実施例が提供する車両の構造概略図である。
【
図2】本願のいくつかの実施例が提供する電池の分解概略図である。
【
図3】
図2に示す電池モジュールの構造概略図である。
【
図4】本願のいくつかの実施例が提供する電池セルの構造概略図である。
【
図6】本願のいくつかの実施例が提供する電池セルの電極ユニット及び第1の絶縁部材の構造概略図である。
【
図7】
図6に示す第1の絶縁部材の分解概略図である。
【
図8】本願のいくつかの実施例の電池セルの第1の絶縁部材を製造するための絶縁シートの構造概略図である。
【
図9】本願のいくつかの実施例の電池セルの第1の絶縁部材を製造するための別の絶縁シートの構造概略図である、
【
図10】本願の具体的な実施例が提供する電池セルの断面概略図である、
【
図11】
図10に示す電池セルのブロックAでの拡大概略図である。 図面において、図面は、実際の縮尺に応じて描かれない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下に本願の実施例の図面を参照して本願の実施例における技術案を更に詳細に説明する。明らかに、説明された実施例は単に本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的労働をしない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0023】
特に定義がない限り、本願が用いられる全ての技術及び科学的用語は、当業者が一般的に理解する意味と同じである。本願において出願の明細書に使用された用語は単に具体的な実施例を説明することを目的とするものであり、本願を限定するものではない。本願の明細書及び特許請求の範囲及び上記図面の説明における用語「含む」、「有する」又は任意の他の変形は非排他的な包含をカバーすることを意図する。本願の明細書、特許請求の範囲又は上記図面の用語「第1」、「第2」などは、異なる対象を区別するために用いられ、特定の順序又は主従関係を説明するために用いられない。
【0024】
本願に言及された「実施例」は、実施例を参照して説明された特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所で当該文章が現れたことは、必ずしもいずれも同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と排他的な、独立した又は代替的な実施例でもない。
【0025】
説明すべきこととして、本願の説明において、明確な規定及び限定がない限り、用語「取付」、「接続」、「連結」、「装着」は、広義に理解されるべきである。例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体的な接続であってもよく、また、直接接続であってもよく、中間媒体を介する間接接続であってもよく、二つの素子の内部の接続であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0026】
本願における「及び/又は」という用語は、関連するオブジェクトの関連関係を説明するためのものに過ぎず、3種類の関係が存在できることを示す。例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在する状況、AとBが同時に存在する状況、Bが単独で存在する状況の3つの状況を示すことができる。また、本願における文字「/」は一般的に、前後に関連するオブジェクトが「又は」の関係であることを示す。
【0027】
本願の実施例において、同じ参照符号は、同じ部材を示し、且つ簡潔にするために、異なる実施例において、同じ部材についての詳細な説明を省略する。図示された本願の実施例における様々な部材の厚さ、長さ及び幅等の寸法、及び集積装置の全体の厚さ、長さ及び幅等の寸法は例示的な説明のみであり、本願のいかなる制限を構成するものではないと理解できる。
【0028】
本願において、記載された「複数」は2つ以上(2つを含む)を示す。
【0029】
本願において、電池セルは、リチウムイオン二次電池セル、リチウムイオン一次電池セル、リチウム硫黄電池セル、ナトリウムリチウムイオン電池セル、ナトリウムイオン電池セル又はマグネシウムイオン電池セルなどを備えることができるが、本願の実施例はこれに限定されない。電池セルは、円柱体、扁平体、直方体又は他の形状等を呈してもよいが、本願の実施例はこれに対して限定されない。電池セルは、一般的にパッケージの方式で柱状電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルの三種類に分けられるが、本願の実施例はこれに対して限定されない。
【0030】
本願の実施例に言及された電池とは、1つ又は複数の電池セルを含むことでより高い電圧及び容量を提供する単一の物理的モジュールを指す。例えば、本願に言及された電池は電池モジュール又は電池パック等を含むことができる。電池は、一般的に1つ又は複数の電池セルをパッケージするための筐体を含む。筐体は、液体又は他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えることを回避することができる。
【0031】
電池セルは、電極ユニット及び電解質を含み、電極ユニットは少なくとも一つの電極アセンブリを含み、電極アセンブリは正極シート、負極シート及びセパレータを含む。電池セルは、主に金属イオンが正極シートと負極シートとの間を移動することで動作する。正極シートは正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極集電体は正極集電部及び正極集電部から突出する正極凸部を含み、正極集電部に正極活物質層が塗布され、正極凸部の少なくとも一部に正極活物質層が塗布されず、正極凸部は正極タブとする。リチウムイオン電池を例とし、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質層は正極活物質を含み、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極シートは負極集電体及び負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極集電体は負極集電部及び負極集電部から突出する負極凸部を含み、負極集電部に負極活物質層が塗布され、負極凸部の少なくとも一部に負極活物質層が塗布されず、負極凸部は負極タブとする。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質層は負極活物質を含み、負極活物質は炭素又はシリコン等であってもよい。大電流が流れると溶断されないことを保証するために、正極タブの数は、複数であり且つ積層され、負極タブの数は複数であり且つ積層される。セパレータの材質は、PP(polypropylene、ポリプロピレン)又はPE(polyethylene、ポリエチレン)等であってもよい。また、電極アセンブリは巻回式構造であってもよく、積層式構造であってもよいが、本願の実施例はこれに限定されない。
【0032】
電池セルの内部にいくつかの粒子が残留し、粒子(特に金属粒子)が電極アセンブリに落下してセパレータを突き破るため、正極シートと負極シートが導通されて短絡のリスクを引き起こす可能性がある。
【0033】
これに鑑み、本願の実施例は、技術的手段を提供し、該技術的手段において、電池セルは、開口を有するケースと、ケース内に収容され、本体部及び本体部から突出するタブ部を含む電極ユニットと、ケースに接続され、且つ開口に被せられて結合されるエンドカバーアセンブリと、ケース内に収容され且つ本体部の少なくとも一部をケースから隔離するための第1の絶縁部材とを備え、第1の絶縁部材は、本体部のエンドカバーアセンブリに対向する側に設けられ且つ本体部に装着される第1の絶縁板を含む。このような構造を有する電池セルは短絡リスクを低減させ、安全性能を向上させることができる。
【0034】
本願の実施例に記載の技術的手段は、電池及び電池を用いる電力消費装置に適用される。
【0035】
電力消費装置は、車両、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、船舶、航空機、電動玩具及び電動ツール等であってもよい。車両は、エンジン駆動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンデッド型自動車等であってもよい。航空機は、飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船等を含む。電動玩具は、例えば、ゲーム機、電気自動車玩具、電動船舶玩具及び電動飛行機玩具等の固定式又は移動式の電動玩具を含む。電動ツールは、金属切削電動ツール、研磨電動ツール、組立電動ツール及び鉄道用電動ツールを含み、例えば、電動ドリル、電動グラインダ、電動レンチ、電動ドライバ、電動ハンマ、衝撃電動ドリル、コンクリート振動器及び電気カンナ等である。本願実施例は上記電力消費装置を特に制限しない。
【0036】
以下の実施例は、説明を容易にするために、電力消費装置を車両とすることを例として説明する。
【0037】
図1は、本願のいくつかの実施例が提供する車両の構造概略図である。
図1に示すように、車両1の内部に電池2が設けられ、電池2は車両1の底部又は前部又は後部に設けられてもよい。電池2は、車両1への給電に用いられ、例えば車両1の操作電源とすることができる。
【0038】
車両1は、更にコントローラ3及びモータ4を含み、コントローラ3は、電池2がモータ4に電力を供給するように制御し、例えば、車両1の起動、ナビゲーション及び走行時の動作電力消費の需要に用いられる。
【0039】
本願のいくつかの実施例において、電池2は、車両1の操作電源とするだけでなく、車両1の駆動電源としてもよく、燃料油又は天然ガスに代わって又は部分的に代わって車両1に駆動力を提供する。
【0040】
図2は、本願のいくつかの実施例が提供する電池の分解概略図である。
図2に示すように、電池2は、筐体5、及び筐体5内に収容された電池セル(
図2に示されていない)を含む。
【0041】
筐体5は、電池セルを収容するために用いられ、様々な構造であってもよい。いくつかの実施例において、筐体5は、第1の筐体部51及び第2の筐体部52を含み、第1の筐体部51と第2の筐体部52とは互いに被せられて結合され、第1の筐体部51と第2の筐体部52とは共に電池セルを収容するための収容空間53を画定する。第2の筐体部52は、一端が開口した中空構造であってもよく、第1の筐体部51は板状構造であり、第1の筐体部51は第2の筐体部52の開口側に被せられて結合されることで、収容空間53を有する筐体5を形成する。第1の筐体部51と第2の筐体部52とは、いずれも一側が開口した中空構造であってもよく、第1の筐体部51の開口側は第2の筐体部52の開口側に被せられて結合されることで、収容空間53を有する筐体5を形成する。当然のことながら、第1の筐体部51及び第2の筐体部52は様々な形状であってもよく、例えば、円柱体、直方体等である。
【0042】
第1の筐体部51と第2の筐体部52との接続後の密封性を向上させるために、第1の筐体部51と第2の筐体部52との間にシール材、例えば、シーラント、シールリングなどが設けられてもよい。
【0043】
第1の筐体部51は第2の筐体部52の頂部に被せられて結合され、第1の筐体部51は筐体上蓋と呼ばれてもよく、第2の筐体部52は下筐体と呼ばれてもよい。
【0044】
電池2において、電池セルは一つであってもよく、複数であってもよい。電池セルが複数であれば、複数の電池セルの間は直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよい。直並列接続とは、複数の電池セルの間に直列接続と並列接続との両方があることを指す。複数の電池セルの間を直接的に直列接続し又は並列接続し又は直並列接続し、更に複数の電池セルで構成された全体を筐体5内に収容することができる。当然のことながら、複数の電池セルをまず直列接続し又は並列接続し又は直並列接続して電池モジュール6を構成し、複数の電池モジュール6を更に直列接続し又は並列接続し又は直並列接続して一体に形成し、且つ筐体5内に収容してもよい。
【0045】
図3は、
図2に示す電池モジュールの構造概略図である。
図3に示すように、いくつかの実施例において、電池セル7は複数であり、複数の電池セル7は、まず直列接続され又は並列接続され又は直並列接続されて電池モジュール6が構成される。複数の電池モジュール6は更に直列接続され又は並列接続され又は直並列接続されて一体に形成され、且つ筐体内に収容される。
【0046】
電池モジュール6における複数の電池セル7の間は、バスバーにより電気的接続を実現することで、電池モジュール6における複数の電池セル7の直列接続又は並列接続又は直並列接続を実現することができる。
【0047】
図4は、本願のいくつかの実施例が提供する電池セルの構造概略図である。
図5は、
図4に示す電池セルの分解概略図である。
図6は、本願のいくつかの実施例が提供する電池セルの電極ユニット及び第1の絶縁部材の構造概略図である。
【0048】
図4~
図6に示すように、本願の実施例の電池セル7は、電極ユニット10、ケース20及びエンドカバーアセンブリ30を備える。ケース20は開口21を有し、電極ユニット10はケース20内に収容され、エンドカバーアセンブリ30はケース20に接続され且つ開口21に被せられて結合される。
【0049】
電極ユニット10は、少なくとも一つの電極アセンブリ11を含む。電極アセンブリ11は正極シート、負極シート及びセパレータを含む。電極アセンブリ11は、巻回式電極アセンブリ、積層式電極アセンブリ、その他の形態の電極アセンブリであってもよい。
【0050】
いくつかの実施例において、電極アセンブリ11は巻回式電極アセンブリである。正極シート、負極シート及びセパレータはいずれも帯状構造である。本願の実施例は、正極シート、セパレータ及び負極シートを順に積層し且つ二回以上巻回して電極アセンブリ11を形成することができる。
【0051】
他の実施例において、電極アセンブリ11は積層式電極アセンブリである。具体的には、電極アセンブリ11は複数の正極シート及び複数の負極シートを含み、正極シート及び負極シートは交互に積層され、積層方向は正極シートの厚さ方向及び負極シートの厚さ方向に対して平行である。
【0052】
電極アセンブリ11の外形から見ると、電極アセンブリ11は電流発生部111と電流発生部111に接続された電流引出部112とを含む。例示的には、電流発生部111は電流発生部111のエンドカバーアセンブリ30に近い一端から延出している。
【0053】
いくつかの実施例において、電流引出部112は、2つであり、2つの電流引出部112はそれぞれ正極引出部及び負極引出部として定義される。正極引出部及び負極引出部は、電流発生部111の同じ端から延出していてもよいし、電流発生部111の反対の両端からそれぞれ延出していてもよい。
【0054】
電流発生部111は、電極アセンブリ11に充放電機能を実現するコア部分であり、電流引出部112は、電流発生部111で発生された電流を引き出すために用いられる。電流発生部111は、正極集電体の正極集電部と、正極活物質層と、負極集電体の負極集電部と、負極活物質層と、セパレータとを含む。正極引出部は、複数の正極タブを含み、負極引出部は複数の負極タブを含む。
【0055】
電極ユニット10は、少なくとも一つの電極アセンブリ11を含む。即ち、電池セル7において、ケース20内に収容された電極アセンブリ11は一つであってもよく、複数であってもよい。
【0056】
電極ユニット10は、電極セルの外形から見ると、本体部12と本体部12から突出するタブ部13を含む。タブ部13は、正極タブ部と負極タブ部とを含む。
【0057】
いくつかの実施例において、電極ユニット10は、1つの電極アセンブリ11のみを含む。このとき、本体部12は電極アセンブリ11の電流発生部111を含み、正極タブ部は正極引出部を含み、負極タブ部は負極引出部を含む。
【0058】
他の実施例において、電極ユニット10は複数の電極アセンブリ11を含む。このとき、本体部12は複数の電極アセンブリ11の電流発生部111を含み、複数の電流発生部111が積層される。正極タブ部は一つ又は複数であり、正極タブ部は少なくとも一つの電極アセンブリ11の正極引出部を含む。負極タブ部は一つ又は複数であり、負極タブ部は少なくとも一つの電極アセンブリ11の負極引出部を含む。例えば、電極ユニット10は4つの電極アセンブリ11を含み、本体部12は四つの電極アセンブリ11の電流発生部111を含む。正極タブ部は2つであり、各正極タブ部は積層されている2つの正極引出部を含む。負極タブ部は2つであり、各負極タブ部は積層されている2つの負極引出部を含む。
【0059】
ケース20は、一側が開口した中空構造である。エンドカバーアセンブリ30はエンドカバー31を含み、エンドカバー31はケース20の開口に被せられて結合され、且つ密封接続を形成することで、電極ユニット10及び電解質を収容するための収容キャビティを形成する。
【0060】
ケース20は、例えば、円柱体、直方体等の様々な形状であってもよい。ケース20の形状は、電極ユニット10の本体部12の具体的な形状に応じて決定することができる。例えば、本体部12が円柱体構造であれば、円柱体ケースを選択することができ、本体部12が直方体構造であれば、直方体ケースを選択することができる。当然のことながら、エンドカバー31は複数種類の構造であってもよく、例えば、エンドカバー31は板状構造又は一端が開口した中空構造等である。例示的には、
図5において、ケース20は直方体構造であり、エンドカバー31は板状構造であり、エンドカバー31はケース20の頂部の開口に被せられて結合されている。
【0061】
エンドカバーアセンブリ30は、エンドカバー31に取り付けられた電極端子32を更に含む。いくつかの実施例において、電極端子32は2つであり、2つの電極端子32はそれぞれ正極電極端子及び負極電極端子として定義される。正極電極端子及び負極電極端子はそれぞれ正極タブ部及び負極タブ部に電気的に接続されることで、電流発生部111で発生された電流を出力する。
【0062】
エンドカバーアセンブリ30は、エンドカバー31に取り付けられた圧力解放機構33を更に含み、圧力解放機構33は電池セル7の内部圧力又は温度が所定値に達した時に電池セル7の内部圧力又は温度を放出するために用いられる。例示的に、圧力解放機構33は正極電極端子と負極電極端子との間に位置し、圧力解放機構33は例えば防爆弁、防爆シート、空気弁、リリーフ弁又は安全弁等の部材であってもよい。
【0063】
いくつかの実施例において、ケース20は、対向する両側が開口した中空構造であってもよい。エンドカバーアセンブリ30は2つのエンドカバー31を含み、2つのエンドカバー31はそれぞれケース20の2つの開口に被せられて結合され、且つ密封接続されることにより、電極ユニット10及び電解質を収容するための収容キャビティを形成する。いくつかの例において、正極電極端子及び負極電極端子は同じエンドカバー31に取り付けられ、正極タブ部及び負極タブ部は、本体部12の該エンドカバー31に近い一端から延出している。別の例では、正極電極端子及び負極電極端子は、それぞれ2つのエンドカバー31に取り付けられ、正極タブ部及び負極タブ部は、それぞれ本体部12の当該2つのエンドカバー31に対向する両端から延出している。
【0064】
タブ部13は、電極端子32に直接接続されてもよく、他の部材により電極端子32に間接接続されてもよい。いくつかの実施例において、電池セル7は更に集電部材40を含み、集電部材40は電極端子32及びタブ部13を接続するために用いられる。例示的に、集電部材40は2つであり、一方の集電部材40は正極電極端子及び正極タブ部を電気的に接続するために用いられ、他方の集電部材40は負極電極端子及び負極タブ部を電気的に接続するために用いられる。
【0065】
集電部材40は、ケース20内に収容されており、且つ本体部12とエンドカバー31との間に位置している。集電部材40は、溶接、かしめ、接着、又は他の方式により電極端子32及びタブ部13に接続されてもよい。選択可能的に、集電部材40は電極端子32及びタブ部13に溶接されている。
【0066】
いくつかの実施例において、電池セル7は、更に、ケース20内に収容され且つ本体部12の少なくとも一部をケース20と隔離する第1の絶縁部材50を備え、第1の絶縁部材50は、本体部12のエンドカバーアセンブリ30に対向する一側に設けられ且つ本体部12に装着される第1の絶縁板51を備える。
【0067】
第1の絶縁部材50は、本体部12の少なくとも一部を外側から被覆することで、本体部12の少なくとも一部をケース20から隔離する。
【0068】
第1の絶縁板51は、本体部12に貼り合わされて接続されている。装着とは、接着等により接続されることをいう。
【0069】
第1の絶縁板51は、一つであってもよく、複数であってもよい。
【0070】
第1の絶縁部材50は、一体型部材であってもよく、複数の別体部材を含んでもよく、複数の別体部材は接続されてもよく、互いに独立してもよい。
【0071】
電池セル7の組立過程において粒子(例えば溶接過程で発生された金属粒子)が発生し、粒子がケース20内に残る可能性がある。粒子が本体部12の表面に付着される可能性があり、このようにして粒子が本体部12のセパレータを突き破り且つケース20と本体部12とが導通されるリスクをもたらす。粒子が本体部12の内部に落下して正極シートと負極シートとが導通され、短絡を引き起こし且つ安全上のリスクを引き起こす可能性がある。
【0072】
本願は、第1の絶縁部材50を設置することにより、本体部12の少なくとも一部をケース20と絶縁的に隔離することができ、ケース20内に残った粒子が本体部12のセパレータを突き破っても、第1の絶縁部材50は本体部12内の電極シートがケース20と導通することを回避し、短絡リスクを低減させることができる。第1の絶縁板51は、本体部12のエンドカバーアセンブリ30に対向する端面の一部を覆うことができ、粒子を遮断することができるので、本体部12内に落下した粒子を減少させ、短絡のリスクを低減させることができる。第1の絶縁部材50は本体部12に装着された第1の絶縁板51により本体部12に接続されるため、電極ユニット10と第1の絶縁部材50とは予め組み立てられ、次に電極ユニット10と他の部材とが組み立てられ、このようにして、第1の絶縁部材50は組立過程において電極ユニット10を保護し、外部不純物(例えば粒子)が電極ユニット10に付着されるリスクを低減させ、電池セル7の安全性能を向上させることができる。
【0073】
例えば、タブ部13及び集電部材40を溶接する時、発生された金属粒子は周囲にスパッタリングされる。本願の実施例は第1の絶縁部材50を電極ユニット10に予め組み立て、第1の絶縁部材50は外部から電極ユニット10を保護し、電極ユニット10に付着された金属粒子を減少させ、安全上のリスクを低減させることができる。
【0074】
いくつかの実施例において、第1の絶縁板51は、本体部12のタブ部13が引き出された表面に装着される。換言すれば、タブ部13は本体部12のエンドカバーアセンブリ30に対向する表面から引き出される。本体部12のタブ部13が引き出された表面に隙間が存在し、粒子が隙間を介して本体部12の内部に入るので、短絡のリスクを引き起こす可能性がある。本願の実施例の第1の絶縁板51は、本体部12の表面の隙間を覆うことで、粒子が本体部12に入るリスクを低減させ、電池セル7の安全性能を向上させることができる。
【0075】
いくつかの実施例において、第1の絶縁板51は絶縁層及び接着層を含み、接着層は絶縁層の本体部12に対向する表面に設けられ且つ本体部12に接着されている。
【0076】
絶縁層の材質は、PP(ポリプロピレン)やPET(ポリエチレンテレフタレート)である。接着層は、裏糊であってもよい。絶縁層の厚さは、0.1mm~0.2mmとすることができる。
【0077】
本実施例では、接着層は本体部12に接着されることで、第1の絶縁部材50を本体部12に接続する。接着の接続方式は操作が簡単であり、第1の絶縁部材50と電極ユニット10との組立プロセスを簡略化することに役立つ。
【0078】
いくつかの実施例において、第1の絶縁板51は、複数であり、複数の第1の絶縁板51は本体部12の周方向に沿って間隔を置いて設けられる。複数の第1の絶縁板51は第1の絶縁部材50と本体部12との接続面積を増大させ、第1の絶縁部材50と本体部12との接続強度を増大させることができる。複数の第1の絶縁板51は本体部12の周方向に沿って間隔を置いて設けられ、第1の絶縁部材50と本体部12との間の作用力をより均一にさせ、応力集中を低減させることができる。第1の絶縁板51は、タブ部13を避けて設けられ、第1の絶縁板51がタブ部13の引出を干渉することを回避する。
【0079】
図7は、
図6に示す第1の絶縁部材の分解概略図である。
図8は、本願のいくつかの実施例の電池セルの第1の絶縁部材を製造するための絶縁シートの構造概略図である。
図9は、本願のいくつかの実施例の電池セルの第1の絶縁部材を製造するための別の絶縁シートの構造概略図である。
【0080】
図6及び
図7を併せて参照し、いくつかの実施例において、第1の絶縁部材50は更に2つの第2の絶縁板52及び2つの第3の絶縁板53を含む。2つの第2の絶縁板52はそれぞれ本体部12の第1の方向Xに沿う両側に設けられている。2つの第3の絶縁板53はそれぞれ本体部12の第2の方向Yに沿う両側に設けられ、各第3の絶縁板53は2つの第2の絶縁板52に接続されている。
【0081】
第1の方向Xと第2の方向Yとは交差して設けられ、第1の方向Xと第2の方向Yとはそれぞれエンドカバーアセンブリ30の厚さ方向に対して垂直である。エンドカバーアセンブリ30の厚さ方向は、エンドカバー31の厚さ方向である。選択可能的に、第1の方向Xは第2の方向Yに対して垂直である。
【0082】
2つの第2の絶縁板52は、第1の方向Xにおいて本体部12とケース20とを隔離することができ、2つの第3の絶縁板53は第2の方向Yにおいて本体部12とケース20とを隔離することができる。
【0083】
選択可能的に、第2の絶縁板52は、大体第1の方向Xに対して垂直な平板であり、第3の絶縁板53は大体第2の方向Yに対して垂直な平板である。2つの第2の絶縁板52と2つの第3の絶縁板53とは接続されて略矩形の枠体を形成する。
【0084】
選択可能的に、第2の絶縁板52の面積は第3の絶縁板53の面積より大きい。
【0085】
第2の絶縁板52のエンドカバーアセンブリ30に近い端部に第1の絶縁板51が接続され、及び/又は、第3の絶縁板53のエンドカバーアセンブリ30に近い端部に第1の絶縁板51が接続されている。
【0086】
第2の絶縁板52に第1の絶縁板51が接続されている場合、第1の絶縁板51は第2の絶縁板52と一体的に設けられてもよく、溶接、接着等で接続されてもよい。第3の絶縁板53に第1の絶縁板51が接続されている場合、第1の絶縁板51は第3の絶縁板53と一体的に設けられてもよく、溶接、接着等で接続されてもよい。
【0087】
第2の絶縁板52及び第3の絶縁板53は、第1の絶縁板51により本体部12に固定されてもよく、本体部12に直接装着されてもよい。
【0088】
いくつかの実施例において、第3の絶縁板53は第1の部分531及び第2の部分532を含み、第1の部分531は一つの第2の絶縁板52と一体に設けられ、第2の部分532は他の第2の絶縁板52と一体に設けられる。第1の部分531は対応する第2の絶縁板52に対して折り曲げられ、第2の部分532は対応する第2の絶縁板52に対して折り曲げられる。
【0089】
第1の部分531と第2の部分532とは第2の方向Yにおいて少なくとも一部が重なり、且つ第1の部分531と第2の部分532とは重なる領域で接続され、及び/又は、第1の部分531と第2の部分532とはいずれも本体部12に接着されている。
【0090】
第1の部分531と第2の部分532とは、折り曲げ成形されてもよい。折り曲げた後、自身の弾性の作用で、第1の部分531と第2の部分532とは外向きに広がる可能性がある。
【0091】
いくつかの例において、第1の部分531と第2の部分532とは第2の方向Yにおいて少なくとも一部が重なり、且つ第1の部分531と第2の部分532とは重なる領域で溶接などにより接続されている。第1の部分531及び第2の部分532は互いに制限され、第1の部分531及び第2の部分532が外向きに広がることを回避する。この場合、第1の部分531と第2の部分532とは本体部12に接着されてもよく、本体部12とは独立してもよい。
【0092】
別の例において、第1の部分531及び第2の部分532はいずれも本体部12に接着され、このようにして、第1の部分531及び第2の部分532はいずれも本体部12に固定され、外向きに広がることがない。このとき、第1の部分531と第2の部分532とは互いに接続されてもよく、互いに独立してもよい。
【0093】
いくつかの実施例において、第1の絶縁部材50は、第4の絶縁板54を更に含み、第4の絶縁板54は本体部12の第1の絶縁板51から離れた側に位置し且つ2つの第2の絶縁板52に接続され、第1の絶縁板51及び第4の絶縁板54は第3の方向Zに沿って配置され、第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zの三者は互いに交差している。
【0094】
第4の絶縁板54は、ケース20のエンドカバー31に対向する底壁と本体部12とを絶縁的に隔離することで、短絡のリスクを低減させることができる。
【0095】
選択可能的に、第3の方向Zは、エンドカバーアセンブリ30の厚さ方向に対して平行であり、即ち第3の方向Zは、第1の方向X及び第2の方向Yに対して垂直である。
【0096】
第4の絶縁板54は、大体第3方向Zに対して垂直な平板である。第4の絶縁板54は、第2絶縁板52に対して折り曲げられている。第4の絶縁板54は第2の絶縁板52と一体に設けられてもよく、溶接などにより接続されてもよい。
【0097】
いくつかの実施例において、第4の絶縁板54は第3の部分541及び第4の部分542を含み、第3の部分541は一方の第2の絶縁板52と一体に設けられ、第4の部分542は他方の第2の絶縁板52と一体に設けられている。第3の部分541は対応する第2の絶縁板52に対して折り曲げられ、第4の部分542は対応する第2の絶縁板52に対して折り曲げられる。
【0098】
第3の部分541と第4の部分542とは、第3の方向Zにおいて少なくとも一部が重なり、且つ第3の部分541と第4の部分542とは重なる領域で接続され、及び/又は、第3の部分541と第4の部分542とはいずれも本体部12に接着されている。
【0099】
第3部分541及び第4部分542は、折り曲げ成形されていてもよい。折り曲げた後、自身の弾性の作用で、第3の部分541及び第4の部分542は外向きに広がる可能性がある。
【0100】
いくつかの例において、第3の部分541と第4の部分542とは第3の方向Zにおいて少なくとも一部が重なり、且つ第3の部分541と第4の部分542とは重なる領域で溶接などにより接続されている。第3の部分541及び第4の部分542は互いに制限され、第3の部分541及び第4の部分542が外向きに広がることを回避する。この場合、第3の部分541と第4の部分542とは本体部12に接着されてもよく、本体部12とは独立してもよい。
【0101】
別の例において、第3の部分541及び第4の部分542はいずれも本体部12に接着され、このようにして、第3の部分541及び第4の部分542はいずれも本体部12に固定され、外向きに広がることがない。このとき、第3の部分541と第4の部分542とは互いに接続されてもよく、互いに独立してもよい。
【0102】
本願の第1絶縁部材50は、絶縁シート60を折り曲げ、溶着等のプロセスにより形成されてもよい。
【0103】
いくつかの実施例において、本願の第1の絶縁部材50は
図8に示す絶縁シート60により製造することができる。具体的には、まず2つの絶縁シート60を電極ユニット10の両側に貼り付け、次に2つの絶縁シート60を
図8における破線に沿って折り曲げて2つの絶縁フレーム(概ね
図7に示すように)を形成することにより、2つの絶縁フレームを電極ユニット10に被覆させ、最後に2つの絶縁フレームの重なる部分を溶接することで、電極ユニット10に組み立てられた第1の絶縁部材50を製造する。
【0104】
別の実施例において、本願の第1の絶縁部材50は、
図9に示す絶縁シート60で製造することができる。具体的には、まず電極ユニット10を絶縁シート60(例えば第4の絶縁板54)に配置し、次に
図9における破線に沿って折り曲げて絶縁フレームを形成し、最後に絶縁フレームの重なる部分(例えば第1の部分531と第2の部分532、第3の部分541と第4の部分542)を溶接する。
【0105】
図10は、本願の具体的な実施例が提供する電池セルの断面概略図である。
図11は、
図10に示す電池セルのブロックAでの拡大概略図である。
【0106】
図10及び
図11に示すように、エンドカバーアセンブリ30は、エンドカバー31の電極ユニット10に対向する側に位置する第2の絶縁部材34を更に含む。第2の絶縁部材34は、エンドカバー31と電極ユニット10とを絶縁的に仕切り、短絡のリスクを低減させるために用いられる。
【0107】
第2の絶縁部材34は、本体部12に対向する側に第1の凹部341が形成され、第1の凹部341はタブ部13の少なくとも一部及び/又は集電部材40の少なくとも一部を収容するように配置される。第1の凹部341はタブ部13の少なくとも一部及び/又は集電部材40の少なくとも一部を収容することができ、電極ユニット10に対してより多くの空間を空けることができる。
【0108】
なお、第1の凹部341は、タブ部13の少なくとも一部及び/又は集電部材40の少なくとも一部を収容するように配置され、タブ部13の少なくとも一部が第1の凹部341に収容されてもよく、集電部材40の少なくとも一部が第1の凹部341に収容されてもよく、更にタブ部13の少なくとも一部及び集合部材40の少なくとも一部がいずれも第1の凹部341に収容されてもよい。
【0109】
第1の絶縁板51の少なくとも一部は、第2絶縁部材34と本体部12との間に挟まれている。第2の絶縁部材34は一側から第1の絶縁板51に押し当てられることで、第1の絶縁板51を本体部12に密着させ、第1の絶縁板51と本体部12との接続強度を向上させ、第1の絶縁板51が本体部12から離脱するリスクを低減させることができる。
【0110】
第1の絶縁板51が複数である場合、全ての第1の絶縁板51がいずれも第2の絶縁部材34の押し当てを受けてもよく、一部の第1の絶縁板51が第2の絶縁部材34の押し当てを受け、他の一部の第1の絶縁板51と第2の絶縁部材34との間に隙間を有してもよい。
【0111】
第2の絶縁部材34の本体部12から離れた側は第1の凹部341に対応する位置に第1の凸部342が形成され、エンドカバー31の本体部12に対向する側に第1の凸部342を収容するための第2の凹部311が形成される。一方、第1の凸部342は第2の絶縁部材34の第1の凹部341が設けられた位置で補強作用を果たすことができ、他方で、第1の凸部342の設置は第1の凹部341を本体部12から離れる方向にできるだけ凹ませることにより、第1の凹部341の凹みの深さを増大させることができる。第1の凸部342は第2の凹部311内に収容され、このようにして第2の絶縁部材34の占用するケース20の内部空間を減少させることができ、更に電極ユニット10に対しより多くの空間を空けることで、電池セル7の容量を効果的に向上させることができる。
【0112】
例示的に、エンドカバー31は、本体部12から離れた側、且つ第2の凹部311に対応する位置に第2の凸部312が形成される。第2の凸部312は、エンドカバー31の第2凹部311が設けられた位置において補強作用を果たすことができる。
【0113】
第2の絶縁部材34は、絶縁本体343を含み、絶縁本体343は、本体部12に対向する内面343aと本体部12から離れた外面343bとを有し、第1の凹部341は、内面343aから、本体部12から離れる方向に沿って凹んでおり、第1の凸部342は外面343bから突出している。
【0114】
本願は、第1の凹部341を設置することにより、タブ部13及び/又は集電部材40に収容空間を提供することができるため、本体部12とエンドカバー31との間の間隔を対応的に減少させることができ、それに応じて、絶縁本体343の厚さも小さくすることができるので、電池セル7の容量を向上させることができる。
【0115】
発明者は、更に第1の絶縁部材を絶縁本体の外周面に溶着することにより、第1の絶縁部材の固定を実現することを試みる。しかしながら、本願の実施例は、容量を向上させるために絶縁本体の厚さを減少させ、このようにして絶縁本体と第1の絶縁部材との接続面積が小さくなり、第1の絶縁部材が脱落するリスクが高くなる。従って、本願の実施例において、第1の絶縁部材50は本体部12に装着され、このようにして第1の絶縁部材50と本体部12との接続面積を保証し、第1の絶縁部材50が脱落するリスクを低減させることができる。
【0116】
第2の絶縁部材34は、更に第3の凸部344を含み、第3の凸部344は内面343aから突出し且つ第1の絶縁板51及び/又は本体部12に押し当てられる。第3の凸部344は、本体部12のがたつきを規制することができる。
【0117】
第1の絶縁板51の絶縁層511は、接着層512により第2の絶縁部材34及び/又は本体部12に接着されている。
【0118】
いくつかの実施例において、第1の絶縁板51の2つの表面は、それぞれ第2の絶縁部材34と本体部12に接着され、このようにして第1の絶縁板51が第2の絶縁部材34と本体部12との間から離脱するリスクを低減させることができる。選択可能的に、第1の絶縁板51は接着層512により第3の凸部344に接着されている。
【0119】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲から逸脱することなく、それに様々な改良を行うことができ且つ等価物でその中の部材を置換することができ、特に、構造衝突が存在しない限り、各実施例に言及された各技術的特徴はいずれも任意の方式で組み合わせることができる。本願は本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に属する全ての技術手段を含む。
【国際調査報告】