IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グリー エレクトリック アプライアンス、インコーポレイテッド オブ チューハイの特許一覧

<>
  • 特表-フィン構造体および熱交換器 図1
  • 特表-フィン構造体および熱交換器 図2
  • 特表-フィン構造体および熱交換器 図3
  • 特表-フィン構造体および熱交換器 図4
  • 特表-フィン構造体および熱交換器 図5
  • 特表-フィン構造体および熱交換器 図6
  • 特表-フィン構造体および熱交換器 図7
  • 特表-フィン構造体および熱交換器 図8
  • 特表-フィン構造体および熱交換器 図9
  • 特表-フィン構造体および熱交換器 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】フィン構造体および熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/30 20060101AFI20230712BHJP
   F28F 1/32 20060101ALI20230712BHJP
   F28F 9/013 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
F28F1/30 C
F28F1/32 L
F28F9/013 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552526
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(85)【翻訳文提出日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 CN2021079352
(87)【国際公開番号】W WO2021258775
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】202010588660.1
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517441262
【氏名又は名称】グリー エレクトリック アプライアンス、インコーポレイテッド オブ チューハイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャン、ウー
(72)【発明者】
【氏名】マー、クーヤン
(72)【発明者】
【氏名】ユー、ゲ
(72)【発明者】
【氏名】シア、カイ
(72)【発明者】
【氏名】リン、ウェイシュー
(72)【発明者】
【氏名】チャン、シーキアン
(57)【要約】
本出願は、フィン構造体および熱交換器を開示する。フィン構造体は、熱交換チューブが貫通するためのチューブ穴を有し、コルゲートフィンである、フィンベースと、フィンベース上に配置され、チューブ穴の外周を囲む、複数の凸部とを含む。本出願に係るフィン構造体および熱交換器は、フィンの熱交換効果を効果的に改善し、熱交換器の熱交換性能を高めることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィンベース(10)と複数の凸部とを備えるフィン構造体であって、
前記フィンベース(10)は、コルゲートフィンであり、熱交換チューブが貫通するためのチューブ穴(20)を備え、
前記複数の凸部は、前記フィンベース(10)上に配置され、前記チューブ穴(20)の外周を囲む、フィン構造体。
【請求項2】
前記フィンベース(10)は、複数の第1の板(11)と複数の第2の板(12)とを備え、前記第2の板(12)は、2つの第1の板(11)の間に接続され、前記第1の板(11)の対応する節の長さL1は、前記第2の板(12)の対応する節の長さL2よりも大きい、請求項1に記載のフィン構造体。
【請求項3】
2つの第1の板(11)の間に2つの第2の板(12)があり、前記2つの第2の板(12)が隣接して配置されている、請求項2に記載のフィン構造体。
【請求項4】
フィン間隔Sに対する前記フィンベース(10)の波形高さh1の比h1/Sが0.58~0.62であり、L1/L2が1.5~1.7である、請求項2または3に記載のフィン構造体。
【請求項5】
前記複数の凸部は、
前記第1の板(11)上に凸状に配置される環状凸部(31)と、
前記第2の板(12)上に凸状に配置される横凸部(32)と
を備える、請求項2~4のいずれか一項に記載のフィン構造体。
【請求項6】
前記環状凸部(31)は環状凸構造体であり、前記環状凸部(31)が複数配置され、前記複数の前記環状凸部(31)は、前記チューブ穴(20)の前記外周に対称に分布している、請求項5に記載のフィン構造体。
【請求項7】
前記横凸部(32)はボスであり、前記横凸部(32)が複数配置され、前記複数の前記横凸部(32)は、前記チューブ穴(20)の前記外周に対称に分布している、請求項5または6に記載のフィン構造体。
【請求項8】
前記フィン間隔Sに対する前記環状凸部(31)の隆起高さh3の比h3/Sが0.35~0.4である、請求項5~7のいずれか一項に記載のフィン構造体。
【請求項9】
前記フィン間隔Sに対する前記横凸部(32)の隆起高さh2の比h2/Sが0.35~0.4である、請求項5~8のいずれか一項に記載のフィン構造体。
【請求項10】
前記フィンベース(10)は、環状溝(40)を備え、
前記チューブ穴(20)が前記環状溝(40)内に位置し、
前記環状溝(40)と前記チューブ穴(20)は同心円状に配置され、
前記環状溝(40)の外周は、前記第1の板(11)および前記第2の板(12)に接続され、
前記凸部はすべて、前記環状溝(40)の外側に位置する、請求項2~9のいずれか一項に記載のフィン構造体。
【請求項11】
2つの第1の板(11)の間に2つの第2の板(12)があり、前記2つの第2の板(12)は隣接して配置され、前記2つの第2の板(12)が交差する波の谷線(13)が形成され、
前記環状溝(40)と前記2つの第1の板(11)との接合部には、前記チューブ穴(20)に対して対称な2つの円弧面が形成され、前記チューブ穴(20)に対して対称な4つの平面が、前記環状溝(40)と前記2つの第2の板(12)との間の接合部に形成される、請求項10に記載のフィン構造体。
【請求項12】
前記環状溝(40)の溝底は、垂直流入方向において前記波の谷線に接し、
前記円弧面の母線と前記熱交換チューブの中心軸との間の夾角θは45°である、請求項11に記載のフィン構造体。
【請求項13】
前記熱交換チューブの外径Dに対する前記環状溝(40)の前記溝底の直径d1の比d1/Dが1.6~1.7である、請求項10~12のいずれか一項に記載のフィン構造体。
【請求項14】
前記2つの第1の板(11)が前記チューブ穴(20)に対して対称に配置され、前記2つの前記第2の板(12)が前記チューブ穴(20)に対して対称に配置される、請求項3~13のいずれか一項に記載のフィン構造体。
【請求項15】
前記熱交換チューブの外径Dに対する前記チューブ穴(20)の内径D1の比D1/Dが1.025~1.035である、請求項1~14のいずれか一項に記載のフィン構造体。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のフィン構造体を含む、熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は冷凍装置の技術分野に関するものであり、特にフィン構造体および熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、フィンチューブ熱交換器は、製造が簡単で適用性が高いなどの特徴により、化学、換気、暖房、空調、冷凍、およびその他の産業で広く使用されているおり、熱を最大限に伝達し、熱エネルギーを利用する方法(熱伝達の強化)は、常に業界の研究の焦点となっている。
【0003】
フィンチューブ熱交換器のフィン構造には、主にストレートフィン、コルゲートフィン、および対応するスロット付き(窓付き)構造などが含まれる。従来のストレートフィンとコルゲートフィンの場合、熱交換チューブの風下側は熱交換が不十分であることが多く、対応するスロット付き構造は、空気側の接触面積を増加させると同時に、構造の不規則性が流れ場を乱し、これが流体間の混合を促進し、境界層の流れの分離を遅らせ、それによって全体的な熱交換性能を向上させる。しかしながら、スロット付き構造は通常、流れのギャップを減少させ、フィンの流れ抵抗を増加させるため、フィンは湿潤状況下で霜によって簡単にブロックされ、フィンの寿命が短くなると同時に、効果的な熱交換面積が減少し、これはフィンの実際の熱交換効果に影響する。抵抗、伝熱性能、加工性を総合的に考慮し、コルゲートフィンは、より産業用途に適した形状である。しかしながら、熱交換器の熱放散に関する要件がさらに改善されているため、従来のコルゲートフィンが高効率熱交換器の性能要件を満たすことは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願の実施形態は、フィンの熱交換効果を改善し、熱交換器の熱交換性能を向上させるようなフィン構造体および熱交換器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本出願は、
熱交換チューブが貫通するためのチューブ穴を備える、コルゲートフィンであるフィンベースと、
フィンベース上に配置され、チューブ穴の外周を囲む、複数の凸部と
を備える、フィン構造体を提供する。
【0006】
さらに、フィンベースは、複数の第1の板と複数の第2の板とを備え、第2の板は、2つの第1の板の間に接続され、第1の板の対応する節の長さL1は、第2の板の対応する節の長さL2よりも大きい。
【0007】
さらに、2つの第1の板の間に2つの第2の板があり、2つの第2の板が隣接して配置されている。
【0008】
また、フィン間隔Sに対するフィンベースの波形高さh1の比h1/Sが0.58~0.62であり、L1/L2が1.5~1.7である。
【0009】
また、複数の凸部は、第1の板上に凸状に配置される環状凸部と、第2の板上に凸状に配置される横凸部とを含む。
【0010】
また、環状凸部は環状凸構造体であり、環状凸部が複数配置され、複数の環状凸部は、チューブ穴の外周に対称に分布している。
【0011】
また、横凸部はボスであり、横凸部が複数配置され、複数の横凸部は、チューブ穴の外周に対称に分布している。
【0012】
また、フィン間隔Sに対する環状凸部の隆起高さh3の比h3/Sが0.35~0.4である。
【0013】
また、フィン間隔Sに対する横凸部の隆起高さh2の比h2/Sが0.35~0.4である。
【0014】
さらに、フィンベースは、環状溝を備え、チューブ穴が環状溝内に位置し、環状溝とチューブ穴は同心円状に配置され、環状溝の外周は、第1の板および第2の板に接続され、凸部はすべて、環状溝の外側に位置する。
【0015】
さらに、2つの第1の板の間に2つの第2の板があり、2つの第2の板は隣接して配置され、2つの第2の板が交差する波の谷線が形成され、環状溝と2つの第1の板との接合部には、チューブ穴に対して対称な2つの円弧面が形成され、チューブ穴に対して対称な4つの平面が、環状溝と2つの第2の板との間の接合部に形成される。
【0016】
さらに、環状溝の溝底は、垂直流入方向において波の谷線に接し、円弧面の母線と熱交換チューブの中心軸との間の夾角θは45°である。
【0017】
また、熱交換チューブの外径Dに対する環状溝の溝底の直径d1の比d1/Dが1.6~1.7である。
【0018】
また、2つの第1の板がチューブ穴に対して対称に配置され、2つの第2の板がチューブ穴に対して対称に配置される。
【0019】
また、熱交換チューブの外径Dに対するチューブ穴の内径D1の比D1/Dが1.025~1.035である。
【0020】
本出願の別の一態様によれば、上記フィン構造体を含む熱交換器が提供される。
【0021】
本出願では、チューブ穴の外周に複数の凸部を配置することにより、コルゲートフィンの構造を改良している。凸部は、チューブ穴(設置された熱交換器)付近の気流の乱れを強める役割を果たすため、局所領域の流速を高め、冷温流体の混合を高め、フィンの有効熱交換面積を増やし、それによって熱交換器の熱交換性能が向上する。本出願に係るフィン構造体は、窓付きフィンと比較して、湿潤状況下でフィン表面に霜が付きにくく、それによって流路閉塞の発生を効果的に低減する。通常のコルゲートフィンと比較して、本出願に係るフィン構造体は、熱交換面積を効果的に増加させ、それによって熱交換効果をさらに向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本出願の一実施形態に係るフィン構造体の概略平面図である。
図2】本出願の一実施形態に係るフィン構造体の概略三次元構造図である。
図3図1のフィン構造体のA-A断面図である。
図4図1のフィン構造体のB-B断面図である。
図5】流入風速による熱交換量Qの変化状況のデータ比較図である。
図6】流入風速によるヌッセルト数Nuの変化状況のデータ比較図である。
図7】流入風速による熱抵抗Rの変化状況のデータ比較図である。
図8】流入風速2m/秒の場合の流路内の流れ場特性の比較模式図である。
図9】流入風速4m/秒の場合の流路内の流れ場特性の比較模式図である。
図10】流入風速6m/秒の場合の流路内の流れ場特性の比較模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本出願は、添付の図面および特定の実施形態と組み合わせて以下でさらに詳細に説明されるが、これらは本出願を限定することを意図していない。
【0024】
図1図4を参照すると、本出願の実施形態によれば、フィン構造体が提供される。フィン構造体は、フィンベース10と複数の凸部とを含む。フィンベース10は、熱交換チューブが貫通するチューブ穴20を備え、フィンベース10は、コルゲートフィンである。凸部はフィンベース10上に配置され、複数の凸部はチューブ穴20の外周を囲む。
【0025】
本出願では、チューブ穴の外周に複数の凸部を配置することにより、コルゲートフィンの構造を改良している。凸部は、チューブ穴(設置された熱交換器)付近の気流の乱れを強める役割を果たすため、局所領域の流速を高め、冷温流体の混合を高め、フィンの有効熱交換面積を増やし、それによって熱交換器の熱交換性能が向上する。本出願に係るフィン構造体は、窓付きフィンと比較して、湿潤状況下でフィン表面に霜が付きにくく、それによって流路閉塞の発生を効果的に低減する。通常のコルゲートフィンと比較して、本出願に係るフィン構造体は、熱交換面積を効果的に増加させ、それによって熱交換効果をさらに向上させる。
【0026】
図1および図2と組み合わせて、フィンベース10は、複数の第1の板11および複数の第2の板12を含み、第2の板12は、2つの第1の板11の間に接続され、第1の板11の対応する節の長さL1は、第2の板12の対応する節の長さL2より大きい。すなわち、フィンベース10の表面は、大きな板と小さな板に分割され、それぞれ第1の板と第2の板となり、空気の流れ方向に沿ってM字状に広がっている。本明細書において「複数」とは、2つ以上を指す。
【0027】
2つの第1の板11の間に2つの第2の板12があり、2つの第2の板12は隣接して配置されている。いくつかの実施形態において、2つの第1の板11は、チューブ穴20に対して対称に配置され、2つの第2の板12は、チューブ穴20に対して対称に配置され、2つの第2の板12がその上で交差する波の谷線を形成する。本実施形態のフィンベース10は、このような第1の板11と第2の板12との構造的配置により、フィン表面全体が気流方向に沿ってM字状に広がっている。
【0028】
いくつかの実施形態において、フィン間隔Sに対するフィンベース10の波形高さh1の比h1/Sは0.58~0.62であり、L1/L2は1.5~1.7である。波形高さとフィン間隔とのこのような関係、ならびに第1の板11の対応する節の長さL1と第2の板12の対応する節の長さL2との間のこのような関係に基づいて、フィン自体の熱交換容量が向上する。
【0029】
図2を参照すると、複数の凸部は、環状凸部31と横凸部32とを含む。環状凸部31は、第1の板11上に凸状に配置され、横凸部32は、第2の板12上に凸状に配置される。環状凸部31と側方凸部32は、いずれも流体の乱れを高め、異なる板上に配置され、それによって境界層の流れの剥離現象を遅らせ、フィンの熱交換性能を向上させる。
【0030】
環状凸部31は、環状凸構造体であり、複数の環状凸部31が配置され、複数の環状凸部31は、チューブ穴20の外周に対称的に分布している。本実施形態では、複数の環状凸部31は、第1の板11上に対称に配置された4つの環状凸部セグメントである。
【0031】
横凸部32はボスであり、複数の横凸部32が配置されており、複数の横凸部32は、チューブ穴20の外周に対称的に分布している。複数の横凸部32は、第2の板12上に対称的に配置された四角いボスの4つのセグメントである。横凸部32は、矩形ブロックの形状を有する。横凸部32と環状凸部31の配置により、熱交換チューブ付近の気流の乱れが強まるため、局所領域の流速を向上させ、温冷流体の混合が促進され、境界層の厚さが減少することにより、チューブの後方の伴流領域が大幅に減少し、フィンの有効熱交換面積が増加する。
【0032】
気流と環状凸部31の高さとのバランスの取れた関係を考慮するために、フィン間隔Sに対する環状凸部31の隆起高さh3の比h3/Sは、0.35~0.4である。
【0033】
気流と横凸部32の高さとのバランスの取れた関係を考慮するために、フィン間隔Sに対する横凸部32の隆起高さh2の比h2/Sは、0.35~0.4である。
【0034】
いくつかの実施形態では、フィンベース10には環状溝40が設けられ、チューブ穴20は、環状溝40内に位置し、環状溝40とチューブ穴20は、同心円状に配置され、環状溝40の外周は、第1の板11と第2の板12に接続され、凸部はすべて、環状溝40の外側に位置する。環状溝40の構造的配置は、周辺横凸部32および環状凸部31の打ち抜きおよび成形に便利であり、プロセスの実用性を向上させる。環状溝40の構造により、加工の難しさが単純化され、フィン構造体の加工コストが削減され、非常に高い工業的価値が達成される。
【0035】
2つの第1の板11の間に2つの第2の板12があり、2つの第2の板12が隣接して配置され、2つの第2の板12が上で交差する波の谷線が形成される。環状溝40とそれぞれの第1の板11との接合部には、円弧面が形成される。環状溝40とそれぞれの第2の板12との間の接合部には、2つの平面が形成される。環状溝40と2つの第1の板11との接合部に形成される2つの円弧面は、チューブ穴20に対して対称である。環状溝40と2つの第2の板12との接合部に形成される4つの平面は、チューブ穴20に対して対称である。環状溝40の溝底は円形面であり、垂直流入方向において波の谷線に接している。円弧面の母線と熱交換チューブの中心軸との夾角θは45°である。
【0036】
熱交換チューブの外径Dに対する環状溝40の溝底の直径d1の比d1/Dは、1.6~1.7である。熱交換チューブの外径Dに対するチューブ穴20の内径D1の比D1/Dは、1.025~1.035である。
【0037】
本出願は、熱交換器の一実施形態も提供し、熱交換器は、上記実施形態のフィン構造体を含む。
【0038】
本実施形態は、ANSYSの流動シミュレーションによって検証される。シミュレーション中、流入空気流量はそれぞれ、2m/秒、3m/秒、4m/秒、5m/秒、6m/秒であり、空気流入温度は35℃であり、チューブ壁温度は50.62℃であり、同じ流れの場合の横凸部32と環状凸部31が配置される前後の流路における、熱交換量Q、ヌッセルト数Nu、および熱抵抗R、ならびに流れ場特性変化状況が比較され、ここで、熱交換量Q、ヌッセルト数Nu、熱抵抗Rは、次のように定義される。
【数1】

mは、質量流量であり、単位はkg/秒である。Cpは、定圧比熱容量であり、単位はj/(kg・K)である。Toutは、空気流路の流出平均温度であり、単位はKである。Tinは、空気流路の流入平均温度で、単位はKである。
【数2】

hは、対流熱伝達係数であり、単位はw/(m・K)である。Deは、気流面の等価直径であり、単位はmである。λは、空気の熱伝導率であり、単位はw/(m・K)である。
【数3】

Sは、フィンの伝熱面積であり、単位はmである。ΔTは対数平均温度差であり、単位はKである。
【数4】

【数5】

wallは、フィン表面の平均温度であり、単位はKである。
【数6】
【0039】
熱交換量Q、ヌッセルト数Nu、および熱抵抗Rはいずれも、シミュレーションデータを抽出することによって計算することができ、熱交換量Qおよびヌッセルト数Nuが大きいほど、または熱抵抗Rが小さいほど、熱交換性能が良好になる。
【0040】
流入風速による熱交換量Qの変化状況を図5に示す。流入風速が大きいほど、熱交換量の増加が改善される。6m/秒では、元のフィンと比較して熱交換量の増加が最も大きく、4.37%である。図5の新しいフィンは、本出願に係るフィン構造体を指し、元のフィンは、従来技術のフィン構造体を指す。
【0041】
流入風速によるヌッセルト数Nuの変化状況を図6に示す。流入風速が増加するにつれて、ヌッセルト数は徐々に増加する。2m/秒で、ヌッセルト数の増加は元のフィンと比較して最大となり、11.16%である。図6の新しいフィンは、本出願に係るフィン構造体を指し、元のフィンは、従来技術のフィン構造体を指す。
【0042】
流入風速による熱抵抗Rの変化状況を図7に示す。流入風速が増加するにつれて、熱抵抗は徐々に減少する。2m/秒で、熱抵抗の減少は元のフィンと比較して最大となり、14.52%である。図7の新しいフィンは、本出願に係るフィン構造体を指し、元のフィンは、従来技術のフィン構造体を指す。
【0043】
本出願はまた、図8図10に示すように、流入風速が、2m/秒、4m/秒、6m/秒の場合の横凸部32と環状凸部31が配置される前後の流路内の流れ場特性の比較状況を提供する。図8は、流入風速2m/秒の場合の流路内の流れ場特性の比較状況を示す図であり、図9は、流入風速4m/秒の場合の流路内の流れ場特性の比較状況を示す図であり、図10は、流入風速が6m/秒の場合の流路内の流れ場特性の比較状況を示す図である。
【0044】
異なる流入風速において、従来技術のフィン構造体と本出願のフィン構造体との間の比較は、流れ場特性において同じ差異を示し、それは主に横凸部32および環状凸部31の配置により、熱交換チューブ近傍の気流の乱れが強まるため、局所領域の流速が増大し、冷温流体の混合が促進され、境界層の厚みが減少し、これはチューブ後方の伴流領域を大幅に減らし、フィンの有効熱交換面積を増やし、それによって熱交換器の熱交換性能を高めることを反映する。
【0045】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものであり、本出願に係る例示的な実施形態を限定することを意図していないことに留意すべきである。本明細書で使用される場合、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、単数形は複数形を含むことを意図している。また、「含有する(containing)」および/または「含む(including)」という用語が説明で使用される場合、それはまた、構成、ステップ、作業、装置、構成要素、および/またはそれらの組み合わせの存在を示すことを理解すべきである。
【0046】
本出願の明細書、特許請求の範囲、および上記の図面における「第1の」、「第2の」などの用語は、類似の対象を区別するために使用され、必ずしも特定の順序またはシーケンスを説明するために使用されるわけではないことに留意すべきである。このように使用されるデータは、適切な状況下で交換できるため、本明細書に記載の本出願の実施形態は、本明細書に図示または記載したもの以外の順序で実装できることを理解すべきである。
【0047】
もちろん、上記は本出願の好ましい実施形態である。当業者は、本出願の基本原理から逸脱することなく、いくつかの改良および修正を行うこともでき、これらの改良および修正も本出願の保護範囲とみなされることが、指摘されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は冷凍装置の技術分野に関するものであり、特にフィン構造体および熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、フィンチューブ熱交換器は、製造が簡単で適用性が高いなどの特徴により、化学、換気、暖房、空調、冷凍、およびその他の産業で広く使用されているおり、熱を最大限に伝達し、熱エネルギーを利用する方法(熱伝達の強化)は、常に業界の研究の焦点となっている。
【0003】
フィンチューブ熱交換器のフィン構造には、主にストレートフィン、コルゲートフィン、および対応するスロット付き(窓付き)構造などが含まれる。従来のストレートフィンとコルゲートフィンの場合、熱交換チューブの風下側は熱交換が不十分であることが多く、対応するスロット付き構造は、空気側の接触面積を増加させると同時に、構造の不規則性が流れ場を乱し、これが流体間の混合を促進し、境界層の流れの分離を遅らせ、それによって全体的な熱交換性能を向上させる。しかしながら、スロット付き構造は通常、流れのギャップを減少させ、フィンの流れ抵抗を増加させるため、フィンは湿潤状況下で霜によって簡単にブロックされ、フィンの寿命が短くなると同時に、効果的な熱交換面積が減少し、これはフィンの実際の熱交換効果に影響する。抵抗、伝熱性能、加工性を総合的に考慮し、コルゲートフィンは、より産業用途に適した形状である。しかしながら、熱交換器の熱放散に関する要件がさらに改善されているため、従来のコルゲートフィンが高効率熱交換器の性能要件を満たすことは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願の実施形態は、フィンの熱交換効果を改善し、熱交換器の熱交換性能を向上させるようなフィン構造体および熱交換器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本出願は、
熱交換チューブが貫通するためのチューブ穴を備える、コルゲートフィンであるフィンベースと、
フィンベース上に配置され、チューブ穴の外周を囲む、複数の凸部と
を備える、フィン構造体を提供する。
【0006】
さらに、フィンベースは、複数の第1の板と複数の第2の板とを備え、第2の板は、2つの第1の板の間に接続され、第1の板の対応する節の長さL1は、第2の板の対応する節の長さL2よりも大きい。
【0007】
さらに、2つの第1の板の間に2つの第2の板があり、2つの第2の板が隣接して配置されている。
【0008】
また、フィン間隔Sに対するフィンベースの波形高さh1の比h1/Sが0.58~0.62であり、L1/L2が1.5~1.7である。
【0009】
また、複数の凸部は、第1の板上に凸状に配置される環状凸部と、第2の板上に凸状に配置される横凸部とを含む。
【0010】
また、環状凸部は環状凸構造体であり、環状凸部が複数配置され、複数の環状凸部は、チューブ穴の外周に対称に分布している。
【0011】
また、横凸部はボスであり、横凸部が複数配置され、複数の横凸部は、チューブ穴の外周に対称に分布している。
【0012】
また、フィン間隔Sに対する環状凸部の隆起高さh3の比h3/Sが0.35~0.4である。
【0013】
また、フィン間隔Sに対する横凸部の隆起高さh2の比h2/Sが0.35~0.4である。
【0014】
さらに、フィンベースは、環状溝を備え、チューブ穴が環状溝内に位置し、環状溝とチューブ穴は同心円状に配置され、環状溝の外周は、第1の板および第2の板に接続され、凸部はすべて、環状溝の外側に位置する。
【0015】
さらに、2つの第1の板の間に2つの第2の板があり、2つの第2の板は隣接して配置され、2つの第2の板が交差する波の谷線が形成され、環状溝と2つの第1の板との接合部には、チューブ穴に対して対称な2つの円弧面が形成され、チューブ穴に対して対称な4つの平面が、環状溝と2つの第2の板との間の接合部に形成される。
【0016】
さらに、環状溝の溝底は、垂直流入方向において波の谷線に接し、円弧面の母線と熱交換チューブの中心軸との間の夾角θは45°である。
【0017】
また、熱交換チューブの外径Dに対する環状溝の溝底の直径d1の比d1/Dが1.6~1.7である。
【0018】
また、2つの第1の板がチューブ穴に対して対称に配置され、2つの第2の板がチューブ穴に対して対称に配置される。
【0019】
また、熱交換チューブの外径Dに対するチューブ穴の内径D1の比D1/Dが1.025~1.035である。
【0020】
本出願の別の一態様によれば、上記フィン構造体を含む熱交換器が提供される。
【0021】
本出願では、チューブ穴の外周に複数の凸部を配置することにより、コルゲートフィンの構造を改良している。凸部は、チューブ穴(設置された熱交換器)付近の気流の乱れを強める役割を果たすため、局所領域の流速を高め、冷温流体の混合を高め、フィンの有効熱交換面積を増やし、それによって熱交換器の熱交換性能が向上する。本出願に係るフィン構造体は、窓付きフィンと比較して、湿潤状況下でフィン表面に霜が付きにくく、それによって流路閉塞の発生を効果的に低減する。通常のコルゲートフィンと比較して、本出願に係るフィン構造体は、熱交換面積を効果的に増加させ、それによって熱交換効果をさらに向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本出願の一実施形態に係るフィン構造体の概略平面図である。
図2】本出願の一実施形態に係るフィン構造体の概略三次元構造図である。
図3図1のフィン構造体のA-A断面図である。
図4図1のフィン構造体のB-B断面図である。
図5】流入風速による熱交換量Qの変化状況のデータ比較図である。
図6】流入風速によるヌッセルト数Nuの変化状況のデータ比較図である。
図7】流入風速による熱抵抗Rの変化状況のデータ比較図である。
図8】流入風速2m/秒の場合の流路内の流れ場特性の比較模式図である。
図9】流入風速4m/秒の場合の流路内の流れ場特性の比較模式図である。
図10】流入風速6m/秒の場合の流路内の流れ場特性の比較模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本出願は、添付の図面および特定の実施形態と組み合わせて以下でさらに詳細に説明されるが、これらは本出願を限定することを意図していない。
【0024】
図1図4を参照すると、本出願の実施形態によれば、フィン構造体が提供される。フィン構造体は、フィンベース10と複数の凸部30とを含む。フィンベース10は、熱交換チューブが貫通するチューブ穴20を備え、フィンベース10は、コルゲートフィンである。凸部はフィンベース10上に配置され、複数の凸部30はチューブ穴20の外周を囲む。
【0025】
本出願では、チューブ穴の外周に複数の凸部30を配置することにより、コルゲートフィンの構造を改良している。凸部30は、チューブ穴(設置された熱交換器)付近の気流の乱れを強める役割を果たすため、局所領域の流速を高め、冷温流体の混合を高め、フィンの有効熱交換面積を増やし、それによって熱交換器の熱交換性能が向上する。本出願に係るフィン構造体は、窓付きフィンと比較して、湿潤状況下でフィン表面に霜が付きにくく、それによって流路閉塞の発生を効果的に低減する。通常のコルゲートフィンと比較して、本出願に係るフィン構造体は、熱交換面積を効果的に増加させ、それによって熱交換効果をさらに向上させる。
【0026】
図1および図2と組み合わせて、フィンベース10は、複数の第1の板11および複数の第2の板12を含み、第2の板12は、2つの第1の板11の間に接続され、第1の板11の対応する節の長さL1は、第2の板12の対応する節の長さL2より大きい。すなわち、フィンベース10の表面は、大きな板と小さな板に分割され、それぞれ第1の板と第2の板となり、空気の流れ方向に沿ってM字状に広がっている。本明細書において「複数」とは、2つ以上を指す。
【0027】
2つの第1の板11の間に2つの第2の板12があり、2つの第2の板12は隣接して配置されている。いくつかの実施形態において、2つの第1の板11は、チューブ穴20に対して対称に配置され、2つの第2の板12は、チューブ穴20に対して対称に配置され、2つの第2の板12がその上で交差する波の谷線13を形成する。本実施形態のフィンベース10は、このような第1の板11と第2の板12との構造的配置により、フィン表面全体が気流方向に沿ってM字状に広がっている。
【0028】
いくつかの実施形態において、フィン間隔Sに対するフィンベース10の波形高さh1の比h1/Sは0.58~0.62であり、L1/L2は1.5~1.7である。波形高さとフィン間隔とのこのような関係、ならびに第1の板11の対応する節の長さL1と第2の板12の対応する節の長さL2との間のこのような関係に基づいて、フィン自体の熱交換容量が向上する。
【0029】
図2を参照すると、複数の凸部30は、環状凸部31と横凸部32とを含む。環状凸部31は、第1の板11上に凸状に配置され、横凸部32は、第2の板12上に凸状に配置される。環状凸部31と側方凸部32は、いずれも流体の乱れを高め、異なる板上に配置され、それによって境界層の流れの剥離現象を遅らせ、フィンの熱交換性能を向上させる。
【0030】
環状凸部31は、環状凸構造体であり、複数の環状凸部31が配置され、複数の環状凸部31は、チューブ穴20の外周に対称的に分布している。本実施形態では、複数の環状凸部31は、第1の板11上に対称に配置された4つの環状凸部セグメントである。
【0031】
横凸部32はボスであり、複数の横凸部32が配置されており、複数の横凸部32は、チューブ穴20の外周に対称的に分布している。複数の横凸部32は、第2の板12上に対称的に配置された四角いボスの4つのセグメントである。横凸部32は、矩形ブロックの形状を有する。横凸部32と環状凸部31の配置により、熱交換チューブ付近の気流の乱れが強まるため、局所領域の流速を向上させ、温冷流体の混合が促進され、境界層の厚さが減少することにより、チューブの後方の伴流領域が大幅に減少し、フィンの有効熱交換面積が増加する。
【0032】
気流と環状凸部31の高さとのバランスの取れた関係を考慮するために、フィン間隔Sに対する環状凸部31の隆起高さh3の比h3/Sは、0.35~0.4である。
【0033】
気流と横凸部32の高さとのバランスの取れた関係を考慮するために、フィン間隔Sに対する横凸部32の隆起高さh2の比h2/Sは、0.35~0.4である。
【0034】
いくつかの実施形態では、フィンベース10には環状溝40が設けられ、チューブ穴20は、環状溝40内に位置し、環状溝40とチューブ穴20は、同心円状に配置され、環状溝40の外周は、第1の板11と第2の板12に接続され、凸部30はすべて、環状溝40の外側に位置する。環状溝40の構造的配置は、周辺横凸部32および環状凸部31の打ち抜きおよび成形に便利であり、プロセスの実用性を向上させる。環状溝40の構造により、加工の難しさが単純化され、フィン構造体の加工コストが削減され、非常に高い工業的価値が達成される。
【0035】
2つの第1の板11の間に2つの第2の板12があり、2つの第2の板12が隣接して配置され、2つの第2の板12が上で交差する波の谷線13が形成される。環状溝40とそれぞれの第1の板11との接合部には、円弧面41が形成される。環状溝40とそれぞれの第2の板12との間の接合部には、2つの平面42が形成される。環状溝40と2つの第1の板11との接合部に形成される2つの円弧面は、チューブ穴20に対して対称である。環状溝40と2つの第2の板12との接合部に形成される4つの平面42は、チューブ穴20に対して対称である。環状溝40の溝底43は円形面であり、垂直流入方向において波の谷線13に接している。円弧面41の母線と熱交換チューブの中心軸との夾角θは45°である。
【0036】
熱交換チューブの外径Dに対する環状溝40の溝底の直径d1の比d1/Dは、1.6~1.7である。熱交換チューブの外径Dに対するチューブ穴20の内径D1の比D1/Dは、1.025~1.035である。
【0037】
本出願は、熱交換器の一実施形態も提供し、熱交換器は、上記実施形態のフィン構造体を含む。
【0038】
本実施形態は、ANSYSの流動シミュレーションによって検証される。シミュレーション中、流入空気流量はそれぞれ、2m/秒、3m/秒、4m/秒、5m/秒、6m/秒であり、空気流入温度は35℃であり、チューブ壁温度は50.62℃であり、同じ流れの場合の横凸部32と環状凸部31が配置される前後の流路における、熱交換量Q、ヌッセルト数Nu、および熱抵抗R、ならびに流れ場特性変化状況が比較され、ここで、熱交換量Q、ヌッセルト数Nu、熱抵抗Rは、次のように定義される。
【数1】

mは、質量流量であり、単位はkg/秒である。Cpは、定圧比熱容量であり、単位はj/(kg・K)である。Toutは、空気流路の流出平均温度であり、単位はKである。Tinは、空気流路の流入平均温度で、単位はKである。
【数2】

hは、対流熱伝達係数であり、単位はw/(m・K)である。Deは、気流面の等価直径であり、単位はmである。λは、空気の熱伝導率であり、単位はw/(m・K)である。
【数3】

Sは、フィンの伝熱面積であり、単位はmである。ΔTは対数平均温度差であり、単位はKである。
【数4】

【数5】

wallは、フィン表面の平均温度であり、単位はKである。
【数6】
【0039】
熱交換量Q、ヌッセルト数Nu、および熱抵抗Rはいずれも、シミュレーションデータを抽出することによって計算することができ、熱交換量Qおよびヌッセルト数Nuが大きいほど、または熱抵抗Rが小さいほど、熱交換性能が良好になる。
【0040】
流入風速による熱交換量Qの変化状況を図5に示す。流入風速が大きいほど、熱交換量の増加が改善される。6m/秒では、元のフィンと比較して熱交換量の増加が最も大きく、4.37%である。図5の新しいフィンは、本出願に係るフィン構造体を指し、元のフィンは、従来技術のフィン構造体を指す。
【0041】
流入風速によるヌッセルト数Nuの変化状況を図6に示す。流入風速が増加するにつれて、ヌッセルト数は徐々に増加する。2m/秒で、ヌッセルト数の増加は元のフィンと比較して最大となり、11.16%である。図6の新しいフィンは、本出願に係るフィン構造体を指し、元のフィンは、従来技術のフィン構造体を指す。
【0042】
流入風速による熱抵抗Rの変化状況を図7に示す。流入風速が増加するにつれて、熱抵抗は徐々に減少する。2m/秒で、熱抵抗の減少は元のフィンと比較して最大となり、14.52%である。図7の新しいフィンは、本出願に係るフィン構造体を指し、元のフィンは、従来技術のフィン構造体を指す。
【0043】
本出願はまた、図8図10に示すように、流入風速が、2m/秒、4m/秒、6m/秒の場合の横凸部32と環状凸部31が配置される前後の流路内の流れ場特性の比較状況を提供する。図8は、流入風速2m/秒の場合の流路内の流れ場特性の比較状況を示す図であり、図9は、流入風速4m/秒の場合の流路内の流れ場特性の比較状況を示す図であり、図10は、流入風速が6m/秒の場合の流路内の流れ場特性の比較状況を示す図である。
【0044】
異なる流入風速において、従来技術のフィン構造体と本出願のフィン構造体との間の比較は、流れ場特性において同じ差異を示し、それは主に横凸部32および環状凸部31の配置により、熱交換チューブ近傍の気流の乱れが強まるため、局所領域の流速が増大し、冷温流体の混合が促進され、境界層の厚みが減少し、これはチューブ後方の伴流領域を大幅に減らし、フィンの有効熱交換面積を増やし、それによって熱交換器の熱交換性能を高めることを反映する。
【0045】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものであり、本出願に係る例示的な実施形態を限定することを意図していないことに留意すべきである。本明細書で使用される場合、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、単数形は複数形を含むことを意図している。また、「含有する(containing)」および/または「含む(including)」という用語が説明で使用される場合、それはまた、構成、ステップ、作業、装置、構成要素、および/またはそれらの組み合わせの存在を示すことを理解すべきである。
【0046】
本出願の明細書、特許請求の範囲、および上記の図面における「第1の」、「第2の」などの用語は、類似の対象を区別するために使用され、必ずしも特定の順序またはシーケンスを説明するために使用されるわけではないことに留意すべきである。このように使用されるデータは、適切な状況下で交換できるため、本明細書に記載の本出願の実施形態は、本明細書に図示または記載したもの以外の順序で実装できることを理解すべきである。
【0047】
もちろん、上記は本出願の好ましい実施形態である。当業者は、本出願の基本原理から逸脱することなく、いくつかの改良および修正を行うこともでき、これらの改良および修正も本出願の保護範囲とみなされることが、指摘されるべきである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィンベース(10)と複数の凸部(30)とを備えるフィン構造体であって、
前記フィンベース(10)は、コルゲートフィンであり、熱交換チューブが貫通するためのチューブ穴(20)を備え、
前記複数の凸部(30)は、前記フィンベース(10)上に配置され、前記チューブ穴(20)の外周を囲む、フィン構造体。
【請求項2】
前記フィンベース(10)は、複数の第1の板(11)と複数の第2の板(12)とを備え、前記第2の板(12)は、2つの第1の板(11)の間に接続され、前記第1の板(11)の対応する節の長さL1は、前記第2の板(12)の対応する節の長さL2よりも大きい、請求項1に記載のフィン構造体。
【請求項3】
2つの第1の板(11)の間に2つの第2の板(12)があり、前記2つの第2の板(12)が隣接して配置されている、請求項2に記載のフィン構造体。
【請求項4】
フィン間隔Sに対する前記フィンベース(10)の波形高さh1の比h1/Sが0.58~0.62であり、L1/L2が1.5~1.7である、請求項2に記載のフィン構造体。
【請求項5】
前記複数の凸部(30)は、
前記第1の板(11)上に凸状に配置される環状凸部(31)と、
前記第2の板(12)上に凸状に配置される横凸部(32)と
を備える、請求項2に記載のフィン構造体。
【請求項6】
前記環状凸部(31)は環状凸構造体であり、前記環状凸部(31)が複数配置され、前記複数の前記環状凸部(31)は、前記チューブ穴(20)の前記外周に対称に分布している、請求項5に記載のフィン構造体。
【請求項7】
前記横凸部(32)はボスであり、前記横凸部(32)が複数配置され、前記複数の前記横凸部(32)は、前記チューブ穴(20)の前記外周に対称に分布している、請求項5に記載のフィン構造体。
【請求項8】
前記フィン間隔Sに対する前記環状凸部(31)の隆起高さh3の比h3/Sが0.35~0.4である、請求項5に記載のフィン構造体。
【請求項9】
前記フィン間隔Sに対する前記横凸部(32)の隆起高さh2の比h2/Sが0.35~0.4である、請求項5に記載のフィン構造体。
【請求項10】
前記フィンベース(10)は、環状溝(40)を備え、
前記チューブ穴(20)が前記環状溝(40)内に位置し、
前記環状溝(40)と前記チューブ穴(20)は同心円状に配置され、
前記環状溝(40)の外周は、前記第1の板(11)および前記第2の板(12)に接続され、
前記凸部(30)はすべて、前記環状溝(40)の外側に位置する、請求項2に記載のフィン構造体。
【請求項11】
2つの第1の板(11)の間に2つの第2の板(12)があり、前記2つの第2の板(12)は隣接して配置され、前記2つの第2の板(12)が交差する波の谷線(13)が形成され、
前記環状溝(40)と前記2つの第1の板(11)との接合部には、前記チューブ穴(20)に対して対称な2つの円弧面(41)が形成され、前記チューブ穴(20)に対して対称な4つの平面(42)が、前記環状溝(40)と前記2つの第2の板(12)との間の接合部に形成される、請求項10に記載のフィン構造体。
【請求項12】
前記環状溝(40)の溝底(43)は、垂直流入方向において前記波の谷線(13)に接し、
前記円弧面(41)の母線と前記熱交換チューブの中心軸との間の夾角θは45°である、請求項11に記載のフィン構造体。
【請求項13】
前記熱交換チューブの外径Dに対する前記環状溝(40)の前記溝底(43)の直径d1の比d1/Dが1.6~1.7である、請求項10に記載のフィン構造体。
【請求項14】
前記2つの第1の板(11)が前記チューブ穴(20)に対して対称に配置され、前記2つの前記第2の板(12)が前記チューブ穴(20)に対して対称に配置される、請求項3に記載のフィン構造体。
【請求項15】
前記熱交換チューブの外径Dに対する前記チューブ穴(20)の内径D1の比D1/Dが1.025~1.035である、請求項1に記載のフィン構造体。
【請求項16】
請求項1に記載のフィン構造体を含む、熱交換器。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4
【国際調査報告】