(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】コークス制御反応器、含酸素化合物から軽オレフィンを製造する装置及び応用
(51)【国際特許分類】
B01J 8/24 20060101AFI20230712BHJP
C07C 1/20 20060101ALI20230712BHJP
C07C 11/04 20060101ALI20230712BHJP
C07C 11/06 20060101ALI20230712BHJP
B01J 38/16 20060101ALI20230712BHJP
B01J 38/22 20060101ALI20230712BHJP
B01J 29/85 20060101ALI20230712BHJP
B01J 29/90 20060101ALI20230712BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230712BHJP
【FI】
B01J8/24 311
C07C1/20
C07C11/04
C07C11/06
B01J38/16
B01J38/22
B01J29/85 M
B01J29/90 M
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573393
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 CN2020121567
(87)【国際公開番号】W WO2022077458
(87)【国際公開日】2022-04-21
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503190796
【氏名又は名称】中国科学院大▲連▼化学物理研究所
【氏名又は名称原語表記】DALIAN INSTITUTE OF CHEMICAL PHYSICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 涛
(72)【発明者】
【氏名】叶 茂
(72)【発明者】
【氏名】張 今令
(72)【発明者】
【氏名】徐 庶亮
(72)【発明者】
【氏名】唐 海龍
(72)【発明者】
【氏名】王 賢高
(72)【発明者】
【氏名】張 聘
(72)【発明者】
【氏名】▲ジャー▼ 金明
(72)【発明者】
【氏名】王 静
(72)【発明者】
【氏名】李 華
(72)【発明者】
【氏名】李 承功
(72)【発明者】
【氏名】劉 中民
【テーマコード(参考)】
4G070
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G070AA01
4G070AB10
4G070BB32
4G070CA03
4G070CA06
4G070CA26
4G070CB17
4G070DA21
4G169AA02
4G169AA10
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169CB63
4G169CC21
4G169DA07
4G169GA03
4G169GA06
4G169ZA41A
4G169ZA41B
4H006AA02
4H006AA04
4H006AC25
4H006BA71
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC18
4H006BD81
4H039CA29
4H039CE90
4H039CG90
(57)【要約】
本願は、コークス制御反応器、含酸素化合物から軽オレフィンを製造する装置及び応用を開示する。このコークス制御反応器は、ライザー反応器と、ベッド反応器とを含み、ベッド反応器は、下から上へ反応領域I、遷移領域と固気分離領域Iを包囲形成するベッド反応器ハウジングを含み、反応領域Iには、ベッド反応器分配器が設けられ、反応領域Iの外部には、コークス制御触媒輸送管がさらに設けられ、ライザー反応器の上部は、ベッド反応器の底部を通して軸方向に沿ってベッド反応器に挿設され、ライザー反応器の出口端は、遷移領域に位置する。コークス制御反応器は、触媒におけるコークス種の転化と生成を制御することができ、一方で、再生触媒に残留された不活性の高分子コークス種を低分子コークス種に転化し、もう一方で、ライザー反応器原料とベッド反応器原料は、触媒中に入って高活性の低分子コークス種を生成し、エチレンの選択性を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライザー反応器と、ベッド反応器とを含むコークス制御反応器であって、
前記ベッド反応器は、下から上へ反応領域I、遷移領域と固気分離領域Iを包囲形成するベッド反応器ハウジングを含み、
前記反応領域Iの内下部には、ベッド反応器分配器が設けられ、
前記反応領域Iの外部には、コークス制御触媒輸送管がさらに設けられ、
前記ライザー反応器の上部は、前記ベッド反応器の底部を通して軸方向に沿って前記ベッド反応器に挿設され、
前記ライザー反応器の出口端は、前記遷移領域に位置する、ことを特徴とするコークス制御反応器。
【請求項2】
前記反応領域I内には、少なくとも一つの多孔板が設けられ、複数の前記多孔板は、軸方向に沿って順次前記ライザー反応器の外周に配列され、
前記ライザー反応器の出口端は、前記多孔板の上方に位置し、
前記ベッド反応器分配器は、前記多孔板の下方に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のコークス制御反応器。
【請求項3】
前記多孔板の開孔率は、1~30%である、ことを特徴とする請求項2に記載のコークス制御反応器。
【請求項4】
前記固気分離領域Iには、ベッド反応器固気分離器と、ベッド反応器ガス収集室とが設けられ、
前記ベッド反応器固気分離器のガス出口は、前記ベッド反応器ガス収集室と連通され、
前記ベッド反応器固気分離器の触媒出口は、多孔板の上方に位置し、
前記ベッド反応器ガス収集室は、前記ベッド反応器の外部に位置するコークス制御生成ガス輸送管と連通される、ことを特徴とする請求項1に記載のコークス制御反応器。
【請求項5】
前記ベッド反応器分配器は、ベッド反応器原料を通入するために用いられ、
前記ベッド反応器原料は、水素ガス0~20wt%、メタン0~50wt%、エタン0~50wt%、エチレン0~20wt%、プロパン0~50wt%、プロペン0~20wt%、ブタン0~90wt%、ブテン0~90wt%、ペンタン0~90wt%、ペンテン0~90wt%、ヘキサン0~90wt%、ヘキセン0~90wt%、メタノール0~50wt%、エタノール0~50wt%及び水0~50wt%を含み、且つ、メタノール、エタノールと水との合計含有量は、≧10wt%である、ことを特徴とする請求項1に記載のコークス制御反応器。
【請求項6】
前記ライザー反応器は、触媒とライザー反応原料を通入するために用いられ、
前記ライザー反応原料は、水素ガス0~20wt%、メタン0~50wt%、エタン0~50wt%、エチレン0~20wt%、プロパン0~50wt%、プロペン0~20wt%、ブタン0~90wt%、ブテン0~90wt%、ペンタン0~90wt%、ペンテン0~90wt%、ヘキサン0~90wt%、ヘキセン0~90wt%、メタノール0~50wt%、エタノール0~50wt%及び水0~50wt%を含み、且つ、メタノール、エタノールと水との合計含有量は、≧10wt%である、ことを特徴とする請求項1に記載のコークス制御反応器。
【請求項7】
含酸素化合物から軽オレフィンを製造する装置であって、メタノール転化反応器と、請求項1~6のいずれか1項に記載のコークス制御反応器とを含む、ことを特徴とする装置。
【請求項8】
前記メタノール転化反応器は、メタノール転化反応器ハウジングと、輸送管とを含み、
前記メタノール転化反応器ハウジングは、下ハウジングと、上ハウジングとを含み、
前記下ハウジングは、内下部にはメタノール転化反応器分配器が設けられる反応領域IIを包囲形成し、
前記輸送管は、前記反応領域IIの上方に位置し、且つ前記輸送管の一端が閉合され、他端が前記反応領域IIと連通され、
前記上ハウジングは、前記輸送管の外周に設けられ、
前記上ハウジングと前記輸送管の管壁は、キャビティを包囲形成し、
前記キャビティは、下から上へ使用済み剤領域と固気分離領域IIとに分けられ、
前記使用済み剤領域には、使用済み領域ガス分配器が設けられる、ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記固気分離領域IIには、メタノール転化反応器第1の固気分離器が設けられ、
前記輸送管の上部は、前記メタノール転化反応器第1の固気分離器の入口に接続され、
前記メタノール転化反応器第1の固気分離器の触媒出口は、前記使用済み剤領域に位置し、
前記メタノール転化反応器第1の固気分離器のガス出口は、メタノール転化反応器ガス収集室と連通され、
前記メタノール転化反応器ガス収集室は、生成ガス輸送管に接続される、ことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記固気分離領域IIには、メタノール転化反応器第2の固気分離器がさらに設けられ、
前記メタノール転化反応器第2の固気分離器のガス入口は、固気分離領域IIに位置し、
前記メタノール転化反応器第2の固気分離器の触媒出口は、前記使用済み剤領域に位置し、
前記メタノール転化反応器第2の固気分離器のガス出口は、メタノール転化反応器ガス収集室と連通される、ことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記使用済み領域ガス分配器は、メタノール転化反応器第1の固気分離器とメタノール転化反応器第2の固気分離器との下方に位置し、
前記使用済み剤領域には、メタノール転化反応器熱除去器がさらに設けられる、ことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記使用済み剤領域の外部には、使用済み剤循環管と使用済み傾斜管とがさらに設けられ、
前記使用済み剤循環管は、前記使用済み剤領域を前記反応領域IIに接続するために用いられ、
前記使用済み傾斜管は、使用済み触媒を送出するために用いられる、ことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記固気分離領域IIは、コークス制御生成ガス輸送管を介してベッド反応器ガス収集室と連通され、
前記反応領域IIは、コークス制御触媒輸送管を介して反応領域Iと連通される、ことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記装置は、再生器をさらに含み、
前記再生器は、使用済み傾斜管に接続され、使用済み触媒を前記再生器に搬送するために用いられ、
前記再生器は、ライザー反応器に接続され、再生触媒を前記コークス制御反応器に搬送するために用いられ、
前記再生器の内底部には、再生器分配器が設けられる、ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項15】
前記再生器の底部には、再生器ストリッパーがさらに設けられ、
前記再生器ストリッパーの上部は、前記再生器の内部に設けられ、且つ前記再生器ストリッパー上部の入口は、前記再生器分配器の上方に位置し、
前記再生器ストリッパーの下部は、前記再生器の外部に設けられ、且つ前記再生器ストリッパー下部の出口は、前記ライザー反応器に接続され、
前記再生器ストリッパーには、再生器熱除去器がさらに設けられる、ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記再生器は、使用済み剤輸送管とメタノール転化反応器ストリッパーを介して前記使用済み傾斜管に接続され、
前記再生器は、再生器ストリッパーと再生傾斜管を介して前記ライザー反応器の入口に接続される、ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記再生器には、再生器固気分離器と、再生器ガス収集室とがさらに設けられ、
前記再生器固気分離器の触媒出口は、前記再生器分配器の上方に位置し、
前記再生器固気分離器のガス出口は、前記再生器ガス収集室に接続され、
前記再生器ガス収集室は、前記再生器の外部に位置する排煙輸送管に接続される、ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項18】
DMTO触媒をオンライン改質する方法であって、
ライザー反応器原料と触媒をライザー反応器から遷移領域に通入し、ベッド反応器原料を反応領域Iに通入し、
前記触媒をライザー反応器原料及びベッド反応器原料と接触させ、反応させ、コークス制御触媒とコークス制御生成ガスとを生成し、
前記触媒は、DMTO触媒であり、
前記コークス制御触媒は、改質DMTO触媒である、ことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記触媒の活性成分は、SAPO-34分子篩である、ことを特徴とする請求項18に記載のDMTO触媒をオンライン改質する方法。
【請求項20】
前記触媒は、再生触媒であり、
前記再生触媒におけるコークス含有量は、≦3wt%である、ことを特徴とする請求項18に記載のDMTO触媒をオンライン改質する方法。
【請求項21】
前記コークス制御触媒におけるコークス含有量は、4~9wt%であり、
前記コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、1wt%よりも小さい、ことを特徴とする請求項18に記載のDMTO触媒をオンライン改質する方法。
【請求項22】
前記コークス制御触媒におけるコークス種は、ポリメチルベンゼンと、ポリメチルナフタレンとを含み、
ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量は、≧70wt%であり、
分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、≦25wt%であり、
ここで、前記コークス合計質量とは、コークス種の合計質量である、ことを特徴とする請求項18に記載のDMTO触媒をオンライン改質する方法。
【請求項23】
ライザー反応器のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が3~10m/s、反応温度が400~700℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が10~150kg/m
3である、ことを特徴とする請求項18に記載のDMTO触媒をオンライン改質する方法。
【請求項24】
ベッド反応器の反応領域Iのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.1~1.0m/s、反応温度が300~650℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が150~800kg/m
3である、ことを特徴とする請求項18に記載のDMTO触媒をオンライン改質する方法。
【請求項25】
含酸素化合物から軽オレフィンを製造する方法であって、
前記方法は、請求項18~24のいずれか1項に記載のDMTO触媒をオンライン改質する方法を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項26】
前記方法は、コークス制御生成ガスをメタノール転化反応器の固気分離領域に通入することをさらに含む、ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記方法は、コークス制御触媒をメタノール転化反応器の反応領域IIに通入することをさらに含む、ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
反応領域IIにおいて、含酸素化合物を含有する原料をコークス制御触媒と接触させ、反応させ、軽オレフィンと使用済み触媒を含有する流れAを生成する、ことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記流れAがメタノール転化反応器の固気分離領域IIで固気分離した後、気相流れBと固相流れCとに分けられ、
前記気相流れBは、メタノール転化反応器ガス収集室に入り、
前記固相流れCは、使用済み剤領域に入り、
ここで、前記気相流れBは、軽オレフィンを含有し、前記固相流れCは、使用済み触媒を含有する、ことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
使用済み剤領域流動化ガスを使用済み剤領域に通入し、
前記使用済み剤領域流動化ガス、コークス制御生成ガスは、一部の使用済み触媒を混合担持して、流れDを形成し、
前記流れDに対して固気分離を行い、分離された後、気相流れEと固相流れFとを得、
前記気相流れEは、メタノール転化反応器ガス収集室に入り、
前記固相流れFは、使用済み剤領域に入り、
ここで、前記気相流れEは、使用済み剤領域流動化ガスとコークス制御生成ガスとの混合ガスであり、
前記固相流れFは、使用済み触媒である、ことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記気相流れBと気相流れEは、メタノール転化反応器ガス収集室で混合して、生成ガスを形成し、前記生成ガスは、生成ガス輸送管を経て下流工程に入る、ことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
使用済み剤領域にある一部の前記使用済み触媒は、使用済み剤循環管を経て反応領域IIの底部に戻り、
他の一部の前記使用済み触媒は、使用済み傾斜管を経て排出される、ことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記使用済み傾斜管を経て排出された使用済み触媒を再生器に通入し、
再生ガスを前記再生器に通入して、前記使用済み触媒と接触させ、反応させ、排煙と再生触媒を含有する流れGを得る、ことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記流れGに対して固気分離を行い、
分離された後の排煙は、再生器ガス収集室に入り、排煙輸送管を経て下流の排煙処理システムに入り、
分離された後の再生触媒に対してストリッピングを行い、熱除去された後、コークス制御反応器に入る、ことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記含酸素化合物は、メタノール及び/又はジメチルエーテルを含む、ことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記使用済み触媒におけるコークス含有量は、9~13wt%である、ことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記使用済み剤領域流動化ガスは、窒素ガス及び/又は水蒸気を含む、ことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記再生ガスは、空気0~100wt%、酸素ガス0~50wt%、窒素ガス0~50wt%及び水蒸気0~50wt%を含み、
前記空気、酸素ガス、窒素ガスと水蒸気は、同時に0ではない、ことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項39】
メタノール転化反応器の反応領域IIのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.5~7.0m/s、反応温度が350~550℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が100~500kg/m
3である、ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項40】
メタノール転化反応器の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.1~1.0m/s、反応温度が350~550℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が200~800kg/m
3である、ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項41】
再生器のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.5~2.0m/s、再生温度が600~750℃、再生圧力が100~500kPa、ベッド密度が150~700kg/m
3である、ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、化学工業触媒化装置分野に属し、コークス制御反応器、含酸素化合物から軽オレフィンを製造する装置及び応用に関する。
【背景技術】
【0002】
メタノールからアルケンを製造する技術(MTO)は、主に中国科学院大連化学物理研究所のDMTO技術と米国UOP会社のMTO技術がある。2010年、DMTO技術を用いた神華包頭がメタノールからアルケンを製造する工場が建設され操業した。これは、MTO技術の世界初の工業化応用であり、2019年末までに、既に14セットのDMTO工業装置が操業され、軽オレフィン生産能力は合計約800万トン/年であった。
【0003】
近年では、DMTO技術はいっそう発展し、性能がより優れた新世代DMTO触媒が次第に工業化応用され始め、DMTO工場のためにより高い利益を創造した。新世代DMTO触媒は、より高いメタノール処理能力と軽オレフィン選択性を有する。従来のDMTO工業装置は、新世代DMTO触媒の長所を十分に利用することが困難であるため、高メタノール処理能力、高軽オレフィン選択性の新世代DMTO触媒需要に適応できるDMTO装置及び製造方法を研究開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の一方面によれば、コークス制御反応器を提供しており、該コークス制御反応器は、触媒におけるコークス種の転化と生成を制御することができ、一方で、再生触媒に残留した不活性の高分子コークス種を低分子コークス種に転化し、もう一方で、ライザー反応器原料とベッド反応器原料は、触媒中に入って高活性の低分子コークス種を生成することができ、且つ低分子コークス種は、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンを主とし、エチレンの選択性を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ライザー反応器と、ベッド反応器とを含むコークス制御反応器であって、前記ベッド反応器は、下から上へ反応領域I、遷移領域と固気分離領域Iを包囲形成するベッド反応器ハウジングを含み、前記反応領域Iの内下部には、ベッド反応器分配器が設けられ、前記反応領域Iの外部には、コークス制御触媒輸送管がさらに設けられ、前記ライザー反応器の上部は、ベッド反応器の底部を通して軸方向に沿ってベッド反応器に挿設され、前記ライザー反応器の出口端は、前記遷移領域に位置する。
【0006】
具体的には、コークス制御触媒輸送管は、コークス制御触媒を次段の反応器(例えば、メタノール転化反応器)に搬送するために用いられる。
【0007】
選択的に、前記反応領域I内には、少なくとも一つの多孔板が設けられ、複数の前記多孔板は、軸方向に沿って順次に前記ライザー反応器の外周に配列され、前記ライザー反応器の出口端は、前記多孔板の上方に位置し、前記ベッド反応器分配器は、前記多孔板の下方に位置する。
【0008】
具体的には、多孔板は、水平に放置され、且つ前記多孔板の外周は、流れが多孔板における孔隙から通過するようにベッド反応器の内壁に当接される。
【0009】
選択的に、前記多孔板の開孔率は、1~30%である。
【0010】
選択的に、前記固気分離領域Iには、ベッド反応器固気分離器と、ベッド反応器ガス収集室とが設けられ、前記ベッド反応器固気分離器のガス出口は、前記ベッド反応器ガス収集室と連通され、前記ベッド反応器固気分離器の触媒出口は、多孔板の上方に位置し、前記ベッド反応器ガス収集室は、前記ベッド反応器の外部に位置するコークス制御生成ガス輸送管と連通される。
【0011】
具体的には、ベッド反応器固気分離器は、ベッド反応器固気サイクロン分離器である。
【0012】
具体的には、ベッド反応器の内頂部には、ベッド反応器ガス収集室が設けられ、ベッド反応器固気サイクロン分離器の触媒出口は、前記ライザー反応器の出口端の下方に位置する。
【0013】
選択的に、前記ベッド反応器分配器は、ベッド反応器原料を通入するために用いられ、前記ベッド反応器原料は、水素ガス0~20wt%、メタン0~50wt%、エタン0~50wt%、エチレン0~20wt%、プロパン0~50wt%、プロペン0~20wt%、ブタン0~90wt%、ブテン0~90wt%、ペンタン0~90wt%、ペンテン0~90wt%、ヘキサン0~90wt%、ヘキセン0~90wt%、メタノール0~50wt%、エタノール0~50wt%及び水0~50wt%を含み、且つ、メタノール、エタノールと水との合計含有量は、≧10wt%である。
【0014】
選択的に、前記ライザー反応器は、触媒とライザー反応原料を通入するために用いられ、前記ライザー反応原料は、水素ガス0~20wt%、メタン0~50wt%、エタン0~50wt%、エチレン0~20wt%、プロパン0~50wt%、プロペン0~20wt%、ブタン0~90wt%、ブテン0~90wt%、ペンタン0~90wt%、ペンテン0~90wt%、ヘキサン0~90wt%、ヘキセン0~90wt%、メタノール0~50wt%、エタノール0~50wt%及び水0~50wt%を含み、且つ、メタノール、エタノールと水との合計含有量は、≧10wt%である。
【0015】
本願の別の方面によれば、含酸素化合物から軽オレフィンを製造する装置をさらに提供する。前記装置は、メタノール転化反応器と上記のいずれか1項に記載のコークス制御反応器とを含む。
【0016】
本明細書に記載の軽オレフィンとは、エチレンとプロペンである。
【0017】
選択的に、前記メタノール転化反応器は、メタノール転化反応器ハウジングと、輸送管とを含み、前記メタノール転化反応器ハウジングは、下ハウジングと、上ハウジングとを含み、前記下ハウジングは、内下部にはメタノール転化反応器分配器が設けられる反応領域IIを包囲形成し、前記輸送管は、軸方向に沿って前記反応領域IIの上方に位置し、且つ前記輸送管の一端が閉合され、他端が前記反応領域IIと連通され、前記上ハウジングは、前記輸送管の外周に設けられ、前記上ハウジングと前記輸送管の管壁は、キャビティを包囲形成し、前記キャビティは、下から上へ使用済み剤領域と固気分離領域IIとに分けられ、前記使用済み剤領域には、使用済み領域ガス分配器が設けられる。
【0018】
具体的には、上ハウジングは、輸送管の外周に被覆の形式で設けられる。メタノール転化反応器分配器は、含酸素化合物を含有する原料を入れるために用いられ、使用済み領域ガス分配器は、使用済み剤領域流動化ガスを通入するために用いられる。
【0019】
選択的に、前記固気分離領域IIには、メタノール転化反応器第1の固気分離器が設けられ、前記輸送管の上部は、前記メタノール転化反応器第1の固気分離器の入口に接続され、前記メタノール転化反応器第1の固気分離器の触媒出口は、前記使用済み剤領域に位置し、前記メタノール転化反応器第1の固気分離器のガス出口は、メタノール転化反応器ガス収集室と連通され、前記メタノール転化反応器ガス収集室は、生成ガス輸送管に接続される。
【0020】
選択的に、前記固気分離領域IIには、メタノール転化反応器第2の固気分離器がさらに設けられ、前記メタノール転化反応器第2の固気分離器のガス入口は、固気分離領域IIに位置し、前記メタノール転化反応器第2の固気分離器の触媒出口は、前記使用済み剤領域に位置し、前記メタノール転化反応器第2の固気分離器のガス出口は、メタノール転化反応器ガス収集室と連通される。
【0021】
選択的に、前記使用済み領域ガス分配器は、メタノール転化反応器第1の固気分離器とメタノール転化反応器第2の固気分離器との下方に位置し、前記使用済み剤領域には、メタノール転化反応器熱除去器がさらに設けられる。
【0022】
選択的に、前記使用済み剤領域の外部には、使用済み剤循環管と使用済み傾斜管とがさらに設けられ、前記使用済み剤循環管は、前記使用済み剤領域を前記反応領域IIに接続するために用いられ、前記使用済み傾斜管は、使用済み触媒を送出するために用いられる。
【0023】
具体的には、使用済み剤循環管は、使用済み領域部分の使用済み触媒を反応領域IIに搬送するために用いられる。使用済み剤循環管には、使用済み剤循環滑動弁が設けられる。
【0024】
選択的に、前記固気分離領域IIは、コークス制御生成ガス輸送管を介してベッド反応器ガス収集室と連通され、前記反応領域IIは、コークス制御触媒輸送管を介して反応領域Iと連通される。
【0025】
具体的には、コークス制御触媒輸送管には、コークス制御触媒滑動弁がさらに設けられる。
【0026】
選択的に、前記装置は、再生器をさらに含み、前記再生器は、使用済み傾斜管に接続され、使用済み触媒を前記再生器に搬送するために用いられ、前記再生器は、ライザー反応器に接続され、再生触媒を前記コークス制御反応器に搬送するために用いられ、前記再生器の内底部には、再生器分配器が設けられる。
【0027】
具体的には、再生器分配器は、再生ガスを通入するために用いられる。
【0028】
選択的に、前記再生器の底部には、再生器ストリッパーがさらに設けられ、前記再生器ストリッパーの上部は、前記再生器の内部に設けられ、且つ前記再生器ストリッパー上部の入口は、前記再生器分配器の上方に位置し、前記再生器ストリッパーの下部は、前記再生器の外部に設けられ、且つ前記再生器ストリッパー下部の出口は、前記ライザー反応器に接続され、前記再生器ストリッパーには、再生器熱除去器がさらに設けられる。
【0029】
選択的に、前記再生器は、使用済み剤輸送管とメタノール転化反応器ストリッパーを介して前記使用済み傾斜管に接続され、前記再生器は、再生器ストリッパーと再生傾斜管を介して前記ライザー反応器の入口に接続される。
【0030】
具体的には、使用済み剤輸送管とメタノール転化反応器ストリッパーとの間には、使用済み滑動弁が設けられ、使用済み滑動弁入口は、管路を経てメタノール転化反応器ストリッパーの底部に接続され、使用済み滑動弁の出口は、管路を経て使用済み剤輸送管の入口に接続される。
【0031】
再生器ストリッパーと再生傾斜管との間には、再生滑動弁が設けられ、再生滑動弁の入口は、管路を経て再生器ストリッパーの底部に接続され、再生滑動弁の出口は、管路を経て再生傾斜管の入口に接続される。
【0032】
選択的に、前記再生器には、再生器固気分離器と、再生器ガス収集室とがさらに設けられ、前記再生器固気分離器の触媒出口は、前記再生器分配器の上方に位置し、前記再生器固気分離器のガス出口は、前記再生器ガス収集室に接続され、前記再生器ガス収集室は、前記再生器の外部に位置する排煙輸送管に接続される。
【0033】
本願の第三の方面によれば、DMTO触媒をオンライン改質する方法をさらに提供する。該方法は、ライザー反応器原料と触媒をライザー反応器から遷移領域に通入し、ベッド反応器原料を反応領域Iに通入し、前記触媒をライザー反応器原料及びベッド反応器原料と接触させ、反応させ、コークス制御触媒とコークス制御生成ガスとを生成し、前記触媒は、DMTO触媒であり、前記コークス制御触媒は、改質DMTO触媒である。
【0034】
選択的に、前記触媒の活性成分は、SAPO-34分子篩である。
【0035】
本願において、ライザー反応器に入る触媒は、新触媒であってもよく、或いは再生触媒であってもよい。好ましくは、再生触媒であり、このようにして、コークス制御と触媒再生を同時にオンラインで実現することができる。
【0036】
選択的に、前記触媒は、再生触媒であり、前記再生触媒におけるコークス含有量は、≦3wt%である。
【0037】
選択的に、前記コークス制御触媒におけるコークス含有量は、4~9wt%である。
【0038】
選択的に、前記コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、1wt%よりも小さい。具体的には、本願において、コークス制御反応器の設置及びコークス制御プロセスの選択により、コークス制御触媒におけるコークス含有量が4~9wt%であることを実現し、触媒が粒子状であるため、触媒のコークス含有量とは各触媒粒子のコークス含有量の平均値であるが、各触媒粒子におけるコークス含有量は実際に同じものではない。本願において、触媒全体のコークス含有量分布が狭くなるように、コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差を1wt%未満の範囲内に制御してもよく、それによって、触媒の活性、及び軽オレフィンの選択性を向上させる。
【0039】
選択的に、前記コークス制御触媒におけるコークス種は、ポリメチルベンゼンと、ポリメチルナフタレンとを含み、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量は、≧70wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、≦25wt%であり、ここで、前記コークス合計質量とは、コークス種の合計質量である。
【0040】
本願において、コークス種のタイプ、及びコークス種の含有量も非常に重要であり、本願の制御の目的の一つでもある。本願において、コークス制御の設置及びコークス制御プロセスパラメータの選択により、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンのコークス合計質量における含有量が≧70wt%である効果を実現し、触媒の活性、及び軽オレフィンの選択性を向上させた。
【0041】
選択的に、ライザー反応器のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が3~10m/s、反応温度が400~700℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が10~150kg/m3である。
【0042】
選択的に、ベッド反応器の反応領域Iのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.1~1.0m/s、反応温度が300~650℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が150~800kg/m3である。
【0043】
本願の第四の方面によれば、含酸素化合物から軽オレフィンを製造する方法をさらに提供する。前記方法は、上記のいずれか1項に記載のDMTO触媒をオンライン改質する方法を含む。
【0044】
選択的に、前記方法は、コークス制御生成ガスをメタノール転化反応器の固気分離領域に通入することと、コークス制御触媒をメタノール転化反応器の反応領域IIに通入することとをさらに含む。
【0045】
選択的に、反応領域IIにおいて、含酸素化合物を含有する原料をコークス制御触媒と接触させ、反応させ、軽オレフィンと使用済み触媒を含有する流れAを生成する。
【0046】
選択的に、前記流れAがメタノール転化反応器の固気分離領域IIで固気分離した後、気相流れBと固相流れCとに分けられ、前記気相流れBは、メタノール転化反応器ガス収集室に入り、前記固相流れCは、使用済み剤領域に入り、ここで、前記気相流れBは、軽オレフィンを含有し、前記固相流れCは、使用済み触媒を含有する。
【0047】
選択的に、使用済み剤領域流動化ガスを使用済み剤領域に通入し、前記使用済み剤領域流動化ガス、コークス制御生成ガスは、一部の使用済み触媒を混合担持して、流れDを形成し、前記流れDに対して固気分離を行い、分離された後、気相流れEと固相流れFとを得、前記気相流れEは、メタノール転化反応器ガス収集室に入り、前記固相流れFは、使用済み剤領域に入り、ここで、前記気相流れEは、使用済み剤領域流動化ガスとコークス制御生成ガスとの混合ガスであり、
前記固相流れFは、使用済み触媒である。
【0048】
選択的に、前記気相流れBと気相流れEは、メタノール転化反応器ガス収集室で混合して、生成ガスを形成し、前記生成ガスは、生成ガス輸送管を経て下流工程に入る。
【0049】
選択的に、使用済み剤領域にある一部の前記使用済み触媒は、使用済み剤循環管を経て反応領域IIの底部に戻り、他の一部の前記使用済み触媒は、使用済み傾斜管を経て排出される。
【0050】
選択的に、前記使用済み傾斜管を経て排出された使用済み触媒を再生器に通入し、再生ガスを前記再生器に通入して、前記使用済み触媒と接触させ、反応させ、排煙と再生触媒を含有する流れGを得る。
【0051】
選択的に、前記流れGに対して固気分離を行い、分離された後の排煙は、再生器ガス収集室に入り、排煙輸送管を経て下流の排煙処理システムに入り、分離された後の再生触媒に対してストリッピングを行い、熱除去された後、コークス制御反応器に入る。
【0052】
具体的には、分離された後の再生触媒は、ライザー反応器に入ってストリッピングし、熱除去し、前記ライザー反応器を経て前記ベッド反応器に通入する。
【0053】
選択的に、前記含酸素化合物は、メタノール及び/又はジメチルエーテルを含む。
【0054】
選択的に、前記使用済み触媒におけるコークス含有量は、9~13wt%である。
【0055】
選択的に、前記使用済み剤領域流動化ガスは、窒素ガス及び/又は水蒸気を含む。
【0056】
選択的に、前記再生ガスは、空気0~100wt%、酸素ガス0~50wt%、窒素ガス0~50wt%及び水蒸気0~50wt%を含み、前記空気、酸素ガス、窒素ガスと水蒸気は、同時に0ではない。
【0057】
選択的に、メタノール転化反応器の反応領域IIのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.5~7.0m/s、反応温度が350~550℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が100~500kg/m3である。
【0058】
選択的に、メタノール転化反応器の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.1~1.0m/s、反応温度が350~550℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が200~800kg/m3である。
【0059】
選択的に、再生器のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.5~2.0m/s、再生温度が600~750℃、再生圧力が100~500kPa、ベッド密度が150~700kg/m3である。
【0060】
本願において、「コークス含有量」とは、コークス種とコークス制御触媒との質量比である。
【0061】
C4-C6における下付き文字とは、いずれも原子団に含まれる炭素原子数であり、例えば、C4-C6炭化水素系とは炭素原子数が4~6である炭化水素系である。
【0062】
本願において、生産原単位の記述に関しては、含酸素化合物におけるジメチルエーテル質量を同じ炭素原子質量に基づいてメタノール質量に換算して計算し、生産原単位の単位は、トンメタノール/トン軽オレフィンである。
【0063】
本願上記方法において、生産原単位は、2.50~2.60トンメタノール/トン軽オレフィンである。
【0064】
ライザー反応器は、押し出し流れ反応器に近似するため、ライザー反応器を用いて触媒に対してコークス制御処理を行うことで、比較的狭いコークス含有量分布を得ることができる。触媒は、ライザー反応器での滞留時間が短く、一般的に1~20sであるため、ライザー反応器のみを用いて再生触媒を処理することは、触媒におけるコークス含有量を大幅に向上させることが困難である。本願におけるコークス制御反応器は、一つのライザー反応器と、一つのベッド反応器とを含み、一方で、ライザー反応器の利点を利用することにより、より狭いコークス含有量分布を有する触媒を得て、もう一方で、ベッド反応器を用いて触媒におけるコークス含有量をさらに向上させ、軽オレフィンの選択性を向上させる。本願におけるベッド反応器の主な特徴は、多孔板を用いて触媒のベッド層間での逆混合を抑制し、触媒におけるコークス分布の均一性を向上させることである。触媒は、まずライザー反応器からベッド反応器の上層に入り、徐々に下層に流れ、その後、下層からメタノール転化反応器の反応領域IIに入る。
【発明の効果】
【0065】
本願による有益な効果は、以下を含む。
(1)本願におけるコークス制御反応器は、触媒におけるコークス種の転化と生成を制御することができ、一方で、再生触媒に残留した不活性の高分子コークス種を低分子コークス種に転化し、もう一方で、ライザー反応器原料とベッド反応器原料は、触媒中に入って高活性の低分子コークス種を生成することができ、且つ低分子コークス種は、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンを主とし、エチレンの選択性を向上させることができる。
(2)本願におけるDMTO触媒をコークス制御反応によりオンライン改質する方法は、コークス含有量が高く、コークス含有量分布が狭く、コークス種の主要成分がポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンであるコークス制御触媒を得て、軽オレフィンの選択性が比較的に低い触媒を軽オレフィンの選択性が高いコークス制御触媒に転化することができる。
(3)本願における再生触媒は、コークス制御プロセス処理を経ずに、含酸素化合物から軽オレフィンを製造するプロセスに直接使用されてもよく、コークス制御処理を経ない場合、得られた生成ガスにおける軽オレフィンの選択性が80~83wt%であった。本願における再生触媒は、コークス制御プロセス処理を経た後、含酸素化合物から軽オレフィンを製造するプロセスに使用され、得られた生成ガスにおける軽オレフィンの選択性が92~96wt%であった。
(4)本願におけるメタノール転化反応器は、1つの高速流動床領域と1つの気泡流動床領域とを含む複合流動床反応器である。高速流動床領域は、反応領域であり、比較的高いメタノール流束を得て、設備単位体積のメタノール処理量を向上させることができ、メタノール質量空間速度が5~20h-1に達することができ、気泡流動床領域は、使用済み剤領域であり、熱除去、使用済み触媒の温度の低下、反応領域に低温の使用済み触媒への搬送、反応領域のベッド密度の向上、反応領域のベッド温度の制御に用いられるものであり、ガスの見かけ線速度が0.5~7.0m/sである場合、対応するベッド密度が500~100kg/m3であった。
(5)本願におけるメタノール転化反応器は、メタノール転化反応器第1の固気分離器が輸送管に直接接続された構造を採用し、流れA中の軽オレフィンを含有するガスを使用済み触媒から迅速に分離することを実現し、軽オレフィンの使用済み触媒の作用下でさらに反応してより大きな分子量を有するアルカン類副産物の生成を回避した。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】本願の一つ実施形態による含酸素化合物から軽オレフィン(DMTO)を製造する装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、実施例を参照しながら本願について詳述するが、本願はこれらの実施例に制限されない。
【0068】
DMTO触媒の主な特徴の1つは、メタノール転化プロセスの軽オレフィンの選択性が触媒のコークス含有量が高くなるにつれて上昇することである。本明細書に記載の軽オレフィンとはエチレンとプロペンである。
【0069】
本発明者らの研究から、DMTO触媒の活性と軽オレフィンの選択性に影響を与える主な要素は、触媒におけるコークス含有量、コークス含有量分布とコークス種であることが明らかになった。触媒の平均コークス含有量が同じである場合、コークス含有量分布が狭いと、軽オレフィンの選択性が高く、活性が高い。触媒におけるコークス種は、ポリメチル芳香族炭化水素とポリメチル環式アルカンなどを含み、ここで、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンは、エチレンの生成を促進することができる。従って、触媒におけるコークス含有量、コークス含有量分布及びコークス種を制御することは、DMTO触媒の活性の制御、軽オレフィンの選択性の向上のキーポイントである。
【0070】
DMTO触媒の性能を向上させるために、本願は、DMTO触媒をコークス制御反応によりオンライン改質する方法を提供し、そのステップは、
a)再生触媒をコークス制御反応器に送ることと、
b)水素ガス、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、ブタン、ブテン、ペンタン、ペンテン、ヘキサン、ヘキセン、メタノール、エタノールと水を含むコークス制御原料をコークス制御反応器に送ることと、
c)コークス制御原料と再生触媒をコークス制御反応器で接触させ、反応させ、コークス制御原料を再生触媒上でコークス化させることであって、コークス化された後の触媒は、コークス制御触媒と称され、コークス制御触媒におけるコークス含有量が4~9wt%であり、コークス含有量分布の四分位偏差が1wt%よりも小さく、コークス種には、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとが含まれ、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量が≧70wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量が≦25wt%である、ことと、
d)コークス制御触媒をメタノール転化反応器に送ることとを含む。
【0071】
前記触媒は、コークス含有量が≦3wt%であるDMTO触媒であり、前記DMTO触媒の活性成分は、SAPO-34分子篩である。
【0072】
前記コークス制御原料の成分は、水素ガス0~20wt%、メタン0~50wt%、エタン0~50wt%、エチレン0~20wt%、プロパン0~50wt%、プロペン0~20wt%、ブタン0~90wt%、ブテン0~90wt%、ペンタン0~90wt%、ペンテン0~90wt%、ヘキサン0~90wt%、ヘキセン0~90wt%、メタノール0~50wt%、エタノール0~50wt%及び水0~50wt%であり、且つ、メタノール、エタノールと水との合計含有量は、≧10wt%である。
【0073】
前記コークス制御反応の反応温度は、300~700℃である。
【0074】
本願において、ベッド反応器原料とライザー反応原料は、いずれもコークス制御原料である。
【0075】
本願の一方面によれば、上述したDMTO触媒をコークス制御反応によりオンライン改質する方法を含む含酸素化合物から軽オレフィンを製造する方法及びその方法を用いた装置を提供する。前記装置は、コークス制御反応器(1)と、メタノール転化反応器(2)と、再生器(3)とを含む。
【0076】
DMTO触媒をオンライン改質するコークス制御反応器(1)であって、前記コークス制御反応器(1)は、ライザー反応器(1-1)と、ベッド反応器(1-2)とを含み、前記ベッド反応器(1-2)は、ベッド反応器ハウジング(1-3)、ベッド反応器分配器(1-4)、多孔板(1-5)、ベッド反応器固気サイクロン分離器(1-6)、ベッド反応器ガス収集室(1-7)、コークス制御生成ガス輸送管(1-8)、コークス制御触媒輸送管(1-9)とコークス制御触媒滑動弁(1-10)を含み、
前記ベッド反応器(1-2)は、下から上へ反応領域、遷移領域と固気分離領域に分けられ、ライザー反応器(1-1)は、ベッド反応器ハウジング(1-3)を貫通して、一部がベッド反応器(1-2)の下方に位置し、一部がベッド反応器(1-2)の中に位置する。ベッド反応器分配器(1-4)は、反応領域の底部に位置し、反応領域には、n枚の多孔板(1-5)が設けられ、0≦n≦9であり、
前記ベッド反応器固気サイクロン分離器(1-6)は、固気分離領域に位置し、ベッド反応器固気サイクロン分離器(1-6)の入口は、固気分離領域に位置し、ベッド反応器固気サイクロン分離器(1-6)の触媒出口は、反応領域に位置し、ベッド反応器固気サイクロン分離器(1-6)のガス出口は、ベッド反応器ガス収集室(1-7)に接続され、
前記ベッド反応器ガス収集室(1-7)は、ベッド反応器(1-2)の頂部に位置し、コークス制御生成ガス輸送管(1-8)の入口は、ベッド反応器ガス収集室(1-7)に接続され、コークス制御生成ガス輸送管(1-8)の出口は、メタノール転化反応器(2)の上部に接続され、
前記コークス制御触媒輸送管(1-9)には、コークス制御触媒滑動弁(1-10)が設けられ、コークス制御触媒輸送管(1-9)の入口は、反応領域の下部に接続され、コークス制御触媒輸送管(1-9)の出口は、メタノール転化反応器(2)の下部に接続される。
【0077】
好適な一実施形態では、多孔板の開孔率は、1~30%である。
【0078】
メタノールから軽オレフィンを転化製造するためのメタノール転化反応器(2)であって、前記メタノール転化反応器(2)は、メタノール転化反応器ハウジング(2-1)、メタノール転化反応器分配器(2-2)、輸送管(2-3)、メタノール転化反応器第1の固気分離器(2-4)、メタノール転化反応器ガス収集室(2-5)、使用済み剤領域ガス分配器(2-6)、メタノール転化反応器熱除去器(2-7)、メタノール転化反応器第2の固気分離器(2-8)、生成ガス輸送管(2-9)、使用済み剤循環管(2-10)、使用済み剤循環滑動弁(2-11)、使用済み傾斜管(2-12)、メタノール転化反応器ストリッパー(2-13)、使用済み滑動弁(2-14)と使用済み剤輸送管(2-15)を含み、
前記メタノール転化反応器(2)の下部は、反応領域であり、中部は、使用済み剤領域であり、上部は、固気分離領域である。メタノール転化反応器分配器(2-2)は、メタノール転化反応器(2)の反応領域の底部に位置し、輸送管(2-3)は、メタノール転化反応器(2)中部と上部の中心領域に位置し、輸送管(2-3)の底端は、反応領域の頂端に接続され、輸送管(2-3)の上部は、メタノール転化反応器第1の固気分離器(2-4)の入口に接続され、メタノール転化反応器第1の固気分離器(2-4)は、メタノール転化反応器(2)の固気分離領域に位置し、メタノール転化反応器第1の固気分離器(2-4)のガス出口は、メタノール転化反応器ガス収集室(2-5)に接続され、メタノール転化反応器第1の固気分離器(2-4)の触媒出口は、使用済み剤領域に位置し、
前記使用済み剤領域ガス分配器(2-6)は、使用済み剤領域の底部に位置し、メタノール転化反応器熱除去器(2-7)は、使用済み剤領域に位置し、メタノール転化反応器第2の固気分離器(2-8)は、メタノール転化反応器(2)の固気分離領域に位置し、メタノール転化反応器第2の固気分離器(2-8)の入口は、メタノール転化反応器(2)の固気分離領域に位置し、メタノール転化反応器第2の固気分離器(2-8)のガス出口は、メタノール転化反応器ガス収集室(2-5)に接続され、メタノール転化反応器第2の固気分離器(2-8)の触媒出口は、使用済み剤領域に位置し、メタノール転化反応器ガス収集室(2-5)は、メタノール転化反応器(2)の頂部に位置し、生成ガス輸送管(2-9)は、メタノール転化反応器ガス収集室(2-5)の頂部に接続され、
前記使用済み剤循環管(2-10)の入口は、使用済み剤領域に接続され、使用済み剤循環管(2-10)の出口は、メタノール転化反応器(2)の反応領域の底部に接続され、使用済み剤循環管(2-10)には、使用済み剤循環滑動弁(2-11)が設けられ、コークス制御触媒輸送管(1-9)の出口は、メタノール転化反応器(2)の反応領域の底部に接続され、使用済み傾斜管(2-12)の入口は、使用済み剤領域に接続され、使用済み傾斜管(2-12)の出口は、メタノール転化反応器ストリッパー(2-13)の上部に接続され、メタノール転化反応器ストリッパー(2-13)は、メタノール転化反応器ハウジング(2-1)の外に配置され、使用済み滑動弁(2-14)の入口は、管路を経てメタノール転化反応器ストリッパー(2-13)の底部に接続され、使用済み滑動弁(2-14)の出口は、管路を経て使用済み剤輸送管(2-15)の入口に接続され、使用済み剤輸送管(2-15)の出口は、再生器(3)の中部に接続される。
【0079】
好適な一実施形態では、メタノール転化反応器第1の固気分離器(2-4)は、1組の又は複数の組の固気サイクロン分離器を採用し、各組の固気サイクロン分離器は、1つの一段目の固気サイクロン分離器と1つの二段目の固気サイクロン分離器とを含む。
【0080】
好適な一実施形態では、メタノール転化反応器第2の固気分離器(2-8)は、1組の又は複数の組の固気サイクロン分離器を採用し、各組の固気サイクロン分離器は、1つの一段目の固気サイクロン分離器と1つの二段目の固気サイクロン分離器とを含む。
【0081】
前記メタノール転化反応器(2)は、流動床反応器に属する。
【0082】
触媒を再生するための再生器(3)であって、前記再生器(3)は、再生器ハウジング(3-1)、再生器分配器(3-2)、再生器固気分離器(3-3)、再生器ガス収集室(3-4)、排煙輸送管(3-5)、再生器ストリッパー(3-6)、再生器熱除去器(3-7)、再生滑動弁(3-8)と再生傾斜管(3-9)を含み、
前記再生器分配器(3-2)は、再生器(3)の底部に位置し、再生器固気分離器(3-3)は、再生器(3)の上部に位置し、再生器固気分離器(3-3)の入口は、再生器(3)の上部に位置し、再生器固気分離器(3-3)のガス出口は、再生器ガス収集室(3-4)に接続され、再生器固気分離器(3-3)の触媒出口は、再生器(3)の下部に位置し、再生器ガス収集室(3-4)は、再生器(3)の頂部に位置し、排煙輸送管(3-5)は、再生器ガス収集室(3-4)の頂部に接続され、
前記再生器ストリッパー(3-6)は、再生器ハウジング(3-1)の外に位置し、再生器ストリッパー(3-6)の入口管は、再生器ハウジング(3-1)を穿通して、再生器分配器(3-2)の上方に開口され、再生器熱除去器(3-7)は、再生器ストリッパー(3-6)の中に位置し、再生滑動弁(3-8)の入口は、管路を経て再生器ストリッパー(3-6)の底部に接続され、再生滑動弁(3-8)の出口は、管路を経て再生傾斜管(3-9)の入口に接続され、再生傾斜管(3-9)の出口は、ライザー反応器(1-1)の底部に接続される。
【0083】
好適な一実施形態では、再生器固気分離器(3-3)は、1組の又は複数の組の固気サイクロン分離器を採用し、各組の固気サイクロン分離器は、1つの一段目の固気サイクロン分離器と1つの二段目の固気サイクロン分離器とを含む。
【0084】
前記再生器(3)は、流動床反応器に属する。
【0085】
本願において、コークス制御反応器の遷移領域の内径は、下から上へ徐々に大きくなり、メタノール転化反応器において、反応領域IIと輸送管との接続部の内径は、下から上へ徐々に小さくなり、反応領域IIと使用済み剤領域との接続部の内径は、下から上へ徐々に大きくなる。
【0086】
選択的に、コークス制御触媒輸送管の入口は、ベッド反応器分配器の上方に位置し、コークス制御触媒輸送管の出口は、メタノール転化反応器分配器の上方に位置し、使用済み剤循環管の入口は、使用済み剤領域ガス分配器の上方に位置し、使用済み剤循環管の出口は、メタノール転化反応器分配器の上方に位置し、使用済み傾斜管は、使用済み剤領域ガス分配器の上方に位置する。
【0087】
本願の別の方面によれば、DMTO触媒をコークス制御反応によりオンライン改質する方法を含むメタノールからアルケンを製造する方法をさらに提供する。この方法は、
ライザー反応器原料をライザー反応器(1-1)の底部から通入し、その担持する再生傾斜管(3-9)からの再生触媒は、上に向かってベッド反応器(1-2)の遷移領域に入り、ベッド反応器原料をベッド反応器分配器(1-4)からベッド反応器(1-2)の反応領域に通入し、ライザー反応器(1-1)とベッド反応器(1-2)において、再生触媒をライザー反応器原料及びベッド反応器原料と接触させ、化学反応を発生させ、コークス制御触媒とコークス制御生成ガスを生成し、コークス制御生成ガスは、一部のコークス制御触媒を担持してベッド反応器固気サイクロン分離器(1-6)に入り、固気分離された後、コークス制御生成ガスは、ベッド反応器ガス収集室(1-7)とコークス制御生成ガス輸送管(1-8)を経て4メタノール転化反応器(2)の固気分離領域に入り、コークス制御触媒は、コークス制御触媒輸送管(1-9)、コークス制御触媒滑動弁(1-10)を経てメタノール転化反応器(2)の反応領域に入るステップaと、
含酸素化合物を含有する原料をメタノール転化反応器分配器(2-2)からメタノール転化反応器(2)の反応領域に通入し、コークス制御触媒と接触させ、軽オレフィンと使用済み触媒を含有する流れAを生成し、流れAは、輸送管(2-3)を経てメタノール転化反応器第1の固気分離器(2-4)に入り、固気分離された後、軽オレフィンを含有するガスである気相流れBと使用済み触媒である固相流れCとに分けられ、気相流れBがメタノール転化反応器ガス収集室(2-5)に入り、固相流れCが使用済み剤領域に入り、使用済み剤領域流動化ガスを使用済み剤領域ガス分配器(2-6)から使用済み剤領域に通入し、使用済み触媒と接触させ、使用済み剤領域流動化ガスとコークス制御生成ガスとを混合し、一部の使用済み触媒を担持して流れDを形成し、流れDがメタノール転化反応器第2の固気分離器(2-8)に入り、固気分離された後、使用済み剤領域流動化ガスとコークス制御生成ガスとの混合ガスである気相流れEと使用済み触媒である固相流れFとに分けられ、気相流れEがメタノール転化反応器ガス収集室(2-5)に入り、固相流れFが使用済み剤領域に入り、気相流れBと気相流れEは、メタノール転化反応器ガス収集室(2-5)で混合して生成ガスを形成し、生成ガスは、生成ガス輸送管(2-9)を経て下流工程に入り、使用済み剤領域の一部の使用済み触媒は、使用済み剤循環管(2-10)と使用済み剤循環滑動弁(2-11)を経てメタノール転化反応器(2)の反応領域の底部に戻り、他の部分の使用済み触媒は、使用済み傾斜管(2-12)を経てメタノール転化反応器ストリッパー(2-13)に入り、ストリッピングされた後、使用済み触媒は、使用済み滑動弁(2-14)と使用済み剤輸送管(2-15)を経て再生器(3)の中部に入るステップbと、
再生ガスを再生器分配器(3-2)から再生器(3)の底部に通入し、再生器において、再生ガスを使用済み触媒と接触させ、化学反応を発生させ、使用済み触媒における一部のコークスが燃焼されて除去され、排煙と再生触媒を含有する流れGを生成し、流れGが再生器固気分離器(3-3)に入り、固気分離された後、排煙と再生触媒とに分けられ、排煙が再生器ガス収集室(3-4)に入り、次に、排煙輸送管(3-5)を経て下流の排煙処理システムに入り、再生触媒が再生器(3)の底部に戻り、再生器(3)中の再生触媒が再生器ストリッパー(3-6)に入り、ストリッピング・熱除去された後、再生滑動弁(3-8)と再生剤輸送管(3-9)を経てコークス制御反応器(1)に入るステップcとを含む。
【0088】
好適な一実施形態では、本願の上記の方法は、上述したコークス制御反応器(1)、メタノール転化反応器(2)と再生器(3)を含む装置により行われる。
【0089】
好適な一実施形態では、上記の方法におけるライザー反応器原料の成分は、水素ガス0~20wt%、メタン0~50wt%、エタン0~50wt%、エチレン0~20wt%、プロパン0~50wt%、プロペン0~20wt%、ブタン0~90wt%、ブテン0~90wt%、ペンタン0~90wt%、ペンテン0~90wt%、ヘキサン0~90wt%、ヘキセン0~90wt%、メタノール0~50wt%、エタノール0~50wt%及び水0~50wt%であり、且つ、メタノール、エタノールと水との合計含有量は、≧10wt%である。
【0090】
好適な一実施形態では、上記の方法におけるベッド反応器原料の成分は、水素ガス0~20wt%、メタン0~50wt%、エタン0~50wt%、エチレン0~20wt%、プロパン0~50wt%、プロペン0~20wt%、ブタン0~90wt%、ブテン0~90wt%、ペンタン0~90wt%、ペンテン0~90wt%、ヘキサン0~90wt%、ヘキセン0~90wt%、メタノール0~50wt%、エタノール0~50wt%及び水0~50wt%であり、且つ、メタノール、エタノールと水との合計含有量は、≧10wt%である。
【0091】
好適な一実施形態では、上記の方法における含酸素化合物は、メタノール又はジメチルエーテルのうちの1種又はメタノールとジメチルエーテルとの混合物である。
【0092】
好適な一実施形態では、上記の方法における使用済み剤領域流動化ガスは、窒素ガスと水蒸気のうちの1種又は窒素ガスと水蒸気との混合物である。
【0093】
好適な一実施形態では、上記の方法における再生ガスは、空気0~100wt%、酸素ガス0~50wt%、窒素ガス0~50wt%及び水蒸気0~50wt%である。
【0094】
好適な一実施形態では、前記触媒の活性成分は、SAPO-34分子篩である。
【0095】
好適な一実施形態では、前記触媒におけるコークス含有量は、≦3wt%である。
【0096】
好適な一実施形態では、前記コークス制御触媒におけるコークス含有量が4~9wt%であり、コークス含有量分布の四分位偏差が1wt%よりも小さく、コークス種には、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとが含まれ、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量が≧70wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量が≦25wt%である。
【0097】
好適な一実施形態では、前記使用済み触媒におけるコークス含有量が9~13wt%であり、さらに好ましくは、使用済み触媒におけるコークス含有量が10~12wt%である。
【0098】
好適な一実施形態では、前記ライザー反応器(1-1)のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が3~10m/s、反応温度が400~700℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が10~150kg/m3である。
【0099】
好適な一実施形態では、前記ベッド反応器(1-2)の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.1~1.0m/s、反応温度が300~650℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が150~800kg/m3である。
【0100】
好適な一実施形態では、前記メタノール転化反応器(2)の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.5~7.0m/s、反応温度が350~550℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が100~500kg/m3である。
【0101】
好適な一実施形態では、前記メタノール転化反応器(2)の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.1~1.0m/s、反応温度が350~550℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が200~800kg/m3である。
【0102】
好適な一実施形態では、前記再生器(3)のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.5~2.0m/s、再生温度が600~750℃、再生圧力が100~500kPa、ベッド密度が150~700kg/m3である。
【0103】
本願上記の方法において、生成ガスの成分は、40~55wt%エチレン、37~53wt%プロペン、≦4wt%のC4-C6炭化水素系と≦4wt%の他の成分であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCO2などであり、且つエチレンとプロペンの生成ガスにおける合計選択性は、92~96wt%である。
【実施例1】
【0104】
本実施形態は、
図1に示した装置を用い、ベッド反応器には、多孔板が含まれなかった。
【0105】
本実施形態において、ライザー反応器原料は、ブタン6wt%、ブテン81wt%、メタノール2wt%と水11wt%との混合物であり、ベッド反応器原料は、ブタン6wt%、ブテン81wt%、メタノール2wt%と水11wt%との混合物であり、含酸素化合物は、メタノールであり、使用済み剤領域流動化ガスは、窒素ガスであり、再生ガスは、空気であり、触媒における活性成分は、SAPO-34分子篩であり、再生触媒におけるコークス含有量は、約3wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量は、約6wt%であり、ここで、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量は、約82wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、約5wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、約0.9wt%であり、使用済み触媒におけるコークス含有量は、約12wt%であった。ライザー反応器(1-1)のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が10.0m/s、反応温度が700℃、反応圧力が100kPa、ベッド密度が10kg/m3であった。ベッド反応器(1-2)の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.3m/s、反応温度が約650℃、反応圧力が約100kPa、ベッド密度が約600kg/m3であった。メタノール転化反応器(2)の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約7.0m/s、反応温度が約550℃、反応圧力が約100kPa、ベッド密度が約100kg/m3であった。メタノール転化反応器(2)の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約1.0m/s、反応温度が約550℃、反応圧力が約100kPa、ベッド密度が約200kg/m3であった。再生器(3)のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.5m/s、再生温度が約750℃、再生圧力が約100kPa、ベッド密度が約700kg/m3であった。
【0106】
本実施形態において、メタノール転化反応器の含酸素化合物の質量空間速度は、約20h-1であった。生成ガスの成分は、エチレン55wt%、プロペン37wt%、C4-C6炭化水素系4wt%と他の成分4wt%であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCO2などであった。生産原単位は、2.60トンメタノール/トン軽オレフィンであった。
【実施例2】
【0107】
本実施形態は、
図1に示した装置を用い、ベッド反応器には、四枚の多孔板が含まれ、多孔板の開孔率は30%であった。
【0108】
本実施形態において、ライザー反応器原料は、メタン22wt%、エタン24wt%、エチレン3wt%、プロパン28wt%、プロペン4wt%、水素ガス7wt%と水12wt%との混合物であり、ベッド反応器原料は、メタン22wt%、エタン24wt%、エチレン3wt%、プロパン28wt%、プロペン4wt%、水素ガス7wt%と水12wt%との混合物であり、含酸素化合物は、メタノール82wt%とジメチルエーテル18wt%であり、使用済み剤領域流動化ガスは、水蒸気であり、再生ガスは、50wt%空気と50wt%水蒸気であり、触媒における活性成分は、SAPO-34分子篩であり、再生触媒におけるコークス含有量は、約1wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量は、約4wt%であり、ここで、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量は、約76wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、約15wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、約0.5wt%であり、使用済み触媒におけるコークス含有量は、約9wt%であった。ライザー反応器(1-1)のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が3.0m/s、反応温度が400℃、反応圧力が500kPa、ベッド密度が150kg/m3であった。ベッド反応器(1-2)の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.1m/s、反応温度が約300℃、反応圧力が約500kPa、ベッド密度が約800kg/m3であった。メタノール転化反応器(2)の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.5m/s、反応温度が約350℃、反応圧力が約500kPa、ベッド密度が約500kg/m3であった。メタノール転化反応器(2)の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.1m/s、反応温度が約350℃、反応圧力が約500kPa、ベッド密度が約800kg/m3であった。再生器(3)のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約2.0m/s、再生温度が約600℃、再生圧力が約500kPa、ベッド密度が約150kg/m3であった。
【0109】
本実施形態において、メタノール転化反応器の含酸素化合物の質量空間速度は、約5h-1であった。生成ガスの成分は、エチレン40wt%、プロペン53wt%、C4-C6炭化水素系4wt%と他の成分3wt%であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCO2などであった。生産原単位は、2.58トンメタノール/トン軽オレフィンであった。
【実施例3】
【0110】
本実施形態は、
図1に示した装置を用い、ベッド反応器には、四枚の多孔板が含まれ、多孔板の開孔率は1%であった。
【0111】
本実施形態において、ライザー反応器原料は、プロパン1wt%、プロペン1wt%、ブタン3wt%、ブテン51wt%、ペンタン3wt%、ペンテン22wt%、ヘキサン1wt%、ヘキセン7wt%、メタノール2wt%と水9wt%との混合物であり、ベッド反応器原料は、プロパン1wt%、プロペン1wt%、ブタン3wt%、ブテン51wt%、ペンタン3wt%、ペンテン22wt%、ヘキサン1wt%、ヘキセン7wt%、メタノール2wt%と水9wt%との混合物であり、含酸素化合物は、ジメチルエーテルであり、使用済み剤領域流動化ガスは、窒素ガス5wt%と水蒸気95wt%であり、再生ガスは、空気50wt%と酸素ガス50wt%であり、触媒における活性成分は、SAPO-34分子篩であり、再生触媒におけるコークス含有量は、約2wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量は、約5wt%であり、ここで、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量は、約79wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、約10wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、約0.5wt%であり、使用済み触媒におけるコークス含有量は、約11wt%であった。ライザー反応器(1-1)のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が6.0m/s、反応温度が600℃、反応圧力が300kPa、ベッド密度が80kg/m3であった。ベッド反応器(1-2)の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.4m/s、反応温度が約550℃、反応圧力が約300kPa、ベッド密度が約500kg/m3であった。メタノール転化反応器(2)の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約3.0m/s、反応温度が約450℃、反応圧力が約300kPa、ベッド密度が約230kg/m3であった。メタノール転化反応器(2)の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.2m/s、反応温度が約450℃、反応圧力が約300kPa、ベッド密度が約600kg/m3であった。再生器(3)のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約1.0m/s、再生温度が約680℃、再生圧力が約300kPa、ベッド密度が約360kg/m3であった。
【0112】
本実施形態において、メタノール転化反応器の含酸素化合物の質量空間速度は、約15h-1であった。生成ガスの成分は、エチレン50wt%、プロペン45wt%、C4-C6炭化水素系3wt%と他の成分2wt%であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCO2などであった。生産原単位は、2.53トンメタノール/トン軽オレフィンであった。
【実施例4】
【0113】
本実施形態は、
図1に示した装置を用い、ベッド反応器には、九枚の多孔板が含まれ、多孔板の開孔率は5%であった。
【0114】
本実施形態において、ライザー反応器原料は、ブタン5wt%、ブテン72wt%、メタノール8wt%と水15wt%との混合物であり、ベッド反応器原料は、ブタン5wt%、ブテン72wt%、メタノール8wt%と水15wt%との混合物であり、含酸素化合物は、メタノールであり、使用済み剤領域流動化ガスは、窒素ガス73wt%と水蒸気27wt%であり、再生ガスは、空気50wt%と窒素ガス50wt%であり、触媒における活性成分は、SAPO-34分子篩であり、再生触媒におけるコークス含有量は、約2wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量は、約9wt%であり、ここで、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量は、約71wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、約25wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、約0.2wt%であり、使用済み触媒におけるコークス含有量は、約13wt%であった。ライザー反応器(1-1)のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が4.0m/s、反応温度が550℃、反応圧力が200kPa、ベッド密度が120kg/m3であった。ベッド反応器(1-2)の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約1.0m/s、反応温度が約500℃、反応圧力が約200kPa、ベッド密度が約150kg/m3であった。メタノール転化反応器(2)の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約4.0m/s、反応温度が約500℃、反応圧力が約200kPa、ベッド密度が約160kg/m3であった。メタノール転化反応器(2)の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.5m/s、反応温度が約500℃、反応圧力が約200kPa、ベッド密度が約300kg/m3であった。再生器(3)のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約1.5m/s、再生温度が約700℃、再生圧力が約200kPa、ベッド密度が約280kg/m3であった。
【0115】
本実施形態において、メタノール転化反応器の含酸素化合物の質量空間速度は、約11h-1であった。生成ガスの成分は、エチレン52wt%、プロペン44wt%、C4-C6炭化水素系2wt%と他の成分2wt%であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCO2などであった。生産原単位は、2.50トンメタノール/トン軽オレフィンであった。
【実施例5】
【0116】
本実施例は、対比例であり、該対比例が実施例4と異なる点は、コークス制御反応オンライン改質DMTO触媒を用いず、ライザー反応器とベッド反応器に通入された原料が窒素ガスであることである。窒素ガスは、不活性ガスであるため、ライザー反応器とベッド反応器で再生触媒の性質を変化させることなく、即ち、メタノール転化反応器の反応領域IIに入る触媒が再生触媒であることに相当する。
【0117】
本実施形態において、生成ガスの成分は、エチレン46wt%、プロペン37wt%、C4-C6炭化水素系12wt%と他の成分5wt%であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCO2などであった。生産原単位は、2.90トンメタノール/トン軽オレフィンであった。
【0118】
本対比例は、DMTO触媒をコークス制御反応によりオンライン改質することが、触媒の性能を大幅に向上させ、生産原単位を低減することができることを示した。
【0119】
以上は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、本願を何ら制限するものではなく、本願は、好適実施例をもって以上のように開示したが、本願を制限するものではなく、当業者であれば、本願の技術案の範囲から逸脱することなく、上記で開示された技術内容に基づいて行われる若干の変更又は改善は、いずれも均等の実施態様に相当し、すべて技術案の範囲に属する。
【符号の説明】
【0120】
1 コークス制御反応器
1-1 ライザー反応器
1-2 ベッド反応器
1-3 ベッド反応器ハウジング
1-4 ベッド反応器分配器
1-5 多孔板
1-6 ベッド反応器固気サイクロン分離器
1-7 ベッド反応器ガス収集室
1-8 コークス制御生成ガス輸送管
1-9 コークス制御触媒輸送管
1-10 コークス制御触媒滑動弁
2 メタノール転化反応器
2-1 メタノール転化反応器ハウジング
2-2 メタノール転化反応器分配器
2-3 輸送管
2-4 メタノール転化反応器第1の固気分離器
2-5 メタノール転化反応器ガス収集室
2-6 使用済み剤領域ガス分配器
2-7 メタノール転化反応器熱除去器
2-8 メタノール転化反応器第2の固気分離器
2-9 生成ガス輸送管
2-10 使用済み剤循環管
2-11 使用済み剤循環滑動弁
2-12 使用済み傾斜管
2-13 メタノール転化反応器ストリッパー
2-14 使用済み滑動弁
2-15 使用済み剤輸送管
3 再生器
3-1 再生器ハウジング
3-2 再生器分配器
3-3 再生器固気分離器
3-4 再生器ガス収集室
3-5 排煙輸送管
3-6 再生器ストリッパー
3-7 再生器熱除去器
3-8 再生滑動弁
3-9 再生傾斜管
【手続補正書】
【提出日】2022-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライザー反応器と、ベッド反応器とを含むコークス制御反応器であって、
前記ベッド反応器は、下から上へ反応領域I、遷移領域と固気分離領域Iを包囲形成するベッド反応器ハウジングを含み、
前記反応領域Iの内下部には、ベッド反応器分配器が設けられ、
前記反応領域Iの外部には、コークス制御触媒輸送管がさらに設けられ、
前記ライザー反応器の上部は、前記ベッド反応器の底部を通して軸方向に沿って前記ベッド反応器に挿設され、
前記ライザー反応器の出口端は、前記遷移領域に位置する、ことを特徴とするコークス制御反応器。
【請求項2】
前記反応領域I内には、少なくとも一つの多孔板が設けられ、複数の前記多孔板は、軸方向に沿って順次前記ライザー反応器の外周に配列され、
前記ライザー反応器の出口端は、前記多孔板の上方に位置し、
前記ベッド反応器分配器は、前記多孔板の下方に位置
し、
前記多孔板の開孔率は、1~30%である、ことを特徴とする請求項1に記載のコークス制御反応器。
【請求項3】
前記固気分離領域Iには、ベッド反応器固気分離器と、ベッド反応器ガス収集室とが設けられ、
前記ベッド反応器固気分離器のガス出口は、前記ベッド反応器ガス収集室と連通され、
前記ベッド反応器固気分離器の触媒出口は、多孔板の上方に位置し、
前記ベッド反応器ガス収集室は、前記ベッド反応器の外部に位置するコークス制御生成ガス輸送管と連通され
、
前記ベッド反応器分配器は、ベッド反応器原料を通入するために用いられ、前記ベッド反応器原料は、水素ガス0~20wt%、メタン0~50wt%、エタン0~50wt%、エチレン0~20wt%、プロパン0~50wt%、プロペン0~20wt%、ブタン0~90wt%、ブテン0~90wt%、ペンタン0~90wt%、ペンテン0~90wt%、ヘキサン0~90wt%、ヘキセン0~90wt%、メタノール0~50wt%、エタノール0~50wt%及び水0~50wt%を含み、且つ、メタノール、エタノールと水との合計含有量は、≧10wt%であり、
前記ライザー反応器は、触媒とライザー反応原料を通入するために用いられ、前記ライザー反応原料は、水素ガス0~20wt%、メタン0~50wt%、エタン0~50wt%、エチレン0~20wt%、プロパン0~50wt%、プロペン0~20wt%、ブタン0~90wt%、ブテン0~90wt%、ペンタン0~90wt%、ペンテン0~90wt%、ヘキサン0~90wt%、ヘキセン0~90wt%、メタノール0~50wt%、エタノール0~50wt%及び水0~50wt%を含み、且つ、メタノール、エタノールと水との合計含有量は、≧10wt%である、ことを特徴とする請求項1に記載のコークス制御反応器。
【請求項4】
含酸素化合物から軽オレフィンを製造する装置であって、メタノール転化反応器と、請求項
1に記載のコークス制御反応器とを含む、ことを特徴とする装置。
【請求項5】
前記メタノール転化反応器は、メタノール転化反応器ハウジングと、輸送管とを含み、
前記メタノール転化反応器ハウジングは、下ハウジングと、上ハウジングとを含み、
前記下ハウジングは、内下部にはメタノール転化反応器分配器が設けられる反応領域IIを包囲形成し、
前記輸送管は、前記反応領域IIの上方に位置し、且つ前記輸送管の一端が閉合され、他端が前記反応領域IIと連通され、
前記上ハウジングは、前記輸送管の外周に設けられ、
前記上ハウジングと前記輸送管の管壁は、キャビティを包囲形成し、
前記キャビティは、下から上へ使用済み剤領域と固気分離領域IIとに分けられ、
前記使用済み剤領域には、使用済み領域ガス分配器が設けられ
、
前記固気分離領域IIには、メタノール転化反応器第1の固気分離器が設けられ、前記輸送管の上部は、前記メタノール転化反応器第1の固気分離器の入口に接続され、前記メタノール転化反応器第1の固気分離器の触媒出口は、前記使用済み剤領域に位置し、前記メタノール転化反応器第1の固気分離器のガス出口は、メタノール転化反応器ガス収集室と連通され、前記メタノール転化反応器ガス収集室は、生成ガス輸送管に接続され、
前記固気分離領域IIには、メタノール転化反応器第2の固気分離器がさらに設けられ、前記メタノール転化反応器第2の固気分離器のガス入口は、固気分離領域IIに位置し、前記メタノール転化反応器第2の固気分離器の触媒出口は、前記使用済み剤領域に位置し、前記メタノール転化反応器第2の固気分離器のガス出口は、メタノール転化反応器ガス収集室と連通され、
前記使用済み領域ガス分配器は、メタノール転化反応器第1の固気分離器とメタノール転化反応器第2の固気分離器との下方に位置し、前記使用済み剤領域には、メタノール転化反応器熱除去器がさらに設けられ、
前記使用済み剤領域の外部には、使用済み剤循環管と使用済み傾斜管とがさらに設けられ、前記使用済み剤循環管は、前記使用済み剤領域を前記反応領域IIに接続するために用いられ、前記使用済み傾斜管は、使用済み触媒を送出するために用いられ、
前記固気分離領域IIは、コークス制御生成ガス輸送管を介してベッド反応器ガス収集室と連通され、前記反応領域IIは、コークス制御触媒輸送管を介して反応領域Iと連通される、ことを特徴とする請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、再生器をさらに含み、
前記再生器は、使用済み傾斜管に接続され、使用済み触媒を前記再生器に搬送するために用いられ、
前記再生器は、ライザー反応器に接続され、再生触媒を前記コークス制御反応器に搬送するために用いられ、
前記再生器の内底部には、再生器分配器が設けられ
、
前記再生器の底部には、再生器ストリッパーがさらに設けられ、前記再生器ストリッパーの上部は、前記再生器の内部に設けられ、且つ前記再生器ストリッパー上部の入口は、前記再生器分配器の上方に位置し、前記再生器ストリッパーの下部は、前記再生器の外部に設けられ、且つ前記再生器ストリッパー下部の出口は、前記ライザー反応器に接続され、前記再生器ストリッパーには、再生器熱除去器がさらに設けられ、
前記再生器は、使用済み剤輸送管とメタノール転化反応器ストリッパーを介して前記使用済み傾斜管に接続され、前記再生器は、再生器ストリッパーと再生傾斜管を介して前記ライザー反応器の入口に接続され、
前記再生器には、再生器固気分離器と、再生器ガス収集室とがさらに設けられ、前記再生器固気分離器の触媒出口は、前記再生器分配器の上方に位置し、前記再生器固気分離器のガス出口は、前記再生器ガス収集室に接続され、前記再生器ガス収集室は、前記再生器の外部に位置する排煙輸送管に接続される、ことを特徴とする請求項
4に記載の装置。
【請求項7】
含酸素化合物から軽オレフィンを製造する方法であって、
前記方法は、DMTO触媒をオンライン改質する方法
を含み、前記DMTO触媒をオンライン改質する方法は、ライザー反応器原料と触媒をライザー反応器から遷移領域に通入し、ベッド反応器原料を反応領域Iに通入
するステップと、前記触媒をライザー反応器原料及びベッド反応器原料と接触させ、反応させ、コークス制御触媒とコークス制御生成ガスとを生成
するステップとを含み、前記触媒は、DMTO触媒であり、前記コークス制御触媒は、改質DMTO触媒である、ことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記触媒の活性成分は、SAPO-34分子篩であ
り、
前記触媒は、再生触媒であり、前記再生触媒におけるコークス含有量は、≦3wt%であり、
前記コークス制御触媒におけるコークス含有量は、4~9wt%であり、前記コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、1wt%よりも小さく、
前記コークス制御触媒におけるコークス種は、ポリメチルベンゼンと、ポリメチルナフタレンとを含み、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量は、≧70wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、≦25wt%であり、ここで、前記コークス合計質量とは、コークス種の合計質量であり、
ライザー反応器のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が3~10m/s、反応温度が400~700℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が10~150kg/m
3
であり、
ベッド反応器の反応領域Iのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.1~1.0m/s、反応温度が300~650℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が150~800kg/m
3
である、ことを特徴とする請求項
7に記載の含酸素化合物から軽オレフィンを製造する方法。
【請求項9】
前記方法は、コークス制御生成ガスをメタノール転化反応器の固気分離領域に通入することをさらに含
み、
前記方法は、コークス制御触媒をメタノール転化反応器の反応領域IIに通入することをさらに含み、
反応領域IIにおいて、含酸素化合物を含有する原料をコークス制御触媒と接触させ、反応させ、軽オレフィンと使用済み触媒を含有する流れAを生成し、
前記流れAがメタノール転化反応器の固気分離領域IIで固気分離した後、気相流れBと固相流れCとに分けられ、前記気相流れBは、メタノール転化反応器ガス収集室に入り、前記固相流れCは、使用済み剤領域に入り、ここで、前記気相流れBは、軽オレフィンを含有し、前記固相流れCは、使用済み触媒を含有し、
使用済み剤領域流動化ガスを使用済み剤領域に通入し、前記使用済み剤領域流動化ガス、コークス制御生成ガスは、一部の使用済み触媒を混合担持して、流れDを形成し、前記流れDに対して固気分離を行い、分離された後、気相流れEと固相流れFとを得、前記気相流れEは、メタノール転化反応器ガス収集室に入り、前記固相流れFは、使用済み剤領域に入り、ここで、前記気相流れEは、使用済み剤領域流動化ガスとコークス制御生成ガスとの混合ガスであり、前記固相流れFは、使用済み触媒であり、
前記気相流れBと気相流れEは、メタノール転化反応器ガス収集室で混合して、生成ガスを形成し、前記生成ガスは、生成ガス輸送管を経て下流工程に入る、ことを特徴とする請求項
7に記載の方法。
【請求項10】
使用済み剤領域にある一部の前記使用済み触媒は、使用済み剤循環管を経て反応領域IIの底部に戻り、
他の一部の前記使用済み触媒は、使用済み傾斜管を経て排出され
、
前記使用済み傾斜管を経て排出された使用済み触媒を再生器に通入し、再生ガスを前記再生器に通入して、前記使用済み触媒と接触させ、反応させ、排煙と再生触媒を含有する流れGを得、
前記流れGに対して固気分離を行い、分離された後の排煙は、再生器ガス収集室に入り、排煙輸送管を経て下流の排煙処理システムに入り、分離された後の再生触媒に対してストリッピングを行い、熱除去された後、コークス制御反応器に入り、
前記使用済み触媒におけるコークス含有量は、9~13wt%であり、前記使用済み剤領域流動化ガスは、窒素ガス及び/又は水蒸気を含み、
前記再生ガスは、空気0~100wt%、酸素ガス0~50wt%、窒素ガス0~50wt%及び水蒸気0~50wt%を含み、前記空気、酸素ガス、窒素ガスと水蒸気は、同時に0ではなく、
メタノール転化反応器の反応領域IIのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.5~7.0m/s、反応温度が350~550℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が100~500kg/m
3
であり、
メタノール転化反応器の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.1~1.0m/s、反応温度が350~550℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が200~800kg/m
3
であり、
再生器のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.5~2.0m/s、再生温度が600~750℃、再生圧力が100~500kPa、ベッド密度が150~700kg/m
3
である、ことを特徴とする請求項
9に記載の方法。
【国際調査報告】