(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】特定のα,β-不飽和カルボキシレートを製造するための改善されたプロセス
(51)【国際特許分類】
C07C 67/04 20060101AFI20230712BHJP
C07C 69/28 20060101ALI20230712BHJP
C07F 15/00 20060101ALI20230712BHJP
B01J 31/24 20060101ALI20230712BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230712BHJP
【FI】
C07C67/04
C07C69/28 CSP
C07F15/00 A
B01J31/24 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573470
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 EP2021065204
(87)【国際公開番号】W WO2021254811
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ボンラス, ワーナー
(72)【発明者】
【氏名】キャネット‐マルティネス, エステル
(72)【発明者】
【氏名】ゴイ, ロマン
(72)【発明者】
【氏名】ヒンターメア, ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】メドロック, ジョナサン, アラン
(72)【発明者】
【氏名】サイブ, アサド
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
4H050
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BA28A
4G169BA28B
4G169BC70A
4G169BC70B
4G169BE01A
4G169BE01B
4G169BE06A
4G169BE06B
4G169BE08A
4G169BE08B
4G169BE27A
4G169BE27B
4G169CB25
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC48
4H006BA23
4H006BA48
4H006BB17
4H006BC10
4H006BC34
4H006BJ20
4H006BN10
4H006KA11
4H039CA66
4H039CF20
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB40
(57)【要約】
本発明は、特定のα,β-不飽和カルボキシレートを製造するプロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、
R
1は、C
1~C
4-アルキル部分、好ましくは-CH
3又は-CH
2CH
3であり、且つ
R
2は
【化2】
(*は結合が局在している場所を示している)である)
の化合物を製造するプロセスであって、ここで
式(II)
【化3】
の化合物を、式(III)
【化4】
(式中、前記R
1及びR
2は、式(I)の化合物について上で定義したものと同義である)
の化合物と、式(IV)
【化5】
(式中、
R
3、R
4、R
5及びR
6は、互いに独立して、-CH
3、-OCH
3、-NO
2又はハロゲンを意味し、且つ
W、X、Y及びZは、互いに独立して、中性又はイオン性の配位子を意味し、ここで、W、X、Y及びZは単座又は二座になり得るが、但し前記Ruは常に六座配位であり、且つ
m、n、o、及びpは、0、1、2、又は3の整数を表し、
qは、1、2、3、又は4の整数を意味する)
の少なくとも1つの触媒の存在下において反応させる、プロセス。
【請求項2】
R
1は、-CH
3又は-CH
2CH
3である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
R
2は、
【化6】
である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
式(Ia)及び(Ib)
【化7】
の前記化合物が生産される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
式(IVa)
【化8】
の前記触媒を使用する、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
式(IVb)
【化9】
の前記触媒を使用する、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
式(IVc)
【化10】
(式中、R
7は、H又はCH
3である)
の前記触媒を使用する、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
基質(出発物質)と触媒の比率(モル基準)が5000:1~10:1である、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記プロセスが溶媒を使用せずに実施されるプロセスである、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記プロセスが少なくとも1つの無極性プロトン性有機溶媒中で行われる、請求項1~8のいずれかに一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記無極性有機溶媒が脂肪族炭化水素、環状炭化水素 芳香族炭化水素及びカルボン酸エステルからなる群から選択される、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記プロセスが-5℃~60℃の間の温度で実施される、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
式(V)
【化11】
の前記化合物を、反応混合物に添加する、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
式(V)の前記化合物を、0.01~0.75モル当量(式(II)の化合物に関して)添加する、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
式(IV’)、(IV”)及び(IV’’’)
【化12】
【化13】
(式中、
R
3、R
4、R
5及びR
6は、互いに独立して、-CH
3、-OCH
3、-NO
2又はハロゲンを意味し、且つ
W、X、Y及びZは、互いに独立して、中性又はイオン性の配位子を意味し、ここで、W、X、Y及びZは単座又は二座になり得るが、但し前記Ruは常に六座配位であり、且つ
m、n、o、及びpは、0、1、2、又は3の整数を表し、
qは、1、2、3、又は4の整数を意味する)
の化合物。
【請求項16】
式(IVa)、(IVb)、(IVc’)及び(IVc”)
【化14】
【化15】
の化合物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、特定のα,β-不飽和カルボキシレートの製造プロセスに関する。
【0002】
製造しようとする特定のα,β-不飽和カルボキシレートは、次の式(I)
【化1】
(式中、
R
1は、C
1~C
4アルキル部分、好ましくは-CH
3又は-CH
2CH
3であり、且つ
R
2は
【化2】
(*は結合が局在している場所を示している)である)
で表される。
【0003】
これらの特定のα,β-不飽和カルボキシレートは有用な化合物である。上記α,β-不飽和カルボキシレートはそのまま使用することもできるし、またビタミン類(特にビタミンAアセテート(還元後にアセチル化を経る))などの他の化合物を製造するための中間体としても有用である。
【0004】
そのため、このような重要な中間体の重要性から、その化合物の優れた製造方法が常に必要とされている。これらの化合物を製造する新しいプロセスは、ルテニウム触媒と穏やかな反応条件から構成されている。
【0005】
これらの化合物を製造するプロセスは次の通りである。
【0006】
式(II)
【化3】
の化合物を、式(III)
【化4】
(式中、R
1及びR
2は、式(I)の化合物について上で定義したものと同義である)
の化合物と、式(IV)
【化5】
(式中、
R
3、R
4、R
5及びR
6は、互いに独立して、-CH
3、-OCH
3、-NO
2又はハロゲンを意味し、且つ
W、X、Y及びZは、互いに独立して、中性又はイオン性の配位子を意味し、ここで、W、X、Y及びZは単座又は二座になり得るが、但しRuは常に六座配位であり、且つ
m、n、o、及びpは、0、1、2、又は3の整数を表し、
qは、1、2、3、又は4の整数を意味する)
の少なくとも1つの触媒の存在下において反応させる。
【0007】
触媒は常に電子的に中性である。さらに、配位子W、X、Y、又はZのうち1つ又は2つが二座である場合、3つ又は2つの配位子のみが存在することが明らかである。
【0008】
反応(第1サイクル)の終了後、式(IV)の触媒は、以下の式(IV’)、(IV”)及び/又は(IV’’’)
【化6】
【化7】
(式中、すべての置換基は上で定義したものと同義であり、R
7はH又はC
1~C
4アルキル部分である)
の形態に変化している。
【0009】
式(IV’)、(IV”)、(IV’’’)の化合物は新規である。
【0010】
したがって、本発明は、式(I)
【化8】
(式中、
R
1は、C
1~C
4アルキル部分、好ましくは-CH
3又は-CH
2CH
3であり、且つ
R
2は
【化9】
(*は結合が局在している場所を示している)である)
の化合物を製造するためのプロセス(P)に関し、ここで
式(II)
【化10】
の化合物は、式(III)
【化11】
(式中、R
1及びR
2は、式(I)の化合物について上で定義したものと同義である)
の化合物と、式(IV)
【化12】
(式中、
R
3、R
4、R
5及びR
6は、互いに独立して、-CH
3、-OCH
3、-NO
2又はハロゲンを意味し、且つ
W、X、Y及びZは、互いに独立して、中性又はイオン性の配位子を意味し、ここで、W、X、Y及びZは単座又は二座になり得るが、但しRuは常に六座配位であり、且つ
m、n、o、及びpは、0、1、2、又は3の整数を表し、
qは、1、2、3、又は4の整数を意味する)
の少なくとも1つの触媒の存在下において反応させる。
【0011】
好ましいのは、式(I)の化合物であり、ここで
R1は-CH3又は-CH2CH3である。
【0012】
したがって、本発明は、プロセス(P)であって、R1は-CH3又は-CH2CH3であるプロセス(P1)に関する。
【0013】
好ましくは式(I)の化合物であり、ここで
R
2は
【化13】
である。
【0014】
したがって、本発明は、プロセス(P)又は(P1)であって、
R
2は
【化14】
であるプロセス(P2)に関する。
【0015】
最も好ましいのは、式(Ia)及び(Ib)
【化15】
の化合物である。
【0016】
非常に好ましい触媒は、式(IVa)、(IVb)又は(IVc)
【化16】
(式中、R
7はH又はCH
3である)
のものである。
【0017】
したがって、本発明は、プロセス(P)、(P1)又は(P2)であって、式(IVa)
【化17】
の触媒を用いるプロセス(P3)に関する。
【0018】
したがって、本発明は、プロセス(P)、(P1)又は(P2)であって、式(IVb)
【化18】
の触媒を用いるプロセス(P3’)に関する。
【0019】
したがって、本発明は、プロセス(P)、(P1)又は(P2)であって、式(IVc)
【化19】
(式中、R
7は、H又はCH
3である)
の触媒を用いるプロセス(P3”)に関する。
【0020】
基材(出発物質)と触媒の比率(モル基準)は、通常5000:1~10:1、好ましくは1000:1~20:1である。
【0021】
したがって、本発明は、プロセス(P)、(P1)、(P2)、(P3)、(P3’)又は(P3”)であって、基材(出発物質)と触媒の比率(モル基準)が5000:1~10:1であるプロセス(P4)に関する。
【0022】
したがって、本発明は、プロセス(P)、(P1)、(P2)、(P3)、(P3’)又は(P3”)であって、基材(出発物質)と触媒の比率(モル基準)が1000:1~20:1であるプロセス(P4’)に関する。
【0023】
本発明に係るプロセスは、無溶媒又は少なくとも1つの無極性非プロトン性有機溶媒中で実施される。
【0024】
溶媒としては、本発明の範囲内で一般的な無極性非プロトン性有機溶媒、特に脂肪族、環状及び芳香族炭化水素、例えば、C7~C10アルカン、C5~C7シクロアルカン、ベンゼン、トルエン及びナフタレン、並びにこれらの溶媒の混合物、例えばパラフィン油(飽和脂肪族炭化水素の混合物)等を用いることができる。また、酢酸エチル等のカルボン酸エステルも同様である。
【0025】
したがって、本発明は、プロセス(P)、(P1)、(P2)、(P3)、(P3’)、(P3”)、(P4)又は(P4’)であって、無溶媒で行うプロセス(P5)に関連する。
【0026】
したがって、本発明は、プロセス(P)、(P1)、(P2)、(P3)、(P3’)、(P3”)、(P4)又は(P4’)であって、少なくとも1つの無極性非プロトン性有機溶媒中で実施されるプロセス(P6)に関する。
【0027】
したがって、本発明は、プロセス(P)、(P1)、(P2)、(P3)、(P3’)、(P3”)、(P4)又は(P4’)であって、無極性非プロトン性有機溶剤が、脂肪族炭化水素、環状炭化水素 芳香族炭化水素及びカルボン酸エステルからなる群から選択されるプロセス(P6’)に関する。
【0028】
したがって、本発明は、プロセス(P6’)であって、無極性非プロトン性有機溶媒が、C7~C10アルカン、C5~C7シクロアルカン、ベンゼン、トルエン、ナフタレン、パラフィン油及び酢酸エチルからなる群から選択されるプロセス(P6”)に関する。
【0029】
本発明によるプロセスは、通常、非常に穏やかな反応条件下で実施される。反応温度は、通常-5℃~60℃の間である。好ましくは0℃~50℃の間である。より好ましくは5℃~45℃の間である。最も好ましくは、5℃~40℃の間である。
【0030】
したがって、本発明は、プロセス(P)、(P1)、(P2)、(P3)、(P3’)、(P3”)、(P4)、(P4’)、(P5)、(P6)、(P6’)又は(P6”)であって、プロセスが-5℃~60℃の間の温度で実行されるプロセス(P7)に関する。
【0031】
したがって、本発明は、プロセス(P)、(P1)、(P2)、(P3)、(P3’)、(P3”)、(P4)、(P4’)、(P5)、(P6)、(P6’)、(P6”)であって、プロセスが0℃~50℃の間の温度で実行されるプロセス(P7’)に関する。
【0032】
したがって、本発明は、プロセス(P)、(P1)、(P2)、(P3)、(P3’)、(P3”)、(P4)、(P4’)、(P5)、(P6)、(P6’)又は(P6”)であって、プロセスが5℃~45℃の間の温度で実行されるプロセス(P7”)に関する。
【0033】
したがって、本発明は、プロセス(P)、(P1)、(P2)、(P3)、(P3’)、(P3”)、(P4)、又は(P4’)、(P5)、(P6)、(P6’)又は(P6”)であって、プロセスが5℃~40℃の間の温度で実行されるプロセス(P7’’’)に関する。
【0034】
全ての反応物を一緒に加え、混合する。反応混合物を、遷移金属系触媒的転位反応が起こる温度まで加熱することにより、得られる混合物が提供される。
【0035】
さらに、ピバリン酸無水物の添加、及び式(V)
【化20】
の化合物を、反応混合物に添加することができる。
【0036】
ピバリン酸無水物は、0.01~0.75モル当量(式(II)の化合物に対して)、好ましくは、0.05~0.4モル当量(式(II)の化合物に対して)、0.1~0.25モル当量(式(II)の化合物に対して)で添加することができる。
【0037】
したがって、本発明は、プロセス(P)、(P1)、(P2)、(P3)、(P3’)、(P3”)、(P4)、(P4’)、(P5)、(P6)、(P6’)、(P6”)、(P7)、(P7’)、(P7”)又は(P7’’’)であって、式(V)
【化21】
の化合物を、反応混合物に添加するプロセス(P8)に関する。
【0038】
したがって、本発明は、プロセス(P8)であって、式(V)の化合物を0.01~0.75モル当量(式(II)の化合物に関して)の量で添加するプロセス(P8’)に関する。
【0039】
したがって、本発明は、プロセス(P8)であって、式(V)の化合物を0.05~0.4モル当量(式(II)の化合物に関して)の量で添加するプロセス(P8”)に関する。
【0040】
したがって、本発明は、プロセス(P8)であって、式(V)の化合物を0.1~0.25モル当量(式(II)の化合物に関して)の量で添加するプロセス(P8’’’)に関する。
【0041】
反応後、触媒(式(IV’)、(IV”)及び(IV’’’)の化合物)
【化22】
【化23】
(式中、すべての置換基は上で定義したものと同義である)
を一般的に公知の方法で単離することができる。
【0042】
さらに、式(式(IV’)、(IV”)、(IV’’’)の化合物)の触媒
【化24】
【化25】
(式中、
R
3、R
4、R
5及びR
6は、互いに独立して、-CH
3、-OCH
3、-NO
2又はハロゲンを意味し、且つ
W、X、Y及びZは、互いに独立して、中性又はイオン性の配位子を意味し、ここで、W、X、Y及びZは、単座又は二座になり得るが、但しRuは常に六座配位であり、且つ
m、n、o、及びpは、0、1、2、又は3の整数を表し、
qは、1、2、3、又は4の整数を意味する)
は新規である。
【0043】
したがって、本発明の別の実施形態は、式(IV’)、(IV”)及び(IV’’’)
【化26】
【化27】
(式中、
R
3、R
4、R
5及びR
6は、互いに独立して、-CH
3、-OCH
3、-NO
2又はハロゲンを意味し、且つ
W、X、Y及びZは、互いに独立して、中性又はイオン性の配位子を意味し、ここで、W、X、Y及びZは単座又は二座になり得るが、但しRuは常に六座配位であり、且つ
m、n、o、及びpは、0、1、2、又は3の整数を表し、
qは、1、2、3、又は4の整数を意味する)
の化合物である。
【0044】
式(IV’)、(IV”)及び(IV’’’)の好ましい化合物は、式(IVa)、(IVb)、(IVc’)及び(IVc”)
【化28】
【化29】
に記載の化合物である。
【0045】
以下の実施例は、本発明を限定することなくさらに説明するものである。示されるすべてのパーセント及び部は、重量に関するものであり、温度は、特に記載がない場合、℃で示される。
【0046】
[実施例]
[実施例1]
3-メチル-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタ-1-エン-4-イン-3-オール(2.33g、10mmol)と2,2-ジメチルプロパン酸(1.53g、15mmol、1.5当量)をアルゴン雰囲気下の無水酢酸エチル(10mL)中に溶解させた。アルゴンの向流中、61mg(0.1mmol、1.0mol%)の[(dppe)Ru(2-メチルアリル)
2]を加え、式(IVa)の触媒を形成した。20℃で24時間撹拌した後、薄黄褐色の反応混合物を減圧下で濃縮した(ロータバップ、水浴温度20℃)。粗生成物を20mbarでさらに2時間乾燥させ、薄茶色の油状液体を得た。式(Ia)
【化30】
の生成物が、99%の収率で得られた。
【0047】
以下の表では、実施例1と同様の方法で、より多くの式(Ia)の化合物を製造した。その他の反応時間及び/又は反応温度及び/又は酢酸エチル(溶媒)の量は変えた。
【0048】
【0049】
[実施例2]
3-メチル-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタ-1-エン-4-イン-3-オール(2.18g、10mmol)、2,2-ジメチルプロパン酸(1.32g、11mmol)及び2,2-無水ジメチルプロパン酸(0.4mL、2mmol)をアルゴン雰囲気下で無水酢酸エチル(10mL)中に溶解させた。アルゴンの向流中、[(dppe)Ru(2-メチルアリル)2]61mg(0.1mmol、1.0mol%)の無水アセトン(5mL)中溶液を加え、式(IVa)の触媒を形成した。20℃で18時間撹拌した後、89%の3-メチル-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタ-1-エン-4-イン-3-オールの変換率を観察した。
【0050】
以下の表では、実施例3と同様の方法で式(Ia)の化合物をさらに製造している。他の添加剤及び/又は溶媒は変えた。
【0051】
【0052】
[実施例3]
2,2-ジメチルプロパン酸(1.0g、9.8mmol)及び式(IV)のルテニウム触媒60mg(0.1mmol)をアルゴン雰囲気下で無水酢酸エチル(15mL)に溶解させた。0.5時間後、溶媒を2時間(40℃)かけて蒸発させた。残った固体を無水n-ヘキサンに還流下で溶解し、60℃から-20℃まで徐々に冷却して黄色い鋭利な結晶を形成させ、式(IVb)のルテニウム触媒を得た。
【0053】
[実施例4]
2,2-ジメチルプロパン酸(5.0g、49mmol)及び式(IV)のルテニウム触媒60mg(0.1mmol)をアルゴン雰囲気下で無水酢酸エチル(10mL)に溶解させた。0.5時間後、溶媒を2時間(40℃)かけて蒸発させた。残った固体をアセトンに溶解し、n-ヘキサンをゆっくり拡散させて黄色い鋭利な結晶を形成させ、式(IVc’)のルテニウム触媒を得た。
【国際調査報告】