(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】セル集合体及びこのようセル集合体をそれぞれ有する複数のアームから成るコンバータ
(51)【国際特許分類】
H02M 7/49 20070101AFI20230712BHJP
【FI】
H02M7/49
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574177
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(85)【翻訳文提出日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 EP2021064167
(87)【国際公開番号】W WO2022002492
(87)【国際公開日】2022-01-06
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390035459
【氏名又は名称】マシイネンフアブリーク・ラインハウゼン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】リーダム・ロバート・ジョン
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA11
5H770DA03
5H770DA23
5H770DA31
5H770DA37
5H770GA19
(57)【要約】
本発明は、複数のセル9から成るセル集合体に関する。この場合、それぞれのセル9が、1つの第1端子15と1つの第2端子17と複数のスイッチング素子19と1つのキャパシタンス21とを含む。複数のスイッチング素子19は、キャパシタンス21を第1端子15と第2端子17とに接続するように、及びキャパシタンス21をバイパスするように適合されている。それぞれのセル9は、1つのバイパス部27を有する。このバイパス部27は、第1端子15と第2端子17に接続されていて、短絡回路構成の状態では少なくとも1つのスイッチング素子19をバイパスし、開放回路構成の状態では当該少なくとも1つのスイッチング素子1)をバイパスしないように適合されている。それぞれのセル9は、1つのセル制御部29を有する。複数のスイッチング素子19が、キャパシタンス21を第1端子15と第2端子17とに接続するか、又は、複数のスイッチング素子19が、キャパシタンス21をバイパスするように、セル制御部29が、制御信号を複数のスイッチング素子19に供給するように適合されている。バイパス部27が、その構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、セル制御部29が、制御信号を隣同士のセル9のうちの少なくとも1つのセル9のセル制御部29に供給するように適合されている。さらに、本発明は、それぞれアーム5がこのようなセル集合体5を有する複数のアーム3から成るコンバータ1に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセル(9)から成るセル集合体(5)であって、
前記複数のセル(9)のそれぞれのセル(9)が、1つの第1端子(15)と1つの第2端子(17)と複数のスイッチング素子(19)と1つのキャパシタンス(21)とを含み、前記複数のスイッチング素子(19)は、前記キャパシタンス(21)を前記第1端子(15)と前記第2端子(17)とに接続するように、及び前記キャパシタンス(21)をバイパスするように適合されていて、
隣同士のセル(9)から成るそれぞれのセル対ごとに、前記隣同士のセル(9)から成るセル対の1つの第1セル(9)の前記第1端子(15)が、前記隣同士のセル(9)から成るセル対の1つの第2セル(9)の前記第2端子(17)に接続されているように、前記複数のセル(9)のうちの複数のセル(9)が直列に接続されていて、
それぞれのセル(9)が、1つのバイパス部(27)をさらに有し、それぞれのセル(9)の前記バイパス部(27)が、前記セル(9)の前記第1端子(15)と前記第2端子(17)とに接続されていて、短絡回路構成の状態では前記セル(9)の前記複数のスイッチング素子(19)のうちの少なくとも1つのスイッチング素子(19)をバイパスし、開放回路構成の状態では前記少なくとも1つのスイッチング素子(19)をバイパスしないように適合されていて、
それぞれのセル(9)が、1つのセル制御部(29)をさらに有し、前記複数のスイッチング素子(19)が、前記キャパシタンス(21)を前記第1端子(15)と前記第2端子(17)とに接続するか、又は、前記複数のスイッチング素子(19)が、前記キャパシタンス(21)をバイパスするように、それぞれのセル(9)の前記セル制御部(29)が、制御信号を前記セル(9)の前記複数のスイッチング素子(19)に供給するように適合されていて、
それぞれの前記バイパス部(27)が、その構成を前記短絡回路構成から前記開放回路構成に変更するか、又は前記開放回路構成から前記短絡回路構成に変更するように、それぞれのセル(9)の前記セル制御部(29)が、制御信号を隣同士のセル(9)のうちの少なくとも1つのセル(9)の前記バイパス部(27)に供給するように適合されている当該セル集合体(5)。
【請求項2】
それぞれのセル(9)は、1つの電力供給部(31)をさらに有し、
それぞれのセル(9)の前記電力供給部(31)は、電力を隣同士のセル(9)のうちの少なくとも1つのセル(9)の前記バイパス部(27)に供給するように適合されている請求項1に記載のセル集合体(5)。
【請求項3】
それぞれのセル(9)の前記バイパス部(27)は、1つの記憶部有する請求項1又は2に記載のセル集合体(5)。
【請求項4】
前記バイパス部(27)の構成を示す、前記バイパス部(27)の状態情報が、前記セル(9)の前記セル制御部(29)によって前記記憶部に書き込まれ得るように、それぞれのセル(9)の前記記憶部が、前記セル(9)の前記セル制御部(29)に接続されている請求項3に記載のセル集合体(5)。
【請求項5】
前記記憶部は、データ記憶部(47)から成る請求項3及び4のいずれか1項に記載のセル集合体(5)。
【請求項6】
前記データ記憶部(47)は、不揮発性のデータ記憶部である請求項5に記載のセル集合体(5)。
【請求項7】
前記記憶部は、ラッチングリレー(37)を有する請求項3~6のいずれか1項に記載のセル集合体(5)。
【請求項8】
それぞれの前記バイパス部(27)が、その構成を前記短絡回路構成から前記開放回路構成に変更するか、又は前記開放回路構成から前記短絡回路構成に変更するように、それぞれのセル(9)の前記セル制御部(29)は、制御信号を隣同士のセル(9)のうちの1つのセル(9)の前記バイパス部(27)に供給するように適合されている請求項1~7のいずれか1項に記載のセル集合体(5)。
【請求項9】
それぞれの前記バイパス部(27)が、その構成を前記短絡回路構成から前記開放回路構成に変更するか、又は前記開放回路構成から前記短絡回路構成に変更するように、それぞれのセル(9)の前記セル制御部(29)は、制御信号を隣同士のセル(9)の2つのセル(9)の前記バイパス部(27)に供給するように適合されている請求項1~7のいずれか1項に記載のセル集合体(5)。
【請求項10】
それぞれのセル(9)の前記バイパス部(27)は、前記短絡回路構成の状態では前記セル(9)の前記複数のスイッチング素子(19)のうちの1つのスイッチング素子(19)をバイパスし、前記開放回路構成の状態では1つの前記スイッチング素子(19)をバイパスしないように適合されている請求項1~9のいずれか1項に記載のセル集合体(5)。
【請求項11】
それぞれのセル(9)の前記バイパス部(27)は、前記短絡回路構成の状態では前記セル(9)の前記複数のスイッチング素子(19)の2つのスイッチング素子(19)をバイパスし、前記開放回路構成の状態では前記2つのスイッチング素子(19)をバイパスしないように適合されている請求項1~9のいずれか1項に記載のセル集合体(5)。
【請求項12】
それぞれのセル(9)の前記複数のスイッチング素子(19)は、前記セル(9)の前記第1端子(15)に接続されている第1接続点で互いに接続されている2つのスイッチング素子(19)から成り、
前記2つのスイッチング素子(19)の第1スイッチング素子(19)が、前記キャパシタンス(21)の第1端子に接続されていて、前記2つのスイッチング素子(19)の第2スイッチング素子(19)が、前記セル(9)の前記第2端子(17)に接続されている第2接続点で前記キャパシタンス(21)の第2端子に接続されている請求項1~11のいずれか1項に記載のセル集合体(5)。
【請求項13】
それぞれのセル(9)の前記スイッチング素子(19)は、4つのスイッチング素子(19)から成り、
4つのスイッチング素子(19)のうちの第1スイッチング素子(19)と、4つのスイッチング素子(19)のうちの第2スイッチング素子(19)とが、前記セル(9)の前記第1端子(15)に接続されている第1接続点で互いに接続されていて、
4つのスイッチング素子(19)のうちの第3スイッチング素子(19)と、4つのスイッチング素子(19)のうちの第4スイッチング素子(19)とが、前記セル(9)の前記第2端子(17)に接続されている第2接続点で互いに接続されていて、
前記第1スイッチング素子(19)と前記第3スイッチング素子(19)とが、前記セル(9)の前記キャパシタンス(21)の第1端子に接続されている第3接続点で互いに接続されていて、前記第2スイッチング素子(19)と前記第4スイッチング素子(19)とが、前記セル(9)の前記キャパシタンス(21)の第2端子に接続されている第4接続点で互いに接続されている請求項1~11のいずれか1項に記載のセル集合体(5)。
【請求項14】
それぞれのセル(9)の少なくとも1つの前記スイッチング素子(19)のそれぞれのスイッチング素子(19)が、1つのトランジスタを有する請求項1~13のいずれか1項に記載のセル集合体(5)。
【請求項15】
それぞれのアーム(3)は、請求項1~14のいずれか1項に記載のセル集合体(5)から成る、複数の前記アーム(3)を有するコンバータ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セル集合体及びこのようセル集合体をそれぞれ有する複数のアームから成るコンバータに関する。
【0002】
セル集合体をそれぞれ有する複数のアームから成るコンバータ(変換器)は公知である。
【背景技術】
【0003】
送電システムでは、電力変換装置とも呼ばれ得るコンバータが使用される。多くの場合、当該コンバータは、相アームとしても知られている複数のアームから構成される。それぞれのアームは、セル集合体を有し、それぞれのセル集合体は、複数のセルから成る。それぞれのセルは、1つの第1端子と1つの第2端子と複数のスイッチング素子と1つのキャパシタンスとを含む。当該キャパシタンスによって供給される電圧が、当該第1端子と当該第2端子とによって選択的に供給され得るように、当該複数のスイッチング素子は、当該キャパシタンスを当該第1端子と当該第2端子とに接続し、当該キャパシタンスをバイパスするように適合されている。隣同士のセルから成るそれぞれのセル対ごとに、当該隣同士のセルから成るセル対の第1セルの第1端子が、当該隣同士のセルから成るセル対の第2セルの第2端子に接続されているように、当該複数のセルは直列に接続されている。
【0004】
従来の技術から公知のセル集合体のセルは、設計上は一般にロバストであっても、1つのセルの少なくとも一部の故障、すなわち1つのセルの故障が起こり得る。
【0005】
一般に、コンバータの可用性が保証されるように、特定の故障モードで保証されるように、特定の1つのスイッチング素子が故障したときに、その故障したスイッチング素子が、そのセルをショートさせるので、そのセルがバイパスされるように、複数のセルが適合され得る。当該発明では、故障モードは、セルを故障させる誘引があるモードであり、セルが故障し得るモードである。しかしながら、そのスイッチング素子が故障したときにだけ、そのセルがバイパスされる。しかしながら、異なるセルの故障モードでそのセルを確実にバイパスすることは不可能である。さらに、故障したスイッチング素子がバイパスを提供するように故障する複数のスイッチング素子は、特に高いスイッチング損失に起因して、多くの場合に効率的でなく且つ高価である。特に、複数のスイッチング素子が、複数のスイッチング動作を実行する高電圧の用途では、スイッチング損失は、最小に維持しなければならない。
【0006】
セルの故障時にコンバータの可用性を保証するためのさらなる試みは、それぞれのセルが1つのバイパス部を有し得ることである。当該バイパス部は、多数のセルの故障モードで作動し続けるように適合されていて、1つのセルが、コンバータを故障させないように、そのセルがバイパスされ得ることを保証する。多くの場合、当該それぞれのセルは、1つのセル制御部を有する。当該セル制御は、制御信号をそのセルのスイッチング素子とそのセルのバイパス部とに供給するように適合されている。さらに、当該コンバータは、1つの主制御装置を有する。この主制御装置は、制御信号を複数のセルの複数のセル制御部に供給するように適合されている。セル制御が故障しているか、又は、セルのセル制御部とバイパス部との間の通信又はコンバータの主制御装置とセル制御部との間の通信が損なわれているか又はもはや不可能であるといった、セルの故障が深刻である場合は、制御信号が、当該セル制御部によって当該セルのバイパス部にもはや供給され得ないか、-又は少なくとも確実に-供給され得なく、及び/又は当該コンバータの主制御装置から当該セル制御部にもはや供給され得ないか、-又は少なくとも確実に-供給され得ない。したがって、このような場合は、セル、特にセルのバイパス部の可制御性と、コンバータの信頼できる機能とが損なわれる。これは、セルがコンバータの始動中に故障するときに特に不利である。
【0007】
一般に、確実に機能するコンバータが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、コンバータの確実な機能を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点によれば、この課題は、請求項1に記載の特徴を有するセル集合体によって解決される。
【0010】
当該セル集合体は、複数のセルから成る。それぞれのセルが、1つの第1端子と1つの第2端子と複数のスイッチング素子と1つのキャパシタンスとを含む。当該複数のスイッチング素子は、当該キャパシタンスを当該第1端子と当該第2端子とに接続するように、及び当該キャパシタンスをバイパスするように適合されている。隣同士のセルから成るそれぞれのセル対ごとに、当該隣同士のセルから成るセル対の1つの第1セルの当該第1端子が、当該隣同士のセルから成るセル対の1つの第2セルの当該第2端子に接続されているように、当該複数のセルのうちの複数のセルが直列に接続されている。1つのセルが、1つのバイパス部をさらに有する。それぞれのセルの当該バイパス部が、当該セルの当該第1端子と当該第2端子とに接続されていて、短絡回路構成の状態では当該セルの当該複数のスイッチング素子のうちの少なくとも1つのスイッチング素子をバイパスし、開放回路構成の状態では当該少なくとも1つのスイッチング素子をバイパスしないように適合されている。それぞれのセルが、1つのセル制御部をさらに有する。当該複数のスイッチング素子が、当該キャパシタンスを当該第1端子と当該第2端子とに接続するか、又は、当該複数のスイッチング素子が、当該キャパシタンスをバイパスするように、それぞれのセルの当該セル制御部が、制御信号を当該セルの当該複数のスイッチング素子に供給するように適合されている。さらに、それぞれの当該バイパス部が、その構成を当該短絡回路構成から当該開放回路構成に変更するか、又は当該開放回路構成から当該短絡回路構成に変更するように、それぞれのセルの当該セル制御部が、制御信号を隣同士のセルのうちの少なくとも1つのセルの当該バイパス部に供給するように適合されている。
【0011】
セル集合体は、複数のセルから成る。それぞれのセルは、ハーフブリッジ回路構成を有し得る。1つのセルが、1つのハーフブリッジ回路構成を有する場合、このセルは、一方向の電圧を遮断できる。特に、1つのセルが、1つのハーフブリッジ回路構成を有する場合、このセルは、そのキャパシタンスを第1端子とその第2端子とに接続し、当該接続によりそのキャパシタンスの電圧をその第1端子とその第2端子とに供給するか、又は 当該キャパシタンをバイパスし、当該バイパスによりそのキャパシタンスの電圧をその第1端子とその第2端子とに供給しない2レベルコンバータセルを構成する。スイッチング素子の個数と、スイッチング素子のスイッチング動作中に発生するスイッチング損失とが低く維持されなければならない場合に、ハーフブリッジ回路構成は特に有益である。さらに、それぞれのセルは、フルブリッジ回路構成を有してもよい。1つのセルが、1つのフルブリッジ回路構成を有する場合、このセルは、二方向の電圧を遮断できる。特に、1つのセルが、1つのフルブリッジ回路構成を有する場合、このセルは、そのキャパシタンスをその第1端子とその第2端子とに両極性で接続し、当該接続によりそのキャパシタンスの電圧をその第1端子とその第2端子とに両極性で供給するか、又は当該キャパシタンをバイパスし、当該バイパスによりそのキャパシタンスの電圧をその第1端子とその第2端子とに供給しない3レベルコンバータセルを構成する。フルブリッジ回路構成は、当該キャパシタンスが当該第1端子と当該第2端子とに両極性で接続されなければならない場合に特に有益である。当該キャパシタンスを当該第1端子と当該第2端子とに両極性で接続することは、本発明の第2の観点によるコンバータの可制御性を向上させる。
【0012】
複数のセルのそれぞれのセルは、第1端子と第2端子とを有する。複数のセルが、直列に接続され得るように、この第1端子とこの第2端子とはそれぞれ、隣同士の1つのセルの1つの端子に接続されるように適合されている。さらに、それぞれのセルは、複数のスイッチング素子を有する。好ましくは、複数のスイッチング素子のそれぞれのスイッチング素子は、動作電流がスイッチング素子に通電できる閉回路構成と、動作電流がスイッチング素子に通電できない開回路構成とをとるように適合されている。さらに、それぞれのスイッチング素子は、スイッチング動作中に当該閉回路構成と当該開回路構成との間で切り替わるように、すなわち当該閉回路構成から当該開回路構成に切り替わり、当該開回路構成から当該閉回路構成に切り替わるように適合されている。さらに、複数のセルのそれぞれのセルは、1つのキャパシタンスを有する。好ましくは、複数のセルのそれぞれのセルのキャパシタンスは、1つのコンデンサ又は複数のコンデンサによって提供されている。
【0013】
当該複数のスイッチング素子は、当該キャパシタンスを当該第1端子と当該第2端子とに接続し、当該キャパシタンスをバイパスするように適合されている。好ましくは、当該複数のスイッチング素子のスイッチング動作を実行することによって、当該複数のスイッチング素子が、交互に当該キャパシタンスを当該第1端子と当該第2端子とに接続し、当該キャパシタンスをバイパスできるように、当該キャパシタンスの電圧が、交互に当該第1端子と当該第2端子とに供給され、当該第1端子と当該第2端子とに供給されないように、当該複数のスイッチング素子は適合されている。
【0014】
隣同士のセルから成るそれぞれのセル対ごとに、当該隣同士のセルから成るセル対の1つの第1セルの当該第1端子が、当該隣同士のセルから成るセル対の1つの第2セルの当該第2端子に接続されているように、当該複数のセルのうちの複数のセルが直列に接続されている。当該複数のセルの直列接続に起因して、当該複数のスイッチング素子の調整されたスイッチング動作が、当該複数のセルの複数のキャパシタンスを当該複数のセルの第1端子と第2端子とに選択的に接続することを可能にする。当該接続は、コンバータのそれぞれのアームごとに、すなわちコンバータのそれぞれのAC(交流)端子で最小限の高調波歪を含む正弦波の波形に極めて近いステップ状の波形を供給することを可能にする。
【0015】
それぞれのセルは、1つのバイパス部をさらに有する。それぞれのセルの当該バイパス部は、当該セルの第1端子と第2端子とに接続されていて、短絡回路構成では当該セルの複数のスイッチング素子のうちの少なくとも1つのスイッチング素子をバイパスし、開放回路構成では当該少なくとも1つのスイッチング素子をバイパスしないように適合されている。ハーフブリッジ回路構成及びフルブリッジ回路構成のようなセルの構成に依存して、当該バイパス部は、1つのスイッチング素子又は複数のスイッチング素子をバイパスするように適合され得る。1つのセルが1つのハーフブリッジ回路構成を有するセル集合体の1つの実施の形態では、1つのバイパス部は、1つのスイッチング素子をバイパスするように適合され得る。さらに、1つのセルが1つのフルブリッジ回路構成を有するセル集合体の1つの実施の形態では、当該バイパス部は、2つのスイッチング素子をバイパスするように適合され得る。したがって、当該バイパス部は、少なくとも1つのスイッチング素子を選択的にバイパスするように適合され得て、したがって1つのセルの故障時にそのセルをバイパスする。なお、少なくとも1つのスイッチング素子をバイパスすることに関してこの段落で使用される用語では、バイパス部は、第1端子と第2端子とに接続されている。したがって、バイパス部が短絡回路構成である場合は、当該バイパス部は、実質的に短絡回路のように第1端子と第2端子とを互いに直接に接続する。1つのスイッチング素子が、第1端子と第2端子とに接続されている場合、バイパス部は、このスイッチング素子に適合されているとみなされる。2つのスイッチング素子が、例えば互いに直列接続で第1端子と第2端子とに接続されている場合、当該バイパス部は、当該2つのスイッチング素子をバイパスするように適合されているとみなされる。したがって、当該バイパス部は、当該バイパス部が短絡回路構成である場合にセルをバイパスするための手段を提供する。本発明においてバイパス部がセルをバイパスすると言う場合は、バイパス部は短絡回路構成であることを主に意味する。すなわち、第1端子と第2端子との間の直接の接続は、実質的に短絡回路のようなバイパス部によって提供される。
【0016】
それぞれのセルは、1つのセル制御部をさらに有する。複数のスイッチング素子が、キャパシタンスを第1端子と第2端子とに接続するか、又は、複数のスイッチング素子が、キャパシタンスをバイパスするように、それぞれのセルのセル制御部は、制御信号を当該セルの複数のスイッチング素子に供給する。複数のスイッチング素子が、キャパシタンスを第1端子と第2端子とに接続するか、又は、複数のスイッチング素子が、キャパシタンスをバイパスするように、それぞれのセルのセル制御部が、制御信号を当該セルの複数のスイッチング素子に供給するように適合されているので、当該キャパシタンスの電圧が、第1端子と第2端子とに選択的に供給され得て、制御モードでは第1端子と第2端子とに供給され得ないように、当該セル制御部は、当該セルの複数のスイッチング素子での調整されたスイッチング動作を可能にする。
【0017】
それぞれのセルのセル制御部は、制御信号を隣同士のセルのうちの少なくとも1つのセルのバイパス部に供給するように適合されている。それぞれのセルのセル制御部が、制御信号を隣同士のセルのうちの少なくとも1つのセルのバイパス部に供給するように適合されているので、当該それぞれのセルのセル制御部は、隣同士のセルのうちの少なくとも1つのセルのバイパス部を制御できる。好ましくは、それぞれのセルのセル制御部は、制御信号を隣同士のセルのうちの少なくとも1つのセルのバイパス部に供給するように適合されている。さらに、それぞれのセルのセル制御部が、制御信号を隣同士のセルの2つのセルに供給するように適合されていることが特に好ましい。それぞれのバイパス部が、その構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、それぞれのセルのセル制御部は、制御信号を隣同士のセルのうちの少なくとも1つのセルのセル制御部に供給するように適合されている。それぞれのバイパス部が、その構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、それぞれのセルのセル制御部が、制御信号を隣同士のセルのうちの少なくとも1つのセルのセル制御部に供給するように適合されているので、それぞれのセルのセル制御部が、隣同士のセルのうちの少なくとも1つのセルのバイパス部を制御できる。例えば、セル制御部が故障しているか、又は、セル制御部とそのセルのバイパス部との間の通信若しくはコンバータの主制御装置とセル制御部との間の通信が損なわれているか又はもはや不可能であるように、そのセルの故障が深刻である場合は、制御信号が、当該故障したセルに隣接している1つのセルのセル制御部によって当該故障したセルのバイパス部に供給され得る。したがって、故障したセル、特に故障したセルのバイパス部の可用性、すなわちコンバータの信頼できる機能がさらに改善される。このことは、1つのセルがコンバータの始動中に故障したときに特に有益である。
【0018】
好ましくは、バイパス部は、少なくとも1つのサイリスタを有してもよい。バイパス部が、少なくとも1つのサイリスタから成る場合、それぞれのセルのセル制御部が、制御信号を隣同士のセルの2つのセルに供給するように適合されていることが特に好ましい。それぞれのバイパス部が、その構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、それぞれのセルのセル制御部の少なくとも1つのサイリスタは、制御信号を隣同士のセルのうちの少なくとも1つのセルのセル制御部に供給するように適合され得る。特に、それぞれのセルのセル制御部が、制御信号をバイパス部の少なくとも1つのサイリスタに供給するように適合されていると、当該少なくとも1つのサイリスタの構成が、当該セル制御部から当該少なくとも1つのサイリスタによって受信された制御信号に基づいて、当該少なくとも1つのサイリスタの短絡回路構成から当該少なくとも1つのサイリスタの開放回路構成に変更され得て、当該少なくとも1つのサイリスタの開放回路構成から当該少なくとも1つのサイリスタの短絡回路構成に変更され得る。
【0019】
特に、1つのセルのバイパス部が、隣接している1つのセルの1つのセル制御部によって制御され得るので、コンバータの信頼性が向上される。さらに、1つのセルが故障しているか又は1つのセルとの通信が不可能であるときに、コンバータの始動中に発生する問題が著しく低減される。これも、コンバータの信頼性を向上させる。さらに、1つのセルのバイパス部が、隣接している1つのセルの1つのセル制御部によって制御され得るので、当該バイパス部の構成が、コンバータの始動中に当該隣接しているセルの当該セル制御部によって変更され得る。これは、コンバータの始動中の複数のセルのテストも可能にする。始動中の当該複数のセルのテストは、当該故障したセルがコンバータの動作中に無効にされ得るように、故障したセルを認識し無効にすることを可能にし、例えば、故障したセルを始動中にバイパスすることを可能にする。
【0020】
要約すると、コンバータの信頼できる機能がさらに改善される。
【0021】
好ましくは、バイパス部が、その構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、それぞれのセルのセル制御部は、制御信号を当該セルの当該バイパス部に供給するように適合されている。バイパス部が、その構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、それぞれのセルのセル制御部が、制御信号を当該セルのバイパス部に供給するように適合されていると、当該セルの当該バイパス部の構成が、同じセルのセル制御部によって変更され得る。
【0022】
セル集合体の好適な実施の形態によれば、それぞれのセルが、1つの電力供給部をさらに有する。この場合、それぞれのセルの当該電力供給部は、電力を隣同士のセルのうちの少なくとも1つのセルのバイパス部に供給するように適合されている。それぞれのセルの当該電力供給部が、電力を隣同士のセルのうちの少なくとも1つのセルのバイパス部に供給するように適合されているので、1つのセルの故障時に、隣同士のセルのうちの少なくとも1つのセルの電力供給ができなかったとしても、隣同士のセルのうちの少なくとも1つのセルのバイパス部の電力供給が確保される。好ましくは、それぞれの電力供給部は、電力をセルのバイパス部に供給するように適合されている。さらに、それぞれの電力供給部が、電力をセルの制御部に供給するように適合されていることが好ましい。特に、それぞれの電力供給部は、電力をセルのキャパシタンスに供給するように適合されている。
【0023】
セル集合体の好適な実施の形態によれば、それぞれのセルのバイパス部は、1つのメモリ部を有する。好ましくは、例えば、当該セルのセル制御部から、又は隣接している1つのセルの1つのセル制御部から、又はコンバータの主制御装置から当該メモリ部にアクセスすることによって、当該バイパス部の構成が推測され得るように、当該メモリ部は、バイパス部の構成に関する情報、例えばバイパス部の状態情報を記憶するように適合されている。好ましくは、電力が、一定の期間にセルの電力供給部によって当該セルのバイパス部に供給されなかった後でも、当該メモリ部は、当該バイパス部の構成に関する情報を供給するように適合されている。したがって、当該メモリ部は、電力がセルの電力供給部によって当該セルのバイパス部に供給されなかった期間より前の当該バイパス部の構成を推測することを可能にする。しかも、この期間後に、当該バイパス部は、当該期間より前の当該バイパス部の構成に復帰され得るか、又は当該構成に維持され得る。セル集合体の特に好適な実施の形態では、当該期間中と当該期間後とに、バイパス部が、当該期間より前からのその構成を維持するように、それぞれのセルの当該バイパス部のメモリ部が、当該期間より前からのその構成を記憶してもよい。これは、以下でさらに説明するように、例えば、当該メモリ部が、ラッチングリレーを有する場合に達成され得る。
【0024】
セル集合体の好適な実施の形態によれば、バイパス部の構成を示す当該バイパス部の状態情報が、当該セルのセル制御部によって当該メモリ部に書き込まれ得るように、それぞれのセルのメモリ部が、当該セルのセル制御部に接続されている。セルのバイパス部によってセル制御部から受信された制御信号が、当該セルのセル制御部によって当該メモリ部に書き込まれ得る状態情報を示してもよい。当該状態情報は、バイパス部の構成、特にバイパス部の現在の構成及び/又はバイパス部の望ましい構成を示してもよい。状態情報が、バイパス部の構成を示す場合、当該状態情報は、バイパス部の状態情報と呼ばれ得る。好ましくは、バイパス部の現在の構成は、当該バイパス部が現時点で存在する構成である。同様に、バイパス部の望ましい構成は、複数のスイッチング素子のうちの少なくとも1つのスイッチン素子がその状況に依存してバイパスされるか又はバイパスされないような、当該バイパス部が必要とする構成であることが望ましい。
【0025】
セル集合体の好適な実施の形態によれば、メモリ部は、データ記憶部から成る。好ましくは、当該データ記憶部は、デジタルデータ、特にバイパス部の状態情報を記憶するように適合されている。
【0026】
セル集合体の好適な実施の形態によれば、データ記憶部は、不揮発性のデータ記憶部である。セルのメモリ部が、周期的に電力供給されるごとに、バイパス部の状態情報が復旧されなければならないならば、不揮発性のデータ記憶部が特に望ましい。
【0027】
セル集合体の好適な実施の形態によれば、メモリ部は、1つのラッチングリレーを有する。電力が当該セルの電力供給部によって当該セルのバイパス部に供給されなかった期間中と当該期間後とに、バイパス部が、当該期間より前からのその構成を維持するように、それぞれのセルのバイパス部のメモリ部が、当該期間より前からの当該セルのバイパス部の構成を記憶できる場合に、ラッチングリレーは特に有益である。1つのサイリスタの構成が、短絡回路構成から開放回路構成に変更され得て、開放回路構成から短絡回路構成に変更され得るように、当該ラッチングリレーは、制御信号をセル制御部から受信するように複数の入力端子を有してもよく、開構成と閉構成とに適合されるように正常時は複数の触端子を開き、且つ当該セル制御部から受信された当該制御信号に依存して、当該開構成から当該閉構成に変更され、当該閉構成から当該開構成に変更される。
【0028】
セル集合体の好適な実施の形態によれば、それぞれのバイパス部が、その構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、それぞれのセルのセル制御部が、制御信号を隣同士のセルのうちの1つのセルのバイパス部に供給するように適合されている。それぞれのバイパス部が、その構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、それぞれのセルのセル制御部が、制御信号を隣同士のセルのうちの1つのセルのバイパス部に供給するように適合されているので、それぞれのセルのセル制御部が、当該セルの隣同士のセルのうちの1つのセルのバイパス部を制御できる。制御信号が、それぞれのセルのセル制御部から当該セルのバイパス部に供給され、さらに制御信号が、隣接している1つのセルのセル制御部から当該セルのバイパス部に供給されることが特に有益である。したがって、1つのセルのセル制御部が故障しているか、又は、当該セルのセル制御部とバイパス部との間の通信又はコンバータの主制御装置と当該セルのセル制御部との間の通信が損なわれているか又はもはや不可能である場合に、制御信号が、当該故障したセルに隣接している1つのセルのセル制御部によって当該故障したセルのバイパス部に供給され得る。それぞれのバイパス部が、その構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、それぞれのセルのセル制御部が、制御信号を隣同士のセルのうちの1つのセルのバイパス部に供給するように適合されている場合に、それぞれのセルの電力供給部が、電力を当該隣同士のセルのうちの1つのセルのバイパス部に供給するように適合されていることが有益である。
【0029】
セル集合体の好適な実施の形態によれば、それぞれのバイパス部が、その構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、それぞれのセルのセル制御部が、制御信号を隣同士のセルの2つのセルのバイパス部に供給するように適合されている。それぞれのバイパス部が、その構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、それぞれのセルのセル制御部が、制御信号を隣同士のセルの2つのセルのバイパス部に供給するように適合されているので、それぞれのセルのセル制御部が、当該セルの隣同士のセルの2つのセルのバイパス部を制御できる。制御信号が、それぞれのセルのセル制御部から当該セルのバイパス部に供給され、さらに制御信号が、隣接している2つのセルのセル制御部から当該セルのバイパス部に供給されることが特に有益である。したがって、1つのセルのセル制御部が故障しているか、又は、当該セルのセル制御部とバイパス部との間の通信又はコンバータの主制御装置と当該セルのセル制御部との間の通信が損なわれているか又はもはや不可能である場合に、制御信号が、当該故障したセルに隣接している2つのセルのセル制御部によって当該故障したセルのバイパス部に供給され得る。それぞれのバイパス部が、その構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、それぞれのセルのセル制御部が、制御信号を隣同士のセルのうちの1つのセルのバイパス部に供給するように適合されている場合に、それぞれのセルの電力供給部が、電力を当該隣同士のセルの2つのセルのバイパス部に供給するように適合されていることが有益である。
【0030】
セル集合体の好適な実施の形態によれば、それぞれのセルのバイパス部が、短絡回路構成では当該セルの複数のスイッチン素子のうちの1つのスイッチング素子をバイパスし、開放回路構成では当該1つのスイッチング素子をバイパスしないように適合されている。当該セルが、1つのハーフブリッジ回路構成を有する場合に、それぞれのセルのバイパス部が、短絡回路構成では当該セルの複数のスイッチン素子のうちの1つのスイッチング素子をバイパスし、開放回路構成では当該1つのスイッチング素子をバイパスしないように適合されていることが有益である。
【0031】
セル集合体の好適な実施の形態によれば、それぞれのセルのバイパス部が、短絡回路構成では当該セルの複数のスイッチン素子のうちの2つのスイッチング素子をバイパスし、開放回路構成では当該2つのスイッチング素子をバイパスしないように適合されている。当該セルが、1つのフルブリッジ回路構成を有する場合に、それぞれのセルのバイパス部が、短絡回路構成では当該セルの複数のスイッチン素子のうちの2つのスイッチング素子をバイパスし、開放回路構成では当該2つのスイッチング素子をバイパスしないように適合されていることが有益である。
【0032】
セル集合体の好適な実施の形態によれば、それぞれのセルの複数のスイッチング素子が、2つのスイッチング素子から成る。当該2つのスイッチング素子は、互いに当該セルの第1端子に接続されている第1接続点に接続されている。この場合、当該2つのスイッチング素子の第1スイッチン素子が、キャパシタンスの第1端子に接続されていて、当該2つのスイッチング素子の第2スイッチン素子が、当該セルの第2端子に接続されている第2接続点で当該キャパシタンスの第2端子に接続されている。それぞれのセルの複数のスイッチング素子が、互いに当該セルの第1端子に接続されている第1接続点に接続されている2つのスイッチング素子から成る場合、当該セルの1つのハーフブリッジ回路構成が提供され得る。この場合、当該2つのスイッチング素子の第1スイッチン素子が、キャパシタンスの第1端子に接続されていて、当該2つのスイッチング素子の第2スイッチン素子が、当該セルの第2端子に接続されている第2接続点で当該キャパシタンスの第2端子に接続されている。
【0033】
セル集合体の好適な実施の形態によれば、それぞれのセルの複数のスイッチング素子が、4つのスイッチン素子から成る。この場合、当該4つのスイッチン素子のうちの第1スイッチン素子と当該4つのスイッチン素子のうちの第2スイッチン素子とが、互いに当該セルの第1端子に接続されている第1接続点に接続されている。この場合、当該4つのスイッチン素子のうちの第3スイッチン素子と当該4つのスイッチン素子のうちの第4スイッチン素子とが、互いに当該セルの第2端子に接続されている第2接続点に接続されている。この場合、当該第1スイッチン素子と当該第3スイッチン素子とが、互いに当該セルのキャパシタンスの第1端子に接続されている第3接続点に接続されていて、当該第2スイッチン素子と当該第4スイッチン素子とが、互いに当該セルの当該キャパシタンスの第2端子に接続されている第4接続点に接続されている。それぞれのセルの複数のスイッチング素子が、4つのスイッチン素子から成る場合、1つのフルブリッジ回路構成が提供され得る。この場合、当該4つのスイッチン素子のうちの第1スイッチン素子と当該4つのスイッチン素子のうちの第2スイッチン素子とが、互いに当該セルの第1端子に接続されている第1接続点に接続されている。この場合、当該4つのスイッチン素子のうちの第3スイッチン素子と当該4つのスイッチン素子のうちの第4スイッチン素子とが、互いに当該セルの第2端子に接続されている第2接続点に接続されている。この場合、当該第1スイッチン素子と当該第3スイッチン素子とが、互いに当該セルのキャパシタンスの第1端子に接続されている第3接続点に接続されていて、当該第2スイッチン素子と当該第4スイッチン素子とが、互いに当該セルの当該キャパシタンスの第2端子に接続されている第4接続点に接続されている。
【0034】
セル集合体の好適な実施の形態によれば、それぞれのセルの少なくとも1つのスイッチン素子のそれぞれのスイッチン素子が、1つのトランジスタから成る。さらに、それぞれのセルの当該少なくとも1つのスイッチン素子のそれぞれのスイッチン素子は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)及び/又はサイリスタから成り得る。好ましくは、それぞれのセルの当該少なくとも1つのスイッチン素子のそれぞれのスイッチン素子は、シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)及び/又はヒ化ガリウム(GAN)から構成されている。
【0035】
本発明の第2の観点によれば、この課題は、請求項15に記載の特徴を有するコンバータによっても解決される。当該コンバータは、複数のアームから成る。それぞれのアームは、本発明の第1の観点によるセル集合体を有する。
【0036】
コンバータは、複数のアームから成る。好ましくは、コンバータは、3つのアームから成る。しかしながら、コンバータが、6つのアームから成ることも有益である。いずれにしても、コンバータのアームの数が、コンバータの用途に依存して選択され得る。さらに、コンバータは、当該コンバータの相ごとに1つのアームを有し得る。代わりに、コンバータは、当該コンバータの相ごとに2つ以上のアームを有してもよい。好ましくは、所定数のアーム、すなわち1つのアーム又は2つ以上のアームが、当該コンバータの用途に依存して相ごとに選択され得る。複数のアームのそれぞれのアームは、本発明の第1の観点によるセル集合体を有する。
【0037】
好ましくは、本発明の第2の観点によるコンバータは、マルチレベルコンバータであり、好ましくはモジュラー・マルチレベルコンバータ(MMC)である。コンバータは、三相モジュラー・マルチレベルコンバータであることが特に好ましい。好ましくは、本発明の第2の観点によるコンバータは、電力を高圧交流電力から高圧直流電力に変換するように適合されている。さらに、本発明の第2の観点によるコンバータは、電力を高圧直流電力から高圧交流電力に変換するように適合されていることが有益である。さらに、本発明の第2の観点によるコンバータは、電力を高圧交流電力から高圧直流電力に変換し、高圧直流電力から高圧交流電力に変換するように適合され得る。コンバータが、電力を高圧直流電力から高圧交流電力に変換し、又は高圧交流電力から高圧直流電力に変換し、又は高圧交流電力から高圧直流電力に変換し、高圧直流電力から高圧交流電力に変換するように適合されている場合は、当該コンバータは、高圧直流送電(HVDC)コンバータと呼ばれ得る。特に、それぞれのセルの少なくとも1つのスイッチング素子のそれぞれのスイッチング素子が1つのトランジスタを有する実施の形態では、本発明の第2の観点によるコンバータは、電圧源コンバータ(VSC)と呼ばれ得る。本発明の第2の観点によるコンバータは、中電圧(MV)駆動用の用途に適合されていることが有益である。本発明の第2の観点によるコンバータの特に好適な実施の形態では、当該コンバータは、静止型無効電力補償装置(STATCOM)のコンバータを構成する。コンバータが、静止型無効電力補償装置のコンバータを構成する場合に、当該静止型無効電力補償装置が、総合電力潮流制御装置(UPFC)の一部を構成することが特に有益である。好適な実施の形態では、単相モジュラー・マルチレベルコンバータである。さらに好適な実施の形態では、コンバータは、マトリックスコンバータである。
【0038】
本発明の第1の観点に関して記載されている特徴、技術的効果及び/又は利点は、少なくとも同様に本発明の第2の観点に対しても成立するので、ここでは対応する記載を繰り返して記載しない。複数の方法ステップが、特定の順序で記載されていても、本発明は、この順序に限定されない。むしろ、当該個々の方法ステップは、任意の有効な順序で実行され得る。
【0039】
以下に、本発明のさらなる特徴、利点及び用途の可能性を代表的な実施の形態及び/又は図面に基づいて説明する。したがって、記載されている及び/又は図示されている個々の全ての特徴及び/又は任意に組み合わせたあらゆる特徴が、個々の請求項の組み合わせ又はこれらの請求項に関係なく、本発明の有益な対象及び/又は特徴を構成し得る。さらに、図面では、同じ符号は、同じ対象又は類似の対象を示し得る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】複数のアームから成るコンバータの第1の実施の形態の一部を概略的に示す。
【
図2】一部が
図1に示されている当該コンバータの複数のアームのうちの1つのアームの1つのセル集合体の1つのセルの第1の実施の形態を概略的に示す。
【
図3】一部が
図1に示されている当該コンバータの複数のアームのうちの1つのアームの1つのセル集合体の1つのセルの第2の実施の形態を概略的に示す。
【
図4】一部が
図1に示されている当該コンバータの複数のアームのうちの1つのアームの1つのセル集合体の1つのセルの第3の実施の形態を概略的に示す。
【
図5】複数のアームから成るコンバータの第2の実施の形態の一部を概略的に示す。
【0041】
【
図6】複数のアームから成るコンバータの第3の実施の形態の一部を概略的に示す。
【
図7】一部が
図5に示されている当該コンバータの複数のアームのうちの1つのアームの1つのセル集合体の1つのセルの第4の実施の形態を概略的に示す。
【
図8】一部が
図5に示されている当該コンバータの複数のアームのうちの1つのアームの1つのセル集合体の1つのセルの第5の実施の形態を概略的に示す。
【
図9】一部が
図5に示されている当該コンバータの複数のアームのうちの1つのアームの1つのセル集合体の1つのセルの第6の実施の形態を概略的に示す。
【
図10】
図2~4及び
図7~9に示されたセルの第1~6の実施の形態のバイパス部の第1の実施の形態の一部を概略的に示す。
【
図11】
図2~4及び
図7~9に示されたセルの第1~6の実施の形態のバイパス部の第2の実施の形態の一部を概略的に示す。
【
図12】
図2~4及び
図7~9に示されたセルの第1~6の実施の形態のバイパス部の第3の実施の形態の一部を概略的に示す。
【
図13】
図2~4及び
図7~9に示されたセルの第1~6の実施の形態のバイパス部の第4の実施の形態の一部を概略的に示す。
【
図14】
図2~4及び
図7~9に示されたセルの第1~6の実施の形態のバイパス部の第5の実施の形態の一部を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、6つのアーム3から成るコンバータ1の第1の実施の形態の一部を示す。それぞれのアーム3は、1つのセル集合体5と1つのインダクタンス7とから成る。それぞれのセル集合体5は、複数のセル9から成る。それぞれのアーム3は、2つのDC(直流)端子11のうちの1つのDC端子11と、3つのAC(交流)端子13のうちの1つのAC端子13とに接続されている。これらのアーム3は、3つのアーム対を構成する。この場合、これらのアーム対のうちのそれぞれのアーム対が、第1アーム3と第2アーム3とから成る。この場合、第1アーム3と第2アーム3とは、同じAC端子13と異なるDC端子11とに接続されている。さらに、それぞれのアーム対が、1つの異なるAC端子13に接続されている。
【0043】
図2は、一部が
図1に示されているコンバータ1の複数のアーム3のうちの1つのアーム3の1つのセル集合体5の1つのセル9の第1の実施の形態を示す。セル9は、第1端子15と第2端子17とを有する。隣同士のセル9から成るそれぞれの対ごとに、当該隣同士のセル9から成る対の第1セル9の第1端子15が、当該隣同士のセル9から成る対の第2セル9の第2端子17に接続されているように、
図1に示されたそれぞれのセル集合体5の複数のセル9が直列に接続されている。
【0044】
さらに、セル9は、2つのスイッチング素子19と1つのキャパシタンス21とを有する。このキャパシタンスによって供給される電圧Vcが、セル出力電圧Voとして第1端子15と第2端子17とによって選択的に供給され得るように、これらのスイッチング素子19は、キャパシタンス21を第1端子15と第2端子17とに接続し、キャパシタンス21をバイパスさせるように適合される。
図2に示されたそれぞれのスイッチング素子19は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)23とダイオード25とから成る。2つのスイッチング素子19は、互いに第1接続点に接続されている。この第1接続点は、セル9の第1端子15に接続されている。2つのスイッチング素子19の第1スイッチング素子19は、キャパシタンス21の第1端子に接続されていて、2つのスイッチング素子19の第2スイッチング素子19は、第2接続点でキャパシタンス21の第2端子に接続されている。この第2接続点は、セル9の第2端子17に接続されている。
【0045】
セル9は、1つのバイパス部27をさらに有する。このバイパス部27は、第1端子15と第2端子17とに接続されている。さらに、バイパス部27は、短絡回路構成と開放回路構成とに適合され得る。バイパス部27は、これらの2つの構成間で往復切り換えするように適合されている。短絡回路構成では、バイパス部27は、
図2に示された2つのスイッチング素子19の下のスイッチング素子19をバイパスする。開放回路構成では、
図2に示された2つのスイッチング素子19の下のスイッチング素子19をバイパスしない。
【0046】
さらに、セル9は、セル制御部29を有する。これらのスイッチング素子19が、キャパシタンス21を第1端子15と第2端子17とに接続するか、又はこれらのスイッチング素子19がキャパシタンス21をバイパスするような制御信号を、セル9のセル制御部29が、当該セル9のこれらのスイッチング素子19に供給するように適合されている。さらに、セル9のバイパス部27が、このバイパス部27の構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するような制御信号を、当該セル9のバイパス部27に供給するように、当該セル9のセル制御部29は適合されている。さらに、隣同士のセル9のそれぞれのバイパス部27が、このバイパス部27の構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、当該セル9のセル制御部29が、制御信号を当該隣同士のセル9のうちの少なくとも1つのセル9のバイパス部27に供給するように適合されている。特に、隣同士のセル9のそれぞれのバイパス部27が、このバイパス部27の構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、当該セル9のセル制御部29が、制御信号を当該隣同士のセル9のうちの少なくとも1つのセル9のバイパス部27に供給するように適合され得る。さらに、隣同士のセル9のそれぞれのバイパス部27が、このバイパス部27の構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、当該セル9のセル制御部29が、制御信号を当該隣同士のセル9の2つのセル9のバイパス部27に供給するように適合され得る。
【0047】
セル9は、1つの電力供給部31をさらに有する。この電力供給部31は、電力を当該セル9のバイパス部27と当該セル9の制御部29と当該セル9のキャパシタンス21とに供給するように適合されている。さらに、電力供給部31は、電力を隣同士のセル9のうちの少なくとも1つのセル9のバイパス部27に供給するように適合されている。
【0048】
図3は、一部が
図1に示されているコンバータ1の複数のアーム3のうちの1つのアーム3の1つのセル集合体5の1つのセル9の第2の実施の形態を示す。
図3に示されたセル9の第2の実施の形態は、
図2に示されたセル9の第1の実施の形態に本質的に等しい。しかしながら、セル9の第2の実施の形態のバイパス部27は、2つのサイリスタ33から成る。両サイリスタ33は、第1端子15と第2端子17とに接続されている。当該2つのサイリスタ33の第1サイリスタ33の陽極が、第1端子15に接続されていて、その陰極が第2端子17に接続されている。当該2つのサイリスタ33の第2サイリスタ33の陰極が、第1端子15に接続されていて、その陽極が、第2端子17に接続されている。
【0049】
2つのサイリスタ33のそれぞれのサイリスタ33が、
図3に示された2つのスイッチング素子19の下のスイッチング素子19を短絡回路構成でバイパスし、その下のスイッチング素子19を開放回路構成でバイパスしないように適合されている。当該2つのサイリスタ33のそれぞれのサイリスタ33は、これらの2つの構成間で往復切り換えするように適合されている。2つのサイリスタ33に起因して、バイパス部27は、第1短絡回路構成にあるように、第2短絡回路構成にあるように、及び開放回路構成にあるように適合されている。バイパス部27の第1短絡回路構成では、
図3の左のサイリスタ33は、短絡回路構成の状態にあり、下のスイッチング素子19をバイパスし、
図3の右のサイリスタ33は、開放回路構成の状態にあり、下のスイッチング素子19をバイパスしない。さらに、バイパス部27の第2短絡回路構成では、
図3の右のサイリスタ33は、短絡回路構成の状態にあり、下のスイッチング素子19をバイパスし、
図3の左のサイリスタ33は、開放回路構成の状態にあり、下のスイッチング素子19をバイパスしない。さらに、バイパス部27の開放回路構成では、
図3の左のサイリスタ33と右のサイリスタ33との双方が、開放回路構成の状態にあり、当該両サイリスタ33は、下のスイッチング素子19をバイパスバイパスしない。当該2つのサイリスタ33に起因して、バイパス部27は、下のスイッチング素子19を双方向に選択的にバイパスでき、すなわち第1端子15から第2端子17にバイパスでき、且つ第2端子17から第1端子15にバイパスできる。
【0050】
さらに、2つのサイリスタ33のそれぞれのサイリスタ33の構成が、短絡回路構成から開放回路構成に変更され得て、開放回路構成から短絡回路構成に変更され得るように、セル制御部29が、2つのサイリスタ33のゲートに接続されていて、制御信号を当該2つのサイリスタ33に供給するように適合されている。このため、バイパス部27の構成は、第1短絡回路構成から第2短絡回路構成に変更され得て、第2短絡回路構成から第1短絡回路構成に変更され得て、第1短絡回路構成から開放回路構成に変更され得て、開放回路構成から第1短絡回路構成に変更され得て、第2短絡回路構成から開放回路構成に変更され得て、開放回路構成から第2短絡回路構成に変更され得る。したがって、バイパス部27が下のスイッチング素子19をバイパスする方向が制御され得る。
【0051】
図4は、一部が
図1に示されているコンバータ1の複数のアーム3のうちの1つのアーム3の1つのセル集合体5の1つのセル9の第3の実施の形態を示す。
図4に示されたセル9の第3の実施の形態は、
図2に示されたセル9の第1の実施の形態に本質的に等しい。しかしながら、セル9は、第1端子15と、第2端子17と、キャパシタンス21の第1端子に接続されている第3端子35とを有する。第1端子15と第2端子17とは、その他の実施の形態に関連して上記のように適合されている。例えば、当該キャパシタンスによって供給される電圧Vcが、セル出力電圧Voとして第1端子15と第2端子17とによって供給され得る。さらに、セル9の第3の実施の形態のバイパス部27は、3つのサイリスタ33から構成される。当該3つのサイリスタ33の第1サイリスタ33は、セル9の第1端子15とセル9の第2端子17とに接続されていて、当該3つのサイリスタ33の第2サイリスタ33は、セル9の第1端子15とセル9の第3端子35とに接続されていて、当該3つのサイリスタ33の第3サイリスタ33は、セル9の第2端子17とセル9の第3端子35とに接続されている。第1サイリスタ33の陽極が、第2端子17接続されていて、その陰極が、第1端子15に接続されている。当該3つのサイリスタ33の第2サイリスタ33の陽極が、第1端子15に接続されていて、その陰極が、第3端子35に接続されている。当該3つのサイリスタ33の第3サイリスタ33の陽極が、第3端子35に接続されていて、その陰極が、第2端子17に接続されている。
【0052】
さらに、第1サイリスタ33と、第2及び第3サイリスタ33とが、
図4に示された2つのスイッチング素子19の下のスイッチング素子19を短絡回路構成でバイパスし、下のスイッチング素子19を開放回路構成でバイパスしないように適合されている。これらのサイリスタ33は、これらの構成間で往復切り換えするように適合されている。当該3つのサイリスタ33に起因して、バイパス部27は、第1短絡回路構成にあるように、第2短絡回路構成にあるように、及び開放回路構成にあるように適合されている。バイパス部27の第1短絡回路構成では、
図4の第1サイリスタ33は、短絡回路構成の状態にあり、下のスイッチング素子19をバイパスし、
図4の第2及び第3サイリスタ33は、開放回路構成の状態にあり、下のスイッチング素子19をバイパスしない。さらに、バイパス部27の第2短絡回路構成では、
図4の第2及び第3サイリスタ33は、短絡回路構成の状態にあり、下のスイッチング素子19をバイパスし、
図4の第1サイリスタ33は、開放回路構成の状態にあり、下のスイッチング素子19をバイパスしない。さらに、バイパス部27の開放回路構成では、
図4の第1サイリスタ33並びに第2及び第3サイリスタ33は、開放回路構成の状態にあり、下のスイッチング素子19をバイパスしない。当該3つのサイリスタ33に起因して、バイパス部27は、下のスイッチング素子19を双方向に選択的にバイパスでき、すなわち第1端子15から第2端子17にバイパスでき、第2端子17から第1端子15にバイパスできる。
【0053】
さらに、当該3つのサイリスタ33のそれぞれのサイリスタ33の構成が、短絡回路構成から開放回路構成に変更され得て、開放回路構成から短絡回路構成に変更され得るように、セル制御部29が、当該3つのサイリスタ33のゲートに接続されていて、制御信号を当該3つのサイリスタ33に供給するように適合されている。このため、バイパス部27の当該構成は、第1短絡回路構成から第2短絡回路構成に変更され得て、第2短絡回路構成から第1短絡回路構成に変更され得て、第1短絡回路構成から開放回路構成に変更され得て、開放回路構成から第1短絡回路構成に変更され得て、第2短絡回路構成から開放回路構成に変更され得て、開放回路構成から第2短絡回路構成に変更され得る。したがって、バイパス部27が下のスイッチング素子19をバイパスする方向が制御され得る。
【0054】
図5は、3つのアーム3から成るコンバータ1の第2の実施の形態の一部を示す。それぞれのアーム3は、1つのセル集合体5と1つのインダクタンス7とから成る。それぞれのセル集合体5は、複数のセル9から成る。それぞれのアーム3は、3つのAC端子13のうちの2つのAC端子13に接続されている。これらのアーム3は、3つのアーム対を構成する。この場合、これらのアーム対のそれぞれのアーム対が、1つの第1アーム3と1つの第2アーム3とから成る。この場合、第1アーム3と第2アーム3とは、同じAC端子13に接続されている。さらに、それぞれのアーム対は、異なる同じAC端子13に接続されている。
【0055】
図6は、コンバータ1の第3の実施の形態の一部を示す。このコンバータは、3つのサブコンバータ2から成る。それぞれのサブコンバータは、3つのアーム3から成る。したがって、このコンバータ1は、9つのアーム3から成るものとみなされ得る。それぞれのアーム3は、1つのセル集合体5と1つのインダクタンス7とから成る。それぞれのセル集合体5は、複数のセル9から成る。それぞれのアーム3は、1つのインダクタンス7を介して3つの第1AC端子13のうちの1つの第1AC端子13に接続されていて、1つのインダクタンス7を介して3つの第2AC端子13のうちの1つの第2AC端子13接続されている。これらのアーム3は、3組のアーム群を構成する。この場合、それぞれの組のアーム群は、3つのアーム3から成り、当該3つのサブコンバータ1のうちの1つのサブコンバータ2の一部を構成するものとみなされ得る。それぞれの組のアーム群の複数のアーム3が、同じAC端子13に接続されていて、且つ異なる第2AC端子13に接続されている。
【0056】
第1アーム3の第1セル集合体5の第1セル9と第2アーム3の第2セル集合体5の第2セル9とから成る一対のセル9の2つのセル9が、同じセル集合体5内で互いに直列に接続されていないが、隣同士のセル9から成るセル対のこれらのセル9が、本発明にしたがって互いに接続されているか、及び/又は互いに作用するのと同様に、第1セル9と第2セル9とが、互いに接続され得るか、及び/又は互いに作用し得る。例えば、それぞれのバイパス部27が、その構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、第1セル9のセル制御部29が、制御信号を第2セル9のバイパス部27に供給するように適合され得る。上記の実施の形態は、同じセル集合体5に属しない複数のセル9から成るセル9のそれぞれのセル対に対して適合され得て、同じセル集合体5に属するが、隣同士のセル9ではない複数のセル9から成るセル9のそれぞれのセル対に対しても適合され得る。さらに、上記の実施の形態は、それぞれの特徴及び特徴の組み合わせに適用され得て、個別に適用され得て、組み合わせて適用され得て、隣同士の2つのセルに関して適用され得て、特に本発明のそれぞれの実施の形態に適用され得る。
【0057】
図7は、一部が
図5に示されているコンバータ1の複数のアーム3のうちの1つのアーム3の1つのセル集合体5の1つのセル9の第4の実施の形態を示す。
図7に示されたセル9の第4の実施の形態も、一部が
図6に示されているコンバータ1の複数のアーム3のうちの1つのアーム3の1つのセル集合体5の1つのセル9を構成できる。このセル9は、第1端子15と第2端子17とを有する。隣同士のセル9から成るそれぞれのセル対ごとに、隣同士のセル9から成るセル対の第1セル9の第1端子15が、隣同士のセル9から成るセル対の第2セル9の第2端子17に接続されているように、
図5と
図6とに示されたそれぞれのセル集合体5の複数のセル9が直列に接続されている。
【0058】
このセル9は、4つのスイッチング素子19と1つのキャパシタンス21とを有する。このキャパシタンスによって供給される電圧Vcが、セル出力電圧Voとして第1端子15と第2端子17とによって選択的に供給され得るように、これらのスイッチング素子19は、キャパシタンス21を第1端子15と第2端子17とに接続し、キャパシタンス21をバイパスするように適合されている。
図2に示されたセル9の第1の実施の形態と比較すると、このキャパシタンスによって供給される電圧が、セル出力電圧Voとして、特に交番する極性を有する第1端子15及び第2端子17によって選択的に供給され得るように、4つのスイッチング素子19は、キャパシタンス21を第1端子15と第2端子17とに接続するように適合されている。例えば、Voは、Vcと-Vcとに交互に等しくなり得る。
【0059】
図7に示されたそれぞれのスイッチング素子19は、1つのIGBT23と1つのダイオード25とから成る。4つのスイッチング素子19のうちの第1スイッチング素子19と、4つのスイッチング素子19のうちの第2スイッチング素子19とが、第1接続点で互いに接続されている。この第1接続点は、セル9の第1端子15に接続されている。第1スイッチング素子19は、キャパシタンス21の第1端子に接続されていて、第2スイッチング素子19は、キャパシタンス21の第2端子に接続されている。4つのスイッチング素子19のうちの第3スイッチング素子19と、4つのスイッチング素子19のうちの第4スイッチング素子19とが、第2接続点で互いに接続されている。第2接続点は、セル9の第2端子17に接続されている。第3スイッチング素子19は、キャパシタンス21の第1端子に接続されていて、第4スイッチング素子19は、キャパシタンス21の第2端子に接続されている。第1スイッチング素子19と第3スイッチング素子19とが、互いに第3接続点に接続されている。第2スイッチング素子19と第4スイッチング素子19とが、互いにキャパシタンス21の第2端子に接続されている第4接続点に接続されている。
【0060】
このセル9は、バイパス部27をさらに有する。このバイパス部27は、第1端子15と第2端子17とに接続されている。さらに、バイパス部27は、短絡回路構成の状態と開放回路構成の状態とにあるように適合されている。バイパス部27は、これらの2つの構成間で往復切り換えするように適合されている。短絡回路構成では、バイパス部27は、
図7に示された第1スイッチング素子19と第3スイッチング素子19とをバイパスし、同様に第2スイッチング素子19と第4スイッチング素子19とをバイパスする。解放回路構成では、バイパス部27は、第1スイッチング素子19、第2スイッチング素子19、第3スイッチング素子19及び第4スイッチング素子19をバイパスしない。
【0061】
さらに、このセル9は、1つのセル制御部29をさらに有する。これらのスイッチング素子19が、キャパシタンス21を第1端子15と第2端子17とに接続するか、又は、これらのスイッチング素子19が、キャパシタンス21をバイパスするように、セル9のセル制御部29は、信号をセル9のこれらのスイッチング素子19に供給するように適合されている。さらに、セル9のバイパス部27が、その構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、セル9のセル制御部29は、制御信号をセル9のバイパス部27に供給するように適合されている。さらに、それぞれのバイパス部27が、その構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、セル9のセル制御部29は、制御信号を隣同士のセル9の少なくとも1つのセル9のバイパス部27に供給するように適合されている。特に、それぞれのバイパス部27が、その構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、セル9のセル制御部29は、制御信号を隣同士のセル9の少なくとも1つのセル9のバイパス部27に供給するように適合され得る。さらに、代わりに、それぞれのバイパス部27が、その構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、セル9のセル制御部29は、制御信号を隣同士のセル9の2つのセル9のバイパス部27に供給するように適合され得る。
【0062】
このセル9は、1つの電力供給部31をさらに有する。電力供給部31は、電力をセル9のバイパス部27と、セル9の制御部29とセル9のキャパシタンス21とに供給するように適合されている。さらに、電力供給部31は、電力を隣同士のセル9の少なくとも1つのセル9に供給するように適合されている。
【0063】
図8は、一部が
図5に示されているコンバータ1の複数のアーム3のうちの1つのアーム3の1つのセル集合体5の1つのセル9の第5の実施の形態を示す。
図8に示されたセル9の第5の実施の形態も、一部が
図6に示されているコンバータ1の複数のアーム3のうちの1つのアーム3の1つのセル集合体5の1つのセル9を構成できる。
図8に示されたセル9の第5の実施の形態は、
図7に示されたセル9の第4の実施の形態に本質的に等しい。しかしながら、セル9の第5の実施の形態のバイパス部27は、2つのサイリスタ33から成る。両サイリスタ33は、第1端子15と第2端子17とに接続されている。当該2つのサイリスタ33の第1サイリスタ33の陽極が、第1端子15に接続されていて、その陰極が第2端子17に接続されている。当該2つのサイリスタ33の第2サイリスタ33の陰極が、第1端子15に接続されていて、その陽極が、第2端子17に接続されている。
【0064】
それぞれのサイリスタ33は、1つのサイリスタ33が第1スイッチング素子19と第3スイッチング素子19とをバイパスし、同様に第2スイッチング素子19と第4スイッチング素子19とをバイパスする短絡回路構成の状態にあるように適合されている。さらに、それぞれのサイリスタ33は、1つのサイリスタ33が第1スイッチング素子19、第2スイッチング素子19、第3スイッチング素子19及び第4スイッチング素子19をバイパスしない開放回路構成の状態にあるように適合されている。それぞれのサイリスタ33は、短絡回路構成と開放回路構成との間で往復切り換えするように適合されている。
【0065】
2つのサイリスタ33に起因して、バイパス部27は、第1短絡回路構成の状態と、第2短絡回路構成の状態と、開放回路構成の状態とにあるように構成されている。バイパス部27の第1短絡回路構成では、
図8の第1サイリスタ33が、短絡回路構成の状態にあり、第1スイッチング素子19、第2スイッチング素子19、第3スイッチング素子19及び第4スイッチング素子19をバイパスし、
図8の第2サイリスタ33が、開放回路構成の状態にあり、第1スイッチング素子19、第2スイッチング素子19、第3スイッチング素子19及び第4スイッチング素子19をバイパスしない。さらに、バイパス部27の第2短絡回路構成では、
図8の第2サイリスタ33が、短絡回路構成の状態にあり、第1スイッチング素子19、第2スイッチング素子19、第3スイッチング素子19及び第4スイッチング素子19をバイパスし、
図8の第1サイリスタ33が、開放回路構成の状態にあり、第1スイッチング素子19、第2スイッチング素子19、第3スイッチング素子19及び第4スイッチング素子19をバイパスしない。さらに、バイパス部27の開放回路構成では、
図8の第1サイリスタ33と第2サイリスタとの双方が、開放回路構成の状態にあり、両サイリスタ33は、第1スイッチング素子19、第2スイッチング素子19、第3スイッチング素子19及び第4スイッチング素子19をバイパスしない。2つのサイリスタ33に起因して、バイパス部27は、第1スイッチング素子19、第2スイッチング素子19、第3スイッチング素子19及び第4スイッチング素子19を2つの方向に選択的にバイパスできる、すなわち第1端子15から第2端子17にバイパスでき、第2端子17から第1端子15にバイパスできる。
【0066】
さらに、
図8に関連して、2つのサイリスタ33のそれぞれのサイリスタ33の構成が、短絡回路構成から開放回路構成に変更され得て、開放回路構成から短絡回路構成に変更され得るように、セル制御部29は、当該2つのサイリスタ33のゲートに接続されていて、制御信号を当該2つのサイリスタ33に供給するように適合されている。このため、バイパス部27の構成は、第1短絡回路構成から第2短絡回路構成に変更され得て、第2短絡回路構成から第1短絡回路構成に変更され得て、第1短絡回路構成から開放回路構成に変更され得て、開放回路構成から第1短絡回路構成に変更され得て、第2短絡回路構成から開放回路構成に変更され得て、開放回路構成から第2短絡回路構成に変更され得る。したがって、バイパス部27が第1スイッチング素子19、第2スイッチング素子19、第3スイッチング素子19及び第4スイッチング素子19をバイパスする方向が制御され得る。
【0067】
図9は、一部が
図5に示されているコンバータ1の複数のアーム3のうちの1つのアーム3の1つのセル集合体5の1つのセル9の第6の実施の形態を概略的に示す。
図9に示されたセル9の第5の実施の形態も、一部が
図6に示されているコンバータ1の複数のアーム3のうちの1つのアーム3の1つのセル集合体5の1つのセル9を構成できる。
図9に示されたセル9の第6の実施の形態は、
図8に示されたセル9の第5の実施の形態に本質的に等しい。しかしながら、セル9の第6の実施の形態のバイパス部27は、1つのサイリスタ33と4つのダイオード25とから成る。4つのダイオード25のうちの第1ダイオード25と、4つのダイオード25のうちの第2ダイオード25とが、第1端子15に接続されていて、反対側でサイリスタ33に接続されている。4つのダイオード25のうちの第3ダイオード25と、4つのダイオード25のうちの第4ダイオード25とが、第2端子17に接続されていて、反対側でサイリスタ33に接続されている。第1ダイオード25の陽極が、第1端子15に接続されていて、その陰極が、サイリスタ33の陽極に接続されている。第2ダイオード25の陰極が、第1端子15に接続されていて、その陽極が、サイリスタ33の陰極に接続されている。第3ダイオード25の陰極が、第2端子17に接続されていて、その陽極が、サイリスタ33の陰極に接続されている。第4ダイオード25の陽極が、第2端子17に接続されていて、その陰極が、サイリスタ33の陽極に接続されている。
【0068】
サイリスタ33は、短絡回路構成の状態と開放回路構成の状態とにあるように適合されていて、短絡回路構成と開放回路構成との間で往復切り換えするように適合されている。サイリスタ33が、短絡回路構成の状態にあると、バイパス部27も、短絡回路構成の状態にあり、第1スイッチング素子19、第2スイッチング素子19、第3スイッチング素子19及び第4スイッチング素子19をバイパスする。特に、4つのダイオード25と1つのサイリスタ33との配置に起因して、バイパス部27が、短絡回路構成の状態にあると、バイパス部27は、第1スイッチング素子19、第2スイッチング素子19、第3スイッチング素子19及び第4スイッチング素子19を2つの方向にバイパスできる、すなわち第1端子15から第2端子17にバイパスでき、第2端子17から第1端子15にバイパスできる。好ましくは、当該バイパスの方向は、第1端子15と第2端子17とに印加される電圧に依存する。サイリスタ33が、開放回路構成の状態にあると、バイパス部27も、開放回路構成の状態にあり、第1スイッチング素子19、第2スイッチング素子19、第3スイッチング素子19及び第4スイッチング素子19をバイパスしない。
【0069】
さらに、1つのサイリスタ33の構成が、短絡回路構成から開放回路構成に変更され得て、開放回路構成から短絡回路構成に変更され得るように、セル制御部29は、このサイリスタ33のゲートに接続されていて、制御信号をこのサイリスタ33に供給するように適合されている。これにより、バイパス部27の構成は、短絡回路構成から短絡回路構成に変更され得る。このため、バイパス部27の構成が、このサイリスタ33を制御するだけによって制御され得る。したがって、
図9に示されたバイパス部27は、制御に対して容易であり且つエネルギー効率の良いバイパス部27を提供する。さらに、
図9に示されたバイパス部27は、1つのサイリスタ33だけで済む。
【0070】
図10は、
図2~4及び
図7~9に示されたセル9の第1~6の実施の形態のバイパス部27の第1の実施の形態の一部を示す。
図10に示されたサイリスタ33は、
図3、4、8及び9に示された任意のサイリスタ33でよい。
図10に示されていないセル制御部29が、ラッチングリレー37を介してサイリスタ33のゲートに接続されている。このラッチングリレー37は、メモリ部又はメモリ部の一部を構成し得る。このラッチングリレー37は、制御信号をセル制御部29から受信するように適合されている入力端子39と、開いている構成の状態と閉じている構成の状態とに適合される正常時は開いている接触端子41とから成る。サイリスタ33の構成が、短絡回路構成から開放回路構成に変更され得て、開放回路構成から短絡回路構成に変更され得るように、このラッチングリレー37は、当該セル制御部29から受信される制御信号に依存して、開いている構成から閉じている構成に変更され、閉じている構成から開いている構成に変更される。
【0071】
図11は、
図2~4及び
図7~9に示されたセル9の第1~6の実施の形態のバイパス部27の第2の実施の形態の一部を示す。
図11に示されたサイリスタ33は、
図3、4、8及び9に示された任意のサイリスタ33でよい。ダイオード25は、サイリスタ33に接続されている。この場合、ダイオード25の陽極は、サイリスタ33の陽極に接続されていて、ダイオード25の陰極は、サイリスタ33のゲートに接続されている。この構成に起因して、バイパス部27が、短絡回路構成にされる必要がある時に、例えば、複数のスイッチング素子19のうちの1つのスイッチング素子19のダイオード25のボンディングワイヤの不良時に、サイリスタ33は、ダイオードとして作動し得る。
【0072】
図12は、
図2~4及び
図7~9に示されたセル9の第1~6の実施の形態のバイパス部27の第3の実施の形態の一部を示す。
図12に示されたサイリスタ33は、
図3、4、8及び9に示された任意のサイリスタ33でよい。
図12に示されていないセル制御部29は、ラッチングリレー37を介してサイリスタ33のゲートに接続されている。このラッチングリレー37は、1つのメモリ部又はメモリ部の一部と、1つの抵抗器によって構成される1つの抵抗43と、Nチャネル金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(NチャネルMOSFET)45とを構成する。このラッチングリレー37は、制御信号をセル制御部29から受信するように適合されている入力端子39と、開いている構成の状態と閉じている構成の状態とに適合される正常時は開いている接触端子41とから成る。サイリスタ33の構成が、短絡回路構成から開放回路構成に変更され得て、開放回路構成から短絡回路構成に変更され得るように、このラッチングリレー37は、当該セル制御部29から受信される制御信号に依存して、開いている構成から閉じている構成に変更され、閉じている構成から開いている構成に変更されるように適合されている。
【0073】
サイリスタ33の構成を変更するため、ラッチングリレー37は、抵抗43とNチャネルMOSFET45とを介してサイリスタ33に接続されている。接触端子41の第1接触端子が、サイリスタ33の陰極に接続されている。接触端子41の第2接触端子が、抵抗43の第1端子とNチャネルMOSFET45のゲートとに接続されている。抵抗43の第2端子が、NチャネルMOSFET45のドレインとサイリスタ33の陽極に接続されている。さらに、サイリスタ33の構成が、ラッチングリレー37でセル制御部29から受信される制御信号に基づいて、短絡回路構成から開放回路構成に変更され得て、開放回路構成から短絡回路構成に変更され得るように、NチャネルMOSFET45のソースが、サイリスタ33のゲートに接続されている。
【0074】
図13は、
図2~4及び
図7~9に示されたセル9の第1~6の実施の形態のバイパス部27の第4の実施の形態の一部を示す。
図13に示されたサイリスタ33は、
図3、4、8及び9に示された任意のサイリスタ33でよい。
図13に示されていないセル制御部29は、メモリ部を介してサイリスタ33のゲートに接続されている。このゲートは、1つのデータ記憶部47と、抵抗器によって構成され得る1つの抵抗43と、2つのNチャネルMOSFET45とから成る。サイリスタ33を短絡回路構成から開放回路構成に変更するため、及び開放回路構成から短絡回路構成に変更するため、当該メモリ部は、抵抗43と2つNチャネルMOSFET45とを介してサイリスタ33に接続されている。当該メモリ部の第1端子が、2つのNチャネルMOSFET45のうちの第1NチャネルMOSFET45とサイリスタ33の陰極に接続されている。当該メモリ部の第2端子が、第1NチャネルMOSFET45のゲートに接続されている。第1NチャネルMOSFET45のドレインが、抵抗43の第1端子と2つのNチャネルMOSFET45のうちの第2NチャネルMOSFET45のゲートとに接続されている。抵抗43の第2端子が、第2NチャネルMOSFET45のドレインとサイリスタ33の陽極とに接続されている。さらに、サイリスタ33の構成が、当該メモリ部でセル制御部29から受信される制御信号に基づいて、短絡回路構成から開放回路構成に変更され得て、開放回路構成から短絡回路構成に変更され得るように、第2NチャネルMOSFET45のソースが、サイリスタ33のゲートに接続されている。
【0075】
セル制御部29から受信される制御信号は、セル9のセル制御部29によって当該メモリ部のデータ記憶部47に書き込まれ得る状態情報を示し得る。好ましくは、データ記憶部47は、不揮発性のデータ記憶部である。当該状態情報は、バイパス部27の構成、特にバイパス部27の現在の構成、及び/又はバイパス部27の望ましい構成、及び/又はサイリスタ33の構成、特にサイリスタ33の現在の構成、及び/又はサイリスタ33の望ましい構成を示し得る。当該状態情報が、バイパス部27の構成を示し得る場合、当該状態情報は、バイパス部27の状態情報とも呼ばれ得る。当該状態情報が、サイリスタ33の構成を示し得る場合、当該状態情報は、サイリスタ33の状態情報とも呼ばれ得る。バイパス部27の現在の構成は、バイパス部27が現時点で存在する構成である。同様に、サイリスタ33の現在の構成は、サイリスタ33が現時点で存在する構成である。バイパス部27の望ましい構成は、複数のスイッチング素子19のうちの少なくとも1つのスイッチング素子19がバイパスされているか又はバイパスされていないような、バイパス部27が必要とする構成でもよい。サイリスタ33の望ましい構成は、バイパス部27がその望ましい構成にあるような、サイリスタ33が必要とする構成でもよい。
【0076】
図14は、
図2~4及び
図7~9に示されたセル9の第1~6の実施の形態のバイパス部27の第5の実施の形態の一部を示す。
図14に示されたバイパス部27の第5の実施の形態は、
図12に示されたバイパス部27の第3の実施の形態に本質的に等しい。
【0077】
図12の左側に示された第1サイリスタ33は、
図3、4、8及び9に示された任意のサイリスタ33でもよい。
図14に示されていないセル制御部29は、ラッチングリレー37を介して第1サイリスタ33のゲートに接続されている。このラッチングリレー37は、1つのデータ記憶部又は1つのメモリ部の一部と、抵抗器によって構成され得る1つの抵抗43と、1つのNチャネルMOSFET45とを構成し得る。第1サイリスタ33の構成が、短絡回路構成から開放回路構成に変更され得て、開放回路構成から短絡回路構成に変更され得るように、ラッチングリレー37は、制御信号をセル制御部29から受信するように適合されている入力端子39と、開いている構成の状態と閉じている構成の状態とに適合され、且つ当該セル制御部29から受信される制御信号に依存して、開いている構成から閉じている構成に変更され、閉じている構成から開いている構成に変更されるように適合されている正常時は開いている接触端子41とから成る。第1サイリスタ33の構成を変更するため、ラッチングリレー37は、抵抗43とNチャネルMOSFET45とを介して第1サイリスタ33に接続されている。接触端子41の第1接触端子が、第1サイリスタ33の陰極に接続されている。接触端子41の第2接触端子が、抵抗43の第1端子とNチャネルMOSFET45のゲートとに接続されている。抵抗43の第2端子が、NチャネルMOSFET45のドレインと第1サイリスタ33の陽極に接続されている。さらに、第1サイリスタ33の構成が、ラッチングリレー37でセル制御部29から受信される制御信号に基づいて、短絡回路構成から開放回路構成に変更され得て、開放回路構成から短絡回路構成に変更され得るように、NチャネルMOSFET45のソースが、第1サイリスタ33のゲートに接続されている。
【0078】
さらに、バイパス部27は、
図14の右側に示された第2サイリスタ33を有する。第2サイリスタ33の陽極が、第1サイリスタ33の陰極に接続されていて、第2サイリスタ33の陰極が、第1サイリスタ33の陽極に接続されている。バイパス部27は、第2サイリスタ33に接続されている1つのダイオード25を有する。このダイオード25の陽極が、第1サイリスタ33の陰極と第2サイリスタ33の陽極とに接続されている。さらに、ダイオード25の陰極が、第2サイリスタ33のゲートに接続されている。この構成に起因して、バイパス部27が、短絡回路構成にされる必要がある時に、例えば、複数のスイッチング素子19のうちの1つのスイッチング素子19のダイオード25のボンディングワイヤの不良時に、第2サイリスタ33は、ダイオードとして作動し得る。
【0079】
さらに、第1変圧器49と第2変圧器49とが、
図14に示されている。第1変圧器49と第2変圧器49とはそれぞれ、バイパス部27の電力及びデータ復旧ブロック51に接続されている。さらに、第1変圧器49は、セル9に隣接している第1セル9に接続されていて、バイパス部27は、このセル9の一部であり、第2変圧器49が、セル9に隣接しているセル9に接続されていて、バイパス部27は、このセル9の一部である。セル9と隣接している第1セル9とは、隣同士のセル9から成るセル対を構成する。同様に、セル9と隣接している第2セル9とは、隣同士のセル9から成るセル対を構成する。電力及びデータ復旧ブロック51は、ラッチングリレー37の入力端子39に接続されている出力端子を有する。
【0080】
隣接している第1セル9は、一部が
図14に示されているバイパス部27に第1変圧器49を介して制御信号を供給するように適合されているセル制御部29を有する。電力及びデータ復旧ブロック51は、第1変圧器49を介して隣接している第1セル9のセル制御部29から制御信号を受信するように適合されている入力端子を有する。電力及びデータ復旧ブロック51が、隣接している第1セル9のセル制御部29から受信する制御信号に依存して、第1サイリスタ33の構成が、短絡回路構成から開放回路構成に変更され得て、開放回路構成から短絡回路構成に変更され得るように、電力及びデータ復旧ブロック51が、隣接している第1セル9のセル制御部29から受信する制御信号に依存して、ラッチングリレー37が、制御信号を電力及びデータ復旧ブロック51から受信する。したがって、バイパス部27が、その構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、隣接している第1セル9のセル制御部29は、一部が
図14に示されているバイパス部27に制御信号を供給するように適合されている。さらに、隣接している第1セル9は、電力供給部31を有する。隣接している第1セル9の電力供給部31は、第1変圧器49を介してバイパス部27に電力を供給するように適合されている。
【0081】
隣接している第2セル9は、一部が
図14に示されているバイパス部27に第2変圧器49を介して制御信号を供給するように適合されているセル制御部29を有する。電力及びデータ復旧ブロック51の入力端子も、第2変圧器49を介して隣接している第2セル9のセル制御部29から制御信号を受信するように適合されている。電力及びデータ復旧ブロック51が、隣接している第2セル9のセル制御部29から受信する制御信号に依存して、第1サイリスタ33の構成が、短絡回路構成から開放回路構成に変更され得て、開放回路構成から短絡回路構成に変更され得るように、電力及びデータ復旧ブロック51が、隣接している第2セル9のセル制御部29から受信する制御信号に依存して、ラッチングリレー37が、制御信号を電力及びデータ復旧ブロック51から受信する。したがって、バイパス部27が、その構成を短絡回路構成から開放回路構成に変更するか、又は開放回路構成から短絡回路構成に変更するように、隣接している第2セル9のセル制御部29は、一部が
図14に示されているバイパス部27に制御信号を供給するように適合されている。さらに、隣接している第2セル9は、電力供給部31を有する。隣接している第2セル9の電力供給部31は、第2変圧器49を介してバイパス部27に電力を供給するように適合されている。
【0082】
要するに、一部が
図14に示されているバイパス部27は、
隣接している第1セル9のセル制御部29と隣接している第2セルのセル制御部29とによって制御され得る。さらに、隣接している第1セル9の電力供給部31と隣接している第2セルの電力供給部31との双方は、一部が
図14に示されているバイパス部27に電力を供給するように適合されている。このため、バイパス部27がセル9の一部であるこのセル9のセル制御部29及び/又は電力供給部31が、1つのセルの不良時に故障したとしても、バイパス部27の制御とバイパス部27の電力供給とが保証される。さらに、バイパス部27がセル9の一部であるこのセル9のセル制御部29及び/又は電力供給が、1つのセルの不良時に故障したとしても、バイパス部27の制御とバイパス部27の電力供給とが依然として保証される。同様に、隣接している第1セル9又は隣接している第2セルのセル制御部29及び/又は電力供給部31が、隣接している第1セル9又は隣接している第2セルの1つのセルの不良時に故障したとしても、バイパス部27の制御とバイパス部27の電力供給とが依然として保証される。
【0083】
さらに、「から成る」、「有する」及び「含む」は、他の構成要素を除外せず、「1つ」は、複数を除外しない点を指摘する。また、上記の複数の代表的な実施の形態のうちの1つの実施の形態を参照して説明した特徴は、上記のその他の複数の代表的な実施の形態の別の特徴と組み合わせて記載されているとみなせ得る点を指摘する。特許請求の範囲中の符号は、限定的とみなしてはならない。
【符号の説明】
【0084】
1 コンバータ
3 アーム
5 セル集合体
7 インダクタンス
9 セル
11 DC(直流)端子
13 AC(交流)端子
15 セルの第1端子
17 セルの第2端子
19 スイッチング素子
21 セルのキャパシタンス
23 絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)
25 ダイオード
27 バイパス部
29 セル制御部
31 電力供給部
33 サイリスタ
35 セルの第3端子
37 ラッチングリレー
39 入力端子
41 接触端子
43 抵抗
45 NチャネルMOSFET
47 データ記憶部
49 変圧器
51 電力及びデータ復旧ブロック
【国際調査報告】