(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】表面の凹凸を検出するためのセンサモジュール、同センサモジュールを備える装置、および当該センサモジュールを使用して表面の凹凸を検出するための方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/72 20060101AFI20230712BHJP
【FI】
G01N27/72
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574192
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(85)【翻訳文提出日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 IB2021055383
(87)【国際公開番号】W WO2021255697
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】10202005824X
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522466913
【氏名又は名称】ラヨング エンジニアリング アンド プラント サービス カンパニー、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パンダム、パイサル
(72)【発明者】
【氏名】ウンパワンウォング、サンティパップ
(72)【発明者】
【氏名】プントラウムポーン、ヴァリス
(72)【発明者】
【氏名】サティラパッタナクル、コムグリット
(72)【発明者】
【氏名】カンプクディ、ディーチャ
(72)【発明者】
【氏名】チョンチャロエン、キッティクン
(72)【発明者】
【氏名】ソンデックフィルコーン、タノン
【テーマコード(参考)】
2G053
【Fターム(参考)】
2G053AA11
2G053AB01
2G053BA03
2G053BC20
2G053CA01
2G053DA10
2G053DB14
2G053DB16
(57)【要約】
本発明は、表面の凹凸を検出するための、とりわけパイプ外面の膨らみおよびたわみを検出するためのセンサモジュールに関する。センサモジュールは、少なくとも2つの端部を含むアーム本体を有するアーム組立体と、アーム本体の少なくとも1つの端部に装着された1つまたは複数の表面接触要素と、磁力線を発生させるための少なくとも1つの磁石を有する磁石組立体と、アーム本体の移動に応答した磁力線の変化を検知するための、磁石に隣接して組み合わされた磁気センサを有する磁気センサ組立体とを備える。本発明はまた、前記センサモジュールを備えた装置、および前記センサモジュールを使用して表面の凹凸を検出するための方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の凹凸を検出するためのセンサモジュールであって、
少なくとも2つの端部を含むアーム本体と、
前記アーム本体の少なくとも1つの端部に装着された1つまたは複数の表面接触要素と
を有するアーム組立体と、
磁力線を発生させるための少なくとも1つの磁石を有する磁石組立体と、
前記アーム本体の移動に応答した前記磁力線の変化を検知するための、前記磁石に隣接して組み合わされた磁気センサを有する磁気センサ組立体と
を備えるセンサモジュール。
【請求項2】
前記表面に向かう/前記表面から後退する前記アーム本体の移動方向を制御するための方向制御手段を、前記アーム組立体がさらに有する、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項3】
前記アーム本体が、端部および自由端を含むバーとして形成されている、請求項1または2に記載のセンサモジュール。
【請求項4】
前記自由端が、付勢されて前記表面に接触する前記表面接触要素に装着されるように構成されている、請求項3に記載のセンサモジュール。
【請求項5】
前記磁石から発生する磁力線の配置が前記アーム本体の前記移動方向と相関するような態様で、前記磁石組立体が前記アーム組立体に組み合わされている、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項6】
前記方向制御手段が、前記アーム本体に組み合わされた移動ガイドと、前記アーム本体に組み合わされた固定ガイドとを含み、前記移動ガイドおよび前記固定ガイドは、前記表面に対して垂直な方向において前記アーム本体が前記表面に向かうように/前記表面から後退するように移動するのをガイドするように協働する、請求項2に記載のセンサモジュール。
【請求項7】
前記表面接触要素が、車輪、ローラ、ボール、トラック、およびキャタピラのうちの1つまたは複数から選択される、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項8】
前記アーム組立体が、付勢組立体をさらに有する、請求項1から7のいずれか1項に記載のセンサモジュール。
【請求項9】
前記付勢組立体が、表面接触要素支持体と、前記表面接触要素支持体から下方に延在する延在部分とを含む、請求項8に記載のセンサモジュール。
【請求項10】
前記付勢組立体が、前記延在部分から前記アーム本体に対して平行な方向に延在する軸と、前記軸に提供されたばねと、圧縮された態様で前記ばねに当接するように前記ばねの端部に提供された当接部分とをさらに含む、請求項9に記載のセンサモジュール。
【請求項11】
前記磁石が、磁石ストリップ、磁石バー、丸形磁石片、半円形磁石片、楕円形磁石片、正方形磁石片、および三角形磁石片のうちのいずれか1つから選択される、請求項1または5に記載のセンサモジュール。
【請求項12】
前記磁石が、前記アーム本体の表面に提供された磁石ストリップである、請求項1、5、または11のいずれか一項に記載のセンサモジュール。
【請求項13】
前記磁石が、前記磁石組立体に提供された丸形磁石片である、請求項1、5、または11のいずれか一項に記載のセンサモジュール。
【請求項14】
前記センサモジュールが、前記磁気センサから検知データを受信して前記表面の凹凸プロファイルに変換するための、前記磁気センサ組立体と通信するプロセッサをさらに備える、請求項1から13のいずれか1項に記載のセンサモジュール。
【請求項15】
前記磁気センサ組立体が、
前記磁気センサと、
前記磁石に近接しかつ面するように前記磁気センサを保持するように提供された磁気センサホルダと、
前記磁気センサから前記検知データを受信し、前記検知データを前記プロセッサに送信するように、前記磁気センサに電気的に接続された回路と
を有する、請求項14に記載のセンサモジュール。
【請求項16】
前記アーム本体が、前記磁石組立体に回転可能に組み合わされており、
前記方向制御手段が、回転ガイドおよび固定ロッドを有しており、前記回転ガイドが、前記アーム本体の前記端部に回転可能に組み合わされ、前記回転ガイドに提供された穴を介して前記固定ロッドに摺動可能に組み合わされており、前記固定ロッドの端部が、前記磁気センサ組立体に組み合わされている、請求項2に記載のセンサモジュール。
【請求項17】
前記表面接触要素が、前記アーム本体と前記磁気センサ組立体との間に提供されたトーションばねにより付勢されて前記表面に接触する、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項18】
前記磁石組立体が、
前記磁石と、
前記アーム本体に回転可能に組み合わされた端部および前記磁気センサ組立体に回転可能に組み合わされた別の端部を含むロッドと
を有し、
前記磁石は、前記磁気センサ組立体に前記ロッドが組み合わされた位置に提供された磁石ロータリである、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項19】
前記磁気センサ組立体は、前記磁気センサが取り付けられている磁気センサフレームと、前記磁気センサフレームに装着されていて、前記磁気センサから検知データを受信し、前記検知データをプロセッサに送信するように前記磁気センサに電気的に接続された回路とを有する、請求項16に記載のセンサモジュール。
【請求項20】
前記磁気センサフレームが、前記磁石組立体に回転可能に組み合わされた端部と前記方向制御手段の前記固定ロッドに組み合わされた別の端部とを含む逆L字形状である、請求項19に記載のセンサモジュール。
【請求項21】
前記磁気センサが、前記磁石に近接した位置で前記磁気センサフレームに取り付けられている、請求項19または20に記載のセンサモジュール。
【請求項22】
表面の凹凸を検出するための装置であって、請求項1から21のいずれか1項に記載のセンサモジュールであって、検出すべき前記表面に沿って前記センサモジュールを駆動するための駆動ツールに組み合わされたセンサモジュールを備える装置。
【請求項23】
パイプの凹凸を検出するために使用される装置であって、前記パイプの外面の周囲周りに配置される複数のセンサモジュールを備える、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記センサモジュールは、それぞれのセンサモジュールが互いに対向して配置されるような態様で、対で配置される、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
少なくとも4対の前記センサモジュールが、前記パイプの前記外面の周囲周りに配置される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
浸炭センサ、クラックおよび厚さ測定センサである補助センサをさらに備える、請求項22から25のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
表面の凹凸を検出するための方法であって、
a)前記磁力線の変化のデータを取得するために、請求項1から21のいずれか1項に記載のセンサモジュールを使用することにより、前記表面を検査する段階と、
b)a)から取得したデータをプロセッサに送信する段階と、
c)前記表面の凹凸プロファイルを判定するために、b)から受信したデータを、初期位置から検出位置まで変化した距離に変換する段階と
を備える方法。
【請求項28】
データを変換する前記段階の前に、前記磁力線における変化のデータの信号を増幅する段階をさらに備える、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記磁力線における変化のデータの前記信号を増幅する前記段階が、ゲートウェイを使用して実行される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
表面の凹凸を検出するための、請求項1から21のいずれか1項に記載のセンサモジュールの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面の凹凸を検出するためのセンサモジュールに関する。本発明はまた、当該センサモジュールを備えた装置、および当該センサモジュールを使用して表面の凹凸を検出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業プラントにおける作業には、パイプ、コイル、タンク、リアクタ、ボイラなどの様々な器具が必要である。一部の状況においては、これらの器具は、過酷な条件下で、例えば腐食環境下、高圧下、または高温下で動作する。そのような過酷な条件は、材料の変形につながるおそれがあり、それにより器具が変形したり、膨らんだり、クラックが生じたりすることがある。
当該欠陥は、多くの場合、器具の表面を検査することにより検出可能であり、表面が変形しているまたは凹凸があるとわかった場合には、生じる問題を調査し、早めにメンテナンスを可能にする必要がある。
【0003】
したがって、表面の凹凸または器具の変形を効果的に判定することができる装置および方法を開発する必要がある。関連技術の例は以下の通りである。
【0004】
欧州特許第0297541B1は、水平方向に方向付けられるように狭い空間に配列された管の集まりに対して検査、修復、および他の仕事を自動的に実行するための、自動管周囲走査装置を開示している。この装置は、管軸に沿って進行可能で、上側管を停止および把持することが可能なように、管の集まりの当該上側管に装着された上側支持/横側セクションと、進行可能で、下側管を停止および把持することが可能なように下側管に装着された下側支持/横側セクションと、上側および下側の支持/横側セクションの間に垂直方向に延在しそれに固定された可撓性レールと、上下に移動可能であるように可撓性レールに装着されており、前述した上側管と下側管との間の任意のいずれかの管を把持して、同管の周りをプローブに走査させるプローブ走査セクションとから構成されている。
【0005】
しかし、当該欧州特許による装置は、水平方向の作業にしか適用することができない。垂直方向の作業には適していない。
【0006】
日本国特許第4775492B2は、薄い鋼シートなどの微小凹凸傷を光学的に検出するための表面検査装置および方法を開示している。
装置は、10.6μmまたはそれより長い波長を有する光で鋼板の表面を照射するための光源と、鋼板の表面の凹凸を有する微細な凹凸傷によって反射された光の集束および発散によって得られる明暗パターンにより微細欠陥を検出するための検出システムとを含む。光源は、鋼板がロールに接している部分に光を照射する。検出システムは、鋼板の表面によって反射した光が投影されるスクリーンと、スクリーン上の光強度分布を測定するための2次元カメラとを含む。
【0007】
この日本国特許の技術は、90°に近い大きさの入射角を必要とし、それにより実際の作業ラインに必要な装置を導入するのが困難になる。光学素子の調整が困難であることも問題である。
【0008】
以下の公報に開示されているように、磁束検出/検知技術が応用された、表面の欠陥または凹凸の検出の発展形態も存在している。日本国特許公報第H08-160006号は、物体の内側に存在する含有物を、磁束漏洩検査方法を使用して検出するための技術を開示している。表面欠陥は、表面形状の変化によって発生する漏洩磁束信号の形態の磁束漏洩検査方法を使用することにより、検出されることが可能である。
【0009】
米国特許公報第2011/0000338A1号は、強磁性金属物体に存在するでこぼこ形状の表面欠陥を検出するための、でこぼこ形状の表面欠陥のひずみに起因する信号を検知する段階を含む方法および装置を開示している。信号は、磁束が適用された強磁性金属から漏洩する磁束である。検出装置は、強磁性金属を磁化するための磁化器と、強磁性金属の進行方向に対して垂直な方向に配置されていて、でこぼこ形状の表面欠陥のひずみに起因する信号を検知する複数の磁気センサとを組み込んでいる。
【0010】
上述した米国公報による方法および装置は、0.5~6μmの範囲のサイズを有する表面欠陥に限定されている。そのため、様々な用途に使用することができない。
【発明の概要】
【0011】
したがって、本発明は、表面の凹凸、とりわけ表面の膨らみおよびたわみを検出するためのセンサモジュールであって、上で考察した先行技術の問題を克服しようと試みながら、それと同時に、様々な用途に容易に適合される効果的でシンプルな、簡単に構築されるモジュールを提供するセンサモジュールを構成することを目的とする。
【0012】
本発明の一態様は、表面の凹凸を検出するためのセンサモジュールであって、少なくとも2つの端部を含むアーム本体を有するアーム組立体と、アーム本体の少なくとも1つの端部に装着された1つまたは複数の表面接触要素と、磁力線を発生させるための少なくとも1つの磁石を有する磁石組立体と、アーム本体の移動に応答した磁力線の変化を検知するための、磁石に隣接して組み合わされた磁気センサを有する磁気センサ組立体とを備えるセンサモジュールに関する。
【0013】
本発明の別の態様は、表面の凹凸を検出するための装置であって、上で言及した利点を構成するセンサモジュールであって、検出すべき表面に沿ってセンサモジュールを駆動するための駆動ツールに組み合わされたセンサモジュールを備える装置を提供することである。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、表面の凹凸を検出するための方法であって、
a)磁力線の変化のデータを取得するために、本発明によるセンサモジュールを使用することにより、表面(S)を検査する段階と、
b)a)から取得したデータをプロセッサに送信する段階と、
c)前記表面の凹凸プロファイルを判定するために、b)から受信したデータを、初期位置から検出位置まで変化した距離に変換する段階と
を備える方法を提供することである。
【0015】
本発明によるセンサモジュール、センサモジュールを備える装置、およびセンサモジュールを使用する方法は、狭い空間に設置された器具の表面の凹凸を検出できるようにする。さらに、それは、複数の方向、例えば水平方向、傾斜方向、または垂直方向において、動作可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の例示的な実施形態によるセンサモジュールの側面図である。
【0017】
【
図2】本発明の第1の例示的な実施形態によるセンサモジュールの上面図である。
【0018】
【
図3】本発明の第1の例示的な実施形態による、表面に接触している間のセンサモジュールの側面図である。
【0019】
【
図4】本発明の第2の例示的な実施形態によるセンサモジュールの側面図である。
【0020】
【
図5】本発明の第2の例示的な実施形態によるセンサモジュールの別の側面図である。
【0021】
【
図6】本発明の第2の例示的な実施形態によるセンサモジュールの前面図である。
【0022】
【
図7a】本発明の第2の例示的な実施形態による、通常位置のセンサモジュールの側面図である。
【
図7b】本発明の第2の例示的な実施形態による、検出位置のセンサモジュールの側面図である。
【0023】
【
図8】本発明の第1の例示的な実施形態による、表面の凹凸を検出するための装置の上面図である。
【0024】
【
図9】本発明の第2の例示的な実施形態による、表面の凹凸を検出するための装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで添付図面を参照しながら、以下の詳細事項により本発明を説明する。
【0026】
単数の名詞または代名詞の使用は、特許請求の範囲および明細書において「備える」とともに使用されるとき、「1つ」を意味するとともに、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」、および「1つまたは1つより多い」も含む。
【0027】
「備える(comprise)」、「有する(has/have)」、および「含む(include)」という用語は、オープンエンドな動詞であり、これらの動詞の形式のうちの1つまたは複数、例えば「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、「有する(has/have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」も、オープンエンドな動詞である。例えば、1つまたは複数の段階を「備える」、「有する」、または「含む」任意の方法は、1つの段階または複数の段階に限定されず、示されていない段階も網羅する。
【0028】
本明細書で言及する任意の機器、器具、または方法は、別段の指示のない限り、本分野の当業者によって概して使用されるかまたは実施される機器、器具、または方法を意味するものとする。
【0029】
本明細書で開示および特許請求されるモジュール、装置、および方法は、本発明と著しく異なる実験なしに、任意の要因を実行、動作、修正、変更することから得られる発明の態様を網羅し、特許請求の範囲に特に示されていなくても、当業者による、本発明の態様に類似した特性、有用性、利点、および結果を有する同態様を、取得することを意図している。したがって、当分野における当業者に明らかであり得る軽微な修正または変更を含め、本発明の態様との置換または類似性は、添付の特許請求の範囲に表された本発明の意図、概念、および範囲の下にあるとみなされるものとする。
【0030】
本発明の第1の態様は、表面(S)の凹凸を検出するためのセンサモジュールに関する。センサモジュールは、少なくとも2つの端部を含むアーム本体(1.1)を有するアーム組立体(1)と、アーム本体(1.1)の少なくとも1つの端部に装着された1つまたは複数の表面接触要素(1.2)と、磁力線を発生させるための少なくとも1つの磁石(2.1)を有する磁石組立体(2)と、アーム本体(1.1)の移動に応答した磁力線の変化を検知するための、磁石(2.1)に隣接して組み合わされた磁気センサ(3.1)を有する磁気センサ組立体(3)とを備える。
【0031】
上記の態様によれば、磁気センサ(3.1)に対する磁石(2.1)の移動により、磁力線の変化を検知することができる。次いで磁力線の変化が、表面(S)に対して垂直な距離に変換される。
【0032】
アーム組立体(1)は、表面(S)に向かう/表面(S)から後退するアーム本体(1.1)の移動方向を制御するための方向制御手段(1.3)をさらに有する。方向制御手段(1.3)は、アーム本体(1.1)の移動を所望の方向になるよう制御するように提供されている。
【0033】
例示的な実施形態において、アーム本体(1.1)は、端部(1.1.1)および自由端(1.1.2)を有するバーとして形成されてよい。アーム本体(1.1)の形状は、バーに限定されず、円筒形または三角形などの他の形状も適用可能である。
【0034】
自由端(1.1.2)は、付勢されて表面(S)と接触する表面接触要素(1.2)に装着されるように構成されている。当該表面接触要素(1.2)は、表面(S)に沿ったセンサモジュールの移動を容易にする任意の構成要素とすることができる。例えば、接触要素(1.2)は、車輪、ローラ、ボール、トラック、およびキャタピラのうちの1つまたは複数であってよい。
【0035】
上の実施形態によれば、表面接触要素(1.2)が付勢されて表面(S)に接触し、それによりセンサモジュールは、アーム本体(1.1)の移動に対する磁力線の変化を効果的に検知することができる。
【0036】
好ましい実施形態において、磁石組立体(2)は、磁石(2.1)から発生する磁力線の配置がアーム本体(1.1)の移動方向と相関するような態様で、アーム組立体(1)に組み合わされている。
【0037】
図1~
図3に示す第1の例示的な実施形態によれば、方向制御手段(1.3)は、アーム本体(1.1)に組み合わされた移動ガイド(1.3.1)と、アーム本体(1.1)に組み合わされた固定ガイド(1.3.2)とを含み、移動ガイド(1.3.1)および固定ガイド(1.3.2)は、表面(S)に対して垂直な方向においてアーム本体(1.1)が表面(S)に向かうように/表面(S)から後退するように移動するのをガイドするように協働する。
方向制御手段(1.3)は、移動ガイド(1.3.1)および固定ガイド(1.3.2)に加えて他の構成要素を有してよい。例えば、方向制御手段(1.3)は、複数のループおよびガイドロッドを有してよい。
【0038】
本発明の実施形態において、アーム組立体(1)は、付勢組立体(1.4)をさらに有する。
【0039】
図1~
図3に示す第1の例示的な実施形態によれば、付勢組立体(1.4)は、表面接触要素支持体(1.4.1)、表面接触要素支持体(1.4.1)から下方に延在した延在部分(1.4.2)を有する。さらに、付勢組立体(1.4)は、延在部分(1.4.2)からアーム本体(1.1)に対して平行な方向に延在する軸(1.4.3)と、軸(1.4.3)に提供されたばね(1.4.4)と、圧縮された態様でばね(1.4.4)に当接するようにばね(1.4.4)の端部に提供された当接部分(1.4.5)とを含むことができる。表面接触要素(1.2)が常に表面(S)に接触することを確保するために、記載した全ての構成要素は、ばね(1.4.4)の付勢力を表面接触要素(1.2)に伝達可能にするように配置されている。
【0040】
磁石(2.1)は、磁石ストリップ、磁石バー、丸形磁石片、半円形磁石片、楕円形磁石片、正方形磁石片、および三角形磁石片のうちの任意の1つから選択されることが可能である。
【0041】
第1の実施形態によれば、磁石(2.1)は、アーム本体(1.1)の表面に提供された磁石ストリップであってよい。好ましくは、磁石ストリップは、アーム本体(1.1)の形状に対応した形状を有する。代替的に、磁石(2.1)は、磁石組立体(2)に提供された丸形磁石片であってよい。
【0042】
好ましい実施形態によれば、センサモジュールは、磁気センサ(3.1)から検知データを受信して表面(S)の凹凸プロファイルに変換するための、磁気センサ組立体(3)と通信するプロセッサ(4)をさらに備える。プロセッサ(4)は、磁力線の変化のデータを表面(S)の凹凸に変換することにより、操作者が必要情報を取得するのを可能にする。
【0043】
図1に明示してあるように、本発明の第1の実施形態によれば、磁気センサ組立体(3)は、磁気センサ(3.1)と、磁石(2.1)に近接しかつ面するように磁気センサ(3.1)を保持するように提供された磁気センサホルダ(3.2)と、磁気センサ(3.1)から検知データを受信し、検知データをプロセッサ(4)に送信するように磁石センサ(3.1)に電気的に接続された回路(3.3)とを有する。
【0044】
本発明のセンサモジュールの第2の例示的な実施形態が、
図4~
図7bに示してある。
【0045】
第2の実施形態および
図4によれば、アーム本体(1.1)は、磁石組立体(2)に回転可能に組み合わされており、方向制御手段(1.3)は、回転ガイド(1.3.3)および固定ロッド(1.3.4)を有しており、回転ガイド(1.3.3)は、アーム本体(1.1)の端部(1.1.1)に回転可能に組み合わされ、回転ガイド(1.3.3)に提供された穴(1.3.3.1)を介して固定ロッド(1.3.4)に摺動可能に組み合わされており、固定ロッド(1.3.4)の端部は、磁気センサ組立体(3)に組み合わされている。
【0046】
上の第2の実施形態による配置によって、磁石組立体(2)は、回転アーム本体(1.1)の移動に応答して回転できるようになる。これにより、小型のセンサモジュールが提供され、それにより表面を検出するためのセンサモジュールを狭い空間で使用することが可能になる。
【0047】
本発明の代替的な実施形態によれば、表面接触要素(1.2)は、アーム本体(1.1)と磁気センサ組立体(3)との間に提供されたトーションばねにより付勢されて表面(S)に接触する。
【0048】
ここで本発明の第2の例示的な実施形態を示す
図4を参照すると、磁石組立体(2)は、磁石(2.1)と、アーム本体(1.1)に回転可能に組み合わされた端部(2.2.1)および磁気センサ組立体(3)に回転可能に組み合わされた別の端部(2.2.2)を含むロッド(2.2)とを有する。好ましくは、磁石(2.1)は、磁気センサ組立体(3)にロッド(2.2)が組み合わされた位置に提供された磁石ロータリである。
【0049】
図4~
図6に示してあるように、第2の実施形態による磁気センサ組立体(3)は、磁気センサ(3.1)が取り付けられている磁気センサフレーム(3.4)と、磁気センサフレーム(3.4)に装着されていて、磁気センサ(3.1)から検知データを受信し、検知データをプロセッサ(4)に送信するように磁石センサ(3.1)に電気的に接続された回路(3.3)とを有する。
【0050】
好ましい実施形態において、磁気センサフレーム(3.4)は、磁石組立体(2)に回転可能に組み合わされた端部(3.4.1)と方向制御手段(1.3)の固定ロッド(1.3.4)に組み合わされた別の端部(3.4.2)とを含む逆L字形状である。磁気センサ(3.1)は、磁石(2.1)の回転を検知するように、磁石(2.1)に近接した位置において磁気センサフレーム(3.4)に取り付けられている。
【0051】
図7aは、本発明の第2の例示的な実施形態による、通常位置(N)にあるセンサモジュールを示す。
図7bは、検出位置(B)にあるセンサモジュールを示しており、磁石(2.1)を備えたロッド(2.2)は、通常位置(N)から検出位置(B)まで角度(θ)として移動する。
【0052】
本発明の第2の態様は、表面(S)の凹凸を検出するための装置であって、本発明によるセンサモジュールであって、検出すべき表面(S)に沿ってセンサモジュールを駆動するための駆動ツール(5)に組み合わされたセンサモジュールを備える装置に関する。
【0053】
図8は、本発明の第1の例示的な実施形態によるセンサモジュールを備えた、表面(S)の凹凸を検出するための装置を示し、その一方で
図9は、本発明の第2の例示的な実施形態によるセンサモジュールを備えた装置を示す。
【0054】
パイプの外面の凹凸、とりわけパイプ外面の膨らみおよびたわみを検出するのに使用されるように特に適合された実施形態において、装置は、パイプの外面の周囲周りに配置される複数のセンサモジュールを備える。好ましくは、センサモジュールは、それぞれのセンサモジュールが互いに対向して配置されるような態様で、対で配置される。センサモジュールを対で配置することにより、パイプの直径についての情報を提供することができる。さらに、検出装置から取得したパイプ直径に関するデータの変化を使用して、パイプの凹凸を判定することができる。
【0055】
より好ましくは、パイプの丸いプロファイルを取得するために、パイプの外面の周囲周りに少なくとも4対のセンサモジュールが配置される。
【0056】
加えて、本発明による装置は、検出される器具の追加のデータを検知するための補助センサをさらに備えてよい。補助センサの例は、浸炭センサ、ならびにクラックおよび厚さ測定センサである。
【0057】
本発明の第3の態様は、表面(S)の凹凸を検出するための方法であって、
a)磁力線の変化のデータを取得するために、本発明によるセンサモジュールを使用することにより、表面(S)を検査する段階と、
b)a)から取得したデータをプロセッサに送信する段階と、
c)表面(S)の凹凸プロファイルを判定するために、b)から受信したデータを、初期位置から検出位置まで変化した距離に変換する段階とを備える方法に関する。
【0058】
本発明の方法は、データを変換する段階の前に、磁力線における変化のデータの信号を増幅する段階をさらに備えてよい。実施形態において、磁力線における変化のデータの信号を増幅する段階は、ゲートウェイを使用して実行される。
(発明の最良の形態)
【0059】
本発明の最良の形態は、本発明の詳細な説明に記載された通りである。
【図(7a)】
【図(7b)】
【国際調査報告】