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特表2023-530912エネルギー生産用機械のためのバックアップシステムとしての廃熱回収システム
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  • 特表-エネルギー生産用機械のためのバックアップシステムとしての廃熱回収システム 図1
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  • 特表-エネルギー生産用機械のためのバックアップシステムとしての廃熱回収システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】エネルギー生産用機械のためのバックアップシステムとしての廃熱回収システム
(51)【国際特許分類】
   F01K 23/06 20060101AFI20230712BHJP
   F01K 27/02 20060101ALI20230712BHJP
   H05B 3/40 20060101ALN20230712BHJP
【FI】
F01K23/06 P
F01K27/02 Z
H05B3/40 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576143
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2021025242
(87)【国際公開番号】W WO2022002441
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】102020000016090
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナシーニ、エルネスト
(72)【発明者】
【氏名】サンティーニ、マルコ
【テーマコード(参考)】
3G081
3K092
【Fターム(参考)】
3G081BC07
3G081BC13
3K092PP11
3K092QA02
3K092RA06
3K092VV40
(57)【要約】

本開示は、熱源(11)が停止している緊急の場合に原動機として動作するように構成された廃熱回収システム(13)に関する。廃熱回収システム(13)は、熱源(11)からの加熱流体と熱交換関係にある作動流体を循環させて作動流体を加熱するように構成されたヒーター(10)に加えて、作動流体と熱交換関係にある追加の加熱流体を供給して作動流体を加熱するように構成されている独立した補助熱源(20)を備えている。本システムは二次ヒーター(25)を備えており、二次ヒーター(25)は、独立した補助熱源(20)からの追加の加熱流体と熱交換関係にある作動流体を循環させるように構成されており、ヒーター(10)の代わりに、またはヒーター(10)と組み合わせて使用することができる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃熱回収システム(13)であって、熱源(11)からの加熱流体と熱交換関係にある作動流体を循環させて前記作動流体を加熱するように構成されたヒーター(10)であって、前記作動流体が閉回路において処理され、熱力学的変換を受けて熱を有用な仕事に変換する、ヒーター(10)、を備え、
前記システムが、前記作動流体と熱交換関係にある追加の加熱流体を供給して前記作動流体を加熱するように構成されている独立した補助熱源(20)、を含む、システム。
【請求項2】
二次ヒーター(25)が、前記独立した補助熱源(20)からの前記追加の加熱流体と熱交換関係にある前記作動流体を循環させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記二次ヒーター(25)が、前記ヒーター(10)に置き換わるように使用される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記二次ヒーター(25)が、前記ヒーター(10)と組み合わせて使用される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記熱源(11)の燃料供給ラインが、前記独立した補助熱源(20)に燃料を供給するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
送風機(22)が、前記独立した補助熱源(20)に空気を供給するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記熱源(11)の空気供給ライン(26)が、前記独立した補助熱源(20)に空気を供給するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記熱源(11)の冷却換気システム(27)が、前記独立した補助熱源(20)に空気を供給するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
シャフト(14)が、前記廃熱回収システム(13)によって動作されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記シャフト(14)が、外部機器に直接連結されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記外部機器が発電機(15)である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記発電機(15)が、シャフト延長部(14’)を介して船舶用プロペラ(16)に接続され、前記シャフト延長部(14’)が、クラッチ(17)によって前記シャフト(14)に連結され、前記クラッチが、クラッチ制御システム(19)によって操作される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ヒーター(10)が、例えば、燃焼機関、ガスタービン、地熱、太陽熱、産業用および住宅用熱源などを含む廃熱源(11)と連結されるように構成されている、請求項1から請求項12の1つ以上に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エネルギー生産用機械のための改良されたバックアップシステムに関し、本バックアップシステムは、緊急エネルギー源として使用される廃熱回収システムに基づいている。本明細書に開示されている実施形態は、特に、ガスタービンおよび/またはエンジン発電機または機械的駆動ステーションなどの改良された熱力学的機械に関し、廃熱回収システムは、必要な場合に原動機として機能するように構成されている。
【背景技術】
【0002】
起こり得る運転停止による障害を避ける目的で、エネルギー生産機械に補助機関などのバックアップ電源ユニットを設けることができる。しかしながら、この解決策は高価であり、システムがより複雑になる。さらに、バックアップ電源ユニットの追加の重量は、多くの場合に望ましくない。
【0003】
熱力学システムは、作動流体が閉回路において処理され、最終的に液体状態と蒸気または気体状態との間の相転移を含む熱力学的変換を受けるものであり、一般に、熱を有用な仕事、特に機械的仕事および/または電気エネルギーに変換するために使用される。好都合には、これらのシステムは、さまざまな種類の機械の廃熱を回収するために使用することもできる。実際、熱力学システムなどの機械の残りの熱、すなわち最終的にシステムによって排出される熱と、システムによって利用されなかった熱源の一部は、多くの場合依然として十分に高く、熱力学サイクルを使用して機械的エネルギーに有効に変換され得る。
一般に、廃熱源としては、燃焼機関、ガスタービン、地熱、太陽熱、産業用および住宅用熱源などが挙げられる。廃熱回収システムは、一般には、ブレイトンサイクルシステムおよび/またはスターリングサイクルシステムの膨張ユニット/グループおよび圧縮ユニット/グループ、および/またはランキンサイクルシステムの膨張ユニット/グループを含む。廃熱回収システムのシャフトは、一般には、発電機などの外部機器に直接連結される。
【0004】
しかしながら、廃熱源が停止した場合、廃熱回収システムもシステムの冷却の結果として停止するため、廃熱回収システムは役に立たない。
【発明の概要】
【0005】
本発明によれば、廃熱回収システムに独立した補助熱源を設けることにより、廃熱源が停止した場合に、廃熱回収システムがボトムサイクル(bottom cycle)としてではなく原動力として使用され得るようにすることを提案する。
【0006】
したがって、一態様においては、本明細書に開示されている主題は、主廃熱源が停止した場合に廃熱回収システムによって使用される熱を生成するためにバーナーが設けられた廃熱回収サイクルシステムおよび関連する方法を対象とする。バーナーからの熱は、廃熱回収システムによって、発電、および/またはポンプもしくはコンプレッサーの駆動などの機械的用途のための機械的動力に変換される。
【0007】
さらに、別の態様においては、本明細書に開示されている主題は、特にピーク電力需要が要求される場合に、主廃熱源からの熱に加えて廃熱回収システムによって使用される熱を生成するためにバーナーが設けられた廃熱回収サイクルシステムおよび関連する方法を対象とする。
【0008】
さらに別の態様によれば、本明細書に開示されている主題は、追加の非常用システムの設置を無用にし、したがって、この分野で非常に重要である、さらなる重量および設置面積を追加する必要性が回避されるため、船舶用途において特に有効である。
【0009】
したがって、本明細書に開示されている主題は、廃熱源が停止した場合に、廃熱回収システムが独立して動作し、独立した補助熱源によって提供される熱を変換することによって、発電および/または機械的用途のための機械的動力を生成することのできる、新規の廃熱回収サイクルシステムおよび本システムを動作させる関連する方法を対象とする。
【0010】
このような構成により、極めてシンプルでありしたがって極めてコスト効率の高い解決策を提案することによって、機械にバックアップ電源ユニットを設けるための多大な設備投資および運用コストの必要性を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の開示されている実施形態およびそれに付随する利点の多くは、以下の詳細な説明を添付の図面を参照しながら読み進めることによってこれらが深く理解されたときに、より完全に理解されるであろう。
【0012】
図1】補助バーナーと組み合わされた新規の改良された廃熱回収システムの概略図を示している。
図2図1のシステムの第1の変形例の概略図を示している。
図3図1のシステムの第2の変形例の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一態様によれば、本主題は、廃熱回収システムの作動流体と熱交換する高温の排ガスを生成するバーナーが主廃熱源とは独立した補助熱源として設けられた廃熱回収システムを対象とする。バーナーの大きさは、緊急状態において必要とされる熱量に依存する。
【0014】
別の態様によれば、バーナーは、廃熱源と同じ燃料供給ラインから燃料供給され、空気入口用の送風機が設けられている。
【0015】
さらに別の態様によれば、バーナー内で燃料と混合される空気は、送風機によって搬送され、送風機には、始動装置(starter)としてのバッテリーによって電力供給され、定常運転においては廃熱回収システムに接続されている発電機によって電力供給される。これに代えて、空気は、廃熱源の冷却換気システムによってバーナーに搬送され、廃熱源が停止した場合には、冷却換気システムは、一部のみが必要とされる。特に、冷却換気システムのファンは、通常、エネルギーを吸収する機関を有するため、可変周波数駆動を使用すると、ファンの速度、したがって流量およびパワーを下げることにより、バッテリー駆動によるファンの始動を容易にすることができる。これに加えて、必要な流量およびパワーを下げることによって、負荷および設置面積も減少し、これは船舶用途の場合には極めて重要である。廃熱源が、タービンおよびコンプレッサーを備えた熱力学システムである場合、空気は、タービンの始動装置によってバーナーに搬送される。
【0016】
さらに別の態様によれば、バーナーの高温の排ガスは、以下に選択的に搬送される。
-廃熱源の排ガスと同じ熱交換器に搬送される。バーナーおよび廃熱源の両方のガス搬送ラインは、廃熱源が停止するとき廃熱源からのガスがバーナーにあふれ得ることを回避し、バーナーが停止するときにバーナーからのガスが排熱源にあふれ得ることを回避するために、ダンパーが設けられている。
-緊急状態において必要とされる熱量が廃熱源からの熱量よりはるかに低い場合、廃熱源の排ガスの熱交換器とは別の小型の熱交換器に搬送される。
-ピーク電力需要の場合には、システムが迅速に対応できるように、廃熱源の排ガスと同じ熱交換器と、個別の小型の熱交換器の両方に搬送される。
【0017】
別の態様によれば、本明細書に開示されている、廃熱回収システムに基づくバックアップシステムは、船舶用途からガスタービンおよび燃焼機関まで、複数の用途において都合よく使用することができる。非常用機関の存在が常に必要とされる船舶用途の場合、バックアップシステムとして廃熱回収システムを使用することにより、非常用機関に置き換わることができ、したがって、設備投資および運用コスト、ならびに推進システム全体の設置面積および重量を最適化することができる。さらに、バックアップシステムとして使用される廃熱回収システムが、作動流体としてCOを使用するブレイトンサイクルに従って動作するシステムのような低速システムである場合、電気エネルギーの生産に加えて、バックアップシステムは、プロペラシャフトに直接または間接的に(ギアユニットを通じて)接続されているクラッチを用いて、ハイブリッド構成で使用することもできる。このように、バックアップシステムとして動作する廃熱回収システムは、船舶の主機関が停止した場合でもプロペラに機械的エネルギーを供給することができ、したがってシステム全体のミッション信頼度(mission reliability)が高まる。このようなハイブリッド構成は、プロペラによって吸収されない電力に応じて電気エネルギーを生成することができるように、可変周波数駆動発電機が好都合に設けられている。
【0018】
ここで図面を参照すると、図1は、本発明の例示的な実施形態に従って図示された新規の廃熱回収システムを示している。
【0019】
図1を参照すると、ヒーター10は、熱源11、例えば熱生成システム(例えば機関)の排出ユニットに連合されている。運転時、ヒーター10は、加熱流体、例えば熱源11から発生した排ガスから熱を受け取り、ヒーター10に連合された管束12を通過する不活性ガスを温める。第1の例示的な実施形態では、ヒーター10から出た不活性ガスは、シャフト14を備えた熱力学システムとして構成されている廃熱回収システム13に流れて中を通過し、シャフト14は、ハイブリッド構成に従って、電力を発生させる発電機、好ましくはVFDタイプの発電機15を駆動するように構成されており、クラッチ17を介してシャフト延長部14’を通じて船舶用プロペラ16に接続されている。このようなハイブリッド構成は、プロペラのエネルギー吸収量および/または電気負荷要件のうちマスターとして設定されている方に従って電力の生成を調整するために、可変周波数駆動制御盤18も備えている。このようなハイブリッド構成は、相対速度率が同程度であるときにのみシャフト14とシャフト延長部14’を連結するようにクラッチを調節する、クラッチ制御システム19も備えている。
【0020】
ヒーター10には、さらにバーナー20が連結されている。バーナー20には、燃料供給ライン21によって燃料が供給され、一方で、送風機22によって空気が供給される。運転時、バーナー20からの排ガスがヒーター10に搬送される。例示であって限定するものではないが、バーナー20と熱源11とで燃料供給ライン21が同一である。
【0021】
熱源からヒーター10への排ガスの流れは第1のダンパー23によって調整され、一方で、バーナー20からヒーター10への排ガスの流れは第2のダンパー24によって調整される。
【0022】
特定の一実施形態において、追加のヒーター25は、ヒーター10に置き換わるように構成されており、通常運転において熱源11によって提供される熱量よりもはるかに低いバーナー20によって提供される熱量を交換するように最適化されている。
【0023】
一実施形態では、ピーク電力需要の場合にシステムが迅速に対応できるように、ヒーター10および追加のヒーター25は同時に動作するように構成されている。
【0024】
システムの例示的な一実施形態では、熱源11がタービンおよびコンプレッサーを備えた熱力学システムであるとき、送風機22は、図2を参照して示されるように、タービン27の始動装置26によって置き換えられる。
【0025】
システムのさらに別の例示的な実施形態では、空気は、熱源11の換気システム28によってバーナー20に供給される。ダンパー29、30は、図3を参照して示されるように、熱源筐体31に搬送される空気と、バーナー20に搬送される空気とを制御するように構成されている。
【0026】
本発明の態様を様々な特定の実施形態の観点から説明してきたが、請求項の趣旨および範囲から逸脱することなく多くの修正、変更、および省略が可能であることが当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
【国際調査報告】