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特表2023-530916電気集塵機に接続された2つのスクラバーを含むシステム及びそれを用いて排気ガスを清浄するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】電気集塵機に接続された2つのスクラバーを含むシステム及びそれを用いて排気ガスを清浄するための方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/92 20060101AFI20230712BHJP
   B03C 3/40 20060101ALI20230712BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20230712BHJP
   F01N 3/04 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
B01D53/92 215
B01D53/92 331
B03C3/40 A ZAB
F01N3/08 C
F01N3/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022576362
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(85)【翻訳文提出日】2022-12-12
(86)【国際出願番号】 FI2021050405
(87)【国際公開番号】W WO2021255329
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】20205629
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515183610
【氏名又は名称】バルメット テクノロジーズ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ファブリティウス,イェレ
(72)【発明者】
【氏名】ヨキルオマ,ユハ
【テーマコード(参考)】
3G091
4D002
4D054
【Fターム(参考)】
3G091AA04
3G091AB14
3G091AB15
3G091BA13
3G091CA15
3G091CA27
4D002AA02
4D002AC10
4D002BA02
4D002BA14
4D002CA01
4D002DA01
4D002DA35
4D054AA03
4D054BA01
4D054BA04
4D054EA23
4D054EA24
(57)【要約】
少なくとも第1の排気ガス(EG1)及び第2の排気ガス(EG2)を清浄するための方法を開示する。本方法は、第1及び第2の排気ガス(EG1、EG2)を第1及び第2のスクラバー(710、720)でスクラビングし、スクラビングされた第1及び第2の排気ガス(SEG1、SEG2)を生成することと、スクラビングされた第1及び第2の排気ガス(SEG1、SEG2)の少なくとも一部を電気集塵機(100)に運ぶことを含む。本方法は、スクラビングされた第1の排気ガス(SEG 1)の少なくとも一部及びスクラビングされた第2の排気ガス(SEG2)の少なくとも一部のうちの一方又は両方を電気集塵機(100)で清浄し、清浄された排気ガス(CEG)を生成することを含む。方法を行うためのシステムも開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスクラバーであって、第1の排気ガスを受け取るための入口と、スクラビングされた第1の排気ガスを排出するための出口とを含む、第1のスクラバーと、
第2のスクラバーであって、第2の排気ガスを受け取るための入口と、スクラビングされた第2の排気ガスを排出するための出口とを含む、第2のスクラバーと、
電気集塵機であって、
スクラビングされた第1の排気ガスを受け取るための第1の入口と、スクラビングされた第2の排気ガスを受け取るための第2の入口とを備える入口領域と、
スクラビングされた排気ガスを電気集塵するための放電電極及び収集面であって、該放電電極及び収集面は、前記電気集塵機の集塵領域内に配置されている、放電電極及び収集面と、
清浄された排気ガスを排出するための出口と、
を含み、前記集塵領域は、前記電気集塵機の入口領域と出口との間に配置されている、電気集塵機と、
スクラビングされた第1の排気ガスを前記電気集塵機の第1の入口に運ぶように構成された第1の一次配管と、
スクラビングされた第2の排気ガスを前記電気集塵機の第2の入口に運ぶように構成された第2の一次配管と、
を含む配置。
【請求項2】
前記配置は、前記第1のスクラバー内で第1のスクラビング溶液を噴霧して、前記第1の排気ガスを該第1のスクラビング溶液に接触させることにより前記第1の排気ガスをスクラビングするための第1の循環部を含み、
[A]前記第1の循環部は、前記第2のスクラバー内で前記第1のスクラビング溶液を噴霧して、前記第2の排気ガスを前記第1のスクラビング溶液に接触させることにより前記第2の排気ガスをスクラビングするのに好適である、又は
[B]前記配置は、前記第2のスクラバー内で第2のスクラビング溶液を噴霧して、前記第2の排気ガスを該第2のスクラビング溶液に接触させることにより前記第2の排気ガスをスクラビングするための第2の循環部を含み、
好ましくは、前記第1の循環部は前記第1のスクラビング溶液を冷却するための熱交換器を含む、請求項1に記載の配置。
【請求項3】
前記電気集塵機は、前記電気集塵機の下部に、前記電気集塵機から廃水を排出するための第2の出口を含む、請求項1又は2に記載の配置。
【請求項4】
第1の燃焼機関と、
前記第1の燃焼機関の第1の排気ガスを前記第1のスクラバーの入口に運ぶように構成された第1の二次配管と、
第2の燃焼機関と、
前記第2の燃焼機関の第2の排気ガスを前記第2のスクラバーの入口に運ぶように構成された第2の二次配管と、
を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の配置。
【請求項5】
前記第1の一次配管は、
スクラビングされた前記第1の排気ガスの一部を前記第1の一次配管から、前記電気集塵機以外の場所に排出するための第1の出口と、
スクラビングされた前記第1の排気ガスの少なくとも一部を前記第1の出口に運び、スクラビングされた前記第1の排気ガスの少なくも一部を前記電気集塵機の第1の入口に運ぶための第1のバルブ配置と、
を含み、
好ましくは、前記第2の一次配管は、
スクラビングされた前記第2の排気ガスの一部を前記第2の一次配管から、前記電気集塵機以外の場所に排出するための第2の出口と、
スクラビングされた前記第2の排気ガスの少なくとも一部を前記第2の出口に運び、スクラビングされた前記第2の排気ガスの少なくも一部を前記電気集塵機の第2の入口に運ぶための第2のバルブ配置と、
を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の配置。
【請求項6】
前記入口領域と前記集塵領域との間にある1つの穿孔板又は複数の穿孔板、及び/又は
前記入口領域に、少なくとも、スクラビングされた前記第1の排気ガスを届けるように構成された第1の穿孔管、
を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の配置。
【請求項7】
前記電気集塵機は、
洗浄溶液を入れるための入口と、
前記洗浄溶液を用いて、前記電気集塵機の収集面及び/又は放電電極の少なくとも一部を洗浄するための手段と、
を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の配置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の配置を含む、船舶等の車両。
【請求項9】
少なくとも第1の排気ガス及び第2の排気ガスを清浄するための方法であって、当該方法は、
前記第1の排気ガスを第1のスクラバーでスクラビングして、スクラビングされた第1の排気ガスを生成することと、
前記第2の排気ガスを第2のスクラバーでスクラビングして、スクラビングされた第2の排気ガスを生成することと、
スクラビングされた前記第1の排気ガスの少なくとも一部を電気集塵機に運ぶことと、
スクラビングされた前記第2の排気ガスの少なくとも一部を前記電気集塵機に運ぶことと、
スクラビングされた前記第1の排気ガスの少なくとも一部及びスクラビングされた前記第2の排気ガスの少なくとも一部のうちの一方又は両方を前記電気集塵機内で清浄して、清浄された排気ガスを生成することと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記第1のスクラバーで、第1のスクラビング溶液を噴霧して該第1のスクラビング溶液の液滴を形成し、前記第1の排気ガスを前記第1のスクラビング溶液の液滴に接触させることと、
前記第2のスクラバーで、前記第1のスクラビング溶液又は第2のスクラビング溶液を噴霧して前記第1のスクラビング溶液又は該第2のスクラビング溶液の液滴を形成し、前記第2の排気ガスを前記第1のスクラビング溶液又は前記第2のスクラビング溶液の液滴に接触させることと、
を含み、
好ましくは、前記方法は、
第1の熱交換器を用いて、好ましくは、海水等の水を冷媒として用いて前記第1のスクラビング溶液を冷却すること、
を含み、
より好ましくは、前記第1のスクラビング溶液は、例えば、淡水等の水と、アルカリとを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第1の燃焼機関で第1の排気ガスを生成することと、
第2の燃焼機関で第2の排気ガスを生成することと、
前記第1の排気ガスを前記第1のスクラバーに運ぶことと、
前記第2の排気ガスを前記第2のスクラバーに運ぶことと、
を含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
第1の期間に、(i)スクラビングされた前記第1の排気ガス若しくはその一部及び(ii)スクラビングされた前記第2の排気ガス若しくはその一部の両方を、前記電気集塵機に運ぶこと、及び/又は
第2の期間に、(i)スクラビングされた前記第1の排気ガス若しくはその一部又は(ii)スクラビングされた前記第2の排気ガス若しくはその一部の一方のみを、前記電気集塵機に運ぶこと、及び/又は、
第3の期間に、(i)スクラビングされた前記第1の排気ガス若しくはその一部又は(ii)スクラビングされた前記第2の排気ガス若しくはその一部のいずれも、前記電気集塵機に運ばないこと、
を含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の期間に、
[A](i)スクラビングされた前記第1の排気ガスの一部のみ及び(ii)スクラビングされた前記第2の排気ガスの全ての両方、又は
[B](i)スクラビングされた前記第1の排気ガスの一部のみ及び(ii)スクラビングされた前記第2の排気ガスの一部のみの両方
を前記電気集塵機に運ぶこと、及び/又は
前記第2の期間に、(i)スクラビングされた前記第1の排気ガスの一部のみ又は(ii)スクラビングされた前記第2の排気ガスの一部のみを前記電気集塵機に運ぶこと、及び/又は
前記第3の期間に、前記電気集塵機を洗浄溶液で洗浄すること、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
脱プルーミングガスを清浄された排気ガスと混合して清浄された排気ガスのプルームを低減することを含む、請求項9乃至13のいずれ一項に記載の方法。
【請求項15】
前記電気集塵機は、船舶等の車両に配置されている、請求項9乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス、とりわけ、2つ以上の燃焼機関の排気ガスを清浄に関することに関する。本発明は、特に、装置のための限られたスペースしかない船舶、とりわけ、複数の燃焼機関を含む船舶で使用可能である。本発明は、スクラビングによる、排気ガス、すなわち、排煙の脱硫に関する。本発明は、スクラビングされた排気ガスの清浄に関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料の燃焼は、燃焼機関を含む多くの異なる目的のために工業プロセスで用いられている。燃料の品質によっては、煙道ガス(すなわち、排気ガス)は硫黄酸化物(SOx)を含む様々な量の汚染物質を含み得る。海洋船舶、すなわち、船は通常、燃焼機関を含み、排気ガス(すなわち排煙)中に高レベルのSOx及び粒子をもたらす低グレードの燃料を用いる。排気ガス中のSOxの含有量を減らす1つの可能性は、脱硫技術、とりわけ、排出された排気/排煙ガスを水性スクラビング溶液に密接させる湿式スクラビングプロセスを用いることである。これらのプロセスの目的は、高吸収効率を提供し、スクラビングされる排気/排煙ガス中の粒子、液滴又は物質を取り除くか又はその濃度を大幅に減らすことである。船舶用エンジンから排出されるガスを清浄するための海洋スクラバーは、特許文献1、特許文献2及び特許文献3から知られている。それらで開示されているスクラバーは、閉ループモード、半閉ループモード及び開ループモードでそれぞれ動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1857169号明細書
【特許文献2】米国特許第3781407号明細書
【特許文献3】国際公開第99/44722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スクラビングによって排気ガスの汚染物質の全てが除去されるわけではない。小さな粒子はスクラバーから逃れ得る。そのような汚染物質は環境に有害であり得る。したがって、さらなる清浄が必要になり得る。船舶内で排気ガスが生成された場合、追加の清浄機器のために利用可能なスペースは限られている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
電気集塵機(ESP)を用いることによりスクラビングされた排気ガスをさらに清浄できることが分かった。排気ガスはスクラバーを飽和含水率で離れることから、ESPは、スクラビングされた排気ガスの湿度のために湿式ESP(すなわち、WESP)と呼ばれ得る。さらに、同じ湿式ESPを用いて、2つ以上のスクラバーから得ることができるスクラビングされた排気ガスをさらに清浄できることが分かった。少なくとも2つのスクラバーのために1つの湿式ESPのみを用いることで、機器のスペース要件が低減される。さらに、この構成により、清浄が必要な排気ガスのみの清浄に湿式ESPを用いることができる。この配置(arrangement)は、船舶上で、エンジンのいずれかが港湾条件で稼働している場合(通常は1つ又は2つのエンジンのみが稼働している場合)でも、1つ又は複数の燃焼機関からの湿式ESPでガスを清浄することができ、船舶の運用の柔軟性が大幅に高められる。船舶に関する環境要件は、船舶が何処で運航されるかによって大きく異なり得る。例えば、海上では、湿式ESPは全く必要ない場合もあり、湿式ESPのメンテナンスが可能になる。対照的に、港の近くでは、地元の環境法により湿式ESPが必要になり得る。さらに、港の近くでは、船舶のエンジンは部分出力のみで運転され得るため、全てのエンジンが全出力で(例えば海上で)運転されている場合では単一の湿式ESPだけでは十分でない場合でも、港の近くでは単一の湿式ESPで十分となり得る。
【0006】
本構成は、請求項1でより具体的な用語で開示されている。本方法は、請求項9においてより具体的な用語で開示されている。従属請求項は好ましい実施形態を定義する。説明は、実施形態の更なる詳細を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は排気ガスを清浄するための配置を有する船舶を示す。
図2図2a~図2dは排気ガスを清浄するための配置を示す。
図3図3a~図3dは、湿式ESP内でスクラビングされた排気ガスを均等に拡散させるための配置を示す。
図4a図4aは、湿式電気集塵機内部の側面図を示す。
図4b図4bは、湿式電気集塵機の集塵領域の上面図を示す。
図5a図5aは、別の湿式電気集塵機の集塵領域の上面図を示す。
図5b図5bは、別の湿式電気集塵機の集塵領域の平面図を示す。
図6図6は、排気ガスを清浄するための配置を示し、スクラバーは複数の燃焼機関に対応する。
図7図7は、排気ガスを清浄するための配置を示し、湿式電気集塵機は2つ以上のスクラバーに対応する。
【0008】
図において、方向矢印Sz、Sx及びSyは、上方垂直方向及び2つの直交する水平方向をそれぞれ示す。方向矢印Slは湿式電気集塵機の電極の長手方向を示し、使用時には実質的に垂直であり得る。方向矢印St1及びSt2は、長手方向Slに対して直角な直交方向を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、第1の排気ガスEG1及び第2の排気ガスEG2を清浄するための配置900を備える(すなわち、含む)船舶910を示す。船舶910は、より一般的な車両の一例であり、配置900は他の場所でも用いることができ、配置900のためのスペースは限られている。図2a~図2dは、上述したように使用可能な配置900の例を示す。
【0010】
排気ガスEG1、EG2は燃焼過程で生成され、それらは高温であり、硫黄酸化物(SOx)を含む。硫黄酸化物の量を減らすために、配置900は湿式スクラバーを含む。しかしながら、発生源からの排気ガスは、車両上で高温の排気ガスを長距離にわたって運ぶのを避けるために、その発生源のみの排気ガスを清浄する専用の湿式スクラバーで清浄されることが多い。以下では、「スクラバー」という用語は湿式スクラバー、すなわち、スクラビングすべきガスがスクラビング溶液と接触させるスクラバーを意味する。
【0011】
一般的な船舶(又は車両)では、複数の異なる排気ガス源がある。そのため、通常、船舶(又は車両)は少なくとも2つのスクラバー710、720を備える。したがって、配置900は第1のスクラバー710及び第2のスクラバー720を含む。第1のスクラバー710は、第1の排気ガスEG1を受け取るための入口712と、スクラビングされた第1の排気ガスSEG1を排出するための出口714とを含む(図2a~図2d参照)。第2のスクラバー720は、第2の排気ガスEG2を受け取るための入口722と、スクラビングされた第2の排気ガスSEG2を排出するための出口724とを含む(図2a~図2d参照)。スクラバー710、720は、それぞれ排気ガスEG1、EG2を少なくともある程度脱硫し且つ清浄するように構成されている。
【0012】
第1の排気ガスEG1の発生源は、限定されないが、第1の燃焼機関810であり得る。第2の排気ガスEG2の発生源は、限定されないが、第2の燃焼機関820であり得る。
【0013】
スクラビングされた排気ガスSEG1、SEG2を清浄するために、配置は電気集塵機(ESP)100を含む。ESP100は、スクラビングされた第1の排気ガスSEG1の少なくとも一部を受け取るための第1の入口112と、スクラビングされた第2の排気ガスSEG2の少なくとも一部を受け取るための第2の入口114とを含む。そのような入口112、114は、例えば図2a及び図4aに示す。以下に詳述するように、スクラビングされた第1の排気ガスSEG1の全てがESP100で清浄される必要はなく、スクラビングされた第2の排気ガスSEG2の全てがESP100で清浄される必要はない。そのため、配置900は、スクラビングされた第1の排気ガスSEG1の少なくとも一部をESP100の第1の入口112に運ぶように構成された第1の一次配管716と、スクラビングされた第2の排気ガスSEG2の少なくとも一部を電気集塵機100の第2の入口114に運ぶように構成された第2の一次配管726とを含む。これらの配管716、
726を図2a~図2dに示す。ESP100は、実質的に湿度で飽和した(すなわち湿式スクラバーの後の)ガスを清浄するために、湿式電気集塵機、すなわち、湿式ESP、すなわち、WESPの種類のものである。
【0014】
図4aを参照して、湿式ESP100は入口領域Z1を含む。第1の入口112及び第2の入口114は、入口領域Z1内に配置されている。つまり、入口領域Z1は第1及び第2の入口(112、114)を備える。海洋用途では、入口領域Z1は短いことが好ましい。より具体的には、好ましい実施形態では、入口領域Z1の高さは、湿式ESP100の高さの最大30%である。入口領域Z1の高さは、例えば、最大で、湿式ESPの集塵領域(precipitation zone)Z2の高さと同じであり得る。さらに、入口領域Z1は、湿式ESPの高さの方向で、湿式ESP 100の残りの部分と重なることが好ましい。つまり、入口領域Z1は湿式ESP100の残りの部分から放射状に突出していないことが好ましい。水平面上の入口領域Z1の断面は、水平面上の湿式ESP100の断面と同じであることがより好ましい。
【0015】
湿式ESPは集塵領域Z2を含む。スクラビングされた排気ガスは、静電集塵の原理に従って集塵領域Z2内で清浄されるように構成される。したがって、湿式ESP100は、後述するように放電電極220及び収集面(collecting surface)210を含む(図4b、図5a、図5bを参照)。収集面210も電極である。そのため、実現可能と考えられる場合、放電電極220及び収集面210は単に電極と呼ばれる。電極210、220は、スクラビングされた第1の排気ガスSEG1及びスクラビングされた第2の排気ガスSEG2のうちの少なくとも一方を電気的に集塵するためのものである。電極(210、220)は湿式ESP100の集塵領域Z2内に配置されている。集塵領域Z2の高さは、収集面210の長さと等しくてもよい。
【0016】
湿式ESP100は、清浄された排気ガスCEGを排出するための出口132を含む(図3a~図3d参照)。使用時には、湿式ESP 100でさらに清浄されるスクラビングされた排気ガスは、入口112、114から集塵領域Z2を通って出口132に流れる。したがって、集塵領域Z2は湿式ESP100の入口領域Z1と出口領域132との間に配置されている。
【0017】
良好に機能し、メンテナンス間隔を短くするために、湿式ESP100で清浄されるガスSEG1、SEG2は集塵領域Z2に均等に分布されるべきである。したがって、一実施形態では、湿式ESP 100は、図3a、図3c及び図3dに示すように、入口領域Z1と集塵領域Z2との間に穿孔板150を含む。穿孔板150の目的は、湿式ESP100の電極210、220の間でガスSEG、SEG2を均等に分けるためである。一実施形態では、湿式ESP100は、ガスSEG、SEG2を湿式ESP100の電極210、220の間でより均等に分けるために、入口領域Z1と集塵領域Z2との間に少なくとも2つの穿孔板150又は2つ以上の穿孔板150を含む。
【0018】
穿孔板150に限らない別の可能性として、入口領域Z1に穿孔管152又は穿孔板152、154を用いることである。図3b及び図3cを参照して、一実施形態では、湿式ESP100は、入口領域Z1に、第1のスクラビングされた排気ガスSEG1を入口領域Z1に届けるように構成された第1の穿孔管152を含む。さらに、一実施形態では、湿式ESP100は、入口領域Z1に、第2のスクラビングされた排気ガスSEG2を入口領域Z1に届けるように構成された第2の穿孔管154を含む。第1の穿孔管152は、入口領域Z1に第1のスクラビングされた排気ガスSEG1をより均等に広げるために、湾曲部を含み得る。第2の穿孔管154は、入口領域Z1に第2のスクラビングされた排気ガスSEG2をより均等に広げるために、湾曲部を含み得る。入口領域Z1へのスクラビングされた排気ガスSEG1、SEG2の流れをさらにならすために、穿孔管152、154の内部にガイド板が配置され得る。穿孔管152、154は、図3dに示すように、スクラビングされた排気ガスSEG1、SEG2の両方が運ばれる(必ずしも同時ではない)単一の穿孔管152を形成するために互いに接続することができる。図3b、図3c及び図3dでは、第1の穿孔管152は、少なくとも第1のスクラビングされた排気ガスSEG1を入口領域Z1に届けるように構成されている。
【0019】
図3cに示すように、湿式ESP100は、入口領域Z1と集塵領域Z2との間にある穿孔板150と、第1及び第2の穿孔管152、154tとを含み得る。図3dに示すように、湿式ESP100は、入口領域Z1と集塵領域Z2との間にある穿孔板150及び第1の穿孔管152のみを含み得る。
【0020】
配置900が動作されると、排気ガスを清浄する方法が行われる。上述したように、本方法の一実施形態では、湿式電気集塵機100は舶910等の車両に配置される。本方法は、第1のスクラバー710で第1の排気ガスEG1をスクラビングしてスクラビングされた第1の排気ガスSEG1を生成し、第2のスクラバー720で第2の排気ガスEG2をスクラビングしてスクラビングされた第2の排気ガスSEG2を生成することを含む。本方法は、スクラビングされた第1の排気ガスSEG1の少なくとも一部を湿式電気集塵機100に運び、スクラビングされた第2の排気ガスSEG2の少なくとも一部を湿式電気集塵機100に運ぶことをさらに含む。さらに、本方法は、スクラビングされた第1の排気ガスSEG1の少なくとも一部及びスクラビングされた第2の排気ガスSEG2の少なくとも一部を湿式電気集塵機100内で清浄して、清浄された排気ガスCEGを生成することを含む。
【0021】
本方法の好ましい実施形態は、(i)スクラビングされた第1の排気ガスSEG1の少なくとも一部及び(ii)スクラビングされた第2の排気ガスSEG2の少なくとも一部の両方を湿式電気集塵機100内で清浄し、清浄された排気ガスCEGを生成することを含む。しかしながら、スクラビングされた第1の排気ガスSEG1及び第2の排気ガスSEG2の両方が湿式電気集塵機100に同時に存在する必要はない。例えば、(i)スクラビングされた第1の排気ガスSEG1の少なくとも一部及び(ii)スクラビングされた第2の排気ガスSEG2の少なくとも一部は、同じ湿式ESP100を用いて順次清浄されてもよい。スクラビングされた排気ガス(SEG1、SEG2)の「少なくとも一部」に関する問題に関するさらなる詳細を、第1のバルブ配置(valve arrangement)754及び第2のバルブ配置764に関連して以下で説明する。
【0022】
排気ガスEG1、EG2のスクラビング、ひいては湿式脱硫は、スクラビングされているガスにスクラビング溶液を噴霧した場合に特に効率的であることが分かった。それに代えて又は加えて、スクビング溶液浴を介してガスが運ばれ得る。しかしながら、噴霧は、ガスEG1、EG2とスクラビング溶液との接触面積が増えるためはるかに効率的である。これらの理由から、配置900の好ましい実施形態は、第1のスクラバー710内で第1のスクラビング溶液SS1を噴霧して、第1の排気ガスEG1を第1のスクラビング溶液SS1と接触させることにより第1の排気ガスEG1をスクラビングするための第1の循環部(circulation)718を含む。これは図2a~図2dの全てに図示されている。
【0023】
そのため、第1のスクラバー710は、第1のスクラビング溶液SS1を噴霧し、第1のスクラバー710で第1のスクラバー液SS1の液滴を形成するためのノズル719(図2a~図2d参照)を含む。さらに、第1のスクラバー710は、スクラビング溶液をノズル719に届けるためのポンプ715を含む。スクラビングされた場合、第1の排気ガスEG1が第1のスクラビング溶液SS1の形成された液滴と接触される。そのため、本方法の実施形態は、第1のスクラバー710において、第1のスクラビング溶液SS1を噴霧して、第1のスクラビング溶液SS1の液滴を形成し、第1の排気ガスEG1を第1のスクラビング溶液SS1の液滴に接触させることを含む。
【0024】
第1のスクラビング溶液SS1(又は後述の第2のスクラビング溶液SS2)は、水、淡水、海水又はスクラビングされる排気/煙煙ガスの1つ以上の成分と結合又は吸収することが知られている1つ以上の化合物の任意の他の水溶液であり得る。通常、SOx等の酸性ガスは、苛性ソーダ又は他のアルカリ性物質等のアルカリ化合物の水溶液等のアルカリ溶液でスクラビングすることによって溶液から除去される。
【0025】
第1の循環部718は、図2b及び図2cに示すように開ループ循環部であり得る。ここでは、海水がスクラビング溶液として用いられ得る。より具体的には、図2bの実施形態のように、第1のスクラバー710及び第2のスクラバー720の両方のための共通の(第1の)スクラビング溶液として海水が用いられ得る。図2cの実施形態では、海水が、第1のスクラバー710で用いられる第1のスクラビング溶液SS1及び第2のスクラバー720で用いられる第2のスクラビング溶液SS2の両方として用いられ得る。
【0026】
第1の循環部718は、図2a及び図2dに示すように閉ループ循環部であり得る。閉ループ循環部は環境規制が厳しい場合に使用可能であり得る。閉ループ循環部が用いられる場合、スクラビング溶液SS1又はスクラビング溶液SS1及びSS2は、水(海水及び/又は淡水)及びアルカリから作られることが好ましい。このような場合、さらに好ましくは、スクラビング溶液SS1又はスクラビング溶液SS1及びSS2は、淡水及びアルカリから作られる。固形物は、循環部718、728からスクラブ溶液SS1、SS2から除去され得る。
【0027】
図2a及び図2dに示すように、第1の循環部718が閉ループ循環部の場合、スクラビングされる排気ガスは高温であるため、第1のスクラビング溶液の温度は上昇する傾向がある。しかしながら、温度が上昇すると、第1のスクラビング溶液SS1が第1の排気ガスEG1からSOxを捕捉する能力が低下する。また、プロセスからの水の大気への蒸発が増えることにより、補充水の消費が著しく増加するため、スタック後に厚い可視プルームが生じ得る。したがって、第1の循環部718は、第1のスクラビング溶液SS1を冷却するための熱交換器717を含むことが好ましい(図2a及び図2dを参照)。船舶の熱交換器717で用いられる冷却材C1は、通常、海水である。他の用途では、例えば、空気又は水(例えば、淡水又は海水)を熱交換器717内の冷却剤C1として使用可能であり得る。配置が第2の循環部728を含み、第2の循環部728が閉ループ型の場合、第2の循環部728は第2のスクラビング溶液SS2を冷却するための熱交換器727を含む(図2a参照)。
【0028】
図2a及び図2dでは、循環部(718、728)のポンプ(715、725)は循環部の熱交換器(717、727)の下流に配置されている。しかしながら、一実施形態では、そのような循環部718、728のポンプ715、725は、循環部718、728の熱交換器717、727の上流に配置されている。
【0029】
第1及び第2のスクラバーのうちの一方又は両方のいずれかとして用いることもできる。ハイブリッドモードスクラバーは、噴霧されるスクラビング溶液が(図2a及び図2dのように)最初にスクラバーから取られ、噴霧されるスクラビング溶液が(図2b及び図2cのように)2回目は海から取られるようにバルブ(図示せず)を含む。
【0030】
図2b及び図2dに示すように、同じ(第1の)スクラビング溶液SS1を第1のスクラバー710及び第2のスクラバー720の両方に供給するために同じ(第1の)循環部718を用いてもよい。この実施形態では、第1の循環部718は、第2のスクラバー720内に第1のスクラビング溶液SS1を噴霧し、第2の排気ガスEG2を第1のスクラビング溶液SS1に接触させることにより第2の排気ガスEG2をスクラビングするのに好適である。対応する方法は、第2のスクラバー720において、第1のスクラビング溶液SS1を噴霧して、(第1の)スクラビング溶液SS1の液滴を形成し、第2の排気ガスEG2を(第1の)スクラビング溶液SS1の液滴に接触させることを含む。
【0031】
代替的に、配置900は、第2のスクラバー720内に第2のスクラビング溶液SS2を噴霧し、第2の排気ガスEG2を第2のスクラビング溶液SS2に接触させることにより第2の排気ガスEG2をスクラビングするための第2の循環部728を含み得る(図2a及び図2c参照)。対応する方法は、第2のスクラバー720において、第2のスクラビング溶液SS2を噴霧して、(第2の)スクラビング溶液SS2の液滴を形成し、第2の排気ガスEG2を(第2の)スクラビング溶液SS2の液滴に接触させることを含む。
【0032】
湿式ESP100のいくつかの構造的な詳細について、湿式ESP100は、集塵領域Z2に放電電極220及び収集面210を含む。集塵領域Z2を図4aにおいて側部から、図4bにおいて起終点を示す。図4aでは、基準Slは放電電極220又は収集面210の長手方向、つまり、湿式ESP内でのスクラビングされた排気ガスSEG1、SEG2の流れの方向を示す。使用時、長手方向Slは実質的に垂直であり得る。しかしながら、船舶上の場合、船舶がロールする(すなわち、揺れる)すると方向Slは変化し得る。使用時に、長手方向Slが垂直方向Szに対して最大45度の角度をなすことが好ましい。
【0033】
図4b、図5a及び図5bは集塵領域Z2の横断面を示す。図4b及び図3aにおいて、第2の電極の全ては管状であり、他の電極は管状電極内に同軸に配置されている。図5bでは。電極は板状である。図4b及び図5aにおける管状電極は、長手方向Slに延びる管状を有する。図5bの平面電極は、長手方向Slを含む平面に延びる。通常、湿式ESP100は、スクラビングされた第1の排気ガスSEG1及びスクラビングされた第2の排気ガスSEG2のうちの少なくとも1つの粒子に電荷を放電する手段222を含む。
【0034】
湿式ESPの動作原理は、例えば、清浄されるガスSEG1、SEG2の粒子に電荷を放電する手段222である。その後、放電電極220と収集面210との間でガスが運ばれる。粒子は電荷を有するため、電極210、220は粒子を引きつけ、粒子はそれと衝突する。通常、電荷を放電する手段222は放電電極220の一部として配置され(ほとんどの場合、収集面210よりも低い電位にある)、それにより、除去されるべき粒子に電子を放出する。これに対応して、粒子は収集面210と衝突し、そこで停止される。そのため、好ましい実施形態では、図4bのように、収集面210の面積は放電電極220の面積よりも大きい。電荷を放電する手段222は、放電電極220上の鋭い突起であり得る。これらの理由から、好ましい実施形態では、図4bに示すように、収集面210は長手方向Slに延びる管状を有し、各放電電極220は長手方向Slにおいて収集面210のうちの1つと同軸に延びる。放電電極220は収集面210によって横方向に取り囲まれている。
【0035】
電界を生成するために、配置900又は湿式ESP100は電源230と、第1の電位V1を収集面210に運び、第2の電位V2を放電電極220に運ぶように構成された配線232とを含む。一実施形態では、第2の電位V2は第1の電位V1よりも小さい。電極210、220間の電界の強さは、例えば0.1kV/cm~10kV/cmであり得る。
【0036】
湿式ESP100は、スクラバー、すなわち、スクラビング溶液SS1、SS2を用いて動作する湿式スクラバーの後に用いられた場合にとりわけ有用であることが分かっている。この配置は、湿式ESP100に入るスクラビングされた排気ガスSEG1、SEG2は実質的に水分で飽和されているため有用である。そのため、ガスSEG1、SEG2の水分は、湿式ESPの電極210、220上で凝縮し、使用時に、電極に衝突する粒子のうちの少なくとも一部が凝縮物でフラッシングされるように電極をフラッシングする。これにより、湿式ESPのメンテナンス間隔が長くなる。さらに、フラッシングにより、配置900の一実施形態では、湿式電気集塵機100は、図2a~図4aに示すように、湿式電気集塵機100の下部に、湿式電気集塵機100から廃棄(effluent)EFFを排出するための二次出口140を含む。廃棄EFFは、スクラビングされた排気ガスSEG1、SEG2の凝縮物を含み、以下で詳述するように、洗浄溶液RSをさらに含み得る。長手方向Slと、垂直方向Szとの間の前述の比較的小さな角度は、電極をフラッシングする観点からも有益である。
【0037】
背景にあるように、低品位燃料は硫黄を多く含んでいるが、それらは安価であるため魅力的でもある。硫黄含有量が高いことの問題は、前述の配置900を用いることで軽減できる。とりわけ、低品位燃料は燃焼機関で用いることができる。そのため、配置900の一実施形態は、第1の燃焼機関810と、第1の燃焼機関810の第1の排気ガスEG1を第1のスクラバー710の入口712に運ぶように構成された第1の二次配管891とを含む。そのため、燃焼機関の運転時には、第1の燃焼機関810によって生成された第1の排気ガスEG1の少なくとも一部が第1のスクラバー710に運ばれ、そこでスクラビングされる。さらに、本実施形態は、第2の燃焼機関820と、第2の燃焼機関820の第2の排気ガスEG2を第2のスクラバー720の入口722に運ぶように構成された第2の二次配管892とを含む。そのため、そのため、燃焼機関の運転時には、第2の燃焼機関820によって生成された第2の排気ガスEG2の少なくとも一部が第2のスクラバー710に運ばれ、そこでスクラビングされる。図1図2a、図2c、図2d、図6及び図7を参照されたい。
【0038】
前で詳述したように、スクラビングされた排気ガスSEG1、SEG2は湿度が高い。これは、湿式ESP100から排出される清浄された排気ガスCEGにも当てはまる。大気中に放出されると、湿度の一部が目に見えるようになることがあり、これは排気ガスプルーム又は単にプルームとして知られている。しかしながら、目に見える湿度が煙に間違われることが多々ある。煙の排出は一般に環境に対して有害であると考えられるため、配置900の一実施形態は、図2a、図2c及び図2dに示すように、清浄された排気ガスCEGのプルームを低減するように構成されたプルーム低減配置160を含む。プルーム低減配置160は、脱プルーミング(depluming)ガスDPGと清浄された排気ガスCEGを混合するためのファンを少なくとも含み得る。脱プルーミングガスDPGは、CEGのプルームを低減するために、乾燥ガス及び/又は高温ガス、例えば空気であり得る。これらの理由から、本方法の一実施形態は、脱プルーミングガスDPGと清浄された排気ガスCEGとを混合して、清浄された排気ガスのプルームを低減することを含む。プルーム低減配置160は、湿式ESP100の後の清浄された排気ガスから水蒸気を除去する。これは、白煙が排除され、排気管の上部162の腐食が回避されることを意味する。
【0039】
配置900の湿式ESP100は、清浄が必要な排気ガスだけを清浄するために用いることができる。船舶に関する環境要件は、船舶がどこで操作されるかによって大きく異なり得る。例えば、海上では、湿式ESPを全く必要としないこともあり、湿式ESPのメンテナンスを可能にする。港の近くでは、地元の環境法のために湿式ESPが必要になり得る。しかしながら、港の近くでは船舶のエンジンは部分的な出力のみで運転され得るため、全てのエンジンが(例えば海上で)全出力で運転されている場合に単一の湿式ESPだけでは不十分であっても、港の近くでは単一の湿式ESPで十分であり得る。さらに、港の近くでは、船舶は1つのエンジンのみで運転され得るため、単一の湿式ESPが1つのエンジンだけからの排気ガスを清浄するために用いられ得る。
【0040】
第1のスクラバー710及び第2のスクラバー720と関連して単一の湿式ESP100の汎用的な使用を可能にするために、配置900の一実施形態では、第1の一次配管716は、スクラビングされた第1の排気ガスSEG1の一部を第1の一次配管716から湿式電気集塵機100以外の場所、例えば大気に排出するための第1の出口752を含む。そのため、第1の出口752に運ばれたスクラビングされた第1の排気ガスSEG1は、湿式ESP100をバイパスする。そのような第1の出口752を図2a~図2dに示す。さらに、第1の一次配管716は、スクラビングされた第1の排気ガスSEG1の少なくとも一部を第1の出口752に運び、スクラビングされた第1の排気ガスSEG1の少なくとも一部を湿式電気集塵機100の第1の入口112に運ぶための第1のバルブ配置754を含む。そのため、第1のバルブ配置754は、全てのスクラビングされた第1の排気ガスSEG1を第1の出口752に運び、それに対応して、スクラビングされた第1の排気ガスSEG1を全く湿式電気集塵機100の第1の入口112に運ばないようにすることにも好適である。そのため、第1のバルブ配置754は、スクラビングされた第1の排気ガスSEG1の一部のみ又は全部を直接第1の出口752と、例えば大気とに運ぶか又は第1の排気ガスSEG1を全く運ばないために用いることができる。そのため、第1のバルブ配置754は、スクラビングされた第1の排気ガスSEG1の全て又は一部のみを湿式ESP100の第1の入口112に運ぶか又は第1の入口112に全く運ばないために用いることができる。場合によっては、湿式ESPを用いることによるSEG1をさらなる清浄を必要としないこともある。さらに、一実施形態では、第2の一次配管726は、スクラビングされた第2の排気ガスSEG2の一部を第2の一次配管726から湿式電気集塵機100以外の場所に排出するための第2の出口762と、スクラビングされた第2の排気ガスSEG2の少なくとも一部を第2の出口762に運び、スクラビングされた第2の排気ガスSEG2の少なくとも一部を湿式電気集塵機100の第2の入口114に運ぶための第2のバルブ配置764とを含む。そのため、第2の出口762に運ばれるスクラビングされた第2の排気ガスSEG2は、湿式ESP100をバイパスする。第2のバルブ配置764は、第1のバルブ配置754と同様に用いることができる。
【0041】
第1のバルブ配置754及び第2のバルブ配置764は、例えば、第1の期間に、(i)スクラビングされた第1の排気ガスSEG1又はその一部及び(ii)スクラビングされた第2の排気ガスSEG2又はその一部の両方が湿式ESP100に運ばれるように用いることができる。とりわけ、バルブ配置754、764は、第1の期間で、[A](i)スクラビングされた第1の排気ガスSEG1の一部のみ及び(ii)スクラビングされた第2の排気ガスSEG2の全ての両方又は[B](i)スクラビングされた第1の排気ガスSEG1の一部のみ及び(ii)スクラビングされた第2の排気ガスSEG2の一部のみの両方が湿式ESP100に運ばれるように用いることができる。後者については、スクラビングされた第1の排気ガスSEG1の一部のみが湿式ESP100で清浄される場合、湿式ESP100は、スクラビングされた第1の排気ガスSEG1の全てを清浄するように設計されている場合ほど大きい。そのような使用は、例えば海上で可能であり得る。
【0042】
第1のバルブ配置754及び第2のバルブ配置764は、例えば、第2の期間に、(i)スクラビングされた第1の排気ガスSEG1若しくはその一部又は(ii)スクラビングされた第2の排気ガスSEG2若しくはその一部のみが湿式ESP100に運ばれるように用いることができる。場合によっては、他の排気ガスの発生源をオフにされ得るか(例えば、燃焼機関810、820のうちの一方が動作していない)又はそのスクラビングされた排気ガスを配管の出口(752、762)を介して大気に直接排出される。
【0043】
第1のバルブ配置754及び第2のバルブ配置764は、例えば、第3の期間に、(i)スクラビングされた第1の排気ガスSEG1若しくはその一部又は(ii)スクラビングされた第2の排気ガスSEG2若しくはその一部のいずれも、湿式ESP100に運ばれないように用いることができる。場合によっては、他の排気ガスの発生源がオフにされ得るか(例えば、燃焼機関810、820のいずれも動作していない(例えば、停泊されている場合))又はスクラビングされた排気ガス又はその両方が配管の出口(752、762)を介して大気に直接放出される。そのため、第3の期間では、湿式ESP100は用いられない。これは、例えば海上で、スクラビングされた排気ガスSEG1、SEG2のさらなる清浄が必要ない場合に可能であり得る。
【0044】
湿式ESP100が用いられない場合、それはメンテナンスされ得る。前で詳述したように、船舶上及び海上では、湿式ESPは必ずしも用いられるとは限らない。湿式ESPのメンテナンスは、少なくとも清浄を含むことが好ましい。湿式ESPは洗浄液RSで清浄され得る。清浄は、湿式ESP100の電極210、220の一部、とりわけ、典型的には収集面210(例えば、より高い電位の電極)である、汚染物質を捕集する電極を清浄することを少なくとも含むことが好ましい。これらの理由から、配置900の一実施形態では、湿式電気集塵機100は、洗浄液RSを入れるための入口120と、洗浄液RSを用いて湿式電気集塵機100の電極210、220の少なくとも一部を洗浄するための手段122とを含む。手段122は、洗浄される電極に、例えば、少なくとも収集面210に洗浄液RSを噴霧するためのノズルを含み得る。このような手段122及び入口120は、例えば図2a、図2c及び図2dに示されている。
【0045】
図6を参照して、第1の排気ガスEG1と、第3の排気ガスEG3の一部とをスクラビングするために第1のスクラバー710を用いることも可能である。第3の排気ガスEG3は、第3の燃焼機関830で生成され得る。加えて(図6のように)又は代替的に(図示せず)、第2の排気ガスEG2と、第4の排気ガスEG4の一部とをスクラビングするために第2のスクラバー720を用いることができる。第4の排気ガスEG4は、第4の燃焼機関840で生成され得る。
【0046】
図7を参照して、湿式ESP100は、スクラビングされた第3の排気ガスSEG3の少なくとも一部を受け取るための第3の入口116を含み得る。スクラビングされた第3の排気ガスSEG3は、第3のスクラバー730から受け取られ得る。第3のスクラバー730は、第3の燃焼機関830の第3の排気ガスEG3をスクラビングするように構成され得る。図7に示されているように、この配置は、スクラビングされた第3の排気ガスSEG3の全て又はその一部のみを湿式ESP100内に運ぶか又は全く運ばず、スクラビングされた第3の排気ガスSEG3の全て又はその一部のみを他の場所に、例えば大気に運ぶか又は全く運ばないための第3のバルブ配置を含み得る。湿式ESP100が第3の入口116を含む場合、第1の入口112、第2の入口114及び第3の入口116は入口領域Z1内に配置される。この場合であっても、図7に示されていなくても、入口領域Z1の高さは前で詳述したように小さいことが好ましい。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配置を含む船舶であって、該配置は、
第1の燃焼機関と、
第2の燃焼機関と、
第1の湿式スクラバーであって、第1の排気ガスを受け取るための入口と、スクラビングされた第1の排気ガスを排出するための出口とを含み、該第1の湿式スクラバーは前記第1の排気ガスを脱硫及び清浄するように構成されている、第1の湿式スクラバーと、
前記第1の燃焼機関の第1の排気ガスを前記第1の湿式スクラバーの入口に運ぶように構成された第1の二次配管と、
第2の湿式スクラバーであって、第2の排気ガスを受け取るための入口と、スクラビングされた第2の排気ガスを排出するための出口とを含み、、該第2の湿式スクラバーは前記第2の排気ガスを脱硫及び清浄するように構成されている、第2の湿式スクラバーと、
前記第2の燃焼機関の第2の排気ガスを前記第2の湿式スクラバーの入口に運ぶように構成された第2の二次配管と、
電気集塵機であって、
スクラビングされた第1の排気ガスを受け取るための第1の入口と、スクラビングされた第2の排気ガスを受け取るための第2の入口とを備える入口領域と、
スクラビングされた排気ガスを電気集塵するための放電電極及び収集面であって、該放電電極及び収集面は、前記電気集塵機の集塵領域内に配置されている、放電電極及び収集面と、
清浄された排気ガスを排出するための出口と、
を含み、前記集塵領域は、前記電気集塵機の入口領域と出口との間に配置されている、電気集塵機と、
スクラビングされた第1の排気ガスを前記電気集塵機の第1の入口に運ぶように構成された第1の一次配管と、
スクラビングされた第2の排気ガスを前記電気集塵機の第2の入口に運ぶように構成された第2の一次配管と、
を含む船舶
【請求項2】
前記配置は、
前記第1の湿式スクラバー内で第1のスクラビング溶液を噴霧して、前記第1の排気ガスを該第1のスクラビング溶液に接触させることにより前記第1の排気ガスをスクラビングするための第1の循環部と、
前記第2の湿式スクラバー内で第2のスクラビング溶液を噴霧して、前記第2の排気ガスを該第2のスクラビング溶液に接触させることにより前記第2の排気ガスをスクラビングするための第2の循環部と、
を含み、
好ましくは、前記第1の循環部は前記第1のスクラビング溶液を冷却するための熱交換器を含む、請求項1に記載の船舶
【請求項3】
前記配置は、前記第1の湿式スクラバー内で第1のスクラビング溶液を噴霧して、前記第1の排気ガスを該第1のスクラビング溶液に接触させることにより前記第1の排気ガスをスクラビングするための第1の循環部を含み、
前記第1の循環部は、前記第2の湿式スクラバー内で第1のスクラビング溶液を噴霧して、前記第2の排気ガスを前記第1のスクラビング溶液に接触させることにより前記第2の排気ガスをスクラビングするのに適しており、
好ましくは、前記第1の循環部は前記第1のスクラビング溶液を冷却するための熱交換器を含む、請求項1に記載の船舶
【請求項4】
前記電気集塵機は、前記電気集塵機の下部に、前記電気集塵機から廃水を排出するための第2の出口を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の船舶
【請求項5】
前記第1の一次配管は、
スクラビングされた前記第1の排気ガスの一部を前記第1の一次配管から、前記電気集塵機以外の場所に排出するための第1の出口と、
スクラビングされた前記第1の排気ガスの少なくとも一部を前記第1の出口に運び、スクラビングされた前記第1の排気ガスの少なくも一部を前記電気集塵機の第1の入口に運ぶための第1のバルブ配置と、
を含み、
好ましくは、前記第2の一次配管は、
スクラビングされた前記第2の排気ガスの一部を前記第2の一次配管から、前記電気集塵機以外の場所に排出するための第2の出口と、
スクラビングされた前記第2の排気ガスの少なくとも一部を前記第2の出口に運び、スクラビングされた前記第2の排気ガスの少なくも一部を前記電気集塵機の第2の入口に運ぶための第2のバルブ配置と、
を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の船舶
【請求項6】
前記入口領域と前記集塵領域との間にある1つの穿孔板又は複数の穿孔板を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の船舶
【請求項7】
前記入口領域に、少なくとも、スクラビングされた前記第1の排気ガスを届けるように構成された第1の穿孔管を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の船舶
【請求項8】
前記電気集塵機は、
洗浄溶液を入れるための入口と、
前記洗浄溶液を用いて、前記電気集塵機の収集面及び/又は放電電極の少なくとも一部を洗浄するための手段と、
を含む、請求項1乃至のいずれか一項に記載の船舶
【請求項9】
少なくとも第1の排気ガス及び第2の排気ガスを清浄するための方法であって、当該方法は、
第1の燃焼機関で前記第1の排気ガスを生成することと、
前記第1の排気ガスを第1の湿式スクラバーに運ぶことと、
前記第1の湿式スクラバーで、前記第1の排気ガスを第1のスクラビング溶液と接触させることにより、前記第1の排気ガスをスクラビングして、スクラビングされた第1の排気ガスを生成することと、
第2の燃焼機関で前記第2の排気ガスを生成することと、
前記第2の排気ガスを第2の湿式スクラバーに運ぶことと、
前記第2の湿式スクラバーで、前記第2の排気ガスを第2のスクラビング溶液と接触させることにより、前記第2の排気ガスをスクラビングして、スクラビングされた第2の排気ガスを生成することと、
スクラビングされた前記第1の排気ガスの少なくとも一部を電気集塵機に運ぶことと、
スクラビングされた前記第2の排気ガスの少なくとも一部を前記電気集塵機に運ぶことと、
スクラビングされた前記第1の排気ガスの少なくとも一部及びスクラビングされた前記第2の排気ガスの少なくとも一部の両方を前記電気集塵機内で清浄して、清浄された排気ガスを生成することと、
を含み、
前記第1のスクラビング溶液は水及びアルカリを含み、
前記第2のスクラビング溶液は水及びアルカリを含み、
前記電気集塵機は船舶に配置されている、方法。
【請求項10】
前記第1の湿式スクラバーで、前記第1のスクラビング溶液を噴霧して前記第1のスクラビング溶液の液滴を形成し、前記第1の排気ガスを前記第1のスクラビング溶液の液滴に接触させることと、
前記第2の湿式スクラバーで、前記第2のスクラビング溶液を噴霧して前記第2のスクラビング溶液の液滴を形成し、前記第2の排気ガスを前記第2のスクラビング溶液の液滴に接触させることと、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第1の熱交換器を用いて、好ましくは、海水等の水を冷媒として用いて前記第1のスクラビング溶液を冷却することを含み、
好ましくは、前記第1のスクラビング溶液は淡水及びアルカリを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
第1の期間に、(i)スクラビングされた前記第1の排気ガス若しくはその一部及び(ii)スクラビングされた前記第2の排気ガス若しくはその一部の両方を、前記電気集塵機に運ぶこと、及び/又は
第2の期間に、(i)スクラビングされた前記第1の排気ガス若しくはその一部又は(ii)スクラビングされた前記第2の排気ガス若しくはその一部の一方のみを、前記電気集塵機に運ぶこと、及び/又は、
第3の期間に、(i)スクラビングされた前記第1の排気ガス若しくはその一部又は(ii)スクラビングされた前記第2の排気ガス若しくはその一部のいずれも、前記電気集塵機に運ばないこと、
を含む、請求項9又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の期間に、
[A](i)スクラビングされた前記第1の排気ガスの一部のみ及び(ii)スクラビングされた前記第2の排気ガスの全ての両方、又は
[B](i)スクラビングされた前記第1の排気ガスの一部のみ及び(ii)スクラビングされた前記第2の排気ガスの一部のみの両方
を前記電気集塵機に運ぶこと、及び/又は
前記第2の期間に、(i)スクラビングされた前記第1の排気ガスの一部のみ又は(ii)スクラビングされた前記第2の排気ガスの一部のみを前記電気集塵機に運ぶこと、及び/又は
前記第3の期間に、前記電気集塵機を洗浄溶液で洗浄すること、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
脱プルーミングガスを清浄された排気ガスと混合して清浄された排気ガスのプルームを低減することを含む、請求項9乃至13のいずれ一項に記載の方法。
【国際調査報告】