(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】エネルギーハーベスティング車両
(51)【国際特許分類】
H02S 10/40 20140101AFI20230712BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20230712BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230712BHJP
H02S 40/36 20140101ALI20230712BHJP
H01L 31/044 20140101ALI20230712BHJP
H02S 50/00 20140101ALI20230712BHJP
B60L 8/00 20060101ALI20230712BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20230712BHJP
B60L 58/13 20190101ALI20230712BHJP
B60K 16/00 20200101ALI20230712BHJP
【FI】
H02S10/40
H02J7/35 A
H02J7/00 P
H02S40/36
H01L31/04 520
H02S50/00
B60L8/00
B60L50/60
B60L58/13
B60K16/00 A ZHV
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577168
(86)(22)【出願日】2020-10-03
(85)【翻訳文提出日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 IN2020050851
(87)【国際公開番号】W WO2022003707
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】202041027422
(32)【優先日】2020-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521196110
【氏名又は名称】ティーヴィーエス モーター カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TVS MOTOR COMPANY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サーカー,モウミタ
(72)【発明者】
【氏名】プラミラ ラオ,エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ジャベッツ ディナガー,サムラジ
【テーマコード(参考)】
3D235
5F251
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235AA23
3D235BB34
3D235CC17
3D235DD34
3D235FF13
3D235HH12
3D235HH34
5F251BA05
5F251BA11
5F251BA18
5F251JA02
5F251JA08
5F251JA12
5F251KA02
5G503AA06
5G503BA01
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5G503FA06
5H125AA01
5H125AC09
5H125AC12
5H125BC12
5H125CD02
5H125DD01
5H125EE27
5H125EE41
5H125EE51
5H125EE53
5H125EE55
5H125EE61
(57)【要約】
電気エネルギーを生成するための車両パネル(102a、102c)に接続されたエネルギーハーベスティング構造(103)を備えるエネルギーハーベスティング車両(102)が開示される。エネルギーハーベスティング構造(103)は、異なる期間にわたって入射光を受ける所定数の表面(301、302、303)を備える。これらの表面(301、302、303)のうちの少なくとも1つは、入射光を集光するためのソーラユニット(304、305、306)を備える。表面(301、302、303)の領域に位置決めされた所定数のソーラユニット(304、305、306)は、集光された入射放射に基づいて、エネルギーハーベスティング構造(103)が電気エネルギーを生成する際の損失を低減するために直列接続または並列接続で互いに接続される。さらに、エネルギーハーベスティング構造(103)の効率を最大化するために駐車位置においてエネルギーハーベスティング車両(102)を駐車する最適な向きを決定する方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーハーベスティング車両(102)であって、
複数の車両パネル(102a、102b、102c)と、
前記複数の車両パネルのうちの少なくとも2つ(102a、102c)に接続された、電気エネルギーを生成するためのエネルギーキャノピ(103)と、を備え、
前記エネルギーキャノピ(103)は、複数の期間にわたって入射光を受ける所定数の表面(301、302、303)を備え、
前記所定数の表面(301、302、303)のうちの少なくとも1つは、前記入射光を集光するためのソーラユニット(304、305、306)を備え、
前記所定数の表面(301、302、303)の領域に位置決めされた所定数のソーラユニット(304、305、306)は、前記入射光の集光の強化によって前記エネルギーキャノピ(103)のエネルギー変換効率を改善するために直列接続及び並列接続の一方で互いに接続される、
エネルギーハーベスティング車両(102)。
【請求項2】
前記所定数の表面(301、302、303)のそれぞれの前記ソーラユニット(304、305、306)は、1つ又は複数のソーラアレイ(401、402、403)を備える、請求項1に記載のエネルギーハーベスティング車両(102)。
【請求項3】
前記1つ又は複数のソーラアレイ(401、402、403)の各ソーラアレイ(401、402、403)は、直列に電気的に接続された複数の太陽電池(401a、402a、403a)を備える、請求項2に記載のエネルギーハーベスティング車両(102)。
【請求項4】
前記ソーラユニット(304、305、306)の前記1つ又は複数のソーラアレイ(401、402、403)は、互いに直列に電気的に接続されている、請求項2に記載のエネルギーハーベスティング車両(102)。
【請求項5】
前記所定数の表面(301、302、303)のうちの前記少なくとも1つは、異なる曲率半径を有して前記エネルギーキャノピ(103)を形成する、請求項1に記載のエネルギーハーベスティング車両(102)。
【請求項6】
前記所定数のソーラユニット(304、305、306)を位置決めするための前記所定数の表面(301、302、303)は、前記入射光の入射角、前記所定数の表面(301、302、303)のそれぞれの曲率半径、遮光状態、及び塵の状態に基づいて選択される、請求項1に記載のエネルギーハーベスティング車両(102)。
【請求項7】
前記エネルギーキャノピ(103)は、各表面の入射光強度、暦情報、気象データ、前記表面上の塵の蓄積、及び前記表面の曲率のうちの1つ又は複数に基づいて前記所定数の表面(301、302、303)の各ソーラユニット(304、305、306)をバイパスするバイパスユニットをさらに備える、請求項1に記載のエネルギーハーベスティング車両(102)。
【請求項8】
磁極に対する前記エネルギーハーベスティング車両(102)の瞬間的な向きを決定するための少なくとも1つの第1のセンサ(109)をさらに備える、請求項1に記載のエネルギーハーベスティング車両(102)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1のセンサ(109)は、磁気コンパス、ホールセンサ、加速度計、太陽センサ、位置センサ、ロケーションセンサ、及びそれらの任意の組合せのうちの1つである、請求項8に記載のエネルギーハーベスティング車両(102)。
【請求項10】
前記ソーラユニット(304、305、306)が設置された前記エネルギーキャノピ(103)の前記表面(301、302、303)を識別するための少なくとも1つの第2のセンサ(110)をさらに備える、請求項1に記載のエネルギーハーベスティング車両(102)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第2のセンサ(110)は、曲率センサ、荷重センサ、圧力センサ、及びそれらの任意の組合せのうちの1つである、請求項10に記載のエネルギーハーベスティング車両(102)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第2のセンサ(110)は、塵が蓄積した前記エネルギーキャノピ(103)の前記表面(301、302、303)を識別する、請求項10に記載のエネルギーハーベスティング車両(102)。
【請求項13】
前記所定数のソーラユニット(304、305、306)のそれぞれの遮光状態に基づいて駐車位置における前記エネルギーハーベスティング車両(102)の最適な向きを決定して勧告する駐車制御装置(107)をさらに備える、請求項1に記載のエネルギーハーベスティング車両(102)。
【請求項14】
前記エネルギーハーベスティング(102)のユーザに前記エネルギーハーベスティング(102)を前記最適な向きで駐車するように通知するための表示インタフェース及び音声インタフェースのうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項13に記載のエネルギーハーベスティング車両(102)。
【請求項15】
電気エネルギーを生成するエネルギーハーベスティング構造(103)であって、
複数の期間にわたって入射光を受ける所定数の表面(301、302、303)と、
前記所定数の表面(301、302、303)のうちの少なくとも1つの領域に位置決めされた、前記入射光を集光するためのソーラユニット(304、305、306)と、
前記入射光の集光の強化によって前記エネルギーハーベスティング構造(103)のエネルギー変換効率を改善するために前記所定数の表面(301、302、303)上の所定数のソーラユニット(304、305、306)を直列接続及び並列接続の一方で互いに電気的に接続する複数の配線要素(404、502)と、
を備える、エネルギーハーベスティング構造(103)。
【請求項16】
前記所定数の表面(301、302、303)のうちの前記少なくとも1つの前記ソーラユニット(304、305、306)は、1つ又は複数のソーラアレイ(401、402、403)を備える、請求項15に記載のエネルギーハーベスティング構造(103)。
【請求項17】
前記1つ又は複数のソーラアレイ(401、402、403)の各ソーラアレイ(401、402、403)は、直列に電気的に接続された複数の太陽電池(401a、402a、403a)を備える、請求項16に記載のエネルギーハーベスティング構造(103)。
【請求項18】
前記ソーラユニット(304、305、306)の前記1つ又は複数のソーラアレイ(401、402、403)は、互いに直列に電気的に接続されている、請求項17に記載のエネルギーハーベスティング構造(103)。
【請求項19】
前記所定数の表面(301、302、303)のうちの前記少なくとも1つは、異なる曲率半径を有して前記エネルギーハーベスティング構造(103)を形成する、請求項18に記載のエネルギーハーベスティング構造(103)。
【請求項20】
前記所定数のソーラユニット(304、305、306)を位置決めするための前記所定数の表面(301、302、303)は、前記入射光の入射角、前記所定数の表面(301、302、303)のそれぞれの曲率半径、遮光状態、及び塵の状態に基づいて選択される、請求項15に記載のエネルギーハーベスティング構造(103)。
【請求項21】
各表面の入射光強度、暦情報、気象データ、前記表面上の塵の蓄積、及び前記表面の曲率のうちの1つ又は複数に基づいて前記所定数の表面(301、302、303)の各ソーラユニット(304、305、306)をバイパスするバイパスユニットをさらに備える、請求項15に記載のエネルギーハーベスティング構造(103)。
【請求項22】
駐車位置においてエネルギーハーベスティング構造(103)を備えるエネルギーハーベスティング車両(102)を駐車する最適な向きを決定する方法であって、前記エネルギーハーベスティング構造(103)は、
複数の期間にわたって入射光を受ける所定数の表面(301、302、303)と、
前記所定数の表面(301、302、303)のうちの少なくとも1つに位置決めされた、前記入射光を集光するためのソーラユニット(304、305、306)と、
前記入射光の集光の強化によって前記エネルギーキャノピ(103)のエネルギー変換効率を改善するために前記所定数の表面(301、302、303)上の所定数のソーラユニット(304、305、306)を直列接続および並列接続の一方で互いに電気的に接続する複数の配線要素(404、502)と、を備え、
前記方法は、
前記エネルギーハーベスティング車両(102)の少なくとも1つの第1のセンサ(109)によって、磁極に対する前記エネルギーハーベスティング車両(102)の瞬間的な向きを決定するステップと、
前記エネルギーハーベスティング車両(102)の少なくとも1つの第2のセンサ(110)によって、前記ソーラユニット(304、305、306)が設置された前記エネルギーハーベスティング構造(103)の前記表面(301、302、303)を識別するステップと、
前記エネルギーハーベスティング車両(102)の駐車制御装置(107)によって、前記磁極に対する前記エネルギーハーベスティング車両(102)の前記瞬間的な向きおよび前記ソーラユニット(304、305、306)を備える前記識別された表面(301、302、303)を分析し、前記駐車位置において最小数の表面(301、302、303)が遮光状態になる最適な向きを決定するステップと、
前記駐車制御装置(107)によって、所定の閾値を用いて、前記瞬間的な向きと、前記決定した最適な向きとを比較するステップと、
前記駐車制御装置(107)によって、前記現在の向きと前記決定した最適な向きの比較に基づいて、前記エネルギーハーベスティング車両(102)を前記決定した最適な向きで駐車するように前記エネルギーハーベスティング車両(102)のユーザに通知するステップと、
を含む、方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの第1のセンサ(109)は、磁気コンパス、ホールセンサ、加速度計、太陽センサ、位置センサ、ロケーションセンサ、及びそれらの任意の組合せのうちの1つである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの第2のセンサ(110)は、曲率センサ、荷重センサ、圧力センサ、及びそれらの任意の組合せのうちの1つである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記駐車制御装置(107)によって、当日についての暦情報を受信し、前記磁極に対する前記エネルギーハーベスティング車両(102)の前記瞬間的な向きを分析するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記駐車制御装置(107)は、前記エネルギーハーベスティング車両(102)および前記ユーザが所有するユーザデバイスのうちの一方の表示インタフェース及び音声インタフェースのうちの一方で、前記エネルギーハーベスティング車両(102)の前記ユーザに通知を行う、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つの第2のセンサ(110)は、塵が蓄積した前記エネルギーハーベスティング構造(103)の前記表面(301、302、303)を識別する、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記駐車制御装置(107)によって、前記エネルギーハーベスティング構造103の効率を向上させるために、塵が蓄積した前記識別した表面を洗浄するように前記ユーザに通知するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記駐車制御装置(107)によって、前記エネルギーハーベスティング構造(103)を使用して充電されるエネルギー蓄積モジュールの所望の充電状態を得るための前記エネルギーハーベスティング車両(102)の向きの頻繁な調整についての定期警告を生成するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記駐車制御装置(107)によって、前記少なくとも1つの第1のセンサ(109)及び前記少なくとも1つの第2のセンサ(110)のセンサデータと、所与の移動中に前記エネルギーハーベスティング車両(102)を前記瞬間的な向きで駐車する推定時間間隔についてのユーザ入力とに基づいて、エネルギー蓄積モジュールの充電状態および前記エネルギーハーベスティング車両(102)の走行可能距離を計算するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記駐車制御装置(107)によって、前記エネルギーハーベスティング車両(102)の所望の走行可能距離のために前記エネルギーハーベスティング構造(103)を用いて前記エネルギー蓄積モジュールを完全に充電するために必要な時間について計算を行い、前記ユーザに通知するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ユーザが立ち往生することを防止するために、前記駐車制御装置(107)によって、前記エネルギー蓄積モジュールの不十分な充電について前記ユーザに警告するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光起電力デバイスに関する。さらに詳細には、車上エネルギー生成のためのエネルギーハーベスティング構造を備えるエネルギーハーベスティング車両を開示する。
【背景技術】
【0002】
ソーラパネルなどの光起電力デバイスは、現代及び将来において世界が直面する可能性が高いエネルギー危機に対処するための実施可能な解決策である。ソーラパネルは、車両、調理、暖房など、多数の商業及び家庭の応用分野でエネルギー源として利用される。車両のソーラパネルは、効率が低く剛性が高いので、過去にはそれほど商業利用されていない。しかし、近年になって効率が向上し、ソーラパネルは、現在は効率を失わずに半硬質にすることができる。これにより、ソーラパネルは、車上エネルギー生成に非常に適するようになっている。太陽光集光器は、通常は、車両の屋根、ドア、キャノピ、車体パネルなどに取り付けられる。
【0003】
太陽光集光器は、車両のキャノピ又は屋根に配置されたときには、日光の下でエネルギーを生成するために利用可能な大きな面積を有することができる。しかし、バス/トラック/列車など、屋根の上に大きな平坦領域を有する大型車両以外、四輪車、三輪車又は二輪車などの小型車両は、屋根の上に十分な平坦領域を有していない。その結果として、ソーラパネルは、車両のエネルギー要件を満たすために、平坦ではない表面にも取り付けられることになる。例えば、自動車では、ソーラパネルを取り付けるために屋根、フロント/リアボンネット、ドアなど複数の領域を使用することができるが、スクータの場合は、車両の上のキャノピが、太陽光集光器の取付けに使用される可能性が最も高くなる。これにより、そこに配置されたソーラモジュールは、キャノピ/屋根の形状および太陽の位置に対する向きに応じて様々なレベルの照明を受けることになる。ソーラパネルは、部分的に遮光されたり、部分的に塵が積もったりすることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ソーラパネルは、直列に接続された太陽電池のストリングを有する。しかし、このストリング上の電池の構成は、ソーラパネルが取り付けられることになる屋根/キャノピの形状および向きを考慮することなく、製造業者側で一般的な方法で行われたものである。太陽電池が直列に接続されたこのようなソーラパネルが様々なレベルの照明/塵の蓄積にさらされると、大きな電力損失が生じる。これにより、ソーラパネルの機能が悪影響を受けるので、車両に取り付けられたソーラモジュールの様々な部分の照明が不均一であることによって生じる電力損失を低減するために、カスタマイズされたソーラモジュールの設計および接続が必要とされている。ソーラパネルの一部分が遮光されると、その部分の太陽電池で生成される電流は、照明レベルに比例して減少する。直列接続であることにより、電流が最低の太陽電池が、ソーラパネル全体の電流を決定する。ソーラパネルの1つの太陽電池が遮光されるだけでも、ソーラパネル全体の電力が完全に失われることになり、ソーラパネルの効率が低下する。
【0005】
既存の大規模太陽電池製造ユニットでは、太陽電池、バイパスダイオード、パワーエレクトロニクスなどの様々な架線構成などの様々な手段によって、ソーラパネルのレベルにおける部分的な遮光による損失を低減するための必要な措置が講じられている。しかし、ソーラパネルが車両の屋根に設置されたときに、その1つのソーラパネルは、車両の屋根又はキャノピの形状に応じて部分的な遮光または部分的な塵の蓄積にさらされることがある。したがって、部分的な遮光及び塵の蓄積による損失を軽減するためには、太陽電池のレベルで構成の変更を行う必要がある。
【0006】
さらに、車両が駐車され、ソーラパネルが活発にエネルギーを生成しているときには、エネルギー出力を最大限にするために車両を駐車することができる最適な方向がある。この最適な方向は、ソーラパネル内の太陽電池間の電気的接続、地球の磁極の方向、またさらに空にある太陽の位置または街灯などの任意の人工光源の位置によって決まる。ほとんどの大規模ソーラパネルは、トラッカを使用して、常に例えば太陽などの光源に向いているようにソーラパネルを動かす。このトラッカは、ソーラパネルを単一の軸または複数の軸で動かす、大部分が機械のシステムである。ただし、この構成は、コストがかかり、重量が重く、スペースを占めるので、車両では実現不可能であることもある。したがって、エネルギー出力を最大限にするための車両を駐車する最適な方向を車両のユーザに知らせて、彼/彼女がその入力に基づいて駐車方向を調節することができるようにする方法が必要とされている。
【0007】
したがって、ソーラパネルが取り付けられる表面の構造および向きに基づいてエネルギーハーベスティング車両搭載型ソーラパネルの部分的な遮光および部分的な塵の蓄積による損失を軽減するための電池レベルのカスタム化が必要とされている。さらに、太陽光集光器が効率的に機能して既知の技術の上記に開示した全ての問題及びその他の問題を克服するようにエネルギーハーベスティング車両のユーザがエネルギーハーベスティング車両を駐車するのを補助する方法も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、エネルギーキャノピなどのエネルギーハーベスティング構造を備えるエネルギーハーベスティング車両を開示する。エネルギーハーベスティング車両は、複数の車両パネルを備え、エネルギーキャノピは、電気エネルギーを生成するために、この複数の車両パネルのうちの少なくとも2つに接続される。エネルギーキャノピは、複数の期間にわたって入射光を受ける所定数の表面を備える。所定数の表面のうちの少なくとも1つは、入射光を集光するためのソーラユニットを備える。また、この所定数の表面の領域に位置決めされた所定数のソーラユニットは、互いに直列接続または並列接続で接続され、入射光の集光の強化によってエネルギーキャノピのエネルギー変換効率を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】エネルギーキャノピを備えるエネルギーハーベスティング車両を例示的に示す概略図である。
【
図2】エネルギーキャノピを備えるエネルギーハーベスティング車両を例示的に示す斜視図である。
【
図3】識別した表面を有するエネルギーキャノピを例示的に示す平面図である。
【
図4】エネルギーキャノピのソーラユニット間の電気的接続を例示的に示す概略図である。
【
図5A】エネルギーキャノピのソーラユニット間の電気的接続を示す、エネルギーキャノピを例示的に示す概略図である。
【
図5B】エネルギーキャノピのソーラユニット間の電気的接続を示す、エネルギーキャノピを例示的に示す概略図である。
【
図6A】生成されるエネルギーの損失を低減するために、1日のうちの様々な時間にエネルギーキャノピが太陽の下にあるエネルギーハーベスティング車両の駐車を例示的に示す概略図である。
【
図6B】生成されるエネルギーの損失を低減するために、1日のうちの様々な時間にエネルギーキャノピが太陽の下にあるエネルギーハーベスティング車両の駐車を例示的に示す概略図である。
【
図7】駐車位置でエネルギーハーベスティング車両を駐車する最適な向きを決定する方法を例示的に示す流れ図である。
【
図8】ユーザデバイスまたはエネルギーハーベスティング車両の視覚表示インタフェースを例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照して、詳細に説明する。全ての図面において、同じ特徴および構成要素には、同じ番号が用いられている。
【0011】
所定数の表面のそれぞれのソーラユニットは、1つ又は複数のソーラアレイを備える。各ソーラアレイは、直列に電気的に接続された複数の太陽電池を備える。ソーラユニットの1つまたは複数のソーラアレイは、互いに直列に電気的に接続される。所定数の表面のそれぞれは、異なる曲率半径を有する。ソーラユニットは、エネルギーキャノピの所定数の表面のそれぞれの全域又は部分的領域を覆う。所定数のソーラユニットを位置決めするための所定数の表面は、入射光の入射角、所定数の表面のそれぞれの曲率半径、駐車位置、遮光状態、及び塵の状態に基づいて選択される。エネルギーキャノピは、各表面の入射光強度、暦情報、気象データ、表面上の塵の蓄積、及び表面の曲率のうちの1つ又は複数に基づいて所定数の表面の各ソーラユニットをバイパスするためのバイパスユニットをさらに備える。
【0012】
エネルギーハーベスティング車両は、磁極に対するエネルギーハーベスティング車両の瞬間的な向きを決定するための少なくとも1つの第1のセンサをさらに備える。エネルギーハーベスティング車両は、ソーラユニットが設置されたエネルギーキャノピの表面を識別するための少なくとも1つの第2のセンサをさらに備える。実施形態では、少なくとも1つの第2のセンサは、塵が蓄積したエネルギーキャノピの表面を識別する。
【0013】
エネルギーハーベスティング車両は、所定数のソーラユニットのそれぞれの遮光状態に基づいて駐車位置におけるエネルギーハーベスティング車両の最適な向きを決定して勧告するための駐車制御装置をさらに備える。エネルギーハーベスティング車両は、駐車制御装置によって知らされる車両を駐車するための最適な向きをユーザに通知するための表示インタフェース及び音声インタフェースのうちの少なくとも1つをさらに備える。
【0014】
別の実施形態では、電気エネルギーを生成するエネルギーハーベスティング構造が開示される。エネルギーハーベスティング構造は、入射光の集光の強化によってエネルギーハーベスティング構造のエネルギー変換効率を改善するために、複数の期間にわたって入射光を受ける所定数の表面と、所定数の表面のうちの少なくとも1つの領域に位置決めされた、入射光を集光するソーラユニットと、所定数の表面上の所定数のソーラユニットを互いに直列接続又は並列接続で電気的に接続する複数の配線要素とを備える。所定数の表面のうちの少なくとも1つは、エネルギーハーベスティング構造を形成する異なる曲率半径を有する。
【0015】
エネルギーハーベスティング構造は、各表面の入射光強度、暦情報、気象データ、表面上の塵の蓄積、及び表面の曲率のうちの1つ又は複数に基づいて所定数の表面の各ソーラユニットをバイパスするためのバイパスユニットをさらに備える。所定数の表面のうちの少なくとも1つのソーラユニットは、1つ又は複数のソーラアレイを備える。各ソーラアレイは、直列に電気的に接続された複数の太陽電池を備える。ソーラユニットの1つ又は複数のソーラアレイは、互いに直列に電気的に接続される。
【0016】
別の実施形態では、駐車位置においてエネルギーハーベスティング構造を備えるエネルギーハーベスティング車両を駐車する最適な向きを決定する方法が開示される。この方法は、エネルギーハーベスティング車両の少なくとも1つの第1のセンサによって、磁極に対する前記エネルギーハーベスティング車両の瞬間的な向きを決定するステップと、エネルギーハーベスティング車両の少なくとも1つの第2のセンサによって、ソーラユニットを有するエネルギーハーベスティング構造の表面を識別するステップと、を含む。第1のセンサは、磁気コンパス、ホールセンサ、加速度計、太陽センサ、位置センサ、ロケーションセンサ、およびそれらの任意の組合せのうちの1つである。第2のセンサは、曲率センサ、荷重センサ、圧力センサ、及びそれらの任意の組合せのうちの1つである。さらに、この方法は、エネルギーハーベスティング車両の駐車制御装置によって、磁極に対するエネルギーハーベスティング車両の瞬間的な向きおよびソーラユニットを有する識別された表面を分析し、駐車位置において最小数の表面が遮光状態になる最適な向きを決定するステップを含む。この方法は、さらに、磁極に対するエネルギーハーベスティング車両の現在の向きを分析するために、駐車制御装置によって、当日についての暦情報を受信するステップをさらに含む。
【0017】
さらに、この方法は、駐車制御装置によって、所定の閾値を用いて、瞬間的な向きと、決定した最適な向きとを比較するステップと、駐車制御装置によって知らされる決定された最適な向きでエネルギーハーベスティング車両を駐車するようにエネルギーハーベスティング車両のユーザに通知するステップと、を含む。駐車制御装置は、エネルギーハーベスティング車両およびユーザが所有するユーザデバイスのうちの一方の表示インタフェース及び音声インタフェースのうちの一方で、エネルギーハーベスティング車両のユーザに通知を行う。
【0018】
少なくとも1つの第2のセンサは、塵が蓄積したエネルギーハーベスティング構造の表面を識別する。この方法は、駐車制御装置によって、エネルギーハーベスティング構造の効率を向上させるために、塵が蓄積した識別した表面を洗浄するようにユーザに通知するステップを含む。実施形態では、この方法は、駐車制御装置によって、エネルギーハーベスティング構造を使用して充電されるエネルギー蓄積モジュールの所望の充電状態を得るためのエネルギーハーベスティング車両の向きの頻繁な調整についての定期警告を生成するステップをさらに含む。
【0019】
この方法は、駐車制御装置によって、少なくとも1つの第1のセンサ及び少なくとも1つの第2のセンサのセンサデータと、所与の移動中にエネルギーハーベスティング車両を上記の瞬間的な向きで駐車する推定時間間隔についてのユーザ入力とに基づいて、エネルギー蓄積モジュールの充電状態及びエネルギーハーベスティング車両の走行可能距離を計算するステップをさらに含む。この方法は、駐車制御装置によって、計算を行い、エネルギーハーベスティング車両の所望の走行可能距離のためにエネルギーハーベスティング構造を用いてエネルギー蓄積モジュールを完全に充電するために必要な時間についてユーザに通知するステップをさらに含む。この方法は、ユーザが立ち往生することを防止するために、駐車制御装置によって、エネルギー蓄積モジュールの不十分な充電についてユーザに警告するステップをさらに含む。
【0020】
図1は、エネルギーキャノピ103を備えるエネルギーハーベスティング車両102を例示的に示す概略図である。本明細書で用いられる「エネルギーハーベスティング車両」とは、光起電力デバイスを利用して電気を生成することができる車両を指す。光起電力デバイスは、光起電力効果を用いて入射光を電気に変換する。入射光は、太陽からのものである、すなわち太陽放射であることもあるし、街灯などの光源からの光であることもある。光起電力デバイスは、太陽電池である。したがって、エネルギーハーベスティング車両102は、太陽放射を集光する車両に限定されず、入射光を集光して電気に変換する任意のエネルギーハーベスティング車両を含み得る。ただし、説明のために、
図1~
図8では、エネルギーハーベスティング車両102は、日中の太陽の位置を基準として太陽放射を集光するものとして説明する。実施形態では、エネルギーハーベスティング車両102は、夜間も動作して、例えば街灯の光など、夜間の任意の入射光によるエネルギー生成を最大限に高める。エネルギーキャノピ103は、エネルギーハーベスティング車両102のエネルギーハーベスティング構造である。エネルギーキャノピ103は、日中及び夜間の両方で、太陽及び/又は街灯からの入射放射を集光する。エネルギーキャノピ103の上空の日中の太陽101の経路を示す。エネルギーキャノピ103は、
図2~
図3の詳細な説明で開示するソーラユニット(図示せず)を取り付けるための複数の表面を備える。各ソーラユニットは、複数の太陽電池を備える。エネルギーキャノピ103に取り付けられた複数の太陽電池(図示せず)は、入射太陽放射を集光し、電気を生成する。生成された電気は、車両を駆動し、エネルギーハーベスティング車両102内のヘッドランプ、ウィンカー、充電電池などの補助器具に給電するために使用される。ここに図示されるエネルギーハーベスティング車両102は2輪車両であるが、2輪車両に限定されない。エネルギーハーベスティング車両102は、3輪車量、4輪車両、サドル型車両、ステップスルー車両などであることもある。3輪エネルギーハーベスティング車両又は4輪エネルギーハーベスティング車両は、エネルギーハーベスティング車両102の屋根に加えてエネルギーキャノピ103を含むことがある。実施形態では、エネルギーキャノピ103上に取り付けられた太陽電池は、3輪又は4輪エネルギーハーベスティング車両102の屋根、ドア、ボンネット、サイドパネル、リアパネルに直接取り付けられることがある。実施形態では、エネルギーハーベスティング車両102は、内燃機関によって駆動される車両であることもあり、この場合には、エネルギーキャノピ103は、車両の補助器具に給電するために使用される。実施形態では、エネルギーハーベスティング車両102は、電気車両、ハイブリッド車両、又はプラグインハイブリッド車両であり、この場合には、エネルギーキャノピ103は、車両の補助器具の駆動及び/又は給電に使用される。
【0021】
例示的に図示するように、日中に太陽が東から西に移動することにより、エネルギーキャノピ103の異なる部分は、日中に異なる期間にわたって異なる量の太陽放射を受ける。エネルギーキャノピ103は、1日のうちの任意の所与の時点でその長さに沿って不均一な量の太陽放射を受ける。1日のうちにエネルギーキャノピ103のこれらの部分に形成される陰により、これらの部分の太陽電池は、所望の電圧出力を生成しないことがある。エネルギーキャノピ103の特定の部分には、日中に長時間使用された後で、又はエネルギーキャノピを備えるエネルギーハーベスティング車両が長時間の遊休状態にあるときには塵が蓄積することもあり、所望の電圧出力を生成しないことがある。このようにして、エネルギーキャノピ103の最大出力電圧が低下し、エネルギーハーベスティング車両102が効率的に機能しないことがある。この問題を克服するために、
図2~
図6の詳細な説明で説明するように、エネルギーキャノピ103の異なる部分を識別し、それらの異なる部分の太陽電池間の電気接続を改変して、エネルギーハーベスティング車両102のエネルギー損失を低減する。
【0022】
図2は、エネルギーキャノピ103を備えるエネルギーハーベスティング車両102を例示的に示す斜視図である。エネルギーハーベスティング車両102は、サイドパネル102b、リアパネル102c、フロントパネル102aなど、複数の車両パネルを備える。エネルギーキャノピ103は、少なくとも2つの車両パネルに接続される。例示的に図示するように、実施形態によるエネルギーキャノピ103は、エネルギーハーベスティング車両102のフロントパネル102a及びリアパネル102cに接続される。エネルギーキャノピ103は、フロントパネル102aからリアパネル102cに延び、エネルギーハーベスティング車両102の全長を覆う、王冠型である。エネルギーキャノピ103の形状は、長方形、アーチ形、半円形、正方形などであることがある。エネルギーキャノピは、複数の平坦表面、又は異なる曲率半径を有するアーチ形表面に分割されることがある。実施形態では、表面の曲率は、車両パネルの幾何学的形状と一致することがある。エネルギーキャノピ103は、この複数の平坦又はアーチ形の表面の中から、異なる期間にわたって入射太陽放射を受ける所定数の表面を備える。エネルギーキャノピ103の全ての表面のうち、この所定数の表面のみが、入射太陽放射を受ける。この所定の表面のうち、一部の表面が、太陽の遮光や塵の蓄積などが最小限又は全くない状態で、日中のほとんどの時間を通じて太陽放射を受けることになる。これらの表面を識別して、ソーラユニットを取り付ける。各ソーラユニットは、直列に接続された複数の電池を備える。ここで、王冠型のエネルギーキャノピ103では、アーチ形表面の数は、7と特定される。
【0023】
1つ又は複数の表面でエネルギーキャノピ103の一部分を形成し、エネルギーキャノピ103は、複数のこのような部分を有することがある。例示的に図示するように、エネルギーキャノピの3つの異なる部分は、フロント部分104、トップ部分105、リア部分106である。太陽がまだ東の空の低いところにある日中の早い時間には、車両の前部が
図1に示すように東方向を向いている状態では、エネルギーキャノピ103のフロント部分104のみが実質的に直交する入射太陽光が完全に照射される。一方、エネルギーキャノピ103のトップ部分105は、部分的に、又は弱く照射され、エネルギーキャノピ103のリア部分106は、完全に陰になっている。同様に、太陽が中空にある正午頃には、エネルギーキャノピ103のトップ部分105は完全に照射されるが、フロント部分104及びリア部分106は、部分的又は完全に遮光される。太陽が西にある午後の遅い時間には、リア部分106は完全に照射されるが、トップ部分105及びフロント部分104は、部分的又は完全に遮光される。エネルギーキャノピ103は、3つの部分104、105、および106に分割され、そのそれぞれが、太陽放射が入射する異なる平面を有する。
【0024】
また、フロント部分104においてエネルギーキャノピ103の曲率半径が異なることにより、フロント部分104は、3つの表面104a、104b、及び104cに分割される。同様に、リア部分106内では、エネルギーキャノピ103の曲率半径が異なることにより、リア部分106は、3つの表面106a、106b、及び106cに分割される。トップ部分105は、表面105aのみを有する。この王冠型のエネルギーキャノピ103では、表面の数は7である。
【0025】
また、エネルギーキャノピ103の各部分の入射太陽放射を受ける所定数の表面は、入射光の入射角、駐車位置、遮光状態、及び塵の状態に基づいて選択される。エネルギーハーベスティング車両102が、リア部分106及びトップ部分105にカバーがかけられた状態で駐車位置に駐車され、フロント部分104のみが太陽放射にさらされている場合には、7つの表面のうち、フロント部分104の表面104a、104b、及び104cのみが、ソーラユニットを取り付けるために識別される。同様に、リア部分106及びフロント部分104のみがきれいであり、トップ部分105には塵が積もっている場合には、7つの表面のうち、フロント部分104及びリア部分106の表面104a、104b、104c、106a、106b、および106cのみが、ソーラユニットを取り付けるために識別される。ただし、ソーラユニットは、表面104a、104b、104c、106a、106b、及び/又は106c上など、これらの表面のうちの少なくとも1つに取り付けられる可能性がある。
【0026】
図3~
図6の説明を簡潔にするために、エネルギーキャノピ103のフロント部分104の3つの表面104a、104b、及び104cは、それらが実質的に同じ太陽放射の入射向きであることを考慮して、まとめて単一の表面301と表す。同じ理由で、エネルギーキャノピ103のリア部分106の3つの表面106a、106b、及び106cも、それらが実質的に同じ太陽放射の入射向きであることを考慮して、まとめて単一の表面303と表す。トップ部分105の表面105aは、302と表す。3つの表面301、302、及び303は、ソーラユニットを設置するために選択される。3つの表面301、302、及び/又は303のうちの少なくとも1つに、ソーラユニットが設置される。
図3に例示的に図示するように、表面301、302、及び303のそれぞれは、
図3の詳細な説明で述べるように、それぞれ入射太陽放射を集光するソーラユニット304、305、及び306を備える。
【0027】
エネルギーハーベスティング車両102は、磁極に対するエネルギーハーベスティング車両102の瞬間的な向きを決定するための1つ又は複数の第1のセンサ109をさらに備える。第1のセンサ109は、磁気コンパス、ホールセンサ、加速度計、太陽センサ、位置センサ、及び/又はロケーションセンサのうちの1つ又は複数である。第1のセンサ109は、磁極、すなわち地球の北極及び南極を決定する。北極および南極を基準として、第1のセンサ109は、エネルギーハーベスティング車両102の現在の向きや、全地球測位システム(GPS)が連携するときのエネルギーハーベスティング車両102の現在位置などを決定する。
【0028】
エネルギーハーベスティング車両102は、ソーラユニットが設置されたエネルギーキャノピ103の表面を決定する1つ又は複数の第2のセンサ110をさらに備える。エネルギーキャノピ103の識別された表面104a、104b、104c、105a、106a、106b、及び106cのうちの1つまたは複数が、太陽電池が設置されたソーラユニットを有することがある。第2のセンサ110は、曲率センサ、荷重センサ、及び/又は圧力センサのうちの1つ又は複数である。第2のセンサ110は、エネルギーキャノピ103の表面の重量を決定するために、エネルギーキャノピ103の内側表面に設置されることもある。第2のセンサ110は、ソーラユニットが設置されたエネルギーキャノピ103の表面を識別するために、フロント部分104、トップ部分105、及びリア部分106の内側表面に設置されることもある。荷重センサ又は圧力センサは、ソーラユニットが設置された表面を決定するために、エネルギーキャノピ103の表面104a、104b、104c、105a、106a、106b、及び106cの重量を測定することがある。荷重センサは、予め分かっている重量の測定値からの表面の重量の増加に基づいて塵が蓄積したソーラユニットを有する表面を決定することもある。曲率センサは、曲率半径に基づいて、部分104、105、及び106の、設置されたソーラユニットを発見する可能性が高い1つまたは複数の表面104a、104b、104c、105a、106a、106b、106cを識別することがある。
【0029】
エネルギーハーベスティング車両102は、エネルギーキャノピ103の表面104a、104b、104c、105a、106a、106b、及び106cに設置されたソーラユニットの太陽電池の遮光状態に基づいて駐車位置におけるエネルギーハーベスティング車両102の最適な向きを決定して勧告する駐車制御装置107をさらに備える。駐車制御装置107は、第1のセンサ109及び第2のセンサ110からのセンサデータを利用して、太陽電池の遮光状態を決定する。駐車制御装置107は、エネルギーハーベスティング車両102のソーラ充電器制御装置の一部であることもある。エネルギーキャノピ103のソーラ出力が最大になる最適な方向は、最大数の太陽電池が太陽放射によって完全に照明されるようにエネルギーハーベスティング車両102が駐車されるものとするという条件に基づいて、駐車制御装置107によって決定される。これは、エネルギーハーベスティング車両102が駐車位置に駐車されている1日のうちの所与の時点において、最小数の太陽電池が部分的または完全に遮光された状態になっているということを意味する。
【0030】
エネルギーハーベスティング車両102は、エネルギーハーベスティング車両102の状態情報、エネルギーハーベスティング車両102の現在の向き、エネルギーハーベスティング車両102の最適な向き、ユーザデバイス通知、ナビゲーション案内などを提供するユーザインタフェース108をさらに備える。ユーザインタフェース108は、音声及び/又は視覚インタフェースであることがある。ユーザインタフェース108は、エネルギーハーベスティング車両102のインストルメントクラスタであることもある。駐車制御装置107は、エネルギーハーベスティング車両102のユーザインタフェース108を介して、エネルギーハーベスティング車両102のユーザに最適な向きで駐車するように通知する。実施形態では、駐車制御装置107は、ユーザが所有するユーザデバイスのユーザインタフェースを介してエネルギーハーベスティング車両102のユーザに通知する。
【0031】
図3は、識別された表面301、302、及び303を有するエネルギーキャノピ103を例示的に示す平面図である。エネルギーキャノピ103は、異なる平面で太陽放射を受ける3つの表面301、302、及び303に分割される。例示的に図示するように、表面301、302、及び303のそれぞれは、入射太陽放射を集光するためのソーラユニット304、3056、及び306をそれぞれ備える。実施形態では、表面301、302、又は303のうちの1つ又は2つのそれぞれは、304、305、又は306などのソーラユニットを有する。各ソーラユニット304、305、306は、1つ又は複数のソーラアレイ(図示せず)を備える。各ソーラアレイは、
図4に示すように直列に電気的に接続された複数の太陽電池を備える。ソーラアレイは、それらが取り付けられる表面の形状及び向きに基づいて、同じ長さであることもあるし、可変長であることもある。ソーラユニット304、305、及び306のソーラアレイは、
図4に示すように互いに直列に電気的に接続される。太陽電池によって集光される入射エネルギーは、ソーラ充電器制御装置を用いて例えばエネルギーハーベスティング車両102のバッテリなどのエネルギー蓄積モジュールを充電するために使用される。エネルギーキャノピ103の1つ又は複数の表面301、302、303が部分的に遮光される1日の任意の時点において、ソーラユニット304、305、及び306のうちの任意の1つ又は複数は、部分的に、または完全に遮光される。部分的な遮光によるソーラ出力の損失を軽減するために、ソーラユニット304、305、及び306は、
図4及び
図5A~
図5Bに開示するように互いに直列又は並列に接続される。
【0032】
図4は、エネルギーキャノピ103のソーラユニット304、305、及び306の間の電気的接続を例示的に示す概略図である。ソーラユニット304、305、及び306は、ソーラアレイ401、402、及び403をそれぞれ備える。ソーラユニット304、305、及び306のそれぞれの太陽電池は、ソーラユニット304、305、及び306内の太陽電池間に延びる404などの配線要素を用いて直列に接続される。ここで、全てのソーラユニット304、305、及び306は、それぞれ401、402、及び403など、1つのソーラアレイのみを備える。ソーラユニット304のソーラアレイ401は、配線要素404を用いて互いに直列に接続された401a、401b、401c、…(図示せず)などの太陽電池を備える。
【0033】
同様に、ソーラユニット305のソーラアレイ402は、配線要素404を用いて互いに直列に接続された402a、402b、402c、…(図示せず)などの太陽電池を備える。同様に、ソーラユニット306のソーラアレイ403は、配線要素404を用いて互いに直列に接続された403a、403b、403c、…(図示せず)などの太陽電池を備える。各ソーラアレイ401、402、403からの配線要素404は、ソーラアレイ401、402、及び403それぞれの401a、401b、401c、402a、402b、402c、403a、403b、及び403cなどの太陽電池を直列に接続した後で、ソーラアレイ401、402、及び403の2つの側面から延びる。これらの配線要素404が互いに接続されて、ソーラユニット304、305、306を並列に接続する。
【0034】
ソーラユニット304、305、及び306は、
図4に示すように互いに並列に接続される。並列に接続されたソーラユニット304、305、及び306は、エネルギーキャノピ103の正端子405及び負端子406を形成する。ソーラユニット304、305、及び306の長さに沿って走る配線要素404は、2つの端部で正端子405と負端子406を接続する。入射放射に基づいて、ソーラユニット304、305、306のそれぞれで生成される電流I
1、I
2、I
3が合算されて、正端子405と負端子406との間のエネルギーキャノピ103の全電流Iとなる。
【0035】
したがって、例えば306など、ソーラユニットのうちの1つが部分的に、または完全に遮光されているときには、そのソーラユニット306の出力電流I
3が影響を受け、エネルギーキャノピ103の全出力電流Iが減少するが、エネルギーキャノピ103の全てのソーラユニット304、305、及び306の全ての太陽電池が直列に接続されているときと比較すれば、損失は低下する。照明されているソーラユニット304、305又はソーラアレイ401、402は、最大電力限界とそれらの開放電圧の間で動作し続けるが、遮光されているソーラユニット306又はソーラアレイ403は、電圧を全く生成しない、又は部分的な電圧しか生成しない。ソーラユニット304、305、及び306のソーラアレイ401、402、及び403の長さは、それら全てが実質的に同じ長さを有するように、すなわちそれらのソーラアレイが同じタイプの配線要素を用いて等間隔に離間された同数の太陽電池を備えるように構成される。ソーラアレイ内のいくつかの太陽電池のサイズ、又はソーラユニット304、305、306自体のサイズを調整して、ソーラアレイ401、402、及び403の実質的に同じ長さを実現することもある。この場合には、各ソーラユニットの電流出力は、同じである。ソーラユニット304、305、及び306内のソーラアレイ401、402、及び403の長さが等しくないときには、ソーラユニット304、305、及び306は、
図5A~
図5Bに示すように互いに接続される。
【0036】
図5A~
図5Bは、エネルギーキャノピ103のソーラユニット304、305、306の間の電気的接続を示す、エネルギーキャノピ103を例示的に示す概略図である。例示的に図示するように、バイパスユニット504、505、及び506は、それぞれソーラユニット304、305、及び306と並列に電気的に接続される。バイパスユニット504、505、及び506は、順方向バイアスされたときに電流を流し、逆方向バイアスされたときに電流を遮断する、ダイオードであることもある。ソーラユニット304、305、及び306は、互いに直列に接続される。ソーラユニット304、305、及び306のそれぞれの太陽電池も、直列に接続される。ソーラアレイ401を通って走る配線要素404は、正端子503および負端子501で終端する前に、ソーラアレイ402の太陽電池402aとソーラアレイ403の太陽電池403aを接続する。
【0037】
ソーラユニット304、305、及び306それぞれのソーラアレイ401、402、及び403の長さは、等しくない。ソーラユニット305は、ソーラユニット304及び306それぞれの401a及び401b(図示せず)並びに403a及び403b(図示せず)などの太陽電池の数より多数の、互いに接続された太陽電池402a、402b、及び402c(図示せず)などを有する。ソーラアレイ401、402、及び403それぞれの太陽電池401a、401b、401c(図示せず)、402a、402b、402c(図示せず)、及び403a、403b、403c(図示せず)を接続する404などの配線要素は、ソーラユニット304、305、及び306を直列に接続し、エネルギーキャノピ103の正端子503及び負端子501を形成する。
【0038】
図5Bに例示的に示すように、ソーラユニット306は、部分的な遮光を受け、十分な電流を生成しないことがある。そのような場合には、ソーラユニット306にまたがるダイオード506が順方向バイアスされて導通して、エネルギーキャノピの電流Iが正端子503と負端子501との間に流れる経路を提供する。ソーラユニット304及び305は、部分的な遮光または完全な遮光を受けないので、最大限界まで電流Iを生成し続ける。ソーラユニット304及び305にまたがるダイオード504及び505は、逆方向バイアスされ、ソーラユニット304及び305で生成される電圧が、エネルギーキャノピ103の電圧出力となる。ソーラユニット304及び305によって生成される電圧は、それぞれダイオード504及び505を逆方向バイアスする。ソーラユニット304、305、及び306にそれぞれまたがるダイオード504、505、及び506の位置決めにより、エネルギーキャノピ103のソーラユニットのうちの306など1つ又は複数が機能しないことによって生じる電圧の損失が最小になることを保証する。
【0039】
図6A~
図6Bは、生成されるエネルギーの損失を低減するために、1日のうちの様々な時間にエネルギーキャノピ103が太陽の下にあるエネルギーハーベスティング車両102の駐車を例示的に示す概略図である。例示的に図示するように、エネルギーハーベスティング車両102は、それぞれ
図6A及び
図6Bに示す2つの向きで駐車されることがある。太陽が上空を早朝の東から夕方の西に移動する際の太陽の軌道101も示してある。エネルギーキャノピ103は
図4又は
図5A~
図5Bに開示する電気的接続を有するものとして、1日のうちの任意の所与の時点において、必ず、エネルギーキャノピ103の出力を最大限にするようにエネルギーハーベスティング車両102を駐車することができる最適な向きがある。
図6Aに例示的に図示するように、エネルギーハーベスティング車両102は、向き601で駐車され、エネルギーキャノピ103は、ソーラユニットに太陽放射が入射する平面に基づいて、バイパスユニット504、505、及び506に直列に接続されたソーラユニット304、305、及び306にグループ化される。
【0040】
例えば太陽が東の空の低いところにある朝など、所与の時点で、全てのソーラユニット304、305、および306は、部分的に遮光されることになり、したがって、それら全てで部分的な遮光による損失が生じる。同様に、太陽が西の低いところにある夕方には、全てのソーラユニット304、305、及び306が、部分的に遮光されることになる。
図6Bに例示的に図示する代替の可能性では、車両は、向き602で駐車される。太陽が朝、東にあるときには、ソーラユニット306のみは、部分的又は完全に遮光されるが、ソーラユニット304及び305は、実質的に均一な日光を受ける。同様に、太陽が西の低いところにある夕方には、ソーラユニット304は、部分的又は完全に遮光されるが、ソーラユニット305及び306は、実質的に均一な日光を受ける。太陽が中空にある正午頃には、向き601及び602の両方において、ソーラユニット304及び306の両方が部分的又は完全に遮光されることになり、ソーラユニット305は、均一な日光を受ける。
【0041】
したがって、向き602では、1日のうちの任意の所与の時点において、少なくとも2つのソーラユニット304及び305、又は305及び306が、均一な日光を受けることになる。換言すれば、任意の所与の時点において1つのソーラユニット、304及び306のいずれかだけが、部分的又は完全に遮光される。したがって、向き602におけるエネルギーキャノピ103の部分的な遮光による損失は、エネルギーハーベスティング車両102が向き601で駐車され、1日のうちの任意の所与の時点において少なくとも2つのソーラユニットすなわち304及び306が部分的又は完全に遮光される場合と比較して少ない。したがって、向き602が、エネルギーハーベスティング車両102が駐車されたときにエネルギーキャノピ103が最高の効率で動作する最適な向きである。
【0042】
図7は、駐車位置でエネルギーハーベスティング車両102を駐車する最適な向きを決定する方法を例示的に示す流れ図である。エネルギーハーベスティング車両102は、
図2に示すエネルギーキャノピ103などのエネルギーハーベスティング構造を備える。エネルギーハーベスティング構造103は、1日のうちの異なる期間にわたって入射太陽放射を受ける所定数の表面、例えば3つの表面、すなわち301、302、及び303などを備える。入射太陽放射を集光する1つ又は複数のソーラユニット304、305、及び306は、表面301、302、及び303のうちの少なくとも1つに位置決めされる。複数の配線要素が、エネルギーハーベスティング構造103の電気エネルギー生成の損失を低減するために、集光される入射太陽放射に基づいて、所定数の表面301、302、及び303上のソーラユニット304、305、及び306を互いに直列又は並列に電気的に接続する。
【0043】
エネルギーハーベスティング車両の1つ又は複数の第1のセンサ109は、磁極に対するエネルギーハーベスティング車両102の現在の向きを決定する。エネルギーハーベスティング車両101の1つ又は複数の第2のセンサ110は、ソーラユニット304、305、及び/又は306が設置されたエネルギーハーベスティング構造103の表面を識別する。荷重/圧力センサなどの第2のセンサ110は、エネルギーキャノピ103の表面301、302、及び303の重量を測定して、ソーラユニット304、305、及び306の設置された表面を識別する。荷重センサはまた、予め分かっている重量の測定値からの表面の重量の増加に基づいて塵が蓄積したソーラユニットを有する表面を識別することもある。曲率センサは、曲率半径に基づいて、設置されたソーラユニットを有する可能性が高い1つ又は複数の表面を識別することがある。実施形態では、ソーラユニット304、305、及び306が設置された表面は、エネルギーハーベスティング車両102のユーザによってユーザインタフェースで手作業で入力され、第2のセンサ110は、省略される。
【0044】
エネルギーハーベスティング車両102の駐車制御装置107は、第1のセンサ109及び第2のセンサ110のデータを分析し、駐車位置において遮光される表面の数が最小となる最適な向きを決定する。実施形態では、ソーラユニット304、305、及び306のソーラ出力が最大となる表面最適な方向は、1日のうちの所与の時点において最大数のソーラユニット304、305、及び/又は306が太陽放射によって完全に照明されるように、換言すれば、最小数のソーラユニット304、305、及び/又は306が部分的又は完全に遮光された状態になるようにエネルギーハーベスティング車両102が駐車されるものとするという条件に基づいて、駐車制御装置107によって決定される。
【0045】
エネルギーハーベスティング車両102の最適な向きを決定するために、駐車制御装置107は、エネルギーハーベスティング車両102の駐車位置で、その当日についての暦情報を受信する。暦情報は、例えば、その当日の日の出時間及び日没時間、食の予測、その当日の天気予報、日時などを含む。駐車制御装置107は、所定の閾値を用いて、現在の向きと、決定した最適な向きとを比較する。駐車制御装置107は、現在の向きと最適な向きとの間の角度が閾値より大きいかどうかを判定する。
【0046】
さらに、駐車制御装置107は、現在の向きと決定した最適な向きの比較に基づいて、エネルギーハーベスティング車両102のユーザに、決定した最適な向きでエネルギーハーベスティング車両102を駐車するように通知する。駐車制御装置107は、エネルギーハーベスティング車両102及び/又はユーザが所有するユーザデバイスの表示インタフェース及び/又は音声インタフェース上でユーザに通知する。現在の向きと最適な向きとの間の角度が閾値より大きい場合には、駐車制御装置107はユーザに通知を行い、そうでない場合には、駐車制御装置107はユーザに通知を行わない。
【0047】
実施形態では、駐車制御装置107は、第2のセンサのセンサデータに基づいて、識別した塵の蓄積した表面をユーザに対して示すことがある。駐車制御装置107は、エネルギーハーベスティング構造103の効率を高めるために、識別したそれらの表面を洗浄するようにユーザに提案することもある。示された表面の洗浄が直ちにユーザによって行われた場合には、ユーザは、駐車制御装置107に再確認するように要求し、その後、駐車制御装置107からの指示に従ってエネルギーハーベスティング車両102を駐車することもある。他に、識別された表面をユーザが直ちに洗浄することができない場合、又は洗浄が望ましい効果に至らない場合には、駐車制御装置107は、エネルギーハーベスティング車両102を駐車する最適な向きを勧告することもある。
【0048】
図8は、ユーザデバイス又はエネルギーハーベスティング車両102の視覚表示インタフェース801を例示的に示す図である。視覚表示インタフェース801は、本実施形態で例示的に示すように、円形ダイアルの形態をしている。エネルギーハーベスティング車両102の現在の向きは、表示インタフェース801にアイコン802として示される。エネルギーハーベスティング車両102の最適な向きは、表示インタフェース801にアイコン803として示される。矢印804は、エネルギーハーベスティング車両102を所望の最適な向きにしてソーラ出力を最大限にするために移動させるべき方向を示す。この視覚表示インタフェース801は、エネルギーハーベスティング車両102のダッシュボードに表示することができ、また、現在の向きと最適な向きが一致しておらず、調整が必要なときに、エネルギーハーベスティング車両102のユーザデバイス上でユーザに警告をすることもできる。
【0049】
エネルギーハーベスティング車両102の現在の向きと最適な向きとの間の角度が所定の閾値、例えば15度より大きい場合には、警告が、視覚表示インタフェース801に表示される、又は音声警告として提供される。実施形態では、ダッシュボードは、タイマからなることがあり、駐車制御装置107は、このタイマに基づいて、夜間の時間を検出し、夜間にはスリープモードになることができる。駐車制御装置107は、エネルギーハーベスティング車両102のユーザによって手動でオフラインにされることもある。駐車制御装置107、第1のセンサ109、及び第2のセンサ110は、ソーラユニット304、305、及び306によって給電されるので、これらは、エネルギーハーベスティング車両102がオフになっているときも動作する。実施形態では、視覚表示インタフェース801は、駐車制御装置107によって提案された最適な向きに位置決めし直されたときのソーラ出力(電力/電流)の概算利得を表示することもある。
【0050】
追加の態様として、ユーザデバイスからのユーザは、所望の充電状態を得るためのエネルギーハーベスティング車両102の向きの頻繁な調整について判断するために、駐車制御装置107から定期警告を受信できるようにすることもある。あるいは、駐車制御装置107は、第1のセンサ109および第2のセンサ110のセンサデータに基づいて計算を行い、所与の移動時にエネルギーハーベスティング車両102を駐車する推定時間間隔についてのユーザ入力に基づいて可能な限り最良の充電状態(SOC)または実現可能な走行可能距離を提供することができる。ユーザの予測でSOCが十分ではない場合には、駐車制御装置107は、車上診断支援を提供して、SOCを最大化する手段を提案する、あるいはユーザが望む次の移動範囲を実現するのに必要な外部充電時間、又は最大の有効充電を得るための提案ルートを提案するように構成される。また、実施形態による駐車制御装置107は、立ち往生するのを回避するために充電が不十分である場合に警告する、例えば気象条件などの理由で帰宅するには充電が不十分である、又はソーラ充電の機会が不十分であることを警告するように構成することもできる。
【0051】
エネルギーハーベスティング構造を備えるエネルギーハーベスティング車両の実施形態は、次のような光起電力技術の分野の技術的前進をもたらす。すなわち、太陽電池を複数のソーラユニットに分割し、それらのソーラユニットを太陽電池の構成に基づいて直列または並列に接続することにより、塵の状態、遮光の状態、駐車位置などによる太陽電池が生成するエネルギーの損失を低減する助けとなる。ソーラユニット内のソーラアレイの数は、屋根、ドア/サイドパネル、フロントボンネット、及び後部ボンネットなど、それらがエネルギーハーベスティング車両の車体に取り付けられる表面の向き及び形状に基づく。ソーラユニットが取り付けられる表面は、光が入射する平面に基づいて区別される。実質的に同じ入射放射平面を有する表面は、類似のレベルの入射放射を受けるが、異なる平面で放射の入射を受ける表面は、1日のうちの任意の所与の時点で異なるレベルの入射放射を受ける。実施形態では、実質的に同じ入射放射平面を有する表面に直接配置されたソーラユニットが、直列に接続されることがある。実施形態では、ソーラユニットが互いに並列に接続された場合には、部分的な遮光又は部分的な塵の堆積による損失は、太陽電池が入射放射平面に基づいてソーラアレイ及びソーラユニットにグループ化されない場合と比較して、又は全ての太陽電池が直列に接続された場合と比較して、有意に少ない。損失はあるが、部分的に遮光されたソーラユニットの中の遮光されていない電池からのエネルギーが収集される。別の実施形態では、ソーラユニットは、直列に接続され、バイパスユニットによって保護される。この構成では、バイパスユニットにより、遮光されていないソーラユニットからの電流が、部分的又は完全に遮光されたソーラユニットの周りを流れることができる。
【0052】
ソーラユニットを取り付けるエネルギーハーベスティング車両の表面の識別、及びソーラユニットの電気的接続のこれらの様々な実施形態により、表面の形状及び向きに基づいてエネルギーキャノピの表面の部分的な遮光による損失を軽減することが容易になる。これらの実施形態は、設置が簡単であり、余計なコストを必要とせず、エネルギーキャノピで可能な程度にエネルギー生成の損失を低減するのに効果的である。また、本発明による駐車制御装置は、部分的な遮光による損失を低減することによってソーラ充電能力を最適化することを可能にするだけでなく、エネルギーハーベスティング車両を駐車する最適な方向を提案することによってエネルギーハーベスティング車両の効率を改善または最大化する方法及び手段をエネルギーハーベスティング車両のユーザに通信する。駐車制御装置は、自律的であり、ソーラユニットを備える表面やエネルギーハーベスティング車両の周囲などについてのユーザによる手作業の介入を必要としない。本発明の態様によれば、本明細書のエネルギーハーベスティング構造は、夜間も動作して、例えば街灯の光など夜間の任意の入射光によるエネルギー生成を最大限に活用することができる。
【0053】
エネルギーハーベスティング構造は、エネルギーハーベスティング車両が動いているときに、またエネルギーハーベスティング車両が駐車位置にあるときにも、電気を生成する。エネルギーハーベスティング車両が動いているときには、遮光及び塵の蓄積による損失を低減することによる入射する太陽放射及び街灯などの人工光源の光の最大限の集光は、エネルギーハーベスティング車両の進行方向、並びにエネルギーハーベスティング車両の速度及び路面状態によるエネルギーハーベスティング車両の動きの過渡事象によって制限される。しかし、エネルギーハーベスティング車両が駐車位置にあるときには、エネルギーハーベスティング車両を駐車する最適な方向は、利用可能な入射放射から最大限の利益を得るような方向である。エネルギーハーベスティング車両は、ソーラユニットが設置された表面をインテリジェントに決定し、車両又はユーザデバイスのユーザインタフェースを介して駐車位置におけるエネルギーハーベスティング車両の最適な向きを提案する。実施形態では、駐車制御装置がエネルギーハーベスティング車両の周囲及び環境の要因を知らされている場合には、駐車制御装置は、効率を最大化するのに適した駐車位置を提案することもある。また、エネルギーハーベスティング車両は、動いているときに、移動時間を短くかつ煩雑でない状態に維持しながら電気を生成し続けるのに最良かつ最適なルートを提案されることもある。
【0054】
様々な改善および修正が、本発明の範囲を逸脱することなく、本明細書に組み込まれ得る。
【符号の説明】
【0055】
101 太陽の経路
102 エネルギーハーベスティング車両
103 エネルギーハーベスティング構造/エネルギーキャノピ
104 フロント部分
104a、104b、104c フロント部分の表面
105 トップ部分
105a トップ部分の表面
106 リア部分
106a、106b、106c リア部分の表面
107 駐車制御装置
108 ユーザインタフェース
109 第1のセンサ
110 第2のセンサ
301、302、303 エネルギーキャノピの表面
304、305、306 エネルギーキャノピの表面上のソーラユニット
401、402、403 ソーラユニット内のソーラアレイ
401a、402a、403a ソーラアレイ内の太陽電池
404 配線要素
405 正端子
406 負端子
501 負端子
502 配線要素
503 正端子
504、505、506 バイパスユニット
601、602 向き
801 視覚表示インタフェース
802 現在の向きのアイコン
803 最適な向きのアイコン
804 回転方向
【国際調査報告】