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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】車両用の充電器ユニット
(51)【国際特許分類】
   B62J 45/00 20200101AFI20230712BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20230712BHJP
   B62M 7/12 20060101ALI20230712BHJP
   B62J 43/16 20200101ALI20230712BHJP
【FI】
B62J45/00
B60K1/04
B62M7/12
B62J43/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577169
(86)(22)【出願日】2021-06-26
(85)【翻訳文提出日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 IN2021050623
(87)【国際公開番号】W WO2022003713
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】202041027436
(32)【優先日】2020-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521196110
【氏名又は名称】ティーヴィーエス モーター カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TVS MOTOR COMPANY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クマー,スレンディラン
(72)【発明者】
【氏名】アヌラグ,カーンデュアル
(72)【発明者】
【氏名】ソルナパン バヌー,シャルマナート
【テーマコード(参考)】
3D235
【Fターム(参考)】
3D235AA23
3D235BB41
3D235HH04
3D235HH08
(57)【要約】
本発明は、一般に、2輪車両100内の充電器ユニット112の取付場所を提供することに関する。2輪車両100は、前部分(F)および後部分(B)を有するフレームを含む。充電器ユニット112は、フレームの最も後の部分(R)の、右後部フレーム110(a)と左後部フレーム110(b)との間に置かれる。充電器ユニット112は、ユーティリティボックス117のユーティリティ空間および後輪107のクリアランスを妨げないように傾斜位置に置かれる。充電器ユニット112を水平面と鉛直平面との間の傾斜位置に置くことにより、充電器ユニット112のパッケージングおよび取付けが、パーツの数を少なくして、利用可能な空間内で、また、その隣のパーツを移動させることなく既存のレイアウト内で可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部分(F)および後部分(R)を含むフレームと、
前記フレームの前記後部分(R)に配設された充電器ユニット(112)とを備え、
前記充電器ユニット(112)は、前記充電器ユニット(112)の底面(115)から、車両の長手方向に前方に下向き方向に延びる第1の想像線(119)が、ステアリングアセンブリ(140)の軸を通過する第2の想像線(120)と交差し、それにより、前記交差点が前輪(106)の前部アクスル点(122)の前方に位置するように、傾斜配向で構成される、車両(100)。
【請求項2】
前記フレームの前記後部分(R)が、右後部フレーム(110(a))と左後部フレーム(110(b))とを含み、前記充電器ユニット(112)が、前記右後部フレーム(110(a))と前記左後部フレーム(110(b))との間に配設される、請求項1に記載の車両(100)。
【請求項3】
前記充電器ユニット(112)が、座席アセンブリ(105)の下方の後部ショックアブソーバ(109)の対間に設けられる、請求項1に記載の車両(100)。
【請求項4】
前記充電器ユニット(112)が、前記車両(100)の中心から横方向にずらされて置かれる、請求項1に記載の車両(100)。
【請求項5】
充電入力ポート(118)が、前記車両(100)の前記後部分(R)に配設された前記充電器ユニット(112)の後側(123)に設けられる、請求項1に記載の車両(100)。
【請求項6】
開口部(116)が、前記充電入力ポート(118)にアクセスするために、前記車両(100)の後部パネル(104)に設けられる、請求項5に記載の車両(100)。
【請求項7】
前記充電器ユニット(112)が、単一の取付設備(124(a))において後部クロスブリッジ(111)の前部分に、複数の取付設備(124(b))において前記後部クロスブリッジ(111)の後部分に取り付けられ、前記後部クロスブリッジは、前記車両(100)の前記右後部フレーム(110(a))及び前記左後部フレーム(110(b))を接続している、請求項1に記載の車両(100)。
【請求項8】
前記充電器ユニット(112)が、後部フェンダ(143)の上側部分上に取り付けられた前記充電器ユニット(112)の強制冷却のための冷却ファン(150)を有する、請求項1に記載の車両(100)。
【請求項9】
前記冷却ファン(150)が、前記充電器ユニット(112)から出た高温空気が前記充電器ユニット(112)の周りの利用可能な開放空間内に広がるように構成される、請求項8に記載の車両(100)。
【請求項10】
充電器(114)と、
前記充電器(114)の後端から外に突起する入力延長部(125)と、
前記充電器(114)の前端から外に突起する出力延長部(126)と、
前記充電器(114)を収容するケーシング(113)であって、前記入力延長部(125)用の第1のスロット(127)と、前記出力延長部(126)用の第2のスロット(128)とを含む、ケーシングとを備える、充電器ユニット(112)。
【請求項11】
冷却フィン(129)が、前記充電器(114)上に設けられ、前記冷却フィン(129)は、側面図において前記充電器(114)の台形形状を形成するように一緒に配設される、請求項10に記載の充電器ユニット(112)。
【請求項12】
前記ケーシング(113)が、前記ケーシング(113)の内側に置かれた前記充電器(114)の冷却を確実にするために、空気の流れのための複数の切欠部(132)を含む、請求項10に記載の充電器ユニット(112)。
【請求項13】
前記充電器入力延長部(125)が、第1の突出ラグ面(130)と第2の突出ラグ面(131)とを含み、前記ケーシング(113)の前記第1のスロット(127)が、互いに垂直である第1のケーシング面(133)および第2のケーシング面(134)を含み、それにより、前記充電器ユニット(112)の回転自由度を拘束するために、前記第1のケーシング面(133)は前記第1の突出ラグ面(130)と当接し、前記第2のケーシング面(134)は前記充電器入力延長部(125)の前記第2の突出ラグ面(131)と当接する、請求項10に記載の充電器ユニット(112)。
【請求項14】
前記ケーシング(113)が、一方の側から少なくとも部分的に開き、前記ケーシング(113)は、互いに取り付けられた上側部分(135)および下側部分(136)を含む、請求項10に記載の充電器ユニット(112)。
【請求項15】
前記下側部分(136)が、底面(137)と、前記底面(137)から上方向に延びる複数の側面(138)とを有する、請求項14に記載の充電器ユニット(112)。
【請求項16】
前記上側部分(135)が、前記下側部分(136)の前面(139)から前記ケーシング(113)の後方に向かって上方向に傾斜して延びて、前記ケーシング(113)の内側に前記充電器(114)を収容するための空間を作りだす、請求項14に記載の充電器ユニット(112)。
【請求項17】
前記ケーシング(113)が、前記上側部分(135)および前記下側部分(136)上に設けられた前記複数の切欠部(132)を含む、請求項10に記載の充電器ユニット(112)。
【請求項18】
前記入力延長部(125)用の前記第1のスロット(127)および前記出力延長部(126)用の前記第2のスロット(128)が、前記ケーシングの前記底面(137)と前記複数の側面(138)との接合点に設けられる、請求項10に記載の充電器ユニット(112)。
【請求項19】
前記ケーシング(113)には、傾斜して配置された前記上側部分(135)の前記上部分上に取付点(140)が設けられ、2点取付部(141)が、前記下側部分(136)の遠位端上に配設される、請求項14に記載の充電器ユニット(112)。
【請求項20】
後部クロスブリッジ部材(111)の前部分上に設けられた前部取付手段(124(a))と、
後部クロスブリッジ部材(111)の遠位端部上に設けられた複数の第2の取付手段(124(b))とを備え、
前記複数の第2の取付手段(124(b))を取り除くことにより、前記前部取付手段(124(a))に沿った充電器ユニット(112)の枢動回転が可能になる、充電器ユニット(112)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、充電器ユニットに関する。より詳細には、それだけには限らないが、本発明は、車両用の充電器ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気車両では、1つ又は複数の電池が電源として使用されて、主電動機に給電することによって車両を駆動させる。車両けん引中、電池は放電されていき、交換又は再充電されることが必要とされる。電池を交換することは、電池の重量が重いことにより車両のユーザにとって好ましい選択肢ではない。したがって、顧客にとって簡単であるように、製造者は、再充電可能なタイプの電池を提供しており、それにより、車両のユーザは、必要とされるときにいつでもその電池を容易に充電することができる。電池を充電するために、電力供給が、充電ステーション又は家庭用電源から必要とされる。充電器ユニットは、電池及び電源を接続し、充電ステーション/家庭用電源から電池に電荷を移送することを可能にするために必要とされる。充電器ユニットは、主に、オフボード充電器及びオンボード充電器の2つのタイプのものである。オフボード充電器は、ユーザによって持ち運びされることが必要とされ、車両内に保管空間を必要とする。オフボード充電器は、一般にサイズが大きく、持ち運ぶのに便利ではない。したがって、オンボード充電器が好まれる。
【0003】
しかし、コンパクトなレイアウトでは、特に2輪車両では、充電器ユニットをパッケージングすると共に、その充電器ユニットを便利な場所に取り付けることが、課題となっている。特に電気車両及びハイブリッド車両では、さらなる電気パーツが伴われ、その結果、車両のパッケージングをさらに難しくしている。ステップスルーの電気車両では、スタイルパネルがすべての車両構成要素を覆い、それによってパッケージングのための利用可能な空間をさらに限定している。
【0004】
充電器ユニットのサイズは、電池サイズに比例し、すなわち車両の容量が大きくなるほど、より大きい電池が必要とされ、そのためにより大きい充電器ユニットが必要とされ、それによって、空間要件及び組立時間の要件からパッケージングの課題がさらに複雑になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、2輪電気車両では、電池は車両の後部領域内に置かれ、充電ユニットは、車両の前部、中央部、及び後部の領域のいずれかに置かれる。充電器ユニットが車両の前部に置かれるシナリオでは、電池及び充電器ユニットを接続するケーブル長さが長いことにより、配線ハーネス損失とも呼ばれるいくらかの電力損失が発生する。充電器ユニットが車両の中央領域に置かれる別のケースでは、充電器ユニットにアクセスし、保全作業をすることが難しい。充電器ユニットが車両の後部領域内に配設されるケースでは、ユーティリティ空間が損なわれる。
【0006】
加えて、車両の外観もまた、車両の購入を考える顧客にとって重要な要素である。したがって、車両の外観を損なうことなく、車両のコンパクトなパッケージングを効率的に行わなければならない。
【0007】
したがって、すべての上記の課題および知られている技術の他の課題を克服する、コンパクトな車両における充電器ユニットの改良されたレイアウト及び構成が、必要とされる。充電器の安定性に関連する要件、充電器と電池の最小の接続長さ、およびユーザによる充電スロットへのアクセス性を満たし、自動2輪車両の既存のレイアウト内に組み付けることができ、組立ておよび保守作業の時間の最短化を伴う、充電器ユニットの改良された場所および取付配置が、必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記で述べた目的および他の関連する目的の1つ又は複数を達成するために、本発明は、電源とする電池によって給電され、最適な性能を与える安心安全な場所に配設された充電器ユニットを有する車両を提供する。また、充電器ユニットの取付場所及び取付構成は、容易なアクセス性、より少ないパーツによる組立て、及び保守性を促進する。本発明において提供される充電器ユニットは、構成されるパーツの数がより少なく、それにより、耐用性が高まり、充電器ユニットの冷却が効率的となり、その結果軽量になる。
【0009】
本発明は、フレームと充電器ユニットとを含む2輪車両を提供する。フレームは、前部分と後部分とを含む。充電器は、フレームの後部分に配設される。充電器ユニットは、充電器ユニットの底面から、車両の長手方向の下向き前方方向に延びる第1の想像線が、車両の側面で見たときに前輪の前部アクスル点の前方に位置する領域内で、ステアリング軸を通過する第2の想像線と交差するように、傾斜位置に置かれる。充電器ユニットは、車両の側面図から見て傾斜位置に配向されて、ユーティリティボックスのユーティリティ空間及び後輪のクリアランスが損なわれずに2輪車両の機能を妨げないことを確実にする。充電器が車両の長手方向と一致して水平配向に置かれる場合、充電器ユニットは、保管ボックスのユーティリティ空間のいくらかを占有し、ユーティリティボックスのサイズを低減させるか、または損なうことになる。充電器が、車両の長手方向に垂直に鉛直配置で置かれる場合、充電器ユニットは、後輪の利用可能なクリアランスを妨害し、これは望ましくない。そのため、充電器ユニットを水平面と鉛直平面との間の傾斜位置に構成することにより、充電器ユニットのパッケージングおよび取付けが、コンパクトな空間内でかつコンパクトなレイアウトで、その領域内のパーツのレイアウト及び配設を損なうことなく可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】2輪車両の例示的な図である。
図2】充電器ユニットの取付場所の例示的な図である。
図3】充電器ユニットを有する車両の例示的な部分的前部斜視図である。
図4】2輪車両の例示的な部分的後部斜視図である。
図5】充電器ユニットを伴ったユーティリティボックスの例示的な分解図である。
図6】車両内に組み付けられた充電器を有する充電器ユニットの例示的な拡大局所斜視図である。
図7】車両の後部分に置かれた充電器ユニットの冷却配置の例示的な図である。
図8】充電器が車両上のケーシングの内側に組み付けられた、車両の例示的な部分的後部分解斜視図である。
図9a】充電器の例示的な斜視図である。
図9b】充電器の例示的な側面図である。
図10】充電器ユニットのケーシングの例示的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図を用いてサドルタイプの2輪スクータの実施形態を参照しながら、詳細を説明する。類似の特徴及び構成要素を参照するために、同じ番号が全図を通じて使用される。
【0012】
本発明の実施形態では、フレームの後部分は、左後部フレームと右後部フレームとを含み、充電器ユニットは、左後部フレームと右後部フレームとの間に配設される。本発明の別の実施形態では、電池充電器ユニットは、座席アセンブリの下方の後部ショックアブソーバの対間に配設される。電池充電器ユニットは、2輪車両の中心から横方向にずらされて置かれる。
【0013】
本発明の別の実施形態は、車両の後部分に置かれた充電器ユニットの後側に充電入力ポートを提供して、充電のためにアクセスできるようにすることである。充電入力ポートのアクセス性を確実にするために、後部座席ハンドルの下方かつ2輪車両の後部テールランプアセンブリの上方に置かれた車両の後部パネルの後部分に、開口部が設けられる。充電器ユニットのこの取付構成は、充電器入力ポートケーブルの望ましくない曲がりを解消し、したがって、充電入力ポートと充電ガン/充電点との直接接続を容易にする。これにより、ケーブルおよび入力ポートの使用による磨耗が低減されて、これらの寿命を増大させる。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、充電器ユニットの取付けは、最小数のパーツを使用して達成される。充電器ユニットは、後部クロスブリッジの前部分において単一の取付部によって取り付けられ、複数の取付部が、後部クロスブリッジ部材の後部分内に設けられ、後部クロスブリッジは、2輪車両の左後部フレーム部材と右後部フレーム部材との間に置かれる。この取付け構成により、車両上の充電器ユニットの効率的な取付けが可能になり、それにより、取付スキームは、最小数の取付手段を使用する。充電器ユニットは、傾斜配向ではなく水平配向に置かれる場合、充電器ユニットを所定場所に固定するために4つ以上の取付手段を必要とする。したがって、本構成による取付スキームおよびレイアウトは、充電器ユニットを支持するために必要とされる取付手段の数を低減する。
【0015】
本発明の別の実施形態は、後部フェンダの上側部分上に取り付けられた充電器ユニットの強制冷却のためのファンを提供することである。冷却ファンの軸は、充電器ユニットの底面に対して法線方向である。上記の構成は、冷却のために充電器ユニットの内側に新鮮な空気を案内する。充電器ユニットには、冷却ファンの近傍に複数の切欠部が設けられ、それにより、高温空気が充電器ユニットから放出され、充電器ユニットを低温に保つ。しかし、代替の実施形態では、ファンは、空気が冷却目的のために充電器ユニットに到達してここから出ることができるように、2輪車両の後部分内の任意の他の場所に取り付けることもできる。
【0016】
本発明の主題の別の実施形態によれば、ファンは、充電器ユニットから出た高温空気が充電器ユニット周りの利用可能な開放空間内に広がるように、充電器ユニットと共に傾斜位置に置かれる。これは、充電器ユニットの周囲の要素の温度の低下を助ける。
【0017】
本発明の別の態様は、2輪車両用の充電器ユニットであって、充電器と、充電器ユニットの後端から外に突起する入力延長部と、充電器ユニットの前端から外に突起する出力延長部と、入力延長部用の第1のスロット及び出力延長部用の第2のスロットを含む、充電器を収容するケーシングとを有する、充電器ユニットを提供することである。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、複数の冷却フィンが、充電器上に設けられる。冷却フィンは、充電器ユニットがケーシング内側に嵌合するように、側面図で台形形状を形成するように一緒に配設される。こうして配設された冷却フィンは、充電器ユニット内での改良されたパッケージングを伴って、充電器に十分な冷却をもたらす。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、充電器ユニット入力延長部は、第1の突出ラグ面と第2の突出ラグ面とを含む。ケーシングは、ケーシングの内側に置かれた充電器の冷却を確実にするために、空気の流れのための複数の切欠部を含む。ケーシング内に組み込まれた複数の切欠部は、さらに、アレスタとして作用して、充電器ユニットの回転を制限する。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、ケーシングの第1のスロットは、互いに垂直である第1のケーシング面および第2のケーシング面を含む。充電器ユニットの自由度を拘束するために、第1のケーシング面は第1の突出ラグ面と当接し、第2のケーシング面は充電器入力延長部の第2の突出ラグ面と当接する。これは、充電器ユニットがケーシングの内側で移動しないことを確実にし、したがってその動きを拘束する。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、ケーシングを有する充電器ユニットは、互いに取り付けられた上側部分及び下側部分を含む。下側部分は、底面と、ケーシングの底面から上方に延びる複数の側面とを有する。下側部分は、ケーシングの一方の側から開く。上側部分は、下側部分の前面からケーシングの後部に向かって上方向に傾斜して延びて、ケーシングの内側に充電器を収容するための空間を作りだす。ケーシングは、上側部分及び下側部分上に設けられた複数の切欠部を含む。ケーシング内に作製されたこれらの切欠部により、ケーシングの重量が低減され、したがって軽量の充電器ユニットになる。
【0022】
本発明の別の実施形態によれば、入力延長部用の第1のスロット及び出力延長部用の第2のスロットは、ケーシングの底面と複数の側面との接合点に設けられる。
【0023】
本発明の別の実施形態によれば、ケーシングには、傾斜して配置された上側部分の上部分上に取付点が設けられ、2点取付部が、下側部分の表面から上方向に延びる下側部分の後端上に配設される。
【0024】
本発明の別の実施形態によれば、充電器ユニットは、一方の端部の後部クロスブリッジ部材の前部分上に設けられた前部取付手段と、後部クロスブリッジ部材の遠位端部上に設けられた複数の第2の取付手段とを含む。遠位端部の取付手段を取り除くことにより、前部点取付部に沿った充電器ユニットの枢動回転が可能になり、それによって充電器ユニットの揺動運動を容易にして、コンパクトな空間からの組み付け及び分解を容易にする。次に、添付の図と共にスクータタイプの2輪電気車両における実施形態を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明は、この実施形態に限定されない。
【0025】
図1は、2輪車両100を例示的に示す。2輪車両100は、前部分Fと後部分Rとを有する。車両100の前部分Fは、ヘッドパイプ(図示せず)と、ヘッドパイプ(図示せず)から延びるダウンチューブ(図示せず)と、前部ショックアブソーバ(図示せず)と、ステアリングアセンブリ(図示せず)と、前輪106とを含む。車両100の後部分Rは、左後部フレーム(図示せず)と、右後部フレーム(図示せず)と、座席アセンブリ105と、後輪107と、ショックアブソーバ109の対(1つを示す)と、スイングアーム108と、後部座席ハンドル144とを含む。前部分Fは、ダウンチューブ(図示せず)から後方に延びる水平延長部の対をさらに含み、後部分Rは、ダウンチューブ(図示せず)から延びる水平延長部から水平方向に後方に展開する、傾斜した後方の上方向延長部を含む。2輪車両100の前部分Fは、車両100の前部分を覆うための前部パネル103を有する。車両100のダウンチューブ(図示せず)は前部サスペンション(図示せず)と共に、前輪106に接続される。座席アセンブリ105は、左および右の後部フレーム部材(図示せず)の対上に取り付けられる。座席アセンブリ105の下方の部分は、側部パネル151および後部パネル104によって覆われる。後部分Rは、一方の端部において車両100の後部フレームに接続されたショックアブソーバ109の対を有し、ショックアブソーバ109の他方の端部は、後輪107のアクスルに接続される。スイングアーム108は、一方の端部において車両100の長手方向に車両100のフレームに接続され、他方の端部は、後輪107のアクスルに接続される。後部座席ハンドル144は、車両100の後部座席の乗り手を支持するために座席アセンブリ105の後部分Rに設けられる。
【0026】
図2は、充電器ユニット112の取付場所を例示的に示す。充電器ユニット112は、充電器ユニット112の底面115から、車両の長手方向の下向き前方方向に延びる第1の想像線119が、前輪106の前部アクスル点の前方に位置する、ステアリングアセンブリ145の軸122を通過する第2の想像線120と交差するように、傾斜配向で置かれる。この傾斜した取付構成により、取付部の数が低減され、それによってパーツのコストがさらに低減される。加えて、充電器ユニット112のパッケージングおよび取付けは、車両の既存の集合システムのいかなる変更又は変位も必要とすることなく、既存のレイアウト内で可能である。また、これにより、より良好なユーティリティ空間がもたらされ、またはより大きい充電器ユニット112が収容可能になる。
【0027】
図3は、充電器ユニット112を有する車両100の部分的前部斜視図を例示的に示し、図4は、2輪車両100の部分的後部斜視図を例示的に示す。2輪車両100は、車両100の後部分Rの端部において後部クロスブリッジ111によって接続された右後部フレーム110(a)及び左後部フレーム110(b)を含む。充電器ユニット112は、充電器114を含み、この充電器は、外部電源(図示せず)を使用し、これを充電ポート118に接続して電池(図示せず)の充電を開始することによって電池(図示せず)を充電するために使用される。充電器ユニット112と外部電源との間の接続を容易にするために、充電ポート118は、充電器ユニット112の後側に設けられる。車両100の後部分Rの後部パネル104内の開口部116(図4に示す)が、後部座席の乗り手を支持する後部座席ハンドル144(図3に示す)の下方に設けられる。充電ポート118は、外部電源と接続するために開口部116のセクションから取り出される。充電器ユニット112は、充電器114を充電ステーション/家庭用電源における充電ガン/充電点に接続するために、充電ポート118が充電器ユニット112の側部に接続されている。後部分R内のこの開口部16は、車両100の充電中、容易なアクセス性を実現する。
【0028】
図5は、充電器ユニット112と共に、ユーティリティボックス117を有する車両の部分的分解斜視図を例示的に示す。充電器ユニット112は、2輪車両100の中心から横方向にずらされて置かれ、座席アセンブリ(図示せず)の下方の、後部ショックアブソーバ(この図では示さず)の対間に配設される。充電器ユニット112は、ユーティリティボックス117のユーティリティ空間に入らないように、複数の締結具によって傾斜配向で配設される。充電器ユニット112の取付けはまた、後輪107を妨害せず、その結果後輪ウエルのクリアランスを損なわないことを確実にする。そのため、充電器ユニット112を水平面と鉛直平面との間の傾斜位置に置くことにより、充電器ユニット112を、最小限の空間を使用してコンパクトなレイアウト内に、そしてその隣のパーツのいずれも移さずに既存のレイアウト内にパッケージングし、取り付けることが可能になる。この取付場所により、アクセス及び保守作業を顧客にとって容易にすることが確実になる。保守作業中、ユーティリティボックス117は、充電器ユニット112に到達するために取り出される。ユーティリティボックスを取り除いた後、後部内の複数の充電器ユニット取付部124(b)が取り外され、次いで、充電器ユニットは、ヒンジとして作用する前部取付部124(a)の周りで回転され、次いで、充電器ユニットは車両から取り外される。プロセス全体において、充電器ユニット112に到達すると共にこれを取り除くために、側部パネル(図示せず)は車両100から取り外される必要はなく、ユーティリティボックス117のみが取り外される。ユーティリティボックスを取り除くことは、通常、アクセスの点で容易であり、簡単なツールによって取り外しが容易である。
【0029】
図6は、車両内に組み付けられた充電器114を有する充電器ユニット112の拡大された局所斜視図を例示的に示す。充電器ユニット112は、複数の締結具を使用して取り付けられる。充電器ユニット112は、後部クロスブリッジ111の前部分内の前部取付部124(a)と、2輪車両100の右後部フレーム110(a)と左後部フレーム110(b)との間に置かれた後部クロスブリッジ111の後部分内の2つの充電器ユニット取付部124(b)によって取り付けられる。この取付構成は、最小数の取付設備によって安心安全な取付けを達成する。さらに、後部クロスブリッジ111のような既存の部分は、車両100へのさらなるパーツの追加を必要とすることなく、車両100上の充電器ユニット112の取付け設備を備えて構成される。充電器ユニット112が傾斜配向ではなく水平配向で置かれる場合、充電器ユニット112を所定の場所に固定するために、4つ以上の取付位置を必要とする。したがって、本発明による取付場所は、充電器ユニット112を支持するための締結具の数を大きく低減する。充電ポート118は、充電器ユニット112の側部に設けられ、それにより、充電ポート118のケーブル146は、その動作中に曲がらず、それによって充電ポート118のケーブル146の長寿命ならびに配線ハーネスにおける伝送損失の最小化を確実にする。また、ショックアブソーバ取付ブラケット147が、車両100の右後部フレーム110(a)及び左後部フレーム110(b)上に充電器ユニット112に近接して設けられる。ショックアブソーバ取付ブラケット147により、振動または衝撃が均一にフレーム上に分散され、充電器ユニット112に影響を与えないことが確実になる。
【0030】
図7は、車両100の後部分に置かれた充電器ユニット112の冷却配置を例示的に示す。冷却ファン150が、充電器ユニット112を冷却するために、後輪107の上方の後部フェンダ148の内側部分に設けられる。冷却ファン150の軸152は、充電器ユニット112の充電器115(図2に示す)の底面に対して法線方向である。この構成は、新鮮な空気153が充電器114を冷却するために充電器ユニット112の内側に進むための経路を開く。ケーシング(別個には示さず)には、高温空気154が充電器ユニット112から放出されるように、切欠部または開口部が設けられる。ユーティリティボックス117に向かって吹き出される高温空気154は、ユーティリティボックス117の後壁によって偏向され、下方向に地面の方に向けられる。充電器ユニット112を離れた高温空気154は、複数の方向に設けられたすべての切欠部から逃げて、充電器ユニット112の温度が最低値であることを確実にする。後部フェンダ148上の冷却ファン150の位置は、冷却ファンを水又は異物から保護する。これに加えて、車輪ハガー149もまた、泥、水の飛沫などから冷却ファンを保護し、後輪107から又はその周囲からの異物の冷却ファン150への到達を制限する。充電器ユニット112内に設けられた切欠部はまた、重量低減にも役立ち、したがって重量と共にコストの低減に役立つ。別の実施形態では、冷却ファン150は、後部フェンダ148と一体的に形成されたラグ上に取り付けられ、それによって、冷却ファン150を取り付けるためのパーツの数を最小限にするのに役立つ。この取付場所の構成は、充電器ユニット112の異なる形状およびサイズで可能である。
【0031】
図8は、充電器114が車両上のケーシング13の内側に組み付けられた、車両の部分的な後部分解斜視図を例示的に示し、図9(a)および9(b)は、充電器114の斜視図および側面図を例示的に示す。充電器ユニット112は、充電器114と、充電器114の後端から外に突起する入力延長部125と、充電器114の前端から外に突起する出力延長部126と、ケーシング113とを含む。充電器114は、ケーシング113の内側に配設され、2輪車両100の後部フレームの後部クロスブリッジ(図示せず)上に取り付けられる。充電器114は、その表面上に、充電器ユニット112を冷却するための複数の冷却フィン129を備えて構成される。一実施形態により、冷却フィン129の高さは、徐々に増大し、次いで、固定された長さで一定に留まり、次いで、徐々に減少して台形形状を形成する。冷却フィン129の台形形状により、冷却フィンの数を最大にしながら、充電器114をコンパクトにケーシング113の内側で枢動させるように容易に案内することが可能になる。冷却フィン129は、十分な冷却をもたらし、また、さまざまなサイズの冷却フィン129を有して、充電器114用のパッケージング空間の改良を容易にし、さらに充電器112の最適な冷却を確実にすることによって、冷却効率が維持されることを確実にする。しかし、冷却フィン129の構造および電池充電器ユニット112のケーシング113の形状は、車両100のレイアウト要件に基づいて変わり得る。ケーシング113には、ケーシング113の内側に置かれた充電器114の冷却を確実にするための空気の流れを可能にするために、複数の切欠部132が設けられる。充電器114を収容するケーシング113は、入力延長部125用の第1のスロット127と、出力延長部126用の第2のスロット128とを含む。入力延長部125は、第1の突出ラグ面130と、第2の突出ラグ面131とを含む。ケーシング113の第1のスロット127は、互いに垂直である第1のケーシング面133および第2のケーシング面134を含む。充電器ユニット112の回転自由度を拘束するために、第1のケーシング面133は第1の突出ラグ面130と当接し、第2のケーシング面134は入力延長部125の第2の突出ラグ面131と当接する。これは、充電器ユニット112がケーシング113の内側で移動しないことを確実にし、したがってその動作を拘束して、充電器ユニット112をケーシング113の内側で固定する。
【0032】
図10は、充電器ユニット112のケーシング113の斜視図を例示的に示す。一実施形態によるケーシング113は、充電器ユニット(図示せず)を収容するための空洞形状を有するポリマー材料で構成される。ポリマー材料は、ケーシング113に必要とされる強度を与え、車両100上の充電器ユニット(図示せず)の取付けのための柔軟性をケーシング113に与える。ケーシング113は、互いに取り付けられた上側部分135および下側部分136を含む。ケーシング113の下側部分136および上側部分135の取付けは、一体的とすることができ、または取り外し式に取付可能とすることができる。下側部分136は、底面137と、底面137から直交して延びる複数の側面138とを有する。この実施形態では、下側部分136は、3つの側面を有し、下側部分136は、ケーシング113の一方の側部から開く。3つの側面は、充電器(図示せず)が横転するのを防止するために、ケーシング113の内側に充電器(図示せず)を拘束する。充電器(図示せず)は、ケーシング113の開いた側から摺動式に挿入される。上側部分135は、ケーシング113の後部に向かい、下側部分136の一部である前面139から上方向に傾斜して延びる。これにより、ケーシング113の内側に充電器(図示せず)を収容するための空間が作りだされる。ケーシング113は、冷却のために上側部分135及び下側部分136上に設けられた複数の切欠部132を含む。入力延長部(図示せず)のための第1のスロット127及び出力延長部(図示せず)のための第2のスロット128は、ケーシングの底面137と複数の側面138との接合点に設けられる。第1のスロット127および第2のスロット128は、配線(図示せず)が捩られず、または回転されないことを確実にし、したがって配線の寿命範囲にわたるその耐用性を保証する配設接続を容易にするために、底面の接合点に設けられる。ケーシング113には、傾斜して配置された上側部分135の上部分上に取付点140が設けられ、2点取付部141が、下側部分136の表面から上方向に延びる下側部分136の遠位端部上に配設される。本発明の範囲から逸脱することなく、数多くの他の改良および変更が、本明細書に組み込まれ得る。
【符号の説明】
【0033】
100 2輪車両
101 フレーム
F 101の前部分
R 101の後部分
102 101のダウンチューブ
103 Fの前部パネル
104 Rの後部パネル
105 100の座席アセンブリ
106 10の前輪
107 100の後輪
108 100のスイングアーム
109 100の後部ショックアブソーバ
110(a) 100の左後部フレーム
110(b) 100の右後部フレーム
111 100の後部クロスブリッジ
112 充電器ユニット
113 114のケーシング
114 112の充電器
115 112の底面
116 104上の開口部
117 ユーティリティボックス
118 114の充電入力ポート
119 115から進む第1の想像線
120 122から進む第2の想像線
121 119および120の交差点
122 ステアリングアセンブリの軸
123 後側
124(a) 前部取付部
124(b) 複数の充電器ユニット取付部
125 114の入力延長部
126 114の出力延長部
127 113上に設けられた第1のスロット
128 113上に設けられた第2のスロット
129 114上に設けられた冷却フィン
130 125の第1の突出ラグ面
131 125の第2の突出ラグ面
132 冷却のための複数の切欠部
133 127の第1のケーシング面
134 127の第2のケーシング面
135 113の上側部分
136 113の下側部分
137 ケーシングの底面
138 113の複数の側面
139 113の前面
140 113上の取付点
141 113上の2点取付部
143 100の後部フェンダ
144 Rにある後部座席ハンドル
145 Fにあるステアリングアセンブリ
146 112のケーブル
147 109のショック取付ブラケット
148 後部フェンダ
149 車輪ハガー
150 112用の冷却ファン
151 100の側部パネル
152 150の軸
153 150からの新鮮な空気
154 150から出た高温空気
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図10
【国際調査報告】