(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】デジタル治療プラセボおよびシャムの生成および施用のためのシステム、方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
G16H 20/70 20180101AFI20230712BHJP
【FI】
G16H20/70
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577203
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(85)【翻訳文提出日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 US2021040250
(87)【国際公開番号】W WO2022006496
(87)【国際公開日】2022-01-06
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520124224
【氏名又は名称】ペア セラピューティクス (ユーエス)、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】カンペローネ ティモシー
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
治療方法が、データ処理ハードウェアによって、1人または複数のユーザの第1の組に、少なくとも認知行動療法コンテンツを含むデジタル治療を施すことと、1人または複数のユーザの第2の組に、シャムまたはプラセボデジタル治療のうちの少なくとも1つのデジタル治療を施すことと、上記デジタル治療との上記第1の組の関与の分析に基づいて、第1の有効性値を判定することと、上記シャムまたはプラセボデジタル治療との上記第2の組の関与の分析に基づいて、第2の有効性値を判定することと、上記第1の有効性値と上記第2の有効性値との比較に基づいて、上記デジタル治療に関連付けられた第3の有効性値を判定することと、更新されたデジタル治療を提供するために上記第3の有効性値に基づいて上記デジタル治療の上記認知行動療法コンテンツに変更を加えることと、更新された上記デジタル治療を1人または複数のユーザの第3の組に施すこととを含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患または障害を治療するためのシステムであって、
データ処理ハードウェアと、
前記データ処理ハードウェアと通信するメモリハードウェアとを含み、前記メモリハードウェアは、前記データ処理ハードウェア上で実行されると前記データ処理ハードウェアに、
1人または複数のユーザの第1の組に、少なくとも認知行動療法コンテンツを含むデジタル治療を施すことと、
1人または複数のユーザの第2の組に、シャムまたはプラセボデジタル治療のうちの少なくとも1つのデジタル治療を施すことであって、前記少なくとも1つシャムまたはプラセボデジタル治療がいかなる認知行動療法コンテンツも含まないシャムまたはプラセボデジタル治療を施すことと、
前記デジタル治療との1人または複数のユーザの前記第1の組の関与の分析に基づいて、前記デジタル治療に関連付けられた第1の有効性値を判定することと、
前記シャムまたはプラセボデジタル治療との1人または複数のユーザの前記第2の組の関与の分析に基づいて、前記少なくとも1つのシャムまたはプラセボデジタル治療に関連付けられた第2の有効性値を判定することと、
前記第1の有効性値と前記第2の有効性値との比較に基づいて、前記デジタル治療に関連付けられた第3の有効性値を判定することと、
更新されたデジタル治療を提供するために前記第3の有効性値に基づいて前記デジタル治療の前記認知行動療法コンテンツに変更を加えることと、
更新された前記デジタル治療を1人または複数のユーザの第3の組に施すこととを含む、動作を行わせる命令を記憶する、システム。
【請求項2】
1人または複数のユーザの前記第3の組が、ユーザの前記第1の組または第2の組の一部または全部のユーザを含んでもよい、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記シャムデジタル治療を施すことが、
1人または複数のユーザの前記第2の組のうちのユーザに関連付けられた感情、疾患、障害または状態のうちの少なくとも1つに関係する一般情報に対応する1つまたは複数の文を配信することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つまたは複数の文が、前記データ処理ハードウェアが1人または複数のユーザの前記第2の組のうちのユーザから、1人または複数のユーザの第2の組のうちの前記ユーザに関連付けられた感情、疾患、障害または状態の表示を受け取ることに応答して配信される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記シャムデジタル治療を施すことが、
ディスプレイデバイス上での表示のために、1人または複数のユーザの前記第2の組のうちのユーザとの会話をシミュレーションするように構成されたテキストコンテンツを生成することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記テキストコンテンツが、挨拶メッセージ、プロンプト、応答、または、シミュレーションされた前記会話の終了の表示のうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記プラセボデジタル治療を施すことが、
ディスプレイデバイス上での表示のために、タイマーを含むグラフィックコンテンツを生成することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記プラセボデジタル治療を施すことが、
ディスプレイデバイス上での表示のために、ブランク画面を生成することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記シャムデジタル治療を施すことが、シャムコンテンツを配信することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記プラセボデジタル治療を施すことが、コンテンツを配信しないことを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
治療方法であって、
データ処理ハードウェアによって、1人または複数のユーザの第1の組に、少なくとも認知行動療法コンテンツを含むデジタル治療を施すことと、
前記データ処理ハードウェアによって、1人または複数のユーザの第2の組に、シャムまたはプラセボデジタル治療のうちの少なくとも1つのデジタル治療を施すことであって、前記少なくとも1つシャムまたはプラセボデジタル治療がいかなる認知行動療法コンテンツも含まないシャムまたはプラセボデジタル治療を施すことと、
前記データ処理ハードウェアによって、前記デジタル治療との1人または複数のユーザの前記第1の組の関与の分析に基づいて、前記デジタル治療に関連付けられた第1の有効性値を判定することと、
前記データ処理ハードウェアによって、前記シャムまたはプラセボデジタル治療との1人または複数のユーザの前記第2の組の関与の分析に基づいて、前記少なくとも1つのシャムまたはプラセボデジタル治療に関連付けられた第2の有効性値を判定することと、
前記データ処理ハードウェアによって、前記第1の有効性値と前記第2の有効性値との比較に基づいて、前記デジタル治療に関連付けられた第3の有効性値を判定することと、
前記データ処理ハードウェアによって、更新されたデジタル治療を提供するために前記第3の有効性値に基づいて前記デジタル治療の前記認知行動療法コンテンツに変更を加えることと、
前記データ処理ハードウェアによって、更新された前記デジタル治療を1人または複数のユーザの第3の組に施すこととを含む、方法。
【請求項12】
1人または複数のユーザの前記第3の組が、ユーザの前記第1の組または第2の組の一部または全部のユーザを含んでもよい、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記シャムデジタル治療を施すことが、
前記データ処理ハードウェアによって、1人または複数のユーザの前記第2の組のうちのユーザに関連付けられた感情、疾患、障害または状態のうちの少なくとも1つに関係する一般情報に対応する1つまたは複数の文を配信することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記1つまたは複数の文が、前記データ処理ハードウェアが1人または複数のユーザの前記第2の組のうちのユーザから、1人または複数のユーザの第2の組のうちの前記ユーザに関連付けられた感情、疾患、障害または状態の表示を受け取ることに応答して配信される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記シャムデジタル治療を施すことが、
前記データ処理ハードウェアによって、ディスプレイデバイス上での表示のために、1人または複数のユーザの前記第2の組のうちのユーザとの会話をシミュレーションするように構成されたテキストコンテンツを生成することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記テキストコンテンツが、挨拶メッセージ、プロンプト、応答、または、シミュレーションされた前記会話の終了の表示のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記プラセボデジタル治療を施すことが、
前記データ処理ハードウェアによって、ディスプレイデバイス上での表示のために、タイマーを含むグラフィックコンテンツを生成することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記プラセボデジタル治療を施すことが、
前記データ処理ハードウェアによって、ディスプレイデバイス上での表示のために、ブランク画面を生成することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記シャムデジタル治療を施すことが、前記データ処理ハードウェアによって、シャムコンテンツを配信することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記プラセボデジタル治療を施すことが、前記データ処理ハードウェアによって、コンテンツを配信しないことを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本米国特許出願は、合衆国法典第35巻第119(e)条に基づき、2020年7月2日に出願された米国仮特許出願第63/047,372号の優先権を主張する。この先行出願の開示は、本出願の開示の一部とみなされ、参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
【0002】
本開示は、デジタル治療に関し、より具体的には、デジタル治療プラセボおよびシャムを生成し、施用するためのシステム、方法およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
本節で示す情報は、本開示の文脈を概略的に示すことを目的としている。本節に記載されている程度までの本記名発明人らの研究成果と、本出願の時点で先行技術には当たり得ない本説明の態様は、明示的にも暗黙的にも本開示に対する先行技術であるとは認められない。
【0004】
薬物治療は、様々な内科疾患および障害の治療において重要な役割を演じてきた。従来の薬物治療は、医薬品などの投与を伴う。従来の医薬品の例には、通常は化学合成に由来する小分子薬と、遺伝子組み換えタンパク質、ワクチン、治療的遺伝子治療で使用される血液製剤、モノクロナール抗体、細胞療法などの生物製薬とがある。
【0005】
薬物治療は、特定の疾患および障害を治療するための有効な仕組みであることが実証されているが、欠点がないわけではない。たとえば、従来の薬物治療を受ける患者は、薬物に付随する望ましくない副作用を経験することがあり、従来の薬物の投与は難しいとわかる場合があり、処方薬物治療レジメンに対する患者のアドヒアランスの追跡が困難である場合が多く、従来の薬物はかなり費用がかかることが多い。したがって、デジタル治療が、従来の薬物治療に対する追加治療および/または代替治療としての選択肢を提供する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
歴史的に、疾患または障害を治療するためのデジタル治療のパフォーマンス(たとえば、有効性、安全性、処方レジメンに対する患者アドヒアランス、副作用の軽減など)に関連するパラメータは、その疾患または障害を治療するための従来型薬物治療に対して相対的に評価されてきた。しかし、治療の選択肢を比較する従来のシステムおよび方法は、他のデジタル製品と比較してデジタル治療のパフォーマンスを評価するのに有効ではないことがわかっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、疾患または障害を治療するためのシステムを提供する。このシステムは、データ処理ハードウェアと、データ処理ハードウェアと通信するメモリハードウェアとを含み、メモリハードウェアは、データ処理ハードウェア上で実行されるとデータ処理ハードウェアに、1人または複数のユーザの第1の組に対して少なくとも認知行動療法コンテンツを含むデジタル治療を施すことと、1人または複数のユーザの第2の組にシャムまたはプラセボデジタル治療のうちの少なくとも1つを施すことであって、少なくとも1つのシャムまたはプラセボデジタル治療はいかなる認知行動療法コンテンツも含まない、デジタル治療を施すことと、デジタル治療との1人または複数のユーザの第1の組の関与の分析に基づいてデジタル治療に関連付けられた第1の有効性値を判定することと、シャムまたはプラセボデジタル治療との1人または複数のユーザの第2の組の関与の分析に基づいて少なくとも1つのシャムまたはプラセボデジタル治療に関連付けられた第2の有効性値を判定することと、第1の有効性値と第2の有効性値との比較に基づいてデジタル治療に関連付けられた第3の有効性値を判定することと、更新されたデジタル治療を提供するために第3の有効性値に基づいてデジタル治療の認知行動療法のコンテンツに変更を加えることと、更新されたデジタル治療を1人または複数のユーザの第3の組に施すこととを含む動作を行わせる命令を記憶する。
【0008】
本開示の実装形態は、以下の任意による特徴のうちの1つまたは複数を含んでもよい。実装形態によっては、1人または複数のユーザの第3の組は、ユーザの第1の組または第2の組のいずれかの一部またはすべてのユーザを含んでもよい。
【0009】
シャムデジタル治療を施すことは、1人または複数のユーザの第2の組のユーザのうちのユーザに関連付けられた、感情、疾患、障害、または状態のうちの少なくとも1つに関連する一般情報に対応する1つまたは複数の文を配信することを含んでもよい。1つまたは複数の文は、データ処理ハードウェアが1人または複数のユーザの第2の組のうちのユーザから、1人または複数のユーザの第2の組のうちのそのユーザに関連付けられた感情、疾患、障害または状態の表示を受け取ることに応答して配信されてもよい。
【0010】
シャムデジタル治療を施すことは、ディスプレイデバイス上での表示のために、1人または複数のユーザの第2の組のうちのユーザとの会話をシミュレーションするように構成されたテキストコンテンツを生成することを含んでもよい。テキストコンテンツは、挨拶メッセージ、プロンプト、応答、またはシミュレーションされた会話の終了の表示のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0011】
プラセボデジタル治療を施すことは、ディスプレイデバイス上での表示のために、タイマーを含むグラフィックコンテンツを生成することを含んでもよい。
【0012】
プラセボデジタル治療を施すことは、ディスプレイデバイス上での表示のために、ブランク画面を生成することを含んでもよい。
【0013】
シャムデジタル治療を施すことは、シャムコンテンツを配信することを含んでもよい。プラセボデジタル治療を施すことは、コンテンツを配信しないことを含んでもよい。
【0014】
本開示の別の態様は、治療方法であって、データ処理ハードウェアによって、1人または複数のユーザの第1の組に対して少なくとも認知行動療法コンテンツを含むデジタル治療を施すことと、データ処理ハードウェアによって、1人または複数のユーザの第2の組にシャムまたはプラセボデジタル治療のうちの少なくとも1つを施すことであって、少なくとも1つのシャムまたはプラセボデジタル治療はいかなる認知行動療法コンテンツも含まない、デジタル治療を施すことと、データ処理ハードウェアによって、デジタル治療との1人または複数のユーザの第1の組の関与の分析に基づいてデジタル治療に関連付けられた第1の有効性値を判定することと、データ処理ハードウェアによって、シャムまたはプラセボデジタル治療との1人または複数のユーザの第2の組の関与の分析に基づいて少なくとも1つのシャムまたはプラセボデジタル治療に関連付けられた第2の有効性値を判定することと、データ処理ハードウェアによって、第1の有効性値と第2の有効性値との比較に基づいてデジタル治療に関連付けられた第3の有効性値を判定することと、データ処理ハードウェアによって、更新されたデジタル治療を提供するために第3の有効性値に基づいてデジタル治療の認知行動療法のコンテンツに変更を加えることと、データ処理ハードウェアによって、更新されたデジタル治療を1人または複数のユーザの第3の組に施すこととを含む、治療方法を提供する。この態様は、以下の任意による特徴のうちの1つまたは複数の特徴を含んでもよい。
【0015】
実装形態によっては、1人または複数のユーザの第3の組は、ユーザの第1または第2の組の一部または全部のユーザを含んでもよい。
【0016】
シャムデジタル治療を施すことは、データ処理ハードウェアによって、1人または複数のユーザの第2の組のうちのユーザに関連付けられた感情、疾患、障害または状態のうちの少なくとも1つに関連する一般情報に対応する1つまたは複数の文を配信することを含んでもよい。1つまたは複数の文は、データ処理ハードウェアが1人または複数のユーザの第2の組のうちのユーザから、1人または複数のユーザの第2の組のうちのそのユーザに関連付けられた感情、疾患、障害または状態の表示を受け取ることに応答して配信されてもよい。
【0017】
シャムデジタル治療を施すことは、データ処理ハードウェアによって、ディスプレイデバイス上での表示のために、1人または複数のユーザの第2の組のうちのユーザとの会話をシミュレーションするように構成されたテキストコンテンツを生成することを含んでもよい。テキストコンテンツは、挨拶メッセージ、プロンプト、応答、またはシミュレーションされた会話の終了の表示のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0018】
プラセボデジタル治療を施すことは、データ処理ハードウェアによって、ディスプレイデバイス上での表示のために、タイマーを含むグラフィックコンテンツを生成することを含んでもよい。
【0019】
プラセボデジタル治療を施すことは、データ処理ハードウェアによって、ディスプレイデバイス上での表示のために、ブランク画面を生成することを含んでもよい。
【0020】
シャムデジタル治療を施すことは、データ処理ハードウェアによって、シャムコンテンツを配信することを含んでもよい。プラセボデジタル治療を施すことは、データ処理ハードウェアによって、コンテンツを配信しないことを含んでもよい。
【0021】
本開示の1つまたは複数の実装形態の詳細は、添付図面および以下の説明に記載されている。その他の態様、特徴および利点は、説明および図面からと特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示の原理による、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーションを含む例示のシステムを示す概略図である。
【
図2】
図1のデジタル治療プラセボ/シャムアプリケーションの例示の事前調査動作を示すフローチャートである。
【
図3A】
図1のデジタル治療プラセボ/シャムアプリケーションの例示の開始動作を示すフローチャートである。
【
図3B】
図1のデジタル治療プラセボ/シャムアプリケーションの例示の治療グループ動作を示すフローチャートである。
【
図3C】
図1のデジタル治療プラセボアプリケーションの例示のプラセボ/シャムグループ動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図1のデジタル治療プラセボ/シャムアプリケーションの例示の調査動作を示すフローチャートである。
【
図5】本開示の原理による本物のデジタル治療アプリケーションの例示の治療動作を示すフローチャートである。
【
図6A】
図1のデジタル治療プラセボ/シャムアプリケーションの第1のグラフィカルユーザインターフェースを有するユーザデバイスを示す図である。
【
図6B】
図1のデジタル治療プラセボ/シャムアプリケーションの第2のグラフィカルユーザインターフェースを有するユーザデバイスを示す図である。
【
図7A】例示の本物のデジタル治療アプリケーションの第1のグラフィカルユーザインターフェースを有するユーザデバイスを示す図である。
【
図7B】
図7Aの例示の本物のデジタル治療アプリケーションの第2のグラフィカルユーザインターフェースを有するユーザデバイスを示す図である。
【
図8】本開示の原理による方法を示すフローチャートである。
【
図9】本明細書に記載のシステムおよび方法を実装するために使用可能な例示のコンピューティングデバイスを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
様々な図面中の同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【0024】
本開示が十分であり、当業者に範囲を十分に伝えるように、例示の実施形態を示す。本開示の実施形態を十分に理解することができるように、特定のシステム、コンポーネント、デバイスおび方法などの多くの具体的な詳細が記載されている。当業者は、具体的な詳細は採用されなくてもよいこと、例示の実施形態は多くの異なる形態で具現化されてもよいこと、および、いずれも本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことがわかるであろう。例示の実施形態の中には、よく知られているプロセス、よく知られているデバイス構造、およびよく知られている技術について詳細には記載されていないものがある。
【0025】
以下でより詳細に示し、説明するように、本開示は、様々な疾患および障害を治療するためのシステム、方法およびデバイスを含む。より具体的には、本開示は、デジタル治療プラセボおよび/またはデジタル治療シャムを生成し、施すための、システム、方法およびデバイスを含む。本明細書に記載のシステムは、デジタル治療プラセボ/シャムを記憶し、デジタル治療プラセボ/シャムを、ユーザのコンピューティングデバイス(たとえば、所与の疾患または障害を治療するためのデジタル治療のパフォーマンスを評価するように設計された研究または治験における参加者に関連付けられたコンピューティングデバイス)に送信し、デジタル治療とのユーザ対話を対応するデジタル治療プラセボ/シャムとのユーザ対話と比較することによってデジタル治療のパフォーマンスを評価するために、1つまたは複数の有線または無線ネットワークを介して接続されたコンピューティングコンポーネントを含んでもよい。本明細書に記載の方法は、デジタル治療プラセボ/シャムをユーザに施す方法と、デジタル治療とのユーザ対話を対応するデジタル治療プラセボ/シャムとのユーザ対話と比較することによってデジタル治療のパフォーマンスを評価する方法と、パフォーマンスの評価に基づいてデジタル治療および/またはデジタル治療プラセボ/シャムに変更を加える方法とを含み得る。本明細書に記載のデバイスは、患者対面プラセボ/シャムアプリケーションの記憶、送信、変更および/または実行のための、コンピューティングデバイス(たとえば、サーバコンピュータ、スマートフォン、タブレット、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、またはこれらの任意の組合せ)を含み得る。患者対面プラセボ/シャムアプリケーションは、モバイルアプリケーション、ウェブベースのアプリケーション、またはこれらの任意の組合せを構成し得る。
【0026】
デジタル治療は、治療コンテンツを、コンピューティングデバイス上で実行可能なコンピュータアプリケーションを介して配信されるテキストおよび/または音声/視覚コンテンツの形態で患者に提供してもよい。非薬物治療に対して相対的な(たとえばデジタル治療と比較した)デジタル治療の(たとえば、有効性、安全性、処方レジメンに対する患者アドヒアランスなどのパフォーマンスパラメータ、または当技術分野で知られている医学的治療のための任意のその他のパフォーマンスパラメータにわたる)パフォーマンスを評価するために、デジタル治療プラセボ/シャムを実装することができる。一実施例によると、ユーザの第1のグループ(たとえば、所与の疾患または障害を治療するためのデジタル治療のパフォーマンスを評価することを目的とした研究または治験の参加者)に、特定の疾患または障害を治療することを目的としたデジタル治療が施されてもよい。たとえば、デジタル治療は、ホストサーバなどから、
図1に示すネットワークシステムなどのネットワークシステムを介して、ユーザの第1のグループに関連付けられたコンピューティングデバイスに提供されてもよい。このユーザの第1のグループを「治療グループ」と呼ぶ場合がある。
【0027】
さらに、ユーザの第2のグループ(たとえば、所与の疾患または障害を治療するためのデジタル治療のパフォーマンスを評価することを目的とした研究または治験の参加者)に、その特定の疾患または障害を治療することを目的としていないデジタル治療プラセボ/シャムが施されてもよい。たとえば、デジタル治療プラセボ/シャムは、
図1に示すネットワーク化システムなどのネットワークシステムを介して、ホストサーバなどからユーザの第2のグループに関連付けられたコンピューティングデバイスに提供されてもよい。ユーザのこの第2のグループを、「プラセボ/シャム」または「対照」グループと呼ぶ。
【0028】
本明細書に記載の例示の実装形態によると、デジタル治療プラセボは、治療コンテンツ(たとえば、認知行動療法コンテンツ)に視覚的または聴覚的に類似しているが、対応する実際のまたは本物のデジタル治療が治療を目的としている疾患または障害を治療することができるいかなる治療コンテンツも実際には施さない施用コンテンツであってもよい。例示の一実装形態では、デジタル治療プラセボは、実質的にコンテンツを何も(たとえばいかなるテキストコンテンツも)施さなくてもよく、その代わりにブランク画面を生成してもよい。別の例示の実装形態では、デジタル治療プラセボは、対応する実際の、または本物のデジタル治療が治療することを目的としている疾患または障害を治療することができるいかなる治療コンテンツも配信しない、タイマーなどを与えてもよい。別の例示の実装形態では、ユーザの第2のグループがデジタル治療を受けない順番待ちリストに載せられ、その代わりに、順番待ちリストグループはデジタル治療を受けるのを待ち、罹患しているその特定の疾患または障害の標準治療(すなわち、デジタル治療の使用がない)を受け続けてもよい。将来のある時点で、順番待ちリストグループは最終的にデジタル治療を受けてもよい。
【0029】
別の例示の実装形態によると、デジタル治療シャムは、対応する実際のデジタル治療が治療することを目的として作られている疾患または障害を治療するための治療コンテンツ(たとえば、認知行動療法コンテンツ)がないように特に作られた一般または心理教育的コンテンツなどの「シャム」コンテンツを施してもよい。シャムコンテンツの他の非限定的な例には、対応する実際のデジタル治療が治療することを目的とし作られている疾患または障害を治療することが実証されていないテキストコンテンツ(たとえば表1に示すテキストコンテンツ)、対応する実際のデジタル治療が治療することを目的として作られている疾患または障害を治療することが実証されていない視覚コンテンツ、対応する実際のデジタル治療が治療を目的としている疾患または障害を治療することが実証されていない音声コンテンツ、またはこれらの任意の組合せが含まれ得る。
【0030】
例示の一実施例によると、デジタル治療が1つまたは複数の疾患または障害(たとえば多発性硬化症)に付随する抑うつ症状を治療するように構成されてもよい。この実施例によると、デジタル治療シャムによって生成されるシャムコンテンツは、(たとえば、デジタル治療シャムアプリケーションを介してユーザによって提供された入力情報に基づく)ユーザが経験している感情の状態を対象とするテキスト、音声および/または視覚コンテンツを含んでもよい。この実施例を続けて説明すると、ユーザが孤独感状態を経験していることを示す状況において、デジタル治療シャムは、ユーザのコンピューティングデバイス上に表示するために「孤立感は免疫力を傷害し、ストレスホルモンの生成を増大させ、睡眠に有害であり、認知能力に影響を与える」などのメッセージを伝える表示データを生成してもよく、このメッセージは1つまたは複数の疾患または障害に付随する抑うつ症状を軽減またはなくすことにいかなる治療効果もないことが実証されているものである。他の例示のシャムコンテンツを表1に示す。異なる、および/または追加のシャムコンテンツも企図されることを理解されたい。
【0031】
実装形態によっては、プラセボ/シャム/対照グループに配信されるデジタル治療プラセボ/シャムは、治療グループに提供される対応する実際のデジタル治療に含まれるものと類似した機能および/またはコンテンツを含んでもよい。たとえば、デジタル治療プラセボ/シャムは、プラセボ/シャム/対照グループが、(i)デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーションの一部として含まれている会話型グラフィカルユーザインターフェースを介してユーザのコンピューティングデバイス(たとえばユーザのモバイルデバイス)によってコンテンツにアクセスして対話し、(ii)ログインインターフェースを介して(たとえばユーザが固有IDおよびアクセスコードを入力することによって)デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーションにログインし、(iii)ユーザによって選択されるとユーザのコンピューティングデバイス上でデジタル治療プラセボ/シャムアプリケーションを開始するローカル通知をユーザのコンピューティングデバイス上で受け取ることができるようにしてもよい。実装形態によっては、類似した会話シナリオを反復する結果として、前のシナリオと同じシャム(たとえば心理教育的)コンテンツのコピーを、プラセボ/シャム/対照グループ内のユーザに配信してもよい。すなわち、そのユーザには、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーションとの後続のセッションにわたって異なるシャム(たとえば心理教育的)コンテンツが配信されなくてもよい。
【0032】
実装形態によっては、デジタルプラセボ/シャムアプリケーションは、ユーザにデジタルプラセボ/シャムアプリケーションを開くように促す3通の日次通知を配信し、その後、アプリケーションが利用可能な残り期間中(たとえば、治療診断による処方の存続期間中)に処方タイマー(たとえば、次の処方施用までのタイマークロックカウントダウン)を表示してもよい。デジタルプラセボ/シャムアプリケーションは、スマートフォンへの関与の非特異的影響を考慮に入れてもよい。しかし、デジタルプラセボ/シャムアプリケーションは、いかなる積極的対処能力(たとえば心理社会的介入の要素)も与えなくてもよく、実際のデジタル治療と視覚的に類似しているように見えてもよい。
【0033】
本明細書に記載のシステム、方法およびデバイスは、物質使用障害、オピオイド使用障害、統合失調症、心的外傷後ストレス障害、一般不安障害、不眠症、外傷性脳損傷、注意欠陥多動性障害、多発性硬化症および大うつ病性障害などを含むがこれらには限定されない、疾患および障害を治療することを目的とした実際のデジタル治療の効果を評価するために使用されてもよい。
【0034】
図1を参照すると、一部の実施形態において、デジタル治療プラセボ/シャムシステム100が、ユーザ101に、ユーザ101に割り当てられたデジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120へのアクセスを提供し、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120とのユーザ101の対話に関連付けられたイベントを監視する。本明細書ではデジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120を「プラセボ/シャム」デジタル治療と称するが、実装形態によっては、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、ユーザ101が、本物のデジタル治療とデジタル治療プラセボ/シャムのいずれと対話しているのかわからないように、本物のデジタル治療、たとえば処方デジタル治療と類似に機能してもよい。デジタル治療プラセボ/シャムを使用しているかまたは施されている人を「ユーザ」と呼ぶ場合がある。「ユーザ」は、患者、プラセボ/シャムまたは対照グループ内のユーザ、またはデジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120を使用しているかまたは施されている任意のその他のユーザを含み得る。
【0035】
本明細書で使用するデジタル治療とは、特定の疾患または障害、および特定の疾患または障害に付随する症状および/または行動のある患者を治療するための、根拠に基づく心理社会的介入技術を与えるように構成されたデジタル治療も指す場合がある。実装形態によっては、許可された医療提供者(HCP)109(たとえば医師、看護師など)がユーザ101を監督し、ユーザ101にデジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120を割り当ててもよい。HCP109は、医師、看護師、臨床医、またはその他の有資格医療従事者を含み得る。他の実装形態では、ユーザ101は、臨床試験に関与している人など任意の適切な人物によってデジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120が割り当てられてもよい。
【0036】
一部の実施例では、システム100は、ネットワーク106と、ユーザデバイス102と、任意によるHCPシステム140と、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120とを含む。ネットワーク106は、リモートデバイス上でのサービスの実施を提供するためにプラセボ/シャムアプリケーション120を実行するクラウドコンピューティングリソース150(たとえば分散システム)へのアクセスを提供する。ネットワーク106は、無線遠隔通信ネットワーク、携帯電話ネットワーク、時分割多重アクセス(TDMA)ネットワーク、符号分割多重アクセス(CDMA)ネットワーク、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(GSM)、第3世代(3G)ネットワーク、第4世代(4G)ネットワーク、第5世代(5G)ネットワーク、衛星通信ネットワーク、およびその他の通信ネットワークなど、通信信号の送受信を可能にする任意の種類のネットワークを含み得る。ネットワーク106は、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、およびパーソナルエリアネットワーク(PAN)のうちの1つまたは複数を含んでもよい。実施例によっては、ネットワーク106は、データネットワークおよび遠隔通信ネットワークの組合せと、データおよび遠隔通信ネットワークの組合せを含む。ユーザデバイス102と、任意によるHCPシステム140と、プラセボ/シャムアプリケーション120とは、ネットワーク106を介して信号(有線または無線)を送受信することによって互いに通信する。実施例によっては、ネットワーク106は、ネットワーク106を介して利用可能なエラスティック/オンデマンドコンピューティングおよび/またはストレージリソース156であってもよいクラウドコンピューティングリソースへのアクセスを提供する。「クラウド」サービスという用語は、ユーザのデバイス上でローカルには行われず、1つまたは複数のネットワーク106を介してアクセス可能な1つまたは複数のリモートデバイスから配信されるサービスを全般に指す。
【0037】
ユーザデバイス102は、携帯型電子デバイス(たとえばスマートフォン、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント、パーソナルコンピュータ、または無線タブレットデバイス)、デスクトップコンピュータ、またはネットワーク106を介して情報を送受信することができる任意のその他の電子デバイスを含むが、これらには限定されない。ユーザデバイス102は、データ処理ハードウェア112(命令を実行するコンピューティングデバイス)と、メモリハードウェア114と、データ処理ハードウェア112と通信するディスプレイ116とを含む。実施例によっては、ユーザデバイス102は、ユーザがデータを入力することを可能にするキーボード、マウス、マイクロフォンおよび/またはカメラを含む。ディスプレイ116に加えて、またはディスプレイ116に代えて、ユーザデバイス102は、ユーザ101に対して音声データを出力する1つまたは複数のスピーカを含んでもよい。たとえば、プラセボ/シャムアプリケーション120に関連付けられた何らかの時間的制約のあるイベントに関してユーザ101に通知するために、スピーカによって警報音が出力されてもよい。実装形態によっては、ユーザデバイス102は、プラセボ/シャムアプリケーション120との接続を確立し、アクセスするための、ユーザアプリケーション103を実行する(またはウェブベースの患者アプリケーションにアクセスする)。たとえば、ユーザ101は、ユーザ101に割り当てられたプラセボ/シャムアプリケーション120の継続期間(たとえば3ヶ月)中に、ユーザアプリケーション103にアクセス可能であってもよい。ここでは、ユーザデバイス102は、プラセボ/シャムアプリケーション120がユーザ101に割り当てられるときに、ユーザ101がプラセボ/シャムアプリケーション120に関連付けられたコンテンツにアクセスすることができるようにするアクセスコード104を最初に提供することによって、ユーザアプリケーション103を立ち上げてもよい。ユーザアプリケーション103は、ユーザデバイス102のデータ処理ハードウェア112上で実行されると、ユーザデバイス102のディスプレイ116上に、とりわけユーザ101がプラセボ/シャムアプリケーション120と対話することができるようにする、様々なグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を表示するように構成される。
【0038】
ストレージリソース156は、ユーザ記録105およびプラセボ/シャムコンテンツ122を記憶するためのデータストレージ158を提供してもよい。ユーザ記録105は、ユーザ101を識別するいかなる情報も匿名にされるようにデータストレージ158に記憶されている間は暗号化されていてもよいが、ユーザ101または監督HCP109あるいは臨床試験従事者がユーザ記録105を要求したときに(要求者がユーザ記録105にアクセスすることを許可/認証されていることを前提として)、後で復号可能であってもよい。ユーザデバイス102とクラウドコンピューティングシステム150との間でネットワーク106を介して伝送されるデータはすべて暗号化され、セキュアな通信チャネルを介して送信されてもよい。
【0039】
任意によるHCPシステム140は、HCP109によって管理されている病院、診療所または施設に配置されてもよく、データ処理ハードウェア142とメモリハードウェア145とディスプレイ146とを含む。メモリハードウェア144とディスプレイ146はデータ処理ハードウェア142と通信する。たとえば、データ処理ハードウェア142は、HCP109がプラセボ/シャムアプリケーション120との間でデータの入力と取り出しとを行うことができるようにするデスクトップコンピュータまたは携帯型電子デバイス上にあってもよい。実施例によっては、HCP109は、最初に、ユーザ記録105および/またはプラセボ/シャムコンテンツ122の一部または全部をオンボードしてもよい。他の実施例では、ユーザ101は、ユーザ記録105の一部または全部をオンボードしてもよく、プラセボ/シャムアプリケーションコンテンツ122は臨床試験従事者または任意の他の適切な人物によって作成されてもよい。HCPシステム140は、キーボード148、マウス、マイクロフォン、スピーカおよび/またはカメラを含む。実装形態によっては、HCPシステム140は(すなわちデータ処理ハードウェア142によって)、データを入力し、取り出すようにプラセボ/シャムアプリケーション120との接続を確立するために、HCPアプリケーション110を実行する(またはウェブベースの患者アプリケーションにアクセスする)。
【0040】
クラウドコンピューティングリソース150は、スケーラブル/エラスティックリソース152を有する分散システム(たとえばリモート環境)であってもよい。リソース152は、コンピューティングリソース154(たとえばデータ処理ハードウェア)および/またはストレージリソース156(たとえばメモリハードウェア)を含む。クラウドコンピューティングリソース150は、ユーザデバイス102およびHCPシステム140との通信を容易にし、データストレージ158内のストレージリソース156にデータを記憶するために、プラセボ/シャムアプリケーション120を実行する。実施例によっては、データストレージ158は、スタンドアロンコンピューティングデバイス上にある。プラセボ/シャムアプリケーション120は、データ処理ハードウェア112上で実行可能で、ユーザ101が有効なアクセスコード104を提供するとユーザデバイス102によってネットワーク106を介してアクセス可能な、ユーザアプリケーション103(たとえば、モバイアルアプリケーション、ウェブサイトアプリケーション、または命令のセットを含むダウンロード可能プログラム)を、ユーザ101に提供してもよい。同様に、プラセボ/シャムアプリケーション120は、データ処理ハードウェア142上で実行可能で、HCPシステム140によってネットワーク106を介してアクセス可能な、HCPアプリケーション110(たとえば、モバイルアプリケーション、ウェブサイトアプリケーション、または命令のセットを含むダウンロード可能プログラム)を、HCP109に提供してもよい。
【0041】
図2は、本開示の例示の一実装形態による事前調査動作200を示すフローチャートである。事前調査動作200時、システム100は、ノード202で、調査の被験者または患者を識別してもよい。システム100は、次にノード204で、ノード206での被験者または患者のランダム化で使用される割り付けリストを作成してもよい。患者の識別およびランダム化は、第三者、調査を実施する当事者、任意のその他の適切な当事者、またはこれらの任意の適切な組合せによって行われてもよい。ランダム化プロセス時、ノード208で当事者のそれぞれに固有識別名または番号が割り当てられてもよい。
【0042】
図3A~
図3Cは、本開示の例示の一実装形態によるアプリケーション動作300を示すフローチャートである。
図3Aを参照すると、開始動作300が概略的に示されている。開始動作310時、システム100は、ノード312で、患者がたとえばアプリストアを介してユーザアプリケーション103をダウンロードすることができるようにしてもよい。ノード314におけるログインプロセス時、患者はノード316でアクセスコード104を提供してもよく、アクセスコード104は患者がログインプロセスを完了し、たとえばノード318でパスワードを作成し、ユーザ名などを作成することができるようにしてもよい。開始動作310時、各グループ(たとえば治療グループおよびプラセボ/シャムグループ)の患者が、患者が自分がどのグループに入っているのかわからないように、ほぼ類似したプロセスを経てもよい。たとえば、プラセボ/シャムグループの患者は自分がプラセボ/シャムグループに入っているか治療グループに入っているかを知らなくてもよい。
【0043】
図3Bを参照すると、治療グループ動作320が概略的に示されている。治療グループ動作320時、調査グループの患者は第1の通知治療324および第2の通知治療326として図示されている治療を受け、ノード322で、ユーザアプリケーション103との対話、直接面談、または任意のその他の適切な手段により、HCP109に対してチェックインする。
【0044】
図3Cを参照すると、プラセボ/シャムグループ動作330が概略的に示されている。プラセボ/シャムグループ動作330時、たとえばユーザアプリケーション103、対応する実際のデジタル治療が治療するとこを目的として作られている疾患または障害を治療することが実証されていないテキストコンテンツ(たとえば表1に示すテキストコンテンツ)、対応する実際のデジタル治療が治療するとこを目的として作られている疾患または障害を治療することが実証されていない視覚コンテンツ、対応する実際のデジタル治療が治療するとこを目的として作られている疾患または障害を治療することが実証されていない音声コンテンツ、またはこれらの任意の組合せとの対話を介して、プラセボ/シャムグループの患者にデジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120が提示されてもよい。このようなコンテンツは、シャムデジタル治療の一部であってもよい。
【0045】
他の実装形態では、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、シャムデジタル治療および本物のデジタル治療と同じ開始動作310を含むプラセボデジタル治療を施用してもよいが、開始動作310後はプラセボデジタル治療は実質的にコンテンツを提示しない。一実施例として、プラセボデジタル治療は、ブランク画面を生成し、ディスプレイ116上に表示してもよい。別の一実施例として、プラセボデジタル治療は、タイマー、たとえばカウントダウンタイマーを生成し、ディスプレイ116上に表示してもよい。
【0046】
実装形態によっては、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120が、患者に第1のプラセボ通知332と第2のプラセボ通知334とを(たとえばディスプレイ116上に表示することによって)提示してもよい。第1および第2のプラセボ通知332、334は、患者にユーザアプリケーション103を使用することを忘れないようにさせるプッシュ通知またはその他の類似の通知であってもよい。患者が(たとえばユーザアプリケーション103との対話により)デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120を開くと、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120はユーザ101との会話をシミュレーションしてもよい。たとえば、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、ノード336で患者に第1の挨拶文を提示してもよい。その後、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、ノード338で患者に第2の挨拶文を提示してもよい。第1および第2の挨拶文336、338は、以下の表1に示すように「こんにちは」および「アプリにおかえりなさい」などのテキスト文を含んでもよい。ノード340で、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、患者に対して「気分はいかかですか」などの第1のプロンプトを提示してもよい。ノード342で、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、患者から、たとえばユーザアプリケーション103との患者の対話を介してユーザの感情の表示を受け取ってもよい。実装形態によっては、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、表1に示すように、孤独、怒り、恐れ、悲しみ、ストレス、うつ状態、欲求不満、羞恥、幸せ、楽観、誇り、やる気、同情、愛情、冷静、まずまず、など、複数の選択可能な感情を患者に対して提示してもよい。他の実装形態では、患者が自由記載入力フィールドを介して自分の感情を入力するか、自分の感情を発話するか、または任意の適切な方式で自分の感情を提示してもよい。
【0047】
ノード344および346で、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、選択された感情に基づいて、それぞれ第1の文と第2の文とをユーザに提示してもよい。表1に示すように、第1および第2の文344、346は、選択された感情、治療中の特定の疾患または障害、その他のデータなどに関する一般的事実または比較的一般的な情報を含んでもよい。たとえば、患者が自分の感情として「怒り」を選択した場合、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、ディスプレイ116上に、表1の「シャム怒り1」に対応する「米国の人口における不適切な、激しい、または抑制の乏しい怒りの総発生率は7.8%である」と表示してもよい。表1に示すように、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、患者が同じ感情を複数回選択した場合、ノード344および346で患者に複数の文を提示してもよい。たとえば、患者が「怒り」をすでに選択した後でこの感情を自分の感情として選択した場合、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、表1の「シャム怒り2」に対応する「怒りに伴う血圧上昇およびその他の身体的変化は、理路整然と考えることを困難にし、心身の健康を損なう可能性がある」とディスプレイ116に表示してもよい。患者が再び「怒り」を自分の感情として選択した場合、実装形態によっては、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、「シャム怒り1」に対応する文を提示することになる。他の実装形態では、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、患者に提示するいくつかの異なる文を含んでもよい。
【0048】
ノード348で、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、「気分はよくなりましたか」などの第2のプロンプトを患者に提示してもよい。ノード350で、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、たとえば「終了」または「完了」をディスプレイ116上に表示することによって、患者との会話または対話を終了してもよい。
【0049】
【0050】
図4を参照すると、調査動作400がフローチャートの形態で概略的に示されている。上述のように、ユーザアプリケーション103をダウンロードし、アクセスコード104を受け取る治療グループの患者の体験は、プラセボ/シャムグループの患者の体験とほぼ同様であってもよい。すなわち、ノード402で、ユーザアプリケーション103がダウンロードされてもよく、患者は自分の固有のアクセスコード104を入力してもよい。アクセスコード104に基づいて、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、患者が治療グループとプラセボ/シャムグループのいずれに属するかを判定する。患者が治療グループに属するとデジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120が判定した場合、ノード404で、本物のデジタル治療が、ユーザ名設定、パスワード設定などを含む初回オンボーディングを実行する。患者がプラセボ/シャムグループに属するとデジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120が判定した場合、ノード406で、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120が、上述し、
図3A~
図3Cで示したようにアプリケーション動作300を実行する。患者が治療グループに対応すると判定した後、本物のデジタル治療は、ノード408で患者にユーザアプリケーション103の治療バージョンへのアクセスを認める。本物のデジタル治療は次に、治療のために患者の準備をするために、ノード410でオンボーディングプロセスを実行する。次に、ノード420で、本物のデジタル治療は患者の治療を実行する。
【0051】
患者の治療は、患者が経験している、または患っている特定の疾患または障害向けに調整されてもよく、実装形態によっては、治療は少なくとも認知行動療法コンテンツを含む。例として、
図5を参照しながら、多発性硬化症に付随する抑うつ症状および障害の治療に関して、治療420を示し、説明する。ノード422で、患者がユーザアプリケーション103を介して本物のデジタル治療にチェックインしてもよい。実装形態によっては、患者はディスプレイ116上に表示される1つまたは複数のアプリケーション通知424を介してチェックインしてもよい。チェックイン時、本物のデジタル治療は、患者からポジティブな感情(したがって第1の経路およびノード426に進む)か、またはネガティブな感情(したがって第2の経路およびノード428に進む)の表示を受け取ってもよい。第1の経路では、ノード430で本物のデジタル治療が患者から1つまたは複数の症状の表示を受け取ってもよい。一例として、識別された症状が疲労である場合、本物のデジタル治療はノード432で疲労チェックインを提示する。本物のデジタル治療は、患者からノード434でどのような種類の疲労であるかの表示を受け取り、ノード436で疲労がどの程度ひどいかの表示を受け取り、次に、本物のデジタル治療はノード438で患者ビデオを提示し、ノード440で経路1に戻る。
【0052】
ノード440で、本物のデジタル治療は、患者から状況を受け取り、次にノード442で、キャッチ・チェック・チェンジ・モジュールを表示する。本物のデジタル治療がノード444で患者に代替思考を作成するように指示した後、本物のデジタル治療はノード446で思考ジャーナルを提示し、これはデータ知見448のために使用することができる。実装形態によっては、本物のデジタル治療は、患者に対してマインドフルネス音声450を提示してもよい。
【0053】
経路2において、本物のデジタル治療が、患者がポジティブな感情を体験しているという表示を受け取った場合、本物のデジタル治療は、患者からノード452で状況を、ノード454でポジティブな内省を受け取る。本物のデジタル治療がノード456で患者にポジティブな思考を作成することを指示した後、本物のデジタル治療はノード446で思考ジャーナルを提示し、これはデータ知見448で使用することができる。
【0054】
実装形態によっては、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、臨床コンテンツの代わりに感情に関する心理教育的コンテンツを提供してもよい。実装形態によっては、ユーザが同じ会話シナリオおよび/または応答を入力した場合、同じシャムコンテンツがユーザに提示されてもよい。
【0055】
図6Aを参照すると、ユーザデバイス102のディスプレイ116上にログイングラフィカルユーザインターフェース(GUI)600が概略的に示されている。ログインGUI600は、ユーザ名GUI要素602とパスワードGUI要素604とアクセスコードGUI要素606とを含んでもよい。ユーザ101は、ユーザのユーザ名、パスワードおよびアクセスコード104をそれぞれ入力するために、ユーザ名GUI要素602、パスワードGUI要素604、およびアクセスコードGUI要素606と対話してもよい。ログインGUI600は、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120によって生成され、ユーザアプリケーション103を介して表示されてもよい。ログインGUI600は、選択可能エンターGUIボタン608またはその他の類似した選択可能GUI要素を含んでもよい。
【0056】
ユーザが上記の情報を入力し、エンターGUI608を選択すると、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、
図6Bに示すようなプラセボ/シャムGUI610を生成し、表示してもよい。上述のように、プラセボ/シャムGUI610は、タイマーGUI要素612を含んでもよい。他の実装形態では、プラセボ/シャムGUI610はブランク画面、シャムコンテンツ、シャムコンテンツを配信するためのシミュレーションされた会話などを含んでもよい。
【0057】
図7Aを参照するとユーザデバイス102のディスプレイ116上のログインGUI650が概略的に示されている。ログインGUI650は、ユーザ101に本物のデジタル治療とプラセボ/シャムデジタル治療のどちらが配信されているかがユーザ101にわからないように、上述のログインGUI600と同じ外見である。ログインGUI650は、ユーザ名GUI要素652とパスワードGUI要素604とアクセスコードGUI要素606とを含んでもよい。ユーザ101は、ユーザのユーザ名、パスワードおよびアクセスコード104をそれぞれ入力するために、ユーザ名GUI要素652、パスワードGUI要素654、およびアクセスコードGUI要素656と対話してもよい。ログインGUI650は、本物のデジタル治療アプリケーションによって生成され、ユーザアプリケーション103を介して表示されてもよい。ログインGUI650は、選択可能なエンターGUIボタン658またはその他の類似の選択可能GUI要素を含んでもよい。
【0058】
ユーザが上記の情報を入力し、エンターGUIボタン658を選択すると、本物のデジタル治療アプリケーションは、
図7Bに示すようなデジタル治療GUI660を生成し、表示してもよい。上述のように一例として多発性硬化症に付随する症状を治療するためにデジタル治療を使用すると、デジタル治療GUI660は、選択可能なネガティブ感情GUI要素662と選択可能なポジティブ感情GUI要素664とを含んでもよい。たとえば、ユーザ101は、ネガティブ感情GUI要素662を選択して、上述し、
図5に示したような第1の経路をたどり始めてもよい。たとえば、ユーザ101は、ポジティブ感情GUI要素664を選択して、上述し、
図5に示したような第2の経路をたどり始めてもよい。他の実装形態では、デジタル治療GUI660は、例示としてのみ上述したものなどの任意の適切な認知行動療法コンテンツを含んでもよい。
【0059】
図8を参照すると、治療方法800がフローチャートの形態で概略的に示されている。ステップ802で、方法800は、1人または複数のユーザの第1の組にデジタル治療を施すことを含み、デジタル治療は少なくとも認知行動療法コンテンツを含む。たとえば、1人または複数のユーザの第1の組は、多発性硬化症と診断されたユーザの場合の治療420などの、認知行動療法コンテンツを含むデジタル治療を受ける治療グループを含んでもよい。
【0060】
ステップ804で、方法800は、1人または複数のユーザの第2の組に、シャムまたはプラセボデジタル治療のうちの少なくとも1つを施すことを含み、少なくとも1つのシャムまたはプラセボデジタル治療はいかなる認知行動療法コンテンツも含まない。たとえば、1人または複数のユーザの第2の組は、プラセボ/シャムグループを含んでもよい。実装形態によっては、プラセボ/シャムグループには、治療コンテンツが配信されないプラセボデジタル治療が施されてもよい。たとえば、そのようなプラセボデジタル治療は、タイマーまたはブランク画面を含んでもよい。実装形態によっては、プラセボ/シャムグループには、表1に記載され、
図3Cに示されているコンテンツのようなシャムコンテンツが配信されるシャムデジタル治療が施されてもよい。
【0061】
ステップ806で、方法800は、デジタル治療との1人または複数のユーザの第1の組の関与の分析に基づいて、デジタル治療に関連付けられた第1の有効性値を判定することを含む。たとえば、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、第1の有効性値を判定するために、ユーザアプリケーション103との治療グループの対話の程度、持続期間、頻度などを監視し、分析してもよい。実装形態によっては、第1の有効性値は、数値またはスコア、パーセンテージ、あるいは任意の適切な種類の値である。実装形態によっては、第1の有効性値は、1つまたは複数のパラメータ(たとえば、有効性、安全性、処方レジメンに対する患者アドヒアランス、副作用の軽減など)にわたる、実際の、または本物のデジタル治療がユーザに与える効果を、同じパラメータのうちの1つまたは複数にわたる薬物のユーザに与える効果と比較することによって判定されてもよい。
【0062】
ステップ808で、方法800は、シャムまたはプラセボデジタル治療との1人または複数のユーザの第2の組の関与の分析に基づいて、少なくとも1つのシャムまたはプラセボデジタル治療に関連付けられた第2の有効性値を判定することを含む。たとえば、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、第2の有効性値を判定するために、ユーザアプリケーション103とのプラセボ/シャムグループの対話の程度、持続期間、頻度などを監視し、分析してもよい。実装形態によっては、第2の有効性値は、数値またはスコア、パーセンテージ、あるいは任意の適切な種類の値である。
【0063】
ステップ810で、方法800は、第1の有効性値と第2の有効性値との比較に基づいて、デジタル治療に関連付けられた第3の有効性値を判定することを含む。たとえば、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、第3の有効性値を判定するために第1の有効性値を第2の有効性値と比較してもよい。実装形態によっては、第3の有効性値は、数値またはスコア、パーセンテージ、あるいは任意の適切な種類の値である。第3の有効性値は、対照として機能することができる、プラセボ/シャムデジタル治療と比較したデジタル治療の有効性に関するフィードバックを提供してもよい。
【0064】
実装形態によっては、方法800は、更新されたデジタル治療を提供するために第3の有効性値に基づいてデジタル治療の認知行動療法コンテンツに変更を加えることを含む、ステップ812を含んでもよい。たとえば、デジタル治療プラセボ/シャムアプリケーション120は、第3の有効性値、すなわちデジタル治療の有効性とシャムまたはプラセボデジタル治療の有効性との比較から受け取ったフィードバックに基づいて、治療グループに配信される認知行動療法コンテンツ(たとえば、テキスト、音声および/または視覚コンテンツ)に変更を加えてもよい。
【0065】
実装形態によっては、方法800は、1人または複数のユーザの第3の組に対して更新されたデジタル治療を施すことを含む、ステップ814を含んでもよい。1人または複数のユーザの第3の組は、ユーザの第1または第2の組のいずれかの一部または全部のユーザを含んでもよい。たとえば、更新されたデジタル治療は、第3の有効性値(すなわち、デジタル治療の有効性の判定)の基礎を形成していた同じユーザに対して施されてもよく、または更新されたデジタル治療は、元の有効性分析に関与していなかったユーザの組に対して施されてもよい。
【0066】
図9は、本明細書に記載のシステムおよび方法を実装するために使用可能な例示の電子デバイス900(たとえばコンピューティングデバイス)を示す概略図である。電子デバイス900は、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、メインフレーム、およびその他の適切なコンピュータなどの、様々な形態のデジタルコンピュータに相当することが意図されている。ここで図示されているコンポーネントと、それらの接続および関係と、それらの機能とは、例示を意図しているに過ぎず、本明細書で説明および/または特許請求されている本発明の実装形態を限定することを意図していない。
【0067】
電子デバイス900は、プロセッサ910と、メモリ920と、ストレージデバイス930と、メモリ902と高速拡張ポート950とに接続する高速インターフェース/コントローラ940と、低速バス970とストレージデバイス930とに接続する低速インターフェース/コントローラ960とを含む。コンポーネント910、920、930、940、950および960のそれぞれは様々なバスを使用して相互接続されており、共通のマザーボード上に、または適宜に他の方式で実装されてもよい。プロセッサ910は、高速インターフェース940に結合されたディスプレイ980などの外部入力/出力デバイス上のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)のためのグラフィック情報を表示するために、メモリ920またはストレージデバイス930に記憶された命令を含む、電子デバイス900内での実行のための命令を処理することができる。他の実装形態では、複数のメモリおよび複数の種類のメモリとともに、適宜、複数のプロセッサおよび/またはバスが使用されてもよい。また、各デバイスが必要な動作の一部を提供する複数の電子デバイス900が、(たとえば、サーババンク、ブレードサーバのグループまたはマルチプロセッサシステムとして)接続されてもよい。
【0068】
メモリ920は、電子デバイス900において情報を非一過的に記憶する。メモリ920は、コンピュータ可読媒体、揮発性メモリユニット、または不揮発性メモリユニットであってもよい。非一過性メモリ920は、電子デバイス900による使用のために、プログラム(たとえば命令のシーケンス)またはデータ(たとえばプログラム状態情報)を一時的または永続的に記憶するために使用される物理デバイスであってもよい。不揮発性メモリの例には、(たとえばブートプログラムなどのファームウェアに典型的に使用される)、フラッシュメモリおよび読み出し専用メモリ(ROM)/プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)/消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)/電子的消去可能プログラム読み出し専用メモリ(EEPROM)が含まれるが、これらには限定されない。揮発性メモリの例には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、相変化型メモリ(PCM)と、ディスクまたはテープが含まれるが、これらには限定されない。
【0069】
ストレージデバイス930は、電子デバイス900に大容量ストレージを提供することができる。実装形態によっては、ストレージデバイス930は、コンピュータ可読媒体である。様々な異なる実装形態において、ストレージデバイス930は、フロッピィディスクデバイス、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイス、またはテープデバイス、フラッシュメモリまたはその他の同様のソリッドステートメモリデバイス、あるいは、ストレージエリアネットワークまたはその他の構成におけるデバイスを含むデバイスのアレイであってもよい。他の実装形態では、コンピュータプログラム製品が情報担持体に有形に具現化されてもよい。コンピュータプログラム製品は、実行されると上述の方法などの1つまたは複数の方法を行う命令を含む。情報担持体は、メモリ920、ストレージデバイス930、またはプロセッサ910上のメモリなどのコンピュータ可読媒体またはマシン可読媒体である。
【0070】
高速コントローラ940は、電子デバイス900の帯域幅大量占有動作を管理し、一方、低速コントローラ960は帯域幅占有量がより少ない動作を管理する。このような機能割り当ては例示に過ぎない。実装形態によっては、高速コントローラ940がメモリ920と、(たとえばグラフィクスプロセッサまたはアクセラレータを介して)ディスプレイ980と、様々な拡張カード(図示せず)を受け入れ可能な高速拡張ポート950とに結合される。
【0071】
電子デバイス900は、
図9に示すように、いくつかの異なる形態で実装可能である。たとえば、標準サーバ900aまたはそのようなサーバ900aのグループにおける複数回として、ラップトップコンピュータ900bとして、ラックサーバシステム900cの一部として、スマートフォン900dとして、および/またはタブレットコンピュータ900eとして実装されてもよい。
【0072】
本明細書に記載のシステムおよび技術の様々な実装形態は、デジタル電子および/または光回路、集積回路、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはこれらの組合せで実現可能である。これらの様々な実装形態は、ストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスからデータおよび命令を受信し、これらにデータおよび命令を送信するように結合された、専用または汎用とすることができる少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含む、プログラマブルシステム上で実行可能および/または解釈可能な、1つまたは複数のコンピュータプログラムでの実装を含み得る。
【0073】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーションまたはコードとも呼ばれる)は、プログラマブルプロセッサのためのマシン命令を含み、高水準手続き型および/またはオブジェクト指向プログラミング言語で、および/またはアセンブリ/マシン語で実装可能である。本明細書で使用されている「マシン可読媒体」および「コンピュータ可読媒体」という用語は、マシン命令をマシン可読信号として受信するマシン可読媒体を含む、プログラマブルプロセッサにマシン命令および/またはデータを提供するために使用される任意のコンピュータプログラム製品、非一過性のコンピュータ可読媒体、装置および/またはデバイス(たとえば磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLD))を指す。「マシン可読信号」という用語は、プログラマブルプロセッサにマシン命令および/またはデータを提供するために使用される任意の信号を指す。
【0074】
ソフトウェアアプリケーション(すなわちソフトウェアリソース)は、コンピューティングデバイスにタスクを行わせるコンピュータソフトウェアを指すことがある。実施例によっては、ソフトウェアアプリケーションは、「アプリケーション」、「アプリ」または「プログラム」と呼ばれる場合がある。アプリケーションの例には、システム診断アプリケーション、システム管理アプリケーション、システムメンテナンスアプリケーション、ワードプロセッシングアプリケーション、スプレッドシートアプリケーション、メッセージングアプリケーション、メディアストリーミングアプリケーション、ソーシャルネットワーキングアプリケーション、およびゲームアプリケーションが含まれるがこれらには限定されない。
【0075】
本明細書で使用されている「モジュール」という用語は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの任意の組合せを指す場合がある。本明細書に記載されているプロセスおよびロジックフローは、入力データに対して操作を行い、出力を生成することによって機能を実行するために1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行する、データ処理ハードウェアとも呼ばれる1つまたは複数のプログラマブルプロセッサによって行うことができる。プロセスおよびロジックフローは、専用ロジック回路、たとえばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特殊用途向け集積回路)による実行も可能である。コンピュータプログラムの実行に適するプロセッサには、たとえば、汎用と専用の両方のマイクロプロセッサと、任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサが含まれる。一般に、プロセッサは、読み出し専用メモリまたはランダムアクセスメモリあるいはその両方から命令とデータを受け取る。コンピュータの重要要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを記憶するための1つまたは複数のメモリデバイスである。一般に、コンピュータは、データを記憶するための1つまたは複数の大容量ストレージデバイス、たとえば磁気、光磁気ディスク、または光ディスクも含むか、これらからのデータの受け取りまたは転送あるいは両方のためにこれらに動作可能に結合される。しかし、コンピュータはこのようなデバイスを含まなくてもよい。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するのに適するコンピュータ可読媒体には、たとえば、半導体メモリデバイス、たとえばEPROM、EEPROMおよびフラッシュメモリデバイス、磁気ディスク、たとえば内蔵ハードディスクまたは取り外し型ディスク、光磁気ディスク、CD ROMおよびDVD-ROMディスクを含む、あらゆる形態の不揮発性メモリ、媒体およびメモリデバイスが含まれる。プロセッサとメモリは、専用ロジック回路によって補完されるかまたは専用ロジック回路に組み込まれることも可能である。
【0076】
ユーザとの対話を提供するために、本開示の1つまたは複数の態様は、ユーザに対して情報を表示するためのディスプレイデバイス、たとえばCRT(陰極線管)、LCD(液晶ディスプレイ)モニタ、またはタッチスクリーンと、任意により、ユーザがそれによってコンピュータに入力を提供することができるキーボードおよびポインティングデバイス、たとえばマウスまたはトラックボールを有する、コンピュータ上で実装可能である。ユーザとの対話を提供するために他の種類のデバイスも使用することができる。たとえば、ユーザに提供されるフィードバックは任意の形態の感覚フィードバック、たとえば視覚フィードバック、聴覚フィードバックまたは触覚フィードバックとすることができ、ユーザからの入力は、音響、発話または触覚入力を含む任意の形態で受け取ることができる。さらに、コンピュータは、ユーザによって使用されるデバイスにドキュメントを送信し、そのデバイスからドキュメントを受け取ることによって、たとえば、ウェブブラウザから受け取った要求に応答してユーザのクライアントデバイス上のウェブブラウザにウェブページを送信することによって、ユーザと対話することができる。
【0077】
以上、いくつかの実装形態について説明した。しかし、本開示の思想および範囲から逸脱することなく様々な修正を加えることができることを理解されたい。したがって、他の実装形態も以下の特許請求の範囲に含まれる。
【国際調査報告】