IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シファメド・ホールディングス・エルエルシーの特許一覧

特表2023-530971最小フレームの人工心弁送達デバイス、システム、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】最小フレームの人工心弁送達デバイス、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20230712BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577269
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 US2021037661
(87)【国際公開番号】W WO2021257722
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】63/039,909
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512052029
【氏名又は名称】シファメド・ホールディングス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】アルジェント,クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】サラヒエ,アリ
(72)【発明者】
【氏名】マルケィヒー,コナー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,アリス
(72)【発明者】
【氏名】ファム,トゥー・ホアン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ,ホン
(72)【発明者】
【氏名】ソーントン,トロイ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097CC13
4C097CC14
4C097CC18
4C097SB02
(57)【要約】
患者の中の罹患自然弁を治療するためのデバイスが、フレーム構造、および、フレーム構造に連結された弁セグメントを有する。フレーム構造が、非拡大構成および拡大構成を有する。弁セグメントが、複数のリーフレット、シール、およびシール支持体を有する。複数のリーフレットの流入縁部が、フレーム構造によって支持されない。シールが複数のリーフレットの流入縁部に取り付けられ、フレーム構造と複数のリーフレットとの間で径方向に位置決めされる。シール支持体がシールにまたはシール内に取り付けられ、シールに対して軸方向の剛性を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の罹患自然弁を治療するためのデバイスであって:
非拡大構成および拡大構成を有するフレーム構造と;
前記フレーム構造に連結された弁セグメントと
を備え、前記弁セグメントが:
複数のリーフレットであって、前記複数のリーフレットの流入縁部が前記フレーム構造によって支持されない、複数のリーフレット;
前記複数のリーフレットの前記流入縁部に取り付けられ、前記フレーム構造と前記複数のリーフレットとの間で径方向に位置決めされる、シール;および、
前記シールにまたは前記シール内に取り付けられ、前記シールに対して軸方向の剛性を提供する、シール支持体
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記複数のリーフレットの前記流入縁部が、前記フレーム構造が前記拡大構成にあるときに、前記フレーム構造の流入縁部から径方向内側に離間される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記シールと前記フレーム構造の流入縁部との間に延在する最下点支持スカートをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記複数のリーフレットの前記流入縁部が、前記フレーム構造の流入縁部よりも、流入方向においてさらに延在するように、前記複数のリーフレットの前記流入縁部が、前記フレーム構造の前記流入縁部を軸方向に越えて延在する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記シール支持体が前記シール内に積層化される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記シールがポリウレタンを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記シール支持体が前記シール内で環状に延在する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記シール支持体が波形のワイヤフォームを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記シール支持体が、前記弁セグメントの前記流入縁部の近傍に延在する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記シール支持体が、前記シールの流出縁部よりも前記シールの流入縁部の近くに延在する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記シール支持体が、前記シールに予張力を加えるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記シール支持体が前記フレーム構造から非接続状態にある、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記シール支持体が、前記シール内の複数の軸方向の折り重ね部を備え、各軸方向の折り重ね部が、前記シールの流入縁部から前記シールの流出縁部まで延在する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記フレーム構造が、前記拡大構成において35mm未満の長手方向の長さを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記フレーム構造が、張り出し流入セクションと、中央環状セクションと、張り出し流出部分と、を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記シールが前記中央環状部分に取り付けられている、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記張り出し流入セクションおよび前記張り出し流出セクションは、前記フレーム構造が前記拡大構成にあるときに、前記張り出し流入セクションと前記張り出し流出セクションとの間にある外部アンカーに係合するように構成される、請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記複数のリーフレットの前記リーフレットが、前記複数のリーフレットの接合部でのみ前記フレーム構造に取り付けられている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
前記複数のリーフレットの前記流入縁部の少なくとも一部分が前記フレーム構造を越えて軸方向に延在し、前記複数のリーフレットの流出縁部の全体が前記フレーム構造内に位置決めされる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
患者の罹患自然弁を治療するためのデバイスであって:
非拡大構成および拡大構成を有するフレーム構造と;
前記フレーム構造に連結された弁セグメントであって:
複数のリーフレットであって、前記複数のリーフレットの流入縁部が前記フレーム構造によって支持されない、複数のリーフレット;および、
前記複数のリーフレットの前記流入縁部に取り付けられ、前記フレーム構造と前記複数のリーフレットとの間で径方向に位置決めされる、シール
を備える、弁セグメントと;
前記シールと前記フレーム構造の流入縁部との間に延在する最下点支持スカートと、
を備える、デバイス。
【請求項21】
前記最下点支持スカートが、前記シールの流入縁部から前記フレーム構造の流入縁部まで延在する、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記シールの流入縁部が、前記複数のリーフレットの前記流入縁部に取り付けられている、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記複数のリーフレットの前記流入縁部が、前記フレーム構造が前記拡大構成にあるときに、前記フレーム構造の流入縁部から径方向内側に離間される、請求項20に記載のデバイス。
【請求項24】
前記複数のリーフレットの前記流入縁部が、前記フレーム構造の流入縁部よりも、流入方向にさらに延在するように、前記複数のリーフレットの前記流入縁部が、前記フレーム構造の前記流入縁部を軸方向に越えて延在する、請求項20に記載のデバイス。
【請求項25】
前記フレーム構造が、前記拡大構成において35mm未満の長手方向の長さを有する、請求項20に記載のデバイス。
【請求項26】
前記フレーム構造が、張り出し流入セクションと、中央環状セクションと、張り出し流出部分と、を備える、請求項20に記載のデバイス。
【請求項27】
前記シールが前記中央環状部分に取り付けられている、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記張り出し流入セクションおよび前記張り出し流出セクションは、前記フレーム構造が前記拡大構成にあるときに、前記張り出し流入セクションと前記張り出し流出セクションとの間にある外部アンカーに係合するように構成される、請求項26に記載のデバイス。
【請求項29】
前記複数のリーフレットの前記リーフレットが、前記複数のリーフレットの接合部でのみ前記フレーム構造に取り付けられている、請求項20に記載のデバイス。
【請求項30】
前記複数のリーフレットの前記流入縁部の少なくとも一部分が前記フレーム構造を越えて延在し、前記複数のリーフレットの流出縁部の全体が前記フレーム構造内に位置決めされる、請求項20に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、「Minimal Frame Prosthetic Cardiac Valve Delivery Devices,Systems,and Methods」と題される、2020年6月16日に出願した米国仮特許出願第63/039,909号の優先権を主張するものである。
【0002】
[0002]本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、「Minimal Frame Prosthetic Cardiac Valve Delivery Devices, Systems,and Methods」と題される、2020年4月10日に出願した国際出願PCT/US2020/027744に関連付けられ得る。
【0003】
[0003]本出願はさらに、「Prosthetic Cardiac Valve Devices,Systems,and Methods」と題される、2019年8月21日に出願した米国特許出願第16/546,901号と;「Prosthetic Cardiac Valve Devices, Systems, and Methods」と題される、2019年10月7日に出願した米国特許出願第116/594,946号と;「Adjustable Medical Device」と題される、2019年10月18日に出願した、国際特許出願PCT/US2019/057082と;「Prosthetic Cardiac Valve Devices,Systems,and Methods」と題される、2019年12月20日に出願した、米国特許出願第16/723,537号と;「Prosthetic Cardiac Valve Devices,Systems,and Methods」と題される、2020年3月19日に出願した、国際特許出願PCT/US2020/023671と、に関連付けられ得、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0004】
[0004]心内腔の間の血流は、自然弁(僧帽弁、大動脈弁、肺動脈弁、および三尖弁)によって調節される。これらの弁の各々は、圧力差に反応して開閉する受動的な一方向弁である。弁膜症を患う患者は、少なくとも1つの弁の異常である解剖学的構造および/または機能を有する。例えば、弁は、弁が完全には閉じない場合に、反流とも称される機能不全による損害を受け、それにより、血液が逆行して流れるのを可能にしてしまう。弁狭窄は、弁が適切に開くのを失敗させ得る。他の疾患も弁の機能障害を引き起こす可能性がある。
【0005】
[0005]僧帽弁は例えば左心房と左心室との間に位置し、適切に機能している場合には逆方向への逆流または反流を防止しながら左心房から左心室まで血液が流れるのを可能にする。しかし、罹患僧帽弁の自然弁小葉(native valve leaflet)は完全には逸脱せず、それにより、患者が反流を経験することになる。
【0006】
[0006]罹患自然弁を治療するのに薬物療法が使用され得るが、障害のある弁は、しばしば、患者の寿命のいずれかの時点で修復または置換される必要がある。既存の人工弁ならびに外科的修復および/または置換の手技は、高いリスクを有し、限定的である耐用年数を有し、および/または、非常に侵襲的である。侵襲性の低い経カテーテル的な選択肢もいくつか利用可能であるが、多くは理想的なものではない。既存の経カテーテル僧帽弁デバイスの主要な制約は、例えば、経中隔的に送達するには僧帽弁デバイスの直径が過度に大きく、それにより、代わりに経心尖的アクセスが必要となる、ことである。さらに、既存の僧帽弁置換デバイスは強度重量比に関して最適化されず、しばしば、心内腔内のスペースを過度に占有し、それにより、心室から大動脈の中への流出の閉塞症、および/または血栓症を発症させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0007]したがって、これらの欠陥のうちのいくつかまたはすべてを克服する新しい弁デバイスが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]本明細書では、僧帽弁を含めた心臓弁の修復および/または置換のためのデバイスが説明され、このデバイスは、最小侵襲的テクニックを介して送達可能であり、最小量の弁材料および/またはステント材料を有する。必ずしもすべてではないこのような態様または利点は、任意特定の実施形態によって達成される。したがって、種々の実施形態は、本明細書でやはり教示または提案され得るような他の態様または利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示される1つまたは複数の利点または利点のグループを達成または最適化する手法で、実現され得る。
【0009】
[0009]本開示は、概して、患者の中の罹患自然弁の治療または置換のための人工心臓弁に関連し、より具体的には、最小量の材料から形成され、および/または、最小の長さの高剛性領域を有する、人工心臓弁に関連する。
【0010】
[0010]本開示は、概して、被術者の中の罹患自然弁を治療することに関連し、より具体的には、人工心臓弁に関連する。
【0011】
[0011]一般に、一実施形態では、患者の中の罹患自然弁を治療するためのデバイスは、フレーム構造、および、フレーム構造に連結された弁セグメントを有する。フレーム構造は、非拡大構成および拡大構成を有する。弁セグメントは、複数のリーフレット、シール、およびシール支持体を有する。複数のリーフレットの流入縁部は、フレーム構造(例えば、取り付けられておらず、および/または、接続解除されている)によって支持されない。シールが複数のリーフレットの流入縁部に取り付けられ、フレーム構造と複数のリーフレットとの間で径方向に位置決めされる。シール支持体がシールにまたはシール内に取り付けられ、シールに対して軸方向の剛性を提供する。
【0012】
[0012]この実施形態および他の実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数の特徴を有することができる。複数のリーフレットの流入縁部は、フレーム構造が拡大構成にあるときに、フレーム構造の流入縁部から径方向内側に離間され得る。デバイスは、シールとフレーム構造の流入縁部との間に延在する最下点支持スカートをさらに有することができる。複数のリーフレットの流入縁部がフレーム構造の流入縁部を軸方向において越えて延在することができ、その結果、複数のリーフレットの流入縁部は、フレーム構造の流入縁部と比較して、流入方向にさらに延在する。シール支持体は、シール内で積層化され得る。シールは、ポリウレタンを含むことができる。シール支持体は、シール内を環状に延在することができる。シール支持体は、波形のワイヤフォームを有することができる。シール支持体は、弁セグメントの流入縁部の近傍に延在することができる。シール支持体は、シールの流出縁部よりもシールの流入縁部の近くに延在することができる。シール支持体は、シールに予張力を加えるように構成され得る。シール支持体は、フレーム構造から接続解除され得る。シール支持体は、シール内にある複数の軸方向の折り重ね部を有することができる。各軸方向の折り重ね部は、シールの流入縁部からシールの流出縁部まで延在することができる。フレーム構造は、拡大構成において35mm未満の長手方向の長さを有することができる。フレーム構造は、張り出し流入セクションと、中央環状セクションと、張り出し流出部分と、を有することができる。シールは、中央環状部分に取り付けられ得る。張り出し流入セクションおよび張り出し流出セクションは、フレーム構造が拡大構成にあるときに、張り出し流入セクションと張り出し流出セクションとの間にある外部アンカーに係合されるように構成され得る。複数のリーフレットのリーフレットは、リーフレットの接合部でのみフレーム構造に取り付けられ得る。複数のリーフレットの流入縁部の少なくとも一部分がフレーム構造を越えて軸方向に延在することができ、対して、複数のリーフレットの流出縁部の全体がフレーム構造内に位置決めされる。
【0013】
[0013]一般に、一実施形態では、患者の中の罹患自然弁を治療するためのデバイスは、フレーム構造と、フレーム構造に連結された弁セグメントと、最下点支持スカートと、を有する。フレーム構造は、非拡大構成および拡大構成を有する。弁セグメントは、複数のリーフレットおよびシールを有する。複数のリーフレットの流入縁部は、フレーム構造(例えば、取り付けられていない、および/または、接続解除されている)によって支持されない。シールが複数のリーフレットの流入縁部に取り付けられ、フレーム構造と複数のリーフレットとの間で径方向に位置決めされる。最下点支持スカートは、シールとフレーム構造の流入縁部との間に延在する。
【0014】
[0014]この実施形態および他の実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数の特徴を有することができる。最下点支持スカートは、シールの流入縁部からフレーム構造の流入縁部まで延在することができる。シールの流入縁部は、複数のリーフレットの流入縁部に取り付けられ得る。複数のリーフレットの流入縁部は、フレーム構造が拡大構成にあるときに、フレーム構造の流入縁部から径方向内側に離間され得る。複数のリーフレットの流入縁部がフレーム構造の流入縁部を軸方向において越えて延在することができ、その結果、複数のリーフレットの流入縁部は、フレーム構造の流入縁部と比較して、流入方向にさらに延在する。フレーム構造は、拡大構成において35mm未満の長手方向の長さを有することができる。フレーム構造は、張り出し流入セクションと、中央環状セクションと、張り出し流出部分と、を有することができる。シールは、中央環状部分に取り付けられ得る。張り出し流入セクションおよび張り出し流出セクションは、フレーム構造が拡大構成にあるときに、張り出し流入セクションと張り出し流出セクションとの間にある外部アンカーに係合されるように構成され得る。複数のリーフレットのリーフレットは、リーフレットの接合部でのみフレーム構造に取り付けられ得る。複数のリーフレットの流入縁部の少なくとも一部分がフレーム構造を越えて延在することができ、対して、複数のリーフレットの流出縁部の全体がフレーム構造内に位置決めされる。
参照による援用
[0015]本明細書で言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも、各々の個別の刊行物、特許、または特許出願は、参照により具体的にかつ個別に組み込まれるものとして示されている場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
[0016]本開示の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載される。本開示の特徴および利点をより良好に理解することは、本開示の原理を利用する例示の実施形態に記載される、以下の詳細な説明を参照することによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】[0017]実施形態による、移植可能である弁プロテーゼを示す斜視図である。
図2】[0018]実施形態による、収縮状態の図1の移植可能である弁プロテーゼを示す側面図である。
図3】[0019]実施形態による、アンカーに接続された図1の移植可能である弁プロテーゼデバイスを示す側面図である。
図4】[0020]実施形態による、移植可能である弁プロテーゼを示す斜視図である。
図5】[0021]実施形態による、移植可能である弁プロテーゼを示す斜視図である。
図6】[0022]実施形態による、移植可能である弁プロテーゼを示す斜視図である。
図7A】[0023]図7Aは、実施形態による、ストラットフレームの近位側に延在する弁セグメントを備える移植可能である弁プロテーゼを示す側面図である。
図7B】[0024]図7Bは、図7Aの移植可能である弁プロテーゼを示す底面図(すなわち、流出端部からの図)である。
図8A】[0025]実施形態による、弁プロテーゼの一部分を示す図である。
図8B】[0026]図8Aの弁プロテーゼを示す底面図である。
図8C】[0027]図8Aの弁プロテーゼを示す詳細側面図である。
図9A】[0028]実施形態による、弁プロテーゼを示す側面図である。
図9B】[0029]図9Aの弁プロテーゼを示す底面図である。
図10A】[0030]実施形態による、最小弁支持体を備える移植可能であるプロテーゼを示す側面図である。
図10B】[0031]図10Aのプロテーゼを示す底面図である。
図11】[0032]実施形態による、弁プロテーゼを示す斜視図である。
図12】[0033]実施形態による、最小弁支持体を備える弁プロテーゼを示す詳細側面図である。
図13】[0034]実施形態による、最小弁支持体を備える弁プロテーゼを示す詳細側面図である。
図14】[0035]実施形態による、最小弁支持体を備える弁プロテーゼを示す詳細側面図である。
図15A】[0036]図15Aは、シール支持体を備えるシールを有する弁プロテーゼを示す図である。
図15B】[0037]図15Bは、図15Aのシールを示す図である。
図16A】[0038]図16Aは、シール支持体備えるシールに予張力を加える方法を示す図である。
図16B】[0039]図16Bは、シールに予張力を加えることの例示の効果を示す図である。
図17A】[0040]図17Aは、最下点支持スカートを備える弁プロテーゼを示す図である。
図17B】[0041]図17Bは、図17Aの弁プロテーゼの一部分を示す拡大図である。
図18A】[0042]弁が閉じているときの、シール支持体および最下点支持スカートを備える弁プロテーゼを示す概略図である。
図18B】[0043]弁が開いているときの、図18Aの弁プロテーゼを示す概略図である。
図18C】[0044]弁が開いているときの、図18Aの弁プロテーゼを示す別の概略図である。
図19A】[0045]図19Aは、中にある軸方向の折り重ね部を有する例示のシールを示す図である。
図19B】[0046]図19Bは、図19Aのシールの軸方向の折り重ね部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0047]以下の詳細な説明では、本発明の一部を形成する添付図面を参照する。図では、特に明記しない限り、同様の符号は通常は同様の構成要素を特定する。詳細な説明、図、および特許請求の範囲で説明される例示の実施形態は、限定的であることを意図されない。他の実施形態も利用され得、本明細書で提示される主題の範囲から逸脱することなく、他の変化形態も作られ得る。本明細書で概略的に説明されて図に例示される本開示の態様は、多種多様な異なる構成で、配置構成され得、置換され得、組み合わされ得、分離され得、設計され得、これらのすべてが本明細書で明確に企図される、ことは容易に理解されよう。
【0018】
[0048]以下で特定の実施形態および実施例を開示するが、本発明の主題は、その範囲は、具体的に開示される実施形態を超えて、他の代替的実施形態および/または代替的使用にまで、またさらには、その修正形態および均等物にまで、及ぶ。したがって、添付の特許請求の範囲は、以下で説明される特定の実施形態のうちのいずれの実施形態によっても限定されない。例えば、本明細書で開示される任意の方法またはプロセスにおいて、この方法またはプロセスの行為または動作が任意適切な順序で実施されてよく、必ずしも、任意特定の開示される順序のみに限定されるわけではない。さらに、種々の動作は、特定の実施形態を理解することにおいて有用である可能性がある手法で複数の具体的な動作として説明され得るが、記述の順序は、これらの動作が順序依存的なものであることを暗に意味するものとして解釈されるべきではない。加えて、本明細書で説明される構造、システム、および/またはデバイスは、一体化される構成要素として、または別個の構成要素として、具体化され得る。
【0019】
[0049]種々の構成要素を比較することを目的として、これらの実施形態の特定の態様および利点が説明される。これらの態様または利点の必ずしもすべてが、任意特定の1つの実施形態によって達成されるわけではない。したがって、例えば、やはり本明細書で教示または提案され得る他の態様または利点を必ずしも達成するわけではなく、本明細書で教示される1つの利点または利点のグループを達成または最適化する手法で、種々の実施形態が実行され得る。
【0020】
[0050]本開示は、例えば僧帽弁などの、心臓の罹患自然弁の治療または置換のための、システム、デバイス、または方法に関連して、説明される。しかし、これが限定的であることを意図されないこと、ならびに、本明細書で開示されるデバイスおよび方法は、他の解剖医学的エリアにおいても、および、他の外科手技においても、使用され得ること、を当業者であれば認識するであろう。
【0021】
[0051]図1が弁プロテーゼ10(例えば、移植可能である弁プロテーゼ)を示す。例示の弁プロテーゼ10は、フレーム構造12、および、フレーム構造に位置決めされた弁セグメント14を有することができる。弁セグメント14は、複数の弁リーフレット16を備えることができる。拡大構成では、弁セグメント14は、自然弁組織(例えば、僧帽弁などの心臓弁)の代わりに流体弁として機能することができる。フレーム構造12は、弁プロテーゼデバイス10に対して円周方向の強度および/または長手方向の強度を提供することができる。
【0022】
[0052]弁プロテーゼ10の1つまたは複数の部分は、弁プロテーゼ10を1つの場所(例えば、自己心臓弁の孔内)で固定するのを支援するように成形および構成され得る。本明細書では、例えば、弁プロテーゼ10を1つの場所で確立またが維持するのを支援することができるアンカー(例えば、螺旋アンカー15)および張り出し部分(例えば、フランジ159)の種々の実施形態が説明される。いくつかの実施形態では、弁プロテーゼ10は、弁プロテーゼ10を1つの場所に配備および/または位置決めするのを支援するための1つまたは複数のフック、バーブ(換言すれば、とげ)、またはスカラップ形状のアンカーを備えることができる。いくつかの事例では、1つまたは複数のフック、バーブ、またはスカラップ形状のアンカーは、フレーム構造12の一部分(例えば、接合柱(commissural post)117、ストラット113、近位側アーチ115、または遠位側アーチ116)に連結され得る。例えば、フレーム構造12は、プロテーゼ弁10を配置または配備したところである場所から弁プロテーゼ10が移動するかまたは外されるのを防止することを目的として、自己心臓弁の組織または自己心臓弁の周囲の組織に接触することができる1つまたは複数のフックまたはバーブ(例えば、ストラット113に接続された)を備えることができる。
【0023】
[0053]図1は、拡大構成にある弁プロテーゼ10を示す。弁プロテーゼ10は、本明細書で説明される方法に従って、拡大構成で配備され得る。例えば、弁プロテーゼ10は、置換方法または補修方法で拡大構成になるように配備され得る。拡大構成では、弁プロテーゼ10は、被術者の標的領域(犬、猫、馬、またはヒトなどの動物の器官または組織)に位置決めおよび/または固着され得る。例えば、弁プロテーゼ10は、僧帽弁または三尖弁などの心臓弁の孔内で拡大構成で位置決めされ得る(例えば、心臓の既存の僧帽弁または三尖弁のための一時的なまたは永久的な代替物として機能するために)。
【0024】
[0054]図2は、非拡大構成(あるいは、折り畳み構成または収縮(crimp)構成)にある弁プロテーゼ10を示す。いくつかの事例では、弁プロテーゼ10は、非拡大構成で標的領域(例えば、自然弁を含む心臓の領域)に送達され得る。いくつかの事例では、非拡大構成にある弁プロテーゼ10は、最小侵襲的な手段を介して(例えば、本明細書で説明されるように、送達デバイスを介して)弁プロテーゼ10を送達するのを可能にすることができる。
【0025】
[0055]図2を参照すると、折り畳まれた弁プロテーゼ10の長手方向の長さ127が最小にされ得、これは、弁プロテーゼ10を送達するのに有利となり得る。例えば、折り畳まれた弁プロテーゼ10の長手方向の全長127を最小にすることにより、デバイスの構造的強度を維持しながら送達デバイス内での操縦性を改善するのを可能にすることができる。いくつかの事例では、折り畳まれた弁プロテーゼ10の長手方向の全長127を最小にすることにより、アクセス経路を通して弁プロテーゼ10を挿入するのを可能にすることができる(このアクセス経路は、より長いデバイスを横断させることの難易度が高いものである(例えば、蛇行性の通路または鋭い湾曲部を有する通路を含むアクセス経路など))。いくつかの事例では、非拡大構成にある弁プロテーゼ10は、1mmから50mm、1mmから45mm、1mmから40mm、1mmから35mm、1mmから30mm、1mmから25mm、1mmから20mm、1mmから10mm、10mmから45mm、20mmから45mm、20mmから30mm、25mmから35mm、または27.5mmから32.5mmの長手方向の全長127を有する。いくつかの事例では、拡大構成にある人工送達デバイス10は、1mmから45mm、10mmから45mm、15mmから45mm、15mmから35mm、16mmから34mm、17mmから33mm、18mmから32mm、19mmから31mm、20mmから30mm、25mmから35mm、または27.5mmから32.5mmの長手方向の全長を有することができる。いくつかの実施形態では、弁プロテーゼ10は、拡大するときに短くなることができき、その結果、拡大構成にある長さ126は、折り畳み構成での長さ127より小さくなる。
【0026】
[0056]さらに、折り畳まれた弁プロテーゼ10の直径128が最小にされ得、これが同様に、弁プロテーゼ10を送達するのに有利となり得る。例えば、より小さい直径128を有する折り畳まれた弁プロテーゼ10は、より小さい直径を有する送達デバイスの内部に嵌め込まれ得、それにより、侵襲性の低い送達を行うこと、および、被術者の身体の内部での操縦能力を改善することを可能にする。折り畳まれた弁プロテーゼ10の直径128を縮小することが(例えば、僧帽弁、三尖弁、大動脈弁、または肺動脈弁の治療または置換で使用されるために)、さらに、弁プロテーゼ10を被術者の標的領域により容易に送達すること、弁プロテーゼ10を受ける被術者がより迅速に回復すること、および/または、弁プロテーゼ10を受ける被術者の臨床転帰を改善すること(例えば、被術者の生存可能性(subject survival)を上げること、駆出率を改善すること、心臓拍出量を改善すること、弁膜逆流を低減すること、および/または浮腫を軽減すること)、を可能にすることができる。いくつかの事例では、折り畳まれた弁プロテーゼ10の直径128を縮小することにより、経心尖的アクセスに加えて、経中隔的なアクセスおよび送達を可能にすることができる。いくつかの事例では、折り畳まれた弁プロテーゼ10のまたはその一部分(例えば、フレーム構造12)の直径128は、0.01mmから20mm、0.01mmから15mm、0.01mmから10mm、0.01mmから9mm、0.01mmから8mm、0.01mmから7mm、0.01mmから6mm、0.01mmから5mm、0.01mmから4mm、0.01mmから3mm、0.01mmから2mm、0.01mmから1mm、1mmから15mm、2mmから14mm、3mmから13mm、4mmから12mm、5mmから10mm、6mmから10mm、7mmから10mm、8mmから10mm、9mmから10mm、10mmから15mm、20mm以下、15mm以下、10mm以下、9mm以下、8mm以下、7mm以下、6mm以下、または5mm以下であってよい。
【0027】
[0057]拡大構成(図1を参照)にあるフレーム構造12の直径139は、非拡大構成(図2を参照)にあるフレーム構造12の直径128より大きくてよい。いくつかの事例では、フレーム構造12またはその一部分(例えば、フレーム構造12の環状中央部分158)は、フレーム構造12の拡大構成時に、10mmから50mm、20mmから40mm、25mmから35mm、27mmから33mm、50mm以下、40mm以下、35mm以下、33mm以下、30mm以下、25mm以下、20mm以下、または15mm以下の拡大直径139を有することができる。
【0028】
[0058]いくつかの事例では、直径128または139は、例えば、長手方向の場所における弁プロテーゼ10の長手方向軸に対して垂直である平面内で測定する、弁プロテーゼ10またはその一部分の最大断面幅を意味する。いくつかの状況では、弁プロテーゼ10が多角形断面を有する。いくつかの事例では、直径128、139は、弁プロテーゼ10の多角形断面の第1の辺から弁プロテーゼ10の多角形断面の第2の辺までの最大距離を意味することができる。
【0029】
[0059]いくつかの事例では、弁プロテーゼ10またはその一部分は、特定の場所または標的領域に位置決めされるようにサイズ決定または成形され得る。例えば、フレーム構造12は、僧帽弁などの弁の中に位置決めされるようにサイズ決定され得る(例えば、拡大構成にあるときの僧帽弁などの弁に適合するようにフレーム構造の寸法を設計することにより)。
【0030】
[0060]図1~2に示されるように、弁プロテーゼ10は、弁セグメント14および/または最小弁支持体124のみを備える第1の部分129と、フレーム構造12および弁セグメント14を備える第2の部分130と、を有することができる。いくつかの実施形態では、弁セグメント14は第1の部分129において全体として支持されなくてよいかまたは大部分が支持されなくてよく、対して、弁セグメント14は、第2の部分130において完全に支持され得る(例えば、フレーム構造12により)。例えば、最小弁支持体124は、第1の部分129内の弁セグメント14を支持するためにフレーム構造12から延在することができる。最小弁支持体124は、例えば、第1の部分129内において弁セグメント14の流入縁部のみを支持し、第1の部分129内において弁セグメント14の残りの部分を非支持状態にすることができる。弁プロテーゼ10の第1の部分129が第2の部分130に連結され得るかまたは第2の部分130と連続していてよい。例えば、フレーム構造12は、ジョイント125(例えば、固定具またはクリンプ)で最小弁支持体124に連結され得るか、または、最小弁支持体124と連続していてよい(例えば、溶融を介するか、溶接を介するか、または、連続する材料片によって形成されることにより)。さらに、弁セグメント14は、第1の部分129内の最小弁支持体124に、および、セクション部分130内のフレーム構造12に、連結され得る。例えば、弁プロテーゼ10が自己僧帽弁の孔の中に配備されると、弁プロテーゼ10は、第1の部分129を第2の部分130よりも心房に近づけて位置決めするように、および、第2の部分130を第1の部分129より心室に近づけて位置決めするのを可能にするように、向けられ得る。
【0031】
[0061]図3は、アンカー15に連結された非拡大構成にある弁プロテーゼ10の典型的な実施例を示す。いくつかの実施形態では、アンカー15は、例えば、非拡大構成および/または拡大構成における弁プロテーゼ10の周りで螺旋状である螺旋形状を有することができる。アンカー15が自由端22を有することができる。いくつかの事例では、アンカー15の自由端22は、アンカー15を自己心臓弁の中に配備するときに有用となり得る(例えば、プロテーゼ10、アンカー15、および/または送達デバイスが、弁プロテーゼ10の長手方向軸を中心として回転させられるときに、腱索または他の構造を巻き込むことにより)。アンカー15は、例えばその第1の端部(例えば、近位端)でまたはその第2の端部(例えば、遠位端)で、フレーム構造12に直接に連結され得る。別法として、アンカー15は、フレームが自然弁孔内で拡大するときにフレーム12のためのアンカーを提供しながら(それにより、フレーム12とアンカー15との間で組織を挟む)、フレーム構造12から物理的に切り離され得る(換言すれば、非連結状態にされ得る)。いくつかの実施形態では、フレーム構造12は、アンカー15との相互作用を介して、自然弁内の定位置で少なくとも部分的に保持され得る。例えば、フレーム構造12の拡大直径は、螺旋状のアンカー15の内径より大きくてよいかまたは螺旋状のアンカー15の内径に等しくてよく、その結果、フレーム構造12が拡大してアンカー15に入り込んでアンカー15と係合する(フレーム構造12とアンカー15との間に、自然弁小葉、腱索、または他の組織が存在する)。
【0032】
[0062]アンカー15の長手方向軸は、アンカー15が配備構成にあるとき、送達デバイスの長手方向軸と同軸または同心であってよい。いくつかの実施形態では、配備されたアンカー15は、弁プロテーゼ10を配備する前に、送達デバイスに着脱自在に連結され得る。例えば、アンカー15が送達デバイスから配備され得、自然弁孔およびアンカー15の中でフレーム構造12が拡大するまで、テザー(換言すれば、ひも)によって保持され得る。
【0033】
[0063]いくつかの実施形態では、本明細書で説明される弁プロテーゼ10は、アンカー15に係合するための、および/または弁孔を通って弁プロテーゼ10が摺動するのを防止するのを支援するための、1つまたは複数の張り出し部分を有することができる。例えば、図17A~17Cに示されるように、フレーム構造12は、中央環状部分158から径方向外側に延在する心房張り出し部分157を有することができる。心房張り出し部分157は、自己僧帽弁の中に弁プロテーゼ10が配備されると、例えば、中央環状部分158から心臓の心房内に延在することができる。別法としてまたは加えて、心房張り出し部分157は、自己僧帽弁の中に弁プロテーゼ10が配備されると、例えば僧帽弁輪である、心臓の心房の組織に接触することができる。
【0034】
[0064]本明細書で説明される弁プロテーゼ10は、互いに反対側にある第1および第2の端部を備えることができ、第1の端部(例えば、近位端)が、自己僧帽弁の孔の中に弁プロテーゼ10が配備されるときに、心房の最も近くに向けられ、第2の端部(例えば、遠位端)は、自己僧帽弁の孔の中に弁プロテーゼ10が配備されるときに、心室の最も近くに向けられる。別法として、フレーム構造12は、自然弁に対してフレーム構造12が固着されるときに、全体として自然弁の下方に位置するように構成され得る。いくつかの事例では、フレーム構造12の第1の部分は、フレーム構造12の第2の部分よりも弁プロテーゼ10の第1の端部により近い長手方向の場所に配設され得る(例えば、フレーム構造が非拡大構成にあるとき)。フレーム構造12の第1の部分および/または第2の部分は、第1の長手方向端部および第2の長手方向端部を有することができる。いくつかの事例では、フレーム構造12の第1の長手方向端部は、フレーム構造12の第2の長手方向端部よりも弁プロテーゼ10の第1の端部の近くに向けられ得る。いくつかの事例では、フレーム構造12の第2の長手方向端部は、フレーム構造の第1の長手方向端部よりも弁プロテーゼ10の第2の端部の近くに向けられる。
【0035】
[0065]本明細書で説明されるフレーム構造12のいずれも、弁プロテーゼデバイス10に対して構造的強度を提供することができる。例えば、フレーム構造12は、被術者の標的場所(例えば、僧帽弁または三尖弁などの、心臓弁の孔の中)における定位置で弁プロテーゼ10を固定するのに使用され得る。
【0036】
[0066]本明細書で説明される弁プロテーゼ10は、自然弁小葉を置換するために配設された1つまたは複数の弁セグメント14を有することができる。例えば、弁セグメント14は、例えば生体適合性の一方向弁を形成する、複数のリーフレット16を有することができる。一方向の流れが、リーフレット16をたわませて開くようにすることができ、反対方向の流れが、リーフレット16を閉じるようにすることができる。
【0037】
[0067]本明細書で説明される弁セグメント14のいずれも、優先的な機能のための多層材料で形成され得る。図4を参照すると、例えば、弁プロテーゼ10Cは、リーフレット16(内側リーフレット16または内側層とも称される)とフレーム構造12との間で径方向に位置決めされるシール177(外側リーフレット、外側層、またはスカートとも称される)を有する弁セグメント14を有することができる。シール177は、リーフレット16の周りに巻き付けられる単一部片であってよいか、または、リーフレット16に適合するように成形された個別の部片であってよい。いくつかの事例では、シール177および/またはリーフレット16は、弁セグメント14に利点を与える材料から形成され得るかまたはそのような材料で被覆され得る。例えば、弁セグメント14の層または表面は、生体適合性材料から形成され得るかまたは生体適合性材料で被覆され得る。いくつかの事例では、弁セグメント14の層または表面は、抗血栓性材料から形成され得るかまたは抗血栓性材料で被覆され得る。いくつかの事例では、弁セグメント14(または、弁セグメントのリーフレット16などの、その一部分)は、合成材料を含む。いくつかの事例では、弁セグメント14(または、リーフレットなどの、その一部分)は、生体組織を含む。多くの事例で、弁セグメント14(または、リーフレットなどの、その一部分)は、心膜組織を含む。いくつかの実施形態では、弁セグメント14(または、弁セグメント14のリーフレット16などの、その一部分)は、脱細胞化生体組織を含む。例えば、弁セグメント14(または、弁セグメントのリーフレット16などの、その一部分)は、脱細胞化心膜を含むことができる。
【0038】
[0068]弁セグメント14がフレーム構造12に取り付けられ得、フレーム構造12がさらにアンカー15に取り付けられ得る。フレーム構造12が自然弁に隣接して配備される前にまたはその後で、フレーム構造12がアンカー15に接続され得る。フレーム構造12は、例えばフレーム構造12を、リーフレット16にさらに取り付けられ得るシール177に取り付けることを介して、弁セグメント12に取り付けられ得る。
【0039】
[0069]いくつかの実施形態では、弁セグメント15の2つ以上の部分(例えば、2つ以上のリーフレット16、および/またはシール177)は、単一部片の材料を含むことができる(例えば、機能的な弁の形状となるように形成された生体組織または合成組織の単一部片)。いくつかの事例では、弁セグメントの2つ以上の部分(例えば、第1および第2のリーフレット16のうちの2つ以上、ならびに/あるいはシール177)は、一体に接合され得る。いくつかの実施形態では、弁セグメントの2つ以上の部分(例えば、第1および第2のリーフレット16のうちの2つ以上、ならびに/あるいはシール177)は、これらの2つ以上の部分を一体に縫合することにより(例えば、図4に示される縫合される連結箇所166で)、一体に接合され得る。いくつかの事例では、1個、2個、3個、4個、5個、または6個以上のリーフレット16は、単一のシール177に連結され得る。
【0040】
[0070]多くの事例で、リーフレット連結箇所166は、配備時に、弁プロテーゼ10の流入端部のところ(すなわち、例えば収縮する心内腔により、デバイスを通る流れの供給源に最も近いところ)に配設される。いくつかの事例では、弁プロテーゼ10(または、その一部分)の流入端部における弁セグメント14の2つ以上の部分を連結することにより、配備されたデバイスの上流の心内腔の収縮中に(すなわち、心臓拡張期)、弁セグメント14が折り曲げられるかまたは折り畳まれる(例えば、弁プロテーゼデバイス10の長手方向軸から離れるように径方向に)ことが可能となる。さらに、いくつかの事例では、弁プロテーゼ10の流入端部で弁セグメント14の2つ以上の部分を連結することにより、配備されたデバイスの上流の心内腔のリフィリング(refill)中に(すなわち、心臓収縮期)、弁セグメント14が拡大する(例えば、弁プロテーゼデバイス10の長手方向軸の向かう径方向に)。弁セグメント14がこのように拡大することにより、例えば、弁セグメント14を(例えば、シール177とリーフレット16との間で)膨らませるかまたは広げる(parachute)ことができ、それにより、そこを通る血液の流れを遮断することができる。
【0041】
[0071]図4に示されるように、弁セグメント14は、フレーム構造12の1つまたは複数のストラット113に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、弁セグメント14の一部分(例えば、リーフレット16またはシール177)は、フレーム構造12の流入部分またはフレーム構造12の流出部分ではなく、フレーム構造12の中央環状部分158に縫合され得る(例えば、図4に示されるように、遠位側アーチ116および近位側アーチ115に取り付けられていなくてよい)。いくつかの実施形態では、弁セグメント14の一部分(例えば、リーフレット16またはシール177)は、フレーム構造12の流入部分ではなく、フレーム構造12の1つまたは複数の流出部分に縫合され得る(例えば、図9Aに示されるように、1つまたは複数の遠位側アーチ116に縫合され得るが、1つまたは複数の近位側アーチ115には縫合され得ない)。いくつかの実施形態では、弁セグメント14の一部分(例えば、リーフレット16またはシール177)は、フレーム構造12の1つまたは複数の流出部分に、および、フレーム構造12の流入部分に、縫合され得る(例えば、図6の弁プロテーゼ10Eに示されるように、1つまたは複数の遠位側アーチ116に、さらには、1つまたは複数の近位側アーチ115に、縫合され得る)。いくつかの実施形態では、弁セグメント14の流入端部は、フレーム12によって実質的に支持されなくてよく、対して、弁セグメント14の流出端部は、弁セグメント14により弁セグメント14内で完全に支持され得る(図4に示されるように)。弁セグメント14(または、シール177などの、その一部分)は、フレーム12の内周周りで連続的にフレーム12に連結され得る(例えば、弁プロテーゼデバイス10の遠位端または流出端部で)。
【0042】
[0072]いくつかの事例では、フレーム構造12に対しての弁セグメント14(例えば、弁リーフレット16)の取り付け範囲の大きさが最小にされ得、これは、有利には、送達の容易さを向上させることができ、および、フレームの必要な長さを短縮することができ、それにより、血栓症の可能性を低減することができ、および、心室から大動脈までの流出が遮断される可能性を低減することができる。さらに、フレーム構造12を最小にすることにより、弁プロテーゼデバイス10の製造の速度およびコストを改善することができる。
【0043】
[0073]いくつかの実施形態では、フレーム構造12の遠位端でフレーム構造12の第1の部分(例えば、1つまたは複数のストラット113)に取り付けられたリーフレット16は、フレーム構造12の近位端に取り付けられなくてよい(例えば、フレーム構造12の近位端におけるストラットまたはその一部分に)。いくつかの事例では、弁セグメント14がフレーム構造12の近位端で取り付けられフレーム構造12の近位端で(および/または、弁セグメント14の近位端で)取り付けられていない弁プロテーゼデバイス10は、弁プロテーゼデバイス10のフレーム構造12の近位端および遠位端の両方において弁セグメント14が取り付けられている弁プロテーゼ10と比較して、より少ない金属および/またはより少ないストラットを必要とすることができる。いくつかの事例では、弁プロテーゼ10の構造内で使用される金属の量を最小にすることにより(例えば、弁プロテーゼデバイス10内のストラットの数を低減することによりおよび/またはストラットの長さを短縮することにより)、血栓形成のリスクを低減することができ、また、標的場所にデバイスを配備するときの容易さを改善することができる。
【0044】
[0074]さらに、弁セグメント14は、弁セグメント14の流入縁部95で実質的に支持されないように構成され得る。例えば、図4に示されるように、弁セグメントの流入縁部95の全体が、各リーフレット16の最下点(nadir)96に位置決めされた最小弁支持体124を除いて、支持されなくてよい。弁支持体124が先のとがった(換言すれば、突き出た)近位側先端部を有することができ、例えば、フレーム構造12の2つの隣接するストラット113から延在することができる。最小弁支持体124は、心臓の中に移植されるときに流出方向(すなわち、心室に向かう方向)において弁セグメント14(例えば、シール)が径方向内側に折り畳まれるのを防止するのを支援することができる。図5は、図5の弁支持体124がリーフレット16を弁支持体124に縫合するためのアパーチャ97を有することを除いて、図4の弁プロテーゼ10Cに類似する弁プロテーゼ10Dを示す。
【0045】
[0075]図7A~7Bが弁プロテーゼ10Fを示しており、ここでは、弁セグメント14の流入縁部95が完全に支持されない(すなわち、それに対しての弁支持体を一切有さない)。
【0046】
[0076]図8A~8Cが別の弁プロテーゼ10Gを示しており、ここでは、弁セグメント14の流入縁部95が完全に支持されない(すなわち、それに対しての弁支持体を一切有さない)。実際には、図8A~8Cに示されるように、プロテーゼ10Gは、流入部分167と、中央環状部分158と、流出部分168とを有することができる。弁セグメント14は、中央環状セクション158内においてフレーム構造12によって全円周にわたって支持され得る。しかし、弁セグメント14は、流入セクション167内では、フレーム構造12によって支持されなくてよく、および/または、フレーム構造12から非接続状態であってよい。さらに、フレーム構造12は、流入セクション167内で径方向外側に張り出していてよい。フレーム構造12の張り出し部分157は、複数の不連続のフランジ(すなわち、張り出している近位側アーチ115から形成される)を有することができ、例えば、外部アンカーとの係合を支援するように機能することができる。さらに、張り出し部分157により、弁セグメント14は、流入セクション167内において、フレーム構造12から径方向に距離134だけ離間され得る(図8Cを参照)。いくつかの実施形態では、距離134が1~10mmであってよく、2~8mm、3~5mmなどである。最後に、フレーム構造12がさらに、流出セクション168内において径方向外側に張り出していてよい。フレーム構造12の張り出し部分160がさらに、外部アンカー15との係合を支援するように機能することができる。例えば、外部アンカー15は、移植時に、張り出し部分157と張り出し部分160との間に位置することができる。
【0047】
[0077]図11は、セルの高さに対してのセルの幅(すなわち、円周方向)の比が弁プロテーゼ10Gの場合よりも弁プロテーゼ10Jの場合でより大きくてよいことを除いて、図8A~8Bの弁プロテーゼ10Gに類似する別の弁プロテーゼ10Jを示す。セルの寸法は、所望の剛性および安定性を提供するように修正され得る。
【0048】
[0078]図9A~9Bは、流入縁部95の実質的に全体がフレーム構造12の近位側アーチ115を越えて近位側に延在することを除いて、図8A~8Cの弁プロテーゼ10Gに類似する別の弁プロテーゼ10Hを示す。リーフレットが閉じているとき(図9Bに示されるように)、流体圧力は、リーフレット16およびシール177によって作り出される空間を満たすように機能することができ、それにより、弁セグメント14が内側に動いたりまたは折り畳まれたりするのを防止する。
【0049】
[0079]図10A~10Bは、各リーフレット16の最下点96に最小弁支持体124を有することを除いて、図9A~9Bの弁プロテーゼ10Hに類似する弁プロテーゼ10Iを示す。最小弁支持体124は、図4の弁支持体124に類似する。加えて、弁プロテーゼ10Iの弁セグメント14は、流出セクション167の始点の手前で終端している(すなわち、中央環状セクション158内で終端している)。流出セクション167に取り付けられる弁セグメント14を有さないことにより、有利には、外部アンカー15にフレーム構造14が係合するところ(すなわち、流出セクション167内)のフレーム構造14にかかる張力を低減することができる。
【0050】
[0080]最小弁支持体124の種々の実施形態が図12~13に示される。例えば、図12に示されるように、弁支持体124が1つまたは複数の長手方向ストラット113から延在することができ、最下点96でリーフレット16に取り付けられ得る。図13に示されるように、最小弁支持体124は、流入縁部95のみに沿って延在し、それ以外には流入セクション内でリーフレット14を支持されない状態に維持する輪状の支持体であってよい。図14に示されるように、弁支持体124は、1つまたは複数の長手方向ストラット113から長手方向に延在するワイヤ形態であってよい。最小弁支持体124は、有利には、流入セクション内のリーフレット16の大部分を支持されない状態で維持しながら、リーフレット16を部分的に逸脱させるのを防止するのを支援することができる。
【0051】
[0081]いくつかの実施形態では、最小弁支持体124(例えば、図12~13に示されるような)は、リーフレット16とシール177(例えば、図10Aに示される)との間に位置決めされ得る。リーフレット16とシール177との間の弁セグメント内で保護される最小弁支持体124を有することにより、有利には、荷重を加えることおよび送達システムからの解放を行うことがより容易になる可能性がある(例えば、摩擦および/または引っ掛かりを低減することにより)。さらに、いくつかの実施形態では、最小弁支持体124は、荷重を加えることおよび/または送達システムからの解放を行うことを支援するために、フレーム124との接続箇所でヒンジ式に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、リーフレット16とシール177との間に位置決めされた最小弁支持体124は、もつれるのを防止するのを支援するためにコイルで形成され得る。
【0052】
[0082]いくつかの実施形態では、最小弁支持体124(例えば、図12~13に示されるような)は、少なくとも部分的にシール177内に積層化され(換言すれば、重ね合わされ)得る。いくつかの実施形態では、シール支持体が、最小弁支持体124に加えてまたは最小弁支持体124の代わりに、シール177内に積層化され得る。積層シール177は、例えば、ポリウレタンなどのポリマー材料を含むことができる。
【0053】
[0083]例えば、図15A~15Bは、シール177内を環状に延在するシール支持体164を示す。シール177は、リーフレット16の流入縁部95に適合するように構成された凸形外形を有する流入縁部195を有することができる(例えば、3つのリーフレット16に適合する3つの凸形外形)。さらに、シール支持体164は、例えば、シール177を通って延びる、ニチノールワイヤなどの、波形または正弦波形状の要素すなわちワイヤフォームを有することができる。波形形状は、有利には、弁プロテーゼの送達中に支持体164を容易に圧縮するのを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、シール支持体164の形状が変化し得る。例えば、波形形状には、波形形状の流入端部または流出端部にある球状部分が含まれてよい。別の実施例として、シール支持体164は、シール177内にある不連続に軸方向に延在する要素の位置を有することができる。
【0054】
[0084]図15A~15Bに示されるように、シール支持体164は、シール177の流入縁部195までまたはその近傍まで延在することができる。流入縁部195の近くまで延在するシール支持体164を有することにより、シール支持体164は、有利には、リーフレット16のその他の支持されない(または、最小限にしか支持されない)流入縁部95に対して軸方向の剛性を提供することができ、それにより、弁を開けるときにリーフレットが逸脱するのを防止するのを支援することができる。いくつかの実施例では、シール支持体164は、シール177の流出縁部196よりもシール177の流入縁部195の近くに延在することができる。さらに、シール支持体164は、いくつかの実施形態では、弁プロテーゼのフレーム12から完全に非接続状態であってもよい。他の実施形態では、シール支持体164がフレーム12に取り付けられ得る(例えば、接合部で)。
【0055】
[0085]図16A~16Bを参照すると、いくつかの実施形態では、シール支持体164は、シール177に予張力を加えるのに使用され得る。すなわち、図16Aに示されるように、シール支持体164の波形パターンが圧縮され得(矢印によって示される)、シール177内に積層化され得る。図16Bを参照すると、シール支持体164が拡大するとき、シール支持体164がシール177に張力を加える(矢印によって示されるように)。シール支持体164を用いてシール177に張力を加えることにより、有利には、シール177がつぶれるのを低減すること、および、弁を開けるときにリーフレットが逸脱するのを防止すること、の両方を行うことができる。
【0056】
[0086]図17A~17Bを参照すると、いくつかの実施形態では、最下点支持スカート197が、シール177の流入縁部195とストラットフレーム12の流入部分157との間に延在することができる。すなわち、スカート177およびフレーム12が、プロテーゼの流入端部167で、流入部分157から径方向内側に離間された状態を維持することができる一方、最下点支持スカート197が、シール177の流入縁部195とストラットフレーム12の流入部分157との間の間隙を横切って延在することができる。したがって、最下点支持スカート197は、流入端部167におけるリーフレット16とフレーム12との間の緩衝装置として作用することができ、リーフレット16をフレーム12に適合させるかまたは直接に縫い付けることが必要とされない。最下点支持スカート197は、有利には、弁を開けるときにリーフレット16が逸脱するのを防止するのを支援することができる。さらに、最下点支持スカート197は、流入端部167でのリーフレット16とフレーム12との間の間隙における血流および/または凝固を防止するのを支援することができ、ならびに/あるいは、弁周囲漏出を防止するのを支援することができる。
【0057】
[0087]いくつかの実施形態では、図18A~18Cを参照すると、弁プロテーゼは、シール支持体164と最下点支持スカート197との組み合わせを有することができる。流入中(図18A)、心室内での加圧により、リーフレット16が閉じた状態を維持し、シール177が張力を受けた状態を維持することが保証される。流出中(図18B)、シール支持体164によって、シール177が張力を受けた状態が維持され、一方、最下点支持スカート197が、逸脱を防止するためにシール177およびリーフレット16を径方向外側に引くことができる。図18Cに示されるように、いくつかの実施形態では、シール177の流入縁部195およびひいてはリーフレット16の流入縁部95は、弁が開くとき、血流が最下点支持スカート197を遠位側に膨らませることの結果として径方向外側に傾斜することができ、それにより、弁を通る血流を改善することができる。
【0058】
[0088]図19A~19Bを参照すると、いくつかの場所で、シール177は、流入縁部195から流出縁部196まで延在する軸方向の折り重ね部198またはプリーツを有することができる。折り重ね部198は、例えばポリマー接着剤を用いて、定位置で固定され得る。軸方向の折り重ね部198は、シール177の円周の周りの多様な場所に位置決めされ得る。軸方向の折り重ね部198は、送達のために容易に折り畳まれることおよび被覆されることを可能にしながら、シール177に軸方向の剛性を提供するためのシール支持体として機能することができる。
【0059】
[0089]いくつかの実施形態では、リーフレットの流入縁部95は、リーフレット16の接合部のところを除いて、完全に支持されなくてよい。いくつかの実施形態では、リーフレット95の流入縁部は、リーフレット16および弁支持体124の接合部のところを除いて、支持されなくてよい。いくつかの実施形態では、軸方向の折り重ね部198、リーフレット最下点支持スカート197、またはシール支持体164は、フレーム12自体によっては支持されない状態を維持するための流入縁部95の能力を向上させることができる。
【0060】
[0090]図7A~7Bを参照すると、いくつかの事例で、例えば、拡大構成にある弁プロテーゼ10Fのフレーム高さ137の大きさなどの、弁プロテーゼ10F(本明細書で説明される弁プロテーゼ10のうちのいずれかに対応することができる)のサイズは、弁プロテーゼ10Fの1つまたは複数の構造(例えば、拡大構成にある弁プロテーゼデバイスの弁セグメント高さ、デバイスの拡大時のリーフレット高さ174、および/または、拡大したフレーム本体の直径139)に対して、ならびに/あるいは、1つまたは複数の生体構造(例えば、その中にデバイスを配備するところである心臓弁の平均直径)に対して、測定され得る。
【0061】
[0091]いくつかの事例では、弁プロテーゼ10Fのフレームの高さ137は、弁プロテーゼデバイス10Fの弁セグメント14の高さ174に対して、測定され得る(例えば、フレーム高さに対しての弁セグメント高さの比すなわちVSTF(valve segment height-to-frame height)比(例えば、高さ174に対しての高さ137の比))。いくつかの事例では、拡大した弁プロテーゼ10Fの弁セグメント14(または、弁リーフレットなどの、その一部分)の高さ174は、弁プロテーゼデバイスのフレームの高さより大きい(例えば、VSTF比が1より大きい)。
【0062】
[0092]フレーム構造12に圧縮強度および/または弾性を提供するのに使用され得るストラット113および/または最小弁支持体124(例えば、輪状の構造)などの、フレーム構造12の一部分は、金属または金属合金で作られ得る。フレーム構造12の一部分の全体または一部を形成するのに使用され得る金属および金属合金の典型的な例には、ニッケル-チタン合金(NiTi)、コバルト-クロム合金、およびステンレス鋼が含まれる。フレーム構造の一部分(例えば、ストラット113または最小弁支持体124)は、以下の金属;チタン、アルミニウム、コバルト、クロム、モリブデン、バナジウム、ジルコニウム、亜鉛、ニッケル、ニオブ、タンタル、マグネシウム、および鉄、のうちの1つまたは複数を含む材料で作られ得る。使用され得る具体的なチタン合金には、Ti-3Al-2.5V、Ti-5Al-2.5Fe、Ti-6-Al-4V、Ti-6Al-4V ELI、Ti-6Al-7Nb、Ti-15Mo、Ti-13Nb-13Zr、Ti-12Mo-6Zr-2Fe、Ti-45Nb、Ti-35Nb-7Zr-5Ta、およびTi-55.8Niが含まれる。フレーム構造12の一部分は、等しい量のまたはほぼ等しい量のニッケルおよびチタンを有するニッケル-チタン合金を含むことができる。例えば、ニッケル-チタン合金は、50mol%、49.5mol%から50.5mol%、49mol%から51mol%、48.5mol%から51.5mol%、48mol%から52mol%、47.5mol%から52.5mol%、または、47mol%から53mol%のニッケルであってよい。
【0063】
[0093]いくつかの事例では、弁プロテーゼ10の一部分は、セラミックを含むことができる。例えば、フレーム構造12の1つまたは複数の部分は、アルミナ、ジルコニア、クォーツ、熱分解炭素(例えば、熱分解炭素被覆黒鉛(pyrolytic carbon coated graphite))、または、ヒドロキシアパタイトなどのリン酸カルシウム、のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0064】
[0094]弁プロテーゼ10の一部分は、ポリマー(例えば、殺菌可能なポリマーおよび/または生体適合性ポリマー)を含むことができる。いくつかの事例では、ポリマーには、ポリエチレン(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、フッ素重合体、シリコーン、ポリスチレン、ナイロン、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU:thermoplastic polyurethane)、ポリシロキサン、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコライド)(PLGA)、ポリ(ε-カプロラクトン)などのポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(メチルメタクリレート)、ヒアルロナン、ポリジオキサノン、ポリ無水化物、またはトリメチレンカーボネート、のうちの1つまたは複数が含まれてよい。いくつかの事例では、弁プロテーゼ10またはその一部分のポリマーがコポリマー(例えば、ブロックコポリマー)であってよい。いくつかの事例では、ポリマーは、ポリマーの強度および/または弾性を向上させるために架橋され得る(例えば、紫外線を使用して)。
【0065】
[0095]弁プロテーゼ10またはその一部分(例えば、フレーム構造12、織物の被覆物112、またはストラット113)を含む材料は、固体構造またはメッシュとなるように形成され得る。例えば、織物の被覆物112は、織物またはメッシュとなるように形成された1つまたは複数の材料(例えば、ポリエステルまたはナイロンなどのポリマー)を含むことができる。
【0066】
[0096]いくつかの事例では、弁プロテーゼ10またはその一部分(例えば、弁リーフレット16)は、細胞ベースの組織(cell-based tissue)を含むことができる。弁プロテーゼ10またはその一部分のための材料として細胞ベースの組織を使用することにより、血栓形成性を低下させること、移植される弁プロテーゼ10の周囲自己組織との一体化を改善すること、デバイスまたはその一部分の材料特性を改善すること、および、一部の事例では、免疫反応を低下させること、などの、様々利点を提供することができる。例えば、細胞ベースの組織を含む弁プロテーゼ10(または、その一部分)は、静的なおよび/または動的な機械的負荷での健全な弁の機械的特性に近い機械的特性を呈することができる。弁プロテーゼ10の全体または一部分を含む、被術者自身の組織(例えば、幹細胞由来の組織)から得られるかまたは同種供給源(allogenic source)から得られる細胞ベースの組織は、いくつかの事例では、移植後の免疫原反応の可能性を低減することができる。いくつかの事例では、弁プロテーゼ10で有用である細胞ベースの組織の1つまたは複数の細胞は、人工弁を中に配備される被術者に関して、自家系、同種、または異種であってよい。弁プロテーゼ10で有用である細胞ベースの組織の1つまたは複数の細胞の供給源の典型的な例は、ヒト、豚、または雌牛である。リーフレット16の1つまたは複数の遠位側の(または、心室の)表面は、生体適合性材料で製造され得るか、生体適合性材料で被覆され得るか、または生体適合性材料を用いて処理され得る。
【0067】
[0097]当業者には理解されるように、弁セグメント、弁アンカー、およびフレームアンカーの種々の実施形態は、自然弁の治療または置換のための利点を提供することができる。
【0068】
[0098]1つの実施形態に関連して本明細書で説明される任意の特徴は、別の実施形態に関連して説明される任意の特徴と置き換えられるかまたは組み合わされ得ることを理解されたい。
【0069】
[0099]特徴または要素が本明細書で別の特徴または要素の「上に」あるものとして言及される場合、直接にこの別の特徴または要素の上にあってよいか、あるいは、介在する特徴および/または要素が存在してもよい。対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素の「直接に上にある」と言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。同様に、特徴または要素は、別の特徴または要素に「接続される」、「取り付けられる」、または「連結される」と言及される場合、この別の特徴または要素に直接に接続されてよいか、取り付けられてよいか、または連結されてよく、あるいは、介在する特徴または要素が存在してもよい、ことが理解されよう。対照的に、特徴または要素は、別の特徴または要素に「直接に接続される」、「直接に取り付けられる」、または「直接に連結される」と言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。1つの実施形態に関連して説明されるかまたは示されるが、そのようにして説明されるかまたは示される特徴および要素は他の実施形態にも適用され得る。また、別の特徴に「隣接して」配設された構造または特徴を参照することは、その隣接する特徴に重なり合うかまたはその下にある部分を有することができることを当業者であれば認識するであろう。
【0070】
[0100]本明細書で使用される専門用語は、単に、特定の実施形態を説明することを目的としており、本発明を限定することを意図されない。例えば、本明細書で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈で他の意味で特に明記されない限り、複数形も含むことを意図される。さらに、本明細書で使用される場合の「comprises」および「comprising」という用語は、言及される特徴、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を明記するものであり、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそのグループの存在または追加を排除しない、ことが理解されよう。本明細書で使用される場合の「および/または」という用語は、関連の列記される項目のうちの1つまたは項目の任意のすべての組み合わせを含み、「/」として省略形にもされ得る。
【0071】
[0101]「下」、「下方」、「下側」、「上」、および「上側」などの空間的な相対的な用語は、本明細書では、図に示される1つの要素または特徴の別の要素または特徴に対しての関係を説明するための記述を容易にするために使用され得る。空間的な相対的な用語は、図に描かれる向きに加えて、使用時のまたは動作時のデバイスの多様な向きを包含することを意図される、ことが理解されよう。例えば、図中のデバイスが逆さにされる場合、他の要素または特徴の「下に」または「下方に」あると説明される要素は、この他の要素または特徴の「上に」あるものとして向けられる。したがって、「下に」という例示の用語は、上および下の両方の向きを包含することができる。デバイスは他の向きに向けられてもよく(90度回転されたり、または、他の向きにされたり)、本明細書で使用される空間的な相対的な記述語は、それに応じて、解釈される。同様に、「上方に」、「下方に」、「垂直」、および「水平」などの用語は、特に明記しない限り、本明細書では、単に説明を目的として使用される。
【0072】
[0102]「第1」および「第2」という用語は、本明細書では、種々の特徴/要素(ステップを含む)を説明するために使用され得るが、これらの特徴/要素は、特に明記しない限り、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの特徴/要素を別の特徴/要素と区別するために使用され得る。したがって、以下で考察される第1の特徴/要素は第2の特徴/要素と称されてもよく、同様に、以下で考察される第2の特徴/要素は、本発明の教示から逸脱することなく、第1の特徴/要素と称されてもよい。
【0073】
[0103]本明細書および以下の特許請求の範囲を通して、特に明記しない限り、「comprise」という単語、ならびに「comprises」または「comprising」などのその語尾変化は、種々の構成要素は、方法および事柄(例えば、デバイスおよび方法を含めた、構成および装置)で同時に採用され得る、ことを意味する。例えば、「comprising」という用語は、任意の言及される要素またはステップを含むことを暗に意味しており、任意の他の要素またはステップを排除しない、ものとして理解される。
【0074】
[0104]実施例で使用される場合も含めて、本明細書および特許請求の範囲で使用される場合の、すべての数は、特に明記しない限り、「約」または「およそ」という単語が明確に見られない場合であっても、「約」または「およそ」という単語を前置されて読まれ得る。「約」または「およそ」というフレーズは、説明される値および/または位置が値および/または位置の妥当な予期される範囲内にあることを示すために、大きさおよび/または位置を説明するときに、使用され得る。例えば、数値は、言及する値(または、値の範囲)の+/-0.1%、言及する値(または、値の範囲)の+/-1%、言及する値(または、値の範囲)の+/-2%、言及する値(または、値の範囲)の+/-5%、言及する値(または、値の範囲)の+/-10%などの値を有することができる。また、本明細書で与えられる任意の数値は、特に明記しない限り、この値の約またはおよそを含むものとして理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。本明細書に記載される任意の数の範囲は、その中に包含されるすべての部分的な範囲を含むことを意図される。また、値は、その値「未満であるかまたは等しい」、その値「より大きいかまたは等しい」として開示される場合、当業者に適切に理解されるようなその値の間の可能である範囲も開示される、ことが理解されよう。例えば、値「X」が開示される場合、「X未満またはXに等しい」さらには「Xより大きいまたはXに等しい(例えば、Xが数値である場合)」も開示される。また、本明細書を通して、多数の異なるフォーマットでデータが提供されること、および、このデータは、終点および始点、ならびに、データポイントの任意の組み合わせのための範囲を表す、ことが理解されよう。例えば、特定のデータポイント「10」および特定のデータポイント「15」が開示される場合、10および15より大きい、10および15以上、10および15未満、10および15以下、10および15に等しいも開示されるとみなされ、さらに、10と15との間も開示されるとみなされる、ことが理解される。また、2つの特定の1の位の数の間の各々の1の位の数も開示される、ことが理解される。例えば、10および15が開示される場合、11、12、13、および14も開示される。
【0075】
[0105]本明細書では本発明の好適な実施形態を示して説明してきたが、これらの実施形態が単に例として提供されていることは当業者には明らかであろう。多数の変形形態、変化形態、および置換形態が、本発明から逸脱することなく、当業者には思い付くであろう。本明細書で説明される本発明の実施形態に対しての種々の代替形態が、本発明を実践する際に採用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義することを意図され、これらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにその均等物が本発明の範囲に包含されることを意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
【国際調査報告】