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特表2023-530977試料中の抗体の遊離抗原を決定するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】試料中の抗体の遊離抗原を決定するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20230712BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230712BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
G01N33/543 501A
G01N33/543 545A
G01N33/53 D ZNA
G01N33/53 R
C07K16/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022577318
(86)(22)【出願日】2021-06-14
(85)【翻訳文提出日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2021065880
(87)【国際公開番号】W WO2021254926
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】20180205.5
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン グレゴール
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー マルティン
(72)【発明者】
【氏名】フィーアト マリア
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA60
4H045DA75
4H045EA50
(57)【要約】
本明細書では、以下の工程を含む、未希釈血清試料中の抗体の遊離抗原を決定するための方法が報告される:a)未希釈試料を、捕捉抗体が固定化された固相に適用して捕捉抗体-抗原複合体を形成する工程であって、捕捉抗体が抗原上の第1のエピトープへの結合について抗体と競合する、工程、b)トレーサー抗体を固相に適用して捕捉抗体-抗原-トレーサー抗体複合体を形成する工程であって、トレーサー抗体が抗原上の第2のエピトープに特異的に結合し、トレーサー抗体のエピトープが抗原上の捕捉抗体のエピトープと重複しない、工程、及びc)捕捉抗体-抗原-トレーサー抗体複合体中のトレーサー抗体を決定することによって抗体の遊離抗原を決定する工程。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、遊離抗原、遊離抗体及び抗原-抗体複合体を含む未希釈血清試料中の、抗体によって特異的に結合され得る遊離抗原を決定するための方法:
a)前記試料を、捕捉抗体が固定化された固相に適用して、捕捉抗体-抗原複合体を形成する工程であって、
前記捕捉抗体が、前記抗原上の第1のエピトープへの結合について前記抗体と競合する、工程、
b)前記固相にトレーサー抗体を適用して、捕捉抗体-抗原-トレーサー抗体複合体を形成する工程であって、
前記トレーサー抗体が、前記抗原上の第2のエピトープに特異的に結合し、
前記トレーサー抗体の前記エピトープが、前記抗原上の前記捕捉抗体の前記エピトープと重複していない、工程、ならびに
c)前記捕捉抗体-抗原-トレーサー抗体複合体中の前記トレーサー抗体を決定することによって前記抗体の前記遊離抗原を決定する工程。
【請求項2】
工程a)において、前記適用することが、前記抗原に結合した前記抗体の多くとも10%が前記捕捉抗体によって置き換えられる条件下にあり、工程a)において、前記抗原に結合した前記抗体の多くとも10%が置き換えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)が、
前記試料を、捕捉抗体が固定化された前記固相に適用して、捕捉抗体-抗原複合体を形成する工程であって、
前記捕捉抗体が、前記抗原上の第1のエピトープへの結合について前記抗体と競合し、
前記試料が、前記固相と240秒間以下インキュベートされる、工程
である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗原上の前記第1のエピトープに特異的に結合する前記抗体の抗原結合部位と前記抗原との前記複合体の半減期が100秒以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記抗体が二重特異性抗体であり、前記二重特異性抗体が、前記抗原上の前記第1のエピトープに特異的に結合する第1の抗原結合部位と、前記抗原上の前記第2のエピトープに特異的に結合する第2の異なる抗原結合部位とを含み、前記トレーサー抗体が、前記抗原上の前記第2のエピトープへの結合について前記二重特異性抗体と競合する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記抗原上の前記第2のエピトープに特異的に結合する前記二重特異性抗体の前記抗原結合部位と前記抗原との前記複合体の半減期が20秒以下である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記捕捉抗体及び前記トレーサー抗体が非ヒトの非ヒト化抗体である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が酵素結合免疫吸着測定法であり、前記試料が前記固相と180~240秒間インキュベートされる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記トレーサー抗体を前記捕捉抗体-抗原複合体と1200秒間未満インキュベートする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、レーザー誘起蛍光検出を伴うナノリットル規模のマイクロ流体のアフィニティーフロースルーフォーマットであり、前記試料が前記固相と2秒間以下インキュベートされる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記トレーサー抗体を前記捕捉抗体-抗原複合体と2秒間未満インキュベートする、請求項1~7及び10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記抗体が治療用抗体である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、遊離抗原の量を決定するためのものであり、工程c)が、
前記捕捉抗体-抗原-トレーサー抗体複合体中の前記トレーサー抗体の量を決定することによって、前記試料中の前記抗体の遊離抗原の前記量を決定する工程
である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記抗原がヒトCCL2である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記抗原がヒトC5である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物動態学の分野にある。より具体的には、本明細書では、試料中の治療用抗体の遊離抗原を、特に治療用抗体の存在下で、高い血清濃度で決定するためのアッセイを報告する。
【背景技術】
【0002】
Lee,J.W.,et al.(AAPS J.13(2011)99-110)(非特許文献1)は、薬物開発を支援する際の生物分析の主な推進要因はデータの意図された用途であると報告している。循環中のmAb及びその抗原リガンド(L)の測定のための信頼性の高い方法論は、有効性及び安全性評価の裏付けにおける曝露-応答関係の評価、並びに用量選択にとって重要である。リガンド結合アッセイ(LBA)は、薬物動態/薬力学(PK/PD)及び安全性評価を支援するためのタンパク質生物治療薬及び抗原リガンド(L)の分析に広く使用されている。特に、Lに非共有結合的に結合するモノクローナル抗体薬物(mAb)の場合、遊離mAb、遊離L、並びにmAbとLとの一価及び/又は二価複合体を含む複数の形態のmAb及びLがインビボで存在し得る。投与後に体内で生じる動的結合平衡の複雑さ及び生物分析中の平衡の複数の摂動源を考慮すると、目的の形態(遊離、結合、又は総mAb及びL)のエクスビボ定量化はインビボでの実際のものとは異なり得ることは明らかである。LBA試薬及びアッセイ形式は、原則として、mAb及びLの総形態又は遊離形態を測定するように設計することができる。しかしながら、指定された条件下で測定されている形態の確認は、技術的に困難であり得る。
【0003】
一般に、分析物の検出のための市販のアッセイは、1:2以上の最小必要希釈(MRD)(Gyrolabのアフィニティーフロースルーフォーマット)で行われる。希釈液を適用することの欠点は、とりわけ、試料中の複合体、例えば抗体-抗原複合体が、適用された溶液によって強制的に解離させられることである。それにより、アッセイ結果はもはや試料中の真の状況を反映していない。
【0004】
国際公開第2018/075758号(特許文献1)は、ビオチン化抗C5捕捉抗体をストレプトアビジン被覆粒子に結合させることと;試料中の遊離(非結合)C5を捕捉することと;捕捉された遊離C5を検出することと;レーザー誘起蛍光検出を使用して捕捉された遊離C5を定量することとを含む、試料からの遊離(非結合)ヒトC5補体タンパク質(C5)を定量する方法を報告した。
【0005】
Takashi,I.らは、大うつ病性障害及び統合失調症における脳脊髄液補体C5レベルの増加を報告している。(Biochem.Biophys.Res.Commun.497(2018)683-688(非特許文献2))。
【0006】
Roth,A.らは、発作性夜間ヘモグロビン尿症における補体C5阻害剤クロバリマブを報告した(Blood 135(2020)912-920(非特許文献3))。
【0007】
Haringman,J.らは、関節リウマチ(Arth)患者における抗CCL2(抗単球走化性タンパク質1)モノクローナル抗体を用いた無作為化対照試験を報告した(Arth.Rheum.54(2006)2387-2392(非特許文献4))。
【0008】
したがって、複合体化した抗原及び抗原に特異的に結合する抗体の存在下で、特に遊離抗原、すなわち非複合体化抗原を決定するためのアッセイが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2018/075758号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Lee,J.W.ら、AAPS J.13(2011)99-110
【非特許文献2】Takashi,I.ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.497(2018)683-688
【非特許文献3】Roth,A.ら、Blood 135(2020)912-920
【非特許文献4】Haringman,J.ら、Arth.Rheum.54(2006)2387-2392
【発明の概要】
【0011】
本明細書では、血清試料中の(治療用)抗体の遊離抗原、すなわち非複合体形態の抗原の存在を検出し、その量を決定するための方法であって、血清試料が抗原、(治療用)抗体及び複合体化抗原、すなわち(治療用)抗体-抗原複合体中の抗原を含む方法を報告する。抗原は、治療用抗体によって、例えば(多重特異性、治療用)抗体の第1の結合特異性などによって特異的に結合され得る。
【0012】
本発明は、少なくとも部分的には、定性的及び定量的形態での遊離抗原決定を、試料希釈なしで、すなわち100%血清中で行うことができるという知見に基づく。これにより、複雑な解離や決定の改ざんを防ぐことができる。
【0013】
本発明は、少なくとも部分的には、分析前の試料希釈工程を省略することによって、遊離抗原の決定における結果の改ざんを低減又はさらには防止することができるという知見に基づく。これは、抗体-抗原複合体が短い半減期を有する、すなわち非常に不安定である場合に特に当てはまる。これは、複合体半減期が600秒未満、300秒未満、特に100秒未満である場合に特に当てはまる。この理論に拘束されるものではないが、複合体の速度論的特性、すなわち複合体の短い半減期又は抗原に対する(一価)抗体(結合部位)の低い親和性に起因する希釈によって、試料中に存在する複合体は、アッセイの実施中に/実施の間に解離する傾向がある/解離することを強いられると考えられる。それにより、遊離抗原の量が増加し、アッセイ結果の改ざんをもたらす。
【0014】
本発明は、少なくとも部分的には、捕捉及び/又はトレーサー抗体として、治療用抗体のエピトープと同じ又は重複するエピトープに結合する抗体を、ブリッジングアッセイフォーマットにおける短いインキュベーション時間と組み合わせて使用することによって、抗原-抗体複合体中の(治療用)抗体の置換を防止することができ、遊離抗原の決定における結果の改ざんを低減又はさらには防止することができるという知見に基づく。この理論に拘束されるものではないが、治療用抗体と同じ又は重複するエピトープに結合する捕捉抗体及び/又はトレーサー抗体を使用することによって、遊離抗原の決定における抗原-(治療用)抗体複合体の排除が達成されると想定される。それにより、遊離抗原の量は増加せず、より良好なアッセイ結果が得られる。
【0015】
したがって、本発明は、少なくとも以下の態様及び実施形態を含む。
【0016】
1.以下の工程を含む、血清試料中の抗体の遊離抗原を決定するための方法:
a)試料を、捕捉抗体が固定化された固相に適用して、捕捉抗体-抗原複合体を形成する工程であって、
捕捉抗体が、抗原上の第1のエピトープへの結合について抗体と競合する、工程、
b)固相にトレーサー抗体を適用して、捕捉抗体-抗原-トレーサー抗体複合体を形成する工程であって、
トレーサー抗体が、抗原上の第2のエピトープに特異的に結合し、
トレーサー抗体のエピトープが、抗原上の捕捉抗体のエピトープと重複していない、工程、及び
c)捕捉抗体-抗原-トレーサー抗体複合体中のトレーサー抗体を決定することによって抗体の遊離抗原を決定する工程。
【0017】
2.試料が、遊離抗原、遊離抗体及び抗原-抗体複合体を含む、項目1に記載の方法。
【0018】
3.前記方法が抗原ブリッジングアッセイである、項目1又は2のいずれか一項に記載の方法。
【0019】
4.工程a)において適用することが、抗原に結合した抗体の多くとも10%が捕捉抗体によって置き換えられる条件下にあるか、又は、工程a)において、抗原に結合した抗体の多くとも10%が捕捉抗体によって置き換えられる、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
【0020】
5.工程a)において適用することが、抗原に結合した抗体の多くとも5%が捕捉抗体によって置き換えられる条件下にあるか、又は、工程a)において、抗原に結合した抗体の多くとも5%が捕捉抗体によって置き換えられる、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0021】
6.工程a)において適用することが、抗原に結合した抗体の多くとも1%が捕捉抗体によって置き換えられる条件下にあるか、又は、工程a)において、抗原に結合した抗体の多くとも1%が捕捉抗体によって置き換えられる、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0022】
7.工程a)において適用することが、抗原に結合した抗体が捕捉抗体に実質的に置換されない条件下にある、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0023】
8.血清試料が未希釈血清試料である、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
【0024】
9.試料が約100%の血清を含む、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
【0025】
10.工程a)が、
試料を、捕捉抗体が固定化された固相に適用して、捕捉抗体-抗原複合体を形成する工程であって、
捕捉抗体が、抗原上の第1のエピトープへの結合について抗体と競合し、
試料が、固相と300秒間以下インキュベートされる/300秒後以内に固相から除去される、工程
である、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
【0026】
11.試料を固相と240秒間以下インキュベートする/240秒後以内に固相から試料を除去する、項目1~10のいずれか一項に記載の方法。
【0027】
12.試料を固相と100秒間以下インキュベートする/100秒後以内に固相から試料を除去する、項目1~11のいずれか一項に記載の方法。
【0028】
13.試料を固相とインキュベートする/固相から試料を除去する、より好ましくは、10秒間以下インキュベートする/10秒後以内に除去する、項目1~12のいずれか一項に記載の方法。
【0029】
14.試料を固相と2秒間以下インキュベートする/2秒後以内に固相から試料を除去する、項目1~13のいずれか一項に記載の方法。
【0030】
15.試料を固相と1秒間以下インキュベートする/1秒後以内に固相から試料を除去する、項目1~14のいずれか一項に記載の方法。
【0031】
16.抗原上の第1のエピトープに特異的に結合する抗体の抗原結合部位と抗原との複合体(一価の非アビド(non-avid)相互作用)の安定性/半減期が200秒以下である、項目1~15のいずれか一項に記載の方法。
【0032】
17.抗原上の第1のエピトープに特異的に結合する抗体の抗原結合部位と抗原との複合体(一価の非アビド相互作用)の安定性/半減期が100秒以下である、項目1~16のいずれか一項に記載の方法。
【0033】
18.抗体が二重特異性抗体であり、二重特異性抗体が、抗原上の第1のエピトープに(特異的に)結合する第1の抗原結合部位と、抗原上の第2のエピトープに(特異的に)結合する第2の異なる抗原結合部位とを含み、トレーサー抗体が、抗原上の第2のエピトープへの結合について二重特異性抗体と競合する、項目1~17のいずれか一項に記載の方法。
【0034】
19.抗原上の第2のエピトープに特異的に結合する二重特異性抗体の抗原結合部位と抗原との複合体(一価の非アビド相互作用)の安定性/半減期が、抗原上の第1のエピトープに特異的に結合する二重特異性抗体の第1の結合部位と抗原との複合体(一価の非アビド相互作用)の安定性/半減期よりも小さい、項目18に記載の方法。
【0035】
20.抗原上の第2のエピトープに特異的に結合する二重特異性抗体の抗原結合部位と抗原との複合体(一価の非アビド相互作用)の安定性/半減期が100秒以下である、項目18~19のいずれか一項に記載の方法。
【0036】
21.抗原上の第2のエピトープに特異的に結合する二重特異性抗体の抗原結合部位と抗原との複合体(一価の非アビド相互作用)の安定性/半減期が20秒以下である、項目18~20のいずれか一項に記載の方法。
【0037】
22.捕捉抗体及び前記トレーサー抗体が非ヒトの非ヒト化抗体である、項目1~21のいずれか一項に記載の方法。
【0038】
23.酵素結合免疫吸着測定法であり、試料を固相と180~240秒間インキュベートする/180~240秒後に固相から試料を除去する、項目1~22のいずれか一項に記載の方法。
【0039】
24.トレーサー抗体を捕捉抗体-抗原複合体と1200秒間未満インキュベートする、項目1~23のいずれか一項に記載の方法。
【0040】
25.方法が、レーザー誘起蛍光検出を伴うナノリットル規模のマイクロ流体のアフィニティーフロースルーフォーマットであり、試料が固相と2秒間又は1秒間以下インキュベートされる/2秒又は1秒後以内に固相から試料が除去される、項目1~22のいずれか一項に記載の方法。
【0041】
26.トレーサー抗体を捕捉抗体-抗原複合体と2秒間未満又は1秒間未満インキュベートする、項目1~22及び25のいずれか一項に記載の方法。
【0042】
27.抗体が治療用抗体である、項目1~26のいずれか一項に記載の方法。
【0043】
28.抗体が多重特異性抗体である、項目1~27のいずれか一項に記載の方法。
【0044】
29.抗体が二重特異性抗体である、項目1~28のいずれか一項に記載の方法。
【0045】
30.抗体が、抗原上の第1のエピトープに特異的に結合する第1の結合部位と、抗原上の第2のエピトープに特異的に結合する第2の結合部位とを有する二重特異性抗体である、項目1~29のいずれか一項に記載の方法。
【0046】
31.方法が、遊離抗原の量を決定するためのものであり、工程c)が、
捕捉抗体-抗原-トレーサー抗体複合体中のトレーサー抗体の量を決定することによって、試料中の抗体の遊離抗原の量を決定する工程
である、項目1~30のいずれか一項に記載の方法。
【0047】
32.遊離抗原を決定することが、捕捉抗体-抗原-トレーサー抗体複合体を検出可能な標識にコンジュゲートさせた検出抗体とインキュベートし、検出可能な標識によって生成されたシグナルを決定することによるものである、項目1~31のいずれか一項に記載の方法。
【0048】
33.遊離抗原の量を決定することが、検量線を使用して、捕捉抗体-抗原-トレーサー抗体複合体に結合した検出抗体の検出可能な標識によって生成されるシグナルを遊離抗原の量と相関させることによるものである、項目31~32のいずれか一項に記載の方法。
【0049】
34.抗原がヒトCCL2である、項目1~33のいずれか一項に記載の方法。
【0050】
35.(治療用)抗体が、本明細書中に記載のヒトCCL2に特異的に結合する抗体である、項目1~34のいずれか一項に記載の方法。
【0051】
36.抗原がヒトC5である、項目1~33のいずれか一項に記載の方法。
【0052】
37.(治療用)抗体が、本明細書中に記載のヒトC5に特異的に結合する抗体である、項目1~33及び36のいずれか一項に記載の方法。
【0053】
38.血清がヒト血清である、項目1~37のいずれか一項に記載の方法。
【0054】
39.試料中の二重特異性抗体によって特異的に結合され得る二重特異性抗体の抗原の存在及び/又は量を決定するためのインビトロ方法であって、検出される抗原は、二重特異性抗体の少なくとも第1の結合特異性によって特異的に結合されることができ、抗原が遊離抗原であり、本明細書に開示される工程(複数可)を含む、方法。
【0055】
40.試料が未希釈血清試料である、項目39に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0056】
発明の詳細な説明
本明細書では、多重特異性結合剤の存在下で前臨床及び臨床試料中の二重特異性抗体/薬物などの多重特異性結合剤の遊離抗原を検出するためのインビトロ方法を報告する。
【0057】
定義:
「治療用抗体」及び「薬物」という用語は、本明細書では互換的に使用される。これらの用語は、最も広い意味で使用され、それらが所望の抗原結合活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)及び抗体断片を含むがこれらに限定されない、種々の抗体構造を包含する。
【0058】
本発明の特定の実施形態では、抗体は、多重特異性抗体、例えば、少なくとも二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。本発明の特定の実施形態では、結合特異性の1つは第一の抗原に対するものであり、他は、異なる第二の抗原に対するものである。本発明の特定の実施形態では、二重特異性抗体は、同じ抗原の2つの異なるエピトープに結合し得る。二重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体断片として調製され得る。本発明の特定の実施形態では、抗体は、第1及び第2の抗原に特異的に結合する二重特異性抗体である。本発明の特定の実施形態では、二重特異性抗体は、i)抗原上の第1の抗原又は第1のエピトープに特異的に結合する第1の結合特異性、及びii)(同じ)抗原上の第2の抗原又は第2のエピトープに特異的に結合する第2の結合特異性を有する。本発明の特定の実施形態では、同じ抗原上の第2のエピトープは、重複しないエピトープである。本発明の特定の実施形態では、抗体が二重特異性二価抗体である。好ましい一実施形態では、抗体はモノクローナル二重特異性二価抗体である。
【0059】
抗体又は断片はまた、国際公開第2009/080251号、国際公開第2009/080252号、国際公開第2009/080253号、国際公開第2009/080254号、国際公開第2010/112193号、国際公開第2010/115589号、国際公開第2010/136172号、国際公開第2010/145792号又は国際公開第2010/145793号に記載されている多重特異性抗体であり得る。
【0060】
「抗C5抗体」及び「C5に(特異的に)結合する抗体」という用語は、C5を標的とした診断及び/又は治療剤として有用であるように、十分な親和性でC5と結合することができる抗体を指す。本発明の特定の実施形態では、無関係な非C5タンパク質に対する抗C5抗体の結合の程度は、C5に対する抗体の結合の約10%未満である。本発明の特定の実施形態では、抗C5抗体は、異なる種由来のC5間で保存されているC5のエピトープに結合する。好ましい一実施形態では、C5はヒトC5である。
【0061】
本明細書で使用される「C5」という用語は、霊長類(例えば、ヒト及びサル)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物供給源由来の任意の天然C5を包含する。別段の指示がない限り、用語「C5」は、配列番号30に示されるアミノ酸配列を有し、かつ、配列番号31に示されるベータ鎖配列を含有するヒトC5タンパク質を示す。この用語は、「完全長」の、未処理C5、及び、細胞内でのプロセッシングによりもたらされる任意の形態のC5を包含する。この用語は、C5の天然に存在するバリアント、例えば、スプライス・バリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトC5のアミノ酸配列を配列番号30に示す(「野生型」又は「wt」C5)。ヒトC5の例示的なベータ鎖のアミノ酸配列を配列番号31に示す。ヒトC5のベータ鎖の例示的なMG1、MG2及びMG1-MG2ドメインのアミノ酸配列を、それぞれ配列番号32、33及び34に示す。例示的なカニクイザル及びマウスC5のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号35及び96に示す。配列番号30、31、34、35、及び96のアミノ酸残基1~19は、細胞内でのプロセッシング中に除去され、したがって対応する例示的アミノ酸配列から欠落している、シグナル配列に対応する。
【0062】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、同一であり、及び/又は同じエピトープに結合するが、例えば、自然発生突然変異を含有するか、又はモノクローナル抗体調製物の産生中に生じる、起こり得るバリアント抗体は例外であり、かかるバリアントは一般的に少量で存在する。典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して指向する異なる抗体を含むポリクローナル抗体製剤とは対照的に、モノクローナル抗体製剤のそれぞれのモノクローナル抗体は、1つの抗原上の単一の決定基に対して指向する。したがって、修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集合から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするように解釈すべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組み換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法を含むが、これらに限定されない多様な技法によって作製することができ、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法及び他の例示的な方法が、本明細書に記載されている。
【0063】
異なるイムノアッセイの原理は、例えば、Hage,D.S.(Anal.Chem.71(1999)294R-304R)に記載されている。Lu,B.ら(Analyst 121(1996)29R-32R)は、イムノアッセイに使用するための抗体の配向固定化を報告している。アビジン-ビオチン媒介イムノアッセイは、例えば、Wilchek,M.,and Bayer,E.A.,in Methods Enzymol.184(1990)467-469に報告されている。
【0064】
モノクローナル抗体及びそれらの定常ドメインは、ポリペプチド/タンパク質、ポリマー(例えば、PEG、セルロース又はポリスチロール)、又は酵素などの結合対のメンバーに結合するためのいくつかの反応性アミノ酸側鎖を含む。アミノ酸の化学反応性基は、例えば、アミノ基(リシン、アルファ-アミノ基)、チオール基(シスチン、システイン及びメチオニン)、カルボン酸基(アスパラギン酸、グルタミン酸)、及び糖アルコール基である。そのような方法は、例えば、「Bioconjugation」、MacMillan Ref.Ltd.,1999,pages 50-100に記載されている。
【0065】
抗体の最も一般的な反応基の1つは、アミノ酸リジンの脂肪族ε-アミンである。一般に、ほぼ全ての抗体は豊富なリジンを含有する。リジンアミンは、pH8.0(pKa=9.18)を超えると適度に良好な求核剤であるため、様々な試薬と容易かつ清浄に反応して安定な結合を形成する。アミン反応性試薬は、主にリシン及びタンパク質のα-アミノ基と反応する。反応性エステル、特にN-ヒドロキシ-スクシンイミド(NHS)エステルは、アミン基の修飾のために最も一般的に使用される試薬の1つである。水性環境下での反応に最適なpHはpH8.0~9.0である。イソチオシアネートはアミン修飾試薬であり、タンパク質とチオ尿素結合を形成する。それらは、水溶液中のタンパク質アミン(最適にはpH9.0~9.5で)と反応する。アルデヒドは、穏やかな水性条件下で脂肪族及び芳香族アミン、ヒドラジン、及びヒドラジドと反応して、イミン中間体(シッフ塩基)を形成する。シッフ塩基は、穏やかな又は強い還元剤(水素化ホウ素ナトリウム又はシアノ水素化ホウ素ナトリウムなど)で選択的に還元されて、安定なアルキルアミン結合を誘導することができる。アミンを修飾するために使用されている他の試薬は、酸無水物である。例えば、ジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA)は、2つのアミン反応性無水物基を含有する二官能性キレート剤である。これは、アミノ酸のN末端及びε-アミン基と反応してアミド結合を形成し得る。無水物環は開環して、配位錯体中の金属に強く結合することができる多価の金属キレート化アームを生成する。
【0066】
抗体における別の一般的な反応基は、硫黄含有アミノ酸シスチン及びその還元生成物システイン(又は半シスチン)からのチオール残基である。システインは、アミンよりも求核性であり、一般にタンパク質中で最も反応性の官能基である遊離チオール基を含有する。チオールは一般に中性pHで反応性であるため、アミンの存在下で他の分子に選択的に結合することができる。遊離スルフヒドリル基は比較的反応性であるため、これらの基を有するタンパク質は、ジスルフィド基又はジスルフィド結合としてそれらの酸化形態で存在することが多い。そのようなタンパク質では、反応性遊離チオールを生成するためにジチオトレイトール(DTT)などの試薬によるジスルフィド結合の還元が必要である。チオール反応性試薬は、ポリペプチド上のチオール基に結合してチオエーテル結合生成物を形成する試薬である。これらの試薬は、わずかな酸性から中性のpHで迅速に反応し、したがってアミン基の存在下で選択的に反応することができる。文献は、トラウト試薬(2-イミノチオラン)、スクシンイミジル(アセチルチオ)アセテート(SATA)及びスルホスクシンイミジル6-[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサノエート(Sulfo-LC-SPDP)などのいくつかのチオール化架橋試薬の使用を報告して、反応性アミノ基を介して複数のスルフヒドリル基を導入する効率的な方法を提供する。ハロアセチル誘導体、例えばヨードアセトアミドは、チオエーテル結合を形成し、チオール修飾のための試薬でもある。さらなる有用な試薬はマレイミドである。マレイミドとチオール反応性試薬との反応は、ヨードアセトアミドと本質的に同じである。マレイミドは、わずかな酸性から中性のpHで迅速に反応する。
【0067】
抗体における別の一般的な反応基はカルボン酸である。抗体は、C末端位置及びアスパラギン酸及びグルタミン酸の側鎖内にカルボン酸基を含有する。水中のカルボン酸の比較的低い反応性は、通常、ポリペプチド及び抗体を選択的に修飾するためにこれらの基を使用することを困難にする。この際、カルボン酸基は、通常、水溶性カルボジイミドを用いて反応性エステルに変換され、アミン、ヒドラジド、ヒドラジン等の求核試薬と反応する。アミン含有試薬は、リジンのより高度に塩基性のε-アミンの存在下で活性化カルボン酸と選択的に反応して安定なアミド結合を形成するために、弱塩基性でなければならない。pHが8.0を超えて上昇すると、タンパク質架橋が起こり得る。
【0068】
過ヨウ素酸ナトリウムを使用して、抗体に結合した炭水化物部分内の糖のアルコール部分をアルデヒドに酸化することができる。各アルデヒド基は、カルボン酸について記載されるように、アミン、ヒドラジド、又はヒドラジンと反応させることができる。炭水化物部分は主に抗体の結晶化可能な断片領域(Fc領域)上に見出されるので、抗原結合部位から離れた炭水化物の部位特異的修飾によってコンジュゲーションを達成することができる。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(穏やかで選択的)又は水素化ホウ素ナトリウム(強い)水溶性還元剤による中間体の還元によってアルキルアミンに還元することができるシッフ塩基中間体が形成される。
【0069】
トレーサー及び/又は捕捉及び/又は検出抗体とそのコンジュゲーションパートナーとのコンジュゲーションは、化学結合又は結合対を介した結合などの異なる方法によって行うことができる。本明細書で使用される「コンジュゲーションパートナー」という用語は、例えば固体支持体、ポリペプチド、検出可能な標識、特異的結合対のメンバーを示す。本発明の特定の実施形態では、捕捉及び/又はトレーサ及び/又は検出抗体とその結合パートナーとの結合は、N末端及び/又はε-アミノ基(リジン)、異なるリジンのε-アミノ基、抗体のアミノ酸骨格のカルボキシ-、スルフヒドリル-、ヒドロキシル-、及び/又はフェノール官能基、並びに/あるいは抗体の炭水化物構造の糖アルコール基を介して化学的に結合することによって行われる。本発明の特定の実施形態では、捕捉抗体は、結合対を介してそのコンジュゲーションパートナーにコンジュゲートされる。1つの好ましい実施形態では、捕捉抗体をビオチンにコンジュゲートさせ、固体支持体への固定化を、アビジン又はストレプトアビジンが固定化された固体支持体を介して行う。本発明の特定の実施形態では、捕捉抗体は、結合対を介してそのコンジュゲーションパートナーにコンジュゲートされる。好ましい一実施形態では、トレーサー抗体は、検出可能な標識として共有結合によってジゴキシゲニンにコンジュゲートされる。
【0070】
「試料」という用語は、生物又は以前の生物からの任意の量の物質を含むが、これらに限定されない。そのような生物には、ヒト、マウス、サル、ラット、ウサギ、及び他の動物が含まれるが、これらに限定されない。本発明の特定の実施形態では、試料は、サル、特にカニクイザル、又はウサギ、又はマウス、又はラット、又はヒトから得られる。一実施形態では、試料は、臨床試料である。そのような物質としては、特定の実施形態では、臨床ルーチンにおいて最も広く使用されている試料源である、個体由来の全血、血漿又は血清が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
「固相」は非流体物質を表し、ポリマー、金属(常磁性、強磁性粒子)、ガラス、及びセラミックなどの材料から作られた粒子(マイクロ粒子及びビーズを含む);シリカ、アルミナ、及びポリマーゲルなどのゲル物質;ポリマー、金属、ガラス、及び/又はセラミックから作られていてもよい、キャピラリー;ゼオライト及び他の多孔性物質;電極;マイクロタイタープレート;固体ストリップ;並びにキュベット、チューブ又は他の分光計試料容器が挙げられる。固相成分は、「固相」がその表面に試料中の物質と相互作用することを意図した少なくとも1つの部分を含むという点で、不活性固体表面とは区別される。固相は、チップ、チューブ、ストリップ、キュベット、若しくはマイクロタイタープレートなどの静止した成分であってもよく、又はビーズ及びマイクロ粒子などの静止していない成分であってもよい。タンパク質及び他の物質の非共有結合又は共有結合のいずれかを可能とする様々なマイクロ粒子が使用されてもよい。このような粒子には、ポリスチレン及びポリ(メチルメタクリレート)などのポリマー粒子が含まれ;金ナノ粒子、金コロイド等の金粒子;シリカ、ガラス、金属酸化物粒子などのセラミック粒子などが挙げられる。例えば、Martin,C.R.ら、Analytical Chemistry-News&Features,70(1998)322A-327A、又はButler,J.E.,Methods22(2000)4-23を参照されたい。
【0072】
色素原(蛍光又は発光基及び色素)、酵素、NMR活性基又は金属粒子、ハプテン、例えばジゴキシゲニンは、「検出可能な標識」の例である。検出可能な標識はまた、光活性化可能な架橋基、例えばアジド又はアジリン基であり得る。電気化学発光によって検出することができる金属キレートも好ましいシグナル放出基であり、ルテニウムキレート、例えばルテニウム(ビスピリジル) 2+キレートが特に好ましい。適切なルテニウム標識基は、例えば、EP0580979、WO90/05301、WO90/11511、及びWO92/14138に記載されている。直接検出のために、標識基は、任意の既知の検出可能なマーカー基、例えば色素、発光標識基、例えば化学発光基、例えばアクリジニウムエステル若しくはジオキセタン、又は蛍光色素、例えばフルオレセイン、クマリン、ローダミン、オキサジン、レゾルフィン、シアニン及びそれらの誘導体から選択することができる。標識基の他の例は、ルテニウム又はユーロピウム錯体などの発光金属錯体、例えばELISA又はCEDIA(クローニングされた酵素ドナーイムノアッセイ、例えば、EP-A-0061888)に使用される酵素、及び放射性同位体である。
【0073】
間接検出システムは、例えば、検出試薬、例えば検出抗体が結合対の第1のパートナーで標識されることを含む。適切な結合対の例は、抗原/抗体、ビオチン又はビオチン類似体、例えばアミノビオチン、イミノビオチン又はデスチオビオチン/アビジン又はストレプトアビジン、糖/レクチン、核酸又は核酸類似体/相補的核酸、及び受容体/リガンド、例えばステロイドホルモン受容体/ステロイドホルモンである。好ましい一実施形態では、第1の結合対メンバーは、ハプテン、抗原及びホルモンを含む。好ましい一実施形態では、ハプテンは、ジゴキシン、ジゴキシゲニン及びビオチン並びにそれらの類似体からなる群から選択される。そのような結合対の第2のパートナー、例えば抗体、ストレプトアビジンなどは、通常、例えば上記のような標識による直接検出を可能にするように標識される。
【0074】
「イムノアッセイ」という用語は、抗体などの特異的に結合する分子を利用して、定性分析又は定量分析のための特異的標的を捕捉及び/又は検出する任意の技術を表す。一般的に、イムノアッセイは、以下の工程を特徴とする。1)分析物の固定化又は捕捉の工程及び、2)分析物の検出及び測定の工程。分析物は、例えば膜、プラスチックプレート、又は他の何らかの固体表面などの任意の固体表面上に捕捉され得る、すなわち結合され得る。
【0075】
イムノアッセイは、一般に3つの異なるフォーマットで行うことができる。1つは直接検出によるもの、1つは間接検出によるもの、又はサンドイッチアッセイによるものである。直接検出イムノアッセイは、直接測定することができる検出(又はトレーサー)抗体を使用する。酵素又は他の分子は、シグナルを可視化又は測定することを可能にする色、蛍光又は発光を生成するシグナルの生成を可能にする(今日では一般的に使用されていないが、放射性同位元素も使用することができる。)。間接アッセイでは、分析物に結合する一次抗体を使用して、一次抗体によって提供される標的に特異的に結合する二次抗体(トレーサー抗体)のための定義された標的を提供する(検出器又はトレーサー抗体と呼ばれる)。二次抗体は、測定可能なシグナルを生成する。サンドイッチアッセイは、捕捉抗体及びトレーサー(検出器)抗体の2つの抗体を利用する。捕捉抗体は、溶液からの分析物に結合(固定化)するため、又は溶液中で分析物に結合するために使用される。これにより、検体を試料から特異的に除去することができる。トレーサー(検出器)抗体を第2の工程で使用して、シグナルを生成する(上記のように直接的又は間接的のいずれかで)。サンドイッチ形式は、それぞれが標的分子上に異なるエピトープを有する2つの抗体を必要とする。さらに、両方の抗体が同時に標的に結合しなければならないので、それらは互いに干渉してはならない。
【0076】
「遊離抗原」という用語は、抗体の結合特異性によって特異的に結合され得るが、現在は、この結合特異性に結合していない抗原を表す。本発明の特定の実施形態では、遊離抗原は、非抗体結合抗原又は非抗体複合体化抗原、すなわち、(任意の)治療用抗体と共有結合又は非共有結合複合体を形成していない抗原である。
【0077】
異なるイムノアッセイの原理は、例えば、Hage,D.S.(Anal.Chem.71(1999)294R-304R)に記載されている。Lu,B.ら(Analyst 121(1996)29R-32R)は、イムノアッセイに使用するための抗体の配向固定化を報告している。アビジン-ビオチン媒介イムノアッセイは、例えば、Wilchek,M.,and Bayer,E.A.,in Methods Enzymol.184(1990)467-469に報告されている。
【0078】
「二重パラトピック抗体」という用語は、少なくとも2つの結合部位を有し、同じ抗原上の2つの重複しないエピトープに特異的に結合する抗体を表す。
【0079】
本発明による方法の具体的な実施形態
治療用抗体の第1の結合部位と抗原との間の単一の相互作用は、抗原-抗体複合体の形成をもたらす。この単一の相互作用の半減期は、単純な親和性駆動の相互作用に依存する、すなわち、アビド(avid)の関与を伴わない。抗体の第2の結合部位と抗原との相互作用によってのみ、アフィン(affine)及びアビド(avid)の結合相互作用を有する長時間安定な複合体が形成される。
【0080】
この特徴により、治療用抗体の存在下での遊離抗原の決定は簡単ではない。
【0081】
一般に、例えばヒトの実験動物から得られた試料中の遊離抗原の決定には、ブリッジング原理が使用される。それにより、抗原は、いわゆる捕捉抗体の使用によって(第1のエピトープを介して)固相に結合(捕捉)され、いわゆるトレーサー抗体の使用によって第2の重複しないエピトープを介して検出される。
【0082】
したがって、2つの排他的な親和性駆動の相互作用を含むブリッジ複合体が十分に安定である場合にのみ、陽性アッセイ結果を得ることができる。
【0083】
さらに、治療用抗体の存在下で遊離抗原を検出するためにアッセイが必要とされる場合(又は同じ抗原に結合する異なる治療用抗体の存在下でさらにより複雑である場合)、捕捉抗体及びトレーサー抗体は、治療用抗体(単数/複数)が結合するのと同じ又は少なくとも部分的に重複するエピトープに結合する必要がある。
【0084】
さらに、検出複合体の形成は、遊離抗原の割合を変化させない、すなわち、例えば治療用抗体を置き換えることによって変化させないものとする。この理論に拘束されるものではないが、捕捉抗体又は検出抗体は、検出複合体の量に影響を及ぼすべきではないと仮定される。インキュベーション時間を複合体の解離速度と揃えなければならないと仮定され、好ましくは、より短くなければならない。
【0085】
したがって、このアッセイは、個々の相互作用の半減期が短く、治療用抗体が存在する場合であっても、治療用抗体の遊離抗原の高感度の決定を可能にする。
【0086】
本発明は、治療用抗体の遊離抗原の決定のために、試料希釈なしで相互作用時間が短いアッセイが最良の結果を達成するという知見に少なくとも部分的に基づく。
【0087】
本発明による方法の以下の例示は、例示的な二重特異性抗CCL2抗体を使用して提示される。これは単なる例示として提示されており、本発明による方法の限定として解釈されるべきではない。真の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載される。
【0088】
対応する例は、実施例4~実施例10である。これらは、カニクイザルにおける概念実証(POC)試験を裏付ける10pg/mLの感度で遊離CCL2(抗CCL2抗体との複合体ではない)を決定するためのイムノアッセイの特性を示す。
【0089】
以下が判明した:
-ELISAフォーマットでは、希釈と長いインキュベーション時間の組み合わせは誤った結果をもたらす(希釈の効果が存在しない場合、比率1の値が予想される。実施例4を参照):
-ELISAフォーマットでは、希釈なし(100%ウマ血清)で約3~4分の短いインキュベーション時間が、20pg/mL抗原~1000pg/mL抗原のアッセイ作業範囲をもたらす(図1及び実施例5を参照):
-レーザー誘起蛍光検出フォーマットを有するナノリットル規模のマイクロ流体のアフィニティーフロースルーフォーマットでは、製造業者の1:2の最小必要希釈にもかかわらず、アッセイは希釈なしで機能し、313pg/mL~40000pg/mLの作業範囲を有し、レーザー誘起蛍光検出フォーマットを有するナノリットル規模のマイクロ流体のアフィニティーフロースルーフォーマットでは、製造業者の1:2の最小必要希釈にもかかわらず、アッセイは希釈なしで機能し、検出抗体が色素で直接標識されている場合、10pg/mLのLLOQを有する(図2及び実施例7を参照)。
-非ヒト骨格を有する捕捉抗体及び検出抗体を使用することによって、a)偽陽性及びb)偽陰性の結果が回避される
-ヒトIgG中の定常領域に対するADA(抗薬物抗体)は、ヒト捕捉抗体と検出抗体との間にブリッジを構築することができ、偽陽性の遊離抗原アッセイ結果を誘導する可能性があるため
-薬物抗体のCDRに対するADAは、捕捉抗体に中和様式で結合することができ、捕捉抗体がもはや遊離抗原を捕捉することができないので、偽陰性の遊離抗原アッセイ結果を引き起こす可能性があり、
-そのアッセイは、ヒト化抗体とは異なるが以下の表に示すように同じエピトープに結合する非ヒト骨格抗体を用いた場合も同じ結果を示す:
【0090】
本発明によるアッセイは、カニクイザル薬物動態試験からの試料を分析するために使用されている。対照試料について得られた結果を以下の表に示す(実施例8も参照)。
【0091】
同じアッセイ設定を、B16マウスにおけるヒト抗原の決定のために使用した(図4及び実施例9を参照)。
【0092】
本発明の特定の実施形態では、抗原はヒトCCL2であり、抗体はヒトCCL2上の2つの異なるエピトープに結合する二重特異性抗CCL2抗体である。
【0093】
本発明の特定の実施形態では、二重特異性抗体は、ヒトCCL2上の第1のエピトープに(特異的に)結合する第1の抗原結合部位と、ヒトCCL2上の第2のエピトープに(特異的に)結合する異なる第2の抗原結合部位とを含む。
【0094】
本発明の特定の実施形態では、二重特異性抗体は、ヒトCCL2上の第1のエピトープに(特異的に)結合する第1の抗原結合部位と、ヒトCCL2上の第2のエピトープに(特異的に)結合する異なる第2の抗原結合部位とを含み、
ここで、
A)i)前記第1の抗原結合部位は、
(a)配列番号142のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号143のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号144のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
及び(d)配列番号145のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号146のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号147のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメインを含み、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
(a)配列番号150のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号151のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号152のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
及び(d)配列番号153のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号154のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号155のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
B)i)前記第1の抗原結合部位は、
(a)配列番号142のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号143のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号144のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
及び(d)配列番号145のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号146のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号147のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメインを含み、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
(a)配列番号130のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号131のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号132のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
及び(d)配列番号133のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号134のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号135のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
C)i)前記第1の抗原結合部位は、
(a)配列番号142のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号143のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号144のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
及び(d)配列番号145のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号146のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号147のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメインを含み、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
(a)配列番号124のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号125のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号126のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
及び(d)配列番号127のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号128のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号129のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
D)i)前記第1の抗原結合部位は、
(a)配列番号130のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号131のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号132のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
及び(d)配列番号133のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号134のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号135のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメインを含み、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
(a)配列番号150のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号151のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号152のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
及び(d)配列番号153のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号154のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号155のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
E)i)前記第1の抗原結合部位は、
(a)配列番号136のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号137のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号138のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
及び(d)配列番号139のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号140のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号141のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメインを含み、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
(a)配列番号150のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号151のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号152のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;及び
(d)配列番153のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号154のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号155のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
F)i)前記第1の抗原結合部位は、
(a)配列番号158のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号159のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号160のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
及び(d)配列番号161のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号162のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号163のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメインを含み、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
(a)配列番号150のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号151のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号152のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;及び
(d)配列番153のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号154のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号155のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
G)i)前記第1の抗原結合部位は、
(a)配列番号124のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号125のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号126のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
及び(d)配列番号127のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号128のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号129のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメインを含み、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
(a)配列番号130のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号131のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号132のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
及び(d)配列番号133のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号134のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号135のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
H)i)前記第1の抗原結合部位は、
(a)配列番号124のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号125のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号126のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
及び(d)配列番号127のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号128のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号129のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメインを含み、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
(a)配列番号136のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号137のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号138のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
及び(d)配列番号139のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号140のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号141のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
I)i)前記第1の抗原結合部位は、
(a)配列番号118のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号119のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号120のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
及び(d)配列番号121のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号122のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号123のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメインを含み、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
(a)配列番号136のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号137のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号138のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
及び(d)配列番号139のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号140のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号141のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメインを含む。
【0095】
本発明の特定の実施形態では、二重特異性抗体は、ヒトIgG1アイソタイプのFcドメインを含む。
【0096】
本発明の特定の実施形態では、二重特異性抗体は、ヒトIgG1アイソタイプの定常重鎖ドメインを含む。
【0097】
本発明の特定の実施形態では、二重特異性抗体は、ヒトCCL2上の第1のエピトープに(特異的に)結合する第1の抗原結合部位と、ヒトCCL2上の第2のエピトープに(特異的に)結合する第2の抗原結合部位とを含む、(単離された)二重特異性抗体であって、
ここで、
i)前記第1の抗原結合部位は、以下を含む抗体と同じCCL2上のエピトープに結合する:
配列番号148のアミノ酸配列を含むVHドメインであって、(a)配列番号142のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号143のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号144のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
及び、配列番号149のアミノ酸配列を含むVLドメインであって、(d)配列番号145のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号146のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号147のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメイン;及び
ii)前記第2の抗原結合部位は、以下を含む抗体と同じCCL2上のエピトープに結合する:
配列番号156のアミノ酸配列を含むVHドメインであって、(a)配列番号150のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号151のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号152のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
及び、配列番号157のアミノ酸配列を含むVLドメインであって、(d)配列番号153のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号154のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号155のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、VLドメイン。
【0098】
本発明の特定の実施形態では、二重特異性抗体は、ヒトCCL2上の第1のエピトープに(特異的に)結合する第1の抗原結合部位と、ヒトCCL2上の第2のエピトープに(特異的に)結合する第2の抗原結合部位とを含む、(単離された)二重特異性抗体であって、
ここで、
i)前記第1の抗原結合部位は、
(a)XがI又はTである、配列番号164のアミノ酸配列SHYGXSを含むCDR-H1、(b)XがV、I又はHであり、XがP又はHであり、XがH又はGである、配列番号165のアミノ酸配列GXIXIFXTANYAQKFQGを含むCDR-H2、及び(c)配列番号166のアミノ酸配列YDAHYGELDFを含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
及び
(d)配列番号167のアミノ酸配列RASQHVSDAYLAを含むCDR-L1、(e)配列番号168のアミノ酸配列DASDRAEを含むCDR-L2、及び(f)配列番号169のアミノ酸配列HQYIHLHSFTを含むCDR-L3を含む、VLドメインを含み;
かつ、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
(a)配列番号183のアミノ酸配列HTYMHを含むCDR-H1、(b)XがD又はEである、配列番号184のアミノ酸配列RIDPXNHNTKFDPKFQGを含むCDR-H2、及び(c)XがD又はEである、配列番号185のアミノ酸配列GVFGFFXHを含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
かつ、
(d)XがF又はTであり、XがR又はLである、配列番号186のアミノ酸配列KAXEDIYNRXAを含むCDR-L1、(e)配列番号187のアミノ酸配列GATSLEHを含むCDR-L2、及び(f)XがW又はRである、配列番号188のアミノ酸配列QQFXSAPYTを含むCDR-L3を含む、VLドメインを含む。
【0099】
本発明の特定の実施形態では、二重特異性抗体は、ヒトCCL2上の第1のエピトープに(特異的に)結合する第1の抗原結合部位と、ヒトCCL2上の第2のエピトープに(特異的に)結合する第2の抗原結合部位とを含む、(単離された)二重特異性抗体であって、
ここで、
i)前記第1の抗原結合部位は、
(a)XがI又はTである、配列番号164のアミノ酸配列SHYGXSを含むCDR-H1、(b)XがV、I又はHであり、XがP又はHであり、XがH又はGである、配列番号165のアミノ酸配列GXIXIFXTANYAQKFQGを含むCDR-H2、(c)配列番号166のアミノ酸配列YDAHYGELDFを含むCDR-H3、(d)配列番号170のアミノ酸配列QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFを含むFR-H1、(e)配列番号171のアミノ酸配列WVRQAPGQGLEWMGを含むFR-H2、(f)配列番号172のアミノ酸配列RVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVY YCARを含むFR-H3、及び(g)配列番号173のアミノ酸配列WGQGTLVTVSSを含むFR-H4を含む、VHドメイン;
かつ、
(h)配列番号167のアミノ酸配列RASQHVSDAYLAを含むCDR-L1;(i)配列番号168のアミノ酸配列DASDRAEを含むCDR-L2、及び(j)配列番号169のアミノ酸配列HQYIHLHSFTを含むCDR-L3、(k)配列番号174のアミノ酸配列EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCを含むFR-L1、(l)配列番号175のアミノ酸配列WYQQKPGQAPRLLIYを含むFR-L2、(m)配列番号176のアミノ酸配列GVPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCを含むFR-L3、及び(n)配列番号177のアミノ酸配列GQGTKVEIKを含むFR-L4を含む、VLドメインを含み;
かつ、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
(a)配列番号183のアミノ酸配列HTYMHを含むCDR-H1、(b)XがD又はEである、配列番号184のアミノ酸配列RIDPXNHNTKFDPKFQGを含むCDR-H2、(c)XがD又はEである、配列番号185のアミノ酸配列GVFGFFXHを含むCDR-H3、(d)配列番号189のアミノ酸配列QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGLTISを含むFR-H1、(e)配列番号190のアミノ酸配列WVRQAPGQGLEWMGを含むFR-H2、(f)配列番号191のアミノ酸配列RVTITADTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARを含むFR-H3、及び(g)配列番号192のアミノ酸配列WGQGTTVTVSSを含むFR-H4を含む、VHドメイン;
かつ、
(h)XがF又はTであり、XがR又はLである、配列番号186のアミノ酸配列KAXEDIYNRXAを含むCDR-L1、(i)配列番号187のアミノ酸配列GATSLEHを含むCDR-L2、(j)XがW又はRである、配列番号188のアミノ酸配列QQFXSAPYTを含むCDR-L3、(k)配列番号193のアミノ酸配列DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCを含むFR-L1、(l)配列番号194のアミノ酸配列WYQQKPGKAPKLLIHを含むFR-L2、(m)配列番号195のアミノ酸配列GVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCを含むFR-L3、及び(n)配列番号196のアミノ酸配列FGGGTKVEIKを含むFR-L4を含む、VLドメインを含む。
【0100】
本発明の特定の実施形態では、二重特異性抗体は、ヒトCCL2上の第1のエピトープに(特異的に)結合する第1の抗原結合部位と、ヒトCCL2上の第2のエピトープに(特異的に)結合する第2の抗原結合部位とを含む、(単離された)二重特異性抗体であって、
ここで、
A)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号178のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号182のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含み、かつ
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号197のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号200のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含むか、
又は
B)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号178のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号182のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含み、かつ
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号198のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号200のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含むか、
又は
C)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号178のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号182のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含み、かつ
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号197のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号201のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含むか、
又は
D)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号179のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号182のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含み、かつ
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号197のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号201のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含むか、
又は
E)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号180のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号182のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含み、かつ
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号197のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号200のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含むか、
又は
F)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号180のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号182のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含み、かつ
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号197のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号201のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含むか、
又は
G)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号180のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号182のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含み、かつ
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号199のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号200のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含むか、
又は
H)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号180のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号182のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含み、かつ
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号198のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号200のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含むか、
又は
I)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号179のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号182のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含み、かつ
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号197のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号200のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含むか、
又は
J)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号179のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号182のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含み、かつ
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号199のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号200のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含むか、
又は
K)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号179のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号182のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含み、かつ
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号198のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号200のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含むか、
又は
L)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号181のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号182のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含み、かつ
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号197のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号200のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含むか、
又は
M)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号181のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号182のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含み、かつ
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号197のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号201のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含むか、
又は
N)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号181のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号182のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含み、かつ
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号199のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号200のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含むか、
又は
O)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号181のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号182のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含み、かつ
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号198のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号200のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含むか、
又は
P)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号178のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号182のアミノ酸配列を含むVLドメイン;を含み、かつ
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号199のアミノ酸配列を含むVHドメイン;
及び配列番号200のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0101】
本発明の特定の実施形態では、二重特異性抗体は、ヒトCCL2上の第1のエピトープに(特異的に)結合する第1の抗原結合部位と、ヒトCCL2上の第2のエピトープに(特異的に)結合する第2の抗原結合部位とを含む、(単離された)二重特異性抗体であって、
ここで、
A)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号178のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)XがIである、配列番号164のアミノ酸配列SHYGXSを含むCDR-H1、(b)XがVであり、XがPであり、XがHである、配列番号165のアミノ酸配列GXIXIFXTANYAQKFQGを含むCDR-H2、及び(c)配列番号166のアミノ酸配列YDAHYGELDFを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号182のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)配列番号167のアミノ酸配列RASQHVSDAYLAを含むCDR-L1、(e)配列番号168のアミノ酸配列DASDRAEを含むCDR-L2、及び(f)配列番号169のアミノ酸配列HQYIHLHSFTを含むCDR-L3を含む、VLドメイン配列;を含み、かつ、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号197のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)配列番号183のアミノ酸配列HTYMHを含むCDR-H1、(b)XがDである、配列番号184のアミノ酸配列RIDPXNHNTKFDPKFQGを含むCDR-H2、及び(c)XがDである、配列番号185のアミノ酸配列GVFGFFXHを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号200のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)XがFであり、XがRである、配列番号186のアミノ酸配列KAXEDIYNRXAを含むCDR-L1、(e)配列番号187のアミノ酸配列GATSLEHを含むCDR-L2、及び(f)XがWである、配列番号188のアミノ酸配列QQFXSAPYTを含むCDR-L3を含む、VLドメイン配列を含むか、
又は
B)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号178のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)XがIである、配列番号164のアミノ酸配列SHYGXSを含むCDR-H1、(b)XがVであり、XがPであり、XがHである、配列番号165のアミノ酸配列GXIXIFXTANYAQKFQGを含むCDR-H2、及び(c)配列番号166のアミノ酸配列YDAHYGELDFを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号182のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)配列番号167のアミノ酸配列RASQHVSDAYLAを含むCDR-L1、(e)配列番号168のアミノ酸配列DASDRAEを含むCDR-L2、及び(f)配列番号169のアミノ酸配列HQYIHLHSFTを含むCDR-L3を含む、VLドメイン配列;を含み、かつ、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号198のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)配列番号183のアミノ酸配列HTYMHを含むCDR-H1、(b)XがDである、配列番号184のアミノ酸配列RIDPXNHNTKFDPKFQGを含むCDR-H2、及び(c)XがEである、配列番号185のアミノ酸配列GVFGFFXHを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号200のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)XがFであり、XがRである、配列番号186のアミノ酸配列KAXEDIYNRXAを含むCDR-L1、(e)配列番号187のアミノ酸配列GATSLEHを含むCDR-L2、及び(f)XがWである、配列番号188のアミノ酸配列QQFXSAPYTを含むCDR-L3を含む、VLドメイン配列を含むか、
又は
C)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号178のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)XがI又はTである、配列番号164のアミノ酸配列SHYGXSを含むCDR-H1、(b)XがV、I又はHであり、XがP又はHであり、XがH又はGである、配列番号165のアミノ酸配列GXIXIFXTANYAQKFQGを含むCDR-H2、及び(c)配列番号166のアミノ酸配列YDAHYGELDFを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号182のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)配列番号167のアミノ酸配列RASQHVSDAYLAを含むCDR-L1、(e)配列番号168のアミノ酸配列DASDRAEを含むCDR-L2、及び(f)配列番号169のアミノ酸配列HQYIHLHSFTを含むCDR-L3を含む、VLドメイン配列;を含み、かつ、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号197のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)配列番号183のアミノ酸配列HTYMHを含むCDR-H1、(b)XがD又はEである、配列番号184のアミノ酸配列RIDPXNHNTKFDPKFQGを含むCDR-H2、及び(c)XがD又はEである、配列番号185のアミノ酸配列GVFGFFXHを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号201のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)XがF又はTであり、XがR又はLである、配列番号186のアミノ酸配列KAXEDIYNRXAを含むCDR-L1、(e)配列番号187のアミノ酸配列GATSLEHを含むCDR-L2、及び(f)XがW又はRである、配列番号188のアミノ酸配列QQFXSAPYTを含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
D)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号179のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)XがI又はTである、配列番号164のアミノ酸配列SHYGXSを含むCDR-H1、(b)XがV、I又はHであり、XがP又はHであり、XがH又はGである、配列番号165のアミノ酸配列GXIXIFXTANYAQKFQGを含むCDR-H2、及び(c)配列番号166のアミノ酸配列YDAHYGELDFを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号182のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)配列番号167のアミノ酸配列RASQHVSDAYLAを含むCDR-L1、(e)配列番号168のアミノ酸配列DASDRAEを含むCDR-L2、及び(f)配列番号169のアミノ酸配列HQYIHLHSFTを含むCDR-L3を含む、VLドメイン配列;を含み、かつ、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号197のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)配列番号183のアミノ酸配列HTYMHを含むCDR-H1、(b)XがD又はEである、配列番号184のアミノ酸配列RIDPXNHNTKFDPKFQGを含むCDR-H2、及び(c)XがD又はEである、配列番号185のアミノ酸配列GVFGFFXHを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号201のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)XがF又はTであり、XがR又はLである、配列番号186のアミノ酸配列KAXEDIYNRXAを含むCDR-L1、(e)配列番号187のアミノ酸配列GATSLEHを含むCDR-L2、及び(f)XがW又はRである、配列番号188のアミノ酸配列QQFXSAPYTを含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
E)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号180のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)XがI又はTである、配列番号164のアミノ酸配列SHYGXSを含むCDR-H1、(b)XがV、I又はHであり、XがP又はHであり、XがH又はGである、配列番号165のアミノ酸配列GXIXIFXTANYAQKFQGを含むCDR-H2、及び(c)配列番号166のアミノ酸配列YDAHYGELDFを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号182のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)配列番号167のアミノ酸配列RASQHVSDAYLAを含むCDR-L1、(e)配列番号168のアミノ酸配列DASDRAEを含むCDR-L2、及び(f)配列番号169のアミノ酸配列HQYIHLHSFTを含むCDR-L3を含む、VLドメイン配列;を含み、かつ、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号197のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)配列番号183のアミノ酸配列HTYMHを含むCDR-H1、(b)XがD又はEである、配列番号184のアミノ酸配列RIDPXNHNTKFDPKFQGを含むCDR-H2、及び(c)XがD又はEである、配列番号185のアミノ酸配列GVFGFFXHを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号200のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)XがF又はTであり、XがR又はLである、配列番号186のアミノ酸配列KAXEDIYNRXAを含むCDR-L1、(e)配列番号187のアミノ酸配列GATSLEHを含むCDR-L2、及び(f)XがW又はRである、配列番号188のアミノ酸配列QQFXSAPYTを含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
F)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号180のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)XがI又はTである、配列番号164のアミノ酸配列SHYGXSを含むCDR-H1、(b)XがV、I又はHであり、XがP又はHであり、XがH又はGである、配列番号165のアミノ酸配列GXIXIFXTANYAQKFQGを含むCDR-H2、及び(c)配列番号166のアミノ酸配列YDAHYGELDFを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号182のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)配列番号167のアミノ酸配列RASQHVSDAYLAを含むCDR-L1、(e)配列番号168のアミノ酸配列DASDRAEを含むCDR-L2、及び(f)配列番号169のアミノ酸配列HQYIHLHSFTを含むCDR-L3を含む、VLドメイン配列;を含み、かつ、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号197のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)配列番号183のアミノ酸配列HTYMHを含むCDR-H1、(b)XがD又はEである、配列番号184のアミノ酸配列RIDPXNHNTKFDPKFQGを含むCDR-H2、及び(c)XがD又はEである、配列番号185のアミノ酸配列GVFGFFXHを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号201のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)XがF又はTであり、XがR又はLである、配列番号186のアミノ酸配列KAXEDIYNRXAを含むCDR-L1、(e)配列番号187のアミノ酸配列GATSLEHを含むCDR-L2、及び(f)XがW又はRである、配列番号188のアミノ酸配列QQFXSAPYTを含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
G)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号180のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)XがI又はTである、配列番号164のアミノ酸配列SHYGXSを含むCDR-H1、(b)XがV、I又はHであり、XがP又はHであり、XがH又はGである、配列番号165のアミノ酸配列GXIXIFXTANYAQKFQGを含むCDR-H2、及び(c)配列番号166のアミノ酸配列YDAHYGELDFを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号182のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)配列番号167のアミノ酸配列RASQHVSDAYLAを含むCDR-L1、(e)配列番号168のアミノ酸配列DASDRAEを含むCDR-L2、及び(f)配列番号169のアミノ酸配列HQYIHLHSFTを含むCDR-L3を含む、VLドメイン配列;を含み、かつ、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号199のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)配列番号183のアミノ酸配列HTYMHを含むCDR-H1、(b)XがD又はEである、配列番号184のアミノ酸配列RIDPXNHNTKFDPKFQGを含むCDR-H2、及び(c)XがD又はEである、配列番号185のアミノ酸配列GVFGFFXHを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号200のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)XがF又はTであり、XがR又はLである、配列番号186のアミノ酸配列KAXEDIYNRXAを含むCDR-L1、(e)配列番号187のアミノ酸配列GATSLEHを含むCDR-L2、及び(f)XがW又はRである、配列番号188のアミノ酸配列QQFXSAPYTを含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
H)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号180のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)XがI又はTである、配列番号164のアミノ酸配列SHYGXSを含むCDR-H1、(b)XがV、I又はHであり、XがP又はHであり、XがH又はGである、配列番号165のアミノ酸配列GXIXIFXTANYAQKFQGを含むCDR-H2、及び(c)配列番号166のアミノ酸配列YDAHYGELDFを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号182のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)配列番号167のアミノ酸配列RASQHVSDAYLAを含むCDR-L1、(e)配列番号168のアミノ酸配列DASDRAEを含むCDR-L2、及び(f)配列番号169のアミノ酸配列HQYIHLHSFTを含むCDR-L3を含む、VLドメイン配列;を含み、かつ、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号198のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)配列番号183のアミノ酸配列HTYMHを含むCDR-H1、(b)XがD又はEである、配列番号184のアミノ酸配列RIDPXNHNTKFDPKFQGを含むCDR-H2、及び(c)XがD又はEである、配列番号185のアミノ酸配列GVFGFFXHを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号200のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)XがF又はTであり、XがR又はLである、配列番号186のアミノ酸配列KAXEDIYNRXAを含むCDR-L1、(e)配列番号187のアミノ酸配列GATSLEHを含むCDR-L2、及び(f)XがW又はRである、配列番号188のアミノ酸配列QQFXSAPYTを含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
I)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号179のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)XがI又はTである、配列番号164のアミノ酸配列SHYGXSを含むCDR-H1、(b)XがV、I又はHであり、XがP又はHであり、XがH又はGである、配列番号165のアミノ酸配列GXIXIFXTANYAQKFQGを含むCDR-H2、及び(c)配列番号166のアミノ酸配列YDAHYGELDFを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号182のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)配列番号167のアミノ酸配列RASQHVSDAYLAを含むCDR-L1、(e)配列番号168のアミノ酸配列DASDRAEを含むCDR-L2、及び(f)配列番号169のアミノ酸配列HQYIHLHSFTを含むCDR-L3を含む、VLドメイン配列;を含み、かつ、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号197のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)配列番号183のアミノ酸配列HTYMHを含むCDR-H1、(b)XがD又はEである、配列番号184のアミノ酸配列RIDPXNHNTKFDPKFQGを含むCDR-H2、及び(c)XがD又はEである、配列番号185のアミノ酸配列GVFGFFXHを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号200のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)XがF又はTであり、XがR又はLである、配列番号186のアミノ酸配列KAXEDIYNRXAを含むCDR-L1、(e)配列番号187のアミノ酸配列GATSLEHを含むCDR-L2、及び(f)XがW又はRである、配列番号188のアミノ酸配列QQFXSAPYTを含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
J)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号179のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)XがI又はTである、配列番号164のアミノ酸配列SHYGXSを含むCDR-H1、(b)XがV、I又はHであり、XがP又はHであり、XがH又はGである、配列番号165のアミノ酸配列GXIXIFXTANYAQKFQGを含むCDR-H2、及び(c)配列番号166のアミノ酸配列YDAHYGELDFを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号182のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)配列番号167のアミノ酸配列RASQHVSDAYLAを含むCDR-L1、(e)配列番号168のアミノ酸配列DASDRAEを含むCDR-L2、及び(f)配列番号169のアミノ酸配列HQYIHLHSFTを含むCDR-L3を含む、VLドメイン配列;を含み、かつ、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号199のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)配列番号183のアミノ酸配列HTYMHを含むCDR-H1、(b)XがD又はEである、配列番号184のアミノ酸配列RIDPXNHNTKFDPKFQGを含むCDR-H2、及び(c)XがD又はEである、配列番号185のアミノ酸配列GVFGFFXHを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号200のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)XがF又はTであり、XがR又はLである、配列番号186のアミノ酸配列KAXEDIYNRXAを含むCDR-L1、(e)配列番号187のアミノ酸配列GATSLEHを含むCDR-L2、及び(f)XがW又はRである、配列番号188のアミノ酸配列QQFXSAPYTを含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
K)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号179のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)XがI又はTである、配列番号164のアミノ酸配列SHYGXSを含むCDR-H1、(b)XがV、I又はHであり、XがP又はHであり、XがH又はGである、配列番号165のアミノ酸配列GXIXIFXTANYAQKFQGを含むCDR-H2、及び(c)配列番号166のアミノ酸配列YDAHYGELDFを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号182のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)配列番号167のアミノ酸配列RASQHVSDAYLAを含むCDR-L1、(e)配列番号168のアミノ酸配列DASDRAEを含むCDR-L2、及び(f)配列番号169のアミノ酸配列HQYIHLHSFTを含むCDR-L3を含む、VLドメイン配列;を含み、かつ、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号198のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)配列番号183のアミノ酸配列HTYMHを含むCDR-H1、(b)XがD又はEである、配列番号184のアミノ酸配列RIDPXNHNTKFDPKFQGを含むCDR-H2、及び(c)XがD又はEである、配列番号185のアミノ酸配列GVFGFFXHを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号200のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)XがF又はTであり、XがR又はLである、配列番号186のアミノ酸配列KAXEDIYNRXAを含むCDR-L1、(e)配列番号187のアミノ酸配列GATSLEHを含むCDR-L2、及び(f)XがW又はRである、配列番号188のアミノ酸配列QQFXSAPYTを含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
L)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号181のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)XがI又はTである、配列番号164のアミノ酸配列SHYGXSを含むCDR-H1、(b)XがV、I又はHであり、XがP又はHであり、XがH又はGである、配列番号165のアミノ酸配列GXIXIFXTANYAQKFQGを含むCDR-H2、及び(c)配列番号166のアミノ酸配列YDAHYGELDFを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号182のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)配列番号167のアミノ酸配列RASQHVSDAYLAを含むCDR-L1、(e)配列番号168のアミノ酸配列DASDRAEを含むCDR-L2、及び(f)配列番号169のアミノ酸配列HQYIHLHSFTを含むCDR-L3を含む、VLドメイン配列;を含み、かつ、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号197のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)配列番号183のアミノ酸配列HTYMHを含むCDR-H1、(b)XがD又はEである、配列番号184のアミノ酸配列RIDPXNHNTKFDPKFQGを含むCDR-H2、及び(c)XがD又はEである、配列番号185のアミノ酸配列GVFGFFXHを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号200のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)XがF又はTであり、XがR又はLである、配列番号186のアミノ酸配列KAXEDIYNRXAを含むCDR-L1、(e)配列番号187のアミノ酸配列GATSLEHを含むCDR-L2、及び(f)XがW又はRである、配列番号188のアミノ酸配列QQFXSAPYTを含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
M)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号181のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)XがI又はTである、配列番号164のアミノ酸配列SHYGXSを含むCDR-H1、(b)XがV、I又はHであり、XがP又はHであり、XがH又はGである、配列番号165のアミノ酸配列GXIXIFXTANYAQKFQGを含むCDR-H2、及び(c)配列番号166のアミノ酸配列YDAHYGELDFを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号182のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)配列番号167のアミノ酸配列RASQHVSDAYLAを含むCDR-L1、(e)配列番号168のアミノ酸配列DASDRAEを含むCDR-L2、及び(f)配列番号169のアミノ酸配列HQYIHLHSFTを含むCDR-L3を含む、VLドメイン配列;を含み、かつ、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号197のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)配列番号183のアミノ酸配列HTYMHを含むCDR-H1、(b)XがD又はEである、配列番号184のアミノ酸配列RIDPXNHNTKFDPKFQGを含むCDR-H2、及び(c)XがD又はEである、配列番号185のアミノ酸配列GVFGFFXHを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号201のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)XがF又はTであり、XがR又はLである、配列番号186のアミノ酸配列KAXEDIYNRXAを含むCDR-L1、(e)配列番号187のアミノ酸配列GATSLEHを含むCDR-L2、及び(f)XがW又はRである、配列番号188のアミノ酸配列QQFXSAPYTを含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
N)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号181のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)XがI又はTである、配列番号164のアミノ酸配列SHYGXSを含むCDR-H1、(b)XがV、I又はHであり、XがP又はHであり、XがH又はGである、配列番号165のアミノ酸配列GXIXIFXTANYAQKFQGを含むCDR-H2、及び(c)配列番号166のアミノ酸配列YDAHYGELDFを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号182のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)配列番号167のアミノ酸配列RASQHVSDAYLAを含むCDR-L1、(e)配列番号168のアミノ酸配列DASDRAEを含むCDR-L2、及び(f)配列番号169のアミノ酸配列HQYIHLHSFTを含むCDR-L3を含む、VLドメイン配列;を含み、かつ、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号199のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)配列番号183のアミノ酸配列HTYMHを含むCDR-H1、(b)XがD又はEである、配列番号184のアミノ酸配列RIDPXNHNTKFDPKFQGを含むCDR-H2、及び(c)XがD又はEである、配列番号185のアミノ酸配列GVFGFFXHを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号200のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)XがF又はTであり、XがR又はLである、配列番号186のアミノ酸配列KAXEDIYNRXAを含むCDR-L1、(e)配列番号187のアミノ酸配列GATSLEHを含むCDR-L2、及び(f)XがW又はRである、配列番号188のアミノ酸配列QQFXSAPYTを含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
O)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号181のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)XがI又はTである、配列番号164のアミノ酸配列SHYGXSを含むCDR-H1、(b)XがV、I又はHであり、XがP又はHであり、XがH又はGである、配列番号165のアミノ酸配列GXIXIFXTANYAQKFQGを含むCDR-H2、及び(c)配列番号166のアミノ酸配列YDAHYGELDFを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号182のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)配列番号167のアミノ酸配列RASQHVSDAYLAを含むCDR-L1、(e)配列番号168のアミノ酸配列DASDRAEを含むCDR-L2、及び(f)配列番号169のアミノ酸配列HQYIHLHSFTを含むCDR-L3を含む、VLドメイン配列;を含み、かつ、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号198のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)配列番号183のアミノ酸配列HTYMHを含むCDR-H1、(b)XがD又はEである、配列番号184のアミノ酸配列RIDPXNHNTKFDPKFQGを含むCDR-H2、及び(c)XがD又はEである、配列番号185のアミノ酸配列GVFGFFXHを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号200のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)XがF又はTであり、XがR又はLである、配列番号186のアミノ酸配列KAXEDIYNRXAを含むCDR-L1、(e)配列番号187のアミノ酸配列GATSLEHを含むCDR-L2、及び(f)XがW又はRである、配列番号188のアミノ酸配列QQFXSAPYTを含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか、
又は
P)i)前記第1の抗原結合部位は、
配列番号178のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)XがI又はTである、配列番号164のアミノ酸配列SHYGXSを含むCDR-H1、(b)XがV、I又はHであり、XがP又はHであり、XがH又はGである、配列番号165のアミノ酸配列GXIXIFXTANYAQKFQGを含むCDR-H2、及び(c)配列番号166のアミノ酸配列YDAHYGELDFを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号182のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)配列番号167のアミノ酸配列RASQHVSDAYLAを含むCDR-L1、(e)配列番号168のアミノ酸配列DASDRAEを含むCDR-L2、及び(f)配列番号169のアミノ酸配列HQYIHLHSFTを含むCDR-L3を含む、VLドメイン配列;を含み、かつ、
ii)前記第2の抗原結合部位は、
配列番号199のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメイン配列であって、(a)配列番号183のアミノ酸配列HTYMHを含むCDR-H1、(b)XがD又はEである、配列番号184のアミノ酸配列RIDPXNHNTKFDPKFQGを含むCDR-H2、及び(c)XがD又はEである、配列番号185のアミノ酸配列GVFGFFXHを含むCDR-H3を含む、VHドメイン配列;
及び、配列番号200のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメイン配列であって、(d)XがF又はTであり、XがR又はLである、配列番号186のアミノ酸配列KAXEDIYNRXAを含むCDR-L1、(e)配列番号187のアミノ酸配列GATSLEHを含むCDR-L2、及び(f)XがW又はRである、配列番号188のアミノ酸配列QQFXSAPYTを含むCDR-L3を含む、VLドメインを含む。
【0102】
本発明の特定の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性抗体は、イオン依存的にヒトCCL2上の第1及び第2のエピトープに結合する。
【0103】
本発明の特定の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性抗体は、pH依存的にヒトCCL2に結合し、第1の抗原結合部位及び第2の抗原結合部位はどちらも酸性pHよりも中性pHで、より高い親和性でCCL2に結合する。
【0104】
本発明の特定の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性抗体は、pH7.4において、pH5.8よりも10倍高い親和性でヒトCCL2に結合する。
【0105】
本発明の特定の実施形態では、二重特異性抗体は、ヒトCCL2に(特異的に)結合する(単離された)(単一特異性)抗体であり、抗体は、
A)(a)XがI又はTである、配列番号164のアミノ酸配列SHYGXSを含むCDR-H1、(b)XがV、I又はHであり、XがP又はHであり、XがH又はGである、配列番号165のアミノ酸配列GXIXIFXTANYAQKFQGを含むCDR-H2、及び(c)配列番号166のアミノ酸配列YDAHYGELDFを含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
かつ、
(d)配列番号167のアミノ酸配列RASQHVSDAYLAを含むCDR-L1、(e)配列番号168のアミノ酸配列DASDRAEを含むCDR-L2、及び(f)配列番号169のアミノ酸配列HQYIHLHSFTを含むCDR-L3を含む、VLドメインを含むか;
又は
B)(a)配列番号183のアミノ酸配列HTYMHを含むCDR-H1、(b)XがD又はEである、配列番号184のアミノ酸配列RIDPXNHNTKFDPKFQGを含むCDR-H2、及び(c)XがD又はEである、配列番号185のアミノ酸配列GVFGFFXHを含むCDR-H3を含む、VHドメイン;
かつ、
(d)XがF又はTであり、XがR又はLである、配列番号186のアミノ酸配列KAXEDIYNRXAを含むCDR-L1、(e)配列番号187のアミノ酸配列GATSLEHを含むCDR-L2、及び(f)XがW又はRである、配列番号188のアミノ酸配列QQFXSAPYTを含むCDR-L3を含む、VLドメインを含む。
【0106】
「エピトープ」という用語は、抗体に対して特異的に結合することができる任意のポリペプチド決定基を含む。本発明の特定の実施形態では、エピトープ決定基は、分子の化学的に活性な表面基、例えば、アミノ酸類、糖側鎖、ホスホリル、又はスルホニルを含み、本発明の特定の実施形態では、特定の三次元構造特徴、及び/又は特定の電荷特徴を有していてもよい。エピトープは、抗体によって結合される抗原の領域である。
【0107】
抗体が参照抗CCL2抗原結合部位と同じエピトープに結合するか、又は結合について競合するかどうかは、当技術分野で公知の日常的な方法を使用することによって容易に決定することができる。例えば、試験抗体が本発明の参照抗CCL2抗原結合部位と同じエピトープに結合するかどうかを決定するために、参照抗体を飽和条件下でそのCCL2ドメインに結合させる。次に、試験抗体がヒトCCL2に結合する能力を評価する。試験抗体が参照抗CCL2抗原結合部位との飽和結合後にヒトCCL2に結合することができる場合、試験抗体は参照抗CCL2抗原結合部位とは異なるエピトープに結合すると結論付けることができる。一方、試験抗体が、参照抗CCL2抗体との飽和結合後にヒトCCL2に結合することができない場合、試験抗体は、本発明の参照抗CCL2抗体によって結合されるエピトープと同じエピトープに結合し得る。次いで、試験抗体の結合の観察された欠如が実際に参照抗体と同じエピトープへの結合によるものであるかどうか、又は立体遮断(又は別の現象)が観察された結合の欠如の原因であるかどうかを確認するために、さらなる日常的な実験(例えば、ペプチド突然変異及び結合分析)を行うことができる。この種の実験は、ELISA、RIA、表面プラズモン共鳴(例えば、BIAcore)、フローサイトメトリー、又は当技術分野で利用可能な任意の他の定量的若しくは定性的抗体結合アッセイを使用して行うことができる。本発明の特定の実施形態によれば、2つの抗体は、例えば、1倍、5倍、10倍、20倍又は100倍過剰の一方の抗体が、競合結合アッセイ(例えば、Junghans et al.,Cancer Res.1990:50:1495-1502を参照)で測定した場合に、他方の結合を少なくとも50%、好ましくは75%、90%又はさらには99%阻害する場合、同じ(又は重複する)エピトープに結合する。
【0108】
あるいは、一方の抗体の結合を低下又は排除する抗原のアミノ酸変異のうち、実質的にすべてのアミノ酸変異が他方の抗体の結合を低下又は排除する場合、2つの抗体は同じエピトープに結合するとみなされる。2つの抗体は、一方の抗体の結合を減少又は排除するアミノ酸変異のサブセットのみが、他方の抗体の結合を減少又は排除する場合、「重複エピトープ」を有するとみなされる。
【0109】
抗体が結合について参照抗CCL2抗体と競合するかどうかを決定するために、上記の結合方法論は2つの方向で行われる。第1の方向では、参照抗体を飽和条件下でCCL2に結合させ、続いて試験抗体のヒトCCL2への結合を評価する。第2の方向では、試験抗体を飽和条件下でCCL2分子に結合させ、続いて参照抗体のヒトCCL2への結合を評価する。両方の方向において、第1の(飽和)抗体のみがCCL2分子に結合することができる場合、試験抗体及び参照抗体はCCL2への結合について競合すると結論付けられる。当業者には理解されるように、結合について参照抗体と競合する抗体は、必ずしも参照抗体と同じエピトープに結合するとは限らないが、重複又は隣接するエピトープに結合することによって参照抗体の結合を立体的に遮断し得る。
【0110】
本明細書で使用される場合、「MCP-1」とも呼ばれる「CCL2」、「ヒトCCL2」という用語は、NCBI記録アクセッション番号NP_002973(配列番号117)で参照され、CCL2、MCP-1(単球走化性タンパク質1)、SMC-CF(平滑筋細胞走化性因子)、LDCF(リンパ球由来走化性因子)、GDCF(神経膠腫由来単球走化性因子)、TDCF(腫瘍由来走化性因子)、HCl1(ヒトサイトカイン11)、MCAF(単球走化性及び活性化因子)として様々に知られている76アミノ酸配列を意味する。遺伝子記号はSCYA2、ヒト17番染色体上のJE遺伝子であり、新たな名称はCCL2である(Zlotnik,Yoshie 2000.Immunity 12:121-127)。JEはヒトMCP-1/CCL2のマウスホモログである。
【0111】
Handelらは(Biochemistry.1996;35:17269-6584)CCL2二量体の溶液構造を決定した。これらの研究は、CCL2の二次構造が4つのβシートからなることを示した。さらに、CCL2の二量体化界面を担う残基は、Zhang and Rollins(Mol Cell Biol.1995;15:15751-4855)によって記載されている。タンパク質複合体は、2つのモノマーが大きなポケットを形成するように配向された伸長したように見える。2つの結晶形態、いわゆるI及びP形態の単量体及び二量体CCL2の構造も決定されている(Lubkowski et al.,Nat Struct Biol.1997;4:171-69)。Paoliniら(J.Immunol.1994 Sep 15;153(6):2704-17)は、MCP1/CCL2が生理学的に適切な濃度でモノマーとして存在することを記載した:rec.CCL2タンパク質(Peprotechから購入)をサイズ排除HPLC、沈降平衡超遠心法、化学架橋で分析することにより、MCP-1の単量体及び二量体の重量分率がインビトロでの協働に依存することを示すことができた。最後に、Seo及び共同研究者(J.Am.Chem.Soc.2013 Mar 20;135(11):4325-32)は、イオン移動度質量分析によって、生理学的条件下で単量体及び二量体の両方の形態の注入されたCCL2の存在を示すことができた。
【0112】
したがって、「野生型CCL-2」(wt CCL2)は単量体として存在することができるが、実際には生理学的濃度で二量体を形成することもできる。この単量体-二量体の平衡は確かに異なり、異なる濃度が使用され得る記載されたすべてのインビトロ実験について慎重に考慮する必要がある。不確実性を回避するために、本発明者らは点突然変異CCL2バリアントを作製した:CCL2の「P8A」バリアントは、二量体化界面に突然変異を保有し、その結果、定義された純粋なCCL2単量体をもたらす二量体を形成することができない。対照的に、CCL2の「T10C」バリアントは、CCL2の固定二量体をもたらす(J Am Chem Soc.2013 Mar 20;135(11):4325-32)。
【0113】
CCL2/CCR2軸は、腫瘍への未成熟骨髄細胞の動員の主なメディエータである。CCL2は悪性細胞によって過剰発現され、化学誘引物質勾配を構築する細胞外マトリックス(ECM)に結合する。一旦腫瘍に達すると、骨髄由来抑制細胞(MDSC)は、抗腫瘍T細胞応答の開始を阻害する抗炎症性サイトカイン/受容体を分泌/上方制御することによって腫瘍形成促進環境に寄与する。このようにして、MDSCは、任意のT細胞活性化療法(Meyer et al,2014)の有効性を低下させるか、又は損なうことさえあり得る。したがって、これらの未成熟骨髄細胞の動員の特異的阻害は、チェックポイント阻害剤、T細胞二重特異性及び癌免疫療法の有効性を高める。さらに、CCL2は、血管新生、転移及び腫瘍成長の促進にも関与しており、CCL2の中和がいくつかの抗腫瘍介入に寄与し得ることを示唆している。
【0114】
CCL2を標的化することは、その受容体とは対照的に、望ましくないCCL2媒介効果を特異的に阻害し、Th1及びNK細胞のような他の免疫細胞集団の動員に関与する同じ受容体(CCR2)であるが異なるリガンド(例えば、CCL7、CCL8、CCL13)を介してシグナル伝達し得るものを節約する。
【0115】
臨床的には、CCL2は、関節リウマチ(Haringman et al,2006)、特発性肺線維症(Raghu et al,2015)、糖尿病性腎症(Menne et al,2016)、及び、癌(Sandhu et al,2013)などの異なる炎症性疾患によって引き起こされるその上昇したレベルを中和することを目的としたいくつかの研究において好ましい抗体標的であった。しかし、その高い合成速度は、観察された高いインビボ抗体-抗原解離定数(KD)と共に、臨床的に実行可能な用量での従来の抗体による遊離CCL2の抑制を妨げる主な障害であることが証明されている(Fetterly et al,2013)。
【0116】
CCL2中和は、乳癌(BC)、卵巣癌(OvCa)、結腸直腸癌(CRC)、膵臓癌及び前立腺癌などのいくつかの種類の癌で観察されている、CCL2の血清レベルが上昇した患者においてより明らかに関連するようである。しかし、この血清学を提示しないが、腫瘍が骨髄系統の免疫細胞で高度に浸潤されているこれらの適応症内の患者であっても、上記のように腫瘍状況においてCCL2が果たす多くの役割のために、この新規治療から非常に利益を得ることができる。
【0117】
本明細書で使用される場合、「ヒトCCL2に結合する」、「ヒトCCL2に特異的に結合する」、「ヒトCCL2に結合する」又は「抗CCL2」抗体は、5.0×10-8mol/l以下のK値、特定の実施形態では1.0×10-9mol/l以下のK値、特定の実施形態では5.0×10-8mol/l~1.0×10-13mol/lのK値の結合親和性で、ヒトCCL2抗原に特異的に結合する抗体を指す。
【0118】
結合親和性は、例えばCCL2細胞外ドメイン(例えば、その天然に存在する3次元構造)を含む構築物を使用して、表面プラズモン共鳴技術(BIAcore(登録商標)、GE-Healthcare ウプサラ、スウェーデン)等の標準的な結合アッセイで決定される。本発明の特定の実施形態では、結合親和性は、例示的な可溶性CCL2を使用する標準的な結合アッセイで決定される。
【0119】
抗体の特異性は、抗原の特定のエピトープに対する抗体の選択的認識を指す。例えば、天然抗体は単一特異性である。
【0120】
本明細書で使用される「(ヒト)CCL2に結合する二重特異性抗体」、「(ヒト)CCL2に結合する二重パラトピック抗体」、「二重特異性抗CCL2抗体」、「二重パラトピック抗CCL2抗体」という用語は、抗体が(ヒト)CCL2上の少なくとも2つの異なるエピトープに特異的に結合することができることを意味する。典型的には、そのような二重特異性抗体は、2つの異なる抗原結合部位(2つの異なるパラトープ)を含んでおり、それぞれが(ヒト)CCL2の異なるエピトープに特異的である。本発明の特定の実施形態では、二重特異性抗体は、CCL2上の2つの異なる重複しないエピトープに結合することができ、これは、2つの異なる抗原結合部位がCCL2への結合について競合しないことを意味する。
【0121】
本明細書で使用される場合、「抗原決定基」又は「抗原」という用語は、抗原結合部分/部位が結合して抗原結合部分-抗原複合体を形成するポリペプチド高分子上の部位を指す。有用な抗原決定基は、例えば、腫瘍細胞の表面上に、ウイルス感染した細胞の表面上に、他の疾患細胞の表面上に、免疫細胞の表面上に、血清中で遊離して、及び/又は細胞外マトリックス(ECM)中に認めることができる。
【0122】
本発明による方法の以下の例示は、例示的な抗C5抗体を使用して提示される。これは単なる例示として提示されており、本発明による方法の限定として解釈されるべきではない。真の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載される。
【0123】
例示は、100%ヒト血清試料中の遊離ヒトC5のインビトロ決定を示す。
【0124】
ヒト血清試料中の遊離C5を検出するために、レーザー誘起蛍光検出アッセイ(Gyrolab(登録商標)ワークステーションアッセイ)を用いたナノリットル規模のマイクロ流体のアフィニティーフロースルーフォーマットを使用した。この方法では、100%ヒト血清中の遊離C5の定量的検出が可能である。
【0125】
試験試料、品質管理試料及び陽性対照標準を100%血清で分析する。品質管理試料及び標準を100%ウマ血清(非交差反応性C5)中で調製する。分析物の相対的な定量は、例えば非線形4パラメータWiemer-Rodbardフィッティング関数を用いて、対応する標準曲線を使用して蛍光値の逆計算によって行われる。
【0126】
典型的な較正曲線を図5に示す(実施例1及び10)。
【0127】
本発明の特定の実施形態では、治療用抗体は抗C5抗体であり、抗原はヒトC5である。
【0128】
「抗C5抗体」及び「C5に(特異的に)結合する抗体」という用語は、C5を標的とした診断及び/又は治療剤として有用であるように、十分な親和性でC5と結合することができる抗体を指す。本発明の特定の実施形態では、無関係な非C5タンパク質に対する抗C5抗体の結合の程度は、C5に対する抗体の結合の約10%未満である。本発明の特定の実施形態では、抗C5抗体は、異なる種由来のC5間で保存されているC5のエピトープに結合する。好ましい一実施形態では、C5はヒトC5である。
【0129】
本発明の特定の実施形態では、抗C5抗体は、エクリズマブ又はクロバリマブである。
【0130】
本発明の特定の実施形態では、遊離C5の決定は、エクリズマブ及び/又はクロバリマブの存在下で行われる。この実施形態では、「遊離C5」という用語は、エクリズマブもクロバリマブも結合しない任意の長さのC5を示す。
【0131】
本明細書で使用される「C5」という用語は、霊長類(例えば、ヒト及びサル)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物供給源由来の任意の天然C5を包含する。別段の指示がない限り、用語「C5」は、配列番号30に示されるアミノ酸配列を有し、かつ、配列番号31に示されるベータ鎖配列を含有するヒトC5タンパク質を示す。この用語は、「完全長」の、未処理C5、及び、細胞内でのプロセッシングによりもたらされる任意の形態のC5を包含する。この用語は、C5の天然に存在するバリアント、例えば、スプライス・バリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトC5のアミノ酸配列を配列番号30に示す(「野生型」又は「wt」C5)。ヒトC5の例示的なベータ鎖のアミノ酸配列を配列番号31に示す。ヒトC5のベータ鎖の例示的なMG1、MG2及びMG1-MG2ドメインのアミノ酸配列を、それぞれ配列番号32、33及び34に示す。例示的なカニクイザル及びマウスC5のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号35及び96に示す。配列番号30、31、34、35、及び96のアミノ酸残基1~19は、細胞内でのプロセッシング中に除去され、したがって対応する例示的アミノ酸配列から欠落している、シグナル配列に対応する。
【0132】
米国特許出願公開第2016/0167054号は、抗C5抗体及びそれを使用する方法を開示している。いくつかの実施形態では、開示される単離された抗C5抗体は、酸性pHよりも中性pHでより高い親和性でC5のベータ鎖内のエピトープに結合する。
【0133】
C5は、約71μg/ml(0.4μM)で正常血清中に見られる181kDaのタンパク質である。C5は、その質量の約1.5~3%が炭水化物に起因してグリコシル化されている。成熟C5は、66kDaのベータ鎖にジスルフィド結合した106kDaのアルファ鎖のヘテロ二量体である。C5は、1577アミノ酸の一本鎖前駆体タンパク質(プロC5前駆体)として合成される(例えば、米国特許第6,355,245号及び米国特許第7,432,356号を参照)。プロC5前駆体が切断されて、ベータ鎖がアミノ末端断片として得られ、a鎖がアルファカルボキシル末端断片として得られる。アルファ鎖及びベータ鎖ポリペプチド断片は、ジスルフィド結合を介して互いに連結され、成熟C5タンパク質を構成する。
【0134】
成熟C5は、補体経路の活性化中にC5a及びC5b断片に切断される。C5aは、アルファ鎖の最初の65個のアミノ酸を含むアミノ末端断片としてC5コンバターゼによってC5のアルファ鎖から切断される。成熟C5の残りの部分は、ベータ鎖に結合したアルファ鎖ジスルフィドの残りを含む断片C5bである。C5aの11kDa質量の約20%は炭水化物に起因する。
【0135】
C5aはアナフィラトキシンである。C5bは、C6、C7、C8及びC9と結合して、標的細胞の表面に膜攻撃複合体(MAC、C5b-9、末端補体複合体(TCC))を形成する。十分な数のMACが標的細胞膜に挿入されると、MAC細孔が形成されて標的細胞の急速浸透圧溶解を媒介する。
【0136】
アナフィラトキシンは、肥満細胞脱顆粒を誘発することができ、これはヒスタミン及び他の炎症メディエータを放出し、平滑筋収縮、血管透過性の増加、白血球活性化、及び細胞増殖を含む他の炎症現象をもたらし、過細胞性をもたらす。C5aは、好中球、好酸球、好塩基球及び単球などの顆粒球を補体活性化部位に引き付けるのに役立つ走化性ペプチドとしても機能する。
【0137】
C5aの活性は、C5aからカルボキシ末端アルギニンを除去してC5a-des-Arg誘導体を形成する血漿酵素カルボキシペプチダーゼNによって調節される。C5a-des-Argは、未修飾C5aのアナフィラキシー活性及び多形核走化性活性の1%のみを示す。
【0138】
適切に機能する補体系は感染微生物に対する強固な防御を提供するが、補体の不適切な調節又は活性化は、例えば関節リウマチ(RA);ループス腎炎;虚血-再灌流傷害;発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH);非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS);高密度沈着物疾患(DDD);黄斑変性症(例えば、加齢黄斑変性(AMD));溶血、肝臓酵素の上昇、及び低血小板(HELLP)症候群;血栓性血小板減少性紫斑病(TTP);自然胎児喪失;パウチ免疫性血管炎;表皮水疱症;再発性胎児喪失;多発性硬化症(MS);外傷性脳損傷;並びに心筋梗塞、心肺バイパス及び血液透析に起因する傷害を含む様々な障害の病因に関与している(例えば、Holers et al.,Immunol.Rev.223(2008)300-316を参照)。したがって、補体カスケードの過剰な又は制御されない活性化の阻害は、そのような障害を有する患者、特に発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を有する患者に臨床的利益を提供することができる。
【0139】
エクリズマブは、補体タンパク質C5に対するヒト化モノクローナル抗体であり、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)及び非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の処置のために承認された最初の治療法である(例えば、Dmytrijuk et al.,The Oncologist 13(2008)894-910を参照)。エクリズマブは、C5コンバターゼによるC5のC5a及びC5bへの切断を阻害し、これが末端補体複合体C5b-9の生成を妨げる。C5a及びC5b-9の両方とも、PNH及びaHUSに特徴的な末端補体媒介事象を引き起こす(国際公開第2005/065607号、国際公開第2007/96586号、国際公開第2008/060790号及び国際公開第2010/054403号も参照のこと)。いくつかの報告は、他の抗C5抗体を記載している。例えば、国際公開第86/28707号には、C5のアルファ鎖に結合するがC5aには結合せず、C5の活性化を阻止する抗C5抗体が記載されており、一方、国際公開第2002/30886号には、C5a形成を阻害する抗C5モノクローナル抗体が記載されている。一方、国際公開第2004/006653号には、C5のアルファ鎖上のC5コンバターゼのタンパク質分解部位を認識し、C5のC5a及びC5bへの変換を阻害する抗C5抗体が記載されている。国際公開第2010/015608号には、少なくとも1x 10E7 M-1の親和定数を有する抗C5抗体が記載されている。本発明の特定の実施形態では、薬物はエクリズマブである。
【0140】
いくつかの実施形態では、抗C5抗体は、C5のベータ鎖内のエピトープに結合している。いくつかの実施形態では、抗C5抗体は、C5のベータ鎖のMG1-MG2ドメイン内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗C5抗体は、C5のベータ鎖(配列番号31)のアミノ酸27~115からなる断片内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗C5抗体は、アミノ酸38~48、61~67及び98~101からなる群より選択される少なくとも1つの断片を含むC5のベータ鎖(配列番号31)内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗C5抗体は、配列番号31のGlu48、Asp51、His61、His63、Lys100及びHis101からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を含むC5のベータ鎖(配列番号31)の断片内のエピトープに結合する。さらなる実施形態では、抗体は、酸性pHよりも中性pHでより高い親和性でC5に結合する。さらなる実施形態では、抗体は、pH5.8よりもpH7.4でより高い親和性でC5に結合する。別の実施形態では、抗C5抗体は、表1に記載の抗体と同じエピトープに結合する。さらなる実施形態では、抗体は、表1に記載の抗体と同じエピトープに、pH5.8よりもpH7.4でより高い親和性で結合する。さらなる実施形態では、抗C5抗体は、表2又は3に記載の抗体と同じエピトープに結合する。さらなる実施形態では、抗体は、表2又は3に記載の抗体と同じエピトープに、pH5.8よりもpH7.4でより高い親和性で結合する。
【0141】
【表1】
【0142】
【表2】
【0143】
【表3】
【0144】
本発明の特定の実施形態では、抗C5抗体は、C5への結合について、以下から選択されるVH及びVL対を含む抗体と競合する:(a)配列番号01のVH及び配列番号11のVL;(b)配列番号05のVH及び配列番号15のVL;(c)配列番号04のVH及び配列番号14のVL;(d)配列番号06のVH及び配列番号16のVL;(e)配列番号02のVH及び配列番号12のVL;(f)配列番号03のVH及び配列番号13のVL;(g)配列番号09のVH及び配列番号19のVL;(h)配列番号07のVH及び配列番号17のVL;(i)配列番号08のVH及び配列番号18;並びに(j)配列番号10のVH及び配列番号20。
【0145】
本発明の特定の実施形態では、抗C5抗体は、C5の過剰な又は制御されない活性化を伴う補体媒介疾患又は症状の処置に使用される。さらなる実施形態では、抗C5抗体は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、加齢性黄斑変性、心筋梗塞、関節リウマチ、骨粗鬆症、変形性関節症、及び炎症を含むがこれらに限定されない疾患又は障害の処置に使用される。抗C5抗体は、血漿からのC5のクリアランスを増強するために使用される。
【0146】
本発明の特定の実施形態では、本方法は、上記で提供された実施形態のいずれかのようなVH及び配列番号27、28、29、105、106及び107のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む抗C5抗体の存在下で遊離C5を検出するためのものである。本発明の特定の実施形態では、本方法は、上記で提供された実施形態のいずれかのようなVL及び配列番号36、37、及び38のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む抗C5抗体の存在下で遊離C5を検出するためのものである。
【0147】
本発明の特定の実施形態では、本方法は、C5への結合について以下から選択されるVHとVLの対を含む抗体と競合する抗C5抗体の存在下で遊離C5を検出するためのものである:(a)配列番号01のVH及び配列番号11のVL;(b)配列番号22のVH及び配列番号25のVL;(c)配列番号21のVH及び配列番号24のVL;(d)配列番号05のVH及び配列番号15のVL;(e)配列番号04のVH及び配列番号14のVL;(f)配列番号06のVH及び配列番号16のVL;(g)配列番号02のVH及び配列番号12のVL;(h)配列番号03のVH及び配列番号13のVL;(i)配列番号09のVH及び配列番号19のVL;(j)配列番号7のVH及び配列番号17のVL;(k)配列番号8のVH及び配列番号18のVL;(l)配列番号23のVH及び配列番号26;並びに(m)配列番号10のVH及び配列番号20。
【0148】
本発明の特定の実施形態では、本方法は、C5の結合について以下から選択されるVHとVLの対を含む抗体と競合する抗C5抗体の存在下で遊離C5を検出するためのものである:(a)配列番号22のVH及び配列番号25のVL;(b)配列番号21のVH及び配列番号24のVL;(c)配列番号05のVH及び配列番号15のVL;(d)配列番号04のVH及び配列番号14のVL;(e)配列番号06のVH及び配列番号16のVL;(f)配列番号02のVH及び配列番号12のVL;(g)配列番号03のVH及び配列番号13のVL;(h)配列番号09のVH及び配列番号19のVL;(i)配列番号07のVH及び配列番号17のVL;(j)配列番号8のVH及び配列番号18のVL;(k)配列番号23のVH及び配列番号26。
【0149】
本発明の好ましい一実施形態において、本方法は、配列番号97のVH及び配列番号102のVLを含む抗C5抗体の存在下で遊離C5を検出するためのものである。
【0150】
以下の実施例、配列及び図面は、本発明の理解を助けるために提供されており、本発明の真の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されている。本発明の要旨から逸脱することなく、記載された手順に変更を加えることができることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0151】
図1】カニクイザルCCL2較正曲線を、4~1000pg/mLのCCL2血清濃度の範囲の100%ウマ血清中の本発明によるアッセイで調製し、アッセイプレート上の試料の75秒~12分の間のインキュベーション時間の変動を含む実施例4に記載のElisaアッセイで分析した。
図2】本発明による検出抗体の間接的及び直接的Alexa標識を用いたレーザー誘起蛍光検出アッセイによるナノリットル規模のマイクロ流体のアフィニティーフロースルーフォーマット。
図3】治療用抗体及び競合ウサギモノクローナル抗体を用いた本発明によるレーザー誘起蛍光検出アッセイによるナノリットル規模のマイクロ流体のアフィニティーフロースルーフォーマットを使用した。CCL2値を検量線で逆算し、CCL2回収率(遊離%)を非スパイク5ng/mL CCL2値に対して計算した。上の曲線は捕捉抗体として治療用抗体を用い、下の曲線は捕捉抗体として競合ウサギ抗体を用いた。
図4】本発明によるアッセイを、キャリブレーターとして組換えヒト野生型CCL2を用いて行った。2つの実行の較正範囲が示されている。
図5】レーザー誘起蛍光検出アッセイ(Gyrolab(登録商標)ワークステーションアッセイ)を用いたナノリットル規模のマイクロ流体のアフィニティーフロースルーフォーマットでヒト血清試料中の遊離C5を検出するための本発明によるアッセイの較正曲線。
図6】ELISAを使用する本発明による方法のスキーム。
図7】25%血清における比較ELISAのスキーム(実施例4)。
図8】レーザー誘起蛍光検出によるナノリットル規模のマイクロ流体のアフィニティーフロースルーフォーマット、間接フォーマット(Gyrosアッセイ)(実施例6、7)を使用する本発明による方法のスキーム。
図9】レーザー誘起蛍光検出を用いたナノリットル規模のマイクロ流体のアフィニティーフロースルーフォーマットの較正曲線(Gyrosアッセイ)(実施例6)。
図10】レーザー誘起蛍光検出によるナノリットル規模のマイクロ流体のアフィニティーフロースルーフォーマット、直接フォーマット(Gyrosアッセイ)(実施例7)を使用する本発明による方法のスキーム。
図11】レーザー誘起蛍光検出によるナノリットル規模のマイクロ流体のアフィニティーフロースルーフォーマット(Gyrosアッセイ)(実施例9)を使用する本発明による方法のスキーム。
【実施例
【0152】
実施例1
本発明による方法の一般的な説明
1)レーザー誘起蛍光検出に基づくアッセイフォーマットによるナノリットル規模のマイクロ流体のアフィニティーフロースルーフォーマット
ヒト血清試料中の遊離抗原を検出するために、Gyrolab(登録商標)ワークステーションアッセイを設定した。この試験を遊離抗原の定量的検出に使用した。試験試料、品質管理試料及び陽性対照標準を100%血清で分析した。品質管理試料及び標準を100%ウマ血清(非交差反応性内因性標的を含む)中で調製した。
【0153】
以下の連続工程を行った:
捕捉試薬(mAb<標的>rH-IgG-Bi、5,000ng/mL)の添加、続いて試料の添加、最後に検出試薬(mAb<標的>M-Alexa 647、10,000ng/mL)の添加。各工程の後、洗浄を行って非結合試薬を除去した。各洗浄工程は、洗浄溶液(0.05%(v/v)Tween 20を含む1×PBS)の添加からなった。
【0154】
2)ELISAに基づくアッセイフォーマット
ヒト血清試料中の遊離抗原を検出するために、ELISAアッセイを設定する。この試験を遊離抗原の定量的検出に使用する。試験試料、品質管理試料及び陽性対照標準を100%血清で分析する。品質管理試料及び標準を100%ウマ血清(非交差反応性内因性標的を含む)中で調製する。
【0155】
以下の連続工程を行う:
組換え抗原と抗体の異なる組み合わせを100%ウマプール血清で調製し、室温で2時間インキュベートする。検量線試料を100%ウマ血清中で調製する。簡潔には、捕捉抗体としてのビオチン化(二重特異性)治療用抗体、試験試料及び検出試薬(ジゴキシル化(二重特異性)治療用抗体)を384ウェルのストレプトアビジン被覆マイクロタイタープレートに段階的に添加し、穏やかなシェーカー上で3~4分間(目標として3.5分間)インキュベートする。固定された免疫複合体の検出のために、ポリクローナル抗ジゴキシゲニン-PODコンジュゲートを加え、プレートを15~20分間インキュベートする。任意に、各工程後にプレートを3回洗浄して未結合物質を除去する。ABTSをプレートに添加し、振盪しながら室温でインキュベートする。吸収を405/490nmの波長で測定する。分析ソフトウェアXLfit(IDBS)を使用して、検量線の応答に基づいて抗原濃度を計算する。
【0156】
実施例2
100%血清試料中のKD値の決定
実施例1に記載の一般的な方法に基づいて、その内因性抗原に対するモノクローナル抗体のKD値を決定する目的で以下の実験を設定した。検量線は0.55ng/mL~3000ng/mLの範囲であった。QC試料を5つの濃度でウマ血清中で調製した。0.55ng/mL、1.5ng/mL、100ng/mL、1200ng/mL及び3000ng/mL。QC試料の回収率は、公称値から+/-20%の基準を満たし、97%~112%の範囲であった。内因性標的に対するKD値を決定するために(国際公開第2014/023655号に概説されている方法に従う)、3つのヒト血清試料をウマ血清で40倍に希釈して100%血清濃度を維持し、1000ng/mL、2000ng/mL、3000ng/mL、4000ng/mL及び5000ng/mLの治療用抗体でスパイクし、平衡化した。同様に、非スパイクヒト血清試料を40の希釈係数(ウマ血清を使用)で分析して、各個々の血清試料中の総標的濃度を計算した。決定された総標的値に基づいて、各スパイク血清試料について遊離標的画分を決定した。各遊離画分に基づいて、KD値を計算した。
平均(av)KDは0.05nMであり、標準偏差(cv)は0.012nMであった。
【0157】
実施例3
100%ヒト血清中の本発明によるアッセイ
実施例2に基づいて、100%ヒト血清中の遊離QC試料の調製及び分析に焦点を当てて以下の実験を設定した。遊離QC試料を、100μg/mLのクロバリマブを実施例2において用いた個々のヒト血清の各々に添加することによって調製した。各血清試料を希釈せずに分析し、遊離標的濃度を以下のように分析した:ID1=6.5ng/mL;ID2=8.2ng/mL;及びID3=7.6ng/mL。実施例2で決定されたKD値及び総標的濃度に基づいて、推定遊離標的濃度は、ID1が2.41ng/mL~6.83ng/mLの範囲、ID2が3.38ng/mL~9.56 ng/mLの範囲、及びID3が3.51ng/mL~9.93ng/mLの範囲であるべきである。範囲の計算は、KD値の2倍の標準偏差に基づく。3つの個々の血清試料のすべての試料が計算された範囲内にあり、したがって、本発明による方法の正当性を検証した。
【0158】
実施例4
比較例:25%血清中のELISA
組換えカニクイザルCCL2と二重パラトピック抗CCL2抗体CKLO2-SG1の異なる組み合わせを100%ウマプール血清で調製し、室温で2時間インキュベートした。試料をアッセイ緩衝液(PBS、0.1% Tween、1% BSA)で1から4に希釈し(MRD、25%マトリックスが得られる)、さらに25%ウマ血清を含有するアッセイ緩衝液で1から10に希釈した。検量線は、25%ウマ血清を含有するアッセイ緩衝液中で調製し、7.8~1000pg/mLのCCL2血清濃度の範囲をカバーした。簡潔には、ビオチン化抗CCL2捕捉抗体(CNTO0888,CCL2-0004)、試験試料及び検出試薬(ジゴキシゲニン化抗CCL2抗体(ヒト化11K2、CCL2-0002))を384ウェルストレプトアビジン被覆マイクロタイタープレートに段階的に添加し、激しくないシェーカー上でそれぞれ1時間、12~14分間、及び17分間インキュベートした。固定された免疫複合体の検出のために、ポリクローナル抗ジゴキシゲニン-PODコンジュゲートを加え、プレートを20分間インキュベートした。各工程後にプレートを3回洗浄して未結合物質を除去した。ABTSをプレートに添加し、振盪しながら室温でインキュベートした。吸収を405/490nmの波長で測定した(図6及び7を参照)。希釈係数1~4及び1~40を含む分析ソフトウェアXLfit(IDBS)を使用して、検量線の応答に基づいてCCL2濃度を計算した。分析した2つの試料希釈の比を計算し、以下の表に示す(-=未決定)。
【0159】
実施例5
100%血清中の本発明によるアッセイ
カニクイザルCCL2較正曲線を4 pg/mL~1000pg/mLのCCL2の範囲の100%ウマ血清で調製し、実施例4に記載されているものに基づくが試料を100%血清(希釈なし)で用いてELISAフォーマットで分析した。アッセイプレート上の試料のインキュベーション時間は、75秒~12分の間で変化させた。
【0160】
実施例6
レーザー誘起蛍光検出によるナノリットル規模のマイクロ流体のアフィニティーフロースルーフォーマット(Gyrosアッセイ)を使用する本発明による方法
この実施例では、Gyrolab(商標)に基づく方法を使用した。組換えカニクイザルCCL2試料をアッセイ緩衝液(PBS、0.1%(v/v)Tween-20、1% BSA)中で調製し、Gyrolab Xploreで分析した。単一特異的ビオチン化親抗CCL2抗体(CNTO0888、別名CCL2-004)を、アッセイ緩衝液で1μg/mLに希釈した捕捉試薬として使用した。検出のために、1μg/mlの単一特異的なdig標識抗CCL2抗体(ヒト化11K2、CCL2-0002)を、アッセイ緩衝液中で2時間、1μg/mLのmAb<Dig>M-1.71.256-IgG-Alexa 647とプレインキュベートした。全ての試薬及び試料を96ウェルPCRプレートに移し、Gyrolab BioAffy 200 nLディスク(Gyros Protein Technologies AB)と共に機器に装填した。3段階アッセイプロトコル(200-3W-001)を選択した。簡潔には、プロトコルは、Gyrolab BioAffy 200ディスクの指定されたストレプトアビジンカラムへの捕捉試薬、試料及び検出試薬の連続的な添加を記載する。各試薬は、短いスピニング工程がディスクに適用された後、同時にカラムに到達する。各工程後に0.05% Tweenを含むPBSでカラムを洗浄し、最後にレーザー誘起蛍光値を装置内で記録した。平均化された生データに非線形4パラメータ曲線フィッティング関数(Wiemer-Rodbard)を適用して検量線を得た。図8及び図9も参照されたい。
アッセイは、選択されたアッセイ範囲(312.5pg/mL~40,000pg/mL)にわたって線形であることが分かった。
【0161】
実施例7
本発明による検出抗体の間接的及び直接的Alexa標識を用いたレーザー誘起蛍光検出(Gyrosアッセイ)によるナノリットル規模のマイクロ流体のアフィニティーフロースルーフォーマットを使用する本発明による方法
ヒト化抗CCL2抗体11K2(CCL 2-0002)及びウサギ抗CCL2抗体1H11(CCL2-0011)をAlexa 647(Molecular Probes,Invitrogen,Cat A20186)で標識した。アッセイ緩衝液(PBS、0.1% Tween、1% BSA)中の組換えカニクイザルCCL2較正曲線を、実施例6について記載したように、異なる抗CCL2捕捉及び検出試薬(1μg/mL)で分析した。
・ジゴキシゲニンにコンジュゲートさせたヒト化抗体11K2及びAlexa 647にコンジュゲートさせた抗Dig抗体M-1.71.256(IgG)とプレインキュベートした抗CCL2抗体-Bi(ビオチン標識抗CCL2抗体CNTO0888)
・抗CCL2抗体-Bi(CNTO 0888-Bi)、Alexa 647にコンジュゲートさせたプレインキュベーションしたヒト化抗体11K2
・ビオチンにコンジュゲートしたウサギ抗CCL2抗体2F6(Bi;CCL2-0014)、Alexa 647にコンジュゲートしたウサギ抗CCL2抗体1H11
プレインキュベートした検出試薬と比較して、直接Alexa 647で標識した検出抗体を使用した場合、感度が増加した(上記の表並びに図2及び図10を参照)。
【0162】
ヒト骨格を含有する捕捉IgG及び検出IgG中の定常領域に対するADAのブリッジングに起因して生じ得る偽陽性結果、並びに捕捉試薬及び検出試薬と交差反応し得る治療用分子のCDRに対するADAの中和に起因する偽陰性結果のいずれかを回避するために、競合ウサギモノクローナル抗体を使用した。CCL2値を検量線で逆算し、CCL2回収率(遊離%)を非スパイク5ng/mL CCL2値に対して計算した(図3も参照)。
cyCCL2を検出する感度は、記載されたヒト親捕捉試薬及び検出試薬と選択された競合ウサギモノクローナル抗CCL2抗体との間で同等であった。
【0163】
POC試験では、4つの分子を試験した1:CNTO0888-SG1(=IgG1野生型)抗CCL2抗体(n=3動物)(最大総CCL2蓄積の対照として);群2:pH依存性標的結合を有するがFc改変を有さない二重パラトピック抗CCL2抗体CKLO2-SG1(IgG1野生型)(n=3);群3:pH依存性標的結合及びFc-pI並びにさらなる改変を有する二重パラトピック抗CCL2抗体CKLO2-SG1100(n=4)、及び、群4:pH依存性標的結合、Fc-pI及びFcγRII並びにさらなる改変を有する二重パラトピック抗CCL2抗体CKLO2-SG1095(n=4)。これらの4つの分子を、5ng/mLのcyCCL2を含むアッセイ緩衝液中、異なる濃度で2時間プレインキュベートし、その後、cyCCL2較正曲線を含むgyrosアッセイで分析した。試料のCCL2値を検量線で逆算し、回収値(遊離CCL2の量)を5ng/mlのCCL2に対して相対的に計算した。
上記の表に示されるデータは、ヒト親捕捉分子及び検出分子並びに競合ウサギmAbによる設定について同等の結果を示す。
【0164】
実施例8
カニクイザルにおけるCCL2掃引効率のPOC試験における遊離CCL2の決定
Gyrolab Xploreで実行される、検証されていないが適格なGyrolab(商標)イムノアッセイを用いて、遊離CCL2血清試料を分析した。ビオチン化抗CCL2抗体(M-2F6-IgG)を捕捉試薬として使用し、検出のためにAlexa 647標識抗CCL2抗体(M-1H11-IgG)を選択した。両方の試薬をPBS、0.1%Tween、1%BSA中、1μg/mLに希釈し、96ウェルPCRプレート(Fisher Scientific)に移した。カニクイザルCCL2検量線試料、QC及び未希釈血清試料も96ウェルPCRプレートに移した。両方のプレートを、Gyrolab BioAffy 200nLディスク(Gyros Protein Technologies AB)と共に機器に装填した。3段階アッセイプロトコル(200-3W-001)を選択した。簡潔には、プロトコルは、Gyrolab BioAffy 200ディスクの指定されたストレプトアビジンカラムへの捕捉試薬、試料及び検出試薬の連続的な添加を記載する。各試薬は、短いスピニング工程がディスクに適用された後、同時にカラムに到達する。各工程後にカラムをPBS 0.05% Tweenで洗浄し、最後にレーザー誘起蛍光値を装置内で記録した。XL Fitソフトウェア(IDBS)を使用して、検量線の応答に基づいて遊離カニクイザルCCL2濃度を計算した。
【0165】
アッセイ性能を実証するために、QC試料(High QC 1820pg/mLのcyCCL2、Mid QC 230pg/mLのcyCCL2及びLQC 30pg/mLのCCL2)を1×PBS、0.1% Tween、1% BSA中で調製し、カニクイザルプール血清(biotrendから入手)と並行して各実行で分析した。キャリブレーターも、2430pg/mL~10pg/mLの範囲で、1×PBS、0.1% Tween、1% BSA中で調製した。さらに、カニクイザルプール血清(CPS)に、7.5ng/mL及び10μg/mLのCNTO0888、並びに15ng/mL及び10μg/mLのCKLO2-SG1095をスパイクした。これらの試料を、(群に依存して)それぞれのアッセイ実行におけるQC試料としても分析した。以下の表に示すように、アッセイ実行間の遊離CCL2値の変動は、これらの遊離QC試料について11%未満であった。アッセイ緩衝液中に組換えCCL2を含有するアッセイQCは、12回のアッセイ実行すべてにおいて公称濃度の+/-20%以内であることが分かった(データは示さず)。
-:未決定
【0166】
実施例9
マウス試験
B16-huCCL2/CCL2ヌルマウスモデルにおいて行われた試験を支持するために、実施例8に記載されるアッセイを、キャリブレーターとして組換えヒト野生型CCL2を用いて行った(アッセイスキームについては図11を参照)。トランスジェニックマウスにおけるhuCCL2値がカニクイザル試験の場合のようにより高いと予想されたので、アッセイ範囲は上端において最高キャリブレーターとして21,870pg/mlに拡張された。2回の実行の拡張較正範囲の線形性を図4及び以下の表に示す。
【0167】
試験の対照として、プールマウス血清(MPS)に、5ng/mLの組換えヒト野生型CCL2又は5ng/mLの組換えヒト野生型CCL2及び5μg/mL又は50ng/mLのCKLO2-SG1095をスパイクした。回収値を公称5ng/mlに対して計算した。対応するデータを以下の表に示す。
【0168】
実施例10
100%血清試料中の遊離C5を決定するための本発明による方法
Gyrolab(登録商標)ワークステーションを使用した。20μLの試験試料、品質管理試料、ブランク試料及び各陽性対照標準をマルチウェルプレートの指定されたウェルに移した。そこに、それぞれの捕捉及び検出試薬を添加した。密封したプレートを少なくとも3000gで10秒間遠心分離した。Gyrolab(登録商標)ワークステーションでの分析には、針洗浄用の2つの洗浄溶液を用いる3段階法を使用した。試料、ブランク、品質管理及び標準を、レプリケートで測定した(N=2)。
【0169】
試料の結果の解釈は、試料のFU及び対応する品質管理(QC)の定性的な解釈に基づく。1% PMT蛍光生データを、Gyrolab(登録商標)Evaluator Softwareを使用してExcelファイルとしてエクスポートした。Wiemer-Rodbard関数を使用して(例えば、MS Excel用のXLfitを使用する)、非線形4パラメータフィットによって標準較正曲線を生成した。Wiemer Rodbard:[y(x)={(1*A)+((B-A)/{1+{(C/x)AD))))].A及びBは、シグナル偏差(検量線の近似された開始及び終了)を担う。C及びDは曲線形状を担う。陽性対照抗体と比較した結果の定量は、適合した較正曲線を用いて試料の平均シグナルの逆計算によって行う。較正の代表的な生データ(蛍光単位)を以下の表に示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【配列表】
2023530977000001.app
【国際調査報告】