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特表2023-531015高エネルギー海洋環境における使用のための装置、組立体及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】高エネルギー海洋環境における使用のための装置、組立体及び方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/65 20170101AFI20230712BHJP
   A01G 33/00 20060101ALI20230712BHJP
   B63B 35/44 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
A01K61/65
A01G33/00
B63B35/44 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578731
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 IB2021055453
(87)【国際公開番号】W WO2021255714
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】765556
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520470349
【氏名又は名称】ザ コースロン インスティテュート トラスト ボード
【氏名又は名称原語表記】THE CAWTHRON INSTITUTE TRUST BOARD
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヒーズマン、ケビン
【テーマコード(参考)】
2B026
2B104
【Fターム(参考)】
2B026AA05
2B026AB07
2B026AF04
2B104AA22
2B104CC07
2B104CC10
2B104CC17
2B104CC34
2B104CG03
2B104CG07
2B104DB01
2B104DB05
2B104DB13
2B104DB19
2B104DD01
2B104DD03
2B104DD05
(57)【要約】
装置、レシーバ及びリテーナ組立体、並びに外洋水産養殖におけるそれらの使用が説明される。装置は複数の交換可能に回転可能に取り付けられた養殖ラックを含む。装置は単一の係留索と共に使用される。相互係止浮体が係留索が貫通するアクスルに取り付けられる。沈められると、相互係止浮体は装置に浮力を提供する。装置は、係留索に解放可能に係合するレシーバ及びリテーナ組立体により望ましい深さで保持される。解放されると、浮揚性装置は水面まで上昇する。水面で、相互係止浮体は、回転可能に取り付けられた養殖ラックが容易に接近され得るように、装置を方向付ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の係留索と共に使用するための浮揚性水産養殖装置であって、
(a)開口中空アクスルの両端の周りに、前記係留索が前記アクスルの前記中空を自由に通過し得るように取り付けられた上端フレーム及び下端フレームと、
(b)3つ以上の均等に間を空けて配されたビームであって、各々前記上及び下端フレームの各々の周辺部の対応する位置同士の間に直角に取り付けられたビームと、
(c)1つ又は複数の養殖ラックであって、各々、前記ビームが取り付けられた前記位置同士の中間の前記上及び下端フレームの各々の前記周辺部の対応する位置に配置された取付具の対の間に解放可能に取り付けられた1つ又は複数の養殖ラックと、
(d)前記アクスルの周りに取り付けられたフロートスリーブと
を備える、浮揚性水産養殖装置。
【請求項2】
前記フロートスリーブが、前記アクスルの周りに解放可能に取り付けられた複数の相互係止浮体を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記係留索のためのガイドが、前記開口アクスルの下端の周りに取り付けられる、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記係留索に解放可能に係合するためのリテーナのためのレシーバが、前記開口アクスルの上端の周りに取り付けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
係留索に解放可能に係合するための組立体であって、レシーバ及びリテーナを備え、
(a)前記レシーバが、第1剛体であって、上面と、下面と、前記第1剛体の前記上面から前記第1剛体の前記下面へ先細になっているとともに、前記係留索が前記第1剛体を自由に通過することを可能にするように寸法決めされた切頭円すい形空所とを有する第1剛体であり、
(b)前記リテーナが、前記レシーバの前記円すい形空所を実質的に充填するように寸法決めされるとともに、2つ以上の相互係止部品からなる第2剛体であり、
(c)前記相互係止部品が、前記係留索を収容するように寸法決めされた開口中空を形成するように相互係止するとともに、万力のような把持部において係留索に係合する外形付き対向内面を有する、
組立体。
【請求項6】
前記外形付き対向内面が鋸歯状対向内面である、請求項5に記載の組立体。
【請求項7】
前記2つ以上の相互係止部品が2つの非対称相互係止半部である、請求項5又は6に記載の組立体。
【請求項8】
外洋において海洋種を養殖する方法であって、
(a)係留索が通された装置を提供するために、固定された係留索の自由端を請求項1~4のいずれか一項に記載の装置の開口中空アクスルに通すことと、
(b)沈められた装置を提供するために、前記係留索が通された装置を前記外洋の水面下深さ5~15メートルまで浸すことと、
(c)前記沈められた装置が前記深さより上に上昇することを防ぐために、前記係留索をリテーナと解放可能に係合することと
を備える方法。
【請求項9】
前記リテーナのためのレシーバが前記装置の前記開口アクスルの上端の周りに取り付けられる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記リテーナが、万力のような把持部において係留索に係合する相互係止半部の非対称な対を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1つ又は複数の海洋種の外洋養殖のためのシステムであって、請求項4に記載の水産養殖装置と、海底に固定された係留索とを備え、前記係留索が前記装置の開口中空アクスルを通過し、前記装置が請求項7の組立体により海の水面下深さ5~15メートルに沈められた状態で保持されるシステム。
【請求項12】
前記海洋種が二枚貝及び大型藻類からなる群から選択される、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水産養殖における装置及びその使用に関する。本発明はまた、係留索での浮揚性装置の水面下での位置付けにおける使用のためのリテーナ及びレシーバ組立体に関する。特に、排他的ではないが、本発明は、高エネルギー海洋環境における使用に好適な水産養殖装置及び組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
Costa-Pierce(2016)の非特許文献1は、海水水産養殖(海洋牧場)が世界の食料供給に対する唯一の解決策であると述べている。沿岸の都市化、工業化、水質汚染、及び環境全体の悪化が近海の海洋牧場のための場所の利用可能性を制限するため、大規模な外洋水産養殖を開発する緊急の必要性が高まっている。外洋サイトの利用には頑強な水中技術の開発が求められる。
【0003】
Burgess(1997)の特許文献1は、甲殻類、例えばイガイ及びカキを養殖するための沈めることが可能なプラットフォームを開示している。プラットフォームは、浮力が調整可能なチャンバを組み込んだフレームを含むとともに、沈めることが可能である。
【0004】
Bugrovら(1998)の特許文献2は、負の浮力のフレキシブル部材を含む一定の浮力及び垂直位置付けシステムを提供するための手段を有する魚用ケージを開示する。魚用ケージは、支線、中間フロート及び他のラインの組合せにより適所に保持される。
【0005】
Jorgensen(2001)の文献は、中心ユニットに取り付けられた魚用ゲージを開示する。魚用ケージは、中心ユニットに固定されるか移動可能であるかのいずれかである。魚用ケージは、中心ユニット上の係留デバイス又は水面ユニットの間の任意の垂直位置にあり得る。
【0006】
BuckとBuchholz(2007)の特許文献3は、間に半径方向及び同軸養殖ラインが配置された同軸及び同一平面のリングの対を含む海洋生物を養殖するためのデバイスを開示する。デバイスは、2つの同軸リングの外側に接続されたロープにより水面のフロートと海底のアンカーウェイトとの間で沈められた状態で保持される。
【0007】
CortinasとArbones(2008および2010)の特許文献4~5は、沈めることが可能な軟体動物養殖場としての使用のためのシステムを開示する。開示されたシステムのうちの1つにおいて、軟体動物を育てるためのロープが、端フロート同士の間に張られたケーブルから吊り下げられる。端フロートの浮力は養殖場を上下させるために調整され得る。張力ブイが、重りに取り付けられた一連のケーブル及びプーリを通じて端フロートに接続される。開示されたシステムの別のものにおいて、沈められたフレームが水面フロートに篏合したガイドチューブに沿って垂直に移動する。
【0008】
LeslieとYoung(2011)の特許文献6は、水深の深いところでカキを養殖するための水産養殖装置を開示する。装置は、複数の浮体であって、各々海底に固定された複数の浮体を含む。水面に対する各浮体の位置は調整可能である。
【0009】
Thorvardarsonら(2011)の特許文献7は、魚の養殖のための沈めることが可能なケージを開示する。ケージは、中心アクスルを中心として位置付けられた浮揚性構造と浮揚性構造に取り付けられた網とを含む。沈められたケージは、中心アクスルを中心として回転させられ得る。係留ラインが、中心アクスルの一方又は両方の端及び固定又は係留ポイントに取り付けられるように示されている。
【0010】
Menard(2015および2020)の文献は、沖合の水産養殖設備を開示する。設備は、沈めることが可能であるとともに、1つのポイントで固定されたバラスト浮揚性構造を含む。設備は、設備の上部におけるハンドリングブリッジを介して接近可能な1つ又は複数の四角形又は長方形ケージを含む。
【0011】
Newell(2016および2017)の文献は、モジュール式の沈めることが可能な水産養殖いかだを開示する。いかだは沈めることが可能であり、いかだの重量は水面の複数のフロートデバイス間で分配される。
【0012】
海洋種の沖合での養殖のためのシステムは、適合性があり、堅牢で、それらが経済的に実行可能であるものである場合には動作及び維持するのに単純である必要がある。BuckとLangan(2017)の非特許文献2は、持続可能な沖合での食品製造に対する最近のアプローチ及びこれらの高エネルギー環境において求められる技術の開発のレビューを提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】英国特許第2302525号明細書
【特許文献2】国際公開第98/06254号
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0193115号明細書
【特許文献4】米国特許第7341021号明細書
【特許文献5】米国特許第7650856号明細書
【特許文献6】国際公開第2011/123895号
【特許文献7】米国特許出願公開第2011/0126447号明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Costa-Pierce (2016) Ocean foods ecosystems for planetary survival in the Anthropocene. In E.M. Binder (Ed.), World Nutrition Forum: Driving the Protein Economy (pp. 301-320). Austria: Erber, AG.
【非特許文献2】Buck and Langan (2017) Aquaculture perspective of multi-use sites in the open ocean - the untapped potential for marine resources in the Anthropocene. Springer International Publishing AG.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そのような高エネルギー、外洋環境において展開及び動作が比較的単純な装置を提供することが本発明の目的である。当該装置を使用して海洋種を養殖する方法を提供することが本発明のさらなる目的である。1つ又は複数の海洋種の沖合での養殖のためのシステムを提供することが本発明のなおさらなる目的である。これらの目的の各々は、代替肢において、少なくともこのような水産養殖装置、方法又はシステムの選択において有用な選択肢を提供する目的で読み取られる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1態様において、単一の係留索と共に使用するための水産養殖装置が提供され、装置は、
・開口中空アクスルの両端の周りに、係留索がアクスルの中空を自由に通過し得るように取り付けられた上端フレーム及び下端フレームと、
・3つ以上の均等に間を空けて配されたビームであって、各々上及び下端フレームの各々の周辺部の対応する位置に各端で直角に取り付けられたビームと、
・ビームが取り付けられたところ同士の中間の上及び下端フレームの各々の周辺部の対応する位置に配置された取付具の1つ又は複数の対の間に解放可能に取り付けられた1つ又は複数の養殖ラックと、
・アクスルの周りに取り付けられたフロートスリーブと
を含む。
【0017】
装置は海水に浸されるとき浮揚性である。アクスル、端フレーム及びビームは海水に対する耐性がある材料、例えばステンレス鋼から作られる必要がある。十分に剛性で強い他の材料からの製造、例えば繊維強化ポリマー引き抜き成形もまた想定される。
【0018】
上端フレーム及び下端フレームは、クロスビームを介して開口中空アクスルの両端の周りに取り付けられ得る。1つのオプションにおいて、クロスビームは端フレームと一体的である。別のオプションにおいて、クロスビームは例えば溶接により端フレームへ接合される。典型的には、上端フレーム及び下端フレームは開口中空アクスルの両端の周りに動かないように固定される。
【0019】
有利には、開口アクスルの下端には、単一の係留索をアクスルの中空を通るように案内し且つ係留索での摩擦を減少させるためにトランペット型の漏斗が設けられる。開口アクスルの上端には典型的には、係留索に解放可能に係合するリテーナを収容するためのレシーバが設けられる。有利には、リテーナによる係留索の係合は少なくとも部分的に装置の浮力により維持される。
【0020】
間を空けて配されたビームは装置に剛性を提供する。間を空けて配されたビームは、直接的に又は端フレームへ例えばボルト締め又は溶接により接合されたプレートを介して取付られ得る。間を空けて配されたビームは長方形チューブ又はI型梁の形をとり得る。
【0021】
養殖ラックは、水で滑りやすくした合成ブラシを含み得る取付具を介して端フレーム及び間を空けて配されたビームにより形成された剛性ケージに解放可能に取り付けられる。養殖ラックはそれにより、端フレーム及び間を空けて配されたビームにより形成された剛性ケージに解放可能に及び回転可能に取り付けられる。異なるタイプの養殖ラックが剛性ケージに解放可能に取り付けられ得、同じ装置で異なる海洋種を養殖することを可能にする。
【0022】
有利には、フロートスリーブは、フロートスリーブにより提供された浮力が都合よくは調整され得るようにアクスルに取り付け可能な相互係止浮体を含む。相互係止浮体は、浮体がアクスルに取り付けられることを可能にするように寸法決めされた、その周辺部からその中心へのチャネル並びにその上及び下面の相補的な突出部及び凹部を有するディスクであってもよい。相互係止浮体は発泡体充填であっても又は中空であってもよい。相互係止浮体は、海面より最大で15メートル下の深さで実質的に一定の変位量を有する低密度の剛性構造であることが求められる。
【0023】
第2態様において、滑り無く係留索に解放可能に係合するための組立体が提供され、組立体は、レシーバとリテーナとを含み、
・レシーバは、第1剛体であって、上面と、下面と、第1剛体の上面から第1剛体の下面へ先細になっているとともに、係留索が第1剛体を自由に通過することを可能にするように寸法決めされた切頭円すい形空所とを有する第1剛体であり、
・リテーナは、レシーバの切頭円すい形空所を実質的に充填するように寸法決めされるとともに、2つ以上の相互係止部品からなる第2剛体であり、
・相互係止部品は、係留索を収容するように寸法決めされた開口中空を形成するように相互係止するとともに、係留索に組立体が係合したときに滑りがないように万力のような把持部において係留索に係合する外形付き内面を有する。
【0024】
第3態様において、第1態様の水産養殖装置を使用して外洋において海洋種を養殖する方法が提供され、方法は、
a)係留索が通された装置を提供するために、固定された係留索の自由端を装置の開口中空アクスルに通すことと、
b)沈められた装置を提供するために、係留索が通された装置を外洋の水面下深さ少なくとも5メートルまで浸すことと、
c)沈められた装置が深さより上に上昇することを防ぐために、係留索をリテーナと解放可能に係合することと
を含む。
【0025】
典型的には、方法は外洋の沖合で利用され、海洋種は二枚貝、大型藻類(海藻)及び甲殻類の種を含む。養殖され得る二枚貝はイガイの稚貝及びカキを含む。
係留索は、悪条件、すなわち嵐の間に生じる最大張力に耐え得ることが求められる。典型的には、係留索はワイヤロープ係留索である。装置を水面下少なくとも5メートルの深さまで浸すことは、係留索が破損するリスクを低くする。リテーナは、沈められた装置の必要な深さからの滑り又は意図的でない解放を防ぐために係留索に係合することが求められる。
【0026】
装置が浸され得る最大深さは、現地の状況及び養殖されている海洋種に依存する。装置を水面下5~15メートルの深さまで浸すことは、現地の状況及び養殖されている海洋種のほとんどの組合せにとって最適である可能性がある。
【0027】
第4態様において、1つ又は複数の海洋種の沖合での養殖のためのシステムが提供され、システムは、
・第1態様の沈められた水産養殖装置と、
・海底に固定された係留索と
を含み、
係留索は装置の開口中空アクスルを通過し、係留索と解放可能に係合したリテーナを使用して装置が水面下のある深さより上に上昇するのを防ぐ。
【0028】
有利には、係留索と解放可能に係合したリテーナは、装置が水面下のある深さより上に上昇することを防ぐための唯一の手段である。
好ましくは、リテーナのためのレシーバは装置の開口アクスルの上端の周りに取り付けられる。より好ましくは、第2態様のリテーナ及びレシーバ組立体を使用して装置が水面より下のある深さより上に上昇するのを防ぐ。
【0029】
この明細書の説明及び特許請求の範囲において、以下の略語、頭字語、用語及び表現は以下の意味を有する、すなわち、「浮揚性」は、浮かんだままでいられる若しくは浮かんだままとなりやすい、又は液体若しくは気体の頂部まで上昇することができる若しくは気体の頂部まで上昇し易いことを意味し、「相補的」は、対応する形状を有する、すなわち一致することを意味し、「備える(comprising)」は、「含む(including)」、「含有する(containing)」又は「を特徴とする」を意味するとともに、いずれの追加的な要素、成分又はステップも除外せず、「から本質的になる」は、材料制限である任意の要素、成分又はステップを除外することを意味し、「からなる」は、不純物及びその他の付随的なものを除き特定されていない任意の要素、成分又はステップを除外することを意味し、「外形付き」は、特定の形状になるように成形されていることを意味し、「クロスビーム」は横梁を意味し、「養殖する」は生育に好適な条件において維持することを意味し、取集することと生育に好適な条件において維持することとを含み、「動かないように」は相対的な移動を可能にしないことを意味し、「半部」は、2つの均等な又は対応する部品であって、何かがそれになるように分割される又は分割され得る部品を意味し、「中空」は、何かにおける穴又はくぼみを意味し、「相互係止」は、突出部及び凹部の継ぎ手により互いに係合することを意味し、「低密度」は水の密度未満の密度を有することを意味し、「取り付けられた」は支持体に配置又は設置されることを意味し、「周りに取り付けられた」は、開口を通る通路を遮らないように開口の周りに取り付けられたカラーなどを遮らないように取り付けられることを意味し、「沖合」及び「外洋」は、例えば岸から少なくとも1海里のところにある海の高エネルギー環境に位置することを意味し、「剛性」は形が崩れるように曲げられることも又は強制されることもできないことを意味し、「回転対称」は、2つの同一の積み重ね可能な浮体の相補的な突出部及び凹部の位置に関して、浮体が互いに対して2つ以上に向きに積み重なり得、向きは、2つの浮体のうちの1つをそれらの共通の軸を中心として回転させることにより到達され得ることを意味し、「鋸歯状」はギザギザのエッジ又は表面を有することを意味し、「滑り」は滑るという動き又はプロセスを意味し、「切頭」は、端部を切り取ることにより短くされることを意味し、「先細」は、一端に向かって厚さを小さくする又は減少させることを意味し、「係留索が通された(threaded)」は、(ここで説明された水産養殖装置に関連して)開口アクスルの中空を通過する係留索を有することを意味し、「空所」は完全に空の空間を意味する。定義された用語のいずれの同源語も対応する意味を有する。
【0030】
「上」及び「下」という用語は、装置又は組立体が展開されたときのそれらの相対的な位置により水産養殖装置又は組立体の特徴を区別するために使用される。発明及び特許請求の範囲の記述において定義された対象の要素、特徴又は整数に関して使用される、又は本発明の代替的実施形態に関して使用される場合「第1」、「第2」、「第3」などの用語は選好の順序を示すことを意図するものではない。選好の順序は「好ましくは」、「より好ましくは」などにより示される。本発明の一態様要素、特徴部、整数又は限界のいずれかの優先はまた、本発明の別の態様において存在する場合、同じ要素、特徴部、整数又は限界の優先である。
【0031】
水産養殖装置の非限定的で例示的な実施形態並びにリテーナ及びレシーバ組立体と併せてのその使用が添付図面のページの図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】上端フレーム(2)、下端フレーム(3)、中空アクスル(4)、クロスビーム(5)、ビーム(6)及びそれらの取付け位置(8、9)、養殖ラック取付具(10、11)及びレシーバ(12)を示す、水産養殖装置のケージ(1)より上からの斜視図。
図2】追加的にトランペットホーン形ガイド(13)を示すケージ(1)より下からの斜視図。
図3】フロートスリーブを形成するために中空アクスル(4)に取り付けられた相互係止浮体(14)を備えたケージ(1)の斜視図。
図4】チャネル(15)並びに相補的な突出部(16)及び凹部(17)を示す浮体(14)の上(頂)及び下(底)面の斜視図。
図5A】円筒形養殖ラック(18)の斜視図。
図5B】箱形養殖ラック(19)の斜視図。
図6A】イガイの稚貝の取集のためにロープ(20)で巻かれた円筒形養殖ラック(18)の斜視図。
図6B】稚貝ロープ(20)で巻かれた養殖フレーム(21)の2つのボックス(22)を含む箱形養殖ラック(19)の斜視図。
図6C】カキバスケット(23)を積んだ箱形養殖ラック(19)の斜視図。
図7】中空アクスル(4)に取り付けられた相互係止浮体(14)と、対応するラック取付具(10、11)同士の間に交互に取り付けられた円筒形養殖ラック(18)及び箱形養殖ラック(19)とを備えた水産養殖装置(24)の斜視図。
図8】ラック取付具(11、12)同士の間に取り付けられた図6A図6Cに示された、載荷した又は巻かれた養殖ラック(18、19)を備えた水産養殖装置(24)の斜視図。
図9】前景の係留索及び空の八角形の養殖ケージ並びに中心アクスルに取り付けられた相互係止浮体を備えた、シークレーンを使用して荷船のデッキから展開されている水産養殖装置の実施形態の写真。
図10】ねじ込み式アンカー(26)、スイベル(27)、ロードセル(28)及びマーカーブイ(29)を備えた単一の係留索(25)を使用した水産養殖装置(24)の展開の概略図。第2係留索(25)及びねじ込み式アンカー(26)に取り付けられた隣接する監視ブイ(30)もまた示されている(正確な縮尺ではない)。
図11】水産養殖装置(24)が水面にある図10に示された展開の概略図。
図12】任意選択のキャップを含むリテーナの好ましい実施形態の第1部品の斜視図(A)、内面図(B)及び側面図(C)。
図13】任意選択のキャップを含むリテーナの好ましい実施形態の第2部品の斜視図(A)、側面図(B)及び内面図(C)。
図14】ワイヤロープ及びワイヤロープが通過するレシーバ(先細カラー)を係合させるために相互係止するリテーナの好ましい実施形態の第1及び第2部品の概略図。
図15】係留索との解放可能な係合の前(A)及び後(B)のリテーナ及びレシーバ(先細カラー)の好ましい実施形態の第1及び第2相互係止部品の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
水産養殖装置は、養殖ラックが解放可能及び回転可能に取り付けられるケージを含む。有利には、装置は最小限の量の基礎構造、すなわち係留索のための単一のアンカーで展開され得る。ケージは、単一の係留索が通過し得る中空アクスルを含む。相互係止浮体はこのアクスルに解放可能に取り付けられ、装置が沈められたときに浮力を提供し且つ装置が水面にあるときに装置を方向付ける長尺状のフロートスリーブを形成する。有利には、装置は水面に持って行かれ得るとともに、養殖ラックは装置を水の外まで上昇させること無しに検査され得る。
【0034】
開口中空アクスル(4)のそれぞれ上及び下端の周りに取り付けられた上端フレーム(2)と下端フレーム(3)とを含むケージ(1)が図1に示されている。端フレーム(2、3)は中空アクスル(4)の両端にクロスビーム(5)を介して取り付けられる。端フレーム(2、3)の頂点同士の中間の対応する位置(8、9)で端フレーム(2、3)の各々の周辺部に直角に接合された複数の均等に間を空けて配されたビーム(6)が、ケージに剛性を提供する。端フレーム(2、3)の各々の周辺部には追加的に端フレーム(2、3)の頂点に位置するラック取付具(10、11)が設けられる。代替的実施形態において、ビーム(6)は頂点で接合され得、ラック取付具(10、11)は頂点同士の中間に位置し得る。しかしながら、ビーム(6)及び取付具(10、11)の前者の構成が、より大きい直径のラックが収容され得るため一般に好ましい。
【0035】
端フレーム(2、3)及びビーム(6)は、水産養殖装置が沈められたときに海水が水産養殖装置の本体を通って流れることを可能にする開いたケージ(1)を形成する。添付図面のページの図において示された実施形態において、端フレーム(2、3)は形が実質的に六角形である。他の実施形態において、形が実質的に三角形、四角形、五角形、七角形又は八角形の端フレームが使用されてもよい。選択は、取り付けられることになる養殖ラックのサイズ及び数に少なくとも部分的に依存する。2つの、3つの又は4つのクロスビームを備えた実質的に六角形又は八角形の端フレームが一般に好ましい。
【0036】
係留索がケージ(1)のアクスル(4)の中空を自由に通過し得る。上端フレーム(2)は、コレット又は係留索に解放可能に係合する他の形のリテーナを受けるように寸法決めされたレシーバ(12)、例えば先細カラーを含む。可能なリテーナ及びレシーバ組立体が、国際出願第PCT/NZ2014/000008号[国際公開第2014/116123号]に添付の明細書において説明されている。しかしながら、特に好ましいリテーナ及びレシーバ組立体が以下で説明される。係留索での通過を円滑にし摩擦を減らすために、下端フレーム(3)は図2に示されるトランペットホーン形ガイド(13)を含む。
【0037】
いくつかの浮体(14)が、図3においてケージ(1)のアクスル(4)に取り付けられた状態で示され、これらの浮体(14)の上及び下面が図4に示されている。浮体(14)の各々は、浮体がアクスル(4)に摺動可能に取り付けられることを可能にするように寸法決めされた円周から中心へのチャネル(15)を有する。浮体(14)は相補的な突出部(16)及び凹部(17)をそれぞれそれらの上及び下面に有し、これらの相補的な突出部(16)及び凹部(17)の位置に関して回転対称である。浮体(14)はしたがって積み重ね可能であるとともに、相互係止する。浮体(14)の突出部(16)及び凹部(17)は、ほぞ穴及びほぞに似たやり方で相互係止を提供する。浮体(14)をアクスル(4)に取り付けるとき、各連続的浮体(14)をアクスル(4)を中心として回転させることにより、連続的浮体(14)のチャネル(15)の非整列が確実になるが、隣接する浮体(14)の相補的凹部(17)との突出部(16)の整列が確実になる。浮体(14)はそれにより、単一の係止機構及び個々の浮体(14)の除去又は追加により容易に調整される水産養殖装置の浮力を使用した長尺状の「フロートスリーブ」としてアクスル(4)に取り付けられた状態で解放可能に保持され得る。
【0038】
交換可能な養殖ラック(18、19)の例が図5A及び図5Bに示されている。図5Aに示された円筒形養殖ラック(18)は、イガイの稚貝の取集又は大型藻類(海藻)の生育のために使用され得る。イガイの稚貝の取集のために使用される場合、コイル又はロープ(20)が図6Aに示されるとおり円筒形養殖ラック(18)の周りに巻き付けられる。海藻の生育のために使用される場合、予め植え付けられた布、例えばリンネルが円筒形養殖ラック(18)の周りに巻き付けられる。図5Bに示された箱形養殖ラック(19)もまたイガイの稚貝の取集のために使用される。このような方法で使用される場合、養殖フレーム(21)はコイル又はロープ(20)で巻かれるとともに、養殖フレーム(21)を保持するように設計されたボックス(22)に挿入される。ボックス(22)は次いで図6Bに示されるとおり箱形養殖ラック(19)に挿入される。箱形養殖ラック(19)はまた、図6Cに示されるとおりラックにおいて積み重ねられたカキバスケット(23)でカキを養殖するために使用され得る。
【0039】
水産養殖装置(24)が図7に示されている。水産養殖装置(24)は、アクスル(4)に取り付けられた9つの相互係止浮体(14)からなるフロートスリーブと共に示されている。各浮体(14)は、最大で15メートルの深さで実質的に同じ水の変位量を維持するように十分に剛性である。アクスル(4)に取り付けられる浮体(14)の数は、装置に必要な浮力を提供するように調整される。養殖ラック(18、19)の各々は、上ラック取付具(11)と対応する下ラック取付具(12)との間に解放可能に取り付けられる。
【0040】
図7(載荷されていない養殖ラック)及び図8(載荷養殖ラック)に示された水産養殖装置(24)の実施形態において、構成要素(端フレーム(2、3)、アクスル(4)及びビーム(5、6))は典型的にはステンレス鋼(SS316)から作られるとともに、水産養殖装置(24)のケージ(1)に必要とされる剛性、強度及び耐久性を提供するために一緒に溶接される。図7及び図8に示された水産養殖装置(24)の実施形態のサイズへのガイドとして、アクスル(4)は長さが1750~2250mmであり、六角形の上及び下端フレーム(2、3)の側部は、長さが1300~1600mmである。アクスル(4)に10個の浮体(14)が取り付けられた状態で、フロートスリーブは約1400Kgの総浮力を提供する。
【0041】
装置は、15~20年の寿命を有することが意図される。繊維強化有り又は無しの高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリマーの使用のように、亜鉛めっきされた又はポリウレタンコーティング軟鋼がステンレス鋼(SS316)の使用の可能な代替形態である。ステンレス鋼(SS316)の代替形態の使用の限界には、装置の接合部に十分な剛性及び強度が必要であることが含まれる。これらの限界は養殖ラック(18、19)にはあまり当てはまらず、代替的材料から作られたラックを備えたステンレス鋼(SS316)から作られたケージの使用が、養殖ラック(18、19)が水産養殖装置(24)において検査又は交換され得るより大きい設備を原因として、期待される。
【0042】
水産養殖装置(24)は、典型的には、図9に示されるシークレーンを使用して船舶、例えば荷船のデッキから展開される。水産養殖装置(24)は沖合に固定された単一の係留索を使用して展開される。例えば、係留索(25)は、図10に示されるとおり約45メートルの深さに設置されたねじ込み式アンカー(26)に取り付けられ得る。有利には、スイベル(27)が、水産養殖装置(24)が展開されることになる深さより下で、係留索(25)に含まれる。16~20メートルの深さにスイベルを設置することは、水産養殖装置のほとんどの使用に好適である。係留索(25)は同様に、水産養殖装置(24)が展開されることになる深さより下であるがスイベル(27)の位置より上に位置するロードセル(28)を含み得る。8~10メートルの深さにロードセルを設置することは、水産養殖装置が水面下5メートルに浸されるときに好適である。ロードセル(28)は、水産養殖装置(24)が展開されたときに係留索の載荷の遠隔監視を提供する働きをし得る。スイベル(27)は、展開された水産養殖装置(24)が水流及び波の動きにより回転させられるときに、係留索における緊張を解放させる働きをする。
【0043】
係留索の位置は、容易に船舶のデッキに持ってくることができるとともに、係留索から一時的に分離され得る単一の水面マーカーブイ(29)により特定される。係留索の自由端が次いで、水産養殖装置(24)のトランペットホーン形ガイド(13)及びアクスル(4)の中空を通される。係留索(25)に解放可能に係合するコレット又は他の形のリテーナが導入されること、及び水面マーカーブイ(29)が再び取り付けられることを可能にするのに十分な係留索がアクスル(4)の中空を通される。コレットが使用される場合、係留索(25)はマーカーブイ(29)の再取付の前にコレットを通じて供給される。他のリテーナは、組合せでコレットと同じ機能を行う、すなわちそれらの外面がレシーバ(12)の内壁に当接する際に係留索(25)に係合する先細カラーの対を含み得る。
【0044】
係留索が通された水産養殖装置(24)はシークレーンのフックに取り付けられ、船舶のデッキから上昇させられ、水面まで低下させられる。浸水を円滑にするために、係留索が通された水産養殖装置(24)は、一時的に重りを付けられ得るとともに、スキューバダイバーの支援により必要な深さまで導かれ得る。係留索が通された水産養殖装置(24)は、典型的には、表面下5~10メートルの深さまで沈められ、深さは水産養殖装置(24)の上端フレーム(2)の上面から測定される。コレット又は他の形のリテーナが適所に置かれると、係留索が通された水産養殖装置(24)に一時的に取り付けられた重りはいずれも除去され得、シークレーンのフックに取り付けられ、次いで、係留索が通された水産養殖装置(24)はフックから分離される。
【0045】
係留索(25)はしばしばワイヤロープとされる必要がある。鋼ワイヤロープ及び係留索としてのそれらの使用はよく知られている。組立体とあわせて海及び沖合での用途における使用に好適なワイヤロープの例には、カトラディス(Katradis)(ピレウス、ギリシャ)により提供されたものが含まれる。天然繊維又は合成材料、例えばポリエチレンから作られたロープである係留索に対して、ワイヤロープである係留索は概して引き伸ばしの影響を受けにくい。使用中、係留索の断面は、したがってより一定であり圧縮に耐性がある。
【0046】
添付図面のページの図12図15を参照すると、ワイヤロープ係留索(25)との使用に特に好適なリテーナ及びレシーバ組立体が説明される。リテーナは、2つの非対称相互係止半部(31、37)を含む。この組立体の使用は水産養殖装置(24)の展開との関連において説明されるが、組立体は、係留索(25)との解放可能な係合が必要とされる任意の浮揚性の海洋装置の展開において有利には使用され得ることが認められる。
【0047】
図12を参照すると、リテーナの第1半部(31)が示される。リテーナの第1半部(31)は内面と外面とを有する。内面の長さには、2つの非対称相互係止半部(31、37)が組み合わされたときに係留索(25)を収容するように寸法決めされる中央の、長尺状の、開放チャネル(32)が設けられる。リテーナの第1半部(31)にはまた、チャネル(32)の両側の内面から2つの突出部(33、34)が設けられる。2つの突出部(33、34)の対向する表面はチャネル(32)の側壁と連続しており、各々外形付き表面(35、36)を有する。
【0048】
図13を参照すると、リテーナの第2半部(37)が示されている。リテーナの第2半部(37)は内面と外面とを有する。内面の長さには、リテーナの第1半部(31)の中央の、長尺状の、開放チャネルを反映する中央の、長尺状の、開放チャネル(38)が設けられる。リテーナの第2半部(37)にはまた、リテーナの第1半部(31)の突出部(33、34)を受け入れるための凹部を画定するチャネル(32)の両側の内面から突出部(39、40、41、42)の2つの対が設けられる。突出部(39、40、41、42)の2つの対の対向する表面はチャネル(38)の側壁と連続しており、各々外形付き表面(43、44、46、47)を有する。
【0049】
外形付き表面(35、36、43、44、46、47)は、予め選択された係留索の表面と相補的であっても、又は単純に鋸歯状であってもよい。外形付き表面が予め選択された係留索の表面と相補的である場合、4本、5本、又は6本のより糸ワイヤロープ係留索の使用により滑りの回避が最も効果的に達成される。
【0050】
リテーナの第1半部(31)及び第2半部(37)の面の表面は相補的であり、リテーナの第1半部(31)及び第2半部(37)の外面は、半部(31、37)が相互係止されたときに、リテーナの本体が、係留索(25)が通る円錐台として形成されるとともに、リテーナがレシーバ内に収納された時に万力のような把持部において保持されるように、曲線である。
【0051】
図14及び図15を参照すると、第1及び第2半部(31、37)の相互係止並びに係留索(25)とのそのように形成されたリテーナの係合が示されている。図14において、係留索(25)とのリテーナの係合の前のリテーナの第1及び第2半部(31、37)の内面が示されている。レシーバ(12)は先細カラーとして示されている。しかしながら、レシーバ(12)は、剛体の上面から剛体の下面へ先細になっている切頭円すい形空所を提供する剛体でなければならないだけであることが認められる。リテーナは、この空所を実質的に充填するように寸法決めされる。図15において、係留索(25)をレシーバ(12)によりこのとき適所に固定されたリテーナに係合するリテーナの相互係止している第1及び第2半部(31、37)の断面図が示される。このリテーナ(31、37)及びレシーバ(12)組立体を使用した図10に示される水産養殖装置(24)の展開は、40cm/sの水流速度及び5メートルの高さの波に耐えることができることが分かっている。
【0052】
水産養殖装置(24)が検査又は収穫されることになる場合、展開のための手順が逆順に繰り返され得る。例えば、シークレーンのフックは、水産養殖装置、係留索との係合解除を円滑にする必要がある場合は、係留索が通された水産養殖装置に一時的に取り付けられた重り、及びレシーバ(12)から引き出されたリテーナの2つの半部(31、37)に取り付けられ得、それにより水産養殖装置(24)が水面まで引かれることを可能にする。いくつかの環境において、フロートスリーブにより提供された浮力は、リテーナがシークレーンを使用する必要無しにレシーバ(12)から引き出されると水産養殖装置(24)を水面まで上昇させるのに十分であり得る。
【0053】
水面で、重み付けが無い場合、アクスル(4)に取り付けられたフロートスリーブの相互係止浮体(14)により提供された浮力は、水産養殖装置(24)を、図11に示されるとおりアクスル(4)の長さが水面に実質的に平行になるように方向づける。養殖ラック(18、19)の各々は、このとき水産養殖装置(24)をこの軸を中心として回転させるだけで都合よくは検査され得る。水産養殖装置のこの特徴及びその使用は、水産養殖装置(24)を上昇させて水から出す必要を無くし、それにより運用及び補修管理の効率を上げる。展開されると、水産養殖装置は、特別に設計された船舶を必要とせずに荷船のデッキから定期的に検査され得る。
【0054】
装置、組立体及びそれらの使用は例示的な実施形態を参照して説明されたが、本発明の範囲から逸脱すること無しにこれらの実施形態に変更及び修正がなされ得ることが理解されよう。水産養殖装置の特定の要素、特徴又は整数及びその使用の既知の均等物が存在する場合、そのような均等物は、まるでこの説明において具体的に言及されたかのように組み込まれる。具体的に否定されない限り、参照された出版物において開示された要素、特徴又は整数及び参照された出版物から選択された要素、特徴又は整数を含む説明された実施形態の変更形態及び修正形態は、本発明の範囲内にあるとともに、参照によりここに組み込まれる。説明された実施形態により提供された利点は代替形態において又は本発明の異なる実施形態の組合せにおいて提供され得る。
【産業上の利用可能性】
【0055】
外洋環境における海洋種の養殖における装置、組立体及びそれらの使用のための方法が提供される。
参考文献
【0056】
【表1】
参照による組み込み
本願の特許請求の範囲、明細書又は図面の全部又は一部が欠落している場合、優先権が主張されている直近で出願された出願に付随する明細書の対応する部分が、PCT規則4.18、20.5、及び20.6(2015年7月1日から施行されているか、その後改正されている)に従って本明細書を完成させるために参照により組み込まれる。
【0057】
米国連邦規則集37C.F.R.1.57の目的のために、次の出版物の開示(「参考文献」の見出しの下でより具体的に特定される)が、参照により組み込まれる:BuckとLangan(2017)及びHeasman(2014)。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図12c
図13a
図13b
図13c
図14
図15a
図15b
【国際調査報告】