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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】温度制限用光ファイバ温度プローブ
(51)【国際特許分類】
   G01K 11/32 20210101AFI20230712BHJP
【FI】
G01K11/32 E
G01K11/32 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578852
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(85)【翻訳文提出日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 CA2021050858
(87)【国際公開番号】W WO2021258202
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】62/705,323
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521346357
【氏名又は名称】フォトン コントロール インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PHOTON CONTROL INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】イチハシ,ヨシュア
(72)【発明者】
【氏名】フィーヴァー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】チオアタ,フローリン コンスタンティン
(72)【発明者】
【氏名】アンバル,ハリ キショア
(72)【発明者】
【氏名】リウ,イ
(72)【発明者】
【氏名】アミニ,アルボーズ
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056VF02
(57)【要約】
測定対象または測定環境の温度を読み取るための一次温度センサとして光ファイバセンサを含む光温度センシングシステムが開示される。温度プローブは、ソフトウェアを使用せずに固体電子構成要素を使用して温度出力を生成する変換器に結合される。測定対象の温度を読み取るための温度センサと、一次温度センサ信号を提供する第1の変換器と、第1の変換器によって提供される信号から二次温度センサ信号を生成する第2の変換器とを有するデュアル変換器モジュールとを含む温度センシングシステムも開示される。 また、サーミスタや熱電対の出力を模倣する出力を生成する変換モジュールを備えた光温度センサも記載されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境の温度を検出するための光温度センサシステムであって、
光ファイバ温度センサを有する温度プローブと、
固体電子機器を用いて、ソフトウェアなしで、温度出力を生成する変換器と、
を備える、光温度センサシステム。
【請求項2】
前記光ファイバ温度センサは、前記環境の温度をセンシングすることに応答して信号を生成し、前記信号は前記温度に応答する減衰率によって変動し
前記変換器は、
1つ以上の信号特性と1つ以上の期待される信号特性を比較することにより、前記信号を、前記減衰率を表す中間信号に変換し、
前記中間信号と基準温度に関連する予想減衰率を比較することによって、前記中間信号を温度出力に変換するように構成された固体電子機器を含む信号処理システムから構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記温度出力は、熱電対あるいはサーミスタからの出力の形態である、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
光ファイバセンサは蛍光体ベースまたはGaAsベースの光ファイバセンサである、請求項1~3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記信号処理システムは、前記信号を、前記減衰率に反比例する変化率を有する前記中間信号に変換するように構成される、対数増幅器を有する、請求項1~4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記信号処理システムは、中間信号が1つ以上の閾値を越えることに応答して1つ以上のパルスを生成するように構成される1つ以上の比較器を有し、
前記温度出力は、前記1つ以上のパルスの間で観測された減衰率に基づいて生成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記信号処理システムは、前記中間信号を予めプログラムされた変換に基づいて前記温度出力に変換する個別の不揮発性メモリを有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記環境の温度をセンシングすることに応答して、さらなる信号を生成するように構成される二次温度センサをさらに備え、前記さらなる信号は、冗長温度測定値として前記温度制限保護回路に提供される、請求項1~7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
環境の温度を検出するための光温度センサシステムであって、
光ファイバ温度センサを有する温度プローブと、
2つ以上の並列に配置された読み出し電子機器によって、前記光ファイバ温度センサからの信号に基づき、第1の温度出力と第2の温度出力を別々に生成する変換器とを備える、光温度センサシステム。
【請求項10】
前記2つ以上の並列に配置された読み出し電子機器は、ソフトウェアを持たない固体電子機器である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の温度出力または前記第2の温度出力は、温度超過状態を示すものである、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の温度出力または前記第2の温度出力は、故障状態を示す、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項13】
前記2つ以上の読み出し電子機器のうちの少なくとも1つがプログラマブルハードウェアを含む、請求項9~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の温度出力または前記第2の温度出力は、熱電対またはサーミスタの出力の形態である、請求項9、10、または14のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の温度出力または前記第2の温度出力は、K型熱電対の電圧値であることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記温度プローブは、前記環境中の物体の表面温度を測定するための単一の熱伝導性チップの単一プローブを含む、請求項9~15のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
前記温度プローブは、液体または気体内部の温度を測定するためのシースの内部に収容される、請求項9~15のいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
物体の温度をセンシングするためのシステムであって、
温度のセンシングに応答して信号を生成する光ファイバ温度センサであって前記信号は温度に応答する減衰率に従って変動する光ファイバ温度センサと、
温度のセンシングに応答して冗長信号を生成するように構成される冗長温度センサと、
1つ以上の信号特性と1つ以上の予想される信号特性を比較することにより、前記信号を、減衰率を代表する中間信号に変換するよう、および
前記中間信号と予想される減衰率を比較することに基づいて、前記中間信号を温度出力に変換するよう、および
前記冗長信号および/または前記温度出力を温度制限保護回路に出力するように構成される信号処理システムと、を備えるシステム。
【請求項19】
前記信号処理システムは、1つ以上の固体構成要素で構成されていることを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記光ファイバ温度センサおよび前記冗長温度センサは1つのプローブ内にある、請求項18または19に記載のシステム。
【請求項21】
前記光ファイバ温度センサおよび前記冗長温度センサは、前記単一プローブの単一の熱伝導性チップに収容され、前記物体の表面温度を測定する、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記光ファイバ温度センサと前記冗長温度センサは、単一のシース内に収容され、液体または気体内の温度を測定する、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記温度出力はK型熱電対電圧である、請求項18~22のいずれかに記載のシステム。
【請求項24】
前記光ファイバ温度センサは蛍光体ベースまたはGaAsベースの光ファイバセンサである、請求項18~23のいずれかに記載のシステム。
【請求項25】
前記冗長温度センサは蛍光体ベースまたはGaAsベースの光ファイバセンサである、請求項18~24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記冗長温度センサは熱電対またはサーミスタであり、前記信号処理システムは前記信号を前記温度出力に変換するために使用されるプログラマブルメモリを有する、請求項18~24のいずれかに記載のシステム。
【請求項27】
前記プログラマブルメモリは、1つ以上の前記物体および前記冗長温度センサに関連する1つ以上のパラメータおよび/または較正値を含む、請求項18~26のいずれかに記載のシステム。
【請求項28】
発熱体コントローラに結合された発熱体と、
光ファイバ温度センサを有する温度プローブと、
ソフトウェアを使用せずに固体電子機器を使用して、前記温度プローブからの信号に基づいて、第1の温度出力を生成し、
1つ以上のメモリで前記信号を処理することに基づいて、第2の温度出力を生成し、
前記第1の温度出力および前記第2の温度出力を前記発熱体コントローラに出力する変換器とを備え、
前記発熱体コントローラは、受信した前記第1の温度出力および前記第2の温度出力に基づいて前記発熱体の動作を調整する、加熱システム。
【請求項29】
前記発熱体は無線周波数電源によって給電される無線周波数ヒータであり、前記第1の温度出力は前記発熱体コントローラによって解読可能なULリステッドまたはIEC61508規格のプログラミング可能な読み出し値である、請求項28に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年6月22日に出願された米国仮出願第62/705,323号に対する優先権を主張する。米国仮出願第62/705,323号の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
以下に、温度制限用途の光ファイバ温度プローブについて説明する。
【0003】
熱電対とサーミスタは、温度制限用途に使用される温度センサの一般的なタイプである。多数の制御システムが、温度を調節し制限するために、熱電対またはサーミスタの出力をフィードバックとして受け入れるように設計されてきた。熱電対もサーミスタも電気的なものであり、無線周波数(RF)などにさらされると電線がアンテナとして機能するため、これらのセンサが出力する信号はノイズが多く、不正確な場合が多く、高いRFフィールド(プラズマを用いる一部の半導体プロセスなど)では、大きな誘導電圧により作業者の安全が脅かされることがある。
【0004】
ヒータの能動的温度制御を使用するシステムにおいて、「温度超過」状態に対して安全仕様が満たされることを保証するために、冗長温度センサが必要とされる場合がある。例えば、セミS2要求規格は、冗長性なしに安全でない状態を検出できないことにつながる故障モードが存在しないことを保証するよう、準拠システムに要求することができる。IEC60730-1やUL60730-1(UL873の後継) などの他の様々な規格も、同様または他のタイプの冗長性を要求している場合がある。温度超過の仕様では、単一点の故障モードが存在しないことが一般的に要求される。つまり、デバイスが許容範囲外であっても、温度を報告しない場合は問題ないと判断される。温度不足の故障モードもまた、望ましくはないが、一般的に許容される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
能動加熱を必要とし、例えばプラズマ堆積プロセスのようなプラズマ生成を通じてRFに曝されるアプリケーションは、閉ループ制御のための正確な温度測定を確実にするために、光ファイバ技術の恩恵を受けることができる。光ファイバ技術は、温度超過状態の測定値を提供するために、二次的なセンサと組み合わせて使用することができる。
【0006】
従来、冗長な温度センシングを行うために2つの温度チャンネルが必要な場合、これらのチャンネルは熱電対またはサーミスタを使用して提供され、一方は他方のバックアップとして使用される。光ファイバセンサは制御機能として使用されるが、適用される安全規格に適合するために安全規格のソフトウェアまたは安全規格の固体電子機器を必要とするため、温度制限センサとしては使用されていない。これは、熱電対やサーミスタと比べて、光センサが電界中に置かれた場合に同じような不正確さおよびノイズの影響を受けないという欠点があるためと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
熱電対やサーミスタの出力を模倣した出力を持つ光センサをそれらの代わりに使用することで、制御システムに追加の変更や改造を必要とせず、ノイズの多い電気環境においてより正確なフィードバックを制御システムに提供することができる。また、固体デバイスや安全規格に準拠したソフトウェアのみを使用することで、温度調節機器として確立された安全規格を満たすように設計することができる。さらに、プログラマブルデバイスは一般的にデバイスの認証を取得するためのコストを増加させるため、アナログ設計を使用することで、このような基準をより容易に満たすことができる。
【0008】
1つの局面において、測定対象の温度を読み取るための一次温度センサとしての蛍光体ベースの光ファイバセンサと、温度超過保護回路に接続された二次冗長温度センサとを備える温度センシングシステムが提供される。
【0009】
別の局面として、測定対象の温度を読み取るための温度センサと、一次温度センサ信号を提供するための第1の変換器と、第1の変換器によって提供される信号から二次温度センサ信号を生成するための第2の変換器を含むデュアル変換器モジュールとを備える温度センシングシステムが提供される。
【0010】
さらに別の局面において、サーミスタまたは熱電対の出力を模倣する出力を生成する変換モジュールを有する光温度センサを具備する。
【0011】
さらに別の局面において、環境中の温度を検出するための光温度センサシステムが開示される。光温度センサシステムは、光ファイバ温度センサを有する温度プローブと、ソフトウェアを使用せずに固体電子構成要素を使用して温度出力を生成する変換器と、を含む。例示的な実施形態において、光ファイバ温度センサは、環境の温度をセンシングすることに応答して信号を生成する。信号は、温度に応答する減衰率に従って変動する。変換器は、1つ以上の信号特性と1つ以上の予想される信号特性を比較することによって、信号を、減衰率を代表する中間信号に変換し、基準温度に関連する予想減衰率と中間信号を比較することによって中間信号を温度出力に変換するように構成される半導体電子機器を含む信号処理システムを含む。
【0012】
例示的な実施形態において、温度出力は、熱電対またはサーミスタの出力の形態である。
【0013】
例示的な実施形態において、光ファイバセンサは、蛍光体ベースまたはGaAsベースの光ファイバセンサである。
【0014】
例示的な実施形態において、信号処理システムは、信号を、減衰率に反比例する変化率を有する中間信号に変換するように構成された対数増幅器を具備する。例示的な実施形態において、信号処理システムは、中間信号が1つ以上の閾値を横切ることに応答して1つ以上のパルスを生成するように構成された1つ以上の比較器を備え、温度出力は1つ以上のパルス間で観測される減衰率に基づいて生成される。例示的な実施形態において、信号処理システムは、予めプログラムされた変換に基づいて中間信号を温度出力に変換する個別の不揮発性メモリを有する。
【0015】
例示的な実施形態において、システムは、環境の温度をセンシングすることに応答してさらなる信号を生成するように構成された二次温度センサをさらに含み、さらなる信号は、冗長温度読み取り値として温度制限保護回路に提供される。
【0016】
さらに別の局面において、環境中の温度を検出するための光温度センサシステムが開示される。このシステムは、光ファイバ温度センサと、光ファイバ温度センサからの信号に基づき並列の2つ以上の読み出し電子機器によって第1の温度出力と第2の温度出力とを別々に生成する変換器とを有する温度プローブを含む。
【0017】
実施形態の例で、並列の2以上の読み出し電子機器は、ソフトウェアを伴わない固体電子機器である。
【0018】
例示的な実施形態において、第1の温度出力または第2の温度出力は、温度超過状態を示す。
【0019】
例示的な実施形態において、第1の温度出力または第2の温度出力は、故障状態を示す。
【0020】
例示的な実施形態において、2つ以上の読み出し電子機器のうちの少なくとも1つは、プログラマブルハードウェアを含む。
【0021】
例示的な実施形態において、第1の温度出力または第2の温度出力は、熱電対またはサーミスタの出力の形態である。例示的な実施形態において、第1の温度出力または第2の温度出力は、K型熱電対の電圧値である。
【0022】
例示的な実施形態において、温度プローブは、環境中の物体の表面温度を測定するための単一熱伝導性チップの単一プローブを含む。
【0023】
例示的な実施形態において、温度プローブは、液体または気体の内部の温度を測定するためにシース内に収容される。
【0024】
さらに別の局面において、物体の温度をセンシングするための、システムが開示される。このシステムは、温度センシングに応答して信号を生成する光ファイバ温度センサと、温度に応答する減衰率に従って変動する信号と、温度センシングに応答して冗長信号を生成するように構成される冗長温度センサと、を含む。システムは、1つ以上の信号特性と1つ以上の予想される信号特性を比較することによって、信号を、減衰率を代表する中間信号に変換し、中間信号と予想される減衰率を比較することによって中間信号を温度出力に転換するように構成された信号処理システムを更に含む。信号処理システムは、冗長信号および/または温度出力を温度制限保護回路に出力する。
【0025】
例示的な実施形態例において、信号処理システムは、1つ以上の固体構成要素で構成される。
【0026】
例示的な実施形態において、光ファイバ温度センサと冗長温度センサは、単一のプローブ内にある。
【0027】
例示的な実施形態において、光ファイバ温度センサと冗長温度センサは、物体の表面温度を測定するための単一プローブの単一の熱伝導性チップ内に収容される。
【0028】
例示的な実施形態において、光ファイバ温度センサおよび冗長温度センサは、液体または気体内部の温度を測定するために単一のシースの内部に収容される。
【0029】
例示的な実施形態において、温度出力は、K型熱電対の電圧値である。
【0030】
例示的な実施形態において、光ファイバ温度センサは、蛍光体ベースまたはGaAsベースの光ファイバセンサである。
【0031】
例示的な実施形態において、冗長温度センサは、蛍光体ベースまたはGaAsベースの光ファイバセンサである。
【0032】
例示的な実施形態において、冗長温度センサは熱電対またはサーミスタであり、信号処理システムは、信号を温度出力に変換するために用いられるプログラマブルメモリから構成される。
【0033】
例示的な実施形態において、プログラマブルメモリは、物体及び冗長温度センサのうちの1つ以上に関連する1つ以上のパラメータ及び/又は較正値を含む。
【0034】
さらに別の局面において、発熱体コントローラに結合された発熱体と、光ファイバ温度センサを有する温度プローブと、変換器とを備える加熱システムが開示される。変換器は、ソフトウェアを用いずに固体電子部品を用いて温度プローブからの信号に基づき第1の温度出力を生成し、1つ以上のメモリで信号を処理することに基づき第2の温度出力を生成し、第1の温度出力及び第2の温度出力を発熱体コントローラに出力する。発熱体コントローラは、受け取った第1の温度出力と第2の温度出力に基づいて、発熱体の動作を調整する。
【0035】
例示的な実施形態において、発熱体は、無線周波数電源によって給電される無線周波数ヒータであり、第1の温度出力は、発熱体コントローラによって解釈可能なULリステッド又はIEC 61508規格のプログラマブル読み出しである。
【0036】
以下、添付の図面を参照して、実施形態を説明するが、ここで、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】温度センシング環境と、そのような環境における加熱システムを制御するための温度コントローラの概略ブロック図である。
図2】光ファイバ温度センサおよび温度コントローラのための機能安全システムの概略ブロック図である。
図3a】独立したデュアル温度プローブ構成を示すブロック図である。
図3b】組み合わされたデュアル温度プローブ構成を示すブロック図である。
図3c】単一プローブ、単一光ファイバ、デュアル変換モジュールの構成を示すブロック図である。
図4a図3bに示される構成のさらなる詳細を示す概略ブロック図である。
図4b図3aに示された構成のさらなる詳細を示す概略ブロック図である。
図5図3cに示された構成のさらなる詳細を示す概略ブロック図である。
図6】単一プローブマルチチャンネル構成を示す概略ブロック図である。
図7】一次および二次温度チャネルを有する複合センサプローブの断面図である。
図8】デュアル温度センサプローブのためのセンシングチップの拡大断面図である。
図9】デュアル温度センサプローブの断面図である。
図10】光信号から安全な温度アナログ変換を行うための模式図である。
図11a】光ファイバ温度センサ入力を用いた安全な温度変換のためのブロック図の一例である。
図11b】光ファイバ温度センサ入力を用いた安全な温度変換のためのブロック図の一例である。
図12図11a、11bのブロック図のシミュレーションにおいて注目される信号を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
ここで図に目を向けると、図1は、加熱システム16が、温度測定が望まれる物体、例えば半導体シャワーヘッド、ペデスタル、または静電チャック(ESC)に熱を提供しているセンシング環境10の一例を示すものである。1つ以上の温度センサ12、14は、例えば、プラズマ堆積プロセスのようなプラズマ生成を通じてRFに曝される能動加熱を必要とするアプリケーションの実行中、測定対象の温度を測定するために使用される。温度センサ12、14は、温度コントローラ18に結合され、これは、センシング環境10に結合された、またはセンシング環境10内に配置された加熱システム16を制御するために使用される。温度センサ12、14のうちの1つは、安全上重要な機能または用途に使用される。例えば、温度センサ12、14は、温度コントローラ18の温度制限機能20によって使用されてもよい。
【0039】
図2は、環境10内の温度をセンシングするための機能安全システムを規定する第1の安全温度センサ12を示す。安全温度センサ12は、環境10内の温度を測定するように配置されるセンシング素子22(例えば、蛍光体ベース、またはヒ化ガリウム(GaAs)ベースの素子)と、温度コントローラ18のコントローラインターフェース26に結合されるように構成される安全インタフェース24とを含む。コントローラ18はまた、加熱システム16の対応するヒータインタフェース30に結合されるヒータインタフェース28を含む。加熱システム16はまた、この例で、環境10内の熱源として作用するように配置されたRFヒータ32を含む。
【0040】
冗長性を提供するため、または一次および二次温度センシングの役割を提供するため、環境10内のアプリケーションで複数の温度センサ12、14を使用することができる。本明細書で提供される例では、第1の温度センサ12は、主目的として信頼性を提供するように構成された、上述の「安全」センサを指し、第2の温度センサ14は、主目的が必ずしも信頼性(例えば、精度)ではなく、したがって、他の、非安全に関する重要な機能性に使用可能な、別の温度センサを指す。本明細書で説明するように、第1の温度センサ12は、制御システムに追加の変更を必要とせずに、ノイズの多い電気環境10における制御システムに(光学センサを使用することによって)より正確なフィードバックを提供するために、熱電対またはサーミスタの出力を模した出力を備える光学センサを含むことが可能である。第2の温度センサ14はまた、光学センサを含むことができ、較正および温度計算のためのソフトウェアを利用可能である。
【0041】
図3a、図3b、および図3cは、第1および第2の温度信号を得るための例示的な構成を示し、そのうちの少なくとも1つは、環境10内の温度制限のためなど、安全重要機能への入力を提供するものである。図3aにおいて、第1の温度センサ12は、第2の温度センサ14とは別の温度プローブを用いて提供される。すなわち、第1及び第2の温度センサ12、14は、それ自体、温度コントローラ18(図3aには示されていない)に結合される別個の独立したプローブとしてパッケージ化されることができる。図3bでは、第1及び第2の温度センサ12、14は、結合された温度プローブ40に一緒にパッケージされている。図3c(より詳細は図5に示す)において、第1の温度センサ12は、単一のプローブ42を用いて提供され、第1の温度変換モジュール43は、プローブ42から得られたデータを、このように第2の温度センサ14として動作する第2の温度信号を提供するように構成されたハードウェアおよび/またはソフトウェアを含む第2の温度変換モジュール44に供給する。
【0042】
ここで図4aに目を移すと、複合型温度プローブ40が、さらなる詳細とともに示されている。複合型プローブ40は、第1及び第2の温度センサ12、14を保持するか、含むか、あるいは他の方法で整列させて、目標表面、領域、あるいは体積の温度を独立して測定するハウジングあるいは他の物理的構造を含むことができる。この例示的な構成では、第1の温度センサ12は、センシングプローブ48と、温度制限機能20などの安全重要機能用の信号を生成するために使用される安全変換器50とを含む。センシングプローブ48は、センシング素子22と、安全変換器50の変換器光学インタフェース54と光学的に通信するプローブ光学インタフェース52とを含む。
安全変換器50は、センシング素子22に送る光を発生する光源56を含み、この光源は、温度に応じて変化する戻り信号を発生し、検出素子58によって検出される。安全信号(すなわち、論理信号または他の所望のアナログまたはデジタル出力)、例えば、サーミスタまたは熱電対の出力を模倣するものを発生させるために、検出素子58は、安全計算素子62によって使用されるアナログ読み出し60を生成し、安全信号は、安全インタフェース24を介して温度コントローラ18のインタフェース26に送信されることが可能になる。
【0043】
以下に説明するように、安全計算素子62は、光ファイバーセンシングを代用することができるように、熱電対またはサーミスタと同様の信号を生成できる電子機器を有する光ファイバ温度センサ12を採用することによって、いくつかの安全定格熱電対およびサーミスタベースの温度制限装置に存在する電気ノイズの問題を克服し、電気ハザード軽減を提供するために使用される。安全計算素子62は、固体電子機器のみを使用するように構成することができ、あるいは、温度制限アプリケーションに関連する規制および仕様に準拠する安全定格ソフトウェアを使用することができる。
【0044】
図4aに示される第2の温度センサ14は、センシングプローブ48及び典型的な変換器70を含み、これは、必ずしも安全重要仕様を満たす必要がない任意の適切かつ利用可能な技術を利用することが可能である。例えば、典型的な変換器70は、安全認証への適合性よりも温度精度に重点を置くために、ソフトウェア及び較正アルゴリズムを採用することができる。センシングプローブ48は、センシング素子22と、第1の温度センサ12に対する配置と同様に、変換器光学インタフェース54と光学的に通信するプローブ光学インタフェース52を含む。典型的な変換器70はまた、光源56、検出素子58、及びアナログ読み出し60を含む。典型的な変換器70は、記憶されたパラメータ及び/又は較正値66を利用し、ソフトウェア計算素子64を採用して、デジタルインタフェース68のための温度信号を生成することができる。デジタルインタフェース68は、第2の温度センサ14を制御機能または監視機能に接続するために使用することができる。
【0045】
図4bは、温度センサ12、14が、結合されたプローブ40ではなく、あるいはプローブ48を物理的に結合する構造でもなく、別々のプローブ48によって提供される以外は、図4aに示した構成と同一である。図4aおよび図4bに示される構成の間の選択は、規制あるいはアプリケーション固有の要件あるいはパッケージングに関する制限に従って行うことができる。
【0046】
図5は、単一プローブ複合センサ42を図示している。この「ハイブリッド」構成で、センシング素子22および光学インタフェース52を有する単一プローブ48は、図4aおよび図4bに示されるものと同じ方法で安全変換器50とインタフェースする。しかしながら、この構成で、アナログ読み出し60は、安全計算素子62に供給されるのみならず、このようにアナログ読み出し60を活用するように修正された典型的な変換器70'のソフトウェア計算素子64にも供給される。ここで、ソフトウェア計算素子64は、安全変換器50によっても使用されるアナログ読み出し60の出力と、パラメータ/較正値66とを受け取り、デジタルインタフェース68に供給可能なソフトウェアベースのデジタル温度信号を生成する。
【0047】
図6は、単一の光ファイバプローブ48が、結合変換器71を使用して温度センシングを実行するために使用される、さらに別の構成を示す。この例示的構成では、プローブ光学インタフェース52は、オプションの延長ケーブル72を介して、変換器光学インタフェース54と光学的に通信する。延長ケーブル72は、一対の光学インタフェース74、76を含む。延長ケーブル72は、任意に、結合変換器71のハウジング73に対してプローブ48のより長い伸長を提供するために使用可能である。結合変換器71は、光源56、センシング素子58、安全インタフェース24及びデジタルインタフェース68を含む。制御モジュール80は、蛍光体センシング素子を励起する光源56にフィードバックを与えるためにも使用される。制御モジュール80は、検出光(LED)電流レベルのトランスインピーダンスゲイン、または励起および検出機能の他の光学パラメータを制御するために使用することができる。検出素子58の出力は、デジタルインタフェース68のためのデジタル温度信号を生成するための較正モジュール66と、安全インタフェース24の両方に供給され、結合変換器71を、この例では、RFヒータ32のためのRFパワー源92を制御するためのULリステッドまたはIEC 61508規格でプログラミング可能な読出しおよびリレー90と共に使用できるようにする。また、図6には、一例として、デジタルインタフェース68、アナログインタフェース84、およびEtherCATインタフェース88を備えた任意のインタフェース82、86が示されている。
【0048】
ここで図7図9に移ると、複合温度プローブのための例示的な構成が示されている。図7において、デュアルセンシングチップ100は、第2の温度センサ14のためのセンシング素子102を含み、冗長性のため及び/又は温度制限機能のために使用される、第1の温度センサ12のための任意の他の適切なセンシング素子を埋め込むことが可能である。第1及び第2の温度センサ12、14は他の実施形態において交換され得ること、例えば、第1の温度センサ12のために蛍光体センシング素子102を使用することが理解され得る。デュアルセンシングチップ100は、プローブマウント106から延びるプローブシャフト104の端部に結合される。例示的な実施形態では、デュアルセンシングチップ100は、第1の従来の温度センサ12(例えば、サーミスタ及び/又は熱電対を含む)、及び第2の光温度センサ14を含み得、第1の従来のセンシング要素102のサーミスタ及び/又は熱電対は、第2の光温度センサ14を考慮するために、変更なしで電圧をセンシングして温度超過検出に使用されてもよい。
【0049】
図8は、ファイバ間に分離114を提供するように配置された平行チャンネル116に取り付けられた一対の光ファイバによって使用することができる単一のセンシング素子112を有するデュアルファイバセンシングチップ110を例示している。図8にも見られるように、センシングチップ110は、センシング素子112とチャネル116に配置されたファイバの端部との間にギャップGを提供することもできる。
【0050】
図9は、デュアルセンシングチップ110を組み込んだ複合型光ファイバプローブ111の一例を示す図である。この例で、センシングチップ110は、先頭シャフト112の先端に支持されている。先頭シャフト112は、ロッド保持器114及びモジュラーチューブ116、例えば、ステンレス鋼チューブ(SST)を介してファイバロッド118に接続される。ファイバロッド118の前では、比較的高温の領域が許容され、Tとして識別される線を超えると、比較的低温、例えば200℃未満が許容される。プローブ111は後方シャフト128を含み、後方シャフト128は、マウントナット126、ワッシャ122およびクリップ120を通って延び、ファイバロッド118に取り付けられる。スプリング124をワッシャ122とマウントナット126の間に介在させて、プローブ111にある程度の弾力性を持たせることができる。後部シャフト128は、一対の光ファイバ134、136を収容するファイバ光ケーブルアダプタ132にプローブ111を接続するために、プローブ111に結合されたハウジング又はデバイスにネジ式に受けることも可能である。 この例では、後部シャフト128とホルダ130との間のインタフェースは、比較的低い温度Tに耐えることができる。
【0051】
ここで図10図12に目を向けると、安全計算要素62に関する更なる詳細が説明される。図10は、安全変換器50の動作を説明するための高レベルの概略図を提供する。ここで励起光学系及び電子機器、例えば光源56は、パルスLED又はレーザのような励起信号を発生させる。この信号は、蛍光体センシング素子22と相互作用して、見返りとして減衰兆候、例えば、パルス状の指数応答を発生させる。変換器50内の読み出し電子機器150は、減衰兆候を使用して時間減衰を温度に変換するアナログ変換モジュール152を含む。モジュール152はまた、温度を安全信号に変換してもよい。後述するように、これは対数増幅器を用いて行うことができ、出力は信号が特定の温度範囲内にあるか否かに基づくものである。アナログ変換モジュール152の出力は論理信号であり、例えば、HIGH=安全に動作する、LOW=安全障害である。任意に図10に示すように、アナログ温度信号は、必要に応じて、加熱を停止するためのトリガーに使用するための論理信号に変換することができる。これは、図示されているように、モジュール150内で又は外部のいずれかで行うことができる。
【0052】
図11a、図11bは、アナログ変換モジュール152または安全計算モジュール62のための例示的な実施形態を示す。アナログ変換モジュール152のためのこの実装例は、ソフトウェアまたはファームウェアを利用せず、したがって、プログラマブルデバイスを使用する温度制限アプリケーションに必要な追加の認証(複数可)を必要としない場合がある。さらに、この実施例では、K型熱電対から予想されるアナログまたはデジタル電圧値を模倣しながら、光ファイバセンシングプローブ48を使用することが可能である。このようにして、RF干渉の影響を受け難いセンシング構成を、熱電対またはサーミスタからの温度信号の受信を見込む既存のユビキタス制御装置で使用することができる。別の実施形態では、図11a、図11bに示された例は、他の用途、例えば、差動増幅器が単一のアナログ線形較正を行うために使用される場合、比較器を省略することができる。さらに別の実施形態では、図11a、図11bに示された例は、より低い精度要件のために対数増幅器、インバータ、及び差動増幅器を省略することができる。
【0053】
光ファイバ温度センシングのための現在の解決策のほとんどは、ある種のプログラマブルコントローラ(例えば、MCU、FPGA、SoC)を含むことが分かっており、これは、コスト削減をもたらし、様々なアルゴリズムを実装する柔軟性を提供することができる。
【0054】
図11a、図11bに示された解決策は、プログラマブルデバイスを伴わず、特定のアルゴリズムを実行することも必要としない。その代わりに、この解決策は、離散的な、すなわちアナログまたはデジタルである固体構成要素、または固体構成要素として動作する構成要素を採用する。参照を容易にするために、図11a、図11bで議論される実施形態に関して説明される構成要素は、そのようにラベル付けされていないにもかかわらず(例えば、スプリッタ161は固体スプリッタである)、特に明示されない限り、固体構成要素であると理解されるものとする。
【0055】
図11a、図11bに示すように、スプリッタ161は左上隅に示されている。スプリッタ161を介してプローブ48から戻る(「out」として示される)信号は、電流を出力する光検出器162によって検出される。光検出器162によって生成された電流は、何らかの方法で電圧に変換される(例えば、オペアンプ、コンデンサおよび抵抗を用いて一般的に作られる図11aに示すようなトランスインピーダンス増幅器163を用いて、しかしながらこの変換のための他のアーキテクチャを用いることもできる)。
【0056】
トランスインピーダンス増幅器163からの出力は、指数関数的に減衰する電圧であり、図12に示されるようにシミュレータによって生成された様々な関心信号を含む。トランスインピーダンス増幅器163からの出力はトレースVout0 200である。同じモジュールは、より多くの利得を提供するために、何らかの増幅回路も採用できることを理解することができる。
【0057】
減衰時間は、最大振幅と減衰期間中の固定された時点での振幅との間の差を使用して計算することができるが、信号にかなりノイズが多いことがあり、経験上、及び実験的観察に基づく最大振幅は、各々及び各サイクルにおいて正確に一定ではないので、その計算は難しく、時には誤差を生じやすい。したがって、この状況を緩和するための解決策は、純粋な電圧レベルの測定に頼らず、例えば、対数増幅器(例えば、任意の対数増幅器164など)を使用して生成される、線形減衰信号の傾き(変化率)の測定に頼ることである。
【0058】
対数増幅器を使用する理論は次の通りである。
【0059】
負の反応ループのトランジスタについて、1つは下記のとおりである。
【0060】
Ic = Is(e^(Vbe/Vt)-1) ~ Is xe ^ (vbe/vt), ゆえに
【0061】
Vbe = vtln(Ic/Is). Ic = Vin/R1,なので
【0062】
Vout1 = -vt x ln(Vout0/IsR1)
【0063】
もし Vin = A x e^(-t/‘T), ならば
【0064】
Vout1 = -vt ln (Ae^-(t/‘T) / IsR1) = -vt(ln(Ae^-(t/‘T) - ln(IsR1)) =
【0065】
= -vt(lnA + (-(t/‘T)) - ln(IsR1)) =
【0066】
= (vt/‘T) x t - vt ln (A/IsR1)
【0067】
従って、対数増幅器出力の傾き、(変化率)は(vT/‘T)であるから、減衰時間に反比例する。
【0068】
また、上記式の第2項で表されるオフセットが存在するが、さらに信号を処理して変化率のみを計算することができ、オフセットは計算に含まれる必要はない。
【0069】
測定された傾斜は、ダイオードで発生する温度依存性オフセットであるVTにも依存することに気付くことができる。それを軽減するために、対数増幅器回路に特有の考慮事項がある。または、それの影響は、RTDや熱電対などの一般的な電気ベースの温度センシング解決策の能力を超えて温度精度に影響を与えないほど小さいかもしれないので、これらの考慮事項を気にしない立場であってもよい。
【0070】
この信号は、さらにインバータ165によって反転され(負であるため)、増幅される。インバータの出力は、図12におけるVouT3信号204である。
【0071】
温度測定の分解能を高めるために、固定電圧をさらに減算し、得られた信号を、信号VouT5 206を出力として有する差動増幅器166によってさらに増幅することができる。それは、温度を決定するためにさらに使用することができる信号である。
【0072】
従って、次の比較器開始ブロックは、Vout5 206電圧と固定電圧を比較し、Vout5 206電圧が固定閾値電圧(Vout6)202より小さいとき、立ち上がりエッジ信号(Vout7 208)を発生させることができる。この変化は次のRC微分器によって正のパルスに変換される(Vout8 212)。それが比較器開始ブロック167の出力である。パルス開始パルスは、離散カウンタ169(例えば、約1MHzのクロック周波数で十分である)をリセットするために使用でき、傾斜(したがって時間減衰)計算のためにこの瞬間からの時間のカウントを開始するようなものである。他の比較器エンドモジュールである比較器エンドブロック168は、Vout5 206電圧と他の低い固定電圧を比較し、Vout5 206電圧が固定閾値電圧より小さいときに立ち上がりエッジ信号(Vout4 214)を発生させることが可能である。この遷移は、次のRC微分器によって正パルス(Vout6)202に変換される。それが比較器エンドブロック168の出力である。
【0073】
パルス終了パルスは、パルス開始瞬間から今まで経過した計算時間をデジタルラッチ170にラッチ(latch)するために使用可能であり、その値はVout5 206の傾きに対応し、従ってそれはプローブ48によって検出される温度の代表である減衰時間と比例している。
【0074】
再び図11aを参照すると、ラッチ170にラッチされる値は、別個の不揮発性メモリ171、例えば1回プログラマブルメモリチップ(ラッチ170の下流のモジュールによって示される)に対するアドレスとして使用することが可能である。
【0075】
そのメモリチップ171は、例えば、様々な温度でK型熱電対によって示される電圧(例えば、1度Cにつき1つの電圧読み取りで十分である)に対応するデジタル値をデータとして含んでいる。
【0076】
このように、温度と関心のある測定値との間の任意の依存関係は、製造中に1回だけ、メモリチップ171にプログラミングされることができる。このようにして、メモリは、固定された固体デジタル回路のように機能する。これは、較正を実施するための多くの解決策の1つである。
【0077】
出力値がアナログ電圧である必要がある場合、デジタル-アナログ変換器(例えば、DAC172)を追加することができる。上述した実施例に基づいて、温度情報(デジタルまたはアナログ)は、ファームウェアまたはソフトウェアを実行する必要なく、連続的にリアルタイムで利用および更新することが可能である。
【0078】
図11a、図11bに示す構成で使用される構成要素は、典型的に安価である一方、ファームウェアまたはソフトウェアを必要としないので、比較的容易にUL安全性(温度制限)の認証を受けるべき解決策を提供することが理解されよう。また、シンプルで安価なASICの実現も提供され得る。
【0079】
図11a、図11bに関連して説明された構成要素は、それらが動作するためにいかなるファームウェアまたはソフトウェアも同時に実行される必要がないという点で、固体構成要素であることが理解されよう。例えば、例示的な実施形態によれば、固体構成要素は、出力を生成する際に、その入力正負電荷を制限してもよい。固体構成要素は、結晶、多結晶、アモルファス要素などであってもよい。固体構成要素は、1つ以上の半導体、導体、絶縁体などを含んでもよく、例示的なラッチ実装のような可動部を有する構成要素を含んでもよい。いくつかの固体構成要素は、要件に応じて、増幅またはその他の操作(例えば、オペアンプを介して)が可能な信号を出力してもよい。
【0080】
本明細書に記載された実施例は、これらの特定の詳細または特定の固体構成要素なしで実施され得ることが当業者に理解されよう。信号を操作するために、例えば、固体構成要素の種類又は特性を改変するような(例えば、増幅器における出力閾値を変更するような)固体構成要素の改変が想定される。同様に、固体部品に関連する方法および手順に対する結果的な変更(例えば、さらなる利得を提供するために信号をさらに修正する変更)、異なる閾値を確立すること、または温度測定値に到達するために他のノイズフィルトレーション技術を採用することも考えられる。
【0081】
他のアプリケーションでは、同じ原理を使用して、安全性(例えば、プロセス温度制限がしばしば要求されるので)をより容易に認証された温度センシング解決策を提供することができる。なぜなら機能性がファームウェアおよび/またはソフトウェアに依存する場合、装置の安全性(特にULによる)を認証することは非常に困難で多大なリソースを要するからである。このような他のアプリケーションでは、同じ種類の回路を使用可能であるが、機能性はかなり単純になる可能性がある。なぜならメモリデバイスを採用する必要がなく、ラッチも必要ないからである。
【0082】
閾値より高い温度条件の場合、カウンタの出力は、温度閾値(単純な論理ゲートの組み合わせのみを採用することによって読み取れる条件)を表す所定の閾値より小さくてもよく、ゼロから1へ移行する前述の論理ゲート組み合わせに変換される。その論理レベルは、プロセス温度限界検出器の出力になり、再び、ファームウェア、ソフトウェア、またはメモリデバイスなしで実装可能である。
【0083】
図解の単純化及び明確化のために、適切と考えられる場合には、対応する又は類似の要素を示すために、参照符号が図間で繰り返されることがある。さらに、本明細書に記載された実施例の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が設定される。しかしながら、本明細書に記載された実施例は、これらの特定の詳細が無くても実施可能であることが、当業者には理解されよう。本明細書に記載される実施例を不明瞭にしないように、他の実施例では、周知の方法、手順及び構成要素が、詳細に記載されていない。また本記載は、本明細書に記載された実施例の範囲を限定するものであると、見なしてはならない。
【0084】
本明細書で使用される例および対応する図は、説明のためだけのものであることが理解されよう。本明細書で表現された原則から逸脱することなく、異なる構成及び用語を使用することができる。 例えば、構成要素及びモジュールは、これらの原則から逸脱することなく、異なる接続で追加、削除、修正、又は配置することができる。
【0085】
また本明細書に例示される、命令を実行する任意のモジュールまたは構成要素は、例えば磁気ディスク、光ディスク、またはテープなどの記憶媒体、コンピュータ記憶媒体、またはデータ記憶装置(取り外し可能および/または非取り出し可能)などのコンピュータ可読媒体を含むか、さもなければこれらにアクセス可能であることが理解されるであろう。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法または技術で実装された揮発性および不揮発性、取り外し可能および非取り出し可能な媒体を含んでもよい。コンピュータ記憶媒体の例は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光学ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気ストレージデバイス、または所望の情報を格納するのに使用でき、アプリケーション、モジュール、またはその両方でアクセス可能な他の任意の媒体を含む。任意のそのようなコンピュータ記憶媒体は、センサ12、14、コントローラ18、加熱システム16、それらの任意の構成要素、またはそれらに関連する構成要素などの一部であってもよく、またはそれらにアクセス可能もしくは接続可能であってもよい。本明細書に記載される任意のアプリケーションまたはモジュールは、そのようなコンピュータ可読媒体によって、記憶されるかまたは他の方法で保持され得るコンピュータ可読/実行可能命令を使用して実装される可能性がある。
【0086】
本明細書に記載されたフローチャートおよび図におけるステップまたは操作は、単なる例である。 上述した原理から逸脱することなく、これらのステップ又は操作に多くの変形があり得る。 例えば、ステップは異なる順序で実行されてもよいし、ステップが追加、削除、または修正されてもよい。
【0087】
上記の原理は、特定の具体例を参照して説明されたが、その様々な変更は、添付の請求項に概説されているように、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図12
【国際調査報告】