(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】電子アセンブリ
(51)【国際特許分類】
H05K 7/14 20060101AFI20230712BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
H05K7/14 A
H05K1/18 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580140
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 EP2021065465
(87)【国際公開番号】W WO2021259639
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】102020207871.8
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】クレッツィグ,ルネ
(72)【発明者】
【氏名】メルツ,トーマス
【テーマコード(参考)】
5E336
5E348
【Fターム(参考)】
5E336AA01
5E336BC04
5E336CC10
5E336EE15
5E336GG30
5E348AA02
5E348AA03
5E348FF10
(57)【要約】
本発明は、ベース板(2)と、それぞれ圧入軸(4)に平行に延びる多数のピン(30)を備えた電子部品(3)と、圧入軸(4)に沿ってピン(30)に押し付けられているプリント基板(5)と、電子部品(3)とベース板(2)の間に形成されている冷却領域(6)と、ベース板(2)と電子部品(3)の間に配置されており、かつ冷却領域(6)を密閉するために形成されているパッキンアセンブリ(7)とを含む電子アセンブリであって、このパッキンアセンブリ(7)は、パッキン支持体(71)および少なくとも1つのパッキン(72)を有し、このパッキン支持体(71)は、圧入軸(4)に平行に飛び出ている多数の圧入ドーム(75)を有し、かつプリント基板(5)をピン(30)に押し付ける際の押し付け力(40)を受け止めるため、電子部品(3)がパッキン支持体(71)の圧入ドーム(75)によって支持されている電子アセンブリに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- ベース板(2)と、
- それぞれ圧入軸(4)に平行に延びる多数のピン(30)を備えた電子部品(3)と、
- 前記圧入軸(4)に沿って前記ピン(30)に押し付けられているプリント基板(5)と、
- 前記電子部品(3)と前記ベース板(2)の間に形成されている冷却領域(6)と、
- 前記ベース板(2)と前記電子部品(3)の間に配置されており、かつ前記冷却領域(6)を密閉するために形成されているパッキンアセンブリ(7)と
を含む電子アセンブリであって、
- 前記パッキンアセンブリ(7)が、パッキン支持体(71)および少なくとも1つのパッキン(72)を有し、
- 前記パッキン支持体(71)が、前記圧入軸(4)に平行に飛び出ている多数の圧入ドーム(75)を有し、かつ
- 前記プリント基板(5)を前記ピン(30)に押し付ける際の押し付け力(40)を受け止めるため、前記電子部品(3)が前記パッキン支持体(71)の前記圧入ドーム(75)によって支持されている、
電子アセンブリ。
【請求項2】
前記ベース板(2)と結合しており、かつ前記電子部品(3)に前記ベース板(2)の方向に予応力を掛ける保持板(8)をさらに含む、請求項1に記載の電子アセンブリ。
【請求項3】
前記保持板(8)が、前記電子部品(3)の部分領域(35)のうち前記ベース板(2)とは反対の側に配置されており、かつ前記ベース板(2)が、前記圧入軸(4)に平行に飛び出ている少なくとも1つの当接要素(20)を有し、前記当接要素(20)に前記保持板(8)が当接している、請求項2に記載の電子アセンブリ。
【請求項4】
前記圧入ドーム(75)は、すべての圧入ドーム(75)の第1の復元力と、前記パッキン(72)の第2の復元力との合計が、前記プリント基板(3)を前記ピン(30)に押し付けている所定の前記押し付け力(40)以上であるように設計されている、請求項2または3に記載の電子アセンブリ。
【請求項5】
前記パッキン支持体(71)および前記パッキン(72)が前記冷却領域(6)をリング状に取り囲む、請求項1~4のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項6】
前記パッキンアセンブリ(7)が2つのパッキン(72、73)を有し、これに関し第1のパッキン(72)が前記パッキン支持体(71)と前記電子部品(3)の間に配置されており、第2のパッキン(73)が前記パッキン支持体(71)と前記ベース板(2)の間に配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項7】
それぞれ複数の圧入ドーム(75)が圧入ドーム群(70)へとまとめられており、複数の圧入ドーム群(70)が前記パッキン支持体(71)の周囲に分散して配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項8】
各圧入ドーム群(70)が、少なくとも2個、好ましくは最大10個、とりわけ3個の圧入ドーム(75)を有し、前記パッキン支持体(71)が、少なくとも4個、好ましくは最大12個、とりわけ8個の圧入ドーム群(70)を有する、請求項7に記載の電子アセンブリ。
【請求項9】
各圧入ドーム(75)が、前記圧入軸(4)に垂直な断面平面内で、少なくとも1、好ましくは最大5、とりわけ2の長幅比を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項10】
前記パッキン支持体(71)が、プラスチック、とりわけポリフェニレンスルフィドから形成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項11】
前記圧入ドーム(75)が、前記電子部品(3)に向けられて、前記パッキン支持体(71)に配置されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の電子アセンブリ(1)を含む制御機器。
【請求項13】
- パッキン支持体(71)および少なくとも1つのパッキン(72)を備えたパッキンアセンブリ(7)を用意するステップ、
- ベース板(2)に前記パッキンアセンブリ(7)を配置するステップ、
- 前記パッキンアセンブリ(7)のうち前記ベース板(2)とは反対の側に電子部品(3)を配置するステップ、
- 前記電子部品(3)の多数のピン(30)に、圧入軸(4)に沿ってプリント基板(5)を押し付けるステップ
を含む電子アセンブリ(1)を組み立てるための方法であって、
- 前記パッキン支持体(71)が、前記圧入軸(4)に平行に飛び出ている多数の圧入ドーム(75)を有し、かつ
- 前記圧入ドーム(75)が、押し付け力(40)を受け止めるため、前記プリント基板(5)を押し付ける際に前記電子部品(3)を支持する、
方法。
【請求項14】
前記プリント基板(5)を押し付ける前に、さらに、
- 前記電子部品(3)の部分領域(35)のうち前記パッキン支持体(71)とは反対の側に保持板(8)を配置するステップと、
- 前記保持板(8)により前記電子部品(3)に前記ベース板(2)に向かって予応力を掛けるステップと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記電子部品(3)が前記保持板(8)によって前記ベース板(2)に向かって、前記パッキン支持体(71)の前記圧入ドーム(75)が変形するくらいに予応力を掛けられる、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子アセンブリに関する。本発明はさらに、制御機器と、電子アセンブリを組み立てるための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板が多数のピンに取り付けられている電子アセンブリが知られている。プリント基板とピンの結合は、通常はハンダ付けまたは圧着接合によって行われる。圧着接合させるには、ピンまたはピンを保持している部品を支持する必要がある。これに関し、電子アセンブリの構成および/または組立の順番によっては、押し付ける際の十分な支持が、しばしばまったくまたは限定的にしか実現され得ない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
請求項1の特徴を有する本発明による電子アセンブリは、プリント基板を押し付ける際の確実かつ効果的な機械的支持を可能にする非常に単純かつ安価な構造という利点を提供する。これは本発明によれば、ベース板と、電子部品と、プリント基板と、冷却領域と、パッキンアセンブリとを含む電子アセンブリによって達成される。ベース板は、さらなるコンポーネントを保持するために設けられていることが好ましい。ベース板は、例えばハウジングの中または表面でのコンポーネントの固定を可能にするために形成されていてもよい。ベース板はさらに機械的負荷の受け止め部を提供し得る。電子部品は、それぞれ圧入軸に平行に延びている多数のピンを有する。電子部品は多種多様に形成されていてもよい。例えば、電子部品が1つまたは複数の電子コンポーネント、例えばインバータを有することができる。
【0004】
プリント基板は、圧入軸に沿ってピンに押し付けられている。これにより、とりわけプリント基板とピンの間に圧着接合が存在する。
パッキンアセンブリは、とりわけ圧入軸の方向に沿って、ベース板と電子部品の間に配置されている。このパッキンアセンブリは、パッキン支持体および少なくとも1つのパッキンを有する。パッキンアセンブリは、電子部品とベース板の間にある冷却領域を密閉するために設けられている。例えばこのパッキンは、エラストマーパッキン、例えばOリングパッキンであってもよい。パッキンが少なくとも部分的にはパッキン支持体に収容されていることが好ましい。パッキン支持体は例えば、パッキンが部分的に収容されているリング溝を有し得る。
【0005】
このパッキン支持体は、圧入軸に平行に飛び出ている多数の圧入ドームを有する。この場合、プリント基板をピンに押し付ける際の押し付け力を受け止めるため、電子部品が圧入ドームによって支持される。これに関し、パッキン支持体のピン状またはニップル状の隆起部が圧入ドームとみなされ、この隆起部は、パッキン支持体の基体から飛び出ており、それにより、境を接する部品のための支持面を小さくしている。この圧入ドームが、パッキン支持体のうち圧入ドームを取り囲んでいる面から僅かに、とりわけ最大5mm、好ましくは少なくとも0.5mm飛び出ていることが好ましい。
【0006】
冷却領域は、冷媒を収容するために適応されていることが好ましい。とりわけ冷媒を有する冷却領域は、電子部品の冷却を可能にするために設けらていてもよい。冷却領域は、とりわけ電子部品とベース板との隙間とみなされ得る。この冷却領域のゆえに、プリント基板を押し付ける際に電子部品を直接的に支持することができないので、パッキン支持体の圧入ドームを使った間接的な支持により、低コストかつ精密に、電子アセンブリの部品を損傷させることなく、プリント基板が押し付けられ得ることが特に有利である。
【0007】
このパッキン支持体の圧入ドームが、ベース板での電子部品の間接的な支持をもたらす。つまりプリント基板をピンに押し付ける際に、ベース板において、またはベース板によって、好ましくは押し付け力とは逆の対向保持力によって支えられ得る。このとき押し付け力は、電子部品からパッキン支持体を通ってベース板へと導くことができ、この場合、圧入ドームが力の伝達経路の一部を構成している。この圧入ドームは、とりわけ、パッキンが例えば押し付け力によって強く押し潰されすぎることで損傷するのを回避するために設けられている。これに加え、圧入ドームの特殊な設計により、電子アセンブリの損傷を回避するため、プリント基板を押し付ける際の機械的負荷の最適かつ狙い通りの分散が可能になる。狙い通りに設計された支持はさらに、プリント基板を押し付ける際に、所望の押し付け力が特に狙い通りかつ精密に実現され得ることを可能にし、これにより、プリント基板とピンの間に、確実で長持ちし、簡単に確立可能な圧着接合が確立され、この圧着接合は、簡単に、誤差なくまたは少ない誤差で再現可能である。
【0008】
引用形式請求項は本発明の好ましい変形形態を示している。
この電子アセンブリが、ベース板と結合している保持板をさらに含むことが好ましい。この保持板は、電子部品にベース板の方向に予応力を掛ける。保持板がネジ結合によってベース板と結合されることが好ましい。よって保持板は、とりわけ、電子部品と、ベース板と、パッキンアセンブリとから成る複合体への予応力を可能にする。これに関しては保持板とベース板の結合により、圧入ドームが弾性変形することが好ましい。つまり、保持板とベース板の締付固定により、電子部品およびパッキン支持体は、圧入ドームが弾性変形するくらいに保持板とベース板の間で挟持される。このとき圧入ドームだけに弾性変形が存在することが好ましい。圧入ドームの弾性変形に加えて、圧入ドームが締付固定によって塑性変形することが企図され得ることが好ましい。これにより、最適な支持作用だけでなく、パッキンの確実なシーリング機能の持続が保証される。それにより、さらにパッキンが、直接的な支持、つまりパッキンの弾性コンプライアンスなしの支持を提供するために僅かに押し潰されていることが好ましい。これによりプリント基板が、特に正確かつ精密に、所望の押し付け力でピンに押し付けられ得る。
【0009】
保持板が、電子部品の部分領域のうちベース板とは反対の側に配置されていることが特に好ましい。さらに保持板は、ベース板のうち圧入軸に平行に飛び出ている当接要素と結合している。このとき保持板と当接要素は、当接するように相互に結合している。これにより、とりわけプリント基板を押し付けるための準備としての、電子アセンブリの特に簡単な組立が、保持板をとにかく限界までベース板と締付固定することで保持板が当接要素に当接するというやり方で可能になる。特に単純かつ安価な構造のために保持板はリング状の板として形成されていてもよく、その際、保持板の径方向内側の領域が、電子部品の径方向外側のフランジ領域に当接する。この場合にはとりわけ、保持板の径方向外側の領域はベース板の当接要素に当接することができ、この当接要素は電子部品の方向に飛び出ていることが好ましい。その代わりに保持板を複数の部分から、例えば複数の個々の板の形態で形成されていてもよく、これらの板は、それぞれ別々にベース板と締付固定されており、かつそれぞれ電子部品の別々の部分領域に当接する。特に単純かつ安価な構造および製造のために、保持板がネジ結合によって当接要素と結合され得ることが好ましい。
【0010】
圧入ドームは、すべての圧入ドームの復元力の合計に相当する第1の復元力と、パッキンの第2の復元力との合計が、プリント基板をピンに押し付けている所定の押し付け力以上であるように設計されていることが好ましい。これにより、プリント基板を押し付ける際にパッキンアセンブリがめり込むことが阻止される。このような設計により、プリント基板とピンの間の精密かつ確実な圧着接合を確立し得るための、電子部品の最適な支持が保証される。これに関し、所定の押し付け力は、ピンごとに少なくとも70N、とりわけ最大150Nであることが好ましい。第1の弾性復元力が第2の弾性復元力より有意に大きいことが好ましい。第1の弾性復元力の値が、所定の押し付け力の少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも95%であることが好ましい。
【0011】
電子部品とベース板の間の冷却領域を密閉するため、パッキン支持体およびパッキンが冷却領域をリング状に取り囲むことが好ましい。これにより、冷却領域の大きな体積が最適な冷却作用のために提供され得る。
【0012】
冷却領域の特に確実な密閉を可能にするため、パッキンアセンブリが2つのパッキンを有することが好ましい。これに関し第1のパッキンはパッキン支持体と電子部品の間に配置されており、第2のパッキンはパッキン支持体とベース板の間に配置されている。パッキン支持体が、パッキン支持体が、圧入軸の方向に沿って向かい合う側にそれぞれ1つのリング溝を有することが好ましく、このリング溝内にパッキンが配置されている。とりわけ、パッキン支持体は圧入軸に平行な断面平面ではH字形の断面を有する。
【0013】
それぞれ複数の圧入ドームが圧入ドーム群へとまとめられていることがさらに好ましい。この場合、複数のこのような圧入ドーム群がパッキン支持体の周囲に分散して配置されている。近くに並んで配置された規定数の圧入ドームが圧入ドーム群とみなされる。隣接する圧入ドーム群間の第1の間隔が、1つの圧入ドーム群内の隣接する圧入ドームの間隔の少なくとも3倍、好ましくは少なくとも10倍であることが好ましい。これにより、プリント基板を押し付ける際のパッキン支持体における特に狙い通りの力の分散が、パッキン支持体の省スペースおよび省材料の構造と同時に可能になる。
【0014】
各圧入ドーム群が、少なくとも2個、好ましくは最大10個、とりわけ3個の圧入ドームを有することが特に好ましい。パッキン支持体が、少なくとも4個、特に好ましくは最大12個、とりわけ8個の圧入ドーム群を有することが好ましい。
【0015】
各圧入ドームが、少なくとも1、好ましくは最大5、とりわけ2の長幅比を有することが好ましい。この長幅比は、圧入軸に垂直な断面平面内で考えられている。長さが、圧入ドームの実質的にパッキン支持体の周方向に沿った寸法に相応し、幅が、圧入ドームのとりわけ長さに垂直な、実質的にパッキン支持体の径方向での寸法に相応することが好ましい。各圧入ドームが、この断面平面内では長方形またはオーバル形の断面を有することが特に好ましい。これにより、少ない必要設置空間で、機械的負荷の最適な受け止めが可能になる。
【0016】
パッキン支持体が、プラスチックから、とりわけ熱可塑性プラスチック、特に好ましくはポリフェニレンスルフィドから形成されていることが好ましい。これにより、とりわけ射出成形法による簡単かつ安価な製造が可能であると同時に、パッキン支持体の最適な機械的特性が提供され得る。
【0017】
圧入ドームが、電子部品に向けられて、パッキン支持体に配置されていることが特に好ましい。つまり、プリント基板を押し付ける際、電子部品は圧入ドームに当接している。これにより、電子部品とパッキン支持体の間には少ない接触面(つまり圧入ドームにおける)しか存在しておらず、したがって例えば電子部品からパッキン支持体への熱伝達が低く保たれる。
【0018】
本発明はさらに、前述の電子アセンブリを含む制御機器に及んでいる。この制御機器は、車両の制御機器、例えば、とりわけ自動車のモータ制御機器であることが好ましい。
本発明はさらに、電子アセンブリ、とりわけ前述の電子アセンブリを組み立てるための方法に関する。この方法は、好ましくは以下に述べる順番で次々と実行されるステップを含む。
- パッキン支持体および少なくとも1つのパッキンを備えたパッキンアセンブリを用意するステップ、
- ベース板にパッキンアセンブリを配置するステップ、
- パッキンアセンブリのうちベース板とは反対の側に電子部品を配置するステップ、
- 電子部品の多数のピンに、圧入軸に沿ってプリント基板を押し付けるステップ、
- このパッキン支持体は、圧入軸に平行に飛び出ている多数の圧入ドームを有し、かつ
- この圧入ドームが、押し付け力を受け止めるため、プリント基板を押し付ける際に電子部品を支持する。
【0019】
この方法は、特に簡単かつ時間効率よく実施され得ることを特色とする。これに加え、一般に流通している動作手段、例えば圧着装置が、特殊な適合を必要とせずに使用され得る。
【0020】
この方法はさらに、
- 電子部品のうちパッキン支持体とは反対の側に保持板を配置するステップと、
- 保持板により電子部品にベース板に向かって予応力を掛けるステップと
を含むことが好ましい。
【0021】
これらのステップはプリント基板を押し付ける前に実施される。この場合、電子部品は保持板により、圧入ドームを備えたパッキン支持体を介してベース板に向かって予応力を掛けられる。保持板が予応力のために、ネジ結合によってベース板と結合されることが好ましい。これにより例えば個々の部品の相対配置が精密に位置合わせでき、予応力によって固定され得るので、組立の際の電子アセンブリの特に簡単かつ正確な取り扱いが可能になる。
【0022】
電子部品が保持板によってベース板に向かって、パッキン支持体の圧入ドームが変形するくらいに予応力を掛けられることが特に好ましい。これに関し圧入ドームは、とりわけ、弾性および/または塑性に変形され得る。このとき圧入ドームだけに変形が存在していることが好ましい。これにより、とりわけさらなる部品の望ましくないコンプライアンスが圧着接合に影響することなく、プリント基板を特に正確かつ精密に所望の押し付け力でピンに押し付け得ることが保証され得る。
【0023】
以下に、添付の図面を参照しながら本発明の好ましい1つの例示的実施形態を詳細に説明する。同じ部品または同じ機能の部品には常に同じ符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の好ましい1つの例示的実施形態に基づく電子アセンブリを備えた制御機器の断面図である。
【
図3】
図1の電子アセンブリの細部の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の好ましい1つの例示的実施形態に基づく電子アセンブリ1を含む制御機器100の断面図を示す。
図2~
図4では、
図1の電子アセンブリ1の細部を示している。
【0026】
電子アセンブリ1は、ベース板2および電子部品3を含む。電子部品3とベース板2の間に冷却領域6が形成されている。この冷却領域6は、電子部品3を冷却するための冷媒を収容できるように隙間の形態で形成されている。
【0027】
電子部品3は、電子部品3からの効果的な放熱を可能にするため、冷却要素31を、例えば冷却領域に突き出ている冷却リブの形態で含むことが好ましい。
電子アセンブリ1はさらにパッキンアセンブリ7を含み、このパッキンアセンブリ7は、ベース板2と電子部品3の間に配置されており、冷却領域6を密閉するために設けられている。パッキンアセンブリ7は、第1のパッキン72、第2のパッキン73、およびパッキン支持体71を有する。パッキン支持体71は、両方のパッキン72、73を適所に保持する。加えてパッキン支持体71は、冷却領域6を形成するために、電子部品3とベース板2の最小間隔を保証する。第1のパッキン72は、電子部品3とパッキン支持体71の間に配置されている。第2のパッキン73は、ベース板2とパッキン支持体71の間に配置されている。
【0028】
第1のパッキン72を備えたパッキン支持体71の透視図を
図3に示している。このパッキン支持体71およびパッキン72、73は、リング状に、実質的には長方形のリングの形態で形成されており、かつ冷却領域6を取り囲んでいる。このパッキン支持体71はH字形の断面を有する(
図1を参照)。詳しくは、2つの向かい合うリング溝76によってH字形の断面が形成され、これらのリング溝76内にはそれぞれ両方のパッキン72、73の一方が収容されている。
【0029】
電子部品3は多数のピン30を有し、これらのピン30は、電子部品3のうちベース板2とは反対の側に配置されており、それぞれ圧入軸4に平行に延びる。電子部品3は、全部で30本のピン30の総数を有することが好ましい。
【0030】
電子アセンブリ1はこれに加え、電子部品3のピン30に圧入軸4に沿って押し付けられているプリント基板5を含む。したがってプリント基板5とピンの間には圧着接合が存在している。圧着接合させるために、プリント基板5は圧入軸4に沿って規定の押し付け力40でピン30に押し付けられる。
【0031】
電子部品3とベース板2の間に冷却領域6を有する電子アセンブリ1のこの構造のゆえに、電子部品3を押し付け力40に逆らって保持するために直接的に支持することは不可能である。したがって本発明の好ましい例示的実施形態に基づく電子アセンブリ1では、間接的な支持が行われる。
【0032】
間接的な支持は、パッキン支持体71の多数の圧入ドーム75によって行われる。これらの圧入ドーム75は、圧入軸4に平行な方向に沿って飛び出ており、それにより、パッキン支持体71における電子部品3の規定の当接点を形成する。これに関し圧入ドーム75は、とりわけ、パッキン支持体71が圧入ドーム75によってのみ電子部品3と接触し得るように飛び出る。
【0033】
簡単な組立および特に狙い通りの支持を可能にするために、電子アセンブリ1はさらに保持板8を含む。この保持板8はリング状の板として形成されている。これに関し電子部品3は、リング状の保持板8の中心の開口部80を通って突き出る。
【0034】
保持板8により、電子部品3のフランジ領域35がベース板2の方向に予応力を掛けられる。このためにベース板2は当接要素20を有し、この当接要素20は、圧入軸4の方向に沿って延び、パッキン支持体71および冷却領域6を越えて突き出る。保持板8がベース板2の当接要素20と当接するように結合される。保持板8とベース板2の結合はネジ結合によって行われる。詳しくは、このためにネジ21がベース板2の当接要素20にねじ込まれている。
【0035】
保持板8、電子部品3、パッキン支持体71、圧入ドーム75、および当接要素20の寸法は、保持板8による予応力により、つまり保持板8が限界まで当接要素20とねじ締められる場合に、圧入ドーム75が弾性変形するように互いに調節されている。これに加え、例えば、圧入ドーム75の塑性変形が存在し得る。
【0036】
圧入ドーム75は、すべての圧入ドーム75が一緒に、押し付け力40とは逆の方向に電子部品30に規定の第1の復元力を掛けるように設計されている。両方の弾性変形したパッキン72、73から結果として生じる第2の復元力との合計で、電子部品3のフランジ領域35に作用する支持力が生じ、この支持力は、押し付け力40の逆であり、その値は押し付け力40以上である。これにより、プリント基板5をピン30に押し付ける際に、とりわけ圧入ドーム75の、めり込みが阻止される。
【0037】
したがって、特殊に設計された間接的な支持により、例えば関与する要素の変形のような不利な影響が押し付け工程を妨げることなく、プリント基板5が所望の押し付け力40でピン30に押し付けられ得る。これにより、ピン30とプリント基板5の間の圧着接合の所望の特性が、特に精密かつ確実に調整され得る。
【0038】
圧入ドーム75の幾何形状が
図4に基づいて明らかになっている。この場合、各圧入ドーム75は断面ではオーバル形状を有している。各圧入ドーム75は、圧入軸4に垂直な断面平面内では長幅比2を有する。つまり圧入ドーム75の長さ75aは、その幅75bの2倍に相当する。
【0039】
さらに、圧入軸4の方向に沿った各圧入ドーム75の高さ75cは、実質的に長さ75aに相当する。これらの圧入ドーム75は、パッキン支持体71の穴71b内に配置されていてもよく、これにより圧入ドーム75が、圧入軸4の方向に沿って部分的にのみパッキン支持体71の上面71aを越えて突き出ることが好ましい。これに関し圧入ドーム75が、長さ75aの20%のみ上面71aを越えて突き出ることが好ましい。これにより、圧入ドーム75の所望の弾性が最適に設計される場合には、パッキン支持体71の、とりわけ軸方向での、特にコンパクトな幾何形状が可能になる。これは、電子アセンブリ1の特に省スペースな構造を可能にする。
【0040】
特に狙い通りの力の分散および利用可能な設置空間の最適な活用のために、それぞれ複数の圧入ドーム75が圧入ドーム群70にまとめられている。これは
図3および
図4に示されており、
図4は
図3の細部を示しており、この細部は正確に1つの圧入ドーム群70を示す。各圧入ドーム群70は正確に3つの相並んだ圧入ドーム75を有する。1つの圧入ドーム群70の圧入ドーム75は互いに対し、1つの圧入ドーム75の長さ75aにほぼ相当する間隔75dをあけて配置されている。
【0041】
図3に示されたように全部で8個の圧入ドーム群70がパッキン支持体71の周囲に分散して配置されている。これに関し、パッキン支持体71が形成する長方形のリングの両方の長辺の各々に、4つの圧入ドーム群70が配置されている。パッキン支持体71の各長辺の4つの圧入ドーム群70は互いに対し、各圧入ドーム群70の個々の圧入ドーム75の間隔75dの10倍に相当する規定の間隔70aをあけて配置されている。
【国際調査報告】