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  • 特表-漏れ試験用装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】漏れ試験用装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/00 20060101AFI20230712BHJP
【FI】
G01M3/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580244
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2021063920
(87)【国際公開番号】W WO2021259579
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】102020116939.6
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500469855
【氏名又は名称】インフィコン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Inficon GmbH
【住所又は居所原語表記】Bonner Strasse 498, D-50968 Koeln, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100187469
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 由子
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【弁理士】
【氏名又は名称】古後 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】ヴェツィヒ・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ライスマン・マクシミリアン
(72)【発明者】
【氏名】グレンツ・ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ファン・トリースト・ヘンドリク
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067CC04
2G067DD27
(57)【要約】
【課題】安定した漏出率を確保することのできる膜を有する、改良された漏れ試験用装置を提供する。
【解決手段】排気可能な試験室(34)を備える漏れ試験用装置(10)であって、ガス漏れ検出装置の機能を試験して較正するのための漏れ試験用装置(10)であり、この漏れ試験用装置(10)は、ベース(12)と、カバー(16)と、前記ベース(12)を前記カバー(16)へと接続する少なくも1つの側壁(14)であって、試験用ガスまたは試験用流体で満たすことが可能な内部空間(20)を取り囲む側壁(14)と、を備え、前記ベース(12)は、前記試験用ガスを透過させることが可能な膜(24)を有し、前記側壁(14)の内側面(18)のうち前記内部空間(20)に面しており互いに対向する部分は、前記ベースの領域よりも前記カバーの領域において互いに大きな間隔をあけて配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象物および/または漏れ試験用装置(10)を配置するための排気可能な試験室(34)を備える漏れ試験用装置(10)であって、
ガス漏れ検出装置の機能を試験すると共に、較正するのための漏れ試験用装置(10)であり、
この漏れ試験用装置(10)は、
ベース(12)と、
カバー(16)と、
前記ベース(12)を前記カバー(16)へと接続する少なくも1つの側壁(14)であって、試験用ガスまたは試験用流体で満たすことが可能な内部空間(20)を取り囲む側壁(14)と、
を備え、
前記ベース(12)は、前記試験用ガスまたは前記試験用流体の含有成分を透過させることが可能な膜(24)を有し、かつ、
前記側壁(14)の内側面(18)のうち前記内部空間(20)に面しており互いに対向する部分は、前記ベースの領域よりも前記カバーの領域において互いに遠い間隔をあけて配置されている
ことを特徴とする漏れ試験用装置(10)。
【請求項2】
試験対象物および/または漏れ試験用装置(10)を配置するための排気可能な試験室(34)を備える漏れ試験用装置(10)であって、
ガス漏れ検出装置の機能を試験すると共に、較正するための漏れ試験用装置(10)であり、
この漏れ試験用装置(10)は、
ベース(12)と、
カバー(16)と、
前記ベース(12)を前記カバー(16)へと接続する少なくも1つの側壁(14)であって、試験用ガスまたは試験用流体で満たすことが可能な内部空間(20)を取り囲む側壁(14)と、
を備え、
前記ベース(12)は、前記試験用ガスまたは前記試験用流体の含有成分を透過させることが可能な膜(24)を有し、かつ、
前記ベースは、前記内部空間(20)に面する内側面(18)を有する凹部を有し、
前記内側面(18)の互いに対向する部分は、前記ベースの領域よりも前記カバーの領域において互いに大きい間隔をあけて配置されている
ことを特徴とする漏れ試験用装置(10)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の漏れ試験用装置(10)であって、
前記内部空間(20)に面している前記側壁(14)の前記内側面(18)の互いに対向する部分の間の距離が、前記カバー(16)から前記ベース(12)に向かって連続的に減少することを特徴とする、漏れ試験用装置(10)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の漏れ試験用装置(10)であって、前記側壁(14)の前記内側面(18)が、前記内部空間(20)を円筒状に取り囲み、前記膜に向かって円錐状にテーパをなしていることを特徴とする、漏れ試験用装置(10)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の漏れ試験用装置(10)であって、前記ベースの領域において、前記側壁(14)の前記内側面が、前記膜(24)を構成する貫通開口(22)に隣接することを特徴とする、漏れ試験用装置(10)。
【請求項6】
請求項5に記載の漏れ試験用装置(10)であって、前記貫通開口(22)は円筒状に形成され、その内側に面する円形状の表面を有し、その外縁が前記側壁(14)の前記内側面に隣接していることを特徴とする漏れ試験用装置(10)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の漏れ試験用装置(10)であって、前記内部空間(20)から離れる方向を向く前記ベース(12)の下側(28)には、前記漏れ試験用装置が試験室に収容されたときに、前記ベースの下側(28)が前記試験室の底部(32)に接触するのを防止する少なくとも1つのスペーサ(30)が設けられていることを特徴とする漏れ試験用装置(10)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の漏れ試験用装置(10)であって、当該漏れ試験用装置が、バルブ(38)で閉鎖された充填口(36)を有することを特徴とする、漏れ試験用装置(10)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の漏れ試験用装置(10)であって、前記ベース(12)と前記側壁(14)とが一体的となっている部材上に形成され、前記内側面(18)が前記一体的となっている部材の凹部として形成されていることを特徴とする、漏れ試験用装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス漏れ検出用装置の機能を試験すると共に、較正するための漏れ試験用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス漏れ検知用装置は、通常、ガスまたは液体が充填された試験対象物が配置される排気可能な試験室を備える。この試験室にはガス分析装置が接続されており、当該ガス分析装置は試験室から引き出されたガスを分析し、試験対象物からリークして試験室内に漏れ出てきた漏出ガスがあるか否かを検出したり、リークによって漏れ出てきて気化した液体があるか否かを検出したりすることができる。ここで、検出された漏出ガスの量から、リークの程度を推測できることが特に重要となる。そのため、既知の試験用ガスまたは試験用流体を所定の量だけ含有すると共に、既知の程度(dimensions)のリークを有する、及び/又は含有する流体に対する漏出度が既知であるリークを有する、漏れ試験用装置が使用されている。漏れ試験用装置は、通常、このガス漏れ検出用装置の機能を試験すると共に、当該装置を較正するために使用される。
【0003】
漏れ試験用装置が有する漏れは、しばしば膜として設計されたうえで、その漏出率は、それぞれの試験ガスまたは試験流体に対する膜体の透過率や、当該膜体の温度や、試験ガス/試験流体の温度とその蒸気圧や、当該膜の内側/流体側の濡れ具合や、当該膜の流出側(すなわち試験漏洩装置の外側)での通気性に依存して決まる。
【0004】
例えば、欧州特許第2447694号明細書には、液体で充填された漏出試験用装置が記載されており、その装置からガスが漏出することにより、ガス、蒸気、または液体成分が漏れ出す。漏出試験用装置から漏れ出すガスや、蒸気や、当該ガスによって輸送される液体は、その膜に特有の蒸気圧に応じて、またはその膜の固体層における透過率に応じて、液体により形成される。
【0005】
膜の漏れ試験における漏出率は、膜の内側が液体によって濡れているか否か、また、どの程度に濡れているかに依存して決まる。この点において、膜が直接的に液体に触れているか否か、あるいは液体蒸気(liquid vapor)のみが膜に触れているのかに応じて、漏出率に大きな影響が出ると考えられる。安定した漏出率を確保するためには、液体が膜に到達しないようにするか、液体蒸気だけが当該膜に触れるようにすることが望まれる。
【0006】
独国特許第102014200907号明細書には、流体または流体混合物を収納するリザーバを備える基準ガス放出装置が記載されている。これによれば、リザーバは輸送真空室により取り囲まれている。輸送真空室内では、10kPa未満の室圧力が使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、安定した漏出率を確保することのできる膜を有する、改良された漏れ試験用装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この漏れ試験用装置は、請求項1に記載の特徴、または請求項2に記載の特徴によって定義されるものである。
【0009】
それらによると、漏れ試験用装置は、ベース、カバー、及びベースとカバーとを接続する少なくとも1つの側壁とを備え、ベース、カバーおよび側壁は、試験用ガスまたは試験用液体で満たされ得る内部空間を取り囲んでいる。漏れ試験用装置は、試験用ガスまたは試験用液体の含有成分を透過させることが可能な膜を備え、試験用ガスまたは試験用液体の含有成分が膜を通して漏れ試験用装置から漏れ出ることができるようにしている。
【0010】
本発明の特徴は、膜が漏れ試験用装置の基部に設けられ、内部空間に面する側壁の内側面の互いに対向する部分が、ベースの領域よりもカバーの領域において互いに遠い間隔をあけていることである。その結果、側壁の対向する部分の間の距離は、カバーからベースに向かって減少し、したがって内部空間に収容された試験用流体は重力によって案内されて、側壁の部分に沿ってガイドされ、膜に向かうように誘導されることとなる。
【0011】
代替案として、漏れ試験用装置のベースに凹部を形成することができ、この凹部は、内部空間に面する内側面を有し、この内側面の互いに対向する部分は、ベースの領域よりもカバーの領域において互いに大きい間隔をあけている。言い換えれば、内側面の互いに対向する部分は、上側から(カバーから)下側に向かって(ベースに向かって)減少する間隔である。
【0012】
内部に面する側の側壁または凹部の内側面の互いに対向する部分の間の距離は、好ましくは、カバーからベースに向かって連続的に減少する。内側面(inner side)は、内部空間を円筒状に取り囲み、特に、膜に向かって円錐状に広がるテーパ面をなしていてもよい。ここで、ベースの領域において、内側面が、膜に隣接していると有利であり、あるいはベースに形成されると共に膜を含む貫通開口に隣接していても有利である。
【0013】
この場合、貫通口および/または膜は、円筒状に形成されるとしてもよく、内部、側壁の内面、またはその外縁に隣接する凹部に面する球状面(circular surface)を有するとしてもよい。
【0014】
内部からみて外方を向いているベースの下側、すなわち、漏れ試験用装置がガス漏れ検出装置の試験室の底部に配置されたときに当該試験室の底に面するベースの外側には、漏れ試験用装置が試験室に収容されたときにベースの下側が試験室の底に接触することを防止する少なくとも1つのスペーサが有利に設けられる。スペーサは、試験流体またはそれの蒸気が、漏れ試験用装置と試験室底面との間の領域において、膜を通じて漏れ試験用装置から試験室内に逃げることを容易にし、試験室内において試験流体またはそれの蒸気を均一に分布させることを可能にする。
【0015】
漏れ試験用装置は、好ましくは、バルブによって閉塞される充填口を含んでいる。
【0016】
本発明は、内側面の対向するセクションの間の距離が、膜またはベースの貫通開口に向かうに従って減少することによって、重力が漏れ試験用装置内の試験流体をベースに向かって(したがって、膜に向かって)、移動させるので、膜本体が試験液で均一に濡らされるという利点を提供する。試験流体の貯留容積は、漏れ試験用装置のベース、カバー、および側壁によって囲まれる容積であって、上から下に、すなわち膜に向かうに従って先細りになっている。
【0017】
以下では、本発明の実施の形態について、図を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態に係る漏れ試験用装置の断面図である。
図2】第2の実施形態に係る漏れ試験用装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
いずれの実施形態においても、漏れ試験用装置10は、ベース12を有しており、当該ベース12は、ベースの外縁部から側面に沿って突出する円周状の側壁14によって一体的に囲まれている。カバー16が側壁と液密に接続されており、ベース12、側壁14およびカバー16が内部空間20を液密に取り囲むようになっている。それによって、内部空間20は、試験用流体(すなわち試験用ガスまたは試験用液体)で満たされることが可能となっている。
【0020】
ベース12には、内部空間20を漏れ試験用装置の外部環境と連通させる貫通開口22が形成されており、当該開口には、試験用流体またはその成分を透過可能に構成された膜24が挿入されている。それにより、内部空間20に収容された試験用流体は、膜24を介さなければ漏れ試験用装置から漏れ出すことがない。
【0021】
側壁14は、ベース12の外周に沿って円筒状に突出することによってリング状に構成され、その内側面26は、膜24および貫通開口22に向かって先細りとなる円錐状の形状をなす。上記の円錐状の部分は、ベース12と面している下端において、貫通開口22が開口しており、膜24に隣接するように中央開口部が形成される。
【0022】
ベース12と側壁14とが一体的になるように互いに連結されていることで、内側面26の円錐状の部分は、ベース12の凹部と見なすことも可能である。
【0023】
重力の影響と、内部空間20の直径が貫通開口22及び膜24に向かうに従って小さくなっている(tapering)ことにより、内部空間20に含まれる試験用流体は、内側面18に沿って貫通開口22へと流れ、膜24に向かう。このようにして、漏れ試験用装置10が基板上(例えば、図に十分には示されていないが、ガス漏れ検出装置の試験室34の底部32上)に、真っすぐとなるように置かれると同時に、膜は試験用流体によって均一に濡らされる。
【0024】
図1の実施形態では、ベース12の下側部28には、当該下側部28を越えて更に下方に突出する突起状のスペーサ30が複数設けられている。スペーサ30は、漏れ試験用装置10が試験室の底面上に配置されたときに、下側面28と、試験室の底面との間に距離を生じさせるものである。図において、試験室の底部は参照符号32で表され、試験室は参照符号34で表される。
【0025】
複数のスペーサ30のうちの1つの領域は、ベース12には、内部空間20と、漏れ試験用装置10の外部環境とを連通する、充填口36が設けられ、当該充填口はバルブ38で閉塞されている。バルブ38は、外部から内部空間20に試験用流体を流して充填することはできるが、内部空間20から充填口36を介して外部へと流出させることはできないように構成されている。
【0026】
図2の実施形態では、ベース12の下側面28は、当該下側面とは別途にスペーサ30を有しこのスペーサがベースと一体的となるように形成されているのではなく、平板状に形成されており貫通開口22を同心円状に取り囲む形状を有している。すなわち、ベースと一体的となるように、互いに分離した複数のスペーサ30が設けられているわけではない。膜24は、貫通開口22の下端部に挿入されている。貫通開口22は、膜24と比較すると縮径された寸法の状態で内部空間20に開口している。貫通開口22は、膜24を締結するためのねじの形態の締結要素が挿入される複数のボアホール40によって同心状に取り囲まれており、第2実施形態におけるねじ係合を伴う従来のねじ接続によって保持されている。下方から開口部40にねじ部を上向きにして挿入されたねじの図示しないねじ頭は、ベース12の下面28を越えて下方に突出し、したがって、第1実施形態におけるスペーサ30と同様のスペーサを形成する。
図1
図2
【国際調査報告】