(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】悪性腫瘍の治療におけるメチオニン分解酵素遺伝子治療法の使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/86 20060101AFI20230712BHJP
C12N 15/60 20060101ALI20230712BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230712BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20230712BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20230712BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230712BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20230712BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230712BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230712BHJP
A61K 38/51 20060101ALN20230712BHJP
【FI】
C12N15/86 Z
C12N15/60 ZNA
C12N15/12
C12N15/867 Z
C12N15/09 Z
A61K48/00
A61K35/76
A61P35/00
A61P25/00
A61K38/51
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580276
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(85)【翻訳文提出日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 CN2020105381
(87)【国際公開番号】W WO2021258492
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】202010591468.8
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519315589
【氏名又は名称】広州華津医薬科技有限公司
【住所又は居所原語表記】Room 101, Building C5, No.11 Kaiyuan Avenue, Huangpu District, Guangzhou, 510530 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 子建
(72)【発明者】
【氏名】李 芳紅
(72)【発明者】
【氏名】李 玉玉
(72)【発明者】
【氏名】周 素瑾
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 正▲剛▼
【テーマコード(参考)】
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA13
4C084BA02
4C084CA18
4C084DC26
4C084DC32
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZC20
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZC20
(57)【要約】
悪性腫瘍の治療におけるメチオニン分解酵素遺伝子治療法の使用を開示する。該遺伝子治療法は、ウイルスをベクターとして、外因性メチオニン分解酵素遺伝子を挿入し、腫瘍の内部でメチオニン分解酵素の発現系を構築することで、メチオニンをさらに消費するための内因性機構を提供する。生体外細胞学実験により、メチオニン分解酵素遺伝子治療法は細胞内のメチオニンレベルを顕著に下げ、腫瘍細胞の増殖を効果的に抑制し、悪性腫瘍の標的治療薬の製造に有用であることが明らかになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外因性MEGL遺伝子が挿入されていることを特徴とするウイルスベクター。
【請求項2】
外因性MEGL遺伝子はメチオニンγ-リアーゼ遺伝子である請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項3】
EF1Aをプロモータとする請求項1又は2に記載のウイルスベクター。
【請求項4】
mcherry蛍光タンパク質を持っている請求項1~3のいずれか1項に記載のウイルスベクター。
【請求項5】
外因性MEGL遺伝子配列はSEQ ID NO.1である請求項1~4のいずれか1項に記載のウイルスベクター。
【請求項6】
MEGL遺伝子をプラスミドにサブクローニングし、MEGL発現プラスミドを得て、MEGL発現プラスミド及び補助プラスミドを293T細胞にトランスフェクションし、上清を収集して濃縮、精製し、前記ウイルスベクターを得ることにより構築される請求項1~5のいずれか1項に記載のウイルスベクター。
【請求項7】
MEGL発現プラスミドは293T細胞を共トランスフェクションするMEGL発現プラスミドであり、補助プラスミドはウイルスをパッケージングする補助プラスミドである請求項6に記載のウイルスベクター。
【請求項8】
MEGL発現プラスミドはmCherry赤色蛍光タンパク質を持っている請求項6又は7に記載のウイルスベクター。
【請求項9】
(a)目的遺伝子attB1-MEGL-attB2配列を含むGateway発現ベクターとattP1-ccdB-attP2配列を有するドナーベクターとを混合し、Int、IHFを含有するBP Clonase酵素混合物を加え、25℃で1h保温し、37℃でプロテアーゼKを用いて10min処理し、目的遺伝子MEGLを有するエントリーベクターと自殺遺伝子を有する発現ベクターを生成し、エントリーベクターを大腸菌Stbl3に形質転化し、陽性クローンをスクリーニングして、シーケンシングして検証するBP反応によるエントリーベクター構築と、
(b)発現調節エレメントの下流に両方ともサイズが125bpの2つの組換え部位attR1とattR2を有し、attR1とattR2との間にccdB自殺遺伝子を有する目的ベクターの構築と、
(c)エントリーベクターと目的ベクターの2つのプラスミドを混合し、Int、IHF、Xisなどの組換え因子を含有するLR Clonase酵素混合物を加え、25℃で保温して一晩保存し、37℃でプロテアーゼKを用いて10min処理し、形質転化し、融合プラスミドを生成し、attL1配列をattR1配列と組換え、融合プラスミドを2つの新たなプラスミドに分解し、目的遺伝子を有する目的ベクターの最終発現ベクターを得て、目的産物を大腸菌Stbl3に形質転化し、陽性クローンプラスミドをスクリーニングして、シーケンシングして検証するLR反応による最終発現ベクターの構築と、を含む請求項6~8のいずれか1項に記載のウイルスベクター。
【請求項10】
レンチウイルスベクターである請求項1~9のいずれか1項に記載のウイルスベクター。
【請求項11】
MEGL遺伝子をプラスミドにサブクローニングし、MEGL発現プラスミドを得て、MEGL発現プラスミド及び補助プラスミドを293T細胞にトランスフェクションし、上清を収集して濃縮、精製し、目的ウイルスを得ることを含む請求項1~10のいずれか1項に記載のウイルスベクターの構築方法。
【請求項12】
MEGL発現プラスミドは293T細胞を共トランスフェクションするMEGL発現プラスミドであり、補助プラスミドはウイルスをパッケージングする補助プラスミドである請求項11に記載の構築方法。
【請求項13】
MEGL発現プラスミドはmCherry赤色蛍光タンパク質を持っている請求項11又は12に記載の構築方法。
【請求項14】
(a)目的遺伝子attB1-MEGL-attB2配列を含むGateway発現ベクターとattP1-ccdB-attP2配列を有するドナーベクターとを混合し、Int、IHFを含有するBP Clonase酵素混合物を加え、25℃で1h保温し、37℃でプロテアーゼKを用いて10min処理し、目的遺伝子MEGLを有するエントリーベクターと自殺遺伝子を有する発現ベクターを生成し、エントリーベクターを大腸菌Stbl3に形質転化し、陽性クローンをスクリーニングして、シーケンシングして検証するBP反応によるエントリーベクターの構築と、
(b)発現調節エレメントの下流に両方ともサイズが125bpの2つの組換え部位attR1とattR2を有し、attR1とattR2との間にccdB自殺遺伝子を有する目的ベクターの構築と、
(c)エントリーベクターと目的ベクターの2つのプラスミドを混合し、Int、IHF、Xisなどの組換え因子を含有するLR Clonase酵素混合物を加え、25℃で保温して一晩保存し、37℃でプロテアーゼKを用いて10min処理し、形質転化し、融合プラスミドを生成し、attL1配列をattR1配列と組換え、融合プラスミドを2つの新たなプラスミドに分解し、目的遺伝子を有する目的ベクターの最終発現ベクターを得て、目的産物を大腸菌Stbl3に形質転化し、陽性クローンプラスミドをスクリーニングして、シーケンシングして検証するLR反応による最終発現ベクターの構築と、を含む請求項11~13のいずれか1項に記載の構築方法。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか1項に記載のウイルスベクター、又は請求項11~14のいずれか1項に記載の構築方法によって構築されるウイルスベクターの、悪性腫瘍の治療薬の製造における使用。
【請求項16】
前記医薬品は腫瘍細胞を直接殺傷する医薬品である請求項15に記載の使用。
【請求項17】
悪性腫瘍は神経膠腫である請求項15又は16に記載の使用。
【請求項18】
請求項1~10のいずれか1項に記載のウイルスベクター、又は請求項11~14のいずれか1項に記載の構築方法によって構築されるウイルスベクターの、ヒストンメチルトランスフェラーゼEZH2阻害剤の製造における使用。
【請求項19】
これを必要とする被検者に請求項1~10のいずれか1項に記載のウイルスベクター、又は請求項11~14のいずれか1項に記載の構築方法によって構築されるウイルスベクターを投与することを含むことを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
【請求項20】
悪性腫瘍は神経膠腫である請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬の技術分野における腫瘍治療と遺伝子治療分野に関し、具体的には、悪性腫瘍の標的治療薬におけるメチオニン分解酵素遺伝子治療法の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
悪性腫瘍は人間の生命と健康を深刻に脅かす一般的な疾患であり、2015年の最新の統計データによると、悪性腫瘍による死亡率は住民の全死因の23.91%を占めている。ここ10年来、中国の悪性腫瘍の発病率は毎年3.9%の増加率を維持し、死亡率は毎年2.5%の増加率を維持している。つまり、1日平均1万人を超え、1分間に7.5人ががんと診断されていることになる。悪性腫瘍による医療費は2200億元を超え、癌の予防・抑制が急務となっている。現在、悪性腫瘍の治療には例えば、外科手術、化学療法、放射線療法など多くの手段と方法があり、これらの治療手段は悪性腫瘍に対して一定の治療効果があるが、それぞれ深刻な不良反応があり、治療効果が限定され、薬剤耐性が生じやすいなどのため、新しい標的で正確な治療手段、例えば遺伝子療法を求めることは悪性腫瘍治療の鍵である。腫瘍細胞の急速な成長のため、栄養物質に対する需要と代謝は正常未分化細胞と異なるパターンがあり、持続的な増殖を維持するために、腫瘍細胞は必ずその代謝と栄養獲得方式を調整しなければならない。大量の基礎試験及び臨床試験の研究により、メチオニン、グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、トリプトファンなどの腫瘍依存性アミノ酸及びその誘導体の代謝を標的とし、新規医薬品を開発することで、腫瘍の成長を効果的に抑制できることが明らかになった。従って、標的の代謝調節治療は腫瘍治療の新しい方向である。
【0003】
メチオニン依存性は乳癌、前立腺癌、肺癌、結腸癌、腎臓癌、膀胱癌、黒色腫、神経膠腫など、大多数の腫瘍細胞の共通特徴であり、一方、正常細胞にはメチオニン依存性は存在せず、腫瘍の悪性程度が高いほどメチオニン依存性が高い。いくつかの生体内と生体外の実験により、メチオニン欠乏の食物を直接摂取することは腫瘍細胞の増殖を遅らせることができることが相次いで証明された。しかし、食事中のメチオニンが長期的に不足すると、体の栄養不良、代謝障害を引き起こし、またDNAが長期的に低メチル化状態にあるため、癌の悪化を助長する恐れもある。このため、メチオニン分解酵素MEGLによりメチオニンを特異的に分解することにより、体内のメチオニンを低下させることで、腫瘍細胞の増殖をより効果的に抑制又は解消することができる。しかし、哺乳動物自身はメチオニン分解酵素を発現しないため、外来性投与方式には一定の副作用があり、生体の免疫反応を引き起こす場合が多いため、メチオニン分解酵素の内因性発現を探るのは期待される。癌遺伝子療法は、治療遺伝子を腫瘍細胞に導入することを目的としている。標的細胞に導入されたこれらの治療遺伝子は、突然変異した遺伝子を修正し、活性化した発癌遺伝子を抑制し、又は細胞に他の性能を生じさせる。適切な外来治療遺伝子には、免疫治療遺伝子、血管新生抵抗性遺伝子、化学的保護遺伝子や「自殺」遺伝子が含まれるが、これらに限定されず、これらは、修飾されたウイルスベクター又は非ウイルス方法(エレクトロポレーション、遺伝子ガンや脂質又はポリマー被覆を含む)を用いて細胞に導入することができる。最適なウイルスベクターに対する要求は、特定の標的細胞を特定し、標的細胞内でウイルスゲノムを発現させるための有効能力を含む。ウイルスベクターのこれらのすべての特性は、過去数十年の間に、例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスや腫瘍溶解性ウイルスベクターなど、生物医学において広く研究されてきた。
【0004】
メチオニンは必須アミノ酸であり、メチオニンアデノシルトランスフェラーゼの触媒により、S-アデノシルメチオニン(S-adenosylmethionine、SAM)を生成する。SAMは活性メチオニンとも呼ばれ、体内の最も重要なメチル基の直接ドナーであり、体内のDNA、タンパク質など多くの物質のメチル転移触媒反応に関与する。ヒストンメチルトランスフェラーゼEZH2は、ポリコーム抑制複合体2(PRC2)におけるヒストンメチルトランスフェラーゼを有する有効成分であり、主としてヒストン3の27番リジン(H3K27)にSAMの活性メチル基を付加することにより、クロマチン凝集に関与し、関連遺伝子(例えば、癌抑制遺伝子)の転写を抑制する。研究によると、EZH2とヒストンH3K27のメチル化は癌と密接に関連していることがわかった。EZH2は、最初にリンパ腫、転移性前立腺癌、乳癌で高発現が認められ、乳癌の浸潤に関与している。そのほか、EZH2は肺癌、リンパ癌、白血病、膵臓癌、子宮頸癌、腸癌、肝臓癌、胃癌、黒色腫、腎臓癌、膀胱癌などの多くのヒト悪性腫瘍において過発現し、しかも、その発現レベルは転移腫瘍において顕著に上昇し、癌患者の予後不良と密接に関連している。EZH2を標的とした医薬品の前臨床モデルは、脳癌及び前立腺癌の進行を抑制できることを示した。したがって、EZH2は、癌転移の治療のための潜在的な薬物標的として有用であり、EZH2の発現及び活性を低下させることによって、ヒストンのメチル化を減少させ、癌抑制遺伝子の発現を増強することによって、腫瘍を治療する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
出願人は、メチオニン分解酵素を発現するように外因性MEGL遺伝子が挿入されているウイルスベクターを構築し、前記ベクターはメチル転移酵素EZH2の発現及び活性を抑制することにより、悪性腫瘍の成長及び転移を抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本願は、外因性MEGL遺伝子が挿入されていることを特徴とするウイルスベクターを提供する。
【0007】
さらに、外因性MEGL遺伝子はメチオニンγ-リアーゼ遺伝子(Genbank accession No.L43133.1)である。
【0008】
さらに、前記ベクターはEF1Aをプロモータとする。
【0009】
さらに、前記ベクターはmcherry蛍光タンパク質を持っている。
【0010】
さらに、外因性MEGL遺伝子配列はSEQ ID NO.1である。
【0011】
前記ウイルスベクターは、MEGL遺伝子をプラスミドにサブクローニングし、MEGL発現プラスミドを得て、MEGL発現プラスミド及び補助プラスミドを293T細胞にトランスフェクションし、上清を収集して濃縮、精製し、前記ウイルスベクターを得ることにより構築される。
【0012】
さらに、MEGL発現プラスミドは293T細胞を共トランスフェクションするMEGL発現プラスミドであり、補助プラスミドはウイルスをパッケージングする補助プラスミドである。
【0013】
さらに、MEGL発現プラスミドはmCherry赤色蛍光タンパク質を持っている。
【0014】
構築方法は、具体的には、
(a)目的遺伝子attB1-MEGL-attB2配列を含むGateway発現ベクターとattP1-ccdB-attP2配列を有するドナーベクターとを混合し、Int、IHFを含有するBP Clonase酵素混合物を加え、25℃で1h保温し、37℃でプロテアーゼKを用いて10min処理し、目的遺伝子MEGLを有するエントリーベクターと自殺遺伝子を有する発現ベクターを生成し、エントリーベクターを大腸菌Stbl3に形質転化し、陽性クローンプラスミドをスクリーニングし、シーケンシングして検証するBP反応によるエントリーベクターの構築と、
(b)発現調節エレメントの下流に両方ともサイズが125bpの2つの組換え部位attR1とattR2を有し、attR1とattR2との間にccdB自殺遺伝子を有する目的ベクターの構築と、
(c)エントリーベクターと目的ベクターの2つのプラスミドを混合し、Int、IHF、Xisなどの組換え因子を含有するLR Clonase酵素混合物を加え、25℃で保温して一晩保存し、37℃でプロテアーゼKを用いて10min処理し、形質転化し、融合プラスミドを生成し、attL1配列をattR1配列と組換え、融合プラスミドを2つの新たなプラスミドに分解し、目的遺伝子を有する目的ベクターの最終発現ベクターを得て、目的産物を大腸菌Stbl3に形質転化し、陽性クローンプラスミドをスクリーニングして、シーケンシングして検証するLR反応による最終発現ベクターの構築と、を含む。
【0015】
さらに、前記ウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。
【0016】
別の態様では、本願は悪性腫瘍の治療薬の製造における上記ウイルスベクターの使用を提供する。
【0017】
さらに、前記医薬品は腫瘍細胞を直接殺傷する医薬品である。
【0018】
さらに、悪性腫瘍は神経膠腫である。
【0019】
別の態様では、本願は、ヒストンメチルトランスフェラーゼEZH2阻害剤の製造における上記ウイルスベクターの使用を提供する。
【0020】
別の態様では、本願は、これを必要とする被検者に上記ウイルスベクター、又は上記構築方法によって構築されるウイルスベクターを投与することを含むことを特徴とする悪性腫瘍の治療方法を提供する。
【0021】
さらに、悪性腫瘍は神経膠腫である。
【0022】
前記ウイルスベクターはレンチウイルスベクター、レトロウイルススベクター、アデノウイルスベクターなど、本分野に公知又は開発中のウイルスベクターであってもよく、好ましくはレンチウイルスベクターである。
【0023】
前記悪性腫瘍は、神経膠腫、乳癌、前立腺癌、膵臓癌、肝臓癌、結腸癌、直腸癌、食道癌、喉頭癌、白血病、リンパ癌、黒色腫、子宮癌、卵巣癌、皮膚癌、気管支癌、細気管支癌、尿道癌、腎臓癌、口腔癌、膣癌、胆管癌、膀胱癌又は鼻咽頭癌を含むが、これらに限定されない。上記医薬品又は阻害剤の投与方式は様々な経路を介して投与されてもよく、経口投与、局所投与、注射投与(経静脈、腹膜、皮下、筋肉、腫瘍内、脊柱、脊柱投与を含むが、これらに限定されない)等を含むが、これらに限定されない。
【発明の効果】
【0024】
従来技術に比べて、本発明の優位性は以下の通りである。
【0025】
本発明は、メチル転移酵素EZH2の発現及び活性を抑制することで、悪性腫瘍の成長及び転移を抑制するメチオニン分解酵素を発現させるウイルス系を提供する。
【0026】
レトロウイルスス及び組換えアデノウイルスに比べて、該ウイルス発現系は外因性遺伝子を収容する断片が大きく、遺伝子を安定的かつ長期的に発現させることができ、トランスフェクション効率が高く、いかなる細胞免疫応答も生じないなどの優位性がある。また、mCherry蛍光タンパク質は細胞毒性がより小さく、細胞感染の観察に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】MEGL過発現ウイルスベクターの構築図である。
【
図2】MEGL過発現ウイルスが感染神経膠腫細胞を感染する蛍光顕微鏡検査写真である。
【
図3】PCR及びWestern BlotによるMEGL過発現ウイルスが目的腫瘍細胞を感染する同定結果図である。上はal time PCR結果であり、下はstern Blot結果である。V群:空対照ウイルス群、M群:MEGL過発現ウイルス群である。
【
図4】LC-MSによるMEGL過発現ウイルス感染後の細胞内メチオニンレベルの低下の同定である。V群:空対照ウイルス群、M群:MEGL過発現ウイルス群である。
【
図5】MEGL過発現ウイルスによる神経膠腫細胞増殖の抑制である。V群:空対照ウイルス群、M群:MEGL過発現ウイルス群である。全てのデータは平均値±標準偏差で表される。(n=3)、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001は全てV群と比較したものである。
【
図6】MEGL過発現ウイルスによる腫瘍細胞EZH2発現の抑制である。上はl timePCRによるEZH2遺伝子発現ダウンレギュレーションの検出であり、下はstern BlotによるEZH2タンパク質発現ダウンレギュレーションの検出である。V群:空対照ウイルス群、M群:MEGL過発現ウイルス群である。全てのデータは平均値±標準偏差で表される。(n=3)、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001は全てV群と比較したものである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
下記実施例によって、本発明をより理解することができる。ただし、当業者が理解できるように、実施例に記載の内容は、本発明を説明するのみに使用され、特許請求の範囲に詳述される本発明を制限すべきではない。
【0029】
実施例1:MEGL含有発現ベクターの構築
使用されるMEGL/3xFLAG配列(SEQ ID NO.1):
【0030】
ウイルスベクターは賽業生物社製のものであり、主にGatewayクローン技術を採用して発現ベクターを構築する。Gateway技術はBPとLRの2つの反応を含み、BP反応は1つのattB DNA断片又は発現クローンと1つのattPドナーベクターとの間の組換え反応を利用して、エントリークローンを構築することである。LR反応は1つのattLエントリークローンと1つのattR目的ベクターとの間の組換え反応である。具体的には、以下の通りである。
【0031】
1)BP反応によるエントリーベクター(Entry Vector)構築:目的遺伝子を含むGateway発現ベクター(attB1-MEGL-attB2配列)とattP1-ccdB(自殺遺伝子)-attP2配列を有するドナーベクター(pDONR)とを混合し、Int、IHFを含有するBP Clonase酵素混合物を加え、25℃で1h保温し、37℃でプロテアーゼKを用いて10min処理し、このとき、attPとattB配列は組換えを行い、目的遺伝子(MEGL)を有するエントリーベクター(Entry Vector)と自殺遺伝子を有する発現ベクターを生成した。エントリーベクターを大腸菌Stbl3に形質転化し、陽性クローンをスクリーニングして、シーケンシングして検証した。
【0032】
2)目的ベクター(Destination Vector)もGatewayシステムと適合し、すなわち、目的ベクターの発現調節エレメントの下流に両方ともサイズが125bpの2つの組換え部位attR1及びattR2を有し、同様に、1つのccdB自殺遺伝子が介在している。
【0033】
3)LR反応による最終発現ベクターの構築:エントリーベクター(Entry Vector)と目的ベクター(Destination Vector)の2つのプラスミドを混合し、Int、IHF、Xisなどの組換え因子を含有するLR Clonase酵素混合物を加え、25℃で保温して一晩保存し、37℃でプロテアーゼKを用いて10min処理し、形質転化した。このとき、attR2配列をattL2配列と組換え、融合プラスミドを生成した。attL1配列をさらにattR1配列と組換え、融合プラスミドを2つの新たなプラスミドに分解し、目的遺伝子を有する目的ベクターの最終発現ベクターを得た。目的産物を大腸菌Stbl3に形質転化し、陽性クローンプラスミドをスクリーニングして、シーケンシングして検証した。
【0034】
実施例2:MEGL過発現ウイルスの製造(レンチウイルスの場合)
1)ウイルスパッケージング:トランスフェクションの前日に、好ましくはトランスフェクション当日の細胞が90%~95%融合まで成長する接種細胞数で293T細胞を培養皿に接種し、トランスフェクション当日に、293T細胞から培養液を除去し、ウイルスパッケージング用培養液を10mL(10cm培養皿)加えた。下記方法によってリン酸カルシウム-DNA沈殿を製造した:A.カルシウム-DNA混合物:まず、5mL殺菌EP管にCaCl2を加え、次に、補助プラスミド、目的遺伝子プラスミドをそれぞれ加えて、均一に混合した。B.カルシウム-DNA混合物を含む遠心分離チューブをボルテックス振とう器に置いて、液体に渦を発生させ、その後、2×HBSを1滴ずつ滴下し、滴下終了後、さらに数秒間ボルテックス処理し、5分間静置した。リン酸カルシウム-DNA懸濁液を上記細胞の細胞培地に注入し、培地を軽く均一に混合し、37℃、5%のCO2飽和湿度インキュベータにて培養し、4~6hトランスフェクションした後、元の培養液を吸い出して、ウイルスパッケージング用培養液を10mL加え、37℃、5%CO2飽和湿度インキュベータにて培養し続ける。
【0035】
2)ウイルスの収集及び濃縮
48hトランスフェクションした後、ウイルスを含有する培養液を50mLの遠心分離チューブに収集し、ウイルス上清を低速で遠心分離し、細胞破片を除去し、上清を回収した。0.45μmのフィルタで濾過し、濾液を収集した。濾液体積に応じてその分のPEG6000及びNaCl溶液を加えた。よく均一に混合し、4℃で静置して一晩沈殿させ、翌日に、4℃、1500×gで30分間遠心分離した後、上清を除去した。HBSSでウイルス沈殿を溶解し、沈殿を十分にピペッティングし、単一ウイルスの懸濁液とした後、ウイルスを冷凍保存チューブに個別に包装した。
【0036】
3)Real time PCRによるウイルス力価の同定
ウイルス感染1日前に、ウェルあたり5枚、5×105個/ウェルのように293Tを6ウェルプレートに播種し、24h細胞接種した後、2つのウェルの細胞について血球計数板を用いて計数し、感染時の細胞の実際数を決定し、Nとした。他の培養プレート内の培地を捨てて、終濃度5μg/mLpolybreneを含有する新鮮な培地に交換した。濃縮ウイルスを培地で200倍希釈し、つまり1μLとし、199μLの培地にウイルスを加えた。3つの培養ウェルに0.5μL、5μL及び5μLの希釈ウイルスを加えた。感染開始20h後、培養上清を除去し、DNaseIを含む新鮮な培地500μLに交換した。37℃で15分間消化することにより、残留プラスミドDNAを除去した。その後、正常な培地2mLに交換し、培養を48h持続した。0.25%パンクレアチン-EDTA溶液細胞を消化し、遠心分離して細胞を収集した。DNeasyキットの取扱書に従ってゲノムDNAを抽出し、リアルタイム蛍光PCR増幅を行った。力価(integration units per mL、IU/mL)の計算式は以下の通りである。
IU/mL=(C×N×D×1000)/V
C=ゲノム毎に組み込まれるウイルスコピー数、N=感染時の細胞数(約1×106)D=ウイルスベクターの希釈倍数、V=加えられる希釈ウイルスの体積数。
【0037】
実施例3:MEGL過発現ウイルスの抗腫瘍効果
1、対数成長期の神経膠腫細胞U87、snb19を6ウェル板に接種し、細胞密度が30%~50%程度となるまで成長すると、MOI=10となるように対照空ウイルスvector(以下、全てV群として定義)とMEGL過発現レンチウイルス(以下、全てM群として定義)を加え、終濃度5μg/mL Polybrene試薬を加えてトランスフェクションを補助し、24h後、正常な培地に交換して培養し、さらに48h培養後、終濃度2μg/mLl Puromycinを用いてスクリーニングし、24hごとに蛍光顕微鏡によって細胞の蛍光強度及び割合を観察し、赤色蛍光の細胞量が95%を超えると、スクリーニングに成功したことを示す。細胞スクリーニング結果を
図2に示す。
【0038】
2、Real time PCR及びWestern BlotによるMEGL過発現ウイルス感染後の細胞のメチオニン分解酵素の発現の同定
ウイルス感染後に良好に成長した細胞を、Trizol法により細胞の全RNAを抽出し、1μgの全RNAテンプレートを生体外でcDNAに逆転写した。cDNAをテンプレートとして、予備変性(94℃、2min)、変性(94℃、30s)、アニール(55℃、30s)、伸長(72℃、1min)、30サイクル経て、最終伸長(72℃、10min)により増幅を完了した。増幅産物をアガロースゲル電気泳動にかけて、ゲル撮像システム下で露光して撮影した。
【0039】
MEGLプライマー配列:
MEGL-F:CACTTCTACAGCCGCATCTCCAAC
MEGL-R:GACCACCACAAGCACATCACTCC
【0040】
その結果、
図3Aに示すように、PCRの結果、M群は300~400bpでは特異的MEGL目的遺伝子断片(387bp)が検出され、この結果から、MEGL過発現ウイルスによる神経膠腫の感染が成功したことが明らかになった。ウイルス感染後に良好に成長した細胞にRIPA分解液200μl、PMSF 2μlを加え、きれいなセルスクレーパーを用いて細胞を掻き取り、新しい1.5ml EPチューブに移した。氷上で10min分解し、3s処理し3s停止するように、合計30s超音波破砕した。4℃、12000rpmで15min遠心分離し、上清を別のきれいなEPチューブに入れ、-20℃で保存した。BCA法により総タンパク質濃度を検出した。Western BlotによりMEGLを検出し、Tubμlinを内部基準とした。その結果、
図3Bに示すように、M群は約43KDで特異的バンド(*はメチオニン分解酵素タンパク質のバンドを示す)が検出され、MEGL過発現ウイルス感染が成功したことがさらに示唆された。
【0041】
3、MEGL過発現ウイルス感染後の細胞のメチオニン分解酵素活性の同定。液体クロマトグラフィー-質量分析計(LC-MS)によってMEGL過発現ウイルスで悪性腫瘍細胞に感染した後の細胞内のメチオニンのレベルを同定した。
ウイルス感染後の対数成長期にある神経膠腫細胞U87-V、U87-M、snb19-V、snb19-Mを用いて、1.5×10
6個/ml単細胞懸濁液をそれぞれ製造し、1mlを150mm培養皿に入れて、3d培養し、パンクレアチンで消化して細胞を収集し、予冷したPBSで2回洗浄した。予冷した60%メタノール水溶液2mLを加えて抽出し、3s処理し3s停止するように合計5回超音波を用いて細胞を破砕し、なお、氷浴処理が必要である。遠心分離して上清をサンプル瓶に取り、沈殿させてから60%メタノール1mLを加え、繰り返して抽出した。上清液を併せて、凍結乾燥し、一晩放置した。予冷した60%メタノール水溶液300μlを加えて再溶解し、超音波でボルテックスし、0.22μm膜でろ過し、装置に注入して検出した。その結果、
図4に示すように、snb19細胞の場合、V群に比べて、M群では、細胞内メチオニンレベルは19.9倍低下し、一方、U87細胞の場合、V群に比べて、M群では、細胞内メチオニンレベルは3.15倍低下した。この結果から、MEGL過発現ウイルスは細胞に感染し、細胞内メチオニン含有量を低下させる作用を果たすことが明らかになった。
【0042】
4、CCK8法によるウイルスの神経膠腫細胞増殖の抑制に対するMEGL過発現の影響の検出
ウイルス感染後の対数成長期にある神経膠腫細胞U87-V、U87-M、snb19-V、snb19-Mを用いて、単細胞懸濁液を製造した。ウェルあたり100μLの細胞懸濁液(1.5×10
3個の細胞含有)で96ウェルプレートに接種し、1群あたり5個のサブウェルを設置した。1日目、3日目、4日目、5日目、7日目に細胞の増殖をそれぞれ検出し、すなわち、泡が発生しないように、ウェルあたりCCK-8溶液10μlを加えた。細胞を37℃、5%のCO
2インキュベータで1hインキュベートし、培養プレートを取り出して、マイクロプレートリーダを用いて450nmでの細胞吸光度を測定した。その結果、
図5に示すように、MEGL過発現ウイルスは神経膠腫細胞の増殖を有意に抑制した。
【0043】
5、Real time PCRによる腫瘍細胞EZH2遺伝子の発現の低下に対するMEGL過発現ウイルスの検出
ウイルス感染後に良好に成長した細胞を、Trizol法により細胞全RNAを抽出し、RNAテンプレート1μgを生体外でcDNAに逆転写した。cDNAをテンプレートとして、Real time PCR反応条件として、50℃ 2min、95℃ 10min、95℃ 15sec、60℃ 1min、72℃ 1min(合計40サイクル)とし、最後に、産物の溶解曲線を検出し、2
-△△Ct方法によって計算した。その結果、
図6Aに示すように、MEGL過発現ウイルスは細胞内EZH2遺伝子の発現を低下させた。
図6Bに示すように、Western Blot結果より、MEGL過発現ウイルスは細胞内EZH2タンパク質の発現を低下させることが証明された。
【0044】
上記生体外実験により、本発明で使用されるウイルスを介したメチオニン分解酵素系はEZH2を抑制することで腫瘍増殖を抑制し、優れた抗腫瘍効果があることがさらに示された。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-12-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外因性MEGL遺伝子が挿入されていることを特徴とするウイルスベクター。
【請求項2】
外因性MEGL遺伝子はメチオニンγ-リアーゼ遺伝子である請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項3】
EF1Aをプロモータとする請求項1又は2に記載のウイルスベクター。
【請求項4】
mcherry蛍光タンパク質を持っている請求項1~3のいずれか1項に記載のウイルスベクター。
【請求項5】
外因性MEGL遺伝子配列はSEQ ID NO.1である請求項1~4のいずれか1項に記載のウイルスベクター。
【請求項6】
MEGL遺伝子をプラスミドにサブクローニングし、MEGL発現プラスミドを得て、MEGL発現プラスミド及び補助プラスミドを293T細胞にトランスフェクションし、上清を収集して濃縮、精製し、前記ウイルスベクターを得ることにより構築される請求項1~5のいずれか1項に記載のウイルスベクター。
【請求項7】
MEGL発現プラスミドは293T細胞を共トランスフェクションするMEGL発現プラスミドであり、補助プラスミドはウイルスをパッケージングする補助プラスミドであ
り、
好ましくは、MEGL発現プラスミドはmCherry赤色蛍光タンパク質を持っている請求項6に記載のウイルスベクター。
【請求項8】
(a)目的遺伝子attB1-MEGL-attB2配列を含むGateway発現ベクターとattP1-ccdB-attP2配列を有するドナーベクターとを混合し、Int、IHFを含有するBP Clonase酵素混合物を加え、25℃で1h保温し、37℃でプロテアーゼKを用いて10min処理し、目的遺伝子MEGLを有するエントリーベクターと自殺遺伝子を有する発現ベクターを生成し、エントリーベクターを大腸菌Stbl3に形質転化し、陽性クローンをスクリーニングして、シーケンシングして検証するBP反応によるエントリーベクター構築と、
(b)発現調節エレメントの下流に両方ともサイズが125bpの2つの組換え部位attR1とattR2を有し、attR1とattR2との間にccdB自殺遺伝子を有する目的ベクターの構築と、
(c)エントリーベクターと目的ベクターの2つのプラスミドを混合し、Int、IHF、Xisなどの組換え因子を含有するLR Clonase酵素混合物を加え、25℃で保温して一晩保存し、37℃でプロテアーゼKを用いて10min処理し、形質転化し、融合プラスミドを生成し、attL1配列をattR1配列と組換え、融合プラスミドを2つの新たなプラスミドに分解し、目的遺伝子を有する目的ベクターの最終発現ベクターを得て、目的産物を大腸菌Stbl3に形質転化し、陽性クローンプラスミドをスクリーニングして、シーケンシングして検証するLR反応による最終発現ベクターの構築と、を含む請求項
6又は7に記載のウイルスベクター。
【請求項9】
レンチウイルスベクターである請求項1~
8のいずれか1項に記載のウイルスベクター。
【請求項10】
MEGL遺伝子をプラスミドにサブクローニングし、MEGL発現プラスミドを得て、MEGL発現プラスミド及び補助プラスミドを293T細胞にトランスフェクションし、上清を収集して濃縮、精製し、目的ウイルスを得ることを含む請求項1~
9のいずれか1項に記載のウイルスベクターの構築方法。
【請求項11】
MEGL発現プラスミドは293T細胞を共トランスフェクションするMEGL発現プラスミドであり、補助プラスミドはウイルスをパッケージングする補助プラスミドであ
り、
好ましくは、MEGL発現プラスミドはmCherry赤色蛍光タンパク質を持っている請求項
10に記載の構築方法。
【請求項12】
(a)目的遺伝子attB1-MEGL-attB2配列を含むGateway発現ベクターとattP1-ccdB-attP2配列を有するドナーベクターとを混合し、Int、IHFを含有するBP Clonase酵素混合物を加え、25℃で1h保温し、37℃でプロテアーゼKを用いて10min処理し、目的遺伝子MEGLを有するエントリーベクターと自殺遺伝子を有する発現ベクターを生成し、エントリーベクターを大腸菌Stbl3に形質転化し、陽性クローンをスクリーニングして、シーケンシングして検証するBP反応によるエントリーベクターの構築と、
(b)発現調節エレメントの下流に両方ともサイズが125bpの2つの組換え部位attR1とattR2を有し、attR1とattR2との間にccdB自殺遺伝子を有する目的ベクターの構築と、
(c)エントリーベクターと目的ベクターの2つのプラスミドを混合し、Int、IHF、Xisなどの組換え因子を含有するLR Clonase酵素混合物を加え、25℃で保温して一晩保存し、37℃でプロテアーゼKを用いて10min処理し、形質転化し、融合プラスミドを生成し、attL1配列をattR1配列と組換え、融合プラスミドを2つの新たなプラスミドに分解し、目的遺伝子を有する目的ベクターの最終発現ベクターを得て、目的産物を大腸菌Stbl3に形質転化し、陽性クローンプラスミドをスクリーニングして、シーケンシングして検証するLR反応による最終発現ベクターの構築と、を含む請求項
10又は11に記載の構築方法。
【請求項13】
請求項1~
9のいずれか1項に記載のウイルスベクター、又は請求項
10~
12のいずれか1項に記載の構築方法によって構築されるウイルスベクターの、悪性腫瘍の治療薬の製造における使用。
【請求項14】
前記医薬品は腫瘍細胞を直接殺傷する医薬品であ
り、及び/又は悪性腫瘍は神経膠腫である請求項
13に記載の使用。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか1項に記載のウイルスベクター、又は請求項
10~
12のいずれか1項に記載の構築方法によって構築されるウイルスベクターの、ヒストンメチルトランスフェラーゼEZH2阻害剤の製造における使用。
【国際調査報告】