(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/34 20200101AFI20230713BHJP
H02N 1/04 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
G01R31/34 Z
H02N1/04
G01R31/34 A
G01R31/34 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537171
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(85)【翻訳文提出日】2022-06-16
(86)【国際出願番号】 KR2020016285
(87)【国際公開番号】W WO2021125583
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0168478
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520178401
【氏名又は名称】チャールズ・キソク・ソン
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・キソク・ソン
【テーマコード(参考)】
2G116
【Fターム(参考)】
2G116BA00
2G116BB08
(57)【要約】
摩擦帯電発電素子の性能を評価することができる多数の分析方法を利用して発電素子間性能を客観的で同等に評価することができる、摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法が開示される。前記摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法は、下記のa)ないしd)プロトコルのいずれか一つ以上のプロトコルを通じて摩擦帯電発電素子の電気信号を分析する段階を含む。
a)摩擦帯電発電素子が曲がるように中心部に一定周期で力を加えて発生する電気信号を分析するプロトコル
b)摩擦帯電発電素子が曲がるように少なくともある一端に力を加えて発生する電気信号を分析するプロトコル
c)摩擦帯電発電素子の形態を変換させない限度内で前記素子を一定周期で叩いたり素子に振動を起こして発生する電気信号を分析するプロトコル及び
d)摩擦帯電発電素子から一定距離離隔された誘導体を振って発生する電気信号を分析するプロトコル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のa)ないしd)プロトコルのいずれか一つ以上のプロトコルを通じて摩擦帯電発電素子の電気信号を分析する段階を含む摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法:
a)摩擦帯電発電素子が曲がるように中心部に一定周期で力を加えて発生する電気信号を分析するプロトコル
b)摩擦帯電発電素子が曲がるように少なくともある一端に力を加えて発生する電気信号を分析するプロトコル
c)摩擦帯電発電素子の形態を変換させない限度内で前記素子を一定周期で叩いたり素子に振動を起こして発生する電気信号を分析するプロトコル及び
d)摩擦帯電発電素子から一定距離離隔された誘導体を振って発生する電気信号を分析するプロトコル。
【請求項2】
前記プロトコルa)の素子の中心部と前記プロトコルb)の素子端には、それぞれ一対のバー(bar)が素子から上下離隔されたり接合されたまま備えられ、前記バーは上下運動を通じて素子に力を加えることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法。
【請求項3】
前記バーの直径は5ないし20mmで、前記バーは前記素子から0.5ないし5mm離隔されて位置することを特徴とする、請求項2に記載の摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法。
【請求項4】
前記バーはシリコーンチューブ内に炭素棒が挿入された複合体、テフロンチューブ内にプラスチック棒、セラミック及び高分子が混合された棒(plastic‐ceramic composite rod)が挿入された複合体、及び金属棒を含む単一体からなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法。
【請求項5】
前記バーは1ないし20hzの周期で1ないし5cm上下運動することを特徴とする、請求項2に記載の摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法。
【請求項6】
前記プロトコルc)の素子の上下部にはそれぞれ高強度の板が備えられて素子の形態変換を防ぐことを特徴とする、請求項1に記載の摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法。
【請求項7】
前記プロトコルc)の素子の電気信号は、前記板を叩いたり前記板に振動を起こして発生されることを特徴とする、請求項6に記載の摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法。
【請求項8】
前記板の材質は、鉄、ステンレススチール、黄銅及びアルミニウム合金からなる群から選択され、その強度は0.001ないし100kgfであることを特徴とする、請求項6に記載の摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法。
【請求項9】
前記プロトコルa)ないしc)の素子は、ファラデーケージ効果を引き起こす伝導性物質からなる基材の内部に備えられたり、伝導体によって取り囲まれることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法。
【請求項10】
前記基材の形態は、ボックスタイプまたは網タイプで、前記伝導体はアルミニウムホイルを含む板型の伝導性金属であることを特徴とする、請求項9に記載の摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法。
【請求項11】
前記プロトコルd)の誘導体は、前記素子から数マイクロメートルないし数十メートル離れた所に備えられ、人の手、金属棒、プラスチック棒、毛玉及び布からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法。
【請求項12】
前記誘導体を振る方向または方式は、素子の平面を基準にして水平方向、垂直方向、対角方向及び円形からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法。
【請求項13】
前記プロトコルa)ないしd)の素子の各電極には信号分析装備が連結されることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法。
【請求項14】
前記プロトコルa)ないしd)のそれぞれは一セット行った後、数ないし数十秒間の休止期を経てさらに数セット行われることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年12月17日付韓国特許出願第10‐2019‐0168478号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法に係り、より詳しくは、摩擦帯電発電素子の性能を評価することができる多数の分析方法を利用して発電素子間性能を客観的で同等に評価することができる、摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法に関する。
【背景技術】
【0003】
摩擦帯電発電素子(triboelectric power generating device)とは、通常相異なる摩擦帯電極性を持つ2つの物質が接触して電荷が移動する摩擦帯電効果を利用するものであって、最近は、人の身体的動きや機械的振動のような多様なエネルギー源を通じて高効率で電気を生産することができる方案が徐々に増加している成り行きである。このように、摩擦帯電発電素子の性能が向上されることによって、これらの発電素子の性能を比較評価することができるプロトコルも幾つか知られていて、このようなプロトコルを通じる素子間性能が円滑に比較されると、前記のプロトコルは当業界でとても有用に利用できると判断する。
【0004】
しかし、従来のプロトコルは摩擦帯電発電素子を評価する方法が相違であったり標準化されなくて、素子間性能評価が客観的で同等な条件で具現されず、摩擦帯電発電素子間の性能の比較対照が難しい問題点がある。よって、摩擦帯電発電素子の性能評価方法を標準化し、素子間性能を客観的で同等な条件下で評価できる新規な分析プロトコルの開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、本発明の目的は、摩擦帯電発電素子の性能を評価することができる多数の分析方法を利用して発電素子間性能を客観的で同等に評価することができる、摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、下記のa)ないしd)プロトコルのいずれか一つ以上のプロトコルを通じて摩擦帯電発電素子の電気信号を分析する段階を含む摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法を提供する。
a)摩擦帯電発電素子が曲がるように中心部に一定周期で力を加えて発生する電気信号を分析するプロトコル
b)摩擦帯電発電素子が曲がるように少なくともある一端に力を加えて発生する電気信号を分析するプロトコル
c)摩擦帯電発電素子の形態を変換させない限度内で前記素子を一定周期で叩いたり素子に振動を起こして発生する電気信号を分析するプロトコル及び
d)摩擦帯電発電素子から一定距離離隔された誘導体を振って発生する電気信号を分析するプロトコル。
【発明の効果】
【0007】
本発明による摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法は、摩擦帯電発電素子の性能を評価することができる多数の分析方法を利用して発電素子間性能を客観的で同等に評価することができる長所を持っている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例によってプロトコルa)ないしd)を利用して測定された摩擦帯電発電素子の電気信号グラフ。
【
図2】本発明の一実施例によってプロトコルa)ないしd)を利用して測定された摩擦帯電発電素子の電気信号グラフ。
【
図3】本発明の一実施例によってプロトコルa)ないしd)を利用して測定された摩擦帯電発電素子の電気信号グラフ。
【
図4】本発明の一実施例によってプロトコルa)ないしd)を利用して測定された摩擦帯電発電素子の電気信号グラフ。
【
図5】本発明の一実施例によってプロトコルa)ないしd)を利用して測定された摩擦帯電発電素子の電気信号グラフ。
【
図6】比較例によって手を利用して測定された摩擦帯電発電素子の電気信号グラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明による摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法は、下記のa)ないしd)プロトコルのいずれか一つ以上のプロトコルを通じて摩擦帯電発電素子の電気信号を分析する段階を含む。
a)摩擦帯電発電素子が曲がるように中心部に一定周期で力を加えて発生する電気信号を分析するプロトコル
b)摩擦帯電発電素子が曲がるように少なくともある一端に力を加えて発生する電気信号を分析するプロトコル
c)摩擦帯電発電素子の形態を変換させない限度内で前記素子を一定周期で叩いたり素子に振動を起こして発生する電気信号を分析するプロトコル及び
d)摩擦帯電発電素子から一定距離離隔された誘導体を振って発生する電気信号を分析するプロトコル。
【0010】
前述したように、摩擦帯電発電素子の性能を評価することができる従来のプロトコルが幾つか知られているが、これらは摩擦帯電発電素子を評価する方法が相違であるか、または標準化されず、素子間性能評価が客観的で同等な条件で具現されなくて、摩擦帯電発電素子間の性能の比較対照が難しい問題点がある。ここで、本出願人は、前記のように摩擦帯電発電素子の性能評価方法を標準化し、素子間性能を客観的で同等な条件下で評価することができる新規な分析プロトコルを開発した。
【0011】
つまり、前記4つ(aないしd)の電気信号分析プロトコル(Protocol)は、素子間性能評価を同等に(apple‐to‐apple)誘導することができるものであって、摩擦帯電発電素子に直間接的な物理的影響を与え、これによって発生する電気信号を解釈する方式に基づくものである。一方、本発明による摩擦帯電発電素子の電気信号分析方法に適用される摩擦帯電発電素子は、相互異なる摩擦帯電極性を持つ2つの物質が接触して電荷が移動する摩擦帯電効果を利用するものであれば特に制限されず、例えば、外部から加えられる全ての物理的運動エネルギーを電気エネルギーに転換できるし、風力発電、潮力発電及び波力発電などに活用できる発電素子、物理的動きを感知したり触感(texture)、硬度(hardness)または加えられる力(force)を感知することも可能で、センサ(sensor)としても活用できる発電素子までも本発明の電気信号分析方法に適用されることができる。さらに、本出願人によって2017年11月22日付にて特許出願された第10‐2017‐0156387号の摩擦帯電発電素子も本発明の電気信号分析方法に適用されることは勿論である。
以下、前記a)ないしd)プロトコルについて具体的に検討してみる。
【0012】
1.a)プロトコル
先ず、前記a)の電気信号分析プロトコルは、摩擦帯電発電素子の中心部を一定の力と周期で叩いて曲がるようにすることで発生する電気信号を分析する方法である。つまり、電気信号を発生させるためには、前記のように摩擦帯電発電素子に物理的影響を与えなければならないし(すなわち、一定の力で叩いて素子を曲がるようにする物理的影響)、発生した電気信号を測定及び分析するためには、各電極に信号分析装備を連結しなければならない。前記信号分析装備は電気信号を分析することができる機器であれば特に制限せずに、Keithley DMM 7510などのグラフィックサンプリングマルチメートルを例えることができる。
【0013】
また、外部の静電気を遮断してより正確な電気信号を測定するために、すなわち、言い換えれば、ファラデーケージ効果(Faraday Cage effect)を引き起こすために、前記摩擦帯電発電素子は伝導性物質からなる基材の内部に備えられるか、伝導体によって囲まれることができる。ここで、前記基材の形態では、ボックス(box)タイプ及び網タイプなどを例えることができ、前記素子を取り囲む伝導体は、アルミニウムホイルのような(または、アルミニウムホイルを含む)板型の伝導性金属などであってもよい。
【0014】
また、前記電気信号分析時には、前記摩擦帯電発電素子の中心部に一定周期で力を加えるための一対のバー(bar、または棒)が前記摩擦帯電発電素子の上下部に一定間隔で離隔されたり接合されたまま備えられることができる。すなわち、前記一対のバーのいずれか一つのバーは前記摩擦帯電発電素子の上方に、もう一つのバーは前記摩擦帯電発電素子の下方にそれぞれ一定間隔離れたり接合された状態で位置することができ、これらは素子中心部の上下方向に置かれるようにしなければならない。
【0015】
一方、前記バーの大きさ及び素子からの離隔間隔は特に制限しないが、例えば、前記バーの直径は5ないし20mmであってもよく、離隔の場合、前記それぞれのバーは前記素子から0.5ないし5mm離隔されて位置することができるなど、前記バーを通じて前記摩擦帯電発電素子の中心部に力を加えることができれば、前記のように前記バーの大きさ及び素子からの離隔間隔は特に制限しない。前記バーの素材も前記素子の中心部に力を加えて素子を曲がるようにするものであれば特に制限しないが、高速(3Hz以上)で物理的な衝撃を与えながらも素子を破損してはならないという点を考慮して、シリコーン素材のチューブ内に炭素棒(carbon rod)が挿入された複合体、テフロン(登録商標)素材のチューブ内にプラスチック棒(plastic rod、例:ABS棒)、セラミック(ceramic)及び高分子が混合されたコンパウンド(compound)形態の棒(plastic‐ceramic composite rod)が挿入された複合体、またはアルミニウムなどの金属棒を含む単一体で構成されたバー(bar)で適用することが好ましい。
【0016】
以上のようなバー(bar)は、電気信号分析時、前記摩擦帯電発電素子の上下部で一定周期で上下運動し、素子の中心部に力を加えることで素子を曲がるようにする。例えば、前記バーは1ないし20hzの周期で1ないし5cmの上下移動ができ、前記上下移動距離が2cmの場合は、上方に1cm、下方に1cm移動することができる。その他、電気信号分析時は、一セットを先に測定した後、数ないし数十秒間の休止期を経てさらに数セット測定することで信頼性を確保することができる。
【0017】
2.b)プロトコル
次に、前記b)の電気信号分析プロトコルは、摩擦帯電発電素子の少なくともある一端を取った後、素子の中心部を一定曲面に曲げて発生する電気信号を分析する方法である。すなわち、電気信号を発生させるためには、前記のように摩擦帯電発電素子に物理的影響を与えなければならず(すなわち、一定の力を加えて素子を曲げる物理的影響)、発生した電気信号を測定及び分析するためには、各電極の一端に信号分析装備を繋げなければならない(信号分析装備に関する説明はa)プロトコル項目で説明したバーを準用し、これは後述するc)プロトコル及びd)プロトコルにも同様に適用することができる)。また、外部の静電気を遮断してより正確な電気信号を測定するために、ファラデーケージ効果を引き起こすことができる伝導性物質を利用することができ、これも前記a)プロトコル項目で説明したバーを準用する。
【0018】
一方、前記電気信号分析時は、前記摩擦帯電発電素子に一定周期で力を加えるための一対のバー(bar、または棒)が前記摩擦帯電発電素子の一端の上下部に一定間隔離隔されるか接合されたまま備えられることができる(前述したように、他端は信号分析装備が繋がって固定された状態になる)。すなわち、前記一対のバーのいずれか一つのバーは前記摩擦帯電発電素子の上方に、もう一つのバーは前記摩擦帯電発電素子の下方にそれぞれ一定間隔離れたり接合された状態で位置することができる。
【0019】
以上のようなバー(bar)は、電気信号分析時、前記摩擦帯電発電素子の上下部で一定周期で上下運動をし、これによって、素子の一端に力を加えることで素子が上下に曲がるように誘導する(すなわち、素子の一端のみに力を入れて、他端は固定されることによって、素子が上下に曲がるようになる)。例えば、前記バーは1ないし20hzの周期で1ないし5cmの上下運動(または、上下移動)ができ、前記上下移動距離が4cmの場合は上下2cmずつ素子とともに動くことができる。その他、電気信号分析時は、一セットを先に測定した後、数ないし数十秒間の休止期を経てさらに数セット測定することで信頼性を確保することができる。
【0020】
その他、前記b)プロトコルにおいて、前記一対のバーは素子の一端ではない両端の各上下部に一定間隔離隔されたり接合されたまま備えられることもできる。この場合は、両端が対称する動きを通じて素子が曲がるようになり(すなわち、折り畳み状態)、このような形態から発生する電気信号を分析するようになる。
【0021】
3.c)プロトコル
続いて、前記c)の電気信号分析プロトコルは、摩擦帯電発電素子の形態を変換させずに圧搾した状態で素子を一定の力と周期で叩いたり振動を起こして発生する電気信号を分析する方法である。つまり、電気信号を発生させるためには、前記のように摩擦帯電発電素子に物理的影響を与えなければならず(すなわち、一定の力を加えて素子を叩いたり振動を起こす物理的影響)、発生した電気信号を測定及び分析するためには、各電極に信号分析装備を連結しなければならない。また、外部の静電気を遮断してより正確な電気信号を測定するために、ファラデーケージ効果を引き起こすことができる伝導性物質を利用することができる。
【0022】
前記プロトコルc)は、摩擦帯電発電素子の形態を原型で維持した状態で電気信号を分析しなければならないので、ここでは、素子の上下部にそれぞれ高強度の板を位置させた後、圧搾して素子の形態を固定させる過程が先行されなければならない。このような過程が行われた後は、素子の上下部に位置した板のいずれか一つ以上の板を一定周期及び力で叩いたり、表面を掻くなどの方法で振動を誘発することで発生する電気信号を分析しなければならない。前記板の材質としては、鉄、ステンレススチール、黄銅及びアルミニウム合金などの圧搾によって素子を固定させることができるものなどを例えることができ、その強度は0.001ないし100kgfであってもよい。また、前記圧搾する力は、素子の形態が変換されないように固定させられる位であればよく、よって、前記圧搾する力は特に制限されない。また、電気信号を発生させるに必要な力や掻く度合いも、状況によって適切に可変されるなど制限されない。その他、電気信号分析時は、一セットを先に測定した後、数ないし数十秒間の休止期を経てさらに数セット測定することで信頼性を確保することができる。
【0023】
4.d)プロトコル
最後に、前記d)の電気信号分析プロトコルは、摩擦帯電発電素子から一定距離離れて位置した誘導体(Inducer)を一定周期で振って発生する電気信号を分析する方法である。前記プロトコルd)は、前述したプロトコルa)ないしc)と違って、摩擦帯電発電素子を曲げたり叩いたり掻かない非接触式電気信号分析法であり、よって、素子の動きを捕捉できるように前記プロトコルd)ではファラデーケージ効果を引き起こすことができる伝導性物質を使わない。その他、発生した電気信号を測定及び分析するために、各電極に繋がる信号分析装備の使用は前記プロトコルa)ないしc)と同一である。
【0024】
より具体的に、前記誘導体は素子から数マイクロメートルないし数十メートル離れた所に備えられてもよく、素子の評価面と平行になる平面上で多様な方向または形態で一定周期(例えば、1ないし20Hz)で振って電気信号を発生させることができる。前記誘導体では人の手、金属棒、PEなどからなるプラスチック棒、毛玉及び布など、前記摩擦帯電発電素子から電気を発生させることができる部材であれば特に制限しない。また、前記誘導体を振る方向または方式では、素子の平面を基準にして水平となる方向、垂直となる方向、対角になる方向及び円形などを例示することができるが、これも前記摩擦帯電発電素子から電気を発生させることができる方向または方式であれば特に制限しない。その他、電気信号分析時は、一セットを先に測定した後、数ないし数十秒間の休止期を経てさらに数セット測定することで信頼性を確保することができる。
【実施例】
【0025】
以下、具体的な実施例を通じて本発明をより詳しく説明する。下記実施例は本発明を例示するためのものであって、本発明が下記実施例によって限定されるものではない。
【0026】
[実施例1]摩擦帯電発電素子の電気信号分析‐プロトコルa
先ず、摩擦帯電発生層を中心にして、その上部面と下部面にそれぞれ電極が位置した摩擦帯電発電素子を準備した後、各電極に電気信号分析装備であるDMM 7510(Keithley社、アメリカ)を連結し、続いて、前記素子をアルミニウムホイル(Aluminum Foil)で包んだ。次に、素子の長手方向の中心部を基準にして上部方向と下部方向のそれぞれに1mmの間隔で、バー(bar、直径5mmの炭素棒が挿入された直径8mmのシリコーン素材のチューブ)一つずつ備えた後、これを1~12hzの周期で1cmずつ上下移動させ(総2cmの距離を移動)、素子の中心部に力を加えることで素子が曲がるようにした。この時、前記のようなバーの移動によって一セット先に力を伝達して電気信号を測定した後、信頼性向上のために、数ないし数十秒間の休止期を経てさらに数セット進めた後、電気信号を測定した。
【0027】
[実施例2]摩擦帯電発電素子の電気信号分析‐プロトコルb‐1
バー(bar、直径5mmの炭素棒が挿入された直径8mmのシリコーン素材のチューブ)を素子の中心部ではない、ある一端の上部方向と下部方向のそれぞれに1mmの間隔で一つずつ具備させ、電気信号分析装備であるDMM 7510(Keithley社、アメリカ)を各電極の同一方向の一端に連結して固定させ、前記バーを1~12hzの周期で2cmずつ上下移動させ(総4cmの距離を移動)、素子の一端のみに力を加えることで素子が上下に曲がるようにしたことを除いては、前記実施例1と同様に行って素子の電気信号を測定した。
【0028】
[実施例3]摩擦帯電発電素子の電気信号分析‐プロトコルb‐2
バー(bar)を素子の一端ではない両端各上下部に具備させ、素子の両端に力を加えることで素子が対称するよう曲がるようにしたことを除いては、前記実施例2と同様に行って素子の電気信号を測定した。
【0029】
[実施例4]摩擦帯電発電素子の電気信号分析‐プロトコルc
バー(bar)の代わりに鉄材質の板を適用した例示であって、このような板2枚を素子の上下部にそれぞれ位置させた後、2kgの重さで圧搾して素子の形態が変わらないように固定し、続いて、一つの板に1kgの力を1~10hzの周期で叩いて電気信号を発生させたことを除いては、前記実施例1と同様に行って素子の電気信号を測定した。
【0030】
[実施例5]摩擦帯電発電素子の電気信号分析‐プロトコルd
非接触式の電気信号分析法として、先ず摩擦帯電発電素子の各電極に電気信号分析装備であるDMM 7510(Keithley社、アメリカ)を連結し、続いて、素子から10cmの距離にPEプラスチック棒(誘導体)を位置させた後、これを素子の評価面と平行になる平面上で左右方向に1~10Hzで振って電気信号を発生させ、このような誘導体を通じて発生される電気信号を一セット先に進めて電気信号を測定した後、信頼性を向上するために、数ないし数十秒間の休止期を経てさらに数セット進めた後、電気信号を測定した。
【0031】
[比較例1]摩擦帯電発電素子の電気信号分析
摩擦帯電発生層を中心にして、その上部面と下部面にそれぞれ電極が位置した摩擦帯電発電素子を準備した後、手を利用して一定周期で素子を振って発生された電気信号を測定した。
【0032】
[実施例1~5、比較例1]
摩擦帯電発電素子の電気信号分析評価
前記実施例1ないし5及び比較例1のそれぞれから測定された電気信号をグラフィックサンプリングマルチメートルであるDMM 7510(Keithley社、アメリカ)を通じて確認した(つまり、素子に加えられる刺激による電圧/電流の変化を確認)。
図1ないし5は本発明の一実施例によってプロトコルa)ないしd)を利用して測定された摩擦帯電発電素子の電気信号グラフで、
図6は比較例によって手を利用して測定された摩擦帯電発電素子の電気信号グラフであって、具体的に、
図1は前記実施例1(プロトコルa)で測定された素子の電気信号グラフで、
図2は前記実施例2(プロトコルb‐1)で測定された素子の電気信号グラフで、
図3は前記実施例3(プロトコルb‐2)で測定された素子の電気信号グラフで、
図4は前記実施例4(プロトコルc)で測定された素子の電気信号グラフで、
図5は前記実施例5(プロトコルd)で測定された素子の電気信号グラフをそれぞれ意味する。
【0033】
前記のように各信号の分析方法を通じて素子の電気信号を確認した結果、前記実施例1ないし5のプロトコルを利用した場合は、
図1ないし5に図示されたように、素子に加えられる衝撃/変化によって電気が即刻発生し、また、電圧/電流の変化量において大差を示さないなど、素子の性能がとても類似に測定されたことに対し、単純に手で振って測定した前記比較例1の場合は、素子に加えられる衝撃/変化によって電気信号の時間間隔及び強度が不規則に発生して、前記実施例1ないし5のプロトコルを利用した場合に比べて客観的で同等に評価するのに困難があった。
【国際調査報告】