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特表2023-531120抗CGRP抗体を用いた、片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)の治療
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】抗CGRP抗体を用いた、片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)の治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20230713BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20230713BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230713BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P25/06
A61K47/26
A61K47/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560868
(86)(22)【出願日】2020-04-15
(85)【翻訳文提出日】2022-12-02
(86)【国際出願番号】 IB2020053568
(87)【国際公開番号】W WO2021205216
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】63/005,950
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (i)発行日: 2019年5月1日 (ii)刊行物:Value in Health、22巻、増刊2号、2019年5月、S285、「PND81:Eptinezumabによる治療後の最も煩わしい症状の改善に関する患者の全般的印象変化」(https://www.valueinhealthjournal.com/article/S1098-3015(19)31546-3/abstract) (iii)公開者: 1.Lipton RB 2.McGill L 3.Hirman J 4.Biondi D 5.Cady R (iv)公開された発明の内容:頻発反復性の慢性片頭痛患者に見られた臨床結果。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (i)口頭発表の日: 2019年5月8日 (ii)口頭発表の場所:米国ペンシルベニア州のフィラデルフィアで開催されたAAN第71回年次総会、 「セクション38(S38)-頭痛:臨床試験II」 (iii)公開者: 1.Richard B.Lipton 2.Lora McGill 3.Joe Hirman 4.David Biondi 5.Roger Cady (iv)公開された発明の内容:「Eptinezumabによる治療後の最も煩わしい症状の改善に関する患者の全般的印象変化」。Eptinezumabによる治療を受けた、頻発反復性の慢性片頭痛患者に見受けられた臨床結果を検証するもの。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (i)発行日: 2019年4月16日 (ii)刊行物:Wolters Kluwer Health,Inc.のNeurology、2019年の92巻(15号増刊)、「Eptinezumabによる治療後の最も煩わしい症状の改善に関する患者の全般的印象変化(S38.009)」(https://n.neurology.org/content/92/15_Supplement) (iii)公開者:1.Roger Cady 2.Lora McGill 3.Joe Hirman 4.David Biondi 5.Richard Lipton (iv)公開された発明の内容:臨床試験に参加した慢性片頭痛患者の、特定の最も煩わしい症状(MBS)の驚異的な改善に関する見解。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (i)口頭発表の日: 2019年5月21日 (ii)口頭発表の場所:ISPOR2019年会議が開催された米国ルイジアナ州のNew Orleans、ポスタープレゼンテーション会議場ロケーションL10、「PND81」 (iii)公開者: 1.Richard B.Lipton 2.Lora McGill 3.Joe Hirman 4.David Biondi 5.Roger Cady (iv)公開された発明の内容:Eptinezumabによる治療後の最も煩わしい症状の改善に関する患者の全般的印象変化。頻発反復性の慢性片頭痛患者に見られた臨床結果。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (i)発行日: 2019年9月1日または2019年9月5日 (ii)刊行物:IHC-PO-167(Cephalalgia 39巻、1号、IHC2019年要約別冊233頁)(https://journals.sagepub.com/toc/cepa/39/1_suppl) (iii)公開者: 1.Richard B.Lipton 2.Lora McGill 3.Joe Hirman 4.David Biondi 5.Roger Cady (iv)公開された発明の内容:臨床試験に参加した頻発反復性の慢性片頭痛患者が報告した臨床結果。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (i)口頭[ポスター]発表の日: 2019年9月5日 (ii)口頭発表の場所:IHC2019年会議。アイルランドDublin。ポスターIHC-PO-167。 (iii)公開者: 1.Richard B.Lipton 2.Lora McGill 3.Joe Hirman 4.David Biondi 5.Roger Cady (iv)公開された発明の内容:Eptinezumabによる治療後の最も煩わしい症状の改善に関する患者の全般的印象変化(IHC-PO-167)。頻発反復性の慢性片頭痛患者に見られた臨床結果。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (i)発行日: 2020年3月24日 (ii)刊行物:「慢性片頭痛患者におけるeptinezumabの有効性と安全性;PROMISE-2」Wolters Kluwer Health,Inc.、Neurology▲R▼2020;94:e1365-e1377。(https://n.neurology.org/content/94/13) (iii)公開者: 1.Richard B.Lipton 2.Peter J.Goadsby 3.Jeffery Smith 4.Barbara A. Schaeffler 5.David M.Biondi 6.Joe Hirman 7.Susan Pederson 8.Brent Allan 9.Roger Cady (iv)公開された発明の内容:慢性片頭痛(CM)の予防的治療としてのeptinezumabの有効性を評価する二重盲検第3相臨床試験の結果。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (i)発行日: 2020年3月5日 (ii)刊行物:「慢性片頭痛患者における患者を特定する最も煩わしい症状:PROMISE-2の分析」というタイトルの要約。(https://index.mirasmart.com/AAN2020/PDFfiles/AAN2020-000541.html) (iii)公開者: 1.Richard B.Lipton 2.David W.Dodick 3.Jessica Ailani 4.Paul Winner 5.Nada A. Hindiyeh 6.Joe Hirman 7.Steven Snapinn 8.Lahar Mehta 9.Roger Cady (iv)公開された発明の内容:臨床試験に参加した頻発反復性の慢性片頭痛患者に見られた臨床結果に関係するもの。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (i)発行日: 2020年2月14日 (ii)刊行物:「Eptinezumabによる治療後の患者を特定する最も煩わしい症状の改善に関する患者の全般的印象変化」の要約(Diamond Headache Clinic Research & Educational Foundation(DHCREF)の主催により2020年2月14日~17日に米国カリフォルニア州のSan Diegoで開催された会議(困難患者に対する開業医の取り組みの第33回年次会議))。 (iii)公開者: 1.Roger Cady 2.Lora McGill 3.Joe Hirman 4.David Biondi 5.Richard Lipton (iv)公開された発明の内容:臨床試験に参加した頻発反復性の慢性片頭痛患者に見られた臨床結果。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (i)口頭(ポスター)発表の日:2020年2月14日、15日、16日または17日 (ii)口頭発表の場所:「Eptinezumabによる治療後の最も煩わしい症状の改善に関する変化に対する患者の全般的心象」のポスターに関する口頭ポスター発表は、33回年次困難頭痛患者に対する開業医の取り組み会議の開催地である、米国カリフォルニア州のSan Diegoで行われた。 (iii)公開者: 1.Roger Cady 2.Lora McGill 3.Joe Hirman 4.David Biondi 5.Richard B.Lipton (iv)公開された発明の内容:Eptinezumabによる治療を受けた頻発反復性または慢性片頭痛患者のうちのかなりの割合に見られた最も煩わしい症状(MBS)の改善についての臨床的見解。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (i)口頭[ポスター]発表の日: 2020年1月24日または25日(ii)口頭発表の場所:「Eptinezumabによる治療後の最も煩わしい症状の改善に関する患者の全般的印象変化」(ポスターIP11)。Headache Cooperative of the Pacific(HCOP)第13回年次冬季会議の開催地である、米国カリフォルニア州のOjai。(iii)公開者: 1.Richard B.Lipton 2.Lora McGill 3.Joe Hirman 4.David Biondi 5.Roger Cady(iv)公開された発明の内容:「Eptinezumabによる治療後の最も煩わしい症状の改善に関する患者の全般的印象変化」(ポスターIP11)。Eptinezumabによる治療を受けた頻発反復性の慢性片頭痛患者のうちのかなりの割合に見られた最も煩わしい症状(MBS)の改善に関する臨床見解。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (i)発行日: 2020年3月31日 (ii)刊行物:「慢性片頭痛患者におけるeptinezumabの有効性と安全性;PROMISE-2」Wolters Kluwer Health, Inc.、Neurology▲R▼ 2020;94:e1365-e1377。 (https://n.neurology.org/content/94/13) (iii)公開者: 1.Richard B.Lipton 2.Peter J.Goadsby 3.Jeffery Smith 4.Barbara A. Schaeffler 5.David M.Biondi 6.Joe Hirman 7.Susan Pederson 8.Brent Allan 9.Roger Cady (iv)公開された発明の内容:慢性片頭痛(CM)の予防的治療としてのeptinezumabの有効性を評価する二重盲検第3相臨床試験の結果。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (i)発行日: 2020年1月24日 (ii)刊行物:Eptinezumabによる治療後の患者の選択する最も煩わしい症状の改善に関する患者の全般的印象変化。Headache Cooperative of the Pacific(HCOP)第13回年次冬季会議Headache Cooperative of the Pacific(HCOP)の要約。 (iii)公開者: 1.Richard B.Lipton 2.Lora McGill 3.Joe Hirman 4.David Biondi 5.Roger Cady (iv)公開された発明の内容:臨床試験に参加した片頭痛患者に見られた臨床結果。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (i)プレスリリースのウェブサイト掲載日: 2019年5月8日 (ii)ウェブサイトのアドレス:https://investor.alderbio.com/news-releases/news-release-details/alder-biopharmaceuticalsr-presents-new-analysis-patient-reported. (iii)公開者:ALDER BIOPHARMACEUTICALS INC. (iv)公開された発明の内容:頻発反復性の慢性片頭痛患者に対するEptinezumabによる治療に関する臨床試験結果の新たな分析。
(71)【出願人】
【識別番号】591143065
【氏名又は名称】ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141195
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】キャディー,ロジャー,ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ジェフリー,ティー.エル.
(72)【発明者】
【氏名】ヒルマン,ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB13
4C076BB16
4C076CC01
4C076DD38
4C076DD60Z
4C076EE23F
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC01
4C085CC05
4C085EE01
4C085EE05
4C085GG02
4C085GG04
(57)【要約】
片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)の治療の方法が提供される。例示的な方法は、本発明の抗CGRP抗体の投与から1ヵ月以内に、片頭痛に関連するMBSの改善を提供する。片頭痛に関連する変化についての患者の印象度(PGIC)の改善の方法も提供される。例示的な方法は、抗CGRPアンタゴニスト抗体を、それを必要とする患者に投与することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の抗CGRP抗体を、必要とする患者に投与することを含む、片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)を改善する方法。
【請求項2】
患者は慢性片頭痛に罹患している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
患者は反復性片頭痛に罹患している、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、投与若しくは注入の完了後1~12時間で、例えば投与若しくは注入の完了後1~5時間で、投与若しくは注入の完了後1~2時間で、又は投与若しくは注入の完了後約2時間で改善される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から1ヵ月以内に改善される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から3ヵ月以内に改善される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から6ヵ月以内に改善される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
改善は前記抗CGRP抗体の第1の投与から少なくとも3ヵ月間持続する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
改善は前記抗CGRP抗体の第1の投与から少なくとも6ヵ月間持続する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
MBSは、光に対する過敏(羞明)、悪心/嘔吐、頭痛、音に対する過敏(音声恐怖)、前兆、活動に伴う疼痛、疼痛、拍動/脈動、認知の混乱、疲労、気分変動、匂いに対する過敏(臭気恐怖(osmophobia又はolfactophobia))、視覚影響、圧迫/緊張、疼痛(解剖学的)、眼痛、頚部痛、めまい、異痛症、不活動、感覚障害、睡眠障害及び言語障害からなる群から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
MBSは、光に対する過敏(羞明)、悪心/嘔吐、頭痛、音に対する過敏(音声恐怖)、前兆、活動に伴う疼痛、疼痛、拍動/脈動、認知の混乱、疲労、気分変動及び匂いに対する過敏(臭気恐怖(osmophobia又はolfactophobia))からなる群から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
有効量の抗CGRP抗体を、必要とする患者に投与することを含む、片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)を改善する方法。
【請求項13】
患者は慢性片頭痛に罹患している、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
患者は反復性片頭痛に罹患している、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)の改善は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から1ヵ月以内に認められる、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)の改善は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から3ヵ月以内に認められる、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)の改善は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から6ヵ月以内に認められる、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
改善は前記抗CGRP抗体の第1の投与から少なくとも3ヵ月間持続する、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
改善は前記抗CGRP抗体の第1の投与から少なくとも6ヵ月間持続する、請求項12~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記投与は、静脈内又は皮下注入などの注入によって行われる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記投与は、静脈内注入によって行われる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記患者は、投与又は注入の完了後2時間で、頭痛がない、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記抗CGRP抗体はAb6を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記抗CGRP抗体は、各々、配列番号224;配列番号226;及び配列番号228の軽鎖相補性決定領域(CDR)1、2、及び3ポリペプチド配列を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記抗CGRP抗体は、各々配列番号234;配列番号236;及び配列番号238によってコードされる軽鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記抗CGRP抗体は、各々配列番号204;配列番号206;及び配列番号208の重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記抗CGRP抗体は、各々配列番号214;配列番号216;及び配列番号218によってコードされる重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記抗CGRP抗体は、各々配列番号224;配列番号226;及び配列番号228の軽鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列と、各々配列番号204;配列番号206;及び配列番号208の重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列とを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記抗CGRP抗体は、各々配列番号234;配列番号236;及び配列番号238によってコードされる軽鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列と、各々配列番号214;配列番号216;及び配列番号218によってコードされる重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列とを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記抗CGRP抗体は、配列番号222の可変軽鎖ポリペプチドを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記抗CGRP抗体は、配列番号232によってコードされる可変軽鎖ポリペプチドを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記抗CGRP抗体は、配列番号202の可変重鎖ポリペプチドを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記抗CGRP抗体は、配列番号212によってコードされる可変重鎖ポリペプチドを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記抗CGRP抗体は、配列番号222の可変軽鎖ポリペプチドと、配列番号202の可変重鎖ポリペプチドとを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記抗CGRP抗体は、配列番号232によってコードされる可変軽鎖ポリペプチドと、配列番号212によってコードされる可変重鎖ポリペプチドとを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記抗CGRP抗体は、配列番号221の軽鎖ポリペプチドを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記抗CGRP抗体は、配列番号231によってコードされる軽鎖ポリペプチドを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記抗CGRP抗体は、配列番号201又は配列番号566の重鎖ポリペプチドを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記抗CGRP抗体は、配列番号211又は配列番号567によってコードされる重鎖ポリペプチドを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記抗CGRP抗体は、配列番号221の軽鎖ポリペプチドと、配列番号201又は配列番号566の重鎖ポリペプチドとを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記抗CGRP抗体は、配列番号231によってコードされる軽鎖ポリペプチドと、配列番号211又は配列番号567によってコードされる重鎖ポリペプチドとを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記抗CGRP抗体の投与量は、約100mg~約300mgであり、又は約100mgであり、又は約300mgである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記抗CGRP抗体の投与量は、100mgである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
更に、100mgの前記抗CGRP抗体を10~14週間毎、好ましくは、11~13週間毎、より好ましくは、12週間毎に静脈内投与することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記抗CGRP抗体の投与量は100mgである、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
更に、300mgの前記抗CGRP抗体を10~14週間毎、好ましくは、11~13週間毎、より好ましくは、12週間毎に静脈内投与することを含む、請求項1~42又は45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり1~10回の片頭痛発作を示す、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり2~8回の片頭痛発作を示す、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり3~7回の片頭痛発作を示す、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり25日未満の頭痛日数を示す、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり20日未満の頭痛日数を示す、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり15日未満の頭痛日数を示す、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり10日未満の頭痛日数を示す、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記患者は、前記投与の少なくとも10年前に片頭痛と診断された、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記患者は、前記投与の少なくとも15年前に片頭痛と診断された、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記患者は、前記投与の少なくとも18年前又は少なくとも19年前に片頭痛と診断された、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記患者は、前記投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の少なくとも50%の減少を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記患者は、前記投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の少なくとも75%の減少を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記患者は、前記投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の100%の減少を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記患者は、前記投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の12週間で、片頭痛日数の少なくとも50%の減少を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記患者は、前記投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の12週間で、片頭痛日数の少なくとも75%の減少を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記患者は、前記投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の12週間で、片頭痛日数の100%の減少を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
更に、前記投与の後、約10~14週間、好ましくは、11~13週間、より好ましくは、約12週間又は約3ヵ月で、前記抗CGRP抗体の第2の用量を前記患者に投与することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記投与は、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、又は約300mgの前記抗CGRP抗体を投与することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記抗CGRP抗体は、非グリコシル化され、又はグリコシル化されている場合、マンノース残基のみを含むのみである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記抗CGRP抗体は、配列番号221の軽鎖ポリペプチドと、配列番号201又は配列番号566の重鎖ポリペプチドとからなる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記抗CGRP抗体は、配列番号231によってコードされる軽鎖ポリペプチドと、配列番号211又は配列番号567によってコードされる重鎖ポリペプチドとからなる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記頭痛又は前記片頭痛は、国際頭痛分類(International Classification of Headache Disorders)の第3版に従って診断される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記抗CGRP抗体は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)中で発現され、又はピキア・パストリス(Pichia pastoris)中の発現によって得られる、先行請求項のいずれか一項のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
前記抗CGRP抗体は、CHO細胞中で発現され、又はCHO細胞中の発現によって得られる、請求項1~68のいずれか一項のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
前記抗CGRP抗体又は抗CGRP抗体断片は、ヒスチジン(L-ヒスチジン)、ソルビトール、ポリソルベート80、及び水を含む、又はそれらからなる製剤中に含まれる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-10%以内の各成分の量を有し、及び5.8のpHを有し、又は前記値の+/-10%以内のpHを有する、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-5%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-5%以内のpHを有する、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-1%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-1%以内のpHを有する、請求項71に記載の方法。
【請求項75】
前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-0.5%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-0.5%以内のpHを有する、請求項71に記載の方法。
【請求項76】
前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-0.1%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-0.1%以内のpHを有する、請求項71に記載の方法。
【請求項77】
前記抗CGRP抗体は、任意選択で25℃又は37℃で行われる表面プラズモン共鳴法によって任意選択で測定した場合に、10pM以下、例えば2~8pM、例えば3~6pM、例えば約5pM以下の解離定数を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記患者におけるMBS及びPGICの両方を改善する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表の開示
本出願は、EFS-Webを介してASCIIフォーマットで提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。前記ASCIIコピーは、2020年4月6日に作成され、「1250-US-PSP_ST25.txt」と命名され、349KBのサイズである。
【0002】
発明の分野
本発明は、ヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(以下「CGRP」)に特異的に結合する抗体及びその断片(Fab断片を含む)を用いた、片頭痛に関連する最も煩わしい症状(most bothersome symptom associated with migraine)の治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、37アミノ酸長の多機能神経ペプチドとして産生される。CGRPの2つの形態、CGRP-α及びCGRP-β形態は、ヒトに存在し、同様の活性を有する。CGRP-α及びCGRP-βは、ヒトでは3つのアミノ酸が異なり、異なる遺伝子に由来する。CGRPは、三叉神経などの多数の組織から放出され、活性化されると髄膜内で神経ペプチドが放出され、血管拡張、血管漏出、肥満細胞の分解を特徴とする神経原性炎症を媒介する。Durham,P.L.,New Eng.J.Med.,350(11):1073-75(2004)。CGRPの生物学的作用は、7回膜貫通成分からなるCGRP受容体(CGRP-R)を介して、受容体関連膜タンパク質(RAMP)と結合して媒介される。CGRP‐Rは、Gタンパク質を介したアデニル酸シクラーゼへの効率的な共役とcAMPの産生に必須である受容体成分タンパク質(RCP)の活性を更に必要とする。Doods,H.,Curr.Op.Invest.Drugs,2(9):1261-68(2001)。
【0004】
片頭痛は、米国の成人人口の約10%が罹患する神経血管障害であり、典型的には、激しい頭痛を伴う。CGRPは、片頭痛の発症において顕著な役割を果たすと考えられている。実際、いくつかの会社、即ち、Amgen、Eli Lilly、Teva及びAlder Biopharmaceuticals(Lundbeck A/Sによって最近得られた)は、片頭痛の治療又は予防における使用のための抗CGRP抗体及び抗CGRP-R抗体を開発した。本譲受人は、「ANTI-CGRP COMPOSITIONS AND USE THEREOF」と題された、2012年5月21日に出願されたPCT出願国際公開第2012/162243号パンフレット、「USE OF ANTI-CGRP ANTIBODIES AND ANTIBODY FRAGMENTS TO PREVENT OR INHIBIT PHOTOPHOBIA OR LIGHT AVERSION IN SUBJECTS IN NEED THEREOF,ESPECIALLY MIGRAINE SUFFERERS」と題された、2012年5月21日に出願されたPCT出願国際公開第2012/162257号パンフレット、「USE OF ANTI-CGRP OR ANTI-CGRP-R ANTIBODIES OR ANTIBODY FRAGMENTS TO TREAT OR PREVENT CHRONIC AND ACUTE FORMS OF DIARRHEA」と題された、2012年5月21日に出願されたPCT出願国際公開第2012/162253号パンフレット、及び「REGULATION OF GLUCOSE METABOLISM USING ANTI-CGRP ANTIBODIES」と題された、2014年7月3日に出願されたPCT出願国際公開第2015/003122号パンフレット(これらの出願の全ては、全体が参照により組み込まれる)を含む、抗CGRP抗体及びその使用に関する特許出願を以前に出願している。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、慢性片頭痛に罹患している患者における、片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)の治療方法を提供し、この方法は、有効量の少なくとも1つの抗CGRP抗体若しくはその抗体断片、又は抗CGRP-R抗体若しくはその抗体断片、又は本明細書に開示される前記抗体若しくは抗体断片を含む1つ以上の製剤を、必要とする患者に投与することを含む。前記抗体治療は、発作間欠期、即ち片頭痛発作と発作の間に、又は発作期、即ち片頭痛エピソード中に開始されてもよい。前記片頭痛は、患者が慢性片頭痛に罹患している本発明の特定の態様において、例えば慢性(chronic)片頭痛又は反復性(episodic)片頭痛を含み得る。本発明において、前記抗CGRP抗体又は抗体断片はAb6と表される。Ab6は、各々配列番号224;配列番号226;及び配列番号228の軽鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列と、配列番号204;配列番号206;及び配列番号208の重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列とを有する;又は、各々配列番号234;配列番号236;及び配列番号238によってコードされる軽鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列と、各々配列番号214;配列番号216;及び配列番号218によってコードされる重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列とを有する、抗CGRP抗体又はその抗体断片である。前記抗CGRP抗体は、配列番号222の可変軽鎖ポリペプチド及び配列番号202の可変重鎖ポリペプチドを含み得る。前記抗CGRP抗体は、配列番号232によってコードされる可変軽鎖ポリペプチド及び配列番号212によってコードされる可変重鎖ポリペプチドを含み得る。前記抗CGRP抗体は、配列番号221の軽鎖ポリペプチド及び配列番号201又は配列番号566の重鎖ポリペプチドを含み得る。前記抗CGRP抗体は、配列番号231によってコードされる軽鎖ポリペプチド及び配列番号211又は配列番号567よってコードされる重鎖ポリペプチドを含み得る。前記抗CGRP抗体は、配列番号222の可変軽鎖ポリペプチド及び配列番号202の可変重鎖ポリペプチドをコードする核酸配列を発現する組換え細胞から単離された抗体発現産物を含んでもよく、これらのポリペプチドは、任意選択で、ヒト軽鎖及び重鎖定常領域ポリペプチド、例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4定常領域に各々連結され、これらの定常領域は、任意選択で、グリコシル化又はタンパク質分解を変更するように修飾されてもよく、前記組換え細胞は、任意選択で、酵母若しくは哺乳動物細胞、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)又はCHO細胞を含む。前記抗CGRP抗体は、配列番号221の軽鎖及び配列番号201又は配列番号566の重鎖ポリペプチドをコードする核酸配列を発現する組換え細胞から単離された抗体発現産物を含むことができ、前記組換え細胞は、酵母若しくは哺乳動物細胞、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)又はCHO細胞を任意選択で含み、その定常領域は、グリコシル化又はタンパク質分解又は他のエフェクター機能を変更するように任意選択で修飾することができる。任意の前述の抗CGRP抗体又は抗体断片、好ましくはAb6は、任意選択で、例えば、約5.8のpHを有する、ヒスチジン(L-ヒスチジン)、ソルビトール、ポリソルベート80、例えば1mL容量当たり約100mgの抗CGRP抗体、約3.1mgのL-ヒスチジン、約40.5mgのソルビトール、及び約0.15mgのポリソルベート80を含む、本明細書に開示される製剤中に含まれてもよい。前記抗体の投与量は、約100mg~約300mg、例えば、約100mg、約300mg、100mg、又は300mgであってもよい。投与量は、異なる手段によって、例えば、静脈内に、例えば、適切な容量(例えば、100mL)の0.9%塩化ナトリウムのような生理食塩水中で投与されてもよい。
【0006】
前記患者は、月当たり25日未満の頭痛日数、月当たり20日未満の頭痛日数、月当たり15日未満の頭痛日数、又は月当たり10日未満の頭痛日数を示し得る。例えば、前記患者は、月当たり、14日未満の頭痛日数、13日未満の頭痛日数、12日未満の頭痛日数、11日未満の頭痛日数、10日未満の頭痛日数、9日未満の頭痛日数、8日未満の頭痛日数、7日未満の頭痛日数、又は6日未満の頭痛日数を示し得る。前記患者は、月当たり、2~15日の頭痛日数、例えば、3~14日の頭痛日数、4~13日の頭痛日数、5~12日数の頭痛日数、6~11日の頭痛日数、又は7~10日の頭痛日数を示し得る。
【0007】
前記患者は、月当たり10回未満の片頭痛、例えば月当たり1~9回の片頭痛、例えば月当たり2~8回の片頭痛、月当たり3~7回の片頭痛、月当たり4~6回の片頭痛、又は月当たり約5回の片頭痛を示し得る。前記患者は、平均して、月当たり1回未満の片頭痛、例えば、平均して、2ヵ月毎に1回、3ヵ月毎に1回、4若しくは6ヵ月毎に1回、又は3ヵ月毎に2回などの中間値回数の片頭痛を示し得る。前記片頭痛は、ICHD-3ガイドラインに従って診断され得る。
【0008】
前兆を伴う又は伴わない片頭痛についての国際頭痛分類(International Classification of Headache Disorders)(ICHD-3)の診断基準に記載されている頭痛及び関連する症状に加えて、片頭痛患者は、片頭痛が起こっている間に種々の自律神経症状、認知症状、感覚症状及び運動症状を経験し、これらの症状は、個々の患者によって独自に経験される。本発明において、患者は、自分が最も煩わしいと思う慢性片頭痛に関連する特定の症状を自分で特定することを許された。本出願において、これらの症状を、片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)と呼ぶことにする。本発明において、患者は自分のMBSを制限なしに特定することが可能であり、このことは、これらの片頭痛に関連する最も煩わしい症状の治療としての本発明の抗体の有効性を確認及び測定するための独特の患者中心のアプローチを提供し、それ故、片頭痛が起こっている間に機能する患者の能力に対する有意義な影響を有することが期待される。悪心、嘔吐、羞明、及び音声恐怖は、ICDH-3の診断基準に含まれる片頭痛に関する症状であるが、多くの他の症状が、診断可能な片頭痛を有する日々の前、後、及びその日々の最中でさえも発生することが認められ得る。片頭痛発作の間にわたって、これらは、認知症状(例えば、記憶障害、実行機能障害、注意力障害)、情動症状(例えば、気分変動、抑うつ状態、不安、易刺激性)、他の感覚性症状(例えば、臭気恐怖、味覚異常)、並びにかすみ目、鼻閉、鼻漏、流涙、発汗、眼瞼下垂、あくび、多尿、腹部痙攣、下痢、めまい、及び頚部痛を含み得る。実施例2に記載される臨床試験に登録された患者によって報告された片頭痛に関連するMBSは、表1にまとめられている。悪心/嘔吐、羞明、及び音声恐怖は、実施例2における患者集団によく見られたが、ICDH-3の診断基準に含まれるこれら3つの症状のうち1つを、患者が特定した自分のMBSとして挙げたのは、これらの患者の半数未満であった。
【0009】
片頭痛は、やはり個別に独自の形で現れる多面的な総体症状に関連する脳の複雑な障害である。片頭痛の発作期前後は、何日にもわたって持続することが多いため、4つの異なる時期-前駆症状/前駆、発作前/前兆、発作/頭痛、後発症状/発作後-に分類することができ、片頭痛の各時期中に起こる症状は重複する。片頭痛の過程におけるMBSの様々な種類及びタイミングは図15に図示されている。臨床試験中に片頭痛患者においてMBSを評価することは極めて適切である。なぜなら、患者の日常生活及び健康状態に及ぼす片頭痛の影響を適切に取り除くためには頭痛単独では十分と考えられないということが認識されているからである。平均の毎月の片頭痛日数(MMD)の減少又は臨床試験における類似のエンドポイントでは、治療介入に影響される片頭痛の負荷及び関連する症状を十分にとらえられない。本発明の発明者らは、MMDを減少させることに加えて、Ab6(抗CGRP抗体)はまた、片頭痛患者においてMBSを改善するのにも有効であることを発見した。治療に関連するこれらの症状の改善は、患者の疾患の状態の知覚の改善と相関し、治療応答に対する満足度に間接的に相関していた。片頭痛患者は、MBSの負荷が原因で、片頭痛の治療を探し続けることが多く、したがって、主な片頭痛の病態及び前記片頭痛に関連するMBSの両方の治療の臨床値を支持することが知られている。
【0010】
本発明は、慢性片頭痛又は反復性片頭痛などの片頭痛に罹患している患者において、片頭痛に関連するMBSを改善することができる抗CGRP抗体又はその抗体断片を提供する。MBSパラメーターは、この症状における変化(試験の開始からの改善又は悪化)の患者の評価を査定する。
【0011】
本発明は、慢性片頭痛又は反復性片頭痛などの片頭痛に冒されている患者において、片頭痛治療に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)(patient global impression of change)を改善することができる抗CGRP抗体又はその抗体断片を提供する。片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)のパラメーターは、患者の疾患の状態の全体的な変化(試験の開始からの改善又は悪化)の患者自身の印象に関する単一の質問を含み、それは、極めて大幅に改善、及び極めて大幅に悪化を軸とした7段階のリッカート尺度で評価される。
【0012】
本発明は、MMDを減少させること、及び患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)を、片頭痛治療の、変化についての患者の全般印象度(PGIC)における好ましい変化に高く相関するように改善することができる抗CGRP抗体又はその抗体断片を提供する。この二重作用は、片頭痛に罹患している患者にとって、片頭痛の治療に勝る改善型の治療選択肢になり、片頭痛及び片頭痛に関連するMBSの両方を含む、患者が経験する総体的な片頭痛の負荷の治療を提供する。
【0013】
本発明は、片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)を改善する方法を提供し、この方法は、それを必要とする患者に、約100mg~約300mgの抗CGRP抗体を静脈内投与することを含み、前記抗CGRP抗体は、好ましくは、配列番号221の軽鎖ポリペプチド及び配列番号201又は566の重鎖ポリペプチドを含む。
【0014】
本発明は、変化についての患者の全般印象度(PGIC)を改善する方法を提供し、この方法は、それを必要とする患者に、約100mg~約300mgの抗CGRP抗体を静脈内投与することを含み、前記抗CGRP抗体は、好ましくは、配列番号221の軽鎖ポリペプチド及び配列番号201又は566の重鎖ポリペプチドを含む。
【0015】
別の態様において、本発明は、片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)を改善し、同時にMMDを減少させる方法を提供し、この方法は、それを必要とする患者に、約100mg~約300mgの抗CGRP抗体を静脈内投与することを含み、前記抗CGRP抗体は、好ましくは、配列番号221の軽鎖ポリペプチド及び配列番号201又は566の重鎖ポリペプチドを含む。
【0016】
別の態様において、本発明は、片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)を改善し、同時にMMDを減少させる方法を提供し、この方法は、それを必要とする患者に、約100mg~約300mgの抗CGRP抗体を静脈内投与することを含み、前記抗CGRP抗体は、好ましくは、配列番号221の軽鎖ポリペプチド及び配列番号201又は566の重鎖ポリペプチドを含む。
【0017】
別の態様において、本発明は、片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)及び片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)を改善する方法を提供し、この方法は、それを必要とする患者に、約100mg~約300mgの抗CGRP抗体を静脈内投与することを含み、前記抗CGRP抗体は、好ましくは、配列番号221の軽鎖ポリペプチド及び配列番号201又は566の重鎖ポリペプチドを含む。
【0018】
別の態様において、本発明は、片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)及び/又は片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)を改善し、同時にMMDを減少させる方法を提供し、この方法は、それを必要とする患者に、約100mg~約300mgの抗CGRP抗体を静脈内投与することを含み、前記抗CGRP抗体は、好ましくは、配列番号221の軽鎖ポリペプチド及び配列番号201又は566の重鎖ポリペプチドを含む。
【0019】
いくつかの例示的な実施形態では、前記抗CGRP抗体の投与量は、100mgであってもよい。
【0020】
他の例示的な実施形態では、前記抗CGRP抗体の投与量は、300mgであってもよい。
【0021】
本方法は、更に、100mgの前記抗CGRP抗体を10~14週間毎、好ましくは、11~13週間毎、より好ましくは、12週間毎に静脈内投与することを含んでもよい。
【0022】
本方法は、更に、300mgの前記抗CGRP抗体を10~14週間毎、好ましくは、11~13週間毎、より好ましくは、12週間毎に静脈内投与することを含んでもよい。
【0023】
抗体は、例えば、約5.8のpHを有する、ヒスチジン(L-ヒスチジン)、ソルビトール、ポリソルベート80、例えば1mL容量当たり約100mgの抗CGRP抗体、約3.1mgのL-ヒスチジン、約40.5mgのソルビトール、及び約0.15mgのポリソルベート80を含む、本明細書に開示される製剤中で提供又は投与されてもよい。
【0024】
第1の投与量の前に、患者は、月当たり約10~約22の片頭痛日数、例えば、月当たり約13~約19の片頭痛日数、例えば、月当たり約16の片頭痛日数を示し得る。
【0025】
第1の投与量の前に、患者は、月当たり約14~約27頭痛日、例えば、月当たり約17~約24の頭痛日数、例えば、月当たり約20又は約21の頭痛日数を示し得る。
【0026】
前記患者は、前記第1の投与量の少なくとも10年前、例えば、前記第1の投与量の少なくとも15年前、例えば、前記第1の投与量の少なくとも18年前又は少なくとも19年前に片頭痛と診断されていてもよい。
【0027】
前記患者は、前記第1の投与量の少なくとも5年前、例えば、前記第1の投与量の少なくとも8年前、例えば、前記第1の投与量の少なくとも11年前又は少なくとも12年前に慢性片頭痛と診断されていてもよい。
【0028】
患者は、本発明の抗CGRP抗体又はその断片の投与時に頭痛を有してもよい。
【0029】
患者は、本発明の抗CGRP抗体又はその断片の投与時に、片頭痛、例えば前兆を伴う片頭痛を有してもよい。
【0030】
前記患者は、前記第1の用量の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記第1の用量を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の少なくとも50%の減少を有してもよい。
【0031】
前記患者は、前記第1の用量の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記第1の用量を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の少なくとも75%の減少を有してもよい。
【0032】
前記患者は、前記第1の用量の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記第1の用量を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の100%の減少を有してもよい。
【0033】
前記患者は、前記第1の用量の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記第1の用量を投与した後の12週間で、片頭痛日数の少なくとも50%の減少を有してもよい。
【0034】
前記患者は、前記第1の用量の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記第1の用量を投与した後の12週間で、片頭痛日数の少なくとも75%の減少を有してもよい。
【0035】
前記患者は、前記第1の用量の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記第1の用量を投与した後の12週間で、片頭痛日数の100%の減少を有してもよい。
【0036】
前記患者は、前記第1の用量を投与した後の1ヵ月間で、ベースラインのMBSからの変化として測定される、片頭痛に関連するMBSの改善を経験してもよい。
【0037】
前記患者は、前記第1の用量を投与した後の3ヵ月間で、ベースラインのMBSからの変化として測定される、片頭痛に関連するMBSの改善を経験してもよい。
【0038】
前記患者は、前記第1の用量を投与した後の6ヵ月間で、ベースラインのMBSからの変化として測定される、片頭痛に関連するMBSの改善を経験してもよい。
【0039】
前記患者は、前記第1の用量を投与した後の1ヵ月間で、ベースラインからの変化として測定される、片頭痛に関連するPGICの改善を経験してもよい。
【0040】
前記患者は、前記第1の用量を投与した後の3ヵ月間で、ベースラインからの変化として測定される、片頭痛に関連するPGICの改善を経験してもよい。
【0041】
前記患者は、前記第1の用量を投与した後の6ヵ月間で、ベースラインからの変化として測定される、片頭痛に関連するPGICの改善を経験してもよい。
【0042】
本方法は、更に、前記第1の用量の後、約10~14週間、好ましくは、11~13週間、より好ましくは、約12週間又は約3ヵ月以内に、本発明の抗CGRP抗体の第2の用量を前記患者に、例えば静脈内投与することを含み得る。
【0043】
前記第1の用量は、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、又は約300mgの記抗CGRP抗体を含み得る。
【0044】
前記投与の前に、患者は、月当たり約15~約30の片頭痛日数、例えば月当たり約16~約28の片頭痛日数、例えば月当たり約17~約26の片頭痛日数、例えば月当たり約16の片頭痛日数を示し得る。
【0045】
前記投与の前に、患者は、月当たり約15~約27の頭痛日数、例えば、月当たり約17~約24の頭痛日数、例えば、月当たり約20又は約21の頭痛日数を示し得る。
【0046】
前記患者は、前記投与の少なくとも10年前、例えば、前記投与の少なくとも15年前、例えば、前記投与の少なくとも18年前又は少なくとも19年前に片頭痛と診断されていてもよい。
【0047】
前記患者は、前記投与の少なくとも5年前、例えば、前記投与の少なくとも8年前、例えば、前記投与の少なくとも11年前又は少なくとも12年前に慢性片頭痛と診断されていてもよい。
【0048】
前記患者は、前記投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の少なくとも50%の減少を有してもよい。
【0049】
前記患者は、前記投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の少なくとも75%の減少を有してもよい。
【0050】
前記患者は、前記投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の100%の減少を有してもよい。
【0051】
前記患者は、前記投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の12週間で、片頭痛日数の少なくとも50%の減少を有してもよい。
【0052】
前記患者は、前記投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の12週間で、片頭痛日数の少なくとも75%の減少を有してもよい。
【0053】
前記患者は、前記投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の12週間で、片頭痛日数の100%の減少を有してもよい。
【0054】
本方法は、更に、前記投与の後、約10~14週間、好ましくは、11~13週間、より好ましくは、約12週間又は約3ヵ月以内に、前記抗CGRP抗体の第2の用量を前記患者に、例えば静脈内投与することを含み得る。
【0055】
前記投与は、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、又は約300mgの記抗CGRP抗体を含み得る。
【0056】
前記抗CGRP抗体はアグリコシル化されていてもよく、又はグリコシル化されている場合にのみマンノース残基のみを含んでもよい。
【0057】
前記抗CGRP抗体は、配列番号221の軽鎖ポリペプチド及び配列番号201又は配列番号566の重鎖ポリペプチドからなり得る。前記抗CGRP抗体は、配列番号231によってコードされる軽鎖ポリペプチド及び配列番号211又は配列番号567よってコードされる重鎖ポリペプチドからなり得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、前記抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片は、配列番号222の可変軽鎖及び/又は配列番号202の可変重鎖を含む。いくつかの実施形態では、前記抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片は、配列番号232によってコードされる可変軽鎖及び/又は配列番号212によってコードされる可変重鎖を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、前記抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片は、配列番号221の軽鎖及び/又は配列番号201又は配列番号566の重鎖を含む。いくつかの実施形態では、前記抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片は、配列番号231によってコードされる軽鎖及び/又は配列番号211又は配列番号567によってコードされる重鎖を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、前記抗CGRP抗体は、配列番号222のVポリペプチド及び配列番号202のVポリペプチドをコードする核酸配列を発現する組換え細胞から単離された抗体発現産物を含んでもよく、これらのポリペプチドは、任意選択で、ヒト軽鎖及び重鎖定常領域ポリペプチド、例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4定常領域に各々連結され、これらの定常領域は、任意選択で、グリコシル化又はタンパク質分解を変更するように修飾されてもよく、前記組換え細胞は、任意選択で、酵母若しくは哺乳動物細胞、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)又はCHO細胞を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、前記抗CGRP抗体は、配列番号221の軽鎖及び配列番号201又は配列番号566の重鎖ポリペプチドをコードする核酸配列を発現する組換え細胞から単離された抗体発現産物を含むことができ、前記組換え細胞は、酵母若しくは哺乳動物細胞、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)又はCHO細胞を任意選択で含み、その定常領域は、グリコシル化又はタンパク質分解又は他のエフェクター機能を変更するように任意選択で修飾することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、前述の抗CGRP抗体又は抗体断片のいずれかは、例えば、約5.8のpHを有する、ヒスチジン(L-ヒスチジン)、ソルビトール、ポリソルベート80、例えば1mL容量当たり約100mgの抗CGRP抗体、約3.1mgのL-ヒスチジン、約40.5mgのソルビトール、及び約0.15mgのポリソルベート80を含む、本明細書に開示される製剤中に含まれてもよい。抗体又は断片は、異なる手段によって、例えば、静脈内に、例えば、適切な容量(例えば、100mL)の0.9%塩化ナトリウムのような生理食塩水中で投与され得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、又は約300mgの前記抗CGRP抗体又は抗体断片が、例えば、静脈内に投与される。
【0064】
別の実施形態では、約100mgの前記抗CGRP抗体又は抗体断片が投与される。
【0065】
別の実施形態では、約300mgの前記抗CGRP抗体又は抗体断片が、例えば、静脈内に投与される。
【0066】
例示的な実施形態では、抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片は、多くとも10~14週毎、好ましくは11~13週毎、より好ましくは3ヵ月毎又は12週毎の頻度で、例えば、静脈内に投与され、抗体投与量は、単一の製剤で投与されるか、又は異なる製剤に分割され、これは約10~14週毎、好ましくは11~13週毎、より好ましくは3ヵ月毎又は12週毎の頻度で投与される。「抗体投与量は、単一の製剤で投与されるか、又は異なる製剤に分割される」という表現は、同じ又は異なる投与経路(例えば、v.i.、i.m.及び/又はs.c.)によることができる、比較的短期間、例えば、数時間、例えば、1~8時間、約1日以内、約2日以内、又は約1週間以内での列挙された量の抗体の投与を指す。この文脈における「異なる製剤」という用語は、各投与量が投与される医薬製剤の化学組成に関して投与量が同じであるか又は異なるかにかかわらず、異なる時間及び/又は異なる部位及び/又は異なる経路で投与される抗体投与量を指し;例えば、濃度、賦形剤、担体、pHなどは、異なる投与量の間で同じであっても異なっていてもよい。
【0067】
他の例示的な実施形態では、抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片の投与量は、単一の製剤で投与されるか、又は異なる製剤に分割され、これは、約8週毎又は2ヵ月毎の頻度で投与される。
【0068】
他の例示的な実施形態では、抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片の投与量は、単一の製剤で投与されるか、又は異なる製剤に分割され、これは、約10~14週毎、好ましくは11~13週毎、より好ましくは12週毎又は3ヵ月毎の頻度で投与される。
【0069】
他の例示的な実施形態では、抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片の投与量は、単一の製剤で投与されるか、又は異なる製剤に分割され、これは、約16週毎又は4ヵ月毎の頻度で投与される。
【0070】
他の例示的な実施形態では、抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片の投与量は、単一の製剤で投与されるか、又は異なる製剤に分割され、これは、約20週毎又は5ヵ月毎の頻度で投与される。
【0071】
他の例示的な実施形態では、抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片の投与量は、単一の製剤で投与されるか、又は異なる製剤に分割され、これは、約24週毎又は6ヵ月毎の頻度で投与される。
【0072】
他の例示的な実施形態では、抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片の投与量は、単一の製剤で投与されるか、又は異なる製剤に分割され、これは、約28週毎又は7ヵ月毎の頻度で投与される。
【0073】
他の例示的な実施形態では、抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片の投与量は、単一の製剤で投与されるか、又は異なる製剤に分割され、これは、約32週毎又は8ヵ月毎の頻度で投与される。
【0074】
他の例示的な実施形態では、抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片の投与量は、単一の製剤で投与されるか、又は異なる製剤に分割され、これは、約36週毎又は9ヵ月毎の頻度で投与される。
【0075】
他の例示的な実施形態では、抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片の投与量は、単一の製剤で投与されるか、又は異なる製剤に分割され、これは、約40週毎又は8ヵ月毎の頻度で投与される。
【0076】
他の例示的な実施形態では、抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片の投与量は、単一の製剤で投与されるか、又は異なる製剤に分割され、これは、約44週毎又は9ヵ月毎の頻度で投与される。
【0077】
他の例示的な実施形態では、抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片の投与量は、単一の製剤で投与されるか、又は異なる製剤に分割され、これは、約48週毎又は10ヵ月毎の頻度で投与される。
【0078】
他の例示的な実施形態では、抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片の投与量は、単一の製剤で投与されるか、又は異なる製剤に分割され、これは、約52週毎又は11ヵ月毎の頻度で投与される。
【0079】
他の例示的な実施形態では、抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片の投与量は、単一の製剤で投与されるか、又は異なる製剤に分割され、これは、約56週毎又は12ヵ月毎の頻度で投与される。
【0080】
他の例示的な実施形態では、抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片の投与量は、単一の製剤で投与されるか、又は異なる製剤に分割され、これは、約15~18ヵ月毎の頻度で投与される。
【0081】
他の例示的な実施形態では、抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片の投与量は、単一の製剤で投与されるか、又は異なる製剤に分割され、これは、約18~21ヵ月毎の頻度で投与される。
【0082】
他の例示的な実施形態では、前述の方法で使用される抗ヒトCGRP抗体投与量又は抗体断片は、単一の製剤で投与されるか、又は異なる製剤に分割され、これは、約2年毎の頻度で投与される。
【0083】
他の例示的な実施形態では、前述の方法で使用される抗ヒトCGRP抗体は、全身投与される。
【0084】
他の例示的な実施形態では、前述の方法で使用される抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片は、静脈内、筋肉内、静脈内、髄腔内、頭蓋内、局所、鼻腔内、及び経口から選択される投与モードによって投与される。好ましい実施形態では、前述の方法で使用される抗ヒトCGRP抗体又は抗体断片は、静脈内投与される。
【0085】
他の例示的な実施形態では、前述の方法で使用される抗ヒトCGRP抗体は、少なくとも10日のインビボ半減期を有する。
【0086】
他の例示的な実施形態では、抗ヒトCGRP抗体は、少なくとも15日のインビボ半減期を有する。
【0087】
他の例示的な実施形態では、前述の方法で使用される抗ヒトCGRP抗体は、少なくとも20日のインビボ半減期を有する。
【0088】
他の例示的な実施形態では、前述の方法で使用される抗ヒトCGRP抗体は、少なくとも20~30日のインビボ半減期を有する。
【0089】
他の例示的な実施形態では、抗ヒトCGRP抗体は、約100mg~約300mgの投与量で投与され、少なくとも約(284±44時間)の±20%のインビボ半減期を有する。
【0090】
他の例示的な実施形態では、前述の方法で使用される抗ヒトCGRP抗体は、ヒトα-及びβ-CGRPに結合する。
【0091】
他の例示的な実施形態では、投与された抗ヒトCGRP抗体投与量は、抗体投与の少なくとも30日後に局所的に適用されるカプサイシンによって誘導される血管拡張の阻害をもたらす。
【0092】
他の例示的な実施形態では、投与された抗ヒトCGRP抗体投与量は、抗体投与の少なくとも60日後に局所的に適用されるカプサイシンによって誘導される血管拡張の阻害をもたらす。
【0093】
他の例示的な実施形態では、投与された抗ヒトCGRP抗体投与量は、抗体投与の少なくとも90日後に局所的に適用されるカプサイシンによって誘導される血管拡張の阻害をもたらす。
【0094】
他の例示的な実施形態では、投与された抗ヒトCGRP抗体投与量は、抗体投与の少なくとも120日後に局所的に適用されるカプサイシンによって誘導される血管拡張の阻害をもたらす。
【0095】
他の例示的な実施形態では、投与された抗ヒトCGRP抗体投与量は、抗体投与の少なくとも150日後に局所的に適用されるカプサイシンによって誘導される血管拡張の阻害をもたらす。
【0096】
他の例示的な実施形態では、投与された抗ヒトCGRP抗体投与量は、抗体投与の少なくとも180日後に局所的に適用されるカプサイシンによって誘導される血管拡張の阻害をもたらす。
【0097】
他の例示的な実施形態では、投与された抗ヒトCGRP抗体投与量は、抗体投与から180日を超えた後に局所的に適用されるカプサイシンによって誘導される血管拡張の阻害をもたらす。
【0098】
他の例示的な実施形態では、投与された抗ヒトCGRP抗体投与量は、(より低い抗体用量と比較して)最大応答(Imax)の5%以内の持続的な薬力学(PK)活性をもたらす。
【0099】
他の例示的な実施形態では、投与された抗ヒトCGRP抗体投与量は、抗体投与後少なくとも2~3ヵ月間維持される持続的な薬力学(PK)活性をもたらし、ここで抗ヒトCGRP抗体のPK分析は、血漿濃度に由来する。
【0100】
他の例示的な実施形態では、投与された抗ヒトCGRP抗体投与量は、約100mg~約300mg又はそれ以上であり、これは、2ヵ月毎より頻繁には投与されない。
【0101】
本発明は、更に、CGRPに対する結合特異性を有する特異的抗体及びその断片、特に所望のエピトープ特異性、高い親和性又は結合活性及び/又は機能特性を有する抗体の使用に関する。本発明の好ましい実施形態は、CGRPに結合することができ、及び/又はCGRPのCGRP受容体(「CGRP-R」)への結合によって媒介される生物学的活性を阻害することができるキメラ又はヒト化抗体及びその断片(Fab断片を含む)の使用に関し、例えば、このような抗体は、任意選択で、これを発現するように操作された組換え細胞、任意選択で酵母又は哺乳動物細胞、更に任意選択でピキア・パストリス(Pichia pastoris)及びCHO細胞に由来する。
【0102】
本発明の別の好ましい実施形態では、cAMPのCGRP-α-、CGRP-β-、及びラットCGRP駆動産生を阻害する全長及びそのFab断片が意図される。本発明の更なる好ましい実施形態では、投与後のレシピエントにおける血管拡張を減少させる、全長及びそのFab断片が意図される。
【0103】
本発明はまた、1つ以上の機能的又は検出可能な部分にコンジュゲートされた抗CGRP抗体及びその結合断片のコンジュゲートの使用を意図する。本発明はまた、キメラ又はヒト化抗CGRP又は抗CGRP/CGRP-R複合体抗体及びその結合断片の使用を意図する。一実施形態では、結合断片には、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、scFv断片、SMIP(小分子免疫医薬品)、ラクダ抗体(camelbody)、ナノボディ、及びIgNARが含まれるが、これらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0104】
図1】抗体Ab6の全長重鎖のポリペプチド配列を提供し、フレームワーク領域(FR)、相補性決定領域(CDR)、及び定常領域配列が区切られて示されている。
図2】抗体Ab6の全長軽鎖のポリペプチド配列を提供し、フレームワーク領域(FR)、相補性決定領域(CDR)、及び定常領域配列が区切られて示されている。
図3-1】抗体Ab6の全長重鎖をコードする例示的なポリヌクレオチド配列を提供し、フレームワーク領域(FR)、相補性決定領域(CDR)、及び可変領域コード配列が区切られて示されている。
図3-2】図3-1の説明と同じ。
図4】抗体Ab6の全長軽鎖のポリヌクレオチド配列を提供し、それらのフレームワーク領域(FR)、相補性決定領域(CDR)、及び可変領域コード配列が明確に示されている。
図5】可変領域及び相補性決定領域(CDR)を含む配列特徴の抗体Ab6の全長重鎖ポリペプチド配列内のポリペプチド配列座標、並びに個々の特徴の各々の配列番号を提供する。
図6】フレームワーク領域(FR)及び定常領域を含む配列特徴の抗体Ab6の全長重鎖ポリペプチド配列内のポリペプチド配列座標、並びに個々の特徴の各々の配列番号を提供する。
図7】可変領域及び相補性決定領域(CDR)を含む配列特徴の抗体Ab6の全長軽鎖ポリペプチド配列内のポリペプチド配列座標、並びに個々の特徴の各々の配列番号を提供する。
図8】フレームワーク領域(FR)及び定常領域を含む配列特徴の抗体Ab6の全長軽鎖ポリペプチド配列内のポリペプチド配列座標、並びに個々の特徴の各々の配列番号を提供する。
図9】可変領域及び相補性決定領域(CDR)を含む配列特徴の抗体Ab6の全長重鎖ポリペプチド配列をコードする例示的なポリヌクレオチド配列内のポリヌクレオチド配列座標、並びに個々の特徴の各々の配列番号を提供する。
図10】フレームワーク領域(FR)及び定常領域を含む配列特徴の抗体Ab6の全長重鎖ポリペプチド配列をコードする例示的なポリヌクレオチド配列内のポリヌクレオチド配列座標、並びに個々の特徴の各々の配列番号を提供する。
図11】可変領域及び相補性決定領域(CDR)を含む配列特徴の抗体Ab6の全長軽鎖ポリペプチド配列をコードする例示的なポリヌクレオチド配列内のポリヌクレオチド配列座標、並びに個々の特徴の各々の配列番号を提供する。
図12】フレームワーク領域(FR)及び定常領域を含む配列特徴の抗体Ab6の全長軽鎖ポリペプチド配列をコードする例示的なポリヌクレオチド配列内のポリヌクレオチド配列座標、並びに個々の特徴の各々の配列番号を提供する。
図13】実施例2において要約されている臨床試験プロトコルの試験デザイン。
図14】実施例2に記載される臨床試験における平均の毎月の片頭痛日数(MMD)に対するAb6の有効性を示す。
図15】片頭痛の過程における最も煩わしい症状(MBS)の種類及びタイミングを示す。
図16】実施例2に記載される臨床試験の28日間のスクリーニング期間中-即ち、Ab6の第1の注入の前の、ベースラインからのMBSの変化を示す。
図17】実施例2に記載される臨床試験における、Ab6の第1の注入の1ヵ月後の、ベースラインからのMBSの変化を示す。
図18】実施例2に記載される臨床試験における、Ab6の第1の注入の1ヵ月後の、ベースラインからのPGICを示す。
図19】実施例2に記載される臨床試験における、Ab6の第1の注入の3ヵ月後の、ベースラインからのMBSの変化を示す。
図20】実施例2に記載される臨床試験における、Ab6の第1の注入の3ヵ月後の、ベースラインからのPGICを示す。
図21】実施例2に記載される臨床試験における、Ab6の第1の注入の6ヵ月後の、ベースラインからのMBSの変化を示す。
図22】実施例2に記載される臨床試験における、Ab6の第1の注入の6ヵ月後の、ベースラインからのPGICを示す。
【発明を実施するための形態】
【0105】
詳細な説明
片頭痛、例えば慢性片頭痛又は反復性片頭痛に関連するMBS及び/又はPGICの処置のための抗CGRP抗体の使用が本明細書に記載される。加えて、抗CGRP抗体は、本明細書において、MMDの処置に有効であることが実証されている。MBS及びPGICの両方に対する処置有効性は、本発明の抗CGRP抗体又はその断片の第1の注入後、1ヵ月、3ヵ月及び6ヵ月で、MBS及びPGICの救済を提供するのに有効であることが示されている。
【0106】
定義
本発明は、特定の方法論、プロトコル、細胞ライン、動物種又は属、及び記載される試薬に限定されない(それらは変更し得るため)ことを理解するべきである。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図しないことを理解するべきである。本明細書で使用される単数形「a」、「and」、及び「the」は、文脈が明らかにそうではないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「細胞」への言及は、複数のそのような細胞を含み、「タンパク質」への言及は、1つ以上のタンパク質及び当業者に知られている等価物を含むなどである。本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、明らかにそうではないことを示さない限り、本発明が属する技術分野の当業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。
【0107】
本明細書で使用される場合、用語「片頭痛に関連する最も煩わしい症状」は、個々の患者が自分の片頭痛に関連する最も煩わしい症状であると、その患者が特定する症状を指す。本発明において、「片頭痛に関連する最も煩わしい症状」は、表1に特定されている。患者によって、患者の症状の医学的解釈を助ける試験責任医師に説明される、本発明の「片頭痛に関連する最も煩わしい症状」。臨床試験の試験責任医師は、光に対する過敏(羞明)、悪心/嘔吐、頭痛、音に対する過敏(音声恐怖)、前兆、活動に伴う疼痛、疼痛、拍動/脈動、認知の混乱(cognitive disruption)、疲労、気分変動、匂いに対する過敏(臭気恐怖(osmophobia又はolfactophobia))、視覚影響、圧迫/緊張、疼痛(解剖学的)、眼痛、頚部痛、めまい、異痛症、不活動、感覚障害、睡眠障害及び言語障害からなる既知の片頭痛の症状の群から選択される患者の診察をすることができた。患者の「片頭痛に関連する最も煩わしい症状」は、本発明で使用される場合、自分で特定した「片頭痛に関連する最も煩わしい症状」を指し、それは本明細書の上記に記載した症状のうち1つ以上でもよく、又は「その他」として分類されてもよい。
【0108】
本明細書で使用される場合、片頭痛に関連する最も煩わしい症状「の改善」又は「を改善すること」という用語は、ベースライン(即ち、本発明の抗CGRP抗体又はその断片の第1の投与の前のMBS)と比較した際のMBSの患者の評価における変化を指す。改善は、実施例2に記載される7段階のリッカート尺度でベースラインと比較したMBSの、患者の評価における1以上のカテゴリー変化を特徴とする。
【0109】
本明細書で使用される場合、片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度「の改善」又は「を改善すること」という用語は、ベースライン(即ち、本発明の抗CGRP抗体又はその断片の第1の投与の前の疾患の状態)と比較した際の疾患の状態の患者の評価における変化を指す。改善は、実施例2に記載される7段階の尺度でベースラインと比較したPGICの、患者の評価における1以上のカテゴリー変化を特徴とする。
【0110】
本明細書で使用される場合、用語「慢性片頭痛」は、患者が、平均して、月当たり少なくとも15日の頭痛日数を示し、これらの頭痛日数の部分集合がICHD-3の前兆を伴う又は伴わない片頭痛の基準を満たす状態を指す。用語「反復性片頭痛」は、患者が、平均して、月当たり15日未満の頭痛日数を示し、典型的には4~15日がICHD-3の前兆を伴う又は伴わない片頭痛の定義を満たす片頭痛の表現型である状態を指す。
【0111】
本明細書で使用される場合、用語「慢性片頭痛と診断される」は、その患者の正式な診断が行われるか否かにかかわらず、患者が慢性片頭痛の基準を満たすことを指す。
【0112】
本明細書で使用される場合、用語「静脈内投与する」は、物質、例えば抗体が、その患者の循環中、最も典型的には静脈循環中に直接導入される投与モードを指す。物質は、水溶液などの担体流体、例えば通常の生理食塩水中で導入されてもよい。物質は、投与が短時間で完了しさえすれば(例えば、1日以内、好ましくは12時間以内、より好ましくは6時間以内、最も好ましく1~2時間以内)、単一製剤で、又は複数の製剤で投与されてもよい。
【0113】
本明細書で使用される場合、用語「片頭痛日数のベースライン数」は、特定の時間の間に、例えば治療前に、患者が示す片頭痛日数を指す。例えば、片頭痛日数のベースライン数は、1ヵ月以上にわたって、例えば、各日に片頭痛が生じたか否かを記録することにより決定され得る。
【0114】
本明細書で使用される場合、用語「月当たりの頭痛日数」は、患者が片頭痛を有する、即ち、その日の任意の時間に患者が片頭痛の臨床的定義を満たす症状を有する、月当たりの日数を指す。月当たりの片頭痛の日数は、各日に片頭痛が生じたか否かを記録することにより決定され得る。
【0115】
本明細書で使用される場合、用語「月当たりの頭痛日数」は、患者が頭痛を有する、即ち、その日の任意の時間に患者が頭痛の臨床的定義を満たす症状を有する、月当たりの日数を指す。月当たりの頭痛日数は、各日に頭痛が生じたか否かを記録することにより決定され得る。
【0116】
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP):本明細書で使用される場合、CGRPは、American Peptides(Sunnyvale CA)及びBachem(Torrance、CA)から入手可能な以下のホモサピエンス(Homo sapiens)CGRP-α及びホモサピエンス(Homo sapiens)CGRP-βアミノ酸配列を包含するだけではない:
CGRP-α:ACDTATCVTHRLAGLLSRSGGVVKNNFVPTNVGSKAF-NH(配列番号561)、ここで、末端フェニルアラニンはアミド化されている;
CGRP-β:ACNTATCVTHRLAGLLSRSGGMVKSNFVPTNVGSKAF-NH(配列番号562)、ここで、末端フェニルアラニンはアミド化されているが;これらのCGRPアミノ酸配列の任意の膜結合型、並びにこの配列の突然変異体(mutiens)、スプライス変異体、アイソフォーム、オルソログ、相同体及び変異体も、である。
【0117】
発現ベクター:これらのDNAベクターは、標的宿主細胞、例えば、酵母又は哺乳動物細胞、例えばピキア・パストリス(Pichia pastoris)又はCHO細胞内での外来タンパク質の発現のための操作を容易にするエレメントを含む。都合よくは、形質転換のための配列の操作及びDNAの産生は、細菌宿主、例えば大腸菌(E.coli)において最初に行われ、通常ベクターは、細菌の複製起点及び適切な細菌選択マーカーを含む、そのような操作を容易にするための配列を含むであろう。選択マーカーは、選択培地中で増殖させる形質転換宿主細胞の生存又は増殖に必要なタンパク質をコードする。選択遺伝子を含むベクターで形質転換されなかった宿主細胞は、培地中で生存しないであろう。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質若しくは他の毒素に対する抵抗性を与える、(b)栄養要求性の欠損を補う、又は(c)複合培地からは得られない重要な栄養素を供給する、タンパク質をコードしている。酵母の形質転換のための例示的なベクター及び方法は、例えば、Burke,D.,Dawson,D.,& Stearns,T.(2000).Methods in yeast genetics:a Cold Spring Harbor Laboratory course manual.Plainview,N.Y.:Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されている。
【0118】
酵母又は哺乳動物細胞で使用するための発現ベクターは、一般に、形質転換酵母株又は形質転換哺乳動物細胞を同定するための選択可能な栄養要求性又は薬物マーカーを含む酵母又は哺乳動物特異的配列を更に含むであろう。薬物マーカーは、更に、宿主細胞中のベクターのコピー数を増幅するために使用され得る。
【0119】
目的のポリペプチドコード配列は、宿主細胞、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)又はCHO細胞におけるポリペプチドの発現を提供する転写及び翻訳調節配列に作動可能に連結される。これらのベクター成分は、以下の1つ以上を含み得るが、これらに限定されない:エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列。ポリペプチドの分泌のための配列、例えばシグナル配列なども含まれ得る。発現ベクターはしばしば宿主細胞ゲノムに組み込まれるので、酵母又は哺乳類の複製起点は、任意選択である。本発明の一実施形態では、目的のポリペプチドは、酵母二倍体細胞からのポリペプチドの最適化された分泌を提供する配列に作動可能に連結又は融合される。
【0120】
核酸は、別の核酸配列と機能的な関係に置かれると「作動可能に連結」される。例えば、シグナル配列のDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドのDNAに作動可能に連結され;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結される。一般に、「作動可能に連結される」とは、連結されるDNA配列が隣接し、分泌リーダーの場合、隣接し、リーディングフレーム内にあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは、隣接している必要はない。好都合な制限部位での連結によって、又は、当業者によく知られているPCR/組換え方法(Gateway(登録商標)Technology;Invitrogen、Carlsbad California)を介して達成される。このような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーが、従来の実践に従って使用される。
【0121】
プロモーターは、それらが作動可能に連結されている特定の核酸配列の転写及び翻訳を制御する、構造遺伝子の開始コドンの上流(5’)に位置する(一般に、約100~1000bp以内)非翻訳配列である。このようなプロモーターは、いくつかのクラスに分類される:誘導性、構成性、及び抑制性プロモーター(リプレッサーの非存在に応答して転写レベルを増加させる)。誘導性プロモーターは、培養条件のいくつかの変化、例えば、栄養素の存在若しくは非存在、又は温度の変化に応答して、それらの制御下でDNAからの増加したレベルの転写を開始し得る。
【0122】
プロモーター断片はまた、相同組換え及び発現ベクターの宿主ゲノムの同じ部位への組み込みのための部位として機能し得;或いは、選択可能なマーカーが相同組換えの部位として使用される。ピキア(Pichia)からの適切なプロモーターの例としては、AOX1及びプロモーター(Cregg et al.(1989)Mol.Cell.Biol.9:1316-1323);ICL1プロモーター(Menendez et al.(2003)Yeast 20(13):1097-108);グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター(GAP)(Waterham et al.(1997)Gene 186(1):37-44);並びにFLD1プロモーター(Shen et al.(1998)Gene 216(1):93-102)が挙げられる。GAPプロモーターは、強力な構成性プロモーターであり、AOX及びFLD1プロモーターは、誘導性である。
【0123】
他の酵母プロモーターとしては、ADH1、アルコールデヒドロゲナーゼII、GAL4、PHO3、PHO5、Pyk、及びこれらに由来するキメラプロモーターが挙げられる。加えて、非酵母プロモーター、例えば哺乳動物、昆虫、植物、爬虫類、両生類、ウイルス、及び鳥類プロモーターが、本発明において使用され得る。最も典型的には、プロモーターは、哺乳動物プロモーター(発現された遺伝子に対して内因性である可能性がある)を含み、又は酵母系において効率的な転写を提供する酵母若しくはウイルスプロモーターを含むであろう。
【0124】
哺乳動物プロモーターの例には、中でも、サイトメガロウイルス(CMV)由来のプロモーター、ニワトリ3-アクチン(CBM)由来のプロモーター、大腸腺腫性ポリポーシス(adenomatous polyposis coli)(APC)由来のプロモーター、ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役受容体5(LGR5)プロモーター、CAGプロモーター、βアクチンプロモーター、伸長因子-1(EF1)プロモーター、初期成長応答1(EGR-1)プロモーター、真核生物開始因子4A(EIF4A1)プロモーター、サルウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)長末端反復(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、鳥類白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン-バーウイルス最初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、並びに、アクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーター、及びクレアチンキナーゼプロモーターなどであるがこれらに限定されないヒト遺伝子プロモーターが含まれる。前述のプロモーターの2つ以上の組み合わせを使用してもよい。更に、誘導性プロモーターを使用してもよい。誘導性プロモーターの使用により、このような発現が所望される場合、作動的に連結されるポリヌクレオチド配列の発現をオンにするか、又は発現が所望されない場合、発現をオフにすることができる分子スイッチが提供される。誘導性プロモーターの例には、メタロチオニンププロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター、及びテトラサイクリンプロモーターが含まれるがこれらに限定されない。
【0125】
目的のポリペプチドは、異種ポリペプチド(例えば、成熟タンパク質又はポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有するシグナル配列又は他のポリペプチド)との融合ポリペプチドとしても産生され得る。一般に、シグナル配列は、ベクターの成分であってもよく、又はベクターに挿入されるポリペプチドコード配列の一部であってもよい。選択される異種シグナル配列は、好ましくは、宿主細胞内で利用可能な標準経路の1つを通して認識され、プロセシングされるものである。出芽酵母(S.cerevisiae)α因子プレプロシグナルは、P.パストリス(P.pastoris)からの多様な組換えタンパク質の分泌に有効であることが証明されている。他の酵母 シグナル配列には、α接合因子シグナル配列、インベルターゼシグナル配列、及び他の分泌酵母ポリペプチドに由来するシグナル配列が含まれる。加えて、これらのシグナルペプチド配列は、二倍体酵母発現系において増強された分泌を提供するように操作され得る。哺乳動物及び酵母細胞において使用される分泌シグナルには、分泌されるタンパク質に対して異種であり得るか、又は分泌されるタンパク質の天然配列であり得る哺乳動物シグナル配列が含まれる。シグナル配列はプレペプチド配列を含み、いくつかの例では、プロペプチド配列を含んでもよい。免疫グロブリン鎖上に見出されるシグナル配列、例えば、K28プレプロトキシン配列、PHA-E、FACE、ヒトMCP-1、ヒト血清アルブミンシグナル配列、ヒトIg重鎖、ヒトIg軽鎖などを含む、多くのそのようなシグナル配列が当技術分野で公知である。例えば、Hashimoto et.al.Protein Eng 11(2)75(1998);及びKobayashi et.al.Therapeutic Apheresis 2(4)257(1998)を参照されたい。
【0126】
転写は、転写アクチベーター配列をベクターに挿入することによって増加させることができる。これらのアクチベーターは、通常約10~300bpのDNAのシス作用性エレメントであり、プロモーターに作用してその転写を増加させる。転写エンハンサーは、比較的向き及び位置非依存性であり、転写単位の5’及び3’側に、イントロン内、及びコード配列自体内に見出されている。エンハンサーは、コード配列の5’及び3’側の位置で発現ベクターにスプライシングされ得るが、好ましくは、プロモーターから5’の部位に位置する。
【0127】
真核生物宿主細胞で使用される発現ベクターは、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列を含んでもよい。そのような配列は、真核生物又はウイルスDNA又はcDNAの非翻訳領域において、翻訳終止コドンの3’側から一般的に入手可能である。これらの領域は、mRNAの非翻訳部分内に、ポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチド断片を含む。
【0128】
上記に列挙した成分の1つ以上を含む適切なベクターの構築は、標準的なライゲーション技術又はPCR/組換え方法を使用する。単離されたプラスミド又はDNA断片は、切断され、調整され、所望の形態で再連結されて、必要とされるプラスミドを生成するか、又は組換え方法を介して生成される。構築されたプラスミドにおける正しい配列を確認するための分析のために、ライゲーション混合物を使用して宿主細胞を形質転換し、適切な場合には、抗生物質耐性(例えば、アンピシリン又はゼオシン)によって成功した形質転換体を選択する。形質転換体由来のプラスミドを調製し、制限エンドヌクレアーゼ消化により分析し、及び/又は配列決定する。
【0129】
断片の制限及びライゲーションの代替として、att部位及び組換え酵素に基づく組換え方法を用いて、DNA配列をベクターに挿入することができる。このような方法は、例えば、Landy(1989)Ann.Rev.Biochem.58:913-949によって記載され;当業者に知られている。このような方法は、ラムダ及び大腸菌(E.coli)によりコードされる組換えタンパク質の混合物により媒介される分子間DNA組換えを利用する。組換えは、相互作用するDNA分子上の特定の結合(att)部位間で起こる。att部位の説明については、Weisberg and Landy(1983)Site-Specific Recombination in Phage Lambda,in Lambda II,Weisberg,ed.(Cold Spring Harbor,NY:Cold Spring Harbor Press),pp.211-250を参照されたい。組換え部位に隣接するDNAセグメントは交換され、それにより、組換え後、att 部位は各親ベクターによって供与される配列からなるハイブリッド配列である。組換えは、任意のトポロジーのDNA間で起こり得る。
【0130】
Att部位は、目的の配列を適切なベクターに連結すること;特定のプライマーの使用によってattB部位を含むPCR産物を生成すること;att部位を含む適切なベクターにクローニングされたcDNAライブラリーを生成することなどによって、目的の配列に導入され得る。
【0131】
折り畳みは、本明細書で使用される場合、ポリペプチド及びタンパク質の三次元構造を指し、ここで、アミノ酸残基間の相互作用は、構造を安定化するように作用する。適切な折り畳みは、典型的には、最適な生物学的活性をもたらすポリペプチドの配置であり、抗体の場合、活性(例えば、抗原結合)についてのアッセイによって都合よくモニターされ得る。
【0132】
発現宿主は、折り畳み及びジスルフィド結合形成を増強する1つ以上の酵素、即ちフォールダーゼ、シャペロニンなどをコードする配列の導入によって更に改変され得る。このような配列は、当技術分野で公知のベクター、マーカーなどを使用して、酵母宿主細胞において構成的に又は誘導的に発現され得る。好ましくは、所望の発現パターンに十分な転写調節エレメントを含む配列が標的化された方法論によって酵母ゲノムに安定に組み込まれる。
【0133】
例えば、真核生物PDIは、タンパク質システイン酸化及びジスルフィド結合異性化の効率的な触媒であるだけでなく、シャペロン活性も示す。PDIの共発現は、複数のジスルフィド結合を有する活性タンパク質の産生を促進することができる。BIP(免疫グロブリン重鎖結合タンパク質);シクロフィリンなどの発現も興味深い。本発明の一実施形態では、単数体親株の各々は異なる折り畳み酵素を発現し、例えば、1つの株はBIPを発現し得、他の株はPDI又はそれらの組み合わせを発現し得る。
【0134】
用語「所望のタンパク質」又は「所望の抗体」は、互換的に使用され、一般に、標的に特異的な親抗体即ち、本明細書に記載されるようなCGRP又はキメラ若しくはヒト化抗体又はそれらに由来するその結合部分を指す。用語「抗体」は、エピトープに適合し、認識する特異的形状を有する任意のポリペプチド鎖含有分子構造を含むことが意図され、ここで、1つ以上の非共有結合相互作用が、分子構造とエピトープとの間の複合体を安定化する。原型抗体分子は、免疫グロブリンであり、全ての供給源、例えばヒト、齧歯類、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、他の哺乳動物、ニワトリ、他の鳥類等からの免疫グロブリン、特にIgGetcは、「抗体」であると考えられる。本発明による出発物質として有用な抗体を産生するための好ましい供給源は、ウサギである。多数の抗体コード配列が記載されており;その他は、当技術分野で周知の方法によって作製され得る。Eその例には、キメラ抗体、ヒト抗体及び他の非ヒト哺乳動物抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体(例えばscFvs)、ラクダ抗体、ナノボディ、IgNAR(サメ由来の単鎖抗体)、小モジュール免疫医薬品(SMIP)、並びにFabs、Fab’、F(ab’)などの抗体断片が含まれる。Streltsov VA,et al.,Structure of a shark IgNAR antibody variable domain and modeling of an early-developmental isotype,Protein Sci.2005 Nov;14(11):2901-9.Epub 2005 Sep 30;Greenberg AS,et al.,A new antigen receptor gene family that undergoes rearrangement and extensive somatic diversification in sharks,Nature.1995 Mar 9;374(6518):168-73;Nuttall SD,et al.,Isolation of the new antigen receptor from wobbegong sharks,and use as a scaffold for the display of protein loop libraries,Mol Immunol.2001 Aug;38(4):313-26;Hamers-Casterman C,et al.,Naturally occurring antibodies devoid of light chains,Nature.1993 Jun 3;363(6428):446-8;Gill DS,et al.,Biopharmaceutical drug discovery using novel protein scaffolds,Curr Opin Biotechnol.2006 Dec;17(6):653-8.Epub 2006 Oct 19を参照されたい。
【0135】
例えば、抗体又は抗原結合断片は、遺伝子工学によって産生され得る。この技術において、他の方法と同様に、抗体産生細胞は、所望の抗原又は免疫原に対して感作される。抗体産生細胞から単離されたメッセンジャーRNAを鋳型として使用して、PCR増幅を使用してcDNAを作製する。最初の抗原特異性を保持する1つの重鎖遺伝子と1つの軽鎖遺伝子を各々含むベクターのライブラリーは、増幅された免疫グロブリンcDNAの適当な切片を発現ベクターに挿入することによって作製される。コンビナトリアルライブラリーは、重鎖遺伝子ライブラリーを軽鎖遺伝子ライブラリーと組み合わせることによって構築される。これは、(抗体分子のFab断片又は抗原結合断片に類似する)重鎖及び軽鎖を共発現するクローンのライブラリーを生じる。これらの遺伝子を有するベクターを宿主細胞に共トランスフェクトする。抗体遺伝子合成がトランスフェクトされた宿主において誘導される場合、重鎖及び軽鎖タンパク質は、自己集合して、抗原又は免疫原を用いたスクリーニングによって検出され得る活性抗体を産生する。
【0136】
目的の抗体コード配列は、天然配列によってコードされるもの、並びに遺伝子コードの縮重のために、開示される核酸及びその変異体と配列が同一ではない核酸、並びにそれらの変異体を含む。変異体ポリペプチドは、アミノ酸(aa)置換、付加又は欠失を含み得る。アミノ酸置換は、非必須アミノ酸を排除するための、例えば、グリコシル化部位を改変するための、又は機能に必要でない1つ以上のシステイン残基の置換若しくは欠失によるミスフォールディングを最小限にするための、保存的アミノ酸置換であり得る。変異体は、タンパク質の特定の領域(例えば、機能ドメイン、触媒アミノ酸残基など)の増強された生物学的活性を保持するか、又は有するように設計され得る。変異体はまた、本明細書に開示されるポリペプチドの断片、特に生物学的に活性な断片及び/又は機能的ドメインに対応する断片を含む。クローン化遺伝子のインビトロ変異誘発の技術が知られている。タンパク質分解に対するそれらの耐性を改善するために、又は溶解特性を最適化するために、又はそれらを治療剤としてより適切にするために、通常の分子生物学的技術を使用して改変されたポリペプチドもまた、本発明に含まれる。
【0137】
キメラ抗体は、1つの種の抗体産生細胞から得られた可変軽鎖及び重鎖領域(V及びV)を、別の種からの定常軽鎖及び重鎖領域と組み合わせることによって、組換え方法によって作製され得る。典型的には、キメラ抗体は、主にヒトドメインを有する抗体を産生するために、齧歯類又はウサギ可変領域及びヒト定常領域を利用する。このようなキメラ抗体の産生は、当技術分野で周知であり、標準的な手段によって達成することができる(例えば、米国特許第5,624,659号明細書(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように)。更に、本発明のキメラ抗体のヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4定常領域から選択され得ることが意図される。
【0138】
ヒト化抗体は、更に多くのヒト様免疫グロブリンドメインを含むように操作され、動物由来抗体の相補性決定領域のみを組み込む。これは、モノクローナル抗体の可変領域の超可変ループの配列を注意深く調べ、ヒト抗体鎖の構造に適合させることによって達成される。表面的には複雑であるが、このプロセスは、実際には簡単である。例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,187,287号明細書を参照されたい。
【0139】
全免疫グロブリン(又はそれらの組換え対応物)に加えて、エピトープ結合部位を含む免疫グロブリン断片(例えば、Fab’、F(ab’)、又は他の断片)が合成され得る。「断片」、又は最小限の免疫グロブリンは、組換え免疫グロブリン技術を使用して設計することができる。例えば、本発明において使用するための「Fv」免疫グロブリンは、融合された可変軽鎖領域及び可変重鎖領域を合成することによって産生され得る。抗体の組み合わせ、例えば、2つの異なるFv特異性を含むダイアボディも興味深い。本発明の別の実施形態では、SMIP(小分子免疫医薬品)、ラクダ抗体、ナノボディ、及びIgNARは、免疫グロブリン断片によって包含される。
【0140】
免疫グロブリン及びその断片は、例えば、化学リンカーなどのエフェクター部分、蛍光色素、酵素、毒素、基質、生物発光物質、放射性物質、化学発光部分などの検出可能な部分を付加するために翻訳後修飾されてもよく、又はストレプトアビジン、アビジン、若しくはビオチンなどの特異的結合部分を本発明の方法及び組成物に使用してもよい。追加のエフェクター分子の例は、以下に提供される。
【0141】
ポリヌクレオチド配列は、遺伝子コードに従うポリヌクレオチド配列の翻訳がポリペプチド配列を生じる場合、ポリペプチド配列に「対応し」(即ち、ポリヌクレオチド配列は、ポリペプチド配列を「コードし」)、2つの配列が同じポリペプチド配列をコードする場合、1つのポリヌクレオチド配列は別のポリヌクレオチド配列に「対応する」。
【0142】
DNA構築物の「異種」領域又はドメインは、より大きな天然の分子に関連して見出されない、より大きなDNA分子内のDNAの同定可能なセグメントである。したがって、異種領域が哺乳動物遺伝子をコードする場合、遺伝子は、通常、供給源生物のゲノム中の哺乳動物ゲノムDNAに隣接しないDNAに隣接するであろう。異種領域の別の例は、コード配列自体が天然に見出されない構築物である(例えば、ゲノムコード配列がイントロンを含むcDNA、又は天然遺伝子とは異なるコドンを有する合成配列)。対立遺伝子変異又は天然に存在する突然変異事象は、本明細書に定義されるようなDNAの異種領域を生じない。
【0143】
「コード配列」とは、(遺伝コードの観点から)タンパク質又はペプチド配列に対応するコドンのインフレーム配列である。2つのコード配列は、配列又はその相補配列が同じアミノ酸配列をコードする場合、互いに対応する。適当な調節配列と関連したコード配列は、転写され、ポリペプチドに翻訳され得る。ポリアデニル化シグナル及び転写終結配列は、通常、コード配列の3’側に位置するであろう。「プロモーター配列」は、細胞内のRNAポリメラーゼに結合することができ、下流(3’方向)コード配列の転写を開始するDNA調節領域である。プロモーター配列は、典型的には、コード配列の転写に影響する調節分子(例えば、転写因子)の結合のための追加の部位を含む。コード配列は、RNAポリメラーゼが細胞内のプロモーター配列に結合し、コード配列をmRNAに転写する場合、プロモーター配列の「制御下にあり」又はプロモーターに「作動的に連結され」、mRNAは次いで、コード配列によりコードされるタンパク質に翻訳される。
【0144】
ベクターは、外来物質、例えばDNA、RNA又はタンパク質を、生物又は宿主細胞に導入するのに使用される。典型的なベクターには、組換えウイルス(ポリヌクレオチド用)及びリポソーム(ポリペプチド用)が含まれる。「DNAベクター」は、プラスミド、ファージ、コスミドなどのレプリコンであり、これらに別のポリヌクレオチドセグメントを結合させて、結合したセグメントの複製をもたらすことができる。「発現ベクター」は、適切な宿主細胞によるポリペプチド合成を指示する調節配列を含むDNAベクターである。これは、通常、プロモーターがRNAポリメラーゼに結合し、mRNAの転写を開始し、またリボソーム結合部位及び開始シグナルがmRNAのポリペプチドへの翻訳を指示することを意味する。適切な部位及び正確なリーディングフレームでの発現ベクターへのポリヌクレオチド配列の組み込み、続いてベクターによる適切な宿主細胞の形質転換は、記ポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドの産生を可能にする。
【0145】
ポリヌクレオチド配列の「増幅」は、特定の核酸配列の複数コピーのインビトロ産生である。増幅された配列は、通常、DNAの形態である。このような増幅を実施するための多様な技術は、Van Brunt(1990,Bio/Technol.,8(4):291-294)よる総説論文に記載されている。ポリメラーゼ連鎖反応、即ちPCRは、核酸増幅のプロトタイプであり、本明細書のPCRの使用は、他の適切な増幅技術の例示であると考えられるべきである。
【0146】
脊椎動物における抗体の一般的な構造は、現在よく理解されている(Edelman,G.M.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,190:5(1971))。抗体は、分子量約23,000ダルトンの2つの同一のポリペプチド軽鎖(「軽鎖」)と、分子量53,000~70,000の2つの同一の重鎖(「重鎖」)とからなる。4つの鎖は、ジスルフィド結合によって「Y」立体配置で連結されており、軽鎖は、「Y」立体配置の口から始まる重鎖を包み込む。「Y」立体配置の「分岐」部分は、Fab領域と呼ばれ、「Y」立体配置のステム部分は、F領域と呼ばれる。アミノ酸配列の向きは、「Y」立体配置の上部のN末端から各鎖の下部のC末端まで延びている。N末端は、それを誘発した抗原に対して特異性を有する可変領域を有し、長さが約100アミノ酸であり、軽鎖と重鎖との間、及び抗体から抗体へのわずかな変動がある。
【0147】
可変領域は、各鎖において、鎖の残りの長さを伸長する定常領域に連結され、抗体の特定のクラスのものは、抗体(即ち、それを誘発する抗原)の特異性によって変化しない。免疫グロブリン分子のクラスを決定する5つの既知の主要クラスの定常領域が存在する(γ、μ、α、δ、及びε(ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、又はイプシロン)重鎖定常領域に対応するIgG、IgM、IgA、IgD、及びIgE)。定常領域又はクラスは、補体の活性化(Kabat,E.A.,Structural Concepts in Immunology and Immunochemistry,2nd Ed.,p.413-436,Holt,Rinehart,Winston(1976))、及び他の細胞応答(Andrews,D.W.,et al.,Clinical Immunobiology,pp 1-18,W.B.Sanders(1980);Kohl,S.,et al.,Immunology,48:187(1983))を含む、抗体の後続のエフェクター機能を決定し;一方、可変領域は、それが反応する抗原を決定する。軽鎖は、κ(カッパ)又はλ(ラムダ)のいずれかに分類される。各重鎖クラスは、カッパ又はラムダ軽鎖のいずれかと共に調製することができる。軽鎖と重鎖は、互いに共有結合し、免疫グロブリンがハイブリドーマ又はB細胞のいずれかによって生成される場合、2つの重鎖の「尾部」部分は、共有結合ジスルフィド結合によって互いに結合する。
【0148】
「可変領域」又は「VR」という表現は、抗体の抗原への結合に直接関与する、抗体の軽鎖と重鎖の各対内のドメインを指す。各重鎖は、一端に可変ドメイン(V)を有し、その後に多数の定常ドメインが続く。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(V)を有し、他端に定常ドメインを有し;軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと整列され、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列される。
【0149】
「相補性決定領域」、「超可変領域」、又は「CDR」という表現は、抗体の軽鎖又は重鎖の可変領域に見出される超可変又は相補性決定領域(CDR)の1つ以上を指す(Kabat,E.A.et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,(1987))を参照されたい。これらの発現は、Kabat et al.(“Sequences of Proteins of Immunological Interest,” Kabat E.,et al.,US Dept.of Health and Human Services,1983)によって定義されるような超可変領域、又は抗体の3次元構造における超可変ループ(Chothia and Lesk,J Mol.Biol.196 901-917(1987))を含む。各鎖のCDRは、フレームワーク領域によって近接して保持され、他の鎖からのCDRと共に、抗原結合部位の形成に寄与する。CDR内には、抗体-抗原相互作用においてCDRによって使用される重要な接触残基を表す選択性決定領域(SDR)として記載されている選択アミノ酸が存在する(Kashmiri,S.,Methods,36:25-34(2005))。本発明において、特定の抗体アミノ酸又は核酸残基が数によって参照される場合、これは一般に、特定のアミノ酸又は核酸配列内のその位置(即ち、特定の配列識別子)、及び/又はKabatらの番号付けによるその位置を指す。
【0150】
「フレームワーク領域」又は「FR」という表現は、抗体の軽鎖又は重鎖の可変領域内のフレームワーク領域の1つ以上を指す(Kabat,E.A.et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,(1987)を参照されたい)。これらの表現は抗体の軽鎖及び重鎖の可変領域内のCDRの間に介在するアミノ酸配列領域を含む。
【0151】
「Cmax」は、薬物が投与された後に、抗体又は他の化合物が試験領域(例えば、血清又は脳脊髄液などの別の区画)において達成する最大(又はピーク)濃度を指す。例えば、血清Cmaxは血清から測定され得、これは例えば、血液サンプルを収集し、それを凝固させ、遠心分離又は他の手段によって固体成分を分離して血清(血液細胞も凝固因子も含まない血液)を産生することにより調製され、次いで、ELISA又は当技術分野で公知の他の手段によって血清中の分析物の濃度を検出する。
【0152】
「AUC」は、特に明記しない限りmg/mL×hr(又は等価的にmg×hr/ml)の単位で表される濃度-時間曲線下面積を指す。「AUC0-t」は、時間=0から最後の定量可能な濃度までの濃度-時間曲線下面積を指す。「AUC0-inf」は、時間=0から無限大に外挿された濃度-時間曲線下面積を指す。
【0153】
「Imax」は、より低い抗CGRP抗体用量によって誘発される応答と比較して、抗CGRP抗体投与量、好ましくは350mg以上、より典型的には少なくとも750又は1000mgの投与量によって誘発される最大薬力学的応答を指し、例えば、このような応答は、カプサイシンの局所適用後の血管拡張の阻害によって検出され得る。
【0154】
CGRPに対する結合特異性を有する抗CGRP抗体及びその結合断片
本発明は、特定の抗CGRP抗体又は抗体断片であるAb6の使用を特に含み、これは、図1~12に特定されたCDR、VL、VH、CL、CHポリペプチド配列を含み、又はそれらからなる。抗CGRP抗体であるAb6に含まれるポリペプチドは、更に以下に記載される。
【0155】
抗体Ab6
好ましい例示的な実施形態において、本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に記載される配列を含む可変軽鎖配列を有するヒト化抗体を含む:
QVLTQSPSSLSASVGDRVTINCQASQSVYHNTYLAWYQQKPGKVPKQLIYDASTLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLGSYDCTNGDCFVFGGGTKVEIKR(配列番号222)
【0156】
本発明はまた、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に記載される配列を含む軽鎖配列を有するヒト化抗体を含む:
【化1】
【0157】
本発明はまた、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に記載される配列を含む可変重鎖配列を有するヒト化抗体を含む:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGIDLSGYYMNWVRQAPGKGLEWVGVIGINGATYYASWAKGRFTISRDNSKTTVYLQMNSLRAEDTAVYFCARGDIWGQGTLVTVSS(配列番号202)
【0158】
本発明はまた、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に記載される配列を含む重鎖配列を有するヒト化抗体を含む:
【化2】
【0159】
或いは、Ab6の重鎖は、配列番号201のC末端リシンを欠いてもよく、即ち、重鎖配列は、以下に記載される配列を含む:
【化3】
【0160】
本発明は、更に、配列番号222の可変軽鎖配列又は配列番号221の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、又は超可変領域)に対応する、配列番号224;配列番号226;及び配列番号228のポリペプチド配列の1つ以上、並びに/又は、配列番号202の可変重鎖配列又は配列番号201又は配列番号566の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、又は超可変領域)に対応する、配列番号204;配列番号206;及び配列番号208のポリペプチド配列の1つ以上、又はこれらのポリペプチド配列の組み合わせを含む抗体を意図する。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体又はその断片は、CDRの1つ以上、可変重鎖及び可変軽鎖配列、並びに上記に記載された重鎖及び軽鎖配列(それらの全てを含む)の組み合わせを含み、又はそれらからなる。
【0161】
本発明はまた、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片を意図する。本発明の一実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号222又は配列番号221のポリペプチド配列を含み、又はそれからなる。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号202又は配列番号201又は配列番号566のポリペプチド配列を含み、又はそれからなる。
【0162】
本発明の更なる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号222の可変軽鎖配列又は配列番号221の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、又は超可変領域)に対応する、配列番号224;配列番号226;及び配列番号228のポリペプチド配列の1つ以上を含み、又はそれらからなる。
【0163】
本発明の更なる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号202の可変重鎖配列又は配列番号201若しくは配列番号566の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、又は超可変領域)に対応する、配列番号204;配列番号206;及び配列番号208のポリペプチド配列の1つ以上を含み、又はそれらからなる。
【0164】
本発明はまた、本明細書に記載される抗体断片の1つ以上を含む抗体断片を意図する。本発明の一実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、以下の抗体断片の全てを含む、1つ、2つ、3つ以上を含み、又はそれらからなる:配列番号222の可変軽鎖領域;配列番号202の可変重鎖領域;配列番号222の可変軽鎖領域の相補性決定領域(配列番号224;配列番号226;及び配列番号228);及び配列番号202の可変重鎖領域の相補性決定領域(配列番号204;配列番号206;及び配列番号208)。
【0165】
本発明の特に好ましい実施形態では、ヒト化抗CGRP抗体は、配列番号221及び配列番号201又は配列番号566を含み又はそれからなり、本明細書に記載される生物学的活性の少なくとも1つを有する、Ab6である。
【0166】
本発明の更に特に好ましい実施形態では、抗体断片は、CGRP.に対する結合特異性を有するFab(断片抗原結合)断片を含み、又はそれからなる。抗体Ab6に関連して、Fab断片は、配列番号222の可変軽鎖領域及び配列番号202の可変重鎖領域を含む。本発明のこの実施形態は、更に、CGRPに対する結合特異性を保持しながら、前記Fabにおける配列番号222及び/又は配列番号202の付加、欠失、及び変異体を意図する。
【0167】
本発明の別の特に好ましい実施形態では、前記抗CGRP抗体は、配列番号222の可変軽鎖ポリペプチド及び配列番号202の可変重鎖ポリペプチドをコードする核酸配列を発現する組換え細胞から単離された抗体発現産物を含んでもよく、これらのポリペプチドは、任意選択で、ヒト軽鎖及び重鎖定常領域ポリペプチド、例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4定常領域に各々連結され、これらの定常領域は、任意選択で、グリコシル化又はタンパク質分解を変更するように修飾されてもよく、前記組換え細胞は、任意選択で、酵母若しくは哺乳動物細胞、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)又はCHO細胞を含む。
【0168】
本発明の別の特に好ましい実施形態では、前記抗CGRP抗体は、配列番号221の軽鎖及び配列番号201又は配列番号566の重鎖ポリペプチドをコードする核酸配列を発現する組換え細胞から単離された抗体発現産物を含むことができ、前記組換え細胞は、酵母若しくは哺乳動物細胞、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)又はCHO細胞を任意選択で含み、その定常領域は、グリコシル化又はタンパク質分解又は他のエフェクター機能を変更するように任意選択で修飾することができる。
【0169】
本発明の特に好ましい別の実施形態では、前述の抗CGRP抗体又は抗体断片のいずれかは、例えば、約5.8のpHを有する、ヒスチジン(L-ヒスチジン)、ソルビトール、ポリソルベート80、例えば1mL容量当たり約100mgの抗CGRP抗体、約3.1mgのL-ヒスチジン、約40.5mgのソルビトール、及び約0.15mgのポリソルベート80を含む、本明細書に開示される製剤中に含まれてもよい。
【0170】
本明細書に記載される本発明の一実施形態(以下)では、Fab断片は、Ab6の酵素的消化(例えば、パパイン)によって産生され得る。本発明の別の実施形態では、抗CGRP抗体、例えばAb6又はそのFab断片は、哺乳動物細胞、例えばCHO、NSO又はHEK 293細胞、真菌、昆虫、又は微生物系、例えば酵母細胞(例えば二倍体酵母、例えば二倍体ピキア(Pichia))及び他の酵母株における発現を介して産生され得る。適切なピキア(Pichia)種には、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)が含まれるがこれに限定されない。
【0171】
別の実施形態では、抗体断片は、以下の非限定的な形態の1つ以上で存在し得る:Fab、Fab’、F(ab’)、Fv及び単鎖Fv抗体形態。好ましい実施形態では、本明細書に記載される抗CGRP抗体は、更に、以下に記載される配列を含むκ定常軽鎖配列を含む:
VAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号563)
【0172】
別の好ましい実施形態では、本明細書に記載される抗CGRP抗体は、更に、以下に記載される配列を含むγ-1定常重鎖ポリペプチド配列、又はカルボキシ末端リジン残基を欠く同じ配列(各々、配列番号564及び配列番号565)を含む:
【化4】
【0173】
明確さのために、本明細書に開示される任意の抗体は、開示される定常領域変異体配列の任意の変異体を含むことが意図され、例えば、Ab6は、C末端リシンを含む配列番号564の定常領域を含み得、又はC末端リシンを欠く配列番号565の定常領域を含み得る。したがって、配列番号201の重鎖の本明細書の全ての開示は、そのC末端リシン残基を欠く、即ち、Ab6(配列番号202)の重鎖可変領域配列と、配列番号565の定常領域配列とを有する変異体も含む。例えば、重鎖におけるC末端リシンを含む抗体をコードする配列は、細胞ライン、例えばCHO細胞中で発現され得る場合、タンパク質分解のために前記C末端リシンを欠く抗体、又は前記C末端リシンを含むか若しくは欠く重鎖の混合物を産生し得る。
【0174】
本発明の一実施形態では、抗体又はV又はVポリペプチドは、本明細書で参照されるヒト化プロセスの開始前に、1つ以上のウサギB細胞集団から生じさせ又はそれらから選択される。
【0175】
本発明の別の実施形態では、抗CGRP抗体及びその断片は、CGRP-Rに対する結合特異性を有さない。本発明の更なる実施形態では、抗CGRP抗体及びその断片は、CGRPとCGRP-Rとの会合を阻害する。本発明の別の実施形態では、抗CGRP抗体及びその断片は、CGRPとCGRP-R及び/又は追加のタンパク質及び/又はその多量体との会合を阻害し、並びに/又はその生物学的効果に拮抗する。
【0176】
本明細書に記載されるように、抗体及びその断片は、翻訳後に改変されて、化学リンカーなどのエフェクター部分、例えば蛍光色素、酵素、基質、生物発光材料、放射性材料、及び化学発光部分などの検出可能な部分、又は、例えばストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、細胞毒素、細胞毒性材料、及び放射性材料などの機能的部分を付加し得る。
【0177】
抗体又はその断片はまた、ポリペプチドの溶解性、安定性及び循環時間(インビボ半減期)の増加、又は免疫原性の減少などの更なる利点を提供するために化学的に修飾され得る(米国特許第4,179,337号明細書を参照されたい)。誘導体化のための化学的部分は、ポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーから選択され得る。抗体及びその断片は、分子内のランダムな位置で、又は分子内の所定の位置で修飾され得、1つ、2つ、3つ以上の結合化学部分を含み得る。
【0178】
ポリマーは、任意の分子量であってもよく、分岐状であっても、非分岐状であってもよい。ポリエチレングリコールの場合、取り扱い及び製造を容易にするために、好ましい分子量は約1kD~約100kDaである(用語「約」は、ポリエチレングリコールの調製物において、いくつかの分子は、記載された分子量よりも重く、いくつかは軽いことを示す)。所望の治療プロファイル(例えば、所望の持続放出の持続時間、生物学的活性に対する効果(存在する場合)、取り扱いの容易さ、抗原性の程度又は欠如、及び治療タンパク質又は類似体に対するポリエチレングリコールの他の公知の効果)に応じて他のサイズを使用することができる。例えば、ポリエチレングリコールは、約200、500、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10,000、10,500、11,000、11,500、12,000、12,500、13,000、13,500、14,000、14,500、15,000、15,500、16,000、16,500、17,000、17,500、18,000、18,500、19,000、19,500、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、50,000、55,000、60,000、65,000、70,000、75,000、80,000、85,000、90,000、95,000、又は100,000kDaの平均分子量を有してもよい。分枝状ポリエチレングリコールは、例えば、米国特許第5,643,575号明細書;Morpurgo et al.,Appl.Biochem.Biotechnol.56:59-72(1996);Vorobjev et al.,Nucleosides Nucleotides 18:2745-2750(1999);及びCaliceti et al.,Bioconjug.Chem.10:638-646(1999)に記載されており、これらの各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0179】
当業者に利用可能な多数の結合方法が存在する。例えば、参照により本明細書に組み込まれる欧州特許第0 401 384号明細書を参照されたい(G-CSFへのPEGの連結)。Malik et al.,Exp.Hematol.20:1028-1035(1992)(reporting pegylation of GM-CSF using tresyl chloride)も参照されたい。例えば、ポリエチレングリコールは、遊離アミノ又はカルボキシル基などの反応基を介してアミノ酸残基に共有結合できる。反応性基は、活性化ポリエチレングリコール分子が結合され得るものである。遊離アミノ基を有するアミノ酸残基は、リシン残基及びN末端アミノ酸残基を含み得;遊離カルボキシル基を有するアミノ酸残基は、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基及びC末端アミノ酸残基を含み得る。スルフヒドリル基も、ポリエチレングリコール分子を結合させるための反応性基として使用され得る。治療目的のために好ましいのは、アミノ基での結合、例えばN末端又はリシン基での結合である。
【0180】
上記で示唆されるように、ポリエチレングリコールは、多数のアミノ酸残基のいずれかへの連結を介してタンパク質に結合され得る。例えば、ポリエチレングリコールは、リシン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、又はシステイン残基への共有結合を介してポリペプチドに連結され得る。1つ以上の反応化学を用いて、ポリエチレングリコールを特定のアミノ酸残基(例えば、リシン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、又はシステイン)に、又は2つ以上のタイプのアミノ酸残基(例えば、リシン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン及びそれらの組み合わせ)に結合してもよい。
【0181】
或いは、抗体又はその断片は、アルブミン(組換えヒト血清アルブミン又はその断片若しくは変異体を含むが、これらに限定されない(例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる1999年3月2日に発行された米国特許第5,876,969号明細書、欧州特許第0 413 622号明細書、及び1998年6月16日に発行された米国特許第5,766,883号明細書を参照されたい))又は他の循環血液タンパク質、例えばトランスフェリン又はフェリチンとの融合を介したインビボ半減期の増加を有することができる。好ましい実施形態では、本発明のポリペプチド及び/又は抗体(その断片又は変異体を含む)は、ヒト血清アルブミンの成熟形態(即ち、その全体が参照により本明細書に組み込まれる欧州特許第0 322 094号明細書の図1及び2に示されるようなヒト血清アルブミンのアミノ酸1~585)と融合される。本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドも、本発明によって包含される。
【0182】
検出可能な部分に関して、更なる例示的な酵素としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ及びルシフェラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。更なる例示的な蛍光材料としては、ローダミン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ウンベリフェロン、ジクロロトリアジニルアミン、フィコエリスリン及びダンシルクロリドが挙げられるが、これらに限定されない。更なる例示的な化学発光部分としては、ルミノールが挙げられるが、これに限定されない。更なる例示的な生物発光材料としては、ルシフェリン及びエクオリンが挙げられるが、これらに限定されない。更なる例示的な放射性材料としては、ヨウ素125(125I)、炭素14(14C)、硫黄35(35S)、トリチウム(H)及びリン32(32P)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0183】
機能的部分に関して、例示的な細胞毒性剤としては、メトトレキサート、アミノプテリン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン;アルキル化剤、例えばメクロレタミン、チオエパ(thioepa)クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、マイトマイシンC、ロムスチン(CCNU)、1-メチルニトロソウレア、クルルトスファミド(cyclothosphamide)、メクロレタミン、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、シス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン及びカルボプラチン(パラプラチン);アントラサイクリンは、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、デトルビシン、カルミノマイシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン及びビサントレンを含み;抗生物質は、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ブレオマイシン、カリケアミシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン(AMC)を含み;並びに有糸分裂阻害剤、例えばビンカアルカロイド、ビンクリスチン及びビンブラスチンが挙げられるが、これらに限定されない。他の細胞毒性剤としては、パクリタキセル(タキソール)、リシン、シュードモナス外毒素、ゲムシタビン、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、エトポシド、テノポシド、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、アスパラギナーゼ、コルチコステロイド、マイトタン(O,P’-(DDD))、インターフェロン、及びこれらの細胞毒性剤の混合物が挙げられる。
【0184】
更なる細胞毒性剤には、化学療法剤、例えばカルボプラチン、シスプラチン、パクリタキセル、ゲムシタビン、カリケアマイシン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、シクロホスファミド、ビンクリスチン及びブレオマイシンが含まれるが、これらに限定されない。植物及び細菌由来の毒性酵素、例えばリシン、ジフテリア毒素及びシュードモナス(Pseudomonas)毒素を、ヒト化若しくはキメラ抗体、又はその結合断片にコンジュゲートして、細胞型特異的殺傷試薬を生成し得る(Youle,et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:5483(1980);Gilliland,et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:4539(1980);Krolick,et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:5419(1980))。
【0185】
他の細胞毒性剤には、Goldenbergにより米国特許第6,653,104号明細書に記載されているような細胞毒性リボヌクレアーゼが含まれる。本発明の実施形態はまた、アルファ又はベータ粒子を放出する放射性核種が、複合体形成剤の使用の有無にかかわらず、抗体、又はその結合断片に安定に結合される、放射性免疫複合体に関する。このような放射性核種には、β-エミッター、例えばリン-32(32P)、スカンジウム-47(47Sc)、銅-67(67Cu)、ガリウム-67(67Ga)、イットリウム-88(88Y)、イットリウム-90(90Y)、ヨウ素-125(125I)、ヨウ素-131(131I)、サマリウム-153(153Sm)、ルテチウム-177(177Lu)、レニウム-186(186Re)又はレニウム-188(188Re)、及びα-エミッター、例えばアスタチン-211(211At)、鉛-212(212Pb)、ビスマス-212(212Bi)又は-213(213Bi)又はアクチニウム-225(225Ac)が含まれる。
【0186】
例えばHunter et al,Nature 144:945(1962);David et al,Biochemistry 13:1014(1974);Pain et al,J.Immunol.Meth.40:219(1981);及びNygren,J.,Histochem.and Cytochem.30:407(1982)によって記載される方法などの、抗体又はその結合断片を検出可能な部分などにコンジュゲートするための方法が、当技術分野で公知である。
【0187】
本明細書に記載される実施形態は、本明細書に記載される抗体、抗体断片、ダイアボディ、SMIP、ラクダ抗体、ナノボディ、IgNAR、ポリペプチド、可変領域及びCDRに実質的に相同である変異体及び同等物を更に含む。これらは、例えば、保存的置換突然変異(即ち、類似のアミノ酸による1つ以上のアミノ酸の置換)を含み得る。例えば、保存的置換とは、同じ一般的クラス内の別のアミノ酸、例えば、1つの酸性アミノ酸と別の酸性アミノ酸との置換、1つの塩基性アミノ酸と別の塩基性アミノ酸との置換、又は1つの中性アミノ酸と別の中性アミノ酸との置換を指す。保存的アミノ酸置換によって意図されるものは、当技術分野で周知である。
【0188】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される抗体断片、可変領域及びCDRのポリペプチド配列のいずれか1つ以上に対して少なくとも90%以上の配列相同性を有するポリペプチド配列を意図する。より好ましくは、本発明は、本明細書に記載される抗体断片、可変領域及びCDRのポリペプチド配列のいずれか1つ以上に対して、少なくとも95%以上の配列相同性、更により好ましくは、少なくとも98%以上の配列相同性、更により好ましくは、少なくとも99%以上の配列相同性を有するポリペプチド配列を意図する。核酸配列及びアミノ酸配列の間の相同性を決定するための方法は、当業者に周知である。
【0189】
別の実施形態では、本発明は、更に、抗CGRP活性を更に有する、本明細書に記載される抗体断片、可変領域及びCDRの上記のポリペプチド相同体を意図する。抗CGRP活性の非限定的な例は、本明細書に記載される。
【0190】
本発明は、更に、上記に論じた1つ以上の抗ヒトCGRP抗体が、非グリコシル化され、又はグリコシル化されている場合、マンノシル化のみされており;エフェクター機能、半減期、タンパク質分解、及び/又はグリコシル化を変更するように改変されたFc領域を含み;ヒト、ヒト化、単鎖又はキメラであり;ウサギ(親)抗ヒトCGRP抗体に由来するヒト化抗体である、治療方法を意図する。グリコシル化を損なう例示的な突然変異は、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,624,821号明細書に記載されているような、IgG1などのIgG重鎖定常領域の297位のAsn残基の、Alaなどの別のアミノ酸への突然変異を含む。
【0191】
本発明は、更に、前記抗体の可変軽鎖領域及び可変重鎖領域中のフレームワーク領域(FR)が、各々、改変されていないか、又は可変軽鎖若しくは重鎖領域中の1つ以上のヒトFR残基が、親ウサギ抗体の対応するFR残基で置換することによって改変されているヒトFRであり、前記ヒトFRは、ライブラリーに含まれる他のヒト生殖系列抗体配列と比較して、対応するウサギ可変重鎖又は軽鎖領域に対する高レベルの相同性に基づいて、ヒト生殖系列抗体配列のライブラリーから選択されたヒト可変重鎖及び軽鎖抗体配列に由来する、1つ以上の抗ヒトCGRP抗体を意図する。
【0192】
本発明はまた、治療方法が、本明細書に開示される2つ以上の抗CGRP抗体又はその断片の投与を含み得ることを意図する。2つ以上の抗体が患者に投与される場合、複数の抗体は、同時に若しくは同時発生的に投与され得るか、又はそれらの投与において互い違いにされ得る。CGRPに対する結合特異性を有する本発明の抗CGRP抗体及びその断片の抗CGRP活性はまた、CGRPに対するそれらの結合強度又はそれらの親和性によって記載され得る。本発明の一実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する本発明の抗CGRP抗体及びその断片は、5x10-7M、10-7M、5x10-8M、10-8M、5x10-9M、10-9M、5x10-10M、10-10M、5x10-11M、10-11M、5x10-12M、10-12M、5x10-13M、又は10-13M以下の解離定数(K)でCGRPに結合する。好ましくは、抗CGRP抗体及びその断片は、10-11M、5x10-12M、又は10-12Mの解離定数でCGRPに結合する。本発明の特定の実施形態では、抗CGRP抗体は、表面プラズモン共鳴法を使用して測定した場合に、10pM以下、例えば2~8pM、例えば3~6pM、例えば約5pM以下の解離定数を有するAb6である(Misura、K et al、July 2019、Poster P220LB、AHS第61回年次学術大会)。本発明の別の実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する本発明の抗CGRP抗体及びその断片は、線状又は立体構造CGRPエピトープに結合する。
【0193】
本発明の別の実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する本発明の抗CGRP抗体及びその断片の抗CGRP活性は、10-4-1、5x10-5-1、10-5-1、5x10-6-1、10-6-1、5x10-7-1、又は10-7-1以下のオフレートでCGRPに結合する。本発明の特定の実施形態では、抗CGRP抗体は、表面プラズモン共鳴法を使用して測定した場合に、5×10-6-1以下、例えば4×10-6-1以下、例えば3×10-6-1以下、例えば2×10-6以下、例えば1×10-6-1以下のオフの速度を有するAb6である。
【0194】
抗CGRP抗体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
前述のように、本発明は、本明細書でAb6と称される特定の抗CGRP抗体又は抗体断片の使用を特に含み、これは、図1~12に特定された配列を有するCDR、VL、VH、CL、及びCHポリペプチドを含み、又はそれらからなる。前述のAb6に含まれるVL、VH、CL、及びCHポリペプチドをコードする核酸配列もまた、図1~12に含まれている。特に好ましい抗CGRP抗体であるAb6のCDR、VL、VH、CL、及びCHポリペプチドをコードする核酸配列は、更に以下に記載される。
【0195】
抗体Ab6をコードするポリヌクレオチド
本発明は更に、CGRPに対する結合特異性を有する抗体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。本発明の一実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号222の可変軽鎖ポリペプチド配列をコードする以下のポリヌクレオチド配列を含み、又はそれらからなる:
【化5】
【0196】
本発明の一実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号221の軽鎖ポリペプチド配列をコードする以下のポリヌクレオチド配列を含み、又はそれらからなる:
【化6】
【0197】
本発明の別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号202の可変重鎖ポリペプチド配列をコードする以下のポリヌクレオチド配列を含み、又はそれらからなる:
【化7】
【0198】
本発明の一実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号201の重鎖ポリペプチド配列をコードする以下のポリヌクレオチド配列を含み、又はそれらからなる:
【化8】
【0199】
本発明の一実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号566の重鎖ポリペプチド配列をコードする以下のポリヌクレオチド配列を含み、又はそれらからなる:
【化9】
【0200】
本発明の更なる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体断片をコードするポリヌクレオチドは、配列番号222の軽鎖可変配列又は配列番号221の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、又は超可変領域)をコードするポリヌクレオチドに対応する、配列番号234;配列番号236;及び配列番号238のポリヌクレオチド配列の1つ以上を含み、又はそれらからなる。
【0201】
本発明の更なる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体断片をコードするポリヌクレオチドは、配列番号202の重鎖可変配列又は配列番号201若しくは配列番号566の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、又は超可変領域)をコードするポリヌクレオチドに対応する、配列番号214;配列番号216;及び配列番号218のポリヌクレオチド配列の1つ以上を含み、又はそれらからなる。
【0202】
本発明はまた、本明細書に記載される抗体断片をコードするポリヌクレオチド配列の1つ以上を含むポリヌクレオチド配列を意図する。本発明の一実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体断片をコードするポリヌクレオチドは、抗体断片をコードする以下のポリヌクレオチドの1つ、2つ、3つ以上を含み、又はそれらからなる:配列番号222の軽鎖可変配列をコードするポリヌクレオチド配列番号232;配列番号221の軽鎖配列をコードするポリヌクレオチド配列番号231;配列番号202の重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド配列番号212;配列番号201の重鎖配列をコードするポリヌクレオチド配列番号211;配列番号566の重鎖配列をコードするポリヌクレオチド配列番号567;配列番号222の軽鎖可変配列又は配列番号221の軽鎖配列の相補性決定領域(配列番号234;配列番号236;及び配列番号238)をコードするポリヌクレオチド;並びに配列番号202の重鎖可変配列又は配列番号201又は配列番号566の重鎖配列の相補性決定領域(配列番号214;配列番号216;及び配列番号218)をコードするポリヌクレオチド。
【0203】
本発明の好ましい実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、CGRPに対する結合特異性を有するFab(断片抗原結合)断片をコードするポリヌクレオチドを含み、又はそれらからなる。抗体Ab6に関連して、全長Ab6抗体をコードするポリヌクレオチドは、配列番号221の軽鎖配列をコードするポリヌクレオチド配列番号231及び配列番号201の重鎖配列をコードするポリヌクレオチド配列番号211又は配列番号566の重鎖配列をコードするポリヌクレオチド配列番号567を含み、又はそれらからなる。
【0204】
本発明の別の実施形態は、哺乳動物細胞、例えばCHO、NSO、HEK-293、又は真菌、昆虫、若しくは微生物系、例えば酵母細胞、例えば酵母ピキア(Pichia)における発現のための発現ベクターに組み込まれたこれらのポリヌクレオチドを意図する。適切なピキア(Pichia)種には、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)が含まれるがこれに限定されない。本明細書に記載される本発明の一実施形態(以下)では、Fab断片は、適切な宿主内での全長ポリヌクレオチドの発現後、Ab6の酵素的消化(例えば、パパイン)によって産生され得る。本発明の別の実施形態では、抗CGRP抗体、例えばAb6又はそのFab断片は、哺乳動物細胞、例えばCHO、NSO又はHEK 293細胞、真菌、昆虫、又は微生物系、例えば酵母細胞(例えば二倍体酵母、例えば二倍体ピキア(Pichia))及び他の酵母株におけるAb6ポリヌクレオチドの発現を介して産生され得る。適切なピキア(Pichia)種には、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)が含まれるがこれに限定されない。
【0205】
前記ポリヌクレオチドを含む宿主細胞及びベクターも意図される。
【0206】
本発明は、更に、可変重鎖及び軽鎖ポリペプチド配列をコードするポリヌクレオチド、並びに本明細書に記載される個々の相補性決定領域(CDR、又は超可変領域)を含むベクター、並びに前記ベクター配列を含む宿主細胞を意図する。本発明の一実施形態では、宿主細胞は酵母細胞である。本発明の別の実施形態では、酵母宿主細胞は、ピキア(Pichia)属に属する。
【0207】
抗体及びその断片を産生する方法
別の実施形態では、本発明は、抗CGRP抗体及びその断片を産生するための方法を意図する。交配適格(mating competent)酵母の倍数体、好ましくは二倍体又は四倍体株から分泌される抗体及びその断片を産生するための方法は、例えば、Olson et al.への米国特許出願第2009/0022659号明細書、及びGarcia-Martinez et al.への米国特許第7,935,340号明細書(各々の開示は、全体が参照により本明細書に組み込まれる)に教示されている。哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞において抗体及びその断片を産生するための方法は、当技術分野で更に周知である。
【0208】
抗体を産生するための他の方法もまた、当業者に周知である。例えば、キメラ抗体を産生する方法は、現在、当技術分野で周知である(例えば、Cabilly et al.への米国特許第4,816,567号明細書;Morrison et al.,P.N.A.S.USA,81:8651-55(1984);Neuberger,M.S.et al.,Nature,314:268-270(1985);Boulianne,G.L.et al.,Nature,312:643-46(1984)(各々の開示は、全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0209】
同様に、ヒト化抗体を産生する他の方法は、現在、当技術分野で周知である(例えば、Queen et alへの米国特許第5,530,101号明細書、同第5,585,089号明細書、同第5,693,762号明細書、及び同第6,180,370号明細書;Winterへの米国特許第5,225,539号明細書及び同第6,548,640号明細書;Carter et alへの米国特許第6,054,297号明細書、同第6,407,213号明細書及び同第6,639,055号明細書;Adairへの米国特許第6,632,927号明細書;Jones,P.T.et al,Nature,321:522-525(1986);Reichmann,L.,et al,Nature,332:323-327(1988);Verhoeyen,M,et al,Science,239:1534-36(1988)(各々の開示は、全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0210】
本発明は、片頭痛に関連する最も煩わしい症状の治療、予防及び/又は改善のための医薬の製造における、本明細書に開示される医薬製剤のうちいずれかの使用を更に含む。
【0211】
投与
本発明の一実施形態では、本明細書に記載される抗CGRP抗体、又はそのCGRP結合断片、並びに前記抗体又は抗体断片の組み合わせは、レシピエント対象の体重の約0.1~100.0mg/kgの濃度で対照に投与される。本発明の好ましい実施形態では、本明細書に記載される抗CGRP抗体、又はそのCGRP結合断片、並びに前記抗体又は抗体断片の組み合わせは、レシピエント対象の体重の約0.4mg/kgの濃度で、及び/又は100若しくは300mgの投与量で対象に投与される。本発明の好ましい実施形態では、本明細書に記載される抗CGRP抗体、又はそのCGRP結合断片、並びに前記抗体又は抗体断片の組み合わせは、26週間又は6ヵ月以下毎に1回の頻度、16週間又は4ヵ月以下毎に1回、8週間又は2ヵ月以下毎に1回、4週間又は1ヵ月以下毎に1回、2週間又は半月以下毎に1回、1週間以下毎に1回、又は1日以下毎に1回の頻度でレシピエント対象に投与される。一般に、連続用量の投与は、前述のスケジュールからプラス又はマイナス数日変動し得る、例えば、3ヵ月毎又は12週毎の投与は、スケジュール日からプラス又はマイナス1、2、3、4、5、5、又は7日変動する用量の投与を含む。
【0212】
Fab断片は、2週間以下毎、1週間以下毎、1日以下毎、1日に複数回、及び/又は数時間毎に投与され得る。本発明の一実施形態では、患者は、所望の結果を得るために有効な、1mg/kg~40mg/kg/日のFab断片を、1日に1~6回の分割用量で、又は持続放出形態で受ける。
【0213】
所与の患者に投与される抗体又はFabの濃度は、上記の例示的な投与濃度よりも高くても低くてもよいことを理解するべきである。
【0214】
当業者は、例えば、本明細書の開示及びGoodman,L.S.,Gilman,A.,Brunton,L.L.,Lazo,J.S.,& Parker,K.L.(2006).Goodman & Gilman’s the pharmacological basis of therapeutics.New York:McGraw-Hill;Howland,R.D.,Mycek,M.J.,Harvey,R.A.,Champe,P.C.,& Mycek,M.J.(2006).Pharmacology.Lippincott’s illustrated reviews.Philadelphia:Lippincott Williams & Wilkins;and Golan,D.E.(2008).Principles of pharmacology:the pathophysiologic basis of drug therapy.Philadelphia,Pa.,[etc.]:Lippincott Williams & Wilkinsにおける教示によって導かれる日常的な実験によって、有効な投与量及び投与頻度を決定することができるであろう。
【0215】
本発明の別の実施形態では、本明細書に記載される抗CGRP抗体、又はそのCGRP結合断片、並びに前記抗体又は抗体断片の組み合わせは、医薬製剤で対照に投与される。
【0216】
「医薬組成物」は、哺乳動物への投与に適した化学的又は生物学的組成物を指す。そのような組成物は、頬、皮膚外、硬膜外、吸入、動脈内、心臓内、脳室内、皮内、筋肉内、鼻腔内、眼内、腹腔内、脊髄内、髄腔内、静脈内、経口、非経口、注腸又は坐剤による直腸、皮下(subcutaneous)、皮下(subdermal)、舌下、経皮、及び経粘膜、好ましくは静脈内を含むがこれらに限定されない多数の経路のうちの1つ以上を介した投与のために特に処方され得る。加えて、投与は、注射、粉末、液体、ゲル、液滴、又は他の投与手段によって行うことができる。
【0217】
「医薬賦形剤」又は「薬学的に許容され得る賦形剤」は、活性な治療剤が処方されている担体、通常は液体である。本発明の一実施形態では、活性治療剤は、本明細書に記載されるヒト化抗体、又はその1つ以上の断片である。賦形剤は、一般に、製剤に薬理学的活性を全く提供しないが、化学的及び/又は生物学的安定性、並びに放出特性を提供し得る。例示的な製剤は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,19th Ed.,Grennaro,A.,Ed.,1995(参照により組み込まれる)に見出され得る。
【0218】
本明細書で使用される「薬学的に許容され得る担体」又は「賦形剤」は、生理学的に適合性である任意の及び全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤を含む。一実施形態では、担体は、非経口投与に適している。或いは、担体は、静脈内、腹腔内、筋肉内、又は舌下投与に適している場合がある。薬学的に許容され得る担体は、滅菌水溶液又は分散液、及び滅菌注射溶液又は分散液の即時調製のための滅菌粉末を含む。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体及び薬剤の使用は、当業界では周知である。任意の従来の媒体又は薬剤が活性化合物と不適合である場合を除いて、本発明の医薬組成物におけるそれらの使用が意図される。補助活性化合物も組成物に組み込むことができる。
【0219】
医薬組成物は、典型的には、製造及び貯蔵の条件下で無菌且つ安定でなければならない。本発明は、医薬組成物が凍結乾燥形態で存在することを意図する。この組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、又は高薬物濃度に適切な他の秩序構造として処方され得る。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール)、及びそれらの適切な混合物を含む溶媒又は分散媒体であり得る。本発明は、更に、医薬組成物中に安定剤を含有することを意図する。適切な流動性は、例えば、分散液の場合には、必要とされる粒径を維持することによって、及び界面活性剤を使用することによって維持することができる。
【0220】
多くの場合、等張剤、例えば糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、又は塩化ナトリウムを組成物中に含めることが好ましいであろう。注射可能な組成物の延長された吸収は、組成物中に、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸塩及びゼラチンを含めることによってもたらされ得る。更に、アルカリ性ポリペプチドを、例えば、徐放性ポリマーを含む組成物中で、時間放出製剤に処方することができる。活性化合物は、インプラント及びマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤などの、化合物を急速放出から保護する担体を用いて調製することができる。エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、及びポリ乳酸、ポリグリコール酸コポリマー(PLG)などの生分解性の生体適合性ポリマーを用いることができる。このような製剤の調製のための多くの方法は、当業者に公知である。
【0221】
例示的な組成物は、水溶液中のAb6、ヒスチジンなどの賦形剤、ソルビトールなどの等張剤、及びポリソルベート80などの界面活性剤を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる。例えば、組成物は、約5.8のpHを有する、ヒスチジン(L-ヒスチジン)、ソルビトール、ポリソルベート80、例えば1mL容量当たり、約100mgAb6、約3.1mg L-ヒスチジン、約40.5mgソルビトール、及び約0.15mgポリソルベート80、又はほぼその構成、例えば、これらの値の10%以内、これらの値の5%以内、これらの値の1%以内、これらの値の0.5%以内、又はこれらの値の0.1%、並びに水を含み、又はそれらから本質的になり、又はそれらからなり得る。例えば、pH値は、5.8の10%以内、即ち、5.22~6.38であり得る。Ab6抗体は、各々、配列番号222及び配列番号202の可変軽鎖及び重鎖ポリペプチド、又は各々、配列番号221及び配列番号201の可変軽鎖及び重鎖ポリペプチド、又は各々、配列番号221及び配列番号566の可変軽鎖及び重鎖ポリペプチドを含み、又はそれからなる。組成物は、水溶液、又は、例えば水の添加によって再構成される場合に、前述の構成を生じる濃縮物(例えば、凍結乾燥)の形態であってもよい。例示的な組成物は、1mL当たり100mgの、各々、配列番号221及び配列番号201の軽鎖及び重鎖ポリペプチド、約3.1mgのL-ヒスチジン、約40.5mgのソルビトール、及び約0.15mgのポリソルベート80、並びに水Q.S、又はほぼその構成、例えば、これらの量の10%以内、これらの量の5%、これらの量の1%以内、これらの量の0.5%以内、又はこれらの量の0.1%以内からなる。別の例示的な組成物は、1mL当たり100mgの、各々、配列番号221及び配列番号566の軽鎖及び重鎖ポリペプチド、約3.1mgのL-ヒスチジン、約40.5mgのソルビトール、及び約0.15mgのポリソルベート80、並びに水Q.S、又はほぼその構成、例えば、これらの量の10%以内、これらの量の5%、これらの量の1%以内、これらの量の0.5%以内、又はこれらの量の0.1%以内からなる。組成物は、静脈内又は皮下投与、好ましくは、静脈内投与に適していている場合がある。例えば、組成物は、100mLの静脈内溶液に添加された約100mg~約300mgの抗体の量で、静脈内溶液(例えば0.9%塩化ナトリウム)と混合するのに適している場合がある。好ましくは、組成物は、少なくとも1、3、6、12、18、又は24ヵ月間貯蔵安定であり得、例えば、室温での貯蔵後、又は特定の期間4℃で冷蔵された場合、又はその期間の貯蔵をシミュレートする加速劣化試験において、抗体又は断片の5%以下又は10%以下の凝集体の形成を示す。
【0222】
列挙された実施形態の各々について、化合物は、多様な剤形によって投与することができる。当業者に公知の任意の生物学的に許容され得る剤形、及びそれらの組み合わせが意図される。このような剤形の例としては、再構成可能な粉末、エリキシル剤、液剤、懸濁剤、エマルジョン、粉末、顆粒、粒子、微粒子、分散性顆粒、カシェ剤、吸入剤、エアロゾル吸入剤、パッチ、粒子吸入剤、インプラント、デポーインプラント、注射剤(皮下、筋肉内、静脈内、及び皮内、好ましくは、静脈内を含む)、注入、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0223】
本発明の様々な例示された実施形態の上記の記載は、網羅的であること、又は本発明を開示された厳密な形態に限定することを意図していない。例示を目的として、本発明の特定の実施形態及び例が本明細書に記載されているが、当業者が認識するように、本発明の範囲内で様々な同等の変形が可能である。本明細書で提供される本発明の教示は、上述の例以外の他の目的に適用することができる。
【0224】
上記の詳細な説明に照らして、本発明にこれら及び他の変更を加えることができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、本明細書及び特許請求の範囲に開示される特定の実施形態に本発明を限定するように解釈されるべきではない。したがって、本発明は、本開示によって限定されず、代わりに、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって完全に決定されるべきである。
【0225】
本発明は、前述の記載及び例に特に記載された方法以外の方法で実施されてもよい。上記の教示に照らして、本発明の多数の修正及び変形が可能であり、したがって、これらは添付の特許請求の範囲内にある。
【0226】
特定のCGRP抗体ポリヌクレオチド及びポリペプチドは、この特許出願に付随する配列表に開示され、前記配列表の開示は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0227】
「背景技術」、「発明を実施するための形態」、及び「実施例」において引用された各文献(特許、特許出願、雑誌論文、要約、マニュアル、書籍、又は他の開示を含む)の開示全体は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0228】
以下の実施例は、本発明をどのように作製及び使用するかの完全な開示及び説明を当業者に提供するために記載され、本発明とみなされるものの範囲を限定することを意図しない。使用される数(例えば、量、温度、濃度など)に関して正確さを保証するための努力がなされてきたが、いくらかの実験誤差及び偏差が許容されるべきである。特に断らない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧又はその近傍である。
【0229】
追加の例示的な実施形態
本発明の追加の例示的な実施形態は、以下の通りである。
【0230】
S1.片頭痛患者に抗CGRP抗体を投与することを含む、片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)を治療するための医薬の製造のための抗CGRP抗体の使用。
【0231】
S2.片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)を治療するための医薬の製造のための抗CGRP抗体の使用であって、この使用は片頭痛患者に抗CGRP抗体を投与することを含み、前記片頭痛患者は慢性片頭痛に罹患している、使用。
【0232】
S3.片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)を治療するための医薬の製造のための抗CGRP抗体の使用であって、この使用は片頭痛患者に抗CGRP抗体を投与することを含み、前記患者は反復性片頭痛に罹患している、使用。
【0233】
S4.患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、投与若しくは注入の完了後1~12時間で、例えば投与若しくは注入の完了後1~5時間で、投与若しくは注入の完了後1~2時間で、又は投与若しくは注入の完了後約2時間で改善される、実施形態S1~S3のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0234】
S5.患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から1ヵ月以内に改善される、実施形態S1~S4のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0235】
S6.患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から3ヵ月以内に改善される、実施形態S1~S5のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0236】
S7.患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から6ヵ月以内に改善される、実施形態S1~S6のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0237】
S8.改善は前記抗CGRP抗体の第1の投与から少なくとも3ヵ月間持続する、実施形態S1~S7のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0238】
S9.改善は前記抗CGRP抗体の第1の投与から少なくとも6ヵ月間持続する、実施形態S1~S8のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0239】
S10.MBSは、光に対する過敏(羞明)、悪心/嘔吐、頭痛、音に対する過敏(音声恐怖)、前兆、活動に伴う疼痛、疼痛、拍動/脈動、認知の混乱、疲労、気分変動、匂いに対する過敏(臭気恐怖(osmophobia又はolfactophobia))、視覚影響、圧迫/緊張、疼痛(解剖学的)、眼痛、頚部痛、めまい、異痛症、不活動、感覚障害、睡眠障害及び言語障害からなる群から選択される、実施形態S1~S9のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0240】
S11.MBSは、光に対する過敏(羞明)、悪心/嘔吐、頭痛、音に対する過敏(音声恐怖)、活動に伴う疼痛、疼痛、拍動/脈動、認知の混乱、疲労、気分変動及び匂いに対する過敏(臭気恐怖(osmophobia又はolfactophobia))からなる群から選択される、実施形態S1~S10のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0241】
S12.片頭痛患者に抗CGRP抗体を投与することを含む、片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)を改善するための医薬の製造のための抗CGRP抗体の使用。
【0242】
S13.片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)を改善するための医薬の製造のための抗CGRP抗体の使用であって、この使用は片頭痛患者に抗CGRP抗体を投与することを含み、前記片頭痛患者は慢性片頭痛に罹患している、使用。
【0243】
S14.片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)を改善するための医薬の製造のための抗CGRP抗体の使用であって、この使用は片頭痛患者に抗CGRP抗体を投与することを含み、前記患者は反復性片頭痛に罹患している、使用。
【0244】
S15.前記医薬の投与は、片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)を、前記抗CGRP抗体の第1の投与から1ヵ月以内に改善する、実施形態S12~S14のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0245】
S16.前記医薬の投与は、片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)を、前記抗CGRP抗体の第1の投与から3ヵ月以内に改善する、実施形態S12~S14のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0246】
S17.前記医薬の投与は、片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)を、前記抗CGRP抗体の第1の投与から6ヵ月以内に改善する、実施形態S12~S14のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0247】
S18.前記医薬の投与は、片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)を改善し、この改善は前記抗CGRP抗体の第1の投与から少なくとも3ヵ月間持続する、実施形態S12~S17のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0248】
S19.前記医薬の投与は、片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)を改善し、この改善は前記抗CGRP抗体の第1の投与から少なくとも6ヵ月間持続する、実施形態S12~S18のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0249】
S20.前記医薬は静脈内又は皮下注入用である、実施形態S1~S19のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0250】
S21.前記医薬は静脈内注入用である、実施形態S1~S20のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0251】
S22.前記患者は、投与又は注入の完了から2時間後に頭痛がない、実施形態S1~S21のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0252】
S23.前記抗CGRP抗体はAb6を含む、実施形態S1~S22のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0253】
S24.前記抗CGRP抗体は、各々配列番号224;配列番号226;及び配列番号228の軽鎖相補性決定領域(CDR)1、2、及び3ポリペプチド配列を含む、実施形態S1~S23のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0254】
S25.前記抗CGRP抗体は、各々配列番号234;配列番号236;及び配列番号238によってコードされる軽鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列を含む、実施形態S1~S24のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0255】
S26.前記抗CGRP抗体は、各々配列番号204;配列番号206;及び配列番号208の重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列を含む、実施形態S1~S25のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0256】
S27.前記抗CGRP抗体は、各々配列番号214;配列番号216;及び配列番号218によってコードされる重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列を含む、実施形態S1~S26のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0257】
S28.前記抗CGRP抗体は、各々配列番号224;配列番号226;及び配列番号228の軽鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列と、各々配列番号204;配列番号206;及び配列番号208の重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列とを含む、実施形態S1~S27のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0258】
S29.前記抗CGRP抗体は、各々配列番号234;配列番号236;及び配列番号238によってコードされる軽鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列と、各々配列番号214;配列番号216;及び配列番号218によってコードされる重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列とを含む、実施形態S1~S28のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0259】
S30.前記抗CGRP抗体は、配列番号222の可変軽鎖ポリペプチドを含む、実施形態S1~S29のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0260】
S31.前記抗CGRP抗体は、配列番号232によってコードされる可変軽鎖ポリペプチドを含む、実施形態S1~S30のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0261】
S32.前記抗CGRP抗体は、配列番号202の可変重鎖ポリペプチドを含む、実施形態S1~S31のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0262】
S33.前記抗CGRP抗体は、配列番号212によってコードされる可変重鎖ポリペプチドを含む、実施形態S1~S32のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0263】
S34.前記抗CGRP抗体は、配列番号222の可変軽鎖ポリペプチドと、配列番号202の可変重鎖ポリペプチドとを含む、実施形態S1~S33のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0264】
S35.前記抗CGRP抗体は、配列番号232によってコードされる可変軽鎖ポリペプチドと、配列番号212によってコードされる可変重鎖ポリペプチドとを含む、実施形態S1~S34のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0265】
S36.前記抗CGRP抗体は、配列番号221の軽鎖ポリペプチドを含む、実施形態S1~S35のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0266】
S37.前記抗CGRP抗体は、配列番号231によってコードされる軽鎖ポリペプチドを含む、実施形態S1~S36のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0267】
S38.前記抗CGRP抗体は、配列番号201又は配列番号566の重鎖ポリペプチドを含む、実施形態S1~S37のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0268】
S39.前記抗CGRP抗体は、配列番号211又は配列番号567によってコードされる重鎖ポリペプチドを含む、実施形態S1~S38のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0269】
S40.前記抗CGRP抗体は、配列番号221の軽鎖ポリペプチドと、配列番号201又は配列番号566の重鎖ポリペプチドとを含む、実施形態S1~S39のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0270】
S41.前記抗CGRP抗体は、配列番号231によってコードされる軽鎖ポリペプチドと、配列番号211又は配列番号567によってコードされる重鎖ポリペプチドとを含む、実施形態S1~S40のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0271】
S42.前記抗CGRP抗体の投与量は、約100mg~約300mgであり、又は約100mgであり、又は約300mgである、実施形態S1~S41のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0272】
S43.前記抗CGRP抗体の投与量は、100mgである、実施形態S1~S42のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0273】
S44.前記医薬は、10~14週毎、好ましくは11~13週毎、より好ましくは12週毎の、100mgの前記抗CGRP抗体の投与量の静脈内投与用である、実施形態S1~S43のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0274】
S45.前記医薬は、10~14週毎、好ましくは11~13週毎、より好ましくは12週毎の、300mgの前記抗CGRP抗体の投与量の静脈内投与用である、実施形態S1~S42のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0275】
S46.前記医薬の投与前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり1~10回の片頭痛発作を示す、実施形態S1~S45のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0276】
S47.前記医薬の投与前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり2~8回の片頭痛発作を示す、実施形態S1~S46のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0277】
S48.前記医薬の投与前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり3~7回の片頭痛発作を示す、実施形態S1~S47のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0278】
S49.前記医薬の投与前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり25日未満の頭痛日数を示す、実施形態S1~S48のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0279】
S50.前記医薬の投与前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり20日未満の頭痛日数を示す、実施形態S1~S49のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0280】
S51.前記医薬の投与前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり15未満の頭痛日数を示す、実施形態S1~S50のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0281】
S52.前記医薬の投与前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり10未満の頭痛日数を示す、実施形態S1~S51のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0282】
S53.前記患者が、前記医薬の投与の少なくとも10年前に片頭痛と診断された、実施形態S1~S52のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0283】
S54.前記患者が、前記医薬の投与の少なくとも15年前に片頭痛と診断された、実施形態S1~S53のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0284】
S55.前記患者が、前記医薬の投与の少なくとも18又は少なくとも19年前に片頭痛と診断された、実施形態S1~S54のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0285】
S56.前記患者は、前記医薬の投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の少なくとも50%の減少を更に有する、実施形態S1~S55のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0286】
S57.前記患者は、前記医薬の投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の少なくとも75%の減少を更に有する、実施形態S1~S56のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0287】
S58.前記患者は、前記医薬の投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の100%の減少を更に有する、実施形態S1~S57のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0288】
S59.前記患者は、前記医薬の投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の12週間で、片頭痛日数の少なくとも50%の減少を更に有する、実施形態S1~S58のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0289】
S60.前記患者は、前記医薬の投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の12週間で、片頭痛日数の少なくとも75%の減少を更に有する、実施形態S1~S59のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0290】
S61.前記患者は、前記医薬の投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の12週間で、片頭痛日数の100%の減少を更に有する、実施形態S1~S60のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0291】
S62.前記医薬は更に、前記医薬の投与後約10~14週間、好ましくは11~13週間、より好ましくは約12週間又は約3ヵ月の前記抗CGRP抗体の第2の用量での投与用である、実施形態S1~S61のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0292】
S63.前記医薬は、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、又は約300mgの前記抗CGRP抗体を含む、実施形態S1~S62のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0293】
S64.前記抗CGRP抗体は、非グリコシル化され、又はグリコシル化されている場合、マンノース残基のみを含むのみである、実施形態S1~S63のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0294】
S65.前記抗CGRP抗体は、配列番号221によってコードされる軽鎖ポリペプチドと、配列番号201又は配列番号566によってコードされる重鎖ポリペプチドとからなる、実施形態S1~S64のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0295】
S66.前記抗CGRP抗体は、配列番号231によってコードされる軽鎖ポリペプチドと、配列番号211又は配列番号567によってコードされる重鎖ポリペプチドとからなる、実施形態S1~S65のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0296】
S67.前記頭痛又は前記片頭痛は、International Classification of Headache Disordersの第3版に従って診断される、実施形態S1~S56のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0297】
S68.前記抗CGRP抗体は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)中で発現され、又はピキア・パストリス(Pichia pastoris)によって得られる、実施形態S1~S67のいずれか1つのいずれかに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0298】
S69.前記抗CGRP抗体は、CHO細胞中で発現され、又はCHO細胞よって得られる、実施形態S1~S67のいずれか1つのいずれかに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0299】
S70.前記抗CGRP抗体又は抗CGRP抗体断片は、ヒスチジン(L-ヒスチジン)、ソルビトール、ポリソルベート80、及び水を含む、又はそれらからなる製剤中に含まれる、実施形態S1~S69のいずれか1つに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0300】
S71.前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-10%以内の各成分の量を有し、5.8のpHを有し、又は前記値の+/-10%以内の量を有する、実施形態S70に記載の抗CGRP抗体の使用。
【0301】
S72.前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-5%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-5%以内の量を有する、実施形態S70に記載の抗CGRP抗体の使用。
【0302】
S73.前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-1%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-1%以内の量を有する、実施形態S70に記載の抗CGRP抗体の使用。
【0303】
S74.前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-0.5%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-0.5%以内の量を有する、実施形態S70に記載の抗CGRP抗体の使用。
【0304】
S75.前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-0.1%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-0.1%以内の量を有する、実施形態S70に記載の抗CGRP抗体の使用。
【0305】
S76.抗CGRP抗体は、10pM以下、例えば2~8pM、例えば3~6pM、例えば約5pM以下の解離定数を有する、実施形態S1~S75のいずれか1つのいずれかに記載の抗CGRP抗体の使用。
【0306】
更なる例示的な実施形態
本発明の更なる例示的な実施形態は、以下の通りである。
【0307】
E1.片頭痛に罹患している患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)の治療における使用のための抗CGRP抗体。
【0308】
E2.患者は慢性片頭痛に罹患している、実施形態E1に記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0309】
E3.患者は反復性片頭痛に罹患している、実施形態E1に記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0310】
E4.患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、投与若しくは注入の完了後1~12時間で、例えば投与若しくは注入の完了後1~5時間で、投与若しくは注入の完了後1~2時間で、又は投与若しくは注入の完了後約2時間で改善される、実施形態E1~E3のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0311】
E5.患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から1ヵ月以内に改善される、実施形態E1~E4のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0312】
E6.患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から3ヵ月以内に改善される、実施形態E1~E5のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0313】
E7.患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から6ヵ月以内に改善される、実施形態E1~E6のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0314】
E8.改善は前記抗CGRP抗体の第1の投与から少なくとも3ヵ月間持続する、実施形態E1~E7のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0315】
E9.改善は前記抗CGRP抗体の第1の投与から少なくとも6ヵ月間持続する、実施形態E1~E8のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0316】
E10.MBSは、光に対する過敏(羞明)、悪心/嘔吐、頭痛、音に対する過敏(音声恐怖)、前兆、活動に伴う疼痛、疼痛、拍動/脈動、認知の混乱、疲労、気分変動、匂いに対する過敏(臭気恐怖(osmophobia又はolfactophobia))、視覚影響、圧迫/緊張、疼痛(解剖学的)、眼痛、頚部痛、めまい、異痛症、不活動、感覚障害、睡眠障害及び言語障害からなる群から選択される、実施形態E1~E9のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0317】
E11.MBSは、光に対する過敏(羞明)、悪心/嘔吐、頭痛、音に対する過敏(音声恐怖)、前兆、活動に伴う疼痛、疼痛、拍動/脈動、認知の混乱、疲労、気分変動及び匂いに対する過敏(臭気恐怖(osmophobia又はolfactophobia))からなる群から選択される、実施形態E1~E10のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0318】
E12.片頭痛に罹患している患者における、片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)の改善における使用のための抗CGRP抗体。
【0319】
E13.患者は慢性片頭痛に罹患している、実施形態E12に記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0320】
E14.患者は反復性片頭痛に罹患している、実施形態E12に記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0321】
E15.片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)の改善は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から1ヵ月以内に認められる、実施形態E12~E14のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0322】
E16.片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)の改善は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から3ヵ月以内に認められる、実施形態E12~E14のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0323】
E17.片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)の改善は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から6ヵ月以内に認められる、実施形態E12~E14のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0324】
E18.片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)の改善は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から3ヵ月間持続する、実施形態E12~E17のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0325】
E19.片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)の改善は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から6ヵ月間持続する、実施形態E12~E18のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0326】
E20.前記抗CGRP抗体は、静脈内又は皮下注入用である、実施形態E1~E19に記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0327】
E21.前記抗CGRP抗体は静脈内注入用である、実施形態E1~E20のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0328】
E22.前記患者は、投与又は注入の完了から2時間後に頭痛がない、実施形態E1~E21のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0329】
E23.前記抗CGRP抗体はAb6を含む、実施形態E1~E22のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0330】
E24.前記抗CGRP抗体は、各々配列番号224;配列番号226;及び配列番号228の軽鎖相補性決定領域(CDR)1、2、及び3ポリペプチド配列を含む、実施形態E1~E23のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0331】
E25.前記抗CGRP抗体は、各々配列番号234;配列番号236;及び配列番号238によってコードされる軽鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列を含む、実施形態E1~E24のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0332】
E26.前記抗CGRP抗体は、各々配列番号204;配列番号206;及び配列番号208の重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列を含む、実施形態E1~E25のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0333】
E27.前記抗CGRP抗体は、各々配列番号214;配列番号216;及び配列番号218によってコードされる重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列を含む、実施形態E1~E26のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0334】
E28.前記抗CGRP抗体は、各々配列番号224;配列番号226;及び配列番号228の軽鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列と、各々配列番号204;配列番号206;及び配列番号208の重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列とを含む、実施形態E1~E27のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0335】
E29.前記抗CGRP抗体は、各々配列番号234;配列番号236;及び配列番号238によってコードされる軽鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列と、各々配列番号214;配列番号216;及び配列番号218によってコードされる重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列とを含む、実施形態E1~E28のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0336】
E30.前記抗CGRP抗体は、配列番号222の可変軽鎖ポリペプチドを含む、実施形態E1~E29のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0337】
E31.前記抗CGRP抗体は、配列番号232によってコードされる可変軽鎖ポリペプチドを含む、実施形態E1~E30のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0338】
E32.前記抗CGRP抗体は、配列番号202の可変重鎖ポリペプチドを含む、実施形態E1~E31のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0339】
E33.前記抗CGRP抗体は、配列番号212によってコードされる可変重鎖ポリペプチドを含む、実施形態E1~E32のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0340】
E34.前記抗CGRP抗体は、配列番号222の可変軽鎖ポリペプチドと、配列番号202の可変重鎖ポリペプチドとを含む、実施形態E1~E33のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0341】
E35.前記抗CGRP抗体は、配列番号232によってコードされる可変軽鎖ポリペプチドと、配列番号212によってコードされる可変重鎖ポリペプチドとを含む、実施形態E1~E34のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0342】
E36.前記抗CGRP抗体は、配列番号221の軽鎖ポリペプチドを含む、実施形態E1~E35のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0343】
E37.前記抗CGRP抗体は、配列番号231によってコードされる軽鎖ポリペプチドを含む、実施形態E1~E36のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0344】
E38.前記抗CGRP抗体は、配列番号201又は配列番号566の重鎖ポリペプチドを含む、実施形態E1~E37のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0345】
E39.前記抗CGRP抗体は、配列番号211又は配列番号567によってコードされる重鎖ポリペプチドを含む、実施形態E1~E38のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0346】
E40.前記抗CGRP抗体は、配列番号221の軽鎖ポリペプチドと、配列番号201又は配列番号566の重鎖ポリペプチドとを含む、実施形態E1~E39のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0347】
E41.前記抗CGRP抗体は、配列番号231によってコードされる軽鎖ポリペプチドと、配列番号211又は配列番号567によってコードされる重鎖ポリペプチドとを含む、実施形態E1~E40のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0348】
E42.前記抗CGRP抗体の投与量は、約100mg~約300mgであり、又は約100mgであり、又は約300mgである、実施形態E1~E41のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0349】
E43.前記抗CGRP抗体の投与量は100mgである、実施形態E1~E42のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0350】
E44.前記抗CGRP抗体は、10~14週毎、好ましくは11~13週毎、より好ましくは12週毎の、100mgの前記抗CGRP抗体の投与量の静脈内投与用である、実施形態E1~E43のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0351】
E45.前記抗CGRP抗体は、10~14週毎、好ましくは11~13週毎、より好ましくは12週毎に、300mgの前記抗CGRP抗体を投与する投与量の静脈内投与用である、実施形態E1~E44のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0352】
E46.前記抗CGRP抗体の投与前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり1~10回の片頭痛発作を示す、実施形態E1~E45のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0353】
E47.前記抗CGRP抗体の投与前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり2~8回の片頭痛発作を示す、実施形態E1~E46のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0354】
E48.前記抗CGRP抗体の投与前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり3~7回の片頭痛発作を示す、実施形態E1~E47のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0355】
E49.前記抗CGRP抗体の投与前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり25日未満の頭痛日数を示す、実施形態E1~E48のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0356】
E50.前記抗CGRP抗体の投与前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり20日未満の頭痛日数を示す、実施形態E1~E49のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0357】
E51.前記抗CGRP抗体の投与前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり15日未満の頭痛日数を示す、実施形態E1~E50のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0358】
E52.前記抗CGRP抗体の投与前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり10未満の頭痛日数を示す、実施形態E1~E51のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0359】
E53.前記患者が、前記抗CGRP抗体の投与の少なくとも10年前に片頭痛と診断された、実施形態E1~E52のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0360】
E54.前記患者が、前記抗CGRP抗体の投与の少なくとも15年前に片頭痛と診断された、実施形態E1~E53のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0361】
E55.前記患者が、前記抗CGRP抗体の投与の少なくとも18又は少なくとも19年前に片頭痛と診断された、実施形態E1~E54のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0362】
E56.前記患者は、前記抗CGRP抗体の投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の少なくとも50%の減少を有する、実施形態E1~E55のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0363】
E57.前記患者は、前記抗CGRP抗体の投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の少なくとも75%の減少を有する、実施形態E1~E56のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0364】
E58.前記患者は、前記抗CGRP抗体の投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数100%の減少を有する、実施形態E1~E57のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0365】
E59.前記患者は、前記抗CGRP抗体の投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の12週間で、片頭痛日数の少なくとも50%の減少を有する、実施形態E1~E58のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0366】
E60.前記患者は、前記抗CGRP抗体の投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の12週間で、片頭痛日数の少なくとも75%の減少を有する、実施形態E1~E59のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0367】
E61.前記患者は、前記抗CGRP抗体の投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の12週間で、片頭痛日数の100%の減少を有する、実施形態E1~E60のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0368】
E62.前記使用は、前記抗CGRP抗体の投与の約10~14週間後、好ましくは11~13週間後、より好ましくは約12週間後又は約3ヵ月後に前記患者に前記抗CGRP抗体の第2の用量を投与することを含む、実施形態E1~E61のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0369】
E63.前記使用は、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、又は約300mgの前記抗CGRP抗体を投与することを含む、実施形態E1~E62のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0370】
E64.前記抗CGRP抗体は、非グリコシル化され、又はグリコシル化されている場合、マンノース残基のみを含むのみである、実施形態E1~E63のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0371】
E65.前記抗CGRP抗体は、配列番号221の軽鎖ポリペプチドと、配列番号201又は配列番号566の重鎖ポリペプチドとからなる、実施形態E1~E64のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0372】
E66.前記抗CGRP抗体は、配列番号231によってコードされる軽鎖ポリペプチドと、配列番号211又は配列番号567によってコードされる重鎖ポリペプチドとからなる、実施形態E1~E65のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0373】
E67.前記頭痛又は前記片頭痛は、International Classification of Headache Disordersの第3版に従って診断される、実施形態E1~E66のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0374】
E68.前記抗CGRP抗体は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)中で発現され、又はピキア・パストリス(Pichia pastoris)によって得られる、実施形態E1~E67のいずれか1つのいずれかに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0375】
E69.前記抗CGRP抗体は、CHO細胞中で発現され、又はCHO細胞よって得られる、実施形態E1~E68のいずれか1つのいずれかに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0376】
E70.前記抗CGRP抗体又は抗CGRP抗体断片は、ヒスチジン(L-ヒスチジン)、ソルビトール、ポリソルベート80、及び水を含む、又はそれらからなる製剤中に含まれる、実施形態E1~E69のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0377】
E71.前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-10%以内の各成分の量を有し、5.8のpHを有し、又は前記値の+/-10%以内の量を有する、実施形態E70に記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0378】
E72.前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-5%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-5%以内の量を有する、実施形態E70に記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0379】
E73.前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-1%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-1%以内の量を有する、実施形態E70に記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0380】
E74.前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-0.5%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-0.5%以内の量を有する、実施形態E70に記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0381】
E75.前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-0.1%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-0.1%以内の量を有する、実施形態E70に記載の使用のための抗CGRP抗体。
【0382】
E76.抗CGRP抗体は、10pM以下、例えば2~8pM、例えば3~6pM、例えば約5pM以下の解離定数を有する、実施形態E1~E75のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。
【実施例
【0383】
以下の実施例は、本発明を例示するために提供されるが、決して特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0384】
実施例1
CGRPに結合する抗体の調製
図1~12の配列を有する例示的な抗CGRP抗体Ab6の調製は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、2012年11月29に公開された共同所有のPCT出願国際公開第2012/162243号パンフレットに開示されている。この出願は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)細胞におけるこれらの抗体の合成を例示する。本出願は更に、特にCHO細胞中での抗CGRP抗体、Ab6の合成を意図する。
【0385】
実施例2
慢性片頭痛患者における抗CGRP抗体の安全性及び有効性を評価するヒト臨床試験
この実施例では、慢性片頭痛予防のためのAb6の安全性及び有効性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験について記載する。本試験では、1,072患者を、12週毎に1回、注入により投与される、Ab6(300mg又は100mg)、又はプラセボを受けるように無作為化した。試験デザインは図13に示されている。本試験に適格であるためには、患者は月当たり少なくとも15日の頭痛を経験し、そのうち少なくとも8日が片頭痛の基準を満たしていなければならない。試験に参加した患者は、ベースライン時に、平均で月当たり16.1日の片頭痛日数を有した。本試験の主要エンドポイントは、Ab6の第1の注入後の1~12週目にわたる、平均の毎月の片頭痛日数(MMD)のベースラインからの変化とした。12週目の第2の注入後の平均の毎月の片頭痛日数(MMD)のベースラインからの変化も評価した。結果が図14に示されている。
【0386】
試験エンドポイントには、定義済みの主要副次的エンドポイントの一部として、患者が特定したMBSを更に含めた。スクリーニング時に、患者は自分の片頭痛に関連するMBSを言葉で特定し、それはこの分析の各治療群においてプールされた。次に、これらの症状のベースラインからの変化は、0日目から始まって、試験の各月に患者によって査定された。
【0387】
本試験において、患者は、スクリーニング時に、自分の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)を言葉で特定した。患者の片頭痛に関連するMBSは、次に、試験責任医師によって、定義済みの8症状のリスト又は「その他」の選択肢に分類された。定義済みのリストには、悪心、嘔吐、光に対する過敏、音に対する過敏、意識混濁、疲労、活動に伴う疼痛、及び気分変動という用語が含まれていた。「その他」の選択肢は、患者が最も煩わしいと説明するが、作業研究チェックリストに含まれる症状のチェックリストには容易に当てはまらない任意の片頭痛に関する症状を、制限なく特定する機会を試験責任医師らにもたらした。自分のMBSについて「その他」のカテゴリーを選択した患者については、その患者が「記入した」回答を事後に記録し、定義済みのリストに、又は新たな症状の種類に再分類した。その後の来院時に、患者に、自分が自己申告したMBSについてスクリーニング来院からの変化を以下に示される7段階尺度で査定するように求めた。
【0388】
【表1】
【0389】
MBSに加えて、患者にはまた、変化についての患者の全般印象度(PGIC)(これは、試験の開始からの疾患の状態の全体的な変化についての患者自身の印象を評価する単一の質問を含むパラメーターである)に関しても、治療の有効性を評価するように依頼した。このパラメーターもまた、上に示したMBSの変化を評価するために使用したものと同一の7段階尺度で、試験中の同じ時点で、患者に査定してもらった。図16~22において、「悪化」のカテゴリーには、「最小限悪化」、「大幅に悪化」、及び「極めて大幅に悪化」が含まれる。
【0390】
スクリーニング来院時、患者は自分のMBSとして広範な症状を示し、「その他」のカテゴリーが最も多い回答であった(3治療群にわたり40%~42%)。「その他」のカテゴリーを選択した患者は概して、より詳細な情報を提供し、及び/又は自分のMBSとして1つより多い症状を有し、これにより、これらの症状は記録されることになった。MBSの総合的なリストが下の表1にまとめられている。
【0391】
【表2】
【0392】
最もよく報告された症状は、光過敏、悪心/嘔吐、活動に伴う疼痛、疼痛、頭痛、音過敏、拍動/脈動、認知の混乱、疲労、気分変動、及び匂いに対する過敏であり、各カテゴリーには、これらのイベントを自分のMBSとして報告した患者が少なくとも10名いた。28日間のスクリーニング期間の終わりに(即ち、ベースライン来院時の投与の前)、患者に、自分の特定したMBSの変化を極めて大幅に悪化から極めて大幅に改善までで査定するように求め、>90%が自分のMBSについて変化なしと報告した。これは図16に示されている。このことは、慢性片頭痛を有するこのコホートにおいて、スクリーニング期間中、患者が特定したMBSの煩わしさはほとんど変動していないことを示唆する。
【0393】
100mg及び300mgの用量でAb6を注入すると、試験の1~3ヵ月にわたって平均MMDが有意に減少し、試験の12週目の追加の注入後に更に減少した。この効果は図14に示されている。
【0394】
MBSに対するAb6の有効性は、100mg及び300mgの用量でのAb6の第1の注入後、1ヵ月(図17)、3ヵ月(図19)、及び6ヵ月(図21)で実証された。PGICに対するAb6の有効性は、100mg及び300mgの用量でのAb6の第1の注入後、1ヵ月(図18)、3ヵ月(図20)、及び6ヵ月(図22)で実証された。これらのパラメーターに対する有効性は、Ab6の2回用量を通して6ヵ月にわたって持続し、又は上昇した。1ヵ月目に、Ab6で治療した患者の75~82%が、プラセボで治療した患者の56~59%と比較して、あるレベルの改善を示した。3ヵ月目に、改善の評価は1ヵ月目の評価と類似していた。6ヵ月目に、Ab6で治療した患者の約80%が、MBS及びPGICにおいて1以上のカテゴリーレベルの改善を示した。MBSの改善及びPGICについての評価の分布は各時点において類似しており、慢性片頭痛を有する患者において同様に評価された2つの尺度は平行に移動することを示唆していた。これらのデータは、患者が特定した片頭痛に関する最も煩わしい症状の改善は、慢性片頭痛を有する患者における疾患の状態の改善についての患者の知覚に高く相関することを示唆する。
【0395】
投与した抗体であるAb6は、配列番号221の軽鎖ポリペプチドと、配列番号201の重鎖ポリペプチドとからなる抗CGRP抗体である。
【0396】
患者の特徴を以下の表2にまとめ、プラセボ、100mgの抗体、又は300mgの抗体を受けている患者について別々の列を有する。患者の片頭痛診断からの平均年数は17.0~19.0年、慢性片頭痛を患っている平均期間は11.5~12.4年であり、患者の44.3~45.2%が少なくとも1つの予防薬を利用していた。加えて、慢性片頭痛と、オピオイド及びブタルビタール過剰を除く薬物過剰使用との重複診断を有する患者を本試験に含めた。ベースライン時に、両方の抗体治療群において、月当たり片頭痛日数の平均数は16.1日であり、プラセボ群では、月当たり片頭痛日数の平均数は16.2日であった。
【0397】
【表3】

図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【配列表】
2023531120000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-04-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の抗CGRP抗体を、必要とする患者に投与することを含む、片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)を改善する方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CGRP抗体を含む患者における片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)を改善するための医薬組成物
【請求項2】
(i)患者は慢性片頭痛に罹患している
(ii)患者は反復性片頭痛に罹患している
(iii)患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、投与若しくは注入の完了後1~12時間で、例えば投与若しくは注入の完了後1~5時間で、投与若しくは注入の完了後1~2時間で、又は投与若しくは注入の完了後約2時間で改善される
(iv)患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から1ヵ月以内に改善される
(v)患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から3ヵ月以内に改善される
(vi)患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から6ヵ月以内に改善される
(vii)改善は前記抗CGRP抗体の第1の投与から少なくとも3ヵ月間持続する
(viii)改善は前記抗CGRP抗体の第1の投与から少なくとも6ヵ月間持続する
(ix)MBSは、光に対する過敏(羞明)、悪心/嘔吐、頭痛、音に対する過敏(音声恐怖)、前兆、活動に伴う疼痛、疼痛、拍動/脈動、認知の混乱、疲労、気分変動、匂いに対する過敏(臭気恐怖(osmophobia又はolfactophobia))、視覚影響、圧迫/緊張、疼痛(解剖学的)、眼痛、頚部痛、めまい、異痛症、不活動、感覚障害、睡眠障害及び言語障害からなる群から選択される;又は
(x)MBSは、光に対する過敏(羞明)、悪心/嘔吐、頭痛、音に対する過敏(音声恐怖)、前兆、活動に伴う疼痛、疼痛、拍動/脈動、認知の混乱、疲労、気分変動及び匂いに対する過敏(臭気恐怖(osmophobia又はolfactophobia))からなる群から選択される請求項に記載の医薬組成物
【請求項3】
CGRP抗体を含み患者における片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)を改善するための医薬組成物
【請求項4】
(i)患者は慢性片頭痛に罹患している
(ii)患者は反復性片頭痛に罹患している
(iii)片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)の改善は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から1ヵ月以内に認められる
(iv)片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)の改善は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から3ヵ月以内に認められる
(v)片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)の改善は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から6ヵ月以内に認められる
(vi)改善は前記抗CGRP抗体の第1の投与から少なくとも3ヵ月間持続する;又は
(vii)改善は前記抗CGRP抗体の第1の投与から少なくとも6ヵ月間持続する、請求項に記載の医薬組成物
【請求項5】
(i)前記抗CGRP抗体の投与は、静脈内又は皮下注入などの注入によって行われる
(ii)前記抗CGRP抗体の投与は、静脈内注入によって行われる
(iii)前記患者は、投与又は注入の完了後2時間で、頭痛がない
(iv)前記抗CGRP抗体はAb6を含む
(v)前記抗CGRP抗体は、各々、配列番号224;配列番号226;及び配列番号228の軽鎖相補性決定領域(CDR)1、2、及び3ポリペプチド配列を含む
(vi)前記抗CGRP抗体は、各々配列番号234;配列番号236;及び配列番号238によってコードされる軽鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列を含む
(vii)前記抗CGRP抗体は、各々配列番号204;配列番号206;及び配列番号208の重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列を含む
(viii)前記抗CGRP抗体は、各々配列番号214;配列番号216;及び配列番号218によってコードされる重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列を含む
(ix)前記抗CGRP抗体は、各々配列番号224;配列番号226;及び配列番号228の軽鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列と、各々配列番号204;配列番号206;及び配列番号208の重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列とを含む
(x)前記抗CGRP抗体は、各々配列番号234;配列番号236;及び配列番号238によってコードされる軽鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列と、各々配列番号214;配列番号216;及び配列番号218によってコードされる重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列とを含む
(xi)前記抗CGRP抗体は、配列番号222の可変軽鎖ポリペプチドを含む
(xii)前記抗CGRP抗体は、配列番号232によってコードされる可変軽鎖ポリペプチドを含む
(xiii)前記抗CGRP抗体は、配列番号202の可変重鎖ポリペプチドを含む
(xiv)前記抗CGRP抗体は、配列番号212によってコードされる可変重鎖ポリペプチドを含む
(xv)前記抗CGRP抗体は、配列番号222の可変軽鎖ポリペプチドと、配列番号202の可変重鎖ポリペプチドとを含む
(xvi)前記抗CGRP抗体は、配列番号232によってコードされる可変軽鎖ポリペプチドと、配列番号212によってコードされる可変重鎖ポリペプチドとを含む
(xvii)前記抗CGRP抗体は、配列番号221の軽鎖ポリペプチドを含む
(xviii)前記抗CGRP抗体は、配列番号231によってコードされる軽鎖ポリペプチドを含む
(xix)前記抗CGRP抗体は、配列番号201又は配列番号566の重鎖ポリペプチドを含む
(xx)前記抗CGRP抗体は、配列番号211又は配列番号567によってコードされる重鎖ポリペプチドを含む
(xxi)前記抗CGRP抗体は、配列番号221の軽鎖ポリペプチドと、配列番号201又は配列番号566の重鎖ポリペプチドとを含む
(xxii)前記抗CGRP抗体は、配列番号231によってコードされる軽鎖ポリペプチドと、配列番号211又は配列番号567によってコードされる重鎖ポリペプチドとを含む
(xxiii)前記医薬組成物中の前記抗CGRP抗体量は、約100mg~約300mgであり、又は約100mgであり、又は約300mgである
(xxiv)前記医薬組成物中の前記抗CGRP抗体量は、100mgである
(xxv)前記医薬組成物が、100mgの前記抗CGRP抗体を10~14週間毎11~13週間毎、又は、12週間毎静脈内の使用のために含む
(xxvi)前記抗CGRP抗体の投与量は100mgである
(xxvii)前記医薬組成物が、300mgの前記抗CGRP抗体を10~14週間毎11~13週間毎、又は、12週間毎静脈内の使用のために含む
(xxviii)前記抗CGRP抗体の投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり1~10回の片頭痛発作を示す
(xxix)前記抗CGRP抗体の投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり2~8回の片頭痛発作を示す
(xxx)前記抗CGRP抗体の投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり3~7回の片頭痛発作を示す
(xxxi)前記抗CGRP抗体の投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり25日未満の頭痛日数を示す
(xxxii)前記抗CGRP抗体の投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり20日未満の頭痛日数を示す
(xxxiii)前記抗CGRP抗体の投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり15日未満の頭痛日数を示す
(xxxiv)前記抗CGRP抗体の投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり10日未満の頭痛日数を示す
(xxxv)前記患者は、前記抗CGRP抗体の投与の少なくとも10年前に片頭痛と診断された
(xxxvi)前記患者は、前記抗CGRP抗体の投与の少なくとも15年前に片頭痛と診断された
(xxxvii)前記患者は、前記抗CGRP抗体の投与の少なくとも18年前又は少なくとも19年前に片頭痛と診断された
(xxxviii)前記患者は、前記抗CGRP抗体の投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の少なくとも50%の減少を有する
(xxxix)前記患者は、前記抗CGRP抗体の投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の少なくとも75%の減少を有する
(xxxx)前記患者は、前記抗CGRP抗体の投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の100%の減少を有する
(xxxxi)前記患者は、前記抗CGRP抗体の投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の12週間で、片頭痛日数の少なくとも50%の減少を有する
(xxxxii)前記患者は、前記抗CGRP抗体の投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の12週間で、片頭痛日数の少なくとも75%の減少を有する
(xxxxiii)前記患者は、前記抗CGRP抗体の投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の12週間で、片頭痛日数の100%の減少を有する
(xxxxiv)前記最初の用量の後、約10~14週間、好ましくは、11~13週間、より好ましくは、約12週間又は約3ヵ月で、前記抗CGRP抗体の第2の用量投与される;
(xxxxv)前記医薬組成物は、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、又は約300mgの前記抗CGRP抗体含む
(xxxxvi)前記抗CGRP抗体は、非グリコシル化され、又はグリコシル化されている場合、マンノース残基のみを含むのみである
(xxxxvii)前記抗CGRP抗体は、配列番号221の軽鎖ポリペプチドと、配列番号201又は配列番号566の重鎖ポリペプチドとからなる
(xxxxviii)前記抗CGRP抗体は、配列番号231によってコードされる軽鎖ポリペプチドと、配列番号211又は配列番号567によってコードされる重鎖ポリペプチドとからなる
(xxxxix)前記頭痛又は前記片頭痛は、国際頭痛分類(International Classification of Headache Disorders)の第3版に従って診断される
(l)前記抗CGRP抗体は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)中で発現され、又はピキア・パストリス(Pichia pastoris)中の発現によって得られる
(li)前記抗CGRP抗体は、CHO細胞中で発現され、又はCHO細胞中の発現によって得られる
(lii)前記抗CGRP抗体又は抗CGRP抗体断片は、ヒスチジン(L-ヒスチジン)、ソルビトール、ポリソルベート80、及び水を含む、又はそれらからなる製剤中に含まれ、ここで、
任意選択で前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-10%以内の各成分の量を有し、及び5.8のpHを有し、又は前記値の+/-10%以内のpHを有する又は
任意選択で前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-5%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-5%以内のpHを有する又は
任意選択で前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-1%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-1%以内のpHを有する又は
任意選択で前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-0.5%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-0.5%以内のpHを有する又は
任意選択で前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-0.1%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-0.1%以内のpHを有する
(liii)前記抗CGRP抗体は、さらに任意選択で25℃又は37℃で行われる表面プラズモン共鳴法によって任意選択で測定した場合に、10pM以下、任意選択で2~8pM、任意選択で3~6pM、又は任意選択で約5pM以下の解離定数を有する;又は
(liv)前記医薬組成物が、前記患者におけるMBS及びPGICの両方を改善する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物

【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0382
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0382】
E76.抗CGRP抗体は、10pM以下、例えば2~8pM、例えば3~6pM、例えば約5pM以下の解離定数を有する、実施形態E1~E75のいずれか1つに記載の使用のための抗CGRP抗体。

本発明は以下の態様を含み得る。
[1]
有効量の抗CGRP抗体を、必要とする患者に投与することを含む、片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)を改善する方法。
[2]
患者は慢性片頭痛に罹患している、請求項1に記載の方法。
[3]
患者は反復性片頭痛に罹患している、請求項1に記載の方法。
[4]
患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、投与若しくは注入の完了後1~12時間で、例えば投与若しくは注入の完了後1~5時間で、投与若しくは注入の完了後1~2時間で、又は投与若しくは注入の完了後約2時間で改善される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[5]
患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から1ヵ月以内に改善される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[6]
患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から3ヵ月以内に改善される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[7]
患者の片頭痛に関連する最も煩わしい症状(MBS)は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から6ヵ月以内に改善される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[8]
改善は前記抗CGRP抗体の第1の投与から少なくとも3ヵ月間持続する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[9]
改善は前記抗CGRP抗体の第1の投与から少なくとも6ヵ月間持続する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[10]
MBSは、光に対する過敏(羞明)、悪心/嘔吐、頭痛、音に対する過敏(音声恐怖)、前兆、活動に伴う疼痛、疼痛、拍動/脈動、認知の混乱、疲労、気分変動、匂いに対する過敏(臭気恐怖(osmophobia又はolfactophobia))、視覚影響、圧迫/緊張、疼痛(解剖学的)、眼痛、頚部痛、めまい、異痛症、不活動、感覚障害、睡眠障害及び言語障害からなる群から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[11]
MBSは、光に対する過敏(羞明)、悪心/嘔吐、頭痛、音に対する過敏(音声恐怖)、前兆、活動に伴う疼痛、疼痛、拍動/脈動、認知の混乱、疲労、気分変動及び匂いに対する過敏(臭気恐怖(osmophobia又はolfactophobia))からなる群から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[12]
有効量の抗CGRP抗体を、必要とする患者に投与することを含む、片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)を改善する方法。
[13]
患者は慢性片頭痛に罹患している、請求項12に記載の方法。
[14]
患者は反復性片頭痛に罹患している、請求項13に記載の方法。
[15]
片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)の改善は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から1ヵ月以内に認められる、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
[16]
片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)の改善は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から3ヵ月以内に認められる、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
[17]
片頭痛に関連する変化についての患者の全般印象度(PGIC)の改善は、前記抗CGRP抗体の第1の投与から6ヵ月以内に認められる、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
[18]
改善は前記抗CGRP抗体の第1の投与から少なくとも3ヵ月間持続する、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
[19]
改善は前記抗CGRP抗体の第1の投与から少なくとも6ヵ月間持続する、請求項12~18のいずれか一項に記載の方法。
[20]
前記投与は、静脈内又は皮下注入などの注入によって行われる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[21]
前記投与は、静脈内注入によって行われる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[22]
前記患者は、投与又は注入の完了後2時間で、頭痛がない、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[23]
前記抗CGRP抗体はAb6を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[24]
前記抗CGRP抗体は、各々、配列番号224;配列番号226;及び配列番号228の軽鎖相補性決定領域(CDR)1、2、及び3ポリペプチド配列を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[25]
前記抗CGRP抗体は、各々配列番号234;配列番号236;及び配列番号238によってコードされる軽鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[26]
前記抗CGRP抗体は、各々配列番号204;配列番号206;及び配列番号208の重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[27]
前記抗CGRP抗体は、各々配列番号214;配列番号216;及び配列番号218によってコードされる重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[28]
前記抗CGRP抗体は、各々配列番号224;配列番号226;及び配列番号228の軽鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列と、各々配列番号204;配列番号206;及び配列番号208の重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列とを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[29]
前記抗CGRP抗体は、各々配列番号234;配列番号236;及び配列番号238によってコードされる軽鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列と、各々配列番号214;配列番号216;及び配列番号218によってコードされる重鎖CDR 1、2、及び3ポリペプチド配列とを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[30]
前記抗CGRP抗体は、配列番号222の可変軽鎖ポリペプチドを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[31]
前記抗CGRP抗体は、配列番号232によってコードされる可変軽鎖ポリペプチドを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[32]
前記抗CGRP抗体は、配列番号202の可変重鎖ポリペプチドを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[33]
前記抗CGRP抗体は、配列番号212によってコードされる可変重鎖ポリペプチドを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[34]
前記抗CGRP抗体は、配列番号222の可変軽鎖ポリペプチドと、配列番号202の可変重鎖ポリペプチドとを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[35]
前記抗CGRP抗体は、配列番号232によってコードされる可変軽鎖ポリペプチドと、配列番号212によってコードされる可変重鎖ポリペプチドとを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[36]
前記抗CGRP抗体は、配列番号221の軽鎖ポリペプチドを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[37]
前記抗CGRP抗体は、配列番号231によってコードされる軽鎖ポリペプチドを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[38]
前記抗CGRP抗体は、配列番号201又は配列番号566の重鎖ポリペプチドを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[39]
前記抗CGRP抗体は、配列番号211又は配列番号567によってコードされる重鎖ポリペプチドを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[40]
前記抗CGRP抗体は、配列番号221の軽鎖ポリペプチドと、配列番号201又は配列番号566の重鎖ポリペプチドとを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[41]
前記抗CGRP抗体は、配列番号231によってコードされる軽鎖ポリペプチドと、配列番号211又は配列番号567によってコードされる重鎖ポリペプチドとを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[42]
前記抗CGRP抗体の投与量は、約100mg~約300mgであり、又は約100mgであり、又は約300mgである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[43]
前記抗CGRP抗体の投与量は、100mgである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[44]
更に、100mgの前記抗CGRP抗体を10~14週間毎、好ましくは、11~13週間毎、より好ましくは、12週間毎に静脈内投与することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[45]
前記抗CGRP抗体の投与量は100mgである、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
[46]
更に、300mgの前記抗CGRP抗体を10~14週間毎、好ましくは、11~13週間毎、より好ましくは、12週間毎に静脈内投与することを含む、請求項1~42又は45のいずれか一項に記載の方法。
[47]
前記投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり1~10回の片頭痛発作を示す、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[48]
前記投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり2~8回の片頭痛発作を示す、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[49]
前記投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり3~7回の片頭痛発作を示す、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[50]
前記投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり25日未満の頭痛日数を示す、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[51]
前記投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり20日未満の頭痛日数を示す、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[52]
前記投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり15日未満の頭痛日数を示す、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[53]
前記投与の前に、患者が投与前の月又は3ヵ月に月当たり10日未満の頭痛日数を示す、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[54]
前記患者は、前記投与の少なくとも10年前に片頭痛と診断された、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[55]
前記患者は、前記投与の少なくとも15年前に片頭痛と診断された、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[56]
前記患者は、前記投与の少なくとも18年前又は少なくとも19年前に片頭痛と診断された、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[57]
前記患者は、前記投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の少なくとも50%の減少を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[58]
前記患者は、前記投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の少なくとも75%の減少を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[59]
前記患者は、前記投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の1ヵ月間で、片頭痛日数の100%の減少を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[60]
前記患者は、前記投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の12週間で、片頭痛日数の少なくとも50%の減少を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[61]
前記患者は、前記投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の12週間で、片頭痛日数の少なくとも75%の減少を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[62]
前記患者は、前記投与の前にその患者が経験する片頭痛日数のベースライン数と比較して、前記抗体を投与した後の12週間で、片頭痛日数の100%の減少を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[63]
更に、前記投与の後、約10~14週間、好ましくは、11~13週間、より好ましくは、約12週間又は約3ヵ月で、前記抗CGRP抗体の第2の用量を前記患者に投与することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[64]
前記投与は、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、又は約300mgの前記抗CGRP抗体を投与することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[65]
前記抗CGRP抗体は、非グリコシル化され、又はグリコシル化されている場合、マンノース残基のみを含むのみである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[66]
前記抗CGRP抗体は、配列番号221の軽鎖ポリペプチドと、配列番号201又は配列番号566の重鎖ポリペプチドとからなる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[67]
前記抗CGRP抗体は、配列番号231によってコードされる軽鎖ポリペプチドと、配列番号211又は配列番号567によってコードされる重鎖ポリペプチドとからなる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[68]
前記頭痛又は前記片頭痛は、国際頭痛分類(International Classification of Headache Disorders)の第3版に従って診断される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[69]
前記抗CGRP抗体は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)中で発現され、又はピキア・パストリス(Pichia pastoris)中の発現によって得られる、先行請求項のいずれか一項のいずれかに記載の方法。
[70]
前記抗CGRP抗体は、CHO細胞中で発現され、又はCHO細胞中の発現によって得られる、請求項1~68のいずれか一項のいずれかに記載の方法。
[71]
前記抗CGRP抗体又は抗CGRP抗体断片は、ヒスチジン(L-ヒスチジン)、ソルビトール、ポリソルベート80、及び水を含む、又はそれらからなる製剤中に含まれる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[72]
前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-10%以内の各成分の量を有し、及び5.8のpHを有し、又は前記値の+/-10%以内のpHを有する、請求項71に記載の方法。
[73]
前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-5%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-5%以内のpHを有する、請求項71に記載の方法。
[74]
前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-1%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-1%以内のpHを有する、請求項71に記載の方法。
[75]
前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-0.5%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-0.5%以内のpHを有する、請求項71に記載の方法。
[76]
前記製剤は、1mL容量当たり100mgの抗CGRP抗体、3.1mgのL-ヒスチジン、40.5mgのソルビトール、及び0.15mgのポリソルベート80を含み若しくはそれらからなり、又は前記値の+/-0.1%以内の各成分の量を有し、及び/又は5.8のpHを有し、又は前記値の+/-0.1%以内のpHを有する、請求項71に記載の方法。
[77]
前記抗CGRP抗体は、任意選択で25℃又は37℃で行われる表面プラズモン共鳴法によって任意選択で測定した場合に、10pM以下、例えば2~8pM、例えば3~6pM、例えば約5pM以下の解離定数を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
[78]
前記患者におけるMBS及びPGICの両方を改善する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】