IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エコセム マテリアルズ リミテッドの特許一覧 ▶ アンスティチュ ナショナル デ シアンス ザプリケ ドゥ トゥールーズの特許一覧 ▶ エコセム フランスの特許一覧

特表2023-531125アルカリ金属塩ならびに炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムを含む、高炉スラグ微粉末を活性化するための活性化システム、ならびにそれを含む、モルタルまたはコンクリート組成物の調製のための結合材
<>
  • 特表-アルカリ金属塩ならびに炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムを含む、高炉スラグ微粉末を活性化するための活性化システム、ならびにそれを含む、モルタルまたはコンクリート組成物の調製のための結合材 図1
  • 特表-アルカリ金属塩ならびに炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムを含む、高炉スラグ微粉末を活性化するための活性化システム、ならびにそれを含む、モルタルまたはコンクリート組成物の調製のための結合材 図2
  • 特表-アルカリ金属塩ならびに炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムを含む、高炉スラグ微粉末を活性化するための活性化システム、ならびにそれを含む、モルタルまたはコンクリート組成物の調製のための結合材 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】アルカリ金属塩ならびに炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムを含む、高炉スラグ微粉末を活性化するための活性化システム、ならびにそれを含む、モルタルまたはコンクリート組成物の調製のための結合材
(51)【国際特許分類】
   C04B 22/10 20060101AFI20230713BHJP
   C04B 22/12 20060101ALI20230713BHJP
   C04B 22/14 20060101ALI20230713BHJP
   C04B 18/14 20060101ALI20230713BHJP
   C04B 28/08 20060101ALI20230713BHJP
   C04B 28/06 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
C04B22/10
C04B22/12
C04B22/14 A
C04B18/14 A
C04B28/08
C04B28/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562058
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(85)【翻訳文提出日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2020060084
(87)【国際公開番号】W WO2021204383
(87)【国際公開日】2021-10-14
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522395978
【氏名又は名称】エコセム マテリアルズ リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】510138888
【氏名又は名称】アンスティチュ ナショナル デ シアンス ザプリケ ドゥ トゥールーズ
(71)【出願人】
【識別番号】522395989
【氏名又は名称】エコセム フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】サレッシス,ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】シール,マルタン
(72)【発明者】
【氏名】アルファーニ,ロベルタ
(72)【発明者】
【氏名】ムシカス,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】フルアン,ローラン
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112MB06
4G112MB08
4G112MB12
(57)【要約】
本発明は、特に水硬性結合材および/またはポゾラン材料を含有するコンクリートまたは工業モルタル用の活性化組成物であって、A)15μm以下のd80、および4μm以下のd50を有する炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウム粒子を少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、ならびにB)少なくとも1種のアルカリ金属塩を少なくとも1.5重量%かつ最大60重量%含む、活性化組成物に関する。本発明は、前記活性化組成物と、少なくとも1種の水硬性結合材からなる成分Cと、を含む結合材組成物にも関する。本発明は、少なくとも1種の骨材と、前記結合材組成物と、を含む乾燥コンクリートまたは工業モルタル組成物をさらに対象とする。加えて、本発明は、湿潤コンクリートまたはモルタル組成物を調製する方法、およびそれから得られた硬化コンクリートまたは工業モルタル組成物に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性化組成物、特に水硬性結合材および/またはポゾラン材料を含有するコンクリートまたは工業モルタル用の活性化組成物であって、
A.15μm以下のd80、および4μm以下のd50を有する炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウム粒子を少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、ならびに
B.少なくとも1種のアルカリ金属塩を少なくとも1.5重量%かつ最大60重量%
含む、活性化組成物。
【請求項2】
前記アルカリ金属塩を1.5重量%~15重量%、より好ましくは3重量%~10重量%、さらにより好ましくは4重量%~5重量%含む、請求項1に記載の活性化組成物。
【請求項3】
前記アルカリ金属塩を好ましくは25重量%~60重量%、より好ましくは35重量%~55重量%、さらにより好ましくは40重量%~50重量%含む、請求項1に記載の活性化組成物。
【請求項4】
前記アルカリ金属塩が、塩化ナトリウム(NaCl)、硫酸ナトリウム(NaSO)、硫酸カリウム、(KSO)、塩化カリウム(KCl)、炭酸ナトリウム(NaCO)、および炭酸カリウム(KCO)、ならびにこれらの混合物からなる群で選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の活性化組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の活性化組成物と、少なくとも1種の水硬性結合材からなる成分Cと、を含む結合材組成物。
【請求項6】
成分Cが高炉微粉末のみからなる、請求項5に記載の結合材組成物。
【請求項7】
成分Cが、高炉微粉末および少なくとも別の水硬性結合材の混合物からなり、少なくとも別の水硬性結合材が、好ましくは、規格EN197-1に従った水硬性結合材、およびアルミナまたはアルミン酸カルシウムをベースとするセメント、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の結合材組成物。
【請求項8】
高炉微粉末を60重量%~99重量%、有利には70重量%~97重量%含む、請求項6に記載の結合材組成物。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか1項に記載の活性化組成物を1重量%~40重量%、より有利には3重量%~30重量%含む、請求項6または8に記載の結合材組成物。
【請求項10】
アルカリ金属塩を0.5重量%超~10重量%、有利には0.7重量%~7重量%含む、請求項6、8、および9のいずれか1項に記載の結合材組成物。
【請求項11】
成分Cが、高炉スラグ微粉末を少なくとも30重量%、有利には40重量%~90重量%、より有利には50重量%~80重量%含む、請求項7に記載の結合材組成物。
【請求項12】
成分Cを50重量%~99重量%、有利には60重量%~97重量%含む、請求項7または11に記載の結合材組成物。
【請求項13】
請求項1~4のいずれか1項に記載の活性化組成物を1.5重量%~35重量%、より有利には2%~28%含む、請求項7、11、および12のいずれか1項に記載の結合材組成物。
【請求項14】
アルカリ金属塩を0.5重量%超~5重量%、有利には0.7重量%~3.5重量%含む、請求項7および11~13のいずれか1項に記載の結合材組成物。
【請求項15】
少なくとも1種の骨材と、請求項5~14のいずれか1項に記載の結合材組成物と、を含む、乾燥コンクリートまたは工業モルタル組成物、特にタイル接着材、コーティング、組立てモルタル、補修モルタル、下塗り、テクニカルモルタル、および床被覆用モルタル。
【請求項16】
少なくとも1種の骨材と、請求項5~14のいずれか1項に記載の結合材組成物と、水と、を含む、湿潤コンクリートまたは工業モルタル組成物、特にタイル接着材、コーティング、組立てモルタル、補修モルタル、下塗り、テクニカルモルタル、および床被覆用モルタル。
【請求項17】
請求項16に記載の湿潤コンクリートまたは工業モルタル組成物を調製する方法であって、少なくとも1種の骨材および請求項5~14のいずれか1項に記載の結合材組成物を水と混合するステップを含み、前記結合材組成物は、前記混合するステップの前に、または前記混合するステップ中にその場で、別々におよび/またはプレミックスの形態で取得された前記結合材組成物の種々の成分のうちの少なくとも一部から調製される、方法。
【請求項18】
水の結合材組成物に対する比が、0.2~2、有利には0.3~1.8に含まれる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項16に記載の湿潤コンクリートまたは工業モルタル組成物から得られた、硬化コンクリートまたは工業モルタル組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、凝結および硬化することが可能な組成物、例えばモルタルまたはコンクリート組成物で使用される、少なくとも1種のスラグ、例えば高炉スラグ微粉末(GGBSまたはスラグ)を含む水硬性鉱物結合材に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、水硬性結合材としての少なくとも1種のスラグおよび少なくとも1種の活性化システムを含む、建築工業用の結合材ならびに凝結および硬化することが可能な組成物に関する。
【0003】
本発明は、これらのスラグベース結合材の調製方法、これらの凝結および硬化することが可能な乾燥または湿潤組成物の調製方法にも関する。
これらの組成物から得られた凝結および硬化製品で作製された建築適用物も本発明の分野にある。
【背景技術】
【0004】
ポルトランドセメントの生産は大量の二酸化炭素を排出するため、環境に強い悪影響がある。セメントの生産は、キルン内で非常に高温(1450℃)で原料を焼成する間に、石灰石の脱炭酸によりCOを本質的に生成する(式(1))。
【0005】
CaCO(s)→CaO(s)+CO(g) (式(1))
加えて、二酸化炭素は、セメントキルンを加熱するのに必要な化石燃料の燃焼の結果として放出される。粉砕での追加の排出を加えることにより、ポルトランドセメント1トンあたりCOほぼ1トンが得られる。全体として、セメント工業は、地球の二酸化炭素排出の約7~9%の原因である。
【0006】
さらに、ポルトランドセメントの取扱いは、特にその高いアルカリ度(13よりも高いpH)により、健康上の課題(例えば、アレルギー)を引き起こすことがある。加えて、6価クロム(Cr(VI))のような有害元素が混練で放出されることがあり、これも作業員にとって皮膚と接触した際に健康上よくない。セメント粉末にはCr(VI)還元剤(例えば、硫酸第一鉄)が通常含まれるが、その効率は時間的に限られている。建築作業員、特に第3世界の建築作業員は、このような処理に関する期限をしばしば確認しないことが予想される。
【0007】
新しい結合材についての最新の研究は、様々な用途のセメントを環境への影響がより低い結合材で置き換えることを目指している。1つの道は、高価な処理なしで資源、例えば他の工業からの副産物(ある1つの工業では廃棄物であるが、他では主要な資源)を使うことによるものである。これは、製鉄工業の副産物である高炉スラグのケースである。この産物を微粉末(GGBS)へと粉砕することにより、セメント質材料を得ることができ、これは幾種かの化学活性剤を加えることによりセメントの部分置換で使用されうる、または単独で使用されうる。
【0008】
GGBSの使用は環境に優しいだけでなく、モルタルおよびコンクリートを配合するのに使用された場合に、幾つかの向上した特性、例えば硫酸塩の攻撃に対する高耐性、低浸透性、化学的に攻撃的な環境での良好な耐性、低水和熱(重量構造物で必要とされる)、一般に優れた耐久性、重金属または放射性核種の固定可能性などにもつながることに注目することが重要である。
【0009】
GGBSは水硬性結合材である(例えば、潜在的な水硬性結合材であるフライアッシュまたはシリカフュームとは対照的である)ことは強調されるべきである。このことは、GGBSが単独で水と反応することを意味する。化学的活性剤の添加(および/または加熱)は、この反応の速度を上げ、初期強度を改善するのに有利である。一般に、活性剤の役割は、pHを適切なレベルに上げて、ヒドロキシルイオンによるガラス網目の求核攻撃を増やすことである。
【0010】
活性剤は、結合材、モルタル/コンクリート組成物の凝結および/または硬化(curing)および/または硬化(hardening)を促進する。
GGBSを活性化するため、活性化システムが開発された。例えば、国際特許出願WO2017/198930は、GGBSおよび促進剤を含む結合材を開示している。この促進剤は、1種の硫酸カルシウム源および1種の核形成剤を粒子の形態で含む。
【0011】
この促進剤は、GGBSを少なくとも80重量%含有する建設材料を得ることを可能にするが、特に、結合材として普通ポルトランドセメントのみを含む硬化コンクリートおよび工業モルタルよりも良好な機械特性をとりわけ初期に有する硬化コンクリートまたは工業モルタルを得るための、かつ低温での、GGBSを含有する材料用の活性化システムを開発することがいまだ必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これに関し、本発明は、以下の目的のうちの少なくとも1つを満たすことにより、上記の問題および/または需要のうちの少なくとも1つに対処することを目指す。
-O1- 普通ポルトランドセメント(OPC)ベース組成物の魅力的な代用品である、スラグベース結合材または前記スラグベース結合材を含むモルタルもしくはコンクリート組成物を提供すること。
【0013】
-O2- 環境に優しい、スラグベース結合材または前記スラグベース結合材を含むモルタルもしくはコンクリート組成物を提供すること。
-O3- 健康および安全上の課題に関してOPCベース組成物よりも許容できる、スラグベース結合材または前記スラグベース結合材を含むモルタルもしくはコンクリート組成物を提供すること。
【0014】
-O4- 振動圧縮、吹付け、こて塗り、鋳造などのような幾つかの方法によって製造される適切な能力を有する乾燥モルタル、乾燥および半乾燥プレキャストコンクリート、ならびに湿潤モルタルおよびコンクリート配合物を生じさせる、スラグベース結合材または前記スラグベース結合材を含むモルタルもしくはコンクリート組成物を提供すること。
【0015】
-O5- 適切なレオロジー特性、すなわち湿潤配合物の使用者に必要とされる通常の凝結時間(例えば、数分から数時間)中の安定なレオロジー(良好なワーカビリティー)を有する前記湿潤配合物を生じさせる、スラグベース結合材または前記スラグベース結合材を含むモルタルもしくはコンクリート組成物を提供すること。
【0016】
-O6- 必要とされる機械的特性、とりわけ許容される初期強度(例えば、24時間)を有する硬化材料を生じさせる、スラグベース結合材または前記スラグベース結合材を含むモルタルもしくはコンクリート組成物を提供すること。
【0017】
-O7- 必要とされる耐久性を有する硬化材料を生じさせる、スラグベース結合材または前記スラグベース結合材を含むモルタルもしくはコンクリート組成物を提供すること。
【0018】
-O8- 通常必要とされる凝結時間(例えば、数分から数時間)を有する硬化材料を生じさせる、スラグベース結合材または前記GGBSベース結合材を含むモルタルもしくはコンクリート組成物を提供すること。
【0019】
-O9- 目的-O1-~-O9-のうちの少なくとも1つに応じるスラグベース結合材または前記スラグベース結合材を含むモルタルもしくはコンクリート組成物の単純かつ安価な調製方法を提供すること。
【0020】
-O10- 湿潤形態のスラグベース結合材または前記スラグベース結合材を含むモルタルもしくはコンクリート組成物の単純かつ安価な調製方法を提供すること。
-O11- 少なくとも一部の結合材としてスラグを含む、建築工業用の硬化製品を提供すること。
【0021】
本発明の利点
本発明の利点の1つは、必要とされる機械的特性、とりわけ許容される初期強度(例えば、24時間)およびまた長期の性能も有する硬化材料を生じさせるGGBSを含む建設材料、とりわけ乾燥モルタルまたはコンクリート組成物を改善することである。
【0022】
別の利点は、本発明の一実施形態において、低温、すなわち5℃付近で本発明による結合材組成物を使用することが可能なことである。
追加の利点は、非常に多様な量の水を必要とする非常に様々なコンクリートまたは工業モルタルに含まれうる活性化組成物の普遍性であり、特に、本発明による活性化組成物は高い含水量を有する組成物の一部となりうる。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、特に水硬性結合材および/またはポゾラン材料を含有するコンクリートまたは工業モルタル用の活性化であって、
A.15μm以下のd80、および4μm以下のd50を有する炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウム粒子を少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、ならびに
B.少なくとも1種のアルカリ金属塩を少なくとも1.5重量%かつ最大60重量%
含む、活性化に関する。
【0024】
本発明は、請求項1または2に記載の活性化組成物と、少なくとも1種の水硬性結合材からなる(consisting in)成分Cと、を含む結合材組成物にも関する。
いずれの理論にも拘束されるものではないが、本発明による活性化組成物に含まれる炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムの含量および粒径は、活性化組成物が添加されることが意図されるモルタル/コンクリートの空隙を埋め、製品の保水性に寄与しうると考えられている。これら2つの現象は、アルカリ金属塩の存在によるアルカリ活性化と合わせて、前記水硬性結合材の初期の水和を向上させ、水和相のより良好な分布により、得られるコンクリートまたは工業モルタルの機械的強度を改善することができる。
【0025】
本発明は、少なくとも1種の骨材と、前記結合材組成物と、を含む乾燥コンクリートまたは工業モルタル組成物をさらに対象とする。
本発明は、混和材のようなその他の成分と、前記結合材組成物と、を含む乾燥コンクリートまたは工業モルタル組成物をさらに対象とする。
【0026】
加えて、本発明は、湿潤コンクリートまたはモルタル組成物を調製する方法、およびそれから得られた硬化コンクリートまたは工業モルタル組成物に関する。
【0027】
定義
本文の用語に従って、以下の非限定的な定義が考慮されなければならない。
【0028】
- 「スラグ」は、鉱石の精錬または製錬中に金属から分離される石質副産物を意味する。
- 「GGBS」または「GGBFS」:高炉スラグ、高炉水砕スラグ(GBFS)、高炉水砕スラグ粉末、および高炉スラグ細骨材と同義である高炉スラグ微粉末(Ground Granulated Blast Furnace Slag)。
【0029】
- 「セメント」は、モルタルまたはコンクリートの作製に使用するために作製された粉末状物質を意味すると理解される。これは鉱物結合材であり、いずれの有機化合物も含まない可能性がある。これはあらゆる普通セメントを指し、スラグポルトランドブレンドおよびアルカリ活性化ベースセメントが含まれる。
【0030】
- 「結合材」は、GGBSおよびセメントのような、水を加えるだけで硬化するあらゆる材料を意味する「水硬性結合材」を指す。
- 「補助セメント質材料」は、潜在的な水硬性またはポゾラン活性により結合材の強度に寄与する材料を指す。本明細書においてこの用語は、フライアッシュ、活性白土、シリカフューム、塩基性酸素炉スラグ、天然ポゾラン材料、もみ殻灰、活性化再生コンクリート細骨材、またはこれらの混合物を指す。
【0031】
- 「モルタル」は、結合材、砂などの骨材、および混和材のようなその他の成分で構成された材料を指す。
- 「コンクリート」は、結合材、砂および砂利などの骨材、ならびに混和材のようなその他の成分で構成された材料を指す。
【0032】
- 「d50」は、材料粒子の粒度分析分布のメジアン径を示す(通常、セメンテーション材料ではマイクロメートル単位)。これは、粒子の50%が示された数未満の径を有し、粒子の50%が所与の数よりも大きな径を有することを意味する。d50の測定は、レーザー回折アナライザー、例えばMALVERN社から販売されている「Mastersizer 2000」を使い、湿潤法(humid way method)を用いて、レーザー回折分光法としても知られるレーザー回折分析によって行われる。
【0033】
- 「d80」は、材料粒子の粒度分析分布についての情報を示す(通常、セメンテーション材料ではマイクロメートル単位)。これは、粒子の80%が示された数未満の径を有し、粒子の20%が所与の数よりも大きな径を有することを意味する。d80の測定は、レーザー回折アナライザー、例えばMALVERN社から販売されている「Mastersizer 2000」を使い、湿潤法を用いて、レーザー回折分光法としても知られるレーザー回折分析によって行われる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明による、および本発明以外の、異なる工業モルタルの圧縮強度を比較する棒グラフである。
図2】本発明による、および本発明以外の、異なる工業モルタルの圧縮強度を比較する棒グラフである。
図3】本発明による、および本発明以外の、異なる工業モルタルの圧縮強度を比較する棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
活性化組成物
とりわけ初期段階でのGGBSの硬化反応の反応速度を加速して、ポルトランドセメントのみで作製された結合材を有する工業モルタルまたはコンクリートの初期段階(7日)および遅い段階(28日)での圧縮強度と同様またはそれよりも良好で、最終用途に応じた、初期段階(24時間)での好適な圧縮強度を示すコンクリートまたは工業モルタルを提供する目的を達成するため。特に水硬性結合材および/またはポゾラン材料を含有するコンクリートまたは工業モルタル用の、本発明者らによって開発された本発明の活性化組成物は、
A.15μm以下のd80、および4μm以下のd50を有する炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウム粒子を少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、ならびに
B.少なくとも1種のアルカリ金属塩を少なくとも1.5重量%かつ最大60重量%
含む。
【0036】
特定の実施形態において、本発明の活性化組成物は、硫酸カルシウム源を含まない。
【0037】
A.炭酸カルシウム/マグネシウム
本発明によれば、活性化組成物は、炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムを少なくとも40重量%含む。好ましい実施形態において、活性化組成物は、炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムを少なくとも50重量%含む。
【0038】
本発明によれば、炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウム粒子は、15μm以下、好ましくは10μm以下のd80、および4μm以下のd50を有する。
【0039】
B.アルカリ金属塩
本発明の活性化組成物が最終的に組み込まれることが意図されるコンクリートまたは工業モルタル組成物に応じて、前記活性化組成物中の前記アルカリ金属塩の量が調節される。
【0040】
したがって、一実施形態において、例えば煉瓦用モルタルでは、活性化組成物は前記アルカリ金属塩を好ましくは1.5重量%~15重量%、より好ましくは3重量%~10重量%、さらにより好ましくは4重量%~5重量%含む。
【0041】
別の実施形態において、例えばタイル接着材では、活性化組成物は前記アルカリ金属塩を好ましくは25重量%~60重量%、より好ましくは35重量%~55重量%、さらにより好ましくは40重量%~50重量%含む。
【0042】
アルカリ金属塩は、有利には、塩化ナトリウム(NaCl)、硫酸ナトリウム(NaSO)、硫酸カリウム、(KSO)、塩化カリウム(KCl)、炭酸ナトリウム(NaCO)、および炭酸カリウム(KCO)、ならびにこれらの混合物からなる群で選択される。
【0043】
結合材組成物
本発明は、前記活性化組成物と、少なくとも1種の水硬性結合材からなる成分Cと、を含む結合材組成物にも関する。
【0044】
一実施形態において、成分Cは高炉微粉末のみからなる。
高炉微粉末(GGBS)(Grounded granulated blast furnace)は、高炉からの溶融スラグを水中で急冷し、次いでGGBSの反応性を改善するために急冷した生成物を微粉砕することによって得られるガラス質粒状材料である。GGBSは、SiO、CaO、MgO、およびAlから本質的に構成される非晶質アルミノケイ酸塩ガラスである。幾つかのガラス網目修飾カチオン:Ca、Na、Mnなどが存在する。
【0045】
GGBSは、好ましくは欧州規格[NF EN 15167-1]に従って製造される。
よって、本発明のこの実施形態による結合材組成物は、高炉微粉末を有利には60重量%~99重量%、有利には70重量%~97重量%含む。
【0046】
本発明のこの実施形態による結合材組成物は、上記の活性化組成物を有利には1重量%~40重量%、より有利には3%~30%含む。加えて、本発明のこの実施形態による結合材組成物は、アルカリ金属塩を有利には0.5重量%超~10重量%、有利には0.7重量%~7重量%含む。
【0047】
別の実施形態において、成分Cは、高炉微粉末および少なくとも別の水硬性結合材の混合物からなり、少なくとも別の水硬性結合材は、好ましくは、規格EN197-1に従った水硬性結合材、およびアルミナまたはアルミン酸カルシウムをベースとするセメントからなる群から選択される。
【0048】
特に、セメントにより、本発明者らは、欧州規格EN197.1に記載される、ケイ酸カルシウム(3CaO・SiO)および(2CaO・SiO)、ならびにAl、Fe、ならびにその他の酸化物で構成される水硬性結合材であるあらゆる普通セメント、例えばポルトランドセメントのクリンカーを指す。
【0049】
本発明による水硬性結合材には、規格EN197-1に従った白色および灰色セメント、セメント質集塊、ならびに水硬性石灰も含まれる。
本発明によれば、EP-A-1306356「Clinker sulfoalumineux sans fer et sans chaux libre,son procede de preparation et son utilisation dans des liants blancs」および「Calcium sulfoaluminates cements-low energy cements,special cements」J.H.Sharpら、Advances in Cement Research、1999年、11巻、1号、3~13頁に記載される、カルシウムサルホアルミネートクリンカーをベースとする結合材も使用されうる。
【0050】
Advances in Cement Research、1999年、11巻、1号、1月、15-21頁に記載される、EN14647に従ったカルシウムアルミナセメントおよびサルホフェロアルミネートセメントも使用されうる。
【0051】
本発明によれば、EN15743に記載のスーパーサルフェート(supersulfated)セメント(SSC)、ならびにNF P 15-317「ciments pour travaux a la mer」(PM)およびNF P 15-319「ciments pour travaux en eaux a haute teneur en sulfates」(ES)に従ったセメントのような過酷な条件で使用されることが公知のその他のセメントも使用されうる。
【0052】
本発明によれば、結合材組成物は、有利にはフライアッシュ、メタカオリン、活性白土、シリカフューム、塩基性酸素炉スラグ、天然ポゾラン材料、もみ殻灰、活性化再生コンクリート細骨材、またはこれらの混合物からなる群から選択される1種または複数の補助セメント質材料を含んでもよい。補助セメント質材料は、潜在的な水硬性またはポゾラン活性により結合材の強度に寄与する材料を指す。
【0053】
よって、本発明のこの実施形態による結合材組成物において、成分Cは、高炉スラグ微粉末を有利には少なくとも30重量%、より有利には40重量%~90重量%、さらにより有利には50重量%~80重量%含む。
【0054】
加えて、本発明のこの実施形態による結合材組成物は、成分Cを有利には50重量%~99重量%、有利には60重量%~97重量%含む。
本発明のこの実施形態による結合材組成物は、上記の活性化組成物を有利には1.5重量%~35重量%、より有利には2%~28%含む。
【0055】
さらに、本発明のこの実施形態による結合材組成物は、アルカリ金属塩を有利には0.5重量%超~5重量%、有利には0.7重量%~3.5重量%含む。
【0056】
任意選択のその他の成分
結合材組成物は、好ましくは以下のリストで選択される構成成分、特には機能性添加剤である、1種または幾つかのその他の成分で有利には富化される。
【0057】
・保水剤
保水剤は、凝結する前に混練水を保つ特性を有する。水は、湿潤配合物ペースト中にそのようにしてトラップされ、その結合を改善する。ある程度、支持体によって吸収される水はより少なくなる。
【0058】
保水剤は、好ましくは変性セルロース、変性グアー、変性セルロースエーテルおよび/またはグアーエーテル、ならびにこれらの混合物を含む群、より好ましくはメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチル-セルロース、およびこれらの混合物からなる群で選択される。
【0059】
・レオロジー剤
可能なレオロジー剤(「増粘剤」とも称される)は、好ましくは粘土、デンプンエーテル、セルロースエーテルおよび/またはガム(例えば、ウェラン、グアー、キサンタン、スクシノグリカン)、変性多糖(好ましくは、変性デンプンエーテルの中で)、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、粘土、セピオライト、ベントナイト、ならびにこれらの混合物を含む、より好ましくはそれらからなる群で選択され、より好ましくは、粘土、ベントナイト、モンモリロナイトの群で選択される。
【0060】
・減水ポリマー
流動化剤とも称される減水ポリマーは、リグノスルホネートポリマー、メラミンスルホネートポリマー、ナフタレンスルホネートポリマー、ポリカルボン酸エーテルポリマー、ポリオキシエチレンホスホネート、ビニルコポリマー、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0061】
・消泡剤/脱泡剤
可能な消泡剤は、好ましくはポリエーテルポリオールおよびこれらの混合物を含む、より好ましくはそれらからなる群で選択される。
【0062】
・殺生物剤
可能な殺生物剤は、好ましくは酸化亜鉛のような鉱物酸化物およびこれらの混合物を含む、より好ましくはそれらからなる群で選択される。
【0063】
・顔料
可能な顔料は、好ましくはTiO、酸化鉄、およびこれらの混合物を含む、より好ましくはそれらからなる群で選択される。
【0064】
・難燃剤
組成物の耐火性を増加させるおよび/または火炎伝播速度を縮めることを可能にする可能な難燃剤(または防炎剤)は、好ましくは以下を含む、より好ましくはそれらからなる群で選択される。
【0065】
・空気連行剤
空気連行剤(界面活性剤)は、有利には天然樹脂、硫酸化またはスルホン化化合物、合成洗剤、有機脂肪酸、およびこれらの混合物を含む、より好ましくはそれらからなる群、好ましくはリグノスルホネート、脂肪酸の塩基性石鹸、およびこれらの混合物を含む、より好ましくはそれらからなる群、より好ましくはオレフィンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物を含む、より好ましくはそれらからなる群で選択される。
【0066】
・遅延剤
遅延剤は、有利には酒石酸およびその塩(ナトリウムまたはカリウム塩)、クエン酸およびその塩(ナトリウム(クエン酸三ナトリウム))、ならびにこれらの混合物を含む、より好ましくはそれらからなる群で選択される。
【0067】
加えて、その他の成分は、
・可塑剤
・繊維
・分散粉末
・湿潤剤
・ポリマー樹脂
・錯化剤
・ポリオールをベースとする乾燥収縮低減剤
としてもよい。
【0068】
結合材組成物中のこれらの任意選択のその他の成分の総含量は、好ましくは、結合材組成物の総重量の0.001重量%~10重量%に含まれる。
【0069】
乾燥コンクリートまたは工業モルタル組成物
本発明は、少なくとも1種の骨材画分(砂および/または砂利)と、上記の結合材組成物と、を含む乾燥コンクリートまたは工業モルタル組成物、特にタイル接着材、コーティング、煉瓦用モルタル、補修モルタル、下塗り、テクニカルモルタル、および床被覆用モルタルにも関する。乾燥コンクリートまたは工業モルタル組成物は、その他の混和材および添加剤を最終的に含有してもよい。
【0070】
本発明によれば、「乾燥」コンクリートまたは工業モルタル組成物は、粉末の形態であり、そのまま水と混合されうる状態の組成物を指す。換言すると、本発明の乾燥コンクリートまたは工業モルタル組成物は、幾分かの水分を含有してもよいが、適用前に水と混合されることを意図された固体成分を本質的に含有する。
【0071】
好ましい実施形態において、活性化組成物は、結合材、充填材、砂、砂利、およびその他の成分を含む乾燥組成物全体の0.1重量%~5重量%、好ましくは0.25~3.5重量%に相当する。
【0072】
この実施形態は、約5℃の低温でも、本発明による活性化組成物を含むコンクリートおよび工業モルタルの初期強度に到達することを可能にするため、有利である。
換言すると、乾燥コンクリートまたは工業モルタル組成物は、本明細書に規定される本発明による結合材組成物と、少なくとも1種の骨材、特には砂および/もしくは砂利、ならびに/または種々の粒径分布の充填材と、を含む。
【0073】
骨材は、砂、砂利、砕石、スラグ(粒状でない)、再生コンクリート、およびジオシンセティック骨材を含めた、建設で使用される大きな分類の粒子状材料を含む。これらは複合材料全体に強度を付け加えるための補強材として作用する。
【0074】
乾燥コンクリートまたは工業モルタル組成物は、充填材、例えば石英、石灰石、粘土、およびこれらの混合物をベースとするもの、ならびに軽量充填材、例えばパーライト、珪藻土、拡張雲母(バーミキュライト)、および発泡砂、ならびにこれらの混合物も含むことができる。
【0075】
有利には、前記乾燥コンクリートまたは工業モルタル組成物は、骨材以外に、1種または幾つかの構成成分、とりわけ機能性混和材、添加剤、および繊維も含むことができ、これらは結合材組成物の詳細な説明で規定された上述のその他の任意選択の成分と同じでありうる。
【0076】
乾燥コンクリートまたは工業モルタル組成物中のこれらの任意選択のその他の成分の総含量は、好ましくは結合材組成物の総重量の0.1重量%~10重量%に含まれる。
【0077】
湿潤コンクリートまたは工業モルタル組成物
本発明は、少なくとも1種の骨材と、上記の結合材組成物と、を含む湿潤コンクリートまたは工業モルタル組成物、特にタイル接着材、コーティング、組立てモルタル、補修モルタル、下塗り、テクニカルモルタル、および床被覆用モルタルにも関連する。
【0078】
特定の実施形態において、湿潤モルタル組成物は、いわゆる「そのまま使える(ready to use)」モルタルである。「そのまま使える」モルタルは、建築現場で煉瓦またはブロックを組み立てるのに使用される。これらは、混合プラントにおいて組成物の全構成要素(結合材、骨材、およびその他の成分)を水と直接混合することによって得られる。これらは凝結遅延剤を含み、そのレオロジーおよび硬化特性を維持しながら、輸送および最大数日まで延期された使用を可能にする。
【0079】
湿潤コンクリートまたはモルタル組成物を調製する方法
本発明は、上記の湿潤コンクリートまたは工業モルタル組成物を調製する方法であって、少なくとも1種の骨材および結合材組成物を水と混合するステップを含み、結合材組成物が、混合するステップの前に、または混合するステップ中にその場で調製される、方法にも関する。
【0080】
換言すると、湿潤コンクリートまたは工業モルタル組成物は、異なる2つの方法によって調製されうる。
第1の方法では、活性化組成物、次いで結合材組成物が調製され、あるいは、結合材組成物は、成分A、B、およびCを混合することによって直接調製される。その後、少なくとも1種の骨材と結合材組成物とを混合することによって、乾燥コンクリートまたは工業モルタル組成物が最終的に得られる。乾燥コンクリートまたはモルタル組成物はその後、水と混合される。
【0081】
第2の方法では、湿潤コンクリートまたは工業モルタル組成物は、あらかじめ前記組成物を別々に調製することなく、各組成物の各成分を水中で直接混合することによって調製される。
【0082】
本開示によれば、「混合」という用語は、あらゆる形態の混合と理解されなくてはならない。
好ましい実施形態において、骨材と混合する前に、結合材の一部と水の少なくとも一部とが一緒に混合される。
【0083】
好ましい実施形態において、方法は、0.2~2、有利には0.3~1.8に含まれる水の結合材組成物に対する比を用いて行われる。
【0084】
硬化コンクリートまたは工業モルタル組成物
本発明は、上記のコンクリートまたは工業モルタル組成物から得られた硬化コンクリートまたは工業モルタル組成物にも関連する。
【実施例
【0085】
実施例1:タイル接着材
結合材として普通ポルトランドセメント(OPC)を含む乾燥タイル接着材組成物(CE1)、ならびに結合材としてポルトランドセメントおよび高炉スラグ微粉末(GGBS)の混合物を含む乾燥タイル接着材組成物(E1)を調製した。各乾燥タイル接着材組成物の含量は以下の表1に記載されている。
【0086】
【表1】
【0087】
各乾燥タイル接着材組成物は、同じ初期モルタル粘度(ブルックフィールド装置により測定)530Pa・s±10となる、表1の量の水と混合された。両方の水の量は、湿潤タイル接着材組成物を得るための、水の結合材(すなわち、OPCおよび最終的にGGBS)に対する重量比0.7に相当する。タイル接着材配合物は、規格EN12004-「Adhesives for ceramic tiles」に従って特性評価され、結果は以下の表2に記載されている。
【0088】
【表2】
【0089】
表2から、1日後を除き、本発明のタイル接着材(E1)はタイル接着材CE1よりも大きな耐性を有することがわかる。加えて、本発明のタイル接着材(E1)は、C2Eタイル接着材で要求される規格よりも高い耐性を有する。
【0090】
実施例2:煉瓦用モルタル
結合材として普通ポルトランドセメント(OPC)を含む乾燥煉瓦用モルタル組成物(CE2)、ならびに結合材としてポルトランドセメントおよび高炉スラグ微粉末(GGBS)の混合物を含む乾燥煉瓦用モルタル組成物(E2)を調製した。各乾燥煉瓦用モルタル組成物の含量は以下の表3に記載されている。
【0091】
【表3】
【0092】
したがって、本発明による煉瓦用モルタル(E2)は、本発明による結合材組成物を15.33重量%含有し、その結合材組成物自体は本発明による活性化組成物を20.42重量%含む。
【0093】
結果として、各乾燥煉瓦用モルタルは、水硬性結合材(OPCのみ(CE2)、またはOPCおよびGGBS(E2))を12.2重量%含有する。
各乾燥煉瓦用モルタル組成物を、水の結合材(すなわち、OPCおよび最終的にGGBS)に対する重量比1.1に相当する14重量%の量の水と混合して、湿潤煉瓦用モルタル組成物を得た。圧縮強度を異なる時間後に測定し、測定値は図1に記載されている。
【0094】
図1から、本発明による煉瓦用モルタルE2の圧縮強度は、1日、7日、および28日後に、圧縮モルタルCE2よりも高いことがわかる。
【0095】
実施例3:下塗り
結合材として普通ポルトランドセメント(OPC)を含む乾燥下塗り組成物(CE3)、ならびに結合材としてポルトランドセメントおよび高炉スラグ微粉末(GGBS)の混合物を含む2種の乾燥下塗り組成物(E3およびE4)を調製した。各乾燥下塗り組成物の含量は以下の表4に記載されている。
【0096】
【表4】
【0097】
したがって、本発明による実施例E3およびE4の両方の下塗り組成物は、本発明による結合材組成物を15.3314重量%含有し、その結合材組成物自体は本発明による活性化組成物を22.14重量%含む。
【0098】
結果として、各乾燥下塗りは、水硬性結合材(OPCのみ(CE3)、またはOPCおよびGGBS(E3およびE4))を10.9重量%含有する。
各乾燥下塗り組成物を、水の結合材(すなわち、OPCおよび最終的にGGBS)に対する重量比1.8に相当する20重量%の量の水と混合して、湿潤下塗り組成物を得た。圧縮強度を異なる時間後に測定し、測定値は図2に記載されている。
【0099】
図2から、本発明による下塗りE3および34の圧縮強度は、1日後に、下塗りCE3の圧縮強度よりも低いことがわかる。しかしながら、下塗りE3およびE4の圧縮強度は、下塗り用途に十分である。
【0100】
しかし、7日および28日後、本発明による下塗りE3およびE4の圧縮強度は、下塗りCE3の圧縮強度よりも高い。
【0101】
実施例4:低温硬化
結合材として普通ポルトランドセメント(OPC)を含む乾燥モルタル組成物(CE4)、ならびに結合材としてポルトランドセメントおよび高炉スラグ微粉末(GGBS)の混合物を含む2種の乾燥モルタル組成物(CE5およびE5)を調製した。各乾燥モルタル組成物の含量は以下の表5に記載されている。
【0102】
【表5】
【0103】
したがって、本発明によるモルタル(E5)は、本発明による結合材組成物を30重量%含有し、その結合材組成物自体は本発明による活性化組成物を16.66重量%含む。
結果として、各乾燥モルタルは、水硬性結合材(OPCのみ(CE4)、またはOPCおよびGGBS(CE5およびE5))を25重量%含有する。
【0104】
各乾燥モルタル組成物を、水の結合材(すなわち、OPCおよび最終的にGGBS)に対する重量比0.5で水と混合して、温度5℃で硬化される湿潤モルタル組成物を得た。圧縮強度を異なる時間後に測定し、測定値は図3に記載されている。
【0105】
図3から、本発明によるモルタルE5の圧縮強度は、1日後に、モルタルCE4(100% OPC)の圧縮強度と等しく、1日後および7日後に、モルタルCE5(GGBS+OPC 本発明による活性化組成物なし)の圧縮強度よりも高いことがわかる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】