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  • 特表-蒸留のための方法および装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】蒸留のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   C07C 29/80 20060101AFI20230713BHJP
   B01D 3/14 20060101ALI20230713BHJP
   C07C 31/04 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
C07C29/80
B01D3/14 A
C07C31/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563202
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-10-18
(86)【国際出願番号】 EP2021067159
(87)【国際公開番号】W WO2022002721
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】20182805.0
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】トプソー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】サアアンスン・エスペン・ラウゲ
(72)【発明者】
【氏名】デール・ピア・ユール
(72)【発明者】
【氏名】クラリッジ・タイス・ビェルグ
(72)【発明者】
【氏名】キンテロ・ヨハネス
【テーマコード(参考)】
4D076
4H006
【Fターム(参考)】
4D076AA16
4D076AA22
4D076BB05
4D076BB23
4D076BC02
4D076BC05
4D076DA03
4D076DA12
4D076DA36
4D076EA03Z
4D076EA04Z
4D076EA08Z
4D076EA12Z
4D076EA14Z
4D076EA16Z
4D076FA34
4D076HA20
4D076JA04
4H006AA02
4H006AA04
4H006AD11
4H006BC52
4H006BD82
4H006BD84
(57)【要約】
本発明は、メタノールの蒸留のための装置およびプロセスに関するが(図1)、エタノールなど他の製品の蒸留にも使用することができる。本発明は、揮発性成分を除去するための安定化ステージとして知られる前処理ステージ、および、蒸留のための1本以上の塔を含む濃縮ステージを含む、粗中間生成物の蒸留工程におけるエネルギー、冷却水および/または電力の消費を低減することを目的とする方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)揮発性成分の分離のために、圧力P0で安定化塔V0においてメタノールの粗製流Aを前処理し、V0の上部から軽いガスの流れLを得て、V0の下部からメタノールを含む液体流B0を得て、
(ii)次に、B0が、圧力P1で、濃縮塔V1に向けられ、
(iii)V1の上部から回収されたガス流T1が熱交換器E2において凝縮され、濃縮塔V2にエネルギーを供給し、
(iv)工程(iii)で得られた凝縮メタノールの一部が生成物C1に送られ、凝縮メタノールの残部がV1の上部に加えられ、還流として使用され、
(v)メタノールを含む液体流B1がV1の下部から回収され、圧力P2で、V2に通され、
(vi)V2の上部から回収されたガス流T2が2つの分離流に分割され(S)、一方の流れが熱交換器E0で凝縮され、V0にエネルギーを供給し、そして他方の流れが熱交換器E3で凝縮され、濃縮塔V3にエネルギーを供給し、
(vii)ステップ(vi)で得られた凝縮メタノールの一部が生成物C2に送られ、凝縮メタノールの残部がV2の上部に加えられ、還流として使用され、
(viii)メタノールを含む液体流B2をV2から回収し、圧力P3で、V3に通され、
(ix)V3の上部から回収されたガス流T3が凝縮され、凝縮されたメタノールの一部は生成物C3に送られ、残部はV3の上部に加えられ、還流として使用され、
(x)高級アルコールおよび他のマイナーな副生成物を含む1つまたは2つ以上の側流HがV3から取り出され、液体流B3がV3から取り出されることを含み、
ここで
-塔V1、V2およびV3は、P1>P2>P3であるように、減少する圧力で作動し、
-P0>0bargおよびP3>0bargであり、
-各塔V0、V1、V2およびV3は、同じ塔のためのリボイラーである熱交換器E0、E1、E2およびE3に対応して関連づけられ、
-熱交換器E0およびE3は、塔V2のための凝縮器であり、
-熱交換器E2は、塔V1のための凝縮器である、
メタノール蒸留のための方法であって、
-P3<2bargであり;かつ
-熱交換器E1が、外部エネルギー源から供給されることを特徴とする前記方法。
【請求項2】
V2の最も低温の部分の温度がV3およびV0の最も高温の部分の温度より高く、V1の最も低温の部分の温度がV2の最も高温の部分の温度より高いことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
V2の最も低温の部分の温度が、V3およびV0の最も高温の部分の温度よりも好ましくは4℃高く、V1の最も低温の温度は、V2の最も高温の部分よりも好ましくは4℃高い、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
P1とP0の差が7.7bar以上である、請求項1~3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
P1が9.7bar(g)より高く、P2が6.9~13bar(g)の間に含まれる、請求項1~4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
P1が好ましくは17bar(g)、P2が好ましくは9bar(g)、P3が好ましくは0.98bar(g)である、請求項1~5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
E0の熱負荷がE1の負荷より少なくとも30%小さい、請求項1~6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
B3が、循環流から除去された水を含み、V3の下部から回収される、請求項1~7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
圧力P0の安定化塔V0を含み、安定化塔V0は、対応して減少する圧力P1、P2およびP3の少なくとも3つの蒸留塔V1、V2およびV3と直列に接続されており、ここで、各塔が熱交換器E0、E1、E2およびE3に関連しており、前記熱交換器はその塔用のリボイラーである、メタノールの蒸留のための装置であって、
a)熱交換器E0とE3は、塔V2の凝縮器であり;
b)熱交換器E2は、塔V1の凝縮器であり;
c)E1は、前記装置の外部に、流入する熱流を有し;
d)P3<2bargである、
ことを特徴とする、前記装置。
【請求項10】
E1への外部熱流が蒸気または顕熱を含む合成ガスである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
E1に必要な蒸気の量が1.3kg/生成物メタノールkg未満である、請求項9~10のいずれか一つに記載の少なくとも1つの装置を含む、請求項1~8のいずれか一つに記載のメタノールの蒸留のためのプラント。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一つに記載のメタノールの蒸留のための、請求項11に記載のプラントにおける請求項9~10のいずれか一つに記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願分野
本発明は、メタノールを蒸留するための方法、装置およびプラントに関する。この方法および装置は、エタノールのような他の製品を蒸留するために使用することもできる。
【背景技術】
【0002】
背景技術
メタノール合成プラントの生成物は、一般に粗メタノールと定義されるが、エタノール、ケトン、高級アルコール、および主にH、CO、CO、N、CHを含むいくつかの溶存ガスを含む合成反応の副生成物を含むメタノール水溶液であることが知られている。
【0003】
この粗メタノールは、市場で要求される純度規格に適合するように蒸留される。例えば、グレードAAでは、最小メタノール濃度が99.85質量%であり、エタノールが10ppmを超えないことが要求される。
【0004】
既知の蒸留方法は、実質的に1本以上の蒸留塔に基づいており、典型的には、少なくとも1本の塔により、塔の頂部で回収された軽い製品(例えばガス)をメタノールから分離することができ、少なくとも1本の塔により、塔の底部で回収された重い製品(例えば水溶液)をメタノールから分離することができる。
【0005】
メタノールの蒸留などに広く用いられている特定の方法は、大気圧または大気圧に近い圧力で作動する2本の塔(カラム)を含む。より具体的には、当該方法は、安定化塔またはプレラン塔として知られる予備処理塔と、第2の蒸留塔とを使用する。第1の塔は、実質的に粗メタノールに含まれるより揮発性の高い成分を分離する目的を実施的に有し、粗メタノールを受けて、頂部で軽い成分を分離し、底部で水溶液を分離するものである。濃縮塔として知られる2番目の塔で実際の蒸留が行われ、(i)頂部に精製メタノール、(ii)底部に主に水溶液(「ボトム水」)、(iii)主に水、残留メタノール(全体の約1%)および合成反応の副産物の大部分を含む「フーゼル油」として知られる副流が得られる。前記フーゼル油は一定の発熱量を有し、通常、合成ガス生成のための燃料または原料として使用される。
【0006】
各塔は、塔の底部を加熱し、蒸留プロセスへの熱入力を維持するリボイラーを備える。各塔はまた、頂部の生成物を凝縮し、前記塔に再循環させる(少なくとも部分的に)凝縮器(コンデンサー)を含む。適当な熱レベルで、蒸気またはプロセスガスによって、熱が濃縮(または蒸留)塔へ供給される。凝縮器のための冷却媒体は、通常、水または空気である。2本の塔を有する前記構成は、プラント(例えば、メタノール蒸留プラント)の観点からは単純であるが、底部リボイラーに供給される熱によるものと、頂部凝縮器の冷却水および/または電力の消費によるものの両方により、かなりの量のエネルギーを消費するという大きな欠点がある。さらに、生産能力に対して塔の直径が比較的大きく、その結果、プラントコストが高くなる。
【0007】
2基の底部リボイラーの消費熱量は、精製メタノール1トンあたり約3.35x10J(0.8Gcal)のオーダーである。粗メタノール1トンの生産に必要なエネルギー消費量は約(25.10~33.47x10J)6~8Gcalであるから、蒸留のエネルギー消費量の桁は、プラントの総消費量の10%と推定される。凝縮器で処分される熱は、リボイラーで交換される熱と同程度である。理論的には、例えば、冷却水のみで前記熱を除去する場合、循環する流量は、すなわち、メタノール1トン当たり約80mとなるのが適切であり、その結果、ポンプ等のコストが高くなる。
【0008】
これらの欠点を少なくとも部分的に低減しようとする他の既知の蒸留プラントおよび方法が存在する。
【0009】
US4210495は、3つの蒸留塔、すなわち、予備処理塔または安定化塔と2つの濃縮塔、それぞれ約7~8bar(バール)の中圧で作動する塔と最終濃縮塔を有する方法が記載されている。安定化塔および最終濃縮塔は、実質的に大気圧またはそれよりわずかに高い圧力(例えば1.5bar)で操業される。このような構成により、大気圧の最終塔の底部リボイラーにおいて中圧塔の頂部蒸気を凝縮させ、熱を回収することが可能となり、この概念は「スタッガード塔」または「カスケード塔」として知られている。スタッガード塔の概念は、例えば、高圧の濃縮塔によって中間圧で運転する濃縮塔に熱を供給し、その濃縮塔が低圧で運転する塔に熱を供給するなど、複数回使用することも可能である。しかし、安定化塔と最高圧力で作動する濃縮塔の両方を加熱する必要があるため、2塔式のプラントに比べて比消費量は少なくなるものの、依然として高いままである。
【0010】
この考えをさらに発展させたものがWO2013110369に開示されており、最終蒸留塔を最高圧力で運転し、最終濃縮塔からの頂部蒸気を凝縮させ安定化塔のリボイラーに熱供給できる方法が記載されている。この構成により、US4210495に記載の方法の構成と比較してエネルギーを削減することが可能となるが、この構成には、すべての濃縮塔が他の必要以上に高圧で作動するという重大な欠点があり、この構成のさらなる欠点は、安定化塔に必要な熱量が最終濃縮塔に必要な熱量よりはるかに(~30-70%)低いので安定凝縮器の負荷および最終濃縮塔リボイラーの負荷の間に不一致があることである。
【0011】
安定器凝縮器の負荷と最終濃縮塔リボイラーの負荷の不一致の意味は、最終濃縮塔の凝縮の負荷の一部を空気または水で冷却する別の凝縮器で供給するか(余分なコストとエネルギー消費)、安定化塔が不必要に大きくなる(直径)ことである。
【0012】
濃縮塔の圧力が上がることの欠点は2倍となる。第1に、濃縮塔の圧力が高くなると、熱源の規格が厳しくなり、2本の交互配置の濃縮塔を加熱するのには問題ない熱源でも、この構成から生じる3本の交互配置の濃縮塔を加熱するのには問題ないとは限らない。さらに、濃縮塔の分離効率は、圧力が高くなると低下することも欠点である。このことは、表1および表2に示すように、所定の蒸留塔のエネルギー消費量の増加につながる。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】US4210495
【特許文献2】WO2013110369
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
文献WO2013110369は、底部リボイラーに供給される熱と、頂部凝縮器の冷却水および/または電力の消費の両方により、相当量のエネルギーを消費する問題に対処している。しかし、メタノールの蒸留のために2本超の濃縮塔を有する場合にこの問題を効率的に解決し、同等のエネルギーの節約を可能にする解決策は提供(または示唆)されていない。
【0017】
当該文献によれば、実質的に高い底部圧力(すなわち、本発明の塔V3に相当する最終蒸留塔)を採用することで、省エネルギーと熱流の最適化が可能になり、本発明の塔V3に対応することになる最終蒸留塔において)、および(本発明のP3に対応することになる)底部圧力を高めることによって、底部のステージにおいて生成するガス状態(気体状態)の蒸留メタノールは、頂部のステージにおける温度(本発明の安定塔V0に対応することになる)よりも実施的に高い温度を有しており、予備頂部のステージ用の熱源として前記蒸留メタノールの流れが使用できるように十分であることを示唆している。当該文献は、頂部のステージの加熱のための熱(例えば凝縮蒸気からの)の消費を低減または排除することを可能にすることを主張する。塔400で蒸留されるガス状メタノールの温度が塔100の底部の液体の温度よりも実質的に大きくなるように、底部のステージでの圧力p4は、トッピング圧力p1よりも実質的に高いことを開示している。また、このような温度差は少なくとも10℃であること、すなわち、塔400の頂部のガス状メタノールの温度は、塔100の底部の液体の温度よりも少なくとも10℃高いことを開示している。これは、前記ガス状メタノールの少なくとも一部を、トッピング塔100を加熱するために使用することができるものである。
【0018】
また、CN108101748およびその他の文献には、4つの塔を用いて粗メタノールからメタノールを製造するメタノール精製の省エネルギープロセス方法および装置であって、運転エネルギー消費量の低減に言及しているが、これをどのように実現するか、プロセス条件はどうであるかは明確ではないし、示唆もされていない。
【0019】
発明の説明
本発明は、メタノール(図1)の蒸留のための装置および方法に関するが、エタノールなど他の製品の蒸留にも適用可能である。
【0020】
本発明は、揮発性成分を除去するための安定化ステージとして知られる前処理ステージおよび蒸留のための1つまたは2つ以上の塔を含む濃縮ステージを含む粗中間製品(例えば、メタノール)の蒸留工程におけるエネルギーおよび冷却水および/または電力の消費を低減する目的を有している。
【課題を解決するための手段】
【0021】
このような目的は、本発明の好ましい実施形態において、粗メタノール(A)の流れの精製または蒸留のための方法で達成され、当該方法は以下を含む
(i)揮発性成分の分離のために、圧力P0で安定化塔V0においてメタノールの粗製流Aを前処理し、V0の上部から軽いガスの流れLが得られ、V0の下部からメタノールを含む液体流B0が得られ、
(ii)次に、B0を、圧力P1で、濃縮塔V1に向けられ、
(iii)V1の上部から回収されたガス流T1が熱交換器E2において凝縮され、濃縮塔V2にエネルギーを供給し、
(iv)工程(iii)で得られた凝縮メタノールの一部が生成物C1に送られ、凝縮メタノールの残部がV1の上部に加えられ、還流として使用され、
(v)メタノールを含む液体流B1がV1の下部から回収され、圧力P2で、V2に通され、
(vi)V2の上部から回収された気体流T2が2つに分割され、一方の流れが熱交換器E0で凝縮され、V0にエネルギーを供給し、そして他方の流れが熱交換器E3で凝縮され、濃縮塔V3にエネルギーを供給し、
(vii)ステップ(vi)で得られた凝縮メタノールの一部が生成物C2に送られ、凝縮メタノールの残部がV2の上部に加えられ、還流として使用され、
(viii)メタノールを含む液体流B2をV2から回収し、圧力P3で、V3に通され、
(ix)V3の上部から回収されたガス流T3が凝縮され、凝縮されたメタノールの一部は生成物C3に送られ、残部はV3の上部に加えられ、還流として使用される。
(x)高級アルコールおよび他のマイナーな副生成物を含む1つまたは複数の側流HがV3から取り出され、液体流B3がV3から取り出され、
ここで
-塔V1、V2およびV3は、P1>P2>P3であるように、減少する圧力で作動、
-P0>0bargおよびP3>0bargであり、
-各塔V0、V1、V2およびV3は、同じ塔のためのリボイラーである熱交換器E0、E1、E2およびE3に対応して関連づけられ、
-熱交換器E0およびE3は、塔V2用の凝縮器であり、
-熱交換器E2は、塔V1のための凝縮器であり、
-P3<2barg;および
-熱交換器E1は、外部エネルギー源から供給されることを特徴とする方法である。
【0022】
また、本発明は、メタノールの蒸留のための装置であって、安定化塔V0を含み、圧力P0で安定化塔V0を、対応する減少した圧力P1、P2およびP3で少なくとも3つの蒸留塔V1、V2およびV3と直列に接続してなり、各塔が熱交換器E0、E1、E2およびE3に関連しており、前記熱交換器はその塔用のリボイラーであり、
a)熱交換器E0とE3は、塔V2の凝縮器である。
b)熱交換器E2は、塔V1の凝縮器である;。
c)E1は、前記装置の外部に流入する熱流を有する。
d)P3<2barg
であることを特徴とし、
と同様に、本発明による少なくとも1つの装置を含む、メタノールの蒸留のためのプラントであって、E1に必要な蒸気の量が1.3kg/kgの生成メタノール未満であり、またメタノールの蒸留のための前記装置の使用も提供するものである。
【0023】
本発明の方法は、好ましくは、V0、V1、V2およびV3の少なくとも4つの塔を含むが、より多くの濃縮塔、すなわち、V1からVnまでの、圧力を低下させて作動する、好ましくは直列に接続された塔を含むことができる。
【0024】
前記濃縮塔はすべて、蒸留生成物C1、C2、C3などの一部が各濃縮塔の上部から回収され、残りの液体B0、B1、B2、B3などが他の塔(複数)に、例えば、最終濃縮塔まで渡されるように作動する。本発明の好ましい実施形態では、前記塔はV3であり、そこから製品C3の最終画分が上部から回収され、主に水を含む流れB3が底部から回収され、しばしばフーゼル油と呼ばれる混合物が最後の濃縮塔からの側流H-通常は供給トレイと塔の底部との間で取り出される-から回収される。
【0025】
熱交換は、好ましくは、凝縮器/リボイラーE0、E1、E2およびE3において行われる。前記熱交換器は、チューブバンドルまたはプレート交換器であってよく、その中で、蒸留されたメタノールは高温側で凝縮し、溶液は低温側で蒸発する。
【0026】
好ましくは、安定化工程および低圧濃縮塔用の凝縮器の圧力は、両方とも大気圧よりわずかに高く、例えば0.1~0.5bar(バール)であり、それによって典型的には安定化工程用のリボイラー内の圧力は0.5~1.5barとなり、熱供給を行う濃縮塔用の凝縮器の圧力は少なくとも2barである。その結果、熱を供給する塔のためのリボイラー内の圧力は、2~8barの範囲であり、より好ましくは約7barである。
【0027】
いくつかの実施形態においては、複数の濃縮塔と複数の圧力レベルを含むが、2番目に低い圧力レベルを有する塔が、常に安定化工程に熱を供給する。
【0028】
記載された前処理(安定化)および濃縮ステージは、必要に応じて、単一の塔または多数の塔を並行して使用して実施することができる。
【0029】
最終濃縮塔V3は、蒸留メタノールC3、主に水からなる溶液B3を生成し、いわゆるフーゼル油に代表される側流Hを生成することもできる。フーゼル油の側流は、適宜、中間蒸留ステージから抽出することもできる。
【0030】
メタノールとエタノールの相対揮発率は低圧で最も高いので、分離をできるだけ低い圧力で行うことが有利である。
【0031】
塔1が他の塔2から熱を受け取るたびに、塔1の温度レベルは上昇し、したがって塔2の圧力も塔1よりも高くする必要がある。これは、温度の高い塔の凝縮器として、また温度の低い塔のリボイラーとして機能する熱交換器において、望ましい駆動力を得るために必要である。この温度差は、好ましくは4~10℃である。さらに、外部熱源(典型的には蒸気)の温度レベルは、最も高い温度レベルを持つ塔の底部の温度レベルより4~10℃高くすることが好ましい。いくつかの先行技術文献は、安定化塔の上に全ての濃縮塔をずらして配置することを示しているが、それらは、最終濃縮塔が安定化塔と同じ圧力レベル、したがって本質的に同じ温度レベルで作動する本発明の場合よりも外部熱源の温度レベルに対して高い要求を持つことになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図面の簡単な説明
図1は、本発明によるメタノールの蒸留プロセスの好ましい実施形態を表し、圧力P1>P2>P3と減少する3つの濃縮塔V1、V2およびV3が、圧力P0の安定化塔V0に接続されており、ここで、以下の通りである。
a. A:粗メタノール供給
b. V0:圧力P0における安定化塔
c. V1、V2、V3:圧力P1>P2>P3における濃縮塔
d. B0:安定化塔V0の下部から回収されたメタノールを含む液体流
e. B1、B2、B3:濃縮塔V1、V2、V3の下部から回収されたメタノールを含む液体流
f. C1、C2、C3:メタノールを蒸留した生成物液体
g. E0,E1,E2,E3:熱交換器
h. T0:安定化塔V0の上部から回収されるガス流
i. T1,T2,T3:濃縮塔V1、V2、V3の上部から回収されるガス流
j. L:V0からの軽いガス流
k. H:V3から回収された側流
l. S:流れの分割。
【発明を実施するための形態】
【0033】
定義
「大気圧」とは、1.01325bar、すなわち、約1barを意味する。
【0034】
「濃縮塔」または「蒸留塔」または「塔底」、Vnここでn≠0(V1、V2またはV3など)、一連のステージに分けられた塔を意味する。これらは平衡ステージのカスケード(cascade)に相当する。液体はステージからステージへと塔を下に流れ、上方に流れる蒸気に接触する。従来、ほとんどの蒸留塔は「トレイ」または「プレート」の集合で構成されており、これらの用語は「ステージ」と本質的に互換性がある。蒸留塔の各トレイは、ステージ上の蒸気と液体の接触を促進するように設計されている。蒸留は充填塔で行うことができる(吸収がトレイ式塔で行えるのと同様)。ステージは上から下へ、または下から上へと番号が振られていることがある。塔の上部から回収される流れは、オーバーヘッド製品、T、「オーバーヘッド」、「頂部生成物(トップ生成物)」と呼ばれる。留出物Cは、使用する凝縮器の種類に応じて、液体または蒸気(場合によっては両方)であってもよい。留出物流量を本明細書ではCとし、塔の下部から回収される生成物をボトム生成物と呼ぶことがあり、本明細書では記号Bを与える。状況によっては、1つ以上の「側生」生成物Hが塔から除去されることがある。供給トレイの上の塔の部分は、精留部と呼ばれる。この部分では、還流液との接触により蒸気が濃縮される。供給トレイの下にある塔の部分は、ストリッピング部と呼ばれる。供給の液体部分がこの部分の還流液として機能する。塔の作動圧力Pn(P1、P2、P3など)は、通常、熱交換器での除熱を調整することにより制御される。塔の基部は、通常、底部トレイから出る液体を保持するためのリザーバーとして使用される。この液体を沸騰させるために、リボイラーなどの熱交換器が使用される。その結果生じる蒸気、「ボイルアップ」は塔の底部に戻される。
【0035】
「凝縮器」は、濃縮塔の上部から集められたガスまたは蒸気の流れを凝縮させるための冷却工程を提供するために必要である。凝縮された蒸気は、分離の鋭さを高めるために、部分的に塔の頂部に還流される(還流比が大きいほど、分離は良好になる)。凝縮器には、全体凝縮器と部分凝縮器がある。全体凝縮器では、頂部の蒸気がすべて凝縮されて液体になるが、部分凝縮器では、蒸気の一部だけが凝縮され、液体は塔に還流され、凝縮されなかった蒸気はさらなる処理のために吸引される。この場合、部分凝縮器は追加のVLE分離とみなすことができるが、全体凝縮器では、塔の最頂部の生成物は還流と同じ組成を持つ。
【0036】
「粗(粗製)メタノール」Aは、メタノール、典型的には65~95%のメタノール、水および他の成分を含む溶液を意味する。粗メタノールAは、低沸点成分と高沸点成分(軽末、重末)を含む。軽末端Lには、主に溶存ガス(例えば、CO2)、ジメチルエーテル、ギ酸メチル、アセトンなどが含まれる。重末端Hには、高級アルコール、長鎖炭化水素、高級ケトン、低級アルコールと蟻酸、酢酸、プロピオン酸とのエステルなどが含まれる。
【0037】
「蒸留」または「分別蒸留」または「分別」とは、液体混合物を組成の異なる2つ以上の蒸気または液体生成物に分離する工程を意味する。蒸留は平衡ステージ操作である。各ステージにおいて、蒸気相は液相と接触し、質量は蒸気から液体へ、液体から蒸気へと移動する。揮発性の低い「重い」または「高沸点」の成分は液相に集中し、揮発性の高い「軽い」成分は蒸気に濃縮する。リサイクルと連続する多くのステージにより、分離が可能になる。蒸留塔への供給は、液体、蒸気、または液体と蒸気の混合物である。また、塔内のどの位置から供給してもよい。複数の流れがシステムに供給され、複数の生成物が抽出されることもある。T0、T1、T2、T3などの塔の頂部から出た蒸気は、熱交換器を通過し、そこで一部または全部が凝縮される。得られた液体は、一時的に「アキュムレータ(貯留槽)」または還流ドラムに保持される。液体流はドラムから引き出され、還流として塔の頂部のトレイに戻され、分離が促進される。
【0038】
「平衡ステージ」または「理論プレート」とは、蒸留などの多くの分離工程において、物質の液相と気相のような2つの相が互いに平衡を確立する仮想的なゾーンまたはステージを意味する。このような平衡ステージは、理想ステージまたは理論トレイと呼ばれることもある。多くの分離工程の性能は、一連の平衡ステージを有することに依存し、そのようなステージをより多く提供することによって向上する。言い換えれば、より多くの平衡ステージを有することは、分離工程の効率を高める。
【0039】
蒸留塔への「供給」または「塔供給」は、液体、蒸気、または液体-蒸気混合物であってもよい。最適な供給トレイの位置を決定し使用する必要があるが、塔のどの位置から入ってもよい。また、1つ以上の流れがシステムに供給され、1つ以上の生成物が抽出されることもある。供給の熱的条件は塔内部流を決定する。供給が沸点未満である場合、気化できるところまで上げるために熱が必要である。この熱は、塔内を上昇する蒸気を凝縮させて得る必要があるため、塔を下降する液体流は、供給物と凝縮物の全量だけ増加し、上昇する蒸気の流れは減少する。
【0040】
安定化塔V0および濃縮塔、例えば、V1、V2またはV3の頂部から回収されるT0、T1、T2またはT3などの「ガス流」は、前記塔の上部から回収される蒸留工程から生じる流れである。このような流れは、主にメタノールからなり、V3などの最後の濃縮塔から回収されるT3などのガス流が不純物の含有量を非常に低くするまで、不純物の含有量が徐々に低くなる。C1+C2+C3の混合生成物流は、要求される製品仕様(例えばグレードAA)を満たすことが要件となる。
【0041】
「熱負荷」または「負荷」とは、単位時間内に高温側から低温側へ移動するために必要な熱量を意味する。熱負荷の計算式は通常2通りある。a)1つは、流体が相変化を起こさない顕熱移動に使用できるもの、b)もう1つは、流体が、例えば、凝縮などの相変化を起こす潜熱移動に使用できるものである。
【0042】
「熱交換器」とは、2つ以上の流体の間で熱を移動させるために使用されるシステムをいう。熱交換器は、冷却と加熱の両方の工程で使用される。流体は、混合を防ぐために固体壁で分離されていてもよいし、直接接触していてもよい。特に、「熱交換器」とは、リボイラー/凝縮器、例えばE0、E1、E2、E3などのことを意味し、例えば、シェル側で溶液を蒸発させ、チューブ側で留出液を凝縮させる(またはその逆)、チューブバンドル(管束)交換器などである。また、シェル内に熱交換プレートを収納したプレート式熱交換器を使用することも可能である。
【0043】
「部分リボイラー」とは、塔ベースの液体の一部のみを蒸発させるリボイラーをいう。生成された蒸気は塔に戻され、液体流は製品として、または追加の塔への供給として除去される。これらの3つの流れの組成は異なっている。部分リボイラーも理想的な分離ステージを提供する。側流リボイラーを使用し、トレイから液体を抜き取り、加熱し、その後、蒸気液体混合物を同じトレイまたは類似のトレイに戻すことができる。
【0044】
「重い副生成物」または「側流」Hは、最後の濃縮塔から回収された高級アルコールおよびその他の副生成物を含む流れを意味し、典型的には、供給トレイと塔の底部の間に取り出される。これは「フーゼル油」とも呼ばれ、水、残留メタノール(全体の約1%)、および合成反応の副生成物の大部分を含む。フーゼル油は一定の熱量を持ち、通常、燃料として、あるいは合成ガス発生部への供給として使用される。また、適宜、中間蒸留ステージからフーゼル油の側流を抽出することもできる。
【0045】
「中間生成物」とは、供給流A、生成物流C1、C2、C3、L、HおよびB3とは別に、多段蒸留の塔間および塔から出る蒸気および液体流を意味する。
【0046】
「軽い副生成物」または「軽いガス」または「軽端末」Lは、安定化塔V0、好ましくはV0の上部から得られるガス流を意味し、主に溶存ガス(例えば、CO)、ジメチルエーテル、ギ酸メチルおよびアセトンが挙げられる。
【0047】
「メタノールを含む液体流」、例えばB0、B1、B2またはB3は、安定化塔V0の下部およびV1、V2およびV3などの濃縮塔から回収される流を意味する。蒸留が進むにつれて、この流れは、徐々に低い量のメタノールと高い量の水を含み、V3などの最後の濃縮塔から回収されるB3などの最後の流れが、主に水と残留量、好ましくは50ppm未満のメタノールのみを含む。
【0048】
「下流」または「底流」は、V0、V1、V2およびV3などの塔の下部から得られるまたは回収される流れを意味する。
【0049】
「圧力」Pは、ゲージ圧を意味し、bar(g)で測定される。ゲージ圧は大気圧に対する相対的な圧力であり、大気圧以上の圧力では正、それ以下の圧力では負である。barとbar(g)の差は、考慮される基準の差である。圧力の測定は常に基準に対して行われ、圧力測定器で得られた値に対応する。圧力測定における基準が真空の場合、絶対圧が得られ、bar単位でのみ測定される。基準圧力が大気圧の場合、圧力はbar(g)で示される。
【0050】
「生成物」、例えば、C1、C2、C3は、V1、V2、V3などの濃縮塔から回収された蒸留メタノールの液体である。
【0051】
「リボイラー」とは、工業用蒸留塔の底部に熱を供給するために通常使用される熱交換器を意味する。リボイラーは、蒸留塔の底部から液体を沸騰させて蒸気を発生させ、この蒸気をV0、V1、V2、V3などの塔に戻し、蒸留分離を駆動させるものである。塔の底部のリボイラーから塔に供給された熱は、塔の頂部の凝縮器で除去される。リボイラーはシェル&チューブ熱交換器型が多く、通常その熱源には蒸気が使用される。しかし、高温の合成ガスや石油、ダウサーム(TM)など、他の熱媒を使用することもできる。また、燃料燃焼炉がリボイラーとして使用される場合もある。
【0052】
「流れの分割」Sは、少なくとも1つの元の流れ(液体またはガス)を2つの別々の流れまたは副流(液体またはガス)に分離することを意味する。本発明の文脈においては、Sは、V2の上部から回収されたガス流T2が2つの導出流または副流に分割される場所を示し、一方の流れまたは副流は熱交換器E0で凝縮されてV0にエネルギーを供給し、他方の流れまたは副流は熱交換器E3で凝縮されて濃縮塔V3へエネルギーを供給する。
【0053】
「安定化塔」またはトッピング塔またはプレラン塔またはV0は、粗製メタノールなどの粗生成物に含まれる、より揮発性の高い成分をより重い成分から分離するためのものである。
【0054】
「揮発性成分」または「揮発性物質」とは、低温で容易に気化する成分または物質を意味する。揮発性は、蒸気が液体や固体に凝縮する傾向も表すことができる。揮発性の低い物質は、揮発性の高い物質よりも蒸気から凝縮しやすい。蒸気圧は、ある温度で凝縮した相がどれだけ容易に蒸気を形成するかを測定するものである。密閉容器に封入された物質は、最初は真空(内部に空気がない)であり、空いた空間はすぐに蒸気で満たされる。系が平衡に達し、蒸気が発生しなくなった後、この蒸気圧を測定することができる。温度を上げると生成される蒸気の量が増え、したがって、蒸気圧も上がる。混合物中においては、各物質が混合物全体の蒸気圧に寄与し、より揮発性の高い化合物がより大きく寄与する。沸点は、液体の蒸気圧が周囲の圧力と等しくなり、液体が急速に蒸発、または沸騰する温度である。蒸気圧と密接な関係があるが、圧力に依存する。通常の沸点は大気圧での沸点であるが、より高い圧力とより低い圧力でも圧力での沸点も報告されることがある。
【0055】
「上流」または「頂流」は、V0、V1、V2およびV3などの塔の上部から得られるまたは回収される流れを意味する。
【0056】
好ましい実施形態
(1)
(i)揮発性成分の分離のために、圧力P0で安定化塔V0においてメタノールの粗製流Aを前処理し、V0の上部から軽いガスの流れLを得て、V0の下部からメタノールを含む液体流B0を得て、
(ii)次に、B0が、圧力P1で、濃縮塔V1に向けられ、
(iii)V1の上部から回収されたガス流T1が熱交換器E2において凝縮され、濃縮塔V2にエネルギーを供給し、
(iv)工程(iii)で得られた凝縮メタノールの一部が生成物C1に送られ、凝縮メタノールの残部がV1の上部に加えられ、還流として使用され、
(v)メタノールを含む液体流B1がV1の下部から回収され、圧力P2で、V2に通され、
(vi)V2の上部から回収されたガス流T2が2つの分離流に分割され(S)、一方の流れが熱交換器E0で凝縮され、V0にエネルギーを供給し、そして他方の流れが熱交換器E3で凝縮され、濃縮塔V3にエネルギーを供給し、
(vii)ステップ(vi)で得られた凝縮メタノールの一部が生成物C2に送られ、凝縮メタノールの残部がV2の上部に加えられ、還流として使用され、
(viii)メタノールを含む液体流B2をV2から回収し、圧力P3で、V3に通され、
(ix)V3の上部から回収されたガス流T3が凝縮され、凝縮されたメタノールの一部は生成物C3に送られ、残部はV3の上部に加えられ、還流として使用され、
(x)高級アルコールおよび他のマイナーな副生成物を含む1つまたは2つ以上の側流HがV3から取り出され、液体流B3がV3から取り出されることを含み、
ここで
-塔V1、V2およびV3は、P1>P2>P3であるように、減少する圧力で作動し、
-P0>0bargおよびP3>0bargであり、
-各塔V0、V1、V2およびV3は、同じ塔のためのリボイラーである熱交換器E0、E1、E2およびE3に対応して関連づけられ、
-熱交換器E0およびE3は、塔V2のための凝縮器であり、
-熱交換器E2は、塔V1のための凝縮器である、
メタノール蒸留のための方法であって、
-P3<2bargであり;かつ
-熱交換器E1が、外部エネルギー源から供給されることを特徴とする、前記方法。
【0057】
(2)
V2の最も低温の部分の温度がV3およびV0の最も高温の部分の温度より高く、V1の最も低温の部分の温度がV2の最も高温の部分の温度より高いことを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
【0058】
(3)
V2の最も低温の部分の温度が、V3およびV0の最も高温の部分の温度よりも好ましくは4℃高く、V1の最も低温の部分の温度は、V2の最も高温の部分よりも好ましくは4℃高い、実施形態1または2に記載の方法。
【0059】
(4)
P1とP0の差が7.7bar以上である、実施形態1~3のいずれか一つに記載の方法。
【0060】
(5)
P1が9.7bar(g)より高く、P2が6.9~13bar(g)の間に含まれる、実施形態1~4のいずれか一つに記載の方法。
【0061】
(6)
P1が好ましくは17bar(g)、P2が好ましくは9bar(g)、P3が好ましくは0.98bar(g)である、実施形態1~5のいずれか一つに記載の方法。
【0062】
(7)
E0の熱負荷がE1の負荷より少なくとも30%小さい、実施形態1~6のいずれか一つに記載の方法。
【0063】
(8)
B3は、循環流から除去された水であり、V3の下部から回収される、実施形態1~7のいずれか一つに記載の方法。
【0064】
(9)
蒸留される粗生成物がエタノールまたは他の適切な生成物である、実施形態1~8のいずれか一つに記載の方法。
【0065】
(10)
圧力P0の安定化塔V0を含み、安定化塔V0は、対応して減少する圧力P1、P2およびP3の少なくとも3つの蒸留塔V1、V2およびV3と直列に接続されており、ここで、各塔が熱交換器E0、E1、E2およびE3に関連しており、前記熱交換器はその塔用のリボイラーである、メタノールの蒸留のための装置であって、
a)熱交換器E0とE3は、塔V2の凝縮器であり;
b)熱交換器E2は、塔V1の凝縮器であり;
c)E1は、前記装置の外部に、流入する熱流を有し;
d)P3<2bargである、
ことを特徴とする、前記装置。
【0066】
(11)
E1への外部熱流が蒸気または顕熱を含む合成ガスである、実施形態10に記載の装置。
【0067】
(12)
蒸留される粗生成物がエタノールまたは他の適切な生成物である、実施形態10および11に記載の装置。
【0068】
(13)
E1に必要な蒸気の量が1.3kg/生成物メタノールkg未満である、実施形態10~11のいずれか一つに記載の少なくとも1つの装置を含む、実施形態1~9のいずれか一つに記載のメタノールの蒸留のためのプラント。
【0069】
(14)
実施形態13に記載のプラントにおける、実施形態1~9のいずれか一つに記載のメタノールの蒸留のための、実施形態10~11のいずれか一つに記載の装置の使用。
【0070】
(15)
圧力P0で安定化塔V0に接続された、圧力P1>P2>P3と減少する、N濃縮塔V1、V2、V3およびVnまでを含む、実施形態1~13による方法、装置およびプラントの使用、
ここで、
A:粗メタノール供給;
B0~Bn:塔V0~Vnの下部から回収されたメタノールを含む液体流;
C1~Cn:生成物、例えば、液体蒸留メタノール;
E0~En:エネルギー流、特に熱交換器;
T0~Tn:塔V0~Vnの上部から回収されるガス流;
L:安定器からの軽いガス流;
H:最終濃縮塔Vnから回収された重い側流;
S:流れTn-1を2つのサブ分離流に分割し、一方のサブ流を熱交換器E0で凝縮してV0にエネルギーを供給し、他方のサブ流を熱交換器Enで凝縮して濃縮塔Vnにエネルギーを供給する;
V0:安定化塔;
V1~Vn:濃縮塔;
ここで
-V1、V2およびVnまでの塔は、P1>P2およびPnまでのように、減少する圧力で作動し、
-P0>0barg、Pn>0bargであり、
-各塔V0、V1、V2、Vnは、同じ塔のリボイラーである熱交換器E0、E1、E2、Enに対応し、
-熱交換器E0とEnは、塔Vn-1のための凝縮器であり;
-熱交換器E2は、塔V1のための凝縮器であるる。
かつ、ここで、
-Pn<2barg;および
-熱交換器E1は、外部エネルギー源から供給される。
図1
【国際調査報告】