(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】金属ピロクトン錯体を含むパーソナルケア組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20230713BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q5/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022567358
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(85)【翻訳文提出日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2021061346
(87)【国際公開番号】W WO2021224118
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/089262
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/078255
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ゴールディング,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】メリントン,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ウッド,イアン・ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ウェイ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB332
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC472
4C083AC712
4C083AC781
4C083AC782
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC931
4C083AC932
4C083AD151
4C083AD351
4C083AD352
4C083BB01
4C083BB05
4C083BB34
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE23
(57)【要約】
界面活性剤不溶性ピロクトン錯体と界面活性剤とを含むパーソナルケア組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤と金属ピロクトン錯体とを含むパーソナルケア組成物であって、前記金属ピロクトン錯体が、20℃の5重量%SLES1EO界面活性剤水溶液中で2重量%以下の溶解度を有する、パーソナルケア組成物。
【請求項2】
前記不溶性ピロクトン錯体が、マンガンピロクトン錯体または銅ピロクトン錯体である、請求項1または請求項2に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項3】
前記不溶性ピロクトン錯体が、銅ビスピロクトンおよび/またはマンガンビスピロクトンである、請求項1または請求項2に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項4】
前記界面活性剤が洗浄界面活性剤である、請求項1から3のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項5】
前記洗浄界面活性剤がアニオン性界面活性剤、好ましくはエトキシ化アニオン性界面活性剤である、請求項4に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項6】
両性界面活性剤をさらに含む、請求項4または請求項5に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項7】
カチオン性ポリマーをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項8】
前記カチオン性ポリマーがカチオン性グアー誘導体である、請求項7に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項9】
シリコーンをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項10】
ピロクトン錯体を組成物全体の0.01~2重量%、より好ましくは0.05~1重量%、最も好ましくは0.1~0.8重量%含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項11】
シャンプーである、請求項1から10のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物を毛髪または頭皮に適用することを含む、毛髪または頭皮を処置する非治療的方法。
【請求項13】
使用後に前記組成物を洗い流す、請求項12に記載の非治療的方法。
【請求項14】
ピロクトン化合物のUV分解を防止するためのヘアトリートメント組成物中の界面活性剤不溶性ピロクトン錯体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピロクトン錯体を含むパーソナルケア組成物、特にヘアケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フケは、世界中の多くに影響を及ぼす問題である。この状態は、死んだ皮膚細胞の塊が頭皮から脱落することによって現れる。これらは白色であり、審美的に不快な外観をもたらす。フケに寄与する因子は、マラセチア菌(Malassezia yeast)の特定のメンバーである。これらに対抗するために、フケ防止効果のための様々な活性物質を含むヘアトリートメント組成物が開発されている。ピロクトンオラミンなどのピロクトン化合物は、そのような活性物質の1つである。
【0003】
ピロクトン化合物の一般的な問題は、洗浄プロセス中に所望の表面上への活性物質の沈着が最小限であることである。所望の表面は、典型的には頭皮および/または毛髪である。例えば、ピロクトンオラミンなどのピロクトン化合物は、通常、ヘアトリートメント組成物に含まれる洗浄相の界面活性剤に可溶性である。過剰なすすぎプロセス中に、ピロクトンの大部分は、界面活性剤と共に洗い流されやすい。沈着不良はフケ防止活性の低さと相関しており、したがってフケの悪影響の緩和はほとんどない。今日まで、ヘアトリートメント組成物中のピロクトンオラミンの量を増加させることによってこの欠点を相殺する試みがある。そのような手法は、コストの増加、製剤の潜在的な不安定性、および毛髪の感覚に対する潜在的な悪影響などの様々な問題を引き起こす。したがって、それは業界が好む手法ではない。
【0004】
洗浄プロセス中の頭皮および/または毛髪の表面上へのピロクトン化合物、特にピロクトン酸またはピロクトンオラミンの沈着を改善する必要性が依然として存在する。また、ピロクトンオラミン系フケ防止剤のピロクトンを含む組成物のUV安定性を改善することも依然として必要とされている。
【0005】
本発明は、パーソナルケア組成物、特に、良好なUV安定性およびオクトピロックス化合物の沈着を有するヘアトリートメント組成物に関する。
【発明の概要】
【0006】
本発明によれば、界面活性剤と金属ピロクトン錯体とを含むパーソナルケア組成物が提供され、金属ピロクトン錯体は、20℃で5重量%のSLES1EO界面活性剤水溶液中で2重量%以下の溶解度を有する。
【0007】
本発明はまた、ピロクトン化合物のUV分解を防止するためのヘアトリートメント組成物中の界面活性剤不溶性ピロクトン錯体の使用に関する。
【0008】
本発明のさらなる態様は、上述のパーソナルケアの適用を含む、毛髪または頭皮を処置するための非治療的方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例を除いて、または他に明示的に示されている場合を除いて、材料の量もしくは反応の条件材料の物理的特性および/もしくは使用を示す本明細書の全ての数字は、「約」という語によって修飾されると理解されてもよい。
【0010】
全ての量は、特に明記しない限り、組成物の重量による。
【0011】
値の任意の範囲を指定する際に、任意の上限値を任意の特定の下限値に関連付けることができることに留意されたい。
【0012】
本発明の特定の態様(例えば、本発明の組成物)に関して特徴が開示されている場合、そのような開示は、必要な変更を加えて本発明の任意の他の態様(例えば、本発明の方法)にも適用されると考えられるべきである。
【0013】
天然または天然由来の本出願で言及される任意の成分は、ヨーロッパから供給されている。
【0014】
本発明の組成物は、界面活性剤不溶性ピロクトン錯体と界面活性剤とを含むパーソナルケア組成物を含む。本出願の文脈において、界面活性剤不溶性ピロクトン錯体は、20℃で5重量%SLES1EO界面活性剤水溶液中の溶解度が2重量%以下である錯体である。
【0015】
ピロクトン錯体
界面活性剤不溶性ピロクトン錯体は、好ましくは不溶性金属ピロクトン錯体、より好ましくはマンガンピロクトン錯体または銅ピロクトン錯体、特に銅ビスピロクトンおよび/またはマンガンビスピロクトンおよび/またはマンガントリスピロクトンである。特に興味深いのは、銅ビスピロクトンおよび/またはマンガントリスピロクトンであり、銅ビスピロクトンが最も好ましい。
【0016】
好ましくは、界面活性剤不溶性ピロクトン錯体は、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)と金属塩との反応によって、より好ましくは以下の工程によって調製される。
【0017】
オクトピロックス(ピロクトンオラミン)を適切な溶媒に溶解し、金属塩を適切な溶媒に溶解した後、2つの溶液を合わせることは、金属ピロクトン錯体が形成されるような方法である。
【0018】
好ましくは、不溶性金属ピロクトン錯体を形成するために使用される金属塩は、金属塩化物である。
【0019】
ピロクトン錯体は、組成物の残りの部分に添加する前に、または組成物内でその場で形成され得る。
【0020】
好ましくは、ピロクトン錯体は、組成物全体の0.01~2重量%、より好ましくは組成物の0.05~1重量%、最も好ましくは0.1~0.8重量%で存在する。
【0021】
界面活性剤系
組成物は、特にヘアケア製品として使用される任意の一般的なパーソナル製品形態であってもよい。好ましくは、リンスオフ組成物であり、最も好ましくはフケ防止シャンプー組成物である。
【0022】
組成物は、パーソナルケア製品、特に製品形態に応じたヘアケア製品に一般的に見られる成分のいずれかを含み得る。
【0023】
例えば、組成物がシャンプーである場合、組成物は、シャンプーでの使用に適した少なくとも1つの洗浄界面活性剤を含む界面活性剤系を含む。それがコンディショニング利益を提供することを目的とする組成物である場合、それはコンディショニング活性物質を含む。適切なコンディショニング活性物質としては、脂肪アルコール、シリコーンおよびカチオン性界面活性剤が挙げられる。
【0024】
適切なアニオン性洗浄界面活性剤の例は、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルカリールスルホネート、アルカノイルイセチオネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、N-アルキルサルコシネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、ならびにアルキルエーテルカルボン酸およびその塩、特にそれらのナトリウム、マグネシウム、アンモニウムならびにモノ-、ジ-およびトリエタノールアミン塩である。アルキルおよびアシル基は、一般に、8~18個、好ましくは10~16個の炭素原子を含み、不飽和であってもよい。アルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルカルボン酸ならびにそれらの塩は、1分子当たり1~20個のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位を含有し得る。
【0025】
本発明の組成物に使用するための典型的なアニオン性洗浄界面活性剤には、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルエーテルカルボン酸およびN-ラウリルサルコシン酸ナトリウムが含まれる。
【0026】
好ましいアニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェートおよびアルキルエーテルサルフェートである。これらの材料は、それぞれの式ROSO3MおよびR-O(C2H4O)xSO3Mを有し、式中、Rは、8~18個の炭素原子のアルキルまたはアルケニルであり、xは、約1~約10の値を有する整数であり、Mは、アンモニウムなどのカチオン、アルカノールアミン、例えばトリエタノールアミン、一価金属、例えばナトリウムおよびカリウム、ならびに多価金属カチオン、例えばマグネシウムおよびカルシウムである。最も好ましくは、Rは、分枝鎖ではなく直鎖に12~14個の炭素原子を有する。
【0027】
好ましいアニオン性洗浄界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリルエーテル硫酸ナトリウム(n)EO(nは1~3)、より好ましくはラウリルエーテル硫酸ナトリウム(n)EO(nは1~3)、最も好ましくはラウリルエーテル硫酸ナトリウム1EOから選択される。
【0028】
好ましくは、アルキルエーテルサルフェートの量は、全組成物の0.5重量%~25重量%、より好ましくは全組成物の3重量%~18重量%、最も好ましくは6重量%~15重量%である。
【0029】
本発明の組成物中のアニオン性洗浄界面活性剤の総量は、一般に、0.5重量%~45重量%、より好ましくは1.5重量%~20重量%の範囲である。
【0030】
本発明の組成物は、非イオン性界面活性剤を含有し得る。最も好ましくは、非イオン性界面活性剤は、0~5重量%の範囲で存在する。
【0031】
本発明の組成物に含めることができる非イオン性界面活性剤には、脂肪族(C8-C18)の第一級または第二級の直鎖または分枝鎖のアルコールまたはフェノールとアルキレンオキシド、通常はエチレンオキシドとの縮合生成物が含まれ、一般に6~30個のエチレンオキシド基を有する。アルキルエトキシレートが特に好ましい。最も好ましいのは、式R-(OCH2CH2)nOHを有するアルキルエトキシレートであり、式中、RはC12-15アルキル鎖であり、nは5~9である。
【0032】
他の適切な非イオン性界面活性剤としては、モノ-またはジ-アルキルアルカノールアミドが挙げられる。例としては、ココモノ-またはジ-エタノールアミドおよびココモノ-イソプロパノールアミドが挙げられる。
【0033】
本発明のシャンプー組成物に含まれ得るさらなる非イオン性界面活性剤は、アルキルポリグリコシド(APG)である。典型的には、APGは、1つ以上のグリコシル基のブロックに結合した(架橋基を介してもよい)アルキル基を含むものである。好ましいAPGは、以下の式によって定義され、
RO-(G)n
式中、Rは、飽和であっても不飽和であってもよい分枝鎖または直鎖アルキル基であり、Gは、糖基である。Rは、約C5~約C20の平均長を有するアルキル鎖を表し得る。最も好ましくは、Rは、約C9.5~約C10.5の平均長さを有するアルキル鎖を表す。Gは、C5またはC6単糖残基から選択され得、好ましくはグルコシドである。Gは、グルコース、キシロース、ラクトース、フルクトース、マンノースおよびそれらの誘導体を含む群から選択され得る。好ましくは、Gはグルコースである。
【0034】
重合度nは、約1~約10以上の値を有してもよい。好ましくは、nの値は約1.1~約2である。最も好ましくは、nの値は約1.3~約1.5である。
【0035】
本発明での使用に適したアルキルポリグリコシドは市販されており、例えば、SeppicのOramix NS10、BASF(DeWolf)のPlantaren 1200およびPlantaren 2000として特定される材料が挙げられる。
【0036】
本発明の組成物に含めることができる他の糖由来非イオン性界面活性剤としては、C10-C18N-アルキル(C1-C6)ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、例えば国際公開第9206154号および米国特許第5194639号明細書に記載されているC12-C18N-メチルグルカミド、ならびにN-アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミド、例えばC10-C18N-(3-メトキシプロピル)グルカミドが挙げられる。
【0037】
両性または双性イオン性界面活性剤は、シャンプー組成物全体の0.5重量%~約8重量%、好ましくは1重量%~4重量%の範囲の量で含まれ得る。
【0038】
両性または双性イオン性界面活性剤の例としては、アルキルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン(スルタイン)、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアンホグリシネート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタイン、アシルタウレートおよびアシルグルタメートが挙げられ、アルキルおよびアシル基は8~19個の炭素原子を有する。本発明のシャンプーに使用するための典型的な両性および双性イオン性界面活性剤としては、ラウリルアミンオキシド、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタインおよびココアンホ酢酸ナトリウムが挙げられる。
【0039】
特に好ましい両性または双性イオン性界面活性剤はコカミドプロピルベタインである。
【0040】
前述の両性または双性イオン性界面活性剤のいずれかの混合物も適切であり得る。好ましい混合物は、コカミドプロピルベタインと上記のさらなる両性または双性イオン性界面活性剤との混合物である。好ましいさらなる両性または双性イオン性界面活性剤は、ココアンホ酢酸ナトリウムである。
【0041】
特に好ましい組成物は、以下を含む界面活性剤系を含む:組成物の10~20重量%のラウリル硫酸ナトリウムまたはラウリルエーテル硫酸ナトリウム(n)EO(nは1から3の範囲)、組成物の0.5~5重量%のコカミドプロピルベタイン、および組成物の0.5~5重量%のココアンホ酢酸ナトリウムまたはラウリルココアンホ酢酸ナトリウム。
【0042】
その他の成分
組成物はまた、以下の非必須成分の1つ以上を含み得る。
【0043】
pH調整剤
組成物のpHは、好ましくは5~8の範囲、より好ましくは6~7の範囲、例えば6.5である。組成物のpHは、当技術分野で周知のように、アルカリ剤(例えば、水酸化ナトリウムなど)または酸性剤(クエン酸など)を使用して調整することができる。
【0044】
カチオン性ポリマー
カチオン性ポリマーは、組成物の性能を高めるために、本発明によるヘアケア組成物中の好ましい成分である。
【0045】
カチオン性ポリマーは、ホモポリマーであってもよく、2種以上のモノマーから形成されてもよい。ポリマーの分子量は、一般に、5000~1000万、典型的には少なくとも1万、好ましくは10万~約200万の範囲である。ポリマーは、第四級アンモニウムもしくはプロトン化アミノ基、またはそれらの混合物などのカチオン性窒素含有基を有する。
【0046】
カチオン性窒素含有基は、一般に、カチオン性ポリマーの全モノマー単位の一部に置換基として存在する。したがって、ポリマーがホモポリマーでない場合、それはスペーサー非カチオン性モノマー単位を含有することができる。このようなポリマーは、CTFA Cosmetic Ingredient Directory,3rd editionに記載されている。カチオン性モノマー単位と非カチオン性モノマー単位との比は、必要な範囲のカチオン電荷密度を有するポリマーが得られるように選択される。
【0047】
適切なカチオン性コンディショニングポリマーとしては、例えば、カチオン性アミンまたは第四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーと、水溶性スペーサーモノマー、例えば(メタ)アクリルアミド、アルキルおよびジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクトンおよびビニルピロリジンとのコポリマーが挙げられる。アルキルおよびジアルキル置換モノマーは、好ましくはC1-C7アルキル基、より好ましくはC1-3アルキル基を有する。他の適切なスペーサーとしては、ビニルエステル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、プロピレングリコールおよびエチレングリコールが挙げられる。
【0048】
カチオン性アミンは、組成物の特定の種およびpHに応じて、第一級、第二級または第三級アミンであり得る。一般に、第二級および第三級アミン、特に第三級アミンが好ましい。
【0049】
アミン置換ビニルモノマーおよびアミンは、アミン形態で重合し、次に四級化によってアンモニウムに変換することができる。
【0050】
カチオン性コンディショニングポリマーは、アミン-および/または第四級アンモニウム-置換モノマーおよび/または適合性スペーサーモノマーから誘導されるモノマー単位の混合物を含むことができる。
【0051】
適切なカチオン性コンディショニングポリマーとしては、例えば、以下が挙げられる。
a)1-ビニル-2-ピロリジンと1-ビニル-3-メチル-イミダゾリウム塩とのコポリマー(例えば、塩化物塩)であり、Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association(CTFA)により工業界でPolyquaternium-16と呼ばれている。この材料は、BASF Wyandotte Corp(米国ニュージャージー州パーシッパニー)からLUVIQUATの商品名(例えば、LUVIQUAT FC 370)で市販されている;
b)業界(CTFA)でPolyquaternium-11と呼ばれる、1-ビニル-2-ピロリジンとジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー。この材料は、Gaf Corporation(米国ニュージャージー州ウェイン)からGAFQUATの商品名(例えば、GAFQUAT 755N)で市販されている;
c)カチオン性ジアリル第四級アンモニウム含有ポリマー、例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマーおよびアクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマーを含み、工業界(CTFA)ではそれぞれPolyquaternium 6およびPolyquaternium 7と呼ばれている;
d)3~5個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸のホモポリマーおよびコポリマーのアミノ-アルキルエステルの鉱酸塩(米国特許第4,009,256号明細書に記載);
e)カチオン性ポリアクリルアミド(国際公開第95/22311号に記載)。
使用することができる好ましいカチオン性コンディショニングポリマーとしては、カチオン性多糖ポリマー、例えばカチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体およびカチオン性グアーガム誘導体が挙げられる。適切には、このようなカチオン性多糖ポリマーは、0.1~4meq/gの範囲の電荷密度を有する。
【0052】
本発明の組成物に使用するのに適したカチオン性多糖ポリマーには、以下の式のものが含まれ、
A-O-[R-N+(R1)(R2)(R3)X-]、
式中、Aは、デンプンまたはセルロース無水グルコース残基などの無水グルコース残基である。Rは、アルキレン、オキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、もしくはヒドロキシアルキレン基、またはそれらの組み合わせである。R1,R2およびR3は、独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシアリール基を表し、各基は約18個までの炭素原子を含む。各カチオン性部分の炭素原子の総数(すなわち、R1,R2およびR3の炭素原子の合計)は、好ましくは約20以下であり、Xはアニオン性対イオンである。
【0053】
カチオン性セルロースはAmercholCorp(米国ニュージャージー州エジソン)から、業界(CTFA)でPolyquaternium 10と呼ばれる、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースの塩として、Polymer JR(商標)およびLR(商標)シリーズのポリマーで入手可能である。別の種類のカチオン性セルロースとしては、業界(CTFA)でPolyquaternium 24と呼ばれる、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースのポリマー第四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの材料はAmercholCorp(米国ニュージャージー州エジソン)からPolymer LM-200の商品名で入手可能である。
【0054】
他の適切なカチオン性多糖ポリマーとしては、第四級窒素含有セルロースエーテル(例えば、米国特許第3,962,418号明細書に記載されているように)、およびエーテル化セルロースとデンプンとのコポリマー(例えば、米国特許第3,958,581号明細書に記載されているように)が挙げられる。
【0055】
使用することができる特に適切な種類のカチオン性多糖ポリマーは、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(Rhone-PoulencからJAGUAR商標シリーズで市販されている)などのカチオン性グアーガム誘導体である。
【0056】
例はJAGUAR C13Sであり、これはカチオン基の置換度が低く、粘度が高い。JAGUAR C15は中程度の置換度および低粘度を有し、JAGUAR C17は高置換度、高粘度であり、JAGUAR C16は低レベルの置換基およびカチオン性第四級アンモニウム基を含有するヒドロキシプロピル化カチオン性グアー誘導体であり、JAGUAR 162は高透明性で、低置換度を有する中粘度グアーである。
【0057】
好ましくは、カチオン性コンディショニングポリマーは、カチオン性セルロースおよびカチオン性グアー誘導体から選択される。特に好ましいカチオン性ポリマーは、JAGUAR C13S、JAGUAR C15、JAGUAR C17およびJAGUAR C16およびJAGUAR C162である。グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドが特に好ましい。
【0058】
カチオン性コンディショニングポリマーは、一般に、本発明の組成物中に、組成物の0.01~5重量%、好ましくは0.05~1重量%、より好ましくは0.08~0.5重量%の量で存在する。
【0059】
カチオン性コンディショニングポリマーが本発明によるヘアケア組成物中に存在する場合、コポリマーが2マイクロメートル以下の平均直径(D3、2:Malvern粒子サイザーを用いた光散乱によって測定)を有するエマルジョン粒子として存在することが好ましい。
【0060】
本発明のヘアケア組成物は、好ましくは水性であり、すなわち、それらは主成分として水または水溶液またはリオトロピック液晶相を有する。適切には、組成物は、組成物の総重量に基づいて50~98重量%、好ましくは60~90重量%の水を含む。
【0061】
シリコーン
フケ防止毛髪用組成物は、0.1~10重量%、好ましくは0.1~約8重量%、より好ましくは約0.3~約5重量%のシリコーンをさらに含み得る。
【0062】
好ましい好適なシリコーンとしては、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー、アミノシリコーンおよびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0063】
シリコーンは、遊離シリコーン油として、またはシリコーンエマルジョンの形態で存在してもよい。
【0064】
好ましくは、シリコーンは、シリコーンエマルジョン、より好ましくは10~1,000nm、最も好ましくは約100~約500nmの範囲の数平均粒径を有するシリコーン粒子の水性界面活性剤安定化エマルジョンの形態で存在する。
【0065】
アミノシリコーンは、毛髪用組成物に配合されることが多い。アミノシリコーンは、少なくとも1つの第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンまたは第四級アンモニウム基を含有するシリコーンである。高分子量シリコーンガムも利用することができる。別の有用な種類は、ジメチコン/ビニル/ジメチコンクロスポリマー(例えば、Dow Corning 9040および9041)などの架橋シリコーンエラストマーである。
【0066】
適切な予め形成されたシリコーンエマルジョンの例には、エマルジョンDC2-1766、DC2-1784、DC-1785、DC-1786、DC-1788およびマイクロエマルジョンDC2-1865およびDC2-1870が含まれる(全てDow Corningから入手可能)。これらは全てジメチコノールのエマルジョンまたはマイクロエマルジョンである。DC939(Dow Corning製)およびSME253(GE Silicones製)などのアモジメチコンエマルジョンも適している。
【0067】
懸濁化剤
好ましくは、本発明のヘアケア組成物は、懸濁化剤をさらに含む。適切な懸濁化剤は、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとのコポリマー、アクリル酸とアクリレートエステルとの架橋コポリマー、ヘテロ多糖ガムおよび結晶性長鎖アシル誘導体から選択される。長鎖アシル誘導体は、望ましくは、エチレングリコールステアレート、16~22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミドおよびそれらの混合物から選択される。エチレングリコールジステアレートおよびポリエチレングリコール3ジステアレートは、組成物に真珠光沢を付与するので、好ましい長鎖アシル誘導体である。ポリアクリル酸は、Carbopol 420、Carbopol 488またはCarbopol 493として市販されている。多官能剤で架橋されたアクリル酸のポリマーも使用され得る。これらは、Carbopol 910、Carbopol 934、Carbopol 941およびCarbopol 980として市販されている。カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとの適切なコポリマーの例は、Carbopol 1342である。全てのCarbopol(商標)材料は、Goodrichから入手可能である。
【0068】
アクリル酸およびアクリレートエステルの適切な架橋ポリマーは、Pemulen TR1またはPemulen TR2である。適切なヘテロ多糖ガムは、キサンタンガム、例えばKelzan muとして入手可能なものである。
【0069】
上記懸濁化剤のいずれかの混合物を使用してもよい。アクリル酸と結晶性長鎖アシル誘導体との架橋ポリマーの混合物が好ましい。
【0070】
懸濁化剤は、含まれる場合、一般に、本発明のヘアケア組成物中に、組成物の総重量に基づいて0.1~10重量%、好ましくは0.5~6重量%、より好ましくは0.9~4重量%の量で存在する。
【0071】
非シリコーン油性コンディショニング成分
本発明による組成物はまた、分散した不揮発性の水不溶性油性コンディショニング剤を含んでもよい。
【0072】
この成分は、液滴の形態で組成物中に分散され、組成物の水性連続相とは別個の不連続相を形成する。換言すれば、油性コンディショニング剤は、水中油型エマルジョンの形態でシャンプー組成物中に存在する。
【0073】
「不溶性」とは、材料が25℃で0.1%(w/w)の濃度で水(蒸留または当量)に溶解しないことを意味する。適切には、油性コンディショニング成分のD[3,2]平均液滴サイズは、少なくとも0.4、好ましくは少なくとも0.8、より好ましくは少なくとも1μmである。さらに、油性コンディショニング成分のD[3,2]平均液滴サイズは、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、より好ましくは5以下、さらにより好ましくは4以下、最も好ましくは3.5μm以下である。
【0074】
油性コンディショニング剤は、油性または脂肪性材料、およびそれらの混合物から適切に選択され得る。
【0075】
油性または脂肪性材料は、毛髪に光沢を加え、乾燥した梳毛感および乾燥した毛髪感触も高めるための、本発明のシャンプー組成物中の好ましいコンディショニング剤である。
【0076】
好ましい油性および脂肪性材料は、一般に、100rpmで動作するスピンドル3を使用してブルックフィールド粘度計(例えば、ブルックフィールドRV)で25℃で測定して、5Pa.s未満、より好ましくは1Pa.s未満、最も好ましくは0.5Pa.s未満、例えば0.1Pa.s未満の粘度を有する。
【0077】
より高い粘度を有する油性および脂肪性材料を使用してもよい。例えば、65Pa.sという高い粘度を有する材料を使用することができる。そのような材料(すなわち、5Pa.s以上の粘度を有する材料)の粘度は、1970年7月20日のDow Corning Corporate Test Method CTM004にさらに記載されているガラス毛細管粘度計によって測定することができる。
【0078】
適切な油性または脂肪性材料は、炭化水素油、脂肪エステルおよびそれらの混合物から選択される。
【0079】
炭化水素油には、環状炭化水素、直鎖脂肪族炭化水素(飽和または不飽和)および分枝鎖脂肪族炭化水素(飽和または不飽和)が含まれる。直鎖炭化水素油は、好ましくは約12~約30個の炭素原子を含有する。分枝鎖炭化水素油は、より多くの炭素原子を含むことができ、典型的には、より多くの炭素原子を含み得る。C2~C6アルケニルモノマーなどのアルケニルモノマーのポリマー炭化水素も適している。これらのポリマーは、直鎖または分枝鎖ポリマーであり得る。直鎖ポリマーは、典型的には長さが比較的短く、一般に直鎖炭化水素について上述したように炭素原子の総数を有する。分枝鎖ポリマーは、実質的により長い鎖長を有することができる。そのような材料の数平均分子量は、広く変化し得るが、典型的には、最大約2000、好ましくは約200~約1000、より好ましくは約300~約600である。
【0080】
好適な炭化水素油の具体例としては、パラフィン油、鉱油、飽和および不飽和ドデカン、飽和および不飽和トリデカン、飽和および不飽和テトラデカン、飽和および不飽和ペンタデカン、飽和および不飽和ヘキサデカン、ならびにそれらの混合物が挙げられる。これらの化合物の分枝鎖異性体、ならびにより長い鎖長の炭化水素の分枝鎖異性体も使用することができる。例示的な分枝鎖異性体は、高度に分岐した飽和または不飽和アルカン、例えばパーメチル置換異性体、例えば、Permethyl Corporationによって販売されているヘキサデカンおよびエイコサンのパーメチル置換異性体、例えば2,2,4,4,6,6,8,8-ジメチル-10-メチルウンデカンおよび2,2,4,4,6,6-ジメチル-8-メチルノナンである。炭化水素ポリマーのさらなる例は、イソブチレンとブテンとのコポリマーなどのポリブテンである。この種類の市販の材料は、Amoco Chemical Co(米国イリノイ州シカゴ)製のL-14ポリブテンである。
【0081】
特に好ましい炭化水素油は、様々なグレードの鉱油である。鉱油は、ワックスが除去され、より揮発性の画分が蒸留によって除去された、石油油から得られる透明な油性液体である。250℃~300℃の留分は鉱油と呼ばれ、C16H34~C21H4の範囲の炭化水素の混合物からなる。この種類の適切な市販材料としては、Sirius M85およびSirius M125が挙げられ、これらは全てSilkoleneから入手可能である。
【0082】
適切な脂肪酸エステルは、少なくとも10個の炭素原子を有することを特徴とし、脂肪酸またはアルコールから誘導されるヒドロカルビル鎖を有するエステル、例えば、モノカルボン酸エステル、多価アルコールエステル、ならびにジ-およびトリカルボン酸エステルを含む。本明細書中の脂肪エステルのヒドロカルビル基はまた、他の適合性官能基、例えばアミドおよびアルコキシ部分、例えばエトキシまたはエーテル結合を含むかまたは共有結合していてもよい。モノカルボン酸エステルには、式R’COORのアルコールおよび/または酸のエステルが含まれ、式中、R’およびRは独立してアルキルまたはアルケニル基を表し、R’およびRの炭素原子の合計は少なくとも10、好ましくは少なくとも20である。
【0083】
具体例としては、例えば、約10~約22個の炭素原子を有する脂肪族鎖を有する脂肪酸のアルキルおよびアルケニルエステル、ならびに約10~約22個の炭素原子を有するアルキルおよび/またはアルケニルアルコール由来の脂肪族鎖を有するアルキルおよび/またはアルケニル脂肪アルコールカルボン酸エステル、約12~20個の炭素原子を有する脂肪アルコールのベンゾエートエステルが挙げられる。
【0084】
モノカルボン酸エステルは、脂肪族鎖炭素原子の総数が少なくとも10個であれば、少なくとも10個の炭素原子を有する鎖を1つ以上含む必要はない。例としては、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソプロピル、アジピン酸ジヘキシルデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オレイル、酢酸ラウリル、プロピオン酸セチルおよびアジピン酸オレイルが挙げられる。カルボン酸のジアルキルエステルおよびトリアルキルエステルならびにアルケニルエステルも使用することができる。これらには、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸およびオクタン酸のC7~C22エステル(好ましくはC1~C9)などのC4~C8ジカルボン酸のエステルが含まれる。例としては、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソヘキシルおよびセバシン酸ジイソプロピルが挙げられる。他の具体例としては、ステアリン酸イソセチルステアロイル、クエン酸トリステアリルなどが挙げられる。
【0085】
多価アルコールエステルには、アルキレングリコールエステル、例えばエチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールモノオレエート、ポリプロピレングリコールモノステアレート、エトキシ化プロピレングリコールモノステアレート、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、エトキシ化グリセリルモノステアレート、1,3-ブチレングリコールモノステアレート、1,3-ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルならびにモノ-、ジ-およびトリグリセリドが含まれる。
【0086】
特に好ましい脂肪酸エステルは、モノ-、ジ-およびトリグリセリド、より具体的には、グリセロールとC7~C22カルボン酸などの長鎖カルボン酸とのモノ-、ジ-およびトリ-エステルである。様々なこれらの種類の材料は、ヤシ油、ヒマシ油、ベニバナ油、ヒマワリ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、タラ肝油、アーモンド油、アボカド油、パーム油、ゴマ油、ピーナッツ油、ラノリンおよび大豆油などの植物性および動物性の脂肪および油から得ることができる。合成油としては、トリオレインおよびトリステアリングリセリルジラウレートが挙げられる。
【0087】
好ましい材料の具体例としては、カカオ脂、パームステアリン、ヒマワリ油、ダイズ油、ヤシ油などが挙げられる。油性または脂肪性材料は、0.05~10、好ましくは0.2~5、より好ましくは約0.5~3重量%の量で適切に存在する。
【0088】
本発明の組成物は、好ましくは3重量%以下のスタイリングポリマー、より好ましくは1%未満のスタイリングポリマーを含有し、好ましくは0.1重量%未満のスタイリングポリマーを含有し、最適にはスタイリングポリマーを含まない。
【0089】
コンディショニング剤を含有するヘアトリートメント組成物では、カチオン性ポリマーも存在することが好ましい。
【0090】
アジュバント
本発明の組成物はまた、ヘアケアに適したアジュバントを含有し得る。一般に、そのような成分は、個々に、全組成物の最大2重量%、好ましくは最大1重量%の量で含まれる。
【0091】
好適なヘアケアアジュバントには、以下のものがある。
(i)アミノ酸および糖などの天然の毛根栄養素。適切なアミノ酸の例としては、アルギニン、システイン、グルタミン、グルタミン酸、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、セリンおよびバリン、ならびに/またはそれらの前駆体および誘導体が挙げられる。アミノ酸は、単独で、混合物で、またはペプチド、例えばジペプチドおよびトリペプチドの形態で添加され得る。アミノ酸はまた、ケラチンまたはコラーゲン加水分解物などのタンパク質加水分解物の形態で添加されてもよい。適切な糖は、グルコース、デキストロースおよびフルクトースである。これらは、単独でまたは例えば果実抽出物の形態で添加され得る。本発明の組成物に含めるための天然の毛根栄養素の特に好ましい組み合わせは、イソロイシンおよびグルコースである。特に好ましいアミノ酸栄養素はアルギニンである。
(ii)毛髪繊維有益剤。例は、繊維を保湿し、キューティクルの完全性を維持するためのセラミドである。セラミドは、天然源からの抽出によって、または合成セラミドおよび擬似セラミドとして入手可能である。好ましいセラミドは、QuestのCeramide IIである。Laboratoires SerobiologiquesからのCeramides LSなど、セラミドの混合物も適切であり得る。
【0092】
副成分
組成物はまた、性能および/または消費者の受容性を高めるための他の成分を含んでもよい。そのような成分には、芳香剤(カプセル化または遊離またはその両方)、着色剤、染料および顔料、真珠光沢剤または乳白剤、粘度調整剤、安定剤および防腐剤が含まれる。適切な防腐剤系は、水酸化ナトリウムおよびクエン酸H2Oを使用してpHを調整した安息香酸ナトリウムおよびサリチル酸ナトリウムを含む。ホルムアルデヒドを含む代替保存系は、MITおよびDMDMヒダントインを含む。
【0093】
製品形態
組成物は、好ましくはパーソナルケア組成物、より好ましくはシャンプー、コンディショナー、スプレー、ムース、ゲル、ワックスまたはローションである。特に好ましい製品形態は、シャンプー、アフターウォッシュコンディショナー(洗い流さないおよび洗い流す)およびヘアトリートメント製品、例えばヘアエッセンスである。リンスオフ製品が好ましく、シャンプーが特に好ましい。
【0094】
組成物は、好ましくは、毛髪の処理およびその後のすすぎのための組成物として製剤化される。
【0095】
特に好ましいヘアケア組成物はシャンプー組成物である。本発明のシャンプー組成物中の界面活性剤の総量(任意の共界面活性剤および/または任意の乳化剤を含む)は、一般に組成物の5~30重量%、好ましくは10~25重量%、より好ましくは15~20重量%である。
【0096】
使用方法
本発明の組成物は、医療用または非医療用製品に使用することができる。
【0097】
好ましい使用方法は、毛髪および頭皮に適用し、好ましくはその後に水で毛髪から製品をすすぐことである。製品は、好ましくは、約2分~約10分間毛髪上に留まる。
【0098】
以下の非限定的な実施例を参照して、本発明をさらに説明する。本発明による実施例を数字で、比較例を文字で示す。
【0099】
[実施例]
金属-ピロクトン錯体の調製
【0100】
[実施例1]
銅ピロクトン
-撹拌下で、水に溶解した0.03molのCuCl2・4H2Oを滴下する。
-脱塩水を粘性固体の沈殿に加える。
-懸濁液を室温で2~4時間撹拌する。
-分離した白色固体を洗浄し、真空下、50℃の温度で24時間、P2O5で乾燥させる。
【0101】
[実施例2]
マンガンピロクトン
-0.04molのオクトピロックスをエタノールに溶解する。
-撹拌下で、水に溶解した0.03molのMnCl2・4H2Oを滴下する。
-脱塩水を粘性固体の沈殿に加える。
-懸濁液を室温で2~4時間撹拌する。
-分離した白色固体を洗浄し、真空下、50℃の温度で24時間、P2O5で乾燥させる。
【0102】
[実施例A]
亜鉛ピロクトン
-0.04molのオクトピロックスをエタノールに溶解する。
-撹拌下で、水に溶解した0.03molのZnCl2を滴下する。
-脱塩水を粘性固体の沈殿に加える。
-懸濁液を室温で2~4時間撹拌する。
-分離した白色固体を洗浄し、真空下、50℃の温度で24時間、P2O5で乾燥させる。
【0103】
[実施例5]
シャンプー配合中に調製した銅ピロクトン
-ラウリルエーテルスルプフェートナトリウム1EO、コカミドプロピルベタインおよびグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドの水性混合物を調製した。
-水に溶解したサリチル酸ナトリウムをこの混合物に添加した後、フェノキシエタノールを添加した。
-クエン酸(50重量%)を使用してpHをpH6に調整した。
-塩化ナトリウムを用いて粘度を調整した。
-オクトピロックスを製剤にゆっくり添加し、続いて塩化銅水溶液を添加する。
-さらなる水を添加した。
【0104】
金属ピロクトン錯体の溶解度
SLES 1EO(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)の5重量%水溶液中の20℃での金属ピロクトン錯体の溶解度を表1に列挙する。
【0105】
【0106】
シャンプー組成物
以下のシャンプー組成物を調製した。
【0107】
【0108】
シャンプー中の金属ピロクトン錯体溶解度
-視覚的に決定される溶解度。
【0109】
【0110】
毛髪基材へのインビトロ沈着実験
HPLC-UV法
・Agilent 1100 HPLCシステム
・Agilent Eclipse plus C18 100×4.6;3.5umカラム
・30℃カラムオーブン温度、1.5ml/分、302nm 10nm ref=360/50nm圧力約75bar、定組成移動相:アセトニトリル/MeOH/水(KH2PO4 20mM;EDTA(0.5mM))(65:13:22)、リン酸でpH4に調整
【0111】
ヘアピース洗浄プロトコル:
全てのヘアピースを、標準化するために14重量%のSLES溶液で洗浄することによって前処理した。その後、ヘアピースを、関連するオクトピロックスまたは金属-ピロクトン錯体含有シャンプー基剤を用いた標準条件下での洗浄プロセスを用いて処理した。プロトコルを各組成物について3つのヘアピースに適用した。
【0112】
乾燥したら、ヘアピースを各々エタノールで処理して、オクトピロックスまたは錯体を抽出した。
【0113】
抽出物をHPLC-UVによって分析し、ピロクトンの濃度を計算した。
【0114】
ピロクトン錯体沈着結果
【0115】
【0116】
結果は、本発明の実施例が毛髪上のピロクトンの沈着を増強したことを実証している。
【0117】
[実施例5、6およびD]
銅ピロクトンおよびマンガンピロクトンのエタノール溶液(0.5mM)のUV安定性を測定し、オクトピロックス1mM溶液の溶液と比較した。
【0118】
5時間のUV照射(UVA 180uW/cm2、UVB210uW/cm2)後、マンガンピロクトンが3.2%、銅ピロクトンが1.8%、オクトピロックス(ピロクトン)が46%分解したことが分かった。
【0119】
これらの結果は、金属ピロクトン錯体の改善されたUV安定性を実証している。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SLES1EO界面活性剤と、0.1~0.8重量%の不溶性マンガンおよび/または銅ピロクトン錯体と、を含むパーソナルケア組成物であって、
前記金属ピロクトン錯体が、20℃の5重量%SLES1EO界面活性剤水溶液中で2重量%以下の溶解度を有する、パーソナルケア組成物。
【請求項2】
前記不溶性ピロクトン錯体が、銅ビスピロクトンおよび/またはマンガンビスピロクトンである、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項3】
両性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項4】
カチオン性ポリマーをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項5】
前記カチオン性ポリマーがカチオン性グアー誘導体である、請求項4に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項6】
シリコーンをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項7】
シャンプーである、請求項1から6のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項8】
ピクトロン化合物のUV分解を防止するための、ヘアトリートメント組成物における0.1~0.8重量%の不溶性マンガンおよび/または銅ピロクトン錯体の使用であって、
前記ヘアトリートメント組成物が、SLES1EO界面活性剤を含み、
前記金属ピロクトン錯体が、20℃の5重量%SLES1EO界面活性剤水溶液中で2重量%以下の溶解度を有する、使用。
【国際調査報告】