(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】減少させた微量元素含有物を有するナッツおよび非乳成分、それらを含む組成物、およびそれらを製造するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
A23L 5/20 20160101AFI20230713BHJP
A23L 25/00 20160101ALI20230713BHJP
A23L 5/30 20160101ALI20230713BHJP
A23L 7/10 20160101ALI20230713BHJP
A23L 11/00 20210101ALI20230713BHJP
A23L 29/00 20160101ALI20230713BHJP
A23C 11/02 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
A23L5/20
A23L25/00
A23L5/30
A23L7/10 Z
A23L7/10 H
A23L11/00 F
A23L11/00 A
A23L11/00 D
A23L11/00 Z
A23L29/00
A23C11/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022570558
(86)(22)【出願日】2021-05-23
(85)【翻訳文提出日】2023-01-13
(86)【国際出願番号】 IL2021050596
(87)【国際公開番号】W WO2021234715
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519243765
【氏名又は名称】エルス ニュートリション ジーエイチ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ケスラー,ユリエル
(72)【発明者】
【氏名】イツハク,ハムタル
(72)【発明者】
【氏名】アザール,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ウィドバーグ,アッシャー
(72)【発明者】
【氏名】バー-ヨセフ,ファビアナ
【テーマコード(参考)】
4B001
4B020
4B023
4B035
4B036
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本発明は、減少させた微量元素含有物を有する非乳成分、植物ベース成分、それらを含む食品および栄養組成物、ならびにそれらの調製方法を提供する。
【選択図】図なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物ベース成分であって、対応する天然の植物ベース成分中での含有物よりも減少させた微量元素含有物を有する、植物ベース成分。
【請求項2】
前記微量元素が、マンガン(Mn)および/またはマグネシウム(Mg)である、請求項1に記載の植物ベース成分。
【請求項3】
前記微量元素が、ヒ素(As)、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)、水銀(Hg)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、およびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1に記載の植物ベース成分。
【請求項4】
前記減少が、対応する天然のナッツ中での含有物の少なくとも20%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項5】
少なくとも1つのナッツである、請求項1~4のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項6】
前記少なくとも1つのナッツが、アーモンド、ブラジルナッツ、キャンドルナッツ、カシュー、クリ、ハシバミ(filbert)、ヘーゼルナッツ、チリヘーゼルナッツ、ヒッコリーナッツ、マカダミアナッツ、ペカン、マラバルクリ、モンゴンゴ、ピーナッツ、松の実、ピスタチオ、クルミ、ヘブナッツ(yeheb nut)、およびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項5に記載の植物ベース成分。
【請求項7】
穀物、疑似穀物、ナッツ、豆類、マメ科植物、油料種子、穀類、果物、野菜、およびそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項8】
ソバ、大麦、米、トウモロコシ(maize)、トウモロコシ(corn)、キビ、オーツ麦、ライ麦、エンドウ豆、ヒヨコ豆、ヒラ豆、キノア、テフ、チア、豆、ソラ豆、ヒマワリ、ベニバナ、亜麻、ナタネ、小麦、モロコシ、キビ、オーツ麦、ライコムギ、フォニオ、緑豆、カボチャ、アマランス、およびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項9】
マンガン(Mn)含有物が0~20ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項10】
マンガン(Mn)含有物が0~10ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項11】
マンガン(Mn)含有物が0~8ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項12】
マンガン(Mn)含有物が0~5ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項13】
マンガン(Mn)含有物が0~3ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項14】
マグネシウム(Mg)含有物が0~1500ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項15】
マグネシウム(Mg)含有物が0~1200ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項16】
マグネシウム(Mg)含有物が0~1000ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項17】
マグネシウム(Mg)含有物が0~500ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項18】
ヒ素(As)の含有物が0~1ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項19】
カドミウム(Cd)の含有物が0~0.05ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項20】
鉛(Pb)の含有物が0~0.05ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項21】
水銀(Hg)の含有物が0~1ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項22】
銅(Cu)の含有物が0~1ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項23】
少なくとも100のMg対タンパク質の比率を有する、植物ベース成分。
【請求項24】
少なくとも15,000のMg対タンパク質の比率を有する、植物ベース成分。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載の、減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つの植物ベース成分を含む組成物。
【請求項26】
請求項1~24のいずれか一項に記載の、減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つのナッツを含む組成物。
【請求項27】
請求項1~24のいずれか一項に記載の、減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つの穀物を含む組成物。
【請求項28】
非乳組成物である、請求項25~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
乳組成物である、請求項25~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
非大豆組成物である、請求項25~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つの植物ベース成分を調製する方法であって、前記方法が、(a)少なくとも1つの植物ベース成分を提供するステップと、(b)前記少なくとも1つの植物ベース成分を、(i)前記少なくとも1つの植物ベース成分の前記微量元素含有物の電気透析;(ii)前記少なくとも1つの植物ベース成分の前記微量元素含有物の水抽出;(iii)IOX交換樹脂;(iv)前記微量元素含有物を少なくとも1つの微量元素キレート剤でキレート化して、キレートを形成し、前記キレートをろ過すること;(v)膜ろ過、(vi)空気分級のうちの少なくとも1つに暴露するステップと、を含み、それにより、減少させた微量元素含有物を有する前記少なくとも1つの植物ベース成分が形成される、方法。
【請求項32】
(a)少なくとも1つの植物ベースの成分を提供するステップと;(b)前記少なくとも1つの植物ベースの成分を少なくとも1つの微量元素キレート剤と反応させ、それによって前記微量元素含有物のキレートを形成するステップと;(c)前記少なくとも1つの植物ベースの成分から前記微量元素含有物の前記キレートをろ過するステップと;を含み、それにより、減少させた前記微量元素含有物を有する前記少なくとも1つの植物ベースの成分を形成する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1つのナッツ脂質成分および/またはすべての必須アミノ酸を含む少なくとも1つの非乳成分を含む組成物であって、前記少なくとも1つのナッツ成分または少なくとも1つの非乳成分が、減少させたレベルの少なくとも1つの微量元素を含む、組成物。
【請求項34】
少なくとも1つのナッツタンパク質成分および/またはすべての必須アミノ酸を含む少なくとも1つの非乳成分を含む組成物であって、前記少なくとも1つのナッツ成分または少なくとも1つの非乳成分が、減少させたレベルの少なくとも1つの微量元素を含む、組成物。
【請求項35】
前記ナッツ成分が、減少させたレベルの少なくとも1つの微量元素を含む、請求項33または34に記載の組成物。
【請求項36】
前記少なくとも1つの非乳成分が、減少させたレベルの少なくとも1つの微量元素を含む、請求項33または34に記載の組成物。
【請求項37】
前記少なくとも1つのナッツ成分と前記少なくとも1つの非乳成分との前記比率が、約10:90~約90:10である、請求項33~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
前記少なくとも1つのナッツ成分が、前記組成物の総重量の少なくとも10重量%の量で存在する、請求項33~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
前記少なくとも1つの非乳成分が、前記組成物の総重量の少なくとも5重量%の量で存在する、請求項33~38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
乾燥組成物の形態である、請求項33~39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
水溶性乾燥粉末の形態である、請求項33~40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
水をさらに含む、請求項33~41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
前記少なくとも1つのナッツ成分が、アーモンド、ブラジルナッツ、キャンドルナッツ、カシュー、クリ、ハシバミ(filbert)、ヘーゼルナッツ、チリヘーゼルナッツ、ヒッコリーナッツ、マカダミアナッツ、ペカン、マラバルクリ、モンゴンゴ、ピーナッツ、松の実、ピスタチオ、クルミ、ヘブナッツ(yeheb nut)、およびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項33~42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
前記少なくとも1つのナッツ成分がアーモンドである、請求項33~43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
少なくとも1つの非乳成分が、ソバ、大麦、米、トウモロコシ(maize)、トウモロコシ(corn)、キビ、オーツ麦、ライ麦、エンドウ豆、ヒヨコ豆、ヒラ豆、キノア、テフ、チア、豆、ソラ豆、ヒマワリ、ベニバナ、亜麻、ナタネ、小麦、モロコシ、キビ、オーツ麦、ライコムギ、フォニオ、緑豆、カボチャ、アマランス、およびそれらの任意の組み合わせから選択される穀物の一種である、請求項33~45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項46】
少なくとも1つの非乳成分が、ソバ、アマランス、またはキノアから選択される1つの種類の疑似穀物である、請求項33~45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
前記少なくとも1つの種類の非乳成分が、ソバである、請求項33~46のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
前記少なくとも1つの種類の非乳成分が、全粒穀物である、請求項33~47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
ビタミン、ミネラル、微量元素、炭水化物、脂質、タンパク質、アミノ酸およびそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの添加物をさらに含む、請求項33~48のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
クレオチド、多価不飽和脂肪酸、フッ化物、コリン、プロバイオティック剤、プレバイオティック剤、およびそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項33~49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
着香剤、油保護コロイド、可塑剤、酸化防止剤、乳化剤、増粘剤、酸性度調整剤、包装用ガス、およびそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項33~50のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
前記対象が乳児および/または幼児である、請求項33~51のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
前記対象が成人である、請求項33~51のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アーモンド、ヘーゼルナッツ、カシューナッツ、ブラジルナッツ、マカダミアナッツ、クルミ、およびピスタチオなどの木の実は、それぞれ独自の組成を有する栄養密度の高い食品である。一般に、これらの食品には、健康的な一価不飽和(MUFA)および多価不飽和(PUFA)脂肪酸プロファイル;タンパク質;可溶性および不溶性繊維;ビタミンEおよびK;葉酸;チアミン;マグネシウム、マンガン、銅、カリウム、およびセレンなどのミネラル;ならびに、ザントフィルカロテノイド、抗酸化物質、およびフィトステロール化合物などの物質が含まれ、これらは、ヒトの健康に有益であることが認められている。
【0002】
穀物は、何千年もの間、ヒトの栄養の基礎となってきたイネ科の植物(小麦、トウモロコシ(corn)、米、大麦、オーツ麦、およびライ麦など)の種子である。穀物は、栄養価と、食品産業での様々な用途を可能にする化学的特性の両方の点で、栄養物の基本である。古代穀物(ホラサン小麦、大麦、スペルト小麦、ライ麦、キビ、オーツ麦、およびモロコシ)および疑似穀物(キノア、アマランス、およびソバなど)は、特定の成分の含有量が高く、全粒穀物として一般的に使用されているため、健康的であると考えられる(Bordoni et al.,International Journal of Food Sciences and Nutrition 2017を参照されたい)。全粒穀物には、精製された穀物と比較して、より多くの肯定的な成分が含まれている。最も重要なのは、食物繊維、ビタミン、およびミネラルのみでなく、他の生物活性分子、例えば、オメガ3脂肪酸、プレバイオティクスオリゴ糖、フィトステロール、ポリフェノールなどが、おそらく個々の成分ではなく、すべての成分の相互作用が、全粒穀物に栄養価を与えていることである(Slavin et al.2001)。
【0003】
通常、ナッツおよび穀物は、健康上の利点を有する栄養素の良好な供給源として推奨されているが、微量元素のレベルが比較的高く、過剰になる場合もあり、ある程度有毒でさえなることもある。
【0004】
食品中の微量元素の有害な影響に対して最も脆弱な集団としては、幼児および小児、高齢者、および慢性的な健康状態を有し得る消費者が挙げられる。
【0005】
高レベルで、いくつかの微量元素、すなわちヒ素、鉛、カドミウム、水銀などの重金属は、食品製品中に見られる場合、有毒になり得る。これらの微量元素は、空気、水、および土壌中に見られ、植物が成長するにつれてこれらの元素が吸収されるため、これらの重微量元素を食料供給から完全に排除することは必ずしも可能ではない。したがって、FDAならびに他の保健および規制当局は、重微量元素への消費者の暴露を可能な限り制限しようと努めている。
【0006】
例えば、水銀による影響を受ける主な臓器は、脳および腎臓である。妊娠可能な年齢の女性の暴露は、胎児でのHgの神経学的悪影響の可能性があるため、特に懸念される。土壌には、自然に鉛が含まれ得る、または塗料(古い家屋の近く)、ガソリン(車道の近く)、採掘、製造、および廃棄などの人為的な鉛の使用による鉛が含まれ得る。高レベルの鉛暴露は、小児の健康および発達、特に脳および神経系に深刻な害を及ぼし得る。幼少期の高レベルの鉛暴露による神経学的影響としては、学習障害、行動障害、およびIQの低下が挙げられる。鉛は身体内に蓄積し得るため、低レベルの慢性暴露であって時間の経過とともに危険になり得る。一般に、レタスおよびホウレンソウ、ジャガイモおよび穀物、ピーナッツ、大豆、およびヒマワリの種などの葉物野菜は、土壌からの生物蓄積により高レベルのカドミウムを含む。一般に、Cdの重要な臓器は腎臓であり、腎機能不全は、Cdへの暴露の最も特徴的な兆候のうちの1つである。大量のCdを摂取することにより、激しい悪心、嘔吐、および腹痛を伴う急速な発症につながり得る。子宮内および幼若期における無機ヒ素暴露は、学習を測定する特定の発達テストでの成績の低下など、知的発達障害と関連している。
【0007】
マンガン(Mn)は、ヒトにとって必須の微量元素であり、結合組織および骨組織の形成、成長および生殖機能、ならびに炭水化物および脂質の代謝に関連している。マンガンも既知の神経毒であるが、毒性を引き起こすマンガンのレベルに関する情報はほとんどなかった。マンガン中毒の症状は、パーキンソン病に類似しており、見当識障害、記憶障害、不安、および強迫行為なども含まれ得る。食品は、一般の人々にとって最も重要なマンガン暴露源である。食品中の濃度はかなり異なるが、ほとんどが5mg/kg未満である。しかし、穀物、米、およびナッツには、場合によっては10mg/kgまたは30mg/kgを超えるマンガンレベルが含まれ得る。
【0008】
マグネシウムは、必須ミネラルである。これは、タンパク質合成、筋肉および神経機能、血糖コントロール、および血圧調節など、体内の多様な生化学反応を調節する300を超える酵素系中の補因子である。マグネシウムは、エネルギー生産、酸化的リン酸化、および解糖に必要である。これは、骨の構造の発達に寄与し、DNA、RNA、および抗酸化物質のグルタチオンの合成に必要である。マグネシウムは、神経インパルス伝導、筋肉収縮、および正常な心拍リズムにとって重要なプロセスである、細胞膜でのカルシウムイオンおよびカリウムイオンの能動輸送においても役割を担っている。しかし、血液中にマグネシウムが多すぎる場合には、危険となり得る。これの医学用語は、高マグネシウム血症であり、マグネシウムの過剰摂取が1つの考えられる原因である。身体がマグネシウムを吸収しすぎると、無気力、顔面紅潮、下痢、悪心、胃痙攣、嘔吐、抑うつ、筋力低下、不整脈、低血圧、尿閉、呼吸困難、さらには心停止が認められる場合がある。
【0009】
European Society of Pediatric Gastroenterology, Hepatology and Nutrition (ESPGHAN)、Codex Allimentarius、欧州食品安全機関(EFSA)などの科学、医療、および規制当局は、年齢群の要件、ならびにそれらの安全性および忍容性に基づいて、栄養素の最小値および最大値を設定している。一部の栄養素、主に、ビタミンおよびミネラルなどの微量栄養素については、科学に基づいたリスク評価を行うための情報が不十分であり、ヒトに健康への悪影響のリスクをもたらす可能性が低いと判断されている(すべての供給源からの)栄養素の慢性的1日総摂取量の最大レベルに基づいて、ガイダンス上限値(GUL)のみが設定されている。したがって、必要に応じて、可能な限り、乳児、小児、成人、高齢者、妊娠中または授乳中の女性など、別々のライフステージグループごとにULが導出される。GULの目的は、製造業者にガイダンスを提供することであり、目標値として解釈されるべきではない。ULは、集団の様々なライフステージグループに対して導出される可能性があり、健康への悪影響のリスクをほとんど保持しない摂取の最高レベルの推定値である。これらのレベルは、乳児および幼児、または代謝が損なわれた対象の脆弱な集団に特に適切である。
【0010】
乳児用調製粉乳は、最も規制の厳しい食品の1つである。乳児用調製粉乳の栄養上の安全性および妥当性は、乳児の成長および発達を支援するために、科学的に実証されていなければならない。様々な栄養素の推奨範囲により、乳児のニーズにとって適切な栄養素が確実に供給される。これらのレベルは、乳児の栄養要件を満たすことに基づいて導出された値であり、これまでに明らかに安全な使用が確立されていることに基づいている。不要な成分、または不要な量の成分を含めることは、乳児の代謝および他の生理機能に負担をかけ得る。
【0011】
したがって、例えば、乳児用の植物ベース非乳調製粉乳など、微量元素含有物が制御されているナッツ、穀物、またはあらゆる種類の植物ベース食品成分を含むプロセスおよび製品が真に必要とされている。これらは、、現在知られている非乳調製粉乳の微量元素が比較的高レベルであるという欠点を伴うことなく、母乳の栄養プロファイルのゴールドスタンダードと同様のすべての必須栄養ニーズを満足し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は、対応する天然に存在する(任意の形態の)植物ベースの食品成分または原料中の微量元素含有物と比較して、減少させた微量元素含有物を有する植物ベースの食品成分または原料を提供する。本発明の植物ベースの食品成分または原料は、対応する天然に存在する(任意の形態の)植物ベースの食品成分または原料中の微量元素含有物と比較して、減少させたレベルの少なくとも1つの微量元素を含む。
【0013】
「植物ベース食品成分または原料」に言及する場合、自然界に天然に存在する植物に由来する、これらの植物から抽出された、これらの植物をベースにした、またはこれらの植物から調製された植物ベース成分であり、未加工であるか、または加工され(皮をむく、焙煎させる、丸める、調理する、煮る、加水分解させるなど、およびそれらの任意の組み合わせ)、任意の形態(粉砕、細断、粉末化、乱切り、すりつぶし(mashed)、未処理、およびそれらの任意の組み合わせ)である。
【0014】
いくつかの実施形態では、植物ベース成分は、穀物、疑似穀物、豆類、マメ科植物、油糧種子、穀類、果物、野菜、ナッツ、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0015】
いくつかの実施形態では、植物ベースの成分は、マメ科植物である。いくつかの実施形態では、マメ科植物は、アルファルファ、クローバー、豆、エンドウ豆、ヒヨコ豆、ヒラ豆、ハウチワ豆、メスキート、イナゴ豆、大豆、ピーナッツ、およびタマリンド、ならびにそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0016】
いくつかの実施形態では、植物ベースの成分は、穀物である。いくつかの実施形態では、穀物は、シコクビエ、フォニオ、トウモロコシ(コーン)、キビ、大麦、ライ麦粒、米、オーツ麦、ライ麦、テフ、小麦、ワイルドライス、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0017】
いくつかの実施形態では、植物ベースの成分は、疑似穀物である。いくつかの実施形態では、疑似穀物は、ソバ、アマランス、チア、キノア、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0018】
いくつかの実施形態では、植物ベースの成分は、豆類である。いくつかの実施形態では、豆類は、ヒラ豆、エンドウ豆(pea)、ヒヨコ豆、インゲン豆、エンドウ豆(common pea)(エンドウ豆(garden pea))、ソラ豆、ヒラ豆、ライ豆、ハウチワ豆、緑豆、大豆、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0019】
いくつかの実施形態では、穀物は、これらに限定されないが、ソバ、大麦、米、トウモロコシ(maize)、トウモロコシ(corn)、キビ、オーツ麦、ライ麦、エンドウ豆、ヒヨコ豆、ヒラ豆、キノア、テフ、チア、豆、ソラ豆、ヒマワリ、ベニバナ、亜麻、ナタネ、小麦、モロコシ、キビ、オーツ麦、ライコムギ、フォニオ、緑豆、カボチャ、アマランス、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0020】
他の実施形態では、少なくとも1種の穀物は、ソバである。さらなる実施形態では、少なくとも1種の穀物は、全粒穀物である。
【0021】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の穀物は、任意の種類の形態(種皮から皮をむいたもの、皮付きのもの、すりつぶしたもの、湯むきしたもの、粉末状にしたもの、粉状にしたもの、製粉したものなど)である。いくつかの実施形態では、本発明の穀物成分は、皮むき、スチーム、加熱、粉砕、加水分解、湯むき、焙煎などのうちの少なくとも1つによってさらに処理される。いくつかの実施形態では、本発明の穀物成分の前処理は、穀粒中の微量元素のレベルを低下させる前、その間、またはその後のいずれかに行われる。
【0022】
いくつかのさらなる実施形態では、本穀物および/または疑似穀物は、(穀物および/または疑似穀物の生の天然形態における繊維レベルと比較して)繊維のレベルを減少/調節するために処理される。例えば、繊維レベルは、本穀物で治療/投与される対象の意図された集団(すなわち、乳児、幼児、青年、高齢者のほか、アレルギー、大腸炎、炎症性腸疾患、過敏性腸疾患、クローン病、およびそれらに関連する任意の組み合わせまたは状態などの疾患に罹患する危険にさらされている消化器系を有する対象)にとって好適となるように減少/調節される。いくつかのさらなる実施形態では、繊維の減少または調節は、組成物から繊維を除去することによって、および/または繊維を切断して、他の炭水化物にすることによって行うことができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、本発明の穀物および/または疑似穀物成分の繊維の減少または調節は、穀物および/または疑似穀物中の微量元素のレベルを低下させる前、その間、またはその後のいずれかに行われる。
【0024】
他の実施形態では、穀物および/または疑似穀物は、事前加水分解される。この加水分解は、穀物および/または疑似穀物(例えば、ソバなど)の炭水化物を加水分解し、その粘度を低下させる目的で行われる。いくつかの実施形態では、加水分解は、酸または酵素(例えば、アミラーゼ)の使用によって行われる。
【0025】
いくつかの実施形態では、植物ベース成分は、ナッツである。いくつかの実施形態では、ナッツ成分または原料は、これらに限定されないが、アーモンド、ブラジルナッツ、キャンドルナッツ、カシュー、クリ、ハシバミ(filbert)、ヘーゼルナッツ、チリヘーゼルナッツ、ヒッコリーナッツ、マカダミアナッツ、ペカン、マラバルクリ、モンゴンゴ、ピーナッツ、松の実、ピスタチオ、クルミ、ヘブナッツ(yeheb nut)、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0026】
いくつかの実施形態では、ナッツは、アーモンドである。アーモンドに言及する場合、アーモンドの木の殻を取り除いた核果(Prunus dulcis、syn.Prunus amygdalus Batsch.、Amygdalus communis L.、Amygdalus dulcis Mill)、任意の種類の形態(種皮から皮をむいたもの、皮付きのもの、すりつぶしたもの、湯むきしたもの、粉末状にしたもの、粉状にしたもの、製粉したものなど)を包含するものと理解されるべきである。
【0027】
いくつかの実施形態では、ナッツは、ナッツ中のフィチン酸のレベル(量)を低下させるためにさらに前処理される。いくつかの実施形態では、ナッツの前処理は、フィターゼ酵素によるナッツ成分の処理、ナッツ成分の水への浸漬、ナッツ成分の加熱、ナッツの皮むき、ナッツの蒸し、湯むき、焙煎、およびそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つによって行われる。
【0028】
いくつかの実施形態では、フィチン酸レベルの減少または低下は、本発明の組成物のナッツ成分(すなわち、0.001~0.5重量%以下のフィチン酸を含むナッツ)から実質的にすべてのフィチン酸を除去するためのものである。
【0029】
いくつかの実施形態では、ナッツは、皮むき、蒸し、加熱、粉砕、加水分解、湯むき、焙煎などのうちの少なくとも1つによってさらに処理される。いくつかの実施形態では、本発明のナッツ成分の前処理は、ナッツ中の微量元素のレベルを低下させる前、その間、またはその後のいずれかに行われる。
【0030】
いくつかの実施形態では、植物ベース成分は、油料種子である。いくつかの実施形態では、油料種子は、ナタネ、クロガラシ、ナタネ(キャノーラなど)、ヒマワリの種、ベニバナ、亜麻の種子、麻の種子、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0031】
「穀物の成分または原料」に言及する場合、自然界に天然に存在する、未加工であるか、または加工され(皮をむく、焙煎させる、調理する、煮る、加水分解させるなど、およびそれらの任意の組み合わせ)、任意の形態(粉砕、細断、粉末化、乱切り、すりつぶし(mashed)、未処理、およびそれらの任意の組み合わせ)であるあらゆる種類の単一穀物または疑似穀物または種子を包含するものと理解すべきである。
【0032】
「対応する天然のナッツおよび/または植物ベース成分および/または穀物中の含有物よりも減少している微量元素含有物」に言及する場合、自然界に見られるそのままの形態でのレベルよりも少ない、ナッツ、または植物ベース成分、穀物または種子中の微量元素のレベルまたは含有物を包含すると理解されるべきである(参照データベースhttps://fdc.nal.usda.gov/index.html)。
【表1】
【0033】
いくつかの実施形態では、減少は、天然に存在するナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物または種子のレベルの少なくとも20%である。いくつかの実施形態では、減少は、天然に存在するナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物のレベルの少なくとも30%である。いくつかの実施形態では、減少は、天然に存在するナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物のレベルの少なくとも40%である。いくつかの実施形態では、減少は、天然に存在するナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物のレベルの少なくとも50%である。他の実施形態では、減少は、天然に存在するナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物のレベルの少なくとも60%である。さらなる実施形態では、減少は、天然に存在するナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物中でのレベルの少なくとも70%である。他の実施形態では、減少は、天然に存在するナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物中でのレベルの少なくとも80%である。いくつかの実施形態では、減少は、天然に存在するナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物中でのレベルの少なくとも90%である。
【0034】
いくつかの実施形態では、微量元素は、マンガン(Mn)および/またはマグネシウム(Mg)から選択される。他の実施形態では、微量元素は、ヒ素(As)、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)、水銀(Hg)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)およびそれらの任意の組み合わせである。
【0035】
いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分または原料は、0~20ppmのマンガン(Mn)含有物を有する。いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分または原料は、0~10ppmのマンガン(Mn)含有物を有する。いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分または原料は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15または20ppmのマンガン(Mn)含有物を有する。いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分または原料は、0~8ppmのマンガン(Mn)含有物を有する。いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分または原料は、1、2、3、4、5、6、7、または8ppmのマンガン(Mn)含有物を有する。いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分または原料は、0~5ppmのマンガン(Mn)含有物を有する。いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分または原料は、0~3ppmのマンガン(Mn)含有物を有する。いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分または原料は、1、2、3、4、または5ppmのマンガン(Mn)含有物を有する。
【0036】
いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分または原料は、0~1500ppmのマグネシウム(Mg)含有物を有する。いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分または原料は、0、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500ppmのマンガン(Mn)含有物を有する。いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分または原料は、0~1200ppmのマグネシウム(Mg)含有物を有する。いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分または原料は、0、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、または1200ppmのマンガン(Mn)含有物を有する。いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分は、0~1000ppmのマグネシウム(Mg)含有物を有する。いくつかの実施形態では、ナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分は、0~500ppmのマグネシウム(Mg)含有物を有する。いくつかの実施形態では、本発明のナッツまたは穀物の成分または原料は、0、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900または1000ppmのマグネシウム(Mg)含有物を有する。
【0037】
いくつかの実施形態では、穀物は、ソバであり、マンガン(Mn)含有量は、0~20ppmである。いくつかの実施形態では、穀物は、ソバであり、マンガン(Mn)含有量は、0~10ppmである。他の実施形態では、穀物は、トウモロコシであり、マンガン(Mn)含有量は、0~5ppmである。
【0038】
いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物成分は、0~1ppmのヒ素(As)含有物を有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、ナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物成分は、0.5ppm、0.025ppm、0.02ppm、0.01ppm、または0.01ppm超のヒ素(As)含有物を有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物成分は、0~0.05ppmのカドミウム(Cd)含有物を有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分は、0.04ppm、0.03ppm、0.02ppm、0.01ppm、または0.01ppm超のカドミウム(Cd)含有物を有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物成分は、0~0.05ppmの鉛(Pb)含有物を有する。
【0043】
いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分は、0.04ppm、0.03ppm、0.02ppm、0.01ppm、または0.01ppm超の鉛(Pb)含有物を有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物成分は、0~1ppmの水銀(Hg)含有物を有する。
【0045】
いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分は、0.5ppm、0.1ppm、0.05ppm、0.01ppm、または0.01ppm超の水銀(Hg)含有物を有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分は、0~1ppmの銅(Cu)含有物を有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、本発明のナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分は、0.5ppm、0.1ppm、0.05ppm、0.01ppm、または0.01ppm超の銅(Cu)含有物を有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、ナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分は、少なくとも100のMg対タンパク質比を有する。さらなる実施形態では、ナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分は、少なくとも100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000のMg対タンパク質比を有する。
【0049】
いくつかの実施形態では、ナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分は、少なくとも15,000のMn対タンパク質比を有する。さらなる実施形態では、ナッツおよび/または植物ベースの成分および/または穀物の成分は、少なくとも15,000、16,000、17,000、18,000、19,000、20,000、21,000、22,000、23,000、24,000、25,000、26,000、27,000、28,000、29,000、または30,000のMn体タンパク質比を有する。
【0050】
本発明はさらに、本明細書の上記および下記に開示のとおり、減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つの植物ベースの成分を含む組成物を提供する。本発明はさらに、本明細書の上記および下記に開示のとおり、減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つのナッツを含む組成物を提供する。本発明はさらに、本明細書の上記および下記に開示のとおり、減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つの穀物を含む組成物を提供する。
【0051】
「組成物」に言及する場合、あらゆる種類の食品または飲料組成物、調理済み、あらかじめ調理、済み、または未調理の組成物を包含すると理解されるべきである。本発明の組成物は、粉末(冷水または温水、栄養液体などの任意のタイプの液体で水和される)、液体、半固体、カスタード、シェイク、または任意の形態での調製済み(ready-to-feed)組成物の形態であり得る。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、固体または半固体の食品組成物または液体の食品組成物であってもよい。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、非乳組成物である(すなわち、本組成物は、その原料から乳製品を除外する)。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、乳組成物である。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、非大豆組成物である(すなわち、本組成物は、その原料から大豆を除外する)。いくつかの実施形態では、本組成物は、乳児用調製粉乳、幼児用調製粉乳、幼児用ドリンク、子供用調製粉乳、子供用ドリンク、子供用シェイク、成人用調製粉乳、成人用ドリンク、成人用シェイク、栄養補助食品(nutritional/food supplement)、ベビーフード、穀類ベース食品、栄養補助組成物、栄養補助食品(dietary supplement)、栄養ドリンク、栄養シェイク、他の種類の食品、補完栄養、食事の置き換え、完全栄養、バランスのとれた完全栄養、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0052】
いくつかの実施形態では、本組成物は、乳児用調製粉乳である。いくつかの実施形態では、本組成物は、幼児用調製粉乳である。いくつかの実施形態では、本組成物は、栄養補助食品である。いくつかの実施形態では、本組成物は、ベビーフードである。いくつかの実施形態では、本組成物は、穀類ベース食品である。いくつかの実施形態では、本組成物は、補完栄養組成物である。いくつかの実施形態では、本組成物は、機能性調製食品である。いくつかの実施形態では、本組成物は、幼児用栄養ドリンクである。いくつかの実施形態では、本組成物は、完全栄養組成物である。いくつかの実施形態では、本組成物は、全バランス栄養組成物である。いくつかの実施形態では、本組成物は、成人用調製粉乳である。いくつかの実施形態では、本組成物は、栄養ドリンクである。
【0053】
さらなる態様において、本発明は、乳児用調製粉乳で使用するための組成物を提供する。さらなる態様において、本発明は、幼児用調製粉乳で使用するための組成物を提供する。さらなる態様において、本発明は、補完栄養に使用するための組成物を提供する。さらなる態様において、本発明は、対象の栄養を補う際に使用するための組成物を提供する。さらなる態様において、本発明は、ベビーフードにおいて使用するための組成物を提供する。さらなる態様において、本発明は、機能性調製食品において使用するための組成物を提供する。さらなる態様において、本発明は、幼児用栄養ドリンクにおいて使用するための組成物を提供する。さらなる態様において、本発明は、完全栄養において使用するための組成物を提供する。本発明はさらに、対象の全バランス栄養において使用するための組成物を提供する。本発明はさらに、成人用調製粉乳において使用するための組成物を提供する。本発明はさらに、栄養ドリンクにおいて使用するための組成物を提供する。
【0054】
「乳児」に言及する場合、0~1歳の新生児を包含すると理解されるべきである。この用語には、任意の出生時体重で出生した満期産児および未熟児の両方を含む。
【0055】
「幼児」に言及する場合、1歳~3歳までのヒト対象を包含すると理解されるものとする。この用語には、あらゆる認知または健康状態にあるこの年齢層のヒトが含まれる。
【0056】
「対象の栄養の補給」に言及する場合、推奨栄養素による対象(任意の健康状態または身体的状態にあるヒトの乳児、幼児、小児、青年、成人、高齢者のいずれか)の栄養の質的および量的補完を包含すると理解されるものとする。
【0057】
「ベビーフード」に言及する場合、乳児、幼児、および新生児から5歳までの小児用のあらゆる種類の食品(固形、半固形、フィンガーフード、バー、スナックなど)または飲み物(液体、半液体、シェイクなど)を含むと理解するべきである。
【0058】
「栄養補助食品」または「補助食品」または「機能性調製食品」または「調製栄養」または「栄養補助」または「完全栄養」または「補完栄養」に言及するとき、あらゆる健康または身体状態の乳児、幼児、小児、成人、高齢者のためのあらゆる種類の食品(固体、半固体、フィンガーフード、バー、スナックなど)または飲料(液体、半液体、シェイクなど)を包含すると理解するべきである。さらに、栄養食品もしくは機能性食品、または補完栄養もしくは完全栄養は、健康な対象の栄養を補うのに役立ち得る。さらに、栄養補助食品、機能性食品、補完栄養、または完全栄養は、対象が回復に必要なすべての食事を摂取することができない状態であるため、栄養補助食品を必要とする状態もしくは疾患から回復している対象またはあらゆる種類の運動およびトレーニングに参加する健康な対象の栄養を補うのに役立つ。栄養食品または機能性食品または完全栄養は、少なくとも1つの疾患またはその症状(例えば、腸疾患(過敏性腸疾患、炎症性腸疾患、慢性疾患、大腸炎、および任意の組み合わせまたは、それらの状態もしくは症状胃腸障害、栄養失調疾患、炎症性疾患、過敏性腸疾患、認知および神経疾患、心血管疾患など)を予防/治療/改善/軽減するのに役立ち得る。
【0059】
栄養もしくは機能性食品、または補完栄養もしくは完全栄養は、栄養失調、栄養吸収障害に対してより脆弱な対象、除脂肪体重および基礎代謝率の低下を有する対象、例えば高齢者(65歳以上)のための追加の補助食品として役立ち得る。
【0060】
「完全栄養」または「対象のバランスのとれた完全な栄養」に言及する場合、様々な医療機関および科学機関(ESPGHAN、コーデックス、EFSA、WHO、FAOなど)によって推奨される健康および機能を維持するため、対象(例えば、あらゆる健康または身体状態の乳児、幼児、小児、青年、成人、高齢者など)が必要とする必須原料を包含すると理解されるべきである。
【0061】
本発明はさらに、以下のステップを含む、本明細書の上記および下記に開示される減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つの植物ベース成分を調製する方法を提供し、本方法は、(a)少なくとも1つの植物ベース成分を提供するステップと、(b)少なくとも1つの植物ベース成分を、これらに限定されないが、(i)少なくとも1つの植物ベース成分の微量元素含有物の電気透析;(ii)少なくとも1つの植物ベース成分の微量元素含有物の水抽出;(iii)IOX交換樹脂;(iv)微量元素含有物を少なくとも1つの微量元素キレート剤でキレート化し、形成されたキレートをろ過すること;(v)膜ろ過、(vi)空気分級のうちの少なくとも1つに暴露するステップと、を含み、それにより、減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つの植物ベース成分が形成される。いくつかの実施形態では、本明細書の上記および下記に開示される、減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つの植物ベース成分を調製する方法は、(a)少なくとも1つの植物ベース成分を提供するステップと;(b)少なくとも1つの植物ベース成分を少なくとも1つの微量元素キレート剤に反応させて、これにより微量元素含有物のキレートを形成するステップと;(c)少なくとも1つの植物ベース成分から微量元素含物のキレートをろ過するステップと;を含み、それにより、減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つの植物ベース成分が形成される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのキレート剤は、クエン酸である。
【0062】
「電気透析」に言及する場合、適用された電位差の影響下で、イオン交換膜を介してある溶液から別の溶液に微量元素塩イオンを輸送するプロセスを指すと理解されるべきである。これは、電気透析セルと呼ばれる構成で行われる。セルは、2つの電極間に配置された陰イオン交換膜および陽イオン交換膜によって形成された供給(希釈)コンパートメントおよび濃縮(ブライン)コンパートメントで構成される。ほとんどすべての実用的な電気透析プロセスでは、複数の電気透析セルが、電気透析スタックと呼ばれる構成に配置され、複数の電気透析セルを形成する陰イオン交換膜および陽イオン交換膜が交互になっている。
【0063】
「水抽出」に言及する場合、材料を水相と混合して、2つの異なる相(溶解相および非溶解相(固体))を作出するプロセスを指すと理解されるものとする。水相と書く場合、低いPH3から高いPH10までの様々なPH条件を指すことと理解するべきである。PHの変化は、酸および/または塩基の添加によって得られる。
【0064】
「IOX交換樹脂」に言及する場合、溶解したイオンが溶液から除去され、同じまたは類似の電荷の他のイオンに置換する可逆的化学反応を指すと理解されるものとする。樹脂自体は、炭化水素のネットワークを形成する有機ポリマーで構成されている。ポリマーマトリックス全体にイオン交換部位があり、正電荷を帯びたイオン(陽イオン)または負電荷を帯びたイオン(陰イオン)のいずれかのいわゆる「官能基」が、ポリマーネットワークに固定される。これらの官能基は、反対の電荷のイオンを容易に引き付ける。
【0065】
「少なくとも1つの微量元素キレート剤との反応」に言及するとき、その構造が、それらの1つ、2つまたはそれ以上のドナー原子(または部位)を同じ微量元素イオンに同時に接着することができ、キレートを生成する化合物であるキレート剤を使用する反応を指すと理解されるべきである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸などから選択される。キレート剤は、元素と結合し、ろ過プロセスを使用して除去される。
【0066】
「膜ろ過」について言及する場合、サイズの違いに基づいて異なる成分を分離するためのバリアとして機能するプロセスを指すと理解されるべきである。マイクロろ過、ナノろ過、および限外ろ過など、いくつかの技術がある。このようなシステムを使用することにより、溶液は特定の膜を通って移送される。この膜よりも大きい成分(例えば、タンパク質、脂肪など)は内側に留まり、小さい成分および/または完全に溶解した成分は、膜を通過する。これは、2つのストリームを作成することによって得られ、1つのストリームは、タンパク質、脂肪などに富み、2つ目はMgおよびMnなどのミネラルおよび微量元素を含む。
【0067】
「空気分級」に言及する場合、サイズおよび密度の違いに基づいて、部分を分離できるプロセスを指すと理解されるべきである。このようなシステムを使用する場合、原材料は、最初に粉砕され、次にサイクロンに運ばれ、そこで2つの主要ストリームに分離される。1つ目のストリームは、かさ密度が高くなり、2つ目は、かさ密度が低くなる。1つ目のストリームは、高レベルのタンパク質で得られ、2つ目のストリームは、低タンパク質レベルで得られる。
【0068】
本発明はさらに、対応する天然に存在する植物ベース食品成分または原料中の含有物と比較して、減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つの植物ベース食品成分または原料を含む組成物を提供し、ここで、組成物は、(i)対象の全バランス栄養のための組成物、(ii)機能性調製食品、(iii)完全栄養、(iv)補完栄養のうちの少なくとも1つである。いくつかの実施形態では、組成物は、非乳製品である。
【0069】
本発明の組成物のいくつかの実施形態では、減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つの植物ベース成分は、ナッツである。本発明の組成物のいくつかの実施形態では、減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つの植物ベース成分は、穀物である。本発明の組成物の他の実施形態では、組成物は、少なくとも1つのナッツおよび少なくとも1つの穀物を含む。いくつかの実施形態では、植物ベース成分はまた、タンパク質のレベルを増加させるため、および/またはデンプン/炭水化物含有物を減少させるために処理される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの植物ベース成分は、フィチン酸のレベルを減少させるために前処理される。
【0070】
本発明の組成物のいくつかの実施形態では、本組成物は、非乳組成物である。他の実施形態では、本組成物は、非大豆組成物である。他の実施形態では、本組成物は、乳組成物である。
【0071】
「フィチン酸のレベルを減少させるための前処理」に言及する場合、ナッツまたは植物ベース中のフィチン酸のレベル(量)を低下させるために、本発明の組成物に添加する前に、組成物のナッツまたは植物ベースの成分を処理することを指すと理解されるべきである。ナッツまたは植物ベースの成分の前処理は、フィターゼ酵素によるナッツまたは植物ベースの成分の処理、水へのナッツまたは植物ベースの成分の浸漬、ナッツまたは植物ベースの成分の加熱、ナッツまたは植物ベースの皮むき、ナッツまたは植物ベースの蒸し、湯むきおよび焙煎、ならびにそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つによって実施される。
【0072】
いくつかの実施形態では、フィチン酸レベルの減少または低下は、本発明の組成物のナッツまたは植物ベース成分(すなわち、0.001~0.5重量%以下のフィチン酸を含む組成物)から実質的にすべてのフィチン酸を除去するためのものである。
【0073】
いくつかの実施形態では、組成物中のナッツと少なくとも1つの植物ベース成分との比率は、約10:90~約90:10である。
【0074】
少なくとも1つの植物ベース成分の「微量元素を減少させるための前処理」および/または「タンパク質レベルの増加のためおよび/またはデンプン/炭水化物含有物を減少させるため」に言及する場合、これに限定されないが、(i)電気透析;(ii)水抽出;(iii)IOX交換樹脂;(iv)微量元素キレート剤との反応;(v)膜ろ過(vi)空気分級などの少なくとも1つに関連すると理解されるべきである。
【0075】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのナッツは、アーモンドである。アーモンドに言及する場合、アーモンドの木の殻を取り除いた核果(Prunus dulcis、syn.Prunus amygdalus Batsch.、Amygdalus communis L.、Amygdalus dulcis Mill)、任意の種類の形態(種皮から皮をむいたもの、皮付きのもの、すりつぶしたもの、粉状にしたもの、製粉したものなど)を包含するものと理解されるべきである。アーモンドは、組成物の脂質成分をもたらす(とりわけ、必須リノレン酸およびαリノレン酸を含む)。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのナッツ成分は、微量元素を減少させるために前処理される。他の実施形態では、少なくとも1つの穀物成分は、微量元素を減少させるために前処理される。
【0076】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのナッツは、組成物の総重量から少なくとも10重量%の量で存在する。
【0077】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの植物ベース成分は、組成物の総重量から少なくとも5重量%の量で存在する。
【0078】
いくつかの実施形態では、本組成物は、乾燥組成物の形態である。他の実施形態では、本組成物は、水溶性乾燥粉末の形態である。さらなる実施形態では、本組成物は、液体をさらに含む(いくつかの実施形態では、液体は、水である)。
【0079】
いくつかの実施形態では、本組成物は、ビタミン、ミネラル、微量元素、炭水化物、脂質、アミノ酸、タンパク質、およびそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの添加物をさらに含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、本組成物は、クレオチド、多価不飽和脂肪酸、フッ化物、コリン、プロバイオティック剤、プレバイオティック剤、およびそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、本組成物は、着香剤、油保護コロイド、可塑剤、酸化防止剤、乳化剤、増粘剤、酸性度調整剤、包装用ガス、およびそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、対象は、乳児および/または幼児である。他の実施形態では、対象は、小児である。他の実施形態では、対象は、青年である。他の実施形態では、対象は、成人である。
【0083】
本発明は、本明細書の上記および下記に定義されるように、減少させた微量元素のレベルを有する少なくとも1つの植物ベース成分を含む組成物をさらに提供する。本発明はさらに、本明細書の上記および下記で定義されるように、減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つのナッツを含む組成物を提供する。本発明はさらに、本明細書の上記および下記で定義されるとおり、減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つの穀物を含む組成物を提供する。
【0084】
いくつかの実施形態では、本組成物は、(i)対象の全バランス栄養のための組成物、(ii)機能性調製食品、(iii)完全栄養、(iv)補完栄養のうちの少なくとも1つである。いくつかの実施形態では、組成物は、非乳組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は、乳組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は、非大豆組成物である。
【0085】
本発明は、少なくとも1つのナッツ脂質成分および/またはすべての必須アミノ酸を含む少なくとも1つの非乳成分を含む組成物をさらに提供し、少なくとも1つのナッツ成分または少なくとも1つの非乳成分は、減少させたレベルの少なくとも1つの微量元素を含む。
【0086】
本発明はさらに、少なくとも1つのナッツタンパク質成分および/またはすべての必須アミノ酸を含む少なくとも1つの非乳成分を含む組成物を提供し、少なくとも1つのナッツ成分または少なくとも1つの非乳成分は、減少させたレベルの少なくとも1つの微量元素を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、(i)対象の全バランス栄養のための組成物、(ii)機能性調製食品、(iii)完全栄養、(iv)補完栄養のうちの少なくとも1つである。いくつかの実施形態では、組成物は、非乳製品である。他の実施形態では、本組成物は、非大豆組成物である。他の実施形態では、本組成物は、乳組成物である。
【0088】
いくつかの実施形態では、ナッツ成分は、減少させたレベルの少なくとも1つの微量元素を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの非乳成分は、減少させたレベルの少なくとも1つの微量元素を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの植物ベース成分は、天然に存在する少なくとも1つの植物ベース成分中でのレベルと比較して、増加させたレベルのタンパク質および/または減少させたデンプン/炭水化物をさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの植物ベース成分は、天然に存在する少なくとも1つの植物ベース成分中でのレベルと比較して、減少させたレベルのフィチン酸をさらに含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの非乳成分は、天然に存在する少なくとも1つの非乳成分中のレベルと比較して、増加させたレベルのタンパク質をさらに含み、および/またはデンプン/炭水化物含有物を減少させる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの非乳成分は、天然に存在する少なくとも1つの非乳成分中でのレベルと比較して、減少させたレベルのフィチン酸を含む。
【0091】
「少なくとも1つのナッツベース脂質成分」に言及する場合、アーモンド、ブラジルナッツ、キャンドルナッツ、カシュー、クリ、ハシバミ(filbert)、ヘーゼルナッツ、チリヘーゼルナッツ、ヒッコリーナッツ、マカダミアナッツ、ペカン、マラバルクリ、モンゴンゴ、ピーナッツ、松の実、ピスタチオ、クルミ、ヘブナッツ(yeheb nut)、およびそれらの任意の組み合わせなどのナッツの少なくとも1つから抽出された任意の脂質(例えば、トリグリセリド)を包含すると理解されるべきである。
【0092】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのナッツベース脂質成分は、天然に存在する少なくとも1つのナッツベース脂質成分中でのレベルと比較して、増加させたタンパク質レベルおよび/または減少させたデンプン/炭水化物を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのナッツベース脂質成分は、天然に存在する少なくとも1つのナッツベース脂質成分中でのレベルと比較して、減少させたレベルのフィチン酸をさらに含む。
【0093】
「少なくとも1つのナッツベースタンパク質成分」に言及する場合、アーモンド、ブラジルナッツ、キャンドルナッツ、カシュー、クリ、ハシバミ(filbert)、ヘーゼルナッツ、チリヘーゼルナッツ、ヒッコリーナッツ、マカダミアナッツ、ペカン、マラバルクリ、モンゴンゴ、ピーナッツ、松の実、ピスタチオ、クルミ、ヘブナッツ(yeheb nut)、およびそれらの任意の組み合わせなどのナッツの少なくとも1つから抽出された任意のタンパク質を包含すると理解されるべきである。
【0094】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのナッツベースタンパク質成分は、天然に存在する少なくとも1つのナッツベースタンパク質成分中でのレベルと比較して、増加させたレベルのタンパク質および/または減少させたレベルのデンプン/炭水化物を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのナッツベースタンパク質成分は、天然に存在する少なくとも1つのナッツベースタンパク質成分中でのレベルと比較して、減少させたレベルのフィチン酸を含む。
【0095】
「非乳成分または原料」に言及する場合、乳製品またはその一部を含まない任意の種類の食品成分を包含すると理解されるべきである。いくつかの実施形態では、非乳成分は、自然界に天然に存在する植物(ナッツ以外)に由来する、これらの植物から抽出された、これらの植物をベースにした、またはこれらの植物から調製された植物ベース成分であり、未加工であるか、または加工され(皮をむく、焙煎させる、調理する、煮る、加水分解させるなど、およびそれらの任意の組み合わせ)、任意の形態(粉砕、細断、粉末化、乱切り、すりつぶし(mashed)、未処理、およびそれらの任意の組み合わせ)である。
【0096】
いくつかの実施形態では、非乳成分は、穀物、疑似穀物、豆類、マメ科植物、油糧種子、穀類、果物、野菜、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、非乳成分は、マメ科植物である。いくつかの実施形態では、マメ科植物は、アルファルファ、クローバー、豆、エンドウ豆、ヒヨコ豆、ヒラ豆、ハウチワ豆、メスキート、イナゴ豆、大豆、ピーナッツ、およびタマリンド、ならびにそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、非乳成分は、穀物である。いくつかの実施形態では、穀物は、シコクビエ、フォニオ、トウモロコシ(コーン)、キビ、大麦、ライ麦粒、米、オーツ麦、ライ麦、テフ、小麦、ワイルドライス、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0097】
いくつかの実施形態では、非乳成分は、疑似穀物である。いくつかの実施形態では、疑似穀物は、ソバ、アマランス、チア、キノア、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0098】
いくつかの実施形態では、非乳成分は、豆類である。いくつかの実施形態では、豆類は、ヒラ豆、エンドウ豆(pea)、ヒヨコ豆、インゲン豆、エンドウ豆(common pea)(エンドウ豆(garden pea))、ソラ豆、ヒラ豆、ライ豆、ハウチワ豆、緑豆、大豆、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0099】
いくつかの実施形態では、非乳成分は、油料種子である。いくつかの実施形態では、油料種子は、ナタネ、クロガラシ、ナタネ(キャノーラなど)、ヒマワリの種、ベニバナ、亜麻の種子、麻の種子、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0100】
「非乳組成物」という用語は、乳製品を生産する動物源に由来する任意の成分には由来しないが、またはそれを含み、乳児、幼児、成人、または高齢者の栄養に必要なすべての必須アミノ酸を含む、本発明の組成物を指す。
【0101】
「非大豆組成物」という用語は、大豆源に由来する任意の成分に由来しないが、またはそれを含むが、乳児、幼児、成人、または高齢者の栄養に必要な栄養素を含む、本発明の組成物を指す。
【0102】
「必須アミノ酸」(または不可欠アミノ酸)に言及する場合、ヒトが新たに合成することができず、したがって食事で供給されなければならないアミノ酸を包含すると理解されるべきである。本出願の文脈において、必須アミノ酸の一覧には、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファンおよびバリンが含まれる。
【0103】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのナッツ成分と少なくとも1つの非乳成分との比率は、約10:90~約90:10である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのナッツ成分は、組成物の総重量から少なくとも10重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの非乳成分は、組成物の総重量から少なくとも5重量%の量で存在する。
【0104】
いくつかの実施形態では、本組成物は、乾燥組成物の形態である。いくつかの実施形態では、本組成物は、水溶性乾燥粉末の形態である。いくつかの実施形態では、本組成物は、水をさらに含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのナッツ成分は、アーモンド、ブラジルナッツ、キャンドルナッツ、カシュー、クリ、ハシバミ(filbert)、ヘーゼルナッツ、チリヘーゼルナッツ、ヒッコリーナッツ、マカダミアナッツ、ペカン、マラバルクリ、モンゴンゴ、ピーナッツ、松の実、ピスタチオ、クルミ、ヘブナッツ(yeheb nut)、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのナッツ成分は、アーモンドである。
【0106】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの非乳成分は、ソバ、大麦、米、トウモロコシ(maize)、トウモロコシ(corn)、キビ、オーツ麦、ライ麦、エンドウ豆、ヒヨコ豆、ヒラ豆、キノア、テフ、チア、豆、ソラ豆、ヒマワリ、ベニバナ、亜麻、ナタネ、小麦、モロコシ、キビ、オーツ麦、ライコムギ、フォニオ、緑豆、カボチャ、アマランス、およびそれらの任意の組み合わせから選択される穀物の一種である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの非乳成分は、ソバ、アマランス、またはキノアから選択される一種の疑似穀物である。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の非乳成分は、ソバである。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の非乳成分は、全粒穀物である。
【0107】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、ビタミン、ミネラル、微量元素、炭水化物、脂質、タンパク質、およびそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの添加物をさらに含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、ヌクレオチド、多価不飽和脂肪酸、フッ化物、コリン、プロバイオティック剤、プレバイオティック剤、およびそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、着香剤、油保護コロイド、可塑剤、酸化防止剤、乳化剤、増粘剤、酸性度調整剤、包装用ガス、およびそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む。
【発明の詳細な説明】
【0110】
マンガンは、哺乳動物にとって必須の食事ミネラルであり、アミノ酸、脂質、および炭水化物の代謝に関与しているため、乳児用調製粉乳の最小レベルの必須成分である。すべての規制当局によって設定されたMnの推奨最小レベルは、1μg/100kcal(1μg/100kcal~5μg/100gr~7.5μg/L)であり、これは、ヒト母乳濃度の順である。
【0111】
乳児におけるMnのバイオアベイラビリティに関して使用できるデータはほとんどないが、その吸収率は、成人のおよそ3%に比較して、新生児で高く、16~37%である。乳児、特に新生児は、ヒトにおいて主要なMn排泄経路である胆汁排泄が一時的に減少するため、Mn毒性の影響をさらに受けやすくなる。乳児用調製粉乳を与えられた子供のMn摂取量および保持率は、母乳を与えられた小児または成人よりもはるかに高い。大豆および米は、本来、高レベルのMnを有するため、近年の刊行物に反映されているとおり、牛乳ベースの調製粉乳と比較して、高いMnレベルとなり、ヒト母乳中のマンガンレベルは、約3~10mcg/L、牛乳ベースの乳児用調製粉乳では30~50mcg/L、大豆ベースの乳児用調製粉乳では200~300mcg/Lである。
【0112】
欧州指令、Codex Alimentarius、およびESPGHANは、比較的高いMn暴露および小児の神経発達に関連する可能性のある悪影響について近年提起された深刻な懸念に基づいて、乳児用調製粉乳中のMnの上限も定義している。他の小児と比較して高レベルのMnにさらされた子供は、認知発達の障害、IQまたは知能スコアの低下、記憶機能の障害、学業能力または成績の低下、実行機能の障害、視覚空間能力の低下、運動機能の障害、嗅覚機能の障害、非典型的な脳構造または機能、および比較的高いMn暴露は、注意欠陥、多動性、または注意欠陥多動性障害(ADHD)、および他の行動および注意の問題のリスクを高める疑いがあることがわかっている(Frisbie et al.,PloS One 2019)。Codexおよび欧州指令では、最大レベルを100mcg/100kcal(680mcg/L)に設定しており、ESPGHANの最大推奨値は、50mcg/100kcal(340mcg/L)である。ESPGHANは、乳児ではマンガン排泄が未熟であるため、脳などの組織への蓄積が生じ得、潜在的な悪影響を誘導する可能性があるため、マンガンの含有物が多くなることを回避するように推奨している。
【0113】
マグネシウム(Mg)は、身体内の必須ミネラルであり、生体高分子の合成、骨基質の発達、エネルギー生産、ならびに心臓、神経、筋肉の機能に影響を与える。植物源および動物源に由来する食品では、Mgはほとんどが、主にフィチン酸、リン酸塩、クロロフィルなどに結合またはキレート化されているか、生物学的アパタイト(骨格)中に含まれている。
【0114】
食事中のマグネシウムのバイオアベイラビリティは高い。ヒト母乳中の濃度は、31.4~35.7mg/L(Atkinson et al.,1995)または17~28mg/d(Lonnerdal,1997)という狭い範囲内に調整されているようである。牛乳には、120~130mg/L(18~19mg/100kcal)が含まれ得る(Atkinson et al.,1995;Greer,1989;Lonnerdal,1995)。調製粉乳には40~70mg/L(6~12mg/100kcal)が含まれると報告されている(LSRO,1998)。
【0115】
マンガンと同様に、Mgは、乳児用調製粉乳の必須成分であり、最少レベルである。すべての規制当局によって設定されたMgの推奨最小レベルは、5mg/100kcal(約25mg/100gr~37.5mg/L)で、これは、ヒト母乳濃度の順である。Codex、ESPGHAN、および欧州指令では、最大レベルを15mg/100kcal(約75mg/100gr~112.5mg/L)に設定している。
【0116】
実施例1:微量元素の減少
材料および供給業者:ソバ粉:Ziegler,バッチ番号-B2011327001。クエン酸:Parchem,バッチ番号:AA-20030381-G。
【0117】
溶液の調製:15gのクエン酸を水3000gと周囲条件で混合し、最終濃度0.5%(w/w)まで完全に溶解させた。
【0118】
第1の抽出:ソバ粉200gをクエン酸溶液1000gと混合し(比率1:5-固形物対クエン酸溶液)、室温(摂氏約21度)で60分間混合した。60分後に測定されたpH-4.42。60分後、3000RPMで3分間の遠心力を用いて固体(生成物)をろ液(副生成物)から分離した。湿った固形物重量-390g、乾燥物-44.54%。副生成物重量-753g。副生成物を廃棄し、引き続き湿った固形物のうちの169gの第2の抽出を行い、残り(193g)を摂氏60度で15時間のオーブン乾燥にかけた。
【0119】
第2の抽出:第1の抽出段階からの湿った固形物(169g)を新鮮なクエン酸溶液500g(固形物対クエン酸溶液の比率1:2.5)と混合し、室温(摂氏約21度)で15分間混合した。15分後に測定したpH-3.83。15分後、3000RPMで3分間の遠心力を用いて、固形物(生成物)をろ液(副生成物)から分離した。湿った固形物重量-161g、乾燥物-44.41%。副生成物重量-269g。副生成物を廃棄し、得られた湿った固形物161gをオーブン乾燥に移した。第1の抽出からの総粉末-76.9g。第2の抽出からの総粉末-70.5g。
【表2】
【0120】
実施例2:加水分解プロセス
材料および供給業者:ソバ粉:Ziegler,バッチ番号:B2011327001.酵素:α-アミラーゼ-BAN 480L
【0121】
溶液の調製:1Lの反応器で、ソバ粉200gを水700gと混合した。α-アミラーゼ0.25gを添加した。溶液を摂氏80度まで加熱し、105分間混合した。粘度は15分毎に測定した。105分後、溶液を噴霧乾燥機に移して乾燥自由流動性粉末を得た。
【0122】
実施例3:大規模な微量元素の減少、加水分解、乾燥
材料および供給業者:ソバ粉:Ziegler,ロット番号:B2013082001クエン酸:Parchem,バッチ番号:AA-20030381-G酵素:α-アミラーゼ-BAN480L、バッチ:ADN04525。NaOH(1M)によりpH調整。
【0123】
第1の抽出:クエン酸10kgを水2000kgと混合した(濃度0.5%)。ソバ粉200gをクエン酸溶液1000gと混合(比率1:5-固形物対クエン酸溶液)し、室温(摂氏約22度)で60分間混合した。60分後に測定されたpH-3.8。
【0124】
60分後、遠心力(Decanter Z4D4)を用いて固形物(生成物)をフィルター(副生成物)から分離した。湿った固形物重量-344kg、乾燥物-47.98%。副生成物重量-838kg、乾燥物-1.69%。副生成物は廃棄し、第1の抽出からの344kgの湿った固形物を第2の抽出に移した。
【0125】
第2の抽出:第1の抽出からの湿った固形物(344kg)を新鮮なクエン酸溶液500kg(初期粉重量対クエン酸溶液の比1:2.5)と混合し、室温(摂氏約21度)で15分間混合した。分。pH(15分後に測定)=3.0。15分後、遠心力(Decanter Z4D4)を使用して固体(生成物)をろ液(副生成物)から分離した。湿った固形物重量-300kg、乾燥物-49.25%。副生成物重量-540kg、乾燥物-0.7%。副生成物は廃棄され、300kgの湿った固形物が加水分解プロセスに移された。
【0126】
でんぷんの加水分解:第2の抽出段階からの湿った固形物(268kg)を水249kgと混合した(比率1:2.55-乾燥固形物対水)。調整前に得られたpHは3.52であり、NaOH1.12kgを添加することによってpHを調整後、得られたpHは、pH6.2であった。α-アミラーゼ0.3kgを添加した(初期粉重量からの0.15%)。溶液を摂氏80度まで加熱し、70分間混合した。70分後、溶液を噴霧乾燥機に移した。最終乾燥粉末-121.36kg。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0127】
実施例4:本発明の乳児用調製粉乳(大規模)
材料および供給業者:ヒマワリレシチン:Tradin organic,ロット番号:PUS201088-01.アーモンドバター:Treehouse,バッチ番号:22226Mn減少ソバ粉:Extractis,バッチ番号:ERM0043ビタミンプレミックスXR72625:DSM,バッチ番号:7400004606ミネラルプレミックスXR72497:DSM,バッチ番号:7400004608オイルブレンド-AkoninoXP6399:AAK,バッチ番号:2624051ARA-DSM、バッチ番号:VY00404803DHA-DAM,バッチ番号:VY00409119.チロシン:Prinova,バッチ番号:102011101ロイシン:Prinova,バッチ番号:L2011002イソロイシン:Prinova,バッチ番号:Y2010035
【0128】
全原料(ヒマワリレシチン4g、アーモンドバター670g、Mn減少ソバ粉2503g、ビタミンプレミックス32g、ミネラルプレミックス124g、ブレンドオイル-akonino620g、ARA10g、DHA10g、チロシン9.2g、ロイシン10.4g、およびのイソロイシン6g)を水7429gと混合した。溶液をホモジナイザーに移し、均質化後、噴霧乾燥機で乾燥させた。
【表8】
【表9】
【0129】
実施例5:微量元素の減少
材料および供給業者:ソバ粉:Ziegler,バッチ番号-B2011327001。クエン酸:Parchem,バッチ番号:AA-20030381-G
第1の微量元素の減少
【0130】
溶液の調製:15gのクエン酸を水3000gと周囲条件で混合し、最終濃度0.5%(w/w)まで完全に溶解させた。
【0131】
第1の抽出:ソバ粉200gをクエン酸溶液1000gと混合し(比率1:5-固形物対クエン酸溶液)、室温(摂氏約21度)で60分間混合した。60分後に測定されたpH-4.12。60分後、3000RPMで3分間の遠心力を用いて固体(生成物)をろ液(副生成物)から分離した。湿った固形物重量-402g副生成物重量-759g。副生成物を廃棄し、続けて、湿った固形物402gを第2の抽出を行った。
【0132】
第2の抽出:第1の抽出段階からの湿った固形物(402g)を新鮮なクエン酸溶液500g(固形物対クエン酸溶液の比率1:2.5)と混合し、室温(摂氏約21度)で15分間混合した。15分後に測定したpH-3.38。15分後、3000RPMで3分間の遠心力を用いて、固形物(生成物)をろ液(副生成物)から分離した。湿った固形物重量-300g副生成物重量-555g。副生成物は、第2のミネラルの還元後、得られた湿った固形物300gをオーブン乾燥に移した。第2の抽出からの総粉末-151.5g。
【0133】
第2の微量元素の減少
溶液の調製:2.77gのクエン酸をろ液(555g)と混合し、周囲条件での第1のミネラルの還元から完全に溶解して最終濃度0.5%(w/w)にした。
【0134】
第1の抽出:ソバ粉111gをクエン酸溶液555gと混合し(比率1:5-固形物対クエン酸溶液)、室温(摂氏約21度)で60分間混合した。60分後に測定されたpH-3.87。60分後、3000RPMで3分間の遠心力を用いて固体(生成物)をろ液(副生成物)から分離した。湿った固形物重量-217g副生成物重量-425g。副生成物を廃棄し、続けて、湿った固形物217gの第2の抽出を行った。
【0135】
第2の抽出:第1の抽出段階からの湿った固形物(217g)を新鮮なクエン酸溶液277g(固形物対クエン酸溶液の比率1:2.5)と混合し、室温(摂氏約21度)で15分間混合した。15分後に測定したpH-3.38。15分後、3000RPMで3分間の遠心力を用いて、固形物(生成物)をろ液(副生成物)から分離した。湿った固形物重量-183g副生成物重量-304g。副生成物は、引き続き第3のミネラルの還元を行い、得られた湿った固形物183gをオーブン乾燥に移した。第2の抽出からの総粉末-84.5g。
【0136】
第3の微量元素の減少
溶液の調製:1.52gのクエン酸をろ液(304g)と混合し、周囲条件での第2のミネラルの還元から完全に溶解して最終濃度0.5%(w/w)にした。
【0137】
第1の抽出:ソバ粉61gをクエン酸溶液304gと混合し(比率1:5-固形物対クエン酸溶液)、室温(摂氏約21度)で60分間混合した。60分後に測定されたpH-3.79。
【0138】
60分後、3000RPMで3分間の遠心力を用いて固体(生成物)をろ液(副生成物)から分離した。湿った固形物重量-60g副生成物重量-235g。副生成物を廃棄し、続けて、湿った固形物60gの第2の抽出を行った。
【0139】
第2の抽出:第1の抽出段階からの湿った固形物(60g)を新鮮なクエン酸溶液152g(固形物対クエン酸溶液の比率1:2.5)と混合し、室温(摂氏約21度)で15分間混合した。15分後に測定したpH-3.31。15分後、3000RPMで3分間の遠心力を用いて、固形物(生成物)をろ液(副生成物)から分離した。湿った固形物重量-107g副生成物重量-159g。副生成物を廃棄し、得られた湿った固形物107gをオーブン乾燥に移した。第2の抽出からの総粉末-46.5g。
【表10】
【0140】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解をもたらすために、多くの具体的な詳細が述べられている。しかし、当業者であれば、本発明はこれらの特定の詳細なく実施され得ることを理解するであろう。他の例では、周知の方法、手順、および構成要素は、本発明を不明瞭にしないように詳細には説明されていない。
【0141】
本発明の特定の特徴が図示され、本明細書に記載されているが、多くの修正、置換、変更、および等価物が当業者に生じるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨に含まれるすべての修正および変更を網羅することを意図していることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物ベース成分であって、前記成分が、対応する天然の植物ベース成分中での含有物よりも減少させた微量元素含有物を有し、ここで、前記微量元素が、マンガン(Mn)および/またはマグネシウム(Mg)である、成分。
【請求項2】
前記減少が、対応する天然の植物ベース成分での含有物の少なくとも20%である、請求項1に記載の植物ベース成分。
【請求項3】
少なくとも1つのナッツである、請求項1または2に記載の植物ベース成分。
【請求項4】
前記少なくとも1つのナッツが、アーモンド、ブラジルナッツ、キャンドルナッツ、カシュー、クリ、ハシバミ(filbert)、ヘーゼルナッツ、チリヘーゼルナッツ、ヒッコリーナッツ、マカダミアナッツ、ペカン、マラバルクリ、モンゴンゴ、ピーナッツ、松の実、ピスタチオ、クルミ、ヘブナッツ(yeheb nut)、およびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項3に記載の植物ベース成分。
【請求項5】
穀物、疑似穀物、ナッツ、豆類、マメ科植物、油料種子、穀類、果物、野菜、およびそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項6】
ソバ、大麦、米、トウモロコシ(maize)、トウモロコシ(corn)、キビ、オーツ麦、ライ麦、エンドウ豆、ヒヨコ豆、ヒラ豆、キノア、テフ、チア、豆、ソラ豆、ヒマワリ、ベニバナ、亜麻、ナタネ、小麦、モロコシ、キビ、オーツ麦、ライコムギ、フォニオ、緑豆、カボチャ、アマランス、およびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項7】
マンガン(Mn)含有物が0~20ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項8】
マンガン(Mn)含有物が0~10ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項9】
マンガン(Mn)含有物が0~8ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項10】
マンガン(Mn)含有物が0~5ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項11】
マンガン(Mn)含有物が0~3ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項12】
マグネシウム(Mg)含有物が0~1500ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項13】
マグネシウム(Mg)含有物が0~1200ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項14】
マグネシウム(Mg)含有物が0~1000ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項15】
マグネシウム(Mg)含有物が0~500ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項16】
ヒ素(As)の含有物が0~1ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項17】
カドミウム(Cd)の含有物が0~0.05ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項18】
鉛(Pb)の含有物が0~0.05ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項19】
水銀(Hg)の含有物が0~1ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項20】
銅(Cu)の含有物が0~1ppmである、先行請求項のいずれか一項に記載の植物ベース成分。
【請求項21】
少なくとも100のタンパク質対Mgの比率を有する、植物ベース成分。
【請求項22】
少なくとも15,000のタンパク質対Mgの比率を有する、植物ベース成分。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の、減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つの植物ベース成分を含む組成物。
【請求項24】
請求項1~22のいずれか一項に記載の、減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つのナッツを含む組成物。
【請求項25】
請求項1~22のいずれか一項に記載の、減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つの穀物を含む組成物。
【請求項26】
非乳組成物である、請求項23~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
乳組成物である、請求項23~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
非大豆組成物である、請求項23~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
減少させた微量元素含有物を有する少なくとも1つの植物ベース成分を調製する方法であって、前記方法が、(a)少なくとも1つの植物ベース成分を提供するステップと、(b)少なくとも1つの植物ベース成分を、(i)少なくとも1つの植物ベース成分の微量元素含有物の電気透析;(ii)前記少なくとも1つの植物ベース成分の前記微量元素含有物の水抽出;(iii)IOX交換樹脂;(iv)前記微量元素含有物を少なくとも1つの微量元素キレート剤でキレート化して、キレートを形成し、前記キレートをろ過すること;(v)膜ろ過、(vi)空気分級のうちの少なくとも1つに暴露するステップと、を含み、それにより、減少させた微量元素含有物を有する前記少なくとも1つの植物ベース成分が形成される、方法。
【請求項30】
(a)少なくとも1つの植物ベースの成分を提供するステップと;(b)前記少なくとも1つの植物ベースの成分を少なくとも1つの微量元素キレート剤と反応させ、それによって前記微量元素含有物のキレートを形成するステップと;(c)前記少なくとも1つの植物ベースの成分から前記微量元素含有物の前記キレートをろ過するステップと;を含み、それにより、減少させた前記微量元素含有物を有する前記少なくとも1つの植物ベースの成分を形成する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つのナッツ脂質成分および/またはすべての必須アミノ酸を含む少なくとも1つの非乳成分を含む組成物であって、前記少なくとも1つのナッツ成分または少なくとも1つの非乳成分が、減少させたレベルの少なくとも1つの微量元素を含む、組成物。
【請求項32】
少なくとも1つのナッツタンパク質成分および/またはすべての必須アミノ酸を含む少なくとも1つの非乳成分を含む組成物であって、前記少なくとも1つのナッツ成分または少なくとも1つの非乳成分が、減少させたレベルの少なくとも1つの微量元素を含む、組成物。
【請求項33】
前記ナッツ成分が、減少させたレベルの少なくとも1つの微量元素を含む、請求項31または32に記載の組成物。
【請求項34】
前記少なくとも1つの非乳成分が、減少させたレベルの少なくとも1つの微量元素を含む、請求項31または32に記載の組成物。
【請求項35】
前記少なくとも1つのナッツ成分と前記少なくとも1つの非乳成分との前記比率が、約10:90~約90:10である、請求項31~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記少なくとも1つのナッツ成分が、前記組成物の総重量の少なくとも10重量%の量で存在する、請求項31~35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記少なくとも1つの非乳成分が、前記組成物の総重量の少なくとも5重量%の量で存在する、請求項31~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
乾燥組成物の形態である、請求項31~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
水溶性乾燥粉末の形態である、請求項31~38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
水をさらに含む、請求項31~39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
前記少なくとも1つのナッツ成分が、アーモンド、ブラジルナッツ、キャンドルナッツ、カシュー、クリ、ハシバミ(filbert)、ヘーゼルナッツ、チリヘーゼルナッツ、ヒッコリーナッツ、マカダミアナッツ、ペカン、マラバルクリ、モンゴンゴ、ピーナッツ、松の実、ピスタチオ、クルミ、ヘブナッツ(yeheb nut)、およびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項31~40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
前記少なくとも1つのナッツ成分がアーモンドである、請求項31~41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
少なくとも1つの非乳成分が、ソバ、大麦、米、トウモロコシ(maize)、トウモロコシ(corn)、キビ、オーツ麦、ライ麦、エンドウ豆、ヒヨコ豆、ヒラ豆、キノア、テフ、チア、豆、ソラ豆、ヒマワリ、ベニバナ、亜麻、ナタネ、小麦、モロコシ、キビ、オーツ麦、ライコムギ、フォニオ、緑豆、カボチャ、アマランス、およびそれらの任意の組み合わせから選択される穀物の一種である、請求項31~42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
少なくとも1つの非乳成分が、ソバ、アマランス、またはキノアから選択される1つの種類の疑似穀物である、請求項31~43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
前記少なくとも1つの種類の非乳成分が、ソバである、請求項31~44のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項46】
前記少なくとも1つの種類の非乳成分が、全粒穀物である、請求項31~45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
ビタミン、ミネラル、微量元素、炭水化物、脂質、タンパク質、アミノ酸およびそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの添加物をさらに含む、請求項31~46のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
クレオチド、多価不飽和脂肪酸、フッ化物、コリン、プロバイオティック剤、プレバイオティック剤、およびそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項31~47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
着香剤、油保護コロイド、可塑剤、酸化防止剤、乳化剤、増粘剤、酸性度調整剤、包装用ガス、およびそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項31~48のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
前記対象が乳児および/または幼児である、請求項31~49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
前記対象が成人である、請求項31~50のいずれか一項に記載の組成物。
【国際調査報告】