(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】ロール成形及び溶接されたチューブの製造のための金属ストリップを予備成形するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B21D 22/02 20060101AFI20230713BHJP
B21C 37/083 20060101ALI20230713BHJP
B21J 5/02 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
B21D22/02 B
B21C37/083 Z
B21J5/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576384
(86)(22)【出願日】2021-06-10
(85)【翻訳文提出日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2021065683
(87)【国際公開番号】W WO2021254884
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515228553
【氏名又は名称】ヒドロ・エクストゥルーデッド・ソリューションズ・アーエス
【氏名又は名称原語表記】HYDRO EXTRUDED SOLUTIONS AS
【住所又は居所原語表記】0240 Oslo, Norway
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】ザッファローニ、ジョルジョ・ジョヴァンニ・バッティスタ
(72)【発明者】
【氏名】パスクァロン、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】マンゲルスドルフ、アンドレ
【テーマコード(参考)】
4E087
4E137
【Fターム(参考)】
4E087CA41
4E087EA41
4E087HB02
4E137AA17
4E137BA05
4E137BB01
4E137CA03
4E137EA14
4E137GA11
4E137GA15
4E137GB20
4E137HA10
(57)【要約】
ロール成形及び溶接されたチューブの製造のための金属ストリップ(40)を予備成形するための装置及び方法であって、エンボス加工具(20)及びストリップエッジ面取り工具(30)を含み、エンボス加工具は、中央エンボス加工部分(3、3’)を備えた円筒面(2)を有するエンボス加工ロール(l)を含み、及びストリップエッジ面取り工具は、凹んだ中央セクション(34)及び中央セクションの各側の側部セクション(35)を含むエッジ面取りロール(31)と、アンビルロール(32)とを含み、エッジ面取りロール(31)及びアンビルロール(32)は、ロール間に形成された間隙(33)において金属ストリップを受け、且つそれを通すように構成され、間隙(33)は、金属ストリップの長手方向側部エッジが通る位置にある側部セクションにおいて、減少した高さを有し、それにより、金属ストリップの各側における且つ金属ストリップのエンボス加工側における長手方向側部エッジは、ロール(31、32)の対間を通されるときに面取りされる、装置及び方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール成形及び溶接されたチューブの製造のための金属ストリップ(40)を予備成形するための装置であって、エンボス加工具(20)及びストリップエッジ面取り工具(30)を含み、
- 前記エンボス加工具は、中央エンボス加工部分(3、3’)を備えた円筒面(2)を有するエンボス加工ロール(1)を含み、及び
- 前記ストリップエッジ面取り工具は、凹んだ中央セクション(34)及び前記中央セクションの各側の側部セクション(35)を含むエッジ面取りロール(31)と、アンビルロール(32)とを含み、
前記エッジ面取りロール(31)及び前記アンビルロール(32)は、前記ロール間に形成された間隙(33)において前記金属ストリップを受け、且つそれを通すように構成され、
前記間隙(33)は、前記金属ストリップの長手方向側部エッジが通る位置にある前記側部セクションにおいて、減少した高さを有し、それにより、前記金属ストリップの各側における且つ前記金属ストリップのエンボス加工側における前記長手方向側部エッジは、ロール(31、32)の対の間を通されるときに面取りされる、装置。
【請求項2】
- 前記エンボス加工具は、前記エンボス加工ロール(1)の前記円筒面(2)を含み、前記円筒面は、前記中央エンボス加工部分(3)と、前記中央部分の各側に配置された側部部分(4a、4b)とを含み、前記中央部分には、エンボス加工パターン(10)が設けられ、且つ前記側部部分は、エンボス加工パターンがなく、及び
- 前記ストリップエッジ面取り工具(30)の前記中央セクション(34)は、前記エッジ面取り間隙(33)を通して前記ロールの対の間を通る金属ストリップのエンボス加工パターンが前記ロール(31、32)によって影響されないように寸法決めされる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エンボス加工具及び前記ストリップエッジ面取り工具は、1つの組み合わされたエンボス加工及びエッジ面取りロールを含むように一体化され、それにより、前記中央エンボス加工部分(3’)は、前記エッジ面取り間隙(33)の中央セクション(34’)に含まれる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記中央エンボス加工部分の前記エンボス加工パターン(10)は、前記中央部分(3)の前記円筒面に配置された複数の溝(11)を含み、
各側部部分(4a、4b)の前記円筒面は、前記溝間の前記中央部分(3)の前記円筒面と同じ高さであり、
前記ストリップエッジ面取り工具(30)は、予備成形される前記ストリップの移動方向(T)において前記エンボス加工具の下流に配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記エンボス加工ロール(1)は、中央エンボス加工パターンロールパック(6)及び側部ロール(7a、7b)から構成され、
前記側部ロールは、前記中央エンボス加工パターンロールパックの各側に配置され、
前記中央エンボス加工パターンロールパックは、前記中央部分(3)を形成する円筒面を有し、及び前記側部ロールは、前記側部部分(4a、4b)を形成する円筒面を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記エンボス加工ロールの前記円筒面は、15mm以上の総幅(Wl)を有し、
前記エンボス加工ロールの前記中央部分は、前記総幅(Wl)の85~99%である幅(W2)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ストリップエッジ面取り工具(30)の前記第1及び第2ロール(31、32)間の前記間隙(33)の前記中央セクション(34)は、前記エンボス加工ロール(1)の前記中央部分(3)の前記幅(W2)以上である幅(W3)を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記エッジ面取り工具における前記ロールの対の前記第1ロール(31)は、凹部(37)を含み、
前記凹部(37)は、前記凹部の各側における外向きに傾斜した側部エッジ(36)を有し、前記第1ロールの円筒面の円周に沿って延びる、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記傾斜した側部エッジ(36)は、30~60°、好ましくは43~47°の角度で傾斜する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1及び第2ロール(31、32)間の前記間隙(33)の前記側部セクション(35)は、前記エンボス加工具の総幅(Wl)と、前記エンボス加工具の中央部分の前記幅(W2)との間の差の半分以上である幅をそれぞれ有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
金属ストリップ(40)を予備成形する方法であって、
- ストリップの中央部分(41)の各側の側部部分(42)がエンボス加工パターンなしで圧延される間、前記ストリップの前記中央部分においてその長手方向にパターンをエンボス加工するステップと、
- 前記ストリップの、前記エンボス加工パターンが設けられている側で前記ストリップの長手方向側部エッジ(43)を面取りするステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記面取り中、前記ストリップの前記長手方向側部エッジ(43)のストリップ材料は、ストリップ厚さの20~60%、好ましくは35~40%まで押圧され、それにより、前記ストリップの前記長手方向側部エッジに沿って、傾斜したエッジ表面を形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記エンボス加工パターンは、突出部(44)を含み、
前記ストリップの前記側部部分は、前記エンボス加工パターンの前記突出部間の前記ストリップ厚さと略同じ高さであるストリップ厚さまで前記エンボス加工するステップ中に圧延され、その後、前記側部エッジを面取りするステップが続く、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記エンボス加工及びエッジ面取りは、一体化されたエンボス加工及びエッジ面取り工具において同時に実施される、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロール成形及び溶接されたチューブの製造のための金属ストリップを予備成形するための装置並びに金属ストリップを予備成形する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶接パイプ及びチューブは、典型的には、平らな金属ストリップを略完全なチューブに長手方向に成形し、次いで2つのエッジを溶接して合わせることによって製造される。ロール成形チューブには、HVAC&R市場(加熱、通気、空調及び冷凍)の分野などの多くの応用領域がある。この技術分野において、環境的要求は、効率が向上した空調及び冷凍器具に向けた開発の動機となっている。これに応じて、幅広い内面強化を備えた直径のより小さいチューブであって、標準的な滑らかな解決策に対してその熱伝達係数を上げることができるチューブを供給する努力がなされてきた。熱交換用途のための内面パターニングを備えた直径の小さい溶接チューブなど、先進的な製品の製造方法は、最適なフロー特性及び熱伝達を得るために、望ましくない内部不均一が最小限である製品をもたらさなければならない。コスト削減の要求が高まるにつれて、従来、空調及び冷凍器具での使用の大半を占めていた銅チューブに対する、アルミニウムチューブの形態の代替物を提供することに関心がもたれてきた。したがって、HVAC&Rの分野等における応用を目的として、競争力のある特徴を有するアルミニウムチューブを製造する方法を見出すことが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、エンボス加工具及びストリップエッジ面取り工具を含む、ロール成形及び溶接されたチューブの製造のための金属ストリップを予備成形するための装置に関する。エンボス加工具は、エンボス加工中央部分を備えた円筒面を有するエンボス加工ロールを含む。ストリップエッジ面取り工具は、凹んだ中央セクション及び中央セクションの各側の側部セクションを含むエッジ面取りロールと、アンビルロールとを含み、エッジ面取りロール及びアンビルロールは、ロール間に形成された間隙において金属ストリップを受け、且つそれを通すように構成される。間隙は、金属ストリップの長手方向側部エッジが通る位置にある側部セクションにおいて、減少した高さを有し、それにより、金属ストリップの各側における且つ金属ストリップのエンボス加工側における長手方向側部エッジは、ロールの対間を通されるときに面取りされる。
【0004】
好ましくは、エンボス加工具は、エンボス加工ロールの円筒面を含み、前記面は、中央エンボス加工部分と、中央部分の各側に配置された側部部分とを含み、前記中央部分は、エンボス加工パターンを設けられ、且つ前記側部部分は、エンボス加工パターンがなく、及びストリップエッジ面取り工具の中央セクションは、エッジ面取り間隙を通してロールの対間を通る金属ストリップのエンボス加工パターンがロールによって影響されないように寸法決めされる。ストリップエッジ面取り工具(30)は、好ましくは、エンボス加工具から分離され、且つ予備成形されるストリップの移動方向(T)においてエンボス加工具の下流に配置される。
【0005】
代替的に、エンボス加工具及びストリップエッジ面取り工具は、1つの組み合わされたエンボス加工及びエッジ面取りロールを含むように一体化され得、それにより、中央エンボス加工部分は、エッジ面取り間隙の中央セクションに含まれる。
【0006】
第1及び第2ロールは、ロールの対間を通る金属ストリップのエンボス加工パターンがロールによって影響されないように寸法決めされた中央セクションを間隙が含むように成形される。間隙は、中央セクションの各側に配置された側部セクションをさらに含み、側部セクションにおいて、間隙は、減少した高さを有する。側部セクションは、金属ストリップの長手方向側部エッジが通る位置にあり、それにより、金属ストリップの各側における、金属ストリップの、エンボス加工ロールに向けられた側の長手方向側部エッジは、ロールの対間を通されるときに面取りされる。それにより、完成したロール成形及び溶接されたチューブの溶接ビードの高さが最小化され得る。
【0007】
有利には、ストリップエッジ面取り工具が、予備成形されるストリップの移動方向(T)においてエンボス加工具の下流に配置されるとき、エンボス加工ロールの中央部分のエンボス加工パターンは、好ましくは、中央部分の円筒面に配置された複数の溝を含み、各側部部分の円筒面は、好ましくは、溝間の中央部分の円筒面と同じ高さである。これは、内部溶接ビード高さを減少させることにさらに寄与する。エンボス加工ロールは、中央エンボス加工パターンロールパック及び側部ロールから構成され得、側部ロールは、中央エンボス加工パターンロールパックの各側に配置され、中央エンボス加工パターンロールパックは、中央部分を形成する円筒面を有し、及び側部ロールは、側部部分を形成する円筒面を有する。これにより、エンボス加工パターンを柔軟に選択することができる。エンボス加工ロールの円筒面は、好ましくは、15mm以上の総幅を有し、及びエンボス加工ロールの中央部分は、好適には、総幅の85~99%である幅を有する。
【0008】
ストリップエッジ面取り工具の第1及び第2ロール間の間隙の中央セクションは、ストリップの中央部分のエンボス加工パターンがエッジ面取り工具の通過によって影響されないことを確実にするために、エンボス加工ロールの中央部分の幅以上である幅を有する。エッジ面取り工具におけるロールの対の第1ロールは、好ましくは、凹部であって、第1ロールの円筒面の円周に沿って延びる、凹部の各側における外向きに傾斜した側部エッジを有する凹部を含むように設計される。傾斜した側部エッジは、好適には、十分なエッジ面取りを与えるために、30~60°、好ましくは43~47°の角度で傾斜する。
【0009】
第1及び第2ロール間の間隙の側部セクションは、好適には、側部セクションの各々について、エンボス加工具の総幅(Wl)と、エンボス加工具の中央部分の幅(W2)との間の差の半分以上である幅をそれぞれ有し得る。
【0010】
本開示は、金属ストリップを予備成形する方法であって、ストリップの中央部分の各側の側部部分がエンボス加工パターンなしで圧延される間、ストリップで中央部分においてその長手方向にパターンをエンボス加工するステップと、ストリップの、エンボス加工パターンが設けられている側でストリップの長手方向側部エッジを面取りするステップとを含む方法にさらに関する。面取り中、ストリップの長手方向側部エッジのストリップ材料は、ストリップ厚さの20~60%、好ましくは35~40%まで押圧され、それにより、完成した溶接チューブの内部溶接ビードを最小化するために、ストリップの長手方向側部エッジに沿って、傾斜したエッジ表面を形成する。ストリップに設けられたエンボス加工パターンは、突出部を含み、及びストリップの側部部分は、好適には、エンボス加工パターンの突出部間のストリップ厚さと略同じ高さであるストリップ厚さまでエンボス加工ステップ中に圧延される。それにより、ストリップの側部部分は、元の金属ストリップの厚さに対してより薄い厚さを有する。これは、チューブにおけるより小さい内部溶接ビードをもたらす。好ましくは、後続のステップにおいて側部エッジの面取りが続く。
【0011】
本開示は、以下に与えられる詳細な説明から明らかになる。詳細な説明及び特定の例は、本開示の好ましい実施形態を一例としてのみ開示する。当業者は、詳細な説明における指針から、本開示の範囲内で変更形態及び修正形態がなされ得ることを理解する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】好ましい予備成形セットアップの概略図である。
【
図2】本開示の好ましい実施形態によるエンボス加工ロールの例の分解斜視図である。
【
図3a】
図2のエンボス加工ロールの断面図である。
【
図3b】
図3aに示された円で囲まれた詳細の断面図である。
【
図4】本開示による例のエンボス加工ロールのエンボス加工部分の詳細を概略的に示す。
【
図5】本開示による別の例のエンボス加工ロールのエンボス加工部分の詳細を概略的に示す。
【
図6】内部エンボス加工パターンを有するチューブの部分断面図を示す。
【
図7】本開示によるエンボス加工ロールによって予備成形されたストリップのエッジを概略的に示す。
【
図8b】ストリップが工具に入っている状態のエッジ面取り工具の一部を示す。
【
図9a】ストリップの長手方向側部エッジの溶接中のロール成形されたストリップの継ぎ目部を概略的に示す。
【
図9b】ストリップの長手方向側部エッジの溶接中のロール成形されたストリップの継ぎ目部を概略的に示す。
【
図9c】ストリップの長手方向側部エッジの溶接中のロール成形されたストリップの継ぎ目部を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、エンボス加工具及びストリップエッジ面取り工具を含む、ロール成形及び溶接されたチューブの製造のための金属ストリップを予備成形するための装置に関する。ストリップエッジ面取り工具は、好ましくは、予備成形されるストリップの移動方向においてエンボス加工具の下流に配置され得る。しかしながら、代替形態として、エンボス加工前のストリップエッジの面取り又は単一の組み合わされたエンボス加工及びエッジ面取りロール並びにアンビルを含む1つの工具におけるエンボス加工及びエッジ面取りオペレーションの統合が想定され得る。エッジ面取り工具がストリップ移動方向においてエンボス加工具の前に配置された装置において、エンボス加工ロール及びエッジ面取りロールは、エッジ面取り工具がストリップ移動方向においてエンボス加工具の後に配置された実施形態について説明されたものと同じ特徴及び構成を含み得る。単一の組み合わされたエンボス加工及びエッジ面取りロールを備えた組み合わされたエンボス加工及びエッジ面取り工具を含む装置において、エンボス加工及びエッジ面取りは、同時に実施される。これは、エンボス加工パターンがストリップ受け入れ間隙の凹部内に配置されることを意味する。ストリップ受け入れ間隙は、ストリップの中央部分がその表面でエンボス加工パターンを受け、長手方向側部エッジが面取りされ、且つ好ましくは非パターン部分がストリップのエンボス加工された中央部分の各側に設けられるように寸法決めされる。
【0014】
ストリップ予備成形装置がどのようにセットアップされるかにかかわらず、意図された結果は、予備成形金属ストリップであって、その中央部分のエンボス加工された表面パターンと、面取りした長手方向側部エッジ部分とを有する予備成形金属ストリップの製造である。これにより、予備成形されたストリップをロール成形及び溶接することによる、直径の小さいチューブの効率的な製造が可能となる。以下において、装置は、基本的に、エンボス加工具及びエッジ面取り工具が、それぞれストリップ予備成形ロール及びアンビルを含む別個の工具である好ましい実施形態に基づいて説明される。しかしながら、別段の定めがない限り、以下で説明される詳細は、全てのこれらの実施形態に当てはまることが理解されるべきである。
【0015】
別個の後続のステップでエンボス加工及びエッジ面取りを行うことにより、ストリップ予備成形プロセスがよりフレキシブルなものとなり、結果としての予備成形されたストリップの特性が制御し易くなる。この実施形態において、エンボス加工具は、中央部分及び中央部分の各側に配置された側部部分を備えた円筒面を有するエンボス加工ロールを含む。中央部分は、エンボス加工パターンを設けられる。側部部分は、エンボス加工パターンがない。ストリップエッジ面取り工具は、第1及び第2ロールの対を含む。第1ロールは、凹んだ中央セクション及び中央セクションの各側の側部セクションを含むエッジ面取りロールである。第2ロールは、アンビルロールである。エッジ面取りロール及びアンビルは、ロール間に形成された間隙において金属ストリップロールを受け、且つそれを通すように構成される。第1及び第2ロールは、ロールの対間を通る金属ストリップのエンボス加工パターンがロールによって影響されないように寸法決めされた中央セクションを間隙が含むように成形される。間隙は、中央セクションの各側に配置された側部セクションをさらに含む。間隙は、減少した高さを有する。側部セクションは、金属ストリップの長手方向側部エッジが通る位置にある。それにより、金属ストリップの各側における、金属ストリップの、エンボス加工ロールに向かって向けられた側の長手方向側部エッジは、ロールの対間を通されるときに面取りされる。それにより、以下でより詳細に説明されるとおり、完成したロール成形及び溶接されたチューブの溶接ビードの高さが最小化され得る。したがって、本装置により、金属ストリップが溶接を円滑にするために予備成形され得、及び溶接品質が向上した最終チューブ製品がもたらされ得る。
【0016】
最終チューブ製品は、好適には、20mm以下、好ましくは5~10mmの直径を有するアルミニウム又はその合金でできている先進的な直径の小さいチューブ製品であり得る。チューブ製品は、好ましくは、500mを超える、好ましくは1000m超える長さを有する連続的なチューブコイルとして製造される。そのようなチューブ製品の用途は、例えば、加熱、通気、空調又は冷凍の分野において見出される。
【0017】
溶接チューブロール成形のプロセスは、予備成形されたストリップを管形にロール成形することと、誘導加熱溶接コイルにおける高周波数溶接により、チューブを得るためにストリップの長手方向エッジを一緒に溶接することとを含む。これを達成するために、ストリップは、同数の成形ロールによって実施される異なる連続的な成形ステップを通してストリップを成形する成形ミル又は装置に送られる。ストリップが溶接コイルを通過する際、電磁場が溶接コイルの周りに引き起こされる。電磁場は、ストリップにおいて接合されるエッジに大部分が集中して流れるように電流を誘導する。電流に対する金属の抵抗は、融点に速やかに到達するこれらのエッジで必要な熱の発生を生じさせる。エッジが依然として溶融状態にあるとき、それらは、側部絞りロールとの相互作用のために一緒に鍛造され、ストリップに力をかけ、したがって2つのエッジの境界面で必要とされる圧力を生じさせる。溶接ロールを通過するとき、酸化金属及び溶融金属が接合部から押出成形され、下にある清浄な金属が接合される。溶接に続いて、サイジングロールがプロセスを完了し、必要な最終形状をチューブに与える。
【0018】
金属ストリップからの熱交換用途のための内面パターニングを備えた直径の小さい溶接チューブなど、先進的なチューブ製品の製造は、ストリップを予備成形する段階と、ストリップを管状にロール成形し、それを溶接してチューブにする段階とを含む2段階プロセスを含む。
【0019】
アルミニウムストリップから作られるロール成形及び溶接されたチューブの製造において、アルミニウム材料の特徴に起因して生じる問題を緩和することが重要である。必要な熱伝達特性を達成するために、チューブは、内部エンボス加工表面パターンを有する。ストリップ幅のばらつきは、好ましくは、溶接プロセスにおける安定性及び完成チューブ製品の品質を向上させるために最小限に保たれるべきである。
【0020】
ストリップは、典型的には、予備成形段階にブランクストリップコイルの形態で提供される。予備成形段階において、ストリップは、次の段階におけるチューブ成形及び溶接の準備が整うように用意される。予備成形段階は、チューブの内部溝を形成するエンボス加工パターンを得るためにチューブの内部を形成する表面でストリップをエンボス加工するステップを含む。予備成形段階後、ストリップは、チューブの形態でロール成形及び溶接されるまで、好適にはコイルの形態で保管され得る。
【0021】
エンボス加工ステーションにおいて実施されるエンボス加工手順は、表面パターンを得ることを目的としてストリップで実施される冷間変形プロセスを含む。エンボス加工ロールの中央部分のエンボス加工パターンは、好ましくは、特定の深さを有し、且つエンボス加工ロールの回転の方向に対してある角度で配置された複数の長尺状溝を含む。エンボス加工ロールパターンの溝深さは、好ましくは、0.35mm未満である。様々なエンボス加工パターンが施され得る。例えば、らせん状パターンは、蒸発用途における性能を向上させる。ヘリンボンパターンは、凝縮用途における性能を向上させる。
【0022】
エンボス加工により、ストリップ表面に必要なパターンを施すことは、ブランクストリップが、エンボス加工ロールとアンビルロールとを含む結合されたロールのシステムに送られ、必要な成形圧力をかける冷間ロール成形プロセスである。エンボス加工ロールは、エンボス加工パターンを有する中央部分と、中央部分の各側に配置された側部部分とを含む円筒面を有する。側部部分は、エンボス加工パターンがない。エンボス加工ロールの中央部分は、必要なストリップパターンのネガを設けられ、アンビルロールに支持されたストリップに押し付けられ、それによりストリップを冷間ロール成形及びエンボス加工する。エンボス加工ロールに設けられたエンボス加工パターンは、ストリップ表面に対応するエンボス加工パターンの跡をもたらす。エンボス加工ロールパターンの溝は、ストリップの突出フィンに対応する。それにより、フィンのパターンがストリップ表面に作り出される。フィン高さは、エンボス加工ロールパターンの溝深さの最大値に対応する。
【0023】
アンビルロールは、水平な位置に固定され得る。一方、エンボス加工ロールは、垂直方向に自由に調整され得、ロール間の隔たりを変え、したがってストリップ上の成形圧力を調整し、最適に分配することを可能にする。
【0024】
エンボス加工ロールの中央部分は、中央エンボス加工パターンロールパックから構成され得る。側部部分は、中央エンボス加工ロールパックの各側に配置された側部ロールから構成され得る。中央エンボス加工パターンロールパックは、エンボス加工ロールの中央部分を形成する円筒面を有する。側部ロールは、エンボス加工ロールの側部部分を形成する円筒面を有する。このような方法において、エンボス加工パターンに関する柔軟性が得られる。代替的に、エンボス加工ロールは、一体のものとして作られ得る。
【0025】
中央エンボス加工パターンロールパックは、単一のエンボス加工パターンディスク又は間にスペーサディスクを備える若しくは備えない2つ以上のエンボス加工パターンディスクから構成され得る。エンボス加工パターンディスク及び任意選択的に含まれた滑らかなスペーサリングは、好ましくは、それらの間の境界面において、傾斜したエッジを有することができる。それにより、円周方向チャネルは、傾斜したエッジによって前記境界面に形成される。これにより、材料における局所的応力が最小化し、したがって工具が破損するリスクが低下する。
【0026】
中央エンボス加工パターンロールパックは、パターン形成の処理を行う。側部ロールは、ストリップの外側部分を押圧することにより、以下に記載の非パターン化側部分を提供する役割を果たす。2つの側部ロールは、中央エンボス加工リングにボルト締めされ得る。中央エンボス加工リングは、中央シャフトに締め付けられ得、且つエンボス加工ステーションにおいて適所に固定され得る。
【0027】
述べたとおり、エンボス加工ロールの側部部分は、エンボス加工パターンがない。それにより、冷間ロール成形及びエンボス加工ストリップに沿った外側部分は、いずれのエンボス加工パターンもなく、滑らかな表面を有する。予備成形段階中にストリップの長さに沿ってこれらの非パターン化側部分を提供することにより、ストリップエッジ厚さが変わるリスクが最小化され得、ストリップエッジの不均一な幾何学的形状が溶接ポイントに存在するリスクが減少し得、エンボス加工フィンが一緒に溶接されて大きい内部溶接ビードの形成を引き起こすリスクが回避され得る。したがって、エンボス加工ストリップでの非パターン化側部分の提供は、ストリップエッジ形状の最適な制御を可能にする。これは、プロセス安定性及び溶接後のチューブ品質を向上させるために最適な溶接条件を確保する際に極めて重要である。
【0028】
エンボス加工ロールの円筒面は、好適には、15mm以上の総幅を有することができる。中央部分は、総幅の85~99%である幅を有する。最大で64mmなど、15mm以上のストリップ幅がHVAC&R用途のための熱交換器チューブの製造に好適である。
【0029】
非パターン化エンボス加工ロールの側部部分の幅は、完成チューブの溶接の容易さ及び熱伝達性能に関連する検討に基づいて決められる。平滑ストリップ溶接の標準的な手順に近づくため、非パターン化側部分の幅が広いほど溶接し易くなる。しかしながら、非パターン化側部分の幅が広すぎると、理想的な場合、チューブの内部円周全体の連続的なパターンが必要となり得るため、最終熱伝達性能に悪影響を及ぼし得る。したがって、エンボス加工フィンが内部溶接ビードに含まれていないことを確保しつつ、非パターン化側部分の幅は、可能な限り小さくなければならない。ストリップが15mm以上の総幅を有するとき、両方の非パターン化ストリップ側部分の組み合わされた幅は、好ましくは、総ストリップ幅の1~15%であるべきであることが分かっている。
【0030】
エンボス加工ロールの側部部分の円筒面は、好ましくは、エンボス加工ロールパターンの溝間の中央部分の円筒面と同じ高さである。これは、完成した溶接チューブの内部溶接ビードの高さをさらに減少させ得るため、以下に記載の予備成形の後続のステップで行われるストリップのエッジ面取りとの組み合わせで特に有益である。したがって、非パターン化側部分の領域におけるストリップは、好ましくは、エンボス加工段階中、ストリップの公称底部壁厚さ、すなわちエンボス加工された表面パターンのフィン間の溝の底部と同じ高さまで圧延される。したがって、側部部分は、滑らかに保たれるが、依然としてブランクフォームにおける元のものよりも薄い厚さまで圧延される。これは、内部溶接ビード高さが減少し得るため、最終チューブの性能を向上させ、結果として最終チューブ内の流体力学へのかく乱がより少なくなる。非パターン化側部分の必要な厚さは、側部部分でのエンボス加工ロールの外径をエンボス加工ロールの外径と同じになるように選択することによって得ることができる。
【0031】
誘導加熱溶接コイルにおけるロール成形チューブの高周波数溶接中、溶接ビードは、通常、チューブの内側に形成される。高周波数溶接プロセスは、正確な熱間鍛造プロセス(true hot forging process)である。正確な熱間鍛造プロセス中、チューブエッジの溶融部分は、チューブの内側及び外側の両方の溶接領域から出される。内部放出は、固化後、内部ビードを形成する。直径がより大きいチューブについて、溶接ビードは、めったに問題を生じない。しかしながら、HVAC&R用途に好適な内部強化チューブは、典型的には、好適には20mm以下の小さい直径を有する。したがって、内部溶接ビードが可能な限り小さいことが重要である。必要とされるレベルのチューブ破裂圧力を維持しつつ、最小の内部ビード高さを確実にするために、入ってくるエンボス加工ストリップのストリップエッジは、形状において修正される。ストリップエッジは、冷間ロール成形プロセスにおいてチューブの内部を形成する側で面取りされる。面取り角度並びに面取りの斜面及び寸法を画定する長さを調整することにより、内部ビードの高さは、エンボス加工された表面パターンの深さに含まれるのに十分に低く保たれ得る。
【0032】
述べたとおり、好ましい実施形態によると、ストリップエッジ面取り工具は、ロール間に形成された間隙において金属ストリップを受け、且つそれを通すように構成された第1及び第2ロールの対を含む。第1及び第2ロールは、ロールの対間を通る金属ストリップのエンボス加工パターンがロールによって影響されないように寸法決めされた中央セクションを間隙が含むように成形される。これは、エンボス加工パターンが、エッジ面取り工具に入る前にエンボス加工されているストリップ上で損傷を受けないままであることを確実にする。間隙は、中央セクションの各側に配置された側部セクションをさらに含む。側部セクションにおいて、間隙は、減少した高さを有する。側部セクションは、金属ストリップの長手方向側部エッジが通る位置にある。それにより、金属ストリップの各側における、金属ストリップの、エンボス加工ロールに向かって向けられた側の長手方向側部エッジは、ロールの対間を通されるときに面取りされる。ストリップをほとんど完成したチューブ形態にロール成形した後、ストリップのエッジは、一緒に溶接される。エッジ面取りに起因して、ストリップの長手方向エッジに存在する材料は、より少ない。これは、非パターン化ストリップの側部部分が、上述のとおりエンボス加工パターンの底部と同じ高さまで圧延されたときに特に顕著となる。このような方法において、内部溶接ビードは、より大きい元のストリップ厚さの代わりに、底部壁厚さレベルからチューブの内面に蓄積し始める。溶接領域から取り出される材料は、より少なくなる。面取りしたエッジは、溶融材料の一部が含まれ得る空間を形成する。それにより、完成したロール成形及び溶接されたチューブの溶接ビードの高さは、完成した製品の性能が機械的要件を満たすように維持しつつ、最小化され得る。
【0033】
エッジ面取り工具のロールは、様々な方法で設計され得る。好ましくは、エッジ面取り工具におけるロールの対の第1ロールは、ストリップのエンボス加工側が第1ロールに面するように配置され、且つ凹部を含むように設計される。凹部は、第1ロールの円筒面の円周に沿って延びる、凹部の各側における外向きに傾斜した側部エッジを有する。傾斜した側部エッジは、好適には、十分なエッジ面取りを提供するために、30~60°、好ましくは43~47°の角度で傾斜する。第1及び第2ロール間の間隙の側部セクションは、好適には、側部セクションの各々について、エンボス加工具の総幅(Wl)と、エンボス加工具の中央部分の幅(W2)との間の差の半分以上である幅をそれぞれ有し得る。エッジ面取り工具のロール間の間隙は、最大ストリップ厚さを超える高さを有することによってエンボス加工パターンに影響を及ぼさないように寸法決めされる。ストリップの外縁は、エンボス加工ステップに続くステップにおけるエッジ面取り動作を示す
図7に概略的に示されるとおり、面取りローラ側部セクションの傾斜した側によって面取りされる。
【0034】
本開示は、金属ストリップを予備成形する方法であって、ストリップの中央部分の各側の側部部分がエンボス加工パターンなしで圧延される間、ストリップで中央部分においてその長手方向にパターンをエンボス加工することと、ストリップの、エンボス加工パターンが設けられている側でストリップの長手方向側部エッジを面取りすることとを含む方法にさらに関する。上で言及したとおり、エンボス加工は、好ましくは、エッジ面取り前に別個に実施されるが、必要に応じてエッジ面取り後又はエッジ面取りと同時に実施され得る。面取り中、ストリップの長手方向側部エッジのストリップ材料は、ストリップ厚さの20~60%、好ましくは35~40%まで押圧され、それにより、完成した溶接チューブの内部溶接ビードを最小化するために、ストリップの長手方向側部エッジに沿って、傾斜したエッジ表面を形成する。ストリップに設けられたエンボス加工パターンは、突出部を含む。ストリップの側部部分は、好適には、エンボス加工ステップ中、エンボス加工パターンの突出部間のストリップ厚さと略同じ高さであるストリップ厚さまで圧延される。これは、エンボス加工がエッジ面取り前に実施されるときに特に有利である。それにより、ストリップの側部部分は、チューブにおけるより小さい内部溶接ビードの原因となる、より薄い厚さを有する。
【0035】
本開示は、ここで、本開示の好ましい例示的実施形態が示された添付図面を参照して説明される。本開示は、しかしながら、他の形態でも実施され得、本明細書において開示された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。開示された実施形態は、当業者に対して本開示の範囲を完全に伝えるために提供される。
【0036】
図1は、金属ストリップ40を予備成形するためのセットアップ20の概略図である。セットアップは、エンボス加工ロール1及びアンビル22を備えたエンボス加工ステーションと、一対のロール31、32を含むエッジ面取り工具30とを含む。ストリップ40は、移動方向Tに予備成形工具を通して移動する。
【0037】
図2は、エンボス加工ロールの例の分解斜視図である。
図3aは、同じロールの断面図である。
図3bは、詳細を示す。エンボス加工ロール1は、エンボス加工パターン10を有する中央部分3と、中央部分3の各側に配置された側部部分4a、4bとを含む円筒面2を有する。側部部分4a、4bは、
図3bに示されるとおりエンボス加工パターンがない。エンボス加工ロールの円筒面は、総幅Wlを有する。中央部分は、総幅W1の85~99%である幅W2を有する。
【0038】
図示の例において、エンボス加工ロール1の中央部分3は、中央エンボス加工パターンロール6から構成される。側部部分4a、4bは、側部ロール7a、7bから構成される。側部ロールは、中央エンボス加工ロールの各側に配置される。エンボス加工ロールの中央部分のエンボス加工パターン10は、深さDlを有し、且つエンボス加工ロールの回転の方向に対してある角度で配置された複数の長尺状溝11を含む。エンボス加工パターンの前記溝深さDlは、好ましくは、0.35mm未満である。
図3a~bに示されるとおり、側部部分4a、4bの円筒面は、溝間の中央部分3の円筒面と同じ高さである。
【0039】
図3cは、組み合わされたエンボス加工及びエッジ面取りロールの詳細の概略断面図である。この場合、エンボス加工部分3’は、凹部37’の中央セクション34’に配置される。非パターン化側部分4a’も中央セクション34’に含まれる。側部セクション35’は、傾斜したエッジ面取り側部エッジ36’を含む。
【0040】
中央エンボス加工ロールは、複数のエンボス加工パターンロールを含むエンボス加工パターンロールパックの形態であり得る。したがって、エンボス加工ロール1の中央部分3は、同じ又は異なるエンボス加工パターンが上に設けられた円筒形エンボス加工表面を備えた1つ又は複数のエンボス加工パターンディスク13a、13bを含むエンボス加工パターンロールパックから構成され得る。
図4は、2つのパターンロールを含むエンボス加工ロールパック、エンボス加工される金属ストリップ40及びアンビル22の詳細を示す。この場合、エンボス加工パターンロールパックは、2つのエンボス加工パターンディスク13a、13bを含む。2つのエンボス加工パターンディスク13a、13bは、一緒にエンボス加工ストリップにヘリンボンパターンを形成する、ある角度で配置されるが、ミラーリングパターンを備えた溝からなるエンボス加工パターンをそれぞれ有する。
図5は、エンボス加工パターンディスク13a、13b間に滑らかなスペーサリング15を含むエンボス加工ロールパックの詳細を示す。この場合、各スペーサリングの円筒面は、溝間の中央部分3の円筒面と同じ高さである。
図5に示されるとおり、エンボス加工パターンディスク13a、13b及び滑らかなスペーサリング15は、それらの間の境界面において、傾斜したエッジ16、17を有する。
図6は、内部エンボス加工ヘリンボンパターン19を有するチューブ18の部分断面図を示す。
【0041】
図7は、エンボス加工に続くステップにおいて本開示によるエンボス加工ロールによって予備成形された、完成した予備成形されたストリップの一部の断面を示す。エッジ面取りロール31において提供された凹部の輪郭は、破線によって示されている。中央セクション34及び側部セクション35(そのうちの1つのみが
図7に示されている)を含む凹部は、アンビル(図示せず)と一緒にストリップ受け入れ間隙33を形成する。間隙33は、ストリップの中央部分41におけるエンボス加工パターンのフィン44が影響されないように寸法決めされる。本例において、外向きに傾斜したエッジ面取り側部エッジ36を含む側部セクション35は、ストリップの非パターン化側部分42より大きい幅を有する。ストリップの最外エッジは、破線43で表された厚さまで下に面取りされる。図面は、側部部分42の表面が、複数の突出フィン44(この図面では1つのみのフィンが示されている)を含むエンボス加工パターンが設けられた中央部分41のフィン44間に作り出された溝の底部とどのように同じ高さであるかも示す。フィン44は、エンボス加工ロールのエンボス加工パターン10の溝11に対応する(
図3b)。
【0042】
図8aは、ロールの対間を通る金属ストリップのエンボス加工パターンがロール31、32によって影響されないように寸法決めされた中央セクション34を含むエッジ面取りロール31の一部を示す。側部セクション35は、中央セクションの各側に配置される。間隙33は、減少した高さを有する。中央セクション34及び側部セクション35は、第1ロールの円筒面の円周に沿って延びる凹部37を一緒に形成する。凹部は、側部セクション35に形成された各側における外向きに傾斜した側部エッジ36を有する。
図8bは、ロール31、32間に形成された間隙33において金属ストリップ40を受け、且つそれを通すように構成されたエッジ面取り工具の一部を示す。この図面において、上側ロール31は、
図8aにおけるロールに対応する。上側ロールは、ストリップの、完成チューブの内部になる側でエッジ面取りを形成する。ロール32は、アンビルとして機能する。
【0043】
図9a~cは、溶接原理を示し、且つその長手方向側部エッジの溶接中のロール成形されたストリップの継ぎ目部を示す。エンボス加工具及びエッジ面取り工具を含む装置における予備成形後、ストリップは、面取りしたエッジが互いに近づけられるまでロール成形される(
図9a)。ほとんど閉鎖したチューブは、それを溶接コイルに通すことによって高周波数溶接を受ける。ストリップ材料は、高周波数コイルによって引き起こされたエネルギーに起因して溶融し始める(
図9b)。溶接中、溶融材料は、面取りしたストリップのエッジ間に形成された空間を埋め、且つ溶接ビードを形成する(
図9c)。この空間及び溶接領域でのストリップの薄い厚さのため、内部溶接ビード高さは、最小限に保たれ得る。
【0044】
当業者は、本開示が上述の好ましい実施形態に限定されないことを理解する。当業者は、添付の特許請求の範囲内で修正形態及び変更形態が可能であることをさらに理解する。追加的に、開示された実施形態に対する変更形態は、図面、本開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求される本開示を実施する当業者によって理解及び実現され得る。
【国際調査報告】