(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】鋸歯状結合部分を有する交換可能な工具ヘッド及び工具ヘッド用の工具ホルダ
(51)【国際特許分類】
B23B 29/00 20060101AFI20230713BHJP
【FI】
B23B29/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577295
(86)(22)【出願日】2021-06-06
(85)【翻訳文提出日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 IL2021050674
(87)【国際公開番号】W WO2022003665
(87)【国際公開日】2022-01-06
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120846
【氏名又は名称】吉川 雅也
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(72)【発明者】
【氏名】ヘン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ラボウ,ラフィ
(72)【発明者】
【氏名】フォートフェル,ロマン
(72)【発明者】
【氏名】ニーマン,グリゴリ
【テーマコード(参考)】
3C046
【Fターム(参考)】
3C046KK13
(57)【要約】
工具ヘッド(10)は、長手方向軸線L、前方端20、後方端36及び上面12、下面14及び周辺面16を有している。周辺面(16)は、それぞれ第1鋸歯状部分24及び第2鋸歯状部分28を備える第1側壁22及び第2側壁26を有しており、第1側壁及び第2側壁の各々は、離間された上部側壁部分22a、22b及び下部側壁部分26a、26bに分割される。周辺面はストッパ壁(30)も有しており、ストッパ壁(30)は、後方向DRに面し、第2側壁に横方向に延在し、かつ、ストッパ鋸歯状部分(32)を備える。後方端に形成された後壁(34)は第1側壁及び第2側壁を接続する。工具ヘッドは、前方端に近接してインサート保持部分(17)と、後方端の方向に延在し、かつ、後壁に対して開口する結合凹部(38)によって分離された垂直に離間された上部結合アーム40及び下部結合アーム42と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方向(D
R)及び前方向(D
F)に延在する長手方向工具ヘッド軸線(L)と、前記長手方向工具ヘッド軸線(L)に垂直であり、かつ、上方向(D
U)及び下方向(D
D)に延在する垂直工具ヘッド軸線(V)と、前方端(20)と、前記前方端(20)の反対側に配置された後方端(36)と、を有する工具ヘッド(10、210、310)であって、前記工具ヘッド(10、210、310)は、
上面(12)、下面(14)、前記上面(12)及び前記下面(14)の間に延在する周辺面(16)であって、前記周辺面(16)は、
前記工具ヘッド(10)の平面視において前記長手方向工具ヘッド軸線(L)の反対側に配置された第1側壁(22)及び第2側壁(26)であって、前記第1側壁(22)は第1鋸歯状部分(24)を有し、前記第2側壁(26)は第2鋸歯状部分(28)を有する、第1側壁(22)及び第2側壁(26)と、
前記後方向(D
R)に面し、かつ、前記第2側壁(26)に横方向に延在するストッパ壁(30、30’)であって、前記ストッパ壁(30)はストッパ鋸歯状部分(32)を有する、ストッパ壁(30、30’)と、
前記工具ヘッド(10)の前記後方端(36)で、前記第1側壁(22)及び前記第2側壁(26)の間に延在する後壁(34)と、を備える、上面(12)、下面(14)、前記上面(12)及び前記下面(14)の間で延在する周辺面(16)と、
前記上面(12)及び前記周辺面(16)の交線に配置されたインサートシート(17)を備えるインサート保持部分(17)と、
前記インサート保持部分(17)に接続され、かつ、前記後方端(36)で前記後壁(34)に対して開口する結合凹部(38)によって前記垂直軸線(V)に沿って互いに離間された後方に延在する上部結合アーム(40)及び下部結合アーム(42)を備える結合部分(19)と、を備える、工具ヘッド(10、210、310)。
【請求項2】
前記第1側壁(22)は、垂直方向に離間された上部第1側壁部分(22a)及び下部第1側壁部分(22b)に分割され、各第1側壁部分は、対応の上部結合部分(40)又は下部結合部分(42)に少なくとも部分的に形成され、
前記第1鋸歯状部分(24)は、対応の上部結合アーム(40)及び下部結合アーム(42)に少なくとも部分的に形成された上部鋸歯状第1側壁セクション(24a)及び下部鋸歯状第1側壁セクション(24b)に分割され、
前記第2側壁(26)は、垂直方向に離間された上部第2側壁部分(26a)及び下部第2側壁部分(26b)に分割され、各第2側壁部分は、対応の上部結合部分(40)又は下部結合部分(42)に少なくとも部分的に形成され、
前記第2鋸歯状部分(28)は、対応の上部結合アーム(40)及び下部結合アーム(42)に少なくとも部分的に形成された上部鋸歯状第2側壁セクション(28a)及び下部鋸歯状第2側壁セクション(28b)に分割され、
前記結合凹部(38)は、前記後壁(34)、前記第1側壁(22)及び前記第2側壁(26)に対して開口し、それによって、離間された前記上部結合アーム(40)および下部結合アーム(42)を形成する、請求項1に記載の工具ヘッド(10、210、310)。
【請求項3】
前記第1鋸歯状部分(24)及び前記第2鋸歯状部分(28)の各々が複数の鋸歯状溝(33)を備え、
前記第1鋸歯状部分(24)の前記鋸歯状溝(33)及び前記第2鋸歯状部分(28)の前記鋸歯状溝(33)は、前記長手方向工具ヘッド軸線(L)に平行な方向に延びる、請求項1又は2に記載の工具ヘッド(10、210、310)。
【請求項4】
前記ストッパ鋸歯状部分(32)は複数の鋸歯状溝(33)を備え、
前記ストッパ鋸歯状部分(32)の前記鋸歯状溝(33)は、前記長手方向工具ヘッド軸線(L)の横方向に延びる、請求項3に記載の工具ヘッド(10、210、310)。
【請求項5】
前記ストッパ鋸歯状部分(32)は、前記上面(12)に沿って延在する上部ストッパ鋸歯状セクション(50)と、前記下面(14)に沿って延在する下部ストッパ鋸歯状セクション(52)と、を有し、
前記下部ストッパ鋸歯状セクション(52)は、ストッパ壁くぼみ(54)又は前記結合凹部(38)のいずれかによって前記上部ストッパ鋸歯状セクション(50)から離間される、請求項1~4のいずれか1項に記載の工具ヘッド(10、210、310)。
【請求項6】
前記第1側壁(22)は、前記結合凹部(38)の軸線方向前方に配置された側面凹部(48)を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の工具ヘッド(10、210、310)。
【請求項7】
前記周辺面(16)は、
前記工具ヘッド(10)の前記前方端(20)の前壁(44)と、
前記後方向(D
R)に前記前壁(44)から延在する前方支持壁(46)と、をさらに備え、
前記インサート保持部分(17)は、前記インサートシート(18)に対して開口し、かつ、前記下面(14)に向かって延在するインサートシートねじ孔(56)をさらに備え、
前記インサートシート(18)は、前記上面(12)と前記前壁(44)及び前記前方支持壁(46)との交線に配置される、請求項1~6のいずれか1項に記載の工具ヘッド(10、210、310)。
【請求項8】
前記後壁(34)は、前記後方向(D
R)に収束する、第1後壁部分(58)及び第2後壁部分(60)を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の工具ヘッド(10)。
【請求項9】
前記後壁(34)は鋸歯を有していない、請求項1~8のいずれか1項に記載の工具ヘッド(10)。
【請求項10】
前記ストッパ壁(30)は、前記第2側壁(26)に隣接して、かつ、前記第2側壁(26)の前方に配置される、請求項1~9のいずれか1項に記載の工具ヘッド(10)。
【請求項11】
前記ストッパ壁(30’)は前記工具ヘッド(210)の前記後壁(34)に配置され、
前記ストッパ鋸歯状部分(32)は、前記後壁(34)に形成され、かつ、複数の鋸歯状溝(33)を備え、
前記ストッパ鋸歯状部分(32)の前記鋸歯状溝(33)は、前記長手方向工具ヘッド軸線(L)に垂直な方向に延びる、請求項1~7のいずれか1項に記載の工具ヘッド(210)。
【請求項12】
前記上部結合アーム(40)は、互いに離間された第1上部結合アーム部分(316)及び第2上部結合アーム部分(318)に分割され、
前記下部結合アーム(42)は、互いに離間された第1下部結合アーム部分(320)及び第2下部結合アーム部分(322)に分割される、請求項1~7のいずれか1項に記載の工具ヘッド(310)。
【請求項13】
工具ホルダ(102、202、302)と、
前記工具ホルダに装着された、請求項1~12のいずれか1項に記載の工具ヘッド(10、210、310)と、
前記工具ヘッド(10、210、310)の前記インサートシート(18)に装着された切削インサート(62)と、を備える切削工具(100、200、300)。
【請求項14】
前記工具ホルダ(102、202、302)は、前記後方向(D
R)及び前記前方向(D
F)に延在する長手方向ホルダ軸線(H)と、前記工具ホルダ(102、202、302)のホルダ前方端(106)に配置された工具ヘッド受け部分(104)と、を有し、前記工具ヘッド受け部分(104)は、
前記ホルダ軸線(H)の両側に配置され、かつ、工具ヘッド受けポケット(112)によって離間された第1クランプアーム(108)及び第2クランプアーム(122)と、
前記ホルダ軸線(H)に横方向に延在しする貫通孔(122)と、前記工具ヘッド受けポケット(112)に面する第1内部鋸歯状部分(114)と、を有する前記第1クランプアーム(108)と、
前記ホルダ軸線(H)に横方向に延在するねじ孔(124)と、前記工具ヘッド受けポケット(112)に面する第2内部鋸歯状部分(116)と、を有する前記第2クランプアーム(110)と、
前記後方向(DF)に面し、かつ、ホルダストッパ鋸歯状部分(120)を有するホルダストッパ壁(118、118’)と、を備え、
前記工具ヘッド(10)は、
前記第1鋸歯状部分(24)が前記第1内部鋸歯状部分(114)と相互作用し、
前記第2鋸歯状部分(28)が前記第2内部鋸歯状部分(116)と相互作用し、
前記ストッパ鋸歯状部分(32)が前記ホルダストッパ鋸歯状部分(120)と相互作用し、
クランプ部材(126)が、前記工具ヘッド(10)の前記結合凹部(38)内に受け入れられた前記第1クランプアーム(108)の前記貫通孔(122)を通過し、かつ、前記第2クランプアーム(110)の前記ねじ孔(124)と相互作用するように、前記工具ヘッド受け部分(104)に装着される、請求項13に記載の切削工具(100、200、300)。
【請求項15】
前記第1クランプアーム(108)は、第1内部鋸歯状部分(114)を通過し、かつ、第1内部鋸歯状部分(114)に対して開口する保持孔(134)を有し、
前記切削工具(100、200、300)は、前記保持孔(134)内に挿入される保持部材(128)をさらに備え、前記保持部材(128)は、前記工具ヘッド(10、210、310)の前記側面凹部(48)を押す、請求項14に記載の切削工具(100、200、300)。
【請求項16】
前記保持部材(128)は、ハウジング(130)及び球状部材(132)を含み、前記球状部材(132)は、前記ハウジング(130)内にばね付勢され、かつ、前記工具ヘッド(10、210、310)の前記側面凹部(48)を押す、請求項15に記載の切削工具(100、200、300)。
【請求項17】
前記保持孔(134)は、前記ホルダ軸線(H)に沿って前記貫通孔(122)の軸線方向前方に配置される、請求項15又は16に記載の切削工具(100、200、300)。
【請求項18】
前記工具ホルダ(102)の前記ホルダストッパ壁(118)は、前記ホルダストッパ鋸歯状部分(120)を2つの離間された部分に分割するホルダストッパ凹部(136)を有する、請求項14~17のいずれか1項に記載の切削工具(100)。
【請求項19】
前記ストッパ壁(30’)は、前記工具ヘッド(210)の前記後壁(34)に配置され、
前記ホルダストッパ壁(118’)は、前記工具ヘッド受けポケット(112)の内端に配置される、請求項14~17のいずれか1項に記載の切削工具(200)。
【請求項20】
前記工具ホルダ(302)は、前記第1クランプアーム(108)及び前記第2クランプアーム(110)の間に配置された中央クランプアーム(312)をさらに含み、前記中央クランプアーム(312)は、前記工具ヘッド受けポケット(112)の後方端から前記前方向(DF)に延在し、
前記工具ヘッドの前記上部結合アーム(40)は、互いに離間された第1上部結合アーム部分(316)及び第2上部結合アーム部分(318)に分割され、
前記工具ヘッドの前記下部結合アーム(42)は、互いに離間された第1下部結合アーム部分(320)及び第2下部結合アーム部分(322)に分割される、請求項14~17のいずれか1項に記載の切削工具(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の主題は、概して工具ホルダに関し、及び特に、切削工具を保持する分離可能な工具ヘッドを有する工具ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
金属切削の分野では、工具ホルダは、ホルダブレードに取り外し可能に接続されたカッタバーを有することが知られている。カッタバーの溝の2つの内壁の間でホルダブレードの装着面をクランプするためにファスナが使用される。溝の内壁と装着面との両方に鋸歯状面が設けられている。例えば、そのような工具は中国特許第209598226号及び中国特許第106180773号に開示されている。
【0003】
シャンクの端部を横切るボルトを有し、ボルトを取り外さずに組み立てを可能にする工具ホルダも知られている。例えば、そのような工具は米国特許第4575293号及び米国特許第7240594号に開示されている。
【0004】
本願の主題の目的は、工具ヘッドと工具ホルダとの間の結合を改善しながら、クイック取り外し機構を有する工具ホルダを提供することである。
【発明の概要】
【0005】
本願の主題の第1態様によれば、後方向及び前方向に延在する長手方向工具ヘッド軸線を有する工具ヘッドが提供され、工具ヘッドは、
上面、下面、並びに、上面及び下面の間に延在する周辺面であって、前記周辺面は、
前記工具ヘッド軸線に沿って延在し、かつ、第1鋸歯状部分を有する第1側壁と、
前記上面に対して垂直に取った前記工具ヘッドの平面視において、前記工具ヘッド軸線に対して前記第1側壁の反対側に配置された第2側壁であって、前記工具ヘッド軸線に沿って延在し、かつ、第2鋸歯状部分を有する第2側壁と、
前記後方向に面し、かつ、前記第2側壁に対して横方向に延在するストッパ側壁であって、ストッパ鋸歯状部分を含むストッパ側壁と、
前記工具ヘッドの後方端で、前記第1側壁及び前記第2側壁の間に延在する後壁と、を備える、上面、下面、並びに、上面及び下面の間に延在する周辺面と、
前記工具ヘッドの前方端で、前記上面と前記周辺面との交線に配置されたインサートシートと、
前記工具ヘッドの前記後方端に配置された結合凹部であって、前記後壁、前記第1側壁及び前記第2側壁に対して開口している結合凹部と、を備える。
【0006】
本願の主題の第2態様によれば、工具ホルダ、本願に係る工具ヘッド及び工具ヘッドのインサートシートに装着された切削インサートを備える切削工具が提供される。
【0007】
本願をより良く理解するため、かつ、本願が実際にどのように実施されるかを示すため、ここで添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】
図3のIVから見た、
図1の工具ヘッドの第1側面図である。
【
図5】
図3のVから見た、
図1の工具ヘッドの第2側面図である。
【
図9】
図8の線IX-IXに沿った、
図6の切削工具の断面図である。
【
図10A】本願の別の実施形態に係る切削工具の立面図である。
【
図11A】本願のさらなる実施形態に係る切削工具の平面分解図である。
【0009】
説明を簡単かつ明確にするため、図に示される要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。例えば、一部の要素の寸法は、明確化のために他の要素に対して誇張されている場合があり、若しくは、いくつかの物理的構成要素が1つの機能ブロック又は要素に含まれている場合がある。さらに、適切であると考えられる場合、対応の要素又は類似の要素を示すために、図面間で参照符号が繰り返される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明では、本願の主題のさまざまな態様が説明される。説明の目的で、本願の主題の完全な理解を提供するため、特定の構成及び詳細が十分に詳細に記載されている。しかしながら、本明細書で提示される特定の構成及び詳細がなくても本願の主題を実施可能であることも当業者には明らかである。
【0011】
本願に係る工具ヘッド10を示す
図1~
図5に最初に着目する。工具ヘッド10は、後方向D
R、前方向D
Fに延在する長手方向工具ヘッド軸線Lと、長手方向工具ヘッド軸線Lに垂直で上方向D
U、下方向D
Dに延在する垂直工具ヘッド軸線Vと、を有している。工具ヘッド10は、前方端20と、長手方向工具ヘッド軸線Lに沿って前方端20の反対側に配置された後方端36と、を有している。
【0012】
工具ヘッド10は、上面12、下面14、並びに、上面12及び下面14の間に延在する周辺面16を含む。垂直工具ヘッド軸線Vは、上面12及び下面14を通ってほぼ垂直方向に通る。
【0013】
周辺面16は、工具ヘッド軸線Lに沿って延在し、かつ、第1鋸歯状部分24を有する第1側壁22をさらに含む。第2側壁26は、上面12に対して垂直に取られた工具ヘッド10の平面視において、工具ヘッド軸線Lに対して第1側壁22の反対側に配置される。第2側壁26は、工具ヘッド軸線Lに沿って延在し、かつ、その上に第2鋸歯状部分28を有している。
【0014】
ストッパ壁30は、後方向DRに面し、かつ、第2側壁26に対して横方向に延在する。ストッパ壁30は、その上にストッパ鋸歯状部分32を含む。工具ヘッド10の後壁34は、工具ヘッド10の後方端36において、第1側壁22と第2側壁26との間に延在する。
【0015】
工具ヘッド10は、前方端20に近接するインサート保持部分17と、インサート保持部分17に接続され、かつ、工具ヘッド10の後方端36の方向に後方に延在する結合部分19と、をさらに備える。
【0016】
インサート保持部分17は、工具ヘッド10の前方端20において、上面12と周辺面16との交線に配置されたインサートシート18を含む。
【0017】
インサートシートは、インサートシート18に対して開口するねじ孔56を有してもよい。
【0018】
ねじ孔56は下面14に向かって延在してもよい。
【0019】
結合部分19は、後方に延在する上部結合アーム40と、後方に延在する下部結合アーム42と、を備え、上部結合アーム40及び下部結合アーム42は、工具ヘッド10の後方端36に配置された後壁34に対して開口する結合凹部38によって、垂直軸線Vに沿って互いに離間される。
【0020】
第1側壁22は、離間された上部第1側壁部分22a及び下部第1側壁部分22bに分割され、各側壁部分は、対応の上部結合アーム40又は下部結合アーム42上に少なくとも部分的に形成される。第2側壁26は、離間された上部第2側壁部分26a及び下部第2側壁部分26bに分割され、各側壁部分は、対応の上部結合アーム40又は下部結合アーム42上に少なくとも部分的に形成される。したがって、第1側壁22に形成された第1鋸歯状部分24は、対応の上部結合アーム40又は下部結合アーム42に少なくとも部分的に形成された上部鋸歯状第1側壁セクション24a及び下部鋸歯状第1側壁セクション24bを備える。同様に、第2側壁26に形成された第2鋸歯状部分28は、対応の上部結合アーム40又は下部結合アーム42に少なくとも部分的に形成された上部鋸歯状第2側壁セクション28a及び下部鋸歯状第2側壁セクション28bを有している。
【0021】
ストッパ壁30は、上部ストッパ部分30a及び下部ストッパ部分30bに分割されてもよく、各ストッパ部分は、対応の上部結合アーム40又は下部結合アーム42上に少なくとも部分的に形成されてもよい。このように、ストッパ鋸歯状部分32は、上部ストッパ鋸歯状セクション50及び下部ストッパ鋸歯状セクション52に分割される。
【0022】
後壁34は、結合凹部38によって、対応の上部結合アーム40及び下部結合アーム42上に形成された上部後壁部分34a及び下部後壁部分34bに分割される。したがって、結合凹部38は、後壁34、第1側壁22及び第2側壁26に対して開口し、それによって、離間された上部結合アーム40及び下部結合アーム42を形成する。
【0023】
図4及び
図5で最もよく見えるように、第1鋸歯状部分24及び第2鋸歯状部分28は各々、長手方向工具ヘッド軸線Lに平行な方向に延びる複数の鋸歯状溝33を備える。ストッパ鋸歯状部分32は、長手方向工具ヘッド軸線Lに対して横方向に、かつ、垂直工具ヘッド軸線Vに対して横方向に延びる複数の鋸歯状溝を備える。
【0024】
図3及び
図5に示すように、周辺面16は、工具ヘッド10の前方端20に前壁44を含む。前方支持壁46が前壁44から後方向D
Rに延在する。
【0025】
本発明のある実施形態では、インサートシート18は、上面12と前壁44及び前方支持壁46との交線に配置される。
【0026】
本発明のある実施形態では、
図1~
図9に示すように、工具ヘッド10の結合部分19の後壁34は鋸歯を有していない。
【0027】
ここで、本願の一実施形態に係る切削工具100を示す
図6~
図9に着目する。切削工具100は、工具ホルダ102と、工具ヘッド10と、工具ヘッド10のインサートシート18に装着された切削インサート62と、を含む。工具ホルダ102は、後方向D
R及び前方向D
Fに延在する長手方向ホルダ軸線Hと、工具ホルダ102のホルダ前方端106に配置された工具ヘッド受け部分104と、を有している。
【0028】
工具ヘッド受け部分104は、前方向DFに面し、かつ、その上に工具ホルダストッパ鋸歯状部分120を有するホルダストッパ壁118を有している。工具ヘッド受け部分104は第1クランプアーム108及び第2クランプアーム110をさらに含む。第1クランプアーム108及び第2クランプアーム110は、ホルダ軸線Hの反対側に配置され、かつ、工具ヘッド受けポケット112によって離間される。
【0029】
第1クランプアーム108は、工具ヘッド受けポケット112に面する第1内部鋸歯状部分114と、ホルダ軸線Hに対して横方向に延在する貫通孔122と、を有している。第2クランプアーム110は、工具ヘッド受けポケット112に面する第2内部鋸歯状部分116と、ホルダ軸線Hに対して横方向に延在するねじ孔124と、を有している。ねじ孔124及び貫通孔122が共通の横軸線Mに沿って延在する。
【0030】
図6、
図8及び
図9に示すように、工具ヘッド10は工具ホルダ102に結合される。このために、工具ヘッド10は、(
図7のように)工具ヘッド受け部分104の前に配置され、かつ、ホルダ軸線Hに沿って後方向D
Rに移動させられる。言い換えると、工具ヘッド10は工具ヘッド受け部分104に摺動して係合する。
【0031】
工具ヘッド10が工具ヘッド受け部分104に挿入されると、工具ヘッドの第1鋸歯状部分24が工具ホルダの第1内部鋸歯状部分114と相互作用し、工具ヘッドの第2鋸歯状部分28が工具ホルダの第2内部鋸歯状部分116と相互作用し、及び、工具ヘッドのストッパ鋸歯状部分32が工具ホルダストッパ鋸歯状部分120と相互作用する。こうした工具結合は、工具ホルダ102と工具ヘッド10との間に、それらのそれぞれのストッパ壁30、118を含む、その複数の表面に沿って、鋸歯状表面相互作用を提供する。鋸歯状表面結合は、工具ホルダ102と工具ヘッド10との間の、上方向DUから下方向DDなどの鋸歯に対して横方向の相対移動を防止する。
【0032】
クランプ部材126は、第1クランプアーム108の貫通孔122を通過し、かつ、第2クランプアーム110のねじ孔124と部分的に相互作用する。クランプ部材126は、工具ヘッド10の結合凹部38内にも受け入れられる。
【0033】
結合凹部38は、工具ヘッド軸線Lに垂直な方向に上部結合アーム40及び下部結合アーム42が移動するためのある程度の柔軟性を提供することに留意されたい。したがって、工具ヘッド10が工具ヘッド受け部分104内に前進させられると、上部結合アーム40及び下部結合アーム42は、工具ヘッド軸線Lに垂直な方向に移動することができ、工具ヘッドの第1鋸歯状部分24と工具ホルダの第1内部鋸歯状部分114との間の、かつ、工具ヘッドの第2鋸歯状部分28と工具ホルダの第2内部鋸歯状部分116との間の滑らかな結合を可能にする。
【0034】
クランプ部材126は、工具ヘッド10が工具ヘッド受け部分104内に挿入される前に、貫通孔122及びねじ孔124内に挿入されてもよい。そのような場合、結合凹部38はクランプ部材126上を通過する。より具体的には、工具ヘッドの上部結合アーム40及び下部結合アーム42は、クランプ部材126の両側(例えば、それぞれ上方及び下方)を通過する。
【0035】
代替的に、クランプ部材126は、工具ヘッド10が工具ヘッド受け部分104内に挿入された後に、貫通孔122及びねじ孔124内に挿入されてもよい。そのような場合、クランプ部材126は、横軸線Mに沿って結合凹部38を通って摺動する。
【0036】
クランプ部材126がねじ孔124にねじ係合されると、第1クランプアーム108及び第2クランプアーム110は、互いに向かって引き寄せられることによって、工具ヘッド10を押して工具ヘッド10をクランプする。
【0037】
工具ヘッドの第1鋸歯状部分24と工具ホルダの第1内部鋸歯状部分114との間の相互作用、及び、工具ヘッドの第2鋸歯状部分28と工具ホルダの第2内部鋸歯状部分116との間の相互作用により、工具ヘッド10と工具ホルダ102との間の、反復可能な複数の接触面に沿った接触を形成する。同様に、これは、工具ヘッドのストッパ鋸歯状部分32と工具ホルダストッパ鋸歯状部分120との間の相互作用にも当てはまる。
【0038】
ある実施形態では、工具ヘッドのストッパ鋸歯状部分32はインサートシート18に近接して設けられる。工具ホルダストッパ鋸歯状部分120は、第2クランプアーム110の前方端に設けられ、インサートシート18に近接して反復可能な接触を形成する。ストッパ壁30に沿った鋸歯状接触は、切削インサート62に作用する機械加工力に対抗して、切削作業中に工具ヘッド10を支持する。
【0039】
クランプ部材126は、工具ヘッド10に接触することなく結合凹部38内に受け入れられることが理解される。したがって、クランプ部材126がねじ孔124から部分的に取り外される場合、第1クランプアーム108及び第2クランプアーム110はもはや工具ヘッド10をクランプしない。この状態では、クランプ部材126を完全に取り外すことなく、工具ヘッド10が工具ホルダ102から取り外されてもよい。同様に、かつ、上述したように、工具ヘッド10は、クランプ部材126がねじ孔124内にすでに部分的にねじ込まれている場合、工具ホルダ102に装着されてもよい。これにより、工具ヘッド10を工具ホルダ102に結合するためのクイックリリース又はクイックチェンジ機構が提供される。
【0040】
本願で開示されるようなこうしたモジュール式クイックチェンジ構成は、工具ホルダが機械に接続された状態である間、異なる工具ヘッド10と共に同じ工具ホルダ102を使用するという利点を包含する。異なる工具ヘッド10は、図面に示されるものに限定されず、切削インサートのさまざまな切削構成を有してもよい。すなわち、異なる工具ヘッド10が、さまざまな切削インサートを保持し、かつ、さまざまな切削工程を実行するために、さまざまなインサートポケット構造を有してもよい。これにより、モジュール式切削工具が提供され、同じ工具ホルダを機械に接続したまま、さまざまな切削工程を実行することを可能にする。
【0041】
図2、
図3及び
図7~
図9をさらに参照すると、本発明のある実施形態では、工具ヘッド10の第1側壁22は、結合凹部38の軸方向前方に配置された、側面凹部48をその上に有している。切削工具100の第1クランプアーム108は、そこを通過し、かつ、第1内部鋸歯状部分114に対して開口する保持孔134を有している。保持孔134は、ホルダ軸線Hに対して横方向の保持孔軸線Bに沿って延在する。
【0042】
保持部材128が保持孔134内に挿入される。工具ヘッド10が工具ヘッド受けポケット112に装着される場合、側面凹部48は、保持孔134に面し、及びしたがって、保持部材128に面する。
【0043】
ある実施形態では、保持部材128は、ハウジング130及びばね式球状部材132を含む。
図9に見られるように、保持孔134は、保持部材128のハウジング130を受け入れるように構成及び寸法設定された拡大本体部分134bに接続された狭いネック部分134aを備えてもよい。特に
図8及び
図9に示すように、球状部材132は、ばね(図示せず)によって工具ヘッドの側面凹部48内に付勢される。このようにして、球状部材132は、保持孔軸線Bに沿って工具ヘッド10に保持力F
Rを作用させる。したがって、工具ヘッド10は、工具ホルダ102の第2クランプアーム110に対して押し付けられる。
【0044】
球状部材132によって作用させられる力により、工具ヘッド10は、クランプ部材126がねじ孔124に完全にねじ込まれていない場合でも、工具ヘッド受けポケット112の内側の所定の位置に保持される。このように、保持部材128は、工具ヘッド10を保持するために使用され、かつ、クランプ部材126によって完全にクランプされていない場合でも、工具ヘッド10がホルダ軸線Hに沿って工具ホルダ102から滑り落ちることによって脱落するのを防止する。このような落下防止機構は、前方向DFが重力方向すなわち下向きである場合に特に有利である。
【0045】
ある実施形態では、保持孔134は、ホルダ軸線Hに沿って貫通孔122の前方に配置される。
【0046】
本発明のある実施形態では、工具ヘッド10のストッパ鋸歯状部分32は、上面12に沿って延在する上部ストッパ鋸歯状セクション50と、下面14に沿って延在する下部ストッパ鋸歯状セクション52と、を有してもよい。下部ストッパ鋸歯状セクション52は、ストッパ壁くぼみ54によって上部ストッパ鋸歯状セクション50から離間されている。ストッパ壁くぼみ54は鋸歯を有していない。これにより、工具ヘッドのストッパ鋸歯状部分32と工具ホルダストッパ鋸歯状部分120との間の離間された分割接触領域が確保される。
【0047】
さらに、工具ホルダ102のホルダストッパ壁118は、工具ホルダストッパ鋸歯状部分120を2つの離間した部分に分離するホルダストッパ凹部136を有してもよい。これにより、保持部材128を保持孔134に挿入するための空き空間が形成される。すなわち、ホルダストッパ凹部136は、保持孔軸線B(
図7)に沿って、保持孔134への途切れのないアクセスを提供し、その結果、保持部材128が保持孔134内に直線で挿入され得る。
【0048】
本発明のある実施形態では、例えば
図3及び
図8に示されるように、工具ヘッド10の後壁34は、後方向D
Rに収束する、第1後壁部分58及び第2後壁部分60を含むV字形を有する。これにより、工具ヘッド10が工具ヘッド受けポケット112内に摺動して導かれ、その後方端36に鋭利なエッジがないので、工具ヘッド10を工具ヘッド受けポケット112内に容易に挿入することを可能にし得る。
【0049】
ここで、本願の別の実施形態に係る切削工具200を示す
図10A、
図10B及び
図10Cに着目する。切削工具200は工具ホルダ202及び工具ヘッド210を含む。工具ホルダ202は、ホルダストッパ壁の位置を除いて、工具ホルダ102と同様である。本実施形態では、ホルダストッパ壁118’は、工具ヘッド受けポケット112の内(後方)端に配置される。
【0050】
工具ヘッド210は、ストッパ壁の位置を除いて、工具ヘッド10と同様である。本実施形態では、ストッパ壁30’は、工具ヘッド210の後壁34に配置される。この場合、ストッパ鋸歯状部分32は、工具ヘッド長手方向軸線L及び垂直工具ヘッド軸線Vに対して垂直な方向に延びる(後壁34に形成される)複数の鋸歯状溝33を備える。さらに、
図10Cに見えるように、ストッパ鋸歯状部分32は、上部結合アーム40及び下部結合アーム42の両方で、第1鋸歯状部分24と第2鋸歯状部分28との間に配置される。また、本実施形態では、上部ストッパ鋸歯状セクション50及び下部ストッパ鋸歯状セクション52は、結合凹部38によって互いに垂直方向に離間される。
【0051】
工具ヘッド210と工具ホルダ202との結合は、工具ヘッド10及び工具ホルダ102に関して本明細書で上述した結合と同様である。相違は、工具ヘッドのストッパ鋸歯状部分32と工具ホルダストッパ鋸歯状部分120との間の相互作用が、工具ヘッド受けポケット112の内(後方)端で生じることである。実際には、本実施形態は、
図1~
図9に示す実施形態の代替例であり、工具ホルダ202と工具ヘッド210との間の鋸歯状表面相互作用をそれらのストッパ面でも維持することによって、工具結合の同じ技術的結果をもたらす。
【0052】
さらに、本願のさらに別の実施形態に係る切削工具300を示す
図11A及び
図11Bに着目する。切削工具300は工具ホルダ302及び工具ヘッド310を含む。工具ホルダ102と比較して、工具ホルダ302は、第1クランプアーム108と第2クランプアーム110との間に配置された中央クランプアーム312をさらに含む。中央クランプアーム312は、工具ヘッド受けポケット112の内(後方)端から前方向D
Fに長手方向に延在する。中央クランプアーム312はホルダ中央鋸歯状部分314を有している。
【0053】
工具ヘッド310において、上部結合アーム40は、互いに離間された第1上部結合アーム部分316と第2上部結合アーム部分318とに分割される。同様に、下部結合アーム42は、互いに離間された第1下部結合アーム部分320と第2下部結合アーム部分322とに分割される。結合アーム部分316、318、320及び322は工具ヘッド中央鋸歯状部分324を有している。
【0054】
工具ヘッド310と工具ホルダ302との結合は、工具ヘッド10及び工具ホルダ102に関して本明細書で上述された結合と同様であり、すなわち、以下の方法である。工具ヘッド310は、工具ヘッド受けポケット112内にホルダ軸線Hに沿って後方向DRに挿入される。工具ホルダ302の中央クランプアーム312は、第1上部結合アーム部分316と第2上部結合アーム部分318との間の空間、及び、第1下部結合アーム部分320と第2下部結合アーム部分322との間の空間に受け入れられる。
【0055】
工具ホルダ302のホルダ中央鋸歯状部分314は、工具ヘッド310の工具ヘッド中央鋸歯状部分324と相互作用する。これにより、工具ヘッド310と工具ホルダ302との間の鋸歯状の接触面積が拡大するので、工具ヘッド310と工具ホルダ302との間に強力な結合がもたらされる。
【0056】
本願の主題をある程度詳細に説明したが、以下に請求される本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、さまざまな変更及び修正がなされ得ることが理解されるべきである。
【国際調査報告】