IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローズマウント インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特表-海中多変数送信機 図1
  • 特表-海中多変数送信機 図2
  • 特表-海中多変数送信機 図3
  • 特表-海中多変数送信機 図4
  • 特表-海中多変数送信機 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】海中多変数送信機
(51)【国際特許分類】
   G01P 5/14 20060101AFI20230713BHJP
【FI】
G01P5/14 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577473
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-02-10
(86)【国際出願番号】 US2021036169
(87)【国際公開番号】W WO2021257306
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】16/903,753
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ストレイ,デビッド・エム
(72)【発明者】
【氏名】シュメリング,ポール
(57)【要約】
複数のプロセス流体の変数を測定するための多変数送信機(150)が提供される。
多変数送信機(150)は、海水のような腐食性物質に曝露されるのに適した材料から構築された金属製ハウジング(185)を含む。
差圧センサー(166)は、金属製ハウジング(185)内に配置される。
ライン圧力センサー(187、189)も、また、金属製ハウジング(185)内に配置される。
測定回路(174)は、差圧センサー(166)及びライン圧力センサー(187、189)に動作可能に接続され、差圧及びライン圧力の出力を提供する。
温度プローブ(182)は、腐食性物質に曝露されるのに適した材料で構成されたシース(188)を有する。
温度プローブ(182)は、金属製ハウジング(185)内の回路に電気的に接続され、高圧力接続部(186)を介して金属製ハウジング(185)に物理的に接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプロセス流体の変数を測定するための多変数送信機であって、前記多変数送信機は、
腐食性物質への曝露に適した材料で構成された金属製ハウジング、
前記金属製ハウジング内に配置された差圧センサー、
前記金属製ハウジング内に配置されたライン圧力センサー、
前記差圧センサーと前記ライン圧力センサーに動作可能に接続され、差圧とライン圧力の出力を提供する測定回路、
前記腐食性物質への曝露に適した材料で構成されたシースを有する温度プローブ、
を含み、
前記温度プローブは、前記金属製ハウジング内の回路に電気的に接続され、高圧力接続部を介して前記金属製ハウジングに物理的に接続される、
多変数送信機。
【請求項2】
前記腐食性物質は、油、淡水及び化学材料からなる群から選択される物質である、請求項1に記載の多変数送信機。
【請求項3】
前記腐食性物質は、塩水である、請求項1に記載の多変数送信機。
【請求項4】
前記温度プローブは、鉱物絶縁(MI)ケーブルを含む、請求項3に記載の多変数送信機。
【請求項5】
前記温度プローブと前記ハウジングとの間の高圧力接続部は、溶接部である、請求項3に記載の多変数送信機。
【請求項6】
前記温度プローブは、RTD感温素子を含む、請求項3に記載の多変数送信機。
【請求項7】
前記RTD感温素子は、4線式RTDである、請求項6に記載の多変数送信機。
【請求項8】
前記RTD感温素子は、二重素子型である、請求項6に記載の多変数送信機。
【請求項9】
前記温度プローブは、プロセス流体と接触する構造体に接続された遠位端を有する、請求項1に記載の多変数送信機。
【請求項10】
前記構造体は、流管である、請求項9に記載の多変数送信機。
【請求項11】
前記遠位端は、前記プロセス流体から、物理的には隔離されているが、熱的には接続されている、請求項10に記載の多変数送信機。
【請求項12】
前記構造体は、リモートシールである、請求項9に記載の多変数送信機。
【請求項13】
前記遠位端は、前記リモートシールの隔離ダイアフラムに近接して配置される、請求項12に記載の多変数送信機。
【請求項14】
前記送信機は、単相流体の流れを示す流量出力を提供するように構成される、請求項1記載の多変数送信機。
【請求項15】
前記送信機は、多相流体の流れを示す流量出力を提供するように構成される、請求項1記載の多変数送信機。
【請求項16】
前記送信機は、湿式のガスの流量を示す流量出力を提供するように構成される、請求項1記載の多変数送信機。
【請求項17】
海中流量測定システムであって、
流体の流れを受けるように構成された流導管、
前記流導管に接続され、前記流導管内の第1の対の位置における差圧と静的ライン圧力を測定し、流体に熱的に接続されるが、前記流体から物理的には隔離される、第1の温度プローブを使用して流体温度を測定するように構成された、第1の多変数送信機、
前記流導管に接続され、前記流導管内の第2の対の位置における差圧と静的ライン圧力を測定し、流体に熱的に接続されるが、前記流体から物理的には隔離される、第2の温度プローブを使用して流体温度を測定するように構成された、第2の多変数送信機、及び、
前記第1及び第2の多変数送信機に動作可能に接続された流量計算器であって、前記第1及び第2の多変数送信機から各信号を受信し、前記各信号に基づいて流量出力を計算するように構成された前記流量計算器、
を含む、
海中流量測定システム。
【請求項18】
前記流量計算器は、前記第1及び第2の多変数送信機からの信号を使用して、冗長な圧力及び温度測定値を利用するように構成される、請求項17に記載の海中流量測定システム。
【請求項19】
前記流量計算器は、前記流導管に取り付けられている、請求項17に記載の海中流量測定システム。
【請求項20】
前記第1及び第2の多変数送信機の各々は、前記流導管に取り付けられる、請求項17に記載の海中流量測定システム。
【請求項21】
前記各送信機は、フランジ接続を使用して接続される、請求項20に記載の海中流量測定システム。
【請求項22】
前記流量計算器は、各装置に形成及び溶接された導管を使用して、前記第1及び第2の多変数送信機に接続される、請求項17記載の海中流量測定システム。
【請求項23】
前記各多変数送信機は、各々のリモートシールの対を使用して、前記流導管に接続される、請求項17に記載の海中流量測定システム。
【請求項24】
前記第1及び第2の温度プローブの各々は、前記流導管内の各々の穴内に配置される、請求項17に記載の海中流量測定システム。
【請求項25】
前記第1及び第2の温度プローブの各々は、各々のリモートシールに配置される、請求項17に記載の海中流量測定システム。
【請求項26】
複数のプロセス流体の変数を測定するための多変数送信機であって、前記多変数送信機は、
腐食性物質への曝露に適した材料から構築されたプロセス流体用の導管であって、第1及び第2のプロセス流体の貫通部を有する前記プロセス流体用の導管、
前記第1のプロセス流体の貫通部に動作可能に接続された第1の圧力センサー、
前記第2のプロセス流体の貫通部に動作可能に接続された第2の圧力センサー、
前記第1及び第2の圧力センサーに動作可能に接続された測定回路、
その中に温度センサーを有する温度プローブであって、前記温度センサーは、プロセス流体温度の指標を提供するために前記測定回路に接続され、前記温度プローブは、前記腐食性物質に曝露されるのに適した材料から構築されたシースを有する、温度プローブ、
を含み、
前記温度プローブは、プロセス流体の貫通部を生成させることなく、前記プロセス流体用の導管に取り付けられる、
多変数送信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
工業プロセス制御システムは、流体などを生産又は移送する工業プロセスを、監視及び制御するために使用される。そのようなシステムでは、一般的に、温度、圧力、流量などの「プロセス変数」を測定することが重要である。プロセス変数送信機は、そのようなプロセス変数を測定し、測定されたプロセス変数に関連する情報を中央制御室のような中央の場所に送信するために使用される。
【0002】
プロセス変数送信機は、一般的に、プロセス変数に応答する変換器又はセンサーを含むか、又はそれに接続される。プロセス変数は、一般的に、材料の物理的又は化学的状態、又はエネルギーの変換を指す。プロセス変数の例としては、圧力、温度、流量、導電率、pH、及び他の特性が挙げられる。圧力は、流量、レベル、さらには温度を測定するために使用できる基本的なプロセス変数と考えられる。
【0003】
流体の流れを測定するために、多くの場合、プロセス流体温度、プロセス流体静圧又はライン圧力、及びオリフィスプレートなどの部分的な障害物を通過するプロセス流体の差圧などの多数のプロセス変数を決定することが必要である。そのような場合、多変数送信機は、一般的に、プロセス流体の流れのような計算されたパラメータを提供するために、複数のプロセス変数を測定及び監視するために使用される。
【0004】
多変数プロセス流体送信機は、一般的に、差圧センサーの他に、ライン圧力センサー及び/又はプロセス流体温度センサーを含む。差圧センサーは、2つのプロセス流体入力間の圧力の差に応答する。ライン圧力センサーは、流体入力の中の1つの絶対圧力又はゲージ圧力に応答する。プロセス流体温度センサーは、プロセス流体の温度に関連する電圧や抵抗などの電気的な指標で、プロセス流体の温度に応答する。多変数プロセス流体送信機は、単相流量計、多相流量計、及び湿式ガス流量計を含むさまざまな流量測定アプリケーションで使用されるが、これらに限定されるものではない。
【0005】
単相流量計は、油、水、薬液注入液など、あらゆる種類の単一流体システムを測定するものである。一般的に、これらのアプリケーションには差圧センサーのみが含まれるが、多変数送信機を組み込むことで、完全に補償された流量測定(静圧又は温度変化によって駆動される密度差を補償した流量測定)が可能になる。多相流量計は、相の異なる1種類以上のプロセス流体(すなわち飽和蒸気/水など)の流量を計測する。湿式ガス流量計は、天然ガスと水の組合せを測定するために使用される流量計です。これらの流量計は、多相流量計とは異なる一次素子を使用することができるが、静圧測定と温度測定を組み合わせた差圧測定を使用することに変わりはない。
【0006】
海中アプリケーションのような高い静圧環境は、プロセス流体送信機に重大な課題を提供する可能性がある。そのような環境では、複数のプロセス変数を必要とする多相流の測定又は他の同様の測定が必要な場合、複数のプロセス流体送信機が必要になる。そのような送信機を提供するには、かなりの費用と複雑さが必要になる。例えば、海中多相流量計には、一般的に、多くのセンサー入力が組み込まれている。プロセス流体の流量を測定するための3つの主要なセンサー入力は、差圧(differential pressure、DP)、ライン圧力(line pressure、LP)、及び温度である。これらの3つのセンサー入力は、一般的に、差圧送信機と圧力-温度(pressure-temperature、PT)送信機という2つの異なるデバイスによって提供される。差圧送信機は、一般的に、2つのフランジ接続を使用して流量計に接続され、PT送信機は別のフランジ接続を使用して流量計に接続される。これらのフランジは、極端なプロセス圧力下や、海中環境の圧壊圧力下で動作させるために大型のものとなっている。例えば、フランジは非常に大きく重いので、多相流量計の最終的なサイズを決定する原動力となっている。
【0007】
差圧とプロセス温度は、流量計算のための重要な入力であるので、海中プロセス業界では、一般的に、これらを冗長な測定値とする必要があった。これは、少なくとも部分的には、海中環境における機器の整備のコスト及び複雑さによるものである。したがって、冗長なDPの測定は、2つの別個の送信機から行われる。ただし、PT送信機は、一般的に、一対の温度センサーを使用することによって冗長性を持たせている。このような装置は、二重(dual)PT装置又はPTPT装置と称される。実施形態は、一般的に、海中多相流量計に関して説明されるが、実施形態は、他のタイプの流量計にも適用可能であることに留意されたい。
【発明の概要】
【0008】
概要
多変数送信機は、複数のプロセス流体の変数を測定するための提供される。多変数送信機は、腐食性物質へ曝露されるのに適した材料から構築された金属製ハウジングを含む。差圧センサーは、金属製ハウジング内に配置される。ライン圧力センサーも、金属製ハウジング内に配置される。測定回路は、差圧センサーとライン圧力センサーに動作可能に接続され、差圧とライン圧力の出力を提供する。温度プローブは、腐食性物質への曝露に適した材料で作られたシースを有する。温度プローブは、金属製ハウジング内の回路に電気的に接続され、高圧力接続部を介して金属製ハウジングに物理的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】公知の海中多相流量計を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る、多変数型海中送信機の概略断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る、ライン圧力、プロセス流体温度、及び差圧を測定する多変数送信機を使用する海中多相流量計の概略図である。
図4】本発明の実施形態に係る、温度センサーが取り付けられた流導管を示す図である。
図5】リモートシールに、取り付けられるか、又はインストールされる、温度センサープローブを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、既知の海中多相流量計システム100の概略図であり、このシステムは、一般的に、一対の差圧送信機(そのうちの1つが参照番号104として示されている)と、参照番号106として示されているようなPT又はPTPT送信機と、に通信可能に接続されている流量計算器102を含んでいる。プロセス流体が流れる流導管は、参照番号108として部分的な断面で示されている。各差圧送信機104は、一対のリモートシールフランジ110、112に接続される。PT送信機と同様に、2つの差圧送信機の各々にも、必要な取り付けフランジを有する。さらに、導管114は、差圧送信機及びPT送信機を、流量計算器102に電気的に接続するために使用される。導管114は、一般的に、各プロセス装置へのワイヤを配線するための形状及び溶接が必要である。海中環境の圧壊圧力中で動作するために、流量計100に必要なフランジは、比較的巨大である。例えば、各プロセス貫通部には、大きなAPI型6B又は6BXのフランジが必要である。
【0011】
本明細書で提供される実施形態に従って、3つではなく2つのプロセス貫通部を使用して、差圧、絶対圧力、及びプロセス温度を測定する海中多変数システムが提供される。プロセス貫通部の数を減らすことは、潜在的なプロセス漏れ経路を排除し、それによって流量計の安全性を向上させることになる。さらに、余分な測定装置をなくすことで、流量計のサイズと重量を約50ポンドまで削減することができる。さらになお、以下に説明するように、本明細書で提供されるいくつかの実施形態は、同じ温度センサーのRTD(Resistance Temperature Detector、測温抵抗体)などの2つの二重温度素子を使用して、冗長なプロセス温度測定を使用することができ、したがって、測定の冗長性及び信頼性を向上させることができる。
【0012】
この分野におけるいくつかの取り組みは、本願の承継人に承継された米国特許第9,234,776号の形で既に提供されている。この特許は、海中送信機における差圧センサー及び温度測定能力を組み合わせたライン圧力センサーの利用を教示している。したがって、本明細書に記載された少なくともいくつかの実施形態は、前述の米国特許の改良と考えることができる。‘776に記載された構造体は、4線式RTD温度センサーを測定する能力を有する回路カードアセンブリが組み込まれている。本明細書で提供される実施形態では、一般的に、温度センサーと多変数送信機との非常に堅牢な接続と組み合わせて、非侵襲的なプロセス流体温度測定レジームを規定する。
【0013】
図2は、本発明の実施形態に係る、多変数海中送信機の概略断面図である。送信機150は、‘776特許に規定される多変数プロセス流体送信機と多くの類似性を有する。実際、送信機150の圧力感知部152は、‘776特許に記載されているものと同じであることができる。腐食性物質圧力感知モジュール152は、一実施形態では、塩水及び他の腐食性物質に浸漬するのに適した材料から構成される下部分158を含む。腐食性物質その他の腐食性物質の例としては、限定されないが、油、真水、及び腐食性化学材料が挙げられる。
【0014】
塩水及び他の腐食性物質への浸漬に適した材料の例としては、Indiana州KokomoのHaynes International Inc.から商品名Hastelloy C276で入手可能である合金(alloy)C276、New York州New HartfordのcompaniesのSpecial Metals familiesから入手可能であるインコネル合金(Inconel Alloy)625、及びHaynes Internationalから入手可能である合金(alloy)C-22が挙げられる。特に興味深いのは、以下の化学組成(重量パーセント)を有する合金C276である。モリブデン;15.0-17.0、クロム;14.5-16.5、鉄;4.0-7.0、タングステン;3.0-4.5、コバルト;最大で2.5、マンガン;最大で1.0、バナジウム;最大で0.35、炭素;最大で0.01、リン;最大で0.04、硫黄;最大で0.03、シリコン;最大で0.08、及び残部がニッケル。
【0015】
ベース部分158は、側壁160及びエンドキャップ162に接続されて、その中にチャンバ164を画定する。差圧センサー166は、チャンバ164内に配置され、プロセス流体圧力を偏向可能なダイアフラム172に伝える一対の差圧センサー入力168、170を有し、ダイアフラムの偏向と共に変化する静電容量又は抵抗などの電気特性を有する。電気特性は、センサー166に近接して配置された回路174によって、測定され、又は他の方法で変換される。回路174は、また、電気接続点176を介した送信のために、測定値を調整する。回路174は、プロセス通信ループ又はセグメントを介して通信するためのプロセス通信モジュールと同様に、マイクロプロセッサを含むことができる。このようなプロセス通信の例としては、HART(登録商標)(Highway Addressable Remote Transducer)プロトコル、又はFOUNDATION(登録商標)Fieldbusプロトコルが含まれる。回路174は、カバー180内に取り付けられた出力回路基板178に接続される。出力回路基板178は、プロセス測定値を、流量計算器102などのリモート回路に伝達するように構成される。さらに、出力回路基板178は、多変数送信機を1つ以上の温度センサーと接続するための、1つ以上の入力も含む。図2に示すように、温度センサープローブ182は、溶接部186のような適切な高圧力接続部を介してハウジング185に接続される。
【0016】
図2に示す例では、流体圧力に動作可能に接続され、回路174に電気的に接続された、一対のライン圧力センサー187、189を提供する。このようにして、送信機150は、差圧センサー166を使用して、直接に差圧を測定するだけでなく、ライン圧力センサー187、189の1つ以上を使用して、直接にライン圧力を測定することもできる。さらに、ライン圧力センサーの測定値のいかなる差も、差圧センサー166からの測定された差圧と比較され、冗長性及び/又は診断を提供することができる。ライン圧力センサー187、189の各々は、米国特許第6,079,276号に開示されているものを含む、任意の適切な圧力感知構造体で形成することができる。
【0017】
図2は、本発明の実施形態に係る、多変数海中送信機に温度センサーが組み込まれる一態様が示す図である。温度センサー182は、好ましくは、その遠位端に配置された感温素子184を有するミネラル絶縁(mineral insulated、MI)ケーブル188で構成される。素子184は、温度によって変化する抵抗又は電圧のような特性を有する任意の適切な素子であることができる。例えば、素子184は、熱電対、サーミスタ、RTD、又はその他の適切な感知素子であることができる。好ましい実施形態では、素子184は、RTD素子である。RTD素子は、2線式、3線式、又は4線式のRTD素子とすることができる。素子184は、また、単一素子型又は二重素子型とすることができる。したがって、素子184が二重素子、4線式の構成である場合、MIケーブル188は、8つの異なる導体を運ぶことになる。
【0018】
これらの温度センサーは、塩水及び他の腐食性物質に直接に浸漬するのに適したインコネルやその他の材料などの適切な材料で形成された海中対応ハウジングで利用可能である。温度センサー182のためのMIケーブル188は、図示のように、溶接部186において多変数送信機150のハウジング185に溶接される。MIケーブル188の個々の導体は、多変数送信機150の出力回路カード178に、直接にはんだ付けされるか、又は出力回路カード178に電気的に接続するために、フレキシブルケーブル又は他の仲介物を使用することができる。
【0019】
本明細書で提供される実施形態では、一般的に、追加のプロセス貫通部を必要とせずに、プロセス流体に熱的に結合される単一素子又は二重素子RTD184を使用する。温度センサー自体を取り付けることができる場所については、いくつかの選択肢がある。しかしながら、そのような取り付けでは、一般的に、プロセス貫通部を生成させることなく温度センサーを取り付けるため、関連する高圧力シールが必要となる。温度を測定するためにプロセス貫通部を必要としないことから、圧力センサーに使用される大きなフランジ接続が不要になり、システムのサイズをさらに小さくし、信頼性を高めることができる。
【0020】
図3は、本発明の実施形態に係る、ライン圧力、プロセス流体温度、及び差圧を測定する多変数送信機を使用する海中多相流量計の概略図である。図3に示す海中多相流量計を図1に示すものと比較すると、本発明の実施形態は、PTPT又は二重PT送信機を使用しないことが明らかである。その代わりに、多変数送信機150が図示されている。多変数送信機の温度センサー部分は、図3には示されていないが、図4に図解的に示されていることに留意されたい。温度センサーのMIケーブル部分は、様々な長さにすることができ、温度センサーの取り付け中に曲げることができる。
【0021】
図4は、温度センサーが取り付けられる方法を除いて、流導管108(図1に示す)と同様である流導管208を示す。図4に示すように、第1及び第2のリモートシール110、112は、各々のプロセス流体の貫通部で流導管208に接続され、多変数送信機150(図2に示す)のプロセス圧力入口210、212に各々プロセス圧力を伝達する。リモートシール110、112の各々は、流導管の直径が他と異なる位置又はプロセス流体の貫通部において、プロセス流体圧力と結合される。例えば、リモートシール110は、相対的に小さい直径214を有する場所で流導管208に結合され、一方、リモートシール112は、相対的に大きい直径216を有する場所216で流導管に結合される。異なる流導管の直径の知識と共に2つの位置で測定された圧力の差は、プロセス流体温度の知識と組み合わされて、流導管208を通過するプロセス流体の流れの指標を提供する。
【0022】
図4に示すように、温度センサープローブ182は、プロセス流体用の導管208内に直接に取り付けられ、図2に示すように送信機150に接続される。冗長性のために、リモートシール250、252、及び第2の温度センサープローブ254も、図4に示されている。これらの冗長リモートシール及び温度センサープローブは、好ましくは、図2に示す送信機150と同一の第2の海中多変数送信機に接続される。このようにして、ライン圧力、差圧、及びプロセス流体温度を測定する、完全に冗長な海中多変数送信機システムが提供される。
【0023】
図4に示すように、温度センサープローブ182、254は、プロセス流体用の導管内に直接、又は、溶接されたサーモウェル内、のいずれかに延伸されるように、又は、いくつかの実施形態では、流れ自体の中に延伸されるように、流管208内に取り付けられることができる。さらに、各温度センサープローブ182、254は、追加される冗長性のために、二重RTD素子を含むことができ、ここで接続された各素子は、その各々の海中多変数送信機に接続される。
【0024】
図4に関して説明した実施形態は、海中の流導管内に直接取り付けられた温度プローブを提供するが、温度感知プローブは、差圧/ライン圧力の測定に使用されるリモートシールに、取り付けられるか又は接続される、ことも明示的に企図されている。
【0025】
図5は、本発明の実施形態に係る、リモートシールに取り付けられ、リモートシール内に配置された温度センサープローブの概略図である。図5に示すように、リモートシール300は、リモートシール110、112、250、252といくつかの類似性を有する。しかしながら、リモートシール300は、RTD素子184を含む温度測定プローブ304を受ける穴302を含む。図に示すように、温度測定プローブの遠位端は、リモートシールの隔離ダイアフラム310に近接して配置される。MIケーブル306は、C276又はインコネルなどの塩水への直接浸漬に適した金属で形成された適切な金属製シース308内を、多変数送信機150のハウジング185(図2に示す)へ向けて延伸される。この金属は、ハウジング185に溶接されるか、又はそれに、代替の好適に堅牢な接続技術で接続される。したがって、リモートシール300は、ダイアフラム310及び差圧送信機に圧力を伝達する充填流体(図示せず)を介して、プロセス流体圧力の指標を提供するように構成されているだけでなく、シール300は、本発明の実施形態に従って、プロセス流体温度の指標を提供するように構成されてもいる。したがって、シール300は、プロセス流体温度測定と同様に、差圧/ライン圧力測定にも使用することができる。
【0026】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明したが、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細において変更を加えることができることを認識するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】