(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】複数オペレータ及び複数信号形式フロントホール機能を備えた統合無線ネットワーク
(51)【国際特許分類】
H04W 28/02 20090101AFI20230713BHJP
H04W 72/0457 20230101ALI20230713BHJP
H04W 88/08 20090101ALI20230713BHJP
【FI】
H04W28/02
H04W72/0457
H04W88/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577639
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 US2021037366
(87)【国際公開番号】W WO2021257526
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519307458
【氏名又は名称】ジョン メツァリングア アソシエイツ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】JOHN MEZZALINGUA ASSOCIATES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100226263
【氏名又は名称】中田 未来生
(72)【発明者】
【氏名】マッシモ ノタルジャコモ
(72)【発明者】
【氏名】ジルベルト ブリッジ
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ フォレスタ
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ パガーニ
(72)【発明者】
【氏名】ジョバンニ キウルコ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリオ ガベッリ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィデ ドゥランテ
(72)【発明者】
【氏名】ファブリツィオ マルケーゼ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ウォーク
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ティアニー
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE10
5K067EE61
(57)【要約】
本開示は、複数のネットワークオペレータをホストできる統合無線ネットワークであり、該複数のネットワークオペレータのそれぞれがフロントホールネットワークを介してパケット化された信号を送受信し得ることを特徴とする統合無線ネットワークに関する。該ネットワークオペレータのそれぞれが、1つ又は複数の優先度付きパケットストリームを有し得、それに応じて、所与のネットワークオペレータが異なる優先度の付いた複数の優先度付きパケットストリームを有し得るとともに、該複数のネットワークオペレータが相互間で差別化された優先度を有し得る。また、(1)1つ又は複数のネットワークオペレータが銘々の配分を超過している場合に当該ネットワークオペレータを特定して違反を抑制し、且つ(2)フロントホールネットワークのボトルネックを特定して優先度の低いパケットストリームを削減又は妨害することでボトルネックを抑制する措置を実行するスイッチ/監視部を該統合無線ネットワークは備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワークにおいて複数のネットワークオペレータ間でフロントホール帯域幅リソースを配分する方法であり、
フロントホール帯域幅リソースの配分を含む優先度階層を複数のネットワークオペレータに割り当てることと、
該複数のネットワークオペレータのうちの該当する1つにそれぞれ対応する複数のベースバンドプロセッサと、複数の遠隔ユニットとの間でパケットに基づく通信を確立することと、
該複数のベースバンドプロセッサのそれぞれと該複数の遠隔ユニットの間で複数のパケットストリームをルーティングすることと、
配分違反及び輻輳異例の少なくとも1つについてフロントホールトラフィックを監視することと、
配分違反と輻輳異例の少なくとも1つの検出に基づいて、該配分違反及び輻輳異例の少なくとも1つを抑制することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
該ベースバンドプロセッサの1つ又は複数がLTE eNodeBを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該1つ又は複数のLTE eNodeBに対応するパケットストリームが、時間領域eCPRIパケットストリームと周波数領域eCPRIパケットストリーム及び分担PHY層パケットストリームのうちの1つを個別に含むことを特徴とする請求項2の方法。
【請求項4】
分担PHY層パケットストリームが7.2xパケットストリームを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
該1つ又は複数のLTE eNodeBがスイッチ/監視部を介してCPRIデータストリームを送受信し、該スイッチ/監視部が更なる別の時間領域eCPRIパケットストリームとの間で該CPRIデータストリームを変換することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
該ベースバンドプロセッサの1つ又は複数が5G gNodeBを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該5G gNodeBの各部分集合が中央ユニットと分散型ユニットを含み、該5G gNodeBに対応するパケットストリームが分担PHY層パケットストリームを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
該分担PHY層パケットストリームが7.2xパケットストリームを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
該5G gNodeBの各部分集合が中央ユニットを含み、該複数の遠隔ユニットのうちの1つ又は複数の相手側遠隔ユニットが分散型ユニットを含み、該5G gNodeBに対応するパケットストリームがF1パケットストリーム含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
該ルーティングが、該複数のベースバンド装置と該複数の遠隔ユニットに同期パケットストリームを提供することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
該監視が、該複数のパケットストリーム内の複数のパケットの部分集合内のメタデータを特定することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
該メタデータがVLANタグを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該メタデータが、時間領域eCPRIパケットストリームと周波数領域eCPRIパケットストリームと7.2xパケットストリームとF1パケットストリームのうちの1つを示すことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
該メタデータが送信側ベースバンド装置によって挿入されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
該メタデータが送信側遠隔ユニットによって挿入されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
該メタデータがネットワークオペレータとベースバンドプロセッサのいずれかを示すことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
該メタデータがチャネルと搬送波周波数のいずれかを示すことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
該チャネルがCBRSチャネルを含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記の該複数のネットワークオペレータに優先度階層を割り当てることが、各ネットワークオペレータに対応するチャネルと搬送波のそれぞれに優先度を割り当てることが含まれることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
該監視が
輻輳異例を特定することと、
該輻輳異例を抑制するために要される1つ又は複数の低優先度リソースを特定することと、
を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記の輻輳異例を特定することが、パケットの遅延を測定することを含む特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記パケット遅延の測定が、RFC2544とY.1564とRFC5357のうちの1つを含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
該抑制が
該1つ又は複数の低優先度リソースに対応する1つ又は複数の標的ベースバンド装置を特定することと、
該1つ又は複数の標的ベースバンド装置にフィードバック信号を送信することと、
を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項24】
該抑制が、該もう1つの低優先度リソースに対応するパケットの流れを妨害することを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記の該複数のネットワークオペレータに優先度階層を割り当てることが、優先度付き固定フロントホール帯域幅率(%)を各ネットワークオペレータに割り振ることを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項26】
該監視が、
利用可能なフロントホール帯域幅を断定することと、
各ネットワークオペレータが使用する可用フロントホール帯域幅の割合(%)を断定することと、
前記各ネットワークオペレータが使用する可用フロントホール帯域幅の割合(%)と、対応するネットワークオペレータの優先度付き固定フロントホール帯域幅率(%)とを比較することと、
を含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
該抑制が
フロントホール帯域幅使用率(%)がそれに対応する優先度付き固定フロントホール帯域幅率(%)を超える場合を含む配分違反を特定することと、
該配分違反に対応するベースバンドプロセッサを特定することと、
該配分違反に対応する該ベースバンドプロセッサにフィードバック信号を送信することと、
を含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
該監視が、
輻輳異例を特定することと、
該輻輳異例を抑制するために要される1つ又は複数の低優先度リソースを特定することと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項29】
該抑制が、
該低優先度リソースに対応する1つ又は複数の標的ベースバンド装置を特定することと、
該1つ又は複数の標的ベースバンド装置にフィードバック信号を送信することと、
を含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
該抑制が、該もう1つの低優先度リソースに対応するパケットの流れを妨害することを含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記のパケットに基づく通信の確立が、ADC/DACユニットを介して従来型基地局送受信部にスイッチ/監視部を連結することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項32】
該ルーティングが、ADC/DACユニットによって、従来型基地局送受信部からのRF信号を時間領域eCPRIパケットストリームに変換することを含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
無線ネットワーク内の複数のネットワークオペレータ間でフロントホールリソースを配分る方法であり、
複数のネットワークオペレータのそれぞれに対応する1つ又は複数のトラフィックタイプを含む優先度階層を該複数のネットワークオペレータに割り当てることと、
該複数のネットワークオペレータのうちの該当する1つに銘々対応する複数のベースバンドプロセッサと、複数の遠隔ユニットとの間でパケットに基づく通信を確立することと、
該複数のベースバンドプロセッサのそれぞれと該複数の遠隔ユニットの間で複数のパケットストリームをルーティングすることと、
輻輳異例について該パケットストリームを監視することと、
輻輳異例の検出に基づいて輻輳異例を抑制することと、
を含む方法。
【請求項34】
該監視が、各パケットストリームに対応するメタデータを特定することを含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
該メタデータがVLANタグを含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
該メタデータに対応する複数の統計データを蓄積することを更に含む請求項34に記載の方法。
【請求項37】
該トラフィックタイプが、拡張モバイルブロードバンド(eMBB)と超高信頼低遅延通信(uRLLC)と大規模機械型通信(mMTC)のうちの1つを含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス通信、特に、複数のオペレータと複数の信号形式を取り扱うことができる統合無線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤレス通信ネットワークは、モバイルネットワークオペレータ(移動体通信事業者)が構築、所有するものであった。これらネットワークオペレータの無線アクセスネットワーク(Radio Access Network:RAN)及びその他インフラストラクチャ要素は独自のものであり、当該各ネットワークオペレータがそれのために設計した専用ハードウェアを含んでいた。やがて、分散型アンテナシステム(Distributed Antenna System:DAS)が、大規模な建物や空港、交通システム、スタジアムなどの分野で高品質且つ継続的なカバレッジを可能にするソリューションとして登場した。各ネットワークオペレータによるDASの展開では、他のインフラストラクチャ要素と同様に、当該ネットワークオペレータのネットワークのみと互換性を有する独自のソリューションを含んで展開がなされていた。従来のDAS実装では、アナログRFネットワークインタフェースを備え、それにより当該ネットワークオペレータの無線基地局(Base Transceiver Station:BTS)からのRF信号源にDASが接続するようになっている。この場合、DASはそれの多数の遠隔ユニット(Remote Unit:RU)にRFアナログ信号を配信するようになっている。その他従来のDASソリューションは、CPRI(Common Public Radio Interface:共通公衆無線インタフェース)規格に適合したデジタル信号又はイーサネットを通じて伝送可能なeCPRIプロトコルに則るパケット化デジタル信号によってネットワークオペレータのBTSに接続し得る。eCPRI配信の場合、ダウンリンク信号については、DAS相互接続点(Point of Interface:POI)でBTSからのアナログ信号を受信し、それを時間領域デジタル信号に変換し、該時間領域デジタル信号をパケット化してから、そのパケットをイーサネットを通じて適切なRUに伝送する。該RUは該パケット化された時間領域信号を受信し、該信号を構成し直してアナログ信号に変換してから自機アンテナを介して送信する。アップリンク信号の場合、諸RUが1つ又は複数のワイヤレスデバイス又はユーザ機器(UE)からam RF信号を受信し、それをデジタル時間領域信号に変換してから、該信号をパケット化し、そのパケットをイーサネットを通じて相互接続点(POI)に伝送する。次に、POIでは、該パケット化されたデータからRFアナログ信号を構成し直して、該RFアナログ信号をBTSに送信する。BTSは、2Gや3G、LTEなど、従来から存在するいくつかのRAN技術のうちの1つによって運用し得る。
【0003】
LTE eNodeBは、CPRI又はeCPRIフロントホール接続のいずれかを通じて、それ自体に接続されるRUと通信し得る。いずれの場合も、LTE eNodeBからのDL信号及びLTE eNodeBへのUL信号はデジタル化された時間領域RF信号である。eCPRIの場合、デジタル化された時間領域信号が上記のようにパケット化される。LTE eNodeBと5G gNodeBは、それぞれLTEと5G用にRANプロトコルスタック機能を実行するベースバンド装置(Baseband Unit:BBU)の例である。ここで使用されているBBUは、パケット化された標準的なデジタルインタフェースを介してネットワークオペレータの基幹ネットワークに接続し、1つ又は複数のRU且つ又は1つ又は複数の分散型アンテナシステムのいずれかに接続し得る。
【0004】
5G gNodeBフロントホール通信には、基幹ネットワークに近い中心部から行った方がよい処理とネットワークエッジに近い場所で遠隔から行った方がよい処理を最適に活用するために中央ユニット(Central Unit:CU)と1つ又は複数の分散型ユニット(Distributed Unit:DU)との間でBBU機能を分担することが伴う。5G CUは次に、3GPPで定義された標準化インタフェースを介してDUに接続される。このインタフェース(以下、「F1」という」)は、CUとDU間のイーサネット接続を通じてGTP(GPRS Tunneling Protocol:GPRSトンネリングプロトコル)を提供する。
【0005】
上記機能分担の別の形態として、O-RANアライアンスにより定められる7.2x分担と呼ばれる物理(PHY)層分担がある。7.2x分担は5G又はLTEのPHY層内で行われ、アップリンク(UL)とダウンリンク(DL)の両方について、上位PHY層処理(eNodeBとgNodeBのいずれか)の一元化とRU内の下位PHY層処理の分散を可能にする。7.2x分担を更に参照するに、上位PHY層と下位PHY層間で中継されるアップリンクデータとダウンリンクデータは、例えばPUSCH(Physical Uplink Shared Channel:物理アップリンク共有チャネル)、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel:物理ダウンリンク共有チャネル)、PDCCH(Physical Downlink Control Channel:物理ダウンリンク制御チャネル)、PRACH(Physical Random-Access Channel:物理ランダム アクセス チャネル)などの周波数領域物理チャネルデータで構成される。上位PHY層と下位PHY層間の送信は、イーサネット接続を通じてデータパケットを中継するための伝送機構としてeCPRIを使用するなどして、パケット化されたネットワーク上で行い得る。これにより、上位PHY層処理をeNodeB又はgNodeBで行うことが可能になり、よって下位PHY層処理をRUで行い得る。如何なる所与の中央ユニット又はDUが複数の遠隔ユニットと通信し得る。
【0006】
ワイヤレス通信業界では、複数のネットワークオペレータが単一のRAN又はDASを共有し得るという新たな動向がみられる。この例では、ニュートラルホスト又は中立地にて独自のワイヤレスネットワークインフラストラクチャを提供し得る。この動向によって、次のような複雑な事態が発生する可能性がある。従来のDAS且つ又はRANインフラストラクチャは、所与のネットワークオペレータが設計・展開するものである。そのため、ネットワークオペレータは、それが自社インフラストラクチャの唯一のユーザであることを前提として、予想される最大トラフィック負荷に合わせてシステムを設計し得る。ただし、ニュートラルホストや複数オペレータネットワークの場合は、単一のネットワークインフラストラクチャを複数のネットワークオペレータやプライベートネットワークが使用する際にもたらされるネットワーク上の積算負荷を予測することが不可能となり得る。
【0007】
好ましい近代的なワイヤレス通信インフラストラクチャの別の重要な特徴は、5Gなどの最新のサービスを提供する必要があるだけでなく、LTE eNodeBや3G NodeB更には2G BTSとの後方互換性も必要とされる、という点である。これは、最新の5Gインフラストラクチャを展開する上での大きな課題である。
【0008】
上記のRANとDASの例には、イーサネットベースのフロントホールが伴う。理想的とは言えないフロントホールネットワークでは、パケットトラフィックの急増がパケット化信号や同期伝送を妨げたり遅延させたりして、帯域幅の制限且つ又はレイテンシの問題が発生する。O-RANアライアンスの仕様では、フロントホール知覚型スケジューラの可能性について言及しており、これにより、CUプロトコルスタック内のMACスケジューラが、チャネルの状態情報やその他理想的とは言えない信号伝送因子に基づいてスケジューリングを決定する場合と同様に、フロントホールネットワークの状態に関するフィードバックを受け取り、それに応じてスケジューリングの決定を行い得る。しかし、複数のRAN技術と複数の遠隔ユニットを伴って複数のネットワークオペレータが共有するフロントホールネットワークのために行うようなフロントホール知覚型スケジューリングについて、O-RAN仕様は一切取り上げていない。
【0009】
したがって、複数のネットワークオペレータとプライベートネットワーク及び複数のRAN技術を同時に受け入れることができるとともに、ネットワークを構成するネットワークオペレータとプライベートネットワークにとって許容できる方法でトラフィック需要の急増に対応できるようなフロントホール知覚型の統合ワイヤレス通信エッジネットワークが必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
本開示の一態様は、無線ネットワークにおいて、複数のネットワークオペレータ間でフロントホール帯域幅リソースを配分する方法に係る。該方法は、フロントホール帯域幅リソースの配分を含む優先度階層を複数のネットワークオペレータに割り当てることと、銘々のネットワークオペレータにそれぞれ対応する複数のベースバンドプロセッサと、複数の遠隔ユニットとの間でパケットに基づく通信を確立することと、該複数のベースバンドプロセッサのそれぞれと該複数の遠隔ユニットの間で複数のパケットストリームをルーティングすることと、1つ又は複数の配分違反や輻輳異例についてフロントホールトラフィックを監視することと、該監視の結果に基づいて配分違反や輻輳異例を抑制することと、を含む。
【0011】
本開示の別の態様も、無線ネットワークにおいて、複数のネットワークオペレータ間でフロントホール帯域幅リソースを配分方法に係る。該方法は、複数のネットワークオペレータのそれぞれに対応する1つ又は複数のネットワークタイプを含む優先度階層を該複数のネットワークオペレータに割り当てることと、銘々のネットワークオペレータにそれぞれ対応する複数のベースバンドプロセッサと、複数の遠隔ユニットとの間でパケットに基づく通信を確立することと、一ネットワークオペレータに銘々対応する該複数のベースバンドプロセッサのそれぞれと該複数の遠隔ユニットの間で複数のパケットストリームをルーティングすることと、輻輳異例について該パケットストリームを監視することと、該監視の結果に基づいて輻輳異例を抑制することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示による統合無線ネットワークの一例を示す図である。
【
図2】本開示によるスイッチ/監視部の一例を示す図である。
【
図3】本開示によるトラフィック監視部の一例を示す図である。
【
図4】本開示による遠隔ユニットの一例を示す図である。
【
図5A】本開示によるチャネル/搬送波に基づく優先度配分ソリューションを示す図である。
【
図5B】本開示による定率(%)に基づく優先度配分ソリューションを示す図である。
【
図5C】本開示によるトラフィックタイプに基づく優先度配分を示す図である。
【
図6】本開示による事前に取り決められている優先度に応じてフロントホール帯域幅を割り振る処理の一例を示す図である。
【
図7】定率(%)に基づく優先度配分ソリューションによりフロントホール帯域幅を割り振る処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本開示による統合無線ネットワーク100の一例を示す図である。統合無線ネットワーク100は、スイッチ/監視部105を含む。スイッチ/監視部105には、スーパーバイザモジュール112と、ADC/DACユニット115を介してスイッチ/監視部105にそれぞれ連結される複数の従来型BTS(Base Transceiver Station:送受信基地局)110と、複数のBBU(Baseband Unit:ベースバンド装置)120a~c と、イーサネット接続150を介してフロントホールネットワーク145とが連結されている。統合無線ネットワーク100は、フロントホールネットワーク145を通じてスイッチ/監視部105にそれぞれ連結される複数のRU(Remote Units:遠隔ユニット) 155を更に含む。各RU155は、1つ又は複数のアンテナ160に連結し得る。
【0014】
各BBU120a~cは、LTE eNodeB又は5G gNodeB中央ユニット(CU)、或いは5G gNodeB 中央ユニットと分散型ユニット(DU)の組み合わせであり得、各従来型BTS110は、2G基地局又は3G基地局、或いはLTE基地局であり得る。
【0015】
統合無線ネットワーク100によって、複数のRU155は個別に又は共に、或いは所与の組み合わせで、異なるネットワークオペレータにそれぞれ属し得る様々なBBU120a~cや従来型BTS110との間でダウンリンク信号を受信したりアップリンク信号を送信したりできる。各従来型BTS110の入出力信号114はアナログRF信号を含み得、そうでない場合は無線に直接連結される。各従来型BTS110のアナログRF信号を搬送する各入出力信号114は、ADC/DACユニット115に連結される。従来型BTS110からのダウンリンク信号の場合、ADC/DACユニット115は該アナログRF信号をI/Q(同相/直交位相)データのデジタルストリームにデジタル化する。また、DC/DACユニット115は、該デジタル化したデータストリームを、デジタル化されたBTS接続124を介し、デジタル信号のパケット化伝送プロトコル(eCPRIなど)に従って変換し得る。eCPRIの場合、所与の従来型BTS110からのデジタル化された信号がパケット化され、BTS接続を通じてスイッチ/監視部105への入力として送信される。所与の従来型BTS110を対象としたアップリンク信号の場合、ADC/DACユニット115は、パケット化されたデジタルI/Q信号データ(eCPRIデータなど)をBTS接続124を通じてスイッチ/監視部105から受信し、そのパケット化を解除してデジタル時間領域信号に変換し、該デジタル時間領域信号をアナログRF信号に変換することで、入力114を介して該アナログRF信号を適切な従来型BTS100に送信する。ADC/DACユニット115は、統合無線ネットワーク100内に個別の部材として、或いはスイッチ/監視部105内に一体化されて成り得る。尚、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0016】
本開示で用いる「ネットワークオペレータ」又は「オペレータ」という用語は、ライセンス認可済みのスペクトルを所有・運用するネットワークオペレータ、又はライセンス認可済みのスペクトルに依存せずにむしろ一般に公開されている共有スペクトル(例えば、市民ブロードバンド無線サービス(CBRS)など)を使用するプライベートネットワーク、又はライセンス認可済みスペクトルと共有スペクトルの両方を用いるエンティティ(者又は物)を指し得る。
【0017】
更に、本開示で用いる「部分集合」という用語は、当該のものを1つ又は全て含み得る。つまり、パケットストリーム内の諸パケットの部分集合とは、パケットストリーム内の任意数のパケット(全てのパケットを含む)を指し得る。
【0018】
また、スイッチ/監視部105にはBBU120a~cも連結されている。本開示の実施例において、各BBU120a~cは、デジタル化されパケット化された信号を接続125a~cを介してスイッチ/監視部105と交換するeNodeB又はgNodeBであり得る。各BBU120a~cは、デジタル化された信号125a~cを異なる形式で個別に交換し得る。BBU120a~cはそれぞれ異なるネットワークオペレータに属している、又はそれのために運用されているものであり得る。
【0019】
各BBU120a~cは、個々に、eCPRIプロトコルを伝送機構として伝送される周波数領域のパケット化された7.2xデータを銘々の接続125a~cを介してスイッチ/監視部105経由で1つ又は複数のRU155と交換するLTE eNodeBか、パケット化された時間領域又は周波数領域I/Q信号データを銘々の接続125a~cを介してスイッチ/監視部105経由で1つ又は複数のRU155とeCPRIプロトコルに従って交換するLTE eNodeBか、CPRIプロトコルに従って時間領域データを銘々の接続125a~cを介してスイッチ/監視部105と交換するLTE eNodeBか、又はeCPRIプロトコルを伝送機構として伝送される周波数領域のパケット化された7.2xデータをスイッチ/監視部105経由で銘々の接続125a~cを介して1つ又は複数のRU155と交換する5G gNodeB CU+DUの組み合わせか、又は3GPPにより定義されるF1プロトコルに従ってイーサネットを通じたGTPの使用により接続125a~cを介して、DUを搭載した1つ又は複数のRU155とパケット化されたデータを交換する5G gNodeB CUかのいずれか1つであり得る。尚、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0020】
上記ではO-RAN 7.2x分担を採用した場合を説明しているが、その代わりに他のPHY層分担規程を採用することも可能であり、かかる変形が本開示の要旨を逸脱しない範囲に含まれることは言うまでもない。本開示で用いる7.2x分担はPHY層分担規程の一例であり、かかるフロントホールパケットトラフィックを分担PHY層パケットストリームと呼ぶこともある。
【0021】
BBU120a~cはそれぞれ、スイッチ/監視部105により生成されるイーサネットフロントホールトラフィック過負荷情報などの情報を中継するフィードバック信号経路122a~cを有する。BBU120a~cは、それの個々の内部スケジューラ、例えばMACスケジューラ(図示せず)などのために上記情報を使用して、スイッチ/監視部105を介したそれのネットワークトラフィック負荷を軽減する目的でそれによる搬送波成分の使用とそれに割り当てられた搬送波成分内のリソースエレメントの使用を調節し得る。各BBU120a~c内の内部スケジューラは、関連する3GPP技術仕様により定義されている又は独自のスケジューラアルゴリズムに基づいている既知のスケジューリング手順に従って機能する。
【0022】
BBU120a~cは、それぞれ異なるネットワークオペレータに対応し得、且つ互いに独立して動作し得る。BBU120a~cは、統合無線ネットワーク100と同じ所に配置することも、遠隔設置することも可能である。尚、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0023】
本開示によれば、銘々対応する1つ又は複数のRU155と7.2x信号データを交換するBBU120a~cはいずれもが、該RU155のそれぞれに提供されるタイミング源と同じタイミング源から同期タイミングの提供を受ける。同様に、いずれかのBBU120a~cとRU155の間で交換されるパケット化データについては、当該のBBU120a~cとRU155の両方が、そのパケット化データと一緒に、パケット化された同期ストリームを併せ持っていなければならない。これらの同期ストリームは、過負荷状態のフロントホールネットワーク145によって妥協されないように、データストリームよりも優先度を高くする必要がある。したがって、スイッチ/監視部105は、PTP(Precision Timing Protocol:高精度タイミングプロトコル)同期ストリームと、パケット化されたデータストリームと、管理データストリームの3種類のパケットストリームを取り扱い得る。
【0024】
図2は、スイッチ/監視部105を更に詳しく説明するための図である。図に示すように、スイッチ/監視部105は、BTS接続124経由でスーパーバイザモジュール112及びADC/DACユニット115と、また
図1を参照して先に述べたように銘々の接続125a~cとフィードバック信号経路122a~cを通じてBBU120a~cに連結されている。
【0025】
図2に示すように、スイッチ/監視部105は、スーパーバイザモジュール112に連結されるポリシー施行モジュール215と、銘々のフィードバック信号経路122a~cを通じて該ポリシー施行モジュール215及び各BBU120a~cに連結される過負荷制御モジュール220と、トラフィックフィードバック接続232を通じて該過負荷制御モジュール220に連結されるトラフィック監視部225と、内部イーサネット接続236を通じてトラフィック監視部225に連結されるとともにスイッチコマンド接続237を通じて過負荷制御モジュール220に連結されるスイッチ235と、を含む。スイッチ/監視部105は、トラフィック監視部225に連結されるCPRI/eCPRI変換部230と、GPS受信機205に連結し得る同期モジュール210とを含む。同期モジュール210は、スイッチ/監視部105用の同期パケットストリームを生成して各BBU120a~cとRU155に提供するために、高精度タイミングプロトコル(PTP)且つ又は同期イーサネット(SyncE)技術などの既知のシステムと技術を使用し得る。
【0026】
スーパーバイザモジュール112によって統合無線ネットワーク100の運用を管理し得る。また、スーパーバイザモジュール112は、例えばニュートラルホストによって運用し得る。スーパーバイザモジュール112は、サブスクリプションモデルに従って、各BTS110とBBU120a~cのイーサネットトラフィックスループットやレイテンシなど、イーサネットリソースの分担と分離を保持したり、サブスクリプションモデルに従って、各RU155内に電力レベルやRFチャネルなどの無線リソースを割り振ったり、更にはBTS110又はBBU120a~cが自機以外の如何なるものの機能や動作に干渉しないように、また、1つのBTS110又はBBU120a~cの動作が他のネットワークオペレータのBTS110又はBBU120a~cに割り振られたリソースに影響を与えないように諸リソースの分離を保持したりし得る。スーパーバイザモジュール112は、それ自体又はポリシー施行モジュール215によって実行し得る上記機能の調整をとり得る。
【0027】
スーパーバイザモジュール112が、BTS110とBBU120a~c間でイーサネットリソースを割り振る際に採用できる方法はいくつかあるが、1つの方法としては、帯域幅又はビットレートに基づくスループットによって静的にリソースを割り振る方法がある。この方法によると、各ネットワークオペレータ(各BTS100及びBBU120a~cが属するネットワークオペレータ)は、それの対応するスループット配分に応じた代価を支払うことになる。これは、有料の保証付きビットレートという形態になり得る。したがって、ネットワークオペレータがイーサネットスループットの向上や保証ビットレートを求める場合、統合無線ネットワーク100のニュートラルホスト又はオペレータに支払う金額が増額することになり得る。前述のようにスーパーバイザモジュール112が当該特定のリソース配分を管理し、順次この情報をポリシー施行モジュール215に提供する。フロントホールネットワーク145のイーサネットリソースを諸ネットワークオペレータと諸プライベートネットワークの間で割り振るもう1つの方法は、顧客である各ネットワークオペレータに、当時利用可能なスループットの如何に関わらず、利用可能となっているイーサネットスループットの保証されている割合(%)を支払わせるという方法である。これは、フロントホール接続が理想的とは言えない場合に採用し得る方法である。別の変形形態では、各ネットワークオペレータが、それの特定のスペクトル内で内部優先度を定めることができ、これにより、該ネットワークオペレータに対応する異なるチャネル又は搬送波に優先順位(階層)をつけることで、ネットワークの輻輳が深刻になった場合に、スーパーバイザモジュールの112が、事前に取り決められている優先度に従ってイーサネットスループットを引き下げるように特定の搬送波を選択的に無効にすることが可能になる。更に別の変形形態では、ネットワークオペレータが、それによるネットワークの使用について、拡張モバイルブロードバンド(eMBB)や超高信頼低遅延通信(uRLLC)、大規模機械型通信(mMTC)などのトラフィックタイプに基づき事前に取り決められた優先度を定め得る。尚、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。以下、これらの任意選択事項について詳述する。
【0028】
1つ又は複数の非一時的メモリデバイス内で符号化され、銘々所述の機能を実行する1つ又は複数のプロセッサにより実行される機械可読な諸指示を、統合無線ネットワーク100内の各構成要素又はモジュールは含み得る。本開示で用いる「モジュール」という用語は、1つ又は複数のプロセッサによって実行し得る非一時的メモリにおいて符号化された機械可読指示一式を指し得る。当該モジュールに対応する機械可読な諸指示は、プロセッサにより実行されると、本開示に従って該モジュールに割り当てられた所述の諸機能を実行する。各モジュールは、例えばコンテナ技術を使用して1つ又は複数のプロセッサによって実行し得る1つ又は複数の実行スレッドとして実行し得る。本開示で用いる「非一時メモリ」とは、(電磁信号や光信号などではなく)有形の記憶媒体を指し、又、その媒体自体を指すものであり、データの記憶場所(例えばRAMであるべきかROMであるべきかなど)について限定するものではない。例えば、非一時的な媒体とは、電源を入れ直した後にメモリを適切且つ機械可読な諸指示を以って再読み込みしなければならない、という諸指示を以って符号化された組込み式揮発性メモリを指し得る。更に、本開示の実施例には、フロントホールネットワーク145及びスイッチ/監視部105用のイーサネット技術の使用が伴うが、パケットに基づくデジタル通信のための他のプロトコルや標準を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0029】
スイッチ/監視部105は、統合無線ネットワーク100に即して次のように動作し得る。ダウンリンク(DL)信号の場合は、各従来型BTS110がそれの1つ又は複数の搬送波周波数で信号を送信する。ADC/DACユニット115は、各従来型BTS100からのダウンリンク信号を、パケット化されたeCPRI形式に変換してスイッチ/監視部105に送信する。CPRI形式でデジタル化されたRF信号を出力する所与の代表的なBBU120a~cの場合は、CPRI/eCPRI変換部230が、ダウンリンクCPRI形式信号を、パケット化されたeCPRI形式に変換する。7.2x形式や時間領域又は周波数領域eCPRI形式、或いはF1形式のいずれかを提供する他のBBU120a~cでは、パケット化されたイーサネットデータを適切な形式を使って送信することによってかかる形式の提供を行う。したがって、スイッチ/監視部105に入力される全てのダウンリンク信号は、イーサネット形式か、イーサネット経由のeCPRIパケット化形式か、イーサネット経由のGTP(F1)形式かのいずれかになり、全てが順次トラフィック監視部225に入力される。トラフィック監視部225は、アップロード信号とダウンロード信号を含むイーサネットトラフィックの流れを監視する。ダウンロード信号の場合、トラフィック監視部225は、各ダウンロード信号パケットから情報を抽出して、送信元BTS100又はBBU120a~cと、1つ又は複数の送信先RU155と、ネットワークオペレータと、パケット化された信号に対応する搬送波周波数と、トラフィックタイプ(uRLLC、eMBB、mMTC、NB-IoT、など)とを後述の手法を用いて特定するとともに、収集した情報に関する統計を取りまとめる。アップロード信号の場合、トラフィック監視部225は、フロントホールネットワーク145とイーサネット接続150を介して各RU155から着信パケットを受信し、送信先BTS110又はBBU120a~cを特定し、それに応じて該パケットをルーティングする。そうすることで、トラフィック監視部225は、ダウンロード信号の場合と同様に、収集された情報に関する統計を取りまとめる。この情報を取得後、トラフィック監視部225は、各BTS110及びBBU120a~c(よって、各ネットワークオペレータ及びプライベートネットワーク)が使用するリソースの割合(%)を特定し、このリソース使用率(%)を、ポリシー施行モジュール215から得た各BTS110とBBU120a~cへの配分率(%)と比較する。以下、これについて詳しく説明する。
【0030】
トラフィック監視部225は、所与のパケットの遅延時間に影響する可能性がある又は所与のRU155とそれに対応するBTS110又はBBU120a~cとの間のパケット損失につながる可能性があるネットワークトラフィックの過負荷などをはじめとするフロントホールネットワーク145のアグリゲート問題も特定し得る。本開示で用いる「輻輳異例」という用語は、フロントホールネットワーク145におけるパケットトラフィックの急増により、1つ又は複数のネットワークオペレータのサービスが低下する可能性があるあらゆる事象を指す。
【0031】
1つ又は複数のBTS110又はBBU120a~cがフロントホールネットワーク(145)リソースを不相応に高い割合(%)で使用している(つまり、配分違反が発生している)とトラフィック監視部225が断定した場合、或いは、フロントホールネットワーク145にトラフィック過負荷が発生しているとトラフィック監視部225が断定した場合、トラフィック監視部225はこの情報を過負荷制御モジュール220に提供し得る。過負荷制御モジュール220は、この情報を使用して、1つ又は複数のBTS110又はBBU120a~cとの間のネットワークトラフィックを削減し得る(つまり、配分違反を抑制し得る)。過負荷制御モジュール220は、事前に取り決められているポリシー情報をポリシー施行モジュール215から取得し、それを利用して該情報の提供を行い得る。以下、これについて
図5を参照しながら詳述する。
【0032】
トラフィック監視部225は、各顧客の保証ビットレートが満たされているか(固定配分)、又はそれの対応する有料フロントホール帯域幅の割合(%)が満たされているか(理想的とは言えないフロントホールでの動的配分)を確認する。以下、これについて詳しく説明する。
【0033】
過負荷制御モジュール220は、オペレータごとの(又はBBU120a~c又はBTS110ごとの)フロントホール帯域幅使用量を受信したり、所与のBBU/BTSフロントホール帯域幅の使用量を、ポリシー施行モジュール215に保存されているそれに対応する配分と比較したり、対応するフィードバック信号122a~cを当該BBU120a~cに提供するか、所与のBBU/BTSが使用するフロントホール帯域幅を削減するために一方的措置を実行するか、若しくはその両方を実行するかしたり、更にはトラフィック監視部225により決定された利用可能なフロントホール帯域幅に基づいて各BBU/BTSの改訂フロントホール帯域幅配分を計算したりし得る。過負荷制御モジュール220は、フィードバック信号122a~cをそれぞれ対応するBBU120a~cに提供する際、専用のイーサネット又はIP接続を介してフィードバック信号を送信し得る。或いは、関連する3GPP仕様により使用可能とされる且つそれに記述される制御プレーン信号伝達において利用できるベンダー固有のデータプレースホルダ内に各フィードバック信号経路122a~cを実装し得る。この場合、過負荷制御モジュール220は、当該所与のBBU120a~cのプロトコルスタック実装においてスケジューラ(MAC層など)への制御信号伝達で使用される既存の3GPP定義データ構造にフィードバック信号122a~cを挿入し得る。尚、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。更に別の変形形態では、過負荷制御モジュール220が、輻輳制御に加え、トラフィック監視部225から得たデータを用いてスーパーバイザモジュール112に実時間又はほぼ実時間の利用情報を提供し得る。これは、所与のネットワークオペレータに統合ネットワーク100の過剰使用(又は使用の減少)が発生した場合、それに応じて請求できるようにするためである。尚、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0034】
所与のBBU/BTSが使用するフロントホール帯域幅を削減するための一方的措置をとる際、過負荷制御モジュール220は、事前に取り決められているフロントホール帯域幅削減手順をポリシー施行モジュール215から取得し得る。この情報を以って、過負荷制御モジュール220は、スイッチコマンド接続237を介してスイッチ235に指示を出し得る。過負荷制御モジュール220からフィードバックを提供する際に使用できるフィードバック経路122a~cが所与のBBU120a~cに備えられていても、スイッチ235内のバッファ/キューのオーバーフローを防げるほど十分時宜にかなったタイミングでフィードバックを提供できない場合がある。したがって、オーバーフロー制御モジュール220は、ネットワークトラフィックの輻輳異例を抑制するために、事前に取り決められている一方的対策を講じなければならない場合もある。以下、オーバーフロー制御モジュール220が一方的措置を講じる方法について詳述する。
【0035】
ポリシー施行モジュール215は、フロントホール帯域幅配分情報を、BBU120a~c及びBTS110ごとに(又は一ネットワークオペレータが複数のBBU120a~c又はBTS110を持つ場合は、ネットワークオペレータの機能として)保持する。これには、フィードバック信号経路122a~cを利用できない場合に、オーバーフロー制御モジュール220がフロントホール帯域幅を削減するためにとり得る事前に取り決められた手順に関する情報を含み得る。
【0036】
スイッチ235は、スイッチ/監視部105内の構成要素をフロントホールネットワーク145に接続するイーサネットスイッチ又はルータであり得る。スイッチ235は、過負荷制御モジュール220の命令でパケットを除去又は妨害するとともに、従来のバッファリング機能とルーティング機能を実行し得る。トラフィック監視部は、スイッチ235内の送信パケットバッファ又はキューにクエリ(問合せ)を行ってトラフィックの輻輳状態を断定し得る。一変形形態において、スイッチ235は、トラフィックタイプのレイテンシ要件に適合するように、当該トラフィックタイプなどに対応する異なる優先度の複数のバッファ又はキューを有し得る。スイッチ235は、サービスレベルや、ネットワークオペレータ、又は保証付きトラフィックに対するベストエフォート(最前努力)型トラフィック状態に基づく諸目的のため、又は輻輳状態や使用量/請求額の監視を目的として送信元によってフラグが付けられたメタデータ情報に基づく諸目的のために、より高い優先順位を使用し得る。更に、スイッチ235は、同期モジュール210からの同期ストリームなど、優先度の高いパケットストリーム用に個別のバッファ又はキューを提供し得る。尚、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0037】
図2においてスイッチ/監視部105内に示されるモジュールは、スイッチ/監視部105内の機能を分割する方法の一例である。機能の分割及び実装方法の様々な変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。例えば、トラフィック監視部225をスイッチ235内に一体化して備えたり、過負荷制御モジュール220をポリシー施行モジュール215内に一体化して備えたりし得る。
【0038】
図3は、本開示によるトラフィック監視モジュール225の一例を示す図である。トラフィック監視モジュール225は、パケットスニファモジュール310と、輻輳監視モジュール315と、分析エンジンモジュール320を含み得る。各データパケット(UL又はDL)を傍受して、そのパケットストリームタイプ(同期ストリーム、信号データストリームなど)に関する情報を抽出するための諸指示をパケットスニファモジュール310は実行し得る。信号データストリームの場合、パケットスニファモジュール310は、所与のパケットの送信元/送信先BBU120a~c又はBTS110、且つ又は送信元/送信先RU155、且つ又はネットワークオペレータ、且つ又はトラフィックタイプ(uRLLC、eMBB、mMTC)、且つ又はデータタイプ(7.2xデータ、時間領域eCPRI I/Qデータ、周波数領域eCPRI I/Qデータ、又はF1データ)、且つ又はパケット優先度ビット(IEEE802.1pで指定されるもの)、且つ又は対応する搬送周波数に関する情報を抽出し得る。パケットスニファモジュール310がパケットから情報を抽出するためにとり得るアプローチの例としては次のものが挙げられる。1つのアプローチとしては、各BBU120a~cに1つ又は複数の一意のVLANタグなどのメタデータを与えてから、パケットスニファモジュール310に、VLAN ID別にイーサネットトラフィックデータを監視・蓄積させる方法が挙げられる。サービスや優先度、トラフィックタイプ、データタイプ、搬送波周波数、デバイス範疇を特定するための複数のVLANタグと、その他ネットワークスライシング情報のメタデータとを所与のBBU120a~c又はBTS110に割り当て得る。所与のBBU120a~cが採用し得る優先度決定方法の別の例には送信先RUの場所が関与し得る。例えば、統合型ネットワーク100をスタジアムに展開する場合、所与のネットワークオペレータは、応急処置施設の近くにあるRU155に対して、トイレの近くにあるRU155よりも高い優先度を割り当て得る。更に、BBU120a~cは、随時、それのRU155の優先度を予想される使用量に応じて変更し得る。例えば、イベント開催の前後にはスタジアムのコンコースや駐車場のRU155を優先し、イベント開催中にはスタジアムの競技場のRU155を優先し得る。尚、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。各従来型BTS110については、ダウンリンクの場合、ADC/DAC 115が、各従来型BTS110からの各搬送波に一意のVLANタグを割り当て得る。これにより、当該所与の搬送波のパケットをトラフィック監視モジュール225(例えばネットワークオペレータや搬送波周波数などを含み得る)により特定し得る。
【0039】
アップリンクの場合、上記ダウンリンクの場合と同様の方法で、各RU155が適切なVLANタグを挿入し、BBUやBTS、サービス、優先度などを特定し得る。各VLANタグは、所与のネットワークオペレータが提供する個々のサービスを選り出すために使用できる一式の優先度ビットを有し得る。別のアプローチでは、各BBU120a~c又は所与のBTS110のネットワークオペレータに様々なVLANタグを割り当てることが伴い、これにより、BBU120a~c又はBTS110は、差別化し優先度を定めたそれ自身のサービスを、トラフィック監視モジュール315を介してスイッチ/監視部105に指定且つ指摘できる。
【0040】
また、パケットスニファモジュール310は、同期モジュール210からの同期パケットストリームを特定し、該特定したパケットに最も高い優先度を与え得ることを示す情報を過負荷制御モジュール220且つ又はスイッチ235に送信し得る。
【0041】
パケットスニファモジュール310は、それが所定の間隔で収集した上記パケットメタデータのデータを蓄積又はバッファリングして、分析エンジンモジュール320に提供し得る。
【0042】
輻輳監視モジュール315は、フロントホールネットワーク145のアグリゲートにおける輻輳状態を判定し、フロントホールネットワーク145の現在の帯域幅又はスループットを断定する。輻輳監視モジュール315がこれを行う際に採用し得るアプローチは種々存在する。例えば、輻輳監視モジュール315は、スイッチ235内及び各RU155における遠隔エージェントモジュール(図示せず)を含み得る。各遠隔エージェントモジュールは、それが展開される送信パケットバッファの奥行きを監視する。各遠隔エージェントモジュールは、それの対応する送信パケットバッファ又はキューの奥行きに関する情報、並びに該送信パケットバッファ又はキューのいずれかにオーバーフローが発生している場合はその旨の表示又は警報を輻輳監視モジュール315に提供し得る。オーバーフローが発生している送信パケットバッファは、スイッチ235又は所与のRU155のいずれかが一度に取り扱える量を超えるパケットがフロントホールネットワーク145から送信されていることを示し得る。輻輳監視モジュール315が採用し得る別の(又は付加的な)アプローチには、片方向のパケット遅延時間を測定することが伴う。eCPRI仕様では、このような片方向のパケット遅延測定を規定している。加えて、輻輳監視モジュールの315は、ルータやスイッチが対応しているRFC2544、Y.1564、RFC5357(双方向アクティブ測定プロトコル(Two-Way Active Measurement Protocol:TWAMP)とも呼ばれる)などの従来の試験を採用し得る。尚、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0043】
分析エンジンモジュール320は、輻輳監視モジュール315とパケットスニファモジュール310からデータを受信し、フロントホールネットワーク145の利用可能な全帯域幅と、各BBU120a~cとBTS110の実際の帯域幅使用量を計算し得る。後者の場合、かかる実際の帯域幅使用量を、トラフィックタイプ(uRLLC、eMBB、mMTC)、且つ又は搬送波周波数、且つ又はデータタイプ(7.2xデータ、周波数領域eCPRI I/Qデータ、時間領域eCPRI I/Qデータ、又はF1データ)、且つ又はパケット優先度ビット(IEEE802.1pで指定されるもの)、且つ又はLTE UE輻輳の関数としてBBU120a~c及びBTS110ごとに計算することを含み得る。分析エンジンモジュール320は、事前に設定されている間隔(例えば、1つの送信時間間隔(Transmit Time Interval:TTI))で、或いは輻輳監視部315から催促を受けたときに、利用可能な帯域幅を計算し得る。これは、後述するように、フロントホールネットワーク145で利用可能な全帯域幅が動的に変化して、ネットワークオペレータ間で(銘々のBBU/BTSを介して)帯域幅が割り振られる方法に影響を与える可能性があるためである。更に、分析エンジンモジュール320は、データトラフィックの異例な急増を、その発生元となっている可能性のあるBBU/BTS並びにトラフィックタイプやデータタイプなどを相互に関連付ける指示を実行することで、フロントホールネットワーク145におけるトラフィック輻輳ボトルネックの原因を特定し得る。
【0044】
本開示で用いる「優先度付きパケットストリーム」という用語は、所与のネットワークオペレータ(つまり、BBU120a~c又は従来型BTS110)の所与のパケットストリームであり、特定のチャネル/搬送波や、トラフィックタイプ(uRLLC、eMBB、mMTC)又はデータタイプ(7.2xデータ、周波数領域eCPRI I/Qデータ、時間領域eCPRI I/Qデータ又はF1データ)や、パケット優先度ビット(IEEE802.1pで指定されるもの)又は搬送周波数に対応する信号データを搬送する所与のパケットストリームを指し得る。所与のネットワークオペレータの信号データについては、これらの分類のいずれかに応じて差別化し優先度を決定し得るとともに、ネットワークオペレータ間で更に優先度を決定し得るので、各ネットワークオペレータはその内部で差別化され且つオペレータ間で差別化された優先度に応じた代価を支払い得る。
【0045】
図4は、本開示による遠隔ユニット(RU)155の一例を示す図である。RU155は、それ独自のデジタルデータ形式(7.2x、周波数領域eCPRI、時間領域eCPRI、又はF1)によって、各BBU120a~c及びBTS110とスイッチ/監視部105を介して通信するように構成されている。RU155は、高精度タイミングプロトコル(PTP 470)に従ってフロントホールネットワーク145と連結された統合ネットワーク100の他の各要素とのネットワーク同期用の境界クロック465を備え得る。また、RU155は、GPS受信機475を介して更なるネットワークタイミングに関する補助を得ることができる。PTP 470により提供されるタイミングは、BBU120a~cに対して提供されるタイミングと同じであるべきである。各RU155が異なるネットワークオペレータのBBU120a~cによって共有されていることを鑑みると、RU155とスイッチ/監視部105をホストするネットワークが、個々のBBUにPTPタイミングを返して、それらが収束するところの所与のRU155と同期できるようにする必要がある。
【0046】
イーサネットスイッチ406と、アップリンクデータ加算モジュール407と、5G CU機能を実行するBBU120a~cと連動して5G gNodeBを形成する5G分散型ユニット408とを含むフロントエンドデータプロセッサ405をRU155は備える。5G DU 408は、フロントホールネットワーク145とイーサネットスイッチ406を介してBBU120a~c内のそれの対応するCUからダウンリンクF1データパケットを受信し、3GPP仕様に従って該データの下位PHYレベルの処理を行うことによって、時間領域ダウンリンクI/Qデータを生成する。アップリンクの場合、5G DU 408は、ADC 455から(デジタルスプリッタ440を介して)アップリンク時間領域データを受信し、それのアップリンク下位PHY層処理を実行してアップリンク周波数領域F1パケットデータに変換し、イーサネットスイッチ406経由でフロントホールネットワーク145に送信する。また、5G DU 408は、7.2xパケット化データを使用してRU155と通信するBBU120a~c(LTE eNodeBや5G gNodeB CU+DUなど)の低PHY層処理を実行するためのモジュールも含み得る。
【0047】
更に、ダウンリンクの場合には周波数領域eCPRI I/Qデータを時間領域デジタルI/Q信号ストリームに変換するが、アップリンクの場合は時間領域デジタルI/Q信号データを周波数領域I/Qデータに変換するFIQ/TIQ変換部420もRU155に含まれる。FIQ/TIQ変換部420は、個別のモジュールとして図示されているが、フロントエンドデータプロセッサ405の中に一体化されて成り得る。RU155は、イーサネットスイッチ406からのデジタル時間領域I/Qデータストリーム410とFIQ/TIQ変換部420からのデジタル時間領域I/Qデータストリーム425とを加算するデジタル加算器435を含み得る。加算されたデジタルI/Qデータはその後DAC 445によってアナログRF信号に変換され、その出力はパワーアンプ450に供給され、そこからアンテナ160を介して送信される。
【0048】
アップリンクの場合、低ノイズアンプ460がアンテナ160を介して受信したRF信号を増幅し、該増幅信号をADC 455に供給する。ADC 455は、当該RFアナログ信号をデジタルI/Qデータストリームに変換する。尚、このデジタルI/Qデータストリームは、デジタルスプリッタ440により接続415経由でフロントエンドデータプロセッサ405に、また、接続430経由でFIQ/TIQ変換部420にルーティングされる。RU155が複数のアンテナ161を有し、該複数のアンテナ161がそれぞれに対応する低ノイズアンプ460とADC 455を備える場合は、アップリンク加算器407が時間領域デジタルI/Qデータを1本のデジタルI/Qデータストリームに集約した後、フロントエンドデータプロセッサ405が、eCPRI形式を使用して該デジタルI/Qデータストリームを、パケット化された時間領域データに変換する。一変形形態において、FIQ/TIQ変換部420はアップリンク加算器407の合計出力を取得し、合計時間領域I/Qデータを周波数領域I/Qデータに変換し得、その後に該周波数領域I/QデータをeCPRI形式にパケット化することも可能である。フロントエンドデータプロセッサ405はパケット化された全てのデータを、後で適切なBBU120a~c又はADC/DACユニット115にルーティングしてから後続の処理と標的の従来型BTS110への中継を行うために、フロントホールネットワーク145を介してスイッチ/監視部105に送信し得る。
【0049】
上記のように、スイッチ/監視部105は、事前に取り決められている優先度に従ってフロントホール帯域幅リソースを割り振ることができ、所与のネットワークオペレータと事前に取り決められている手順を実行することで、それによる配分を施行するための措置を講じえる。
【0050】
図5A-Dは、本開示による優先度配分ソリューション500a~cの様々な例を示す図であり、各図において異なる例示的な優先度の配分510a~cがなされている。優先度配分ソリューション500a~cは、例えば、スーパーバイザモジュール112によって生成し、ポリシー施行モジュール215によって維持し得る。
【0051】
図5Aは、本開示によるチャネル/搬送波に基づく優先度配分ソリューション500aを示す図である。チャネル/搬送波に基づく優先度配分ソリューション500aでは、利用可能なフロントホール帯域幅に対し、チャネル/搬送波の配分510aに基づいて優先度が割り当てられる。このような状況においては、統合ネットワーク100のニュートラルホスト又はオペレータは、ネットワークオペレータ(オペレータA、オペレータB、オペレータC、オペレータD)が優先度に応じた代価を支払うようにネットワークオペレータA-Dと契約を結ぶ。この例において、オペレータAは、それが有する2つのライセンス認可済み帯域(チャネル又は搬送波)に最も高い優先度である優先度1と優先度2を割り当てるとともに、3つ目のライセンス認可済み帯域に低めの優先度14を割り当てる代価を支払っている。チャネル/搬送波に基づく優先度配分ソリューション500aの場合、スイッチ/監視部105は、どのトラフィックがどの搬送波/チャネルを通過しているかを知ることができないので、個々のネットワークオペレータ(この例ではオペレータA)に依存して、既に優先度を取り決めてある各ライセンス認可済み帯域又はチャネル/搬送波に適切なトラフィックをスケジュールする。この例を更に参照するに、オペレータBは、ライセンス認可済み帯域(又はチャネル/搬送波)の1つを優先度3とし、別のライセンス認可済み帯域を優先度8とする代価を支払う。更に、オペレータBは、CBRSチャネルを取得し、それに優先度5を割り当てるように手配している場合も考えられる。オペレータCは、ライセンス認可済みスペクトルを一切持たないプライベートネットワークオペレータであり得る。この場合、オペレータCは2つのCBRSチャネルを取得し、それぞれに優先度4と優先度11を割り当てる代価を支払う。各オペレータA-Eは、7.2xデータ又は周波数領域eCPRIデータ、時間領域eCPRIデータ、或いはF1データ(CU/DU分担5G gNodeBの場合)をスイッチ/監視部105に提供する1つ又は複数のBBUを運用し得る。また、1つ又は複数のオペレータA-Eが従来型BTS110も運用している場合も考えられる。この場合、フロントホールネットワーク145のデータは時間領域eCPRIパケットの形式になる。
【0052】
チャネル/搬送波に基づく優先度配分ソリューション500aでは、トラフィック監視部225が、フロントホールネットワーク145の利用可能な帯域幅を測定し、フロントホールネットワーク145における輻輳異例を(輻輳監視部315を用いて)特定するとともに、チャネル/搬送波配分510aによる各チャネル/搬送波のフロントホール帯域幅使用量を(パケットスニファモジュール310を用いて)測定し、且つ(分析エンジンモジュール320を用いて)この情報を過負荷制御モジュール220に提供する。この情報により、過負荷制御モジュール220はフィードバック経路122a~cを介してBBU120a~cにフィードバックを提供し得る。かかるフィードバックは、各オペレータのチャネル/搬送波がチャネル/搬送波配分510aの範囲内で利用するフロントホール帯域幅の量、並びに帯域幅可用性情報を含み得る。当該ネットワークオペレータの対応するBBU120a~cは、この情報を用いて、フロントホール帯域幅の如何なる過剰使用に対処するために所与のチャネル/搬送波上でのそれのスループットを調節するよう自機スケジューラに命令し得る。スケジューラフィードバック機構を備えていない従来型BTS110の場合は、過負荷制御モジュール220が、チャネル/搬送波配分510aにおいて優先度の低いチャネル/搬送波のパケットトラフィックを単独で妨害又は制限し得る。
【0053】
図5Bは、本開示による定率(%)に基づく優先度配分ソリューション500bを示す図である。定率(%)に基づく優先度配分ソリューション500bでは、各オペレータA-Eが、フロントホールネットワーク145の利用可能な総帯域幅の、優先度に従った所与の割合(%)510bの代価を支払う。定率(%)に基づく優先度配分ソリューション500bでは、トラフィック監視部225がフロントホールネットワーク145の利用可能な帯域幅を測定する。その際、輻輳監視部315がフロントホールネットワーク145の利用可能な全帯域幅を断定し、パケットスニファ310が各BBU120a~c及びBTS110によるフロントホール帯域幅の使用量を断定する。上記モジュール315/310はいずれもが、当該情報を分析エンジンモジュール320に提供し、その後分析エンジンモジュール320は、各オペレータA-Eが使用する可用帯域幅の割合(%)を計算し、この情報を過負荷制御モジュール220に提供する。次に、過負荷制御モジュール220は、前記計算により求められた各オペレータA-Eの使用率(%)と、ポリシー施行モジュール215からの優先度に従った割合(%)510bとを比較する。オペレータA~Dのいずれかがそれ相応の優先度に従った割合(%)510bよりも多い割合(%)を使用している場合、過負荷制御モジュール220は、フィードバック経路122a~cを介して適切なBBU120a~cに適切なフィードバックを提供し、MACスケジューラにフロントホールトラフィックを減らすように通知する。
【0054】
図5cは、本開示によるトラフィックタイプに基づく優先度配分500cを示す図である。トラフィックタイプに基づく優先度配分500cの場合、各オペレータA-Eは、所与のパケットトラフィックが拡張モバイルブロードバンド(eMBB)、超高信頼低遅延通信(uRLLC)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)に関連しているかどうかに基づいて、又はそれがRF信号の時間領域又は周波数領域eCPRI表現であるかに基づいて、当該オペレータ自身のフロントホールの使用に関する特定の優先度の代価を支払う。各オペレータA-Eは、トラフィックタイプ優先度配分510cに応じて、フロントホールネットワーク145の帯域幅の使用に関する特定の優先度の代価を支払う。このトラフィックタイプに基づく優先度配分500cの例では、オペレータAが、それのuRLLCトラフィックに最も高い優先度を割り振り、eMBBトラフィックを優先度3とし、mMTCトラフィックを低めの優先度6とする代価を支払う。オペレータBは、それのeRLLCトラフィックを優先度2とし、eMBBトラフィックを優先度5とし、mMTCトラフィックを優先度9とする代価を支払う。オペレータCは、顧客にuRLLC通信を提供していないため、それのeMBBトラフィックには優先度7、mMTCトラフィックには優先度10のみを取得する。オペレータDとオペレータEは、従来型BTS110を運用しているオペレータであり得る。したがって、オペレータDとオペレータEのトラフィックはトラフィックタイプによって差別化されない。むしろオペレータDとオペレータEは、銘々のBTS RF入出力114の時間領域又は周波数領域表現を送受信する。この例において、オペレータDは、それによるフロントホールネットワーク145の帯域幅の使用について優先度4の代価を支払っており、オペレータEは優先度8の代価を支払っている。前述したように、この例及び他の例で割り振られた特定の優先度500a~cは単に例として挙げているものに過ぎず、その他特定の配分の組み合わせを本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0055】
トラフィックタイプに基づく優先度配分500cでは、輻輳監視モジュール315がフロントホールネットワーク145の利用可能な帯域幅を測定してボトルネック又は輻輳異例を特定する。同時に、パケットスニファモジュール305は、各BBU120a~c及びBTS110が使用するトラフィックタイプを特定する。上記モジュール315/310のいずれもが、当該情報を分析エンジンモジュール320に提供し、その後分析エンジンモジュール320が、uRLLCトラフィックに対するネットワーク輻輳のレイテンシによる影響を相互に関連付ける指示を実行することで、トラフィック輻輳の主な要因となる1つ又は複数のトラフィックストリームを特定し得る。いずれの場合も、分析エンジンモジュール315は生成した情報を過負荷制御モジュール220に提供する。過負荷制御モジュール220は、1つ又は複数のBBU120a~cに、対応するフィードバック経路122a~cを介してフィードバックを提供することで、それの対応するMACスケジューラに対して、輻輳異例の原因となっているトラフィックタイプのトラフィック使用量を削減するように通知する。過負荷制御モジュール220は、トラフィックタイプ優先度配分510cに応じてこれを行い、それにより、まずは優先度の低いトラフィックのエントリを1つ又は複数削減又はシャットダウンし得る。所与のBTS110が、eCPRIを基盤とするそれのRF信号によるフロントホール帯域幅使用量を抑制する機能を備えていないこともあり、この場合、全か無かの状況になり得ることに留意されたい。その場合、オペレータDとオペレータEは、より高い優先度の代価を支払って対応することも可能である。
【0056】
これら500a~cの各例において、過負荷制御モジュール220は(BBU120a~cへのフィードバックの提供に加えて又はその代わりとして)、 各配分(例えば、トラフィックタイプ(500c)、チャネル/搬送波(500a)、送信元/送信先BBU/BTS(500b)など)のうち優先度の低いものの1つ又は複数におけるパケットトラフィックを、先手を取って妨害し得る。
【0057】
図6は、本開示による事前に取り決められている優先度に応じてフロントホール帯域幅を割り振る処理600の一例を示す図である。処理例600における手順は全て、ソフトウェアモジュールに関して上述したように1つ又は複数のプロセッサ上で実行される機械可読指示として実装可能である。これらの処理の説明では「プロセッサ」又は「該プロセッサ」という用語を用いるが、該用語は、単一のサーバー上で又はいくつかのサーバー(地理的に分散している複数のサーバーを含む)を跨いで実行される複数のプロセッサに適用され得ることは言うまでもない。該プロセッサは、送信時間間隔(TTI)ごとに1回など、あらかじめ設定された間隔で処理600を実行し得るが、他の間隔を本開示の要旨を逸脱しない範囲において採用可能であることは言うまでもない。
【0058】
ステップ605において、該プロセッサは、優先度の配分を決定するための諸指示を実行する。統合無線ネットワーク100の展開方法と展開場所によっては、特定の配分ソリューション500a~cを使用することが好ましい場合もある。例えば、5G gNodeBが圧倒的に多いとともにuRLLC通信を大いに活用する機会が多いような場所(自動化された工場や自動運転車両が運用されている都市環境など)に統合ネットワーク100を展開する場合、トラフィックタイプに基づく優先度配分500cが好ましいと思われる。或いは、統合無線ネットワーク100とやり取りする従来型BTS110の数が不相応に多い場合は、チャネル/搬送波に基づく優先度配分ソリューション500aが適していると思われる。ソリューション500a~cの確立を以って、該プロセッサは、各ネットワークオペレータから希望する優先度(複数可)に関する入力を取得してから優先度510a~cのテーブルをインスタンス化して各ネットワークオペレータに該優先度をマッピングするための諸指示を(例えばスーパーバイザ112などにおいて)実行し得る。このテーブルは、ポリシー施行モジュール215によってメモリに保持し得る。
【0059】
ステップ610において、プロセッサは各オペレータによるフロントホールネットワーク145の使用量を監視するための指示を実行する。これは、パケットスニファ310を介してトラフィック監視モジュール225によって行い得る。使用するソリューション500a~cに応じて、該プロセッサは上記のように各吟味済みのパケットから異なるメタデータ情報(VLANタグなど)を抽出し得る。次に、該プロセッサは各パケットから抽出した情報をバッファ又はローカルメモリに保存し得る。
【0060】
ステップ615において、該プロセッサは、利用可能な帯域幅を決定するため、又、場合によっては輻輳異例を特定するための諸指示を実行し得る。その際、該プロセッサは上記される1つ又は複数の手法(eCPRI片方向パケット遅延、RFC2544、Y.1564、RFC5357、TWAMP、など)を実行し得る。これは、輻輳監視モジュール315と分析エンジンモジュール320の間で調整をとりながら行い得る。該プロセッサは、決定済みの情報をローカルメモリにバッファリングするための諸指示を実行し得る。
【0061】
ステップ620において、該プロセッサは、1つ又は複数のネットワークオペレータが各自の配分を超過しているかどうか、又はフロントホールネットワーク145にて輻輳異例が発生してるかどうかを断定するための諸指示を実行する。これは、スイッチ/監視部105が統合無線ネットワーク100の運用に介入する必要があるかどうかを断定するものである。配分を超過したかどうかを断定する際に、該プロセッサは、各BBU120a~c及び従来型BTS110が使用しているフロントホール帯域幅の割合(%)を計算して該計算により求められた各割合(%)を当該配分率(%)510bと比較するための諸指示を実行し得る。これは、フロントホールでのボトルネックや輻輳異例の場合、ステップ615で既に特定されている。
【0062】
尚、一ネットワークオペレータがそれに割り振られたフロントホール帯域幅の配分率(%)に違反(すなわちそれを超過)しているかどうかは、フロントホールネットワークにボトルネック又は輻輳異例が発生しているかどうかとは無関係の問題である。公称動作条件下であっても、1つのネットワークオペレータによるフロントホール帯域幅の使用量が、事前に取り決められている配分量を超えると、別のネットワークオペレータが使用できるフロントホールネットワーク帯域幅が、後者オペレータに(それへの配分に応じて)使用資格が提供されている帯域幅よりも少なくなる可能性がある。
【0063】
ステップ620の結果が「いいえ」の場合には介入不要であるため、処理 600はステップ 610に戻り、所定の間隔(TTIごとに1回など)で繰り返される。ステップ620の結果が「はい」の場合には介入が必要であるため、処理 600はステップ 625に進む。
【0064】
ステップ625において、該プロセッサは、配分違反又は輻輳異例のいずれかを解決するために講じる必要のある措置の優先度と範囲を特定するための諸指示を実行する。
【0065】
輻輳異例の場合、チャネル/搬送波に基づく優先度配分ソリューション500aの例では、該プロセッサが、チャネル/搬送波配分510a内の優先度の低いチャネル/搬送波のうち影響を受けているものがいくつあるかを断定するための諸指示を実行し得る。例えば、
図5Aを例にとり、ライセンス認証済み搬送波 E(優先度16)とライセンス認証済み搬送波 D(優先度15)が影響を受けていると仮定する。これを判定するには、輻輳異例を解決するために帯域幅の使用をどれほど遮断する必要があるかを断定し、それを、オペレータEの優先度16のチャネル/搬送波の帯域幅使用量と比較するための指示を実行する。当該帯域幅使用量を(オペレータEの優先度16のチャネル/搬送波を遮断することにより)排除しても輻輳異例を充分解決できない場合、該プロセッサは更にオペレータDの優先度15のチャネル/搬送波の帯域幅使用量を断定し得る。(尚、これは単なる事例に過ぎないことを念頭に置かれたい。)この例では、前記2つのチャネル/搬送波の帯域幅使用量を排除することで輻輳の異例を充分解決できる。割合(%)に基づく優先度配分ソリューション500bの場合はこの答えが既にステップ615で断定されているかもしれない。この場合は、違反しているネットワークオペレータ(複数可)が判明している。更に、違反しているネットワークオペレータを特定したとはいえ、それが複数のBBU120a~c又は従来型BTS110を運用している場合、該プロセッサは、フロントホール帯域幅を過剰に使用しているBBU120a~c又は従来型BTS110のうちどれの使用量が最も多いかを特定するための諸指示を実行し得る。トラフィックタイプに基づく優先度配分500cの場合、該プロセッサは、トラフィックタイプ優先度配分510cの中で最も優先度の低いエントリのうちどれに対処すればフロントホール輻輳異例を解決できるかを特定するための諸指示を実行し得る。チャネル/搬送波に基づく優先度配分ソリューション500aの説明で上記した方法と同様のやり方でこれを行い得る。
【0066】
配分違反が発生した場合は、違反しているネットワークオペレータに対応している優先度の低い搬送波又は優先度の低いトラフィックタイプのうち、遮断することにより配分違反を解決できる、つまり該ネットワークオペレータのフロントホール帯域使用率(%)を当該配分率(%)500bに戻すことができる搬送波又はトラフィックタイプを特定するための諸指示を、該プロセッサは実行する。
【0067】
ステップ630において、該プロセッサは、フロントホールのボトルネックや輻輳の異例又は配分率(%)違反を解決するために必要な一連の措置を断定するための諸指示を実行する。ステップ625で特定された影響を受けているチャネル/搬送波又は低優先度のトラフィックタイプがBBU120a~cに対応する場合、該プロセッサは、フィードバック経路122a~cを介して適切なBBU120a~cにフィードバックを提供して該BBUのMACスケジューラに通知するための諸指示を実行し得る。同様に、割り振られている配分率(%)に違反しているネットワークオペレータが1つ又は複数のBBU120a~cを有する場合、該プロセッサは、影響を受けているBBU120a~cに同様の通知を提供するための諸指示を実行し得る。このような場合、過負荷制御モジュールの220は、必要に応じ、影響を受けている個々のフロントホール知覚型BBU120a~cに依存しながらそれぞれのMACスケジューラを介して適切な措置を実行することでフロントホール帯域幅の使用量を削減し得る。ただし、ステップ625で影響を受けているとして特定されたチャネル/搬送波が従来型BTS110に対応している場合、又は割り振られている配分率(%)に違反しているネットワークオペレータが1つ又は複数の従来型BTS110のみを運用している場合、該プロセッサは、事前に取り決められている一方的措置を通じて当該BTSによるフロントホール帯域幅の使用量を削減するための諸指示を実行し得る。
【0068】
ステップ635において、該プロセッサは、BBU120a~c又はBTS110のパケットトラフィックをステップ630での指定どおりに削減するための諸指示を実行し得る。ステップ630で1つ又は複数のBBU120a~cが介入を要するとして特定された場合には、該プロセッサが、上記のように適切なBBU120a~cにフィードバックを提供するための諸指示を実行し得る。更に、必要に応じて該プロセッサは、影響を受けているネットワークオペレータとの取り決めに応じて、且つ、ポリシー施行モジュール215の指定どおりに、先を見越してフロントホール帯域幅の使用量を削減するための諸指示を実行し得る。次に、該プロセッサは、優先度がどのように割り振られているか(つまり、500a/500b/500c)に応じて、ステップ625で特定されたチャネル/搬送波やトラフィックタイプ又はBBU/BTSに対応するVLANタグを有する全てのパケットを閉塞又は妨害する諸指示を過負荷制御モジュール220からスイッチ235に発行させるための諸指示を実行し得る。一変形・追加形態において、パケットスニファモジュール310は、低優先度のトラフィックタイプに関連付けられたパケットを特定してタグ付けを行い、スイッチ235で抑制し得る。一変形形態において、統合無線ネットワーク100は、スイッチ/監視部105とADC/DAC 115の間にフィードバック経路(図示せず)を含み得、このフィードバック経路により、過負荷制御モジュール220はADC/DAC 115に対して、適切な従来型BTS110の所定の低優先度搬送波信号の変換を停止するように指示し得る。尚、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0069】
図7は、定率(%)に基づく優先度配分ソリューション500bによりフロントホール帯域幅を割り振る処理700の一例を示す図である。処理700の例における手順は全て、ソフトウェアモジュールに関して上述したように1つ又は複数のプロセッサ上で実行される機械可読指示として実装可能である。
【0070】
ステップ705において、該プロセッサは、優先度の配分を決定するための諸指示を実行する。各ネットワークオペレータはフロントホール帯域幅の所定の割合(%)に応じた代価を支払うため、このステップは他の優先度配分ソリューションよりも単純である。該プロセッサは、このステップを完了した後、ポリシー施行モジュール215に百分率式配分510bを保存するための諸指示を実行し得る。
【0071】
ステップ710において、該プロセッサは、フロントホールネットワーク145の現在利用可能な帯域幅を断定するための諸指示を実行する。これは、上記のステップ615と同様の方法で実行し得る。
【0072】
ステップ715において、該プロセッサは、該利用可能なフロントホール帯域幅が前回の該プロセッサによる断定以降に増加又は減少したかどうかを断定するための諸指示を実行する。これが処理700の第1回目のイテレーションである場合、ポリシー施行モジュール215は、初期デフォルトの基準フロントホール帯域幅をそれのメモリに格納して備え得る。この場合、ステップ715の第1回目のイテレーションには、ステップ710で計算されたフロントホール帯域幅と該初期デフォルト基準値の比較が伴い得る。いずれにしても、該フロントホール帯域幅には増減がみられたり、又は全く変化しなかったりする。
【0073】
該フロントホール帯域幅が増加した場合、処理700はステップ720に進み、同ステップで該プロセッサは該基準フロントホール帯域幅を増加させるための指示を実行することで、各オペレータA-Eへの帯域幅配分をそれぞれの配分率(%)510に基づいて増加させる。現時点において過負荷制御モジュール220が処理600のステップ635で説明したように先を見越してオペレータA-Eによるフロントホール帯域幅の使用を削減中である場合、該プロセッサは過負荷制御モジュール220に対して、オペレータA-Eのフロントホールの使用を削減又は停止するように指示する。
【0074】
ステップ715でフロントホール帯域幅が減少したと断定された場合、処理700はステップ725に進む。同ステップにおいて該プロセッサは、該基準フロントホール帯域幅の減少に伴い各オペレータA~Eへの帯域幅配分を新たに決定するための諸指示を実行し、且つポリシー施行モジュール215に保存されているこれらの値を更新する。
【0075】
ステップ730において、プロセッサは各BBU120a~c及び従来型BTS110による特定の使用量を監視することによって、各オペレータA-Eにより利用可能なフロントホール帯域幅の使用量を監視するための諸指示を実行する。これは、処理600のステップ610に関して前述した方法と同様のやり方で行い得る。
【0076】
ステップ735において、該プロセッサは、オペレータA-Eのいずれかが利用できる削減後の新規フロントホール帯域幅配分率(%)510bを超過しているかどうかを断定するための諸指示を実行する。これは、ステップ710で計算された基準フロントホール帯域幅とステップ730で断定された各オペレータA-Eによる使用量に基づいて各オペレータA-Eによる現在の使用率(%)を計算し、それぞれを、ステップ725で計算した新規配分と比較することによって行いる。オペレータA~Eのいずれかが、ステップ725で計算した銘々の配分を超えてフロントホール帯域幅を使用している場合、処理700はステップ740に進む。
【0077】
ステップ740において、該プロセッサは、ステップ735で銘々の配分に違反していると断定された1つ又は複数のオペレータが使用するフロントホール帯域幅をどれほど削減する必要があるかを断定するための諸指示を実行する。該所要の帯域幅削減は、優先度の低いチャネル/搬送波のシャットダウンや、優先度の低いトラフィックタイプにおけるパケットトラフィックの制限又は一時的な停止、或いはこれらの措置の組み合わせといった形で行われる。
【0078】
ステップ745において、該プロセッサは、銘々の配分510bに違反するオペレータA-Eのパケットトラフィックを削減するための諸指示を実行する。違反を犯しているオペレータによる帯域幅の使用量を減らす手段には上記手順の1つ又は複数を含み得る。例えば、違反を犯しているオペレータが1つ又は複数のBBU120a~cを有する場合、該プロセッサは、それのMACスケジューラにフィードバック経路122a~cを介してフィードバックを提供するための諸指示を実行し得る。或いは、該プロセッサは、違反を犯しているオペレータA-EのBBU120a~c及び/又はBTS110に対応する特定のパケットトラフィックを選択的に妨害又は遅延させるための諸命令を過負荷制御モジュール220からパケットスニファモジュール310及びスイッチ235に発令させるための諸指示を実行し得る。更に、スイッチが複数の並列送信バッファを有する場合(例えば、異なるトラフィックタイプやチャネル/搬送波又はネットワークオペレータに割り振られている場合)、過負荷制御モジュール220はスイッチ235に、各バッファによるパケット送信を抑制するように命令し得る。一変形形態において、過負荷制御モジュール220はADC/DAC 115に対して、ステップ635について前述したように適切な従来型BTS110における優先度の低い搬送波信号の変換を中止するよう指示し得る。
【国際調査報告】