(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】密閉調薬投薬装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/19 20060101AFI20230713BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20230713BHJP
A61M 39/26 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
A61M5/19
A61M5/31 510
A61M39/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578893
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(85)【翻訳文提出日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 CN2020096512
(87)【国際公開番号】W WO2021253264
(87)【国際公開日】2021-12-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522493182
【氏名又は名称】薩摩亜商艾得▲か▼医療器材股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ADVCARE MEDICAL,INC.
【住所又は居所原語表記】No.36,Xinxing St.,Shulin Dist.New Taipei City, 238 Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】蔡渓進
(72)【発明者】
【氏名】周志宣
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD07
4C066EE16
4C066EE18
4C066GG06
4C066HH13
4C066JJ07
4C066KK16
4C066MM05
4C066QQ15
4C066QQ94
(57)【要約】
密閉調薬投薬装置は、吸引注入管、プッシュプルロッドアセンブリ及び接続口を含み、吸引注入管は、それぞれ独立した第一キャビティ及び第二キャビティを含み、プッシュプルロッドアセンブリにおけるピストンは、操作を受けて第一キャビティ内で移動可能であり、ピストンによって第一キャビティが第一領域と第二領域とに仕切られ、第二領域と第二キャビティとが連通し、接続口が吸引注入管に固接され、接続口は、第一通路、第二通路を含み、第一通路は、第一キャビティに連通し、第二通路は、第二キャビティに連通している。密閉調薬投薬装置が薬液容器に接続されて薬液を吸引すると、第一領域が、薬液容器から第一通路を介して薬液を第一領域内に吸引されるように大きくなるとともに、第二領域が小さくなることで、第二領域内の空気が第二キャビティ及び第二通路を介して薬液容器内に排出されて、密閉調薬投薬装置と薬液容器とによって密閉環境が構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉調薬投薬装置であって、
管壁及び仕切壁を含み、前記管壁によって収容空間が画設され、前記仕切壁が前記収容空間内に設けられ、且つそれぞれ独立した第一キャビティ及び第二キャビティが形成された吸引注入管と、
封じ蓋、ロッド体、操作部材及びピストンを含むプッシュプルロッドアセンブリであって、前記封じ蓋が前記吸引注入管の第一ポートに固設及びシールされ、前記ロッド体が前記封じ蓋の穿孔に穿設され、前記ロッド体は、一端が前記操作部材に接続され、他端が前記ピストンに接続され、前記ピストンは、前記第一キャビティ内に気密に設けられ、且つ操作を受けて前記第一キャビティ内で移動することが可能であり、前記ピストンによって前記第一キャビティが第一領域と第二領域とに仕切られ、前記第二領域は、前記第一領域よりも前記吸引注入管の前記第一ポートに近く、前記第一領域と前記第二領域とは、前記吸引注入管内で互いに連通せず、前記第二領域は、前記第一ポートで前記第二キャビティに連通したプッシュプルロッドアセンブリと、
前記吸引注入管の第二ポートに固接された接続口であって、前記第二ポートは、前記第一ポートと背向し、前記接続口は、第一通路、第二通路及び少なくとも1つの軟栓を含み、前記第一通路は、前記第一キャビティに連通し、前記第二通路は、前記第二キャビティに連通し、前記少なくとも1つの軟栓が前記第一通路及び前記第二通路の一端に気密に固設されることで、前記密閉調薬投薬装置によって密閉環境が構成された接続口とを含み、
前記密閉調薬投薬装置が薬液容器に接続されると、前記少なくとも1つの軟栓が操作を受けて突き破られることで、前記第一通路と前記第二通路とを前記薬液容器を介して互いに連通させることが可能であり、前記プッシュプルロッドアセンブリの前記操作部材が外力によって引っ張られ、且つ前記ロッド体を介して前記ピストンが連れ回されて前記吸引注入管の前記第一ポートへ移動すると、前記第一キャビティの前記第一領域が、前記薬液容器から前記第一通路を介して薬液を前記第一領域内に吸引されるように大きくなるとともに、前記第二領域が小さくなることで、前記第二領域内の空気が前記第二キャビティ及び前記第二通路を介して前記薬液容器内に排出されて、前記密閉調薬投薬装置と前記薬液容器とによって別の密閉環境が構成される、密閉調薬投薬装置。
【請求項2】
前記管壁は、第一管体であり、且つ前記収容空間を有し、前記仕切壁によって第二管体が画設され、前記第二管体が前記第一管体の前記収容空間内に設けられ、前記第二管体によって前記第一キャビティが構成されるのに対して、前記第一管体と前記第二管体との間で前記第二キャビティが構成されている、請求項1に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項3】
前記第一管体は、前記第一ポートを有し、前記封じ蓋が前記第一管体の前記第一ポートに固設及びシールされるものの、前記第二管体にシールされていないことで、前記第一キャビティの前記第二領域が前記第一ポートで前記第二キャビティに連通している、請求項2に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項4】
前記仕切壁は、シート状をなし、且つ前記管壁の内側に固接されて、前記収容空間をそれぞれ独立した前記第一キャビティ及び前記第二キャビティに仕切っている、請求項1に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項5】
前記封じ蓋が前記吸引注入管の前記第一ポートに固設及びシールされるものの、前記仕切壁にシールされていないことで、前記第一キャビティの前記第二領域が前記第一ポートで前記第二キャビティに連通している、請求項4に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項6】
前記封じ蓋は、互いに隣接する第一部分及び第二部分を含み、前記第一部分によって前記第一キャビティが対応して覆われ、前記第一部分は、前記穿孔を含み、前記ロッド体は、前記第一部分に位置する前記穿孔に穿設され、操作を受けて前記第一キャビティ内で移動することが可能であり、前記第二部分によって前記第二キャビティが対応して覆われ、前記第二部分は、開口及び塞ぎ蓋を含み、前記塞ぎ蓋は、操作を受けて前記開口に対応して塞ぎ込まれて前記密閉環境を構成し、又は前記開口から取り外されて前記第二キャビティを外に開放させることが可能である、請求項4に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項7】
前記塞ぎ蓋は、気体を濾過するための濾紙を含む、請求項6に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項8】
前記プッシュプルロッドアセンブリは、前記ロッド体に周設されるとともに前記封じ蓋の前記穿孔に設けられたシール環を含む、請求項1に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項9】
前記接続口は、少なくとも1つの柱状物を含み、前記少なくとも1つの柱状物が前記吸引注入管の前記第二ポートに固接され、前記第一通路及び前記第二通路は、前記少なくとも1つの柱状物内に設けられ、且つ前記少なくとも1つの軟栓は、前記少なくとも1つの柱状物における前記吸引注入管から遠い端に気密に固設されている、請求項1~8の何れか一項に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの柱状物は、前記吸引注入管における前記第二管体の前記第二ポートに固接され、前記少なくとも1つの柱状物における前記第一通路が前記第一キャビティに対応することで、前記第一通路と前記第一キャビティとが連通し、前記接続口は、前記少なくとも1つの柱状物を収容するための少なくとも1つのシース体を含み、且つ前記少なくとも1つの軟栓は、前記少なくとも1つの柱状物と前記少なくとも1つのシース体との間に気密に挟設され、前記少なくとも1つの柱状物は、互いに対向する第一側及び第二側を有し、前記第一通路は、前記第一側に近いのに対して、前記第二通路は、前記第二側に近く、且つ前記少なくとも1つのシース体は、互いに対向する第一溝辺及び第二溝辺を有し、前記少なくとも1つの柱状物の前記第一側は、前記少なくとも1つのシース体の前記第一溝辺に対応して設けられるのに対して、前記少なくとも1つの柱状物の前記第二側は、前記少なくとも1つのシース体の前記第二溝辺に対応して設けられている、請求項9に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの柱状物は、第一柱状物及び第二柱状物を含み、前記第一通路は、前記第一柱状物内に設けられるのに対して、前記第二通路は、前記第二柱状物内に設けられ、且つ前記少なくとも1つの軟栓は、前記第一柱状物及び前記第二柱状物における前記吸引注入管から遠い端に気密に固設されている、請求項9に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの軟栓は、第一軟栓及び第二軟栓を含み、前記第一軟栓は、前記第一柱状物における前記吸引注入管から遠い端に気密に固設され、且つ前記第二軟栓は、前記第二柱状物における前記吸引注入管から遠い端に気密に固設されている、請求項11に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項13】
前記第一柱状物及び前記第二柱状物は、前記吸引注入管における前記第二管体の前記第二ポートに固接され、前記第一柱状物における前記第一通路が前記第一キャビティに対応することで、前記第一通路と前記第一キャビティとが連通し、前記接続口は、前記第一柱状物及び前記第二柱状物を収容するための少なくとも1つのシース体を含み、且つ前記少なくとも1つの軟栓は、前記第一柱状物及び前記第二柱状物と前記少なくとも1つのシース体との間に気密に挟設され、前記少なくとも1つのシース体は、互いに対向する第一溝辺及び第二溝辺を有し、前記第一柱状物は、前記少なくとも1つのシース体の前記第一溝辺に対応して設けられるのに対して、前記第二柱状物は、前記少なくとも1つのシース体の前記第二溝辺に対応して設けられている、請求項11に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つのシース体は、第一シース体及び第二シース体を含み、且つ前記少なくとも1つの軟栓は、前記第一柱状物を収容するための第一軟栓、及び、前記第二柱状物を収容するための第二軟栓を含み、前記第一軟栓は、前記第一柱状物と前記第一シース体との間に気密に挟設され、前記第二軟栓は、前記第二柱状物と前記第二シース体との間に気密に挟設されている、請求項13に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項15】
前記接続口に着脱可能に接続されるコネクタを含み、前記コネクタは、互いに背向する第一端部及び第二端部を含み、前記第一端部は、同じ方向に隣り合って配列された第一針及び第二針を含み、前記コネクタの前記第一端部が前記接続口に接続されると、前記第一針及び前記第二針は、前記少なくとも1つの軟栓を突き破り、且つ前記第一針が前記第一通路内に対応して伸入するのに対して、前記第二針が前記第二通路内に対応して伸入し、前記コネクタの前記第二端部は、前記薬液容器に着脱可能に接続され、且つ前記第二端部が前記第一端部の前記第一針に連通している、請求項1に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項16】
前記第一端部は、中空柱及び弾性部材を含み、前記第一針、前記第二針及び前記弾性部材は、前記中空柱内に設けられ、前記コネクタが前記接続口に接続されていないとき、前記弾性部材によって前記第一針及び前記第二針が被覆される、請求項15に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項17】
前記中空柱の長手方向と、前記第一針及び前記第二針の長手方向とは、平行であり、前記コネクタが前記接続口に接続されると、前記弾性部材は、操作を受けて前記中空柱の長手方向に沿って前記第二端部に近づく方向へ圧縮されることで、前記第一針と前記第二針とを前記弾性部材から突出させ、且つ前記少なくとも1つの軟栓を突き破らせることが可能である、請求項16に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項18】
前記弾性部材は、外弾性体及び内弾性体を含み、前記外弾性体は、前記内弾性体を被覆し、且つ前記中空柱と前記内弾性体との間に位置し、前記コネクタが前記接続口に接続されていないとき、前記内弾性体が前記第一針及び前記第二針に巻き回され、且つ前記外弾性体によって前記第一針及び前記第二針が被覆され、前記コネクタが前記接続口に接続されると、前記外弾性体及び前記内弾性体は、前記接続口による押圧を受けて前記中空柱の長手方向に沿って前記第二端部に近づく方向へ圧縮されることで、前記第一針及び前記第二針を前記外弾性体から突出させ、且つ前記少なくとも1つの軟栓を突き破らせる、請求項16に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項19】
前記コネクタと前記接続口との接続が解除されると、前記第一針及び前記第二針が再び前記外弾性体によって被覆されるようになるまで、前記外弾性体及び前記内弾性体は、自身の弾性力を受けて前記中空柱の長手方向に沿って前記第二端部から遠ざかる方向へ伸展され、且つ前記外弾性体は、前記内弾性体によって補助されて前記接続口に継続的に接触する、請求項18に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項20】
前記接続口は、前記中空柱に対応して周着するためのフェルールを含み、前記フェルールの内側面に凹溝が含まれるのに対して、前記中空柱の外側面に凸リブが含まれ、前記フェルールが前記中空柱に対応して周着されると、前記凹溝と前記凸リブとが互いに対応して協働することで、前記第一針が前記第二通路内に伸入できず、且つ前記第二針が前記第一通路内に伸入できない、請求項16に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項21】
前記第二端部は、前記薬液容器に着脱可能に接続される突き刺しヘッドを含み、前記突き刺しヘッドは、互いに隔離された第一流路及び第二流路を含み、前記第一流路は、前記第一針に連通するのに対して、前記第二流路は、前記第二針に連通している、請求項15に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項22】
前記突き刺しヘッドの前記第一流路の開口は、前記第二流路の開口よりも大きい、請求項21に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項23】
前記第二端部は、輸液ヘッド及び固定リングを含み、前記輸液ヘッドは、第三流路を含み、前記第三流路は、前記第一針に連通し、前記固定リングは、前記薬液容器の外ネジに離脱可能に螺合するための内ネジを含み、前記コネクタは、前記第二端部と前記第二針との間に設けられて前記第三流路と前記第二針とを隔離させる逆止パッキンを含む、請求項15に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項24】
前記接続口は、前記第一通路、前記第二通路、弾性体、漏れ防止リング及び前記軟栓を含み、前記第一通路は、前記第一キャビティに連通し、前記第二通路は、前記第二キャビティに連通し、前記漏れ防止リングは、前記第一通路及び前記第二通路の一端に気密に固設されている、請求項1に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項25】
前記接続口に着脱可能に接続されるコネクタを含み、前記コネクタは、互いに背向する第一端部及び第二端部を含み、前記第一端部は、同じ方向に隣り合って配列された第一針及び第二針を含み、前記軟栓の数量は、2つであり、前記コネクタの前記第一端部が前記接続口に接続されると、前記第一針の頂部凹面が前記2つの軟栓の一方に押し当てられ、前記第二針の頂部凹面が前記2つの軟栓の他方に押し当てられ、且つ前記第一針が前記第一通路に対応して連通するのに対して、前記第二針が前記第二通路に対応して連通し、前記コネクタの前記第二端部は、前記薬液容器に着脱可能に接続され、且つ前記第二端部が前記第一端部の前記第一針に連通している、請求項24に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項26】
前記コネクタの前記第一端部が前記接続口に接続されると、前記第一針の頂部凹面が前記2つの軟栓の一方に押し当てられ、前記第二針の頂部凹面が前記2つの軟栓の他方に押し当てられ、且つ前記2つの軟栓が前記弾性体を押し当てることで、前記弾性体が前記吸引注入管の前記第二ポートへ圧縮される、請求項25に記載の密閉調薬投薬装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調薬投薬装置に関し、特に、密閉環境を構成可能な密閉調薬投薬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の調薬投薬装置は、通常、針付きのシリンジであり、針を薬液容器内に穿刺又は伸入して薬液をシリンジに吸い取った後、患者に注射する。続いて、医療従事者は、針付きのシリンジに針キャップを被せてから針をシリンジから取り外し、分別して処分する。しかしながら、実際の操作では、注射を必要とする症例が多すぎることや、操作スキルが未熟であることに起因して、医療従事者が針に刺されて負傷することが多いため、医療従事者の感染リスクが高まる。
【0003】
吸い取される薬液が揮発性のものである場合、上記のような薬液をシリンジに吸い取る手法では、調薬時の不適切な操作時間により、調合された薬液の濃度が不正確となり、ひいては、患者に多大な危害を与えてしまう恐れがある。それに、揮発性の薬液が吸入性の危害をもたらすものであれば、医療従事者が薬液調合時に揮発性の薬液を吸入し過ぎることで、医療従事者の健康を潜在的に脅かす可能性がある。
【0004】
一方で、一部の薬液は、使用前に適時に調合しないと、その具体的な効用を発揮することができず、このような薬液の多くは、第一液体と第二液体とを所定の割合で混合させたものである。上記手法によれば、針を第一液体入りの容器内に穿刺又は伸入して第一液体をシリンジに吸い取った後、同じ針を第二液体入りの容器内に穿刺又は伸入して第二液体をシリンジに吸い取って、第一液体と第二液体とをシリンジ内で混合させてから、患者に注射することになる。このように、針に残った第一液体によって第二液体入りの容器が汚染されることで、第二液体入りの容器内の薬剤成分にバラツキが生じ、継続して使用できず、薬剤の無駄を招いてしまう可能性がある。
【0005】
以上のことから、従来の調薬投薬装置に存在する多くの問題を改善するための新規の調薬投薬装置が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに鑑みて、本発明の目的は、外に曝露される針を持たない密閉調薬投薬装置を提供し、それにより、医療従事者が針に刺されて負傷してしまう問題を回避し、更に、医療処置中の器材による感染リスクを低減することができる。また、本発明が提供する密閉調薬投薬装置は、薬液容器との間で密封環境を形成可能であるため、揮発性の薬液の吸い取りで発生する濃度のバラツキを回避することができるとともに、医療従事者が揮発性の薬液を吸入することによる健康への潜在的な脅威を回避することもできる。さらに、本発明が提供する密閉調薬投薬装置は、同じ針を用いて異なる薬液を吸い取る機会を回避し、更に、異なる薬液間の相互汚染による薬剤の無駄を回避することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明が提供する密閉調薬投薬装置は、吸引注入管、プッシュプルロッドアセンブリ及び接続口を含み、前記吸引注入管は、管壁及び仕切壁を含み、前記管壁によって収容空間が画設され、前記仕切壁が前記収容空間内に設けられ、且つそれぞれ独立した第一キャビティ及び第二キャビティが形成されており、前記プッシュプルロッドアセンブリは、封じ蓋、ロッド体、操作部材及びピストンを含み、前記封じ蓋が前記吸引注入管の第一ポートに固設及びシールされ、前記ロッド体が前記封じ蓋の穿孔に穿設され、前記ロッド体は、一端が前記操作部材に接続され、他端が前記ピストンに接続され、前記ピストンは、前記第一キャビティ内に気密に設けられ、且つ操作を受けて前記第一キャビティ内で移動することが可能であり、前記ピストンによって前記第一キャビティが第一領域と第二領域とに仕切られ、前記第二領域は、前記第一領域よりも前記吸引注入管の前記第一ポートに近く、前記第一領域と前記第二領域とは、前記吸引注入管内で互いに連通せず、前記第二領域は、前記第一ポートで前記第二キャビティに連通しており、前記接続口は、前記吸引注入管の第二ポートに固接され、前記第二ポートは、前記第一ポートと背向し、前記接続口は、第一通路、第二通路及び少なくとも1つの軟栓を含み、前記第一通路は、前記第一キャビティに連通し、前記第二通路は、前記第二キャビティに連通し、前記少なくとも1つの軟栓が前記第一通路及び前記第二通路の一端に気密に固設されることで、前記密閉調薬投薬装置によって密閉環境が構成されており、前記密閉調薬投薬装置が薬液容器に接続されると、前記少なくとも1つの軟栓が操作を受けて突き破られることで、前記第一通路と前記第二通路とを前記薬液容器を介して互いに連通させることが可能であり、前記プッシュプルロッドアセンブリの前記操作部材が外力によって引っ張られ、且つ前記ロッド体を介して前記ピストンが連れ回されて前記吸引注入管の前記第一ポートへ移動すると、前記第一キャビティの前記第一領域が、前記薬液容器から前記第一通路を介して薬液を前記第一領域内に吸引されるように大きくなるとともに、前記第二領域が小さくなることで、前記第二領域内の空気が前記第二キャビティ及び前記第二通路を介して前記薬液容器内に排出されて、前記密閉調薬投薬装置と前記薬液容器とによって別の密閉環境が構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、本発明が提供する密閉調薬投薬装置は、外に曝露される針を持たないため、医療従事者が針に刺されて負傷してしまう問題を回避し、更に、医療処置中の器材による感染リスクを低減することができる。また、本発明が提供する密閉調薬投薬装置は、薬液容器との間で密封環境を形成可能であるため、揮発性の薬液の吸い取りで発生する濃度のバラツキを回避することができるとともに、医療従事者が揮発性の薬液を吸入することによる健康への潜在的な脅威を回避することもできる。さらに、本発明が提供する密閉調薬投薬装置は、同じ針を用いて異なる薬液を吸い取る機会を回避し、更に、異なる薬液間の相互汚染による薬剤の無駄を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施例に係る密閉調薬投薬装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の第一実施例に係る密閉調薬投薬装置の分解図である。
【
図3】
図3は、本発明の第一実施例に係る密閉調薬投薬装置の平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第二実施例における接続口の拡大図である。
【
図7】
図7は、
図5の接続口とコネクタとが接続された拡大図である。
【
図11】
図11は、本発明の第三実施例に係る密閉調薬投薬装置の斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の第三実施例に係る密閉調薬投薬装置の分解図である。
【
図14】
図14は、本発明の第三実施例に係る密閉調薬投薬装置の平面図である。
【
図17-2】
図17-2は、操作部材及び封じ蓋の別の実施形態の拡大図である。
【
図18】
図18は、本発明の第四実施例におけるコネクタの斜視図である。
【
図19】
図19は、本発明の第四実施例におけるコネクタの平面図である。
【
図22】
図22は、本発明の第四実施例における第一端部の2つの針と第二端部との組み合わせ折れ線図である。
【
図23】
図23は、本発明の第五実施例におけるコネクタの斜視図である。
【
図24】
図24は、本発明の第五実施例におけるコネクタの分解図である。
【
図25】
図25は、本発明の第五実施例におけるコネクタの平面図である。
【
図27】
図27は、本発明の第五実施例における第一端部の2つの針と第二端部との第一視角の分解図である。
【
図28】
図28は、本発明の第五実施例における第一端部の2つの針と第二端部との第二視角の分解図である。
【
図29】
図29は、本発明の第六実施例に係る密閉調薬投薬装置の斜視図である。
【
図30】
図30は、本発明の第六実施例に係る密閉調薬投薬装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明をより明確に説明できるように、好ましい実施例を掲げ、図面を参照して以下に詳しく説明する。
図1~
図10に示すように、本発明の第一実施例に係る密閉調薬投薬装置10は、吸引注入管12、プッシュプルロッドアセンブリ14及び接続口16を含む。
【0011】
吸引注入管12は、管壁及び仕切壁を含み、管壁によって収容空間が画設され、仕切壁が収容空間内に設けられ、且つそれぞれ独立した第一キャビティ及び第二キャビティが形成されている。本発明の第一実施例において、
図4に示すように、管壁は、第一管体12bであり、且つ前記収容空間を有し、仕切壁によって第二管体12aが画設され、第二管体12aが第一管体12bの収容空間内に設けられ、第二管体12aによって第一キャビティが構成されるのに対して、第一管体12bと第二管体12aとの間で第二キャビティ162が構成されている。
【0012】
プッシュプルロッドアセンブリ14は、ロッド体142、ピストン144、操作部材146及び封じ蓋148を含む。封じ蓋148は、吸引注入管12の第一ポートに固設及びシールされている。本発明の第一実施例において、封じ蓋148の接続部1481と第一管体12bの接続部12b1とが互いに緊密に接続され、その接続方式には、接着又は高周波溶接が含まれる。ロッド体142が封じ蓋148の穿孔に穿設され、ロッド体142は、一端が操作部材146に接続され、他端がピストン144に接続されている。本発明の第一実施例において、
図8に示すように、プッシュプルロッドアセンブリ14は、ロッド体142に周設されるとともに封じ蓋148の穿孔に設けられたシール環147を含む。ピストン144は、第一キャビティ内に気密に設けられ、且つ操作を受けて第一キャビティ内で移動可能である。ピストン144によって第一キャビティが第一領域と第二領域とに仕切られ、第二領域は、第一領域よりも吸引注入管12の第一ポートに近い。第一領域と第二領域とは、吸引注入管12内で互いに連通せず、第二領域は、第一ポートで第二キャビティに連通している。本発明の第一実施例において、第一管体12bは、第一ポートを有し、前記封じ蓋が前記第一管体12bの前記第一ポートに固設及びシールされるものの、前記第二管体12aにシールされていないことで、前記第一キャビティの前記第二領域が前記第一ポートで前記第二キャビティ162に連通している。
【0013】
接続口16、16’は、吸引注入管12、12’の第二ポートに固接され、第二ポートは、第一ポートと背向している。接続口16、16’は、第一通路122、第二通路124及び少なくとも1つの軟栓166を含む。第一通路122は、第一キャビティに連通し、第二通路124は、第二キャビティ162に連通している。軟栓166が第一通路122及び第二通路124の一端に気密に固設されることで、密閉調薬投薬装置10によって密閉環境が構成されている。
【0014】
密閉調薬投薬装置10が薬液容器(不図示)に接続されると、軟栓166が操作を受けて突き破られることで、第一通路122と第二通路124とを薬液容器を介して互いに連通させることが可能である。プッシュプルロッドアセンブリ14の操作部材146が外力によって引っ張られ、且つロッド体142を介してピストン144が連れ回されて吸引注入管12の第一ポートへ移動すると、第一キャビティの第一領域が、薬液容器から第一通路122を介して薬液を第一領域内に吸引されるように大きくなるとともに、第二領域が小さくなることで、第二領域内の空気が第二キャビティ162及び第二通路124を介して薬液容器内に排出されて、密閉調薬投薬装置10と薬液容器とによって別の密閉環境が構成される。
【0015】
本発明の第一実施例において、接続口16は、少なくとも1つの柱状物121を含み、柱状物121が吸引注入管12の第二ポートに固接されている。
図5に示すように、第一通路122及び第二通路124は、柱状物121内に設けられ、且つ軟栓166は、柱状物121における吸引注入管12から遠い端に気密に固設されている。
図5において、軟栓166は、針孔166a、166bを有し、針孔166aが第一通路122に対応して連通するのに対して、針孔166bが第二通路124に対応して連通している。
【0016】
柱状物121は、吸引注入管12における第二管体12aの第二ポートに固接され、柱状物12における第一通路122が第一キャビティに対応することで、第一通路122と第一キャビティとが連通している。接続口16は、柱状物121を収容するための少なくとも1つのシース体161を含み、且つ軟栓166は、柱状物121とシース体161との間に気密に挟設されている。
【0017】
本発明の第一実施例において、柱状物121は、互いに対向する第一側及び第二側を有し、第一通路122は、その第一側に近いのに対して、第二通路124は、その第二側に近い。シース体161は、互いに対向する第一溝辺及び第二溝辺を有し、柱状物121の第一側は、シース体161の第一溝辺に対応して設けられるのに対して、柱状物121の第二側は、シース体161の第二溝辺に対応して設けられている。第一側の外径が第二側の外径と異なり、且つ第一溝辺の内径が第二溝辺の内径と異なるため、柱状物121の第一側は、シース体161の第二溝辺に設けられることができず、且つ柱状物121の第二側は、シース体161の第一溝辺に設けられることができない。
【0018】
図6を参照して、柱状物は、第一柱状物121a及び第二柱状物121bを含み、第一通路122は、第一柱状物121a内に設けられるのに対して、第二通路124は、第二柱状物121b内に設けられており、且つ軟栓166’は、第一柱状物121a及び第二柱状物121bにおける吸引注入管12’から遠い端に気密に固設されている。本発明の第二実施例において、軟栓166’は、第一軟栓及び第二軟栓を含み、第一軟栓は、第一柱状物121aにおける吸引注入管12’から遠い端に気密に固設され、且つ第二軟栓は、第二柱状物121bにおける吸引注入管12’から遠い端に気密に固設されている。第一柱状物121a及び第二柱状物121bは、吸引注入管12’における第二管体12aの第二ポートに固接され、第一柱状物121aにおける第一通路122が第一キャビティに対応することで、第一通路122と第一キャビティとが連通している。接続口16’は、第一柱状物121a及び第二柱状物121bを収容するための少なくとも1つのシース体161を含み、且つ軟栓166’は、第一柱状物121a及び第二柱状物121bとシース体161の間に気密に挟設されている。シース体161は、互いに対向する第一溝辺及び第二溝辺を有し、第一柱状物121aは、シース体161の第一溝辺に対応して設けられるのに対して、第二柱状物121bは、シース体161の第二溝辺に対応して設けられている。さらに言えば、第一柱状物121aの外径が第二柱状物121bの外径と異なり、且つ第一溝辺の内径が第二溝辺の内径と異なるため、第一柱状物121aは、シース体161の第二溝辺に設けられることができず、且つ第二柱状物121bは、シース体161の第一溝辺に設けられることができない。
【0019】
本発明の第二実施例において、
図6に示すように、シース体は、第一シース体161a及び第二シース体161bを含み、且つ軟栓166’は、第一軟栓及び第二軟栓を含み、第一シース体161aは、第一柱状物121aを収容するためのものであるのに対して、第二シース体161bは、第二柱状物121bを収容するためのものであり、第一軟栓は、第一柱状物121aと第一シース体161aとの間に気密に挟設され、第二軟栓は、第二柱状物121bと第二シース体161bとの間に気密に挟設されている。第一柱状物121aの外径が第二柱状物121bの外径と異なり、且つ第一シース体161aの内径が第二シース体161bの内径と異なるため、第一柱状物121aは、第二シース体161b内に設けられることができず、且つ第二柱状物121bは、第一シース体161a内に設けられることができない。
【0020】
図11~
図17に示すように、本発明の第三実施例に係る密閉調薬投薬装置30は、吸引注入管32、プッシュプルロッドアセンブリ34及び接続口36を含む。
【0021】
図15において、吸引注入管32は、管壁及び仕切壁を含み、管壁によって収容空間が画設され、仕切壁は、収容空間内に設けられている。仕切壁は、シート状をなし、且つ管壁の内側に固接されて、収容空間をそれぞれ独立した第一キャビティ32a及び第二キャビティ32bに仕切っている。
【0022】
プッシュプルロッドアセンブリ34は、ロッド体342、ピストン344、操作部材346及び封じ蓋を含む。封じ蓋は、吸引注入管32の第一ポートに固設及びシールされ、そのシール方式には、接着又は高周波溶接が含まれる。本発明の第三実施例において、封じ蓋は、互いに隣接する第一部分348a及び第二部分348bを含み、第一部分348aによって第一キャビティ32aが対応して覆われ、第一部分348aは、穿孔を含み、ロッド体342は、第一部分348aに位置する穿孔に穿設され、操作を受けて第一キャビティ32a内で移動することが可能である。本発明の第三実施例において、
図17-1に示すように、プッシュプルロッドアセンブリ34は、ロッド体342に周設されるとともに封じ蓋の第一部分348aの穿孔に設けられたシール環349を含む。本発明の第三実施例において、封じ蓋の第一部分348aの接続部348a1と第一管体32aの接続部32a1とが互いに緊密に接続されるのに対して、封じ蓋の第二部分348bの接続部348b1と第二管体32bの接続部32b1とが互いに緊密に接続され、その接続方式には、接着又は高周波溶接が含まれる。
【0023】
第二部分348bによって第二キャビティ32bが対応して覆われ、第二部分348bは、開口及び塞ぎ蓋347を含み、塞ぎ蓋347は、操作を受けて開口に対応して塞ぎ込まれて密閉環境を構成し、又は開口から取り外されて第二キャビティ32bを外に開放させることが可能である。
【0024】
図17-2と
図17-1とは、類似するものであるが、
図17-2の塞ぎ蓋347’が通気弁であり、且つ塞ぎ蓋347’が、開閉可能な蓋と、塞ぎ蓋347’の中に設けられた濾紙347aとを有する点で相違している。
【0025】
ピストン344は、第一キャビティ32a内に気密に設けられ、且つ操作を受けて第一キャビティ32a内で移動することが可能である。ピストン344によって第一キャビティ32aが第一領域と第二領域とに仕切られ、第二領域は、第一領域よりも吸引注入管32の第一ポートに近い。第一領域と第二領域とは、吸引注入管32内で互いに連通せず、第二領域は、第一ポートで第二キャビティに連通している。本発明の第三実施例において、第一キャビティ32a及び第二キャビティ32bは、第一ポートを有し、封じ蓋が第一キャビティ32a第二キャビティ32bの第一ポートで管壁に固設及びシールされるものの、仕切壁にシールされていないことで、前記第一キャビティ32aの第二領域が第一ポートで第二キャビティ32bに連通している。
【0026】
接続口36は、吸引注入管32の第二ポートに固接され、第二ポートは、第一ポートと背向している。接続口36は、第一通路322、第二通路324及び少なくとも1つの軟栓366を含む。第一通路322は、第一キャビティ32aに連通し、第二通路324は、第二キャビティ32bに連通している。軟栓366が第一通路322及び第二通路324の一端に気密に固設されることで、密閉調薬投薬装置30によって密閉環境が構成されている。
【0027】
密閉調薬投薬装置30が薬液容器(不図示)に接続されると、軟栓366が操作を受けて突き破られることで、第一通路322と第二通路324とを薬液容器を介して互いに連通させることが可能である。プッシュプルロッドアセンブリ34の操作部材346が外力によって引っ張られ、且つロッド体342を介してピストン344が連れ回されて吸引注入管32の第一ポートへ移動すると、第一キャビティ32aの第一領域が、薬液容器から第一通路322を介して薬液を第一領域内に吸引されるように大きくなるとともに、第二領域が小さくなることで、第二領域内の空気が第二キャビティ32b及び第二通路344を介して薬液容器内に排出されて、密閉調薬投薬装置30と薬液容器とによって別の密閉環境が構成される。
【0028】
接続口36は、少なくとも1つの柱状物を含み、柱状物は、吸引注入管32の第二ポートに固接されている。第一通路322及び第二通路324は、柱状物内に設けられ、且つ軟栓366は、柱状物における吸引注入管32から遠い端に気密に固設されている。本発明の第三実施例において、柱状物は、第一柱状物362a及び第二柱状物362bを含み、第一通路322は、第一柱状物362a内に設けられるのに対して、第二通路324は、第二柱状物362b内に設けられ、且つ軟栓366は、第一柱状物362a及び第二柱状物362bにおける吸引注入管32から遠い端に気密に固設されている。本発明の第三実施例において、軟栓366は、第一軟栓及び第二軟栓を含み、第一軟栓は、第一柱状物362aにおける吸引注入管32から遠い端に気密に固設され、且つ第二軟栓は、第二柱状物362bにおける吸引注入管32から遠い端に気密に固設されている。第一柱状物362a及び第二柱状物362bは、吸引注入管32の第二ポートに固接され、第一柱状物362aにおける第一通路322が第一キャビティ32aに対応することで、第一通路322と第一キャビティ32aとが連通し、第二柱状物362bにおける第二通路324が第二キャビティ32bに対応することで、第二通路324と第二キャビティ32bとが連通している。
図15において、軟栓366は、針孔366a、366bを有し、針孔366aが第一通路322に対応して連通するのに対して、針孔366bが第二通路324に対応して連通している。接続口36は、フェルール363を含み、フェルール363と第一柱状物362a及び第二柱状物362bとの間に収納溝364が含まれている。
【0029】
図7、
図10、
図18~
図22に示すように、本発明の第四実施例におけるコネクタ20は、接続口16に着脱可能に接続される。コネクタ20は、互いに背向する第一端部22及び第二端部24を含み、第一端部22は、同じ方向に隣り合って配列された第一針21a及び第二針21bを含む。
図7に示すように、コネクタ20の第一端部22が接続口16に接続されると、第一針21a及び第二針21bは、軟栓166を突き破り、且つ第一針21aが第一通路122内に対応して伸入するのに対して、第二針21bが第二通路124内に対応して伸入する。コネクタ20の第二端部24は、薬液容器に着脱可能に接続され、且つ第二端部24が第一端部22の第一針21aに連通している。
【0030】
図20において、第一端部22は、中空柱22及び弾性部材を含み、第一針21a、第二針21b及び弾性部材は、中空柱22内に設けられている。コネクタ20が接続口16に接続されていないとき、弾性部材によって第一針21a及び第二針21bが被覆されることで、第一針21a及び第二針21bは、外に露出されない。本発明の第四実施例において、中空柱22の長手方向と、第一針21a及び第二針21bの長手方向とは、平行であり、コネクタ20が接続口16に接続されると、弾性部材は、操作を受けて中空柱22の長手方向に沿って第二端部24に近づく方向へ圧縮されることで、第一針21a及び第二針21bを弾性部材から突出させ、且つ軟栓166を突き破らせることが可能である。
【0031】
本発明の第四実施例において、弾性部材23は、外弾性体23a及び内弾性体23bを含み、外弾性体23aは、内弾性体23bを被覆し、且つ中空柱22と内弾性体23bとの間に位置している。
図18において、弾性部材23は、針孔232、234を有し、針孔232は、第一針21aに対応するのに対して、針孔234は、第二針21bに対応している。コネクタ20が接続口16に接続されていないとき、内弾性体23bが第一針21a及び第二針21bに巻き回され、且つ外弾性体23aによって第一針21a及び第二針21bが被覆される。コネクタ20が接続口16に接続されると、外弾性体23a及び内弾性体23bは、接続口16による押圧を受けて中空柱22の長手方向に沿って第二端部24に近づく方向へ圧縮されることで、第一針21a及び第二針21bを外弾性体23aから突出させ、且つ軟栓166を突き破らせることが可能である。
【0032】
特筆すべきなのは、コネクタ20と接続口16との接続が解除されると、第一針21a及び第二針21bが再び外弾性体23aによって被覆されるようになるまで、外弾性体23a及び内弾性体23bは、自身の弾性力を受けて中空柱22の長手方向に沿って第二端部24から遠ざかる方向へ伸展され、且つ外弾性体23aは、内弾性体23bによって補助されて接続口16に継続的に接触することで、第一針21a及び第二針21bが外に露出されず、第一針21a及び第二針21bとの接触による使用者の負傷がないことを確保される。
【0033】
接続口16は、フェルール163を含み、フェルール163とシース体161との間に収納溝164が含まれている。フェルール163は、中空柱22に対応して周着するためのものであり、フェルール163の内側面に凹溝16aが含まれるのに対して、中空柱22の外側面に凸リブ22aが含まれている。
図1及び
図7に示すように、フェルール163が中空柱22に対応して周着されると、凹溝16aと凸リブ22aとが互いに対応して協働することで、第一針21aが第一通路122内にしか伸入できず、且つ第二針21bが第二通路124内にしか伸入できないようになり、第一針21aが第二通路124内に伸入できず、且つ第二針21bが第一通路122内に伸入できない。
【0034】
フェルール163の外側面に少なくとも1つの掛止部材167a、167bが含まれるのに対して、中空柱22の外側面に少なくとも1つの被掛止部材221a、221bが含まれている。
図10に示すように、フェルール163が中空柱22に対応して周着されると、掛止部材167a、167bの掛着端167a1、167b1と被掛止部材221a、221bとが互いに対応して掛合することで、コネクタ20が接続口16に安定して接続される。
【0035】
第二端部24は、薬液容器に着脱可能に接続される突き刺しヘッド26を含む。
図20に示すように、突き刺しヘッド26は、互いに隔離された第一流路262及び第二流路264を含み、第一流路262は、第一針21aに連通するのに対して、第二流路264は、第二針21bに連通している。本発明の第四実施例において、突き刺しヘッド26の第一流路262の開口は、突き刺しヘッド26の先端261から突き刺しヘッド26の根元部まで延在する。本発明の第四実施例において、突き刺しヘッド26の第一流路262の開口は、第二流路264の開口よりも大きい。
【0036】
コネクタ20は、第二流路264と第二針21bとの間に設けられて気体と液体(薬液)とを隔てて、第二流路264から第二針21bへの薬液の流入を防止し、
図4の吸引注入管12における気体流通用の第二キャビティ162内への薬液の進入を回避するための濾紙28を含み、また、濾紙28は、密閉調薬投薬装置10内の空気の不純物を濾過除去するために使用されることも可能である。
【0037】
本発明の第四実施例において、第二端部24は、薬液容器に着脱可能に固定される固定リングを含む。固定リングは、互いに間隔244を空けて環状に配列された複数の弾性片を含み、弾性片は、異なる外径の薬液容器を収容するためのものであり、且つ各弾性片は、薬液容器の外面に着脱可能に係合するためのフランジ242を含む。
【0038】
図22において、第一針21aの底部21a2は、突き刺しヘッド26のコンタクトホール263aに対応にして接続されるのにたいして、第二針21bの底部に複数の短塀21b2と、流通経路21b3とが含まれ、短塀21b2及び流通経路21b3は、薬液の流速が速すぎて濾紙28を刺し通してしまうことを防止されるように、突き刺しヘッド26の凹部263における複数の短塀263bに対応して接続されている。
【0039】
図23~
図28に示すように、本発明の第五実施例におけるコネクタ40は、接続口16に着脱可能に接続される。コネクタ40は、互いに背向する第一端部42及び第二端部44を含み、第一端部42は、同じ方向に隣り合って配列された第一針41a及び第二針41bを含む。コネクタ40の第一端部42が接続口16に接続されると、第一針41a及び第二針41bは、軟栓166を突き破り、且つ第一針41aは、第一通路122内に対応して伸入するのに対して、第二針41bは、第二通路124内に対応して伸入する。コネクタ40の第二端部44は、薬液容器に着脱可能に接続され、且つ第二端部44は、第一端部42の第一針41aに連通している。
【0040】
図24において、第一端部42は、中空柱42及び弾性部材43を含み、第一針41a、第二針41b及び弾性部材43は、中空柱42内に設けられている。
図23において、弾性部材43は、弾性部材43a、43bを含み、弾性部材43aは、針孔432を有し、弾性部材43bは、針孔434を有し、針孔432は、第一針41aに対応するのに対して、針孔434は、第二針41bに対応している。
図24において、中空柱42は、2つの穿孔422を含み、2つの穿孔422の一方は、弾性部材43aに対応するのに対して、2つの穿孔422の他方は、弾性部材43bに対応している。コネクタ40が接続口16に接続されていないとき、弾性部材43によって第一針41a及び第二針41bが被覆されることで、第一針41a及び第二針41bは、外に露出されない。本発明の第五実施例において、中空柱42の長手方向と、第一針41a及び第二針41bの長手方向とは、平行であり、コネクタ40が接続口16に接続されると、弾性部材は、操作を受けて中空柱42の長手方向に沿って第二端部44に近づく方向へ圧縮されることで、第一針41a及び第二針41bを弾性部材43から突出させ、且つ軟栓166を突き破らせることが可能である。
【0041】
接続口16は、フェルール163を含み、フェルール163とシース体161との間に収納溝164が含まれている。フェルール163は、中空柱42に対応して周着するためのものであり、フェルール163の内側面に凹溝16aが含まれるのに対して、中空柱42の外側面に凸リブ42aが含まれている。フェルール163が中空柱42に対応して周着されると、凹溝16aと凸リブ42aとが互いに対応して協働することで、第一針41aが第一通路122内にしか伸入できず、且つ第二針41bが第二通路124内にしか伸入できないようになり、第一針41aが第二通路124内に伸入できず、且つ第二針41bが第一通路122内に伸入できない。
【0042】
フェルール163の外側面に少なくとも1つの掛止部材167a、167bが含まれるのに対して、中空柱42の外側面に少なくとも1つの被掛止部材421a、421bが含まれている。フェルール163が中空柱42に対応して周着されると、掛止部材167a、167bと被掛止部材421a、421bとが互いに対応して掛合することで、コネクタ40が接続口16に安定して接続される。
【0043】
本発明の第五実施例において、第二端部44は、輸液ヘッド453及び固定リングを含み、輸液ヘッド453は、第三流路444a、452を含み、第三流路444aは、第一針41aに連通し、
図27に示すように、第一針41aの底部41a1と第三流路444a、452とが連通しており、固定リングは、薬液容器の外ネジ(不図示)に離脱可能に螺合するための内ネジ442を含む。コネクタ40は、第二端部44と第二針41bとの間に設けられた逆止パッキン48を含み、更に言えば、逆止パッキン48は、凹溝454と第二針41bの底部41b1との間に対応して固設されて、第三流路444aと第二針41bとを隔離させることで、気体と液体(薬液)とを隔てるとともに、
図4の吸引注入管12における気体流通用の第二キャビティ162内への薬液の流入を防止している。
【0044】
図29~
図33に示すように、本発明の第六実施例に係る密閉調薬投薬装置50は、吸引注入管52、プッシュプルロッドアセンブリ54及び接続口56を含む。
【0045】
吸引注入管52は、管壁及び仕切壁を含み、管壁によって収容空間が画設され、仕切壁が収容空間内に設けられ、且つそれぞれ独立した第一キャビティ及び第二キャビティが形成されている。本発明の第六実施例において、
図31に示すように、管壁は、第一管体52bであり、且つ前記収容空間を有し、仕切壁によって第二管体52aが画設され、第二管体52aが第一管体52bの収容空間内に設けられ、第二管体52aによって第一キャビティが構成されるのに対して、第一管体52bと第二管体52aとの間で第二キャビティ562が構成されている。
【0046】
プッシュプルロッドアセンブリ54は、ロッド体542、ピストン544、操作部材546及び封じ蓋548を含む。封じ蓋548は、吸引注入管52の第一ポートに固設及びシールされている。本発明の第六実施例において、封じ蓋548の接続部と第一管体52bの接続部とが互いに緊密に接続され、その接続方式には、接着又は高周波溶接が含まれる。ロッド体542が封じ蓋548の穿孔に穿設され、ロッド体542は、一端が操作部材546に接続され、他端がピストン544に接続されている。本発明の第六実施例において、
図31に示すように、プッシュプルロッドアセンブリ54は、ロッド体542に周設されるとともに封じ蓋548の穿孔に設けられたシール環547を含む。ピストン544は、第一キャビティ内に気密に設けられ、且つ操作を受けて第一キャビティ内で移動可能である。ピストン544によって第一キャビティが第一領域と第二領域とに仕切られ、第二領域は、第一領域よりも吸引注入管52の第一ポートに近い。第一領域と第二領域とは、吸引注入管52内で互いに連通せず、第二領域は、第一ポートで第二キャビティに連通している。本発明の第六実施例において、第一管体52bは、第一ポートを有し、前記封じ蓋548が前記第一管体52bの前記第一ポートに固設及びシールされるものの、前記第二管体52aにシールされていないことで、前記第一キャビティの前記第二領域が前記第一ポートで前記第二キャビティ562に連通している。
【0047】
接続口56は、吸引注入管52の第二ポートに固接され、第二ポートは、第一ポートと背向している。接続口56は、第一通路522、第二通路524、弾性体565、漏れ防止リング566及び軟栓568a、568bを含む。第一通路522は、第一キャビティに連通し、第二通路524は、第二キャビティ562に連通している。漏れ防止リング566が第一通路522及び第二通路524の一端に気密に固設されることで、密閉調薬投薬装置50によって密閉環境が構成されている。
【0048】
本発明の第六実施例におけるコネクタ60は、接続口56に着脱可能に接続される。コネクタ60は、互いに背向する第一端部62及び第二端部64を含み、第一端部62は、同じ方向に隣り合って配列された第一針61a及び第二針61bを含む。
図33に示すように、コネクタ60の第一端部62が接続口56に接続されると、第一針61aの頂部凹面61a1が軟栓568aに押し当てられ、第二針61bの頂部凹面61b1が軟栓568bに押し当てられ、且つ第一針61aが第一通路522に対応して連通するのに対して、第二針61bが第二通路524に対応して連通する。コネクタ60の第二端部64は、薬液容器に着脱可能に接続され、且つ第二端部64は、第一端部62の第一針61aに連通している。本発明の第六実施例において、コネクタ60の第一端部62が接続口56に接続されると、第一針61aの頂部凹面61a1が軟栓568aに押し当てられ、第二針61bの頂部凹面61b1が軟栓568bに押し当てられ、且つ軟栓568a、568bが弾性体565を押し当てることで、弾性体565が吸引注入管52の第二ポートへ圧縮される。
【0049】
図32において、第一端部62は、中空柱62及び弾性部材63を含み、第一針61a、第二針61b及び弾性部材63は、中空柱62内に設けられている。コネクタ60が接続口56に接続されていないとき、弾性部材63によって第一針61a及び第二針61bがほぼ被覆されることで、第一針61a及び第二針61bに残された薬液及び/又は気体の外への漏洩が防止される。本発明の第六実施例において、
図33に示すように、中空柱62の長手方向と、第一針61a及び第二針61bの長手方向とは、平行であり、コネクタ60が接続口56に接続されると、弾性部材63は、操作を受けて中空柱62の長手方向に沿って第二端部64に近づく方向へ圧縮されることで、第一針61a及び第二針61bを弾性部材63から突出させ、且つそれぞれ軟栓568a、568bに押し当てさせることが可能である。
【0050】
この際、コネクタ60の第二端部64が薬液容器に着脱可能に接続されることで、第一通路522及び第二通路524とを薬液容器を介して互いに連通させることが可能である。プッシュプルロッドアセンブリ54の操作部材546が外力によって引っ張られ、且つロッド体542を介してピストン544が連れ回されて吸引注入管52の第一ポートへ移動すると、第一キャビティの第一領域が、薬液容器から第一通路522を介して薬液を第一領域内に吸引されるように大きくなるとともに、第二領域が小さくなることで、第二領域内の空気が第二キャビティ562及び第二通路524を介して薬液容器内に排出されて、密閉調薬投薬装置50と薬液容器とによって別の密閉環境が構成される。
【0051】
本発明が提供する密閉調薬投薬装置は、外に曝露される針を持たないため、医療従事者が針に刺されて負傷してしまう問題を回避し、更に、医療処置中の器材による感染リスクを低減することができる。また、本発明が提供する密閉調薬投薬装置は、薬液容器との間で密封環境を形成可能であるため、揮発性の薬液の吸い取りで発生する濃度のバラツキを回避することができるとともに、医療従事者が揮発性の薬液を吸入することによる健康への潜在的な脅威を回避することもできる。さらに、本発明が提供する密閉調薬投薬装置は、同じ針を用いて異なる薬液を吸い取る機会を回避し、更に、異なる薬液間の相互汚染による薬剤の無駄を回避することができる。
【0052】
上述したのは、本発明の好ましい可能な実施例に過ぎず、本発明の明細書及び特許請求の範囲を利用してなされた同等バリエーションは、何れも本発明の特許範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0053】
[本発明]
10、30、50:密閉調薬投薬装置
12、12’、32、52:吸引注入管
12a、52a:第二管体
12b、52b:第一管体
121:柱状物
121a、362a:第一柱状物
121b、362b:第二柱状物
122、322、522:第一通路
124、324、524:第二通路
14、34、54:プッシュプルロッドアセンブリ
142、342、542:ロッド体
144、344、544:ピストン
146、346、546:操作部材
147、349、547:シール環
148、548:封じ蓋
1481、12b1、348a1、32a1、348b1、32b1:接続部
16、16’、36、56:接続口
16a、454:凹溝
161:シース体
161a:第一シース体
161b:第二シース体
162、562:第二キャビティ
163:フェルール
164:収納溝
166、166’、366、568a、568b:軟栓
166a、166b、232、234、432、434:針孔
167a、167b:掛止部材
167a、167b1:掛合端
20、40:コネクタ
21a、41a、61a:第一針
21a2、41a1、41b1:底部
21b、41b、61b:第二針
21b2、263b:短塀
21b3:流通経路
22、42、62:第一端部(中空柱)
22a、42a:凸リブ
221a、221b、421a、421b:被掛止部材
23:弾性体
23a:外弾性体
23b:内弾性体
24、44、64:第二端部
242:フランジ
244:間隔
26:突き刺しヘッド
261:先端
262:第一流路
263a:コンタクトホール
264:第二流路
28:濾紙
32a:第一キャビティ
32b:第二キャビティ
348a:第一部分
348b:第二部分
347、347’:塞ぎ蓋
347a:濾紙
43、43a、43b:弾性部材
453:輸液ヘッド
442:内ネジ
444a、452:第三流路
48:逆止パッキン
565、63:弾性体
566:漏れ防止リング
61a1、61b1:頂部凹面
【手続補正書】
【提出日】2022-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調薬投薬装置に関し、特に、密閉環境を構成可能な密閉調薬投薬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の調薬投薬装置は、通常、針付きのシリンジであり、針を薬液容器内に穿刺又は伸入して薬液をシリンジに吸い取った後、患者に注射する。続いて、医療従事者は、針付きのシリンジに針キャップを被せてから針をシリンジから取り外し、分別して処分する。しかしながら、実際の操作では、注射を必要とする症例が多すぎることや、操作スキルが未熟であることに起因して、医療従事者が針に刺されて負傷することが多いため、医療従事者の感染リスクが高まる。
【0003】
吸い取される薬液が揮発性のものである場合、上記のような薬液をシリンジに吸い取る手法では、調薬時の不適切な操作時間により、調合された薬液の濃度が不正確となり、ひいては、患者に多大な危害を与えてしまう恐れがある。それに、揮発性の薬液が吸入性の危害をもたらすものであれば、医療従事者が薬液調合時に揮発性の薬液を吸入し過ぎることで、医療従事者の健康を潜在的に脅かす可能性がある。
【0004】
一方で、一部の薬液は、使用前に適時に調合しないと、その具体的な効用を発揮することができず、このような薬液の多くは、第一液体と第二液体とを所定の割合で混合させたものである。上記手法によれば、針を第一液体入りの容器内に穿刺又は伸入して第一液体をシリンジに吸い取った後、同じ針を第二液体入りの容器内に穿刺又は伸入して第二液体をシリンジに吸い取って、第一液体と第二液体とをシリンジ内で混合させてから、患者に注射することになる。このように、針に残った第一液体によって第二液体入りの容器が汚染されることで、第二液体入りの容器内の薬剤成分にバラツキが生じ、継続して使用できず、薬剤の無駄を招いてしまう可能性がある。
【0005】
以上のことから、従来の調薬投薬装置に存在する多くの問題を改善するための新規の調薬投薬装置が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに鑑みて、本発明の目的は、外に曝露される針を持たない密閉調薬投薬装置を提供し、それにより、医療従事者が針に刺されて負傷してしまう問題を回避し、更に、医療処置中の器材による感染リスクを低減することができる。また、本発明が提供する密閉調薬投薬装置は、薬液容器との間で密封環境を形成可能であるため、揮発性の薬液の吸い取りで発生する濃度のバラツキを回避することができるとともに、医療従事者が揮発性の薬液を吸入することによる健康への潜在的な脅威を回避することもできる。さらに、本発明が提供する密閉調薬投薬装置は、同じ針を用いて異なる薬液を吸い取る機会を回避し、更に、異なる薬液間の相互汚染による薬剤の無駄を回避することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明が提供する密閉調薬投薬装置は、吸引注入管、プッシュプルロッドアセンブリ及び接続口を含み、前記吸引注入管は、管壁及び仕切壁を含み、前記管壁によって収容空間が画設され、前記仕切壁が前記収容空間内に設けられ、且つそれぞれ独立した第一キャビティ及び第二キャビティが形成されており、前記プッシュプルロッドアセンブリは、封じ蓋、ロッド体、操作部材及びピストンを含み、前記封じ蓋が前記吸引注入管の第一ポートに固設及びシールされ、前記ロッド体が前記封じ蓋の穿孔に穿設され、前記ロッド体は、一端が前記操作部材に接続され、他端が前記ピストンに接続され、前記ピストンは、前記第一キャビティ内に気密に設けられ、且つ操作を受けて前記第一キャビティ内で移動することが可能であり、前記ピストンによって前記第一キャビティが第一領域と第二領域とに仕切られ、前記第二領域は、前記第一領域よりも前記吸引注入管の前記第一ポートに近く、前記第一領域と前記第二領域とは、前記吸引注入管内で互いに連通せず、前記第二領域は、前記第一ポートで前記第二キャビティに連通しており、前記接続口は、前記吸引注入管の第二ポートに固接され、前記第二ポートは、前記第一ポートと背向し、前記接続口は、第一通路、第二通路及び少なくとも1つの軟栓を含み、前記第一通路は、前記第一キャビティに連通し、前記第二通路は、前記第二キャビティに連通し、前記少なくとも1つの軟栓が前記第一通路及び前記第二通路の一端に気密に固設されることで、前記密閉調薬投薬装置によって密閉環境が構成されており、前記密閉調薬投薬装置が薬液容器に接続されると、前記少なくとも1つの軟栓が操作を受けて突き破られることで、前記第一通路と前記第二通路とを前記薬液容器を介して互いに連通させることが可能であり、前記プッシュプルロッドアセンブリの前記操作部材が外力によって引っ張られ、且つ前記ロッド体を介して前記ピストンが連れ回されて前記吸引注入管の前記第一ポートへ移動すると、前記第一キャビティの前記第一領域が、前記薬液容器から前記第一通路を介して薬液を前記第一領域内に吸引されるように大きくなるとともに、前記第二領域が小さくなることで、前記第二領域内の空気が前記第二キャビティ及び前記第二通路を介して前記薬液容器内に排出されて、前記密閉調薬投薬装置と前記薬液容器とによって別の密閉環境が構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、本発明が提供する密閉調薬投薬装置は、外に曝露される針を持たないため、医療従事者が針に刺されて負傷してしまう問題を回避し、更に、医療処置中の器材による感染リスクを低減することができる。また、本発明が提供する密閉調薬投薬装置は、薬液容器との間で密封環境を形成可能であるため、揮発性の薬液の吸い取りで発生する濃度のバラツキを回避することができるとともに、医療従事者が揮発性の薬液を吸入することによる健康への潜在的な脅威を回避することもできる。さらに、本発明が提供する密閉調薬投薬装置は、同じ針を用いて異なる薬液を吸い取る機会を回避し、更に、異なる薬液間の相互汚染による薬剤の無駄を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施例に係る密閉調薬投薬装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の第一実施例に係る密閉調薬投薬装置の分解図である。
【
図3】
図3は、本発明の第一実施例に係る密閉調薬投薬装置の平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第二実施例における接続口の拡大図である。
【
図7】
図7は、
図5の接続口とコネクタとが接続された拡大図である。
【
図11】
図11は、本発明の第三実施例に係る密閉調薬投薬装置の斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の第三実施例に係る密閉調薬投薬装置の分解図である。
【
図14】
図14は、本発明の第三実施例に係る密閉調薬投薬装置の平面図である。
【
図17-2】
図17-2は、操作部材及び封じ蓋の別の実施形態の拡大図である。
【
図18】
図18は、本発明の第四実施例におけるコネクタの斜視図である。
【
図19】
図19は、本発明の第四実施例におけるコネクタの平面図である。
【
図22】
図22は、本発明の第四実施例における第一端部の2つの針と第二端部との組み合わせ折れ線図である。
【
図23】
図23は、本発明の第五実施例におけるコネクタの斜視図である。
【
図24】
図24は、本発明の第五実施例におけるコネクタの分解図である。
【
図25】
図25は、本発明の第五実施例におけるコネクタの平面図である。
【
図27】
図27は、本発明の第五実施例における第一端部の2つの針と第二端部との第一視角の分解図である。
【
図28】
図28は、本発明の第五実施例における第一端部の2つの針と第二端部との第二視角の分解図である。
【
図29】
図29は、本発明の第六実施例に係る密閉調薬投薬装置の斜視図である。
【
図30】
図30は、本発明の第六実施例に係る密閉調薬投薬装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明をより明確に説明できるように、好ましい実施例を掲げ、図面を参照して以下に詳しく説明する。
図1~
図10に示すように、本発明の第一実施例に係る密閉調薬投薬装置10は、吸引注入管12、プッシュプルロッドアセンブリ14及び接続口16を含む。
【0011】
吸引注入管12は、管壁及び仕切壁を含み、管壁によって収容空間が画設され、仕切壁が収容空間内に設けられ、且つそれぞれ独立した第一キャビティ及び第二キャビティが形成されている。本発明の第一実施例において、
図4に示すように、管壁は、第一管体12bであり、且つ前記収容空間を有し、仕切壁によって第二管体12aが画設され、第二管体12aが第一管体12bの収容空間内に設けられ、第二管体12a
に囲まれた空間によって
前記吸引注入管12における前記第一キャビティが構成されるのに対して、第一管体12bと第二管体12aとの間
における空間で
前記吸引注入管12における前記第二キャビティ162が構成されている。
【0012】
プッシュプルロッドアセンブリ14は、ロッド体142、ピストン144、操作部材146及び封じ蓋148を含む。封じ蓋148は、吸引注入管12の第一ポートに固設及びシールされている。本発明の第一実施例において、封じ蓋148の接続部1481と第一管体12bの接続部12b1とが互いに緊密に接続され、その接続方式には、接着又は高周波溶接が含まれる。ロッド体142が封じ蓋148の穿孔に穿設され、ロッド体142は、一端が操作部材146に接続され、他端がピストン144に接続されている。本発明の第一実施例において、
図8に示すように、プッシュプルロッドアセンブリ14は、ロッド体142に周設されるとともに封じ蓋148の穿孔に設けられたシール環147を含む。ピストン144は、第一キャビティ内に気密に設けられ、且つ操作を受けて第一キャビティ内で移動可能である。ピストン144によって第一キャビティが第一領域と第二領域とに仕切られ、第二領域は、第一領域よりも吸引注入管12の第一ポートに近い。第一領域と第二領域とは、吸引注入管12内で互いに連通せず、第二領域は、第一ポートで第二キャビティに連通している。本発明の第一実施例において、第一管体12bは、第一ポートを有し、前記封じ蓋が前記第一管体12bの前記第一ポートに固設及びシールされるものの、前記第二管体12aにシールされていないことで、前記第一キャビティの前記第二領域が前記第一ポートで前記第二キャビティ162に連通している。
【0013】
接続口16、16’は、吸引注入管12、12’の第二ポートに固接され、第二ポートは、第一ポートと背向している。接続口16、16’は、第一通路122、第二通路124及び少なくとも1つの軟栓166を含む。第一通路122は、第一キャビティに連通し、第二通路124は、第二キャビティ162に連通している。軟栓166が第一通路122及び第二通路124の一端に気密に固設されることで、密閉調薬投薬装置10によって密閉環境が構成されている。
【0014】
密閉調薬投薬装置10が薬液容器(不図示)に接続されると、軟栓166が操作を受けて突き破られることで、第一通路122と第二通路124とを薬液容器を介して互いに連通させることが可能である。プッシュプルロッドアセンブリ14の操作部材146が外力によって引っ張られ、且つロッド体142を介してピストン144が連れ回されて吸引注入管12の第一ポートへ移動すると、第一キャビティの第一領域が、薬液容器から第一通路122を介して薬液を第一領域内に吸引されるように大きくなるとともに、第二領域が小さくなることで、第二領域内の空気が第二キャビティ162及び第二通路124を介して薬液容器内に排出されて、密閉調薬投薬装置10と薬液容器とによって別の密閉環境が構成される。
【0015】
本発明の第一実施例において、接続口16は、少なくとも1つの柱状物121を含み、柱状物121が吸引注入管12の第二ポートに固接されている。
図5に示すように、第一通路122及び第二通路124は、柱状物121内に設けられ、且つ軟栓166は、柱状物121における吸引注入管12から遠い端に気密に固設されている。
図5において、軟栓166は、
2つの針孔166a、166bを有し、
前記2つの針孔166a
の一方が
前記第一通路122に対応して連通するのに対して、
前記2つの針孔166b
の他方が
前記第二通路124に対応して連通している。
【0016】
柱状物121は、吸引注入管12における第二管体12aの第二ポートに固接され、柱状物12における第一通路122が第一キャビティに対応することで、第一通路122と第一キャビティとが連通している。接続口16は、柱状物121を収容するための少なくとも1つのシース体161を含み、且つ軟栓166は、柱状物121とシース体161との間に気密に挟設されている。
【0017】
本発明の第一実施例において、柱状物121は、互いに対向する第一側及び第二側を有し、第一通路122は、その第一側に近いのに対して、第二通路124は、その第二側に近い。シース体161は、互いに対向する第一溝辺及び第二溝辺を有し、柱状物121の第一側は、シース体161の第一溝辺に対応して設けられるのに対して、柱状物121の第二側は、シース体161の第二溝辺に対応して設けられている。第一側の外径が第二側の外径と異なり、且つ第一溝辺の内径が第二溝辺の内径と異なるため、柱状物121の第一側は、シース体161の第二溝辺に設けられることができず、且つ柱状物121の第二側は、シース体161の第一溝辺に設けられることができない。
【0018】
図6を参照して、
前記柱状物は、
1つの第一柱状物121a及び
1つの第二柱状物121bを含み、第一通路122は、第一柱状物121a内に設けられるのに対して、第二通路124は、第二柱状物121b内に設けられており、且つ軟栓166’は、第一柱状物121a及び第二柱状物121bにおける吸引注入管12’から遠い端に気密に固設されている。本発明の第二実施例において、軟栓166’は、第一軟栓及び第二軟栓を含み、第一軟栓は、第一柱状物121aにおける吸引注入管12’から遠い端に気密に固設され、且つ第二軟栓は、第二柱状物121bにおける吸引注入管12’から遠い端に気密に固設されている。第一柱状物121a及び第二柱状物121bは、吸引注入管12’における第二管体12aの第二ポートに固接され、第一柱状物121aにおける第一通路122が第一キャビティに対応することで、第一通路122と第一キャビティとが連通している。接続口16’は、第一柱状物121a及び第二柱状物121bを収容するための少なくとも1つのシース体161を含み、且つ軟栓166’は、第一柱状物121a及び第二柱状物121bとシース体161の間に気密に挟設されている。シース体161は、互いに対向する第一溝辺及び第二溝辺を有し、第一柱状物121aは、シース体161の第一溝辺に対応して設けられるのに対して、第二柱状物121bは、シース体161の第二溝辺に対応して設けられている。さらに言えば、第一柱状物121aの外径が第二柱状物121bの外径と異なり、且つ第一溝辺の内径が第二溝辺の内径と異なるため、第一柱状物121aは、シース体161の第二溝辺に設けられることができず、且つ第二柱状物121bは、シース体161の第一溝辺に設けられることができない。
【0019】
本発明の第二実施例において、
図6に示すように、
前記少なくとも1つのシース体は、
1つの第一シース体161a及び
1つの第二シース体161bを含み、且つ軟栓166’は、第一軟栓及び第二軟栓を含み、第一シース体161aは、第一柱状物121aを収容するためのものであるのに対して、第二シース体161bは、第二柱状物121bを収容するためのものであり、第一軟栓は、第一柱状物121aと第一シース体161aとの間に気密に挟設され、第二軟栓は、第二柱状物121bと第二シース体161bとの間に気密に挟設されている。第一柱状物121aの外径が第二柱状物121bの外径と異なり、且つ第一シース体161aの内径が第二シース体161bの内径と異なるため、第一柱状物121aは、第二シース体161b内に設けられることができず、且つ第二柱状物121bは、第一シース体161a内に設けられることができない。
【0020】
図11~
図17に示すように、本発明の第三実施例に係る密閉調薬投薬装置30は、吸引注入管32、プッシュプルロッドアセンブリ34及び接続口36を含む。
【0021】
図15において、
前記吸引注入管32は、
管体であり、1つの管壁及び
1つの仕切壁を含み、
前記管壁によって収容空間が画設され、
前記仕切壁は、
前記収容空間内に設けられている。
前記仕切壁は、シート状をなし、且つ
1つの前記管壁の内側に固接されて、
前記収容空間をそれぞれ独立した
1つの第一キャビティ32a及び
1つの第二キャビティ32bに仕切っている。
【0022】
プッシュプルロッドアセンブリ34は、ロッド体342、ピストン344、操作部材346及び封じ蓋を含む。封じ蓋は、吸引注入管32の第一ポートに固設及びシールされ、そのシール方式には、接着又は高周波溶接が含まれる。本発明の第三実施例において、封じ蓋は、互いに隣接する第一部分348a及び第二部分348bを含み、第一部分348aによって第一キャビティ32aが対応して覆われ、第一部分348aは、穿孔を含み、ロッド体342は、第一部分348aに位置する穿孔に穿設され、操作を受けて第一キャビティ32a内で移動することが可能である。本発明の第三実施例において、
図17-1に示すように、プッシュプルロッドアセンブリ34は、ロッド体342に周設されるとともに封じ蓋の第一部分348aの穿孔に設けられたシール環349を含む。本発明の第三実施例において、封じ蓋の第一部分348aの接続部348a1と
前記吸引注入管32の管璧における1つの第一接続部32a1とが互いに緊密に接続されるのに対して、
前記封じ蓋の
前記第二部分348bの
1つの接続部348b1と
前記吸引注入管32の管璧における1つの第
二接続部32b1とが互いに緊密に接続され、その接続方式には、接着又は高周波溶接が含まれる。
【0023】
前記封じ蓋における前記第二部分348bによって第二キャビティ32bが対応して覆われ、第二部分348bは、開口及び塞ぎ蓋347を含み、塞ぎ蓋347は、操作を受けて開口に対応して塞ぎ込まれて密閉環境を構成し、又は開口から取り外されて第二キャビティ32bを外に開放させることが可能である。
【0024】
図17-2と
図17-1とは、類似するものであるが、
図17-2の塞ぎ蓋347’が通気弁であり、且つ塞ぎ蓋347’が、開閉可能な蓋と、塞ぎ蓋347’の中に設けられた濾紙347aとを有する点で相違している。
【0025】
ピストン344は、第一キャビティ32a内に気密に設けられ、且つ操作を受けて第一キャビティ32a内で移動することが可能である。ピストン344によって第一キャビティ32aが第一領域と第二領域とに仕切られ、第二領域は、第一領域よりも吸引注入管32の第一ポートに近い。第一領域と第二領域とは、吸引注入管32内で互いに連通せず、第二領域は、第一ポートで第二キャビティに連通している。本発明の第三実施例において、第一キャビティ32a及び第二キャビティ32bは、第一ポートを有し、封じ蓋が第一キャビティ32a第二キャビティ32bの第一ポートで管壁に固設及びシールされるものの、仕切壁にシールされていないことで、前記第一キャビティ32aの第二領域が第一ポートで第二キャビティ32bに連通している。
【0026】
接続口36は、吸引注入管32の第二ポートに固接され、第二ポートは、第一ポートと背向している。接続口36は、第一通路322、第二通路324及び少なくとも1つの軟栓366を含む。第一通路322は、第一キャビティ32aに連通し、第二通路324は、第二キャビティ32bに連通している。軟栓366が第一通路322及び第二通路324の一端に気密に固設されることで、密閉調薬投薬装置30によって密閉環境が構成されている。
【0027】
密閉調薬投薬装置30が薬液容器(不図示)に接続されると、軟栓366が操作を受けて突き破られることで、第一通路322と第二通路324とを薬液容器を介して互いに連通させることが可能である。プッシュプルロッドアセンブリ34の操作部材346が外力によって引っ張られ、且つロッド体342を介してピストン344が連れ回されて吸引注入管32の第一ポートへ移動すると、第一キャビティ32aの第一領域が、薬液容器から第一通路322を介して薬液を第一領域内に吸引されるように大きくなるとともに、第二領域が小さくなることで、第二領域内の空気が第二キャビティ32b及び第二通路324を介して薬液容器内に排出されて、密閉調薬投薬装置30と薬液容器とによって別の密閉環境が構成される。
【0028】
接続口36は、少なくとも1つの柱状物を含み、柱状物は、吸引注入管32の第二ポートに固接されている。第一通路322及び第二通路324は、柱状物内に設けられ、且つ軟栓366は、柱状物における吸引注入管32から遠い端に気密に固設されている。本発明の第三実施例において、柱状物は、第一柱状物362a及び第二柱状物362bを含み、第一通路322は、第一柱状物362a内に設けられるのに対して、第二通路324は、第二柱状物362b内に設けられ、且つ軟栓366は、第一柱状物362a及び第二柱状物362bにおける吸引注入管32から遠い端に気密に固設されている。本発明の第三実施例において、軟栓366は、第一軟栓及び第二軟栓を含み、第一軟栓は、第一柱状物362aにおける吸引注入管32から遠い端に気密に固設され、且つ第二軟栓は、第二柱状物362bにおける吸引注入管32から遠い端に気密に固設されている。第一柱状物362a及び第二柱状物362bは、吸引注入管32における
前記第二ポートに固接され、第一柱状物362aにおける第一通路322が第一キャビティ32aに対応することで、第一通路322と第一キャビティ32aとが連通し、第二柱状物362bにおける第二通路324が第二キャビティ32bに対応することで、第二通路324と第二キャビティ32bとが連通している。
図15において、軟栓366は、針孔366a、366bを有し、針孔366aが第一通路322に対応して連通するのに対して、針孔366bが第二通路324に対応して連通している。接続口36は、フェルール363を含み、フェルール363と第一柱状物362a及び第二柱状物362bとの間に収納溝364が含まれている。
【0029】
図7、
図10、
図18~
図22に示すように、本発明の第四実施例におけるコネクタ20は、接続口16に着脱可能に接続される。コネクタ20は、互いに背向する
1つの第一端部22及び
1つの第二端部24を含み、第一端部22は、同じ方向に隣り合って配列された第一針21a及び第二針21bを含む。
図7に示すように、コネクタ20の第一端部22が接続口16に接続されると、第一針21a及び第二針21bは、軟栓166を突き破り、且つ第一針21aが第一通路122内に対応して伸入するのに対して、第二針21bが第二通路124内に対応して伸入する。コネクタ20の第二端部24は、薬液容器に着脱可能に接続され、且つ第二端部24が第一端部22の第一針21aに連通している。
【0030】
図20において、
前記第一端部22は、
1つの中空柱22及び
1つの弾性部材を含み、
前記第一針21a、
前記第二針21b及び
前記弾性部材は、
前記中空柱22内に設けられている。コネクタ20が接続口16に接続されていないとき、
前記弾性部材
23によって第一針21a及び第二針21bが被覆されることで、第一針21a及び第二針21bは、外に露出されない。本発明の第四実施例において、中空柱22
1の長手方向と、第一針21a及び第二針21bの長手方向とは、平行であり、コネクタ20が接続口16に接続されると、弾性部材
23は、操作を受けて中空柱22
1の
前記長手方向に沿って第二端部24に近づく方向へ圧縮されることで、第一針21a及び第二針21bを弾性部材
23から突出させ、且つ軟栓166を突き破らせることが可能である。
【0031】
本発明の第四実施例において、弾性部材23は、外弾性体23a及び内弾性体23bを含み、外弾性体23aは、内弾性体23bを被覆し、且つ中空柱22
1と内弾性体23bとの間に位置している。
図18において、弾性部材23は、
2つの針孔232、234を有し、
前記2つの針孔のうちの一方の針孔232は、
前記第一針21aに対応するのに対して、
前記2つの針孔のうちの他方の針孔234は、第二針21bに対応している。コネクタ20が接続口16に接続されていないとき、内弾性体23bが第一針21a及び第二針21bに巻き回され、且つ外弾性体23aによって第一針21a及び第二針21bが被覆される。コネクタ20が接続口16に接続されると、外弾性体23a及び内弾性体23bは、接続口16による押圧を受けて中空柱22の長手方向に沿って第二端部24に近づく方向へ圧縮されることで、第一針21a及び第二針21bを外弾性体23aから突出させ、且つ軟栓166を突き破らせることが可能である。
【0032】
特筆すべきなのは、コネクタ20と接続口16との接続が解除されると、第一針21a及び第二針21bが再び外弾性体23aによって被覆されるようになるまで、外弾性体23a及び内弾性体23bは、自身の弾性力を受けて中空柱221の長手方向に沿って第二端部24から遠ざかる方向へ伸展され、且つ、接続が解除されているとき前記外弾性体23aは、内弾性体23bによって補助されて接続口16に継続的に接触することで、第一針21a及び第二針21bが外に露出されず、第一針21a及び第二針21bとの接触による使用者の負傷がないことを確保される。
【0033】
接続口16は、フェルール163を含み、フェルール163とシース体161との間に収納溝164が含まれている。フェルール163は、中空柱22
1に対応して周着するためのものであり、フェルール163の内側面に凹溝16aが含まれるのに対して、中空柱22
1の
1つの外側面に凸リブ22aが含まれている。
図1及び
図7に示すように、フェルール163が中空柱22
1に対応して周着されると、
前記凹溝16aと凸リブ22aとが互いに対応して協働することで、第一針21aが第一通路122内にしか伸入できず、且つ第二針21bが第二通路124内にしか伸入できないようになり、第一針21aが第二通路124内に伸入できず、且つ第二針21bが第一通路122内に伸入できない。
【0034】
フェルール163の
1つの外側面に少なくとも1つの掛止部材167a、167bが含まれるのに対して、中空柱22
1の外側面に少なくとも1つの被掛止部材221a、221bが含まれている。
図10に示すように、フェルール163が
前記中空柱22
1に対応して周着されると、掛止部材167a、167bの掛着端167a1、167b1と被掛止部材221a、221bとが互いに対応して掛合することで、コネクタ20が接続口16に安定して接続される。
【0035】
第二端部24は、薬液容器に着脱可能に接続される突き刺しヘッド26を含む。
図20に示すように、突き刺しヘッド26は、互いに隔離された第一流路262及び第二流路264を含み、第一流路262は、第一針21aに連通するのに対して、第二流路264は、第二針21bに連通している。本発明の第四実施例において、突き刺しヘッド26の第一流路262の開口は、突き刺しヘッド26の先端261から突き刺しヘッド26の根元部まで延在する。本発明の第四実施例において、突き刺しヘッド26の第一流路262の開口は、第二流路264の開口よりも大きい。
【0036】
コネクタ20は、第二流路264と第二針21bとの間に設けられて気体と液体(薬液)とを隔てて、第二流路264から第二針21bへの薬液の流入を防止し、
図4の吸引注入管12における気体流通用の第二キャビティ162内への薬液の進入を回避するための濾紙28を含み、また、濾紙28は、密閉調薬投薬装置10内の空気の不純物を濾過除去するために使用されることも可能である。
【0037】
本発明の第四実施例において、第二端部24は、薬液容器に着脱可能に固定される固定リングを含む。固定リングは、互いに間隔を空けて環状に配列された複数の弾性片を含み、1つの間隔244は、隣り合う2つの弾性片の間に形成され、これらの弾性片は、異なる外径の薬液容器を収容するためのものであり、且つ各弾性片は、薬液容器の外面に着脱可能に係合するためのフランジ242を含む。
【0038】
図22において、第一針21aの底部21a2は、突き刺しヘッド26のコンタクトホール263aに対応にして接続されるのにたいして、第二針21bの底部に複数の短塀21b2と、流通経路21b3とが含まれ、短塀21b2及び流通経路21b3は、薬液の流速が速すぎて濾紙28を刺し通してしまうことを防止されるように、突き刺しヘッド26の凹部263における複数の短塀263bに対応して接続されている。
【0039】
図23~
図28に示すように、本発明の第五実施例におけるコネクタ40は、接続口16に着脱可能に接続される。コネクタ40は、互いに背向する第一端部42及び第二端部44を含み、第一端部42は、同じ方向に隣り合って配列された第一針41a及び第二針41bを含む。コネクタ40の第一端部42が接続口16に接続されると、第一針41a及び第二針41bは、軟栓166を突き破り、且つ第一針41aは、第一通路122内に対応して伸入するのに対して、第二針41bは、第二通路124内に対応して伸入する。コネクタ40の第二端部44は、薬液容器に着脱可能に接続され、且つ第二端部44は、第一端部42の第一針41aに連通している。
【0040】
図24において、第一端部42は、中空柱42
1及び弾性部材43を含み、第一針41a、第二針41b及び弾性部材43は、中空柱42
1内に設けられている。
図23において、弾性部材43は、
第一弾性部材43a
と第二弾性部材43bを含み、
前記第一弾性部材43aは、針孔432を有し、
前記第二弾性部材43bは、針孔434を有し、針孔432は、第一針41aに対応するのに対して、針孔434は、第二針41bに対応している。
図24において、中空柱42
1は、2つの穿孔422を含み、2つの穿孔422の一方は、
前記第一弾性部材43aに対応するのに対して、2つの穿孔422の他方は、
前記第二弾性部材43bに対応している。コネクタ40が接続口16に接続されていないとき、弾性部材43によって第一針41a及び第二針41bが被覆されることで、第一針41a及び第二針41bは、外に露出されない。本発明の第五実施例において、中空柱42
1の長手方向と、第一針41a及び第二針41bの長手方向とは、平行であり、コネクタ40が接続口16に接続されると、弾性部材は、操作を受けて中空柱42
1の長手方向に沿って第二端部44に近づく方向へ圧縮されることで、第一針41a及び第二針41bを弾性部材43から突出させ、且つ軟栓166を突き破らせることが可能である。
【0041】
接続口16は、フェルール163を含み、フェルール163とシース体161との間に収納溝164が含まれている。フェルール163は、中空柱421に対応して周着するためのものであり、フェルール163の内側面に凹溝16aが含まれるのに対して、中空柱421の外側面に凸リブ42aが含まれている。フェルール163が中空柱421に対応して周着されると、凹溝16aと凸リブ42aとが互いに対応して協働することで、第一針41aが第一通路122内にしか伸入できず、且つ第二針41bが第二通路124内にしか伸入できないようになり、第一針41aが第二通路124内に伸入できず、且つ第二針41bが第一通路122内に伸入できない。
【0042】
フェルール163の外側面に少なくとも1つの掛止部材167a、167bが含まれるのに対して、中空柱421の外側面に少なくとも1つの被掛止部材421a、421bが含まれている。フェルール163が中空柱421に対応して周着されると、掛止部材167a、167bと被掛止部材421a、421bとが互いに対応して掛合することで、コネクタ40が接続口16に安定して接続される。
【0043】
本発明の第五実施例において、第二端部44は、輸液ヘッド453及び固定リングを含み、輸液ヘッド453は、第三流路444a、452を含み、第三流路444aは、第一針41aに連通し、
図27に示すように、第一針41aの底部41a1と第三流路444a、452とが連通しており、固定リングは、薬液容器の外ネジ(不図示)に離脱可能に螺合するための内ネジ442を含む。コネクタ40は、第二端部44と第二針41bとの間に設けられた逆止パッキン48を含み、更に言えば、逆止パッキン48は、
前記コネクタ40において前記第二端部44における前記凹溝454と第二針41bの底部41b1との間に対応して固設されて、第三流路444aと第二針41bとを隔離させることで、気体と液体(薬液)とを隔てるとともに、
図4の吸引注入管12における気体流通用の第二キャビティ162内への薬液の流入を防止している。
【0044】
図29~
図33に示すように、本発明の第六実施例に係る密閉調薬投薬装置50は、吸引注入管52、プッシュプルロッドアセンブリ54及び接続口56を含む。
【0045】
吸引注入管52は、管壁及び仕切壁を含み、管壁によって収容空間が画設され、仕切壁が収容空間内に設けられ、且つそれぞれ独立した第一キャビティ及び第二キャビティが形成されている。本発明の第六実施例において、
図31に示すように、管壁は、第一管体52bであり、且つ前記収容空間を有し、仕切壁によって第二管体52aが画設され、第二管体52aが第一管体52bの収容空間内に設けられ、第二管体52aによって第一キャビティが構成されるのに対して、第一管体52bと第二管体52aとの間で第二キャビティ562が構成されている。
【0046】
プッシュプルロッドアセンブリ54は、ロッド体542、ピストン544、操作部材546及び封じ蓋548を含む。封じ蓋548は、吸引注入管52の第一ポートに固設及びシールされている。本発明の第六実施例において、封じ蓋548の接続部と第一管体52bの接続部とが互いに緊密に接続され、その接続方式には、接着又は高周波溶接が含まれる。ロッド体542が封じ蓋548の穿孔に穿設され、ロッド体542は、一端が操作部材546に接続され、他端がピストン544に接続されている。本発明の第六実施例において、
図31に示すように、プッシュプルロッドアセンブリ54は、ロッド体542に周設されるとともに封じ蓋548の穿孔に設けられたシール環547を含む。ピストン544は、第一キャビティ内に気密に設けられ、且つ操作を受けて第一キャビティ内で移動可能である。ピストン544によって第一キャビティが第一領域と第二領域とに仕切られ、第二領域は、第一領域よりも吸引注入管52の第一ポートに近い。第一領域と第二領域とは、吸引注入管52内で互いに連通せず、第二領域は、第一ポートで第二キャビティに連通している。本発明の第六実施例において、第一管体52bは、第一ポートを有し、前記封じ蓋548が前記第一管体52bの前記第一ポートに固設及びシールされるものの、前記第二管体52aにシールされていないことで、前記第一キャビティの前記第二領域が前記第一ポートで前記第二キャビティ562に連通している。
【0047】
接続口56は、吸引注入管52の第二ポートに固接され、第二ポートは、第一ポートと背向している。接続口56は、第一通路522、第二通路524、弾性体565、漏れ防止リング566及び少なくとも1つの軟栓を含む。第一通路522は、第一キャビティに連通し、第二通路524は、第二キャビティ562に連通している。漏れ防止リング566及び前記少なくとも1つの軟栓が第一通路522及び第二通路524の一端に気密に固設されることで、密閉調薬投薬装置50によって密閉環境が構成されている。
【0048】
本発明の第六実施例におけるコネクタ60は、接続口56に着脱可能に接続される。コネクタ60は、互いに背向する第一端部62及び第二端部64を含み、第一端部62は、同じ方向に隣り合って配列された第一針61a及び第二針61bを含む。
図33に示すように、コネクタ60の第一端部62が接続口56に接続されると、第一針61aの頂部凹面61a1が軟栓568aに押し当てられ、第二針61bの頂部凹面61b1が軟栓568bに押し当てられ、且つ第一針61aが第一通路522に対応して連通するのに対して、第二針61bが第二通路524に対応して連通する。コネクタ60の第二端部64は、薬液容器に着脱可能に接続され、且つ第二端部64は、第一端部62の第一針61aに連通している。本発明の第六実施例において、コネクタ60の第一端部62が接続口56に接続されると、第一針61aの頂部凹面61a1が
前記第一軟栓568aに押し当てられ、第二針61bの頂部凹面61b1が
前記第二軟栓568bに押し当てられ、且つ
前記第一軟栓568a
と第二軟栓568bが弾性体565を押し当てることで、弾性体565が吸引注入管52の第二ポートへ圧縮される。
【0049】
図32において、第一端部62は、中空柱62
1及び弾性部材63を含み、第一針61a、第二針61b及び弾性部材63は、中空柱62
1内に設けられている。コネクタ60が接続口56に接続されていないとき、弾性部材63によって第一針61a及び第二針61bがほぼ被覆されることで、第一針61a及び第二針61bに残された薬液及び/又は気体の外への漏洩が防止される。本発明の第六実施例において、
図33に示すように、中空柱62
1の長手方向と、第一針61a及び第二針61bの長手方向とは、平行であり、コネクタ60が接続口56に接続されると、弾性部材63は、操作を受けて中空柱62
1の長手方向に沿って第二端部64に近づく方向へ圧縮されることで、第一針61a及び第二針61bを弾性部材63から突出させ、且つそれぞれ
前記第一軟栓568a、
第二軟栓568bに押し当てさせることが可能である。
【0050】
この際、コネクタ60の第二端部64が薬液容器に着脱可能に接続されることで、第一通路522及び第二通路524とを薬液容器を介して互いに連通させることが可能である。プッシュプルロッドアセンブリ54の操作部材546が外力によって引っ張られ、且つロッド体542を介してピストン544が連れ回されて吸引注入管52の第一ポートへ移動すると、第一キャビティの第一領域が、薬液容器から第一通路522を介して薬液を第一領域内に吸引されるように大きくなるとともに、第二領域が小さくなることで、第二領域内の空気が第二キャビティ562及び第二通路524を介して薬液容器内に排出されて、密閉調薬投薬装置50と薬液容器とによって別の密閉環境が構成される。
【0051】
本発明が提供する密閉調薬投薬装置は、外に曝露される針を持たないため、医療従事者が針に刺されて負傷してしまう問題を回避し、更に、医療処置中の器材による感染リスクを低減することができる。また、本発明が提供する密閉調薬投薬装置は、薬液容器との間で密封環境を形成可能であるため、揮発性の薬液の吸い取りで発生する濃度のバラツキを回避することができるとともに、医療従事者が揮発性の薬液を吸入することによる健康への潜在的な脅威を回避することもできる。さらに、本発明が提供する密閉調薬投薬装置は、同じ針を用いて異なる薬液を吸い取る機会を回避し、更に、異なる薬液間の相互汚染による薬剤の無駄を回避することができる。
【0052】
上述したのは、本発明の好ましい可能な実施例に過ぎず、本発明の明細書及び特許請求の範囲を利用してなされた同等バリエーションは、何れも本発明の特許範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0053】
[本発明]
10、30、50:密閉調薬投薬装置
12、12’、32、52:吸引注入管
12a、52a:第二管体
12b、52b:第一管体
121:柱状物
121a、362a:第一柱状物
121b、362b:第二柱状物
122、322、522:第一通路
124、324、524:第二通路
14、34、54:プッシュプルロッドアセンブリ
142、342、542:ロッド体
144、344、544:ピストン
146、346、546:操作部材
147、349、547:シール環
148、548:封じ蓋
1481、12b1、348a1、348b1:接続部
32a1:第一接続部
32b1:第二接続部
16、16’、36、56:接続口
16a、454:凹溝
161:シース体
161a:第一シース体
161b:第二シース体
162、562:第二キャビティ
163、363:フェルール
164、364:収納溝
166、166’、366:軟栓
166a、166b、232、366a、366b、234、432、434:針孔
167a、167b:掛止部材
167a、167b1:掛合端
20、40、60:コネクタ
21a、41a、61a:第一針
21a2、41a1、41b1:底部
21b、41b、61b:第二針
21b2:短塀
21b3:流通経路
22、42、62:第一端部
221、421、621:中空柱
22a、42a:凸リブ
221a、221b、421a、421b:被掛止部材
23:弾性体
23a:外弾性体
23b:内弾性体
24、44、64:第二端部
242:フランジ
244:間隔
26:突き刺しヘッド
261:先端
262:第一流路
263:凹部
263a:コンタクトホール
263b:短塀
264:第二流路
28:濾紙
32a:第一キャビティ
32b:第二キャビティ
348a:第一部分
348b:第二部分
347、347’:塞ぎ蓋
347a:濾紙
422:穿孔
43:弾性部材
43a:第一弾性部材
43b:第二弾性部材
453:輸液ヘッド
442:内ネジ
444a、452:第三流路
48:逆止パッキン
565、63:弾性体
566:漏れ防止リング
568a:第一軟栓
568b:第二軟栓
61a1、61b1:頂部凹面
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉調薬投薬装置であって、
管壁及び仕切壁を含み、前記管壁によって収容空間が画設され、前記仕切壁が前記収容空間内に設けられ、且つそれぞれ独立した第一キャビティ及び第二キャビティが形成された吸引注入管と、
封じ蓋、ロッド体、操作部材及びピストンを含むプッシュプルロッドアセンブリであって、前記封じ蓋が前記吸引注入管の第一ポートに固設及びシールされ、前記ロッド体が前記封じ蓋の穿孔に穿設され、前記ロッド体は、一端が前記操作部材に接続され、他端が前記ピストンに接続され、前記ピストンは、前記第一キャビティ内に気密に設けられ、且つ操作を受けて前記第一キャビティ内で移動することが可能であり、前記ピストンによって前記第一キャビティが第一領域と第二領域とに仕切られ、前記第二領域は、前記第一領域よりも前記吸引注入管の前記第一ポートに近く、前記第一領域と前記第二領域とは、前記吸引注入管内で互いに連通せず、前記第二領域は、前記第一ポートで前記第二キャビティに連通したプッシュプルロッドアセンブリと、
前記吸引注入管の第二ポートに固接された接続口であって、前記第二ポートは、前記第一ポートと背向し、前記接続口は、第一通路、第二通路及び少なくとも1つの軟栓を含み、前記第一通路は、前記第一キャビティに連通し、前記第二通路は、前記第二キャビティに連通し、前記少なくとも1つの軟栓が前記第一通路及び前記第二通路の一端に気密に固設されることで、前記密閉調薬投薬装置によって密閉環境が構成された接続口とを含み、
前記密閉調薬投薬装置が薬液容器に接続されると、前記少なくとも1つの軟栓が操作を受けて突き破られることで、前記第一通路と前記第二通路とを前記薬液容器を介して互いに連通させることが可能であり、前記プッシュプルロッドアセンブリの前記操作部材が外力によって引っ張られ、且つ前記ロッド体を介して前記ピストンが連れ回されて前記吸引注入管の前記第一ポートへ移動すると、前記第一キャビティの前記第一領域が、前記薬液容器から前記第一通路を介して薬液を前記第一領域内に吸引されるように大きくなるとともに、前記第二領域が小さくなることで、前記第二領域内の空気が前記第二キャビティ及び前記第二通路を介して前記薬液容器内に排出されて、前記密閉調薬投薬装置と前記薬液容器とによって別の密閉環境が構成される、密閉調薬投薬装置。
【請求項2】
前記管壁は、第一管体であり、且つ前記収容空間を有し、前記仕切壁によって第二管体が画設され、前記第二管体が前記第一管体の前記収容空間内に設けられ、前記第二管体によって前記第一キャビティが構成されるのに対して、前記第一管体と前記第二管体との間で前記第二キャビティが構成されている、請求項1に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項3】
前記第一管体は、前記第一ポートを有し、前記封じ蓋が前記第一管体の前記第一ポートに固設及びシールされるものの、前記第二管体にシールされていないことで、前記第一キャビティの前記第二領域が前記第一ポートで前記第二キャビティに連通している、請求項2に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項4】
前記仕切壁は、シート状をなし、且つ前記管壁の内側に固接されて、前記収容空間をそれぞれ独立した前記第一キャビティ及び前記第二キャビティに仕切っている、請求項1に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項5】
前記封じ蓋が前記吸引注入管の前記第一ポートに固設及びシールされるものの、前記仕切壁にシールされていないことで、前記第一キャビティの前記第二領域が前記第一ポートで前記第二キャビティに連通している、請求項4に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項6】
前記封じ蓋は、互いに隣接する第一部分及び第二部分を含み、前記第一部分によって前記第一キャビティが対応して覆われ、前記第一部分は、前記穿孔を含み、前記ロッド体は、前記第一部分に位置する前記穿孔に穿設され、操作を受けて前記第一キャビティ内で移動することが可能であり、前記第二部分によって前記第二キャビティが対応して覆われ、前記第二部分は、開口及び塞ぎ蓋を含み、前記塞ぎ蓋は、操作を受けて前記開口に対応して塞ぎ込まれて前記密閉環境を構成し、又は前記開口から取り外されて前記第二キャビティを外に開放させることが可能である、請求項4に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項7】
前記塞ぎ蓋は、気体を濾過するための濾紙を含む、請求項6に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項8】
前記プッシュプルロッドアセンブリは、前記ロッド体に周設されるとともに前記封じ蓋の前記穿孔に設けられたシール環を含む、請求項1に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項9】
前記接続口は、少なくとも1つの柱状物を含み、前記少なくとも1つの柱状物が前記吸引注入管の前記第二ポートに固接され、前記第一通路及び前記第二通路は、前記少なくとも1つの柱状物内に設けられ、且つ前記少なくとも1つの軟栓は、前記少なくとも1つの柱状物における前記吸引注入管から遠い端に気密に固設されている、請求項1~8の何れか一項に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの柱状物は、前記吸引注入管における前記第二管体の前記第二ポートに固接され、前記少なくとも1つの柱状物における前記第一通路が前記第一キャビティに対応することで、前記第一通路と前記第一キャビティとが連通し、前記接続口は、前記少なくとも1つの柱状物を収容するための少なくとも1つのシース体を含み、且つ前記少なくとも1つの軟栓は、前記少なくとも1つの柱状物と前記少なくとも1つのシース体との間に気密に挟設され、前記少なくとも1つの柱状物は、互いに対向する第一側及び第二側を有し、前記第一通路は、前記第一側に近いのに対して、前記第二通路は、前記第二側に近く、且つ前記少なくとも1つのシース体は、互いに対向する第一溝辺及び第二溝辺を有し、前記少なくとも1つの柱状物の前記第一側は、前記少なくとも1つのシース体の前記第一溝辺に対応して設けられるのに対して、前記少なくとも1つの柱状物の前記第二側は、前記少なくとも1つのシース体の前記第二溝辺に対応して設けられている、請求項9に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの柱状物は、第一柱状物及び第二柱状物を含み、前記第一通路は、前記第一柱状物内に設けられるのに対して、前記第二通路は、前記第二柱状物内に設けられ、且つ前記少なくとも1つの軟栓は、前記第一柱状物及び前記第二柱状物における前記吸引注入管から遠い端に気密に固設されている、請求項9に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの軟栓は、第一軟栓及び第二軟栓を含み、前記第一軟栓は、前記第一柱状物における前記吸引注入管から遠い端に気密に固設され、且つ前記第二軟栓は、前記第二柱状物における前記吸引注入管から遠い端に気密に固設されている、請求項11に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項13】
前記第一柱状物及び前記第二柱状物は、前記吸引注入管における前記第二管体の前記第二ポートに固接され、前記第一柱状物における前記第一通路が前記第一キャビティに対応することで、前記第一通路と前記第一キャビティとが連通し、前記接続口は、前記第一柱状物及び前記第二柱状物を収容するための少なくとも1つのシース体を含み、且つ前記少なくとも1つの軟栓は、前記第一柱状物及び前記第二柱状物と前記少なくとも1つのシース体との間に気密に挟設され、前記少なくとも1つのシース体は、互いに対向する第一溝辺及び第二溝辺を有し、前記第一柱状物は、前記少なくとも1つのシース体の前記第一溝辺に対応して設けられるのに対して、前記第二柱状物は、前記少なくとも1つのシース体の前記第二溝辺に対応して設けられている、請求項11に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つのシース体は、第一シース体及び第二シース体を含み、且つ前記少なくとも1つの軟栓は、前記第一柱状物を収容するための第一軟栓、及び、前記第二柱状物を収容するための第二軟栓を含み、前記第一軟栓は、前記第一柱状物と前記第一シース体との間に気密に挟設され、前記第二軟栓は、前記第二柱状物と前記第二シース体との間に気密に挟設されている、請求項13に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項15】
前記接続口に着脱可能に接続されるコネクタを含み、前記コネクタは、互いに背向する第一端部及び第二端部を含み、前記第一端部は、同じ方向に隣り合って配列された第一針及び第二針を含み、前記コネクタの前記第一端部が前記接続口に接続されると、前記第一針及び前記第二針は、前記少なくとも1つの軟栓を突き破り、且つ前記第一針が前記第一通路内に対応して伸入するのに対して、前記第二針が前記第二通路内に対応して伸入し、前記コネクタの前記第二端部は、前記薬液容器に着脱可能に接続され、且つ前記第二端部が前記第一端部の前記第一針に連通している、請求項1に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項16】
前記第一端部は、中空柱及び弾性部材を含み、前記第一針、前記第二針及び前記弾性部材は、前記中空柱内に設けられ、前記コネクタが前記接続口に接続されていないとき、前記弾性部材によって前記第一針及び前記第二針が被覆される、請求項15に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項17】
前記中空柱の長手方向と、前記第一針及び前記第二針の長手方向とは、平行であり、前記コネクタが前記接続口に接続されると、前記弾性部材は、操作を受けて前記中空柱の長手方向に沿って前記第二端部に近づく方向へ圧縮されることで、前記第一針と前記第二針とを前記弾性部材から突出させ、且つ前記少なくとも1つの軟栓を突き破らせることが可能である、請求項16に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項18】
前記弾性部材は、外弾性体及び内弾性体を含み、前記外弾性体は、前記内弾性体を被覆し、且つ前記中空柱と前記内弾性体との間に位置し、前記コネクタが前記接続口に接続されていないとき、前記内弾性体が前記第一針及び前記第二針に巻き回され、且つ前記外弾性体によって前記第一針及び前記第二針が被覆され、前記コネクタが前記接続口に接続されると、前記外弾性体及び前記内弾性体は、前記接続口による押圧を受けて前記中空柱の長手方向に沿って前記第二端部に近づく方向へ圧縮されることで、前記第一針及び前記第二針を前記外弾性体から突出させ、且つ前記少なくとも1つの軟栓を突き破らせる、請求項16に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項19】
前記コネクタと前記接続口との接続が解除されると、前記第一針及び前記第二針が再び前記外弾性体によって被覆されるようになるまで、前記外弾性体及び前記内弾性体は、自身の弾性力を受けて前記中空柱の長手方向に沿って前記第二端部から遠ざかる方向へ伸展され、且つ前記外弾性体は、前記内弾性体によって補助されて前記接続口に継続的に接触する、請求項18に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項20】
前記接続口は、前記中空柱に対応して周着するためのフェルールを含み、前記フェルールの内側面に凹溝が含まれるのに対して、前記中空柱の外側面に凸リブが含まれ、前記フェルールが前記中空柱に対応して周着されると、前記凹溝と前記凸リブとが互いに対応して協働することで、前記第一針が前記第二通路内に伸入できず、且つ前記第二針が前記第一通路内に伸入できない、請求項16に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項21】
前記第二端部は、前記薬液容器に着脱可能に接続される突き刺しヘッドを含み、前記突き刺しヘッドは、互いに隔離された第一流路及び第二流路を含み、前記第一流路は、前記第一針に連通するのに対して、前記第二流路は、前記第二針に連通している、請求項15に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項22】
前記突き刺しヘッドの前記第一流路の開口は、前記第二流路の開口よりも大きい、請求項21に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項23】
前記第二端部は、輸液ヘッド及び固定リングを含み、前記輸液ヘッドは
、流路を含み、前
記流路は、前記第一針に連通し、前記固定リングは、前記薬液容器の外ネジに離脱可能に螺合するための内ネジを含み、前記コネクタは、前記第二端部と前記第二針との間に設けられて前
記流路と前記第二針とを隔離させる逆止パッキンを含む、請求項15に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項24】
前記接続口は、前記第一通路、前記第二通路、弾性体、漏れ防止リング及び前記
少なくとも1つの軟栓を含み、前記第一通路は、前記第一キャビティに連通し、前記第二通路は、前記第二キャビティに連通し、前記漏れ防止リングは、前記第一通路及び前記第二通路の一端に気密に固設されている、請求項1に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項25】
前記接続口に着脱可能に接続されるコネクタを含み、前記コネクタは、互いに背向する第一端部及び第二端部を含み、前記第一端部は、同じ方向に隣り合って配列された第一針及び第二針を含み、前記
少なくとも1つの軟
栓は、
1つの第一軟栓と1つの第二軟栓を含み、前記コネクタの前記第一端部が前記接続口に接続されると、前記第一針の頂部凹面が前記
第一軟
栓に押し当てられ、前記第二針の頂部凹面が前記
第二軟
栓に押し当てられ、且つ前記第一針が前記第一通路に対応して連通するのに対して、前記第二針が前記第二通路に対応して連通し、前記コネクタの前記第二端部は、前記薬液容器に着脱可能に接続され、且つ前記第二端部が前記第一端部の前記第一針に連通している、請求項24に記載の密閉調薬投薬装置。
【請求項26】
前記コネクタの前記第一端部が前記接続口に接続されると、前記第一針の頂部凹面が前記
第一軟
栓に押し当てられ、前記第二針の頂部凹面が前記
第二軟
栓に押し当てられ、且つ前記
第一軟栓
と前記第二軟栓が前記弾性体を押し当てることで、前記弾性体が前記吸引注入管の前記第二ポートへ圧縮される、請求項25に記載の密閉調薬投薬装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】