(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】治療用液体を定量供給するための定量供給デバイス及び定量供給方法
(51)【国際特許分類】
G01F 13/00 20060101AFI20230713BHJP
G01F 11/02 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
G01F13/00 321Z
G01F11/02
G01F13/00 301
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579069
(86)(22)【出願日】2021-06-14
(85)【翻訳文提出日】2022-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2021065972
(87)【国際公開番号】W WO2022002572
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】102020117012.2
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】スタインボーン,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ボッツェム,ペトラ
(72)【発明者】
【氏名】ビー,マルクス
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、治療用液体を供給するための容器(10)を備えて、治療用液体を支持要素(34)上に定量供給するための定量供給デバイスに関する。特にポンプを有する液体分注デバイス(14)が容器(10)に連結されている。治療用液体を支持要素(34)に定量供給するための定量供給ヘッド(18)が液体分注デバイス(14)に連結されている。治療用液体の供給中に定量供給ヘッド(18)を移動させるための移動デバイス(24)が、支持要素(34)への治療用液体の適用を均一にするために設けられている。本発明は、対応する方法に更に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用液体を支持要素(34)上に定量供給するための定量供給デバイスであって、
治療用液体を供給するための容器(10)と、
前記容器(10)に流体連結されている液体分注デバイス(14)と、
前記液体分注デバイス(14)によって送られる治療用液体を前記支持要素(34)に分注するために前記液体分注デバイス(14)に流体連結されている定量供給ヘッド(18)と、
少なくとも治療用液体の送出中に前記定量供給ヘッド(18)を移動させるために前記定量供給ヘッド(18)に連結されている移動デバイス(24)と
を備えている、定量供給デバイス。
【請求項2】
前記移動デバイス(24)は、前記定量供給ヘッド(18)の特に160 °~180 °の回動移動及び/又は回転移動を生じさせる、請求項1に記載の定量供給デバイス。
【請求項3】
前記定量供給ヘッド(18)は少なくとも2つの定量供給ユニット(21)を有している、請求項1又は2に記載の定量供給デバイス。
【請求項4】
少なくとも2つの定量供給ユニット(21)は、特に回動軸芯(26)に関して互いに対向して配置されている、請求項3に記載の定量供給デバイス。
【請求項5】
前記定量供給ユニット(21)は少なくとも2つの定量供給ノズル(22)を有している、請求項3又は4に記載の定量供給デバイス。
【請求項6】
前記定量供給ヘッド(18)は昇降デバイス(28)に連結されている、請求項1~5のいずれか1つに記載の定量供給デバイス。
【請求項7】
前記液体分注デバイス(14)は、一又は複数のポンプ、特に回転式ピストンポンプ及び/又は揺動式ピストンポンプを有している、請求項1~6のいずれか1つに記載の定量供給デバイス。
【請求項8】
前記移動デバイス(24)は、回動駆動部、特に空気圧式回動駆動部を有している、請求項1~7のいずれか1つに記載の定量供給デバイス。
【請求項9】
経皮治療システム(TTS) を製造するためのデバイスであって、
支持要素(34)のための供給デバイス(39)と、
治療用液体を前記支持要素(34)上に定量供給するための、請求項1~8のいずれか1つに記載の定量供給デバイスと、
治療用液体が前記支持要素(34)及びカバー要素間にあるように構成されている、少なくとも1つのカバー要素のための供給デバイスと、
前記支持要素及び前記カバー要素を切断及び/又は穿孔することにより、個々の経皮治療システムを製造するための切断デバイスと
を備えている、デバイス。
【請求項10】
特に請求項1~8のいずれか1つに記載の定量供給デバイスによって、治療用液体を支持要素(34)上に定量供給するための方法であって、
治療用液体を、分注デバイスによって支持要素上に定量供給し、
前記治療用液体の定量供給中、前記分注デバイスに流体連結されている定量供給ヘッドを移動させる、方法。
【請求項11】
前記定量供給ヘッドを回動及び/又は回転させる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記治療用液体の定量供給中、前記定量供給ヘッドを160 °~180 °回動及び/又は回転させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記定量供給ヘッドを定量供給後に最初の位置に戻す、特に回転又は回動させて戻す、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項14】
定量供給後又は定量供給処理の終わりに前記定量供給ヘッドを持ち上げる、請求項10又は11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療用液体を支持要素上に定量供給するための定量供給デバイスに関する。本発明は更に、治療用液体を支持要素上に定量供給するための方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
経皮治療システム(TTS) は、薄い吸収性マトリクスなどの支持要素を備えている。このような経皮治療システムの既知の製造方法では、治療用液体を、タンポン法によってマトリクス、特に吸収性マトリクスに与える。吸収性マトリクスを使用して透明なTTS を製造することはできない。タンポン法によるマトリクス、特に粘着マトリクス上への定量供給により、供給される治療用液体の量のばらつきが大きくなる。
【0003】
本発明の目的は、供給される治療用液体の量のばらつきを低下させることができる、治療用液体を支持要素上に定量供給するための定量供給デバイスを提供することである。また、本発明の目的は、対応する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、請求項1に係る定量供給デバイス及び請求項10に係る方法によって達成される。
【0005】
治療用液体を、特に透明なマトリクスなどの支持要素上に定量供給するための本発明に係る定量供給デバイスは、治療用液体を供給するための容器を備えている。液体分注デバイスが容器に流体連結されている。特に一又は複数のポンプを有する液体分注デバイスは定量供給ヘッドに流体連結されている。定量供給ヘッドを使用して、液体分注デバイスによって送られる治療用液体を支持要素の上面に又は上面上に分注する。本発明によれば、移動デバイスが定量供給ヘッドに連結されている。移動デバイスを使用して、治療用液体を分注しながら定量供給ヘッドを移動させることが可能である。これにより、液体の分注中の液体の分配を実現している。従って、特に治療用液体の均一な層を有するTTS に関して良好な結果を達成することができる。特に、これは、治療薬が患者に最適に分注され得ることを確実にする役割を果たす。
【0006】
本発明に従って設けられている移動デバイスを用いて、特に定量供給ヘッドの回動移動又は回転移動が行われる。ここで、160 °~180 °の回動移動又は回転移動が好ましい。
【0007】
支持要素上への治療用液体の定量供給を更に向上させるために、定量供給ヘッドが少なくとも2つの定量供給ユニットを有していることが好ましい。更に好ましい実施形態では、前記少なくとも2つの定量供給ユニットは、互いに対向して、特に回動軸芯に対向して配置されている。定量供給ヘッド、ひいては少なくとも2つの定量供給ユニットが夫々160 °~180 °回動又は回転する場合、治療用液体は、略完全な円形で支持要素に供給される。2つの定量供給ユニットを互いに対向して設けて、少なくとも180 °回動させる場合、治療用液体の完全な円形が支持要素上に形成される。このため、治療用液体が支持要素上に非常に均一に供給される。
【0008】
任意に、2を超える定量供給ユニットが設けられてもよい。ここで、回動角又は回転角が定量供給ユニットの数に適合されることが好ましい。例えば、好ましくは90°偏移して配置されている4つの定量供給ユニットが設けられている場合、定量供給ユニットを支持する定量供給ヘッドは約80°~90°回転又は回動する。結果として、治療用液体の実質的に完全な円形がここでも支持要素上に形成される。
【0009】
更に好ましい実施形態では、各定量供給ユニットは少なくとも2つの定量供給ノズルを有している。この点に関して、治療用液体の2つの部分的な円形路が支持要素上に形成される。結果として、治療用液体の2つの実質的に完全な環が支持要素上に形成されることが好ましい。これにより、治療用液体の均一な分注を更に向上させることもできる。
【0010】
定量供給処理の完了後、特に、回転式ピストンポンプ又は揺動式ピストンポンプを好ましくは有する液体分注デバイスによって液体が分注されなくなることにより、治療用液体の分注は停止される。特に、定量供給ノズルは、治療用液体の超過を防ぐためにバルブを有してもよい。治療用液体が超過すると、定量供給ヘッド及び支持要素の相対的な移動の際に治療用材料が2つの隣り合う支持要素間に流出し、くっきりとした縁部になり得ない。これは、TTS の外縁部領域に有効成分が存在すべきではない点で不利である。その理由は、支持要素がカバー要素で閉じられて、例えば運搬中に治療用液体が周方向の縁部領域に漏れ得ないように支持要素とカバー要素との固定連結がこの周方向の縁部領域で確保されなければならないためである。また、治療用液体が定量供給ノズルに引き戻されるように、液体分注デバイスによって治療用液体を引き戻すか又は送り戻すことが可能である。このため、滴り落ちたり溢れたりすることを防ぐことが可能である。
【0011】
本発明に係る定量供給デバイスの特に好ましい実施形態では、定量供給ヘッドは昇降デバイスに連結されている。このような昇降デバイスを設けることにより、治療用液体を分注した後に定量供給ヘッドを持ち上げることが可能である。これは、液体の分注が中断されるときに量の超過のリスクを低下させることを意味する。特に、昇降デバイスを設けることにより、バルブ無しで定量供給ノズルを設けることが可能である。分注後に定量供給ヘッドを持ち上げて、次の分注のために定量供給ヘッドを再度下げることは、液体があるTTS から次のTTS に流出するのを防ぐのに十分である。
【0012】
定量供給ヘッドの上昇及び下降の両方を生じさせる昇降デバイスは空気圧で動作することが好ましい。定量供給ヘッドを回動又は回転させるための移動デバイスは、電気的に又は空気圧で動作可能である。
【0013】
更に本発明は、経皮治療システム(TTS) を製造するためのデバイスに関する。前記デバイスは、ベルトコンベアなどの供給デバイスを備えている。供給デバイスは、支持要素を供給するために使用される。支持要素は、例えば、後で切断される連続的な材料とすることが可能である。更に、デバイスは上述したような定量供給デバイスを備えている。定量供給デバイスは、治療用液体を支持要素上に定量供給するために使用される。特に、対応する製品が切断又は穿孔によって製造され得るように、液体は連続的な支持要素上に一定間隔で定量供給される。加えて、デバイスは、少なくとも1つのカバー要素のための少なくとも1つの供給デバイスを備えている。ここで、支持要素が覆われるように、治療用液体が定量供給デバイスによって与えられた後にカバー要素が供給されることが好ましい。結果として、治療用液体が支持要素及びカバー要素間にある。連続的な材料を使用する場合、対応する製品を切断又は穿孔によって製造するために切断・穿孔デバイスが設けられてもよい。
【0014】
更に本発明は、治療用液体を支持要素上に定量供給するための方法に関する。特に、本発明に係る方法は、本発明に係る定量供給デバイス、特に上述したような経皮治療システムを製造するためのデバイスを用いて行われる。
【0015】
本発明に係る方法によれば、治療用液体を、分注デバイスによって支持要素上に定量供給する。ここで、本発明によれば、治療用液体を支持要素上に可能な限り均一に与えるために、分注デバイスに流体連結されている定量供給ヘッドが、治療用液体の定量供給中に移動する。
【0016】
定量供給ヘッドの移動に加えて又は移動の代わりに、支持要素が適宜移動することが更に可能である。
【0017】
定量供給ヘッドが回動又は回転することが好ましく、定量供給ヘッドが、液体の分注中に160 °~180 °回転することが特に好ましい。
【0018】
定量供給後、定量供給ヘッドは最初の位置に戻り、特に回動又は回転して戻る。定量供給後又は定量供給処理の終わりに定量供給ヘッドを持ち上げることが更に好ましい。定量供給前に定量供給ヘッドを再び下げる。
【0019】
本発明に係る方法の有利な更なる展開例は、定量供給デバイス及び経皮治療システムを製造するためのデバイスを用いて更に上述されている。
【0020】
以下に、添付図面を参照して好ましい実施形態によって本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】定量供給デバイスを示す非常に簡略化した側面略図である。
【
図2】
図1の矢印IIの方向に沿って支持要素を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
非常に簡略化された実施形態では、定量供給デバイスは、治療用液体を蓄える容器10を備えている。容器10は、ライン12を介して液体分注デバイス14に流体連結されている。ここで、液体分注デバイス14は、ポンプ、好ましくは回転式ピストンポンプ又は揺動式ピストンポンプを特に有している。液体分注デバイス14は、ライン16を介して定量供給ヘッド18に連結されている。ノズル22につながるライン20が、定量供給ヘッド18内に配置されている。
【0023】
図示された例示的な実施形態では、夫々2つのノズル22が定量供給ユニット21を形成している。
【0024】
更に、定量供給ヘッド18は移動デバイス24に連結されている。移動デバイス24によって、中心軸芯26を中心として定量供給ヘッド18を回転又は回動させることが可能である。
【0025】
加えて、昇降デバイス28が定量供給ヘッド18に連結されている。昇降デバイス28を使用して、定量供給ヘッド18を矢印30の方向に昇降させることが可能である。
【0026】
定量供給ヘッド18の底部側32が、
図1に示されている供給デバイス39によって左側から右側に運搬される。
【0027】
対応する製品を製造するために、定量供給処理で治療用液体が供給され、供給処理中、図示されている実施形態の定量供給ヘッド18は、軸芯26を中心として(矢印36の方向に)180 °回動する。ここで、図示されている例示的な実施形態の治療用液体が4つのノズルを通して分注される。定量供給処理後、定量供給ヘッドは、昇降デバイス28によって(矢印30の方向に)持ち上げられる。次に、支持要素34が、次の定量供給処理に備えて図の右側(矢印38の方向)に移動する。その後、定量供給ヘッド18を再び下げて、次の定量供給処理を開始することが可能である。
【0028】
図2は、半円形40, 42で夫々行われた定量供給を支持要素34の上側で概略的に示す。
【0029】
次の工程で、図示されていないカバー要素を、同様に図示されていない供給デバイスによって供給する。カバー要素は、治療用液体が支持要素34及びカバー要素間にあるように配置される。このようにして、切断又は穿孔デバイスを使用して、図示されている例示的な実施形態では特に円形の製品を製造することが可能である。
【国際調査報告】