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特表2023-531229光硬化型3Dプリンタ及びプリンティング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】光硬化型3Dプリンタ及びプリンティング方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/255 20170101AFI20230713BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230713BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230713BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20230713BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20230713BHJP
   B29C 64/364 20170101ALI20230713BHJP
【FI】
B29C64/255
B33Y30/00
B33Y10/00
B29C64/124
B29C64/245
B29C64/364
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579126
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(85)【翻訳文提出日】2022-12-21
(86)【国際出願番号】 CN2021101143
(87)【国際公開番号】W WO2021259178
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】202010574588.7
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516165859
【氏名又は名称】プリズムラボ チャイナ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】弁理士法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホウ フェン
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AA44
4F213AP02
4F213AR02
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL32
4F213WL72
4F213WL73
4F213WL74
4F213WL92
(57)【要約】
本発明は、光硬化型3Dプリンタ及びプリンティング方法を提供する。該装置は、液体感光樹脂を収容することに適し、一端面が透光パネルを含む筐体と、筐体内に設けられ、成形ワークを載置するために用いられる載置ステージと、載置ステージを駆動して透光パネルに近づけたり、透光パネルから遠ざけたりするように移動させるために用いられる駆動機構と、光学系であって、筐体の外部に位置しかつ透光パネルと対向する露光装置を含み、露光装置が光出射側からビームパターンを照射することに適し、筐体内の透光パネルに密着する液体感光樹脂の層を制御可能に硬化させるものと、筐体に設けられ、筐体の内部の圧力を調整するための圧力調整素子であって、少なくとも載置ステージが前記透光パネルから遠ざける間に、成形ワークを透光パネルから分離するために、筐体の内部が受ける環境気圧を低減するために用いられるものとを含む。本発明は高精度が要求される精密な3Dモデルプリンティングに適する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化型3Dプリンタであって、
液体感光樹脂を収容することに適し、一端面が透光パネルを含む筐体と、
前記筐体内に設けられ、成形ワークを載置するために用いられる載置ステージと、
前記載置ステージを駆動して前記透光パネルに近づけたり、前記透光パネルから遠ざけたりするように移動させるために用いられる駆動機構と、
光学系であって、前記筐体の外部に位置しかつ前記透光パネルと対向する露光装置を含み、前記露光装置が光出射側からビームパターンを照射することに適し、前記筐体内の前記透光パネルに密着する液体感光樹脂の層を制御可能に硬化させるものと、
前記筐体に設けられ、前記筐体の内部の圧力を調整するための圧力調整素子であって、少なくとも前記載置ステージが前記透光パネルから遠ざけている間、前記成形ワークを前記透光パネルから分離するために、前記筐体の内部が受ける環境気圧を低減するために用いられるものとを含む、光硬化型3Dプリンタ。
【請求項2】
前記圧力調整素子は、前記成形ワークが前記透光パネルから分離された後に、前記筐体の内部が受ける環境気圧を少なくとも部分的に回復させるために用いられる、請求項1に記載の光硬化型3Dプリンタ。
【請求項3】
前記成形ワークのプリンティング中、前記筐体は密閉されたままであり、前記液体感光樹脂で満たされる、請求項1に記載の光硬化型3Dプリンタ。
【請求項4】
前記駆動機構は、前記筐体の外部に設置され、かつ前記筐体を貫通する接続ロッドによって前記載置ステージに接続される、請求項1に記載の光硬化型3Dプリンタ。
【請求項5】
前記透光パネルは、前記液体感光樹脂と接触する側に、非粘着性材料である接触層を有する、請求項1に記載の光硬化型3Dプリンタ。
【請求項6】
前記圧力調整素子は、
前記筐体内の液体感光樹脂と接触するピストンと、
前記ピストンに接続され、前記ピストンを往復移動させるように駆動する駆動器とを含む、請求項1又は2に記載の光硬化型3Dプリンタ。
【請求項7】
前記圧力調整素子は、
前記筐体に接続される第2配管であって、前記筐体内の液体感光樹脂と接触するガスが含まれるものと、
前記第2配管に接続される第2ポンプであって、前記第2配管にガスを供給し、前記第2配管からガスを吸引するために用いられるものとを含む、請求項1又は2に記載の光硬化型3Dプリンタ。
【請求項8】
液体感光樹脂を貯蔵するための、前記筐体に接続されるマガジンと、
前記マガジンに接続される第1ポンプであって、プリンティングを開始する前に前記マガジン内の液体感光樹脂を前記筐体に注入して、前記筐体内を液体感光樹脂で満たさせ、かつプリンティング終了後に前記筐体内の液体感光樹脂を前記マガジンに逆注入するために用いられるものと、
前記筐体に連通する通気弁であって、液体感光樹脂が前記筐体内に注入される際、及び液体感光樹脂が前記マガジン内に逆注入される際に開放され、前記成形ワークのプリンティング中に閉鎖されるものとを更に含む、請求項1に記載の光硬化型3Dプリンタ。
【請求項9】
前記筐体の内部の圧力を測定するための圧力計を更に含む請求項1に記載の光硬化型3Dプリンタ。
【請求項10】
前記露光装置の光出射側と前記透光パネルとの間の空間は、浸漬液体で満たされ、これにより、前記光出射側から照射された光線は、前記浸漬液体を透過してから前記筐体内の液体感光樹脂に到達する、請求項1に記載の光硬化型3Dプリンタ。
【請求項11】
光硬化型3Dプリンティング方法であって、
液体感光樹脂を収容する筐体内の載置ステージをプリンティング位置に移動させることと、
光学系が前記筐体上の透光パネルにビームパターンを照射し、前記ビームパターンが前記透光パネルを透過して液体感光樹脂を制御可能に硬化させ、前記載置ステージに成形ワークの層を形成することと、
前記筐体の内部が受ける環境気圧を低減することと、
前記載置ステージを前記透光パネルから遠ざける方向に移動させて、前記成形ワークと前記透光パネルとを分離させることと、
前記筐体の内部が受ける環境気圧を少なくとも部分的に回復することと、
前記載置ステージを次回のプリンティング位置に移動させることとを含む、光硬化型3Dプリンティング方法。
【請求項12】
プリンティングを開始する前に、筐体上の、マガジンに接続される通気弁を開放し、前記マガジンから前記筐体内に液体感光樹脂を注入することと、
プリンティングを開始する前に前記通気弁を閉鎖することと、
プリンティング終了後、前記通気弁を開放し、前記筐体内の液体感光樹脂を前記マガジンに逆注入することとを更に含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元(3D)プリンタに関し、特に、光硬化型3Dプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
3Dプリンティング技術とは、コンピュータの3次元設計モデルをもとにして、ソフトウェアによってモデルを分層し、レーザビーム、熱溶融ノズルなどの方式で金属粉末、セラミックス粉末、プラスチック、細胞組織などの特殊材料を層ごとに積み上げて粘着し、最終的に重ねて成形し、実体製品を製造するということである。伝統的な製造業において、金型、旋削などの機械加工方式によって原材料に対して、定型、切削などの方式で最終製品を生産するのとは異なって、3Dプリンティングは3次元実体をいくつかの2次元平面に変え、材料を処理し、かつ層ごとに重ねて生産することによって、製造の複雑さを大幅に低減する。このデジタル化製造モデルは複雑なプロセスを必要とせず、巨大な工作機械を必要とせず、多くの人力を必要とせず、直接、コンピュータのグラフィックデータから任意の形状の部品を生成することができ、生産や製造をより広い生産人群の範囲に拡張することができる。
【0003】
現在、3Dプリンティング技術の成形方式は絶えず進化しており、様々な成形方式の中で、光硬化法は比較的に成熟した方式である。光硬化法とは、感光材料(通常、感光樹脂)が紫外線レーザーで照射されて硬化するという原理を利用し、材料の累積成形を行うことを指し、成形精度が高く、表面平滑度がよく、材料利用率が高いなどの特徴を有する。
【0004】
ビームと受液槽との相対位置によって、光硬化型3Dプリンタは、一般に、上置きタイプ、下置きタイプ、又は横置きタイプに分類される。図1は上置きタイプ光硬化型3Dプリンタの概略構成図であり、ここでは、光学系120は受液槽110の上方に位置し、ビームは上方から受液槽110内の液体感光樹脂に照射する。図1を参照すると、該3Dプリンタ100は、液体感光樹脂を収容するための受液槽110と、感光樹脂を硬化させるための光学系120と、成形ワークに接続するための昇降ステージ130とを含む。光学系120は、受液槽110の上方に位置し、ビームパターンを照射して、受液槽110の最上部の感光樹脂の層を、該ビームパターンによって硬化させ、該層の硬化済みの感光樹脂は、プリンティングされる3次元ワークの層であり、成形ワークの層と呼ばれる。光学系120がビームパターンを照射して感光樹脂の層を硬化させる度に、昇降ステージ130は僅かに下降してこの成形ワークの層を所定の距離だけ下降させる。この場合、3Dプリンタ100における塗布装置(図示せず)は、液体感光樹脂を成形ワークの表面に塗布して次回の照射に含む。このように循環して、3次元モデルの最下層から最上層まで1層ずつプリンティングし、累積して成形される3次元ワークを得る。
【0005】
しかしながら、塗布装置を用いると、塗布ムラという問題が生じてプリンティング精度に影響し、特にマイクロメーター、ナノメーターオーダーの3次元プリンティングの場合、塗布ムラがプリンティング精度に与える影響は大きく、ほとんど実現できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、圧力調整機能を有する光硬化型3Dプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的問題を解決するために、本発明は、液体感光樹脂を収容することに適し、一端面が透光パネルを含む筐体と、前記筐体内に設けられ、成形ワークを載置するために用いられる載置ステージと、前記載置ステージを駆動して前記透光パネルに近づけたり、前記透光パネルから遠ざけたりするように移動させるために用いられる駆動機構と、光学系であって、前記筐体の外部に位置しかつ前記透光パネルと対向する露光装置を含み、前記露光装置が光出射側からビームパターンを照射することに適し、前記筐体内の前記透光パネルに密着する液体感光樹脂の層を制御可能に硬化させるものと、前記筐体に設けられ、前記筐体の内部の圧力を調整するための圧力調整素子であって、少なくとも前記載置ステージが前記透光パネルから遠ざけている間、前記成形ワークを前記透光パネルから分離するために、前記筐体の内部が受ける環境気圧を低減するために用いられるものとを含む光硬化型3Dプリンタを提供する。
【0008】
本発明の一実施例において、前記圧力調整素子は、前記成形ワークが前記透光パネルから分離された後に、前記筐体の内部が受ける環境気圧を少なくとも部分的に回復させるために用いられる。
【0009】
本発明の一実施例において、前記成形ワークのプリンティング中、前記筐体は密閉されたままであり、前記液体感光樹脂で満たされる。
【0010】
本発明の一実施例において、前記駆動機構は、前記筐体の外部に設置され、かつ前記筐体を貫通する接続ロッドによって前記載置ステージに接続される。
【0011】
本発明の一実施例において、前記透光パネルは、前記液体感光樹脂と接触する側に、非粘着性材料である接触層を有する。
【0012】
本発明の一実施例において、前記圧力調整素子は、前記筐体内の液体感光樹脂と接触するピストンと、前記ピストンに接続され、前記ピストンを往復移動させるように駆動する駆動器とを含む。
【0013】
本発明の一実施例において、前記圧力調整素子は、前記筐体に接続される第2配管であって、前記筐体内の液体感光樹脂と接触するガスが含まれるものと、前記第2配管に接続される第2ポンプであって、前記第2配管にガスを供給し、前記第2配管からガスを吸引するために用いられるものとを含む。
【0014】
本発明の一実施例において、液体感光樹脂を貯蔵するための、前記筐体に接続されるマガジンと、前記マガジンに接続される第1ポンプであって、プリンティングを開始する前に前記マガジン内の液体感光樹脂を前記筐体に注入して、前記筐体内を液体感光樹脂で満たさせ、かつプリンティング終了後に前記筐体内の液体感光樹脂を前記マガジンに逆注入するために用いられるものと、前記筐体に連通する通気弁であって、液体感光樹脂が前記筐体内に注入される際、及び液体感光樹脂が前記マガジン内に逆注入される際に開放され、前記成形ワークのプリンティング中に閉鎖されるものとを更に含む。
【0015】
本発明の一実施例において、前記筐体の内部の圧力を測定するための圧力計を更に含む。
【0016】
本発明の一実施例において、前記露光装置の光出射側と前記透光パネルとの間の空間は、浸漬液体で満たされ、これにより、前記光出射側から照射された光線は、前記浸漬液体を透過してから前記筐体内の液体感光樹脂に到達する。
【0017】
上記技術的問題を解決するために、本発明は、液体感光樹脂を収容する筐体内の載置ステージをプリンティング位置に移動させることと、光学系が前記筐体上の透光パネルにビームパターンを照射し、前記ビームパターンが前記透光パネルを透過して液体感光樹脂を制御可能に硬化させ、前記載置ステージに成形ワークの層を形成することと、前記筐体の内部が受ける環境気圧を低減することと、前記載置ステージが前記透光パネルから遠ざける方向に移動して、前記成形ワークと前記透光パネルとを分離させることと、前記筐体の内部が受ける環境気圧を少なくとも部分的に回復することと、前記載置ステージを次回のプリンティング位置に移動させることと、を含む光硬化型3Dプリンティング方法を更に提供する。
【0018】
本発明の一実施例において、プリンティングを開始する前に、筐体上の、マガジンに接続される通気弁を開放し、前記マガジンから前記筐体内に液体感光樹脂を注入することと、プリンティングを開始する前に前記通気弁を閉鎖することと、プリンティング終了後、前記通気弁を開放し、前記筐体内の液体感光樹脂を前記マガジンに逆注入することとを更に含む。
【0019】
従来技術と比較して、本発明は以下の利点を有する:本発明の圧力調整素子は筐体の内部の圧力を調整することができ、筐体の内部が受ける環境気圧を低減することによって載置ステージが成形ワークを駆動して透光パネルから遠ざける時に遭遇する抵抗を低下させ、成形ワークの成功率及び完全性を保護することができ、筐体の内部が受ける環境気圧を少なくとも部分的に回復することによって筐体及び透光パネルの変形を防止することができ、高精度が要求される精密な3Dモデルプリンティングに有利であり、かつ液体感光樹脂がプリンティング領域に流入する速度及び充満度を向上させることに有利であり、3Dプリンティングの効率と品質を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより明確に理解するために、以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。
図1】上置きタイプ光硬化型3Dプリンタの概略構成図である。
図2】本発明の一実施例に係る光硬化型3Dプリンタの概略構成図である。
図3】本発明の更なる実施例に係る光硬化型3Dプリンタの概略構成図である。
図4A】本発明の更なる実施例に係る光硬化型3Dプリンタの概略構成図である。
図4B】本発明の更なる実施例に係る光硬化型3Dプリンタの概略構成図である。
図5】本発明の更なる実施例に係る光硬化型3Dプリンタの概略構成図である。
図6】本発明の一実施例に係る光硬化型3Dプリンティング方法の例示的なフローチャートである。
図7A】本発明の一実施例による光硬化型3Dプリンティング方法の手順を示す概略図である。
図7B】本発明の一実施例による光硬化型3Dプリンティング方法の手順を示す概略図である。
図7C】本発明の一実施例による光硬化型3Dプリンティング方法の手順を示す概略図である。
図7D】本発明の一実施例による光硬化型3Dプリンティング方法の手順を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより明確に分かりやすくするために、以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。
【0022】
以下の説明では、本発明の完全な理解を容易にするために、多くの具体的な詳細を記載するが、本発明は、本明細書に記載のものとは異なる他の方法で実施することもでき、したがって、本発明は、以下に開示する特定の実施形態に限定されるものではない。
【0023】
本出願及び特許請求の範囲に示されるように、文脈が例外を明示的に示唆しない限り、「一」、「1つ」、「1種」、及び/又は「該」などの用語は、単数形を特に意味するものではなく、複数形も含むことができる。一般に、用語「含む」及び「含み」は、明確に識別されたステップ及び要素を含むことを単に意味するものであり、これらのステップ及び要素は、排他的なリストを構成するものではなく、方法又は装置は、他のステップ又は要素も含み得る。
【0024】
本発明において、フローチャートを用いて本発明の実施例に従って実行される操作を説明する。前後の動作は、必ずしも順番どおりに正確に行われるものではないと理解されたい。逆に、様々なステップは、逆順又は同時に処理することができる。同時に、別の操作をこれらの手順に追加したり、これらの手順から1つ又は複数の操作を削除したりすることもできる。
【0025】
図2は本発明の一実施例に係る光硬化型3Dプリンタの概略構成図である。図2を参照すると、該光硬化型3Dプリンタ200は、筐体210と、載置ステージ220と、駆動機構230と、光学系240と、圧力調整素子250とを含む。なお、図2は、上置きタイプの3Dプリンタを例として本発明の実施例を説明するが、本発明に係る光硬化型3Dプリンタのプリンティング方式を限定するものではない。本発明の光硬化型3Dプリンタは、上置きタイプ、下置きタイプ又は横置きタイプなどの方式であってもよい。
【0026】
筐体210は、液体感光樹脂を収容するために用いられる。図2に示すように、該筐体210はすでに、ワークを成形するために用いられる液体感光樹脂で満たされている。図2は該筐体210の正面断面図であり、ここでは、該筐体210の形状は直方体であり、閉鎖可能な箱体である。図2は、筐体210の具体的な形状を限定することを意図していない。他の実施例において、筐体210の形状は、円筒形など、任意の適切な形状であってもよい。
【0027】
図2を参照すると、筐体210の一端面211には、透光パネル212がある。光学系240から照射されたビームは、該透明パネル212を透過して、端面211の下方にある液体感光樹脂に到達し、ビームに照射された液体感光樹脂は、硬化されて成形ワークを形成する。液体感光樹脂のプリンティング厚さ(層厚)は、光学系240の照射パラメータと、載置ステージ220上の成形ワークの上面と透光パネル212の下面との間の距離とによって決定される。直方体の筐体210の場合、該端面211は、該直方体の光学系240に向く方向の面である。なお、本発明は、透光パネル212の大きさや形状を制限せず、該透光パネル212は、面積が端面211以下である任意の形状であればよい。好ましくは、該透光パネル212はガラスである。筐体210の表面は、強度を高めるために、透光パネル212を除いて、光不透過性の材料で構成される。
【0028】
本発明の3Dプリンタは、透光パネル212を採用しているため、塗布装置を用いる必要がなく、塗布ムラによる精度の問題を避け、プリンティング精度を向上させることができる。
【0029】
いくつかの実施例において、透光パネル212の液体感光樹脂と接触する側は、該透光パネル212の下面であり、該下面には、非粘着性材料である接触層が設置される。該接触層は、硬化後の樹脂が透光パネル212の下面に付着するのを防止し、硬化した樹脂を外力によって筐体の内部の下面から容易に分離させることができる。他の実施例において、例えば高精度のマイクロ-ナノメータプリンティングにおいて、精度要求が高いために、ガラス、すなわち透光パネル212上に直接、不粘着層をめっきする解決案がしばしば採用される。
【0030】
図2を参照すると、載置ステージ220は、成形ワークを載置するために、筐体210の内部に設置される。図2に示す状態では、プリンティングはまだ開始されておらず、載置ステージ220の上面には成形済みのワークがまだ載置されていない。
【0031】
図2を参照すると、筐体210の下方には、載置ステージ220に接続され、載置ステージ220を駆動して透光パネル212に近づけたり、遠ざけたりするように移動させるための駆動機構230が設けられる。図2に示す実施例において、駆動機構230は、載置ステージ220を垂直方向に上下移動させるように駆動する。下置きタイプの3Dプリンタの場合、駆動機構230は、また、載置ステージ220を垂直方向に上下移動させるように駆動する。横置きタイプの3Dプリンタの場合、駆動機構230は、載置ステージ220を水平方向に左右に移動させるように駆動する。
【0032】
図2に示す実施例において、駆動機構230は、主に筐体210の外部に設置され、かつ筐体210を貫通する接続ロッド231によって載置ステージ220に接続され、それにより、載置ステージ220の移動を駆動する。接続ロッド231は親ねじであってもよい。該接続ロッド231は、筐体210内の液体感光樹脂が漏れ出さないように設けられ、例えば、接続ロッド231と筐体210とが交わる部分にシールガスケットなどを設ける。
【0033】
図2を参照すると、光学系240は、筐体210の外部に位置し、かつ透光パネル212に対応する露光装置241を含む。該露光装置241は、光出射側241aからビームパターンを照射することに適し、それにより、筐体210内の、透光パネル212に密着される液体感光樹脂の層を、制御可能に硬化させる。図2に示される実施例において、露光装置241は、筐体210の上方に位置し、その光出射側241aは、露光装置241の透光パネル212に近い側に位置する。光出射面241aと透光パネル212との間には、一定の間隔及び隙間がある。図2に示すものは、光出射側241aと透光パネル212との間の距離を制限するものではなく、該距離は、必要に応じて設定することができる。なお、図2に示す光学系240は、模式的なものに過ぎず、本発明の光学系240の具体的な構成を制限するものではない。
【0034】
なお、図2に示す上置きタイプのプリンティング方式では、該光学系240は、筐体210の直上に位置しなくてもよく、光学系240から照射されたビームが筐体210の透光パネル212を上から下へ照射するものであればよい。例えば、光学系240は平行光を発し、筐体210の上方に鏡面を設け、鏡面反射によりビームを透光パネル212に照射させる。もちろん、該ビームは、透光パネル212に垂直に入射してもよいし、ある角度で傾斜させてもよい。
【0035】
図2を参照すると、圧力調整素子250は、筐体210に設けられ、筐体210の内部の圧力を調整するために用いられる。なお、自然状態では、筐体210の内部は液体感光樹脂で満たされているので、筐体210内部の圧力は液体感光樹脂の重力による圧力を含み、また、筐体210は大気環境にあるため、筐体210が受ける環境気圧(大気圧)も筐体210の内部に伝達される。圧力調整素子250は、筐体210の内部が受ける環境気圧を調整するためのものである。
【0036】
圧力調整素子250は、少なくとも載置ステージ220が透光パネル212から遠ざけている間、筐体210の内部が受ける環境気圧を減少させ、すなわち、筐体210の内部が受ける気圧を環境気圧よりも小さくするために用いられる。本発明において、環境気圧とは、筐体210の外部の環境気圧であり、通常は1気圧である。
【0037】
図2に示す実施例によれば、3Dプリンティング中、1層の成形ワークのプリンティングが完了した後、成形ワークと透光パネル212の下面との間に隙間がなく、大気圧が存在するため、成形ワークと透光パネル212の下面とは密着して分離が困難になる。
【0038】
大気圧を1kg/cmとし、成形ワークと透光パネル212との接触面積を5cmとすると、成形ワークと透光パネル212の下面を分離するのに必要な引張力(P)は、以下のとおりである:
P=1kg/cm*5cm=5kg=5*9.8N=49N
また、成形ワークの上面と透光パネル212の下面との間にも一定の粘着力が存在するため、載置ステージ220は、それにある成形ワークを下方に移動させる際に大きな抵抗を克服する必要があり、このような強引な引っ張りは、成形ワーク又は透光パネル212の損傷を引き起こす可能性がある。
【0039】
載置ステージ220が透光パネル212から遠ざけている間、すなわち、ある層の成形ワークのプリンティングが完了した後、圧力調整素子250は、筐体の内部の圧力を調整して、成形ワークが筐体210の内部で受ける圧力を低下させ、前述の抵抗を減少させ、載置ステージ220が粘着力に抗するだけでよく、該粘着力は、透光パネル212の下面にある接触層によって低減することができ、それによって、それにある成形ワークを容易に下方に移動させて、透光パネル212から分離することができる。
【0040】
圧力調整素子250が載置ステージ220の透光パネル212から遠ざけている間、筐体210の内部が受ける環境気圧を低減することは、載置ステージ220が透光パネル212から遠ざけるまでの動的過程にわたり、また、載置ステージ220がもうすぐ透光パネル212から遠ざける前の時間帯にもわたる。
【0041】
筐体210の内部が受ける気圧が環境気圧よりも小さい場合には、透光パネル212の上面及び下面が受ける圧力のアンバランスを引き起こし、すなわち、透光パネル212の上面は、依然として環境気圧にさらされるが、透光パネル212の下面が受ける圧力は、透光パネル212の上面が受ける環境気圧よりも低い。このアンバランスは、載置ステージ220が成形ワークを透光パネル212の下面から分離させるのを容易にするが、同時に、透光パネル212の変形を引き起こす可能性がある。露光時に透光パネル212が歪むと、プリンティング精度に影響する。
【0042】
いくつかの実施例において、圧力調整素子250は、成形ワークが透光パネル212から分離された後に、筐体210の内部が受ける環境気圧を少なくとも部分的に回復するためにも用いられる。ここで、「少なくとも部分的に回復する」とは、筐体210の内部が受ける環境気圧の一部のみを回復させること、筐体210の内部が受ける環境気圧を完全に回復させること、及び、筐体210の内部が受ける環境気圧を、本来受ける環境気圧よりも大きくすること、の3つの状況を含む。成形ワークが透明パネル212の下面からうまく分離されているので、このとき、圧力調整素子250によって筐体210の内部の環境気圧を回復し、透光パネル212の上下面が受ける気圧を均衡させ、透光パネル212をバランス状態に回復させ、長期変形による透光パネル212の損傷やプリンティング精度への影響がない。一方、筐体210の内部の環境気圧を回復させ、ひいては、筐体210内部の圧力を環境気圧より高くすることにより、液体感光樹脂で成形ワークと透光パネルとの間のプリンティング領域を満たすことを加速し、プリンティング効率を向上させることができる。
【0043】
他の実施例において、本発明の光硬化型3Dプリンタ200は、筐体210の内部の圧力を測定するための圧力計(図示せず)を更に含む。該圧力計は、筐体210の内部に位置してもよいし、筐体210上に位置してもよいし、該筐体210に接続されてもよい。該圧力計は、気圧又は液圧を測定するために使用することができる。圧力調整素子250は、筐体210の内部の圧力によってリアルタイムに調整する。例えば、圧力を増加させる必要がある場合、筐体210内部の圧力が、ある増圧閾値に達したと圧力計で測定したとき、増圧を停止する。また、圧力を減少させる必要がある場合、筐体210内部の圧力がある減圧閾値に達したと圧力計で測定したとき、減圧を停止する。
【0044】
いくつかの実施例において、圧力調整素子250は、ピストン及び駆動器を含む。図2には圧力調整素子250におけるピストン251が示されている。ピストン251は、筐体210の内部の液体感光樹脂と接触する。駆動器(図示せず)は、筐体210の外部にあり、かつピストン251に接続され、ピストン251を往復移動させるように駆動するために用いられる。ピストン251は、液体感光樹脂と接触するため、液体感光樹脂と接触する部分が液体感光樹脂と反応しない材料を用いるべきであることが理解される。図2に示す実施例において、駆動器がピストン251を駆動して筐体210から遠ざける方向に移動させる時、筐体210の内部が受ける環境気圧を打ち消すことができ、すなわち筐体210の内部が受ける環境気圧を低減し、駆動器がピストン251を駆動して筐体210に近づける方向に移動させる時、筐体210の内部が受ける環境気圧を回復することができる。したがって、載置ステージ220が透光パネル212から遠ざけている間、駆動器はピストン251を筐体210から遠ざける方向に移動させる。成形ワークが透光パネル212から分離された後、駆動器は、ピストン251を筐体210に近づける方向に移動させる。
【0045】
液体感光樹脂が硬化すると、プリンティング材料の液体から固体への変化は、ある程度の体積損失をもたらす。例えば、体積損失は5%であり、液体感光樹脂の体積が1cm3であれば、全部硬化後の固体感光樹脂の体積は0.95cm3である。本発明の圧力調整素子250におけるピストン251は、プリンティング材料の損失のバランスをとることもできる。筐体210内部の液体感光樹脂の体積が縮むにつれて、ピストン251の調整位置は、それに応じて変化することができる。例えば、ピストン251が第1位置にある場合、筐体210の内部が受ける環境気圧を低減することができ、ピストン251が第2位置にあるときに、筐体210の内部が受ける環境気圧を回復することができると仮定すると、プリンティング中に、該第1位置と第2位置の具体的な位置は、次第に変化するものである。
【0046】
いくつかの実施例において、ピストンと駆動器との間にバネ構造が更に含まれる。駆動器は、バネ構造によってピストンに接続され、ピストンが筐体210から遠ざけるとき、バネ構造は伸張され、ピストンが筐体210に近づくとき、バネ構造は圧縮される。バネ構造の張力を制御することによって筐体内の圧力を制御することができる。例えば、ピストンの断面積が1cmであると仮定すると、駆動器がピストンをある位置に動かすと、バネ構造は、1kgの張力を発生させれば、大気圧をほぼ打ち消し、筐体の内部の圧力を実質的にゼロにすることができる。
【0047】
図2に示す実施例において、ピストン251は、筐体210の、側面が頂面に近い位置にある。該位置は、筐体210の上面、すなわち、透光パネル212が位置する端面211に近い。本発明は、圧力調整素子250の具体的な位置を制限せず、該圧力調整素子250が筐体210上の任意の位置にも設置可能であり、同じ役割を果たすことができる。
【0048】
図2を参照すると、いくつかの実施例において、本発明の光硬化型3Dプリンタ200は、マガジン260と、第1ポンプ270と、筐体210と連通する通気弁280とを更に含む。該マガジン260は、十分な量の液体感光樹脂を貯蔵するためのものである。図2に示すように、マガジン260と筐体210との間には、連通配管271が設けられる。通常、プリンティングが開始される前に筐体210内に液体感光樹脂がなく、第1ポンプ270は、マガジン260に接続され、プリンティングを開始する前にマガジン260内に貯蔵された液体感光樹脂を筐体210内に注入し、プリンティングが終了した後に筐体210内の液体感光樹脂をマガジン260内に逆注入するために用いられる。筐体210内の液体感光樹脂がすべて抜き出された後、筐体210を開けて、プリンティングが完了した3D成形ワークを取り出すことができる。
【0049】
液体感光樹脂がマガジン260から筐体210に注入される時、通気弁280は、筐体210内のガスが排出されるように開放する必要がある。マガジン260に残った液体感光樹脂がマガジン260に逆注入する必要がある時、通気弁280も開放する必要があり、ガスを筐体210に進入させ、抜き取る時に直面する抵抗を低下させる。3Dプリンティング中に、通気弁280は、プリンティング中に筐体210内に空気が存在しないことを保証するために、閉鎖しなければならない。
【0050】
いくつかの実施例において、通気弁280と筐体210とマガジン260との間に第1配管281が更に含まれる。液体感光樹脂が筐体210内に注入されると、通気弁280を開放し、第1配管281には液体感光樹脂が溢れ出し、第1配管281を通ってマガジン260に戻る場合、通気弁280を閉鎖し、それにより、筐体210内の空気が完全に排出される。
【0051】
いくつかの実施例において、マガジン260は密閉キャビティであってもよく、マガジン260又は筐体210に圧力を導くことで、マガジン260と筐体210との間の液体感光樹脂の伝達を可能にする。
【0052】
図3は本発明の更なる実施例に係る光硬化型3Dプリンタの概略構成図である。図2に示す実施例と比較して、図3に示す実施例における圧力調整素子350が図2の圧力調整素子250と異なる以外に、図3に示す実施例にける素子は、図2と実質的に同じであり、したがって、図2の説明は、図3の素子の構造、形状、及び機能を説明するのに使用することができる。ここで、圧力調整素子350について、図3を参照して詳細に説明する。図3を参照すると、該光硬化型3Dプリンタ300における圧力調整素子350は、筐体210に接続される第2配管351と、該第2配管351に接続される第2ポンプ352とを含む。第2配管351は、1セグメントのガス351aと1セグメントの液体感光樹脂351bとを含む。第2ポンプ352は、第2配管351の筐体210から遠ざける端部に接続され、第2配管351にガスを注入したり、第2配管351からガスを吸引したりするために用いられる。好ましくは、第2ポンプ352はガスポンプである。
【0053】
第2配管351は、第2配管351内の液体感光樹脂351bが筐体210内の液体感光樹脂と接触するように、筐体210と連通する。図3に示す実施例において、第2配管351は、2セグメントの互いに垂直な配管を含み、第2ポンプ352は、垂直方向の配管の端部箇所に位置する。連通器原理によって、第2配管351内の1セグメントのガス351が環境気圧にある状態では、第2配管351に位置する液体感光樹脂の液面高さは、筐体210内の液体感光樹脂の液面高さと等しくすべきである。
【0054】
図3に示す実施例において、第2ポンプ352が第2配管351からガスを吸引する際に、筐体210の内部が受ける環境気圧を低減することができる。第2ポンプ352が第2配管351にガスを供給すると、筐体210の内部が受ける環境気圧を回復することができる。したがって、少なくとも載置ステージ220が透明パネル212から遠ざけている間、第2ポンプ352は、第2配管351からガスを吸引する。成形ワークが透光パネル212から分離された後、第2ポンプ352は、第2配管351にガスを供給する。
【0055】
第2ポンプ352がガスを供給するか、又はガスを吸引する時間は、固定的に設定されてもよく、又はいくつかの測定値に基づいて決定されてもよい。圧力計を含む実施例において、圧力計で測定される筐体210内の圧力によって、ポンプの出力、動作時間等を含む第2ポンプ352の動作パラメータを決定することができる。
【0056】
図4Aは、本発明の更なる実施例に係る光硬化型3Dプリンタの概略構成図である。図4Aに示すように、該実施例の光硬化型3Dプリンタ401は横置きタイプの3Dプリンタであり、筐体410は液体感光樹脂で満たされており、該筐体410の側面411に透光パネル412がある。載置ステージ420は筐体410の内部に設けられ、成形ワークを載置するために用いられる。駆動機構430は、載置ステージ420を水平方向に往復移動させ、載置ステージ420を透光パネル412に近づけたり遠ざけたりすることができる。光学系440は、筐体410の外部に位置し、かつ透光パネル412に対向する露光装置441を含む。ビームパターンは、露光装置441の光出射側441aの側面から筐体410の内部に照射され、筐体410内の透光パネル412に密着される液体感光樹脂の層を制御可能に硬化させる。図4Aに示される実施例において、光学系440は、筐体410の右に位置する。他の実施例において、ビームが筐体410の側面から筐体410の内部に入るだけでよく、光学系440の特定位置を限定する必要はない。
【0057】
圧力調整素子450は、筐体410上に位置し、筐体410の内部の圧力を調整するために用いられる。該圧力調整素子450は、少なくとも載置ステージ420が透光パネル412から遠ざけている間、筐体410の内部が受ける環境気圧を低減するために用いられる。圧力調整素子450の具体的な実施形態は、図2及び図3に示す実施例と同じであり、図2及び図3に関する説明は、図4Aに示す実施例を説明するために用いることができる。
【0058】
図4Aは、本発明の光硬化型3Dプリンタが横置きタイププリンティング方式を採用した例を示しており、横置きタイプの向きや載置ステージの数を制限するものではない。いくつかの実施例において、筐体410の水平方向の対向する両側で同時にビーム照射を行うことができ、これらの実施例は、それに応じて2つの載置ステージを含む。
【0059】
図4Bは、本発明の更なる実施例に係る光硬化型3Dプリンタの概略構成図である。図4Bに示すように、該実施例の光硬化型3Dプリンタ402は、下置きタイプの3Dプリンタであり、図4Aに示される光硬化型3Dプリンタ401よりも、図4Bに示される光硬化型3Dプリンタ402の各部材について、図4Aの符号が付されている。光学系440が筐体410の下方に位置し、側面411が筐体410の底面に位置し、したがって、透光パネル412も筐体410の底面に位置する。
【0060】
図4Bを参照すると、筐体410は、液体感光樹脂で満たされており、該筐体410の側面411は、透光パネル412を有する。載置ステージ420は、筐体410の内部に設けられ、成形ワークを載置するために用いられる。駆動機構430は、載置ステージ420を垂直方向に往復移動させて、載置ステージ420を透光パネル412に近づけたり遠ざけたりすることができる。光学系440は、筐体410の外部に位置し、かつ透光パネル412に対向する露光装置441を含む。ビームパターンは、露光装置441の光出射側441aの側面から筐体410の内部に照射されて、筐体410内の透光パネル412に密着される液体感光樹脂の層を制御可能に硬化させる。図4Bに示される実施例において、光学系440は、筐体410の下方に位置する。他の実施例において、ビームが筐体410の下方から筐体410の内部に入るだけでよく、光学系440の具体的な位置を限定する必要がない。
【0061】
図4Bを参照すると、マガジン260は、筐体410に接続される。このマガジン260は、図2に示す実施例のマガジン260と同じであり、図2におけるマガジン260に関する説明は、図4Bのマガジン260に適する。好ましくは、マガジン260は、筐体410の底部に近い位置で筐体410に接続される。
【0062】
圧力調整素子450は、筐体410に位置し、筐体410の内部の圧力を調整するために用いられる。該圧力調整素子450は、少なくとも載置ステージ420が透光パネル412から遠ざけている間、筐体410の内部が受ける環境気圧を低減するために用いられる。圧力調整素子450の具体的な実施形態は、図2及び図3に示す実施例と同じであり、図2及び図3に関する説明は、図4Bに示す実施例を説明するために使用することができる。
【0063】
図5は本発明の更なる実施例に係る光硬化型3Dプリンタの概略構成図である。図5に示すように、該実施例の光硬化型3Dプリンタでは、露光装置241の光出射側241aと透光パネル212との間の空間は浸漬液体510が充満されて、光出射側241aから照射された光線は浸漬液体510を透過してから筐体210内の液体感光樹脂に到達する。
【0064】
図5に示される実施例において、光出射側241aと透光パネル212の上面との間の距離は、該浸漬液体510が流失することなく、光出射側241aと透光パネル212の上面との間の空間を満たすことができるように、比較的近い。しかしながら、本実施例において、間隙が比較的大きい場合、浸漬液体510を随時に補充し、排出するために、浸漬液体510を保持する機構も必要である。光出射側241aから照射されたビームパターンは、該浸漬液体510を完全に透過した後、筐体210内の液体感光樹脂に到達するが、空気を透過しない。
【0065】
図5に示す実施例の有益な効果は以下のとおりである。光出射側241a(例えば、レンズ)と透光パネル212との間の媒体が液体であるため、開口数を効果的に増加させることができ、これにより、光の回折問題が結像品質に与える影響を低減し、結像解像度を向上させ、浸漬式プリンティングを実現し、プリンティング精度をナノメータ程度まで向上させ、3Dプリンティングの精度を大幅に向上させることができる。
【0066】
本発明は、浸漬液体510の材料を制限せず、任意の好適な液体、例えば脱イオン水又は他の液体を使用することができる。
【0067】
図5は、図2に示す光硬化型3Dプリンタを例にして模式的に示すものであり、該浸漬式プリンティングが適用されるプリンタの具体的な構成には用いられない。図3及び図4A図4Bに示される実施例において、光出射側241aと透光パネル212の外面との間に浸漬液体510を設置してもよい。これらの実施例において、光出射側241aと透光パネル212の外面との間に浸漬液体510を満たすことを保証するために、浸漬液体510を収容できる容器などの追加の補助手段を追加することもできる。
【0068】
高精度の3Dモデルプリンティングの場合、成形ワークを透光パネル212の下面から分離する際に遭遇する抵抗は、該層の成形ワークに対する損傷をより深刻にする可能性がある。したがって、本発明の光硬化型3Dプリンタによれば、圧力調整素子250によってプリンティング中に筐体210内の圧力を調整して、成形ワークを透明パネル212の下面から容易に分離することで、成形ワークの完全性が保護される。
【0069】
図6は本発明の一実施例に係る光硬化型3Dプリンティング方法の例示的なフローチャートである。図2図5に示す実施例の3Dプリンタは、図6に示す方法ステップに従って3次元モデルをプリンティングすることができる。したがって、図2図5に関する上記の説明は、本発明の3Dプリンティング方法を説明するのに適している。図7A~7Dは本発明による光硬化型3Dプリンティング方法に従ってプリンティングする手順を示す図である。以下、図6及び図7A~7Dを用いて本発明の光硬化型3Dプリンティング方法について説明する。図6に示すように、該光硬化型3Dプリンティング方法は、以下のステップを含む。
【0070】
ステップ610において、液体感光樹脂を収容する筐体内の載置ステージをプリンティング位置に移動させる。
【0071】
本ステップでは、載置ステージはプリンティング位置に移動し、光学系は露光の準備が整う。図7Aを参照すると、プリンティング開始直後、載置ステージ720上に成形ワークがない場合、載置ステージ720は、該載置ステージ720と透光パネル712との間にプリンティング層厚dを有する位置に移動する。プリンティング中、載置ステージ720は、成形されたワークを有する場合、載置ステージ720は、それにおける成形ワークの上部と透光パネル712との間にプリンティング層厚dを有する位置に移動する。
【0072】
いくつかの実施例において、プリンティング開始前に、筐体710の内部に液体感光樹脂がなく、本発明のプリンティング方法は筐体710上のマガジン760に接続される通気弁780を開放し、マガジン760から筐体710内に液体感光樹脂を注入することと、成形ワークのプリンティング開始前に該通気弁780を閉鎖することと、プリンティング終了後、通気弁780を開放し、筐体710内に残っている液体感光樹脂をマガジン760に逆注入して、筐体710を開けて最終3D成形ワークを取り出すこととを更に含む。マガジン760に接続される第1ポンプ770によって、筐体710への液体感光樹脂の注入及びマガジン760への逆注入を行うことができる。
【0073】
ステップ620において、光学系は筐体上の透光パネルにビームパターンを照射し、ビームパターンは、透光パネルを透過して液体感光樹脂を制御可能に硬化させ、載置ステージ上に成形ワークの層を形成する。
【0074】
図7Bを参照すると、光学系740は、透光パネル712にビームパターンを照射し、載置ステージ720上に成形ワーク721の層を形成する。該ステップにおいて、該液体感光樹脂の層は、透光パネル712に最も近い液体感光樹脂の層である。
【0075】
ステップ630において、筐体の内部が受ける環境気圧を低減する。
【0076】
本ステップは、上述した圧力調整素子によって、筐体の内部の圧力を調整することができ、対応する調整方法及びステップは、先に説明した通りである。筐体の内部が受ける環境気圧を低減するので、透光パネル712の下面が受ける圧力が低下して、成形されたワークが透光パネルから分離しやすくなる。
【0077】
ステップ640において、載置ステージを、透光パネルから遠ざける方向に移動させて、成形ワークを透光パネルから分離させる。
【0078】
図7Cに示すように、ステップ630の圧力調整によって、成形ワーク721を透光パネル712から分離する際に遭遇する抵抗が小さくなり、これにより、載置ステージ720は、成形ワーク721を透光パネル712から容易に分離させることができる。
【0079】
ステップ650において、筐体の内部が受ける環境気圧を少なくとも部分的に回復する。
【0080】
本ステップは、前述した圧力調整素子によって筐体の内部の圧力を調整し、筐体の内部が受ける環境気圧を少なくとも部分的に回復し、対応する調整方法及びステップは、前述の説明を参照することができる。
【0081】
ステップ660において、載置ステージを、次回のプリンティング位置に移動させる。次の層のプリンティングに準備が整える。
【0082】
本ステップにおいて、載置ステージはまず透光パネルから一定の距離だけ離れ、続いて透光パネルに近づき、最後に透光パネルとの間の距離が一つの層厚である位置に到達して、成形ワークと透光パネルとの効果的な分離を確保する。また、載置ステージは、ステップ640において透光パネルから遠ざけている間、透光パネルから1つの層厚だけ遠ざける位置で止めてもよいが、成形ワークと透光領域との十分な分離を確保しなければならない。本発明は、次回のプリンティング位置に到達する前の、載置ステージの移動過程を制限するものではない。ステップ650及びステップ660という2つのステップの順は、入れ替え可能である。
【0083】
ステップ610~660は、3Dモデルの層毎のプリンティングを達成するために繰り返し実行されてもよい。
【0084】
図7Dを参照すると、一体型3Dモデルのプリンティングが完了した後、通気弁780を開放し、筐体710内に残っている液体感光樹脂をマガジン760に逆注入して、筐体710を開けて最終3D成形ワークを取り出すことを容易にする。明らかに、マガジン760内に貯蔵された液体感光樹脂の液面が上昇する。
【0085】
図7A~7Dに示す光硬化型3Dプリンタは、図5に示す実施例による光硬化型3Dプリンタに対応する。露光装置241の光出射側241aと透光パネル212との間の空間は、浸漬液体510で満たされる。図7A~7Dは、本発明の光硬化性3Dプリンティング方法の実施装置を限定するためのものではないことを理解されたい。
【0086】
図6に示すプリンティング方法によれば、1.成形ワークが透光パネルから分離する抵抗を低減することができる。2.液体感光樹脂による成形ワークと透光パネルとの間のプリンティング領域の充填を加速する。3.プリンティング精度、特に層厚精度を保証し、成形ワークの完全性とプリンティング品質を保証する。4.一体プリンティングの効率を向上させる。
【0087】
本出願は、本出願の実施例を説明するために特定の用語を使用する。「一つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本出願の少なくとも1つの実施例に関連するある特徴、構造、又は特性を意味する。したがって、本明細書における異なる位置で2回以上言及される「一実施例」又は「一つの実施例」又は「代替実施例」は、必ずしも同じ実施例を指すわけではないことを強調し留意すべきである。更に、本出願の1つ以上の実施例におけるいくつかの特徴、構造、又は特性は、適切に組み合わせることができる。
【0088】
以上、本発明を具体的な実施例を参照して説明してきたが、当業者であれば、以上の実施例は本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な均等な変更や置換が可能であり、したがって、本発明の精神の範囲内で、上述した実施例に対する変更や修正は、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲に属するものと理解されたい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
【国際調査報告】