(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】抗CD2抗体
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20230713BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230713BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230713BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20230713BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230713BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230713BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230713BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20230713BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230713BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20230713BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230713BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230713BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230713BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230713BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230713BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230713BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230713BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230713BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230713BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20230713BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20230713BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20230713BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230713BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20230713BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20230713BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20230713BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230713BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20230713BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230713BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230713BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20230713BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20230713BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20230713BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230713BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20230713BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230713BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20230713BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230713BHJP
【FI】
C07K16/28
A61K39/395 N ZNA
A61K39/395 D
A61K45/00
A61K38/16
A61P37/06
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P19/00
A61P29/00
A61P3/10
A61P17/06
A61P1/04
A61P17/00
A61P25/00
A61P13/12
A61P37/08
A61P21/00
A61P1/16
A61P11/06
A61P43/00 121
A61K31/5377
A61K31/573
A61K31/675
A61P9/00
A61P7/06
A61P7/00
A61P5/14
A61P31/00
A61P11/02
A61P27/02
A61P11/00
A61P17/14
A61P27/16
A61P21/04
A61P3/00
C07K16/46
C07K19/00
C07K16/00
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580094
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(85)【翻訳文提出日】2023-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2021066989
(87)【国際公開番号】W WO2021259927
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522497560
【氏名又は名称】ゼラリオン マルタ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】デビッド ベルグランド
(72)【発明者】
【氏名】エリック ベルグランド
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス セルバーグ
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン バインダー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA22
4C084BA41
4C084CA53
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA011
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4C084ZA341
4C084ZA342
4C084ZA361
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4C084ZA511
4C084ZA512
4C084ZA551
4C084ZA552
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4C084ZA962
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4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA22
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書では、改善された抗CD2抗体、及び免疫系の慢性または急性障害の治療及び/または予防におけるそれらの使用のための方法を提供する。また、本明細書では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤を投与することによって、対象における免疫関連障害または疾患を治療または予防するための方法が提供される。これらの方法及びキットで使用するための組成物も開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換え抗CD2抗体であって、前記抗体がIgG抗体であり、シプリズマブと比較して、前記抗体の免疫調節活性が維持される一方で、抗体依存性細胞傷害を媒介する前記抗体の能力が低下するかまたは排除される、前記抗体。
【請求項2】
組換え抗CD2抗体であって、前記抗体がIgG抗体であり、重鎖の定常領域の少なくとも1つのコンセンサスNグリコシル化部位が、グリコシル化されていない、前記抗体。
【請求項3】
少なくとも1つのコンセンサス配列が、それ以上グリコシル化されないように変異されている、請求項1に記載の抗体。
【請求項4】
組換え抗CD2抗体であって、前記抗体がIgG抗体であり、重鎖の定常領域の少なくとも1つのコンセンサスN結合型グリコシル化部位が、以下のオリゴ糖のうちの1つを保持する:
【化1】
(ここで、記号は次のとおりである:白三角:フコース、白四角:N-アセチルグルコサミン、灰色の丸:マンノース、白丸:ガラクトース)、前記抗体。
【請求項5】
組換え抗CD2抗体であって、前記抗体が、哺乳動物細胞中で発現しているIgG抗体であり、エンドグリコシダーゼで処理されている、前記抗体。
【請求項6】
前記哺乳動物細胞が、NS0マウス骨髄腫細胞、PER.C6(登録商標)ヒト細胞、またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項5に記載の抗体。
【請求項7】
前記エンドグリコシダーゼが、EndoS2である、請求項5に記載の抗体。
【請求項8】
ヒトCD2のN18、K55、及びT59のアミノ酸残基が、ヒトCD2に対する前記抗体の親和性を決定する、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項9】
前記抗体の前記免疫調節活性が維持される一方で、抗体依存性細胞傷害を媒介する前記抗体の前記能力は、低下するかまたは排除される、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項10】
前記免疫調節活性が、CD4+/CD25+T細胞の誘導を含み得る、請求項9に記載の抗体。
【請求項11】
前記免疫調節活性が、FoxP3発現の増加を含み得る、請求項9に記載の抗体。
【請求項12】
前記免疫調節活性が、CD69+NK細胞の抑制を含み得る、請求項9に記載の抗体。
【請求項13】
前記抗体が、IgG1である、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項14】
前記抗体が、IgG2である、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項15】
前記抗体が、IgG4である、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項16】
前記抗体が、ヒト化されている、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項17】
前記抗体が、完全ヒトである、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項18】
前記抗体が、IgGと比較して追加の抗体成分を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項19】
前記追加の抗体成分が、前記組換え抗CD2抗体の複製領域であり得る、請求項18に記載の抗体。
【請求項20】
追加の抗体成分が、前記組換え抗CD2抗体のFc領域のC末端に連結している、請求項18に記載の抗体。
【請求項21】
前記追加の抗体成分が、CD2、CH2ドメイン、またはCH3ドメインに結合するscFvを含み得る、請求項18に記載の抗体。
【請求項22】
前記scFvドメインが、VH及びVLを含み、前記VHの配列が、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であり、前記VLの配列が、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一である、請求項21に記載の抗体。
【請求項23】
前記CH2ドメインが、配列番号18または19のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項21に記載の抗体。
【請求項24】
前記CH3ドメインが、配列番号20または21のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項21に記載の抗体。
【請求項25】
a.前記抗体の前記重鎖可変領域CDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み;
b.前記抗体の前記重鎖可変領域CDR2が、配列番号4のアミノ酸配列を含み;
c.前記抗体の前記重鎖可変領域CDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み;
d.前記抗体の前記軽鎖可変領域CDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み;
e.前記抗体の前記軽鎖可変領域CDR2が、配列番号7のアミノ酸配列を含み;
f.前記抗体の前記軽鎖可変領域CDR3が、配列番号8のアミノ酸配列を含む、
先行請求項のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項26】
前記抗体のFc領域が、Fcサイレンシングをもたらす1つまたは複数の点変異を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項27】
前記抗体が、IgG1である、請求項26に記載の抗体。
【請求項28】
前記抗体が、IgG2である、請求項26に記載の抗体。
【請求項29】
前記抗体が、IgG4である、請求項26に記載の抗体。
【請求項30】
前記抗体が、シプリズマブとは異なるネイティブ定常領域を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項31】
前記抗体が、シプリズマブとは異なるネイティブ定常領域を有し、Fcサイレンシングをもたらす前記Fc領域内の点変異を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項32】
前記重鎖可変領域が、配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含み;前記軽鎖可変領域が、配列番号2のアミノ酸配列、または配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項33】
前記重鎖定常領域が、配列番号9、10、11、12または13のアミノ酸配列、または配列番号9、10、11、12または13のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含み;前記軽鎖定常領域が、配列番号14または15のアミノ酸配列、または配列番号14または15のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項34】
前記重鎖が、配列番号16の核酸配列、または配列番号16と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一である核酸配列を含み;前記軽鎖が、配列番号17の核酸配列、または配列番号17と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一である核酸配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項35】
配列番号1の重鎖可変領域;配列番号2の軽鎖可変領域;配列番号9、10、11、12、または13の重鎖定常領域;及び配列番号14または15の軽鎖定常領域を含む、組換え抗CD2抗体。
【請求項36】
配列番号16及び配列番号17を含む核酸配列。
【請求項37】
先行請求項のいずれか1項に記載の抗体を含む医薬製剤。
【請求項38】
前記製剤が、長期投与に好適である、請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項39】
患者における免疫系の慢性障害を治療する方法であって、請求項1~38のいずれか1項に記載の抗体を前記患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項40】
前記患者が、少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、もしくは12ヶ月、または少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、12年、13年、14年、15年、16年、17年、18年、19年、もしくは少なくとも20年の期間、治療を受けている、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
移植レシピエントにおいて移植に対する免疫寛容を維持する方法であって、請求項1~38のいずれか1項に記載の抗体を前記移植レシピエントに投与することを含む、前記方法。
【請求項42】
前記抗体が、少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、もしくは12ヶ月、または少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、12年、13年、14年、15年、16年、17年、18年、19年、もしくは少なくとも20年の期間、前記移植レシピエントに投与される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記免疫系の前記急性または慢性障害が、移植片対宿主病(GVHD)、関節リウマチ、強直性脊椎炎、1型糖尿病、乾癬、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(クローン病)、セリアック病、シェーグレン病、狼瘡、多発性硬化症、巣状分節性糸球体硬化症、アトピー性皮膚炎、筋萎縮性側索硬化症、原発性胆汁性肝硬変、及び原発性硬化性胆管炎、及び重度の喘息である、請求項39または40に記載の方法。
【請求項44】
それを必要とする対象において免疫関連障害または疾患を治療または予防する方法であって、
a)抗CD2抗体またはその抗原結合断片を前記対象に投与することと;
b)CTLA-4共刺激遮断剤を前記対象に投与することと、
を含む、前記方法。
【請求項45】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合断片が、Fcサイレント抗CD2抗体、BTI-322、CB.219、LO-CD2b、シプリズマブ、及び/またはその抗原結合断片のうちの少なくとも1つを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合断片が、
a)配列番号3の重鎖可変領域CDR1;
b)配列番号4の重鎖可変領域CDR2;
c)配列番号5の重鎖可変領域CDR3;
d)配列番号6の軽鎖可変領域CDR1;
e)配列番号7の軽鎖可変領域CDR2;及び
f)配列番号8の軽鎖可変領域CDR3
を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記抗CD2抗体が、ヒト化抗体である、請求項44~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記抗CD2抗体が、シプリズマブまたはその抗原結合断片である、請求項44~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記CTLA-4共刺激遮断剤が、ヒトIgG1免疫グロブリンのFc断片及びCTLA4の細胞外ドメインを含む融合タンパク質である、請求項44~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記CTLA-4共刺激遮断剤が、配列番号22と約80%、85%、90%、95%、98%、99%、もしくは100%、または少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、99%、もしくは100%同一である配列を含む、請求項44~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記CTLA-4共刺激遮断剤が、配列番号22と同一の配列を含む、請求項44~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記CTLA-4共刺激遮断剤が、ベラタセプトである、請求項44~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記CTLA-4共刺激遮断剤が、配列番号23と約80%、85%、90%、95%、98%、99%、もしくは100%、または少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、99%、もしくは100%同一である配列を含む、請求項44~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記CTLA-4共刺激遮断剤が、配列番号23と同一の配列を含む、請求項44~49または54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記CTLA-4共刺激遮断剤が、アバタセプトである、請求項44~49または54~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記免疫関連障害または疾患が、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、乾癬性関節炎、多関節型若年性特発性関節炎(JIA)、変形性関節症、若年性慢性関節炎、脊椎関節症、全身性強皮症、特発性炎症性筋疾患、シェーグレン症候群、全身性血管炎、サルコイドーシス、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、自己免疫性血小板減少症、甲状腺炎、真性糖尿病、免疫介在性腎疾患、中枢または末梢神経系の脱髄疾患、特発性脱髄性多発神経炎、ギラン・バレー症候群、ライム病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、肝胆道疾患、感染性または自己免疫性慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、グッドパスチャー症候群、肉芽腫性肝炎、硬化性胆管炎、炎症性腸疾患、グルテン過敏性腸疾患、ホイップル病、自己免疫または免疫介在性皮膚疾患、水疱性皮膚疾患、多形紅斑、接触皮膚炎、乾癬、アレルギー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物過敏症、蕁麻疹、多発性硬化症、ブドウ膜炎、肺の免疫疾患、好酸球性肺炎、特発性肺線維症、過敏性肺炎、臓器移植に伴う疾患、組織移植に伴う疾患、移植片拒絶反応、移植片対宿主病、デビック病、急性散在性脳脊髄炎、急性脱髄性視神経炎、脱髄性横断性脊髄炎、ミラーフィッシャー症候群、脳脊髄根末梢神経炎、急性脱髄性多発神経炎、腫瘤様多発性硬化症、Balo病型同心円硬化症、円形脱毛症、強直性脊椎炎、メニエール病、抗リン脂質症候群、混合性結合組織病、自己免疫性アジソン病、重症筋無力症、自己免疫性肝炎、尋常性天疱瘡、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、結節性多発動脈炎、心筋症、多発性軟骨炎、セリアックスプルー皮膚炎、多腺性症候群、慢性疲労症候群(cfid)、リウマチ性多発筋痛症、慢性炎症性脱髄、多発性筋炎及び皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、チャーグ・ストラウス症候群、類天疱瘡、クレスト症候群、レイノー現象、寒冷凝集素症、ライター症候群、クローン病、リウマチ熱、円板状皮疹、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、強皮症、グレーブス病、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、橋本甲状腺炎、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、潰瘍性大腸炎、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病(I型)、扁平苔癬、白斑、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項44~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記免疫関連障害または疾患が、関節リウマチ、多関節型若年性特発性関節炎(JIA)、乾癬性関節炎、またはそれらの組み合わせである、請求項44~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記免疫関連障害または疾患が、臓器移植に関連する疾患、組織移植に関連する疾患、またはそれらの組み合わせである、請求項44~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記CTLA-4共刺激遮断剤が前記対象に投与されない場合、前記抗CD2抗体またはその抗原結合断片の用量は、治療上有効ではない、請求項44~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合断片が前記対象に投与されない場合、前記CTLA-4共刺激遮断剤の用量は、治療上有効ではない、請求項44~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び前記CTLA-4共刺激遮断剤の両方が対象に投与された後に前記対象から得られる生体試料中の細胞の数は、前記対象に、前記抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片が投与された後、または前記CTLA-4共刺激遮断剤が投与された後(両方ではない)に、前記対象から得られる生体試料中の細胞の数と比較して、約10%または少なくとも約10%少ない、請求項44~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片が投与される及び/または前記CTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与されるうちの少なくとも1つの前に前記対象から得られる生体試料中の細胞数の減少と比較して、前記抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び前記CTLA-4共刺激遮断剤の両方が前記対象に投与された後に前記対象から得られる生体試料中の細胞数のより大きな減少をもたらす、請求項44~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片が投与される及び/または前記CTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与されるうちの少なくとも1つの前に前記対象から得られる生体試料中のCD2レベルの減少と比較して、前記抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び前記CTLA-4共刺激遮断剤の両方が前記対象に投与された後に前記対象から得られる生体試料中の前記CD2レベルのより大きな減少をもたらす、請求項44~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片または前記CTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与された後(両方ではない)に前記対象から得られる生体試料中の前記CD2レベルの減少と比較して、前記抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び前記CTLA-4共刺激遮断剤の両方が前記対象に投与された後に前記対象から得られる生体試料中の前記CD2レベルのより大きな減少をもたらす、請求項44~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記より大きな減少が、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、もしくは100%を超えて大きいか、または少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、もしくは100%を超えて大きい、請求項66~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記対象から得られる前記生体試料中の前記細胞数が、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、もしくは100%を超えて少ないか、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、もしくは100%を超えて少ない、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記対象が、臓器移植及び/または組織移植を受けた、請求項44~56または58~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合断片が、臓器移植及び/または組織移植後2週間以内に少なくとも1回前記対象に投与される、請求項70に記載の方法。
【請求項69】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合断片が、前記臓器及び/または組織移植当日、前記臓器及び/または組織移植1日後、及び/または前記臓器及び/または組織移植4日後に前記対象に投与される請求項70または68に記載の方法。
【請求項70】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合断片が、前記対象に静脈内または皮下投与される、請求項44~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
追加の薬剤を前記対象に投与することをさらに含む、請求項44~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記追加の薬剤が、ステロイド、カルシニューリン阻害剤、シクロスポリン、シクロホスファミド、代謝拮抗療法、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、関節リウマチを治療するために使用される薬剤、及び/またはmTOR阻害剤のうちの1つ以上を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記追加の薬剤が、バシリキシマブ誘導、ミコフェノール酸モフェチル、コルチコステロイド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合断片の初回用量が、前記CTLA-4共刺激遮断剤の初回用量の前に投与される、請求項44~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合断片の初回用量が、前記CTLA-4共刺激遮断剤の初回用量の後に投与される、請求項44~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合断片の初回用量が、前記CTLA-4共刺激遮断剤の初回用量と同時に投与される、請求項44~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記対象が、未治療の対象である、請求項44~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記対象が、前記免疫関連障害または疾患の治療に対して抵抗性である、請求項44~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び前記CTLA-4共刺激遮断剤を投与することは、前記対象に前記抗CD2抗体を投与することまたは前記CTLA-4共刺激遮断剤を投与すること(両方ではない)と比較して、相乗的である、請求項44~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び前記CTLA-4共刺激遮断剤の投与は、前記対象への前記抗CD2抗体の前記投与または前記CTLA-4共刺激遮断剤の前記投与(両方ではない)後の同種免疫応答の減少と比較して、前記対象において、同種免疫応答のより大きな減少をもたらす、請求項44~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記より大きな減少が、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、もしくは100%を超えて大きいか、または少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、もしくは100%を超えて大きい、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記同種免疫応答が、in vitroヒトT細胞増殖アッセイまたは混合リンパ球反応(MLR)アッセイを使用して決定される、請求項80または81に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月30日に出願された米国仮出願第63/182,095号、2021年1月8日に出願された米国仮出願第63/135,381号、及び2020年6月23日に出願された米国仮出願第63/042,844号の利益を主張するものであり、それらの各々の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子的に提出した配列表の参照
本願では、2021年6月15日に作成した「Sequence_Listing_14526-005-228.TXT」という名称であり、サイズが33,862バイトであるテキストファイルとして、本願と共に提出した配列表を参照により援用する。
【0003】
1.技術分野
本願は、改善された抗CD2抗体、及び免疫系の慢性または急性障害の治療及び/または予防におけるそれらの使用に関する。免疫寛容の誘導及び維持におけるこれらの抗体の使用も開示される。また、本明細書では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤を投与することによって、対象における免疫関連障害または疾患を治療または予防するための方法が提供される。これらの方法及びキットで使用するための組成物も開示される。
【背景技術】
【0004】
2.背景技術 免疫系の障害(免疫系の慢性炎症性障害など)を有する患者は、その状態を管理するために長期治療を受ける必要がある。したがって、可能性のある治療レジメンでは、疾患の症状を治療し、患者の生活の質を維持しながら、臓器損傷及び他の悪影響を引き起こす免疫抑制剤の使用を最小限に抑えることを優先する必要がある。したがって、標準的な免疫抑制療法の有害な副作用を最小限に抑える治療法が顕著に必要とされている。さらに、臓器移植の長期的な結果が、依然として満足のいくものではないため、自己免疫疾患及び臓器移植に関連する免疫障害などの免疫関連障害の治療のための改善された方法及び組成物が必要とされている。ドナー移植片の慢性的な拒絶反応、及び長期の免疫抑制剤の使用に関連する健康問題は、引き続き、この処置の深刻な合併症である。標準的な免疫抑制療法の有害な副作用なく、数ヶ月または数年にわたって慢性的に患者に投与できる治療法がなにより必要とされている。また、例えば、障害の徴候及び症状を緩和することによって、障害の再発の可能性を低下させる、臓器または組織移植拒絶反応を予防する、及び/または免疫障害を発症する可能性のある対象において、免疫障害が生じるのを防ぐことによって、免疫関連疾患の急性症状を治療できる方法及び組成物も必要とされている。
【0005】
シプリズマブは、ヒトCD2糖タンパク質に対するヒト化IgG1κモノクローナル抗体であり、事実上すべての成熟ヒトT細胞及び胸腺細胞の大部分に発現する受容体である(Bierer BE,Burakoff SJ.,Immunol Rev.1989;111:267-294)。CD2は、リガンドLFA-3(CD58)との相互作用を介して、抗原提示細胞へのT細胞の接着を促進する(van der Merwe PA,Barclay AN,Mason DW,et al.Biochemistry.1994;33(33):10149-10160)。CD2がLFA-3に結合することにより、T細胞の活性化に必要な細胞内シグナルのカスケードももたらし、この分子にとって重要な共刺激機能を付与する(Bockenstedt LK.et al.,J Immunol.1988;141(6):1904-1911)。
【0006】
シプリズマブは、造血細胞移植及び複合腎骨髄移植(CKBMT)による寛容誘導のためのコンディショニングレジメンで使用されている。シプリズマブは、全身においてT細胞を枯渇させる一方で、移植後早期に制御性T細胞(Treg)を増強させる。悪性腫瘍を治療するための造血細胞移植のレシピエント(Shaffer J.et al.,Exp Hematol.2007;35(7):1140-1152)及びCKBMTレシピエント(Andreola G.et al.,Am J Transplant.2011;11(6):1236-1247)において、制御性T細胞(Treg)の顕著な早期増強が、T細胞再構成段階で観察された。
【0007】
モノクローナル抗体が様々な種類の疾患の治療において不可欠になるにつれて、これらの治療用抗体の操作は、特定の目的のために最適化された抗体を設計し、産生するために、より精巧になってきている(Kellner et al.,Transfus Med Hemother.2017 Sep;44(5):327-336)。Fcの修飾は、そのような操作の例である。抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)などのFc媒介性エフェクター機能は、一部の治療レジメンの重要な要素であるが、他のレジメンでは障害となる。Fcシグナル伝達をサイレンシングする修飾は、ADCCがさらなる合併症を引き起こすであろう患者に有益となり得る。長期の免疫抑制を必要とする患者にとって、ADCC活性を有さずに免疫調節活性をもたらすように操作された抗体は有益となる。
【0008】
本開示はまた、対象における免疫関連疾患または障害の治療または予防のための、抗C2抗体またはその抗原断片とCTLA-4共刺激遮断剤との併用療法についても記載する。CLTA4は、2つの主要な方法で免疫応答を阻害し、すなわち、CLTA4は、B7リガンドについてCD28と競合し、これにより共刺激をブロックし、また、T細胞の活性化を阻害するように負のシグナル伝達を行う(Krummel and Allison,1995,J Exp Med 182:459-465;Walunas et al.,1994,Immunity 1:405-413)。CTLA-4の細胞外ドメインに融合した免疫グロブリンIgG1のFc領域から構成される融合タンパク質であるアバタセプトは、CD80分子及びCD86分子に結合し、T細胞が活性化するのを予防する。ベラタセプトは、CTLA-4の細胞外ドメインに連結したヒトIgG1免疫グロブリンのFc断片から構成される融合タンパク質であり、2つのアミノ酸がアバタセプトと異なる。アバタセプトと同様に、ベラタセプトは、CD80抗原及びCD86抗原に特異性があり、末梢T細胞機能の負の調節因子として作用する。本開示は、併用療法(抗C2抗体またはその抗原断片とCTLA-4共刺激遮断剤との)が、抗C2抗体もしくはその抗原断片、またはCTLA-4共刺激遮断剤をその両方ではなく一方のみを対象に投与した場合と比較して、相乗効果を示すように提供する。
【発明の概要】
【0009】
3.発明の概要
本明細書で「抗CD2抗体」が論じられている場合は常に、同じ開示が、「CD2結合分子」にも関係し、その逆もまた同様である。本明細書に提供されるのは、組換え抗CD2抗体であり、ここで、抗体は、IgG抗体であり、抗体の免疫調節活性が維持される一方で、抗体依存性細胞傷害を媒介する抗体の能力は、シプリズマブと比較して、低下するかまたは排除される。また、本明細書に提供されるのは、組換え抗CD2抗体であり、ここで、抗体は、IgG抗体であり、重鎖の定常領域の少なくとも1つのコンセンサスNグリコシル化部位が、グリコシル化されていない。ある実施形態では、抗体の少なくとも1つのコンセンサス配列は、それ以上グリコシル化されないように変異されている。また、本明細書に提供されるのは、組換え抗CD2抗体であり、ここで、Fc領域は、抗体がFc受容体及びC1qに結合する能力を欠くように変異されている。
【0010】
本明細書に開示される「抗CD2抗体」または「CD2結合分子」はまた、追加の成分がFc領域に付加される拡大抗CD2バリアントを含み得る。これらの成分としては、これらに限定されないが、scFv、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを挙げることができる。
【0011】
また、本明細書に提供されるのは、組換え抗CD2抗体であり、ここで、抗体は、IgG抗体であり、重鎖の定常領域の少なくとも1つのコンセンサスN結合型グリコシル化部位が、以下のオリゴ糖のうちのいずれか1つを保持する:
【化1】
記号は、次のとおりである:白三角:フコース;白四角:N-アセチルグルコサミン;灰色の丸:マンノース;白丸:ガラクトース。
【0012】
また、本明細書に提供されるのは、組換え抗CD2抗体であり、ここで、抗体は、哺乳動物細胞中で発現しているIgG抗体であり、抗体は、エンドグリコシダーゼで処理されている。ある実施形態では、哺乳動物細胞は、NS0マウス骨髄腫細胞、PER.C6(登録商標)ヒト細胞、またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。ある実施形態では、エンドグリコシダーゼは、EndoS2である。ある実施形態では、ヒトCD2のN18、K55、及びT59のアミノ酸残基により、ヒトCD2に対する抗体の親和性が決定する。
【0013】
ある実施形態では、抗体の免疫調節活性が維持される一方で、抗体依存性細胞傷害を媒介する抗体の能力は、低下するかまたは排除される。さらなる実施形態では、免疫調節活性は、CD4+/CD25+T細胞の誘導を含み得る。さらなる実施形態では、免疫調節活性は、FoxP3発現の増加を含み得る。さらなる実施形態では、免疫調節活性は、CD69+NK細胞の抑制を含み得る。ある実施形態では、抗体は、IgG1、IgG2、またはIgG4である。さらなる実施形態では、抗体は、ヒト化されている。さらに別の実施形態では、抗体は、完全ヒトである。
【0014】
ある実施形態では、抗体は、配列番号3の重鎖可変領域CDR1、配列番号4の重鎖可変領域CDR2、配列番号5の重鎖可変領域CDR3、配列番号6の軽鎖可変領域CDR1、配列番号7の軽鎖可変領域CDR2、及び配列番号8の軽鎖可変領域CDR3を含み得る。さらなる実施形態では、抗体Fc領域は、Fcサイレンシングをもたらす点変異を有する。さらなる実施形態では、抗体は、IgG1である。さらなる実施形態では、抗体は、IgG2である。さらなる実施形態では、抗体は、IgG4である。さらなる実施形態では、抗体は、シプリズマブとは異なるネイティブ定常領域を有する。さらに別の実施形態では、抗体は、シプリズマブとは異なるネイティブ定常領域、及びFcサイレンシングをもたらすFc領域内の点変異を有する。
【0015】
ある実施形態では、抗体の重鎖可変領域が、配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域が、配列番号2のアミノ酸配列、または配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0016】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の重鎖定常領域の配列は、配列番号09、10、11、12、または13と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の軽鎖定常領域の配列は、配列番号14または15と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。
【0017】
さらに別の実施形態では、抗体の重鎖は、配列番号16のDNA配列、または配列番号16のDNA配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるDNA配列を含み、軽鎖は、配列番号17のDNA配列、または配列番号17のDNA配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるDNA配列を含む。
【0018】
本明細書において提供されるのは、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体を含む医薬製剤である。ある実施形態では、医薬製剤は、長期投与に好適である。また、患者における免疫系の慢性障害を治療する方法も本明細書に提供され、この方法は、本明細書に記載の抗体を患者に投与することを含む。ある実施形態では、患者は、少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、もしくは12ヶ月、または少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、12年、13年、14年、15年、16年、17年、18年、19年、もしくは少なくとも20年の期間、治療を受けている。
【0019】
本明細書では、移植レシピエントにおいて移植に対する免疫寛容を維持する方法が提供され、この方法は、本明細書に記載の抗体を移植レシピエントに投与することを含む。ある実施形態では、抗体は、少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、もしくは12ヶ月、または少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、12年、13年、14年、15年、16年、17年、18年、19年、もしくは少なくとも20年の期間、移植レシピエントに投与される。さらなる実施形態では、免疫系の急性または慢性障害としては、これらに限定されないが、移植片対宿主病(GVHD)、関節リウマチ、強直性脊椎炎、1型糖尿病、乾癬、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(クローン病)、セリアック病、シェーグレン病、狼瘡、多発性硬化症、巣状分節性糸球体硬化症、アトピー性皮膚炎、筋萎縮性側索硬化症、原発性胆汁性肝硬変、及び原発性硬化性胆管炎、及び重度の喘息を挙げることができる。
【0020】
本明細書では、(a)抗CD2抗体またはその抗原結合断片を対象に投与することと;(b)CTLA-4共刺激遮断剤を対象に投与することとにより、対象における免疫関連障害または疾患を治療するまたは予防する方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片は、CTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与される前、投与と同時に、またはその後に投与される。いくつかの実施形態では、対象は、免疫関連障害または疾患の治療に対して抵抗性である。いくつかの実施形態では、対象は、未治療の対象である。いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与されない場合、抗CD2抗体またはその抗原結合断片の用量は、治療上有効ではない。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片が対象に投与されない場合、CTLA-4共刺激遮断剤の用量は、治療上有効ではない。
【0021】
いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤を対象へ投与することは、抗CD2抗体またはその抗原結合断片またはCTLA-4共刺激遮断剤をその両方ではなく一方を対象に投与した場合と比較して、相乗的である。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が対象に投与された後に対象から得られる生体試料中の細胞の数は、対象に、抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片が投与された後、またはCTLA-4共刺激遮断剤が投与された後(両方ではない)に、対象から得られる生体試料中の細胞の数と比較して、約10%または少なくとも約10%少ない。
【0022】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤のうちの少なくとも1つが対象に投与される前に、対象から得られる生体試料中の細胞数の減少と比較して、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が投与された後に、対象から得られる生体試料中の細胞数のより大きな減少をもたらす。いくつかの実施形態では、対象から得られる生体試料中の細胞数は、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、もしくは100%を超えて少ないか、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、もしくは100%を超えて少ない。
【0023】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤のうちの少なくとも1つが対象に投与される前に、対象から得られる生体試料中のCD2レベルの減少と比較して、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が投与された後に、対象から得られる生体試料中のCD2レベルのより大きな減少をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片またはCTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与された後(両方ではない)に、対象から得られる生体試料中のCD2レベルの減少と比較して、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が対象に投与された後に、対象から得られる生体試料中のCD2レベルのより大きな減少をもたらす。いくつかの実施形態では、減少は、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、もしくは100%を超えて大きいか、または少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、もしくは100%を超えて大きい。
【0024】
いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の投与は、抗CD2抗体またはCTLA-4共刺激遮断剤の両方ではなく一方の対象への投与後の同種免疫応答の減少と比較して、対象において、同種免疫応答のより大きな減少をもたらす。いくつかの実施形態では、より大きな減少は、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、もしくは100%を超えて大きいか、または少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、もしくは100%を超えて大きい。いくつかの実施形態では、同種免疫応答は、in vitroヒトT細胞増殖アッセイまたは混合リンパ球反応(MLR)アッセイを使用して決定される。
【0025】
いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片は、Fcサイレント抗CD2抗体、BTI-322、CB.219、LO-CD2b、シプリズマブ、及び/またはその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片は(a)配列番号3の重鎖可変領域CDR1;(b)配列番号4の重鎖可変領域CDR2;(c)配列番号5の重鎖可変領域CDR3;(d)配列番号6の軽鎖可変領域CDR1;(e)配列番号7の軽鎖可変領域CDR2;(d)配列番号8の軽鎖可変領域CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、シプリズマブである。
【0026】
いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤は、ヒトIgG1免疫グロブリンのFc断片及びCTLA-4の細胞外ドメインを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤は、配列番号22と約80%、85%、90%、95%、98%、99%、もしくは100%、または少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、99%、もしくは100%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤は、配列番号22と同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤は、配列番号23と約80%、85%、90%、95%、98%、99%、もしくは100%、または少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、99%、もしくは100%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤は、配列番号23と同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤は、アバタセプトである。いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤は、ベラタセプトである。
【0027】
いくつかの実施形態では、免疫関連障害または疾患は、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、乾癬性関節炎、多関節型若年性特発性関節炎(JIA)、変形性関節症、若年性慢性関節炎、脊椎関節症、全身性強皮症、特発性炎症性筋疾患、シェーグレン症候群、全身性血管炎、サルコイドーシス、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、自己免疫性血小板減少症、甲状腺炎、真性糖尿病、免疫介在性腎疾患、中枢または末梢神経系の脱髄疾患、特発性脱髄性多発神経炎、ギラン・バレー症候群、ライム病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、肝胆道疾患、感染性または自己免疫性慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、グッドパスチャー症候群、肉芽腫性肝炎、硬化性胆管炎、炎症性腸疾患、グルテン過敏性腸疾患、ホイップル病、自己免疫または免疫介在性皮膚疾患、水疱性皮膚疾患、多形紅斑、接触皮膚炎、乾癬、アレルギー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物過敏症、蕁麻疹、多発性硬化症、ブドウ膜炎、肺の免疫疾患、好酸球性肺炎、特発性肺線維症、過敏性肺炎、臓器移植に伴う疾患、組織移植に伴う疾患、移植片拒絶反応、移植片対宿主病、デビック病、急性散在性脳脊髄炎、急性脱髄性視神経炎、脱髄性横断性脊髄炎、ミラーフィッシャー症候群、脳脊髄根末梢神経炎、急性脱髄性多発神経炎、腫瘤様多発性硬化症、Balo病型同心円硬化症、円形脱毛症、強直性脊椎炎、メニエール病、抗リン脂質症候群、混合性結合組織病、自己免疫性アジソン病、重症筋無力症、自己免疫性肝炎、尋常性天疱瘡、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、結節性多発動脈炎、心筋症、多発性軟骨炎、セリアックスプルー皮膚炎、多腺性症候群、慢性疲労症候群(cfid)、リウマチ性多発筋痛症、慢性炎症性脱髄、多発性筋炎及び皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、チャーグ・ストラウス症候群、類天疱瘡、クレスト症候群、レイノー現象、寒冷凝集素症、ライター症候群、クローン病、リウマチ熱、円板状皮疹、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、強皮症、グレーブス病、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、橋本甲状腺炎、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、潰瘍性大腸炎、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病(I型)、扁平苔癬、白斑、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、免疫関連障害または疾患は、関節リウマチ、多関節型若年性特発性関節炎(JIA)、乾癬性関節炎、またはそれらの組み合わせである。
【0028】
いくつかの実施形態では、免疫関連障害または疾患は、臓器移植に関連する疾患、組織移植に関連する疾患、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片は、臓器移植及び/または組織移植後2週間以内に少なくとも1回対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片は、臓器及び/または組織移植当日、臓器及び/または組織移植1日後、及び/または臓器及び/または組織移植4日後に対象に投与される。抗CD2抗体またはその抗原結合断片は、対象に静脈内または皮下投与される。
【0029】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される治療方法は、追加の薬剤を対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、免疫抑制剤である。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、ステロイド、カルシニューリン阻害剤、シクロスポリン、シクロホスファミド、代謝拮抗療法、NSAID、関節リウマチを治療するために使用される薬剤、及び/またはmTOR阻害剤のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、バシリキシマブ誘導、ミコフェノール酸モフェチル、コルチコステロイド、またはそれらの組み合わせである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
4.図面の簡単な説明
上記及びその他の目的、特徴及び利点は、添付の図面に例示されているように、本発明の特定の実施形態の下記の説明から明らかであろう。図面は必ずしも縮尺通りではなく、本発明の様々な実施形態の原理を示すことに重点が置かれている。
【0031】
【
図1】抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ(MEDI-507))のFcγ受容体(FcγR)IIIAシグナル伝達と比較した、CD2結合分子1(脱グリコシル化CD2結合分子)によって誘導されるFcγRIIIAシグナル伝達の欠如を示す。in vivoでは、FcγRIIIAを発現する細胞は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)の主要な媒介因子である。FcγRIIIAの結合及びシグナル伝達がない場合には、CD2結合分子1が結合したCD2発現細胞が、ADCCを介して枯渇することはない。
【0032】
【
図2】Aは、CD4+/CD25+T細胞の活性化を阻害するCD2結合分子1(脱グリコシル化CD2結合分子)及び抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ)の同等の能力を示す。Bは、CD4+/CD25+T細胞の増殖を阻害するCD2結合分子1(脱グリコシル化CD2結合分子)及び抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ)の同等の能力を示す。
【0033】
【
図3】CD2結合分子1(脱グリコシル化CD2結合分子)及び抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ)が免疫系調節において重要な細胞を誘導する同等の能力を示す。CD2結合分子1または抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ)との相互作用時の制御性T(Treg)細胞のパーセンテージの増加によって測定される、免疫応答を調節する能力。
【0034】
【
図4】Aは、自家移植混合リンパ球反応(MLR)において、抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ)と比較した、CD2結合分子1(脱グリコシル化CD2結合分子)がNK細胞活性化(NK細胞上でのCD69発現の誘導)を阻害する能力を示す。Bは、同種異系混合リンパ球反応(MLR)において、抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ)と比較した、CD2結合分子1(脱グリコシル化CD2結合分子)がNK細胞活性化(NK細胞上でのCD69発現の誘導)を阻害する能力を示す。
【0035】
【
図5】抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ(MEDI-507))のFcγ受容体(FcγR)IIAシグナル伝達と比較した、CD2結合分子1(脱グリコシル化CD2結合分子)によって誘導されるFcγRIIAシグナル伝達の欠如を示す。in vivoでは、FcγRIIAを発現する細胞は、抗体依存性細胞貪食(ADCP)の主要な媒介因子である。FcγRIIAの結合及びシグナル伝達がない場合には、CD2結合分子1が結合したCD2発現細胞が、ADCPを介して枯渇する可能性はない。
【0036】
【
図6】CD69+T細胞の活性化を阻害する能力によって測定された抗体及び断片の免疫調節活性を示す。抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ)Fab断片は、対照と比較して、CD69+T細胞の活性化を阻害しなかったが、抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ)及びCD2結合分子1(脱グリコシル化CD2結合分子)は、両方とも、活性化を阻害した。CD2結合分子1の免疫調節活性は、維持されるが、ADCC活性は、排除される。
【0037】
【
図7】シプリズマブ(IgG1)の遺伝子操作されたIgG2型またはIgG4型のFc部分にscFv、CH2-、またはCH3-領域のいずれかを付加することによる拡大抗CD2バリアントの構築を示す。
【0038】
【
図8】拡大抗CD2バリアントを示す。Aは、分子5A(IgG2)及び分子5B(IgG4)を示す。Bは、分子6A(IgG2)及び分子6B(IgG4)を示す。Cは、分子7A(IgG2)及び分子7B(IgG4)を示す。
【0039】
【
図9】Aは、Fcγ受容体(FcγR)Iを安定して発現するJurkatレポーター細胞(Promega)を示し、Bは、FcγRIIAを安定して発現するJurkatレポーター細胞(Promega)を示し、Cは、FcγRIIIAを安定して発現するJurkatレポーター細胞(Promega)を示し、それぞれ、抗CD2抗体の濃度を増加させながらインキュベートした。最も高い濃度の抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ)によって誘導される発光に対して正規化したデータ(平均±SD;n=3)。レポーター細胞は、標的結合IgG抗体のFc断片をそれらのFcγRと結合し、これにより、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現を誘導し、アッセイ基質(Promega)の添加時に発光シグナルが得られる。細胞は、用量を増加させて抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ)、CD2結合分子1(脱グリコシル化CD2結合分子)、CD2結合分子2(Fc-サイレント(FcS)抗CD2 IgG1)、CD2結合分子3(FcS抗CD2 IgG2)及びCD2結合分子4(FcS抗CD2 IgG4)とそれぞれインキュベートした。
【0040】
【
図10】異なるリンパ球(亜)集団上でのCD2発現を示す。平均蛍光強度中央値±SEMとして表示されるデータ(n=5;*p<0.05、**p<0.01)。Aは、異なるT細胞亜集団及びNK細胞亜集団上でのCD2発現を示す。CD56
brightNK細胞は、T細胞と同等のレベルでCD2を発現する。対照的に、CD56
dim及びCD56
negNK細胞は、有意に低いレベルのCD2を発現する(それぞれ、p=0.0074及びp=0.0111、反復測定一元配置分散分析及びその後にダネット多重比較検定)。Bは、休止及び活性化リンパ球集団上でのCD2発現を示す。CD2発現は、T細胞(p=0.0034)、CD56
dimNK細胞(p=0.0024)、CD56
brightNK細胞(p=0.017)、及びCD56
negCD16+NK細胞(0.0029)上で活性化後に、著しくアップレギュレートされた。B細胞では差は観察されなかった(対応のある両側t検定)。
【0041】
【
図11】NK細胞上でのFcγ受容体(FcγR)II(CD32)及びFcγRIII(CD16)の発現を示す。平均して、NK細胞の91.0%がFcγRIIIを発現し、19.2%がFcγRIIを発現する(n=9)。平均は、水平線として示す(A)。NK細胞上でのFcγRII及びFcγRIII発現の代表的なプロット(CD3- CD56+及び/またはCD16+リンパ球)。上段は、CD32発現が比較的少ないドナーからのNK細胞の代表的なプロットを示し、下段は、CD32発現が比較的多いドナーからのNK細胞の代表的なプロットを示す(B)。
【0042】
【
図12】混合リンパ球反応(MLR)及び自己リンパ球培養(ALC)における経時的なNK細胞上のCD69発現を示す。抗体を添加しない場合(抗体なし)及び抗体を添加した場合のCD69発現を、ベースライン(0日目)及び1、2、4、及び7日後にフローサイトメトリーにより評価した。有意性試験は、未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、二元配置分散分析を介して実施した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ)及びCD2結合分子1(脱グリコシル化CD2結合分子)を10μg/mLで使用した。この用量は、7日間で標的抗原を飽和させることが事前に決定されている。データは、平均±SDとして示した(n=12)。Aは、MLR中の経時的なCD69+NK細胞のパーセンテージを示す。Bは、ALC中の経時的なCD69+NK細胞のパーセンテージを示す。
【0043】
【
図13】7日間の混合リンパ球反応(MLR)後のNK細胞上でのCD69及びCD2の発現を示す。有意性試験は、未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一次元配置分散分析を介して実施した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ)、CD2結合分子1(脱グリコシル化CD2結合分子)、CD2結合分子2(Fc-サイレント(FcS)抗CD2 IgG1)、CD2結合分子3(FcS抗CD2 IgG2)及びCD2結合分子4(FcS抗CD2 IgG4)は、0.0001~10μg/mLで使用した。データは、CD69+NK細胞の平均パーセンテージ±SD(A)または平均CD2蛍光強度中央値+SD(CD2 MFI;n=9)(B)として示した。未処置対照(抗体なし)または10μg/mLの抗CD2におけるNK細胞上でのCD2及びCD69の発現の代表的なドットプロット(C)。
【0044】
【
図14】NK細胞フラトリサイドを示す。精製NK細胞を、抗体なし、0.001~10μg/mLの抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ)または0.001~10μg/mLのCD2結合分子2、3、または4(FcS抗CD2 IgG抗体)と共に一晩インキュベートした。有意性試験は、未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一次元配置分散分析を介して実施した(N=6;*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。Aは、NK細胞溶解;7-AAD+NK細胞の平均パーセンテージ+SDを示す。Bは、NK細胞数;正規化NK細胞数の平均+SDを示す。Cは、CD56
dimNK細胞数;正規化CD56
dimNK細胞数の平均+SDを示す。Dは、CD56
brightNK細胞数;正規化CD56
brightNK細胞数の平均+SDを示す。
【0045】
【
図15】精製NK細胞培養物におけるNK細胞脱顆粒及びADCCを示す。精製NK細胞を、抗体なし、0.001~10μg/mLの抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ)または0.001~10μg/mLのCD2結合分子2、3、または4(FcS抗CD2 IgG抗体)と共にインキュベートした。有意性試験は、未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一次元配置分散分析を介して実施した(N=6;*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。Aは、NK細胞の脱顆粒;CD107a+NK細胞の平均パーセンテージ+SDを示す。Bは、NK細胞上のCD16発現;NK細胞上でのCD16蛍光強度の平均中央値+SDを示す。Aは、精製NK細胞培養物中の抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ)の用量を増加させたときのCD16ダウンレギュレーション及びNK細胞脱顆粒を示す代表的なヒートマップドットプロットを示す。
【0046】
【
図16】天然NK細胞の細胞傷害性を示す。精製されたNK細胞は、抗体なし、0.001~10μg/mL抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ)または0.001~10μg/mLのCD2結合分子2、3、または4(Fcサイレント(FcS)抗CD2 IgG抗体)を30分間(A)または2日間(B)プレインキュベートし、その後HLAクラスI標的細胞(SPI-801)を添加した。有意性試験は、未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一次元配置分散分析を介して実施した(N=6;*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。Cは、抗体の添加なし(NK+SPI-801)、抗体及びHLAクラスI標的細胞(NK)の添加なし、または抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ)/CD2結合分子2(FcS抗CD2 IgG1)の存在下で、HLAクラスI標的細胞に応答したNK細胞の脱顆粒の代表的なヒストグラムを示す。
【0047】
【
図17】抗体依存性細胞傷害性を示す。精製NK細胞は、抗体なしで、または飽和用量の抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ)/CD2結合分子2、3、または4(FcS抗CD2抗体)をプレインキュベートし、その後、滴定量の抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ)及びCD20+標的細胞(Daudi)を添加した。有意性試験は、未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一次元配置分散分析を介して実施した(N=6;(*)p<0.1、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。Aは、NK細胞の脱顆粒;CD107a+NK細胞の平均パーセンテージ+SDを示す。Bは、標的細胞の枯渇;平均正規化標的細胞数+SDを示す。Cは、CD2発現;NK細胞上でのCD2蛍光強度の平均中央値+SDを示す。Dは、ADCC誘導をもたらすNK細胞上でのCD2発現の増加を示す代表的なドットプロットを示す。
【0048】
【
図18A】
図18A~Hは、細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせと共に7日または10日インキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を示す。
図18A~Hのグラフは、混合リンパ球反応(MLR)における増殖T細胞の平均パーセンテージ+標準偏差(SD)を示す(n=6)。
図18Aは、7日間の混合リンパ球反応(MLR)後の平均CD4T細胞増殖を示す。MLRには、濃度を上昇させて、アバタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、ベラタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、及び抗CD2抗体1(5.08x10
-5~1μg/mL)を補充した。抗CD2抗体1の一連の滴定量(5.08x10
-5~1μg/mL)に100μg/mLのアバタセプトまたは100μg/mLのベラタセプトを補充した。未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一元配置分散分析後、ダネット多重比較検定を使用して統計分析を実施した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせによる処置は、ベラタセプトまたはアバタセプト単独による処置と比較して、生細胞のパーセンテージが低くなった。
【
図18B】
図18A~Hは、細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせと共に7日または10日インキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を示す。
図18A~Hは、混合リンパ球反応(MLR)における増殖T細胞の平均パーセンテージ+標準偏差(SD)を示す(n=6)。
図18Bは、7日間のMLR後の平均CD8T細胞増殖を示す。MLRには、濃度を上昇させて、アバタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、ベラタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、及び抗CD2抗体1(5.08x10
-5~1μg/mL)を補充した。抗CD2抗体1の一連の滴定量(5.08x10
-5~1μg/mL)に100μg/mLのアバタセプトまたは100μg/mLのベラタセプトを補充した。未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一元配置分散分析後、ダネット多重比較検定を使用して統計分析を実施した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせによる処置は、ベラタセプトまたはアバタセプト単独による処置と比較して、生細胞のパーセンテージが低くなった。
【
図18C】
図18A~Hは、細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせと共に7日または10日インキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を示す。
図18A~Hは、混合リンパ球反応(MLR)における増殖T細胞の平均パーセンテージ+標準偏差(SD)を示す(n=6)。
図18Cは、10日間のMLR後の平均CD4T細胞増殖を示す。MLRには、濃度を上昇させて、アバタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、ベラタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、及び抗CD2抗体1(5.08x10
-5~1μg/mL)を補充した。抗CD2抗体1の一連の滴定量(5.08x10
-5~1μg/mL)に100μg/mLのアバタセプトまたは100μg/mLのベラタセプトを補充した。未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一元配置分散分析後、ダネット多重比較検定を使用して統計分析を実施した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせによる処置は、ベラタセプトまたはアバタセプト単独による処置と比較して、生細胞のパーセンテージが低くなった。
【
図18D】
図18A~Hは、細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせと共に7日または10日インキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を示す。
図18A~Hは、混合リンパ球反応(MLR)における増殖T細胞の平均パーセンテージ+標準偏差(SD)を示す(n=6)。
図18Dは、10日間のMLR後の平均CD8T細胞増殖を示す。MLRには、濃度を上昇させて、アバタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、ベラタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、及び抗CD2抗体1(5.08x10
-5~1μg/mL)を補充した。抗CD2抗体1の一連の滴定量(5.08x10
-5~1μg/mL)に100μg/mLのアバタセプトまたは100μg/mLのベラタセプトを補充した。未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一元配置分散分析後、ダネット多重比較検定を使用して統計分析を実施した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせによる処置は、ベラタセプトまたはアバタセプト単独による処置と比較して、生細胞のパーセンテージが低くなった。
【
図18E】
図18A~Hは、細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせと共に7日または10日インキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を示す。
図18A~Hは、混合リンパ球反応(MLR)における増殖T細胞の平均パーセンテージ+標準偏差(SD)を示す(n=6)。
図18Eは、7日間の混合リンパ球反応(MLR)後の平均CD4T細胞増殖を示す。MLRには、濃度を上昇させて、アバタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、ベラタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、及び抗CD2抗体1(5.08x10
-5~1μg/mL)を補充した。抗CD2抗体1の一連の滴定量(5.08x10
-5~1μg/mL)に100μg/mLのアバタセプトまたは100μg/mLのベラタセプトを補充した。未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一元配置分散分析後、ダネット多重比較検定を使用して統計分析を実施した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせによる処置は、ベラタセプトまたはアバタセプト単独による処置と比較して、生細胞のパーセンテージが低くなった。
【
図18F】
図18A~Hは、細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせと共に7日または10日インキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を示す。
図18A~Hは、混合リンパ球反応(MLR)における増殖T細胞の平均パーセンテージ+標準偏差(SD)を示す(n=6)。
図18Fは、7日間のMLR後の平均CD8T細胞増殖を示す。MLRには、濃度を上昇させて、アバタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、ベラタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、及び抗CD2抗体1(5.08x10
-5~1μg/mL)を補充した。抗CD2抗体1の一連の滴定量(5.08x10
-5~1μg/mL)に100μg/mLのアバタセプトまたは100μg/mLのベラタセプトを補充した。未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一元配置分散分析後、ダネット多重比較検定を使用して統計分析を実施した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせによる処置は、ベラタセプトまたはアバタセプト単独による処置と比較して、生細胞のパーセンテージが低くなった。
【
図18G】
図18A~Hは、細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせと共に7日または10日インキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を示す。
図18A~Hは、混合リンパ球反応(MLR)における増殖T細胞の平均パーセンテージ+標準偏差(SD)を示す(n=6)。
図18Gは、10日間のMLR後の平均CD4T細胞増殖を示す。MLRには、濃度を上昇させて、アバタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、ベラタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、及び抗CD2抗体1(5.08x10
-5~1μg/mL)を補充した。抗CD2抗体1の一連の滴定量(5.08x10
-5~1μg/mL)に100μg/mLのアバタセプトまたは100μg/mLのベラタセプトを補充した。未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一元配置分散分析後、ダネット多重比較検定を使用して統計分析を実施した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせによる処置は、ベラタセプトまたはアバタセプト単独による処置と比較して、生細胞のパーセンテージが低くなった。
【
図18H】
図18A~Hは、細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせと共に7日または10日インキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を示す。
図18A~Hは、混合リンパ球反応(MLR)における増殖T細胞の平均パーセンテージ+標準偏差(SD)を示す(n=6)。
図18Hは、10日間のMLR後の平均CD8T細胞増殖を示す。MLRには、濃度を上昇させて、アバタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、ベラタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、及び抗CD2抗体1(5.08x10
-5~1μg/mL)を補充した。抗CD2抗体1の一連の滴定量(5.08x10
-5~1μg/mL)に100μg/mLのアバタセプトまたは100μg/mLのベラタセプトを補充した。未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一元配置分散分析後、ダネット多重比較検定を使用して統計分析を実施した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせによる処置は、ベラタセプトまたはアバタセプト単独による処置と比較して、生細胞のパーセンテージが低くなった。
【0049】
【
図19A】
図19A~Hは、細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせと共に7日または10日インキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を示す。
図19A~Dは、MLR中での増殖したT細胞の平均パーセンテージ+SDを示す(n=9)。
図19Aは、7日間の混合リンパ球反応(MLR)後の平均CD4T細胞増殖を示す。MLRには、濃度を上昇させて、アバタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、ベラタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、及び抗CD2抗体1(5.08x10
-5~1μg/mL)を補充した。アバタセプトまたはベラタセプトの滴定シリーズ(1x10
-7~100μg/mL)に、滴定シリーズ全体を通して1μg/mLの抗CD2抗体1を添加した。未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一元配置分散分析後、ダネット多重比較検定を使用して統計分析を実施した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。
【
図19B】
図19A~Hは、細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせと共に7日または10日インキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を示す。
図19A~Dは、MLR中での増殖したT細胞の平均パーセンテージ+SDを示す(n=9)。
図19Bは、7日間のMLR後の平均CD8T細胞増殖を示す。MLRには、濃度を上昇させて、アバタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、ベラタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、及び抗CD2抗体1(5.08x10
-5~1μg/mL)を補充した。アバタセプトまたはベラタセプトの滴定シリーズ(1x10
-7~100μg/mL)に、滴定シリーズ全体を通して1μg/mLの抗CD2抗体1を添加した。未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一元配置分散分析後、ダネット多重比較検定を使用して統計分析を実施した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。
【
図19C】
図19A~Hは、細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせと共に7日または10日インキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を示す。
図19A~Dは、MLR中での増殖したT細胞の平均パーセンテージ+SDを示す(n=9)。
図19Cは、10日間のMLR後の平均CD4T細胞増殖を示す。MLRには、濃度を上昇させて、アバタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、ベラタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、及び抗CD2抗体1(5.08x10
-5~1μg/mL)を補充した。アバタセプトまたはベラタセプトの滴定シリーズ(1x10
-7~100μg/mL)に、滴定シリーズ全体を通して1μg/mLの抗CD2抗体1を添加した。未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一元配置分散分析後、ダネット多重比較検定を使用して統計分析を実施した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。
【
図19D】
図19A~Hは、細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせと共に7日または10日インキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を示す。
図19A~Dは、MLR中での増殖したT細胞の平均パーセンテージ+SDを示す(n=9)。
図19Dは、10日間のMLR後の平均CD8T細胞増殖を示す。MLRには、濃度を上昇させて、アバタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、ベラタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、及び抗CD2抗体1(5.08x10
-5~1μg/mL)を補充した。アバタセプトまたはベラタセプトの滴定シリーズ(1x10
-7~100μg/mL)に、滴定シリーズ全体を通して1μg/mLの抗CD2抗体1を添加した。未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一元配置分散分析後、ダネット多重比較検定を使用して統計分析を実施した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。
【
図19E】
図19A~Hは、細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせと共に7日または10日インキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を示す。
図19Eは、7日間の混合リンパ球反応(MLR)後の平均CD4T細胞増殖を示す。MLRには、濃度を上昇させて、アバタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、ベラタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、及び抗CD2抗体1(5.08x10
-5~1μg/mL)を補充した。アバタセプトまたはベラタセプトの滴定シリーズ(1x10
-7~100μg/mL)に、滴定シリーズ全体を通して1μg/mLの抗CD2抗体1を添加した。未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一元配置分散分析後、ダネット多重比較検定を使用して統計分析を実施した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。
【
図19F】
図19A~Hは、細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせと共に7日または10日インキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を示す。
図19Fは、7日間のMLR後の平均CD8T細胞増殖を示す。MLRには、濃度を上昇させて、アバタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、ベラタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、及び抗CD2抗体1(5.08x10
-5~1μg/mL)を補充した。アバタセプトまたはベラタセプトの滴定シリーズ(1x10
-7~100μg/mL)に、滴定シリーズ全体を通して1μg/mLの抗CD2抗体1を添加した。未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一元配置分散分析後、ダネット多重比較検定を使用して統計分析を実施した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。
【
図19G】
図19A~Hは、細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせと共に7日または10日インキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を示す。
図19Gは、10日間のMLR後の平均CD4T細胞増殖を示す。MLRには、濃度を上昇させて、アバタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、ベラタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、及び抗CD2抗体1(5.08x10
-5~1μg/mL)を補充した。アバタセプトまたはベラタセプトの滴定シリーズ(1x10
-7~100μg/mL)に、滴定シリーズ全体を通して1μg/mLの抗CD2抗体1を添加した。未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一元配置分散分析後、ダネット多重比較検定を使用して統計分析を実施した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。
【
図19H】
図19A~Hは、細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせと共に7日または10日インキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を示す。
図19Hは、10日間のMLR後の平均CD8T細胞増殖を示す。MLRには、濃度を上昇させて、アバタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、ベラタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、及び抗CD2抗体1(5.08x10
-5~1μg/mL)を補充した。アバタセプトまたはベラタセプトの滴定シリーズ(1x10
-7~100μg/mL)に、滴定シリーズ全体を通して1μg/mLの抗CD2抗体1を添加した。未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一元配置分散分析後、ダネット多重比較検定を使用して統計分析を実施した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。
【0050】
【
図20】異なる処置群におけるMLRの10日後のCD4T細胞増殖の阻害を示す代表的なヒストグラムを示す。
【0051】
【
図21】制御性T細胞(Treg)の増強を表すグラフを示す。MLRには、濃度を上昇させて、アバタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、ベラタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、及び抗CD2抗体1(5.08x10
-5~1μg/mL)を補充した。アバタセプトまたはベラタセプトの滴定シリーズ(1x10
-7~100μg/mL)に、滴定シリーズ全体を通して1μg/mLの抗CD2抗体1を添加した。未処置対照(抗体なし)を比較データセットとして、一元配置分散分析後、ダネット多重比較検定を使用して統計分析を実施した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。
【0052】
【
図22】細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせと共に7日または10日インキュベートした後のCD2平均レベルを示す。抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせによる処置は、ベラタセプトまたはアバタセプト単独による処置と比較して、CD2レベルが低くなった。
【0053】
【
図23】細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせと共に7日または10日インキュベートした後のT細胞数を示す。抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせによる処置は、ベラタセプトまたはアバタセプト単独による処置と比較して、T細胞数が少なくなった。
【0054】
【
図24】細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせと共にインキュベートした後のCD2またはCD28の平均レベルを示す。抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせによる処置は、ベラタセプトまたはアバタセプト単独による処置と比較して、CD2及びCD28のレベルが低くなった。
【0055】
【
図25】細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトとの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトとの組み合わせと共にインキュベート後、Violet Proliferation Dye 450(VPD450)low T細胞を使用したフローサイトメトリーグラフを示す。
【0056】
【
図26】細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトとの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトとの組み合わせと共にインキュベート後、Violet Proliferation Dye 450(VPD450)high T細胞を使用したフローサイトメトリーグラフを示す。
【0057】
【
図27】細胞を対照、Fcサイレント抗CD2(IgG4)、ベラタセプト、アバタセプト、Fcサイレント抗CD2抗体1(IgG4)とベラタセプトの組み合わせ、またはFcサイレント抗CD2抗体1(IgG4)とアバタセプトの組み合わせと共に7日または10日インキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を示す。Fcサイレント抗CD2抗体1とベラタセプトの組み合わせ、またはFcサイレント抗CD2抗体1とアバタセプトの組み合わせによる処置は、ベラタセプトまたはアバタセプト単独による処置と比較して、細胞のパーセンテージが低くなった。
【0058】
【
図28】細胞ベースのFcγR結合アッセイを示す。FcγRI、FcγRIIA、及びFcγRIIIA結合アッセイについて、抗CD2抗体(またはシプリズマブ)、Fcサイレント抗CD2 Ab-1、Fcサイレント抗CD2 Ab-2、Fcサイレント抗CD2 Ab-3、Fcサイレント抗CD2 Ab-4、Fcサイレント抗CD2 Ab-5、Fcサイレント抗CD2 Ab-6、またはFcサイレント抗CD2 Ab-7)などのなる濃度の抗体を試験した。
【0059】
【
図29】Aは、細胞を対照、Fcサイレント抗CD2 Ab-5、ベラタセプト、またはFcサイレント抗CD2 Ab-5及びベラタセプトの組み合わせと共に7日インキュベートした後のT細胞(CD4及びCD8)増殖の平均を示す(n=6;3つの独立したMLR)。Bは、細胞を対照、Fcサイレント抗CD2 Ab-5、ベラタセプト、またはFcサイレント抗CD2 Ab-5及びベラタセプトの組み合わせと共に10日インキュベートした後のT細胞(CD4及びCD8)増殖の平均を示す(n=6;3つの独立したMLR)。
【0060】
【
図30】Aは、細胞を対照、Fcサイレント抗CD2 Ab-7、ベラタセプト、またはFcサイレント抗CD2 Ab-7及びベラタセプトの組み合わせと共に7日インキュベートした後のT細胞(CD4及びCD8)増殖の平均を示す(n=6;3つの独立したMLR)。Bは、細胞を対照、Fcサイレント抗CD2 Ab-7、ベラタセプト、またはFcサイレント抗CD2 Ab-7及びベラタセプトの組み合わせと共に10日インキュベートした後のT細胞(CD4及びCD8)増殖の平均を示す(n=6;3つの独立したMLR)。
【0061】
【
図31】Aは、細胞を対照、Fcサイレント抗CD2 Ab-5、ベラタセプト、またはFcサイレント抗CD2 Ab-5とベラタセプトの組み合わせと共にインキュベートした後の平均T細胞活性化(CD69+及びHLA-DR+)を示す(n=6;3つの独立したMLR)。Bは、細胞を対照、Fcサイレント抗CD2 Ab-7、ベラタセプト、またはFcサイレント抗CD2 Ab-7とベラタセプトの組み合わせと共にインキュベートした後の平均T細胞活性化(CD69+及びHLA-DR+)を示す(n=6;3つの独立したMLR)。
【0062】
【
図32】Aは、細胞を対照、Fcサイレント抗CD2 Ab7、ベラタセプト、アバタセプト、Fcサイレント抗CD2 Ab7とベラタセプトの組み合わせ、またはFcサイレント抗CD2 Ab7とアバタセプトの組み合わせと共に7日インキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を示す。Bは、細胞を対照、Fcサイレント抗CD2 Ab7、ベラタセプト、アバタセプト、Fcサイレント抗CD2 Ab7とベラタセプトの組み合わせ、またはFcサイレント抗CD2 Ab7とアバタセプトの組み合わせと10日インキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を示す。Fcサイレント抗CD2 Ab7とベラタセプトの組み合わせ、またはFcサイレント抗CD2 Ab7とアバタセプトの組み合わせによる処置は、ベラタセプト単独、アバタセプト単独、またはFcサイレント抗CD2 Ab7単独による処置と比較して、細胞のパーセンテージが低くなった(n=6;2つの独立したMLR)。
【発明の詳細な説明】
【0063】
5.発明の詳細な説明
本明細書に記載されるのは、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)であり、抗体依存性細胞傷害を媒介するこの分子の能力は、分子の免疫調節活性が維持されながら、低下するかまたは排除される。本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、免疫系の慢性疾患を治療するため、または患者に移植を行うために、患者に長期投与することができる。
【0064】
CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)については、セクション5.1に記載されている。具体的には、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の結合特異性は、セクション5.1.1に記載し;CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の非枯渇活性は、セクションError!Reference source not found.に記載し;CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の免疫調節活性は、セクション5.1.3に記載し;CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の機能的修飾は、セクション5.1.4に記載している。CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を生成するための方法は、セクション5.2に記載している。CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の治療的使用及び方法は、セクション5.3に記載している。CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の医薬組成物は、セクション5.4に記載している。キットについては、セクション5.5に記載している。本明細書に記載の方法の臨床転帰を評価する方法は、セクション5.6に記載している。本明細書で提供される方法の実施例は、セクション6に記載している。
【0065】
5.1 CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)
本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、セクション5.1.1に詳述するとおりCD2に結合する。本明細書に記載のとおり、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、抗体であり得る。本明細書に記載のとおり、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、抗原結合断片であり得る。本明細書で定義されるとおり、抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、及びIgDなどの免疫グロブリンを指す。本明細書に記載の抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、キメラ抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト化抗体であり得る。特定の実施形態では、抗体は、組換え抗体である。特定の実施形態では、抗体は、完全ヒト抗体である。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、IgGである。ある実施形態では、IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4であり得る。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、IgG1、IgG2、またはIgG4である。本明細書に記載のとおり、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、抗原結合断片であり得る。ある実施形態では、抗原結合断片は、Fab、F(ab’)2、scFv(VLに融合されたVH)、またはsdAbであるか、またはそれらを含み得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、「抗CD2抗体またはその抗原結合断片」という用語は、「CD2結合分子」という用語と同義的に使用される。いくつかの実施形態では、本方法及び組成物で使用するためのCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、ラット抗CD2モノクローナル抗体BTI-322のCDR配列を有する。いくつかの実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、BTI-322(シプリズマブ;MEDI-507)のヒト化IgG1型であり得る。いくつかの実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、Fcサイレント抗CD2抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、BTI-322またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、CB.219またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、LO-CD2bまたはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブまたはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、抗CD2抗体1またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、本開示の抗CD2抗体1は、シプリズマブまたはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも3つを超えるCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、1つまたは複数のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を投与することを含む。ある実施形態では、本明細書に記載の方法は、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)をCTLA-4共刺激遮断剤と組み合わせて対象に投与することを含む。
【0067】
本明細書に記載の抗体は、ジスルフィド結合によって連結された2つの重鎖及び2つの軽鎖から構成され得る。各重鎖は、可変領域(VH)及び定常領域を含み得る。各軽鎖は、可変領域(VL)及び定常領域を含み得る。重鎖及び軽鎖の両方の可変領域が、抗体の抗原への結合を指図する。相補性決定領域(CDR)は、重鎖及び軽鎖の可変領域上の可変ループである。各重鎖には3つのCDRが存在し、各軽鎖には3つのCDRが存在する。ある実施形態では、本明細書に記載の抗体はCD2に結合する。セクション5.1.1を参照されたい。
【0068】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の投与は、標的細胞の枯渇をもたらさない。セクション5.1.2を参照されたい。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、免疫調節活性を呈する。セクション5.1.3を参照されたい。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)が、免疫調節活性を保持しながら標的細胞の枯渇を抑える能力は、Fc領域のグリコシル化を排除することによって達成される;セクション5.1.4を参照されたい。
【0069】
5.1.1 CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の結合特異性
本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、CD2(T11、SRBC(ヒツジ赤血球受容体)、及びLFA-2とも呼ばれる)に特異的に結合する。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、ヒトCD2(GenBankアクセッション番号NM_001328609.1(アイソフォーム1);NM_001767.5(アイソフォーム2))に結合する。ある実施形態では、本明細書で提供されるCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと競合的に結合することができる(Medlmmune Inc.;国際公開番号第WO02/098370号)。シプリズマブ(MEDI-507)は、CD2特異的ラット抗体BTI-322のヒト化型である(Medlmmune Inc.;国際公開番号第WO02/098370号)。シプリズマブは、IgG1κクラスのモノクローナル抗体であり、ヒトT細胞及びヒトNK細胞に見られるCD2に結合する。シプリズマブは、2つの重鎖(約50kDa)及び2つの軽鎖(約25kDa)で構成されている。
【0070】
本明細書で定義されるように、エピトープは、抗体または抗原結合断片が結合する抗原の領域である。いくつかの実施形態では、エピトープは、線状であり得る。他の実施形態では、エピトープは、コンフォメーションであり得る。いくつかの実施形態では、エピトープは、連続アミノ酸によって形成され得る。他の実施形態では、エピトープは、非連続アミノ酸によって形成され得る。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、CD2上のエピトープに結合する。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと同じCD2のエピトープに結合する。ある実施形態では、本明細書で提供されるCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、Clark et al.,J Exp Med.1988 Jun 1;167(6):1861-72によって詳述されているものなど、適切なin vitro競合結合アッセイにおいて、シプリズマブと競合的に結合できる。ある実施形態では、本明細書で提供されるCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと同じIC50値、約1nMを有する(Branco et al.,Transplantation.1999 Nov 27;68(10):1588-96)。ある実施形態では、本明細書で提供されるCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブよりも低いIC50値を有する。ある実施形態では、本明細書で提供されるCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブよりも高いIC50値を有する。ある実施形態では、本明細書で提供されるCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、0.5nM、0.6nM、0.7nM、0.8nM、0.9nM、1.0nM、1.1nM、1.2nM、1.3nM、1.4nM、1.5nM、0.5nM~0.8nM、0.6nM~0.9nM、0.7nM~1.0nM、0.8nM~1.1nM、0.9nM~1.2nM、1.0nM~1.3nM、1.1nM~1.4nM、または1.2nM~1.5nMのIC50値を有する。
【0071】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のVH領域の配列は、配列番号01と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のVL領域の配列は、配列番号02と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のVH CDR1の配列は、配列番号03であり得る。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のVH CDR2の配列は、配列番号04であり得る。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のVH CDR3の配列は、配列番号05であり得る。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のVL CDR1の配列は、配列番号06であり得る。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のVL CDR2の配列は、配列番号07であり得る。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のVL CDR3の配列は、配列番号08であり得る。これらの配列は、表1に示す。
【0072】
ある実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するためのCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、それぞれ配列番号3~5のVH CDR及び配列番号2のVLを含む重鎖可変領域を有する。ある実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するためのCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、それぞれ配列番号6~8のVL CDR及び配列番号1のVHを含む重鎖可変領域を有する。
【0073】
ある実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するためのCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、配列番号3の重鎖可変領域CDR1;配列番号4の重鎖可変領域CDR2;配列番号5の重鎖可変領域CDR3;配列番号6の軽鎖可変領域CDR1;配列番号7の軽鎖可変領域CDR2;配列番号8の軽鎖可変領域CDR3を含む。ある実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するためのCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、配列番号3と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%または約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号4と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%、または約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一である配列を含む重鎖可変領域CDR2;配列番号5と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%、または約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一である配列を含む重鎖可変領域CDR3;配列番号6と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%、または約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一である配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号7と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%、または約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一である配列を含む軽鎖可変領域CDR2;及び/または配列番号8と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%、または約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一である配列を含む軽鎖可変領域CDR3を有する。
【0074】
ある実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するためのCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、配列番号3に対して、約1個または少なくとも約1個のアミノ酸置換、約2個または少なくとも約2個のアミノ酸置換、約3個または少なくとも約3個のアミノ酸置換、約4個または少なくとも約4個のアミノ酸置換、または少なくとも約4個を超えるアミノ酸置換を有する配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号4に対して、約1個または少なくとも約1個のアミノ酸置換、約2個または少なくとも約2個のアミノ酸置換、約3個または少なくとも約3個のアミノ酸置換、約4個または少なくとも約4個のアミノ酸置換、または少なくとも約4個を超えるアミノ酸置換を有する配列を含む重鎖可変領域CDR2;配列番号5に対して、約1個または少なくとも約1個のアミノ酸置換、約2個または少なくとも約2個のアミノ酸置換、約3個または少なくとも約3個のアミノ酸置換、約4個または少なくとも約4個のアミノ酸置換、または少なくとも約4個を超えるアミノ酸置換を有する配列を含む重鎖可変領域CDR3;配列番号6に対して、約1個または少なくとも約1個のアミノ酸置換、約2個または少なくとも約2個のアミノ酸置換、約3個または少なくとも約3個のアミノ酸置換、約4個または少なくとも約4個のアミノ酸置換、または少なくとも約4個を超えるアミノ酸置換を有する配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号7に対して、約1個または少なくとも約1個のアミノ酸置換、約2個または少なくとも約2個のアミノ酸置換、約3個または少なくとも約3個のアミノ酸置換、約4個または少なくとも約4個のアミノ酸置換、または少なくとも約4個を超えるアミノ酸置換を有する配列を含む軽鎖可変領域CDR2;及び/または配列番号8に対して、約1個または少なくとも約1個のアミノ酸置換、約2個または少なくとも約2個のアミノ酸置換、約3個または少なくとも約3個のアミノ酸置換、約4個または少なくとも約4個のアミノ酸置換、または少なくとも約4個を超えるアミノ酸置換を有する配列を含む軽鎖可変領域CDR3を有する。
【0075】
いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、保存的置換である。保存されたアミノ酸交換の具体例は、アミノ酸の側鎖の構造的及び/または機能的特性を維持するアミノ酸置換であり、例えば、芳香族アミノ酸は、別の芳香族アミノ酸に置換され、酸性アミノ酸は、別の酸性アミノ酸に置換され、塩基性アミノ酸は、別の塩基性アミノ酸に置換され、脂肪族アミノ酸は、別の脂肪族アミノ酸に置換される。いくつかの実施形態では、保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が同様の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基と置換されるものである。同様の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。対照的に、非保存アミノ酸交換の例は、アミノ酸の側鎖の構造的及び/または機能的特性を維持しないアミノ酸置換であり、例えば、芳香族アミノ酸が、塩基性、酸性、または脂肪族アミノ酸に置換され、酸性アミノ酸が、芳香族、塩基性、または脂肪族アミノ酸に置換され、塩基性アミノ酸が、酸性、芳香族または脂肪族アミノ酸に置換され、脂肪族アミノ酸が、芳香族、酸性または塩基性アミノ酸に置換される。
【0076】
ある実施形態では、本方法及び組成物と共に使用するためのCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、BTI-322またはシプリズマブの重鎖CDRの1つ、2つ、または3つを含む。ある実施形態では、本方法及び組成物と共に使用するためのCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、BTI-322またはシプリズマブの軽鎖CDRの1つ、2つ、または3つを含む。ある実施形態では、本方法及び組成物と共に使用するためのCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、BTI-322またはシプリズマブのCDRの1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つすべてのCDRを含む。ある実施形態では、本明細書に記載の方法で使用するためのCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、Error!Reference source not found.に記載の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つすべてのCDRを含む。ある実施形態では、BTI-322またはシプリズマブのCDRの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、及び/または6つすべてが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のアミノ酸置換を有する。より具体的な実施形態では、そのようなアミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。
【表1】
【0077】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと同じ6つのCDR配列を有する。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブの6つのCDR配列のうちの5つを共有できる。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のCDRのうちの1つは、シプリズマブの対応するCDRとは異なり、CDR配列は、1つのアミノ酸が異なる。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のCDR配列と、シプリズマブの対応するCDRとの差異は、保存的アミノ酸置換である。例えば、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブの6つのCDRのセットと比較して、またはシプリズマブの重鎖内の3つのCDRのセットと比較して、またはシプリズマブの軽鎖内の3つのCDRのセットと比較して、1、2、3、4、5、または6つの保存的アミノ酸置換を有することができる。
【0078】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のVL CDR1、VL CDR2、またはVL CDR3は、そのシプリズマブ対応物とは異なるCDRである。他の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のVH CDR1、VH CDR2、またはVH CDR3は、そのシプリズマブ対応物とは異なるCDRである。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の異なるCDRは、そのシプリズマブ対応物の配列よりも長い。他の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の異なるCDRは、そのシプリズマブ対応物の配列よりも短い。
【0079】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の重鎖定常領域(CH)の配列は、配列番号09と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の重鎖定常領域の配列は、配列番号10と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の重鎖定常領域の配列は、配列番号11と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の重鎖定常領域の配列は、配列番号12と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の重鎖定常領域の配列は、配列番号13と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の軽鎖定常領域(CL)の配列は、配列番号14と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の軽鎖定常領域の配列は、配列番号15と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。
【0080】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、T111、T112、及びT113として当技術分野で知られているヒトCD2の3つの領域に向けることができる(Peterson,A.,Seed,B.,1987.Nature 329,842-846;Branco et al.,1999.Transplantation 68,1588-1596;Arulanandam,A.R.,et al.,1993.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90,11613-11617;Damschroder et al.,2004.Molecular Immunology 41,985-1000)。シプリズマブへの結合に重要なヒトCD2の接着ドメイン中の3つの残基は、N18、K55、及びT5である(Damschroder et al.,2004.Molecular Immunology 41,985-1000)。ある実施形態では、細胞外CD2ドメイン中の残基N18、K55、及びT59は、ヒトCD2に対する本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の結合親和性において重要な残基である。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと同じエピトープを結合する。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと競合的にヒトCD2に結合する。
【0081】
ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のDNA配列は、修飾させて、製造中の産生物収量を最適化することができる。生成されたアミノ酸配列は、表1に記載のものと同じになるため、配列の最適化により、産生中の分子の産生物品質の分泌に影響を与えることなく、産生物収量が増加する。CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の重鎖及び軽鎖の最適化されたDNA配列を表2に示す。
【表2】
【0082】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の重鎖の配列は、配列番号16と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の軽鎖の配列は、配列番号17と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。
【0083】
ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、CD58/CD2シグナル伝達カスケードを妨害する。ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、CD58を遮断する。CD58/CD2経路を阻害する化合物の例は、アレファセプトである。
【0084】
ある実施形態では、シプリズマブの枯渇型は自己免疫疾患の治療に使用され得る。
【0085】
5.1.2 ADCC活性の低下または欠如
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、抗体依存性細胞傷害(「ADCC」)を有しないか、または低減している。CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、これらに限定されないが、Fcサイレンシング、サブクラススイッチング、脱グリコシル化、及びFc領域の他の変異または修飾などの方法を使用して、ADCCの減少または不在を呈するように生成することができる。これらの方法は、本明細書に記載された方法で使用され得るCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の非限定的な例について、例えば、米国仮出願第63/135,381号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。これらの方法については、セクション5.1.4、5.2.2、5.2.3及び実施例においても、さらに記載している。
【0086】
ADCC活性は、任意の市販のキット(例えば、Promega ADCC Reporter Bioassay、CoreKit(カタログ#G7010、G7018)、または任意の適切なアッセイによって決定することができる。そのようなアッセイとしては、これらに限定されないが、フローサイトメトリーに基づくアッセイ、蛍光アッセイ、または生物発光レポーターアッセイが挙げられる。
【0087】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、in vitroアッセイにおいてシプリズマブのADCC活性の最大90%を呈する。このようなアッセイの例は、Golay et al.,Haematologica.January 2003;88:1002-1012の方法に記載されている。具体的には、本明細書で提供されるCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと比較して、最大で0%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または最大90%のADCC活性を呈する。
【0088】
ある実施形態では、本明細書で提供されるCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のin vivo投与は、ヒト化マウスモデルまたは臨床設定におけるヒト対象において、シプリズマブのin vivo投与と比較して、最大90%のADCC活性を呈する。具体的には、本明細書で提供されるCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のin vivo投与は、ヒト化マウスモデルまたは臨床設定におけるヒト対象において、シプリズマブのin vivo投与の最大で0%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または最大90%のADCC活性を呈する。
【0089】
5.1.3 免疫調節活性の維持
ある実施形態では、本明細書で提供されるCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、ADCCが存在しないかまたは低下しているにもかかわらず、免疫調節活性を呈する。CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、これらに限定されないが、Fcサイレンシング、サブクラススイッチング、脱グリコシル化、及びFc領域の他の変異または修飾などの方法を使用して、ADCCの減少または不在を呈するように生成することができる。これらの方法については、セクション5.1.4、5.2.2、5.2.3及び実施例において、さらに記載している。
【0090】
本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)によって呈される免疫調節活性としては、これらに限定されないが、CD4+/CD25+T細胞の活性化及び増殖の阻害、FOXP3+制御性T細胞の割合(パーセンテージ)の上昇、及びCD69+NK細胞の抑制が挙げられ得る。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと同じ免疫調節活性(例えば、同じタイプ及び同じレベル)を呈する。免疫調節活性の決定は、当技術分野で知られている任意の適切な方法によって達成することができる。これらの方法としては、これらに限定されないが、細胞増殖アッセイ、T細胞活性化機能アッセイ、ELISPOTアッセイ、細胞内染色、サイトカイン捕捉、四量体染色、スペクトルタイピングアッセイ、及びバイオセンサーアッセイが挙げられる。一例として、T細胞活性化は、任意の市販のアッセイキット(例えば、Promega T Cell Activation Bioassay(NFATまたはIL-2)(カタログ#J1621またはJ1651))、または任意の適切なアッセイによって決定することができ、簡単に述べると、アッセイプレートを抗CD3抗体でコーティングし、ヒトPBMCまたはマウス末梢標的細胞を添加し、抗CD28を細胞に添加し、増殖を定量化する。
【0091】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、CD4+/CD25+T細胞の活性化及び増殖を、in vitroアッセイにおいて、シプリズマブによって達成されるレベルの少なくとも50%であるレベルまで阻害することができる。このようなアッセイの例は、Ng et al.,Blood.2001;98:2736-2744の方法に記載されている。具体的には、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、CD4+/CD25+T細胞の活性化及び増殖を、in vitroにおいて、シプリズマブによって達成されるレベルの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%であるレベルまで阻害することができる。
【0092】
ある実施形態では、本明細書で提供されるCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のin vivo投与は、ヒト化マウスモデルまたは臨床設定におけるヒト対象において、シプリズマブのin vivo投与と比較して、少なくとも50%のレベルのCD4+/CD25+T細胞の活性化/増殖を呈する。具体的には、本明細書で提供されるCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のin vivo投与は、ヒト化マウスモデルまたは臨床設定におけるヒト対象において、シプリズマブのin vivo投与と比較して、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%のレベルのCD4+/CD25+T細胞の活性化/増殖を呈する。
【0093】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと比較して、FOXP3+制御性T細胞の量を増加させることができる。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、in vitroアッセイにおいて、FOXP3+制御性T細胞の量を、シプリズマブによって達成される量の少なくとも50%のレベルまで増加させることができる。そのようなアッセイの例は、Sambucci et al.,Scientific Reports.8:3674(2018)の方法に記載されている。具体的には、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、in vitroにおいて、FOXP3+制御性T細胞の量を、シプリズマブによって達成されるFOXP3+制御性T細胞の量の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%のレベルまで増加させることができる。
【0094】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のin vivo投与は、ヒト化マウスモデルまたは臨床設定におけるヒト対象において、シプリズマブのin vivo投与と比較して、少なくとも50%のレベルのFOXP3+制御性T細胞を呈する。具体的には、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のin vivo投与は、ヒト化マウスモデルまたは臨床設定におけるヒト対象において、シプリズマブのin vivo投与と比較して、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%のレベルのFOXP3+制御性T細胞を呈する。
【0095】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと比較して、CD69+NK細胞の発現を阻害することができる。ある実施形態では、本明細書において提供されるCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、in vitroアッセイにおいて、シプリズマブと比較して、最大で50%のCD69+NK細胞の発現を呈する。そのようなアッセイの例は、Thum et el.,Human Reproduction.19:10,pp.2395-2400,2004の方法に記載されている。具体的には、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、in vitroにおいて、シプリズマブと比較して、最大10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または最大90%のCD69+NK細胞の発現を呈する。
【0096】
ある実施形態では、本明細書で提供されるCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のin vivo投与は、ヒト化マウスモデルまたは臨床設定におけるヒト対象において、シプリズマブのin vivo投与と比較して、最大50%のCD69+NK細胞の発現を呈する。具体的には、本明細書で提供されるCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のin vivo投与は、ヒト化マウスモデルまたは臨床設定におけるヒト対象において、シプリズマブのin vivo投与と比較して、最大10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または最大90%のCD69+NK細胞の発現を呈する。
【0097】
特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、これらの免疫調節活性のうちの1つを行うことができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、これらの免疫調節活性のうちの2つ以上を行うことができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、これらの免疫調節活性をすべて行うことができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の投与は、免疫調節活性を保持しながら、レシピエントにおけるADCC活性を完全に無効にする。
【0098】
5.1.4 Fc領域の修飾
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、IgG1抗体であり、Fc領域中に修飾を有する。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、IgG2抗体であり、Fc領域中に修飾を有する。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、IgG3抗体であり、Fc領域中に修飾を有する。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、IgG4抗体であり、Fc領域中に修飾を有する。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと比較して、少なくとも1つの変異(例えば、約1つまたは少なくとも1つ、約2つまたは少なくとも2つ、約3つまたは少なくとも3つ、約4つまたは少なくとも4つ、約5つまたは少なくとも5つ、約6つまたは少なくとも6つ、約7つまたは少なくとも7つ、約8つまたは少なくとも8つ、約9つまたは少なくとも9つ、約10または少なくとも10、または約10を超える変異)を含む。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブに関連して、約1つの変異、約2つの変異、約3つの変異、約4つの変異、約5つの変異、約6つの変異、約7つの変異、約8つの変異、約9つの変異、約10の変異、または約10を超える変異(例えば、シプリズマブのFc領域中の変異)を含む。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、IgG1重鎖中にシプリズマブCDR、及び少なくとも1つの変異(例えば、約1つまたは少なくとも1つ、約2つまたは少なくとも2つ、約3つまたは少なくとも3つ、約4つまたは少なくとも4つ、約5つまたは少なくとも5つ、約6つまたは少なくとも6つ、約7つまたは少なくとも7つ、約8つまたは少なくとも8つ、約9つまたは少なくとも9つ、約10または少なくとも10、または約10を超える変異)を含む。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、IgG2重鎖中にシプリズマブCDR、及び少なくとも1つの変異(例えば、約1つまたは少なくとも1つ、約2つまたは少なくとも2つ、約3つまたは少なくとも3つ、約4つまたは少なくとも4つ、約5つまたは少なくとも5つ、約6つまたは少なくとも6つ、約7つまたは少なくとも7つ、約8つまたは少なくとも8つ、約9つまたは少なくとも9つ、約10または少なくとも10、または約10を超える変異)を含む。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、IgG3重鎖中にシプリズマブCDR、及び少なくとも1つの変異(例えば、約1つまたは少なくとも1つ、約2つまたは少なくとも2つ、約3つまたは少なくとも3つ、約4つまたは少なくとも4つ、約5つまたは少なくとも5つ、約6つまたは少なくとも6つ、約7つまたは少なくとも7つ、約8つまたは少なくとも8つ、約9つまたは少なくとも9つ、約10または少なくとも10、または約10を超える変異)を含む。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、IgG4重鎖中にシプリズマブCDR、及び少なくとも1つの変異(例えば、約1つまたは少なくとも1つ、約2つまたは少なくとも2つ、約3つまたは少なくとも3つ、約4つまたは少なくとも4つ、約5つまたは少なくとも5つ、約6つまたは少なくとも6つ、約7つまたは少なくとも7つ、約8つまたは少なくとも8つ、約9つまたは少なくとも9つ、約10または少なくとも10、または約10を超える変異)を含む。変異は、野生型対応物と比較して、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のアミノ酸配列中に少なくとも1つの改変を含むことができ、改変は、Fc領域のその同族受容体への結合の減少または排除をもたらす。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、アミノ酸L234位、L235位、P329位、V234位、G237位、P238位、H268位、V309位、A330位、P331位、及び/またはS228位(例えば、Edelman(EU)ナンバリングに基づく)に変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、アミノ酸L234位及び/またはL235位における変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、アミノ酸L234位、L235位及び/またはP329位における変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、アミノ酸位置V234位、G237位、P238位、H268位、V309位、A330位、及び/またはP331位における変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、アミノ酸S228位における変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、アミノ酸S228位、P329位及び/またはL235位における変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、L234A(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、L235A(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、P329G(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、V234A(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、G237A(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、P238S(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、H268A(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、V309L(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、A330S(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、P331S(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、S228P(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、L235E(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、L234A及びL235A(または他の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、P329G、L234A及びL235A(または他の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、V234A、G237A、P238S、H268A、V309L、A330S、及びP331S(または他の保存的アミノ酸変異)を含む(例えば、IgG2について)。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、S228P(または別の保存的アミノ酸変異)を含む(例えば、IgG4について)。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、P329G、S228P、及びL235E(または別の保存的アミノ酸変異)を含む(例えば、IgG4について)。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置は、任意の抗体ナンバリングスキーム(例えば、Edelman(EU)ナンバリング)に基づく位置である。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置は、Edelman(EU)ナンバリングに基づく位置である。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置は、Kabatナンバリングスキームに基づく位置である。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置は、Clothiaナンバリングスキームに基づく位置である。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置は、IMGTナンバリングスキームに基づく位置である。修飾は、野生型Fc領域と比較して、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)Fc領域のアミノ酸配列中に少なくとも1つの改変を含むことができ、改変は、Fc領域のその同族受容体への結合の減少または排除をもたらす。Fc受容体は、B細胞、NK細胞、マクロファージ、及び好中球などの免疫エフェクター細胞上にある。理論に拘束されるものではないが、野生型IgGでは、Fc受容体(FcR)とのFc相互作用により、免疫細胞の食作用または細胞傷害活性を刺激することなど、下流のエフェクター細胞機能がもたらされる。Fc/FcR相互作用の減少または排除は、エフェクター機能の排除をもたらす。
【0099】
ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと比較して、FcγRIIIA受容体への結合の減少を呈する。ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと比較して、FcγRIIA受容体への結合の減少を呈する。ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと比較して、FcγRI受容体への結合の減少を呈する。ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと比較して、FcγRIIIA受容体への結合の増加を呈する。ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと比較して、FcγRIIA受容体への結合の増加を呈する。ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと比較して、FcγRI受容体への結合の増加を呈する。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブによって示される結合能力の0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%で結合する。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブによって示される(例えば、FcγRIIA、FcγRIIIA、及び/またはFcγRIに対する)結合能力と比較して、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%、または少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%高い結合能力(例えば、FcγRIIA、FcγRIIIA、及び/またはFcγRIに対して)を有する。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブによって示される(例えば、FcγRIIA、FcγRIIIA、及び/またはFcγRIに対する)結合能力と比較して、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%、または少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%低い結合能力(例えば、FcγRIIA、FcγRIIIA、及び/またはFcγRIに対して)を有する。結合事象を検出するためのアッセイとしては、これらに限定されないが、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、及び/またはBiacoreシステムなどの表面プラズモン共鳴(SPR)法を挙げることができる。
【0100】
ある実施形態では、Fc領域は、当技術分野で知られている任意の適切な方法によって修飾され得る。ある実施形態では、修飾は、Fcサイレンシングをもたらすことができる。ある実施形態では、修飾は、IgG Fcのアミノ酸配列の変異を含み得る。ある実施形態では、修飾は、グリコシル化部位(N297)またはN297を含むコンセンサス配列の変異を含み得る。ある実施形態では、修飾は、FcγR及びC1q結合を阻害する変異を含み得る。ある実施形態では、これらの変異は、変異K322A、L234A及びL235Aのいずれかまたはすべてを含み得る。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、Fcが存在しないFabであり得る。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、IgG4抗体である。理論に拘束されるものではないが、IgG4サブクラスは、ADCCなどのエフェクター機能が欠如しているため、治療目的に望ましい(Davies and Sutton, Immunol Rev.2015 Nov;268(1):139-15)。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、IgG2抗体である。理論に拘束されるものではないが、IgG2サブクラスの治療上有益な特徴としては、IgG2が胎盤を通過しないこと(Einarsdottir et al.,PLoS One.2014 Sep 24;9(9):e108319)、及びIgG2が、Fc受容体結合能が非常に低い/全くないこと(Vidarsson et al.,Front Immunol.2014;5:520)が挙げられる。
【0101】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、抗原結合可変領域及びFc領域を有することができる。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のFc領域は、抗体の重鎖のそれぞれにグリコシル化コンセンサス配列を含む。ある実施形態では、グリコシル化コンセンサス配列は、Asn-X-Serである。ある実施形態では、グリコシル化コンセンサス配列は、Asn-X-Thrである。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、Asn297でグリコシル化されている。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、脱グリコシル化されている。ある実施形態では、アスパラギン残基に付着した糖鎖は、N結合型糖鎖であり得る。ある実施形態では、アスパラギン残基に付着した糖鎖は、O結合型糖鎖であり得る。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、重鎖のAsn297上に単一のN結合型グリコシル化部位を含み得る。
【0102】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、Fcグリコシル化コンセンサス配列でグリコシル化され得る。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、脱グリコシル化される。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の脱グリコシル化は、Fc領域を修飾することによって、具体的にはN297位の点変異を導入することによって達成される。ある実施形態では、297位に導入される変異(N297)は、これらに限定されないが、N297G、N297Q、またはN297Aであり得る。理論に拘束されるものではないが、N297点変異は、グリコシル化の欠如及びFcシグナル伝達のサイレンシングをもたらす。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の脱グリコシル化は、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)糖鎖構造の化学的または酵素的分解によって達成される。セクション5.2.3を参照されたい。特定の実施形態では、糖鎖分解の化学的方法または酵素的方法は、Fcアミノ酸配列を保存する。
【0103】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の定常領域は、異なるサブクラスの抗体の定常領域でスイッチング可能である。理論に拘束されるものではないが、可変領域は変化しないが、サブクラススイッチ抗体は、異なるエフェクター分子と相互作用しながら、その特異的親和性を保持する(Valenzuela and Schaub,Transplantation.2018 Jan;102(1S Suppl 1):S7-S13)。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の定常領域は、異なる抗体の定常領域でスイッチング可能である。ある実施形態では、このスイッチングにより、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)が、元の抗体とは異なるサブクラスの抗体になる。ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の定常領域は、可変領域の特異的結合を保持しながら、異なる抗体でスイッチング可能である。ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の定常領域を異なる抗体でスイッチングでき、特定の可変領域が保存され、ここで、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のVH領域は、配列番号01と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のVL領域は、配列番号02と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。
【0104】
ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと同じヒトCD2内のエピトープに特異的に結合する。ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、動物特異的抗体、ヒト特異的抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全長抗体、抗体断片、単鎖可変断片(scFv)、天然抗体、合成抗体、操作抗体、Fc領域に追加の成分が付加された拡大抗CD2バリアント(例えば、成分は、scFv、CH2ドメイン、及び/またはCH3ドメインを含むことができる)、またはそれらの組み合わせであり得る。ある実施形態では、抗体Fc領域は、Fcサイレンシングをもたらす点変異を(例えば、N297中に)有する。ある実施形態では、抗体は、IgG1である。ある実施形態では、抗体は、IgG2である。ある実施形態では、抗体は、IgG4である。ある実施形態では、抗体は、シプリズマブとは異なるネイティブ定常領域を有する。ある実施形態では、抗体は、シプリズマブとは異なるネイティブ定常領域、及びFcサイレンシングをもたらすFc領域内の点変異を有する。いくつかの実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、ヒト化抗CD2モノクローナル抗体である。特定の実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブである。ある実施形態では、本明細書に記載の抗CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、修飾Fc領域を有することができ、修飾には、これらに限定されないが、Fcサイレンシング、スイッチされたネイティブ定常領域、またはFcサイレンシングされスイッチされた新しいネイティブ定常領域をもたらす、点変異が含まれ得る。異なる抗体サブクラスと修飾のこれらの組み合わせは、表3に概説されているCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の異なる型を産生させる。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、抗体のIgG1、IgG2、またはIgG4サブクラスであり得る。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、修飾Fc領域を有することができ、修飾には、これらに限定されないが、Fcサイレンシング、スイッチされたネイティブ定常領域、またはFcサイレンシングされスイッチされた新しいネイティブ定常領域をもたらす、点変異が含まれ得る。異なる抗体サブクラスと修飾のこれらの組み合わせは、表3に概説されているCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の異なる型を産生させる。
【表3】
【0105】
CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の比較を表4に概説する。
【表4】
【0106】
ある実施形態では、上に提示された例を含む本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと比較してADCC活性をほとんどまたは全く有さず、さらにシプリズマブによって呈される免疫調節効果を保持する。
【0107】
ある実施形態では、本明細書で提供されるCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、未修飾IgG1抗体の分子量より高い分子量を有し得る。ある実施形態では、この分子量の増加は、分子の複製領域の追加によって達成することができる。ある実施形態では、これらの領域は、当技術分野で公知である手段、これらに限定されないが、化学的コンジュゲーション、組換え融合、及び共有結合による付着を介して、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)に付着させ得る。
【0108】
ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)に付着する追加の領域は、これらに限定されないが、追加の可変重鎖(VH)、追加の可変軽鎖(VL)、追加のVHと追加のVLとの融合を含むscFv、追加のCH2ドメイン、または追加のCH3ドメインなど、分子の複製領域を含むことができる。ある実施形態では、追加の領域は、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のFc領域に付着させ得る。
【0109】
ある実施形態では、scFvは、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のFc領域に付着させ得る。ある実施形態では、scFvは、シプリズマブのVHとVLとの融合を含むことができる。ある実施形態では、scFvは、VHとVLとの融合を含むことができ、VHは、配列番号1のアミノ酸配列を含むことができ、VLは、配列番号2のアミノ酸配列を含むことができる。特定の実施形態では、scFvは、CD2に結合する。ある実施形態では、scFvのCDRは、シプリズマブのCDRと同じである。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のFc領域に付着しているscFvは、CD2上のエピトープに結合する。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のFc領域に付着したscFvは、シプリズマブと同じCD2のエピトープに結合する。ある実施形態では、scFvは、IgG2抗体またはIgG4抗体から生成することができる。
【0110】
ある実施形態では、追加のCH2ドメインをFcに付着させ得る。ある実施形態では、CH2ドメインは、配列番号18または19のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。ある実施形態では、追加のCH2ドメインは、IgG2抗体またはIgG4抗体から生成することができる。ある実施形態では、追加のCH3ドメインをFcに付着させ得る。ある実施形態では、CH3ドメインは、配列番号20または21のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。ある実施形態では、追加のCH3ドメインは、IgG2抗体またはIgG4抗体から生成することができる。ある実施形態では、追加のドメインは、FcのC末端に付着させ得る。ある実施形態では、これらのドメインは、当技術分野で公知である手段、これらに限定されないが、化学的コンジュゲーション、組換え融合、及び共有結合による付着を介して、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)に付着させ得る。ある実施形態では、これらのドメインは、当技術分野で公知である手段、これらに限定されないが、化学的コンジュゲーション、組換え融合、及び共有結合による付着を介して、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)に付着させ得る。本開示に使用できるCD2抗体またはその抗原結合断片の例及びその製造は、例えば、米国仮出願第63/042,844号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0111】
5.2 CD2結合分子の産生
本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を産生するための方法が本明細書に提供され、ここで、シプリズマブと比較して、抗体依存性細胞傷害を媒介する当該分子の能力は低下するかまたは排除されるが、当該分子の免疫調節活性は維持されている。本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を産生するための方法としては、組換え発現技術、選択方法、宿主細胞への形質転換、及びCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の精製が挙げられる。セクション5.2.1を参照されたい。CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の断片(セクション5.2.2参照);脱グリコシル化CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)(セクション5.2.3を参照);及び本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を組換え発現するためのベクターを含む細胞(セクション5.2.4を参照)を産生するための方法も本明細書に提供される。
【0112】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、配列番号01のVHの、配列番号02のVL、配列番号09のCH、及び配列番号14のCL;配列番号01のVH、配列番号02のVL、配列番号10のCH、及び配列番号14のCL;配列番号01のVH、配列番号02のVL、配列番号11のCH、及び配列番号14のCL;配列番号01のVH、配列番号02のVL、配列番号12のCH、及び配列番号14のCL;配列番号01のVH、配列番号02のVL、配列番号13のCH、及び配列番号14のCLを含み得る。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、配列番号01のVHの、配列番号02のVL、配列番号09のCH、及び配列番号15のCL;配列番号01のVH、配列番号02のVL、配列番号10のCH、及び配列番号15のCL;配列番号01のVH、配列番号02のVL、配列番号11のCH、及び配列番号15のCL;配列番号01のVH、配列番号02のVL、配列番号12のCH、及び配列番号15のCL;配列番号01のVH、配列番号02のVL、配列番号13のCH、及び配列番号15のCLを含み得る。
【0113】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、配列番号16の重鎖;配列番号02のVL、及び配列番号14のCL;配列番号16の重鎖;配列番号02のVL、及び配列番号15のCL;配列番号01のVH;配列番号09のCH;及び配列番号17の軽鎖;配列番号01のVH;配列番号10のCH;及び配列番号17の軽鎖;配列番号01のVH;配列番号11のCH;及び配列番号17の軽鎖;配列番号01のVH;配列番号12のCH;及び配列番号17の軽鎖;配列番号01のVH;配列番号13のCH;及び配列番号17の軽鎖;または配列番号16の重鎖及び配列番号17の軽鎖を含み得る。
【0114】
ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、拡大バリアントを含み得る。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のFcは、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の分子量が、10kDa、11kDa、12kDa、13kDa、14kDa、15kDa、16kDa、17kDa、18kDa、19kDa、20kDa、21kDa、22kDa、23kDa、24kDa、25kDa、26kDa、27kDa、28kDa、29kDa、30kDa、31kDa、32kDa、33kDa、34kDa、35kDa、36kDa、37kDa、38kDa、39kDa、40kDa、41kDa、42kDa、43kDa、44kDa、45kDa、46kDa、47kDa、48kDa、49kDa、50kDa、51kDa、52kDa、53kDa、54kDa、55kDa、56kDa、57kDa、58kDa、59kDa、または60kDa増加するように、追加の領域を含む。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のFcは、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の分子量が、10kDa~15kDa、11kDa~16kDa、12kDa~17kDa、13kDa~18kDa、14kDa~19kDa、15kDa~20kDa、16kDa~21kDa、17kDa~22kDa、18kDa~23kDa、19kDa~24kDa、20kDa~25kDa、21kDa~26kDa、22kDa~27kDa、23kDa~28kDa、24kDa~29kDa、25kDa~30kDa、26kDa~31kDa、27kDa~32kDa、28kDa~33kDa、29kDa~34kDa、30kDa~35kDa、31kDa~36kDa、32kDa~37kDa、33kDa~38kDa、34kDa~39kDa、35kDa~40kDa、36kDa~41kDa、37kDa~42kDa、38kDa~43kDa、39kDa~44kDa、40kDa~45kDa、41kDa~46kDa、42kDa~47kDa、43kDa~48kDa、44kDa~49kDa、45kDa~50kDa、46kDa~51kDa、47kDa~52kDa、48kDa~53kDa、49kDa~54kDa、50kDa~55kDa、51kDa~56kDa、52kDa~57kDa、53kDa~58kDa、54kDa~59kDa、または55kDa~60kDaの範囲で増加するように、追加の領域を含む。
【0115】
ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の複製領域を分子に付着させて、拡大バリアントを産生し得る。ある実施形態では、これらの領域は、当技術分野で公知である手段、これらに限定されないが、化学的コンジュゲーション、組換え融合、及び共有結合による付着を介して、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のFc領域に付着させ得る。
【0116】
ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の拡大バリアントは、IgG1、IgG2、またはIgG4に由来することができる。ある実施形態では、追加のscFvをCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のFcに付着させて、拡大バリアントを産生し得る(
図7、
図8A)。ある実施形態では、scFvは、VH及びVLを含むことができ、VHは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含むことができ、VLは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。
【0117】
ある実施形態では、追加のCH2ドメインをCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のFcに付着させて、拡大バリアントを産生し得る(
図7、
図8B)。ある実施形態では、追加のCH2ドメインは、配列番号18または19のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。ある実施形態では、追加のCH3ドメインをCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のFcに付着させて、拡大バリアントを産生し得る(
図7、
図8C)。ある実施形態では、追加のCH3ドメインは、配列番号20または21のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。好ましい実施形態では、追加の断片またはドメインは、FcのC末端に付着させ得る。ある実施形態では、拡大抗CD2バリアントは、IgG2抗体であり得る。ある実施形態では、拡大抗CD2バリアントは、IgG4抗体であり得る。拡大抗CD2バリアントの詳細を表5に示す。
【0118】
ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)に付着している追加の領域は、無関係のまたは人工のアミノ酸配列を含み得る。ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)に付着している追加の領域は、別のヒトタンパク質由来の、構造ドメインなどの断片を含み得る。ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)に付着している追加の領域は、別のヒトタンパク質由来のドメインの断片を含み得る。ある実施形態では、そのような追加の領域の付加では、ヒトにおいて、親CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の結合活性に干渉することなく、及び/または親CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)に対する、得られたCD2バインダーの免疫原性を増加させることはない。
【表5】
【0119】
5.2.1 組換え発現系
CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を産生するための方法が本明細書に記載される。本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、当技術分野で知られている任意の適切な発現方法によって産生することができる。抗体を産生するこれらの方法としては、これらに限定されないが、ハイブリドーマ細胞、細菌、酵母細胞、昆虫細胞、トランスジェニック動物、トランスジェニック植物、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、及び哺乳動物細胞株における組換え発現の使用を挙げることができる。ある実施形態では、シプリズマブと同じエピトープにおいて、CD2に結合する組換え抗体を産生する方法は、抗体のVH及びVL遺伝子を単離、増幅、及びクローニングすること;重鎖断片と軽鎖断片とを結合すること;その後、これらの鎖を特別なファージベクターにクローニングすることを含む。組み込み時に、抗体は、細胞表面上に提示され、当技術分野で知られている任意の適切な選択方法を使用して、所望の結合特異性を有する抗体を選択することができる。これらの方法としては、これらに限定されないが、パニング、常磁性ビーズの使用、蛍光活性化セルソーティング(FACS)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、及び/またはBiacoreシステムなどの表面プラズモン共鳴(SPR)法が挙げられる。
【0120】
選択後、抗体の遺伝子を発現ベクターに移動させ得る。ある実施形態では、強力なプロモーターも発現ベクターに挿入される。プロモーターは、CMVまたはSV40などのウイルスプロモーター;または伸長因子(EF)-1プロモーター、UBC、PGK、またはCAGプロモーターなどの非ウイルスプロモーターであり得る。発現ベクターは、宿主細胞株に形質転換され、宿主細胞ゲノムに組み込まれる。ある実施形態では、宿主細胞株は、細菌、酵母、または哺乳動物細胞株を含むことができる。特定の実施形態では、組換え抗体産生のための宿主細胞株として使用できる哺乳動物細胞株としては、これらに限定されないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、NS0細胞株、Sp2/0細胞株、PER.C6細胞株、及びヒト胎児腎臓(HEK)細胞株が挙げられる。
【0121】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、宿主細胞培養物から回収し、当技術分野で知られている任意の適切な方法によって精製することができる。標準的な抗体精製法としては、これらに限定されないが、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー、Q-セファロース陰イオン交換クロマトグラフィー、スルホプロピルセファロース陽イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、プロテインG精製、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、及びレクチンクロマトグラフィーが挙げられる。
【0122】
5.2.2 CD2結合断片の産生
上記の手順ステップに加えて、変形または追加の手順を実行して、CD2結合断片を産生できる。これらのCD2結合分子断片(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)としては、これらに限定されないが、Fab、F(ab’)2、scFv、及びsdAbを挙げることができる。特定の実施形態では、産生された断片は、シプリズマブと同じエピトープに結合する。ある実施形態では、CD2結合scFvを産生するための手順は、リンカーに加えて、抗体のVH及びVL遺伝子を単離する、増幅する、及びクローニングすることを含む。VH断片とVL断片とを結合するには、柔軟なペプチドリンカーを必要とする。ある実施形態では、CD2結合sdAbを産生するための手順は、ラクダまたはサメのVH領域を単離すること、増幅すること、及びクローニングすることを含み、これは、定常領域に付着した対VL領域を含まないVH領域のみとなる。
【0123】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)をパパインで処理して、Fab結合断片を産生することができる。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)をペプシンで処理して、F(ab’)2を産生することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のFab、F(ab’)2、scFv、またはsdAbのVH領域の配列は、配列番号01と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。特定の実施形態では、本明細書に記載のFab、F(ab’)2、scFv、またはsdAbのVL領域の配列は、配列番号02と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。
【0124】
5.2.3 CD2結合抗体の脱グリコシル化
本明細書に記載されるのは、セクション5.1.4に記載の脱グリコシル化されたCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を産生するための方法である。いくつかの実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の糖鎖は、トリフルオロメタンスルホン(TFMS)酸による処理などの化学的方法を使用して修飾することができる。別の実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の糖鎖は、酵素的方法を使用して修飾され得る。特定の実施形態では、糖鎖分解の化学的方法または酵素的方法は、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)のFcアミノ酸配列を保存する。
【0125】
本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の糖鎖を修飾するために使用できる酵素としては、これらに限定されないが、ペプチド-N-グリコシダーゼF(PNGaseF)、ペプチド-N-グリコシダーゼA(PNGaseA)、エンドグリコシダーゼH、エンドグリコシダーゼF、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ(EndoS)、エンド-α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ、シアリダーゼA、β1-4ガラクトシダーゼS、β-N-アセチルヘキソサミニダーゼ、及びEndoS2を挙げることができる。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、エンドグリコシダーゼで処理される。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の糖鎖構造を分解するために使用されるエンドグリコシダーゼは、EndoSである(Sjogren et al.,Glycobiology,2015,vol.25,no.10,1053-1063)。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の糖鎖構造を分解するために使用されるエンドグリコシダーゼは、EndoS2である(Sjogren et al.,Biochem.J.(2013)455,107-118)。
【0126】
Streptococcus pyogenesから分泌されるEndoS及びEndoS2は、ヒトIgGの重鎖のキトビオースコアからN結合型糖鎖を特異的に除去する。Streptococcus pyogenes由来のエンドグリコシダーゼEndoS2とのインキュベーションにより、N-糖鎖のキトビオースコア中の2つのGlcNAc残基が切断されるが、コアGlcNAcは変わらずに残る。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子は、EndoSまたはEndoS2で処理される。EndoS及びEndoS2は両方とも、複合糖鎖を除去するが、EndoS2は、高マンノース糖鎖を除去する。
【0127】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、IgG抗体である。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、重鎖の定常領域の少なくとも1つのコンセンサスN結合型グリコシル化部位を有する。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、スキーム1に示される以下のオリゴ糖のうちの少なくとも1つを担持する。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、EndoSで処理される。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、EndoS2で処理される。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、脱グリコシル化される。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、IgG抗体であり、シプリズマブと比較して、抗体依存性細胞傷害を媒介する抗体の能力は低下するかまたは排除されるが、抗体の免疫調節活性は維持されている。
スキーム1:
【化2】
白三角:フコース;白四角:N-アセチルグルコサミン;灰色の丸:マンノース;白丸:ガラクトース。
【0128】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子の脱グリコシル化は、当技術分野で知られている任意の適切な方法によって決定することができる。脱グリコシル化を決定する標準的な方法としては、これらに限定されないが、サイズ排除クロマトグラフィー分析、三次構造分析、熱安定性評価、グアニジン・HClによる変性、パパイン消化に対する耐性、及び液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)によって測定された重鎖の換算質量データが挙げられる。
【0129】
5.2.4 細胞及びベクター
本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を発現する細胞が本明細書に提供される。本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を組換え発現するex vivo細胞が本明細書に提供される。本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターも本明細書に提供される。特定の実施形態では、細胞は、ex vivo細胞である。
【0130】
ある実施形態では、遺伝子発現をプロモーターの制御下に置くことができる。プロモーターは、CMVまたはSV40などのウイルスプロモーター;または伸長因子(EF)-1プロモーター、UBC、PGK、またはCAGプロモーターなどの非ウイルスプロモーターであり得る。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)をコードするヌクレオチド配列を適切なベクターにクローニングする。ある実施形態では、ベクターは、哺乳動物ベクターであり得る。ある実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターであり得る。ある実施形態では、発現ベクターは、細胞(例えば、ex vivo細胞)に形質転換される。ある実施形態では、細胞は、ヌクレオチド配列が宿主細胞によって転写及び翻訳されるようにベクターを発現させる。ある実施形態では、宿主細胞株は、細菌、酵母、または哺乳動物細胞株を含むことができる。特定の実施形態では、宿主細胞株は、哺乳動物細胞である。ある実施形態では、組換え抗体産生のための宿主細胞株として使用できる哺乳動物細胞株としては、これらに限定されないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、NS0細胞株、Sp2/0細胞株、PER.C6細胞株、及びヒト胎児腎臓(HEK)細胞株が挙げられる。
【0131】
ある実施形態では、宿主細胞株は、遺伝子修飾され得る。ある実施形態では、修飾は、組換えタンパク質の発現の生産性を改善する目的で行うことができる。ある実施形態では、修飾は、宿主細胞が発現する組換えタンパク質に作用するように行うことができる。特定の実施形態では、宿主細胞株は、所望のグリコシルトランスフェラーゼを発現するように遺伝子修飾されている。特定の実施形態では、宿主細胞株は、EndoSまたはEndoS2を発現するように遺伝子修飾されている。
【0132】
5.3 治療的使用及び方法
本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を使用するための方法が本明細書に提供され、ここで、シプリズマブと比較して、抗体依存性細胞傷害を媒介する当該分子の能力は低下するかまたは排除されるが、当該分子の免疫調節活性は維持されている。本明細書において提供されるのは、免疫系の慢性または急性炎症性障害を有するヒト対象を治療するための方法である。また、本明細書では、ヒト対象が免疫系の慢性または急性炎症性障害を発症するのを予防するための方法も提供される。さらなる実施形態では、免疫系の急性または慢性障害は、これらに限定されないが、移植片対宿主病(GVHD)、関節リウマチ、強直性脊椎炎、1型糖尿病、乾癬、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(クローン病)、セリアック病、シェーグレン病、狼瘡、多発性硬化症、巣状分節性糸球体硬化症、アトピー性皮膚炎、筋萎縮性側索硬化症、原発性胆汁性肝硬変、及び原発性硬化性胆管炎、及び重度の喘息であり得る。ある実施形態では、方法は、免疫系の慢性または急性炎症性障害を有するヒト対象に、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)または本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を含む医薬組成物を投与することを含む。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)または本明細書に記載のCD2結合を含む医薬組成物は、患者に長期間投与される。
【0133】
また、本明細書では、臓器または骨髄移植処置を受けているヒト対象を治療するための方法も提供される。ある実施形態では、この方法は、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を移植される臓器に投与することを含む。ある実施形態では、方法は、ヒト対象に、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)または本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を含む医薬組成物を投与することを含む。
【0134】
本明細書で提供される方法は、対象への抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤を投与することを含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤は、対象における免疫関連障害または疾患を予防または治療するために対象に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、対象への抗CD2抗体またはその抗原結合断片、CTLA-4共刺激遮断剤、及び別の活性剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも1つの免疫関連障害または疾患と診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、免疫関連障害または疾患に関連する少なくとも1つの症状を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法を使用して、免疫関連障害または疾患が対象に発症するのを予防する。本明細書で提供される方法はまた、対象に抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤を投与することによって、移植対象に対する免疫寛容を維持することを含み得る。いくつかの実施形態では、対象は、免疫関連障害または疾患を発症する素因があるか、または発症する可能性が高い。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも1つの免疫関連障害または疾患、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも4つを超える免疫関連障害または疾患と診断されているか、それらを発症する可能性が高いか、またはそれらに関連する症状を有する。いくつかの実施形態では、免疫関連障害または疾患は、免疫系の急性または慢性障害である。
【0135】
いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片は、CTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与される前、投与と同時に、またはその後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片の初回用量は、CTLA-4共刺激遮断剤の初回用量が対象に投与される前、投与と同時に、またはその後に対象に投与される。治療薬(例えば、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤)の投与量は、これらに限定されないが、影響を受ける組織の種類、治療されている自己免疫疾患の種類、疾患の重症度、及び対象の健康状態及び薬剤による治療への応答など、多くの要因に依存する。したがって、薬剤の投与量は、各対象及び投与様式に応じて変化し得る。いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与されない場合、抗CD2抗体またはその抗原結合断片の用量は、治療上有効ではない。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片が対象に投与されない場合、CTLA-4共刺激遮断剤の用量は、治療上有効ではない。いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤も対象に投与される場合、抗CD2抗体またはその抗原結合断片のより少ない用量が対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片も対象に投与される場合、CTLA-4共刺激遮断剤のより少ない用量が対象に投与される。いくつかの実施形態では、用量は、約2%、5%、7%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、もしくは70%を超える量少ないか、または少なくとも約2%、5%、7%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、もしくは70%を超える量少ない。いくつかの実施形態では、用量は、約2倍、5倍、7倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、80倍、もしくは80倍を超える量少ないか、または少なくとも約2倍、5倍、7倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、80倍、もしくは80倍を超える量少ない。いくつかの実施形態では、用量は、約1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、12mg/kg、15mg/kg、17mg/kg、20mg/kg、もしくは20mg/kgを超える量少ないか、または少なくとも約1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、12mg/kg、15mg/kg、17mg/kg、20mg/kg、もしくは20mg/kgを超える量少ない。いくつかの実施形態では、用量は、約5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、75mg、100mg、150mg、175mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、もしくは500mgを超える量少ないか、または少なくとも約5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、75mg、100mg、150mg、175mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、もしくは500mgを超える量少ない。
【0136】
本明細書に記載の方法で治療することができる免疫関連障害または疾患の例としては、これらに限定されないが、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、乾癬性関節炎、多関節型若年性特発性関節炎(JIA)、変形性関節症、若年性慢性関節炎、脊椎関節症、全身性強皮症、特発性炎症性筋疾患、シェーグレン症候群、全身性血管炎、サルコイドーシス、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、自己免疫性血小板減少症、甲状腺炎、真性糖尿病、免疫介在性腎疾患、中枢または末梢神経系の脱髄疾患、特発性脱髄性多発神経炎、ギラン・バレー症候群、ライム病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、肝胆道疾患、感染性または自己免疫性慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、グッドパスチャー症候群、肉芽腫性肝炎、硬化性胆管炎、炎症性腸疾患、グルテン過敏性腸疾患、ホイップル病、自己免疫または免疫介在性皮膚疾患、水疱性皮膚疾患、多形紅斑、接触皮膚炎、乾癬、アレルギー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物過敏症、蕁麻疹、多発性硬化症、ブドウ膜炎、肺の免疫疾患、好酸球性肺炎、特発性肺線維症、過敏性肺炎、臓器移植に伴う疾患、組織移植に伴う疾患、移植片拒絶反応、移植片対宿主病(GVHD)、デビック病、急性散在性脳脊髄炎、急性脱髄性視神経炎、脱髄性横断性脊髄炎、ミラーフィッシャー症候群、脳脊髄根末梢神経炎、急性脱髄性多発神経炎、腫瘤様多発性硬化症、Balo病型同心円硬化症、円形脱毛症、強直性脊椎炎、メニエール病、抗リン脂質症候群、混合性結合組織病、自己免疫性アジソン病、重症筋無力症、自己免疫性肝炎、尋常性天疱瘡、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、結節性多発動脈炎、心筋症、多発性軟骨炎、セリアックスプルー皮膚炎、多腺性症候群、慢性疲労症候群(cfid)、リウマチ性多発筋痛症、慢性炎症性脱髄、多発性筋炎及び皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、チャーグ・ストラウス症候群、類天疱瘡、クレスト症候群、レイノー現象、寒冷凝集素症、ライター症候群、クローン病、リウマチ熱、円板状皮疹、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、強皮症、グレーブス病、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、橋本甲状腺炎、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、潰瘍性大腸炎、巣状分節性糸球体硬化症、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病(I型)、扁平苔癬、及び白斑が挙げられる。
【0137】
いくつかの実施形態では、免疫関連障害または疾患は、関節リウマチ、多関節型若年性特発性関節炎(JIA)、及び/または乾癬性関節炎である。いくつかの実施形態では、免疫関連障害または疾患は、関節リウマチである。いくつかの実施形態では、免疫関連障害または疾患は、臓器移植に関連する障害または疾患、組織移植に関連する障害または疾患である。いくつかの実施形態では、免疫関連障害または疾患は、人体における任意の臓器及び/または組織移植に関連する障害または疾患である。いくつかの実施形態では、免疫関連障害または疾患は、肺、腎臓、膵臓、心臓、肝臓、皮膚、胃、腸、消化管移植及び/またはそれらからの組織移植に関連する障害または疾患である。いくつかの実施形態では、免疫関連障害または疾患は、肝移植及び/または肝組織移植に関連する障害または疾患である。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、ドナーから臓器及び/または組織移植を受けた対象への抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤を投与することを含む。本明細書で使用される場合、ドナーは、移植される臓器(例えば、肝臓または腎臓)が採取される個体である。ドナーは、レシピエントと同じ種である可能性があり、ドナーは、生きているか死亡している可能性がある。ドナーは、レシピエントと関係がある場合もあれば、レシピエントと関係がない場合もある。本明細書で使用される場合、レシピエントは、移植された臓器(例えば、肝臓または腎臓)及び/または組織を受ける対象である。レシピエントは、ドナーと関係がある場合もあれば、関係がない場合もある。レシピエントは、ドナーとHLAが一致するか、HLAが不一致であり得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、移植臓器(例えば、肝臓または腎臓)は、臓器全体、臓器の一部、臓器に由来する組織または細胞であり得る。いくつかの実施形態では、臓器全体(例えば、肝臓または腎臓)が移植される。いくつかの実施形態では、臓器(例えば、肝臓または腎臓)の一部が移植される。
【0140】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤を、脾臓摘出術を受けた対象(例えば、臓器移植を受ける前に脾臓摘出術を受けた対象)に投与することを含む。
【0141】
臓器(例えば、肝臓または腎臓)を得て移植する手順は、当業者に周知である。ドナーからの外科的除去及びレシピエントでの外科的移植のための任意の手順を、本明細書で提供される方法と共に使用することができる。ある実施形態では、臓器(例えば、肝臓または腎臓)は、除去と移植との間に治療することができる。
【0142】
ある実施形態では、患者は、少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、もしくは12ヶ月、または少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、12年、13年、14年、15年、16年、17年、18年、19年、20年、または20年より長い期間、治療を受ける。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、細胞増殖の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が対象に投与された後に、対象から得られる生体試料中の細胞数の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が対象に投与された後の細胞数の減少は、対象への抗CD2抗体またはその抗原結合断片の投与前、対象へのCTLA-4共刺激遮断剤の投与前、またはその両方の前に、対象から得られる生体試料中での細胞数の減少と比較して大きい。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が対象に投与された後の細胞数の減少は、同等の対象における免疫関連障害を治療するために使用される同等の方法での細胞数の減少と比較して多く、この同等の方法では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方を投与することを含まない。いくつかの実施形態では、同等の対象は、対象と同じ免疫関連障害と診断されているか、または対象と同じ免疫関連障害を有する疑いを有する。いくつかの実施形態では、同等の対象は、対象と共通の少なくとも1つの症状を有する。いくつかの実施形態では、減少は、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、もしくは100%を超えて大きいか、または少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、もしくは100%を超えて大きい。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が対象に投与された後に対象から得られた生体試料中の細胞の数は、抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が対象に投与される前、または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片またはCTLA-4共刺激遮断剤の一方(両方ではなく)が対象に投与された後に対象から得られる生体試料中の細胞数と比較して、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%,90%、95%、100%、もしくは100%を超えて少ないか、または少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%,90%、95%、100%、もしくは100%を超えて少ない。
【0144】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、CD2のレベルの減少をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が対象に投与された後に、対象から得られる生体試料中のCD2のレベルの減少をもたらす。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が対象に投与された後のCD2のレベルの減少は、対象への抗CD2抗体またはその抗原結合断片の投与前、対象へのCTLA-4共刺激遮断剤の投与前、またはその両方の前に、対象から得られる生体試料中でのCD2のレベルの減少と比較して大きい。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が対象に投与された後のCD2のレベルの減少は、同等の対象における免疫関連障害を治療するために使用される同等の方法におけるCD2のレベルの減少と比較して多く、同等の方法では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方の投与を含まない。いくつかの実施形態では、同等の対象は、対象と同じ免疫関連障害と診断されているか、または対象と同じ免疫関連障害を有する疑いを有する。いくつかの実施形態では、同等の対象は、対象と共通の少なくとも1つの症状を有する。いくつかの実施形態では、減少は、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、もしくは100%を超えて大きいか、または少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、もしくは100%を超えて大きい。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が対象に投与された後に対象から得られた生体試料中のCD2のレベルは、抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が対象に投与される前、または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片またはCTLA-4共刺激遮断剤の一方(両方ではなく)が対象に投与された後に対象から得られる生体試料中のCD2のレベルと比較して、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%,90%、95%、100%、もしくは100%を超えて少ないか、または少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%,90%、95%、100%、もしくは100%を超えて少ない。
【0145】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、相乗効果をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が対象に投与された後に、対象内に相乗効果をもたらす。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤を対象へ投与することは、抗CD2抗体またはその抗原結合断片またはCTLA-4共刺激遮断剤をその両方ではなく一方を対象に投与した場合と比較して、相乗的である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、同種免疫応答の低下をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が対象に投与された後に、対象内に同種免疫応答の低下をもたらす。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が対象に投与された後の同種免疫応答の低下は、対象への抗CD2抗体またはその抗原結合断片の投与前、対象へのCTLA-4共刺激遮断剤の投与前、またはその両方の前の、対象内での同種免疫応答の低下と比較して大きい。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が対象に投与された後の同種免疫応答の低下は、同等の対象における免疫関連障害を治療するために使用される同等の方法における同種免疫応答の低下と比較して大きく、同等の方法は、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方の対象への投与を含まない。いくつかの実施形態では、同等の対象は、対象と同じ免疫関連障害と診断されているか、または対象と同じ免疫関連障害を有する疑いを有する。いくつかの実施形態では、同等の対象は、対象と共通の少なくとも1つの症状を有する。いくつかの実施形態では、減少は、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、もしくは100%を超えて大きいか、または少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、もしくは100%を超えて大きい。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が対象に投与された後の対象内での同種免疫応答は、抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方が対象に投与される前、または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片またはCTLA-4共刺激遮断剤の一方(両方ではなく)が対象に投与された後の対象内での同種免疫応答と比較して、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%,90%、95%、100%、もしくは100%を超えて少ないか、または少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%,90%、95%、100%、もしくは100%を超えて少ない。
【0146】
5.3.1 炎症性免疫障害患者の治療及び治療に好適である対象
本明細書に記載されるのは、免疫系の慢性または急性炎症性障害を有するヒト対象を治療するための方法である。本明細書に記載されるのは、免疫関連障害または疾患を有するヒト対象を治療するための方法である。本明細書に記載されるのは、対象における免疫関連障害または疾患を予防するための方法である。炎症性免疫障害を有する個体は、障害の症状を治療する目的で、本明細書に記載の方法に従うことができる。ある実施形態では、免疫系の急性または慢性障害は、これらに限定されないが、移植片対宿主病(GVHD)、関節リウマチ、強直性脊椎炎、1型糖尿病、乾癬、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(クローン病)、セリアック病、シェーグレン病、狼瘡、多発性硬化症、巣状分節性糸球体硬化症、アトピー性皮膚炎、筋萎縮性側索硬化症、原発性胆汁性肝硬変、及び原発性硬化性胆管炎、及び重度の喘息であり得る。ある実施形態では、シプリズマブの枯渇型を自己免疫疾患の治療に使用することができる。いくつかの実施形態では、枯渇CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、CTLA-4共刺激遮断剤と組み合わせて、及び/または本明細書に記載の別の薬剤と組み合わせて、使用される(例えば、免疫系の慢性または急性炎症性障害などの慢性状態を有する対象を治療するため;またはCD8+T細胞駆動状態を有する対象を治療するため)。いくつかの実施形態では、非枯渇CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、CTLA-4共刺激遮断剤と組み合わせて、及び/または本明細書に記載の別の薬剤と組み合わせて、使用される(例えば、免疫系の慢性または急性炎症性障害などの慢性状態を有する対象を治療するため;またはCD8+T細胞駆動状態を有する対象を治療するため)。
【0147】
「対象」、「レシピエント」、及び「患者」という用語は、本明細書では同義的に使用される。いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象または必要とする対象は、免疫関連障害または疾患を有するか、またはこれらを有するもしくは発症することが予測される対象である。いくつかの実施形態では、対象または必要とする対象は、移植手術を受けたか、または受ける予定の対象である。いくつかの実施形態では、対象または必要とする対象は、免疫系の慢性または急性炎症性障害を有する対象である。いくつかの実施形態では、対象は、霊長類である。ある実施形態では、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、ヒト成年である。いくつかの実施形態では、対象は、小児である。いくつかの実施形態では、対象は、小児患者である。いくつかの実施形態では、対象は、ヒト未成年である。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも5歳、10歳、15歳、18歳、21歳、50歳、60歳、65歳、70歳、または70歳超である。いくつかの実施形態では、対象は、最大5歳、10歳、15歳、18歳、または21歳である。いくつかの実施形態では、対象は、免疫関連の障害または疾患の前治療を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、対象への抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤を投与する前の1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、1年、2年、または2年超において、免疫関連障害または疾患の前治療を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、未治療の対象である。いくつかの実施形態では、対象は、免疫関連障害または疾患について未治療の治療である。いくつかの実施形態では、対象は、メトトレキサートに対して未治療である。いくつかの実施形態では、対象は、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤による前治療を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、免疫関連障害または疾患の治療に対して抵抗性がある。いくつかの実施態様では、対象は、抗CD2抗体又はその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤ではない、免疫関連障害または疾患に対する治療を受けているかまたは治療されている。
【0148】
いくつかの実施形態では、免疫関連疾患または障害と診断された対象、免疫関連疾患もしくは障害を発症する素因があるか、または発症する可能性が高い対象、または免疫関連疾患または障害に関連する少なくとも1つの症状を経験している対象は、本明細書で提供される方法による治療に好適であり得る。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも3つを超える免疫関連疾患または障害と診断された。本開示の方法で治療または予防できる免疫関連疾患または障害の非限定的な例は、セクション5.3に記載されている。
【0149】
臓器移植及び/または組織移植を受けた、または受ける予定の対象は、本明細書で提供される方法による治療に好適であり得る。本明細書に記載の方法は、任意の臓器移植及び/または組織移植(例えば、肺、心臓、腎臓、肝臓、胃、腸、膵臓、皮膚、または脾臓)を受けた、または受ける予定の対象に使用することができる。損傷、疾患、または先天性異常などによって臓器が損傷を受けた個体は、臓器(例えば、肝臓または腎臓)移植を受ける基準を満たし得ており、本明細書に記載の方法に従って治療され得る。本明細書に記載の方法に従って治療を受けたレシピエントは、何らかの理由で臓器移植を必要とし得る。一般に、末期臓器疾患に罹患している患者であって、臓器移植によって、臓器移植を行わない場合の余命を超えて、余命が延長されることが予測される患者は、臓器移植を考慮され得る。
【0150】
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療されたレシピエントは、遺伝疾患によって必要とされる臓器移植を受けている。特定の実施形態では、臓器移植は、生体ドナー臓器移植である。特定の実施形態では、臓器移植は、死亡したドナー臓器移植である。いくつかの実施形態では、臓器移植は、ABO適合性移植であり得る。いくつかの実施形態では、臓器移植は、ABO不適合性移植であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療されたレシピエントは、30未満、20未満、または10未満の末期肝疾患モデル(MELD)スコアを有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療されたレシピエントは、エプスタイン・バーウイルス(EBV)に対して血清陽性であり得る。いくつかの実施形態では、レシピエントは、移植を受ける前に脾臓摘出術を受けている。いくつかの実施形態では、レシピエントは、移植を受ける前に脾臓摘出術を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、肝移植を必要とするか、または受けている。肝移植の適応症の例は、例えば、EASL Clinical Practice Guidelines:Liver transplantation(J Hepatol.2016 Feb;64(2):433-485.doi:10.1016/j.jhep.2015.10.006)に記載されている。
【0151】
5.3.2 患者の用量及びレジメン(例えば、炎症性免疫障害の患者)
ある実施形態では、免疫系の慢性または急性炎症性障害を有するヒト対象を治療する方法は、長期治療レジメンの構成要素として、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)または本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を含む医薬組成物を対象に投与することを含む。ある実施形態では、免疫関連障害または疾患を有するヒト対象を治療する方法は、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)または本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を含む医薬組成物を対象に投与することを含む。ある実施形態では、この方法は、対象における免疫関連障害または疾患を予防することを含む。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、それを必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mg、4100mg、4200mg、4300mg、4400mg、4500mg、4600mg、4700mg、4800mg、4900mg、5000mg、1000mg~1600mg、1500mg~2100mg、2000mg~2600mg、2500mg~3100mg、3000mg~3600mg、3500mg~4100mg、4000mg~4600mg、または4500mg~5000mgの量で投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、それを必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、2400mgの量で投与することができる。
【0152】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、0.01mg/kg/回、0.02mg/kg/回、0.03mg/kg/回、0.04mg/kg/回、0.05mg/kg/回、0.1mg/kg/回、0.15mg/kg/回、0.2mg/kg/回、0.25mg/kg/回、0.3mg/kg/回、0.35mg/kg/回、0.4mg/kg/回、0.45mg/kg/回、0.5mg/kg/回、0.55mg/kg/回、0.6mg/kg/回、0.65mg/kg/回、0.7mg/kg/回、0.75mg/kg/回、0.8mg/kg/回、0.85mg/kg/回、0.9mg/kg/回、0.95mg/kg/回、1.0mg/kg/回、2.0mg/kg/回、3.0mg/kg/回、4.0mg/kg/回、5.0mg/kg/回、6.0mg/kg/回、7.0mg/kg/回、8.0mg/kg/回、9.0mg/kg/回、10mg/kg/回、11mg/kg/回、12mg/kg/回、13mg/kg/回、14mg/kg/回、15mg/kg/回、16mg/kg/回、17mg/kg/回、18mg/kg/回、19mg/kg/回、20mg/kg/回、21mg/kg/回、22mg/kg/回、23mg/kg/回、24mg/kg/回、25mg/kg/回、26mg/kg/回、27mg/kg/回、28mg/kg/回、29mg/kg/回、30mg/kg/回、31mg/kg/回、32mg/kg/回、33mg/kg/回、34mg/kg/回、35mg/kg/回、36mg/kg/回、37mg/kg/回、38mg/kg/回、39mg/kg/回、40mg/kg/回、41mg/kg/回、42mg/kg/回、43mg/kg/回、44mg/kg/回、45mg/kg/回、46mg/kg/回、47mg/kg/回、48mg/kg/回、49mg/kg/回、50mg/kg/回の用量で投与することができる。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、0.1~0.3mg/kg/回、0.2~0.4mg/kg/回、0.3~0.5mg/kg/回、0.4~0.6mg/kg/回、0.45~0.65mg/kg/回、0.5~0.7mg/kg、0.55~0.75mg/kg/回、0.6~0.8mg/kg/回、0.65~0.85mg/kg/回、0.7~0.9mg/kg/回、0.8~1.0mg/kg/回、1.0mg/kg/回~6.0mg/kg/回、5.0mg/kg/回~10mg/kg/回、9.0mg/kg/回~15mg/kg/回、14mg/kg/回~20mg/kg/回、19mg/kg/回~25mg/kg/回、24mg/kg/回~30mg/kg/回、29mg/kg/回~35mg/kg/回、34mg/kg/回~40mg/kg/回、39mg/kg/回~45mg/kg/回、または44mg/kg/回~50mg/kg/回の範囲の用量で投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、0.1mg/kg/回の用量で投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、0.6mg/kg/回の用量で投与することができる。
【0153】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、週1回、2mg/kg/回を、6週間、その後4週間ごと;5週間、その後4週間ごと;4週間、その後4週間ごと;3週間、その後4週間ごと;または2週間、その後4週間ごとに投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、週1回、2mg/kg/回の用量で4週間、その後4週間ごとに投与することができる。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、週1回、2.5mg/kg/回を、6週間、その後4週間ごと;5週間、その後4週間ごと;4週間、その後4週間ごと;3週間、その後4週間ごと;または2週間、その後4週間ごとに投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、週1回、2.5mg/kg/回の用量で4週間、その後4週間ごとに投与することができる。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、週1回、3mg/kg/回を、6週間、その後4週間ごと;5週間、その後4週間ごと;4週間、その後4週間ごと;3週間、その後4週間ごと;または2週間、その後4週間ごとに投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、週1回、3mg/kg/回の用量で4週間、その後4週間ごとに投与することができる。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、週1回、3.5mg/kg/回を、6週間、その後4週間ごと;5週間、その後4週間ごと;4週間、その後4週間ごと;3週間、その後4週間ごと;または2週間、その後4週間ごとに投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、週1回、3.5mg/kg/回の用量で4週間、その後4週間ごとに投与することができる。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、週1回、3.75mg/kg/回を、6週間、その後4週間ごと;5週間、その後4週間ごと;4週間、その後4週間ごと;3週間、その後4週間ごと;または2週間、その後4週間ごとに投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、週1回、3.75mg/kg/回の用量で4週間、その後4週間ごとに投与することができる。
【0154】
ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、皮下、静脈内、血管内、局所、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、吸入、経皮、腹腔内、またはレシピエント中でのT細胞の枯渇が可能になる投与経路によるなど、当技術分野で知られている適当な方法で対象に投与することができる。特定の実施形態では、抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片、またはCD2結合分子は、静脈内投与される。
【0155】
ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、ヒト化モノクローナル抗体である。特定の実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブ(MEDI-507)である。ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の投与は、本明細書に記載のとおり変更され得る。いくつかの実施形態では、メチルプレドニゾロンは、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の投与前に与えられる。いくつかの実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の投与前に、アセトアミノフェン(例えば、1000mg)及び/または抗ヒスタミン(例えば、ジフェンヒドラミンなどのH1アンタゴニスト25mg)を投与する。
【0156】
理論に拘束されるものではないが、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、レシピエントにおける制御性T細胞のレベルを上昇させるのに十分な用量で投与される。具体的には、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、レシピエントにおけるFOXP3+制御性T細胞のレベルが、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)で処理しない場合のFOXP3+制御性T細胞と比較して、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、200%、または少なくとも250%上昇するような用量で投与される。
【0157】
本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、治療レジメンの構成要素として、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に投与することができる。ある実施形態では、治療レジメンで使用される本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、治療レジメンの唯一の構成要素である。特定の実施形態では、治療レジメンにおいて、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に投与される本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと同じエピトープに結合する。
【0158】
ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性の炎症性免疫障害を有する患者に、寛解を誘導するのに十分高い用量(負荷用量)で投与し、その後、これらに限定されないが、月1回、2ヶ月に1回、または3ヶ月に1回などの低頻度で投与し得る。
【0159】
特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、週1回の間隔で投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、隔週の間隔で投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、疾患の寛解または疾患の静止が誘導されるまで1日1回、その後週1回の間隔で投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、週1回の間隔で12週間投与し、その後隔週で投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、隔週、次に月1回の間隔で投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、半月に1回の間隔で投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に、3ヶ月ごとの間隔で投与することができる。
【0160】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者に投与することができ、ここで、患者は、少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、もしくは12ヶ月、または少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、12年、13年、14年、15年、16年、17年、18年、19年、20年、21年、22年、23年、24年、または少なくとも25年の期間、治療を受けている。ある実施形態では、必要とする対象または慢性もしくは急性の炎症性免疫障害を有する患者は、少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、もしくは12ヶ月、または少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、12年、13年、14年、15年、16年、17年、18年、19年、20年、21年、22年、23年、24年、または少なくとも25年の期間、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)または本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を含む医薬組成物で治療することができる。
【0161】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、皮下、静脈内、血管内、局所、関節内、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、硝子体内、吸入、腹腔内、骨内、気管内、舌下、頬側、直腸、皮内、髄腔内、骨髄内、または経皮投与経路用に製剤化され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、慢性または急性炎症性免疫障害を有する患者への静脈内投与のために製剤化される。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象、または慢性もしくは急性炎症性免疫障害を有する患者への皮下投与のために製剤化される。
【0162】
ある実施形態では、必要とする対象、または免疫系の慢性もしくは急性炎症性障害を有する患者に、治療有効量の本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を含む医薬組成物を投与することができる。ある実施形態では、治療有効量の本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を含む医薬組成物は、必要とする対象または免疫系の慢性もしくは急性炎症性障害を有する患者に投与するためのキットまたはシステムに含まれる。ある実施形態では、キットは、1つ以上の容器中に収容されている、治療有効量の本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を含む医薬組成物を含む。その中にパッケージングできる医薬組成物を保有する容器としては、これらに限定されないが、ボトル、袋、アンプル、チューブ、吸入器、バッグ、バイアル及び容器を挙げることができる。ある実施形態では、キットは、薬学的投与を行うための指示書を含む。ある実施形態では、本キットは、本発明の医薬組成物を投与するのに使用できるデバイスを含み、そのデバイスとしては、これらに限定されないが、シリンジ、針なし注射器、点滴バッグ、灌流ポンプ、ポンプ、パッチ及び吸入器が挙げられる。
【0163】
ある実施形態では、本明細書に記載のとおり、対象または慢性もしくは急性の炎症性障害を有する患者の罹患臓器に、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を灌流させることができる。より具体的な実施形態では、灌流ポンプを使用して、罹患臓器にCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を灌流させる。ある実施形態では、罹患臓器に灌流されるCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の濃度は、少なくとも0.001mg/リットル、少なくとも0.005mg/リットル、少なくとも0.01mg/リットル、少なくとも0.05mg/リットル、少なくとも0.1mg/リットル、少なくとも0.5mg/リットル、少なくとも1.0mg/リットル、少なくとも5.0mg/リットル、少なくとも10mg/リットル、または少なくとも50mg/リットルである。
【0164】
5.3.3 炎症性免疫障害患者の免疫抑制剤との同時療法
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、長期患者療法の構成要素として、低用量の免疫抑制剤と同時に投与される。理論に拘束されるものでないが、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の投与と組み合わせることができる免疫抑制剤としては、これらに限定されないが、タクロリムス、シクロスポリン、ベラタセプト、抗CD40抗体、抗OX40L抗体、抗CD28抗体、抗CD27抗体、抗CD154抗体、抗ICOS抗体、抗またはアゴニスト4-1BB(CD137)抗体、BCL-2阻害剤、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸誘導体、例えば、Myfortic(腸溶コーティングされたミコフェノール酸ナトリウム)、シロリムス、エベロリムス、抗胸腺細胞グロブリン、バシリキシマブ、プレドニゾン、シクロホスファミド、フルダラビン、及びリツキシマブが挙げられる(Adams et al.,J Immunol,2016,197(6)2045-2050;Kinnear et al.,Transplantation.2013 Feb 27;95(4):527-535;Zhang and Vignali,Immunity.2016 May 17;44(5):1034-51)。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、二重共刺激遮断剤の一部として投与され得る。特定の実施形態では、免疫抑制剤が本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)と同時に投与される場合、治療上有効であるために必要とされる免疫抑制剤の用量は少なくなる。ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、1つの免疫抑制剤と同時に投与することができる。他の実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、2つ以上の免疫抑制剤と同時に投与することができる。
【0165】
CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)と免疫抑制剤との同時療法を使用して、免疫系の慢性または急性炎症性障害を有する患者を治療することができる。このような障害としては、これらに限定されないが、関節リウマチ、若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎、自己免疫性肝疾患、川崎病、炎症性腸疾患、強直性脊椎炎、乾癬、潰瘍性大腸炎、交感性眼炎、加齢黄斑変性症、非感染性後部ブドウ膜炎、フォークト-小柳-原田病、サルコイドーシス、1型糖尿病、クローン病、セリアック病、狼瘡、シェーグレン症候群、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、移植片対宿主病(GVHD)、巣状分節性糸球体硬化症を挙げることができる。
【0166】
5.3.4 臓器移植患者集団
損傷、疾患、先天性異常などによって損傷を受けた1つまたは2つ以上の臓器を有する個体は、臓器移植を受けるための基準を満たし得る。臓器移植を受けるために選択された個人は、レシピエントとドナーの造血細胞がレシピエントで共存する混合キメラ現象の状態を誘導することを目的として、本明細書に記載のこれらの方法に従うことができる。混合キメラ現象の状態が達成されると、長期の免疫抑制療法の必要性が低下する。
【0167】
いくつかの実施形態では、レシピエントは、高度に感作された免疫系を有し得る。高度に感作された免疫系の発達は、外来組織へのこれまでの曝露、及びそれらの組織に対する抗体が発生することによって引き起こされる。この曝露の原因としては、輸血、以前の移植、または妊娠を含むことができる。感作状態では、免疫系は、非常に警戒心が強く、移植された臓器を攻撃するであろう抗体を産生する。ある実施形態では、本明細書に記載のレシピエントは、感作免疫系または非感作免疫系を有することができる。このようなレシピエントでは、リツキシマブと共にIdeSを投与できる。IgGの重鎖を切断する酵素であるIdeSは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)を阻害する。ある実施形態では、IdeSは、リツキシマブと組み合わせて投与される。ある実施形態では、他の脱感作プロトコールを単独で、またはリツキシマブ、IdeS、または他の脱感作プロトコールと組み合わせて使用することができる。これらとしては、限定されないが、静脈内免疫グロブリン、プラズマフェレシス、免疫吸着、二重ろ過、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、及び補体阻害剤を挙げることができる。
【0168】
5.3.5 臓器移植の治療
ある実施形態では、方法は、移植される臓器へ本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を直接注入することを含み得る。本明細書で提供される方法を利用して移植することができる臓器は、任意の固形臓器であり得る。いくつかの実施形態では、臓器は、腎臓、心臓、腸、肝臓、肺、膵臓、または本明細書で提供される方法を使用して移植できる他の臓器であり得る。いくつかの実施形態では、臓器は、本明細書で提供される方法を使用して移植することができる手、足、他の四肢、顔、または他の身体部分など、血管複合同種移植片であり得る。いくつかの実施形態では、移植臓器は、臓器全体、臓器の一部、または臓器に由来する細胞であり得る。
【0169】
ある実施形態では、移植臓器に、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を直接注射することができる。この注射は、移植される臓器の1つの部位において行うことができるか、または移植される臓器の複数の部位において行うことができる。ある実施形態では、移植される臓器は、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を含む浴中でインキュベートされ得る。このインキュベーションは、手術への輸送中または手術場所で発生し得る。このインキュベーションは、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を移植される臓器に取り込むのに十分な時間継続する。このインキュベーションは、15分、30分、45分、1時間、1.25時間、1.5時間、1.75時間、2時間、2.25時間、2.5時間、2.75時間、3時間、3.25時間、3.5時間、3.75時間、4時間、4.25時間、4.5時間、4.75時間、5時間、5.25時間、5.5時間、5.75時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、10.5時間、11時間、11.5時間、12時間、12.5時間、13時間、13.5時間、14時間、14.5時間、15時間、15.5時間、16時間、16.5時間、17時間、17.5時間、18時間、18.5時間、19時間、19.5時間、20時間、20.5時間、21時間、21.5時間、22時間、22.5時間、23時間、23.5時間、または24時間行われ得る。ある実施形態では、注射のための本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の用量は、少なくとも0.01mg/kg、少なくとも0.05mg/kg、少なくとも0.1mg/kg、少なくとも0.5mg/kg、少なくとも1mg/kg、少なくとも5mg/kg、少なくとも10mg/kg、または少なくとも50mg/kgである。
【0170】
ある実施形態では、移植される臓器は、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を含む浴中でインキュベートされる。より具体的な実施形態では、臓器は、臓器がドナーから摘出されてからレシピエントに移植されるまでの時間、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を含む浴中で維持される。ある実施形態では、臓器浴中の本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の濃度は、少なくとも0.01mg/リットル、少なくとも0.05mg/リットル、少なくとも0.1mg/リットル、少なくとも0.5mg/リットル、少なくとも1mg/リットル、少なくとも5mg/リットル、少なくとも10mg/リットル、または少なくとも50mg/リットルである。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、循環系を介して移植される臓器に投与することができる。具体的には、カテーテルを、隣接する血管に挿入し、ポンプに取り付けることができる。本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、血管を通してポンプで送られ、臓器に送達され得る。
【0171】
ある実施形態では、移植される臓器に、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を灌流させることができる。より具体的な実施形態では、灌流ポンプを使用して、移植臓器にCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を灌流させる。ある実施形態では、臓器に灌流されるCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の濃度は、少なくとも0.001mg/リットル、少なくとも0.005mg/リットル、少なくとも0.01mg/リットル、少なくとも0.05mg/リットル、少なくとも0.1mg/リットル、少なくとも0.5mg/リットル、少なくとも1.0mg/リットル、少なくとも5.0mg/リットル、少なくとも10mg/リットル、または少なくとも50mg/リットルである。
【0172】
5.3.6 用量及びレジメン(例えば、臓器移植レシピエントの場合)
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)または本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を含む医薬組成物を単独で、または1つ以上の他の薬剤(例えば、CTLA-4共刺激遮断剤)と組み合わせて投与することによって、それを必要とする対象における免疫関連障害または疾患を治療または予防する方法が本明細書に提供される。ある実施形態では、臓器移植処置を受けているヒト対象を治療する方法は、移植前のコンディショニングレジメンの構成要素として、本明細書に記載の本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)または本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を含む医薬組成物を対象に投与することを含む。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、例えば、Massart,A et al.(Clin Exp Immunol.2017;189(2):138-157)及びNewell KA,Turka LA.(Curr Opin Organ Transplant.2015;20(4):400-405)による総説で概説されているアッセイによって決定されるように、移植レシピエント内において寛容を生じさせる目的で投与される。これらのアッセイとしては、これらに限定されないが、T細胞反応性及びB細胞感作を決定する抗原特異的アッセイ、ならびに寛容性バイオマーカーを同定するアッセイが挙げられる。ある実施形態では、本明細書で提供される治療方法は、対象が免疫関連障害または疾患と診断される前に、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を対象に投与することを含む。ある実施形態では、本明細書で提供される治療方法は、対象が免疫関連障害または疾患と診断された後に、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を対象に投与することを含む。ある実施形態では、本明細書で提供される治療方法は、移植前に移植レシピエントにCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植1日前、移植2日前、移植3日前、移植4日前、移植5日前、移植6日前、移植7日前、移植1日前及び2日前、移植2日前及び3日前、移植3日前及び4日前、移植1日前及び2日前及び3日前、または移植1日前及び2日前及び3日前及び4日前にレシピエントに投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植1日前及び2日前にレシピエントに投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植1日前及び6日前にレシピエントに投与することができる。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の試験用量を投与することができる。ある実施形態では、試験用量の投与は、任意である。特定の実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植手術の日に投与される。ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、対象に、寛解を誘導するのに十分高い用量(負荷用量)で投与し、その後、これらに限定されないが、月1回、2ヶ月に1回、または3ヶ月に1回などの低頻度で投与し得る。
【0173】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植前の1週間、移植前の2週間、移植前の3週間、または移植前の4週間に、1日1回、レシピエントに投与することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植前の1週間、移植前の2週間、移植前の3週間、または移植前の4週間に、週2回、レシピエントに投与することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植前の1週間、移植前の2週間、移植前の3週間、または移植前の4週間に、週3回、レシピエントに投与することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植前の1週間、移植前の2週間、移植前の3週間、または移植前の4週間に、週4回、レシピエントに投与することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植前の1週間、移植前の2週間、移植前の3週間、または移植前の4週間に、週5回、レシピエントに投与することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植前の1週間、移植前の2週間、移植前の3週間、または移植前の4週間に、週6回、レシピエントに投与することができる。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植当日に投与することができる。
【0174】
特定の実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、週1回の間隔で対象に投与することができる。特定の実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、隔週の間隔で対象に投与することができる。特定の実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、疾患の寛解または疾患の静止が誘導されるまで1日1回、その後週1回対象に投与することができる。特定の実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、週1回の間隔で12週間投与し、その後、隔週で対象に投与することができる。特定の実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、隔週、その後、月1回の間隔で対象に投与することができる。特定の実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、半月に1回の間隔で対象に投与することができる。特定の実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、3ヶ月に1回の間隔で対象に投与することができる。
【0175】
いくつかの実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)が投与される1日あたり、1用量あたり、1週あたり、隔週、または1ヶ月あたり、100mg、250mg、500mg、700mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mg、4100mg、4200mg、4300mg、4400mg、4500mg、4600mg、4700mg、4800mg、4900mg、5000mg、1000mg~1600mg、1500mg~2100mg、2000mg~2600mg、2500mg~3100mg、3000mg~3600mg、3500mg~4100mg、4000mg~4600mg、または4500mg~5000mgの量で対象に投与される。
【0176】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を、約0.01mg/kg/回、0.02mg/kg/回、0.03mg/kg/回、0.04mg/kg/回、0.05mg/kg/回、0.1mg/kg/回、0.15mg/kg/回、0.2mg/kg/回、0.25mg/kg/回、0.3mg/kg/回、0.35mg/kg/回、0.4mg/kg/回、0.45mg/kg/回、0.5mg/kg/回、0.55mg/kg/回、0.6mg/kg/回、0.65mg/kg/回、0.7mg/kg/回、0.75mg/kg/回、0.8mg/kg/回、0.85mg/kg/回、0.9mg/kg/回、0.95mg/kg/回、1.0mg/kg/回、2.0mg/kg/回、3.0mg/kg/回、4.0mg/kg/回、5.0mg/kg/回、6.0mg/kg/回、7.0mg/kg/回、8.0mg/kg/回、9.0mg/kg/回、10mg/kg/回、11mg/kg/回、12mg/kg/回、13mg/kg/回、14mg/kg/回、15mg/kg/回、16mg/kg/回、17mg/kg/回、18mg/kg/回、19mg/kg/回、20mg/kg/回、21mg/kg/回、22mg/kg/回、23mg/kg/回、24mg/kg/回、25mg/kg/回、26mg/kg/回、27mg/kg/回、28mg/kg/回、29mg/kg/回、30mg/kg/回、31mg/kg/回、32mg/kg/回、33mg/kg/回、34mg/kg/回、35mg/kg/回、36mg/kg/回、37mg/kg/回、38mg/kg/回、39mg/kg/回、40mg/kg/回、41mg/kg/回、42mg/kg/回、43mg/kg/回、44mg/kg/回、45mg/kg/回、46mg/kg/回、47mg/kg/回、48mg/kg/回、49mg/kg/回、もしくは50mg/kg/回または少なくとも約0.01mg/kg/回、0.02mg/kg/回、0.03mg/kg/回、0.04mg/kg/回、0.05mg/kg/回、0.1mg/kg/回、0.15mg/kg/回、0.2mg/kg/回、0.25mg/kg/回、0.3mg/kg/回、0.35mg/kg/回、0.4mg/kg/回、0.45mg/kg/回、0.5mg/kg/回、0.55mg/kg/回、0.6mg/kg/回、0.65mg/kg/回、0.7mg/kg/回、0.75mg/kg/回、0.8mg/kg/回、0.85mg/kg/回、0.9mg/kg/回、0.95mg/kg/回、1.0mg/kg/回、2.0mg/kg/回、3.0mg/kg/回、4.0mg/kg/回、5.0mg/kg/回、6.0mg/kg/回、7.0mg/kg/回、8.0mg/kg/回、9.0mg/kg/回、10mg/kg/回、11mg/kg/回、12mg/kg/回、13mg/kg/回、14mg/kg/回、15mg/kg/回、16mg/kg/回、17mg/kg/回、18mg/kg/回、19mg/kg/回、20mg/kg/回、21mg/kg/回、22mg/kg/回、23mg/kg/回、24mg/kg/回、25mg/kg/回、26mg/kg/回、27mg/kg/回、28mg/kg/回、29mg/kg/回、30mg/kg/回、31mg/kg/回、32mg/kg/回、33mg/kg/回、34mg/kg/回、35mg/kg/回、36mg/kg/回、37mg/kg/回、38mg/kg/回、39mg/kg/回、40mg/kg/回、41mg/kg/回、42mg/kg/回、43mg/kg/回、44mg/kg/回、45mg/kg/回、46mg/kg/回、47mg/kg/回、48mg/kg/回、49mg/kg/回、もしくは50mg/kg/回の用量で対象または移植レシピエントに投与することができる。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、約0.1~約0.3mg/kg/回、約0.2~約0.4mg/kg/回、約0.3~約0.5mg/kg/回、約0.4~約0.6mg/kg/回、約0.45~約0.65mg/kg/回、約0.5~約0.7mg/kg、約0.55~約0.75mg/kg/回、約0.6~約0.8mg/kg/回、約0.65~約0.85mg/kg/回、約0.7~約0.9mg/kg/回、約0.8~約1.0mg/kg/回、約1~約1.5mg/kg/回、約1.5~約2mg/kg/回、約2~約2.5mg/kg/回、約2.5~約3mg/kg/回、約3~約3.5mg/kg/回、約3.5~約4mg/kg/回、約4~約4.5mg/kg/回、約4.5~約5mg/kg/回、約1.0mg/kg/回~約6.0mg/kg/回、約5.0mg/kg/回~約10mg/kg/回、約9.0mg/kg/回~約15mg/kg/回、約14mg/kg/回~約20mg/kg/回、約19mg/kg/回~約25mg/kg/回、約24mg/kg/回~約30mg/kg/回、約29mg/kg/回~約35mg/kg/回、約34mg/kg/回~約40mg/kg/回、約39mg/kg/回~約45mg/kg/回、または約44mg/kg/回~約50mg/kg/回の用量範囲で対象または移植レシピエントに投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、0.1mg/kg/回の用量で対象または移植レシピエントに投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、0.6mg/kg/回の用量で対象または移植レシピエントに投与することができる。
【0177】
特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植当日に10mg/kgまたは約10mg/kgの用量、2日目、6日目、14日目、28日目、42日目、56日目、及びその後28日ごとに10mg/kgまたは約10mg/kgの用量で、必要とする対象または移植レシピエントに投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植当日に30mg/kgまたは約30mg/kgの用量、5日目に15mg/kgまたは約15mg/kgの用量、その後14日ごとに7.5mg/kgまたは約7.5mg/kgの用量で、必要とする対象または移植レシピエントに投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植当日に30mg/kgまたは約30mg/kgの用量、5日目に15mg/kgまたは約15mg/kgの用量、その後14日ごとに3.75mg/kgまたは約3.75mg/kgの用量で、必要とする対象または移植レシピエントに投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、30mg/kgまたは約30mg/kgの負荷用量、その後14日ごとに5.625mg/kgまたは約5.625mg/kgの用量で、必要とする対象または移植レシピエントに投与することができる。
【0178】
理論に拘束されるものではないが、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、レシピエントにおける制御性T細胞のレベルを上昇させるのに十分な用量で投与される。具体的には、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、レシピエントにおけるFOXP3+制御性T細胞のレベルを、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)で処理しない場合のFOXP3+制御性T細胞と比較して、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、200%、または少なくとも250%上昇することができる。
【0179】
本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、術後治療レジメンの構成要素として、必要とする対象または移植患者に投与することができる。ある実施形態では、術後レジメンで使用される本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、コンディショニングレジメンで投与される分子と同じである。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、コンディショニングレジメンで投与される分子と異なる。特定の実施形態では、術後レジメンで投与される本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、シプリズマブと同じエピトープに結合する。
【0180】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植当日、1日後、2日後、3日後、4日後、移植当日及び1日後、移植当日及び1日後及び2日後、移植当日及び1日後及び2日後及び3日後、移植当日及び1日後及び2日後及び3日後及び4日後、移植当日及び1日後及び2日後及び3日後及び4日後及び5日後、移植当日及び1日後及び2日後及び3日後及び4日後及び5日後6日後、または移植手術当日及び1日後及び2日後及び3日後及び4日後及び5日後及び6日後及び7日後に投与され得る。ある実施形態では、本明細書で提供される治療方法は、移植後に、必要とする対象または移植レシピエントにCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植1日後、移植2日後、移植3日後、移植4日後、移植5日後、移植6日後、移植7日後、移植8日後、移植9日後、移植10日後、移植11日後、移植12日後、移植13日後、移植14日後、移植15日後、移植16日後、移植17日後、移植18日後、移植19日後、移植20日後、移植21日後、移植22日後、移植23日後、移植24日後、移植25日後、移植26日後、移植27日後、移植28日後、移植29日後、及び/または移植30日後にレシピエントに投与することができる。特定の実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植当日、移植1日後、移植2日後、及び/または移植4日後に投与される。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、1日1回、隔週または月1回投与することができる。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、注入または皮下投与よって、投与することができる。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植手術後1週間、移植手術後2週間、移植手術後3週間、または移植手術後4週間、1日1回投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植当日及び移植1日後にレシピエントに投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植当日及び移植1日後、及び7日後にレシピエントに投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植当日及び移植1日後、8日後、及び13日後にレシピエントに投与することができる。
【0181】
ある実施形態では、術後レジメンでレシピエントに投与される本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の用量は、コンディショニングレジメンで投与される用量と同じであり得る。ある実施形態では、術後レジメンでレシピエントに投与される本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の用量は、コンディショニングレジメンで投与される用量と異なり得る。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を、0.01mg/kg/回、0.02mg/kg/回、0.03mg/kg/回、0.04mg/kg/回、0.05mg/kg/回、0.1mg/kg/回、0.15mg/kg/回、0.2mg/kg/回、0.25mg/kg/回、0.3mg/kg/回、0.35mg/kg/回、0.4mg/kg/回、0.45mg/kg/回、0.5mg/kg/回、0.55mg/kg/回、0.6mg/kg/回、0.65mg/kg/回、0.7mg/kg/回、0.75mg/kg/回、0.8mg/kg/回、0.85mg/kg/回、0.9mg/kg/回、0.95mg/kg/回、1.0mg/kg/回、2.0mg/kg/回、3.0mg/kg/回、4.0mg/kg/回、5.0mg/kg/回、6.0mg/kg/回、7.0mg/kg/回、8.0mg/kg/回、9.0mg/kg/回、10mg/kg/回、11mg/kg/回、12mg/kg/回、13mg/kg/回、14mg/kg/回、15mg/kg/回、16mg/kg/回、17mg/kg/回、18mg/kg/回、19mg/kg/回、20mg/kg/回、21mg/kg/回、22mg/kg/回、23mg/kg/回、24mg/kg/回、25mg/kg/回、26mg/kg/回、27mg/kg/回、28mg/kg/回、29mg/kg/回、30mg/kg/回、31mg/kg/回、32mg/kg/回、33mg/kg/回、34mg/kg/回、35mg/kg/回、36mg/kg/回、37mg/kg/回、38mg/kg/回、39mg/kg/回、40mg/kg/回、41mg/kg/回、42mg/kg/回、43mg/kg/回、44mg/kg/回、45mg/kg/回、46mg/kg/回、47mg/kg/回、48mg/kg/回、49mg/kg/回、または50mg/kg/回の用量で移植レシピエントに投与することができる。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、0.1~0.3mg/kg/回、0.2~0.4mg/kg/回、0.3~0.5mg/kg/回、0.4~0.6mg/kg/回、0.45~0.65mg/kg/回、0.5~0.7mg/kg、0.55~0.75mg/kg/回、0.6~0.8mg/kg/回、0.65~0.85mg/kg/回、0.7~0.9mg/kg/回、0.8~1.0mg/kg/回、1.0mg/kg/回~6.0mg/kg/回、5.0mg/kg/回~10mg/kg/回、9.0mg/kg/回~15mg/kg/回、14mg/kg/回~20mg/kg/回、19mg/kg/回~25mg/kg/回、24mg/kg/回~30mg/kg/回、29mg/kg/回~35mg/kg/回、34mg/kg/回~40mg/kg/回、39mg/kg/回~45mg/kg/回、または44mg/kg/回~50mg/kg/回の用量範囲で、必要とする対象または移植レシピエントに投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、0.6mg/kg/回の用量で、必要とする対象または移植レシピエントに投与することができる。
【0182】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象、または移植手術後の患者に投与することができ、ここで、患者は、少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、もしくは12ヶ月、または少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、12年、13年、14年、15年、16年、17年、18年、19年、20年、21年、22年、23年、24年、または少なくとも25年の期間、治療を受けている。ある実施形態では、患者は、少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、もしくは12ヶ月、または少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、12年、13年、14年、15年、16年、17年、18年、19年、20年、21年、22年、23年、24年、または少なくとも25年の期間、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)または本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を含む医薬組成物で治療することができる。
【0183】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、皮下、静脈内、血管内、局所、関節内、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、硝子体内、吸入、腹腔内、骨内、気管内、舌下、頬側、直腸、皮内、髄腔内、骨髄内、または経皮投与経路用に製剤化され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または移植手術患者への静脈内投与のために製剤化される。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、必要とする対象または移植手術患者への皮下投与のために製剤化される。
【0184】
ある実施形態では、移植手術患者は、本明細書に記載の治療有効量のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を含む医薬組成物を投与され得る。ある実施形態では、治療有効量の本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を含む医薬組成物は、移植手術患者に投与するためのキットまたはシステムに含まれる。ある実施形態では、キットは、1つ以上の容器中に収容されている、治療有効量の本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)を含む医薬組成物を含む。その中にパッケージングできる医薬組成物を保有する容器としては、これらに限定されないが、ボトル、袋、アンプル、チューブ、吸入器、バッグ、バイアル及び容器を挙げることができる。ある実施形態では、キットは、薬学的投与を行うための指示書を含む。ある実施形態では、本キットは、本発明の医薬組成物を投与するのに使用できるデバイスを含み、そのデバイスとしては、これらに限定されないが、シリンジ、針なし注射器、点滴バッグ、ポンプ、灌流ポンプ、パッチ及び吸入器が挙げられる。
【0185】
5.3.7 臓器移植レシピエントの免疫抑制剤との同時療法
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、臓器移植手術後の長期患者療法の構成要素として、低用量の免疫抑制剤と同時に投与される。理論に拘束されるものでないが、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)の投与と組み合わせることができる免疫抑制剤としては、これらに限定されないが、タクロリムス、シクロスポリン、ベラタセプト、抗CD40抗体、抗OX40L抗体、抗CD28抗体、抗CD27抗体、抗CD154抗体、抗ICOS抗体、抗またはアゴニスト4-1BB(CD137)抗体、BCL-2阻害剤、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸誘導体、例えば、Myfortic(腸溶コーティングされたミコフェノール酸ナトリウム)、シロリムス、エベロリムス、抗胸腺細胞グロブリン、バシリキシマブ、プレドニゾン、シクロホスファミド、フルダラビン、及びリツキシマブが挙げられる(Adams et al.,J Immunol,2016,197(6)2045-2050;Kinnear et al.,Transplantation.2013 Feb 27;95(4):527-535;Zhang and Vignali,Immunity.2016 May 17;44(5):1034-51)。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、二重共刺激遮断剤の一部として投与され得る。特定の実施形態では、免疫抑制剤が本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)と同時に投与される場合、移植後療法レジメンの一部として治療上有効であるために必要とされる免疫抑制剤の用量は少なくなる。
【0186】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植後療法レジメンの一部として、1つの免疫抑制剤と同時に投与することができる。他の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)は、移植後療法レジメンの一部として、2つ以上の免疫抑制剤と同時に投与することができる。
【0187】
5.3.8 CTLA-4共刺激遮断剤
いくつかの実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)及びCTLA-4共刺激遮断剤を対象に投与することによって、対象における免疫関連障害または疾患を治療または予防する方法が本明細書に記載される。具体的には、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)とCTLA-4共刺激遮断との組み合わせを使用して、免疫関連障害または疾患を治療または予防する方法が本明細書に提供され、この方法では、抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片またはCTLA-4共刺激遮断剤を単独でまたは他方を用いずに使用する場合と比較して、相乗効果が得られる。いくつかの実施形態では、免疫関連障害または疾患を治療または予防する方法は、別の薬剤(例えば、免疫抑制剤)を投与することをさらに含む。ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方の投与は、抗CD2抗体またはCTLA-4共刺激遮断剤のうちの1つのみを対象に投与した場合と比較して、対象における同種免疫応答のより大きな低下をもたらす。ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方の投与は、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)またはCTLA-4共刺激遮断剤のうちの1つのみを対象に投与した場合と比較して、CD2のレベルのより大きな減少をもたらす。ある実施形態では、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)及びCTLA-4共刺激遮断剤の両方の対象への投与は、CD2結合分子(または抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片)またはCTLA-4共刺激遮断剤のうちの1つのみを対象に投与後に得られる対象からの生体試料中の細胞の数と比較して、対象からの生体試料中の細胞の数が少なくなる。
【0188】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法は、抗CD2抗体またはその抗原結合断片をCTLA-4共刺激遮断剤と組み合わせて対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤は、CD80及び/またはCD86を標的とするCTLA4-Igである。いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤は、B7-1及び/またはB7-2への結合を増強したCTLA4-Igバリアントである。いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤は、CTLA-4融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤は、CTLA-4 Ig(例えば、アバタセプト)である。いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤は、Fcに融合したCTLA-4の細胞外ドメインである。いくつかの実施形態では、Fcに融合されたCTLA-4の細胞外ドメインは、ベラタセプト(Nulojix(登録商標))である。いくつかの実施形態では、Fcに融合されたCTLA-4の細胞外ドメインは、アバタセプト(Orencia(登録商標))である。いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤は、ヒトCTLA4のA29Y/L104Eバリアント型を含む。いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤は、B7-1及びB7-2に対する親和性を高めるために、CTLA-4融合タンパク質のCTLA4部分中に少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも4つを超える置換を含む。例えば、CTLA-4共刺激遮断剤は、A29K、A29N、A29E、A29W、A29F、A29Y、A29H、A29Q、A29R、T30D、T30V、T30A、T30N、T30E、T30H、T30R、E31I、E31M、E31T、E31V、E31D、R33F、R33T、R33M、R33W、R331、R33Y、R33L、R33E、R33Q、T35E、T35V、T35M、T35D、T35F、T35Y、A49T、A49F、A49Y、A49W、A49D、A49E、T51V、T51L、T51N、T51H、T51Q、T51E、T51S、T51R、T51D、M53E、M53Q、M53Y、M53W、M53F、M53H、T59V、T59L、T59N、T59Y、T59H、T59Q、T59I、L61D、L61E、L611、L61A、L61F、L61G、L61H、L61K、L61M、L61N、L61P、L61Q、L61R、L61S、L61T、L61V、L61W、L61Y、D63E、S64K、S64R、S64Y、K93D、K93E、K93F、K93H、K93Q、K93R、K93T、K93V、K93W、K93Y、K93N、K93S、E95D、E95Q、E95Y、E95H、E95L、M97F、M97D、M97N、M971、M97V、Y98F、Y98W、Y102F、Y102W、Y103F、Y103W、Y103H、Y103D、Y103E、Y103N、Y103Q、L104D、L104E、L104V、L104M、L104Y、L104W、L104F、L104H、G105D、G105E、I106E、及びI106Yのうちの1つ以上を含むがこれらに限定されない1つ以上の置換を含む。いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤は、A29H、A29K、A29Y、T51N、L61E、L61Q、K93Q、K93、L104H、L104E、及びY103Qからなる群から選択される少なくとも1つのCTLA4置換を含む。
【0189】
いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、配列番号22と同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、配列番号22と約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%、または少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、配列番号22中に約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、または40、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、もしくは40、または最大で約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、もしくは40のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、配列番号23と同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、配列番号23と約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%、または少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、配列番号23中に約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、または40、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、もしくは40、または最大で約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、もしくは40のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。
【0190】
ある実施形態では、本明細書で提供される治療方法は、対象が免疫関連障害または疾患と診断される前に、CTLA4共刺激遮断剤を対象に投与することを含む。ある実施形態では、本明細書で提供される治療方法は、対象が免疫関連障害または疾患と診断された後に、CTLA4共刺激遮断剤を対象に投与することを含む。ある実施形態では、本明細書で提供される治療方法は、移植前に移植レシピエントにCTLA4共刺激遮断剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、移植1日前、移植2日前、移植3日前、移植4日前、移植1日前及び2日前、移植2日前及び3日前、移植3日前及び4日前、移植1日前及び2日前及び3日前、または移植1日前及び2日前及び3日前及び4日前にレシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、移植1日前及び2日前にレシピエントに投与することができる。特定の実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、移植手術当日に投与される。
【0191】
ある実施形態では、本明細書で提供される治療方法は、移植後に移植レシピエントにCTLA4共刺激遮断剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、移植1日後、移植2日後、移植3日後、移植4日後、移植5日後、移植6日後、移植7日後、移植8日後、移植9日後、移植10日後、移植11日後、移植12日後、移植13日後、移植14日後、移植15日後、移植16日後、移植17日後、移植18日後、移植19日後、移植20日後、移植21日後、移植22日後、移植23日後、移植24日後、移植25日後、移植26日後、移植27日後、移植28日後、移植29日後、及び/または移植30日後にレシピエントに投与することができる。特定の実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、移植当日、移植1日後、移植2日後及び/または移植4日後に投与される。
【0192】
ある実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤の試験用量を投与することができる。ある実施形態では、試験用量の投与は、任意である。ある実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、対象に、寛解を誘導するのに十分高い用量(負荷用量)で投与し、その後、これらに限定されないが、月1回、2ヶ月に1回、または3ヶ月に1回などの低頻度で投与し得る。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、皮下、静脈内、血管内、局所的、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、吸入、経皮的、または腹腔内を含む当技術分野で公知である適当な方法で対象に投与される。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、30分間の静脈内注入として静脈内投与される。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、最初の注入の約2週間後及び4週間後、及び/またはその後4週間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、週1回の皮下注射によって投与される。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、静脈内負荷用量とともに、または静脈内負荷用量なしで、開始される。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、単回の静脈内注入で開始され、その後、最初の皮下(例えば、125mg)注射を行い、これは、静脈内注入の1日以内に投与される。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、約500mg(例えば、60kg未満の対象)、750mg(例えば、60~100kgの対象)、または1000mg(例えば、100kgを超える対象)の用量で投与される。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、バイアル(例えば、250mgバイアル)で提供される。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、凍結乾燥粉末として提供される。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤の再構成後、1ミリリットルあたり、25mg(250mg/10mL)のCTLA4共刺激遮断剤を含む。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、125mg/mLの単回投与プレフィルドガラスシリンジとして提供される。
【0193】
いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、1日あたり、1回あたり、1週間あたり、または1ヶ月あたり約100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1000mg、もしくは1000mg超、または少なくとも約100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1000mg、もしくは1000mg超、または最大約100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1000mg、もしくは1000mg超の量で投与される。
【0194】
いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤の投与量は、0.0001~100mg/kg体重以上の範囲、例えば0.1mg/kg体重、1mg/kg体重、10mg/kg体重、または50mg/kg体重である。いくつかの実施形態では、投与量は、1~10mg/kgの範囲である。いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤の単回用量のみが、対象に投与される。いくつかの実施形態では、複数回用量のCTLA4共刺激遮断剤が、対象に投与される。いくつかの実施形態では、投与間の経過時間は、1時間未満、約1時間、約1~2時間、約2~3時間、約3~4時間、約6時間、約12時間、約24時間、約48時間、約2~4日、約4~6日、約1週間、約2週間、または2週間超である。
【0195】
いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤は、1回または複数回の投与により、約1ng/kg体重~約100mg/kg体重の範囲で対象に投与される。いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤は、CTLA4共刺激遮断剤が投与される1日あたり、1用量あたり、1週あたり、または1ヶ月あたり、約1ng/kg体重~約10mg/kg体重、約1ng/kg体重~約1mg/kg体重、約1ng/kg体重~約100μg/kg体重、約1ng/kg体重~約10μg/kg体重、約1ng/kg体重~約1μg/kg体重、約1ng/kg体重~約100ng/kg体重、約1ng/kg体重~約10ng/kg体重、約10ng/kg体重~約100mg/kg体重、約10ng/kg体重~約10mg/kg体重、約10ng/kg体重~約1mg/kg体重、約10ng/kg体重~約100μg/kg体重、約10ng/kg体重~約10μg/kg体重、約10ng/kg体重~約1μg/kg体重、10ng/kg体重~約100ng/kg体重、約100ng/kg体重~約100mg/kg体重、約100ng/kg体重~約10mg/kg体重、約100ng/kg体重~約1mg/kg体重、約100ng/kg体重~約100μg/kg体重、約100ng/kg体重~約10μg/kg体重、約100ng/kg体重~約1μg/kg体重、約1μg/kg体重~約100mg/kg体重、約1μg/kg体重~約10mg/kg体重、約1μg/kg体重~約1mg/kg体重、約1μg/kg体重~約100μg/kg体重、約1μg/kg体重~約10μg/kg体重、約10μg/kg体重~約100mg/kg体重、約10μg/kg体重~約10mg/kg体重、約10μg/kg体重~約1mg/kg体重、約10μg/kg体重~約100μg/kg体重、約100μg/kg体重~約100mg/kg体重、約100μg/kg体重~約10mg/kg体重、約100μg/kg体重~約1mg/kg体重、約1mg/kg体重~約100mg/kg体重、約1mg/kg体重~約10mg/kg体重、約10mg/kg体重~約100mg/kg体重の範囲で投与される。
【0196】
いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤は、患者/日あたり0.1~20.0mg/kg体重(例えば、0.5~10.0mg/kg/日)の量で投与される。いくつかの実施形態では、CTLA-4共刺激遮断剤は、約0.1~100mg/kg対象体重、約0.5~5mg/kg対象体重、約5~10mg/kg対象体重、約10~15mg/kg対象体重、約15~20mg/kg対象体重、約20~25mg/kg対象体重、約25~30mg/kg対象体重、約30~35mg/kg対象体重、約35~40mg/kg対象体重、約40~45mg/kg対象、約45~50mg/kg対象体重、約50~55mg/kg対象体重、約55~60mg/kg対象体重、約60~65mg/kg対象体重、約65~70mg/kg対象体重、約70~75mg/kg対象体重、約75~80mg/kg対象体重、約80~85mg/kg対象体重、約85~90mg/kg対象体重、約90~95mg/kg対象体重、約95~100mg/kg対象体重、約2~10mg/kg対象体重、約0.1~4mg/kg対象体重、約0.1~0.5mg/kg対象体重、約0.5~1.0mg/kg対象体重、約1.0~1.5mg/kg対象体重、約1.5~2.0mg/kg対象体重、約2.0~2.5mg/kg対象体重、約2.5~3.0mg/kg対象体重、約3.0~3.5mg/kg対象体重、約3.5~4.0mg/kg対象体重、約4.0~4.5mg/kg対象体重、約4.5~5.0mg/kg対象体重、約5.0~5.5mg/kg対象体重、約5.5~6.0mg/kg対象体重、約6.0~6.5mg/kg対象体重、約6.5~7.0mg/kg対象体重、約7.0~7.5mg/kg対象体重、約7.5~8.0mg/kg対象体重、約8.0~8.5mg/kg対象体重、約8.5~9.0mg/kg対象体重、約9.0~9.5mg/kg対象体重、約9.5~10.0mg/kg対象体重、約0.1~2mg/kg対象体重、約2~4mg/kg対象体重、約4~6mg/kg対象体重、約6~8mg/kg対象体重、約8~10mg/kg対象体重、約10~12mg/kg対象体重、約12~14mg/kg対象体重、約14~16mg/kg対象体重、約16~18mg/kg対象体重、約18~20mg/kg対象体重、約0.5mg/kg対象体重、2mg/kg対象体重、10mg/kg対象体重、約0.5mg/kg~100対象体重、約0.5~10mg/kg対象体重、約0.1~20mg/kg対象体重、体重60kg未満の対象で約500mg、体重60~100kgの対象で750mg、または体重100kg超の対象で1000mgの量で対象に投与される。
【0197】
いくつかの実施形態では、CTLA4共刺激遮断剤(例えば、ベラタセプト及び/またはアバタセプト)は、抗CD2抗体またはその抗原結合断片との併用療法において、1日あたり、CTLA4共刺激遮断剤1投与あたり、1週あたり、または1ヶ月あたり、約10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、もしくは30mg/kg(またはその間の任意の整数量)、または少なくとも約10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、もしくは30mg/kg(またはその間の任意の整数量)、または最大で約10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、もしくは30mg/kg(またはその間の任意の整数量)の量で投与される。
【0198】
5.3.9 免疫抑制療法
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、抗CD2抗体またはその抗原断片、CTLA-4共刺激遮断剤、及び別の活性剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、別の活性剤は、抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与される前、間、または後に投与される。いくつかの実施形態では、別の活性剤は、抗CD2抗体またはその抗原結合断片が対象に投与される前、間、または後に投与される。いくつかの実施形態では、別の活性剤は、CTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与される前、間、または後に投与される。いくつかの実施形態では、別の活性剤としては、メトトレキサート、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、疼痛緩和のための薬剤、コルチコステロイド、TNF遮断剤、アザチオプリン、クロロキン、金、ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサラジン、及び/またはアナキンラのうちの1つ以上が挙げられる。NSAIDの例としては、これらに限定されないが、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、ジクロフェナク、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロモキシカム(lomoxicam)、イソキシカム、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、セレコキシカブ(celecoxicab)、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、ニメスリド、リコフェナク(licofenac)、及びニフルム酸が挙げられる。いくつかの実施形態では、別の活性剤は、免疫抑制療法である。免疫抑制療法は、対象における免疫関連障害または疾患を治療または予防するためのFDA承認の任意の治療であり得る(例えば、移植拒絶反応を減少させることが示されるもの)。免疫抑制療法の非限定的な例としては、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムスまたはシクロスポリン)、抗増殖剤(例えば、ミコフェノール酸、6-メルカプトプリンまたはそのプロドラッグであるアザチオプリンなどの代謝拮抗剤)、シクロホスファミド、ラパマイシン哺乳動物標的阻害剤(mTOR)(例えば、シロリムス、ラパマイシン)、ステロイド(例えば、プレドニゾン)、細胞周期阻害剤(アザチオプリンまたはミコフェノール酸モフェチル)、リンパ球除去剤(例えば、抗胸腺細胞グロブリンまたはアレムツズマブまたはバシリキシマブなどの抗体)及び共刺激遮断剤が挙げられる。例えば、Chung et al(2020).,Ann Transl Med.Mar;8(6):409;van der Mark et al.(2020),Eur Respir Rev;29:190132及びBenvenuto et al.(2018),J Thorac Dis 10:3141-3155を参照されたい。
【0199】
免疫抑制療法は、導入療法(周術期、または手術直後)として、維持用量として、または急性免疫関連疾患(例えば、急性拒絶反応)のために投与することができる。導入療法としては、一般的に、バシリキシマブ、抗胸腺細胞グロブリン、またはアレムツズマブが挙げられる。免疫抑制療法は、多くの場合、対象の生涯にわたって継続することが必要とされる維持療法として投与することもできる。維持免疫抑制療法としては、通常、カルシニューリン阻害剤(タクロリムスまたはシクロスポリン)、抗増殖剤(ミコフェノール酸またはアザチオプリン)、及びコルチコステロイドが挙げられる。急性拒絶反応に対する免疫抑制療法としては、通常、チモグロブリンまたはミコフェノール酸が挙げられる。例えば、Chung et al.(2020),Ann Transl Med.Mar;8:409及びBenvenuto et al.,(2018)J Thorac Dis 10:3141-3155を参照されたい。
【0200】
免疫抑制剤の非限定的な例としては、(1)代謝拮抗剤、例えば、プリン合成阻害剤(例えば、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ(IMPDH)阻害剤、例えば、アザチオプリン、ミコフェノール酸、及びミコフェノール酸モフェチル)、ピリミジン合成阻害剤(例えば、レフルノミド及びテリフルノミド)、及び葉酸拮抗剤(例えば、メトトレキサート);(2)カルシニューリン阻害剤、例えば、タクロリムス、シクロスポリンA、ピメクロリムス、及びボクロスポリン;(3)TNF-α阻害剤、例えば、サリドマイド及びレナリドマイド;(4)IL-1受容体アンタゴニスト、例えば、アナキンラ;(5)ラパマイシン哺乳動物標的(mTOR)阻害剤、例えば、ラパマイシン(シロリムス)、デフォロリムス、エベロリムス、テムシロリムス、ゾタロリムス、及びバイオリムスA9;(6)コルチコステロイド、例えば、プレドニゾン;及び(7)多数の細胞標的または血清標的(抗リンパ球グロブリン及び抗胸腺細胞グロブリンなど)のいずれか1つに対する抗体が挙げられる。
【0201】
非限定的な例示的細胞標的及びそれらのそれぞれの阻害剤化合物としては、これらに限定されないが、補体成分5(例えば、エクリズマブ);腫瘍壊死因子(TNF)(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、アフェリモマブ及びゴリムマブ);IL-5(例えば、メポリズマブ);IgE(例えば、オマリズマブ);BAYX(例えば、ネレリモマブ);インターフェロン(例えば、ファラリモマブ(faralimomab));IL-6(例えば、エルシリモマブ);IL-12及びIL-13(例えば、レブリキズマブ及びウステキヌマブ);CD3(例えば、ムロモナブ-CD3、オテリキシズマブ、テプリズマブ、ビシリズマブ);CD4(例えば、クレノリキシマブ、ケリキシマブ、及びザノリムマブ);CDI1a(例えば、エファリズマブ);CD18(例えば、エルリズマブ);CD20(例えば、アフツズマブ、オクレリズマブ、パスコリズマブ);CD23(例えば、ルミリキシマブ);CD40(例えば、テネリキシマブ、トラリズマブ);CD62L/L-セレクチン(例えば、アセリズマブ(aselizumab));CD80(例えば、ガリキシマブ);CD147/バシギン(例えば、ガビリモマブ(gavilimomab));CD154(例えば、ルプリズマブ);BLyS(例えば、ベリムマブ);CTLA-4(例えば、イピリムマブ、トレメリムマブ);CAT(例えば、ベルチリムマブ(bertilimumab)、レルデリムマブ(lerdelimumab)、メテリムマブ(metelimumab));インテグリン(例えば、ナタリズマブ);IL-6受容体(例えば、トシリズマブ);LFA-1(例えば、オデュリモマブ);及びIL-2受容体/CD25(例えば、バシリキシマブ、ダクリズマブ、イノリモマブ(inolimomab))が挙げられる。
【0202】
いくつかの実施形態では、免疫抑制療法は、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)として知られる非特異的細胞傷害性免疫抑制薬、例えば、メトトレキサート、インフリキシマブ、シクロホスファミド、アザチオプリン、シクロスポリンA、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、エタネルセプト、及び腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)または他のサイトカイン遮断剤またはアンタゴニストが挙げられる。いくつかの実施形態では、対象に投与される免疫抑制療法(例えば、DMARDS)の量は、免疫抑制療法が対象に投与された日において、約1~約5000mg/日、約1~10mg/日、約10~50mg/日、約50~100mg/日、約100~150mg/日、約150~200mg/日、約200~250mg/日、約250~300mg/日、約300~350mg/日、約350~400mg/日、約400~450mg/日、約450~500mg/日、約500~550mg/日、約550~600mg/日、約600~650mg/日、約650~700mg/日、約700~750mg/日、約750~800mg/日、約800~850mg/日、約850~900mg/日、約900~950mg/日、約950~1000mg/日、約1000~1100mg/日、約1100~1200mg/日、約1200~1300mg/日、約1300~1400mg/日、約1400~1500mg/日、約1500~1600mg/日、約1600~1700mg/日、約1700~1800mg/日、約1800~1900mg/日、約1900~2000mg/日、約2000~2500mg/日、約2500~3000mg/日、約3000~3500mg/日、約3500~4000mg/日、約4000~4500mg/日、もしくは約4500~5000mg/日、または少なくとも約1~約5000mg/日、約1~10mg/日、約10~50mg/日、約50~100mg/日、約100~150mg/日、約150~200mg/日、約200~250mg/日、約250~300mg/日、約300~350mg/日、約350~400mg/日、約400~450mg/日、約450~500mg/日、約500~550mg/日、約550~600mg/日、約600~650mg/日、約650~700mg/日、約700~750mg/日、約750~800mg/日、約800~850mg/日、約850~900mg/日、約900~950mg/日、約950~1000mg/日、約1000~1100mg/日、約1100~1200mg/日、約1200~1300mg/日、約1300~1400mg/日、約1400~1500mg/日、約1500~1600mg/日、約1600~1700mg/日、約1700~1800mg/日、約1800~1900mg/日、約1900~2000mg/日、約2000~2500mg/日、約2500~3000mg/日、約3000~3500mg/日、約3500~4000mg/日、約4000~4500mg/日、または約4500~5000mg/日である。
【0203】
いくつかの実施形態では、対象に投与される免疫抑制療法(例えば、DMARDS)の量は、約0.1~40mg/週、約5~30mg/週、約0.1~5mg/週、約5~10mg/週、約10~15mg/週、約15~20mg/週、約20~25mg/週、約25~30mg/週、約30~35mg/週、約35~40mg/週、約10~30mg/週、約10~100mg/週、約50mg/週、約0.1~50mg/kg体重/週である。
【0204】
5.3.10 シクロホスファミド
本明細書で使用されるシクロホスファミドは、免疫系を抑制するためにレシピエントに投与される化合物である。いくつかの実施形態では、シクロホスファミド(2-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ-2H-1,3,2-オキサザホスホリン2-オキシド一水和物)は、移植臓器(例えば、肝臓または腎臓)に対する寛容を誘導するために投与され、シクロホスファミドの商品名としては、Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、及びEndoxan(登録商標)が挙げられる。
【0205】
ある実施形態では、本明細書で提供されるレジメンは、移植前にシクロホスファミドを移植レシピエントに投与することを含む。ある実施形態では、本明細書で提供されるレジメンは、シクロホスファミドを投与して、免疫関連障害または疾患を治療または予防することを含む。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、移植3日後、移植4日後、移植5日後、移植6日後、移植3日後及び4日後、移植5日後及び6日後、移植3日後及び4日後及び5日後、または移植4日後及び5日後及び6日後に、レシピエントに投与することができる。特定の実施形態では、シクロホスファミドは、移植4日後及び5日後にレシピエントに投与することができる。特定の実施形態では、シクロホスファミドは、移植3日後、4日後、5日後、6日後、または7日後に最初にレシピエントに投与される。
【0206】
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療されたレシピエントは、30以上のMELDスコアを有し、この方法は、移植1~2日後、移植2~4日後、移植4~6日後、移植6~8日後、移植8~10日後、移植10~12日後、移植12~14日後、移植14~16日後、移植16~18日後、移植18~20日後、移植20~22日後、移植22~24日後、移植24~26日後、移植26~28日後、移植28~30日後または移植31日後以降に、レシピエントにシクロホスファミドを最初に投与することを含む。
【0207】
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療されたレシピエントは、30以下のMELDスコアを有し、この方法は、移植1日後、移植2日後、移植3日後、移植4日後、移植5日後、移植6日後、移植7日後、移植8日後、移植9日後、移植10日後、移植11日後、移植12日後、移植13日後、移植14日後、または移植14日後以降に、レシピエントにシクロホスファミドを最初に投与することを含む。
【0208】
ある実施形態では、シクロホスファミドは、20mg/kg/回、25mg/kg/回、30mg/kg/回、35mg/kg/回、40mg/kg/回、45mg/kg/回、50mg/kg/回、55mg/kg/回、56mg/kg/回、57mg/kg/回、58mg/kg/回、59mg/kg/回、60mg/kg/回、61mg/kg/回、62mg/kg/回、63mg/kg/回、64mg/kg/回、65mg/kg/回、70mg/kg/回、75mg/kg/回、80mg/kg/回、85mg/kg/回、または90mg/kg/回の用量で、移植レシピエントに投与することができるか、または対象における免疫関連障害または疾患を治療または予防するために投与することができる。ある実施形態では、シクロホスファミドは、20~30mg/kg/回、25~35mg/kg/回、30~40mg/kg/回、35~45mg/kg/回、40~50mg/kg/回、45~55mg/kg/回、50~60mg/kg、55~65mg/kg/回、60~70mg/kg/回、65~75mg/kg/回、70~80mg/kg/回、75~85mg/kg/回、または80~90mg/kg/回の用量範囲で投与することができる。特定の実施形態では、シクロホスファミドは、40mg/kg/回の用量で投与することができる。
【0209】
ある実施形態では、シクロホスファミドは、当該技術分野において公知の適当な方法、例えば、皮下、静脈内、血管内、局所的、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口的、眼窩内、吸入による、経皮的、腹腔内、または対象によるシクロホスファミドの適切な作用が可能になる投与経路を介するなどで投与することができる。特定の実施形態では、シクロホスファミドは、静脈内投与である。特定の実施形態では、シクロホスファミドは、1時間かけて静脈内投与する。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与される前、間、または後に投与される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、抗CD2抗体またはその抗原結合断片が対象に投与される前、間、または後に投与される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、CTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与される前、間、または後に投与される。
【0210】
5.3.11 カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、対象にカルシニューリン阻害剤を投与することをさらに含む。特定の実施形態では、カルシニューリン阻害剤は、タクロリムスである。本明細書で使用されるタクロリムスは、免疫系を抑制するために対象に投与され得るマクロライド系抗生物質である。タクロリムスは、CyA(シクロスポリンA、別のカルシニューリン阻害剤)と同様の作用機序を有し、タクロリムスの商品名としては、Prograf(登録商標)、Adport(登録商標)、Advagraf(登録商標)、Protopic(登録商標)、Astagraf XL(登録商標)、Modigraf(登録商標)、及びEnvarsus XR(登録商標)が挙げられる。カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)は、免疫関連疾患または障害を治療または予防するために対象に投与することができるか、またはレシピエントにおいて、免疫系を抑制し、移植片対宿主病の発症を阻害するために術後治療レジメンに含めることができる。いくつかの実施形態では、カルシニューリン阻害剤の投与は、その後対象へのカルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)のテーパリング過程を伴う一定の過程を含む。
【0211】
ある実施形態では、本明細書で提供されるレジメンは、シクロホスファミドを投与して、免疫関連障害または疾患を治療または予防することを含む。ある実施形態では、本明細書で提供されるレジメンは、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)を移植レシピエントに投与することを含む。ある実施形態では、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)は、移植1日前、移植2日前、移植3日前、移植1日前及び2日前、移植1日前及び3日前、または移植1日前及び2日前及び3日前に最初に投与することができる。特定の実施形態では、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)は、移植1日前にレシピエントに最初に投与することができる。特定の実施形態では、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)は、移植近くの期間(すなわち、移植手術の前後)に可能な限り早期に投与される。特定の実施形態では、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)は、臓器(例えば、肝臓)移植の再灌流後24時間以内に投与される。ある実施形態では、本明細書で提供される術後治療レジメンは、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)を移植レシピエントに投与することを含む。ある実施形態では、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)は、移植当日、移植手術1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、20日後、21日後、22日後、23日後、24日後、25日後、26日後、27日後、28日後、29日後、30日後、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、7ヶ月後、8ヶ月後、9ヶ月後、10ヶ月後、11ヶ月後、12ヶ月後、13ヶ月後、14ヶ月後、15ヶ月後、16ヶ月後、17ヶ月後、または18ヶ月後に投与され得る。
【0212】
ある実施形態では、単回用量のタクロリムスを投与することができる。ある実施形態では、複数回用量のカルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)を投与することができる。ある実施形態では、一定用量のカルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)を投与することができる。ある実施形態では、テーパリング過程のカルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)を投与することができる。ある実施形態では、一定用量のカルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)後、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)のテーパリング過程を投与することができる。
【0213】
特定の実施形態では、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)は、1日1回の頻度で投与され得る。ある実施形態では、タクロリムスは、1日2回の頻度で投与することができる。ある実施形態では、タクロリムスは、(例えば、移植当日に開始して)1日2回の頻度で投与することができる。ある実施形態では、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)は、0.1mg/kg/回、0.2mg/kg/回、0.3mg/kg/回、0.4mg/kg/回、0.5mg/kg/回、0.6mg/kg/回、0.7mg/kg/回、0.8mg/kg/回、0.9mg/kg/回、1mg/kg/回、0.1~0.5mg/kg/回、0.5~1mg/kg/回、0.2~0.6mg/kg/回、0.3~0.7mg/kg/回、0.4~0.8mg/kg/回、または0.1~1mg/kg/回の用量で1日2回投与され得る。特定の実施形態では、カルシニューリン阻害剤は、タクロリムスであり、少なくとも0.5mg/kg/回の用量で1日2回経口投与される。
【0214】
ある実施形態では、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)は、1~5ng/ml、5~10ng/ml、10~15ng/ml、1~11ng/ml、2~12ng/ml、3~13ng/ml、4~14ng/ml、5~15ng/ml、6~16ng/ml、7~17ng/ml、8~18ng/ml、9~19ng/ml、10~20ng/ml、または15~20ng/mlの目標血中トラフ濃度を得るのに十分な用量で、対象に投与することができる。特定の実施形態では、目標血中トラフ濃度は、10~15ng/mlであり得る。特定の実施形態では、カルシニューリン阻害剤は、タクロリムスであり、血清トラフ濃度を4~11ng/mLの範囲に維持するのに十分な用量で、対象に投与される。
【0215】
ある実施形態では、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)は、皮下、静脈内、血管内、局所、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、吸入による、経皮、腹腔内、またはレシピエントによるカルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)の適切な作用を可能にする投与経路によるなど、当技術分野で知られている適当な方法で対象に投与することができる。特定の実施形態では、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)は、経口投与することができる。特定の実施形態では、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)は、静脈内投与することができる。
【0216】
特定の実施形態では、対象は、対象が臓器移植を受けた後、対象が免疫関連疾患または障害と診断された後、または対象が本明細書に記載の方法に従って免疫関連疾患または障害の治療を受けた後、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、1~2ヶ月、2~3ヶ月、3~4ヶ月、4~5ヶ月、5~6ヶ月、6~7ヶ月、7~8ヶ月、8~9ヶ月、9~10ヶ月、10~11ヶ月、11~12ヶ月、12~13ヶ月、13~14ヶ月、14~15ヶ月、15~16ヶ月、16~17ヶ月、17~18ヶ月、18~19ヶ月、19~20ヶ月、20~21ヶ月、21~22ヶ月、22~23ヶ月、または23~24ヶ月で、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)から離脱する。特定の実施形態では、離脱は、対象が臓器移植を受けた後、対象が免疫関連疾患もしくは障害と診断された後、または対象が本明細書に記載の方法に従って免疫関連疾患または障害の治療を受けた後、6ヶ月で開始される。特定の実施形態では、離脱は、2016 Banff Criteria(Demetris et al.,Am J Transplant.2016 Oct;16(10):2816-2835に記載)によって判定されるように、6ヶ月の時点でレシピエントから採取された生検片に拒絶反応がない場合、及び/またはレシピエントが、安定した移植機能を維持する場合にのみ開始される。
【0217】
特定の実施形態では、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)の用量は、離脱開始後2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、または6ヶ月ごとに減少させる。
【0218】
特定の実施形態では、離脱プロトコールは、投与頻度を減少させる、例えば、1日2回から1日1回に、1日1回から隔日に、1日1回から週3回に、週3回から週2回に、週2回から週1回に、週1回から隔週に投与頻度を減少させるなど、1つ以上のステップを含む。特定の実施形態では、離脱プロトコールは、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)の1日量を減少させるステップ、例えば、初期1日量を10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、80~90%、または90%超減少させるステップを含む。特定の実施形態では、離脱プロトコールは、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)の1日量を約25%減少させるステップを含む。
【0219】
特定の実施形態では、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)の投与は、対象が臓器移植を受けた後、対象が免疫関連疾患または障害と診断された後、または対象が本明細書に記載の方法に従って免疫関連疾患または障害の治療を受けた後、約12~15ヶ月、15~18ヶ月、18~21ヶ月、または21~24ヶ月で停止される。特定の実施形態では、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)の投与は、対象が臓器移植を受けた後、対象が免疫関連疾患または障害と診断された後、または対象が本明細書に記載の方法に従って免疫関連疾患または障害の治療を受けた後、18ヶ月で停止される。特定の実施形態では、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)の投与は、Demetris et al.,Am J Transplant.2016 Oct;16(10):2816-2835に記載のとおり、2016 Banff Criteriaによって判定されるように、18ヶ月の時点でレシピエントから採取された生検片に拒絶反応がない場合にのみ停止される。
【0220】
例示的な離脱プロトコールは、(i)3ヶ月間(例えば、移植後6ヶ月目から9ヶ月目)かけて、タクロリムスの初期の1日2回投与量を1日1回に、1日量を4分の3に減少させる;(ii)3ヶ月間(例えば、移植後9ヶ月目から12ヶ月目)かけて、用量を週3回にさらに減少させる;(iii)3ヶ月間(例えば、移植後12ヶ月目から15ヶ月目)かけて、用量を週2回にさらに減少させる;(iv)3ヶ月間(例えば、移植後15ヶ月目から18ヶ月目)にかけて、用量を週1回にさらに減少させる;及び(v)対象が臓器移植を受けた後、対象が免疫関連疾患または障害と診断された後、または対象が本明細書に記載の方法に従って免疫関連疾患または障害の治療を受けた後18ヶ月の時点で、タクロリムスの投与を停止するステップを含む。
【0221】
ある実施形態では、カルシニューリン阻害剤の代わりに代替化合物を使用することができる。これらの化合物としては、シロリムス及びエベロリムスを挙げることができる。ある実施形態では、カルシニューリン阻害剤は、シクロスポリン(Gengraf(登録商標)、Neoral(登録商標)、及びSandimmune(登録商標))であることができ、タクロリムスの代わりに使用することができる。いくつかの実施形態では、カルシニューリン阻害剤は、抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与される前、間、または後に投与される。いくつかの実施形態では、カルシニューリン阻害剤は、抗CD2抗体またはその抗原結合断片が対象に投与される前、間、または後に投与される。いくつかの実施形態では、カルシニューリン阻害剤は、CTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与される前、間、または後に投与される。
【0222】
5.3.12 ステロイド
ステロイドは、本明細書で使用される場合、免疫関連免疫障害または疾患を治療または予防するために対象に投与される化合物である。いくつかの実施形態では、免疫系を抑制するために、臓器(例えば、肝臓または腎臓)移植のレシピエントにステロイドが投与される。プレドニゾンは、コルチコステロイドであり、化学名は、17,21-ジヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,11,20-トリオン(C21H26O5)である。プレドニゾンの商品名としては、Deltasone(登録商標)、Sterapred(登録商標)、Rayos(登録商標)、Prednicot(登録商標)、及びMeticorten(登録商標)が挙げられる。
【0223】
ある実施形態では、本明細書で提供される治療方法は、コルチコステロイドを免疫関連の免疫障害または疾患を治療もしくは予防するために対象に投与すること、または移植レシピエントに投与することを含む。ある実施形態では、コルチコステロイドは、移植当日、移植手術後、1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、20日後、21日後、22日後、23日後、24日後、25日後、26日後、27日後、28日後、29日後、または30日後に投与することができる。
【0224】
ある実施形態では、コルチコステロイドは、移植手術当日から移植手術5日後まで、移植手術当日から移植手術10日後まで、移植手術当日から移植手術15日後まで、移植手術当日から移植手術20日後まで、移植手術当日から移植手術25日後まで、または移植手術当日から移植手術30日後まで投与できる。特定の実施形態では、コルチコステロイドは、移植手術当日及び移植手術2~7日後に投与される。特定の実施形態では、患者に投与されるコルチコステロイドの用量は、移植当日から移植1ヶ月後まで減量される。
【0225】
ある実施形態では、単回用量のコルチコステロイドが投与され得る。ある実施形態では、複数回用量のコルチコステロイドが投与され得る。ある実施形態では、一定用量のコルチコステロイドが投与され得る。ある実施形態では、コルチコステロイドパルスが投与され得る。ある実施形態では、テーパリング過程のコルチコステロイドが投与され得る。ある実施形態では、一定用量のコルチコステロイド後、コルチコステロイドのテーパリング過程が投与され得る。ある実施形態では、一定用量のコルチコステロイドが、コルチコステロイドパルス、及びコルチコステロイドのテーパリング過程と共に投与され得る。
【0226】
ある実施形態では、コルチコステロイドは、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、2.1mg/kg、2.2mg/kg、2.3mg/kg、2.4mg/kg、2.5mg/kg、2.6mg/kg、2.7mg/kg、2.8mg/kg、2.9mg/kg、または3.0mg/kgの用量で、対象に投与することができる。特定の実施形態では、ステロイドは、2mg/kgの用量で、対象に投与され得る。
【0227】
ある実施形態では、コルチコステロイドは、100mg/回、200mg/回、300mg/回、400mg/回、500mg/回、600mg/回、700mg/回、800mg/回、900mg/回、または1000mg/回のパルス用量で、対象に投与することができる。特定の実施形態では、コルチコステロイドは、500mg/回のパルス用量で投与することができる。ある実施形態では、コルチコステロイドパルスは、移植当日、移植1日後、移植2日後、移植3日後、移植4日後、移植5日後、移植6日後、移植7日後、移植8日後、移植9日後、移植10日後、移植11日後、移植12日後、移植13日後、移植14日後、移植15日後、移植当日及び1日及び2日後、移植3日後及び4日後及び5日後、移植6日後及び7日後及び8日後、移植9日後及び10日後及び11日後、移植10日後及び11日後及び12日後、移植11日後及び12日後及び13日後、または移植13日後及び14日後及び15日後に投与することができる。特定の実施形態では、コルチコステロイドパルスは、移植当日に投与される。特定の実施形態では、コルチコステロイドパルスは、移植10日後及び11日後及び12日後に投与される。
【0228】
ある実施形態では、ステロイドは、一定用量で、対象に投与することができる。一定用量が投与される期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、または10日であり得る。ある実施形態では、対象に投与されるコルチコステロイドは、テーパリングして、中止することができる。ある実施形態では、このテーパリング過程は、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日かけて行うことができる。特定の実施形態では、テーパリング過程は、10日かけて行うことができる。特定の実施形態では、テーパリング過程は、20日かけて行うことができる。
【0229】
ある実施形態では、テーパリング過程では、対象に投与されるコルチコステロイドを0.01mg/kg/日、0.02mg/kg/日、0.03mg/kg/日、0.04mg/kg/日、0.05mg/kg/日、0.06mg/kg/日、0.07mg/kg/日、0.08mg/kg/日、0.09mg/kg/日、0.1mg/kg/日、0.2mg/kg/日、0.3mg/kg/日、0.4mg/kg/日、0.5mg/kg/日、0.6mg/kg/日、0.7mg/kg/日、0.8mg/kg/日、0.9mg/kg/日、1.0mg/kg/日、1.1mg/kg/日、1.2mg/kg/日、1.3mg/kg/日、1.4mg/kg/日、1.5mg/kg/日、1.6mg/kg/日、1.7mg/kg/日、1.8mg/kg/日、1.9mg/kg/日、または2.0mg/kg/日減少させることができる。
【0230】
例示的なステロイド投与レジメンは、対象に以下の用量を投与することを含む:(i)移植手術当日に1000mgのメチルプレドニゾロンを静脈内投与;(ii)移植手術2日後に250mgのステロイドを経口投与;(iii)移植手術3日後に125mgのステロイドを経口投与;(iv)移植手術4日後に75mgのステロイドを経口投与;及び(v)移植手術5~7日後にそれぞれ60mgのステロイドを経口投与;及び(vi)移植手術7日後から1ヶ月まで1日1回20mgのステロイドを経口投与。
【0231】
ある実施形態では、コルチコステロイドは、皮下、静脈内、血管内、局所、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、吸入による、経皮、腹腔内、またはレシピエントによるコルチコステロイドの適切な作用を可能にする投与経路によるなど、当技術分野で知られている適当な方法で対象に投与することができる。特定の実施形態では、コルチコステロイドは、経口投与され得る。特定の実施形態では、コルチコステロイドは、静脈内投与され得る。
【0232】
本明細書に記載の方法で使用され得るステロイドの例としては、Deltison(登録商標)、Prednisolone EQL Pharma、及びPrednisolon Alternovaが挙げられる。
【0233】
特定の実施形態では、コルチコステロイドは、プレドニゾンである。特定の実施形態では、コルチコステロイドパルスは、メチルプレドニゾンである。ある実施形態では、コルチコステロイドの投与は、本明細書に記載のとおり変更することができる。いくつかの実施形態では、ステロイドは、抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与される前、間、または後に投与される。いくつかの実施形態では、ステロイドは、抗CD2抗体またはその抗原結合断片が対象に投与される前、間、または後に投与される。いくつかの実施形態では、ステロイドは、CTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与される前、間、または後に投与される。
【0234】
5.3.13 シクロスポリン
シクロスポリン(CyA)は、対象における免疫関連免疫障害または疾患を治療または予防するために含めることができる。シクロスポリン(CyA)は、レシピエントにおいて、免疫系を抑制し、移植片対宿主病の発症を阻害するために、術後治療レジメンに含めることができる。治療レジメンは、対象へのCyA投与の一定の過程後にテーパリング過程を含むことができる。ある実施形態では、シクロスポリンは、本明細書で提供される方法において、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)の代わりに使用することができる。いくつかの実施形態では、シクロスポリンは、カルシニューリン阻害剤で有害事象を経験した対象に使用され得る。特定の実施形態では、シクロスポリンは、タクロリムス関連有害事象を経験した対象に使用され得る。
【0235】
ある実施形態では、本明細書で提供される術後治療レジメンは、CyAを移植レシピエントに投与することを含む。ある実施形態では、CyAは、移植当日、移植手術1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、20日後、21日後、22日後、23日後、24日後、25日後、26日後、27日後、28日後、29日後、30日後、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、7ヶ月後、8ヶ月後、9ヶ月後、10ヶ月後、11ヶ月後、12ヶ月後、13ヶ月後、14ヶ月後、15ヶ月後、16ヶ月後、17ヶ月後、または18ヶ月後に投与され得る。
【0236】
ある実施形態では、単回用量のCyAを投与することができる。ある実施形態では、複数回用量のCyAを投与することができる。ある実施形態では、一定用量のCyAが投与され得る。ある実施形態では、テーパリング過程のCyAが投与され得る。ある実施形態では、一定用量のCyA後、テーパリング過程のCyAが投与され得る。
【0237】
ある実施形態では、CyAは、2mg/kg/日、2.5mg/kg/日、3mg/kg/日、3.5mg/kg/日、4mg/kg/日、4.5mg/kg/日、5mg/kg/日、5.5mg/kg/日、6mg/kg/日、6.5mg/kg/日、7mg/kg/日、7.5mg/kg/日、8mg/kg/日、8.5mg/kg/日、9mg/kg/日、9.5mg/kg/日、10mg/kg/日、10.5mg/kg/日、11mg/kg/日、11.5mg/kg/日、12mg/kg/日、12.5mg/kg/日、13mg/kg/日、13.5mg/kg/日、14mg/kg/日、14.5mg/kg/日、15mg/kg/日、15.5mg/kg/日、16mg/kg/日、16.5mg/kg/日、17mg/kg/日、17.5mg/kg/日、18mg/kg/日、2~6mg/kg/日、3~7mg/kg/日、4~8mg/kg/日、5~9mg/kg/日、6~10mg/kg/日、7~11mg/kg/日、8~12mg/kg/日、9~13mg/kg/日、10~14mg/kg/日、11~15mg/kg/日、12~16mg/kg/日、13~17mg/kg/日、または14~18mg/kg/日の用量で、対象に投与され得る。特定の実施形態では、CyAは、8mg/kg/日の用量で、対象に投与することができる。特定の実施形態では、CyAは、9mg/kg/日の用量で、対象に投与することができる。特定の実施形態では、CyAは、10mg/kg/日の用量で、対象に投与することができる。特定の実施形態では、CyAは、11mg/kg/日の用量で、対象に投与することができる。特定の実施形態では、CyAは、12mg/kg/日の用量で、対象に投与することができる。特定の実施形態では、CyAは、8~12mg/kg/日の用量範囲で、対象に投与することができる。
【0238】
ある実施形態では、CyAは、100~200ng/ml、125~225ng/ml、150~250ng/ml、175~275ng/ml、200~300ng/ml、225~325ng/ml、250~350ng/ml、275~375ng/ml、300~400ng/ml、325~425ng/ml、350~450ng/ml、375~475ng/ml、または400~500ng/mlの目標血中トラフ濃度を得るのに十分な用量で、対象に投与することができる。特定の実施形態では、目標血中トラフ濃度は、250~350ng/mlであり得る。
【0239】
ある実施形態では、CyAは、一定用量で、対象に投与することができる。一定用量が投与される期間は、(例えば、移植後)1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日であり得る。ある実施形態では、CyAは、中止するまでテーパリングされ得る。ある実施形態では、このテーパリング過程は、対象が免疫関連疾患または障害と診断された後、対象が抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤での治療を開始後、または臓器もしくは組織の移植後、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、13ヶ月、14ヶ月、15ヶ月、16ヶ月、17ヶ月、または18ヶ月にわたって行うことができる。
【0240】
ある実施形態では、CyAは、皮下、静脈内、血管内、局所、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、吸入による、経皮、腹腔内、または対象によるCyAの適切な作用を可能にする投与経路によるなど、当技術分野で知られている適当な方法で対象に投与することができる。特定の実施形態では、CyAは、経口投与され得る。特定の実施形態では、CyAは、静脈内投与され得る。
【0241】
ある実施形態では、CyAの代わりに代替化合物を使用することができる。これらの化合物としては、タクロリムス(Prograf(登録商標)、Adport(登録商標)、Advagraf(登録商標)、Envarsus(登録商標)、Modigraf(登録商標)、Astagraf(登録商標))、シロリムス、及びエベロリムスを挙げることができる。いくつかの実施形態では、シクロスポリンは、抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与される前、間、または後に投与される。いくつかの実施形態では、シクロスポリンは、抗CD2抗体またはその抗原結合断片が対象に投与される前、間、または後に投与される。いくつかの実施形態では、シクロスポリンは、CTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与される前、間、または後に投与される。
【0242】
代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法
【0243】
いくつかの態様では、本明細書で提供される治療方法は、標準治療の代謝拮抗療法を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、標準治療の代謝拮抗療法は、ミコフェノール酸である。ミコフェノール酸は、本明細書で使用される場合、対象において、免疫系を抑制し、移植片対宿主病の発症を阻害するために、本明細書で提供される治療方法に含めることができる。ミコフェノール酸の商品名としては、CellCept(登録商標)、ミコフェノール酸モフェチルAccord、ミコフェノール酸モフェチルSandoz、Myfenax、Myfortic、ミコフェノール酸モフェチルActavis、ミコフェノール酸Accord、ミコフェノール酸モフェチル2care4、ミコフェノール酸モフェチルEQL、ミコフェノール酸モフェチルオリファーム、及びMyfortic(登録商標)ミコフェノール酸を挙げることができる。治療レジメンは、対象へのミコフェノール酸の投与の一定の過程後にテーパリング過程を含むことができる。
【0244】
ある実施形態では、本明細書で提供される術後治療レジメンは、標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法を移植レシピエントに投与することを含む。特定の実施形態では、標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法が、移植された肝臓の再灌流24時間以内に最初にレシピエントに投与される。ある実施形態では、標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法は、移植当日、移植手術1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、20日後、21日後、22日後、23日後、24日後、25日後、26日後、27日後、28日後、29日後、30日後、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、7ヶ月後、8ヶ月後、9ヶ月後、10ヶ月後、11ヶ月後、12ヶ月後、13ヶ月後、14ヶ月後、15ヶ月後、16ヶ月後、17ヶ月後、または18ヶ月後に投与され得る。
【0245】
ある実施形態では、標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法の単回用量を投与することができる。ある実施形態では、標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法の複数回用量を投与することができる。ある実施形態では、一定用量の標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法を投与することができる。ある実施形態では、テーパリング過程の標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法を投与することができる。ある実施形態では、一定用量の標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法、その後テーパリング過程の標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法を投与することができる。ある実施形態では、標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法は、1日2回投与される。
【0246】
ある実施形態では、標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法を、1日総用量100mg/回、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、100~1000mg、200~1200mg、300~1300mg、400~1400mg、500~1500mg、600~1600mg、700~1700mg、800~1800mg、900~1900mg、1000~2000mg、1100~2100mg、1200~2200mg、1300~2300mg、1400~2400mg、または1500~2500mgで対象に投与することができる。1日総用量は、1、2、3、4回/日またはそれ以上の回数で投与され得る。特定の実施形態では、標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法が、500~1500mg/日の用量範囲で、1日2回対象に投与される。特定の実施形態では、標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法が、250~750mg/日の用量範囲で、1日2回対象に投与される。特定の実施形態では、myforticが、1日総用量約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、約1500mg、約1600mg、約1700mg、約1800mg、約1900mg、または約2000mgで、対象に投与される。特定の実施形態では、myforticは、1日総用量約1440mgで、対象に投与される。
【0247】
ある実施形態では、標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法を一定用量で、対象に投与することができる。一定用量が投与される期間は、対象が免疫関連疾患または障害と診断された後、対象が抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤での治療を開始後、または臓器もしくは組織の移植後、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日であり得る。ある実施形態では、標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法が対象に投与され、テーパリングして中止することができる。ある実施形態では、このテーパリング過程は、対象が免疫関連疾患または障害と診断された後、対象が抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤での治療を開始後、または臓器もしくは組織の移植後、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、または6ヶ月にわたって行うことができる。
【0248】
ある実施形態では、標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法は、皮下、静脈内、血管内、局所、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、吸入による、経皮、腹腔内、または対象による標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法の適切な作用を可能にする投与経路によるなど、当技術分野で知られている適当な方法で対象に投与することができる。特定の実施形態では、標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法は、経口投与され得る。特定の実施形態では、標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法は、静脈内投与され得る。ある実施形態では、標準治療の代謝拮抗剤(例えば、ミコフェノール酸)療法の投与は、本明細書に記載のように変更することができる。
【0249】
いくつかの実施形態では、代謝拮抗剤は、抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与される前、間、または後に投与される。いくつかの実施形態では、代謝拮抗剤は、抗CD2抗体またはその抗原結合断片が対象に投与される前、間、または後に投与される。いくつかの実施形態では、代謝拮抗剤は、CTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与される前、間、または後に投与される。
【0250】
5.3.14 mTOR阻害剤
ある実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象にmTOR阻害剤を投与することをさらに含む。理論に拘束されるものではないが、mTOR阻害剤を対象に投与して、T細胞及びB細胞の活性化を阻害し、対象における免疫関連障害または疾患を治療または予防する、例えば、移植拒絶反応を予防することができる。ある実施形態では、mTOR阻害剤は、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)と組み合わせて使用することができ、またはカルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)の代わりに使用することができる。特定の実施形態では、本明細書に提示される方法に記載されるmTOR阻害剤は、ラパマイシンまたはエベロリムスであり得る。いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤は、本明細書で提供される方法において、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス)の代わりに使用され得る。いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤は、カルシニューリン阻害剤で有害事象を経験した対象に使用され得る。特定の実施形態では、mTOR阻害剤は、タクロリムス関連有害事象を経験した対象に使用され得る。
【0251】
ある実施形態では、本明細書で提供される術後レジメンは、移植後にラパマイシンを移植レシピエントに投与することを含む。ある実施形態では、ラパマイシンは、1日1回投与される。ある実施形態では、ラパマイシンの投与は、対象が免疫関連疾患または障害と診断された後、対象が抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤での治療を開始後、または臓器もしくは組織の移植後に、移植直後、1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、20日後、21日後、22日後、23日後、24日後、25日後、26日後、27日後、28日後、29日後、または30日後に開始し得る。ある実施形態では、ラパマイシンは、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、または少なくとも12ヶ月の間投与される。ある実施形態では、ラパマイシンは、1日1回、2回、3回、4回、または5回の用量で投与される。
【0252】
ある実施形態では、ラパマイシンの初回用量は、負荷用量であり、その後の1日量より多くなり得る。ある実施形態では、初回用量は、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、1~4mg/kg、2~6mg/kg、4~8mg/kg、6~10mg/kg、または8~12mg/kgであり得る。ある実施形態では、1日量は、0.5mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、2mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、3.5mg/kg、4mg/kg、1~3mg/kg、または1.5~2.5mg/kgであり得る。特定の実施形態では、ラパマイシンは、初回用量6mg/kg、その後、1日量2mg/kgで投与される。特定の実施形態では、ラパマイシンは、経口投与される。
【0253】
ある実施形態では、ラパマイシンは、1~5ng/ml、2~10ng/ml、4~12ng/ml、6~14ng/ml、8~16ng/ml、10~18ng/ml、12~20ng/ml、14~22ng/ml、または16~24ng/mlの目標全血レベルを得るのに十分な用量で、対象に投与することができる。特定の実施形態では、目標全血レベルは、4~12ng/mlであり得る。
【0254】
ある実施形態では、ラパマイシンは、皮下、静脈内、血管内、局所、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、吸入による、経皮、腹腔内、またはラパマイシンの適切な作用が対象内で生じ得るようにする投与経路によるなど、当技術分野で知られている適当な方法で対象に投与することができる。特定の実施形態では、ラパマイシンは、経口投与される。
【0255】
ある実施形態では、mTOR阻害剤は、エベロリムスである。ある実施形態では、エベロリムスは、1日2回投与される。ある実施形態では、エベロリムスの投与は、対象が免疫関連疾患または障害と診断された後、対象が抗CD2抗体またはその抗原結合断片及びCTLA-4共刺激遮断剤での治療を開始後、または臓器もしくは組織の移植後に、移植直後、1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、20日後、21日後、22日後、23日後、24日後、25日後、26日後、27日後、28日後、29日後、または30日後に開始し得る。ある実施形態では、エベロリムスは、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、または少なくとも12ヶ月の間投与される。
【0256】
ある実施形態では、投与されるエベロリムスの用量範囲は、0.25mg/kg/回、0.5mg/kg/回、0.75mg/kg/回、1.0mg/kg/回、1.25mg/kg/回、1.5mg/kg/回、1.75mg/kg/回、2.0mg/kg/回、0.25~0.5mg/kg/回、0.5~0.75mg/kg/回、0.75~1.0mg/kg/回、1.0~1.25mg/kg/回、1.25~1.50mg/kg/回、1.50~1.75mg/kg/回、または1.75~2.0mg/kg/回であり得る。特定の実施形態では、エベロリムスは、0.75~1.0mg/kg/回の用量範囲で1日2回投与される。特定の実施形態では、エベロリムスは、経口投与される。
【0257】
ある実施形態では、エベロリムスは、0.1~5ng/ml、1~6ng/ml、2~7ng/ml、3~8ng/ml、4~9ng/ml、5~10ng/ml、6~11ng/ml、7~12ng/ml、または8~13ng/mlの目標全血レベルを得るのに十分な用量で、対象に投与することができる。特定の実施形態では、目標全血レベルは3~8ng/mlであり得る。
【0258】
ある実施形態では、mTOR阻害剤は、テムシロリムス、エベロリムス、シロリムス(ラパマイシン)、リダフォロリムス、非ラパマイシンアナログmTOR阻害化合物、例えば、これらに限定されないが、LY294002、ワートマニン、ケルセチン、ミリセンチン、スタウロスポリン、またはATP競合阻害剤であり得る。いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤は、抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与される前、間、または後に投与される。いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤は、抗CD2抗体またはその抗原結合断片が対象に投与される前、間、または後に投与される。いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤は、CTLA-4共刺激遮断剤が対象に投与される前、間、または後に投与される。
【0259】
5.4 医薬組成物
本明細書中で提供されるのは、薬学的有効量の本明細書に記載のCD2結合分子を含む医薬組成物である。薬学的有効量の本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤を含む医薬組成物もまた、本明細書において提供される。ある実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、皮下、静脈内、血管内、局所、関節内、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、吸入、腹腔内、骨内、気管内、舌下、頬側、直腸、皮内、髄腔内、骨髄内、または経皮投与経路のために製剤化され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子を含む組成物は、静脈内投与用に製剤化される。特定の実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子を含む組成物は、皮下投与用に製剤化される。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤を含む組成物は、静脈内投与用に製剤化される。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤を含む組成物は、皮下投与用に製剤化される。
【0260】
ある実施形態では、静脈内投与または皮下投与用に製剤化された組成物は、溶液、懸濁液、またはエマルジョンであり得る。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子は、本明細書に記載のCD2結合分子を薬学的に適切なビヒクルと組み合わせることにより、静脈内投与または皮下投与用に製剤化され得る。ある実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤は、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤を薬学的に適切なビヒクル組み合わせることにより、静脈内投与または皮下投与用に製剤化され得る。ある実施形態では、使用されるビヒクルは、これらに限定されないが、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、グリセロール、エタノール、1~10%のヒト血清アルブミン、5%デキストロース含有水、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール400、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、TWEEN80、TWEEN20、ポリオキシル-35ヒマシ油、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、カプリロカプロイルマクロゴール-8-グリセリド、大豆油、ポリオキシエチル化オレイン酸グリセリド、及び中鎖モノ及びジグリセリドであり得る。ある実施形態では、リポソーム及び固定油などの非水性ビヒクルも、本明細書に記載のCD2結合分子を投与するために使用することができる。ある実施形態では、リポソーム及び固定油などの非水性ビヒクルも、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合断片、及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤を投与するために使用することができる。
【0261】
ある実施形態では、ビヒクルは、等張性を維持する添加剤(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール)を含むことができる。ある実施形態では、ビヒクルは、化学的安定性を維持するために添加剤を含むことができる。これらの添加剤としては、これらに限定されないが、緩衝剤(例えば、マレイン酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、酢酸、炭酸水素ナトリウム、及びリン酸ナトリウム)、及び保存剤(例えば、洗浄剤、酸化剤、及びイオン系緩衝剤)を挙げることができる。得られた医薬製剤は、既知のまたは好適な技術によって滅菌される。
【0262】
ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子を含む組成物の静脈内投与は、ボーラス注射、緩徐な静脈内注射、または連続静脈内注入として投与することができる。ある実施形態では、本明細書に記載のCD2結合分子を含む組成物の皮下投与は、ボーラス注射として投与することができる。ある実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤を含む組成物の静脈内投与は、ボーラス注射、緩徐な静脈内注射、または連続静脈内注入として投与することができる。ある実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤を含む組成物の皮下投与は、ボーラス注射として投与することができる。
【0263】
5.5 キット
本発明で提供するのは、本明細書に記載されている医薬組成物が1つ以上の容器に入ったものを含むキットである。本明細書に提供されるのは、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤、またはその組成物、及び任意により本明細書に記載の別の活性剤を含むキットである。いくつかの実施形態では、キットは、1つ以上の容器に入っている本明細書に記載の医薬組成物を含む。いくつかの実施形態では、キットは、本開示の少なくとも1つの抗CD2抗体またはその抗原結合断片またはその組成物を含む。いくつかの実施形態では、キットは、本開示の1つ以上の抗CD2抗体またはその抗原結合断片またはその組成物を同じまたは異なる容器中に含む。いくつかの実施形態では、キットは、本開示の少なくとも1つのCTLA-4共刺激遮断剤を含む。いくつかの実施形態では、キットは、本開示の1つ以上のCTLA-4共刺激遮断剤またはその組成物を同じまたは異なる容器中に含む。いくつかの実施形態では、キットは、少なくとも1つの抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び少なくとも1つのCTLA-4共刺激遮断剤を同じまたは異なる容器中に含む。いくつかの実施形態では、キットは、抗CD2抗体もしくはその抗原結合断片のライブラリ及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤のライブラリを含む。いくつかの実施形態では、キットは、別の活性剤または別の免疫抑制剤を含む。いくつかの実施形態では、キットは、対照抗体及び/または参照抗体を含む。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の化合物及び/または組成物を作製及び/または合成するための試薬及び/または指示書をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、キットは、1つ以上の緩衝液も含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、別の薬剤(例えば、別の活性剤)または第3の薬剤(例えば、セクション5.3の薬剤)を同じまたは異なる容器中に含む。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤を含む容器は、単回投与または複数回投与のために提供される。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤は、複数回の用量、使用、または投与に十分な量で、キット内の容器中に存在する。いくつかの実施形態では、キットは、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤の投与に必要な他の構成要素を含む(例えば、キットは、シリンジ、カテーテル、カニューレ、ポンプ、または任意の注射デバイスを含む)。ある実施形態では、本キットは、本明細書に記載の医薬組成物を投与するのに使用できるデバイスを含み、そのデバイスとしては、これらに限定されないが、シリンジ、針なし注射器、点滴バッグ、灌流ポンプ、ポンプ、パッチ及び吸入器が挙げられる。いくつかの実施形態では、キットは、抗CD2抗体またはその抗原結合断片及び/またはCTLA-4共刺激遮断剤のうちの1つ以上を保持する容器と同じまたは別の容器中に、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、及び/または緩衝液を含む。
【0264】
キットの構成要素は、別々の容器中にあってよく、または単一の容器中に組み合わせてあってもよい。いくつかの実施形態では、キット構成要素は、水性媒体、粉末形態、結晶形態、または凍結乾燥形態のいずれかでパッケージングされ得る。その中に医薬組成物をパッケージングできる容器としては、これらに限定されないが、ボトル、袋、アンプル、チューブ、吸入器、バッグ、バイアル及び容器を挙げることができる。キットの容器手段は、バイアル、試験管、フラスコ、ボトル、針なし注射器、点滴バッグ、灌流ポンプ、ポンプ、パッチ、吸入器、アンプル、シリンジ、または他の容器手段のうちの少なくとも1つを含むことができ、この中に構成要素が配置され得る。いくつかの実施形態では、構成要素は、好適に等分される。2つ以上のキット構成要素がある場合、試薬及び対応するラベルを一緒にパッケージ化できる。いくつかの実施形態では、キットは、追加の構成要素を別々に配置させ得る第2、第3、または他の追加の容器を含む。いくつかの実施形態では、キットは、滅菌された薬学的に許容される緩衝液及び/または他の希釈剤を含むための第2の容器手段を含む。いくつかの実施形態では、構成要素の様々な組み合わせが、1つ以上のバイアル中に含まれる。いくつかの実施形態では、キットは、商業販売のための本開示の抗体及び/または化合物及び/または組成物を厳重に収容するための手段を含む。そのような容器としては、所望のバイアルが保持される射出成形またはブロー成形プラスチック容器を挙げることができる。
【0265】
いくつかの実施形態では、キット構成要素は、1つ及び/または複数の液体溶液中で提供される。いくつかの実施形態では、液体溶液は、水溶液または滅菌水溶液である。いくつかの実施形態では、キット構成要素は、乾燥粉末(複数可)として提供される。試薬及び/または構成要素は、乾燥粉末として提供される場合、そのような粉末は、好適な体積の溶媒を加えることによって再構成させ得る。いくつかの実施形態では、溶媒は、別の容器手段で提供される。いくつかの実施形態では、標識色素は、乾燥粉末として提供される。いくつかの実施形態では、標識色素は、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、600、700、800、900、1000マイクログラム、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、600、700、800、900、1000マイクログラム、または最大で約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、600、700、800、900、1000マイクログラムの量で提供される。いくつかの実施形態では、色素は、DMSOなどの任意の好適な溶媒に再懸濁することができる。
【0266】
いくつかの実施形態では、キットには、キットの構成要素を使用するための指示書が含まれている。いくつかの実施形態では、キットは、投薬量、投与、適用、保存条件、キット構成要素のうちの1つ以上を使用することによって治療または予防することができる疾患のリスト、及び/または構成要素の使用に関連する指示書を含む。いくつかの実施形態では、指示書は、好適な記録媒体に記録される。例えば、指示書は、基材、例えば、紙、タグ(例えば接着タグ)、またはプラスチックなどに印刷することができる。いくつかの実施形態では、指示書は、添付文書としてキット内に存在するか、またはキットの容器または構成要素に取り付けられたラベル上に存在する。いくつかの実施形態では、指示書は、好適なコンピュータ可読記憶媒体、例えば、CD-ROM、ディスケット、USB記憶デバイス、またはフラッシュドライブ上に存在する電子記憶データファイルとして提供される。いくつかの実施形態では、指示書は、キット中に存在しないが、例えばインターネットを介してリモートソースに存在する。
【0267】
5.6 結果評価
本明細書に記載の方法の結果を評価する例示的な方法は、以下のセクションError!Reference source not found.に記載されている。
【0268】
ある実施形態では、本明細書に記載の治療方法の有効性は、生体試料中の細胞増殖、T細胞活性化、CD2レベル、及び/または同種免疫応答によって評価できる。ある実施形態では、本明細書に記載の治療方法の有効性は、当業者に知られている任意の好適なアッセイまたは方法によって、例えば、in vitroヒトT細胞増殖アッセイまたは混合リンパ球反応(MLR)アッセイを使用することによって、評価することができる。
【0269】
ある実施形態では、本明細書に記載の治療方法の有効性は、移植された移植片(例えば、肝臓または腎臓)の生存を決定することによって評価することができる。ある実施形態では、移植された移植片(例えば、肝臓または腎臓)の生検を実施して、移植された臓器(例えば、肝臓または腎臓)の健康状態を検査し、寛容の誘導または移植片拒絶反応のエビデンスを決定することができる。組織生検は、通常の光学顕微鏡、免疫蛍光、及び電子顕微鏡を使用して調べることができる。
【0270】
ある実施形態では、本明細書に記載の治療方法の有効性は、レシピエントにおいて、治療された生検片で証明された急性拒絶反応(tBPAR)を検出することによって決定することができる。特定の実施形態では、移植の10ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、20ヶ月、25ヶ月、30ヶ月、35ヶ月、40ヶ月、45ヶ月、50ヶ月、55ヶ月、または60ヶ月後に、レシピエントにおいてtBPARは検出されない。
【0271】
ある実施形態では、移植手術の結果の評価は、レシピエントにおける移植された臓器(例えば、肝臓または腎臓)の機能を監視することを含むことができる。例えば、本明細書に記載の治療方法の有効性は、移植の1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7.5ヶ月、9ヶ月、10.5ヶ月、12ヶ月、13.5ヶ月、15ヶ月、16.5ヶ月、18ヶ月、19.5ヶ月、21ヶ月、22.5ヶ月、24ヶ月、27ヶ月、30ヶ月、36ヶ月、42ヶ月、48ヶ月、もしくは54ヶ月後、または移植の1~5ヶ月、5~10ヶ月、10~15ヶ月、15~20ヶ月、20~25ヶ月、25~30ヶ月、30~35ヶ月、35~40ヶ月、40~45ヶ月、45~50ヶ月、50~55ヶ月、もしくは55~60ヶ月後に臓器機能を測定することによって評価することができる。肝機能は、例えば、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アルカリホスファターゼ(ALP)、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、血清ビリルビン、プロトロンビン時間(PT)、国際正規化比率(INR)及び/またはアルブミンの測定など、肝機能試験を実施することによって決定され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、移植後、少なくとも10ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも25ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも35ヶ月、少なくとも40ヶ月、少なくとも45ヶ月、少なくとも50ヶ月、少なくとも55ヶ月、または少なくとも60ヶ月の間、正常な臓器機能(臓器機能検査によって決定される)を有するレシピエントとなる。特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、臓器移植後の標準治療を受けている患者と比較して、移植後、少なくとも10ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも25ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも35ヶ月、少なくとも40ヶ月、少なくとも45ヶ月、少なくとも50ヶ月、少なくとも55ヶ月、または少なくとも60ヶ月の間、より良好な臓器機能(臓器機能検査によって決定される)を有するレシピエントとなる。
【0272】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、移植後、少なくとも10ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも25ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも35ヶ月、少なくとも40ヶ月、少なくとも45ヶ月、少なくとも50ヶ月、少なくとも55ヶ月、または少なくとも60ヶ月の間、ALT値5~60U/L、7~55U/L、10~55U/L、15~50U/L、20~40U/Lまたは25~35U/Lを有するレシピエントとなる。
【0273】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、移植後、少なくとも10ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも25ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも35ヶ月、少なくとも40ヶ月、少なくとも45ヶ月、少なくとも50ヶ月、少なくとも55ヶ月、または少なくとも60ヶ月の間、AST値5~50U/L、8~48U/L、10~45U/L、15~40U/L、または20~30U/Lを有するレシピエントとなる。
【0274】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、移植後、少なくとも10ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも25ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも35ヶ月、少なくとも40ヶ月、少なくとも45ヶ月、少なくとも50ヶ月、少なくとも55ヶ月、または少なくとも60ヶ月の間、ALP値30~150U/L、40~129U/L、50~120U/L、60~110U/L、70~100U/L、または80~90U/Lを有するレシピエントとなる。
【0275】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、移植後、少なくとも10ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも25ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも35ヶ月、少なくとも40ヶ月、少なくとも45ヶ月、少なくとも50ヶ月、少なくとも55ヶ月、または少なくとも60ヶ月の間、GGT値5~70U/L、8~61U/L、10~50U/L、15~45U/L、20~40U/L、または25~35U/Lを有するレシピエントとなる。
【0276】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、移植後、少なくとも10ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも25ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも35ヶ月、少なくとも40ヶ月、少なくとも45ヶ月、少なくとも50ヶ月、少なくとも55ヶ月、または少なくとも60ヶ月の間、血清ビリルビン値0.05~2mg/dL、0.1~1.5mg/dL、0.1~1.2mg/dL、0.5~1mg/dLまたは0.7~1mg/dLを有するレシピエントとなる。
【0277】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、移植後、少なくとも10ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも25ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも35ヶ月、少なくとも40ヶ月、少なくとも45ヶ月、少なくとも50ヶ月、少なくとも55ヶ月、または少なくとも60ヶ月の間、7~15秒、8~14秒、9~13秒、9.4~12.5秒、または10~12秒のPTを有するレシピエントとなる。
【0278】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、移植後、少なくとも10ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも25ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも35ヶ月、少なくとも40ヶ月、少なくとも45ヶ月、少なくとも50ヶ月、少なくとも55ヶ月、または少なくとも60ヶ月の間、アルブミン値2~6g/dL、2.5~5.5g/dL、3~5g/Dl、3.5~5g/dL、または4~4.5g/dLを有するレシピエントとなる。
【0279】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、移植後、少なくとも10ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも25ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも35ヶ月、少なくとも40ヶ月、少なくとも45ヶ月、少なくとも50ヶ月、少なくとも55ヶ月、または少なくとも60ヶ月の間、INR1~3、1.5~2.5、1.5~2または1.1以下を有するレシピエントとなる。
【0280】
例えば、本明細書に記載の治療方法の有効性は、移植後10ヶ月、15ヶ月、20ヶ月、25ヶ月、30ヶ月、35ヶ月、40ヶ月、45ヶ月、50ヶ月、55ヶ月、または60ヶ月の時点で腎機能を測定することによって評価され得る。腎機能は、例えば、血清クレアチニン及び/または糸球体濾過率を測定することによって決定され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、正常な腎機能(血清クレアチニン及び/または糸球体濾過率(GFR)によって決定される)を有するレシピエントとなり得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、肝移植後の標準治療を受けている患者と比較して、より良好な腎機能(血清クレアチニン及び/または糸球体濾過率によって決定される)を有するレシピエントとなり得る。
【0281】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、移植後、少なくとも10ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも25ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも35ヶ月、少なくとも40ヶ月、少なくとも45ヶ月、少なくとも50ヶ月、少なくとも55ヶ月、または少なくとも60ヶ月の間、血清クレアチニン値0.5~1.5mg/mL、0.6~1.4mg/mL、0.7~1.3mg/mL、0.8~1.2mg/mL、または0.9~1.1mg/mLを有するレシピエントとなる。
【0282】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、移植後、少なくとも10ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも25ヶ月、少なくとも30ヶ月、少なくとも35ヶ月、少なくとも40ヶ月、少なくとも45ヶ月、少なくとも50ヶ月、少なくとも55ヶ月、または少なくとも60ヶ月の間、GFR40~90、45~85、50~80、55~75、60~70、または90超を有するレシピエントとなる。
【0283】
ある実施形態では、移植手術の転帰の他の評価は、感染の発生、日和見感染の発生、任意の治療関連有害事象の発症、及び患者の移植後の生活の質を監視することを含み得る。ある実施形態では、本明細書に記載の治療方法の有効性は、免疫抑制療法に対するレシピエントの要件によって決定され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、移植後10ヶ月、15ヶ月、20ヶ月、25ヶ月、30ヶ月、35ヶ月、40ヶ月、45ヶ月、50ヶ月、55ヶ月、または60ヶ月以内に免疫抑制療法の要件が不要となる。
【0284】
ある実施形態では、ELISAによって決定することができるレシピエントの血清中の循環ドナー特異的抗体(DSA)の存在など、移植拒絶反応を予測するバイオマーカーを検出するために、機能アッセイを使用することができる。ある実施形態では、循環リンパ球に対するフローサイトメトリー分析を実施して、レシピエントの免疫系再構成の状態を決定することができる。ある実施形態では、レシピエントの末梢血単核細胞の混合リンパ球反応(MLR)を実施して、ドナー細胞に対するレシピエントの細胞の応答を評価し、移植手術後に応答が変化するかを評価することができる。
【0285】
ある実施形態では、機能アッセイを使用して、移植臓器(例えば、肝臓または腎臓)に対する寛容の誘導が達成されたか否かを判定することができる。これらのアッセイには、制御性T細胞の存在の指標として、FoxP3+T細胞:CD4+T細胞比を決定するためのフローサイトメトリー分析を含めることができる。
【0286】
5.7 均等物及び参照による援用
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。機能的に均等である変形は本発明の範囲内であることが理解されよう。実際、本明細書に示され、記載される修正に加えて、本発明の種々の修正が前述の説明及び添付の図面から当業者に明らかとなるであろう。そのような修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。当業者は、日常的な実験を使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または確認することができるであろう。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。この本明細書に記述される全ての刊行物、特許及び特許出願は、各個別の刊行物、特許、または特許出願が、明確かつ個別に参照によりその全体が組み込まれることが示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0287】
6.実施例
6.1 方法
6.1.1 FcγRI、II、及びIIIの親和性に関するレポーターアッセイ:
Fcγ受容体(FcγR)の親和性を決定するために、RT-CD2及びRH-CD2の6倍段階希釈液を、ヒトFcγRI、FcγRIIA-HまたはFcγRIIIA-V、及びルシフェラーゼレポーター遺伝子(Promega)で安定にトランスフェクトしたレポーター細胞とインキュベートした。ルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現は、レポーター細胞がそれぞれのFcγRを有する標的結合IgG抗体のFc断片に結合した場合にトリガーされた。レポーター細胞は、ヒトJurkat CD2+急性T細胞白血病細胞株由来であった。抗体は、レポーター細胞に対する親和性を有するため、アッセイ中で、標的及びレポーターとして作用し得る。シプリズマブ、CD2結合分子1、シプリズマブFc断片またはFab断片を0.0001~10μg/mLのいくつかの濃度で添加した。シプリズマブFabまたはFc断片は、製造業者の指示に従ってFragITキット(Genovis)を使用して得て、それらを全IgG同等物として添加した。37℃及び5%CO2で23時間インキュベート後、Bio-Gloルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega)を添加し、室温で10~15分のインキュベーション後に発光を測定し、Synergy HTX Multi-modeプレートリーダー(BioTek)を使用して遮光した。発光値は、最も高い濃度の陽性対照で得られた発光シグナルに対して正規化した。各実施には、各抗体の3連段階希釈を含めた。
【0288】
6.1.2 フローサイトメトリーに基づく補体活性化アッセイ:
補体依存性細胞溶解(CDC)の評価のために、Ficoll密度勾配遠心法により単離されたPBMCを、シプリズマブまたはCD2結合分子を含む10%超低IgGFBS(Gibco)を含むPBSの10倍段階希釈液と、室温で振盪しながらインキュベートした。その後、等量の再構成ウサギ補体(InnoTrain)を添加し、振盪しながら室温で60分間インキュベートした。PBMCをPBSで洗浄し、7-AAD(Life Technologies)、抗CD56 BV421(BD、クローンNCAM16.2)、抗CD89 PE(Miltenyi、クローンREA234)、抗CD3 APC及び抗CD19 APC-H7(BD;クローンSJ25C1)で染色した。サンプルを氷上でインキュベートし、FACSVerseフローサイトメーター(BD Biosciences)を使用して、サンプルを取得するまで遮光した。FlowJoソフトウェア(FlowJo LLC,Ashland)及びGraphPad Prism 8(GraphPad Software)をサンプル処理及びデータ分析のために使用した。
【0289】
6.1.3 混合リンパ球反応(MLR):
末梢血単核細胞(PBMC)は、バフィーコートからFicoll(登録商標)Paque Plus(GE Healthcare)密度勾配遠心分離によって単離した。バフィーコートは、Uppsala University Hospital血液バンクを通じて健康なドナーから得て、PBMC単離は、採血の24時間以内に行った。
【0290】
2名のドナーからのPBMCをPBS中濃度1.5*107細胞/mLで混合し、製造業者の指示に従って、violet proliferation dye 450(VPD450;BD Biosciences)で染色した。その後、染色されたPBMCを洗浄し、10%熱不活化ウシ胎児血清(FBS)を含むRPMI-1640(ATCC改変;Gibco)に再懸濁し、ストレプトマイシン及びペニシリンそれぞれ50IU/mLを補充した。再懸濁したPBMCを丸底96ウェル組織培養液に分注し、純粋な培地(未処理対照)、シプリズマブ、CD2結合分子1、またはシプリズマブFab断片(0.01~50μg/mL)(細胞培養培地で希釈)を最終濃度2*106細胞/mLまで添加した(最終体積200μL;各条件につき4連)。次に、PBMC培養物を37℃、5%O295%CO2で最大7日間インキュベートした。NK細胞実験では、濃度10μg/mLを使用した。活性化、増殖及び免疫調節については、濃度0.01、0.1、1、10、及び50μg/mLを使用した。
【0291】
6.1.4 NK細胞の分析:
NK細胞活性化の分析を目的としたサンプルは、抗CD16 FITC(クローン3G8)、抗CD56 PE(Miltenyi;クローンREA196)、抗CD3 PerCP-Cy5.5(クローンSP34-2)、抗CD69 APC(クローンFN50)及び抗CD14 APC-H7(クローンMφP-9)で染色した。
【0292】
サンプルは、4℃で30分間遮光して染色した。特に明記していない限り、すべての抗体は、BD Biosciencesから購入した。染色後、3レーザーセットアップ(405nm、488nm、640nm)のFACSVerseフローサイトメーター(BD Biosciences)を使用して、サンプルを得た。サンプルは、ベースライン(0日目)及び1、2、4日目にフローサイトメトリーによって表現型を決定した。細胞増殖は、VPD450(VPD450high:非増殖;VPD450low:増殖)を使用して評価した。NK細胞は、CD3-CD14-CD56+及び/またはCD16+リンパ球として同定した。FlowJo(登録商標)ソフトウェア(FlowJo LLC、Ashland)を使用して、取得後編集及びデータ分析を実施した。
【0293】
6.1.5 活性化、増殖、及び免疫調節の分析:
PBMCの単離及び双方向MLRのセットアップは、上記に詳述のとおり実施した。採取は、7日後に行った。細胞は、抗CD4 FITC、抗CD127 PerCP-Cy5.5及び抗CD25 PEで表面染色し、次いで、抗FoxP3 Alexa 647(クローン236A/E7)で染色するために、製造業者の指示に従って、FoxP3染色キット(BD Biosciences)を使用して、固定し、透過処理した。細胞増殖は、VDP450(VDP450high:非増殖;VPD450low:増殖)を使用して評価した。制御性T細胞(Treg)は、CD4+、CD127low、CD25high及びFoxP3+として同定した。活性化された細胞は、CD4+及びCD25highとして同定した。FlowJo(登録商標)ソフトウェア(FlowJo LLC、Ashland)を使用して、取得後編集及びデータ分析を実施した。
【0294】
6.1.6 Fcサイレント抗CD2抗体の生成
シプリズマブ(ヒト化抗CD2 IgG1κ)は、治験薬であり、製造業者(ITB-Med,Stockholm,Sweden)から提供された。CD2結合分子1(脱グリコシル化CD2結合分子)は、製造業者の指示に従って(Genovis AB,Lund,Sweden)、GlycINATOR(登録商標)(EndoS2;Genovis #A0-GL1-020)を使用して産生した。
【0295】
Fcサイレント(FcS)抗CD2 mAbは、シプリズマブまたは標準IgG2/IgG4フレームワークの配列へのアミノ酸置換の導入によって生成した。すべてのFcサイレント抗体は、同一の軽鎖及び相補性決定領域を有し、Wuxi Biologics Limited(Wuxi,China)によって産生された。各抗体の遺伝子配列をプラスミドにクローニング後、チャイニーズハムスター卵巣(CHO-K1)細胞での一時的なトランスフェクション及び産生を行った。抗CD2 mAbは、プロテインA及びIEX/SECカラムを使用して、少なくとも95%の純度及び1EU/mg未満のエンドトキシンレベルまで精製した。Fcサイレントシプリズマブ(CD2結合分子2;FcS抗CD2 IgG1)は、一般的に知られているLALA-PG変異をシプリズマブ中の同等の部位に導入することによって生成した(Arduin et al.2017,Lo et al.2017)。FcS抗CD2 IgG2(CD2結合分子3)は、次の変異を標準的IgG2フレームワーク中の同等の部位に導入することによって生成した:V234A、G237A、P238S、H268A、V309L、A330S、P331S(Wang et al.2018)。FcS抗CD2 IgG4(CD2結合分子4)は、次の変異を標準的なIgG4フレームワークの同等の部位に導入することによって生成した:S228P、L235E、P329G(Silva et al.2015,Schlothauer et al.2016)。
【0296】
6.1.7 表面プラズモン共鳴(SPR)CD2結合
相互作用実験は、Biacore T200装置(Cytiva Life Sciences/Biacore,Uppsala,Sweden)を使用して実施した。IgGは、pH7.4の10mM HEPESバッファー、150mM NaCl、0.5mM EDTA、0.05%Tween20ランニングバッファーを用いて、標準的なアミンカップリング及びCM5バイオセンサーチップ(Cytiva Life Sciences/Biacore,Uppsala,Sweden)を用いて、200~1300RUの表面密度に固定化した。各抗体は、少なくとも2回固定化した。
【0297】
すべての相互作用実験は、25℃で実施した。組換え短縮型ヒトCD2(Sino Biological,Beijing,China)を2倍希釈系列で希釈し、最高濃度を5nMとし、固定化IgGに180秒間注入した。15分間の解離後、10mMグリシンpH1.7を30秒間注入してセンサーチップを再生成した。データ分析の前に、参照表面及びブランク注入からのセンサーグラムを生データから差し引いた。T200評価ソフトウェアv3.0(Cytiva Life Sciences/Biacore,Uppsala,Sweden)を使用して、2状態(誘導適合)相互作用モデルをデータに適合させ、速度定数及び親和性を決定した。
【0298】
6.1.8 SPR FcγR結合
組換え短縮型ヒトCD2(Sino Biological,Beijing,China)は、CM5バイオセンサーチップ(Cytiva Life Sciences/Biacore,Uppsala,Sweden)へのアミンカップリングによって共有結合により固定化した。IgGは、アミン連結CD2に捕捉させた。すべての実験は、Biacore T200(商標)装置(Cytiva Life Sciences/Biacore,Uppsala,Sweden)を使用して25℃で実施した。化合物相互作用の特性評価は、150mM NaCl、0.5mM EDTA、0.05%Tween20を含む、pH7.4の10mM HEPESバッファーで行った。Fcγ受容体(R&D systems,Minneapolis USA)を、CD2捕捉IgGに対して0.5μMまでの一連の濃度で、複数サイクルまたは単サイクル実験で120秒間注入した。FcγRIIAのR131アイソフォーム及びFcγRIIIAのV176アイソフォームをすべての実験に使用した。CD2表面は、50mM NaOHを120秒間注入することによって再生した。センサーグラムは、グローバル分析の前に、1:1相互作用モデルまたは異種結合モデルを使用して、二重参照させた(参照表面、ブランク)。高速解離を伴う弱い相互作用の場合、親和性は、ラングミュア等温線及び線形項(非特異的相互作用を補償する)の和を使用した定常状態分析によって決定した。動力学的パラメーターは、2~3回の反復実験シリーズに基づく平均値として決定した。
【0299】
6.1.9 細胞ベースのFcγRシグナル伝達アッセイ
それぞれFcγRI、FcγRIIAまたはFcγRIIIAでトランスフェクトされたJurkatレポーター細胞系(Promega Corp.,Madison,Wisonsin USA)を、各抗体剤の段階希釈と共に23時間インキュベートした。それぞれのFcγRを介した標的結合抗体の結合は、レポーター細胞中でのルシフェラーゼの発現を誘導した。ルシフェラーゼ発現は、ルシフェラーゼアッセイ基質(Promega Corp.,Madison,Wisonsin USA)を添加して、37℃、5%CO2で23時間インキュベーション後、Synergy HTXマルチプレートリーダー(BioTek,Winooski,Vermont USA)を使用した発光測定により検出した。
【0300】
6.1.10 末梢血単核細胞の単離
末梢血単核細胞(PBMC)は、Ficoll(登録商標)Paque Plus(Cytiva Life Sciences,Uppsala,Sweden)密度勾配遠心分離によってバフィーコートから単離した。バフィーコートは、Uppsala University Hospital血液バンク(Uppsala,Sweden)及びKarolinska University Hospital血液バンク(Stockholm,Sweden)を通じて、健康なドナーから得られ、PBMC単離は、採血の24時間以内に行った。
【0301】
6.1.11 CD2発現解析
休止PBMCを染色し、標的抗原発現について分析した。その後、自家培養中PBMCは、CD28/CD3ビーズ(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany;ビーズ対細胞比5:1)により、48時間活性化させ、10%熱不活化ウシ胎児血清(FBS;Gibco,Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)を含むRPMI-1640 ATCC Mod.(50U/mLストレプトマイシン及びペニシリン(Gibco,Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)を補充)中で培養し、標的抗原の発現を調査した。
【0302】
PBMCを生理食塩水で2回洗浄した。サンプルをFc受容体結合阻害剤(Invitrogen;Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)と共にインキュベートし、FBS染色バッファー(BD BioSciences,San Diego,USA)で2回洗浄後、10μg/mLシプリズマブと共に20分間インキュベートした。二次抗ヒトIgG Fc BV421(Biolegend,San Diego,USA;クローンHP6017)で染色する前に、非結合抗体を除去した。非結合二次抗体は、T細胞亜集団、制御性T細胞、またはB細胞及びNK細胞の表面染色前に除去させた。以下に列挙しているすべての抗体は、特に明記のない限り、BD Biosciences(San Diego,USA)から購入した。
【0303】
T細胞亜集団分布の分析に使用するためのサンプルは、抗CD3 PerCP(クローンSK7);抗CD4 FITC(クローンSK3)及び抗CD8 PE(クローンSK1)、抗CCR7 Alexa647(クローン3D12)及び抗CD45RA APC-H7(クローンHI100)(ナイーブT細胞:CCR7+CD45RA+;セントラルメモリーT細胞:CCR7+CD45RA-;エフェクターメモリーT細胞:CCR7-CD45RA-;終末分化型エフェクターメモリーT細胞(Temra):CCR7-CD45RA+)で染色した。Tregを分析したサンプルは、抗CD4 FITC(クローンRPA-T4)、抗CD25 PE(クローンM-A251)、抗CD45RA APC-H7(クローンHI100)、抗CD127 PerCP-Cy5.5(クローンHIL-7R-M21)及び抗FoxP3 Alexa647(クローン259D/C7)で染色した。それらは、供給業者のプロトコールに従って、BD Human FoxP3 Buffer Set(BD BioSciences,San Diego,USA)を使用して、透過処理した。Tregは、CD4+CD127-CD25+FoxP3+として同定した。
【0304】
NK/B細胞パネルは、抗CD16 FITC(クローン3G8)、抗CD56 PE(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany;クローンREA196)、抗CD3 APC(クローンSK7)、抗CD14 APC-H7(クローンM5E2)、及び抗CD20 PerCP(クローンSJ25C1)から構成された。サンプルは、4℃の暗所で染色し、FACSVerseフローサイトメーター(BD Biosciences,San Diego,USA)を使用して捕捉した。FlowJo(登録商標)10.5.3ソフトウェア(FlowJo LLC、Ashland,USA)を使用して、取得後編集及びデータ分析を実施した。
【0305】
6.1.12 FcγR発現解析
NK細胞は、製造業者の指示に従って、NK細胞単離キット(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany)を使用して、磁気ビーズネガティブセレクションによって単離した。NK細胞の一画分を生理食塩水で2回洗浄し、抗CD56 BV421(クローンNACM16.2)、抗CD3 VioGreen(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany;クローンREA613)、抗CD16 FITC(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany;クローンREA423)、抗CD32 PE(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany;クローンREA997)及び抗CD64 APC(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany;クローンREA978)で染色した。サンプルは、4℃の暗所で染色し、FACSCelestaフローサイトメーター(BD Biosciences,San Diego,USA)を使用して捕捉した。FlowJo(登録商標)10.6.2ソフトウェア(FlowJo LLC、Ashland,USA)を使用して、取得後編集及びデータ分析を実施した。NK細胞は、CD3-CD56+及び/またはCD16+リンパ球と定義した。
【0306】
6.1.13 自己リンパ球培養(ALC)及び混合リンパ球反応(MLR)
シプリズマブ及びCD2結合分子1(脱グリコシル化CD2結合分子)の存在下で、経時的なNK細胞活性化を分析するために、別の実験用に、各ドナーからの等量のPBMCをviolet proliferation dye 450(BD Biosciences,San Diego,USA;VPD450)で染色した。細胞を、10%熱不活化FBS(Gibco,Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)を含むRPMI-1640 ATCC Mod.(50U/mLストレプトマイシン及びペニシリン(Gibco,Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)をそれぞれ補充)に再懸濁した。再懸濁PBMCを丸底96ウェル細胞培養プレートに分注し、純粋な培地(抗体なしの対照)または細胞培養培地で希釈したそれぞれの抗体剤のうちの1つ(10μg/mL)を最終濃度2x106細胞/mL(最終体積200μL)まで添加した。次に、ALC及びMLRを37℃、5%CO2で、それぞれ1日間、2日間、4日間、及び7日間インキュベートした。各日、細胞を生理食塩水で2回洗浄し、Fc受容体結合阻害剤(Invitrogen;Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)とインキュベート後、抗CD16 FITC(クローン3G8)、抗CD56 PE(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany;クローンREA196)、抗CD3 PerCP-Cy5.5(クローンSP34-2)、抗CD69 APC(クローンFN50)、及び抗CD14 APC-H7(クローンMφP-9)で染色した。NK細胞は、CD3-CD14-CD56+及び/またはCD16+リンパ球として同定した。すべてのフローサイトメトリー抗体は、特に明記のない限り、BD Biosciences(San Diego,USA)から購入した。サンプルは、4℃の暗所で染色し、FACSVerseフローサイトメーター(BD Biosciences,SanDiego,USA)を使用して捕捉した。FlowJo(登録商標)10.5.3ソフトウェア(FlowJo LLC、Ashland,USA)を使用して、取得後編集及びデータ分析を実施した。
【0307】
異なる抗CD2バリアントの存在下での7日後のNK細胞活性化の分析のために、各ドナーからの等量のPBMCを別の実験のためにVPD450で染色した。細胞は、10%熱不活化FBS(Gibco,Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)を含むAIM-V培地(50μg/mL硫酸ストレプトマイシン及び10μg/mL硫酸ゲンタマイシン(Gibco,Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham)をそれぞれ補充)に再懸濁した。再懸濁PBMCを丸底96ウェル細胞培養プレートに分注し、純粋な培地(抗体なしの対照)または細胞培養培地で希釈したそれぞれの抗体剤のうちの1つ(10~0.0001μg/mL)を最終濃度2x106細胞/mL(最終体積200μL)まで添加した。次に、MLRを、37℃、5%CO2で、それぞれ7日間インキュベートした。新鮮な培養液(100μL)を、5日目に各ウェルに追加した。7日目に、細胞を生理食塩水で2回洗浄し、Fc受容体結合阻害剤(Invitrogen;Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)とインキュベート後、抗CD3 VioGreen(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany;クローンREA613)、抗CD45RA BV650(クローンHI100)、抗CD69 BV786(クローンFN50)、抗CD8 BB550(クローンRPA-T8)、抗CD56 PE(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany;クローンREA196)、抗CD2 PE-CF594(クローンRPA-2.10;注:このクローンは、シプリズマブとは異なるCD2エピトープに結合する)、抗CCR7APC(BioLegend,San Diego,USA;クローンG043H7)、及び抗CD4 APC-Vio770(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany;クローンREA623)で染色した。NK細胞は、CD3-CD56+リンパ球として同定した。残りの色は、別の実験のために使用した。すべてのフローサイトメトリー抗体は、特に明記のない限り、BD Biosciences(San Diego,USA)から購入した。サンプルは、4℃の暗所で染色し、FACSCelestaフローサイトメーター(BD Biosciences,San Diego,USA)を使用して捕捉した。FlowJo(登録商標)10.6.2ソフトウェア(FlowJo LLC、Ashland,USA)を使用して、取得後編集及びデータ分析を実施した。
【0308】
6.1.14 NKフラトリサイド
NK細胞は、NK細胞単離キット(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany)を使用して、MACSネガティブセレクションにより、PBMCから単離した。NK細胞は、10%熱不活化FBS(Gibco,Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)を含むAIM-V培地(50μg/mL硫酸ストレプトマイシン及び10μg/mL硫酸ゲンタマイシン(Gibco,Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham)、ならびに500IU/mLヒトIL-2(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany)を補充)に再懸濁し、収量に応じて、最終密度1.25x106~2.0x106NK細胞/mLで、丸底96ウェル細胞培養プレートに分注させた。さらに、純粋な培地(抗体なしの対照)または細胞培養培地で希釈したそれぞれの抗体剤のうちの1つ(最終濃度10~0.001μg/mL)を添加し、その後、37℃、5%CO2で一晩インキュベートした。その後、NK細胞を生理食塩水で洗浄し、Fc受容体結合阻害剤(Invitrogen;Thermo Fisher Scientific Inc.、Waltham、USA)とインキュベートし、抗CD3 VioGreen(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany;クローンREA613)、抗CD107a BV786(BioLegend,San Diego,USA;クローンH4A3)、抗CD16 FITC(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany;クローンREA423)、抗CD56 PE(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany;クローンREA196)、7-AAD(Invitrogen;Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)及び抗CD69 APC(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany;クローンREA824)で染色した。NK細胞は、CD3-CD56+及び/またはCD16+リンパ球として同定した。サンプルは、4℃の暗所で染色し、FACSCelestaフローサイトメーター(BD Biosciences,San Diego,USA)を使用して捕捉した。FlowJo(登録商標)10.6.2ソフトウェア(FlowJo LLC、Ashland,USA)を使用して、取得後編集及びデータ分析を実施した。
【0309】
6.1.15 自然細胞傷害性アッセイ
NK細胞は、NK細胞単離キット(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany)を使用して、MACSネガティブセレクションにより、PBMCから単離した。短時間のプレインキュベーションでの実施では、NK細胞を10%熱不活化FBS(Gibco,Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)を含むAIM-V培地(50μg/mL硫酸ストレプトマイシン及び10μg/mL硫酸ゲンタマイシン(Gibco,Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham)を補充)に再懸濁し、丸底96ウェル細胞培養プレートに分注し、その後37℃、5%CO2で、一晩休止させた。次に、純粋な培地(抗体なしの対照)または細胞培養培地で希釈したそれぞれの抗体剤のうちの1つ(最終濃度10~0.001μg/mL)を添加し、その後37℃、5%CO2で30分間インキュベートし、その後、HLAクラスI陰性標的細胞(SPI-801、DSMZ Cat.ACC86、MACS単離の収量に応じて、NK細胞対標的細胞の比率1:1~1:2)を添加した。標的細胞の添加後、37℃、5%CO2で2時間インキュベーションし、その後NKフラトリサイドのセクションに記載のとおりフローサイトメトリー染色した。
【0310】
NK細胞と抗体とのプレインキュベーションを実施するために、NK細胞は、10%熱不活化FBS(Gibco,Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)を含むAIM-V培地(50μg/mL
硫酸ストレプトマイシン及び10μg/mL硫酸ゲンタマイシン(Gibco,Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham)、ならびに500IU/mLヒトIL-2(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany)を補充)に再懸濁した。さらに、純粋な培地(抗体なしの対照)または細胞培養培地で希釈したそれぞれの抗体剤のうちの1つ(最終濃度10~0.001μg/mL)を添加し、その後、37℃、5%CO2で2日間インキュベートした。2日目に、HLAクラスI陰性標的細胞(SPI-801;MACS分離の収量に応じて、NK細胞と標的細胞の比率1:1~1:2)、その後37℃、5%CO2で2時間インキュベートし、その後NKフラトリサイドのセクションに記載のとおりフローサイトメトリー染色した。
【0311】
6.1.16 リツキシマブ誘導ADCCアッセイ
NK細胞は、NK細胞単離キット(Miltenyi、Bergisch Gladbach、Germany)を使用して、MACSネガティブセレクションによりPBMCから単離し、10%熱不活化FBS(Gibco,Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)を含むAIM-V培地(50μg/mL硫酸ストレプトマイシン及び10μg/mL硫酸ゲンタマイシン塩(Gibco,Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham)を補充)に再懸濁し、丸底96ウェル細胞培養プレートに分注した。さらに、純粋な培地(抗体なしの対照)または細胞培養培地で希釈したそれぞれの抗CD2抗体剤のうちの1つ(最終濃度10μg/mL)を添加し、その後、37℃、5%CO2で一晩インキュベートした。翌日、Daudi標的細胞(DSMZ Cat.ACC78;CD20+;NK対Daudi比4:1)及びリツキシマブ(最終濃度0.0001~1μg/mL)を添加し、その後37℃、5%CO2で2時間インキュベートした。その後、細胞を生理食塩水で洗浄し、Fc受容体結合阻害剤(Invitrogen;Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)とインキュベート後、抗CD56 BV421(BD Biosciences,San Diego,USA;クローンNCAM16.2)、抗CD3 VioGreen(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany;クローンREA613)、抗CD107a BV786(BioLegend,San Diego,USA;クローンH4A3)、抗CD16 FITC(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany;クローンREA423)、抗CD2 PE-CF594(BD Biosciences,San Diego,USA;クローンRPA-2.10)、抗CD69 APC(Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany;クローンREA824)及び抗CD19 APC-H7(BD Biosciences,San Diego,USA;クローンSJ25C1)で染色した。NK細胞は、CD3-CD56+及び/またはCD16+リンパ球として同定した。サンプルは、4℃の暗所で染色し、FACSCelestaフローサイトメーター(BD Biosciences,San Diego,USA)を使用して捕捉した。FlowJo(登録商標)10.6.2ソフトウェア(FlowJo LLC、Ashland,USA)を使用して、取得後編集及びデータ分析を実施した。
【0312】
6.1.17 グラフ及び統計解析
GraphPad Prism8ソフトウェア(GraphPad Software,San Diego)を使用して、結果の視覚化及び基礎となるデータの統計分析を実施した。データは、特に指定がない限り、反復測定一元配置分散分析後にダネット多重比較検定を使用するか、または二元配置分散分析後にダネット多重比較検定を使用して分析した。特に明記しない限り、未処置対照を対照とした。
【0313】
6.2 実施例1:ADCC及び免疫調節活性に対するCD2結合分子1の効果
Fcγ受容体(FcγR)IIIAは、ADCC活性の重要な媒介因子である。FcγRIIIAに対するシプリズマブ及びシプリズマブ断片の親和性を、CD2結合分子1のFcγRIIIA受容体親和性と比較した。
図1に示すとおり、シプリズマブは、ルシフェラーゼレポーター遺伝子発現の増加倍率によって測定されるように、FcγRIIIAに対して高い親和性を有する。逆に、シプリズマブFab断片、Fc断片、及びCD2結合分子1は、FcγRIIIAに対していかなる親和性も呈さない(
図1)。FcγRIIIAを発現する細胞は、ADCCの主要媒介因子であるため、FcγRIIIAへの結合とシグナル伝達がなければ、CD2結合分子1が結合したCD2発現細胞は、ADCCにより枯渇することはない。
【0314】
CD2結合分子1がFcγRIIIAに結合する能力、したがってADCCを媒介する能力は阻害されたが、免疫活性を調節するCD2結合分子1の能力は維持されている。
図2は、CD2結合分子1が、シプリズマブと同等の、CD4+/CD25+T細胞の活性化(
図2A)及び増殖(
図2B)の阻害を呈することを示す。免疫調節活性のさらなる尺度として、CD2結合分子1は、シプリズマブと同等の、制御性T細胞(Treg)の発現を誘導する能力を示す(
図3)。
【0315】
6.3 実施例2:NK細胞に対するCD2結合分子1の効果
NK細胞に対するCD2結合分子1の効果を調べた。NK細胞は、自然免疫系の主要なエフェクターであり、そのFcγRIIIAを介して、免疫複合体IgGに結合する。CD2結合分子1は、FcγRIIIAに対して親和性を有さなかったが(
図1から確認されるとおり)、CD2結合分子1は、依然としてNK細胞に対して効果を呈した。
図4は、自己由来(
図4A)または同種異系(
図4B)混合リンパ球反応(MLR)の両方において、シプリズマブと比較して、CD2結合分子1がCD69+NK細胞の発現に対して阻害効果を呈したことを示している。
【0316】
6.4 実施例3:ADCPに対するCD2結合分子1の効果
in vivoでは、FcγRIIAを発現する細胞は、抗体依存性細胞貪食(ADCP)の主要な媒介因子である。CD2発現細胞に対するCD2結合分子1の効果を調べて、FcγRIIAに対するCD2結合分子1の親和性を決定した。
図5は、シプリズマブと比較して、CD2結合分子1によって誘導されるFcγRIIAシグナル伝達がないことを示している。FcγRIIAの結合及びシグナル伝達がない場合には、CD2結合分子1が結合したCD2発現細胞が、ADCPを介して枯渇する可能性はない。
【0317】
シプリズマブFab断片を、CD69+T細胞の活性化を阻害する能力によって測定される免疫調節活性について調べた。Fab断片は、対照と比較して、CD69+T細胞の活性化を阻害しなかったが、シプリズマブ及びCD2結合分子1の両方が活性化を阻害する能力を示した(
図6)。CD2結合分子1は、シプリズマブよりも低い程度までCD69+T細胞の活性化を阻害するように見えたが、重要なことに、CD2結合分子1は、Fab断片と比較して、有意な免疫調節活性を保持していた。まとめると、これらのデータは、免疫調節活性が維持されたまま、CD2結合分子1のADCC活性を排除されることを示している。
【0318】
6.5 実施例4:CD2結合分子の定常領域の修飾の効果
CD2結合分子は、抗体サブクラスの足場及びFc修飾の様々な組み合わせを使用して構築される。得られるCD2結合分子を、ADCC活性及び免疫調節効果についてテストする。
【0319】
6.5.1 IgG1サブクラスのCD2結合分子
CD2結合分子は、IgG1足場、シプリズマブのVH可変領域と100%同一であるVH可変領域、シプリズマブのVL可変領域と100%同一であるVL可変領域、及びN297での点変異を除いてシプリズマブの定常領域と100%同一である定常領域から構築される。N297での変異としては、これらに限定されないが、N297G、N297Q、及びN297Aを挙げることができる。N297点変異では、Fcのグリコシル化及びサイレンシングが欠如する。このCD2結合分子のADCC活性は、NFAT経路の活性化の結果として生成されるルシフェラーゼの定量化によってin vitroで決定される。CD2結合分子のFc領域がJurkat細胞上で安定して発現するFcγRIIIAに結合すると、ルシフェラーゼの発現を駆動するNFAT活性化応答がシグナル伝達される。エフェクター細胞中のルシフェラーゼ活性は、発光の読み取りにより定量化する。このCD2結合分子の免疫調節活性は、CD69+T細胞、CD69+NK細胞、及びTregなど、免疫応答の調節において重要な細胞サブセットを活性化するCD2分子の能力を定量化することによって、in vitroで決定される。細胞の活性化及び増殖は、混合リンパ球反応(MLR)アッセイを使用して決定する。
【0320】
CD2結合分子は、IgG1足場、シプリズマブのVH可変領域と100%同一であるVH可変領域、シプリズマブのVL可変領域と100%同一であるVL可変領域、及び異なる抗体から得られたネイティブ定常領域から構成される。このCD2結合分子のADCC活性は、上記のようにin vitroで測定される。このCD2結合分子の免疫調節活性は、上記のようにin vitroで測定される。
【0321】
CD2結合分子は、IgG1足場、シプリズマブのVH可変領域と100%同一であるVH可変領域、シプリズマブのVL可変領域と100%同一であるVL可変領域、及び別の抗体から得られ、スイッチ定常領域がN297において点変異を有するネイティブ定常領域から構築される。N297での変異としては、これらに限定されないが、N297G、N297Q、及びN297Aを挙げることができる。N297点変異では、Fcのグリコシル化及びサイレンシングが欠如する。このCD2結合分子のADCC活性は、上記のようにin vitroで測定される。このCD2結合分子の免疫調節活性は、上記のようにin vitroで測定される。
【0322】
6.5.2 IgG2サブクラスのCD2結合分子
IgG2 CD2結合分子が産生され、IgG1 CD2結合分子と比較して、ADCC活性及び免疫調節効果について評価する。
【0323】
CD2結合分子は、IgG2足場、シプリズマブのVH可変領域と100%同一であるVH可変領域、シプリズマブのVL可変領域と100%同一であるVL可変領域、及び異なる抗体から得られたネイティブ定常領域から構成される。このCD2結合分子のADCC活性は、上記のようにin vitroで測定される。このCD2結合分子の免疫調節活性は、上記のようにin vitroで測定される。
【0324】
CD2結合分子は、IgG2足場、シプリズマブのVH可変領域と100%同一であるVH可変領域、シプリズマブのVL可変領域と100%同一であるVL可変領域、及び別の抗体から得られ、スイッチ定常領域がN297において点変異を有するネイティブ定常領域から構築される。N297での変異としては、これらに限定されないが、N297G、N297Q、及びN297Aを挙げることができる。N297点変異では、Fcのグリコシル化及びサイレンシングが欠如する。このCD2結合分子のADCC活性は、上記のようにin vitroで測定される。このCD2結合分子の免疫調節活性は、上記のようにin vitroで測定される。
【0325】
6.5.3 IgG4サブクラスのCD2結合分子
IgG4 CD2結合分子が産生され、IgG1 CD2結合分子と比較して、ADCC活性及び免疫調節効果について評価する。
【0326】
CD2結合分子は、IgG4足場、シプリズマブのVH可変領域と100%同一であるVH可変領域、シプリズマブのVL可変領域と100%同一であるVL可変領域、及び異なる抗体から得られたネイティブ定常領域から構成される。このCD2結合分子のADCC活性は、上記のようにin vitroで測定される。このCD2結合分子の免疫調節活性は、上記のようにin vitroで測定される。
【0327】
CD2結合分子は、IgG4足場、シプリズマブのVH可変領域と100%同一であるVH可変領域、シプリズマブのVL可変領域と100%同一であるVL可変領域、及び別の抗体から得られ、スイッチ定常領域がN297において点変異を有するネイティブ定常領域から構築される。N297での変異としては、これらに限定されないが、N297G、N297Q、及びN297Aを挙げることができる。N297点変異では、Fcのグリコシル化及びサイレンシングが欠如する。このCD2結合分子のADCC活性は、上記のようにin vitroで測定される。このCD2結合分子の免疫調節活性は、上記のようにin vitroで測定される。
【0328】
6.6 実施例5:シプリズマブは、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を介してNK細胞フラトリサイドを誘導する
6.6.1 序論
糖タンパク質CD2(LFA2としても知られる)は、T細胞及びNK細胞に発現し、接着及び活性化受容体として機能する(Binder et.al.2020a)。ヒトでは、CD2の主要結合パートナーは、リンパ球関連抗原3(LFA3;CD58としても知られる)であり、特に抗原提示細胞(APC)上に広く発現している。シプリズマブは、現在移植の分野で臨床試験が行われているモノクローナル抗CD2 IgG1抗体である(ClinicalTrials.gov Identifier:NCT04311632)。これまでのエビデンスでは、霊長類(Sellberg et al.2020)及びヒト患者(O’Mahony et al.2007)におけるシプリズマブ誘導性in vivoNK細胞の枯渇が示されていた。
【0329】
NK細胞は、活性化受容体及び阻害性受容体を発現する。両方の受容体セットを介したシグナル伝達のバランスが統合され、これにより、成熟NK細胞が休止状態に留まるか、活性化されるかが決定する(Watzl 2014)。したがって、NK細胞の活性化は、阻害性シグナル伝達の減少、活性化シグナル伝達の増加、または両方の組み合わせによって誘発され得る。活性化NK細胞受容体の中でも、CD16は、そのシグナル伝達が単独でNK細胞の活性化を誘導できる受容体である。残りの活性化NK細胞受容体のほとんどは、NK細胞の活性化の誘発と併せて、活性化を必要とする。CD16aは、低親和性Fcγ受容体(FcγR)であり、FcγRIIIAとしても知られている。CD16aを介する標的結合IgG抗体へのNK細胞の結合は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を促進する。他の活性化NK細胞受容体としては、それぞれ、腫瘍抗原、外来HLA及びウイルスタンパク質に結合するNKG2D、特定のキラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)及びNKp46が挙げられる。阻害性NK細胞受容体の中で最も顕著なのは、自己HLAを認識するKIRである(Paul and Lal 2017)。NK細胞による抗体非依存性標的細胞殺傷は、一般に自然または自発的なNK細胞の細胞傷害性と呼ばれる。
【0330】
NK細胞の細胞傷害性に先行する重要なイベントは、細胞間接着分子を介する安定した標的細胞の結合である(Orange et.al.2003)。安定した標的細胞の結合が起こり、NK細胞免疫学的シナプス(NKIS)が形成されると、アクチン細胞骨格の再編成が進行し、溶解小胞のNKISへの輸送及びその後の放出が促進され、標的細胞の死滅が達成される。NK標的細胞の結合及びNKIS形成に関与する接着分子の例は、それぞれ標的細胞上のICAM-1及びLFA3に結合するLFA-1(Paul and Lal 2017)及びCD2(Orange et.al.2003)である。自然NK細胞の細胞傷害性においてさえも、CD16は、CD2との相互作用を介して、NKIS中に豊富に含まれる。CD2とCD16との間のこの相互作用を無効にすることにより、自然NK細胞の細胞傷害性が著しく減少するが、NK媒介ADCCには影響しない(Grier et.al.2012)。CD2は、2つのIgドメイン、1つの膜遠位ドメイン及び1つの膜近位ドメインを有する。T細胞抗原提示細胞(APC)結合中に観察されたものと同様に、CD2は、標的細胞結合時にNK細胞が形成する免疫学的シナプス中に蓄積する。
【0331】
ここでは、混合リンパ球反応(MLR)及び純粋なNK細胞培養におけるNK細胞活性化に対するシプリズマブの効果の特徴を明らかにし、自然細胞傷害性及びADCCに対するCD2遮断の効果を調べた。
【0332】
6.6.2 CD2及びFcガンマ受容体の結合
CD2への抗CD2抗体結合及びFcγR結合は、表面プラズモン共鳴(SPR)によって特性評価した。表6に示すように、テストした抗体はすべて、約0.9~1.5nMの親和定数(KD)で同様のCD2結合親和性を示した。シプリズマブは、FcγRI、FcγRIIA、及びFcγRIIIAに結合する。対照的に、CD2結合分子1(脱グリコシル化CD2結合分子)はFcγRIに結合するが、FcγRIIA及びFcγRIIIAには結合しない。3つのFcサイレント抗CD2抗体(CD2結合分子2、3、及び4)はすべて、検出可能なFcγR親和性を示さなかった。
【表6】
【0333】
FcγR結合がFcγR誘導シグナル伝達をもたらすことを確認するために、各抗体を細胞ベースのFcγRシグナル伝達アッセイで試験した(表7~9)。
図9に示すとおり、SPRの結果と一致して、シプリズマブは、FcγRI、FcγRIIA、及びFcγRIIIAを介してシグナル伝達を誘導した。対照的に、CD2結合分子1(脱グリコシル化されたCD2結合分子)は、FcγRIを介したシグナル伝達のみを誘導した。Fcサイレンシングされた抗CD2バリアントはいずれも、FcγR媒介シグナル伝達を誘導しなかった。
【0334】
6.6.3 NK細胞上でのCD2及びFcγRの発現
NK細胞上のCD2の発現は、フローサイトメトリーによって測定した。
図10Aに示すとおり、NK細胞は、T細胞よりも少ないCD2発現を有する傾向がある。CD56
brightNK細胞は、平均的T細胞と同等のレベルでCD2を発現するが、CD56
dim及びCD56
negCD16
+NK細胞は、CD2を有意に低いレベルで発現する(それぞれp=0.0074及びp=0.0111;反復測定一元配置分散分析及びその後ダネット多重比較検定;(表10)。それにもかかわらず、NK細胞は、B細胞などのCD2
-細胞型と比較した場合、顕著なCD2発現を示す。
【0335】
さらに、T細胞及びNK細胞上のCD2発現を、抗CD3及び抗CD28抗体結合マイクロビーズによるPBMCの活性化の前及び後に測定した(表11)。
図10Bに示すとおり、T細胞(p=0.0034)、CD56
dimNK細胞(p=0.0024)、CD56
brightNK細胞(p=0.017)及びCD56
-CD16
+NK細胞(p=0.0029)(両側の対応のあるt検定)での活性化後にCD2発現が有意に上昇した。
【0336】
図11に示すとおり、ほぼすべてのNK細胞(91.0%)がFcγRIIIA(CD16)を発現したが、FcγRII発現は、不均一であった(19.2%,CD32)。NK細胞は、FcγRIを発現しなかった(データは示さず)。
【0337】
6.6.4 自己及び混合リンパ球培養における抗体媒介性及び天然NK細胞活性化に対するCD2遮断の効果
NK細胞の活性化に対するシプリズマブの効果を調べるために、飽和用量のシプリズマブを用いて自己リンパ球培養(ALC)及びMLRを実施した。
図12に示すとおり、シプリズマブは、MLRの1日後(p<0.0001)及び2日後(p=0.0001)、ならびにALCの1日後(p<0.0001)、2日後(p<0.0001)、4日後(p=0.0006)及び7日後(p=0.0082)に、CD69+NK細胞の割合が有意に増加した(表12及び13)。MLRの4日後及び7日後には、未処置対照(抗体なし)中でのCD69
+NK細胞%の増加が観察された。これは、同種異系HLAに反応するNK細胞及び/または他のドナー由来のPBMCに自己HLAが存在しないことに起因する可能性が高い。
図12に示すとおり、CD2結合分子1(脱グリコシル化されたCD2結合分子)では、4日後(p=0.0012)及び7日後(p=0.0035)に、CD69+NK細胞%が有意に減少した(反復測定二元配置分散分析後にダネット多重比較検定)。CD2結合分子1(脱グリコシル化されたCD2結合分子)の添加は、ALC中でのCD69
+NK細胞のパーセンテージを有意に変化させなかった。
【0338】
CD2遮断によるMLRにおけるNK細胞活性化の阻害の特徴をさらに明らかにするために、0.0001~10μg/mLの用量滴定を実施し、MLRの7日後にNK細胞上でのCD69の発現を分析した。MLRは、シプリズマブ、CD2結合分子1(脱グリコシル化CD2結合分子)、CD2結合分子2、CD2結合分子3、またはCD2結合分子4とインキュベートした。
図13Aに示すとおり、シプリズマブの投与により、未処置対照(抗体なし)と比較して、0.1μg/mL(p=0.0003)、1μg/mL(p=0.0018)及び10μg/mL(p=0.0256)において、CD69
+NK細胞%の有意な上昇が誘導された。対照的に、CD2結合分子1(脱グリコシル化CD2結合分子)は、1μg/mL(p=0.0012)及び10μg/mL(p=0.006)において、CD69
+NK細胞%の有意な減少を誘導した。CD2結合分子2、3、及び4は、0.1μg/mL(それぞれ、p=0.0178、p=0.0122、p=0.0234)、1μg/mL(それぞれ、p=0.0311、p=0.0039、p=0.0388)及び10μg/mL(それぞれ、p=0.0008、p=0.0027、p=0.0023)において、CD69
+NK細胞%を有意に減少させた(反復測定一元配置分散分析及びその後のダネット多重比較検定、表14)。
【0339】
さらに、NK細胞上のCD2蛍光強度の中央値(CD2 MFI)を測定して、シプリズマブまたはCD2結合分子2、3、または4(FcS抗CD2 mAb)がCD2発現に影響を及ぼすかを評価した(
図13B~C)。シプリズマブは、未処置対照と比較して、0.001~10μg/mLにおいて、NK細胞上でのCD2 MFIの有意な減少(p≦0.0354)を誘導した。CD2結合分子1(脱グリコシル化CD2結合分子)(p≦0.0064)、CD2結合分子2(p≦0.0050)、CD2結合分子3(p≦0.0091)、及びCD2結合分子4(p≦0.0142)では、0.01~10μg/mLにおいて、異なる程度の有意なCD2ダウンレギュレーションが観察された(反復測定一元配置分散分析及びその後のダネット多重比較検定、表15)。
【0340】
6.6.5 NKフラトリサイド
シプリズマブがNK細胞のフラトリサイドを誘導できるかをテストするために、用量を増加させたシプリズマブまたはFcサイレント抗CD2 mAbの存在下で、精製NK細胞を培養した。
図14に示すとおり、シプリズマブは、未処置対照と比較して、0.01~10μg/mL(p≦0.0018)において、精製NK細胞培養中でのNK細胞の溶解を有意に増加させた。さらに、シプリズマブは、未処置対照と比較して、0.01~10μg/mLにおいて、総NK細胞(p≦0.0301)、CD56
dimNK細胞(p≦0.0191)、及びCD56
brightNK細胞(p≦0.0093)の有意な用量依存的枯渇を誘導した。対照的に、CD2結合分子2、3、及び4は、純粋なNK培養中で用量依存的なNK細胞の溶解または枯渇を誘導しなかった。ただし、CD2結合分子3(FcS抗CD2 IgG2)は、0.1~10μg/mLにおいて、CD56
brightNK細胞の軽度ではあるが統計的に有意な枯渇を誘導した(p≦0.0132;反復測定一元配置分散分析及びその後のダネット多重比較検定;表16~19)。
【0341】
さらに、
図15は、シプリズマブが、NK細胞脱顆粒の有意な用量依存的増加(p≦0.0114;CD107a
+NK細胞)及びNK細胞上でのCD16発現の大幅な減少(p≦0.0022)(ADCCを示す)を誘導したことを示している。CD2結合分子2、3、または4(FcS抗CD2 mAb)は、いずれも脱顆粒を誘導せず、CD2結合分子3のみが0.1~1μg/mLにおいて、CD16MFIのわずかではあるが統計的に有意な減少を誘導した(p≦0.0269;反復測定一元配置分散分析及びその後ダネット多重比較検定;表20及び21)。
【0342】
6.6.6 自然NK細胞傷害性
自然細胞傷害性に対するCD2遮断の効果を試験するために、精製NK細胞を、SPI-801標的細胞(HLA)の存在下で、滴定量のシプリズマブまたはCD2結合分子2、3、または4とインキュベートした。
図16に示すとおり、CD2結合分子2、3、または4によるCD2遮断は、SPI-801標的細胞に応答したNK細胞の脱顆粒を有意に阻害しなかった。このことは、NK細胞とCD2結合分子2、3、または4(FcS抗CD2 mAb)とのプレインキュベーションが、標的細胞添加前の30分または2日継続したかについては関係なかった。30分間のプレインキュベーション後、シプリズマブは、0.1~10μg/mLにおいて、NK細胞の脱顆粒を有意に増加させた(p≦0.0482)が、2日間のプレインキュベーション後では増加はなかった(反復測定一元配置分散分析及びその後のダネット多重比較検定、表22及び23)。CD2遮断は、SPI-801数のいかなる変化も誘導しなかった(データは示さず)。
【0343】
6.6.7 抗体依存性細胞傷害性
CD2遮断がADCCに影響を及ぼすかを試験するために、精製NK細胞をシプリズマブまたはCD2結合分子2、3、または4とプレインキュベート後、滴定量のリツキシマブ及びCD20
+標的細胞(Daudi)を添加した。
図17A及び17Bに示すとおり、CD2結合分子2、3、または4によるCD2遮断は、リツキシマブの用量の増加に応答したNK細胞の脱顆粒または標的細胞の死滅に有意な影響を及ぼさなかった(表24及び25)。
図17Cに示すとおり、リツキシマブは、0.01~1μg/mLでNK細胞上のCD2発現の有意な増加を誘導した(p≦0.0248;反復測定一元配置分散分析及びその後のダネット多重比較検定;表26)。抗CD2 mAbは、この設定において異なる程度のCD2ダウンレギュレーションを誘導したが、これはADCCに影響を与えないようであった。
【0344】
【0345】
【0346】
【0347】
【0348】
【0349】
【0350】
【0351】
【0352】
【0353】
【0354】
【0355】
【0356】
【0357】
【0358】
【0359】
【0360】
【0361】
【0362】
【0363】
【0364】
6.7 実施例6:抗CD2抗体またはその抗原結合断片とCTLA-4共刺激遮断剤との併用療法
この実施例では、細胞増殖、CD2応答、及びCD28応答における抗CD2抗体またはその抗原結合断片とCTLA-4共刺激遮断剤との併用療法の効果を記載する。
【0365】
6.7.1 方法
同種リンパ球反応(MLR):2名のドナーからのPBMCを、PBS中濃度1.5~2.0x107細胞/mLで混合し、製造業者の指示に従って、violet proliferation dye 450(VPD450;BD Biosciences,San Diego,USA)で染色した。この実験では、双方向同種異系MLRを使用し、すなわちいずれのドナー由来のPBMCも、照射/化学処理によって不活化させなかった。したがって、両方のドナー由来のPBMCは、応答因子及び刺激因子として機能した。
【0366】
VPD450染色PBMCを洗浄し、10%熱不活化FBS(Gibco,Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)を含むAIM V培地(Gibco,Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)に再懸濁した。再懸濁したPBMCを、丸底96ウェル細胞培養プレート(フローサイトメトリー用)に分注し、純粋な培地(抗体なしの対照)または抗CD2抗体1(例えば、シプリズマブ)及び/またはアバタセプトまたはベラタセプトを補充した培地を、最終濃度2x106細胞/mLまで添加した(最終体積200μL)。MLRを、37℃、5%CO2で7日間及び/または10日間インキュベートした。6日目に、100μLの新鮮培養培地(追加の抗体なし;最終体積=300μL)を各ウェルに加えた。8日目に、細胞ペレットを乱すことなく100μLの培地を各ウェルから吸引し、100μLの新鮮培養培地と交換した。
【0367】
抗CD2抗体1滴定に使用される抗体濃度は、1μg/mL~50.8pg/mLであった(培養培地で10ステップの3倍段階希釈)。CTLA4-Igを添加した抗CD2抗体1滴定には、すべての段階希釈ステップで、100μg/mLのアバタセプトまたはベラタセプトを補充した。アバタセプト/ベラタセプト滴定に使用された融合タンパク質濃度は、100μg/mL~0.1pg/mLであった(培養培地で10ステップの10倍段階希釈)。抗CD2抗体1を添加したアバタセプト/ベラタセプト滴定には、すべての段階希釈ステップを通じて1μg/mLの抗CD2抗体1を補充した。
【0368】
フローサイトメトリー:MLRの7日後、サンプルをFc受容体結合阻害剤でブロックし(Invitrogen;Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)、次いで、抗CD3 VioGreen(クローンREA613;Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany)、抗CD45RA BV650(クローンHI100;BD Biosciences,San Diego USA)、抗CD2 BV786(クローンRPA-2.10;BD Biosciences,San Diego USA)、抗CD8 BB550(クローンRPA-T8;BD Biosciences,San Diego USA)、抗CD56 PE(クローンREA196;Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany)、抗HLA-DR PerCP-Cy5.5(クローンG46-6;BD Biosciences,San Diego USA)、抗CCR7 APC(クローンG43H7;BD Biosciences,San Diego USA)及び抗CD4 APC-Vio770(クローンREA623;Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany)で染色した。T細胞は、CD3+CD56-としてゲーティングした。MLRの10日後、サンプルをFc受容体結合阻害剤でブロックし(Invitrogen;Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)、次いで、抗CD45RA BV650(クローンHI100;BD Biosciences,San Diego USA)、抗CD3 BV786(クローンSK7;BD Biosciences,San Diego USA)、抗CD8 BB550(クローンRPA-T8;BD Biosciences,San Diego USA)、抗FoxP3 PE(クローン236A/E7;BD Biosciences,San Diego USA)、抗CD127 PerCP-Cy5.5(クローンHIL-7R-M21(BD Biosciences,San Diego USA);またはA019D5(Biolegend,Sunnyvale USA))、抗CCR7 APC(クローンG43H7;BD Biosciences,San Diego USA)、抗CD25 Alexa Fluor 700(クローンM-A251;BD Biosciences,San Diego USA)及び抗CD4 APC-Vio770(クローンREA623;Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany)で染色した。T細胞は、CD3+としてゲーティングした。細胞増殖は、VPD450(VPD450high:非増殖;VPD450low:増殖)を使用して評価した。サンプルを暗所で4℃で染色し、生理食塩水で2回洗浄後、BD Celestaフローサイトメーター(BD Biosciences,San Diego USA)を使用して捕捉した。細胞内FoxP3染色は、eBioscience FoxP3/転写因子染色バッファーセット(Invitrogen;Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)を使用して、製造業者の指示に従って行った。Tregは、CD4+CD127-CD25+FoxP3+として同定した。
【0369】
グラフ及び統計分析:GraphPad Prism8ソフトウェア(GraphPad Software,San Diego,USA)を使用して、結果の視覚化及び基礎となるデータの統計分析を実施した(表27~35を参照)。抗体を含まない対照を比較データセットとして、一元配置分散分析、その後、機能するダネット多重比較検定を使用して、データを分析した。
【0370】
6.7.2 結果
T細胞増殖:MLRの7日後及び10日後にフローサイトメトリーによりT細胞増殖を評価し、抗CD2抗体1(シプリズマブなど)とアバタセプトまたはベラタセプトとの併用による阻害効果を評価した(n=6;表27~30)。
図18Aに示すとおり、10~100μg/mLアバタセプト(場合によってはアレファセプト)(p≦0.0303)、1~100μg/mLベラタセプト(p≦0.0156)及び0.012~1μg/mL抗CD2抗体1(p≦0.0105)は、未処置対照と比較して、MLR7日後にCD4T細胞増殖の有意な減少を誘導した。さらに、100μg/mLアバタセプト(場合によっては、アレファセプト)(p≦0.0028)、1~100μg/mLベラタセプト(p≦0.0411)、及び0.11~1μg/mL抗CD2抗体1(p≦0.0071)は、MLRの10日後に、CD4T細胞増殖の有意な減少を誘導した(
図18C)。さらに、CD4T細胞増殖の有意かつほぼ完全な阻害は、抗CD2抗体1と100μg/mLアバタセプト(p≦0.0183)または100μg/mLベラタセプト(p≦0.0061)との併用によって媒介された(
図18A及び18C)。アバタセプトまたはベラタセプトとの併用療法では、MLRの7日目の抗CD2抗体1の抑制効果の半最大阻害濃度(IC50)を0.0068μg/mL(単独療法)からそれぞれ0.0015μg/mL及び0.0011μg/mLに減少させた。MLRの10日後、抗CD2抗体1単独療法のIC50は、100μg/mLアバタセプトまたは100μg/mLベラタセプトとの併用で、それぞれ0.0235μg/mL及び0.0035μg/mLまたは0.0025μg/mLであった。同様のパターンが、CD8T細胞増殖の阻害について観察された(
図18B及び18D)。MLRの7日後、抗CD2抗体1単独療法によるCD8T細胞増殖の阻害では、0.0105μg/mLのIC50であったのに対し、アバタセプトまたはベラタセプトとの併用療法では、抗CD2抗体1とアバタセプトとの併用及び抗CD2抗体1とベラタセプトとの併用の両方で、抗CD2抗体1のIC50が、0.0012μg/mLに低下した。MLRの10日後、抗CD2抗体1単独療法のIC50は、0.024μg/mLであったが、アバタセプトまたはベラタセプトとの併用では、0.0017μg/mLに低下した。同様の結果が、
図18E~
図18Hに示されるように、別の実験(同じ条件)で観察された。
【表27】
【表28】
【表29】
【表30】
異なる濃度のアバタセプト及びベラタセプトを試験して、抗CD2抗体1と組み合わせて最大効力に達するのに必要なアバタセプト及びベラタセプトの濃度を決定した(
図19A~19H及び
図20)。そのため、抗CD2抗体1の濃度を一定に保ちながら、アバタセプトまたはベラタセプトの濃度を滴定した(
図19A~19Dについてはn=9、
図19E~19Hについては、n=3;表31~34)。7日間または10日間、細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトとの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトとの組み合わせとインキュベートした後の平均T細胞(CD4及びCD8)増殖を
図19A~
図19Hに示す。様々な量(約1~100μg/mL)のベラタセプト及びアバタセプトを試験した。様々な量のベラタセプト(1~100μg/mL)を抗CD2抗体1と組み合わせて使用した場合、及び様々な量のアバタセプト(10~100μg/mL)を抗CD2抗体1と組み合わせて使用した場合の相乗効果を観察した。
【表31】
【表32】
【表33】
【表34】
【0371】
制御性T細胞(Treg)増強:抗CD2抗体1(例えば、シプリズマブ)とアバタセプトまたはベラタセプトとの併用療法を、MLRにおけるTreg増強の効果について評価した(
図21)。この実験では、MLRには、濃度を上昇させて、アバタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、ベラタセプト(1x10
-7~100μg/mL)、及び抗CD2抗体1(5.08x10
-5~1μg/mL)を補充した。さらに、アバタセプトまたはベラタセプトの追加滴定シリーズ(1x10
-7~100μg/mL)に、滴定シリーズ全体に1μg/mL抗CD2抗体1を添加した。10日間のMLR後、増殖したCD4T細胞中のTregのパーセンテージをフローサイトメトリーで測定した(n=9)(表35)。抗CD2抗体1は、0.037~1μg/mLで増殖CD4T細胞の中でも、Tregの有意な増強を誘導したことが観察された(p≦0.0338)(
図21)。対照的に、抗CD2抗体1と用量を増加させたアバタセプトまたはベラタセプトとの組み合わせは、増殖したCD4T細胞でのTregのパーセンテージの用量依存的減少を誘導した。アバタセプトまたはベラタセプトの濃度が、T細胞増殖の最大阻害に達するところまで増加すると(10~100μg/mLアバタセプトまたは1~100μg/mLベラタセプト)、有意なTreg増強が喪失することに留意されたい。
【表35】
【0372】
この実験はまた、T細胞を抗CD2抗体1とベラタセプトとの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトとの組み合わせとインキュベートすることにより、T細胞をベラタセプトまたはアバタセプト単独とインキュベートしたときと比較して、CD2のレベルが低くなることも示した(
図22A~
図22B)。
図22A~
図22Bに示すとおり、アバタセプトまたはベラタセプトの存在下で増殖するT細胞は、比較的高いCD2発現を示した(7日間のMLR後の平均CD2 MFI+SD(n=3))。さらに、T細胞を抗CD2抗体1とベラタセプトとの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトとの組み合わせとインキュベートすることにより、T細胞をベラタセプトまたはアバタセプト単独とインキュベートしたときと比較して、細胞の数が少なくなることも示された(
図23A~
図23D)。抗CD2抗体1とベラタセプトとの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトとの組み合わせによる処置は、増殖したT細胞の数をほぼゼロにまで減少させることが観察された(MLRの7日または10日後の平均VPD450high/lowT細胞数+SD(n=6)を示す
図23A~23Dを参照)。10日目には、より多くの複製ウェルが存在することも観察された(日数間で絶対細胞数は比較しなかった)(
図23A~
図23D)。さらに、T細胞を抗CD2抗体1とベラタセプトとの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトとの組み合わせとインキュベートすることにより、T細胞をベラタセプトまたはアバタセプト単独とインキュベートしたときと比較して、CD2及びCD28のレベルが低下した(MLRの7日後のT細胞上の平均CD2/CD28中央値FI+SD(n=6)を示す
図24A~24Dを参照)。
図24A~
図24Dは、抗CD2抗体1がCD2を下方制御したことを示す。
図24A~
図24Dは、high[CTLA4-Ig]を有するサンプル中のVPD450low T細胞が比較的高いCD2 MFIを示し、high[抗CD2抗体1]を有するサンプル中のVPD450high T細胞上のCD28 MFIが約ベースライン値に留まることを示した。
【0373】
細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトとの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトとの組み合わせとインキュベート後、Violet Proliferation Dye 450(VPD450)low T細胞を使用したフローサイトメトリーのグラフを
図25A~
図25Fに示す。細胞を対照、抗CD2抗体1、ベラタセプト、アバタセプト、抗CD2抗体1とベラタセプトとの組み合わせ、または抗CD2抗体1とアバタセプトとの組み合わせとインキュベート後、Violet Proliferation Dye 450(VPD450)high T細胞を使用したフローサイトメトリーのグラフを
図26A~
図26Gに示す。
【0374】
Fcサイレント抗CD2(IgG4)とベラタセプトまたはアバタセプトとの組み合わせによる実験も行った(
図27A~
図27Dを参照)。Fcサイレント抗CD2が、CD8T細胞増殖の阻害を改善することが観察された。
図27A~
図27Dは、MLRの7日または10日後の平均CD4/CD8T細胞増殖+SDを示す(N=6)。
【0375】
結論:この実施例は、抗CD2抗体1及びCTLA4-Ig(アバタセプトまたはベラタセプト)を使用する併用療法が、T細胞増殖の阻害において相加効果を有することを示した。対照的に、増殖の最大阻害を誘導する濃度での抗CD2抗体1及びCTLA4-Igの組み合わせは、抗CD2抗体1単独療法で見られるTreg増強を除去した。ベラタセプトベースのプロトコールを使用して、移植後の免疫抑制薬から移植患者を離脱させると、急性細胞同種移植片拒絶反応が高頻度で起こることが報告されている。これは、同種反応性CD28-T細胞がベラタセプトによる影響を受けていないことに部分的に起因し得る。この例は、抗CD2抗体1とCTLA-4共刺激遮断剤(例えば、ベラタセプト)とを組み合わせることが、患者を免疫抑制から離脱させながら、抗同種移植免疫を予防するのにより有効であり得ることを示した。抗CD2抗体1とCTLA-4共刺激遮断剤(例えば、アバタセプトまたはベラタセプト)による併用療法から利益が得られ得る患者を対象とした臨床試験では、併用療法の相乗効果がさらに示され得る。臓器移植レシピエントは、従来の免疫抑制から離脱し、またこれにより関連する副作用を回避するすることを目的として、抗CD2抗体1及びCTLA-4共刺激遮断剤(例えば、ベラタセプト)で治療することができる。さらに、新たに発症した1型糖尿病または関節リウマチなどの自己免疫疾患に罹患した患者は、抗CD2抗体1とCTLA4-Igとの併用療法の恩恵を受けることができる。この例は、CD2/CD58及びCD28/B7共刺激経路の両方を標的にしている二重共刺激遮断剤が、いずれかの経路のみを標的とするよりも、効率よく自己免疫を抑制するのに役立ち得ることを示している。
【0376】
6.8 実施例7:FCサイレント抗CD2抗体またはその抗原結合断片とCTLA-4共刺激遮断剤との併用療法
この実施例では、細胞増殖及び活性化におけるFcサイレント抗CD2抗体またはその抗原結合断片とCTLA-4共刺激遮断剤との併用療法の効果を記載する。この実施例で使用するFcサイレント抗CD2抗体は:Fcサイレント抗CD2 Ab-1(例えば、CHO細胞で発現するシプリズマブ);Fcサイレント抗CD2 Ab-2(例えば、2つの変異を有するシプリズマブ(L234A/L235A));Fcサイレント抗CD2 Ab-3(例えば、Fcサイレント抗CD2 Ab-2と同じ2つの変異を有し、さらに追加の変異(P329G/L234A/L235A)を含むシプリズマブ);Fcサイレント抗CD2 Ab-4(例えば、IgG2重鎖中のシプリズマブCDR);Fcサイレント抗CD2 Ab-5(例えば、IgG2重鎖中のシプリズマブCDR及び7つの変異(V234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S));Fcサイレント抗CD2 Ab-6(例えば、IgG4重鎖中のシプリズマブCDR及び1つの変異(S228P));Fcサイレント抗CD2 Ab-7(例えば、IgG4重鎖中のシプリズマブCDR及び3つの変異(P329G/S228P/L235E))である。この実施例で使用されるすべてのFcサイレント抗CD2抗体は、同じ軽鎖を有する。Fcサイレント抗CD2 Ab1(例えば、シプリズマブ;Fcサイレント抗CD2 Ab-1IgG1)は、一般的に知られているLALA-PG変異をシプリズマブ中の同等の部位に導入することによって生成した(Arduin E,Arora S,Bamert PR,Kuiper T,Popp S,Geisse S,et al.Highly reduced binding to high and low affinity mouse Fc gamma receptors by L234A/L235A and N297A Fc mutations engineered into mouse IgG2a.Mol Immunol(2015)63:456-63.doi:10.1016/j.molimm.2014.09.017;Lo DJ,Weaver TA,Stempora L,Mehta AK,Ford ML,Larsen CP,et al.Selective targeting of human alloresponsive CD8 effector memory T cells based on CD2 expression.Am J Transplant Off J Am Soc Transplant Am Soc Transpl Surg(2011)11:22.doi:10.1111/j.1600-6143.2010.03317.x)。Fcサイレント抗CD2 Ab-5は、標準的なIgG2フレームワーク中の同等の部位に次の変異:V234A、G237A、P238S、H268A、V309L、A330S、P331Sを導入することによって生成した(Wang X,Mathieu M,Brezski RJ.IgG Fc engineering to modulate antibody effector functions.Protein Cell(2018)9:63-73.doi:10.1007/s13238-017-0473-8)。Fcサイレント抗CD2 Ab-7は、標準的なIgG4フレームワーク中の同等の部位に次の変異を導入することによって生成した:S228P、L235E、P329G(Silva J-P,Vetterlein O,Jose J,Peters S,Kirby H.The S228P mutation prevents in vivo and in vitro IgG4 Fab-arm exchange as demonstrated using a combination of novel quantitative immunoassays and physiological matrix preparation.J Biol Chem(2015)290:5462-9.doi:10.1074/jbc.M114.600973;Schlothauer T,Herter S,Koller CF,Grau-Richards S,Steinhart V,Spick C,et al.Novel human IgG1 and IgG4 Fc-engineered antibodies with completely abolished immune effector functions.Protein Eng Des Sel(2016)29:457-66.doi:10.1093/protein/gzw040)。
【0377】
細胞ベースのFcγR結合アッセイ:簡潔に説明すると、FcγRI、FcγRIIA及びFcγRIIIAに結合する能力について、異なる濃度の抗体(抗CD2抗体(またはシプリズマブ);Fcサイレント抗CD2 Ab-1;Fcサイレント抗CD2 Ab-2;Fcサイレント抗CD2 Ab-3;Fcサイレント抗CD2 Ab-4;Fcサイレント抗CD2 Ab-5;Fcサイレント抗CD2 Ab-6;及びFcサイレント抗CD2 Ab-7)を試験した(
図28参照)。FcγRI及びFcγRIIIA結合アッセイの最高濃度は、1μg/mL/6.67nMであり、FcγRIIA結合アッセイでは、100μg/mL/667nMであった(
図28及び表36を参照)。
【表36】
【0378】
同種混合リンパ球反応(MLR):簡潔に説明すると、2名のドナーからの末梢血単核細胞(PBMC)を1.5~2.0x107細胞/mLの濃度でPBS中で混合し、製造業者のプロトコールに従って、violet proliferation dye 450(VPD450;BD Biosciences,San Diego,USA)で染色した。この実施例では、双方向同種異系MLRを使用し、すなわちいずれのドナー由来のPBMCも、照射/化学処理によって不活化させなかった。したがって、両方のドナー由来のPBMCは、応答因子及び刺激因子として機能した。
【0379】
VPD450染色PBMCを洗浄し、10%熱不活化FBS(Gibco,Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)を含むAIM V培地(Gibco,Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)に再懸濁した。再懸濁したPBMCを、丸底96ウェル細胞培養プレート(フローサイトメトリー用)に分注し、純粋な培地(抗体なしの対照)またはFcサイレント抗CD2抗体(Fcサイレント抗CD2 Ab-5またはFcサイレント抗CD2 Ab-7及び/またはアバタセプトまたはベラタセプトを補充した培地を、最終濃度2x106細胞/mLまで添加した(最終体積200μL)。MLRを、37℃、5%CO2でそれぞれ7日間及び10日間インキュベートした。6日目に、100μLの新鮮培養培地(追加の抗体なし)を各ウェルに加えた。8日目に、細胞ペレットを乱すことなく100μLの培地を各ウェルから吸引し、100μLの新鮮培養培地と交換した。
【0380】
実験の最初のラウンドでは、Fcサイレント抗CD2 Ab-5またはFcサイレント抗CD2 Ab-7滴定に使用される抗体濃度は、67.2nM~0.67nM(10倍段階希釈)であった。CTLA4-Igを添加したFcサイレント抗CD2 Ab-5またはFcサイレント抗CD2 Ab-7の滴定には、すべての段階希釈ステップで、433.4nMのベラタセプトを補充した。ベラタセプト単独療法滴定に使用した濃度は、433.4nM~0.0043nM(10倍段階希釈)であった(
図29A、29B、30A、30B、31A、及び31Bを参照)。
【0381】
2ラウンド目の実験では、Fcサイレント抗CD2 Ab-7滴定に使用した抗体濃度は、10μg/mL~50.8pg/mLであった(3倍段階希釈)。CTLA4-Igを添加したFcサイレント抗CD2 Ab-7滴定には、すべての段階希釈ステップで、100μg/mLのアバタセプトまたはベラタセプトを補充した。アバタセプト/ベラタセプト滴定に使用された融合タンパク質濃度は、100μg/mL~0.1pg/mL(10倍段階希釈)であった(
図32A~32Bを参照)。
【0382】
フローサイトメトリー:MLRの7日後、サンプルをFc受容体結合阻害剤でブロックし(Invitrogen;Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)、次いで、抗CD3 VioGreen(クローンREA613;Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany)、抗CD45RA BV650(クローンHI100;BD Biosciences,San Diego USA)、抗CD2 BV786(クローンRPA-2.10;BD Biosciences,San Diego USA)、抗CD8 BB550(クローンRPA-T8;BD Biosciences,San Diego USA)、抗CD56 PE(クローンREA196;Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany)、抗HLA-DR PerCP-Cy5.5(クローンG46-6;BD Biosciences,San Diego USA)、抗CCR7 APC(クローンG43H7;BD Biosciences,San Diego USA)及び抗CD4 APC-Vio770(クローンREA623;Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany)で染色した(
図32Aを参照)。T細胞は、CD3+CD56-としてゲーティングした。MLRの10日後、サンプルをFc受容体結合阻害剤でブロックし(Invitrogen;Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,USA)、次いで、抗CD45RA BV650(クローンHI100;BD Biosciences,San Diego USA)、抗CD3 BV786(クローンSK7;BD Biosciences,San Diego USA)、抗CD8 BB550(クローンRPA-T8;BD Biosciences,San Diego USA)、抗FoxP3 PE(クローン236A/E7;BD Biosciences,San Diego USA)、抗CD127 PerCP-Cy5.5(クローンHIL-7R-M21(BD Biosciences,San Diego USA);またはA019D5(Biolegend,Sunnyvale USA))、抗CCR7 APC(クローンG43H7;BD Biosciences,San Diego USA)、抗CD25 Alexa Fluor 700(クローンM-A251;BD Biosciences,San Diego USA)及び抗CD4 APC-Vio770(クローンREA623;Miltenyi,Bergisch Gladbach,Germany)で染色した(
図32Bを参照)。T細胞は、CD3+としてゲーティングした。細胞増殖は、VPD450(VPD450high:非増殖;VPD450low:増殖)を使用して評価した。サンプルを暗所で4℃で染色し、生理食塩水で2回洗浄後、BD Celestaフローサイトメーター(BD Biosciences,San Diego USA)を使用して捕捉した。
【0383】
結果:Fcサイレント抗CD2抗体とベラタセプトとの併用による阻害効果を評価するために、MLRの7日後及び10日後に、T細胞増殖をフローサイトメトリーにより評価した。
図29A及び
図29Bの右のパネルに示すとおり、Fcサイレント抗CD2 Ab-5とベラタセプトとの併用は、単独療法または未処置対照のいずれと比較しても、CD8T細胞増殖の減少を誘導した。さらに、Fcサイレント抗CD2 Ab-5とベラタセプトとの併用は、マーカーCD69及びHLA-DRによって測定されるT細胞活性化の減少をもたらした(
図31A)。IgG4 Fcサイレント抗CD2抗体Fcサイレント抗CD2 Ab-7及びベラタセプトの場合、併用療法は、CD8T細胞増殖(
図30A及び30B)及びT細胞活性化(
図31B)の減少を誘導した。
【0384】
より広い希釈範囲(10μg/mL~50.8pg/mL)でのFcサイレント抗CD2 Ab-7滴定と、100μg/mLのアバタセプトまたはベラタセプトとの併用による追加調査では、単独療法または未処置対照のいずれと比較しても、CD8T細胞増殖の減少を誘導した(
図32A及び
図32Bの右パネル)。
配列
【表37】
【手続補正書】
【提出日】2023-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】