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特表2023-531253核酸配列決定のための流体媒体を介した光走査および画像化のためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】核酸配列決定のための流体媒体を介した光走査および画像化のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20230713BHJP
【FI】
G02B21/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580106
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(85)【翻訳文提出日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 CN2021101994
(87)【国際公開番号】W WO2022001804
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】63/045,566
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516122667
【氏名又は名称】深▲セン▼華大智造科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MGI Tech Co.,LTD
【住所又は居所原語表記】Main Building and Second Floor of No.11 Building,Beishan Industrial Zone,Yantian District,Shenzhen,Guangdong 518083,China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(72)【発明者】
【氏名】リンドキスト,ポール
(72)【発明者】
【氏名】シャフト,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,ジョイス
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ジイ
【テーマコード(参考)】
2H052
【Fターム(参考)】
2H052AA08
2H052AB02
2H052AB03
2H052AD05
2H052AF14
(57)【要約】
本開示の実施形態は、アクチュエータに結合された対物レンズを備え、アクチュエータは、基板の表面上で対物レンズを移動させるように構成されている、核酸配列決定のための方法及びシステムを含む。いくつかの実施形態では、基板の表面上に液滴が配置されてもよく、液滴は、対物レンズとともに移動されてもよい。対物レンズの遠位端は、基板の表面の材料よりも液滴に対して高い摩擦力を与える材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、対物レンズの遠位端は、基板の表面上を移動される際に流体中に浸されてもよい。基板は、流体を保持するための領域内に垂直壁を備えてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸配列決定のために光学的画像化システムであって、
アクチュエータと、
基板を受けるように構成された取り付け要素と、
近位端および遠位端を有する対物レンズと、を備え、
前記基板は、前記基板の領域を境界付ける垂直壁を備え、前記垂直壁は、前記領域内に流体を保持するように構成され、前記基板は、1つ以上の核酸配列を有し、
前記対物レンズの前記近位端は、前記アクチュエータに連結され、前記対物レンズの前記遠位端は、前記基板の外表面の近くに位置するように構成され、前記対物レンズの前記遠位端は、前記流体に浸されるように構成されており、
前記アクチュエータは、前記対物レンズの前記遠位端を前記流体に浸したまま、前記基板の前記外表面の上の第1の場所から、前記基板の前記外表面の上の第2の場所に前記対物レンズを移動させるように構成されている、システム。
【請求項2】
前記流体は、油を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記流体は、水を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記対物レンズの前記遠位端は、前記対物レンズを前記第1の場所から前記第2の場所に移動させる際の乱流を低減するように平坦である、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記対物レンズは、近位部分と遠位部分とを有し、前記遠位部分は非テーパである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記アクチュエータは、前記対物レンズを前記第1の場所から前記第2の場所に15mm/秒の速度で移動させるように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記垂直壁の内側は平坦である、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記垂直壁の内側は湾曲している、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記領域への流体送達のための流体送達サブシステムをさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項10】
前記領域から前記流体の一部が蒸発したかどうかを判断するための流体監視サブシステムをさらに備え、
前記流体送達サブシステムは、前記流体監視サブシステムによる肯定的な判断時に、追加の流体を送達するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記流体送達サブシステムは、流体リザーバに連結された導管を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記流体監視システムは、前記流体中の気泡の存在を検出するための光学センサを備え、
前記領域から前記流体の一部が蒸発したかどうかを判断することは、前記流体中に閾値数の気泡が検出されるかどうかを判断することを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
核酸配列決定のために基板を光学的に画像化する方法であって、前記方法は、
前記基板の領域内に流体を配置することであって、前記領域は、垂直壁によって境界付けられており、前記基板は、1つ以上の核酸配列を有する、流体を配置することと、
対物レンズの遠位端が前記液滴と接触するように、前記基板の外表面の上の第1の場所に前記対物レンズを位置付けることと、
前記対物レンズの前記遠位端を前記流体に浸したまま、前記対物レンズを前記基板の外表面の上の第2の場所に移動させることと、を含む方法。
【請求項14】
前記流体は、油を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記流体は、水を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記対物レンズの前記遠位端は、前記対物レンズを前記第1の場所から前記第2の場所に移動させる際の乱流を低減するように平坦である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記対物レンズは、近位部分と遠位部分とを有し、前記遠位部分は非テーパである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記対物レンズを、前記第1の場所から前記第2の場所に15mm/秒の速度で移動させる、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記垂直壁の内側は平坦である、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記垂直壁の内側は湾曲している、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記領域から前記流体の一部が蒸発したと判断することと、
前記判断に基づいて、流体送達サブシステムを介して追加の流体を送達することと、をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記流体送達サブシステムは、流体リザーバに連結された導管を備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記領域から前記流体の一部が蒸発したと判断することは、
前記流体中の気泡の存在を検出することと、
閾値数の気泡が検出されたと判断することと、を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
核酸配列決定のための光学画像化システムであって、
アクチュエータと、
基板を受けるように構成された取り付け要素と、
近位端および遠位端を有する対物レンズと、を備え、
前記基板は、1つ以上の核酸配列を含み、前記基板の外表面は、液滴を受けるように構成され、前記基板の前記外表面は第1の材料を含み、
前記対物レンズの前記近位端は前記アクチュエータに連結され、前記対物レンズの前記遠位端は前記基板の前記外表面の近くに位置するように構成され、前記対物レンズの前記遠位端は第2の材料を含み、前記第2の材料は、前記第1の材料よりも液滴に対して高い摩擦力を与えるように構成され、
前記アクチュエータは、前記対物レンズを前記基板の前記外表面上の第1の場所から前記基板の前記外表面上の第2の場所に移動させるように構成され、前記対物レンズを移動させることは、前記対物レンズおよび前記基板の前記外表面が前記第2の場所で前記液滴との接触を保持するように、前記対物レンズの前記遠位端とともに前記液滴を移動させるように構成されている、システム。
【請求項25】
前記液滴は油を含み、前記第1の材料は疎油性であり、前記第2の材料は親油性である、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記液滴は水を含み、前記第1の材料は疎水性であり、前記第2の材料は親水性である、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1の材料はテフロンを含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記第2の材料は、ガラス、二酸化ケイ素、サファイア、または酸化カルシウムを含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記対物レンズの前記遠位端は、前記対物レンズと前記液滴との接触を保持しやすいように凹状である、請求項24に記載のシステム。
【請求項30】
前記対物レンズの前記遠位端は、45mmと160mmとの間の曲率半径と、0.6mmと2.1mmとの間の深さとを有する、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記アクチュエータは、前記対物レンズを前記第1の場所から前記第2の場所に15mm/秒の速度で移動させるように構成されている、請求項24に記載のシステム。
【請求項32】
前記基板の前記外表面への液滴送達のための液滴送達サブシステムをさらに備える、請求項24に記載のシステム。
【請求項33】
前記対物レンズおよび前記基板の前記外表面が前記液滴と接触しているかどうかを判断するための液滴監視サブシステムをさらに備え、
前記液滴送達サブシステムは、前記液滴監視サブシステムによる否定的な判断時に、追加の液滴を送達するよう構成されている、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記液滴送達サブシステムは、流体リザーバに連結された導管を備える、請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
核酸配列決定のために基板を光学的に画像化する方法であって、前記方法は、
前記基板の外表面に液滴を配置することであって、前記基板は、1つ以上の核酸配列を有し、前記基板の前記外表面は第1の材料を含む、液滴を配置することと、
対物レンズの遠位端が液滴と接触するように、前記基板の前記外表面の上の第1の場所に前記対物レンズを位置付けることであって、前記対物レンズの前記遠位端は第2の材料を含み、前記第2の材料は、前記第1の材料よりも液滴に対して高い摩擦力を与えるように構成されている、対物レンズを位置付けることと、
前記対物レンズを前記基板の前記外表面上の第2の場所に移動させることと、を含み、
前記対物レンズを移動させることは、前記対物レンズおよび前記基板の前記外表面が前記第2の場所で前記液滴との接触を保持するように、前記対物レンズの前記遠位端とともに前記液滴を移動させるように構成されている、方法。
【請求項36】
前記液滴は油を含み、前記第1の材料は疎油性であり、前記第2の材料は親油性である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記液滴は水を含み、前記第1の材料は疎水性であり、前記第2の材料は親水性である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の材料はテフロンを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第2の材料は、ガラス、二酸化ケイ素、サファイア、または酸化カルシウムを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記対物レンズの前記遠位端は、前記対物レンズと前記液滴との接触を保持しやすいように凹状である、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記対物レンズの前記遠位端は、45mmと160mmとの間の曲率半径と、0.6mmと2.1mmとの間の深さとを有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記対物レンズを、前記第1の場所から前記第2の場所に15mm/秒の速度で移動させる、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記対物レンズおよび前記基板の前記外表面が前記液滴と接触していないと判断することと、
前記判断に基づいて、液滴送達サブシステムを介して、追加の液滴を送達することと、
をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記液滴送達サブシステムは、流体リザーバに連結された導管を備える、請求項43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、「Systems and Methods for Optical Scanning and Imaging Through a Fluid Medium for Nucleic Acid Sequencing」についての2020年6月29日出願の米国仮特許出願第63/045,566号の優先権を主張するものであり、この出願の全体は、この言及によってここに組み込まれるものとする。
【0002】
(関連する分野)
本発明は、一般に、画像化システムに関連し、特に、一般に核酸配列決定および生化学実験に使用するための画像化システムに関連するものである。
【背景技術】
【0003】
生化学実験の画像から有用なデータを得るには、高い空間分解能、精度、及び速度が必要である。このような画像は、典型的には、個々のサンプルを明確に解像するのに十分な高倍率で取得される必要がある。同時に、サンプルを正しく識別するためには、画像は十分な広さの視野をカバーする必要がある。大規模な研究では、画像化および画像処理を、商業的に実現可能なように十分に迅速に行われなければならない。
【0004】
ステップアンドリピートイメージャと時間遅延積分(TDI)イメージャは、生化学実験の画像化(イメージング)に使用することができる2つの広範なタイプの画像化システムである。ステップアンドリピートシステムは、約5μmのアライメント精度で、毎秒約10メガピクセルの画像データを取得することができる。TDIシステムは、約50nmのアライメント精度で、毎秒約30メガピクセルの画像データを取得することができる。この2種類のシステムは、用途によっては十分に機能するが、その他の用途では、構造的および機能的に不利な点があり、全体のスループットに悪影響を及ぼす。例えば、大規模な生化学実験の研究(例えば、超並列全ゲノム配列決定など)を伴う用途では、典型的には、ステップアンドリピートおよびTDI画像化システムが現在提供できるものよりも高い全体的なスループットが必要とされる。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、生化学反応を画像化するためのシステム及び方法を提示する。本システム及び方法は、例えば、基板上に配置されたテンプレート(鋳型)核酸分子の配列決定に使用され得る。基板は、生化学分子を有するスポットのアレイを有してもよい。本開示は、基板上で対物レンズを高速に走査することによって基板を画像化するように構成され得る光学画像化システムに関する。開示された光学画像化システムによると、従来のシステムよりも解像度が改善し、それによって、基板上のスポット密度を増加させることができ、その結果、本明細書で説明するように大幅なコスト削減を実現することができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、光学画像化システムは、アクチュエータと、基板を受けるように構成された取り付け要素と、近位端および遠位端を有する対物レンズと、を備えてもよく、前記基板は、1つ以上の核酸配列を含み、前記基板の外表面は、液滴を受けるように構成され、前記基板の前記外表面は第1の材料を含み、前記対物レンズの前記近位端は前記アクチュエータに連結され、前記対物レンズの前記遠位端は前記基板の前記外表面の近くに位置するように構成され、前記対物レンズの前記遠位端は第2の材料を含み、前記第2の材料は、前記第1の材料よりも液滴に対して高い摩擦力を与えるように構成され、前記アクチュエータは、前記対物レンズを前記基板の前記外表面上の第1の場所から前記基板の前記外表面上の第2の場所に移動させるように構成され、前記対物レンズを移動させることは、前記対物レンズおよび前記基板の前記外表面が前記第2の場所で前記液滴との接触を保持するように、前記対物レンズの前記遠位端とともに前記液滴を移動させるように構成されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、核酸配列決定のために基板を光学的に画像化する方法は、基板の外表面に液滴を配置することであって、前記基板は、1つ以上の核酸配列を有し、前記基板の前記外表面は第1の材料を含む、液滴を配置することと、対物レンズの遠位端が液滴と接触するように、前記基板の外表面の上の第1の場所に前記対物レンズを位置付けることであって、前記対物レンズの前記遠位端は第2の材料を含み、前記第2の材料は、前記第1の材料よりも液滴に対して高い摩擦力を与えるように構成されている、対物レンズを位置付けることと、前記対物レンズを前記基板の前記外表面上の第2の場所に移動させることと、を含んでもよく、前記対物レンズを移動させることは、前記対物レンズおよび前記基板の前記外表面が前記第2の場所で前記液滴との接触を保持するように、前記対物レンズの前記遠位端とともに前記液滴を移動させるように構成されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、光学画像化システムは、アクチュエータと、基板を受けるように構成された取り付け要素と、近位端および遠位端を有する対物レンズと、を備えてもよく、前記基板は、前記基板の領域を境界付ける垂直壁を備え、前記垂直壁は、前記領域内に流体を保持するように構成され、前記基板は、1つ以上の核酸配列を有し、前記対物レンズの前記近位端は前記アクチュエータに連結され、前記対物レンズの前記遠位端は前記基板の外表面の近くに位置するように構成され、前記対物レンズの前記遠位端は前記流体に浸されるように構成され、前記アクチュエータは、前記対物レンズの前記遠位端を前記流体に浸したまま、前記基板の前記外表面の上の第1の場所から、前記基板の前記外表面の上の第2の場所に前記対物レンズを移動させるように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、核酸配列決定のために基板を光学的に画像化する方法は、前記基板の領域内に流体を配置することであって、前記領域は、垂直壁によって境界付けられており、前記基板は、1つ以上の核酸配列を有する、流体を配置することと、対物レンズの遠位端が液滴と接触するように、前記基板の外表面の上の第1の場所に前記対物レンズを位置付けることと、前記対物レンズの遠位端を前記流体に浸したまま、前記対物レンズを前記基板の外表面の上の第2の場所に移動させることと、を含んでもよい。
【0010】
この要約は、以下でさらに詳細に説明される本開示の異なる実施形態を簡略化した形で紹介するために提供される。この要約は、請求された主題の範囲を限定するために使用されることを意図していない。請求された主題の他の特徴、詳細、効用、及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】光学画像化システムの概略図である。
図1B】光学画像化システムの概略図である。
図2】サブ領域のアレイに分割された、図1に示す基板を示す図である。
図3A】対物レンズと基板との間に液滴が配置され、保持される光学画像化システムの例示的な実施形態を示す図である。
図3B】対物レンズと基板との間に液滴が配置され、保持される光学画像化システムの例示的な実施形態を示す図である。
図3C】凹状の遠位端を有する対物レンズの例示的な実施形態の断面を示す図である。
図4】液滴監視サブシステム及び液滴送達サブシステムを備える光学画像化システムの例示的な概略図である。
図5A】基板の外表面上に配置された流体中に対物レンズの遠位端が浸された、光学画像化システムの代替的な実施形態を示す図である。
図5B】基板の外表面上に配置された流体中に対物レンズの遠位端が浸された、光学画像化システムの代替的な実施形態を示す図である。
図5C】近位部分及び遠位部分を有する対物レンズの例示的な実施形態を示す図であり、遠位部分は、流体中に浸漬される遠位端を有する。
図5D】湾曲した垂直壁を有する例示的な実施形態を示す図である。
図6】基板上の核酸配列を配列決定するために、基板を光学的に画像化する例示的な方法を示す図である。
図7】基板上の核酸配列を配列決定するために、基板を光学的に画像化するための別の例示的な方法を示す図である。
【0012】
一般的な慣行に従って、記載された特徴及び要素は縮尺通りに描かれるのではなく、本開示に関連する特徴及び要素を強調するために描かれている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、生化学反応の画像化に使用され得る光学画像化システムを説明する。例えば、開示された光学画像化システムは、テンプレート核酸分子(例えば、DNA分子、RNA分子)の配列決定に使用され得る。いくつかの実施形態では、テンプレート核酸分子は、光学画像化システムによって画像化され得る基板の表面(例えば、フローセルの内表面)に結合されてもよいし、あるいは、その上に配置されてもよい。例えば、DNAのテンプレートは、基板(例えば、フローセル)の平面的な内表面におけるアレイ上の10e7を超える位置(スポット)に固定化されてもよい。この例では、核酸配列決定方法は、400超の配列決定サイクルを実行することを含んでもよい。各サイクルにおいて、1つのヌクレオチド(例えば、アデニン、グアニン、チミン、およびシトシン)は、基板全体に流れ、相補的なヌクレオチド塩基が存在する各サイトで(成長鎖に)取り込まれ得る。1つのアプローチでは、4つの異なるヌクレオチドのそれぞれを異なる色の蛍光色素で標識したり、色素標識抗体で結合させたりすることができる。各配列決定サイクルにおいて、光源(例えば、レーザー)がスポットを照射し(例えば、直列に)、これによって、色素がそれぞれの色に対応する光を放出してもよい。各スポットで4つの色素のうちの1つから放出された色は、カメラ(例えば、時間遅延積分電荷結合素子(TDI-CCD)カメラまたは同様のカメラ)により検出されてもよく、画像化システムは、それによって、各スポットについて、検出された色に対応するヌクレオチドの検出を記録することができる。当該技術分野に精通している者であれば、テンプレート種類(例えば、Huangら、2017、Gigascience 6:1-9;Mardisら、2013、Annu Rev Anal Chem 6:287-303参照)、標識システム(例えば、WO2018129214参照)および標識戦略(例えば、US 9,523,125参照)のバリエーションを含む配列決定方法のバリエーションを知っているであろう。従来のシステムでは、放出された光は、基板上のスポットから、ガラスカバースリップ(例えば、基板の上部)を通り、エアギャップを通って、顕微鏡の対物レンズに入り、1つ以上の画像を取り込む(キャプチャする)カメラに到達する。いくつかの実施形態では、対物レンズは、基板からの光線を集めて集束するように構成されたハウジングと、1つ以上のレンズとを備え、光線を集束させてカメラで撮影可能な拡大画像を生成する。本システムは、各サイクル中にアレイ全体が画像化されるように、対物レンズを基板上のスポットのアレイ上でパターン状に移動させるように構成されてもよい。本開示は、核酸分子の配列決定に焦点を当てているが、本開示は、任意の適切な生化学実験を画像化するために、開示された光学画像化システムを使用することを意図している。
【0014】
1ギガ塩基あたりの核酸配列決定に関連するコストの大部分、または少なくとも大部分は、配列決定プロセスで消費される試薬の量である。このため、基板上のサンプルの密度を高めると、核酸配列決定のコストが大幅に削減される。光学的検出に基づくシステムでは、検出システムの光学的開口数(NA)によって、システムの光学的解像度が部分的に決定され、それによって、サンプルの最大密度を決定することができる。高NAの光学系は、低NAの光学系に比べて、より高価で、より大きく、位置合わせやメンテナンスがより困難になる傾向がある。
【0015】
特定の光学系(例えば、共焦点光学系)において、NAは、画像チェーン(image chain)内の最も低い屈折率によって制限され得る。NAが制限される理由は、材料間の各界面における臨界角である。臨界角とは、界面で全反射しない最大光線角度を定義したものである。画像チェーン内の各界面の屈折率が近い場合、臨界角は大きくなる。屈折率の差が大きくなると、臨界角は小さくなり、界面を透過する光量が減少する。光学系の対物レンズは比較的高い屈折率を有し、比較的低い屈折率を持つ画像チェーンのセグメントは比較的小さな臨界角を形成し得るので、対物レンズに透過する光の量が減少してしまう。したがって、高NAシステムのより高価で、より大きく、より複雑な装置に頼らずに、このようなシステムのNAを増加させる1つの方法として、屈折率が低い傾向にある画像チェーンの1つ以上のセグメントの屈折率を上げることが挙げられ得る。そのための方法及びシステムが本明細書に開示される。
【0016】
核酸配列決定に使用される従来の光学系では、最も低い屈折率を有する画像チェーンのセグメントは、多くの場合、例えば、光学系の対物レンズと基板との間などに存在する可能性のあるエアギャップである。エアギャップは一般に約1.00の屈折率を有する。この例では、例示的な光学画像化システムのNAは、約0.8であり得る。空気をより高い屈折率を有する物質で置き換えると、光学系の全体的なNAを増加させることができる。例えば、エアギャップを水で置き換えることで、画像チェーンの最低屈折率を1.33に上昇させてもよい。この例では、エアギャップの代わりに水を用いた同様の光学画像化システムのNAは、約1.0であってもよい。別の例として、エアギャップを標準油に置き換えることで、画像チェーンの最低屈折率を1.51に上昇させてもよい。この例では、エアギャップの代わりに水を用いた同様の光学画像化システムのNAは、約1.2であってもよい。別の例として、エアギャップを高屈折率オイルに置き換えることで、NAをさらに1.4まで上昇させてもよい。別の例として、任意の適切な水性または油性溶液を使用して、最低屈折率に所望の変化を適切に生じさせてもよい。本質的に、本開示では、空気よりも高い屈折率を有する流体を、対物レンズと基板との間の媒体として使用することを提案している。画像チェーンの最低屈折率を上げると、光学画像化システムのNAに直接的かつ測定可能な影響があり、これによって、解像度を向上させ、それに伴って基板上のスポットの密度を増加させることが可能になる。密度の増加により、試薬の必要量が減るので、コストの削減につながる。このことは、エアギャップのある光学画像化システムをベンチマークとし、その密度を1.00、相対コストを1.00設定することで説明できる。このベンチマークを念頭に置いて、エアギャップを水に置き換えると、密度が約1.56に増加し、それに対応して相対コストが約0.64に減少し得る。エアギャップを標準油に置き換えると、密度が約2.25に増加し、それに対応して相対コストが約0.44に減少し得る。エアギャップを高屈折率オイルに置き換えると、密度は約3.06に増加し、それに対応して相対コストが約0.33に減少し得る。
【0017】
空気よりも高い屈折率を有する流体媒体の使用は、液浸対物光学系を用いる標準的な顕微鏡用途においてよく知られているが、そのような用途は、静的な画像処理を伴うものである。動的画像化プロセス、例えば対物レンズが基板上を急速に移動しながら基板を画像化するための本明細書で意図される走査光学系では、従来の液浸対物光学系では不十分である。例示的な光学走査システムは、対物レンズを10mm/秒から60mm/秒の間の速度で移動させることができる。場合によっては、対物レンズを300mm/秒程度で移動させることができる次世代シーケンサーが装備されてもよい。このような流体媒体内で従来のシステムの対物レンズをこのような高速で移動させると、過度の乱流(及び気泡の発生)を引き起こす傾向があり、画質に影響を与えるだけでなく、流体媒体を損失させる可能性がある。本開示では、対物レンズを急速に移動させたときに通常現れる潜在的な問題に対処しつつ、エアギャップをより高い屈折率の流体媒体と置き換える解決策のための2つのアプローチについて説明する。いくつかの実施形態では、ここに開示されたアプローチを使用して、流体媒体を用いて良好な画像品質を維持しながら、対物レンズを10mm/秒と60mm/秒との間、または10mm/秒と300mm/秒との間の速度で移動させることができる。いくつかの実施形態では、非常に高い速度を達成することができ、10mm/秒と3750mm/秒との間、または30mm/秒と3750mm/秒との間の速度を可能にすることができる。これにより、例えば約1M/秒のカメララインレートで高速の走査及び画像化が可能になる。
【0018】
図1Aは、光学画像化システム100の例示的な概略図である。例えば、図1Aを参照すると、光学画像化システム100は、対物レンズ110を備える。対物レンズ110は、基板120の画像を取り込む際に使用するように構成されてもよい。図1Aを参照すると、対物レンズ110は、近位端110-1及び遠位端110-2を有してもよい。対物レンズ110の近位端110-1は、アクチュエータに(直接的または間接的に)連結されてもよく、対物レンズ110の遠位端110-2は、基板120の外表面120-1の近くに位置するよう構成されてもよい。いくつかの実施形態では、生化学分子は、基板の内部(例えば、基板の内表面)に結合されていてもよいし、または、その上に配置されていてもよい。例えば、基板の内表面は、1つ以上の標的核酸配列を含んでもよい。いくつかの実施形態では、基板の外表面は、基板の残りの部分の上に取り外し可能に位置付けられ得る別個の要素の表面であってもよい。例えば、図1Aを参照すると、基板120の外表面120-1は、基板の残りの部分(例えば、図1を参照すると、基板の底部。これは上壁以外の部分であってもよい)の上に位置付けられるカバースリップの表面であってもよい(例えば、基板は、カバースリップ以外で上部が覆われていないフローセル)。この例では、ポリヌクレオチドなどの生化学分子は、基板の底部の内表面に配置されてもよく、カバースリップなどの要素は、基板の底部の上に位置してもよい。他の実施形態では、基板は、外表面が基板に一体化された、より一体化した構造であってもよい。例えば、図1Aを参照すると、外表面120-1は、基板120の一体化された、取り外し不可能な部分であってよい。この例では、基板120内に1つ以上のチャンバー及び/または導管があってもよく、核酸配列などの生化学分子は、チャンバー及び/または導管の内表面に配置されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、光学画像化システム100は、基板120の外表面120-1上の複数の場所(location)にわたって対物レンズを移動(すなわち「走査」)させるためのアクチュエータを備えてもよい。例えば、図1Aを参照すると、対物レンズ110は、アクチュエータ130に連結されている。アクチュエータは、図1Aでは単一のブロックとして図示されているが、アクチュエータは、基板120の外表面120-1上を、対物レンズを移動させることができるマルチコンポーネントのサブシステムであってもよいことが理解されよう。
【0020】
図1Bは、光学画像化システム101の別の例示的な概略図である。いくつかの実施形態では、光学画像化システムは、基板(例えば、フローセル)の1つ以上の画像を取り込む(capture)際に使用するように構成された対物レンズを備えてもよい。フローセルの一実施形態が、図1Bに概略的に示されている。図示されているように、フローセルは、第1の基板120、第2の基板140、及び流れ空間(フロースペース)150を備える。一つのアプローチでは、核酸テンプレート分子(例えば、DNB)は、基板の内表面(例えば、表面120-2または140-1)上の位置に固定化され、試薬および洗浄バッファーは、空間150を通って流される。したがって、空間150は一般に水性環境であり、これは、空間150に配置された核酸テンプレートを保存するために必要であり得る。位置(positions)、またはスポットは、表面120-2または140-1上の規則的な秩序配列として組織化されてもよく、核酸テンプレート分子を含むように適合されている。例えば、上記位置は、核酸分子(例えば、DNB、ブリッジ増幅によって生成されたテンプレートクラスタ、または他のテンプレート)、ウェル、または他の構造を結合するために誘導体化された基板表面の領域であってもよい。配列決定または他の分析のプロセスにおいて、検出可能な光信号、例えば蛍光または発光信号が、テンプレート分子に関連する色素によって放出される。例えば、合成による配列決定法では、色素は、それぞれの位置で成長する鎖に取り込まれたヌクレオチドに結び付けられるか、あるいは、取り込まれたヌクレオチドに結合したアフィニティー試薬に関連して結合されてもよい。放出された信号(以下、「蛍光」信号と呼ぶ)は、表面140-1または120-2に固定化されたテンプレートから、基板(例えば、ガラスカバースリップ)120、およびギャップ160を通って、対物レンズの遠位端110-2まで進む。このアプローチでは、基板120は光信号に対して透明であるが、基板140は不透明であってもよい。本明細書の他の箇所で説明されるように、ギャップ160は水またはオイルを含んでもよい。あるアプローチでは、核酸テンプレートは、基板120の表面120-2に固定化される。あるアプローチでは、核酸テンプレートは、表面120-2のパターン化されたアレイ上に位置付けられる。これらのアプローチ(例えば、核酸テンプレートが表面120-2に位置付けられている場合)では、蛍光信号は、空間150の水性環境中を進む必要はない。これは、特に、ギャップ160に油または比較的高い屈折率を有する別の材料が含まれている場合に有利であり得る。以下に説明するように、画質および解像度は、光線が通過する最も低い屈折率の媒体によって部分的に制限されるからである。したがって、(表面120-2に核酸テンプレートを配置することにより)光線の経路から水性媒体を排除すると、空間150内の比較的低屈折率の水性媒体を排除することによって、画質及び解像度を向上させることができる。例えば、核酸テンプレートが表面120-2に位置する場合、核酸テンプレートからの光線は、画像化される前に、基板120、油または他の高屈折率材料、および対物レンズを通過するだけでよい。すなわち、光線は、空間150に存在する必要があり得る水性媒体を通過する必要はない。いくつかの実施形態では、核酸テンプレートは、表面140-1上に配置されてもよい。疑義を回避するために、特定のフローセルの説明は、本発明を限定することを意図したものではない。
【0021】
図2は、サブ領域のアレイに分割された、図1に示された基板120を示す図である。いくつかの実施形態では、基板は、複数のサブ領域に分割されてもよい。例えば、図2を参照すると、基板120は、第1のサブ領域210及び第2のサブ領域220のような複数のサブ領域を有してもよい。あるアプローチでは、基板は、DNAがテンプレート化する(例えば、DNBが固定化される)誘導体化された領域(「スポット」)のパターン化されたアレイを有する。いくつかの実施形態では、サブ領域間に物理的障壁が存在してもよい。他の実施形態では、サブ領域は、物理的障壁によって分離されていなくてもよい。すなわち、領域間の分割は、構造的要素によって境界付けられていない仮想的な分割であってもよい。サブ領域のそれぞれは、スポットに対応してもよく、スポットのそれぞれは、分子の特定のサブセット(例えば、DNAテンプレート鎖の特定のセット)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、基板の異なるサブ領域間で対物レンズを移動させるように構成されてもよい。例えば、図2を参照すると、アクチュエータは、基板120の外表面120-1上の第1の場所(例えば、サブ領域210に対応する)から、基板120の外表面120-1上の第2の場所(例えば、サブ領域220に対応する)へ対物レンズを移動させるように構成されてもよい。図2は、離散的なサブ領域(例えば、第1のサブ領域210及び第2のサブ領域220)に分割された基板120を図示しているが、本開示は、基板が全く離散的なサブ領域に分割されていなくてもよく、アクチュエータが、基板120を画像化しながら、基板120の外表面120-1の上で、ある場所から別の場所に連続して移動するだけでもよいことを意図している。
【0022】
図3A図3Bは、対物レンズ110と基板120との間に液滴310を配置し、保持する、光学画像化システム100の例示的な実施形態を示す図である。いくつかの実施形態では、光学画像化システム100では、光学走査システムに従来から存在するエアギャップを、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する流体の液滴に置き換えられ得る。例えば、図3Aを参照すると、光学システム100には、対物レンズ110の遠位端110-2と基板120の外表面120-1との両方に接触するように液滴310が配置される。それによって、液滴の流体は、対物レンズ110と基板120との間をエアギャップなしに光線が通過することができる媒体として機能する。いくつかの実施形態では、液滴は、水の液滴、油の液滴、水性溶液の液滴、または油性溶液の液滴であってよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、液滴310は、液滴送達サブシステムによって配置されてもよい。液滴送達サブシステムは、例えば、流体リザーバに連結された導管(例えば、パイプまたは他の適切な流路)を備えてもよい。液滴送達サブシステムは、流体リザーバ内の流体から液滴を生成するように構成された任意の適切なマイクロ流体液滴生成器(microfluidic droplet generator)を備えてもよい。液滴生成器は、適切な所定の大きさで液滴を生成するように構成されてもよい。液滴は、導管を介して導かれ、誘電体上エレクトロウェッティング(EWOD)または圧力差などの任意の適切な手段を用いて、基板120の外表面120-1の適切な場所に位置付けられてもよい。
【0024】
図3A図3Bは、基板120の1つ以上の画像を撮影する際に、対物レンズ110を、基板120上において第1の場所(図3A)から第2の場所(図3B)へ移動させる方法を示す図である。上述したように、この移動は、高速で(例えば、15mm/秒、300mm/秒)行われてもよい。この高速な移動にもかかわらず、光学画像化システム100は、対物レンズ110の遠位端110-2と基板120の外表面120-1との間に液滴310が残るように、液滴310を(その全体を、または流体の損失がほとんどない略全体を)対物レンズ110の遠位端110-2の下の位置に保持することができる。対物レンズ110を移動させる際に、移動中及び移動終了時に、遠位端110-2と基板の外表面120-1との両方が液滴との接触を保持してもよい。光学画像化システム100は、対物レンズ110と基板120との間にエアギャップが存在することなく、液滴310を流体媒体として機能させながら、そのような複数回の移動にわたって基板120を画像化することができる。
【0025】
図3A図3Bは、図1Aの簡略化された概略図の単一基板設計に関する上記の概念を示しているが(例えば、画像化される核酸配列は、基板120上または基板120内部に配置されてもよい)、本開示は、2つの基板が存在する図1Bの概略図にも、同じ概念が適用されることを意図していることに留意されたい。例えば、図1Bを参照すると、図3A図3Bに従って画像化される核酸配列は、空間150内に配置されてもよい(例えば、表面120-2または表面140-1に結合されてもよい)。
【0026】
いくつかの実施形態では、光学画像化システム100は、対物レンズ110の遠位端110-2及び/または基板120の外表面120-1の表面化学をエンジニアリングすることによって、部分的に上記のように液滴310を保持することが可能になり得る。より具体的には、表面化学は、流体媒体と対物レンズ110の遠位端110-2との間の摩擦及び/または流体媒体と基板120の外表面120-1との間の摩擦が最適化されて、液滴保持性を高められるように選択されてもよい。本開示の目的のために、摩擦(摩擦力)は、遠位端110-2または外表面120-1に対して摺動する流体媒体の相対運動に抵抗する力として特徴付けられてもよい。いくつかの実施形態では、基板の外表面120-1は、第1の材料を含んでもよく、対物レンズの遠位端110-2は、第2の材料を含んでもよく、第2の材料は、第1の材料よりも液滴に対して高い摩擦力を与えるように構成されてもよい。すなわち、液滴310が、対物レンズの遠位端110-2で比較的高い摩擦力を受け、基板120の外表面120-1で比較的低い摩擦力を受けるように、表面化学が構成されてもよい。このような構成により、対物レンズ110が移動する際に、液滴310のうち対物レンズの遠位端110-2に接触している部分が遠位端に引き付けられ、それによって、対物レンズ110とともに液滴が動かされる。対照的に、液滴310のうち基板の外表面120-1に接触している部分は、同様に基板の外表面120-1に引き付けられることはなく、基板の外表面120-1は、液滴310が外表面120-1に付着することなく外表面120-1を自由に移動できるように、実際には液滴310をはじいてもよい。別の言い方をすれば、表面化学は、対物レンズの遠位端110-2が液滴310を引きつけるように構成され、基板の外表面120-1が液滴310をはじく(反発する)ように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、特定の流体媒体(例えば、油または水溶液)の液滴が表面上に配置されるとき、液滴が所望の接触角で留まるように、材料が選択されてもよい。例えば、表面120-1に配置された流体媒体の液滴は、93度と160度との間の接触角を有していてもよい。接触角が大きいほど、液滴表面による反発力が大きくなるので、望ましい場合がある。別の例として、接触角は、11度と120度との間であってもよい。同様に、対物レンズ110の遠位端110-2の材料は、その材料で作られた平坦な表面上に置かれた流体媒体の液滴が、20度と80度との間の接触角を有するように選択されてもよい。
【0027】
様々な表面と流体との間の摩擦の程度を、周知の手段によって決定し、比較することができる。異なる材料組成を有する表面は、特定の流体に対して異なる摩擦の程度を有し得る。特定の流体媒体に対する相対的な摩擦に基づいて、上述の引きつける/反発する効果を達成するために、適切な材料が選択されてもよい。いくつかの実施形態では、液滴310が例えば水または水性である場合、基板の外表面120-1の第1の材料は、疎水性材料(例えば、ガラス、二酸化ケイ素、サファイア、酸化カルシウム、テフロン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、パーフルオロアルコキシアルカン)を含み、対物レンズの遠位端110-2の第2の材料は、親水性材料(例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、シンパテックス)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、液滴310が、例えば、油または油性である場合、基板の外表面120-1の第1の材料は、親油性材料(例えば、硫酸バリウム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、炭素系スポンジ、機能性ポリマースポンジ、カポック/ミルクウィード種毛)を含み、対物レンズの遠位端110-2の第2の材料は、疎油性材料(例えば、テフロン及びテフロン誘導体、ヘキサデカン、ポリテトラフルオロエチレン)を含んでもよい。
【0028】
図3Cは、凹状の遠位端110-2を有する対物レンズ110の例示的な実施形態の断面を示す図である。いくつかの実施形態では、対物レンズ110が移動する際に、対物レンズ110と液滴310との間の接触を保持しやすいように、対物レンズ110の遠位端110-2は凹状であってもよい。これらの実施形態では、遠位端110-2の湾曲は、引き付ける力を増加させ、対物レンズ110と共に液滴を引っ張ることを補助する役割を果たし得る。遠位端110-2の曲率半径及び深さは、液滴送達サブシステムの液滴生成器によって生成される液滴310の大きさに基づいて最適化されてもよい。例えば、遠位端110-2は、45mmと160mmとの間の曲率半径を有し、0.6mmと2.1mmとの間の深さを有してもよい。これらの範囲は、例えば、対物レンズが移動する際に液滴を保持するのに役立つという点で有利であることが分かった。いくつかの実施形態では、遠位端110-2は、凹状であってもよく、かつ、上述のような表面化学(例えば、遠位端110-2が、液滴に対してより高い摩擦力及び引きつける力を有する材料を含む)も有していてもよい。それによって、液滴310を対物レンズ110とともに移動させるという遠位端110-2の能力が高められる。これらの実施形態において、遠位端110-2の凹部は、遠位端110-2が平坦な表面である場合よりも、液滴310と接触する表面積が大きくなる(これは液滴310に対して摩擦力および引き付ける力を与え得る)ので、この目的を達成するための一定のレベルの相乗効果を提供し得る。
【0029】
図4は、液滴監視サブシステム及び液滴送達サブシステムを備える光学画像化システム100の例示的な概略図である。いくつかの実施形態では、図4に示されるように、光学画像化システム100は、対物レンズ110及び基板120の外表面120-1が液滴310と接触しているかどうかを判断するために、光学スキャナ(対物レンズ110及びアクチュエータ130などの基板120を画像化するハードウェアを備える)を(連続的または周期的に)監視する液滴監視サブシステムを備えてもよい。液滴監視サブシステムは、この判断を行うために、任意の適切な手段を使用してもよい。例えば、抵抗または静電容量センサを使用して液滴310の存在を判断したり、光学センサを使用して液滴310の存在を検出したりしてもよい。または、単に対物レンズ110を介して取り込まれた画質を分析して、光線が適切に屈折していること(それによって液滴310が依然として存在していることが示される)ことを確認してもよい。対物レンズ110及び基板120の外表面120-1が両方とも液滴310と接触していないと判断された場合、液滴送達サブシステムがトリガーされ、追加の液滴を基板120の外表面120-1上の適切な場所(例えば、対物レンズ110の下)に、光学スキャナに送達してもよい。このように、液滴監視サブシステム及び液滴送達サブシステムは、光学スキャナと連携して、長期間にわたって液滴310を保持し、及び/または、液滴310が対物レンズ110の下の位置から外れる原因となったシステム誤差を修正するように動作するフィードバック制御ループを形成してもよい。
【0030】
図5A~5Bは、光学画像化システム100の代替的な実施形態を示す図であり、対物レンズの遠位端110-2が、基板120の外表面120-1上に配置された流体510に浸されている。いくつかの実施形態では、図5Aを参照すると、基板は、基板の一領域を境界付ける(囲む)垂直壁525を備える。垂直壁525は、その領域内に流体510を保持するように構成されてもよい。流体は、対物レンズ110の遠位端110-2を所望の深さで浸漬するのに十分なレベルに維持されていてもよい。流体は、液滴310に関して上述した流体を含む、任意の適切な流体であってよい。いくつかの実施形態では、垂直壁525は、基板の一部であってもよい(例えば、基板にモールドされていてもよい)。代替的な実施形態では、垂直壁525は、基板の一部でなくてもよく、代わりに、基板上に延びる光学画像化システム100の筐体の一部であってもよく、それによって同じまたは類似の効果が得られる。
【0031】
これらの実施形態において、アクチュエータが基板120上の第1の場所(図5A)から第2の場所(図5B)に移動されるとき、遠位端110-2は流体中に浸されたままであってもよい。したがって、光線は、エアギャップを通らずに、流体を通って対物レンズ110と基板120の間を進むことができる。いくつかの実施形態では、対物レンズ110の遠位端110-2は、対物レンズが第1の場所から第2の場所に移動する際の乱流を低減するために平坦であってよい。上述したように、高スループットの画像化アプリケーションでは、対物レンズの高速な移動が必要となり得るが、これによって乱流が増幅される可能性がある。また、上述したように、乱流は、(例えば、望ましくない画像アーチファクトを生じさせ得る泡または流れの収差を形成することによって)画質に悪影響を及ぼし、及び/または、時間の経過とともに流体510の損失を引き起こす可能性がある。この乱流を低減することで、これらの問題に対処している。液滴を使用する光学画像化システム100の実施形態とは異なり、流体に浸漬された状態で対物レンズを移動させる実施形態では、凹状の遠位端110-2が問題を引き起こす可能性がある。これは、凹状の遠位端110-2を有する対物レンズ110の周りの流体510が、凹状の遠位端110-2に接触する流体510が曲率の異なる点に沿って異なる速度で流れ、非層流の状態で流れるような流れプロファイルを有するからである。この流れのパターンは、対物レンズ110の移動に伴って領域全体に伝播し、それによって過度な乱流が生じてしまう。これに対し、平坦な遠位端110-2によると、より層流が得られることで、そのような乱流を減少させ得る。
【0032】
図5Cは、近位部分112及び遠位部分114を有する対物レンズ110の例示的な実施形態を示し、遠位部分114は、流体510中に浸漬された遠位端110-2を有する。このような実施形態では、遠位部分全体(または代替的に、流体510に浸漬されると予想される遠位部分の少なくとも一部)は、非テーパ(例えば、円筒形)であってもよい。これにより、対物レンズ110の移動する際に層流がさらに生じやすくなり、乱流を減少させることができる。
【0033】
図5Dは、湾曲している垂直壁526を備える例示的な実施形態を示す。いくつかの実施形態では、垂直壁の内側(interior)は、図5A~5Cの垂直壁525のように、基板120の外表面120-1に対して垂直である。他の実施形態では、垂直壁の内側は、基板120の外表面120-1に対して垂直でなくてもよく、斜めに配置されてもよい。いくつかの実施形態では、垂直壁の内側は、図5A~5Cの垂直壁525のように平坦であってよい。他の実施形態では、垂直壁の内側は、図5Dの垂直壁526のように湾曲していてもよい。垂直壁の内側は、任意の適切なプロファイルに従って形成されてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、垂直壁525の高さは、垂直壁525によって境界付けられた(囲まれた)領域内に流体510を保持し、対物レンズ110が領域内を移動する際に流体510が飛び散る、あるいは他の方法でその領域から流出することを防止するのに十分な高さに最適化されてもよい。
【0035】
対物レンズ110が流体中に浸漬される実施形態(例えば、図5A~5Dに例示される実施形態)も、図4に例示されるものと類似のフィードバック制御ループを有していてもよい。そのような場合、液滴監視サブシステム及び液滴送達サブシステムは、それぞれ、流体監視サブシステム及び流体送達サブシステムに置き換えられてもよい。いくつかの実施形態では、流体監視サブシステムは、垂直壁525によって境界付けられた領域内の流体510のレベルが、対物レンズ110を浸漬するのに十分であることを連続的または周期的に判断してもよい。例えば、流体監視サブシステムは、流体レベルを光学的または電気的に監視し、流体510の重量を(例えば、基板120及び流体510の重量を測定する基板の下のスケールを用いて)監視し、または単に、光線が適切に屈折している(それによって、対物レンズ110がまだ流体510に浸されていることを示す)ことを確認するために対物レンズ110を介して取り込まれた画質を分析してもよい。別の例として、流体監視サブシステムは、光学センサを使用して流体中の気泡の存在を検出することにより、気泡が流体の蒸発を示し得ることから、ある量の流体が蒸発または領域から流出したかを判断してもよい。流体監視サブシステムは、気泡の量と、蒸発した流体の量とを相関させることができる。いくつかの実施形態では、流体監視サブシステムが、閾値量の流体が蒸発あるいは流出したと判断した場合(例えば、閾値数の気泡が検出されたことに基づいて、流体レベルライン(液面)が閾値量だけ低下したことが電気的または光学的に検出されたことに基づいて)、流体送達サブシステムがトリガー(作動)されて、失われた流体が自動的に補充されてもよい。例えば、流体送達サブシステムは、流体リザーバに連結された導管を備えてもよく、適切な量の置換流体が、任意の適切な手段(例えば、EWOD、ポンプによって生じる圧力差)によって領域に輸送されてもよい。
【0036】
図5A図5Dは、図1Aの簡略化された概略図の単一基板設計に関して上記の概念を示しているが(例えば、画像化された核酸配列は、基板120上または基板120の内部に配置されてもよい)、本開示は、同じ概念が、2つの基板が存在する図1Bの概略図に適用されることを意図していることに留意されたい。例えば、図1Bを参照すると、図5A図5Dに従って画像化される核酸配列は、空間150内に配置(例えば、表面120-2または表面140-1に結合)されてもよい。
【0037】
図6は、核酸配列を配列決定するために基板を光学的に画像化するための例示的な方法600を示す。本方法は、ステップ610において、基板の外表面上に液滴を配置することを含んでもよい。基板は1つ以上の核酸配列を含み、基板の外表面は第1の材料を含む。ステップ620において、本方法は、対物レンズの遠位端が液滴と接触するように、基板の外表面上の第1の場所に対物レンズを位置付けることを含んでもよい。対物レンズの遠位端は第2の材料を含み、第2の材料は、液滴に対して、第1の材料よりも高い摩擦力を与えるように構成されている。ステップ630において、本方法は、対物レンズを基板の外表面上の第2の場所に移動させることを含んでもよい。対物レンズの移動は、第2の場所で対物レンズ及び基板の外表面が液滴との接触を保持するように、対物レンズの遠位端とともに液滴を移動させるように構成されている。
【0038】
特定の実施形態では、必要に応じて、図6の方法の1つ以上のステップを繰り返してもよい。本開示は、図6の方法の特定のステップが特定の順序で発生するものとして説明及び図示しているが、本開示は、図6の方法の任意の適切なステップが任意の適切な順序で発生することを意図している。さらに、本開示は、図6の方法の特定のステップを含む、基板上の核酸配列を配列決定するために基板を光学的に画像化するための例示的な方法を説明し、図示しているが、本開示は、基板上の核酸配列を配列決定するために基板を光学的に画像化する任意の適切な方法を意図しており、必要に応じて、図6の方法のステップの全て、一部を含んでもよいし、またはいずれも含まなくてもよい。さらに、本開示は、図6の方法の特定のステップを実施する特定の構成要素、デバイス、またはシステムを説明および図示するが、本開示は、図6の方法の任意の適切なステップを実施する任意の適切な構成要素、デバイス、またはシステムの任意の適切な組み合わせを意図するものである。
【0039】
図7は、基板上の核酸配列を配列決定(シーケンス)するために基板を光学的に画像化するための別の例示的な方法700を示す。本方法は、ステップ710において、基板の一領域内に流体を配置することを含んでもよい。その領域は垂直壁によって境界付けられており、基板は(例えば、基板における上記領域に対応する境界内の場所で)1つ以上の核酸配列を含む。ステップ720において、本方法は、対物レンズの遠位端が流体と接触するように、基板の外表面上の第1の場所に対物レンズを位置付けることを含んでもよい。ステップ730において、本方法は、対物レンズの遠位端を流体に浸したまま、対物レンズを基板の外表面上の第2の場所に移動させることを含んでもよい。
【0040】
特定の実施形態では、必要に応じて、図7の方法の1つ以上のステップを繰り返してもよい。本開示は、図7の方法の特定のステップが特定の順序で発生するものとして説明及び図示しているが、本開示は、図7の方法の任意の適切なステップが任意の適切な順序で発生することを意図している。さらに、本開示は、図7の方法の特定のステップを含む、基板上の核酸配列を配列決定するために基板を光学的に画像化するための例示的な方法を説明し、図示しているが、本開示は、基板上の核酸配列を配列決定するために基板を光学的に画像化する任意の適切な方法を意図しており、必要に応じて、図7の方法のステップの全て、一部を含んでもよいし、またはいずれも含まなくてもよい。さらに、本開示は、図6の方法の特定のステップを実施する特定の構成要素、デバイス、またはシステムを説明および図示するが、本開示は、図7の方法の任意の適切なステップを実施する任意の適切な構成要素、デバイス、またはシステムの任意の適切な組み合わせを意図するものである。
【0041】
本明細書に記載された例および実施形態は、例示のみを目的とし、それを考慮した様々な修正または変更は、当業者に示唆され、本願の趣旨および範囲に含まれ、添付の請求項の範囲に含まれるものと理解される。本明細書で引用したすべての刊行物、特許、および特許出願は、すべての目的のために、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0042】
上記の説明は、例示的なものであり、制限的なものではないことが理解されるであろう。多くの実施形態は、上記の説明を検討すれば、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきではなく、代わりに、その均等な全範囲と併せて、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
【0043】
前述の開示は本開示の例示的な態様を示しているが、添付の請求項によって定義される本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正を行うことができる点に留意されたい。本明細書に記載された本開示の態様に従った方法の請求項の機能、ステップ及び/または動作は、任意の特定の順序で実行される必要はない。さらに、本開示の要素は単数形で記載または請求され得るが、単数形への限定が明示されない限り、複数形も意図される。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸配列決定のために光学的画像化システムであって、
アクチュエータと、
内部および外部を有する基板を受けるように構成された取り付け要素と、
前記基板の外部領域を境界付ける垂直壁と、
位端を有する対物レンズと、を備え
記垂直壁は、前記外部領域内に流体を保持するように構成され、前記基板は、前記基板の前記内部において核酸配列と結合するためのスポットのアレイを有し
記対物レンズの前記遠位端は、前記基板の前記外部の近くに位置するように構成され、前記対物レンズの前記遠位端は、前記流体に浸されるように構成されており、
前記アクチュエータは、前記対物レンズの前記遠位端を前記流体に浸したまま、前記基板の外表面の上の第1の場所から、前記基板の前記外表面の上の第2の場所に前記対物レンズを前記基板に対して再配置させるように構成されている、システム。
【請求項2】
前記流体は、油を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記流体は、水を含む、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記対物レンズの前記遠位端は、前記対物レンズを前記第1の場所から前記第2の場所に再配置する際の乱流を低減するように平坦である、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記対物レンズは、近位部分と遠位部分とを有し、前記遠位部分は非テーパである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記アクチュエータは、前記対物レンズを前記第1の場所から前記第2の場所に10mm/秒と3750mm/秒との間の速度で再配置させるように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記垂直壁の内側は平坦である、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記垂直壁の内側は湾曲している、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記外部領域への流体送達のための流体送達サブシステムをさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項10】
前記外部領域から前記流体の一部が蒸発したかどうかを判断するための流体監視サブシステムをさらに備え、
前記流体送達サブシステムは、前記流体監視サブシステムによる、前記流体の一部が蒸発したという肯定的な判断時に、追加の流体を送達するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記流体送達サブシステムは、流体リザーバに連結された導管を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記流体監視サブシステムは、前記流体中の気泡の存在を検出するための光学センサを備え、
前記外部領域から前記流体の一部が蒸発したかどうかを判断することは、前記流体中に閾値数の気泡が検出されるかどうかを判断することを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
核酸配列決定のために基板を光学的に画像化する方法であって、前記方法は、
前記基板の外部域に流体を配置することであって、前記外部領域は、垂直壁によって境界付けられており、前記基板は、前記基板の内部に、核酸配列と結合するためのスポットのアレイを有する、流体を配置することと、
対物レンズの遠位端が前記流体と接触するように、前記基板の外表面の上の第1の場所に前記対物レンズを位置付けることと、
前記対物レンズの前記遠位端を前記流体に浸したまま、前記対物レンズを前記基板の外表面の上の第2の場所に再位置付けすることと、を含む方法。
【請求項14】
前記流体は、油を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記流体は、水を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記対物レンズの前記遠位端は、前記対物レンズを前記第1の場所から前記第2の場所に再位置付けする際の乱流を低減するように平坦である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記対物レンズは、近位部分と遠位部分とを有し、前記遠位部分は非テーパである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記対物レンズを、前記第1の場所から前記第2の場所に、10mm/秒と3750mm/秒との間の速度で再位置付けする、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記垂直壁の内側は平坦である、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記垂直壁の内側は湾曲している、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記外部領域から前記流体の一部が蒸発したと判断することと、
前記判断に基づいて、流体送達サブシステムを介して追加の流体を前記外部領域に送達することと、をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記流体送達サブシステムは、流体リザーバに連結された導管を備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記外部領域から前記流体の一部が蒸発したと判断することは、
前記流体中の気泡の存在を検出することと、
閾値数の気泡が検出されたと判断することと、を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
核酸配列決定のための光学画像化システムであって、
アクチュエータと、
基板を受けるように構成された取り付け要素と、
位端を有する対物レンズと、を備え、
前記基板は、核酸配列と結合するためのスポットのアレイを有し、前記基板の外表面は、液滴を受けるように構成され、前記基板の前記外表面は第1の材料を含み
記対物レンズの前記遠位端は前記基板の前記外表面の近くに位置するように構成され、前記対物レンズの前記遠位端は第2の材料を含み、前記第2の材料は、前記第1の材料よりも液滴に対して高い摩擦力を与えるように構成され、
前記アクチュエータは、前記対物レンズを前記基板の前記外表面上の第1の場所から前記基板の前記外表面上の第2の場所に、前記基板に対して再配置させるように構成され、再配置の間、前記対物レンズおよび前記基板の前記外表面は、前記液滴との接触を保持している、システム。
【請求項25】
前記液滴は油を含み、前記第1の材料は疎油性であり、前記第2の材料は親油性である、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記液滴は水を含み、前記第1の材料は疎水性であり、前記第2の材料は親水性である、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1の材料はテフロン(登録商標)を含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記第2の材料は、ガラス、二酸化ケイ素、サファイア、または酸化カルシウムを含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記対物レンズの前記遠位端は、前記対物レンズと前記液滴との接触を保持しやすいように凹状である、請求項24に記載のシステム。
【請求項30】
前記対物レンズの前記遠位端は、45mmと160mmとの間の曲率半径と、0.6mmと2.1mmとの間の深さとを有する、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記アクチュエータは、前記対物レンズを前記第1の場所から前記第2の場所に10mm/秒と3750mm/秒との間の速度で再配置させるように構成されている、請求項24に記載のシステム。
【請求項32】
前記基板の前記外表面への液滴送達のための液滴送達サブシステムをさらに備える、請求項24に記載のシステム。
【請求項33】
前記対物レンズおよび前記基板の前記外表面が前記液滴と接触しているかどうかを判断するための液滴監視サブシステムをさらに備え、
前記液滴送達サブシステムは、前記液滴監視サブシステムによる、前記対物レンズおよび前記基板の前記外表面が前記液滴と接触していないという否定的な判断時に、追加の液滴を送達するよう構成されている、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記液滴送達サブシステムは、流体リザーバに連結された導管を備える、請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
核酸配列決定のために基板を光学的に画像化する方法であって、前記方法は、
前記基板の外表面に液滴を配置することであって、前記基板は、核酸配列と結合するためのスポットのアレイを有し、前記基板の前記外表面は第1の材料を含む、液滴を配置することと、
対物レンズの遠位端が液滴と接触するように、前記基板の前記外表面の上の第1の場所に前記対物レンズを位置付けることであって、前記対物レンズの前記遠位端は第2の材料を含み、前記第2の材料は、前記第1の材料よりも液滴に対して高い摩擦力を与えるように構成されている、対物レンズを位置付けることと、
前記対物レンズを前記基板の前記外表面上の第2の場所に再位置付けすることと、を含み
記対物レンズおよび前記基板の前記外表面が前記第2の場所で前記液滴との接触を保持するように、前記対物レンズは、再位置付けの間、前記液滴を前記対物レンズの前記遠位端とともに保持するように構成されている、方法。
【請求項36】
前記液滴は油を含み、前記第1の材料は疎油性であり、前記第2の材料は親油性である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記液滴は水を含み、前記第1の材料は疎水性であり、前記第2の材料は親水性である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の材料はテフロン(登録商標)を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第2の材料は、ガラス、二酸化ケイ素、サファイア、または酸化カルシウムを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記対物レンズの前記遠位端は、前記対物レンズと前記液滴との接触を保持しやすいように凹状である、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記対物レンズの前記遠位端は、45mmと160mmとの間の曲率半径と、0.6mmと2.1mmとの間の深さとを有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記対物レンズを、前記第1の場所から前記第2の場所に10mm/秒と3750mm/秒との間の速度で再位置付けする、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記対物レンズおよび前記基板の前記外表面が前記液滴と接触していないと判断することと、
前記判断に基づいて、液滴送達サブシステムを介して、追加の液滴を送達することと、
をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記液滴送達サブシステムは、流体リザーバに連結された導管を備える、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記基板は、第1の基板および第2の基板を有するフローセルを備え、
前記外部領域は、前記第1の基板上にあり、
前記スポットのアレイは、前記第2の基板の内表面上にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項46】
前記基板は、第1の基板および第2の基板を有するフローセルを備え、
前記外部領域は、前記第1の基板上にあり、
前記スポットのアレイは、前記第2の基板の内表面上にある、請求項13に記載の方法。
【請求項47】
前記基板は、第1の基板および第2の基板を有するフローセルを備え、
前記外表面は、前記第1の基板上にあり、
前記スポットのアレイは、前記第2の基板の内表面上にある、請求項24に記載のシステム。
【請求項48】
前記基板は、第1の基板および第2の基板を有するフローセルを備え、
前記外表面は、前記第1の基板上にあり、
前記スポットのアレイは、前記第2の基板の内表面上にある、請求項35に記載の方法。
【国際調査報告】