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特表2023-531257毛包調節のための組成物、方法およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】毛包調節のための組成物、方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20230713BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20230713BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20230713BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20230713BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20230713BHJP
   A61Q 19/04 20060101ALI20230713BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230713BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20230713BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230713BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230713BHJP
   A61K 31/27 20060101ALI20230713BHJP
   A61K 31/4525 20060101ALI20230713BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20230713BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20230713BHJP
   A61K 31/7028 20060101ALI20230713BHJP
   A61K 31/277 20060101ALI20230713BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20230713BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
A61K8/36
A61Q7/00
A61Q5/08
A61Q5/10
A61Q5/06
A61Q19/04
A61P17/00
A61Q19/02
A61K31/519
A61K8/49
A61K31/27
A61K31/4525
A61K8/42
A61K31/165
A61K31/7028
A61K31/277
A61K31/192
A61K8/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580115
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 IB2021055750
(87)【国際公開番号】W WO2021260667
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】116531
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516116507
【氏名又は名称】ユニベルズィダード ドゥ ミンホ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSIDADE DO MINHO
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100181847
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 かおり
(72)【発明者】
【氏名】アルトゥール マヌエル カヴァコ パウロ
(72)【発明者】
【氏名】マリア テレサ ゴンサウヴェス ジ マセド マタマ
(72)【発明者】
【氏名】クリスチアナ フィリパ シャヴェス コスタ
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ パシェコ フェルナンジス
【テーマコード(参考)】
4C083
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C083AC101
4C083AC311
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC841
4C083AC842
4C083AC851
4C083AD201
4C083AD202
4C083BB48
4C083DD14
4C083DD45
4C083EE16
4C083EE22
4C083EE25
4C083EE26
4C083EE27
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC21
4C086CB10
4C086EA03
4C086GA02
4C086GA07
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA24
4C086MA37
4C086MA63
4C086NA12
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZA92
4C086ZC52
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA29
4C206GA19
4C206GA28
4C206HA13
4C206HA24
4C206KA01
4C206KA15
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA44
4C206MA57
4C206MA83
4C206NA12
4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZA92
4C206ZC52
(57)【要約】
本開示は、生物活性剤と、増粘剤と、防腐剤と、変性アルコールとを含む、毛包調節に使用するための組成物に関する。本開示はまた、メラニンの異常な欠陥産生の予防、治療または処置に使用するための、ジピリダモール、ジピリダモール塩、リバスチグミン、リバスチグミン塩、パロキセチン、パロキセチン塩またはそれらの混合物から選択される生物活性剤を含む、医薬組成物をも含む。毛髪調節剤としての当該生物活性剤の使用をも包含する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛包調節用組成物であって、
ジピリダモール、ジピリダモール塩、リバスチグミン、リバスチグミン塩、パロキセチン、パロキセチン塩、エタクリン酸、エタクリン塩、ミドドリン、ミドドリン塩、トピラマート、トピラマート塩、エンタカポン、エンタカポン塩またはそれらの混合物のリストから選択される生物活性剤と、
増粘剤と、
防腐剤と、
変性アルコールと、を含み、
毛包調節は、毛髪の色の調節および/または毛髪のボリュームの調節であり、
パロキセチンおよび/またはパロキセチン塩は、毛髪のボリュームの調節のためには使用されない、
毛包調節用組成物。
【請求項2】
前記生物活性剤は、ジピリダモール、ジピリダモール塩、リバスチグミン、リバスチグミン塩、エタクリン酸、エタクリン塩、ミドドリン、ミドドリン塩、トピラマート、トピラマート塩、エンタカポン、エンタカポン塩またはそれらの混合物のリストから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
0.001~50重量%の前記生物活性剤、好ましくは0.01~25重量%の前記生物活性剤、より好ましくは0.2~8重量%の前記生物活性剤を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記増粘剤は、アクリレーツコポリマーナトリウムおよびレシチン、ステアリン酸/イソステアリン酸/ミリスチン酸/ラウリン酸/パルミチン酸アルミニウム、ジステアリン酸グリコール、水添ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油、イソステアリン酸水添ヒマシ油、ステアリン酸水添ヒマシ油、PEG-8エステル水添ヒマシ油、ジステアリン酸PEG-150、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸/カルボマー、カルボマー934、TEAカルボマー、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー、カルボマーナトリウム、デキストラン硫酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、サーファクチンナトリウム、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトライト、ステアレス-30/-40/-50、キサンタンガム、植物性ガム、サイミ(Ahnfeltia concina)抽出物、ユーグレナ多糖類またはそれらの混合物のリストから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記防腐剤は、フェノキシエタノールおよびエチルヘキシルグリセリン、ブチルパラベン、ジアゾリジニル尿素、DMDMヒダントイン、エチルパラベン、イミダゾリジニル尿素、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、イソブチルパラベン、メチルパラベン、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、Germaben II、Germall Plus、Kathon、ソルビン酸カリウム/ソルビン酸、クオタニウム-15、ポリオキシメチレン尿素、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、ブロノポール、グリオキサール、イソプロピルパラベン、ベンジル酸、安息香酸およびベンジルエステル、トリクロサンおよびトリクロカルバン、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、クエン酸、デヒドロ酢酸、精油、グレープフルーツ種子エキス、乳酸、レブリン酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、ビタミンE、ジンクピリチオンまたはそれらの混合物からなるリストから選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記変性アルコールは、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、1,2,6ヘキサントリオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシレングリコール、パンテノール、フィタントリオール、プロピレングリコール、ピログルタミン酸ナトリウム(PCA)、ソルビトール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリグリセリルソルビトール、グルコース、フルクトース、ポリデキストロース、PCAカリウム、水添ハチミツ、ヒアルロン酸、イノシトール、蜜蝋ヘキサンジオール、蜜蝋ヘキサントリオール、加水分解エラスチン、加水分解コラーゲン、加水分解シルク、加水分解ケラチン、エリトリトール、カプリルグリコール、イソセテス(3-10、20、30)、イソラウレス(3-10、20、30)、ラネス(5-50)、ラウレス(1-30)、ステアレス(4-20)、トリデセス(5-50)、塩化リチウム、グリセリン三酢酸、ブチレングリコール、乳酸、アロエベラ、キシリトール、マルチトール、ヒマシ油、尿素、トリプロピレングリコール、コラーゲン、ペンチレングリコールまたはそれらの混合物のリストから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記毛髪の色の調節は、毛髪の暗色化または毛髪の明色化を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記毛髪のボリュームの調節は、毛髪の直毛化またはカール化を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記色の調節は、ジピリダモール、ジピリダモール塩、リバスチグミン塩、パロキセチン、パロキセチン塩またはそれらの混合物によって調整される、請求項1または請求項3から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
毛髪の暗色化は、ジピリダモールまたはジピリダモール塩によって調整される、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
毛髪の明色化は、リバスチグミン、リバスチグミン塩、パロキセチン、パロキセチン塩またはそれらの混合物によって調整される、請求項1または3から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記毛髪のボリュームの調節は、エタクリン酸、エタクリン塩、ミドドリン、ミドドリン塩、トピラマート、トピラマート塩、エンタカポン、エンタカポン塩またはそれらの混合物によって調整される、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記毛髪の直毛化は、エタクリン酸、エタクリン塩、ミドドリン、ミドドリン塩またはそれらの混合物によって調整される、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
毛髪のカール化は、トピラマート、トピラマート塩、エンタカポン、エンタカポン塩またはそれらの混合物によって調整される、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
毛髪の調節は、毛髪の暗色化および毛髪の直毛化を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
毛髪の調節は、毛髪の暗色化および毛髪のカール化を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
毛髪の調節は、毛髪の明色化および毛髪の直毛化を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
毛髪の調節は、毛髪の明色化および毛髪のカール化を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記生物活性剤は、制御放出システム、特にリポソームに、カプセル化または結合される、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物は、局所用組成物である、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物は、哺乳動物の皮膚、好ましくはヒトの頭皮の皮膚に、局所的に投与される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記局所用組成物は、溶液、水性アルコール溶液、分散液、懸濁液、トニック、乳液、ローション、エリキシル剤、セラム、化粧水、洗浄剤、クリーム、マスク、ムース、軟膏、ジェル、ワックス、オイル、泡、石鹸、シャンプー、コンディショナー、スプレー、エアロゾル、パウダー、ペーストである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも1つの化粧品的におよび/または薬学的におよび/または皮膚科学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性乳化剤、防腐剤、増粘剤、天然ポリマー誘導体、有機ポリマー、タンパク質、保湿剤、カチオン性ポリマー、シリコーン、オイル(有機油、天然油を含む)、香料、ビタミン、エモリエントエステル、アルカノールアミド、アミン、緩衝剤、pH調整剤、塩、抗微生物剤、抗菌剤、脂肪族アルコール、UVフィルター/日焼け止め、アミンオキシド、キレート、脂肪酸、PEG修飾物質、ポリマー、帯電防止剤、アルコール、消毒剤またはそれらの任意の混合物のリストから選択される賦形剤および/または化合物の少なくとも1つをさらに含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
医薬品、獣医学用品または化粧品に使用するための、特に、メラニンの異常な欠陥産生の予防、治療または処置に使用するための、請求項1から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
セルフタンニング剤として使用するための、請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
ジピリダモール、ジピリダモール塩、リバスチグミン、リバスチグミン塩、パロキセチン、パロキセチン塩またはそれらの混合物のリストから選択される生物活性剤を含む、メラニンの異常な欠陥産生の予防、治療または処置に使用するための医薬組成物。
【請求項28】
肝斑、日光性または老人性色素斑、メラニンの異常な過剰産生によるそばかす、薬品後色素沈着、炎症後色素沈着、光誘導色素沈着および化学物質誘導色素沈着の、予防、治療または処置に使用するための請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
薬学的に許容される増粘剤、薬学的に許容される防腐剤および薬学的に許容される変性アルコールをさらに含む、請求項27または28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記生物活性剤は、制御放出システム、特にリポソームに、カプセル化または結合される、請求項27から29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
毛髪調節剤としての生物活性剤の使用であって、前記生物活性剤は、ジピリダモール、ジピリダモール塩、リバスチグミン、リバスチグミン塩、パロキセチン、パロキセチン塩、エタクリン酸、エタクリン塩、ミドドリン、ミドドリン塩、トピラマート、トピラマート塩、エンタカポン、エンタカポン塩またはそれらの混合物のリストから選択され、前記毛髪調節剤は、毛髪の色の調節剤および/または毛髪のボリュームの調節剤であり、パロキセチン、および/またはパロキセチン塩は、毛髪のボリュームの調節剤として使用されない、毛髪調節剤としての生物活性剤の使用。
【請求項32】
毛髪調節剤としての生物活性剤の使用であって、前記生物活性剤は、ジピリダモール、ジピリダモール塩、リバスチグミン、リバスチグミン塩、パロキセチン、パロキセチン塩、エタクリン酸、エタクリン塩、ミドドリン、ミドドリン塩、トピラマート、トピラマート塩、エンタカポン、エンタカポン塩またはそれらの混合物のリストから選択される、毛髪調節剤としての生物活性剤の使用。
【請求項33】
前記毛髪調節剤は、色の調節剤および/またはボリュームの調節剤である、請求項32に記載の生物活性剤の使用。
【請求項34】
色調節剤は、前記毛髪繊維の暗色化剤または明色化剤である、請求項31から33のいずれか一項に記載の生物活性剤の使用。
【請求項35】
毛髪のボリュームの調節剤は、毛髪直毛化剤または毛髪カール剤である、請求項31から34に記載の生物活性剤の使用。
【請求項36】
前記生物活性剤は、制御放出システム、特にリポソームに、カプセル化または結合される、請求項31から35のいずれか一項に記載の生物活性剤の使用。
【請求項37】
請求項1から26のいずれか一項に記載の組成物を含むキット、化粧品または試薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、毛髪の特性、すなわち色および形状を、毛球細胞内で産生/合成される新しい毛髪の物理的強度を損なうことなく安全に変更するための、既知の毒性学的プロファイルを有する調節生物活性剤の群の局所使用に関する。
【背景技術】
【0002】
各個人の頭皮の毛髪は、成長速度と、色および形状などの天然の物理的な性質と、の両方の点で異なる。頭皮の毛髪は、個人および社会に多大な影響を与える非常に認識しやすい特徴であり、しばしば文化的アイデンティティ、個人のスタイルまたは健康の指標ならびに生物学的および法医学的分析のための情報源とみなされる[非特許文献1]。
【0003】
多くの人は、長さ、色または形状などの毛髪繊維の物理的特徴を変更する、望ましい理想的なヘアスタイリングを通じて、毛髪の美しさに関する独自のアイデアを達成する意思がある[非特許文献2]。その結果、この拡大市場に供給をもたらす巨大な世界的ヘアケア化粧品業界が存在する。インクウッドリサーチ社(ボストン、マサチューセッツ州、米国)が掲載した2016年および2017年~2024年の予測に関して、毛髪化粧品の市場は、パーソナルケアおよび美容製品の世界市場の15%を構成する。ヘア製品の種類別では、市場の約6%がカール用/緩和用製品であり、16%がカラー用製品である。
【0004】
すべてのヒトの毛髪は、通常、同じ基本構造を有する。それらの構造は、増殖(分裂)および分化(機能的/特殊化)細胞区画の両方を備えた自給自足の高度に組織化された小器官である毛包によって構築および形成される。毛髪の色と形状とは、毛包、特に毛球内で、タンパク質が最も重要な要素であるさまざまな構造要素の組織化の直接的な結果として決定される[非特許文献2、3]。
【0005】
髪の色は、メラニンの量、種類、分布によって決定される。メラニンは、メラノサイトと呼ばれる特殊な細胞によって合成される生体ポリマーの複雑な混合物である。
【0006】
現在、天然の色の変更は、化学染色手順によって行われる。ヨーロッパにおける染毛剤製品の70%超は、酸化還元反応を含むパーマネント染毛剤をベースとする[非特許文献4]。パーマネント染毛剤は、酸化剤としての過酸化水素(H)の存在下における化学反応を通して、無色の前駆体(顕色剤および発色剤)から毛髪繊維内で直接生成される。異なる濃度の過酸化水素および前駆体剤によって、さまざまな色が生成される。過酸化水素の濃度が高くなると、髪の天然色素が脱色され得るため、酸化ステップは、明色化と色生成との両方で機能する。
【0007】
毛包内での非常に複雑な生体材料(毛髪繊維)の生成およびその形状がどのように確立されるかは、未だに比較的解明されていないトピックである。共存し得る、前皮質における構造ケラチンの非対称発現、毛髪の成長軸に関連する可変皮質細胞形状およびケラチンフィラメント配向、内毛根鞘および外毛根鞘を形成する細胞における非対称増殖、繊維形状の変化および毛乳頭の非対称性に関連する内毛根鞘タンパク質の多型の、5つの可能性のあるカール化メカニズムが提案されている[非特許文献5]。
【0008】
直毛化またはウェーブヘアのためのパーマネント処理は、毛髪を構成するタンパク質中に自然に存在するジスルフィド結合の開裂(還元)を促進する還元剤(例えば、チオグリコール酸やチオラート酸)およびアルカリ剤(例えば、アンモニア、モノエタノールアミン、炭酸水素アンモニウムなど)の適用に依存する[非特許文献6~8]。最も積極的な直毛化処理は、アフリカ系の毛髪に使用される。このタイプの髪の緩和は、苛性ソーダを使用してpH12超で行われる。加えて、毛髪の所望の形状を達成するために外部から物理的な力を加える必要があり、続いて酸化剤(臭素酸ナトリウムまたは過酸化水素)にさらすかまたはより最近の配合物では空気にさらすだけで、ジスルフィド結合は、新しい位置で再確立(酸化)され得る。アルカリ性pHで発生するこれらの積極的な酸化処理は、毛髪繊維の表面と皮質とに損傷を与え、気孔率、滑らかさ、つやおよび機械的特性に影響を与える[非特許文献9]。アフリカ系の毛髪の直毛化処理では、繊維強度/抵抗の最大60%の損失および頭皮の炎症(火傷および接触性皮膚炎)が頻繁に発生する[非特許文献10]。
【0009】
要約すると、さまざまな毛髪の色および形状を得るための現在の美容手順は、毛髪繊維に直接適用されるアルカリ乳液および/または強力な酸化還元力に依存する。色および形状を変更するための現在の毛髪処理の基礎にある化学プロセスは、毛髪繊維の皮質を永久的に変更することを目的とする[非特許文献4、6~7]。しかしながら、これらの美容手段の頻繁な使用は、消費者に悪影響を及ぼし、より具体的には、毛髪繊維と頭皮の損傷とを引き起こす。それにもかかわらず、長年にわたり、これらの伝統的な美容技術にはほとんど進化がなかった。
【0010】
毛髪の色および形状の変化は、いくつかの病気の治療に使用される薬剤の副作用として報告されている。薬剤による毛髪の色の変化が最も一般的で、明色化または暗色化のいずれかがあり得る。より稀ではあるが、直毛化およびカール化、ちぢれなどの薬剤による毛髪形状の変化も報告されている(表1)。これらの副作用は、毛髪の色(すなわち、メラニン)または毛包の形状の分子決定因子の調節に関連しているようである。
【0011】
毛包におけるメラニン形成の調節は、従来の毛髪着色の美容方法に代わる興味深い方法となった。いくつかの特許は、毛髪繊維の天然の色の変化を促進するための化粧品または医薬品組成物におけるメラニン形成調節剤の局所使用をすでに主張している。
【0012】
米国特許第5273739号明細書(Baral、1993、Composition and treatment for darkening hair colour)は、頭皮へのトレチノインの塗布を含む、毛髪を暗色化する方法を記載している。
【0013】
国際公開第98/24407号(Durantonら、1998、Use of paracetamol as depigmenting agent)は、組成物中のパラセタモールを脱色剤および/またはブリーチ剤としてヒトの毛髪に使用することを記載している。
【0014】
【表1】
【0015】
欧州特許第0655907号明細書(Gilchrestら、1999、Use of diacylglycerols for increasing the melanin content in melanocytes)は、毛包中に存在するメラノサイトにおけるメラニン合成の誘導物質としてジアシルグリセロールを含む局所配合物を使用して、ヒトの毛髪を暗色化する美容方法を記載している。
【0016】
米国特許第6365135号明細書(Philippeら、2002、Use of amino phenolamide derivatives as depigmentation agents)は、ヒトの体毛および/または頭髪の脱色剤および/またはブリーチ剤としての組成物におけるアミノフェノールアミド誘導体の使用を記載している。
【0017】
米国特許第6551581号明細書(Mahalingamら、2003, Methods for improving the aesthetic appearance of skin and hair)は、好ましくはメチルチオアデノシンを有する、毛髪の色素沈着を増加させるための方法および組成物を記載している。
【0018】
国際公開第2004/091558号(Orlowら、2004、Compound for stimulating and for inhibiting melanin formation, and method for screening these compounds)は、有効量の少なくとも1つの三置換トリアジン化合物を投与することによって毛髪の色素沈着を減少および/または増加させる方法を記載している。
【0019】
米国特許第7014844号明細書(Mahalingamら、2006、Lightening compositions and methods of use)は、毛髪の明色化剤としての局所用組成物におけるN,N,S(トリス)カルボキシルメチルシステアミンの使用を記載している。
【0020】
国際公開第2008/155048号(Moserら、2008、Cosmetic compositions comprising sclareolide and hesperidin methyl chalcone)は、毛髪を暗色化するための、スクラレオライドおよびヘスペリジンメチルカルコンを含む化粧品組成物の使用を記載している。
【0021】
国際公開第2010/049463号(Philippeら、2010、Depigmenting topical compositions and their uses)は、ヒトの非頭皮毛髪または頭髪を白くするための局所組成物中のルシノールまたはその塩の1つの使用を記載している。
【0022】
米国特許出願公開第2010/0323962号明細書および欧州特許出願公開第2489363号明細書(Ramaiah、2010および2012、Agonist peptides of basic fibroblast growth factor (BFGF) and the method of reduction of wrinkle on skin, darkening of hair and acceleration of wound healing)は、局所適用のための任意の既知の許容される担体と組み合わせたペプチドを含む、毛髪を暗色化するための組成物の使用を記載している。
【0023】
米国特許第8329149号明細書(Lygaら、2012、Topical lightening composition and uses thereof)は、毛髪を明色化するのに有効な置換-4-オキソブタン酸、エステルまたはアミドチロシナーゼ阻害剤を含む局所用組成物を記載している。
【0024】
国際公開第2013/030794号(Kasraeeら、2013、Use of substituted pyridines as skin depigmenting compounds)は、ピリジン誘導体を含む毛髪脱色組成物を記載している。
【0025】
国際公開第2014/125452号(Giulianiら、2014、Composition for cosmetic use suitable to produce a pigmentation effect on hair)は、毛髪の色素沈着を促進するように設計されたスペルミジンに基づく局所化粧品組成物を記載している。
【0026】
米国特許第9060949号明細書(Vielhaberら、2015、Methyl carbamate compounds as skin and/or hair lightening actives)は、ヒトの毛髪を明色化するための組成物を記載している。
【0027】
国際公開第2017/207428号(Kasraeeら、2017、Use of thiophosphate derivatives as skin depigmenting agents)は、少なくとも1つのチオホスフェート誘導体を含む毛髪脱色組成物を記載している。
【0028】
そのような特許では、試験管内(細胞培養、酵素アッセイ)および/または生体外(毛包培養、皮膚均等物など)のデータが、そのような薬剤のメラニン生成効果を裏付けるために使用されるが、髪の色の変調の明確な生体内証拠はしばしば無視され、動物モデルでのみ実行されるか、メラニン生成に常に直接関係するとは限らない異常な毛髪色素状態に関連している。ヒトの毛髪の暗色化および/または明色化において証明された効果を有する局所用組成物は、当技術分野において依然として必要とされている。
【0029】
通常の直毛のカール/ウェービングおよびちぢれ毛の直毛化に関連する問題の発生を減少させるための顕著な努力が、当技術分野で見られる。しかし、提案された方法はすべて、肌、目、髪にある程度有害な毛髪繊維の過酷な物理的および化学的処理に何かしら依拠している。化粧品業界では代替処理が依然として必要とされているため、本発明は、家庭で安全に使用するためのオプションおよび製品の優れた選択肢を消費者に提供することを目的とした、毛髪形状の調節に対する完全に新しいアプローチを提案する。
【0030】
これらの事実は、本開示によって対処される技術的問題を説明するために開示される。
【発明の概要】
【0031】
本発明は、毛包から毛髪の色および/または形状および/またはボリュームを安全に調節するように考案された、市場性の高い新しい生物活性剤を含有する化粧品配合物を開示する。
【0032】
本開示では、調節生物活性剤は、メラニン形成経路を刺激もしくは阻害するまたは縮毛と直毛とのヒトの毛包の間で活性が異なることが見出された一連の遺伝子の発現を改質する能力を試験管内で示した、新たに転用された周知の薬剤である。
【0033】
それらの使用に関連する美容技術は、繊維レベルでの美容性能のパラダイムの変化を表す。一実施形態では、これらの生物活性剤は、頭皮への局所送達時に、毛包の細胞内の標的遺伝子および/またはタンパク質の活性を調整することが可能であり、毛包は、根元で活発に産生され皮膚から成長するため、したがって、毛髪の表現型を所望のとおりに変化させる。
【0034】
この技術は、すでに保護されているものおよび/または現在商業化されているものに関して重複しない。一実施形態では、毛髪のボリューム、形状および色の変化は、これらの生物活性剤の影響下で毛球の細胞によって産生される新しい毛髪の属性を改質すること、つまり毛包調節によって達成される。現在の毛髪技術は、皮膚または頭皮の外にある毛髪の死滅した繊維を標的とする。
【0035】
これらの薬剤は、それらが毛髪に対して同じ意図された変化を誘発する場合に限り、別々にまたは2つ以上を組み合わせて使用し得る。
【0036】
生物活性剤は、任意の意図された化粧品配合物に含まれ得る。それらは、哺乳動物の皮膚、好ましくはヒトの頭皮の皮膚への局所適用に適する。
【0037】
一実施形態では、使用される各生物活性剤の濃度は、それらの薬力学/薬物動態特性に依存するが、毛髪の特性および種類、および配合物にも依存する。
【0038】
一実施形態では、生物活性剤を含有する配合物は、従来の方法によって調製され得る。さらに、多くの企業が、頭皮への塗布用の配合物の調製に関するカスタマイズされたサービスを提供している。
【0039】
開示された実施例で使用される配合物は、活性成分を標的部位である毛包細胞に効率的に送達するために、毛包を標的とするように特別に調整された。
【0040】
試験規模での臨床研究において人間の研究協力者について得られた良い結果を考慮すると、本開示は、5~6の技術成熟度レベル(TRL)を有する。
【0041】
本出願に記載された組成物の使用は、当該分野の技術水準に見られる他の技術の欠点を含まない。組成物は簡単に塗布可能であり、毛髪繊維の特性(機械的強度など)を損なわず、頭皮への刺激またはその他の皮膚の健康問題を誘発しない。
【0042】
本開示に関連する技術は、より安全で、より環境に優しく、革新的で対象を定めた化粧品に寄与することによって、毛包でのメラニン生成および繊維波形成を妨げることが可能であるため、毛髪化粧品業界に著しく良い影響を与える。
【0043】
本開示は、ジピリダモール、ジピリダモール塩、リバスチグミン、リバスチグミン塩、パロキセチン、パロキセチン塩、エタクリン酸、エタクリン塩、ミドドリン、ミドドリン塩、トピラマート、トピラマート塩、エンタカポン、エンタカポン塩またはそれらの混合物のリストから選択される生物活性剤と、増粘剤と、防腐剤と、変性アルコールと、を含む、毛包調節のために使用される組成物に関する。
【0044】
本開示は、ジピリダモール、ジピリダモール塩、リバスチグミン、リバスチグミン塩、パロキセチン、パロキセチン塩、エタクリン酸、エタクリン塩、ミドドリン、ミドドリン塩、トピラマート、トピラマート塩、エンタカポン、エンタカポン塩またはそれらの混合物のリストから選択される生物活性剤と、増粘剤と、防腐剤と、変性アルコールと、を含み、毛包調節は、毛髪の色の調節および/または毛髪のボリュームの調節であり、パロキセチンおよび/またはパロキセチン塩は、毛髪のボリュームの調節のためには使用されない、毛包調節のための組成物に関する。
【0045】
一実施形態では、生物活性剤は、ジピリダモール、ジピリダモール塩、リバスチグミン、リバスチグミン塩、エタクリン酸、エタクリン塩、ミドドリン、ミドドリン塩、トピラマート、トピラマート塩、エンタカポン、エンタカポン塩またはそれらの混合物のリストから選択される。
【0046】
一実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して0.001~50重量%の生物活性剤、好ましくは0.01~25重量%の生物活性剤、より好ましくは0.2~8重量%の生物活性剤を含む。
【0047】
一実施形態では、増粘剤は、アクリレーツコポリマーナトリウムおよびレシチン、ステアリン酸/イソステアリン酸/ミリスチン酸/ラウリン酸/パルミチン酸アルミニウム、ジステアリン酸グリコール、水添ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油、イソステアリン酸水添ヒマシ油、ステアリン酸水添ヒマシ油、PEG-8エステル水添ヒマシ油、ジステアリン酸PEG-150、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸/カルボマー、カーコマー(Carbomer)934、TEAカルボマー、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー、カルボマーナトリウム、デキストラン硫酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、サーファクチンナトリウム、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトライト、ステアレス-30/-40/-50、キサンタンガム、植物性ガム、Ahnfeltia confina(Ahnfeltia concina)抽出物、ユーグレナ多糖類またはそれらの混合物のリストから選択される。
【0048】
一実施形態では、防腐剤は、フェノキシエタノールおよびエチルヘキシルグリセリン、ブチルパラベン、ジアゾリジニル尿素、DMDMヒダントイン、エチルパラベン、イミダゾリジニル尿素、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、イソブチルパラベン、メチルパラベン、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、Germaben II、Germall Plus、Kathon、ソルビン酸カリウム/ソルビン酸、クオタニウム-15、ポリオキシメチレン尿素、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、ブロモポール(Bronopol)、グリオキサール、イソプロピルパラベン、ベンジル酸、安息香酸およびベンジルエステル、トリクロサンおよびトリクロカルバン、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、クエン酸、デヒドロ酢酸、精油、グレープフルーツ種子エキス、乳酸、レブリン酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、ビタミンE、ジンクピリチオンまたはそれらの混合物からなるリストから選択される。
【0049】
一実施形態では、変性アルコールは、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、1,2,6ヘキサントリオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシレングリコール、パンテノール、フィタントリオール、プロピレングリコール、ピログルタミン酸ナトリウム(PCA)、ソルビトール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリグリセリルソルビトール、グルコース、フルクトース、ポリデキストロース、PCAカリウム、水添ハチミツ、ヒアルロン酸、イノシトール、蜜蝋ヘキサンジオール、蜜蝋ヘキサントリオール、加水分解エラスチン、加水分解コラーゲン、加水分解シルク、加水分解ケラチン、エリトリトール、カプリルグリコール、イソセテス(3-10、20、30)、イソラウレス(3-10、20、30)、ラネス(5-50)、ラウレス(1-30)、ステアレス(4-20)、トリデセス(5-50)、塩化リチウム、グリセリン三酢酸、ブチレングリコール、乳酸、アロエベラ、キシリトール、マルチトール、ヒマシ油、尿素、トリプロピレングリコール、コラーゲン、ペンチレングリコールまたはそれらの混合物のリストから選択される。
【0050】
一実施形態では、毛包調節は、毛髪の色の調節および/または毛髪のボリュームの調節である。別の実施形態では、毛髪の色の調節は、毛髪の暗色化または毛髪の明色化を含む。さらに毛髪のボリュームの調節は、毛髪の直毛化または毛髪のカール化を含む。
【0051】
一実施形態では、色の調節は、ジピリダモール、ジピリダモール塩、リバスチグミン、リバスチグミン塩、パロキセチン、パロキセチン塩またはそれらの混合物によって調整される。別の実施形態では、毛髪の暗色化は、ジピリダモールまたはジピリダモール塩によって調整される。さらに別の実施形態では、毛髪の明色化は、リバスチグミン、リバスチグミン塩、パロキセチン、パロキセチン塩またはそれらの混合物によって調整される。
【0052】
一実施形態では、毛髪のボリュームの調節は、エタクリン酸、エタクリン塩、ミドドリン、ミドドリン塩、トピラマート、トピラマート塩、エンタカポン、エンタカポン塩またはそれらの混合物によって調整される。さらなる実施形態では、毛髪の直毛化は、エタクリン酸、エタクリン塩、ミドドリン、ミドドリン塩またはそれらの混合物によって調整される。別の実施形態では、毛髪のカール化は、トピラマート、トピラマート塩、エンタカポン、エンタカポン塩またはそれらの混合物によって調整される。
【0053】
一実施形態では、毛髪の調節は、毛髪の暗色化および毛髪の直毛化を含む。別の実施形態では、毛髪の調節は、毛髪の暗色化および毛髪のカール化を含む。さらに別の実施形態では、毛髪の調節は、毛髪の明色化および毛髪の直毛化を含む。さらなる実施形態では、毛髪の調節は、毛髪の明色化および毛髪のカール化を含む。
【0054】
一実施形態では、生物活性剤は、制御放出システム、特にリポソームに、カプセル化または結合される。
【0055】
一実施形態では、組成物は、局所用組成物である。特に、本開示に関する組成物は、哺乳動物の皮膚、好ましくはヒトの頭皮の皮膚に、局所的に投与される。
【0056】
一実施形態では、局所用組成物は、溶液、水性アルコール溶液、分散液、懸濁液、トニック、乳液、ローション、エリキシル剤、セラム、化粧水、洗浄剤、クリーム、マスク、ムース、軟膏、ジェル、ワックス、オイル、泡、石鹸、シャンプー、コンディショナー、スプレー、エアロゾル、パウダー、ペーストである。
【0057】
別の実施形態では、組成物は、少なくとも1つの化粧品的におよび/または薬学的におよび/または皮膚科学的に許容される賦形剤をさらに含む。
【0058】
一実施形態では、組成物は、界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性乳化剤、防腐剤、増粘剤、天然ポリマー誘導体、有機ポリマー、タンパク質、保湿剤、カチオン性ポリマー、シリコーン、オイル(有機油、天然油を含む)、香料、ビタミン、エモリエントエステル、アルカノールアミド、アミン、緩衝剤、pH調整剤、塩、抗微生物剤、抗菌剤、脂肪族アルコール、UVフィルター/日焼け止め、アミンオキシド、キレート、脂肪酸、PEG修飾物質、ポリマー、帯電防止剤、アルコール、消毒剤またはそれらの任意の混合物のリストから選択される賦形剤および/または化合物の少なくとも1つをさらに含む。
【0059】
一実施形態では、本開示に記載される組成物は、医薬品、獣医学用品または化粧品に使用するための、特に、メラニンの異常な欠陥産生の予防、治療または処置に使用するためのものである。さらなる実施形態では、本開示は、セルフタンニング剤として使用するための組成物に関する。
【0060】
本開示はまた、ジピリダモール、ジピリダモール塩、リバスチグミン、リバスチグミン塩、パロキセチン、パロキセチン塩またはそれらの混合物のリストから選択される生物活性剤を含む、メラニンの異常な欠陥産生の予防、治療または処置に使用するための医薬組成物にも関する。一実施形態では、生物活性剤は、制御放出システム、特にリポソームに、カプセル化または結合される。
【0061】
一実施形態では、医薬組成物は、肝斑、日光性または老人性色素斑、メラニンの異常な過剰産生によるそばかす、薬品後色素沈着、炎症後色素沈着、光誘導色素沈着および化学物質誘導色素沈着の、予防、治療または処置に使用され得る。
【0062】
一実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される増粘剤、薬学的に許容される防腐剤および薬学的に許容される変性アルコールをさらに含み得る。
【0063】
本開示の一態様は、毛髪調節剤としての生物活性剤の使用を含み、生物活性剤は、ジピリダモール、ジピリダモール塩、リバスチグミン、リバスチグミン塩、パロキセチン、パロキセチン塩、エタクリン酸、エタクリン塩、ミドドリン、ミドドリン塩、トピラマート、トピラマート塩、エンタカポン、エンタカポン塩またはそれらの混合物のリストから選択される。一実施形態では、生物活性剤は、制御放出システム、特にリポソームに、カプセル化または結合される。
【0064】
一実施形態では、毛包調節は、色の調節および/またはボリュームの調節である。特に、毛髪の色の調節は、毛髪の繊維の暗色化または明色化を含み、毛髪のボリュームの調節は、毛髪の直毛化または毛髪のカール化を含む。
【0065】
一実施形態では、生物活性剤は、毛包調節における毛髪調節剤として使用され得、生物活性剤は、ジピリダモール、ジピリダモール塩、リバスチグミン、リバスチグミン塩、パロキセチン、パロキセチン塩、エタクリン酸、エタクリン塩、ミドドリン、ミドドリン塩、トピラマート、トピラマート塩、エンタカポン、エンタカポン塩またはそれらの混合物のリストから選択され、毛髪調節剤は、毛髪の色の調節剤および/または毛髪のボリュームの調節剤であり、パロキセチンおよび/またはパロキセチン塩は、毛髪のボリュームの調節のためには使用されない。
【0066】
一実施形態では、生物活性剤は、毛髪の色の調節剤および/または毛髪のボリュームの調節剤として使用され得る。
【0067】
さらなる実施形態では、生物活性剤は、毛髪の色調節剤として使用され得、色調節剤は、毛髪繊維の暗色化剤または明色化剤である。またさらなる実施形態では、生物活性剤は、毛髪のボリュームの調節剤として使用され得、毛髪のボリュームの調節剤は、毛髪直毛化剤または毛髪カール剤である。
【0068】
本開示はまた、本開示に記載された生物活性剤を含むキット、化粧品または試薬にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本開示は、生物活性剤、増粘剤、防腐剤および変性アルコールを含む、毛包調節のための組成物を提案する。毛髪の形態を変化させるこの新しい概念は、毛包の細胞内の標的遺伝子および/またはタンパク質の活性を調整することが可能である化合物の局所送達にあり、毛髪の表現型が毛球で活発に産生され、皮膚から成長するにつれて、毛髪の表現型をモデル化する。色および形を変えるために利用可能なすべての方法は、外部から毛髪繊維に作用し、アルカリ性pHおよび/または強力な酸化還元力を有する化粧品乳液に基づいており、毛髪、頭毛髪、皮膚、頭皮およびさらには消費者の健康および環境に非常に悪い結果をもたらす。
【0070】
一実施形態では、毛髪の色の調節は、ジピリダモール、ジピリダモール塩、リバスチグミン、リバスチグミン塩、パロキセチン、パロキセチン塩またはそれらの混合物によって調整される。さらなる実施形態では、毛髪の色の変化は、毛髪の暗色化を促進するためのジピリダモールおよび/またはその薬理学的に許容される塩の1つの局所送達にある。さらに別の実施形態では、毛髪の色の変化は、毛髪の明色化を促進するためのリバスチグミンおよび/またはパロキセチンおよび/またはそれらの薬理学的に許容される塩の1つの局所送達にある。
【0071】
一実施形態では、毛髪の形状/ボリュームは、エタクリン酸、エタクリン塩、ミドドリン、ミドドリン塩、トピラマート、トピラマート塩、エンタカポン、エンタカポン塩またはそれらの混合物によって調整される。さらなる実施形態では、毛髪形状の変化は、毛髪の直毛化/ボリュームの減少を促進するためのエタクリン酸および/またはミドドリンの局所送達にある。さらなる実施形態では、毛髪形状の変化は、毛髪のカール化/ボリュームを促進および/または増加させるためのトピラマートおよび/またはエンタカポンの局所送達にある。
【0072】
さらなる別の一実施形態では、当該局所送達は、哺乳動物の皮膚、好ましくはヒトの頭皮の皮膚への化合物の適用を意味する。
【0073】
一実施形態では、本開示に記載の生物活性剤の少なくとも1つを含有する組成物の連続使用は、毛髪の形状および/または色の変化をもたらす。
【0074】
使用される各調節生物活性剤の濃度は、それらの薬力学/薬物動態特性に依存するが、毛髪の特性および種類にも依存する。
【0075】
一実施形態では、組成物中の調節生物活性剤、すなわちジピリダモールの濃度は、0.001%~35%(重量比)、好ましくは0.01%~3.5%で変化する。
【0076】
一実施形態では、組成物中の調節生物活性剤、すなわちリバスチグミンの濃度は、0.001%~20%(重量比)、好ましくは0.2%~2%で変化する。
【0077】
一実施形態では、組成物中の調節生物活性剤、すなわちパロキセチンの濃度は、0.001%~30%(重量比)、好ましくは0.3%~3%で変化する。
【0078】
一実施形態では、組成物中の調節生物活性剤、すなわちトピラマートの濃度は、0.001%~40%(重量比)、好ましくは0.2%~20%で変化する。
【0079】
一実施形態では、組成物中の調節生物活性剤、すなわちエンタカポンの濃度は、0.001%~50%(重量比)、好ましくは0.01%~25%変化する。
【0080】
一実施形態では、組成物中の調節生物活性剤、すなわちミドドリンの濃度は、0.001%~25%(重量で)、好ましくは0.25%~2.5%で変化する。
【0081】
一実施形態では、組成物中の調節生物活性剤、すなわちエタクリン酸の濃度は、0.001%~30%(重量で)、好ましくは0.8%~8%で変化する。
【0082】
一実施形態では、毛包調節に使用するための組成物は、界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性乳化剤、防腐剤、増粘剤、天然ポリマー誘導体、有機ポリマー、タンパク質、保湿剤、シリコーン、オイル(有機油を含む)、香料、ビタミン、エモリエントエステル、アルカノールアミド、アミン、緩衝剤、pH調整剤、塩、抗微生物剤、抗菌剤、脂肪族アルコール、UVフィルター、アミンオキシド、キレート、脂肪酸、ポリエチレングリコール(PEG)物質、ポリマー、帯電防止剤、アルコール、消毒剤またはそれらの任意の混合物のリストから選択される少なくとも1つの賦形剤を含み得る。
【0083】
他の実施形態では、頭皮に適用するための調節生物活性剤を有する組成物は、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アンモニウム、キシレンスルホン酸アンモニウム、C14-16オレフィンスルホン酸ナトリウム、ココイルサルコシン酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ミレス硫酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸TEA、エチルPEG-15コカミン硫酸塩、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムまたはそれらの任意の混合物のリストから選択される少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を含み得る。
【0084】
一実施形態では、組成物は、コカミドプロピルベタイン、ココベタイン、ココアンホ酢酸塩、ココアンホジプロピオン酸ナトリウム、ココアンホジ酢酸二ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムまたはそれらの任意の混合物から選択される少なくとも1つの両性界面活性剤を含み得る。
【0085】
他の実施形態では、組成物は、第四級アンモニウム化合物、ベヘントリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ベンザルコニウムクロリド、ベトリモニウムクロリド、ビンアミドプロリルトリモニウムクロリド、ココトリモニウムクロリド、ジセチルジモニウムクロリド、ジココジモニウムクロリド、ジ水添タロウジメチルアンモニウムクロリド、水添パームトリメチルアンモニウムクロリド、ラウルトリモニウムクロリド、クオタニウム-15、クオタニウム-18ベントナイト、クオタニウム-22ヘクトナイト、ステアラルコニウムクロリド、タロウトリモニウムクロリド、トリセチルジモニウムクロリドまたはそれらの任意の混合物のリストから選択される少なくとも1つのカチオン性界面活性剤を含み得る。
【0086】
さらなる他の実施形態では、組成物は、デシルグルコシド、ラウレス-10(ラウリルエーテル10)、ラウレス-23、ラウレス-4、PEG-10ソルビタンラウレート、ポリソルベート-(20、21、40、60、61、65、80、81)、PPG-1トリデセス-6、ソルビトール、ステアレス-(2、10、15、20)、C11-21パレス-(3-30)、C12-20酸PEG-8エステルまたはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含み得る。
【0087】
さらなる他の実施形態では、組成物は、ホスファチジルコリン、カプリル酸/カプリン酸/ジグリセリルコハク酸、C10-15パレス-(2、4、6、8)ホスフェート、C14-16グリコールパルミテート、C18-20グリコールイソステアレート、セテアレス-(4-60)、コカミドプロリルラウリルエーテル、デセス-(3-10)、DIPA-水添ココエート、ヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヒドロキシイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヘキサカプリン酸/ヘキサカプリル酸ジペンタエリスリチル、ドドキシノール-(5、6、7、9、12)、ノノキシノール-(1-35)、オクトキシノール-(1-70)、オクチルドデセス-(2、5、16、20、25)、パーム核脂肪酸グリセリズまたはそれらの任意の混合物のリストから選択される少なくとも1つの乳化剤を含み得る。
【0088】
他の実施形態では、組成物は、ブチルパラベン、ジアゾリジニル尿素、DMDMヒダントイン、エチルパラベン、イミダゾリジニル尿素、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、イソブチルパラベン、メチルパラベン、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウムまたはそれらの任意の混合物のリストから選択される少なくとも1つの防腐剤を含み得る。
【0089】
他の実施形態では、組成物は、アクリレーツコポリマーナトリウム、ステアリン酸/イソステアリン酸/ミリスチン酸/ラウリン酸/パルミチン酸アルミニウム、ジステアリン酸グリコール、水添ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油、イソステアリン酸水添ヒマシ油、ステアリン酸水添ヒマシ油、PEG-8エステル水添ヒマシ油、ジステアリン酸PEG-150、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸/カルボマー、カーコマー(Carbomer)934、TEAカルボマー、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー、カルボマーナトリウム、デキストラン硫酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、サーファクチンナトリウム、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトライト、ステアレス-30/-40/-50、キサンタンガム、植物性ガム、Ahnfeltia confina(Ahnfeltia concina)抽出物、ユーグレナ多糖類またはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つの増粘剤を含み得る。
【0090】
他の実施形態では、組成物は、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー、セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ラウリルポリグルコースまたはそれらの任意の混合物のリストから選択される少なくとも1つの天然ポリマー誘導体を含み得る。
【0091】
他の実施形態では、組成物は、1,2,6ヘキサントリオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシレングリコール、パンテノール、フィタントリオール、プロピレングリコール、ピログルタミン酸ナトリウム(PCA)、ソルビトール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリグリセリルソルビトール、グルコース、フルクトース、ポリデキストロース、PCAカリウム、水添ハチミツ、ヒアルロン酸、イノシトール、蜜蝋ヘキサンジオール、蜜蝋ヘキサントリオール、加水分解エラスチン、加水分解コラーゲン、加水分解シルク、加水分解ケラチン、エリトリトール、カプリルグリコール、イソセテス(3-10、20、30)、イソラウレス(3-10、20、30)、ラネス(5-50)、ラウレス(1-30)、ステアレス(4-20)、トリデセス(5-50)またはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つの保湿剤を含み得る。
【0092】
他の実施形態では、組成物は、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-11mグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドまたはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つのカチオン性ポリマーを含み得る。
【0093】
他の実施形態では、組成物は、アモジメチコン、アモジメチコン、トリデセス-12、セトリモニウム、クロリド混合物、ベヘノキシ、少量のジメチコン、セテアリルメチコン、セチルジメチコン、シクロメチコン、シクロペンタシロキサン、ジメチコン、ジメチコンコポリオール、ジメチコンコポリオール、ジメチコノール、加水分解小麦タンパク質ヒドロキシプロピルポリシロキサン、少量のステアロキシジメチコン、ステアリルジメチコン、トリメチルシリルアモジメチコン、ラウリルメチコンコポリオールまたはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つのシリコーンを含み得る。
【0094】
さらなる他の実施形態では、組成物は、鉱油、パラフィン、ペトロラタムまたはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つの有機油を含み得る。
【0095】
さらなる他の実施形態では、組成物は、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解カゼイン、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解毛髪ケラチン、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解米タンパク質、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解シルク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解大豆タンパク質、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解小麦タンパク質、ココジモニウムヒドロキシプロピルシルクアミノ酸、ココイル加水分解コラーゲン、ココイル加水分解ケラチン、加水分解ケラチン、加水分解エンバク粉、加水分解シルク、加水分解シルクタンパク質、加水分解大豆タンパク質、加水分解小麦タンパク質、ケラチン、ココイル加水分解コラーゲンカリウム、TEA-ココイル加水分解コラーゲン、TEA-ココイル加水分解大豆タンパク質またはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つのタンパク質を含み得る。
【0096】
他の実施形態では、組成物は、レチノール、パルミチン酸レチノール、酢酸トコフェロールまたはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つのビタミンを含み得る。
【0097】
他の実施形態では、組成物は、ミリスチン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、C12-15アルキルベンゾエート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、オクタン酸セチル、ステアリン酸セチル、ステアリン酸セテアリル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸ジメチルラウラミン、ステアリン酸グリセリル、アジピン酸グリセリル、アラキン酸グリセリル、アラキドン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、カプリル酸グリセリル、カプリル酸/カプリン酸グリセリル、クエン酸/乳酸/リノール酸/オレイン酸グリセリル、グリセリルココエート、ジアラキン酸グリセリル、ジベヘン酸グリセリル、ジエルカ酸グリセリル、ジヒドロキシステアリン酸グリセリル、ジイソパルミチン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ジラウリン酸グリセリル、ジリノール酸グリセリル、ジミリスチン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、ジパルミチン酸グリセリル、ジパルミトレイン酸グリセリル、ジリシノール酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、エルカ酸グリセリル、ステアリン酸グリコール、ステアリン酸イソセチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸イソステアリル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、安息香酸ソルビタン、カプリル酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ステアリル、リノール酸トコフェリルまたはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つのエモリエントエステルを含み得る。
【0098】
他の実施形態では、組成物は、アセトアミドMEA(モノエタノールアミン)、コカミドDEA(ジエタノールアミン)、コカミドMEA、ラクトアミドMEA、ラウラミドDEA、プロピレングリコール、ラウラミドMEA、レシチンアミドDEA、リノールアミドDEA、リノールアミドMEA、リノールアミドMIPA、ミリスタミドDEA、ミリスタミドMEA、ミリスタミドMIPA、オレアミドDEA、オレアミドDEA、オレアミドMEA、オレアミドMIPA、大豆アミドDEA、ステアラミドMEAまたはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つのアルカノールアミドを含み得る。
【0099】
他の実施形態では、組成物は、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、コカミドプロピルジメチルアミン、イソステアラミドプロピルジメチルアミン、ラウラミドプロピルジメチルアミン、ミリスタミドプロピルジメチルアミン、オレアミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、タラミドプロピルジメチルアミンまたはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つのアミンを含み得る。
【0100】
さらなる他の実施形態では、組成物は、アスコルビン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミンまたはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つのpH調整剤を含み得る。
【0101】
さらなる他の実施形態では、組成物は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、グリコール硫酸カリウム、塩化ナトリウムまたはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つの塩を含み得る。
【0102】
さらなる別の実施形態では、組成物は、エタノール、ベヘニルアルコール、セテアリルアルコール、セチルアルコール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セテアリルアルコール、C30-50アルコール、ラノリンアルコールまたはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つの脂肪族アルコールを含み得る。
【0103】
別の実施形態では、組成物は、ベンゾフェノン-(2、3、4、5、6、7、8、9または10)、ベンゾフェノン-4、サリチル酸ベンジル、ベンジリデンカンファースルホン酸、ボルネロン、ケイ皮酸エチル、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(メトキシケイ皮酸オクチル)、オクトキシノール-40、オクトキシノール-20、メトキシケイ皮酸オクチル、サリチル酸オクチル、オキシベンゾン、フェニルケトン、PEG-25 PABA、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファーまたはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つのUVフィルター/日焼け止めを含み得る。
【0104】
別の実施形態では、組成物は、ココナッツ油、ホホバ油、オリーブ油、パーム油、ベニバナ油、ゴマ油、シアバター、スイートアーモンド油、小麦胚芽油またはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つの天然油を含み得る。
【0105】
さらなる別の実施形態では、組成物は、コカミンオキシド、ラウラミンオキシドまたはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つのアミンオキシドを含み得る。
【0106】
別の実施形態では、組成物は、シュウ酸ジイソプロピル、EDTAジナトリウム(エチレンジアミン四酢酸)、EDTA-銅ジナトリウム、HEDTA(ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸)、シュウ酸、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、シュウ酸ドジウム、TEA-EDTA、EDTAテトラナトリウム、EDTAトリナトリウム、HEDTAトリナトリウムまたはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つのキレートを含み得る。
【0107】
別の実施形態では、組成物は、アリキドン酸、カプリン酸、ヤシ脂肪酸、ラウリン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パントテン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリルレス-(4,6,9)カルボン酸、イソステアリン酸またはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つの脂肪酸を含み得る。
【0108】
別の実施形態では、組成物は、グリオキサール、トリクロサンまたはそれらの任意の混合物のリストから選択される少なくとも1つの抗微生物剤/抗菌剤を含み得る。
【0109】
別の実施形態では、組成物は、テトラステアリン酸PEG-150ペンタエリスリチル、ジステアリン酸PEG-(2、3、4、6、8、12、20、32、50、150、175)、PEG-10ヒマシ油、PEG-10コカミン、PEG-10ココエート、PEG-10ココナッツ油エステル、オレイン酸PEG-10グリセリル、PIBSAトール酸PEG-10グリセリル、ステアリン酸PEG-10グリセリル、PEG-10水添ラノリン、PEG-10水添タロウアミン、PEG-10イソラウリルチオエーテル、イソステアリン酸PEG-10、ラノリン脂肪酸PEG-10、PEG-10ラノリン、ラウリン酸PEG-10、オレイン酸PEG-10、オリーブ脂肪酸PEG-10グリセリズ、ラウリン酸PEG-10ポリグリセリル-2、PEG-10プロピレングリコール、ラウリン酸PEG-10ソルビタン、PEG-10大豆ステロール、PEG-10大豆アミン、PEG-10ステアラミン、ステアリン酸PEG-10、PEG-10ステアリルベンゾニウムクロリド、トール酸PEG-10、PEG-10タロウアミノプロピルアミン、PEG-100、PEG-100ヒマシ油、PEG-100水添ヒマシ油、PEG-100ラノリン、ステアリン酸PEG-100、PEG-40水添ヒマシ油、ジステアリル酸PEG-60、PEG-55プロピレングリコールまたはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つのPEG修飾物質を含み得る。
【0110】
別の実施形態では、組成物は、カルボマー、ドデカン二酸/セテアリルアルコール/グリコールコポリマー、水添C6-14オレフィンポリマー、水添エチレン/プロピレン/スチレンコポリマー、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリレートポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、PPG-25-ラウレス-25、PPG-5ペンタエリスリチルエーテル、PPG-75-PEG-300-ヘキシレングリコール、ポリビニルピロリドン、PVP/VA(ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー)、カルボマーナトリウム、TEA-カルボマー、ポロキサマー(100-407)、ポロキサミン、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ポリエチレンテレフタレートまたはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つのポリマーを含み得る。
【0111】
別の実施形態では、組成物は、アプリコットアミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート、アプリコットアミドプロピルエチルジモニウムラクテート、コカミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート、コカミドプロピルエチルジモニウムラクテート、ラウラミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート、ラウラミドプロピルエチルジモニウムラクテート、リノールアミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート、リノールアミドプロピルエチルジモニウムラクテート、ミリスタミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート、ミリスタミドプロピルエチルジモニウムラクテート、オレアミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート、オレアミドプロピルエチルジモニウムラクテート、ステアラミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート、ステアラミドプロピルエチルジモニウムラクテートまたはそれらの混合物のリストから選択される少なくとも1つの帯電防止剤を含み得る。
【0112】
別の実施形態では、組成物は、SDアルコール40、イソプロパノールまたはそれらの任意の混合物のリストから選択される少なくとも1つのアルコールを含み得る。
【0113】
さらなる別の実施形態では、毛包調節に使用するための組成物は、皮膚および/または毛髪に有益な薬剤をさらに含み得る。
【0114】
一実施形態では、毛包調節に使用するための組成物は、局所用組成物であり、溶液、水性アルコール溶液、分散液、懸濁液、シャンプー、ローション、セラム、トニック、乳液、化粧水、洗浄剤、クリーム、ムース、軟膏、ジェル、ワックス、コンディショナー、泡、エリキシル剤、オイル、スプレー、エアロゾル、石鹸、パウダー、皮膚パッチまたはマスクの形態であり得るが、これらに限定されない。
【0115】
前述の実施形態の別の態様では、組成物の形態に関わらず、それらは、リポソーム化された、複合化された生物活性剤または任意の制御放出系内の生物活性剤を含有し得る。
【0116】
本開示は、組成物の好ましい実施形態として、活性成分が皮膚に浸透し毛包に拡散して毛髪の特性を変化させるのを助ける溶液の組成物を記載する。
【0117】
別の実施形態では、頭皮に塗布するための調節生物活性剤を有する配合物は、医薬品、獣医学用品および/または化粧品に使用され得、当該使用には、毛髪の直毛化、毛髪のカール化、毛髪の暗色化、毛髪の明色化のためまたはボリュームアップ剤としての哺乳動物の皮膚、特にヒトの頭皮の皮膚への塗布が含まれる。
【0118】
別の実施形態では、ジピリダモールおよび/またはパロキセチン塩酸塩および/またはそれらの薬理学的に許容される塩の1つを含む配合物は、医薬品、獣医学用品および/または化粧品に使用され得、当該使用には、哺乳動物の皮膚、特にヒトの皮膚への適用を含み、皮膚のメラニン生成を調節する。
実施例
【0119】
実施例は、特許請求の範囲内にあり、本発明の様々な実施形態を表す。
実施例1
【0120】
この実施例は、皮膚を暗色化するための調節生物活性剤を含有する溶液を用いたヒトメラノサイト(SK-MEL-23細胞株)の「試験管内」処理を開示する。
【0121】
一実施形態では、この実施例で使用される生物活性剤は、水およびDMSOを含有する溶液中の暗色化剤としてのジピリダモールであった。
【0122】
細胞を24ウェルプレートに9.0x10細胞/ウェルの密度で播種し、翌日、10μMのジピリダモールと1%(v/v)DMSOとを用いて処理した。対照では、細胞を24ウェルプレートに9.0x10細胞/ウェルの密度で播種し、翌日、1%(v/v)DMSOを用いて処理した。
【0123】
3日後に細胞内メラニンの定量化を実施した。毛髪内メラニンを定量化する方法は、Fernandes B.ら、2016[非特許文献51]によって説明されたとおりであった。メラニン含有量を、各サンプルのタンパク質レベルによって正規化した(DCタンパク質アッセイ)。ジピリダモールを用いて処理された細胞内のメラニン変化を、次の数式を使用して計算した。
【0124】
【数1】
【0125】
調節生物活性剤ジピリダモールを用いたメラノサイトの処理は、対照実験と比較して3.5倍のメラニン産生の増加を誘発した。
【0126】
下記の実施例に示されるすべての結果は、ポルトガルの法的管轄当局によって争われていない、化粧品(RNEC番号:92938)の介入による予備臨床研究で実施した。
実施例2
【0127】
この実施例は、毛髪を直毛化するための調節生物活性剤を含有する配合物を用いたヒトの頭皮の処理を開示する。
【0128】
この実施例で使用した生物活性剤は、水、乳化特性を有する増粘剤すなわちLecigel(商標)、防腐剤すなわちEuxyl(登録商標)PE 9010、変性アルコールおよびTranscutol(登録商標)CGを含有する配合物中の直毛化剤としての塩酸ミドドリンであった。
【0129】
調節生物活性剤ミドドリン塩酸塩を有する配合物の適用試験の研究協力者は、縮毛を有していた。
【0130】
各研究協力者は、薬剤ミドドリン塩酸塩を有しない配合物および薬剤ミドドリン塩酸塩を有する配合物を受け取った。調節生物活性剤を含有する配合物は、濃度の0.25%(重量による)塩酸ミドドリンを有した。
【0131】
各研究協力者について、2つの異なる後部頭皮位置において各々約1cmの毛髪を剃り、配合物を5週間、週3回塗布した。
【0132】
ミドドリンを含む配合物および含まない配合物を頭皮に直接塗布した。塩酸ミドドリンを含まない対照配合物を、2つの剃毛した頭皮領域の一方に1cm当たり10マイクロリットル塗布し、塩酸ミドドリンを含む配合物を、剃毛した頭皮領域の他方に1cm当たり10マイクロリットル塗布した。
【0133】
調節剤を含む配合物および含まない配合物の15回目の塗布後、両方の塗布を示す最終写真を撮影し、毛髪の成長率を測定し、さらなる試験のために一部の毛髪を抜いた。
【0134】
曲率指数を、臨床化粧品研究の結果の後、配合物中の調節生物活性剤の有無にかかわらず処理された頭皮領域から収集した毛髪を使用して決定した。対照は、調節生物活性成分を含まない配合物を用いて処理した頭皮領域から採取した毛髪であった。
【0135】
曲率指数への影響を、次の式に従って計算した。
【0136】
【数2】
【0137】
白い紙の上で各毛髪を個別に測定し(緩んだ状態の毛髪)、毛髪をまっすぐに保つために力を加え(応力下)、このようにして圧力状態における毛髪の長さを測定した。
【0138】
調節剤ミドドリン塩酸塩による頭皮の処理は、直毛化効果を誘発した。非常に縮毛であった毛髪が、わずか5週間の処理で目に見えて直毛となった(表2)。
実施例3
【0139】
この実施例は、毛髪をカール化する調節生物活性剤を含有する配合物によるヒトの頭皮の処理を開示する。
【0140】
この実施例において使用される調節生物活性剤は、水、乳化特性を有する増粘剤すなわちLecigel(商標)、防腐剤すなわちEuxyl(登録商標)PE 9010、変性アルコール、およびTranscutol(登録商標)CGを有する配合物中のカール剤としてのトピラマートであった。
【0141】
調節剤トピラマートを有する配合物の塗布試験の研究協力者は、直毛であった。
【0142】
各研究協力者は、薬剤トピラマートを含まない配合物および薬剤トピラマートを含む配合物を受け取った。調節生物活性剤を含有する配合物は、1.75%(重量)の濃度のトピラマートを有した。
【0143】
各研究協力者について、2つの異なる後部頭皮位置において各々約1cmの毛髪を剃り、配合物を5週間、週3回塗布した。
【0144】
トピラマートを含む配合物および含まない配合物を頭皮に直接塗布した。トピラマートを含まない対照配合物を、2つの剃毛した頭皮領域の一方に1cm当たり10マイクロリットル塗布し、トピラマートを含む配合物を、剃毛した頭皮領域の他方に1cm当たり10マイクロリットル塗布した。
【0145】
調節生物活性剤を含む配合物および含まない配合物の15回目の塗布後、最終写真を撮影し、毛髪の成長率を測定し、さらなる試験のために一部の毛髪を抜いた。
【0146】
曲率指数を、臨床化粧品研究の結果の後、配合物中の調節生物活性剤の有無にかかわらず処理された頭皮領域から収集した毛髪を使用して決定した。対照は、調節生物活性成分を含まない配合物を用いて処理した頭皮領域から採取した毛髪であった。
【0147】
曲率指数への影響を、次の式に従って計算した。
【0148】
【数3】
【0149】
白い紙の上で各毛髪を個別に測定し(緩んだ状態の毛髪)、毛髪をまっすぐに保つために力を加え(応力下)、このようにして応力状態における毛髪の長さを測定した。
【0150】
調節剤トピラマートによる頭皮の処理は、カール化効果を誘発した。直毛であった毛髪が、わずか5週間の処理で目に見えてより湾曲するようになった(表2)。
実施例4
【0151】
この実施例は、毛髪を明色化するための調節生物活性剤を含有する配合物によるヒトの頭皮の処理を開示する。
【0152】
この実施例において使用される調節生物活性剤は、水、乳化特性を有する増粘剤、すなわちLecigel(商標)、防腐剤すなわちEuxyl(登録商標)PE 9010、変性アルコール、およびTranscutol(登録商標)CGを有する配合物中の明色化剤としての酒石酸リバスチグミンであった。
【0153】
調節剤酒石酸リバスチグミンを有する配合物の塗布試験の研究協力者は、黒色からミディアムブラウンの毛髪を有した。
【0154】
各研究協力者は、薬剤酒石酸リバスチグミンを含まない配合物および薬剤酒石酸リバスチグミンを含む配合物を受け取った。調節生物活性剤を含有する配合物は、0.2%(重量)の濃度のリバスチグミンを有した。
【0155】
各研究協力者について、2つの異なる後部頭皮位置において各々約1cmの毛髪を剃り、配合物を5週間、週3回塗布した。
【0156】
リバスチグミンを含む配合物および含まない配合物を頭皮に直接塗布した。酒石酸リバスチグミンを含まない対照配合物を、2つの剃毛した頭皮領域の一方に1cm当たり10マイクロリットル塗布し、酒石酸リバスチグミンを含む配合物を、剃毛した頭皮領域の他方に1cm当たり10マイクロリットル塗布した。
【0157】
調節剤を含む配合物および含まない配合物の15回目の塗布後、最終写真を撮影し、毛髪の成長率を測定し、さらなる試験のために一部の毛髪を抜いた。
【0158】
毛髪メラニン定量化プロセスを、臨床化粧品研究の結果の後、配合物中の酒石酸リバスチグミンの有無にかかわらず処理された頭皮領域から収集した毛髪を使用して実施した。対照は、酒石酸リバスチグミンを含まない配合物を用いて処理した頭皮領域から採取した毛髪であった。
【0159】
一実施形態では、毛髪中のメラニンを定量化する方法は、Fernandes B.ら、2016年[非特許文献51]によって記載された通りであった。毛髪のサンプルをNaOH中で消化し、得られた溶液を1mg/mLの毛髪に正規化した。酸化メラニン標準の蛍光によって生成された標準曲線を使用して、蛍光分光法によって計算された毛髪サンプル中の過酸化水素およびメラニン含有量を用いて、毛髪ライセートの完全な酸化を行った。リバスチグミンを含む配合物で処理された毛髪のメラニン変化を、次の数式を使用して計算した。
【0160】
【数4】
【0161】
調節生物活性剤リバスチグミン酒石酸による頭皮の処理は、明色化効果を誘発した。ブラウンの毛髪の色合いは、わずか5週間の処理で天然の色合いよりも目に見えて明るくなった(表2)。
実施例5
【0162】
この実施例は、毛髪を暗色化するための調節生物活性剤を含有する配合物によるヒトの頭皮の処理を開示する。
【0163】
一実施形態では、この実施例において使用される生物活性剤は、水、乳化特性を有する増粘剤すなわちLecigel(商標)、防腐剤すなわちEuxyl(登録商標)PE 9010、変性アルコール、およびTranscutol(登録商標)CGを有する配合物中の暗色化剤としてのジピリダモールであった。
【0164】
調節生物活性剤ジピリダモールを有する配合物の塗布試験の研究協力者は、様々な色合いのブロンドの毛髪を有した。
【0165】
各研究協力者は、薬剤ジピリダモールを含まない配合物および薬剤ジピリダモールを含む配合物を受け取った。調節生物活性剤を含有する配合物は、0.01%(重量)の濃度のジピリダモールを有した。
【0166】
各研究協力者について、2つの異なる後部頭皮位置において各々約1cmの毛髪を剃り、配合物を5週間、週3回塗布した。
【0167】
一実施形態では、ジピリダモールを含む配合物および含まない配合物を頭皮に直接塗布した。ジピリダモールを含まない対照配合物を、2つの剃毛した頭皮領域の一方に1cm当たり10マイクロリットル塗布し、ジピリダモールを含む配合物を、剃毛した頭皮領域の他方に1cm当たり10マイクロリットル塗布した。
【0168】
調節生物活性剤を含む配合物および含まない配合物の15回目の塗布後、最終写真を撮影し、毛髪の成長率を測定し、さらなる試験のために一部の毛髪を抜いた。
【0169】
毛髪メラニン定量化プロセスを、臨床化粧品研究の結果の後、配合物中のジピリダモールの有無にかかわらず処理された頭皮領域から収集した毛髪を使用して実施した。対照は、ジピリダモールを含まない配合物を用いて処理した頭皮領域から採取した毛髪であった。
【0170】
毛髪中のメラニンを定量化する方法は、Fernandes B.ら、2016年[非特許文献51]によって記載された通りであった。毛髪のサンプルをNaOH中で消化し、得られた溶液を1mg/mLの毛髪に正規化した。酸化メラニン標準の蛍光によって生成された標準曲線を使用して、蛍光分光法によって計算された毛髪サンプル中の過酸化水素およびメラニン含有量を用いて、毛髪ライセートの完全な酸化を行った。ジピリダモールを含む配合物で処理された毛髪のメラニン変化を、次の数式を使用して計算した。
【0171】
【数5】
【0172】
調節生物活性剤ジピリダモールによる頭皮の処理は、暗色化効果を誘発した。ブラウンの毛髪の色合いは、わずか5週間の処理で天然の色合いよりも目に見えて暗くなった(表2)。
【0173】
【表2】
【0174】
もちろん、本開示は、記載された実施形態に何ら限定されるものではなく、当業者であれば、添付の特許請求の範囲において定義される本開示の基本的理念から逸脱することなく、その修正についての多くの可能性を予見することができる。
【0175】
本開示において、毛髪には、ヒトの毛髪、ヒトの頭皮の毛髪、動物の毛および動物の毛皮が含まれる。
【0176】
本開示において、薬剤には、元素、物質、化合物、分子、成分などが含まれる。
【0177】
本開示では、組成物および配合物という用語は、しばしば交換可能に使用される。これらの用語は、活性剤の局所適用に使用することを意図した賦形剤の混合物を指し、当該混合物は、皮膚(特に頭皮の皮膚)のかゆみ、つっぱり、赤みなど、使用者にとって受け入れがたい不快感を生じない色、匂いおよび感触を示す。
【0178】
本開示では、局所的または局所的にとは、例えば、手またはワイプ、ローラーもしくはスプレーなどのアプリケーターの使用によって、外皮、特に頭皮に直接敷くことまたは広げることを指す。
【0179】
本開示では、化粧品的に許容される、薬理学的に許容される、薬学的に許容されるおよび皮膚科学的に許容される、という用語は、過度の毒性、不適合、不安定、刺激性、アレルギー反応などを伴わず、哺乳動物、好ましくはヒトの組織(例えば皮膚)との接触に適した成分を記載することを意味する。
【0180】
本開示では、有効量とは、毛髪の色および/または形状の変化を誘発するのに十分であるが、副作用を回避するのに十分に低い生理活性剤または組成物の量を意味する。
【0181】
特許請求の範囲の記載において、要素または特徴の単数形が使用されている場合、特に除外されていない限り、複数形も含まれ、その逆もまた同様である。例えば、「an agent」または「the agent」という用語は、「agents」または「the agents」という複数形をも含み、その逆もまた同様である。特許請求の範囲では、「a」、「an」、「the」などの冠詞は、反対の指示がない限りまたは文脈から他に明白でない限り、1つまたは複数を意味し得る。群の1つ以上の要素の間に「または」を含む請求項または記載は、反対の指示がない限りまたは文脈から他に明白でない限り、群の要素の1つ、複数またはすべてが所定の製品またはプロセスに存在する、使用されるまたは他の方法で関連することを満足するものとみなされる。本発明は、群のちょうど1つの要素が、所定の製品またはプロセスに存在する、使用されるまたは他の方法で関連する実施形態を含む。さらに、本発明は、群の複数のまたはすべての要素が、所定の製品またはプロセスに存在する、使用されるまたは他の方法で関連する実施形態をも含む。
【0182】
さらに、本発明は、請求項の1つ以上または明細書の関連部分から形成される1つ以上の制限、要素、節、記述用語などが別の請求項に導入されるすべての変形、組み合わせ、および順列を包含することを理解されたい。例えば、他の請求項に従属する任意の請求項は、同じ基礎請求項に従属する任意の他の請求項に見られる1つ以上の制限を含むように修正され得る。
【0183】
範囲が示される場合、終端が含まれる。さらに、別段の指示がない限りまたは文脈および/または当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表される値は、本発明の異なる実施形態において、文脈から明らかに指示されない限り、記載された範囲内の任意の特定の値を範囲の下限の単位の10分の1にまで想定され得ることを理解されたい。また、別段の指示がない限りまたは文脈および/または当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表される値は、与えられた範囲内の任意の部分範囲を想定され得、部分範囲の終端は、範囲の下限の単位の10分の1と同じ程度の精度で表されることを理解されたい。
【0184】
本書で使用される「含む」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、成分の存在を示すことを意図するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、成分またはそれらの群の存在または追加を排除するものではない。
【0185】
本開示は、記載された実施形態に何ら意味でも限定されるべきでなく、当業者であれば、その修正に対する多くの可能性を予見する。上記の実施形態は、組み合わせることが可能である。
【0186】
添付の特許請求の範囲は、本開示の特定の実施形態をさらに提示する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0187】
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