▶ サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション ツールズ アクティエボラーグの特許一覧
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】ねじクリアランス
(51)【国際特許分類】
E21B 17/02 20060101AFI20230713BHJP
【ＦＩ】
E21B17/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580423
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2021067808
(87)【国際公開番号】W WO2022002911
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】20183128.6
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520344785
【氏名又は名称】サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション ツールズ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハンマルグレン， ジョン
【テーマコード（参考）】
2D129
【Ｆターム（参考）】
2D129AA04
2D129AB14
2D129BA19
2D129EC07
(57)【要約】
打撃穿孔ツールのためのねじ継手の一部を形成する雌型部分であって、軸方向端部を有する取り付けスリーブであって、取り付けスリーブは、軸方向端部と比較して取り付けスリーブの反対側の端部に軸方向内壁を有する内部キャビティを取り囲み、取り付けスリーブは、長さＬ１を有する少なくとも１つの実質的に円筒形の雌ねじ部、軸方向端部に向かうねじ入口、及び軸方向内壁に向かうねじ出口を有する、取り付けスリーブと、軸方向内壁とねじ出口との間に配置され、長さＬ２及び直径Ｄ１を有するねじクリアランス部と、ねじ入口とスリーブの軸方向端部との間に配置され、長さＬ３を有する案内部とを備え、０ｍｍ＜Ｌ３－Ｌ２＜１２ｍｍであることを特徴とする、雌型部分。
【選択図】図５
【選択図】図５
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃穿孔ツール（２）のためのねじ継手（３４）の一部を形成する雌型部分（２２）であって、軸方向端部（５２）を有する取り付けスリーブ（１８）であって、前記取り付けスリーブ（１８）は、前記軸方向端部（５２）と比較して前記取り付けスリーブ（１８）の反対側の端部に軸方向内壁（２４）を有する内部キャビティ（２０）を取り囲み、
前記取り付けスリーブ（１８）は、長さＬ１を有する少なくとも１つの実質的に円筒形の雌ねじ部（２６）、前記軸方向端部（５２）に向かうねじ入口（２８）、及び前記軸方向内壁（２４）に向かうねじ出口（３０）を有する、
取り付けスリーブ（１８）と、
前記軸方向内壁（２４）と前記ねじ出口（３０）との間に配置され、長さＬ２及び直径Ｄ１を有するねじクリアランス部と（３２）、
前記ねじ入口（２８）と前記スリーブ（１８）の前記軸方向端部（５２）との間に配置され、長さＬ３を有する案内部（５０）とを備え、
０ｍｍ＜Ｌ３－Ｌ２＜１２ｍｍであることを特徴とする、
雌型部分（２２）。
【請求項2】
Ｌ１が２５～５６ｍｍである、請求項１に記載の雌型部分（２２）。
【請求項3】
Ｌ２／Ｌ１＞０．０１×Ｄ１である、請求項１又は２に記載の雌型部分（２２）。
【請求項4】
Ｌ２／Ｌ１＞２６％である、請求項１から３のいずれか一項に記載の雌型部分（２２）。
【請求項5】
Ｌ２／Ｌ１＜６５％である、請求項１から４のいずれか一項に記載の雌型部分（２２）。
【請求項6】
Ｌ２／Ｄ１＞３０％である、請求項１から５のいずれか一項に記載の雌型部分（２２）。
【請求項7】
Ｌ２／Ｄ１＜６５％である、請求項１から６のいずれか一項に記載の雌型部分（２２）。
【請求項8】
ドリルビット（６）の一部である、請求項１から７のいずれか一項に記載の雌型部分（２２）。
【請求項9】
ドリルストリングロッド（４）の雌端部（１２）である、請求項１から８のいずれか一項に記載の雌型部分（２２）。
【請求項10】
請求項１から７のいずれか一項に記載の雌型部分（２２）を備えるドリルストリングロッド。
【請求項11】
請求項１から７のいずれか一項に記載の雌型部分（２２）を備えるドリルビット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打撃穿孔ツール、特に、ドリルビット及びドリルロッドに限定されないが、それらのためのねじ継手の一部を形成する雌型部分に関する。
【背景技術】
【0002】
打撃穿孔は、相互接続された雄ねじ及び雌ねじによって互いにエンドツーエンドで結合された複数の細長いドリルストリングロッドを介して、長いボアホールを形成するために使用される。代替的に、ドリルビットは、単一のロッドに接続されてもよい。確立された技術では、削岩機ビットから伝達された衝撃を、ボアホールの底部の岩石に打ち込むことによって岩石を破壊する。削岩機ビットは、ドリルストリングの一端において、最端のドリルストリングロッド上の雄ねじを介して、ドリルビット上の雌ねじに取り付けられる。典型的には、岩石を破壊するのに必要なエネルギーは、ドリルストリングの端部に（シャンクアダプタを介して）接触する油圧駆動ピストンによって生成され、ドリルストリングを介してドリルビットまで伝搬する応力（又は衝撃）波を生成する。従来のねじ継手は、ＵＳ４，３３２，５０２、ＵＳ４，３９８，７５６、ＵＳ４，６８７，３６８及びＤＥ２８００８８７に記載されている。
【0003】
ドリルストリングロッド間及び最端のドリルストリングロッドとドリルビットとの間などの打撃穿孔ツールのねじ継手は、ドリルストリングを伝播する応力波から、穿孔中に曲げ力を受ける。これらの曲げモーメントは、ねじ継手を疲労させ、継手のねじ部分内での破損につながる可能性がある。最終的には、応力により、ねじ継手が摩耗し、最終的には故障する。
【0004】
したがって、打撃穿孔ツールの性能を向上させ、ねじ継手の故障のリスクを低減するために、ねじ継手の応力を低減することが望ましい。ねじ継手の応力を低減するための１つの解決策は、雄ねじの直径を大きくすることであるが、これに伴う問題は、ねじ継手の雌型部分が弱まることであり、これは破断する可能性がより高くなることを意味する。したがって、解決すべき問題は、ねじ継手の応力をどのように減少させ、したがってそれらの寿命を延ばすかである。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、打撃穿孔ツールのためのねじ継手の新規かつ改良された設計を提供することである。この目的は、打撃穿孔ツールのためのねじ継手の一部を形成する雌型部分を提供することによって達成され、この雌型部分は、軸方向端部を有する取り付けスリーブであって、取り付けスリーブは、軸方向端部と比較して取り付けスリーブの反対側の端部に軸方向内壁を有する内部キャビティを取り囲み、取り付けスリーブは、長さＬ１を有する少なくとも１つの実質的に円筒形の雌ねじ部、軸方向端部に向かうねじ入口、及び軸方向内壁に向かうねじ出口を有する、取り付けスリーブと、軸方向内壁とねじ出口との間に配置され、長さＬ２及び直径Ｄ１を有するねじクリアランス部と、ねじ入口とスリーブの軸方向端部との間に配置され、長さＬ３を有する案内部とを備え、０ｍｍ＜Ｌ３－Ｌ２＜１２ｍｍであることを特徴とする。より好ましくは５ｍｍ＜Ｌ３－Ｌ２＜１１．５ｍｍであり、さらに好ましくは７ｍｍ＜Ｌ３－Ｌ２＜１１．１ｍｍである。
【0006】
有利には、これにより、ねじ継手の雌型部分の応力が低減され、雌型部分の破損のリスクが減少することを意味する。さらに、雌型部分の応力が増加すると、雄ねじ部の直径を増加させることができ、打撃穿孔ツールの性能を向上させる。
【0007】
好ましくは、Ｌ１は２５～５６ｍｍ、より好ましくは３０～４５ｍｍである。好ましくは、雌ねじの全長（Ｌ１＋Ｌ２＋Ｌ３）は、７０～８６ｍｍである。有利には、これは、性能を向上させるためのねじ部の最適な長さである。
【0008】
好ましくは、Ｌ２／Ｌ１＞０．０１×Ｄ１である。有利には、ねじ部の長さと比較したねじクリアランス領域の長さの比を増加させることは、ねじクリアランス領域の応力が減少することを意味する。
【0009】
好ましくは、Ｌ２／Ｌ１＞２６％、より好ましくはＬ２／Ｌ１＞３２％である。有利には、ねじ部の長さと比較したねじクリアランス領域の長さの比を増加させることは、ねじクリアランス領域の応力が減少することを意味する。
【0010】
好ましくは、Ｌ２／Ｌ１＜６５％、より好ましくは＜５０％である。有利には、これにより、確実なねじ接続を達成するのに十分な長さがねじ部に提供される。
【0011】
好ましくは、Ｌ２／Ｄ１＞３０％、より好ましくはＬ１／Ｄ１＞３８％である。有利には、ねじ部の直径と比較したねじクリアランス領域の長さの比を増加させることは、ねじクリアランス領域の応力が減少することを意味する。したがって、ねじクリアランス及び雌ねじの直径を大きくすることができ、その結果、雄部の直径を大きくすることができ、雄部の性能を向上させ、雌型部品のスカート破損のリスクを低減することにつながる。
【0012】
好ましくは、Ｌ２／Ｄ１＜６５％、より好ましくは＜５０％である。有利には、これにより、確実なねじ接続が可能になる。
【0013】
一実施形態では、雌型部分はドリルビットである。代替的な実施形態では、雌型部分はドリルストリングロッドの雌端部である。
【0014】
ここで、本発明の具体的な実施態様を、単なる例として、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】１つの雄端部及び１つの雌端部を有する打撃穿孔ツールの斜視図である。
【図2】２つの雄端部を有するドリルロッドの斜視図である。
【図3】ドリルロッドの雌端部の断面図である。
【図4】ドリルビットの断面図である。
【図5】打撃穿孔ツールのためのねじ継手の一部を形成する雌型部分のキャビティの内部プロファイルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図１は、ドリルロッド４が従来の設計のドリルビット６にねじ結合されている打撃穿孔ツール２を示す。打撃穿孔ツール２は、特にトップハンマー穿孔に使用される。表面ピストン（図示せず）によって生成された衝撃波は、ドリルロッド４からドリルビット６まで嵌合面を通って移動する。ドリルロッド４は、一方の端部が雄端部１０によって終端され、第２の反対側の端部が長手方向軸１４を有する雌端部１２によって終端される、軸方向に延びる主長セクション８を備える。ドリルロッド４は、他のさらなるドリルロッドとエンドツーエンドで結合されて、別のねじ継手を介してドリルストリング（図示せず）を形成することができる。図２は、代替的に、ドリルビット６が２つの雄端部１０を有する単一のドリルロッド４に接続され得ることを示している。
【0017】
図３は、取り付けスリーブ１８と、ドリルロッドの雄端部１０を受け入れるための中空空間である内部キャビティ２０とを有するドリルロッド４の雌端部１２の断面を示す。
【0018】
図４は、ドリルビット６の断面を示し、ドリルビット６は、例えば砕石手段を備える従来設計の軸方向最前部のドリルヘッド１６（最も典型的には、ドリルヘッド（図示せず）から軸方向前方に突出する複数の耐摩耗性切削ボタンである）と、ドリルロッド４の雄端部１０を受け入れるための軸方向に延びる内部キャビティ２０を備える取り付けスリーブ１８とを備える。
【0019】
本発明は、打撃穿孔ツール２のためのねじ継手の一部を形成する雌型部分２２の特別な設計に関する。雌型部分２２は、ドリルロッド４の雌端部１２又はドリルビット６のいずれかであり得る。
【0020】
図５は、雌型部分２２のキャビティ２０の内部プロファイルの断面を示し、言い換えれば、図５は、図３又は図４の内部の拡大図である。キャビティ２０は、ドリルロッド４の雄端部１０と当接するための軸方向内壁２４を有する。さらに、キャビティ２０は、軸方向内壁２４と比較して軸方向反対側の端部にねじ入口２８と、軸方向内壁２４により近いねじ出口３０とを有する少なくとも１つの実質的に円筒形の雌ねじ部２６を有する。ねじ部２６は、ねじ入口２８とねじ出口３０との間の長さとして定義される長さＬ１を有する。雌型部分２２のキャビティ２０はまた、軸方向内壁２４とねじ部２６との間に配置されたねじクリアランス部３２を有する。ねじクリアランス部３２は、周方向に凹んだ凹部である。ねじクリアランス部３２は、ねじ出口３０と軸方向内壁２４との間の長さとして定義される長さＬ２を有する。ねじクリアランス部は、直径Ｄ１を有する。ロッド４の雄端部１０を正しい位置に案内するために、ねじクリアランス部３２と比較してねじ部２６の反対側の端部に案内部５０がある。案内部５０は、ねじ入口２８とスリーブ１８の軸方向端部５２との間の長さとして定義される長さＬ３を有する。案内部５０は、案内部５０の全体にわたって一定の直径であってもよく、又は任意選択的に、少なくとも２つの異なる直径を有するように段差が付いていてもよい。
【0021】
従来の設計と比較して、Ｌ２をＬ１及び／又はＬ３と比較した比は増加している。
【0022】
本発明による雌型部分２２のＬ３－Ｌ２は、＜１２ｍｍ、より好ましくは＜１１．５ｍｍ、さらにより好ましくは＜１１ｍｍである。本発明による雌型部分２２のＬ３－Ｌ２は、＞０ｍｍ、より好ましくは＞５ｍｍ、さらにより好ましくは＞７ｍｍである。一実施形態では、Ｌ１は２５～５６ｍｍ、より好ましくは３０～４５ｍｍである。
【0023】
一実施形態では、Ｌ２／Ｌ１＞０．０１×Ｄ１である。
【0024】
一実施形態では、Ｌ２／Ｌ１＞２６％、より好ましくは＞３２％である。
【0025】
一実施形態では、Ｌ２／Ｌ１＜６５％、より好ましくは＜５０％である。
【0026】
一実施形態では、Ｌ２／Ｄ１＞３０％、より好ましくは＞３８％である。
【0027】
一実施形態では、Ｌ２／Ｄ１＜６５％、より好ましくは＜５０％である。
【0028】
好ましくは、雌型部分２２は、打撃穿孔ツール２のためのねじ継手３４を形成するために使用され、雌型部分２２と隣接するロッドの雄端部１０との間に、肩部接触とは対照的に底部接触がある。言い換えると、雌型部分の軸方向内壁２４と隣接するロッド４の雄端部１０との間に接触がある。
【0029】
本発明の雌型部分２２及び本発明ではない雌型部分に曲げ力を加えたソフトウェアシミュレーションプログラミングを行った。表１は、従来技術及び本発明の雌型部分２２の応力測定値の概要を示しており、ねじクリアランスの領域の応力は本発明のサンプルの方が低いことが明らかに分かる。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【国際調査報告】