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特表2023-531296穿孔部分と雌ねじ切り部分とを含む、配管又は貯蔵槽の壁内の漏れ口を塞ぐための閉塞装置及び閉塞装置
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  • 特表-穿孔部分と雌ねじ切り部分とを含む、配管又は貯蔵槽の壁内の漏れ口を塞ぐための閉塞装置及び閉塞装置 図8a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】穿孔部分と雌ねじ切り部分とを含む、配管又は貯蔵槽の壁内の漏れ口を塞ぐための閉塞装置及び閉塞装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/168 20060101AFI20230713BHJP
   F16L 55/18 20060101ALI20230713BHJP
   F16B 31/02 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
F16L55/168
F16L55/18 B
F16B31/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580827
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(85)【翻訳文提出日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2021068339
(87)【国際公開番号】W WO2022003160
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】2007060
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516031381
【氏名又は名称】スリーエックス エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ブレ ドリア, スタニスラス
(72)【発明者】
【氏名】スリマニ, アサン
【テーマコード(参考)】
3H025
【Fターム(参考)】
3H025EA01
3H025EB11
3H025EC06
3H025ED01
(57)【要約】
本発明は、配管又は貯蔵槽の壁(50)内の漏れ口(60)を塞ぐための長手軸(Z、Z’)の閉塞装置(10、100)に関する。その装置はさらに一方の末端に、駆動装置(12)と栓(14)とタップ(26)とを含む。主要な特徴によれば、本装置はその他方の末端に、漏れ口(60)の場所で壁(50)の厚みに円筒穴(52)を穿つのに適した穿孔ヘッド(28)を含む。その栓は、ねじ部(24)と、その上部でねじ部(24)が終わり、ねじ山の終端が逃げ溝(13)上に延びている、ねじ部終端斜角面(23)と、雌ねじ穴(54)の終端のねじ山(52)を変形させるのに適した滑らかな上部斜角面(21)とを含む。穴(52)は、栓(14)により気密に塞がれるものである。本発明は同様に、配管又は貯蔵槽の壁(50)上の漏れ口(60)を塞ぐ方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管又は貯蔵槽の壁(50)内の漏れ口(60)を塞ぐための長手軸(Z、Z’)の閉塞装置(10、100)であって、前記装置がさらに一方の末端に駆動手段(12)と、栓(14)とタップ(26)とを含み、前記装置がその他方の末端に、前記漏れ口(60)の場所に前記壁(50)の厚みに円筒穴(52)を穿つのに適した穿孔ヘッド(28)を含み、前記タップ(26)が、前記円筒穴(52)の滑らかな壁の内部に雌ねじ穴(54)を作り出し、
前記栓が、ねじ部(24)と、その上部で前記ねじ部(24)が終わり且つねじ山の終端が逃げ溝(13)に向かって延びている、ねじ部終端斜角面(23)と、雌ねじ穴(54)の終端の前記ねじ山(52)を変形させるのに適した滑らかな上部斜角面(21)とを含み、前記穴(52)が、前記栓(14)により気密に塞がれるものであることを特徴とする閉塞装置。
【請求項2】
前記閉塞装置が2つの部分を含み、第1の部分が、前記穿孔ヘッド(28)と前記タップ(26)とを含む自動穿孔及び自動雌ねじ切り部分(16、116)から構成され、前記第1の部分が、前記長手軸(Z-Z’)に垂直な平面と約30度の角度の傾斜を成すねじ山終端斜角面(25)で終わり、第2の部分(11、111)が、前記栓(14)と前記駆動手段(12)とから構成され、前記栓が、前記長手軸(Z-Z’)に垂直な平面と約30度の傾斜を成すねじ部始端斜角面(35)を含み、2つの前記斜角面(25)及び(35)が、それらの斜角面の間で約60度の角度を成し、環状くびれ(15)が、多くとも前記穿孔ヘッド(28)の直径に等しい直径の前記2つの部分の接合箇所に位置する、請求項1に記載の閉塞装置(10、100)。
【請求項3】
前記第1の部分(16、116)を前記第2の部分(11、111)から分解するための手段を含む、請求項2に記載の閉塞装置(10、100)。
【請求項4】
分解するための前記手段が、前記穿孔ヘッド(28)の直径の75%~85%である直径の環状くびれ(15)を含み、前記環状くびれ(15)が破断発端部である、請求項2に記載の閉塞装置(10)。
【請求項5】
前記部分(111)及び(116)が当初は互いに対して分離しており、前記部分(116)と(111)とを分解するための前記手段が、前記部分を組み合わせるための手段でもあり、前記手段がさらに、前記2つの部分の接合面上の前記第1の部分上に位置する正方形断面の部品(153)と、前記2つの部分の前記接合面から前記栓(14)の厚み内で広がるくぼみ(152)とを含み、前記くぼみが、正方形断面と前記部品(153)の形に対応する形とを有し、前記部品(153)及び前記くぼみ(152)が、対称軸として前記長手軸(Z-Z’)を有する、請求項2に記載の閉塞装置(100)。
【請求項6】
前記正方形断面の部品(153)をくぼみ(152)内に可逆的に固定するために、前記手段がさらに、部品(153)の面のうちの1つに位置するボール(155)と、前記くぼみ(152)の面のうちの1つに位置し、前記ボールを部分的に収容するための球状くぼみ(154)とを含む、請求項4に記載の閉塞装置。
【請求項7】
前記手段がさらに、前記第1の部分内に位置する雌ねじ穴(158)と、前記第2の部分内に位置する通り雌ねじ穴(156)とを含み、前記長手軸(Z-Z’)に整列されて心合わせされている2つの前記雌ねじ穴が、同一特性の直径及びねじ山を有し、前記装置が、前記雌ねじ穴(156)及び(158)に対して適合され、内部にねじ込まれる、ねじ切り済みの軸棒(157)を含み、前記ねじ切り済みの軸棒が、前記駆動手段(12)及び前記栓(14)を通り、前記軸棒が前記栓(14)に対して締付けて保持する自動穿孔及び自動雌ねじ切り部分(16)まで通る、請求項4に記載の閉塞装置。
【請求項8】
前記タップ(26)の長さが少なくとも前記壁(50)の厚さに等しい、請求項1~7のいずれか1項に記載の閉塞装置。
【請求項9】
前記タップ(26)がねじ山の谷底で、前記穿孔ヘッド(28)の直径と等しい直径を有し、前記タップ(26)のねじ山の高さが10~20mmであり、好ましくは15mmに等しく、前記タップ(26)のねじ山のピッチが1mm~2mmであり、好ましくは1.25mmに等しい、請求項1~8のいずれか1項に記載の閉塞装置。
【請求項10】
前記栓(14)の前記ねじ部(24)が、前記タップ(26)の呼び径に等しい呼び径と、自動雌ねじ切りねじ山(26)のピッチに等しいねじ山のピッチとを有し、前記ねじ部(24)が前記タップ(26)の延長であり、両者の集合体が、前記環状くびれ(15)により中断される単一の螺旋を形成する、請求項2~9のいずれか1項に記載の閉塞装置。
【請求項11】
前記ねじ部終端斜角面(23)が、前記閉塞装置(10)の前記長手軸(Z-Z’)に垂直な平面と30~50度の角度を成す、請求項1~10のいずれか1項に記載の閉塞装置。
【請求項12】
前記逃げ溝(13)が、長さ(221)の円筒部分(22)を含み、前記円筒部分(22)の直径が、前記栓(14)の前記ねじ部(24)のねじ山の谷径に等しく、前記円筒部分(22)の前記長さ(221)が1~5mmである、請求項1~11のいずれか1項に記載の閉塞装置。
【請求項13】
前記ねじ部(24)の長さと、前記逃げ溝(13)の前記長さ(221)と、前記斜角面(21)及び(23)の高さとを含む前記栓(14)の長さが、少なくとも前記壁(50)の厚さに等しい、請求項12に記載の閉塞装置(10、100)。
【請求項14】
前記栓(14)が、前記ねじ部(24)の呼び径を上回る直径を有する栓頭部(141)と、その上に環状ガスケット(142)が備え付けられる周囲擁壁(143)とを含み、前記閉塞装置(10、100)が配置される際、前記周囲擁壁(143)が、前記配管の前記壁(50)に対して接触することになるものである、請求項1~13のいずれか1項に記載の閉塞装置(10、100)。
【請求項15】
配管の壁(50)上の漏れ口(60)を塞ぐ方法であって、前記方法が以下の副工程:
-前記漏れ口(60)の場所に、請求項1~14のいずれか1項に記載の閉塞装置(10、100)を心合わせすることと、
-回転駆動器具を用いて前記閉塞装置(10、100)をその長手軸(Z-Z’)の周りに回転駆動させることと、
-前記閉塞装置(10、100)の末端に位置する穿孔ヘッド(28)を用いて前記配管の前記壁(50)に穴を穿ち、円筒穴(52)を作製することと、
-前記閉塞装置(10、100)の前記タップ(26)を用いて前記円筒穴の滑らかな内壁上に雌ねじ穴(54)を形成するために雌ねじを切ることと、
-前記雌ねじ穴(54)上に強い力を加え、前記雌ねじ穴を形成する前記ねじ山(51)の終端を冷間成形するように、前記閉塞装置(10、100)の前記上部斜角面(21)が前記円筒穴の中に完全に入り込むまで、前記閉塞装置(10、100)の他方の末端に位置する前記栓(14)を、雌ねじ切り済みの穴の中にねじ込むことと
を含む、閉塞方法。
【請求項16】
前記副工程を実行する前に、板(40)が、前記壁(50)上に前記漏れ口(60)の場所で固定され、前記板の形が前記壁の曲面に適合され、前記板が、前記閉塞装置(10)を通す孔(44)を含む、請求項15に記載の閉塞方法。
【請求項17】
前記板(40)が、ねじ(42)を用いて前記壁(50)上に固定される、請求項16に記載の閉塞方法。
【請求項18】
前記板(40)が、少なくとも1つのベルト(46)を用いて前記壁(50)上に固定される、請求項16に記載の閉塞方法。
【請求項19】
前記板(40)が、接着により前記壁(50)上に固定される、請求項16に記載の閉塞方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力下の流体又は気体を輸送するためのパイプライン、配管及び導管を修理する装置に関し、特に穿孔部分と雌ねじ切り部分とを含む、配管又は貯蔵槽の壁内の漏れ口を塞ぐための閉塞装置及び閉塞方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長距離にわたり圧力下の気体又は流体を輸送するパイプライン又は配管は、内部及び外部腐食又は衝撃又は破損のような劣化に曝される。配管が亀裂又は穴の形成により内容物の漏れを引き起こすという点で損傷を被ることはよくある。局所的な漏れを止めるための修理解決策が見出された。例えば、穴の場所に鋼板を溶接することによる修理解決策である。しかしながら、その解決策には、重量のある材料を使用し、実施に長時間を要するという難点がある。他方では、その材料費及び作業費が高く、ある閉じた場所ではその実施が不可能である。別の解決策は、穴の上に巻き鋼板を複合材料により貼り付けることから成る。その解決策の実施は繊細なものであり、その信頼性は雰囲気の温度や材料に依存するので不確定であり、それにより、沈埋された配管において、その解決策の実現が難しくなる。
【0003】
マスチックを塗布することにより塞ぐ方法は、低圧力下の配管で使用可能であり、一時的なものである。
【0004】
最後に解決策は、ねじ切り済みの栓を配置することから成る。しかしながら、それは、完全に円形の穴を有し、穿孔軸に整列した雌ねじ切りを実行する必要がある。一般に穿孔工程の後に行われる雌ねじ切り工程は、穿孔軸に完全に整列され、心合わせされる必要がある。さらに栓は、ねじ部に沿った漏れ経路を生じさせる可能性のある斜め締めを引き起こすことでねじ山を傷つけないように慎重に挿入されなければならない。それは、圧力下の沈埋された配管の場合、追加の難点になる。
【0005】
文献欧州特許公報第09501626号に記載の従来技術の配管用の栓は、栓を挿入する円錐穴の中に栓を設置する際、穴の内壁にねじ部を作り出すのを可能にする自動雌ねじ切り部分を含む。栓はその末端に、栓が挿入される円錐穴の減少する初期直径よりも小さい直径の気密リングを含む。気密リングは、栓の頭部が配管に寄りかかる位置に近づく時に、その穴の内壁と接触する。そのような栓は、前もって栓の寸法の円錐穴を穿つことを必要とする。
【0006】
日本国特許公報平成9年第210285A号は漏れ穴密閉装置を記載しており、その装置は、金槌を用いて上を叩く際に漏れ穴の中にねじ込まれるのに適したタッピングねじを含んでおり、気密円筒ガスケットを備えている。その解決策には、圧力下の沈埋された配管の場合、大きめの手段を必要とするという難点がある。
【発明の概要】
【0007】
従って、本発明の目的は、栓、タップ及びドリルを含む閉塞装置を提供することで前述の難点を緩和することである。
【0008】
本発明の別の目的は、一工程で実現される、配管又は貯蔵槽の壁内の漏れ口を塞ぐ方法を提供することである。
【0009】
従って本発明の対象は、配管又は貯蔵槽の壁内の漏れ口を塞ぐための長手軸(Z、Z’)の閉塞装置であり、その装置はさらに一方の末端に駆動手段と栓とタップとを含む。その装置は他方の末端に、漏れ口の場所で配管の壁の厚みに円筒穴を穿つのに適した穿孔ヘッドを含み、タップは、円筒穴の滑らかな壁の内部に雌ねじ穴を作り出す。主要な特徴によれば、その栓は、ねじ部と、その上部においてねじ部が終わり、ねじ山の終端が逃げ溝上に延びている、ねじ部終端斜角面と、雌ねじ穴の終端のねじ山を変形させるのに適した滑らかな上部斜角面とを含む。前記穴は、栓により気密に塞がれるものである。
【0010】
有利には、本発明による装置は、配管の壁の厚みに穴を穿つことと、雌ねじを切ることと、ねじ切り済みの穴の中に栓を配置することとを含む単一操作で、配管の壁内の漏れの原因である開口の場所に配置される。他方では本装置は、穿孔及び雌ねじ切り工具部分を栓及び駆動手段部から分解する手段を含む。実際には、その部分は、栓部分が配置されるとすぐに不用になり、配管の内部での計器の通過を妨げることにさえ寄与し得る。実際に、良好な機能と、石油又はガス導管型のある配管の状態とを確認するように、配管の内部を移動する計装化掻器と呼ばれる工具を用いて、配管の内部を検査する。従って穿孔及び雌ねじ切り工具部分を栓及び駆動手段部分から分離できることは、この型式の配管には特に有利である。
【0011】
第2の対象によれば、本発明は、単一工程で実現される、配管又は貯蔵槽の壁の上の漏れ口を塞ぐ方法を目指しており、その方法は、以下の5つの副工程:
-漏れ口の場所に閉塞装置を心合わせすることと、
-回転駆動器具を用いて閉塞装置をその長手軸(Z-Z’)の周りに回転駆動させることと、
-本閉塞装置の末端に位置する穿孔ヘッドを用いて配管の壁に穴を穿ち、円筒穴を作製することと、
-閉塞装置のタップを用いて円筒穴の滑らかな内壁に雌ねじを切ることと、
-雌ねじ穴上に強い力を加え、雌ねじ穴を形成するねじ山の終端を冷間成形するように、本閉塞装置の上部斜角面が円筒穴の中に完全に入り込むまで、本閉塞装置の他方の末端に位置する栓を、雌ねじ切り済みの穴の中にねじ込むことと
を含む単一工程で実現される。
【0012】
本発明の目的、対象及び特徴は、以下の図面を参照しながら以降の記述を読むことにより、さらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態に従った本発明による本装置の概略図である。
図2】第2の実施形態に従った本発明による装置の概略図である。
図3】異なる形態に従った第1の実施形態の本発明による装置である。
図4】異なる形態に従った第2の実施形態の本発明による装置である。
図5】栓部分を分解するための第1の手段を備えた、第1の実施形態の本発明による装置である。
図6】栓部分を分解するための第2の手段を備えた、第1の実施形態の本発明による装置である。
図7】栓部分を分解するための第3の手段を備えた、第1の実施形態の本発明による装置である。
図8a】本発明による閉塞方法の第1の副工程である。
図8b】本発明による閉塞方法の第2及び第3の副工程である。
図8c】本発明による閉塞方法の第4の副工程である。
図8d】本発明による閉塞方法の第5の副工程である。
図9】本発明の閉塞装置の異なる実施形態である。
図10】本発明による閉塞装置の別の異なる実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面、特に図1を参照して、本発明による閉塞装置10が、長手軸(Z-Z’)の軸棒の形で示されている。その軸棒は、その末端のうちの一方に第1の自動穿孔及び自動雌ねじ切り部分16を含み、他方の末端に、本装置がその内部に置かれることになる、壁の中の円筒穴を気密に塞ぐ栓14を含む第2の部分11と駆動手段12とを含む。
【0015】
自動穿孔及び自動雌ねじ切り部分16は、タップ26又は自動雌ねじ切り用ねじ部と、ドリルの形の穿孔ヘッド28とを含む。穿孔ヘッド28は、穿孔の際に切り屑を排出するのに適した少なくとも1つの案内溝17を含む。案内溝17は、タップ26の部分にわたり延びている。穿孔ヘッドは、作り出された円筒穴が漏れの原因である開口に代わり、その開口を消滅させるのに十分な直径を有する。その直径は一般に7mm~15mmである。穿孔ヘッドの長さは、可能な限り多くの切り屑を排出するために、穴を穿つべき壁の厚さを上回っている。
【0016】
タップ26はねじ山の谷底で、穿孔ヘッド28の直径と等しい直径を有する。タップ26のねじ山の高さは10~20mmであり、好ましくは15mmに等しい。タップ26のねじ山のピッチは一般に1mm~2mmであり、好ましくは雌ねじ切り中にあまりトルク効果を誘導しないように1.25mmに等しい。穿孔ヘッド28の反対側では、実施形態によれば、タップ26は、長手軸(Z-Z’)に垂直な平面と約30度の角度の傾斜を成すねじ山終端斜角面25で終わる。斜角面25は、多くとも穿孔ヘッドの直径に等しい直径の、従って同様に多くともタップ26のねじ山の谷底での直径に等しい直径の環状くびれ15を作り出す。
【0017】
環状くびれ15は、その呼び径がタップ26の呼び径に等しく、そのねじ山の高さがタップのねじ山の高さに等しく、そのねじ山のピッチがタップ26のねじ山のピッチに等しい、ねじ部24を含む栓14に向かって延びている。ねじ部14は、長手軸(Z-Z’)に垂直な平面と約30度の傾斜を成すねじ部始端斜角面35で始まる。2つの斜角面25及び35は、それらの斜角面の間で約60度の角度を成し、環状くびれ15は、2つの斜角面の接合箇所に、従って第1の部分と第2の部分との間に位置する。
【0018】
栓14のねじ部24とタップ26とが環状くびれ15により分離される場合でも、それらの各々のねじ山の螺旋形は互いに対して連続している。より正確には、ねじ部24はタップ26の延長であり、そのため、両者の集合体は、環状くびれ15により中断される単一の螺旋を形成する。栓14のねじ部24を構成するねじ山の終端は逃げ溝13に向かって延びており、その逃げ溝は、その名称が示すようにねじ部24がその上部で終わる、ねじ部終端斜角面23と、上部斜角面21とを含む。ねじ部終端斜角面23は、長手軸(Z-Z’)に垂直な平面と30~50度の角度を成す。上部斜角面21は同様に、長手軸(Z-Z’)に垂直な平面と30~50度の角度を成す。ねじ部終端斜角面23は、上部斜角面21と60~100度の角度を成す。2つの斜角面23及び21は逃げ溝13の範囲を定め、その逃げ溝の上には、気密ペースト、リング、ガスケット又はあらゆる他の気密手段が収容され得る。他方では上部斜角面21の壁は、タップ26により作製される雌ねじ穴の終端のねじ山を潰し、冷間成形して、変形させることができるように、滑らかである。従って、雌ねじ穴のねじ山の潰された材料は、ねじ山のくぼみの中に移動する傾向にあり、タップ26により作り出される円筒穴の中に栓14が配置される際、気密接合を実現する。材料を潰し、移動させる効果は、斜角面の壁の角度のために同様に円筒穴の壁の方向でも得られる。従って、本装置は、本装置を配置する際にタップ26により作製される雌ねじ穴の終端のねじ山を変形させる斜角面を含む。駆動手段12は、本発明による装置をその長手軸(Z-Z’)の周りで回転駆動させるための工具と協働するのに役立つ。駆動手段12は、六角形断面の最後部であってもよく、窪んだ六面を有するアダプタ型の六角形の中空型であってもよい。本発明の範囲から逸脱することなく、あらゆる他の種類の駆動装置を使用することができる。
【0019】
図2に示される第2の実施形態によれば、栓14は、上部斜角面21と駆動手段12との間に位置する栓頭部141を含む。栓頭部141は、ねじ部24の呼び径を上回る直径を有するとともに周囲擁壁143を含んでおり、その周囲擁壁上には環状ガスケット142が備え付けられている。周囲擁壁143は、本発明による装置が配置される際に配管又は貯蔵槽の壁に寄りかかることになるものであり、従って環状ガスケット142は、栓のねじ部とともに、追加の気密手段の役割をする。配管の直径が、栓14のねじ部24の直径を上回る100倍の大きさである場合、本閉塞装置がその収容空間内に備え付けられる際、環状ガスケットの全体が壁上に寄りかかることに留意する。
【0020】
図3及び図4には、第1及び第2の実施形態に従った本発明による装置の異なる実行形態が示されている。その異なる形態によれば、逃げ溝13は円筒部分22を含み、図面ではその円筒部分の長さが二頭矢印221で示されている。円筒部分22の直径は、栓14のねじ部24のねじ山の谷径に等しい。円筒の長さが零である構造は、図1及び図2を参照しながら先に記載された実施形態に対応する。異なる実施形態によれば、円筒部分22の長さ221は、好ましくは1~5mmである。
【0021】
図5、6及び7は、図5に示される装置のように単一塊で作製される閉塞装置を基点として、又は図6及び図7に示される閉塞装置100についてのように当初は互いに対して分離された2つの部分の可逆的な組み合わせから作製される閉塞装置を基点として、本装置が配置されるとすぐに本装置の2つの部分を分解するための手段を備えた装置を示す。図5は、第2の部分が配管の壁内に配置される際に用いられる、閉塞装置10の第1の部分を第2の部分から分解する手段を記載している。環状くびれ15が2つの部分の接合箇所に、2つの斜角面25及び35の接合箇所に位置しており、その溝には2つの部分の分離面が位置し、その分離面は、位置閉塞装置の長手軸(Z-Z’)に垂直な平面内に位置する。
【0022】
図5によれば環状くびれ15は、穿孔ヘッドの直径を下回る最小直径を有しており、好ましくは穿孔ヘッドの直径の75%~85%である。それらの直径によれば、本閉塞装置の環状くびれ15は破断発端部である。従ってその値に対応する二頭矢印151で示される最小直径の環状くびれ15は、環状くびれ15の両側に位置する2つの部分を分解するための手段であり、その手段により、第1の部分又は自動穿孔及び自動雌ねじ切り部分16が、栓14及び駆動手段12から構成される第2の部分から、切断されながら分離され得る。
【0023】
図6及び図7は、先述の閉塞装置10の部分16及び11と等価の2つの部分116及び111から構成される本発明による閉塞装置100を示すが、それら2つの部分は、当初は互いに対して分離しており、組み合わせられ、分解され得る。従って閉塞装置100は、2つの部分を組み合わせ、分解するための手段を含む。第1の部分116は、自動穿孔及び自動雌ねじ切り部分16を含み、第2の部分111は、栓14と駆動手段12とを含む。一続きの軸棒の形の閉塞装置100を配管の壁内への配置前に形成するために、第1の部分が、相互に嵌合する部品を組み合わせることで、第2の部分に組み合わされる。
【0024】
図6によれば、第1の部分116は、2つの部分の接合平面上に位置する正方形断面の部品153を含む。部品153は、その面のうちの1つにボール155を含む。第2の部分111は、2つの部分の接合面から栓の厚み内で広がるくぼみ152を含み、くぼみ152は、正方形断面と、部品153の形に対応する形とを有する。部品153及びくぼみ152は、対称軸として長手軸(Z-Z’)を有し、部品153がくぼみ152内に挿入される際、2つの部分116及び111が、先に記載され、図1図5に示されるような本発明による装置のうちの1つを形成するように整列されるように、互いに対して誘導される。駆動手段12により栓14を回転駆動させる際、その栓は、くぼみ152内への部品153の嵌合により、自動穿孔及び自動雌ねじ切り部分116を回転駆動させる。本閉塞装置の配置中は、工具により配管上に加えられる圧力により、2つの部分が互いに対して保持される。
【0025】
正方形部品153をくぼみ152内に可逆的に固定するために、くぼみ152は同様にその面のうちの1つに球状くぼみ154を含み、その球状くぼみは、ボール155の直径に対応しており、そのボールを部分的に収容するものである。ボール155及び球状くぼみ154は、本閉塞装置の2つの部分を組み合わせ、分解するための手段の一部である。従って、本発明による装置を、2つの部分が不意に分解されることなく操作することができる。第1の部分116は、方向(Z-Z’)の引張効果により、又はボール155がその収容空間154から出ることができるのに十分な軸(Z-Z’)に垂直な方向の押し効果により、第2の部分111から分解される。計装化掻器が本閉塞装置上に到着し、通過することによりおそらく得られるその押し効果は、穿孔及び雌ねじ切り工具部分116を分解するのに十分な圧力をその上に加える。
【0026】
図7は、自動穿孔及び自動雌ねじ切り部分116が、相互に嵌合する部品の組み合わせにより、栓14と駆動手段12とから構成される第2の部分111と組み合わされる、本発明による装置を示す。図6に示される第2の手段に対してのように、第1の部分116は正方形断面の部品153を含み、第2の部分111は、栓の厚み内の、第1の部品153の形に対応する形の正方形断面のくぼみ152を含む。部品153及びくぼみ152は、部品153がくぼみ152内に挿入されるように長手軸(Z-Z’)を対称軸として有し、2つの部分116及び111は、図1図5に表示されるような本発明による装置のうちの1つを形成するように整列される。
【0027】
他方では閉塞装置100は、第1の部分116内に位置する雌ねじ穴158と、第2の部分111内に位置する通り雌ねじ穴156とを含む。長手軸(Z-Z’)に整列され、心合わせされている2つの雌ねじ穴は、同一特性の直径及びねじ山を有する。本装置は同様にねじ切り済みの軸棒157を含み、その軸棒は、雌ねじ穴156及び158に対して適合され、その内部にねじ込まれる。ねじ切り済みの軸棒は、駆動手段12及び栓14を通り、その軸棒が栓14に対して締付けて保持する自動穿孔及び自動雌ねじ切り部分16まで通る。
【0028】
第1の部分116は、駆動手段12の中央で出入り可能なねじ切り済みの軸棒157をねじり外すことにより、第2の部分111から分解される。ねじ切り済みの軸棒157をねじり外すことで、その軸棒は少しずつ雌ねじ穴158から出る。それで第2の部分116は重力により落下する、或いは図6に従って記載される実施形態に対してように、第1の部分116は、計装化掻器の通過により得ることのできる効果である、軸(Z-Z’)に垂直な方向の押し効果により、第2の部分111から分解される。
【0029】
本発明は同様に、図8a、図8b、図8c及び図8dに示されている様々な副工程の単一操作又は単一工程で、配管又は貯蔵槽内の漏れ口を閉塞する方法に関する。その方法は、配管又は貯蔵槽の壁50上の漏れ口60の場所に本発明による閉塞装置10又は100を心合わせし、本閉塞装置を回転駆動させる駆動工具により、漏れ口の原因である部分を貫いて壁50に穴を穿つことから成る。作業者は、駆動工具及び駆動手段12に適した工具付属品を選択するように配慮してしまっている。壁50は穿孔ヘッド28により穿孔され、漏れ口60の代わりに円筒穴52が得られる。本装置の回転駆動工具が適所に保持されている間に、タップ26は、円筒穴52の滑らかな壁の内部に雌ねじ穴54を作り出す。
【0030】
閉塞装置10又は100は、栓14が穴52内に気密に配置されるまで、その工具により回転駆動される。そのために栓14のねじ部24は、斜角面21が雌ねじ穴54の終端のねじ山51と接触するまで、雌ねじ穴54の中に嵌り込む。上部斜角面21は、円筒穴52の中に嵌り込む栓14の最後の部分である。
【0031】
上部斜角面21の壁は滑らかであり、その斜角面は、雌ねじ穴の終端のねじ山51を潰し、そのねじ山を変形させるように冷間成形する。ねじ山の潰された材料は、ねじ山のくぼみ内に移動する傾向にあり、栓14が穴52内に配置される際に、気密接合を実現する。材料を潰し、移動させる効果は、長手軸(Z-Z’)に垂直な平面に対して30~50度の斜角面の壁の角度により、同様に円筒穴の壁の方向でも得られる。
【0032】
単一工程で実現される、配管又は貯蔵槽の壁50の上の漏れ口60を塞ぐ方法は、以下の副工程:
-漏れ口60の場所に閉塞装置10又は100を心合わせすることと、
-回転駆動器具を用いて閉塞装置10又は100をその長手軸(Z-Z’)の周りに回転駆動させることと、
-閉塞装置10又は100の末端に位置する穿孔ヘッド28を用いて配管の壁50に穴を穿ち、円筒穴52を作製することと、
-閉塞装置10又は100のタップ26を用いて円筒穴52の滑らかな内壁上に雌ねじ穴54を形成するために雌ねじを切ることと、
-雌ねじ穴上に強い力を加え、雌ねじ穴54を形成するねじ山51の終端を冷間成形するように、閉塞装置10又は100の上部斜角面21が円筒穴の中に完全に入り込むまで、閉塞装置10又は100の他方の末端に位置する栓14を、雌ねじ切り済みの穴の中にねじ込むことと
を含む。
【0033】
それらの副工程に先立って、逃げ溝13に気密ペースト、或いはガスケット又は気密リング、或いはあらゆる他の手段を詰めることができる。気密ペースト又はあらゆる他の手段は、閉塞装置10又は100が配置されるとすぐに、雌ねじ穴54と閉塞装置10又は100の逃げ溝13との間に閉じ込められる。
【0034】
閉塞装置10又は100が配置されるとすぐに、栓14のねじ部24のねじ山と雌ねじ穴54のねじ山は互いに対して密に接触し、同様に気密性を確保する。しかしながら最後の副工程は、完全な気密性を保証するのに重要である。雌ねじ穴54の終端ねじ山51が潰される際、そのねじ山は、上部斜角面21の金属により加えられる圧力下での冷間成形の結果である可塑変形を被る。より硬くなった非弾性の変形金属により、栓14は完全に気密になり得る。その工程後、上部斜角面21は円筒穴52の中に完全に入り込んだ。
【0035】
タップは、栓の配置を妨げる可能性のあるねじ山のずれを回避するために、栓のねじ部が穴52の雌ねじ穴54の中に嵌り込み始める前に、穴に雌ねじを切り終えなければならない。実際に、タップが雌ねじ切りを終えた時、全ての切り屑と除去され蓄積された全ての壁残留物とが排出された。その排出は、栓のねじ部24がずれることなく雌ねじ穴54の中に嵌り込むことを回避するために不可欠である。従ってタップ26の長さは、少なくとも壁50の厚さに等しくなければならない。栓の長さは同様に少なくとも壁の厚さに等しい。好ましくは栓及びタップは同じ長さを有する。栓14の長さは、ねじ部24の長さであると理解され、それに逃げ溝13の円筒部分22の長さを加え、斜角面21及び23の高さが含まれる。閉塞装置10又は100の寸法は、壁50の各々の厚さに対して適合される。
【0036】
第2の閉塞方法によれば、本発明による閉塞装置10は、図9及び図10に示され、見られるように、配管又は貯蔵槽の壁50の曲面に合致することになる板40と関連付けられ、その板の中心に置かれる。金属板40は、漏れの原因である開口60が、板40内に設けられた孔44内に現れるように、壁50上に配置される。その板を固定するねじ42は、そのねじ締め領域が損傷していない場合、壁を通り抜けできることになり、そのねじ締め領域が損傷している場合、壁を通り抜けできないことになる。ねじが通り抜ける場合、ねじを気密にするための手段が設けられることになる。板40は同様に、少なくとも1つのベルト46を用いて或いは接着により、壁上に固定され得る。
【0037】
板40により、壁が、漏れの原因である開口60の周辺で劣化している場合、壁50を補強することができる。好ましくは、本閉塞装置を孔44内に配置する際に作業者の動作がその板により妨げられないような十分に大きな閉塞装置用通路を形成するように、板40の中心に設けられる孔44の直径は本閉塞装置の最大直径を上回る。本閉塞装置及び板40を構成する材料は、鋼鉄、金属又はプラスチック複合材であり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図9
図10
【国際調査報告】