(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】腐食センサ
(51)【国際特許分類】
G01N 17/04 20060101AFI20230713BHJP
【FI】
G01N17/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580836
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 GB2021051632
(87)【国際公開番号】W WO2022003330
(87)【国際公開日】2022-01-06
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390038014
【氏名又は名称】ビ-エイイ- システムズ パブリック リミテッド カンパニ-
【氏名又は名称原語表記】BAE SYSTEMS plc
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】バルモンド、マーク・デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】スターランド、イアン・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ゴーフ、デイビッド・ウィリアム
【テーマコード(参考)】
2G050
【Fターム(参考)】
2G050AA01
2G050EA01
2G050EB02
(57)【要約】
腐食センサ1について説明する。腐食センサ1は、基板10と、基板10上に設けられたパターン化された導電層20とを備え、導電層20は、共通端子210と、第1の端子220Aおよび第2の端子220Bを含む端子のセット220と、第1の感知素子230Aおよび第2の感知素子230Bを含む感知素子のセット230とを規定し、端子のセット220のそれぞれの端子220A、220Bは、感知素子のセット230のそれぞれの感知素子230A、230Bに固有であるように、感知素子のセット230のそれぞれの感知素子230A、230Bは、共通端子210と、端子のセット220のそれぞれの端子220A、220Bとに電気的に結合される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腐食センサであって、
基板と、
前記基板上に設けられたパターン化された導電層とを備え、
前記導電層は、共通端子と、第1の端子および第2の端子を含む端子のセットと、第1の感知素子および第2の感知素子を含む感知素子のセットとを規定し、
前記感知素子のセットのそれぞれの感知素子は、前記端子のセットのそれぞれの端子が前記感知素子のセットのそれぞれの感知素子に固有であるように、前記共通端子におよび前記端子のセットのそれぞれの端子に電気的に結合される、腐食センサ。
【請求項2】
前記導電層は、
第1の導電性領域を含む導電性領域のセットを規定し、
前記導電性領域のセットのそれぞれの導電性領域は、前記感知素子のセットのそれぞれの感知素子の間に配置され、前記感知素子のセットのそれぞれの感知素子から電気的に絶縁されている、請求項1に記載の腐食センサ。
【請求項3】
前記導電性領域のセットのそれぞれの導電性領域が、均一な及び/又は等しい幅を有する間隙によって、前記感知素子のセットのそれぞれの感知素子から電気的に絶縁されている、請求項2に記載の腐食センサ。
【請求項4】
前記第1の導電性領域は、第1の導電性サブ領域および第2の導電性サブ領域を含む導電性サブ領域の第1のセットを備え、前記導電性サブ領域の第1のセットのそれぞれの導電性サブ領域は互いに電気的に絶縁されている、請求項2または3に記載の腐食センサ。
【請求項5】
前記導電性サブ領域の第1のセットのそれぞれの導電性サブ領域は、実質的に均一な及び/又は等しい幅を有する間隔によって互いに電気的に絶縁される、請求項4に記載の腐食センサ。
【請求項6】
前記導電層は、
共通トラックと、
第1のトラックおよび第2のトラックを含むトラックのセットとを規定し、
前記感知素子のセットのそれぞれの感知素子は、前記共通トラックを介して前記共通端子に電気的に結合され、
前記感知素子のセットのそれぞれの感知素子は、前記トラックのセットのそれぞれのトラックを介して前記端子のセットのそれぞれの端子に電気的に結合される、請求項1から5のいずれか一項に記載の腐食センサ。
【請求項7】
前記第1のトラックは、少なくとも部分的に、前記第2のトラックによって境界付けられる、請求項6に記載の腐食センサ。
【請求項8】
前記端子のセットのそれぞれの端子は、互いに位置合わせされ、等間隔であり、及び/又は同じ大きさである、請求項1から7のいずれか一項に記載の腐食センサ。
【請求項9】
前記共通端子および前記端子のセットのそれぞれの端子は、互いに位置合わせされ、等間隔に配置され、及び/又は同じ大きさにされる、請求項8に記載の腐食センサ。
【請求項10】
その中に及び/又はそれを通して、第1の穿孔を含む、穿孔のセットを有するコーティングを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の腐食センサ。
【請求項11】
前記共通端子に及び/又は前記端子のセットのそれぞれの端子に電気的に結合された電子部品を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の腐食センサ。
【請求項12】
前記感知素子のセットのそれぞれの感知素子が、50nmから150nmの範囲の厚さを有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の腐食センサ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の、第1の腐食センサおよび第2の腐食センサを含む、腐食センサのセットを備える腐食感知システム。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の腐食センサまたは請求項13に記載の腐食感知システムを備える構造。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載の腐食センサを使用して腐食を監視する方法であって、前記方法は、
前記共通端子と前記端子のセットのそれぞれの端子との間のそれぞれの抵抗を測定することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属上の位置に取り付けられたときに金属の腐食を監視するための腐食センサに関する。
【背景技術】
【0002】
腐食は、多くの異なる産業において高い保守および修理の間接費をもたらす問題である。効果的な軽減策を講じるためには、腐食によって引き起こされる問題を迅速に検出することが必要であり、そのため、金属の腐食を検出する様々な異なる方法が開発されている。
【0003】
航空機構造に使用される金属の腐食は、航空宇宙産業にとって広範で費用のかかる問題であり、腐食保守のための推定17億ドルを含む、20億ドルを超える推定年間コストを要求する。腐食の保守にかかるこの大きなコストにもかかわらず、腐食は、金属部品に対する損傷の一般的な原因のままであり、航空機の全ての金属部品の故障の約25%を占め、疲労のみがより多くの故障の原因である。
【0004】
既知の腐食センサは、典型的には、基板上に提供されるパターン化された導電性薄膜を備え、抵抗センサとして使用される。
【0005】
例えば、既知の腐食センサは、基板上に設けられたパターン化された導電性薄膜を備え、薄膜は、腐食センサが取り付けられる構造の金属の腐食特性を表す腐食特性を有する材料、典型的には金属である。腐食センサは、共通端子間に伸長する感知素子、例えば、線形または蛇行感知素子のセットを規定し、したがって、それぞれの感知素子は、平行である。コーティング、例えば、任意選択で腐食防止剤を含む塗料が、基板および感知素子の上に提供される。欠損(穿孔としても知られる)は、例えばマスキングによって、コーティングに意図的に含まれてもよく、それによって、少なくとも部分的に、感知素子を腐食性媒体に暴露させる。
【0006】
腐食センサの初期全体抵抗(すなわち、腐食性媒体の作用前)は、少なくとも部分的に、導電性薄膜の抵抗率、ならびに感知素子のそれぞれの長さおよび断面積によって決定される。抵抗率は、腐食センサが取り付けられる構造の金属に従って選択される導電性薄膜の材料の選択によって予め決定される。検出素子のそれぞれの長さは、コンパクトな腐食センサの必要性によって制限される。感知素子のそれぞれの断面積は、それぞれの厚さおよび幅によって決定される。典型的には、厚さは150nmよりも大きいので、感知素子の腐食は構造の金属を表す。基板ではなく感知素子の一部のみを暴露させるために、典型的には0.2mmの最小幅を有する欠損に対する要件によって、幅は制限される。
【0007】
一般に、感知素子に対する腐食性媒体の作用は、共通端子間で測定されるように、その全体の抵抗を増加させる。測定された全抵抗の増加は、腐食センサが取り付けられた構造の金属の腐食の影響に関連するかもしれない。腐食防止剤が塗料中に含まれる場合、全体的な抵抗は、塗料中の腐食防止剤のリザーバが特定の欠損の近位で枯渇するまで、多くの場合、比較的一定のままであることがあり、例えば、その結果、全体的な抵抗が増加する。典型的には、比較的大きな欠損によって少なくとも部分的に暴露された検出素子は、より早く腐食し始める。
【0008】
しかしながら、既知の腐食センサの感度は、例えば、早期腐食及び/又は局所腐食効果に対して比較的低く、その結果、これらの既知の腐食センサが取り付けられる構造の金属の腐食は、応答可能に検出されないかもしれない。
【0009】
したがって、腐食センサを改善する必要がある。
【発明の概要】
【0010】
本発明の1つの目的は、とりわけ、本明細書で識別されようと他の場所で識別されようと、従来技術の欠点の少なくともいくつかを少なくとも部分的に回避または軽減する腐食センサを提供することである。例えば、本発明の実施形態の目的は、既知の腐食センサと比較して改善された感度を有する腐食センサを提供することである。例えば、本発明の実施形態の目的は、早期腐食及び/又は局所腐食効果の識別を可能にする腐食を監視する方法を提供することである。
【0011】
第1の態様は、腐食センサを提供し、
基板と、
基板上に設けられたパターン化された導電層とを備え、導電層は、
共通端子と、
第1の端子および第2の端子を含む端子のセットと、
第1の感知素子および第2の感知素子を含む感知素子のセットとを規定し、
感知素子のセットのそれぞれの感知素子は、端子のセットのそれぞれの端子が感知素子のセットのそれぞれの感知素子に固有であるように、共通端子に、および端子のセットのそれぞれの端子に電気的に結合される。
【0012】
第2の態様は、第1の態様による第1の腐食センサおよび第2の腐食センサを含む腐食センサのセットを備える腐食感知システムを提供する。
【0013】
第3の態様は、第1の態様による腐食センサまたは第2の態様による腐食感知システムを備える構造を提供する。
【0014】
第4の態様は、第1の態様による腐食センサを使用して腐食を監視する方法を提供し、方法は、
共通端子と端子のセットのそれぞれの端子との間のそれぞれの抵抗を、例えば、連続的に、周期的に、断続的に、引き続いて、及び/又は循環的に測定することを含む。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明によれば、添付の特許請求の範囲において記載されたような腐食センサが提供される。腐食感知システム、構造、および方法も提供される。本発明の他の特徴は、従属の請求項、および、以下の説明から明らかになる。
【0016】
腐食センサ
第1の態様は、腐食センサを提供し、
基板と、
基板上に設けられたパターン化された導電層とを備え、導電層は、
共通端子と、
第1の端子および第2の端子を含む端子のセットと、
第1の感知素子および第2の感知素子を含む感知素子のセットとを規定し、
感知素子のセットのそれぞれの感知素子は、共通端子と、端子のセットのそれぞれの端子とに電気的に結合される。
【0017】
感知素子のセットのそれぞれの感知素子は、共通端子に、および端子のセットのそれぞれの端子に電気的に結合されるので、感知素子のセットの感知素子のそれぞれの抵抗は、既知の腐食センサの場合のように全抵抗を測定するだけではなく、個々に測定することができる。このように、感知素子の個々の抵抗を監視できることから、腐食センサの感度は向上する。このように、腐食センサが取り付けられる構造の金属の腐食をより応答可能に検出できるので、腐食センサは、早期腐食及び/又は局所腐食効果の識別を可能にする。腐食をより応答可能に検出することによって、修復をより早期に行うことができ、それによって腐食に関係するコスト及び/又は複雑さを低減することができる。
【0018】
特に、本発明者らは、既知のセンサの全抵抗を測定するとき、全抵抗は、特定の感知素子、典型的には単一の特定の感知素子の腐食によって支配されることを観察した。なぜなら、感知素子は並列であるからである。したがって、他の感知素子の腐食は区別されないか、または比較的低い感度でしか区別されないかもしれない。すなわち、他の感知素子の早期腐食及び/又は局所腐食効果は、典型的には、全体的抵抗が特定の感知素子の腐食によって支配されるとき、測定されないかもしれず、したがって、腐食センサが取り付けられる構造の金属の腐食は、応答可能に検出されないかもしれない。例えば、剥離、粒間腐食、点食、隙間腐食、及び/又は応力腐食などの局所腐食効果による抵抗変化は、腐食の程度に比例しないかもしれず、その結果、局所腐食効果は、全体抵抗を測定することによって確実に検出されないかもしれない。
【0019】
対照的に、感知素子のセットの感知素子のそれぞれの抵抗を個々に測定することによって、各感知素子の腐食を監視することができ、それによって、剥離、粒間腐食、点食、隙間腐食、及び/又は応力腐食などの早期腐食及び/又は局所腐食効果の検出が可能になる。言い換えれば、全抵抗が測定される既知の腐食センサの問題は、どの感知素子(または感知素子の組合せ)が全抵抗の測定された変化を生じさせているかが常に明らかであるとは限らないので、情報が失われることである。感知素子が異なる幅及び/又は長さを有し、したがって異なる段階で腐食を示すのに有用であるときに、どの感知素子が測定変化を生じさせているかを知るのに、これは特に有益である。コーティング内の異なる幅及び/又は長さの穿孔が監視されているとき、または感知素子のセットを備えるコーティングされていない腐食センサが異なるそれぞれの弱点を使用しているときに、これは特に有益である。
【0020】
腐食センサは、以下でより詳細に説明するように、防止剤枯渇センサとして使用するのに特に適している。特に、複雑な防止剤は、異なる時間に作用する複数の抑制機構に寄与することができる。既知のセンサを使用して全体的な抵抗を測定することによって、異なる時間に作用するそのような複数の抑制機構は、観測可能でないかもしれない。対照的に、感知素子のセットの感知素子のそれぞれの抵抗を個々に測定することによって、異なる時間に作用するそのような複数の抑制機構は観察されることができる。
【0021】
基板
腐食センサは基板を含む。
【0022】
基板は、その上にパターン化された導電層を提供するのに適した絶縁材料を含むことを理解されたい。一例では、絶縁材料は、ポリマー(すなわち、ポリマー基材)を含むポリマー組成物を含み、及び/又はポリマー組成物である。典型的な適切なポリマー基材は、マイラー(登録商標)及びポリイミドを含む。他の適切なポリマー基材が知られている。一例では、絶縁材料は、絶縁酸化物、例えば二酸化ケイ素を含む、及び/又は絶縁酸化物、例えば二酸化ケイ素である。一例では、絶縁材料は導電層上に設けられる。
【0023】
パターン化された導電層
腐食センサは、基板上に設けられたパターン化された導電層を含む。腐食センサのための基板上の導電層のパターン化が知られている。
【0024】
一例では、導電層は、堆積、例えば(イオンビームスパッタリング、反応性スパッタリング、イオンアシスト堆積、高ターゲット利用スパッタリング、高出力インパルスマグネトロンスパッタリングおよびガス流スパッタリングを含む)スパッタ堆積、陰極アーク堆積、電子ビーム物理蒸着、蒸着、近接昇華及び/又はパルスレーザ堆積などの物理蒸着によって基板上に設けられる。他の適切な堆積方法、例えば化学蒸着、イオンプレーティング、薄膜堆積およびイオンビームアシスト堆積が知られている。このような堆積方法は、比較的薄い導電層に特に適している。比較的厚い導電層は、電気めっき、ディッピング、及び/又は箔の基板への接合、例えば接着によって基板上に設けることができる。
【0025】
一例では、導電層は堆積後にアニールされる。このようにして、導電層の粒成長が促進され、その結果、導電層は、腐食センサが取り付けられる構造の金属の腐食特性を比較的よりよく表す腐食特性を有する。導電層の粒径を増加させることによって、局所的な腐食の初期段階の検出が改善される。局部腐食は、粒界及び/又は特定の金属間相などの特定の部位で開始するので、バルク金属の粒界及び/又は金属間相と同様の組成を有する導電層の生成は、そのような局部腐食の検出を向上させる。
【0026】
一例では、導電層は堆積後にアニールされない。特に、いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、感知素子の腐食に対する感度は、感知素子及び/又は導電性領域の間の間隙の幅を調整することによって、ある程度制御できる。すなわち、間隙の幅は、アニールされていない感知素子の腐食に対する感度が、アニールされた感知素子の腐食に対する感度と同様または等しくなるように増加されるように、予め決定されてもよい。アニーリングを省略することによって、センサの製造が単純化される。
【0027】
一例では、導電層は、例えば堆積後またはアニーリング後に、例えばフォトリソグラフィパターニングによってパターン化される。
【0028】
一例では、導電層は、金属、例えば合金を含み、及び/又は金属、例えば合金である。典型的には、金属は、腐食センサが取り付けられる構造の金属の腐食特性を表す(すなわち、模倣する)腐食特性を有する。一例では、導電層の金属の組成は、構造の金属の組成と同様であり、典型的には、構造の金属の組成の約3重量%以内、好ましくは1重量%以内の置換型合金化添加物を含む。比較的低濃度、例えば最大3重量%で構造の金属に含まれる置換型合金化添加物は、最大1重量%の量で存在してもよく、または導電層の金属から除外されてもよい。侵入型合金添加物は、必要な変更を加えて含まれてもよい。
【0029】
一例では、構造の金属は、任意の適用可能な質別記号(すなわち、-F、-H、-H1、-H2、-H3、-HX2、-HX4、-HX6、-HX8、-HX9、-O、-T、-T1、-T2、-T3、-T4、-T5、-T51、-T510、-T511、-T52、-T6、-T7、-T8、-T9、-T10、-W)を有するアルミニウム合金、例えば1000系、2000系、3000系、4000系、5000系、6000系、7000系、8000系アルミニウム合金、好ましくは1000系、2000系、6000系、7000系または8000系アルミニウム合金、好ましくは2000系、4000系、5000系、6000系、7000系または8000系アルミニウム合金を含む、及び/又はそれである。
一例において、導電層の金属は、アルミニウム合金に対応し、例えばアルミニウム合金と同様である。
【0030】
一例では、アルミニウム合金は、1420,2004,2014,2017,2020,2024,2080,2090,2091,2095,2124,2219,2224,2324,2519,2524,4047,6013,6061,6063,6113,6951,7010,7049,7050,7055,7068,7075,7079,7093,7150,7178,7475及び8009から選択される航空宇宙用アルミニウム合金である。
【0031】
一例では、アルミニウム合金は、5052,5059,5083,5086,6061及び6063から選択される船舶用アルミニウム合金である。
【0032】
一例では、導電層の金属は、2重量%から8重量%の範囲、例えば5重量%のCuと、残部Alおよび不可避的不純物とを含み、構造の金属がAl-CuまたはAl-Si-Cu合金、例えば2004、2014、2017、2020、2024、2080、2090、2091、2095、2124、2219、2224、2324、2519、2524などの2000系アルミニウム合金を含む及び/又はそれであるのに適している。一例では、導電層の金属は、2000系アルミニウム合金に対応する量の1つ以上の他の合金化条件を含む。
【0033】
一例では、導電層の金属は、5重量%から20重量%の範囲、例えば12重量%のSiと、残部Alおよび不可避的不純物とを含み、構造の金属がAl-Si合金、例えば4047などの4000系アルミニウム合金を含む及び/又はそれであるのに適している。一例では、導電層の金属は、4000系アルミニウム合金に対応する量の1つ以上の他の合金化条件を含む。
【0034】
一例では、導電層の金属は、2重量%から8重量%の範囲、例えば5重量%のMgと、残部のAlおよび不可避の不純物を含み、構造の金属がAl-Mg合金、例えば5052、5059、5083、5086などの5000系アルミニウム合金を含む、及び/又はそれである腐食センサに適している。一例では、導電層の金属は、5000系アルミニウム合金に対応する量の1つ以上の他の合金化条件を含む。
【0035】
一例では、導電層の金属は、0.3重量%から1.2重量%の範囲、例えば0.8重量%のMgと、0.3重量%から1.2重量%の範囲、例えば0.8重量%のSiと、残部のAlおよび不可避的不純物とを含み、構造の金属がAl-Mg-Si合金、例えば6013、6061、6063、6113、6951などの6000系アルミニウム合金を含む、及び/又はそれである腐食センサに適している。一例では、導電層の金属は、6000系アルミニウム合金に対応する量の1つ以上の他の合金化条件を含む。
【0036】
一例では、導電層の金属は、2重量%から8重量%の範囲、例えば5重量%のZnと、残部Alおよび不可避不純物とを含み、構造の金属がAl-Zn合金、例えば7010、7049、7050、7055、7068、7075、7079、7093、7150、7178、7475などの7000系アルミニウム合金を含む、及び/又はそれであるのに適している。一例では、導電層の金属は、7000系アルミニウム合金に対応する量の1つ以上の他の合金化条件を含む。
【0037】
一例では、導電層の金属は、1重量%から4重量%の範囲、例えば2重量%のLiと、残部のAlおよび不可避的不純物とを含み、構造の金属がAl-Li合金、例えば8009などの8000系アルミニウム合金を含む及び/又はそれである腐食センサに適している。一例では、導電層の金属は、8000系アルミニウム合金に対応する量の1つ以上の他の合金化条件を含む。
【0038】
一例では、導電層の金属は、構造の金属に対応し、例えば類似しており、構造の金属は、例えば銅ニッケル合金、例えばCu-30Ni(重量%)合金;海洋鋼、例えばDH36;アルミニウム青銅、例えばCu-6Al-2Ni(重量%);およびステンレス鋼、例えばFe-18Cr-8-Ni-lowC(重量%)から選択される海洋合金を含む、及び/又は海洋合金である。
【0039】
一例では、導電層の金属は、構造の金属に対応し、例えば類似しており、構造の金属は、ニッケル合金、例えばインコネル600(登録商標)もしくはインコネル718(登録商標);純チタンもしくはチタン合金、例えばTi-6Al-4V(重量%);または装甲鋼を含む、及び/又はそれである。
【0040】
共通端子及び端子のセット
導電層は共通端子を規定する。共通端子は、感知素子のセットのそれぞれの感知素子に共通である、すなわち、それに電気的に結合されることを理解されたい。一例では、共通端子は、例えばケーブルコネクタなどの標準インターフェースに準拠するような、例えば正方形または矩形のパッドなどのパッドを備える、及び/又はパッドである。このようにして、外部測定デバイスは、共通端子に容易に電気的に結合されてもよい。
【0041】
導電層は、第1の端子および第2の端子を含む端子のセットを規定する。端子のセットは共通端子を含まないことを理解されたい。端子のセットのそれぞれの端子は、感知素子のセットのそれぞれの感知素子に共通ではないこと、共通端子を参照、を理解されたい。端子のセットのそれぞれの端子は、感知素子のセットのそれぞれの感知素子に固有であり、すなわち、それに電気的に結合されるだけであることを理解されたい。一例では、感知素子のセットのそれぞれの感知素子は、共通端子におよび端子のセットのそれぞれの端子にのみ電気的に結合され、たとえば、第1の感知素子は、共通端子におよび第1の端子にのみ電気的に結合され、第2の感知素子は、共通端子および第2の端子にのみ電気的に結合される。一例では、端子のセットのそれぞれの端子は、感知素子のセットのそれぞれの感知素子に固有であり、例えば、感知素子のセットのそれぞれの感知素子に特に電気的に結合されるか、または感知素子のセットのそれぞれの感知素子にのみ電気的に結合される。すなわち、端子のセットのそれぞれの端子は、互いに電気的に絶縁され、感知素子のセットのそれぞれの感知素子は、共通端子を介する以外、互いに電気的に絶縁される(すなわち、互いに電気的に絶縁される)。このようにして、感知素子のセットのそれぞれの感知素子のそれぞれの抵抗は、共通端子と端子のセットのそれぞれの端子との間で、独立して測定されてもよい。端子のセットのそれぞれの端子は、必要な変更を加えて、共通端子に関して説明した通りであってもよい。一例では、端子のセットは、第1の端子および第2の端子を含むT個の端子を含み、Tは、2以上の自然数、たとえば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上である。一例では、腐食センサは、端子のセットの2つ以上の端子を導電的に結合するように配置可能なまたは配置された導電性結合要素を備える。このようにして、腐食センサは、例えば、従来の測定デバイスに接続されてもよい。
【0042】
一例では、共通端子および端子のセットのそれぞれの端子は、腐食センサの同じ側に配置される。このようにして、外部測定デバイスは、共通端子におよび端子のセットのそれぞれの端子に容易に電気的に結合されてもよく、一方で、例えば腐食性媒体からの端子の保護が容易にされてもよい。特に、露出した端子の腐食は望ましくなく、例えば電気的結合の異種金属と接触することによって悪化するかもしれない。
【0043】
一例では、端子のセットのそれぞれの端子は、例えばケーブルコネクタなどの標準インターフェースに準拠するように、互いに位置合わせされ、等間隔に配置され、及び/又は同じ大きさにされる。例えば、端子のセットのそれぞれの端子は直線状に配置されてもよい。このようにして、外部測定デバイスは、共通端子におよび端子のセットのそれぞれの端子に容易に電気的に結合することができ、一方で、前述のように、例えば腐食性媒体からの端子の保護を容易にすることができる。
【0044】
一例では、共通端子および端子のセットのそれぞれの端子は、例えばケーブルコネクタなどの標準インターフェースに準拠するように、互いに位置合わせされ、等間隔に配置され、及び/又は同じサイズにされる。例えば、共通端子と端子のセットのそれぞれの端子とが直線状に配置されていてもよい。このようにして、外部測定デバイスは、共通端子におよび端子のセットのそれぞれの端子に容易に電気的に結合することができ、一方で、前述のように、例えば腐食性媒体からの端子の保護を容易にすることができる。
【0045】
検出素子
導電層は、第1の感知素子および第2の感知素子を含む感知素子のセットを規定する。当業者によって理解されるように、感知素子のセットのそれぞれの感知素子に対する腐食性媒体の作用は、それらのそれぞれの抵抗を増加させる。感知素子のセットのそれぞれの感知素子は、典型的には、相互に離間されることを理解されたい。
【0046】
感知素子のセットのそれぞれの感知素子は、共通端子と端子のセットのそれぞれの端子とに電気的に結合される。このようにして、感知素子のセットの感知素子のそれぞれの抵抗は、共通端子と端子のセットのそれぞれの端子との間のそれぞれの抵抗を測定することによって個々に測定されてもよく、それによって、前述のように、腐食センサの感度を増加させる。
【0047】
感知素子のセットの感知素子のそれぞれの初期抵抗は、少なくとも部分的に、それぞれの長さおよびその断面積、ならびに導電層の抵抗率によって決定されることを理解されたい。
【0048】
一般に、感知素子は、腐食から生じる厚さの損失による抵抗の変化を増大させるように、比較的薄い厚さを有しながら比較的長いことが好ましい。従来、感知素子の初期のそれぞれの抵抗は比較的高く、例えば1kΩよりも大きく、その結果、例えば測定に対する接続ケーブルの抵抗の影響が低減される。しかしながら、感知素子のセットのそれぞれの感知素子の個々の抵抗を測定することによって、及び/又は電子機器をセンサに搭載して/センサパッケージ内に組み込むことによって、例えば、接続ケーブルの抵抗の影響は、低減または排除されることができ、それによって、比較的低い初期それぞれの抵抗を可能にする。例えば、接続ケーブルの抵抗の影響を減衰させる技術が知られている。一例では、第1の感知素子の初期抵抗は、0.1Ωから100Ωの範囲内、好ましくは0.5Ωから50Ωの範囲内、より好ましくは1Ωから25Ωの範囲内、例えば5Ωまたは10Ωである。感知素子のセットの感知素子のそれぞれの初期抵抗は、第1の感知素子に関して説明したものであってもよい。
【0049】
抵抗率は、導電層のための材料、例えば金属の選択によって予め決定され、導電層は、上述したように、腐食センサが取り付けられる構造の金属に従って選択される。
【0050】
一般に、感知素子のセットの感知素子のそれぞれの直線長さを低減することによって、腐食センサのサイズを低減することができる。感知素子の正味の長さは、例えば、蛇行感知素子をパターン化することによって、所定の直線長さに対して増加されてもよい。このようにして、蛇行感知素子の抵抗は、所定の直線長さに対して増加する。しかしながら、蛇行感知素子の屈曲部の最小曲率半径は、曲率による腐食速度の増大を回避するために、予め決定されなければならない。一例では、第1の感知素子は、蛇行感知素子を含む、及び/又は蛇行感知素子である。一例では、第1の感知素子は、1Lから10Lの範囲、好ましくは2Lから8Lの範囲、より好ましくは3Lから5Lの範囲の正味長さを有し、ここでLは第1の感知素子の直線長さである。
【0051】
一例では、第1の感知素子は、例えば平面図で矩形形状を有する線形感知素子を含む、及び/又は線形感知素子である。このようにして、パターン化が単純化される。追加的に及び/又は代替的に、1の感知素子またはその一部のみを暴露するように第1の穿孔を形成することが、例えば、蛇行感知素子と比較して、線形感知素子について単純化されることから、腐食センサ上に塗布されるコーティング内に第1の穿孔を含む穿孔のセットを形成することが促進される。
【0052】
一例では、第1の感知素子は、5mmから50mmの範囲、好ましくは7.5mmから40mmの範囲、より好ましくは10mmから30mmの範囲、例えば15mm、20mmまたは25mmの直線長さを有する。このようにして、腐食センサは、比較的コンパクトであってもよい。
【0053】
感知素子のそれぞれの断面積は、それぞれの厚さおよび幅によって決定される。
【0054】
一例では、感知素子のセットのそれぞれの感知素子は、50nmから150nmの範囲、好ましくは75nmから125nmの範囲、例えば100nmの厚さを有する。厚さを減少させることによって、感知素子のセットの感知素子のそれぞれの抵抗を増加させることができる。特に、本発明者らは、バルク材料の腐食特性と同程度である腐食特性を達成しながら、従来の理解と比較して、それぞれの感知素子の厚さを低減できることを観察した。一例では、感知素子のセットのそれぞれの感知素子は、同じ厚さを有し、任意選択で異なる幅を有する。このようにして、製造は比較的単純になる。一例では、それぞれの感知素子は、異なる厚さを有し、任意選択で同じ幅を有する。このようにして、比較的厚い感知素子に対する腐食の影響は比較的遅くなり、逆もまた同様であるので、長期間にわたる腐食の影響を監視することができる。
【0055】
追加的に及び/又は代替的に、一例では、感知素子のセットのそれぞれの感知素子は、0.25mmから2.0mmの範囲、好ましくは0.50mmから1.5mmの範囲、より好ましくは0.75mmから1.25mmの範囲、例えば1.0mmの厚さを有する。すなわち、厚さは、例えば、軟鋼などの比較的高い腐食速度及び/又は低い抵抗率を有する材料に対して、比較的大きくてもよい。
【0056】
一例では、第1の感知素子は、0.1mmから25mmの範囲、好ましくは0.2mmから10mmの範囲、より好ましくは0.5mmから5.0mmの範囲、例えば0.6mm、0.8mm、1.0mm、2.0mm、3.0mmまたは4.0mmの幅を有する。このように、腐食の監視は、その異なる段階を含むことができる。一例では、感知素子のセットのそれぞれの感知素子は、異なる幅、例えば、上述の範囲内の一連の増加する幅を有する。このようにして、腐食の監視は比較的より包括的であり、腐食の影響を長期間にわたって監視することを可能にする。
【0057】
一例では、感知素子のセットは、第1の感知素子及び第2の感知素子を含むS個の感知素子を含み、Sは2以上の自然数、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上である。感知素子の数を増加させることによって、構造の金属の腐食の理解を向上させることができ、例えば、感知素子が1つしか存在しない場合、腐食性媒体の存在下での構造の金属の挙動を表さない局所的な影響が腐食センサの応答を支配するかもしれないので、腐食センサが構造の金属に対する腐食の平均的な影響のより良好な指示を提供することを可能にする。
【0058】
一例では、感知素子のセットはS個の感知素子を含み、端子のセットはT個の端子を含み、SはTに等しい。すなわち、各感知素子は対応する端子を有する。
【0059】
一例では、感知素子のセットのそれぞれの感知素子は、互いに平行であり、及び/又は等間隔であり、たとえば規則的に配置される。
【0060】
一例では、感知素子のセットのそれぞれの感知素子は、実質的に半径方向に配置され、例えば、共通端子から放射状に広がる(すなわち、ハブおよびスポーク)。
【0061】
一例では、感知素子のセットのそれぞれの感知素子は、1mmから25mmの範囲、好ましくは2mmから10mmの範囲、より好ましくは3mmから8mmの範囲、例えば3mm、4mm、5mm、6mm、7mmまたは8mmの距離だけ離間される。その数密度を増加させ、比較的よりコンパクトな腐食センサを提供するように、それぞれの感知素子間の距離を減少させることが望ましいが、防止剤を含み、その中に穿孔のセットを有するコーティングが腐食センサ上に提供されるとき、穿孔のセットのそれぞれの穿孔は、好ましくは、それぞれの穿孔間のコーティングが防止剤の十分なリザーバを提供するように十分に離間される。
穿孔のセットのそれぞれの穿孔は、好ましくは、感知素子のセットのそれぞれの感知素子に対応するので、それぞれの感知素子は、したがって、好ましくは、対応して離間される。
【0062】
導電性領域
一例では、導電層は、
第1の導電性領域を含む導電性領域のセットを規定し、
導電性領域のセットのそれぞれの導電性領域は、感知素子のセットのそれぞれの感知素子の間に配置され、感知素子のセットのそれぞれの感知素子から電気的に絶縁されている。
【0063】
このようにして、パターン化された導電層は、概して基板上に設けられる。このようにして、感知素子のそれぞれの幅は、比較的狭くすることができ、一方、塗布されたコーティングの下の腐食センサ表面の残りは、導電性領域の存在のために、導電層単独の幅に少なくともほぼ等しいままである。特に、基板が露出されるのではなく、基板の大部分がパターン化された導電層によって覆われてもよい。これは、代表的でない腐食効果のリスクを低減しながら、比較的高い抵抗を有する腐食センサを提供する。このようにして、導電性領域のセットは、塗布されたコーティングの下の腐食センサの表面が、腐食センサが取り付けられた構造の塗布されたコーティングの下の表面とほぼ等しいままであることを可能にし、その結果、腐食センサは、構造の金属に対する腐食の影響の正確な指示を与える。第1の導電性領域の形状は、少なくとも部分的に、感知素子のセットの形状に依存することを理解されたい。
例えば、感知素子が線形である場合、導電性領域は、例えば、矩形又は正方形であってもよい。例えば、感知素子が蛇行している場合、導電性領域はそれに応じて成形されてもよい。
一例では、パターン化された導電層、例えば導電性領域および感知素子は、90%から99.9%の範囲、好ましくは92.5%から99%の範囲、より好ましくは95%から97.5%の範囲の基板の割合を覆う。
【0064】
一例では、導電性領域のセットのそれぞれの導電性領域は、好ましくは実質的に均一な及び/又は等しい幅を有する間隙によって、感知素子のセットのそれぞれの感知素子から電気的に絶縁される。導電性領域は、第1の感知素子の腐食速度が増加するように、第1の感知素子のどちらかの側に近接して配置されてもよい。間隙の幅は、本明細書で説明するように、導電層を堆積後にアニールする必要をなくすように予め決定することができる。トラックの腐食がバルク材料について予想されるのと同じくらい迅速に起こることを確実にするためにアニーリングは以前は必要であったが、同じ効果が狭い間隙を使用して達成できることが見出された。センサが任意の潜在的に有害な腐食に迅速に反応することを確実にするために、間隙をさらに狭くすることも可能である。第1の感知素子と導電性領域との間に規定された第1および第2の間隙があってもよく、間隙は、実質的に均一な幅を有する。一例では、間隙は、1μmから100μmの範囲、好ましくは5μmから75μmの範囲、より好ましくは10μmから50μmの範囲、最も好ましくは15μmから25μmの範囲、例えば19μmまたは20μmである。比較的狭い間隙は、腐食速度の増加をもたらすかもしれないが、間隙が狭すぎる場合、短絡が、感知素子と隣接導電性領域との間で生じるかもしれない。逆に、比較的広い間隙は、導電層の特性とは異なる特性を有する基板の比較的大きな表面積を露出させる。導電性領域が感知素子に十分に近い場合、感知素子の腐食速度が高められることが経験的に分かっており、これは、感知素子の腐食速度が、感知素子の材料のバルク試料の腐食速度に対して加速されることを意味する。増強の程度は、導電性領域が感知素子にどれだけ近いかに依存する。増強効果は、間隙が小さくなるにつれて増幅される。
間隙が2μmであるとき、増強効果が明確に視認可能であることが見出された。10μmもの大きさの間隙に対して、増強効果は視認可能のままであるが、著しく低減され、測定可能な効果は、間隙が12から15μmに増加されるときに予想されることができる。したがって、別個の導電性領域を感知素子に近接して配置することによって、感知素子の腐食速度は、感知素子と導電性領域との間の実際の分離に応じて制御可能な方法で高めることができる。
【0065】
一例では、第1の導電性領域は、第1の導電性サブ領域および第2の導電性サブ領域を含む導電性サブ領域の第1のセットを備え、導電性サブ領域の第1のセットのそれぞれの導電性サブ領域は、相互に電気的に絶縁される。すなわち、第1の導電性領域は、別個のサブ領域に分割される。これは、導電性領域によって覆われる基板の割合を比較的小さい程度に低減するが、本発明者らは、比較的大きい連続した導電性領域の使用中のアニーリング及び/又は熱膨張が問題となる場合があり、隣接する感知素子との電気的接触をもたらすことを観察した。したがって、第1の導電性領域を別個のサブ領域に分割することによって、そのような問題を回避することができる。一例では、第1の導電性サブ領域の最大寸法、例えば長さまたは幅は、0.25mmから5.0mmの範囲内、好ましくは0.50mmから2.5mmの範囲内、より好ましくは0.75mmから1.25mmの範囲内、例えば981μmまたは1.0mmである。第1の導電性サブ領域の形状は、少なくとも部分的に、感知素子のセットの形状に依存することを理解されたい。例えば、感知素子が線形である場合、導電性サブ領域は、例えば、矩形又は正方形であってもよい。例えば、感知素子が蛇行している場合、導電性サブ領域はそれに応じて成形されてもよい。第2の導電性サブ領域は、第1の導電性サブ領域に関して説明したものであってもよい。
【0066】
一例では、導電性サブ領域の第1のセットのそれぞれの導電性サブ領域は、好ましくは実質的に均一な及び/又は等しい幅を有する間隔によって互いに電気的に絶縁されている。間隔は、概して、導電性領域と隣接する感知素子との間の間隙に関して説明されるようなものであってもよい。
【0067】
一例では、それぞれの導電性領域及び/又はそのそれぞれのサブ領域は、互いに電気的に結合され、接地に結合されまたは結合可能であり、及び/又は、例えば予め定められたの電位で電源ユニットに結合されまたは結合可能である。このようにして、感知素子の腐食は、構造の金属を表すことができる。
【0068】
トラック
一例では、導電層は、
共通トラックと、
任意選択で、第1のトラックおよび第2のトラックを含むトラックのセットとを規定し、
感知素子のセットのそれぞれの感知素子は、共通トラックを介して共通端子に電気的に結合され、
任意選択で、感知素子のセットのそれぞれの感知素子は、トラックのセットのそれぞれのトラックを介して端子のセットのそれぞれの端子に電気的に結合される。
【0069】
このようにして、感知素子のセット及び端子のセットは、パターン化された導電層に配置され、それぞれのトラックによって必要とされるように電気的に結合されてもよい。
【0070】
トラックの厚さは、感知素子の厚さよりも相対的に大きくすてもよく、それによって、感知素子の相対抵抗を低減する。一例では、共通トラック及び/又はトラックのセットのそれぞれのトラックは、0.25μmから10μmの範囲、好ましくは0.5μmから5μmの範囲、より好ましくは0.75μmから2.5μmの範囲、例えば1μm又は2μmの厚さを有する。
【0071】
一例では、共通トラック及び/又はトラックのセットのそれぞれのトラックは、0.5mmから5mmの範囲、好ましくは0.75mmから3mmの範囲、より好ましくは1mmから2mmの範囲の幅を有する。
【0072】
一例では、共通トラック及び/又はトラックのセットのそれぞれのトラックは、導電性領域のセットのそれぞれの導電性領域から電気的に絶縁され、及び/又は感知素子のセットのそれぞれの感知素子から間隙によって離間され、及び/又は間隙によって相互に離間され、好ましくは、感知素子と導電性領域との間の間隙に関して概して説明したように、実質的に均一な及び/又は等しい幅を有する。
【0073】
一例では、第1のトラックは、少なくとも部分的に、第2のトラックによって境界付けられる。すなわち、第2のトラックは、少なくとも部分的に、例えば2つまたは3つの側で、第1のトラックを取り囲み、それによって腐食センサのコンパクトさを増加させる。一例では、第1の感知素子、第1のトラック、および任意選択で第1の端子は、少なくとも部分的に、第2の感知素子、第2のトラック、および任意選択で第2の端子によって境界付けられる。言い換えると、腐食センサ、例えば、感知素子のセットは、入れ子にされる。感知素子のセットを入れ子にすることによって、複数の個々の感知素子をその上に有する既知の腐食センサと比較して、トラックの数密度を低減しながら、より大きい数密度の感知素子が腐食センサ上に含まれてもよく、それぞれの感知素子の個々の抵抗が測定されてもよい。
【0074】
一例では、共通端子、共通トラック、感知素子のセットのそれぞれの感知素子、トラックのセットのそれぞれのトラック、および端子のセットのそれぞれの端子は、共通端子、共通トラック、第1の感知素子、第1のトラック、および第1の端子によって規定される第1の抵抗回路と、共通端子、共通トラック、第2の感知素子、第2のトラック、および第2の端子によって規定される第2の抵抗回路とを含む、抵抗回路のセットを規定し、第2の抵抗回路は、第1の抵抗回路を少なくとも部分的に境界付ける。言い換えれば、共通端子および共通トラックが第1の抵抗回路および第2の抵抗回路に共通であるにもかかわらず、抵抗回路は入れ子にされる。一例では、抵抗回路のセットは、第1の抵抗回路および第2の抵抗回路を含むR個の抵抗回路を含み、Rは2以上の自然数、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上であり、r番目の抵抗回路は、(r-1)番目の抵抗回路を2つまたは3つの側で少なくとも部分的に境界付け、例えば少なくとも部分的に囲み、rは2からRに等しい。例えば、Rが3に等しいとき、第3の抵抗回路は、第2の抵抗回路を少なくとも部分的に境界付け、第2の抵抗回路は、第1の抵抗回路の境界を少なくとも部分的に境界付ける。すなわち、抵抗回路は連続して入れ子にされる。このようにして、腐食センサは、比較的より小型であってもよい一方で、端子は、前述のように、より良好に保護されながら、外部測定デバイスに結合するために配置されてもよい。
【0075】
一例では、トラックのセットのそれぞれのトラックは、例えばその間に絶縁体層を含んで、積み重ねられる。このようにして、腐食センサのコンパクトさを改善することができる。
【0076】
コーティング
一例では、腐食センサは、任意選択で、第1の穿孔を含む穿孔のセットをその中に及び/又はそれを通して有する、コーティングを備える。コーティングを提供することによって、腐食センサが取り付けられる構造の金属の腐食は、腐食センサによって模倣されてもよい。一例では、コーティングは、構造の金属上に設けられたものと同じコーティングである。コーティングは、導電層、または基板の一部、および任意選択で基板の露出した表面の上に伸長する(すなわち覆う)ことを理解されたい。一例では、コーティングは、共通端子または端子のセットの上に伸長しない。このようにして、電気回路は、共通端子および端子のセットに電気的に結合されてもよい。一例では、コーティングは、共通端子および端子のセット、ならびに基板の露出した面を除いて、完全な導電層の上に伸長する。
【0077】
コーティングの1つの目的は、導電層に腐食保護を提供することであることを理解されたい。コーティングは、典型的には、腐食センサが取り付けられる構造に塗布されるコーティングと同じであることを理解されたい。例えば、腐食センサは、構造上に取り付けされ、コーティングは、続いて、腐食センサおよび構造に塗布されてもよい。様々な導電層に適したコーティングが知られている。アルミニウム合金のためのコーティングの概要が提供される。
【0078】
アルミニウム合金の腐食保護は、典型的には、多層コーティングを得るための、陽極酸化などの前処理プロセスと、それに続く化成コーティング及び/又は有機コーティング(バリアおよび防止剤の組合せ)の塗布を含む多段階処理プロセスである。例えば、典型的な多段階処理プロセスは以下を含む。
1.表面へのコーティングの接着性を改善し、いくらかの腐食保護を提供できる、金属間(IM)粒子除去および表面エッチングのための選択的脱酸素;
2.電気化学的(陽極酸化)または化学的(化成コーティング)手段を介した、製造された酸化物の堆積または成長;
3.通常、プライマーおよびトップコートを含むがこれらに限定されない、特定の用途のための有機コーティングの使用。
【0079】
アルミニウム合金のための陽極酸化コーティングプロセスは、典型的には、腐食に対するいくらかの保護を提供する薄いバリア層の上にセル構造を有する外側酸化物を生成する。防止剤は、損傷時にいくらかの追加の保護を提供するように、形成中に陽極酸化層の外側多孔質層に含まれてもよく、または形成後のシールとして含まれてもよい。表面保護酸化物の電気化学的成長のためのプロセスは、クロム酸陽極酸化を含むが、硫黄、硫黄-ホウ素、硫黄-酒石およびリンベースのプロセスなどのより環境に優しい代替物が好ましい場合がある。
【0080】
化成コーティングは、コーティングが表面上に化学的に析出される陽極酸化の代替である。2000および7000系アルミニウム合金などの高強度アルミニウム合金について、クロム酸塩化成コーティング(CrCCまたはCCC)が好ましいプロセスである。有毒なクロム酸塩ベースの化成コーティングの代替は、自己組織化単分子膜、ゾルゲル化学、Ti/Zrオキシフッ化物、希土類、コバルト、バナジウム酸塩、モリブデン酸塩及び過マンガン酸塩プロセスに基づくさまざまな処理を含む。
【0081】
陽極酸化または化成コーティングの後、有機コーティングが典型的に塗布される。多くの有機コーティングが知られており、本明細書に記載されているのは、2000および7000系アルミニウム合金などの高強度アルミニウム合金に適した有機コーティングである。有機コーティングは、通常、プライマー、トップコート、および任意選択で1つ以上の中間コートを含む。プライマー層は、主要な腐食保護層であり、腐食種又は水がアルミニウム合金に到達したときに放出される腐食防止剤を含む。アルミニウム合金に腐食保護を提供するために、防止剤は、防止剤が腐食を停止させる最小濃度(臨界濃度)より高い濃度で腐食事象中に提供されるべきである。プライマー中の防止剤の臨界濃度が機体のような構造の有効寿命の間維持されなければならず、そこでは保守が接近不可能であるために実施できないので、これは重要である。クロム酸塩防止剤は、クロム酸塩が臨界濃度を超えたままである間、アルミニウム合金の表面に連続的な保護および修復を提供する。防止剤放出および金属保護のこのメカニズムは、活性種の放出が金属の上の保護層を回復させるので、自己修復メカニズムと呼ぶことができる。他の防止剤も知られている。トップコートおよび任意選択の中間コートは、物理的バリアを提供し;トップコートは、不浸透性層を提供してもよい。
【0082】
一例では、コーティングは、例えばコーティングの第1の層に含まれる、上記のような防止剤を含む。すなわち、第1の層は、例えば、プライマーであってもよい。
【0083】
例示的なプライマーは、PPG PR205およびPPG PR143を含む。他のプライマーも知られている。
【0084】
一例では、コーティングは、例えば陽極酸化層または化成層、例えばクロム酸陽極酸化層またはアロクロムもしくはアロジン化成コーティングのような、例えば第1の層の下にある第0の層を含む。
【0085】
一例では、コーティングは、例えば中間コートまたはトップコートなどの第1の層を覆う第2の層を含む。
【0086】
例示的なトップコードは、PP EC75およびPPG CA8311を含む。他のトップコートも知られている。
【0087】
一例では、コーティングは、陽極酸化層又は化成層、例えばクロム酸陽極酸化層又はアロクロム化成コーティングなどの第0層と、プライマーなどの第1層と、中間コート又はトップコートなどの第2層とを含む。
【0088】
コーティングを塗布する方法は公知である。
【0089】
一例では、コーティングの第1の層は、例えば、その間にいかなる中間層も伴わずに、導電層上に直接塗布される。
【0090】
一例では、コーティングは、陽極酸化層又は化成層、例えばクロム酸陽極酸化層又はアロクロム化成コーティングなどの第0の層を含み、第0の層は導電層上に、例えば導電層上に直接塗布され、第1の層は第0の層上に、例えば第0の層上に直接塗布され、第0の層は第1の層の下にある。
【0091】
一例では、コーティングは、中間コートまたはトップコート等の第2の層を含み、第2の層は、第1の層上に、例えば、直接、第1の層上に塗布され、第2の層は、第1の層を覆う。
【0092】
一例では、コーティングは、陽極酸化層又は化成層、例えばクロム酸陽極酸化層又はアロクロム化成コーティングなどの第0層と、プライマーなどの第1層と、中間コート又はトップコートなどの第2層とを含む。
【0093】
一例では、コーティングは、その塗布後に硬化される。
【0094】
一例では、腐食センサは、その中及び/又はそれを通して、第1の穿孔を含む、穿孔のセットを有する、コーティングを備え、コーティングは、基板および導電層の全体を実質的に横断して伸長し、コーティングは、腐食防止剤を含む塗料を含む、及び/又はそれであり、第1の穿孔は、第1の感知素子と一致する(すなわち、その場所にある)。このようにして、腐食センサを防止剤枯渇センサとして使用することができる。第1の態様による腐食センサは、防止剤枯渇センサとして使用するのに特に適しており、その理由は、このタイプの腐食センサでは、上述の低抵抗の問題を克服するのが特に困難であることが分かっているからである。
【0095】
穿孔
一例では、コーティングは、その中に、及び/又はそれを通して、第1の穿孔を含む、穿孔のセットを有する。穿孔は、コーティング内の欠損、例えば、コーティングの厚さを貫通する、例えば部分的にまたは完全に貫通する通路または開口であることを理解されたい。穿孔のセットは概ね同様であり、例えば、第1の穿孔及び第2の穿孔は、形状などに関して概ね同様であるが、それぞれの深さに対して横断方向に異なる寸法を有してもよいことを理解されたい。
【0096】
一例では、穿孔のセットは、例えば工具を使用して、例えばコーティングをスクライビング、フライス加工、旋削、及び/又は切断することによって、コーティング内に機械加工される。適切な工具は公知である。
【0097】
一例では、穿孔のセットは、少なくとも部分的に、コーティングを塗布する前にマスクを使用し、その後マスクを除去して設けられる。すなわち、穿孔のセットは、マスクによって規定される。
【0098】
一例では、第1の穿孔は、コーティングを通る第1の深さと、第1の深さに対して横断する、例えば直交する第1の寸法とを有する。第1の寸法は、第1の穿孔の横方向寸法、例えば長さと比較して、幅または直径であることを理解されたい。一例では、第1の寸法は、第1の感知素子の幅の50%から99%の範囲内、好ましくは75%から97.5%の範囲内、より好ましくは85%から95%の範囲内である。一例では、第1の穿孔は、第1の深さに対して横断する、例えば直交する第2の寸法を有する。第2の寸法は、第1の穿孔の長手方向寸法、例えば、長さであることを理解されたい。一例では、第2の寸法は、第1の感知素子の長さの10%から90%の範囲内、好ましくは20%から80%の範囲内、より好ましくは30%から70%の範囲内である。一例では、第1の穿孔は、コーティングを貫通して、例えばコーティングを完全に貫通して伸長し、それによって第1の深さはコーティングの厚さに対応し(すなわち等しく)、それによって導電層及び/又は基板を暴露させる(すなわちあらわにする)。一例では、第1の穿孔は基板を暴露させない。一例では、第1の穿孔は、第1の感知素子またはその一部、例えば、第1の感知素子の一部のみを暴露する。このようにして、第1の感知素子の一部は、第1の穿孔を介して腐食性媒体に暴露される。一例では、第1の穿孔は、例えば矩形形状を有する線形チャネルを有するチャネルである。一例では、チャネルの断面形状は、四角形であり、好ましくは、正方形、矩形または二等辺台形などの正四角形である。チャネルの断面形状が二等辺台形である場合、チャネルの壁は、基部から離れて外向きにテーパ状になる。一例では、チャネルは、立方体形状または台形形状を有する。一例では、第1の穿孔は、例えば円形形状を有するボアである。ボアの直径は、その基部で測定されることを理解されたい。円形穿孔は、他の形状、例えば、正方形または矩形を有する穿孔の異方性から生じる影響を回避することができる。一例では、ボアの断面形状は、四角形であり、好ましくは、正方形、矩形、又は二等辺台形などの正四角形である。ボアの断面形状が二等辺台形である場合、ボアの壁は、基部から離れて外向きにテーパ状になる。一例では、ボアは、円筒状の又は円錐台状の形状を有する。
【0099】
一例では、穿孔のセットはP個の穿孔を含み、Pは2以上の自然数であり、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10以上である。穿孔のセットの各穿孔は、必要な変更を加えて、第1の穿孔に関して記載された通りであってもよい。一例では、穿孔のセットのそれぞれの穿孔は、同様のサイズ、例えば同じサイズを有する。一例では、穿孔のセットのそれぞれの穿孔は、例えば、感知素子のセットのそれぞれのサイズに対応する異なるサイズを有する。
【0100】
一例では、穿孔のセットは、感知素子のセットのためのそれぞれの穿孔、例えば、各感知素子のための1つの穿孔を含み、好ましくは、穿孔のセットのそれぞれの穿孔は、感知素子のセットのそれぞれのサイズに対応するサイズを有し、好ましくは、それぞれの穿孔は、それぞれの感知素子またはその一部、例えば、それぞれの感知素子の一部のみを暴露させる(すなわち、基板、隣接する感知素子及び/又は隣接する導電性領域を暴露させない)。一例では、穿孔のセットは、導電性領域またはその一部を暴露させない。特に、導電性領域は感知素子の一部ではないので、これらの導電性領域の腐食を測定することができない。しかしながら、導電性領域の一部が暴露された場合、腐食性媒体に暴露されたときのコーティングから導電性領域の暴露された部分への防止剤の移動は、例えば、コーティング中の防止剤を枯渇させ、感知素子に対する防止剤の利用可能性を低下させる。このようにして、感知素子の腐食は、構造の金属の腐食を表さないかもしれない。これは、導電性領域の暴露した部分が、暴露した感知素子よりもコーティングに比較的近接しているので、悪化するかもしれない。
【0101】
電子部品
一例では、腐食センサは、共通端子及び/又は端子のセットのそれぞれの端子に電気的に結合された、電子部品、例えば、ホイートストンブリッジ用などの抵抗器または抵抗器のセット、増幅器、マルチプレクサ、マイクロプロセッサ、データロガー、データバス用のインターフェース、及び/又はワイヤレスインターフェースを備える。このようにして、共通端子と端子のセットのそれぞれの端子との間のそれぞれの抵抗を測定するための、及び/又は測定デバイスと通信するための電気回路またはその一部が、腐食センサ上に設けられてもよい。
【0102】
一例では、パターン化された導電層は、上述のように電子部品を含む。このようにして、電子部品は、パターン化された導電層に組み込まれてもよい。
【0103】
一実施例では、腐食センサは、モノのインターネット(IoT)デバイスを備え、それに含まれ、及び/又はそれである。このように、腐食センサは、IoTネットワークに含まれてもよい。
【0104】
一例では、腐食センサ、例えばパターン化された導電層は、熱電対を含む。特に、導電層の抵抗率は、温度の関数であり、したがって、腐食センサ内に熱電対を含むことによって、腐食センサのセットの感知素子のそれぞれの抵抗は、温度の変化に対して補償されることができる。
【0105】
腐食感知システム
第2の態様は、第1の態様による第1の腐食センサおよび第2の腐食センサを含む腐食センサのセットを備える腐食感知システムを提供する。
【0106】
一例では、腐食感知システムは、例えば、共通端子と端子のセットのそれぞれの端子との間のそれぞれの抵抗を測定するために、共通端子および端子のセットのそれぞれの端子に電気的に結合された測定デバイスを備える。
【0107】
構造
第3の態様は、第1の態様による腐食センサまたは第2の態様による腐食感知システムを備える、例えば、その上にコーティングを有する金属を備える構造を提供する。
【0108】
一実施例では、腐食センサは、例えば、マイラー(登録商標)箔を使用して、構造上に接着して、及び/又は構造の部品間の接合部内に取り付けられる。
腐食センサを取り付ける他の方法が知られている。
【0109】
一例では、導電層の金属は、例えば第1の態様に関して説明したように、構造の金属を表す。一例では、腐食センサのコーティングは、構造の金属のコーティングと同様であり、好ましくは同じである。このようにして、腐食センサの腐食を監視することによって、構造の金属の腐食を推測することができる。
【0110】
方法
第4の態様は、第1の態様による腐食センサを使用して腐食を監視する方法を提供し、
共通端子と端子のセットのそれぞれの端子との間のそれぞれの抵抗を、例えば、連続的に、周期的に、断続的に、連続的に、及び/又は周期的に測定することを含む。
【0111】
一例では、共通端子と端子のセットのそれぞれの端子との間のそれぞれの抵抗を測定することは、ホイートストンブリッジを使用して、共通端子と端子のセットのそれぞれの端子との間のそれぞれの抵抗を測定することを含む。このようにして、共通端子と端子のセットのそれぞれの端子との間のそれぞれの抵抗は、いったん平衡が達成されると、ブリッジ電流のヌルを感知することによって正確に測定されることができる。一例では、ブリッジ抵抗器のうちの1つ以上が基板上に含まれる。
【0112】
定義
本明細書を通して、「備えている(comprising)」または「備える(comprises)」という用語は、指定されたコンポーネントを含むが、他のコンポーネントの存在を排除しないことを意味する。「から本質的になっている(consisting essentially of)」又は「から本質的になる(consists essentially of)」という用語は、指定されたコンポーネントを含むが、不純物として存在する材料、コンポーネントを提供するために使用されるプロセスの結果として存在する不可避の材料、及び着色剤及びこれに類するもののような本発明の技術的効果を達成する以外の目的のために添加されるコンポーネントを除く他のコンポーネントを除外することを意味する。
【0113】
「からなっている(consisting of)」又は「からなる(consists of)」という用語は、指定されたコンポーネントを含むが、他のコンポーネントを除外することを意味する。
【0114】
適切な場合はいつでも、文脈に応じて、用語「備える(comprises)」又は「備えている(comprising)」の使用は、「から本質的になる(consists essentially of)」又は「から本質的になっている(consisting essentially of)」という意味を含むと解釈されてもよく、「からなる(consists of)」または「からなっている(consisting of)」という意味を含むと解釈されてもよい。
【0115】
本明細書に記載された任意選択の特徴は、適切な場合、個別に、または互いに組み合わせて、特に添付の特許請求の範囲に記載された組み合わせで使用することができる。本明細書に記載の本発明の各態様または例示的な実施形態の任意選択の特徴は、適切な場合、本発明の他のすべての態様または例示的な実施形態にも適用可能である。言い換えれば、本明細書を読む当業者は、本発明の各態様または例示的な実施形態の任意選択の特徴を、異なる態様と例示的な実施形態との間で交換可能および組み合わせ可能であると考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0116】
本発明をより良く理解するために、及び、本発明の例示的な実施形態がどのように実行に移されるかを示すために、例として、添付の図への参照がなされる。
【
図1】
図1は、例示的な実施形態による腐食センサを概略的に描いている。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態による腐食センサを概略的に描いている。
【
図3】
図3は、例示的な実施形態による腐食センサを概略的に描いている。
【
図4】
図4は、例示的な実施形態による腐食センサを概略的に描いている。
【
図5】
図5は、例示的な実施形態による腐食センサを概略的に描いている。
【
図6】
図6は、例示的な実施形態による腐食センサを概略的に描いている。
【
図7】
図7は、例示的な実施形態による腐食センサを概略的に描いている。
【
図8】
図8は、例示的な実施形態による腐食センサを概略的に描いている。
【
図9】
図9は、例示的な実施形態による腐食センサを概略的に描いている。
【
図10】
図10は、
図9による腐食センサを使用して腐食を監視する方法について、時間の関数として測定されたそれぞれの抵抗のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0117】
同様の参照符号は同様の特徴を示し、その説明は簡潔にするために繰り返されない。
【0118】
図1は、例示的な実施形態による腐食センサ1を概略的に描いている。
腐食センサ1は、基板10と、基板10上に設けられたパターン化された導電層20とを備え、導電層20は、共通端子210と、第1の端子220Aおよび第2の端子220Bを含む端子のセット220と、第1の感知素子230Aおよび第2の感知素子230Bを含む感知素子のセット230とを規定し、感知素子のセット230のそれぞれの感知素子230A、230Bは、共通端子210および端子のセット220のそれぞれの端子220A、220Bに電気的に結合される。
【0119】
この例では、基板10はポリマー基板、特にマイラーである。この例では、基板10は、20mm×20mmの寸法を有する正方形である。
【0120】
この例では、導電層20は金属、特にAl-5Cu(重量%)アルミニウム合金であり、それによって腐食センサ1は2000系アルミニウム合金構造の腐食を監視するのに適している。この例では、導電層20は、スパッタ堆積によって基板10上に設けられ、堆積後にアニールされ、その後、フォトリソグラフィパターニングによってパターン化される。
【0121】
この例では、共通端子210は、矩形のパッドである。この例では、端子のセット220のそれぞれの端子220A、220Bは、互いに位置合わせされた、共通端子210と同じサイズの矩形パッドである。
【0122】
この例では、第1感知素子230Aは、平面図で矩形形状を有する線形感知素子である。この例では、第1の感知素子は、約13mmの直線長さ、0.6mmの幅、および100nmの厚さを有する。この例では、第2の感知素子230Bは、概して第1の感知素子230Aに関して説明したものと同様であり、1.0mmの幅を有する。この例では、感知素子のセット230のそれぞれの感知素子230A、230Bは、互いに平行であり、約3mmの距離だけ離間されている。
【0123】
この例では、共通端子210は、基板10の一方の側に近接して配置され、端子のセット220は、基板10の反対側に近接して配置され、感知素子のセット230は、それらの間に伸長する。この例では、感知素子のセットのそれぞれの感知素子230A、230Bは、共通端子210から放射して実質的に放射状に配置される。
【0124】
図2は、例示的な実施形態による腐食センサ2を概略的に描いている。腐食センサ2は、概して、腐食センサ1に関して説明されるようなものである。
【0125】
この例では、導電層20は共通トラック240を規定し、感知素子のセット230のそれぞれの感知素子230A、230Bは、共通トラック240を介して共通端子210に電気的に結合される。この例では、共通トラック240は、1.0mmの幅および1μmの厚さを有する。
【0126】
この例では、共通端子210は、基板10の一方の側に近接して配置され、端子のセット220は、基板10の同じ側に近接して配置される。この例では、共通端子210および端子のセット220のそれぞれの端子220A、220Bは、互いに位置合わせされ、等間隔に配置され、等しいサイズである。
【0127】
図3は、例示的な実施形態による腐食センサ3を概略的に描いている。腐食センサ3は、概して、腐食センサ2に関して説明されるようなものである。
【0128】
この例では、導電層20は、第1のトラック250Aおよび第2のトラック250Bを含むトラックのセット250を規定し、感知素子のセット230のそれぞれの感知素子230A、230Bは、トラックのセットのそれぞれのトラック250A、250Bを介して、端子のセット220のそれぞれの端子220A、220Bに電気的に結合される。この例では、トラックのセット250のそれぞれのトラック250A、250Bは、1.0mmの幅および1μmの厚さを有する。この例では、トラックのセット250のそれぞれのトラック250A、250Bは、19μmの幅を有する均一な間隙によって互いに離間されている。
【0129】
この例では、第1のトラック250Aは、少なくとも部分的に、第2のトラック250Bによって境界付けられる。すなわち、第2のトラック250Bは、第1のトラック250Aを2つの側面で少なくとも部分的に取り囲む。この例では、第1の感知素子230A、第1のトラック250A、および第1の端子220Aは、少なくとも部分的に、第2の感知素子230B、第2のトラック250B、および第2の端子220Bによって境界付けられる。
換言すると、腐食センサ3は入れ子式である。この例では、第2の感知素子230Bの直線長さは、第1の感知素子230Aの直線長さよりも、ほぼ第1のトラック250Aの幅だけ大きい。
【0130】
この例では、共通端子210、共通トラック240、感知素子のセット230のそれぞれの感知素子230A、230B、トラックのセット250のそれぞれのトラック250A、250B、および端子のセット220のそれぞれの端子220A、220Bは、共通端子210、共通トラック240、第1の感知素子230A、第1のトラック250A、および第1の端子220Aによって規定される第1の抵抗回路と、共通端子210、共通トラック240、第2の感知素子230B、第2のトラック250B、および第2の端子220Bによって規定される第2の抵抗回路とを含む、抵抗回路のセットを規定し、第2の抵抗回路は、第1の抵抗回路を少なくとも部分的に境界付ける。言い換えれば、共通端子210および共通トラック240が第1の抵抗回路および第2の抵抗回路に共通であるにもかかわらず、抵抗回路は入れ子にされる。この例では、抵抗回路のセットは、第1の抵抗回路と第2の抵抗回路とを含むR個の抵抗回路を含み、Rは2であり、r番目の抵抗回路は、rが2からRに等しい場合、(r-1)番目の抵抗回路を3つの側で少なくとも部分的に境界付け、取り囲む。
【0131】
図4は、例示的な実施形態による腐食センサ4を概略的に描いている。拡大図を挿入図で示す。腐食センサ4は、概して、腐食センサ3に関して説明されるようなものである。
【0132】
この例では、導電層20は、第1の導電性領域260Aを含む導電性領域のセット260を規定し、導電性領域のセット260のそれぞれの導電性領域260Aは、感知素子のセット230のそれぞれの感知素子230A、230Bの間に配置され、感知素子のセット230のそれぞれの感知素子230A、230Bから電気的に絶縁される。この例では、導電性領域のセット260のそれぞれの導電性領域260Aは、19μmの均一で等しい幅を有する間隙gによって、感知素子のセット230のそれぞれの感知素子230A、230Bおよびトラックのセット250のそれぞれのトラック250A、250から電気的に絶縁される。
【0133】
この例では、第1の導電性領域260Aは矩形であり、第1の感知素子230Aと第2の導電性素子230Bとの間に配置される。
【0134】
図5は、例示的な実施形態による腐食センサ5を概略的に描いている。腐食センサ5は、概して、腐食センサ4に関して説明されるようなものである。
【0135】
この例では、導電層20は、第1の導電性領域260A、第2の導電性領域260B、および第3の導電性領域260Cを含む導電性領域260のセットを規定する。
【0136】
この例では、第2の導電性領域260Bは矩形であり、第1の感知素子230Aの一方の側に配置され、第3の導電性領域260Cは第2の導電性素子230Bの他方の側に配置される。
【0137】
図6は、例示的な実施形態による腐食センサ6を概略的に描いている。拡大図を挿入図で示す。腐食センサ6は、概して、腐食センサ4に関して説明されるようなものである。
【0138】
この例では、第1の導電性領域260Aは、第1の導電性サブ領域262Aおよび第2の導電性サブ領域261Bを含む導電性サブ領域の第1のセット261を備え、導電性サブ領域の第1のセット261のそれぞれの導電性サブ領域261A、261Bは、互いに電気的に絶縁されている。この例では、導電性サブ領域の第1のセット261は、4つの導電性サブ領域261A、261B、261C、261Dを含む。この例では、導電性サブ領域の第1のセット261のそれぞれの導電性サブ領域261A、261B、261C、261Dは、19μmの実質的に均一で等しい幅を有する間隔によって互いに電気的に絶縁されている。
【0139】
図7は、例示的な実施形態による腐食センサ7を概略的に描いている。腐食センサ7は、概して、腐食センサ4に関して説明されるようなものである。
【0140】
この例では、端子のセット220は第3の端子220Cを含み、感知素子のセット230は第3の感知素子230Cを含み、トラックのセット250は第3のトラック250Cを含み、これらは概して、第2の端子220B、第2の感知素子230B、および第2のトラック250Bに関してそれぞれ必要な変更を加えて説明されている。この例では、第3の感知素子230Cは、4.0mmの幅を有する。
【0141】
抵抗回路のセットは、共通端子210、共通トラック240、第3の感知素子230C、第3のトラック250C、および第3の端子220Cによって規定される第3の抵抗回路を含み、第3の抵抗回路は、第2の抵抗回路に関して説明したように、必要な変更を加えて、第2の抵抗回路を少なくとも部分的に境界付ける。
【0142】
この例では、第1の導電性領域260Aは、第1の導電性サブ領域262Aおよび第2の導電性サブ領域261Bを含む導電性サブ領域の第1のセット261を備え、導電性サブ領域の第1のセット261のそれぞれの導電性サブ領域261A、261Bは、腐食センサ6に関して説明したように、互いに電気的に絶縁される。
【0143】
この例では、必要な変更を加えて、導電性サブ領域の第1のセット261に関して説明したように、第2の導電性領域260Bは、導電性サブ領域262A、262B、262C、262Dの第2のセット262を含み、第3の導電性領域260Cは、導電性サブ領域263A、263B、263C、263Dの第3のセット263を含む。
【0144】
図8は、例示的な実施形態による腐食センサ8を概略的に描いている。腐食センサ8は、概して、腐食センサ7に関して説明されるようなものである。
【0145】
この例では、腐食センサ8は、その中に、およびそれを通して、第1の穿孔310Aを含む穿孔のセット310を有するコーティング30を備える。特に、腐食センサ8は、コーティング30を含む腐食センサ7である。
【0146】
この例では、コーティング30は、第1の層、特に防止剤を含むプライマーPPG PR143と、第2の層、特にトップコートPPG EC75とを含む。
【0147】
この例では、穿孔のセット310は、コーティング30を塗布した後にマスキングすることによって設けられた第1の穿孔310A、第2の穿孔310B、および第3の穿孔310Cを含む。この例では、穿孔のセット310のそれぞれの穿孔310A、310B、310Cは、それぞれの感知素子230A、230B、230Cの一部のみを暴露させる。この例では、穿孔のセット310のそれぞれの穿孔310A、310B、310Cは、感知素子のセット230のそれぞれのサイズに対応する異なるサイズを有する。この例では、穿孔のセット310のそれぞれの穿孔310A、310B、310Cは矩形であり、それぞれの感知素子230A、230B、230Cの幅の約90%の幅と、それぞれの感知素子230A、230B、230Cの長さの約40%の長さとを有する。
【0148】
図9は、例示的な実施形態による腐食センサ9を概略的に描いている。腐食センサ9は、概して、腐食センサ8に関して説明されるようなものである。導電性領域のセット260および穿孔のセット310を有するコーティング30は、便宜上、図示されていない。この例では、導電性領域のセットのそれぞれの導電性領域260A、260B、260Cは、導電性サブ領域261、262、263のセットをそれぞれ備え、導電性サブ領域のそれぞれのセットは、981μm×981μmの寸法を有するサブ領域を含む。
【0149】
図10は、
図9による腐食センサ9を使用して腐食を監視する方法について、時間の関数として測定されたそれぞれの抵抗のグラフである。
【0150】
腐食センサが、例えば、航空機の内部フレーム上の2つの部品間の接合部上の位置に、または水上飛行機の外部表面上の位置に取り付けられるとき、間欠電流信号が、感知素子のセット230のそれぞれの感知素子230A、230B、230Cを介して、共通端子210から端子のセット220のそれぞれの端子220A、220B、220Cに順に通過され、それぞれの電圧信号が測定される。感知素子のセット230のそれぞれの感知素子230A、230B、230Cの抵抗は、それぞれの測定された電圧信号から自明に計算することができる。いったんこの第3の穿孔310Cの周りのコーティング30内の防止剤のリザーバが使い尽くされると、最大の第3の穿孔310Cの下の第3の感知素子230Cが腐食し始めるとき、典型的には、計算されたそれぞれの抵抗は、増加し始める前の期間にわたってほぼ一定である。第3の感知素子230Cの抵抗は、次いで、この第3の感知素子230Cが腐食するまで増加し続け、腐食した時点で、第3の感知素子230Cの抵抗は、無限大(開回路)になる傾向がある。同様に、いったん中間サイズの穿孔310Bの下の第2の感知素子230Bが腐食し始めると、第2の感知素子230Bの抵抗は、第2の感知素子230Bが完全に腐食するまで、同様に増加し始める。同様に、いったん最小の穿孔310Aの下の第1の感知素子230Aが腐食し始めると、第1の感知素子230Aの抵抗は、第1の感知素子230Aが完全に腐食するまで、同様に増加し始める。
【0151】
第3の感知素子230Cは、約4Ωの最も低い初期抵抗を有し、4.0mmの最も広い幅を有する。しかしながら、第3の感知素子230Cは、最大の穿孔310Cによって暴露され、したがって、腐食は、比較的早く、約900時間で観察される。より詳細には、第3の感知素子230Cの抵抗は、コーティング30中の防止剤の枯渇により抵抗が非常に急速に増加する約900時間まで比較的一定である。
【0152】
第2の感知素子230Bは、約7Ωの初期抵抗を有し、1.0mmの幅を有し、第2の感知素子230Bは、中間穿孔310Bによって暴露され、したがって、腐食は、比較的後に、約1000時間で観察される。より詳細には、第2の感知素子230Bの抵抗は、コーティング30中の防止剤の枯渇により抵抗が非常に急速に増加する約1000時間まで比較的一定である。
【0153】
第1の感知素子230Aは、約9.5Ωの最も高い初期抵抗を有し、0.6mmの最も狭い幅を有する。しかしながら、第1の感知素子230Aは、最小の穿孔310Aによって暴露され、したがって、腐食は、比較的後に、約1100時間で観察される。より詳細には、第1の感知素子230Aの抵抗は、コーティング30中の防止剤の枯渇により抵抗が非常に急速に増加する約1100時間まで比較的一定である。
【0154】
対照的に、既知のセンサの経時的な全抵抗の結果として得られるプロファイルは、せいぜい、階段状の外観を有し、各ステップ(識別可能である場合)は、それぞれの感知素子230A、230B、230Cが完全に腐食する時間に生じる。しかしながら、少なくとも部分的には、感知素子のセットの中の感知素子の数およびそれらのそれぞれの初期抵抗、穿孔のセットの中のそれぞれの穿孔のサイズ、腐食機構及び/又はコーティング30の中の防止剤による抑制機構に応じて、これらのステップは、識別できないかもしれず、またはほとんどの場合、それぞれの感知素子が完全に腐食したときのみであり、したがって、早期及び/又は局所腐食効果は、監視されないかもしれない。
【0155】
したがって、第1の態様によるセンサは、既知のセンサを使用して監視することができない腐食を可能な限り早い段階で監視することを可能にする。
【0156】
いくつかの好ましい実施形態が示され、説明されているが、さまざまな変更や修正が、添付の特許請求の範囲において規定され、上述したような本発明の範囲から逸脱することなくなされてもよいことが、当業者によって認識される。
【0157】
本願に関連した本明細書と同時に、又は、それ以前に提出された、本明細書とともに公衆の閲覧に公開されるすべての文献や文書に注意が向けられ、そのような文献や文書のすべての内容が、参照によって本明細書に組み込まれている。
【0158】
(任意の添付の特許請求の範囲、及び、図面を含む)本明細書に開示された特徴のすべて、及び/又は、このように開示されたすべての方法又はプロセスのステップのすべては、そのような特徴及び/又はステップのうちの多くともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わされてよい。
【0159】
(任意の添付の特許請求の範囲、および、図面を含む)本明細書に開示された各特徴は、そうではないと明示的に述べられない限り、同じ、均等な、または、類似する目的に役立つ代替の特徴によって置き換えられてもよい。したがって、そうではないと明示的に述べられない限り、開示された各特徴は、均等物または類似した特徴からなる共通の一連のもの1つの例にすぎない。
【0160】
本発明は、前述の実施形態の細部に制限されない。本発明は、(任意の添付の特許請求の範囲、要約書、および、図面を含む)本明細書に開示された特徴の、任意の新規の1つ、若しくは、任意の新規の組み合わせに及び、又は、このように開示された任意の方法若しくはプロセスのステップの任意の新規の1つ、または、任意の新規の組み合わせに及ぶ。
【国際調査報告】