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特表2023-531299熱電モジュールの製造方法とプレス嵌め体としての熱電モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】熱電モジュールの製造方法とプレス嵌め体としての熱電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H10N 10/01 20230101AFI20230713BHJP
   H10N 10/17 20230101ALI20230713BHJP
【FI】
H10N10/01
H10N10/17 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580840
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(85)【翻訳文提出日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2021066635
(87)【国際公開番号】W WO2022002644
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】20183520.4
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595014653
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト ツール フエルデルング デア アンゲヴァンテン フォルシュング エー.ファオ.
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー‐ヴェルゼン,オラフ
(72)【発明者】
【氏名】フェター,ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルゲス,マルク
(72)【発明者】
【氏名】ケーニヒ,ヤン
(57)【要約】
本発明は、少なくとも一つの内管(2)と一つの外管(8)と少なくとも二つの熱電基本要素(5)からなる熱電モジュール(1)の製造方法に関し、当該方法はA 前記内管(2)を用意するステップ、B 前記外管(8)を用意するステップ、C 前記内管(2)の外側および/または前記外管の内側に前記各熱電基本要素(5)を用意するステップ、D 前記内管(2)を拡張および/または前記外管(8)を収縮するステップ、を含む。重要なのは、ステップDの前のステップC0において、少なくとも一つの塑性的または弾性的に変形可能な機能層が内管(2)と各熱電基本要素(5)の間および/または熱電基本要素(5)と外管(8)との間に被着され、前記熱電基本要素(5)がステップCにおいて自身の長手方向への延伸が前記内管(2)の長手方向への延伸に対して平行に前記機能層と作動接続されるように嵌設されることにより、前記内管(2)の拡張および/または前記外管(8)の収縮によって内管(2)、機能層、熱電基本要素(5)および外管(8)からなるプレス嵌め体が得られる。本発明は、さらに熱電モジュール(1)、熱交換器、熱電発電機、冷却装置および熱電モジュールの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの内管(2)と一つの外管(8)と少なくとも二つの熱電基本要素(5)からなる熱電モジュール(1)の製造方法であって、当該方法は、
A 前記内管(2)を用意するステップ、
B 前記外管(8)を用意するステップ、
C 前記内管(2)の外側または前記外管の内側に前記熱電基本要素(5)を用意するステップ、
D 前記内管(2)を拡張および/または前記外管(8)を収縮するステップ、
とを含む製造方法において、
ステップDの前のステップC0において、少なくとも一つの塑性的または弾性的に変形可能な機能層(3、7)が内管(2)と熱電基本要素(5)の間および/または熱電基本要素(5)と外管(8)との間に被着され、
前記熱電基本要素(5)がステップCにおいて、自身の長手方向への延伸が前記内管(2)の長手方向への延伸に対して平行に前記機能層と作動接続されるように配置されることにより前記内管(2)の拡張および/または前記外管(8)の収縮によって内管(2)、機能層(3、7)、熱電基本要素(5)および外管(8)からなるプレス嵌め体が得られるようにすることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ステップDの前に、少なくとも一つの電気絶縁機能層(4、6)が前記内管(2)と前記熱電基本要素(5)との間および/または前記熱電基本要素(5)と外管(8)との間に被着されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱電基本要素(5)の上に電気絶縁層が被着されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップDにおける接触圧は、前記熱電モジュール(1)の最大駆動温度に適合され、特に前記プレス嵌め体が前記内管(2)および/または前記外管(8)の熱膨張を補償するように構成されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記内管(2)、前記機能層、前記熱電基本要素(5)および前記外管(8)の接続は、物質一体化結合による接続なしで実施されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップCにおいて複数の前記熱電基本要素(5)が前記内管(2)の円周に沿って均等に配され、好ましくは対称的に、特に好ましくは12個の前記熱電基本要素(5)が前記内管(2)の円周に沿って均等で半径方向に対称であるように配されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
複数の機能層が被着される、特に前記内管(2)と前記熱電基本要素(5)との間に第一の塑性的または弾性的に変形可能な前記機能層(3)と第二の電気絶縁機能層(4)が被着されおよび/または前記熱電基本要素(5)と前記外管(8)との間に第一の電気絶縁機能層(6)と第二の塑性的または弾性的に変形可能な前記機能層(7)が被着されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。。
【請求項8】
前記熱電基本要素(5)は接触され、好ましくは、前記熱電基本要素(5)が互いに電気的に接続されて、前記電気的に接続されている前記熱電基本要素のための共通の接触が被着されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも一つの内管(2)および一つの外管(8)と少なくとも二つの熱電基本要素(5)を有する熱電モジュール(1)であって、
前記熱電基本要素(5)が、前記内管(2)の長手方向への延伸に対して平行である長手方向への延伸を有し、前記熱電モジュール(1)が、前記内管(2)と前記熱電基本要素(5)との間および/または前記熱電基本要素(5)と前記外管(8)との間に少なくとも一つの塑性的および/または弾性的に変形可能な機能層(3、7)を有し、前記内管(2)、前記機能層(3、7)、前記熱電基本要素(5)および前記外管(8)がプレス嵌めによって接続されていることを特徴とする熱電モジュール(1)。
【請求項10】
前記熱電モジュール(1)は、前記内管(2)と前記熱電基本要素(5)との間および/または前記熱電基本要素(5)と前記外管(8)との間に少なくとも一つの電気絶縁機能層(4、6)を有することを特徴とする、請求項9に記載の熱電モジュール(1)。
【請求項11】
前記熱電基本要素(5)は、少なくとも一つの電気絶縁層を有することを特徴とする、請求項9または10に記載の熱電モジュール(1)。
【請求項12】
前記機能層は、少なくとも二層状に、好ましくは一つの電気絶縁機能層(4、6)と一つの塑性的または弾性的に変形可能な機能層(3、7)の形において、特に好ましくはカプトンシートおよびグラファイトシートの形において形成されていることを特徴とする、請求項9から11のいずれか1項に記載の熱電モジュール(1)。
【請求項13】
前記熱電モジュール(1)は、前記内管(2)と前記熱電基本要素(5)の間に第一の電気絶縁機能層(4、6)と第二の塑性的または弾性的に変形可能な機能層(3、7)を有し、および/または前記熱電基本要素(5)と前記外管(8)の間に第一の前記電気絶縁機能層(4、6)と第二の塑性的または弾性的に変形可能な機能層(3、7)を有し、好ましくは前記第一の電気絶縁機能層(3)と前記熱電基本要素(5)とが直接接触しており、特に前記第一の電気絶縁機能層(3)と前記熱電基本要素(5)とが直接接触しており、第二の電気絶縁機能層(7)と前記熱電基本要素(5)とが前記第一の電気絶縁機能層とは反対側に向く側面において直接接触していることを特徴とする、請求項9から12のいずれか1項に記載の熱電モジュール(1)。
【請求項14】
少なくとも一つの接着層、好ましくは少なくとも二つの接着層が設けられ、特に好ましくは前記接着層が前記低温側において前記熱電基本要素(5)と隣接する機能層との間に配置されていることを特徴とする、請求項9から13のいずれか1項に記載の熱電モジュール(1)。
【請求項15】
前記熱電基本要素(5)は、導電性を有するように互いに接続されるpドープ半導体要素とnドープ半導体要素とから構成されることを特徴とする、請求項9から14のいずれか1項に記載の熱電モジュール(1)。
【請求項16】
複数の熱電基本要素(5)、好ましくは10個以上、特に好ましくは18個の熱電基本要素(5)が前記内管(2)の円周に沿って均等で半径方向に対称であるように配されていることを特徴とする、請求項9から15のいずれか1項に記載の熱電モジュール(1)。
【請求項17】
前記内管(2)内にタービュレータ、特にスパイラル状、ヘリカル状または左右ねじれタービュレータが設けられることを特徴とする、請求項9から16のいずれか1項に記載の熱電モジュール。
【請求項18】
前記内管(2)および/または前記外管(8)は、形状記憶合金から形成されていることを特徴とする、各前請求項9から17のいずれか1項に記載の熱電モジュール。
【請求項19】
少なくとも一つの熱電モジュール(1)、一つのハウジング、高温側における一つの流体供給手段および低温側における一つの流体供給手段を有する熱交換器であって、
前記熱電モジュール(1)は、請求項9から18のいずれか1項によって形成されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項20】
少なくとも一つの熱電モジュール(1)を有する少なくとも一つの熱交換器を有する熱電発電機であって、
前記熱電モジュール(1)は、請求項9から18のいずれか1項によって形成されていることを特徴とする熱電発電機。
【請求項21】
少なくとも一つの熱電モジュール(1)を有する少なくとも一つの熱交換器を有する、特にペルチェモジュールである冷却装置であって、
前記熱電モジュール(1)は、請求項9から18のいずれか1項によって形成されていることを特徴とする冷却装置。
【請求項22】
熱電モジュール(1)をアクチュエータとして使用することであって、
前記熱電モジュール(1)は、請求項9から18のいずれか1項によって形成されていることを特徴とする使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による熱電モジュールの製造方法と、請求項9の上位概念による熱電モジュールならびに請求項19の上位概念による熱交換器、請求項20の上位概念による熱電発電機、請求項21の上位概念による冷却装置および請求項22の上位概念による使用に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電モジュールは、とりわけ冷却のためのペルチェモジュールとして、および排熱を電気に変換するための熱電発電機において使用される。例えば交通運輸業、家庭または産業界など日常生活における数多くの領域において潜在的に利用可能な排熱が発生する。熱電発電機を介して前記排熱が電気エネルギーに変換され得る。
【0003】
熱電気は、ゼーベック効果を示す熱電材料の使用に基づいている。当該熱電材料を用いることによりわずかな温度差でも発電することが可能である。ゼーベック効果によって熱電素材からなる二つの導電体によって形成される電気回路において各接点間の温度差がある場合に前記熱電材料における熱拡散電流によって電圧が生じる。通例、この目的のために半導体材料が用いられるのは、当該半導体材料が顕著なゼーベック効果を示すことによってより高い変換効率を得ることが可能であるためである。
【0004】
重要なのは、熱電気発電機のみならず冷却装置を実現する際にも前記熱電モジュールを熱交換器内に組み込むことである。先行技術から公知であるのは平面状熱電モジュールであって、当該熱電モジュールは、平面状熱電モジュールにプレス嵌めされる。例えばフィン熱交換器またはリブ付き板熱交換器とともに用いられる。
【0005】
リブ付き板熱交換器の欠点は、前記リブ付き板熱交換器の流管が狭いためファウリングおよびスーティングが発生し易いことにある。当該流管の機械洗浄はほぼ不可能であって、その他の洗浄方法を必要とするため保守の手間がかかる。したがって多くの場合、このような熱交換器は、既に使い捨て製品として想定されている。熱電モジュールが長寿命であり駆動がほぼ保守不要であるという利点は、当該組み合わせでは発揮されない。
【0006】
熱電発電機の構造は、先行技術より公知であり、通例では高温側貯蔵器を有する高温側、一つ以上の熱交換器および低温貯蔵器を有する低温側を含む。前記熱電熱交換器は、通例では高温側と低温側への各流体導入手段および各流体導出手段ならびに一つ以上の熱電モジュールを含む。
【0007】
前記熱電モジュールは、通例では熱交換器および電気的に接続された熱電材料からなる複数の熱電基本要素を含む。前記熱電材料は、通例では電気的に直列接続され、熱的には並列接続されている。
【0008】
先行技術からは熱電効果を有する要素を各管に溶接するおよび/またははんだ付けすることが公知である。DE 10 2010 061 247 B4からは熱電発電機が公知であり、当該熱電発電機においては熱電モジュールがはんだ付け方法またはレーザ溶接方法によって堅固に結合されて製造されている。当該製造方法は、手間がかかりコストがかかる。さらに、こうして得られた熱電発電機が温度変化によって材料膨張による強い機械的負荷にさらされることも欠点である。このことは早い摩耗につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許第10 2010 061 247号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
よって本発明は、熱電モジュールの簡単で安価な製造方法と熱負荷に比較的強い、相応する熱電モジュールとを提案するという課題に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
当該課題は、請求項1による製造方法と、請求項9による熱電モジュールならびに請求項19による熱交換器、請求項20による熱電発電機、請求項21による冷却装置および請求項22による使用によって解消される。
【0012】
本発明による方法の好ましい実施態様は、請求項2から8において記載されている。請求項10から18において熱電モジュールの好ましい実施態様が記載されている。これにより全ての請求項の文言が本明細書において参照により明示的に含まれるものとする。
【0013】
それ自体公知であるように、少なくとも一つの内管と一つの外管と少なくとも二つの熱電基本要素からなる熱電モジュールを製造するための本発明による製造方法は、
A 少なくとも一つの内管を用意するステップ、
B 外管を用意するステップ、
C 前記内管の外側および/または前記外管の内側に熱電基本要素を用意するステップ、
D 前記内管を拡張および/または前記外管を収縮するステップ、
とを含む。
重要なのは、ステップDの前のステップC0において、少なくとも一つの塑性的または弾性的に変形可能な機能層が内管と熱電基本要素の間および/または熱電基本要素と外管との間に被着され、前記熱電基本要素がステップCにおいて、自身の長手方向への延伸が前記内管の長手方向への延伸に対して平行に前記機能層と作動接続されるように配設されることにより前記内管の拡張および/または前記外管の収縮によって少なくとも内管、機能層、熱電基本要素および外管からなるプレス嵌め体が得られるようにすることである。
【0014】
前述の各ステップの順番は制限するものではない。内管から始まる構造も外管から始まる構造も本発明の範囲内にある。
【0015】
本発明は、塑性的および/または弾性的に変形可能な機能層を用いることにより熱電モジュールがプレス嵌めによって純粋に摩擦係止的、すなわち脆弱な物質一体化結合による接続なしで製造され得るという出願人の知見に基づくものである。
【0016】
本明細書の範囲において「物質一体化結合による接続なし」という表現は、プレス嵌め体の各構成要素、すなわち少なくとも内管、機能層、熱電基本要素および外管の本質的な結合を意味する。熱電基本要素の接触のため、または半導体要素などの接触または絶縁のためのはんだ接合の形における物質一体化結合による接続は、これによって除外されるものではない。
【0017】
よって、本発明による熱電モジュールの製造方法は、公知である方法とは本質的な点において異なる。
【0018】
導電ブリッジを介して接続されている前記熱電基本要素、すなわち前記熱電材料と前記内管との間に塑性的または弾性的に変形可能な機能層が設けられている。別法として、またはさらに加えて、熱電基本要素と外管との間に塑性的または弾性的に変形可能な機能層が設けられている。前記内管の拡張および/または前記外管の収縮によって内管、機能層、熱電基本要素および外管がプレス嵌め、すなわち摩擦係止によって互いに接続される。よって、当該各構成要素は、着脱可能に互いに接続されている。これにより脆弱な物質一体化結合による接続が使用されないという利点がある。一般に熱電モジュールの高温側と低温側の温度差による熱膨張による軸方向への長さ変化の差によるせん断力が前記塑性的または弾性的各中間層によって補償される。塑性的および/または弾性的各特性により、前記機能層が例えば流動性を示したり弾性的な変形を許容したりすることによって前記機能層が永久的または一時的に熱的または機械的影響に追従することが可能である。これにより、熱交換器の高温側が外側であっても内側であっても熱電基本要素を極めて柔軟に使用することが可能となる。
【0019】
さらに、例えば形状記憶合金などの強度の長さ変化を有する材料を、例えば内管および/または外管など前記複合体の部分として使用することが可能であることも有利である。
【0020】
それぞれ一つの塑性的または弾性的に変形可能な機能層が内管と熱電基本要素との間および熱電基本要素と外管との間に被着されることが好ましい。しかしながら、例えば前記内管上の塑性的または弾性的に変形可能な機能層を省略することも可能である。この場合、前記熱電基本要素は前記内管上に被嵌されるだけである。
【0021】
本発明の好ましい一実施形態において前記ステップDの前に少なくとも一つの電気絶縁機能層が内管と熱電基本要素との間および/または熱電基本要素と外管との間に配設される。よって、前記プレス嵌めの摩擦係止は、内管、塑性的または弾性的機能層、電気絶縁機能層、熱電基本要素および外管の構成要素を含む。よって、当該各構成要素は、着脱可能に物質一体化結合による接続なしで互いに接続されている。
【0022】
前記(各)電気絶縁機能層は、例えば、管状シートとして挿入され得る。別法として前記塑性的または弾性的に変形可能な機能層に絶縁材料をコーティングすることも考えられる。
【0023】
前記電気絶縁機能層によって簡単な方法で前記熱電基本要素を絶縁できるという利点が生じる。
【0024】
本発明の別実施形態において、前記熱電基本要素の上に電気絶縁層が被着される。このことは、例えば前記熱電材料の前記接続ブリッジ上の絶縁ラッカーの形、あるいは例えばセラミック層などの全面的な絶縁層の形で実施され得る。よって、前記プレス嵌めの摩擦係止は、内管、弾性的または塑性的各機能層、熱電基本要素および外管の各構成要素を含む。よって、当該各構成要素は、着脱可能に物質一体化結合による接続なしで互いに接続されている。これに対して前記電気絶縁層は、前記熱電基本要素と物質一体化結合によって接続されている。
【0025】
好ましい一実施形態において、前記熱電基本要素の絶縁は、一方側における絶縁機能層と他方側における前記基本要素の一部としての絶縁コーティングとの組み合わせによって実施される。
【0026】
本発明による方法の好ましい一実施形態において、前記ステップDにおける接触圧は、前記熱電モジュールの最大駆動温度に適合される。前記プレス嵌め体が前記内管および/または前記外管の熱膨張を補償するまたは当該熱膨張に耐えるように構成されていることが特に好ましい。前記高温側によって前記内管または前記外管を局所加熱することによって外管および内管の各寸法における熱的変化、通例では長さ変化または半径方向への膨張などが生じる可能性があるため、前記プレス嵌めが緩む危険性がある。これにより熱伝導性の低下につながったり個々の各構成要素が滑ったり崩壊すらしたりする可能性がある。よって、前記プレス嵌めは、好適には最大駆動温度であっても摩擦係止が保持されるように構成されている。
【0027】
通例、前記内管には約15℃、また前記外管の外側における外部領域においては220℃までの範囲における温度が存在する。通例使用される熱電半導体材料および前記半導体材料と接続用導電ブリッジとのはんだ接合のためのはんだは、約230℃の範囲における最大駆動温度を許容する。したがって、接触圧が前述の最大駆動温度の場合に生じる可能性がある長さ変化を許容するように前記プレス嵌め体を構成することが好適である。
【0028】
しかしながら、これよりもはるかに高い温度において接続可能である、半ホイスラー合金などの材料群を使用することも本発明の範囲内にある。当該材料を使用する場合、相応してより高い最大駆動温度を許容し得るために前記プレス嵌め体の製造時における前記接触圧が相応して適合されることが好ましい。
【0029】
よって、内管、機能層、熱電基本要素および外管の接続は、物質一体化結合による接続なしで実施されることが好ましい。「物質一体化結合による接続なし」とは、前記プレス嵌め体の各構成要素の本質的な結合を意味する。熱電基本要素の接触のためまたは接触などのためのはんだ接合は、これによって除外されるものではない。
【0030】
外管と内管とは、当該外管および内管が均等に拡張または収縮できるように、例えば円形断面を有する管、角管または多角管あるいは楕円形管として好ましくは軸対称または半径方向に対称であるように形成されていることが好ましい。
【0031】
前記内管は、特別な一実施形態においてプレス接合の前に二つ以上の材料からなるものであり、前記材料は前記プレス接合および/または加熱によって固形系材料複合体(例えば中間相または合金)を形成する。当該材料複合体の有利な特性は、とりわけより高い熱安定性、機械的強度、適合された熱膨張、よりよい熱伝導性およびより高い耐腐食性である。前記材料は、プレス接合の前には様々な形状を有し得る:平面状およびリブ付き管形状の他、前記材料は、ロール状シート、多孔板、メッシュあるいは(開口気孔の)発泡金属でもあり得る。スパイラル状ロッドを使用することも可能である。
【0032】
本発明の好ましい一実施形態において、前記ステップCにおいて複数の前記熱電基本要素が前記内管の円周に沿って均等に配される。当該熱電基本要素は、前記内管の円周に沿って対称的に配されることが好ましい。12から18個の熱電基本要素が前記内管の円周に沿って均等に配されることが特に好ましい。これにより、前記熱電基本要素によって前記内管の外表面が均等に覆われるため、熱伝導が均一に実施され得る。
【0033】
前記熱電材料は、通例では熱源とヒートシンクに対する表面が同じ大きさを有する立方体、直方体、角柱または円柱として構成されている。特別な一実施形態において、最大の出力歩留まりを得るために、当該熱電材料は、円錐形または円錐直方体としても構成され得る。さらに、両方の異なる前記熱電材料の寸法が、効率と電気出力歩留まりが最大になるように自身の熱電特性に相応して互いに適合されることが有利である。詳細は先行技術より公知である、「熱電装置:脚部寸法の影響およびZTに対する寄生接触抵抗」、アンヘル ファビアン・ミハンゴスおよびハイメ アルヴァレス・クインターナ、2018年、DOI:10.5772/インテックオープン75790を参照のこと。
【0034】
前記熱電基本要素は、互いに電気的に接続されていることが好ましい。しかしながら、それぞれの熱電基本要素が個々にタップ接続されることも可能である。しかし、これは明らかに、より手間のかかる実施である。前記熱電基本要素がジグザグ配列または蛇行状に互いに電気的に接続されることが特に好ましい。そのために前記基本要素が自身の熱電効果に応じて直列接続されるように、すなわち二つの隣接したストリップの場合、好ましくは反対方向に電流が流れるように円周上に隣接する熱電基本要素が電気的に接続されることが好ましい。
【0035】
最も単純な場合では、前記熱電基本要素の間の隙間が空気で満たされている。空気によって簡単且つ安価な方法で断熱が得られる。別法として前記高温側から前記低温側への熱伝導を悪くするために、例えば、前記隙間を発泡させる、あるいは真空によって熱伝導が悪くなるように概ね真空にすることも可能である。
【0036】
本発明の好ましい一実施形態において、前記機能層は、多層状、好ましくは少なくとも二層状に構成されている、すなわち内管と熱電基本要素との間に少なくとも一つの第一の電気絶縁機能層と第二の塑性的および/または弾性的に変形可能な機能層とが被着されることによって複数の機能層が被着される。当該機能層は、別々にあるいは層複合体として形成され得、さらなる中間層を含むことも可能である。同様に少なくとも一つの第三の電気絶縁機能層と第四の塑性的または弾性的に変形可能な機能層とを前記熱電基本要素と外管との間に被着することが可能である。前記電気絶縁機能層は、前記熱電基本要素の側に配置されているのは、そうしないと当該電気絶縁機能層が前記塑性的および/または弾性的に変形可能な機能層を介して電気的に短絡する可能性があるためである。これにより、前記機能層の特性を的確に制御することが可能であり、特に全層構造のために良好な熱伝導を得ることが可能であるという利点が得られる。
【0037】
好ましい一実施形態において前記機能層は、コーティングやシートなど、あるいは例えば管の表面など、一部品の表面でもあり得る。前記内管がすでにプラスチックで形成されているか塑性的および/または弾性的に変形可能である電気絶縁材料でコーティングされている場合、当該特徴を有する明白な別の機能層を省略することが可能である。その後、前記熱電基本要素がわずかな熱接触抵抗で前記内管に連結するように構成されている場合、ここでは機能層を省略することが可能である。
【0038】
前記電気絶縁機能層は、ポリイミドを用いて、好ましくはカプトン(登録商標)シートとして形成されていることが好ましい。前記塑性的または弾性的に変形可能な機能層は、グラファイトシートとして形成されていることが好ましい。別法として電気絶縁層として前記高温側の熱特性に応じて前記加熱側にも従来公知である各プラスチックシート、各絶縁保護ラッカー、例えばSiO、パリレン、セラミックなどのコーティングプラントからなるコーティングあるいはアルマイト管、エナメル鋼管、数層のラッカー層を有する銅などの絶縁コーティングを使用することが可能である。
【0039】
塑性的または弾性的に変形可能な機能層の例としては、金属発泡体各グラファイト充填シリコンまたは熱伝導セラミックパウダーが充填されたアクリルポリマーなどがある。
【0040】
多くの電気絶縁機能層は、熱伝導性が悪い。したがって、前記電気絶縁機能層は、可能な限り薄く形成されるべきである。特にポリイミドシートは電気絶縁性を有するものの、熱伝導性が悪い。したがって、当該シートは可能な限り薄く形成すべきである。グラファイトシートは、弾性的に変形可能であり、良好な熱伝導性を有する。
【0041】
本発明による方法の好ましい一実施形態において、前記熱電基本要素は接触される。前記熱電基本要素は、互いに電気的に接続されて、前記電気的に接続されている前記熱電基本要素のための共通の接触が被着されることが好ましい。前記接触は、前記ステップDの後にはじめて実施されることが好ましい。
【0042】
前記内管の拡張または前記外管の収縮は、機械式、油圧式および/または空気圧式力の作用および/または電磁成形によって実施され得る。別法としてまたはさらに加えて、例えばシュリンクスリーブなどによって相応する力の作用を熱的に得ることも可能である。
【0043】
本発明の好ましい一実施形態において、まずは第一のステップBにおいて、前記外管が用意される。次に前記(各)機能層が前記ステップC0において、前記外管の内側に被着される。前記機能層は、環状シートの形において挿入されることが好ましい。
【0044】
次に前記熱電基本要素が前記ステップCにおいて、好ましくは複数のストリップの形において挿入される。次のステップAにおいて、前記内管が挿入されて前記ステップDにおいて拡張されるあるいは前記外管が収縮される。前記内管には、同様に前記(各)機能層が設けられるのが好ましい。別法において、前記熱電基本要素と内管の間にも同様に管状シートの形における機能層が挿入される。
【0045】
本発明の課題は、少なくとも一つの内管および一つの外管と少なくとも二つの熱電基本要素を有する熱電モジュールによっても解消される。
【0046】
重要なのは、前記熱電基本要素が前記内管の長手方向への延伸に対して平行である長手方向への延伸を有し、前記熱電モジュールが内管と熱電基本要素との間および/または熱電基本要素と外管との間に少なくとも一つの塑性的および/または弾性的に変形可能な機能層を有することである。さらに、内管、機能層、熱電基本要素および外管がプレス嵌めによって接続されている。
【0047】
これにより、特に通例では前記内管または前記外管の熱膨張による長さ変化に起因するせん断力による前記熱電基本要素の前記長手方向への延伸に沿った各長さ変化が前記(各)機能層によって吸収されるという利点が得られる。前記塑性的または弾性的に変形可能な機能層は流動性を有するため、前記長さ変化によって生じるせん断力が前記プレス嵌めに及ぼす悪影響が全くないか比較した場合に著しく小さくなる。
【0048】
本発明による熱電モジュールもまた、本発明による方法の前述の利点を有し、本発明による方法の前述の特徴を有することが好ましい。前記熱電モジュールは、本発明による方法を用いて製造されることが好ましい。
【0049】
本発明の好ましい一実施形態において、前記熱電モジュールは、内管と熱電基本要素との間および/または熱電基本要素と外管との間に少なくとも一つの電気絶縁機能層を有する。よって、前記プレス嵌めの摩擦係止は、内管、塑性的または弾性的に変形可能な機能層、電気絶縁機能層、熱電基本要素および外管の各構成要素を含む。よって、当該各構成要素は、着脱自在に物質一体化結合による接続なしで互いに接続されている。
【0050】
前記(各)電気絶縁機能層は、例えば、各シートとして形成され得る。別法として、前記塑性的または弾性的に変形可能な機能層上に絶縁材料をコーティングすることも可能である。
【0051】
前記電気絶縁機能層によって簡単な方法で前記熱電基本要素の絶縁を得ることが可能であるという利点が得られる。
【0052】
本発明の一別途実施形態において、前記熱電基本要素は、少なくとも一つの電気絶縁層を有する。当該電気絶縁層は、例えば、前記熱電材料の前記接続ブリッジ上の絶縁ラッカーの形あるいは例えばセラミック層などの全面的な絶縁層の形において形成され得る。よって、前記プレス嵌めの摩擦係止は、内管、塑性的または弾性的な機能層、熱電基本要素および外管の各構成要素を含む。よって、当該各構成要素は、着脱可能に物質一体化結合による接続なしで互いに接続されている。これに対して前記電気絶縁機能層は、前記熱電基本要素と物質一体化結合によって接続されている。
【0053】
前記機能層は、好ましくは一つの電気絶縁機能層と一つの塑性的および/または弾性的に変形可能な機能層の形における少なくとも二層状に構成されていることが好ましい。前記電気絶縁機能層の可能な材料としてはカプトンシートなどのポリイミドである。前記塑性的または弾性的に変形可能な機能層の可能な材料としてはグラファイトシートである。
【0054】
既に本発明による方法について説明したとおり、前記電気絶縁機能層は、従来公知であるプラスチックシート、絶縁保護ラッカー、例えばSiO、パリレン、セラミックなどのコーティングプラントからなるコーティングあるいはアルマイト管、エナメル鋼管、数層のラッカー層を有する銅などの絶縁コーティングであることが好ましい。
【0055】
塑性的または弾性的に変形可能な機能層の例としては、金属発泡体、グラファイト充填シリコンまたは熱伝導セラミックパウダーが充填されたアクリルポリマーなどがある。
【0056】
前記電気絶縁機能層は、ポリイミドを用いてカプトンシートとして形成されていることが好ましい。前記塑性的および/または弾性的に変形可能な機能層は、グラファイトシートとして形成されていることが好ましい。
【0057】
前記熱電モジュールが最大駆動温度を超えて過剰に加熱された場合に、各構成要素が崩壊することを防止するために接着層を設けることが可能である。しかしながら、当該接着層は、本発明の実施において本質的なものではない。前記接着層は、低温側において前記熱電基本要素とそれぞれ隣接する機能層との間に配置されている。これにより前記低温側において接着効果がより高くより耐久性があるという利点が得られる。前記熱電基本要素の構造は、先行技術より公知である、「熱電装置:脚部寸法の影響およびZTに対する寄生接触抵抗」、アンヘル ファビアン・ミハンゴスおよびハイメ アルヴァレス・クインターナ、2018年、DOI:10.5772/インテックオープン75790。
【0058】
前記熱電基本要素は、互いに導電性を有するように互いに接続されるpドープ半導体要素とnドープ半導体要素とから構成される。通例ではここではんだ接続が用いられる。
【0059】
可能な限り均等な熱伝達のためには複数の熱電基本要素、好ましくは10個以上の熱電基本要素、特に好ましくは、18個の熱電基本要素が設けられている。前記熱電基本要素は、前記内管の円周に沿って均等で半径方向に対称であるように配されている。これにより可能な限り均等で効果的な熱伝導を得る。
【0060】
前記熱電基本要素間の隙間は、空気で満たされていることが好ましい。別法として隙間に保護ガス、断熱材または電気絶縁材が充填されていても、真空にされていてもよい。
【0061】
本発明の好ましい一実施形態において、前記内管内にタービュレータ、特にスパイラル状タービュレータ、ヘリカル状タービュレータまたは左右ねじれ(L-R twisted)タービュレータが設けられる。これによって、よりよい熱伝導が得られる。さらに前記タービュレータは、装置のよりよい機械的安定性につながる。
【0062】
本発明の課題は、前述の実施形態のうち一つによって形成されている、少なくとも一つの熱電モジュールを有する熱交換器によっても解消される。これにより、堅牢で耐久性の高い熱交換器構造が可能となる。従来公知である熱交換器と比較して、例えば、熱交換器の洗浄などの取り扱いにおいて特に何も変わらない。つまり、前記熱電装置によってサービスおよび保守に関して追加の費用は発生しない。
【0063】
本発明の特別な利点は、先行技術より公知である多くの解決策と比べて外側における高温側がより容易に実現可能であることにある:前記高温側が外側、すなわち前記外管の外側にある場合、通例当該高温側はより低温の前記内管に比べて半径方向への膨張がより大きくなる。この際、特に物質一体化結合によるはんだ接続において前記接続を損傷または破壊し得る、極めて高いせん断力が生じる可能性がある。
【0064】
逆に前記内管における高熱側によって前記内管の膨張がより大きくなることにより生じる圧縮力は、通例、さほど重要ではない。
【0065】
本発明においては、発生する力が前記機能層によって吸収されるか少なくとも低減されるため、本発明は外側における高温側を実現する可能性を容易にするまたは改善する。
【0066】
さらに、前記外管から前記中間層を経て前記基本要素への熱伝導による熱輸送が悪くなるほど高すぎる温度において、前記外管への接触圧が低下することによって、前記熱交換器が内側における構成要素よりも外側においてより早く加熱される場合には、本発明による構成によって、前記熱電基本要素の高温側におけるはんだ接合の過熱が防止される。熱接触抵抗は増加し、はんだ接合温度は前記加熱側温度とともに徐々に減少しつつ増加する。よって、減少する前記接触圧が前記はんだ接合を過熱から保護する。
【0067】
本発明による熱電モジュールの製造方法は、特に排熱を電気に変えるための熱電モジュールおよび熱交換器の製造に適している。可能な応用分野としては例えば温泉、ボイラー、炉用の熱電発電機や船舶、機関車あるいは内燃機関を有する車両における排熱利用である。別法として前記熱電基本要素は、ペルチェ要素として流体の温度制御、冷却・加熱ポンプ回路の改良あるいはアクチュエータとして使用され得る。本発明は、先行技術から公知である解決策と比較して前記熱電基本要素への熱伝導が減少することは認めながらも、製造コストが顕著に削減されているという利点を有する。
【0068】
本発明による製造方法および本発明による熱電モジュールのさらなる好ましい特徴と実施形態について以下に実施形態例および図面を参照しつつ説明する。図示されているのは:
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】熱電基本要素の長手方向への延伸に沿った断面における熱電モジュールの概略図。
図1A】熱電モジュールの縦断面の概略図の部分図。
図2】熱電モジュールの分解図。
図3】熱電モジュールの断面の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0070】
各図面において同一の各符号は、同一または同一の働きをする各要素を示す。
【0071】
前記熱電モジュール1は、内管2と外管8とを含む。前記内管2の上にはグラファイトシート3が被着されている。前記グラファイトシート3は、100から250マイクロメートルの厚みを有する。前記グラファイトシート3の上にはポリイミドシート4、ここではカプトンシートが被着されている。前記カプトンシートは、極めて薄く形成されており、7から30マイクロメートルの範囲における厚みを有する。前記カプトンシートの上には熱電基本要素5が自身の長手方向への延伸が前記内管2の長手方向への延伸と平行であるように被着されている。ここでは、18個の熱電基本要素5が設けられている。
【0072】
前記熱電基本要素5の上には、ここでは同様にカプトンシートとして形成されるポリイミド層6とグラファイトシート7の形における第二の二層状の機能層が設けられている。前記グラファイトシート7の上には前記外管8が嵌設されている。
【0073】
前記各熱電基本要素5は、各熱電半導体材料、ここではBiTe合金から形成されている。前記熱電基本要素5は、それぞれ交互にpドープ半導体とnドープ半導体とを有し、当該半導体は、はんだブリッジを介して導電性を有するように互いに接続されている。ここでは、前記熱電基本要素5は、それぞれ六つの半導体要素、三つのpドープ半導体要素5.1、5.3、5.5および三つのnドープ半導体要素5.2、5.4、5.6を用いて形成されている。周方向において前記内管2の周りに18個の熱電基本要素5が等間隔に被着されている。これにより均等な熱伝導が保証される。前記18個の熱電基本要素5は、導電性を有するように互いに接続されており、共通の接点(図示せず)を有する。
【0074】
以下において、図2の分解図を用いて本発明による方法の実施形態について説明する:
第一のステップAにおいて、前記内管2が用意される。
次のステップC0において、弾性的に変形可能である前記第一の機能層(ここではグラファイトシート3)と前記第二の電気絶縁機能層(ここではカプトンシートであるポリイミドシート4)とが前記内管2に被着される。
【0075】
前記ステップCにおいて、前記ポリイミドシート4の上には前記熱電基本要素5が配される。前記熱電基本要素5は、自身の長手方向への延伸が前記内管2の長手方向への延伸に平行であるように被着される。この際、前記熱電基本要素5は、特に前記各機能層と作動接続されている。
【0076】
第一の機能層と第二の機能層とは、良好な熱伝導性、すなわち前記熱電基本要素と前記内管の体積との間における良好な熱接触が存在することによって前記機能層を介した温度差が前記熱電基本要素を介した温度差と比べて可能な限り小さくなるように協同的に構成されている。
【0077】
さらに第三の電気絶縁機能層と第四の弾性的に変形可能な機能層、ここではカプトンシート6とグラファイトシート7、が前記各熱電基本要素5の上に被着される。
【0078】
ステップBにおいて、前記外管8が用意されてコーティングされた前記熱電基本要素5の上にスライドされる。最後にステップDにおいて、前記外管8を収縮させることによって内管2、各機能層3、4、6、7、熱電基本要素5および外管8からなるプレス嵌め体が製造される。
【0079】
ここでは、前記プレス嵌め体が前記内管2の拡張によって形成される。この際、圧縮力は、駆動状態における前記外管の熱膨張による長さ変化が前記圧縮力によって補償されるように設計されている。
【0080】
よって、有利なことに、内管2、機能層3、4、6、7、熱電基本要素5および外管8の前述の要素の接続のために脆弱な物質一体化結合による接続が使用されない。これにより、一般に熱電モジュールの高温側と低温側との温度差による熱膨張による軸方向における長さ変化における差によるせん断力が前記弾性的な機能層3、7によって補償される。弾性特性によって、前記機能層3、7は、当該機能層が例えば流動性を示したり弾性変形を許容したりすることによって熱的または機械的な影響に追従することが可能である。これによって、高温側が外側にあろうと内側にあろうと前記熱電モジュール1を極めて柔軟に使用することが可能となる。
【0081】
別法として本発明は逆の順番でも実施され得る。このため、まずは第一のステップにおいて、前記外管8が用意される。次に、前記機能層が管状シート6、7の形において前記外管8に挿入される。続いて前記熱電基本要素5が、好ましくは複数のストリップの形において挿入される。次のステップにおいて、前記内側の機能層3、4が管状シートの形において前記熱電基本要素5の内側に挿入される。次に、前記内管2が挿入されて拡張される。
【0082】
図3は、前記熱電モジュール1を通る断面の概略図を示している。
【0083】
図示されているのは、例えば、符号5a、5b、5c、5dが付された前記熱電基本要素、ここでは12個の熱電半導体要素であって、当該熱電半導体要素は周方向に前記内管2と前記外管8の間に配置されている。内管と熱電半導体要素5a、5b、5c、5dとの間には前記二層状の機能層3、4が図示されている。熱電半導体要素5a、5b、5c、5dと外管8との間にも同様に二層状の機能層6、7が図示されている。
【0084】
前記両機能層は、ここではカプトンシート4、6とグラファイトシート3、7の形において形成されている。この際、絶縁性を有する前記カプトンシート4、6は、それぞれ前記熱電基本要素5に対向する側面に配置されている。
【0085】
熱電発電機としての駆動状態において、有利なことに前記内管2は低温側を構成するのに対して前記外管8の外側に高温側が存在する。しかしながら、逆の熱流方向における駆動もまた可能である。
図1
図1A
図2
図3
【国際調査報告】