(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】リンク装置、カメラモジュール、および電子デバイス
(51)【国際特許分類】
G02B 7/08 20210101AFI20230713BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20230713BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20230713BHJP
【FI】
G02B7/08 Z
G03B30/00
G02B7/04 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580874
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-02-06
(86)【国際出願番号】 CN2021100207
(87)【国際公開番号】W WO2022001656
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】202010638092.1
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダン、ジアペン
(72)【発明者】
【氏名】クオ、リ-テ
(72)【発明者】
【氏名】ル、レイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シン
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044BE02
2H044BE18
2H044DA01
2H044DA02
2H044DB02
2H044DC01
2H044DE06
(57)【要約】
本願は、リンク装置、カメラモジュール、および電子デバイスを開示する。リンク装置は、連続ズーミングを備えたカメラモジュールに用いられ、基部と、基部にスライド可能に接続された第1キャリアおよび第2キャリアとを含む。基部には第1ポジショニング素子が配置されており、第1キャリアには第1センシング素子および第2ポジショニング素子が配置されており、第2キャリアには第2センシング素子が配置されている。第1センシング素子は、第1ポジショニング素子に対向して配置されて、基部に対する第1キャリアの位置を検出する。第2センシング素子は、第2ポジショニング素子に対向して配置されて、第1キャリアに対する第2キャリアの位置を検出する。第1キャリアと第2キャリアとの移動関係が、関連した動きとして設定される。第1キャリアが移動すると、第2キャリアは第1キャリアの動きに応答して適宜移動できるので、第1キャリアおよび第2キャリアの位置制御精度が改善される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンク装置であって、前記リンク装置が、連続ズーミングを備えたカメラモジュールに用いられ、および基部、および前記基部にスライド可能に接続された第1キャリアおよび第2キャリアを備え;および前記基部に第1ポジショニング素子が配置されており、前記第1キャリアに第1センシング素子および第2ポジショニング素子が配置されており、および前記第2キャリアに第2センシング素子が配置されており;
前記第1センシング素子が前記第1ポジショニング素子に対向して配置されて、前記基部に対する前記第1キャリアの位置を検出し;および
前記第2センシング素子が前記第2ポジショニング素子に対向して配置されて、前記第1キャリアに対する前記第2キャリアの位置を検出する、リンク装置。
【請求項2】
前記第1キャリアが第1搬送部および第1延伸部を含み、前記第1延伸部が、前記基部に面した前記第1搬送部の一端に位置しており、および前記第1センシング素子が前記第1延伸部に配置されている、請求項1に記載のリンク装置。
【請求項3】
前記第1キャリアがさらに第2延伸部を含み;および
前記第2延伸部が、前記第2キャリアに面した前記第1搬送部の一端に位置しており、および前記第2ポジショニング素子が前記第2延伸部に配置されている、請求項2に記載のリンク装置。
【請求項4】
前記第2キャリアが第2搬送部および第1突出部を含み、前記第1突出部が前記第2搬送部の一側面に位置しており、および前記第2センシング素子が前記第1突出部に配置されている、請求項3に記載のリンク装置。
【請求項5】
前記第1搬送部から離れた前記第2延伸部の一端に第1制限ブロックが配置されており、および前記第1突出部が前記第1制限ブロックと前記第1搬送部との間に位置している、請求項4に記載のリンク装置。
【請求項6】
前記第1キャリアがさらに第2突出部を含み、前記第2突出部が前記第1搬送部の一側面に位置しており、および前記第2ポジショニング素子が前記第2突出部に配置されている、請求項2に記載のリンク装置。
【請求項7】
前記第2キャリアが第2搬送部および第3延伸部を含み、前記第3延伸部が、前記第1キャリアに面した前記第2搬送部の一端に位置しており、および前記第2センシング素子が前記第3延伸部に配置されている、請求項6に記載のリンク装置。
【請求項8】
前記第2搬送部から離れた前記第3延伸部の一端に第2制限ブロックが配置されており、および前記第2突出部が前記第2制限ブロックと前記第2搬送部との間に位置している、請求項7に記載のリンク装置。
【請求項9】
前記第1センシング素子が第1センシング信号を生成するように構成されており、および前記第1センシング信号には前記基部に対する前記第1キャリアの位置情報が含まれる、請求項1から8のいずれか一項に記載のリンク装置。
【請求項10】
前記第2センシング素子が第2センシング信号を生成するように構成されており、および前記第2センシング信号には前記第1キャリアに対する前記第2キャリアの位置情報が含まれる、請求項1から9のいずれか一項に記載のリンク装置。
【請求項11】
前記第1キャリアが、ズーミングを行うための第1レンズアセンブリを搬送するように構成されており、および前記第2キャリアが、フォーカシングを行うための第2レンズアセンブリを搬送するように構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のリンク装置。
【請求項12】
前記リンク装置が動作すると、前記第1レンズアセンブリが最初に移動し、および前記第2レンズアセンブリが前記第1レンズアセンブリに追従して移動し;および
前記第1レンズアセンブリおよび前記第2レンズアセンブリが予め決められた位置に移動した後に、前記第1レンズアセンブリを調整して最初にズーミングが行われ、および次いで前記第2レンズアセンブリを調整してフォーカシングが行われる、請求項11に記載のリンク装置。
【請求項13】
第1レンズアセンブリ、第2レンズアセンブリ、および請求項1から12のいずれか一項に記載のリンク装置を備え、ここで
前記第1レンズアセンブリが前記第1キャリアに配置されており、および前記第2レンズアセンブリが前記第2キャリアに配置されている、カメラモジュール。
【請求項14】
前記カメラモジュールがさらに制御回路を備え;および
前記制御回路が、前記第1センシング素子または前記第1ポジショニング素子の第1センシング信号に基づいて、前記第1キャリアの動きを適宜制御するように構成されている、請求項13に記載のカメラモジュール。
【請求項15】
前記制御回路がさらに、前記第1センシング信号および前記第2センシング素子の第2センシング信号に基づいて、前記第2キャリアの動きを適宜制御するように構成されている;または
前記制御回路がさらに、前記第1センシング信号および前記第2ポジショニング素子の第2センシング信号に基づいて、前記第2キャリアの動きを適宜制御するように構成されている、請求項14に記載のカメラモジュール。
【請求項16】
前記カメラモジュールが動作すると、前記第1レンズアセンブリが最初に移動し、および前記第2レンズアセンブリが前記第1レンズアセンブリに追従して移動し;および
前記第1レンズアセンブリおよび前記第2レンズアセンブリが予め決められた位置に移動した後に、前記第1レンズアセンブリを調整して最初にズーミングが行われ、および次いで前記第2レンズアセンブリを調整してフォーカシングが行われる、請求項13から15のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
【請求項17】
請求項13から16のいずれか一項に記載のカメラモジュールを備える電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年7月1日に中国で出願された「リンク装置、カメラモジュール、および電子デバイス(LINKAGE APPARATUS, CAMERA MODULE, AND ELECTRONIC DEVICE)」と題する中国特許出願第202010638092.1号に基づく優先権を主張し、当該中国特許出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、カメラモジュール技術の分野に関し、詳細には、リンク装置、カメラモジュール、および電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、携帯電話のカメラモジュールに特定の倍率で光学ズーミング機能を実装することで、消費者の関心を集める傾向が強くなっている。何らかの固定倍率で光学ズーミングを行うために、キャリアが移動しながら、レンズが規定の位置に到達し、ズーミングおよびフォーカシングを行う。
【0004】
しかしながら、一般的なカメラモジュールにおけるキャリアの位置制御精度は低い。キャリアに位置するレンズで、何らかの特定の倍率でのズーミングが行われるが、連続ズーミングを行うことはできない。その結果として、カメラモジュールの実際の結像効果が不十分なものになる。
【発明の概要】
【0005】
本願の目的とは、リンク装置、カメラモジュール、および電子デバイスを提供して、一般的なカメラモジュールで連続ズーミングを行うことができないという問題を解決することである。
【0006】
前述した技術的問題を解決するために、本願はリンク装置を提供する。リンク装置は、連続ズーミングを備えたカメラモジュールに用いられ、基部と、基部にスライド可能に接続された第1キャリアおよび第2キャリアとを含む。基部には第1ポジショニング素子が配置されており、第1キャリアには第1センシング素子および第2ポジショニング素子が配置されており、第2キャリアには第2センシング素子が配置されている。第1センシング素子は、第1ポジショニング素子に対向して配置されて、基部に対する第1キャリアの位置を検出する。第2センシング素子は、第2ポジショニング素子に対向して配置されて、第1キャリアに対する第2キャリアの位置を検出する。これに基づき、第1キャリアを基準として用いることで、第2キャリアの相対的な位置が検出される。基準として用いられる第1キャリアが移動すると、第2キャリアと第1キャリアとの相対的な位置関係が変化する。この変化は、第2センシング素子と第2ポジショニング素子との連携によって取得され得る。これに対応して、第2キャリアは、第1キャリアの動きに迅速に応答して、同期した動きを行うことができるので、第2キャリアの位置制御精度が改善される。例えば、第1キャリアが位置Aにあり、第2キャリアが位置Bにある(通常、2つの位置は互いに近い)。ここで、特定の倍率でズーミングおよびフォーカシングを完了させるために、第1キャリアは位置Cに移動する必要があり、第2キャリアは位置Dに移動する必要がある。既存のセンシング素子および既存のポジショニング素子は製造およびプロセスレベルなどの要因に影響を受けるため、高精度の制御を長距離で行うことはできない。その結果として、キャリアが長距離で移動すると、制御精度が低くなる。例えば、第1キャリアは通常、位置Cに正確に移動できず、Cに近い位置に移動する。同様に、第2キャリアは通常、制御精度に影響されて位置Dの近くにある。この場合、最終的に、第1キャリアおよび第2キャリアは両方とも誤差を有しており、これが、第1キャリアと第2キャリアとの間のフォーカシング距離(D-C)に、より大きな誤差をもたらす。さらに、フォーカシング距離は、結像効果に影響を与える極めて本質的な要因である。その結果として、カメラモジュールの実際の結像効果が不十分なものになる。しかしながら、本願で提供されるリンク装置によれば、第1キャリアが位置Aから位置Cに移動するときに、第2キャリアと第1キャリアとの相対的な位置関係は、第1キャリアと第2キャリアとの移動関係がリンクするように設定されることに基づいて変化する。この変化は、第2センシング素子と第2ポジショニング素子との連携によって取得される。したがって、第2キャリアは、第1キャリアの動きに迅速に応答して、位置Bから位置Dに同期的に移動できる。さらに、第2センシング素子と第2ポジショニング素子との連携によって、第2キャリアは関連する制御回路および/または制御チップと連携して、第2キャリアと第1キャリアとの相対的な位置関係を改めて検出するので、閉ループ検出システムが形成される。第1キャリアが位置Aから位置Cに移動する過程で、一定の短いステップを用いて、それぞれの動きを制御できることが分かる。このステップの間隔は、AからCまでの距離よりはるかに短い。既存のセンシング素子および既存のポジショニング素子の短距離での制御精度は非常に高いため、第2キャリアは第1キャリアに追従して、高精度で位置Cに到達できる。次いで、第2キャリアはさらに、別の距離を移動して位置Dに到達する。このように、本願ではフォーカシング距離の誤差が主に、第2キャリアのCからDへの動きによって引き起こされる。既存の解決手段と比較すると、本願では、誤差に影響される距離が短くなり(本願では第2キャリアが誤差に遭遇するのはD-C区間のみであり、一方、従来技術では第2キャリアが誤差に遭遇するのはD-B区間であり、第1キャリアもC-A区間で誤差に遭遇する)、誤差に影響される要因が少なくなる(第2キャリアの動きのみが誤差に遭遇し、一方、従来技術では第1キャリアおよび第2キャリアが両方とも、移動する必要があり誤差に遭遇する)。このように、フォーカシング距離の最終的な誤差が小さくなり、特定の倍率でより高精度なズーミングおよびフォーカシングを行うことができるので、結像効果が改善される。
【0007】
いくつかの実施形態において、第1キャリアは第1搬送部および第1延伸部を含み、第1延伸部は基部に面した第1搬送部の一端に位置しており、第1センシング素子は第1延伸部に配置されている。これに基づき、第1センシング素子と基部上の第1ポジショニング素子との連携によって、第1キャリアに関連した位置情報の取得が容易になり得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、基部に対して第1キャリアをスライドさせる過程で、第1センシング素子および第1ポジショニング素子は互いに真向かいの状態を保ち、第1センシング素子が第1ポジショニング素子と連携して、基部に対する第1キャリアの位置情報を確実に取得できるようにする。
【0009】
いくつかの実施形態において、第1キャリアはさらに第2延伸部を含み、第2延伸部は第2キャリアに面した第1搬送部の一端に位置しており、第2ポジショニング素子は第2延伸部に配置されている。これに基づき、第2ポジショニング素子と第2キャリア上の第2センシング素子との連携によって、第2キャリアに関連した位置情報の取得が容易になり得る。
【0010】
いくつかの実施形態において、第2キャリアは第2搬送部および第1突出部を含み、第1突出部は第2搬送部の一側面に位置しており、第2センシング素子は第1突出部に配置されている。したがって、第1突出部の第2センシング素子は、第2延伸部の第2ポジショニング素子と確実に連携して、第2キャリアの位置情報を取得できる。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1搬送部から離れた第2延伸部の一端に第1制限ブロックが配置されており、第1突出部は第1制限ブロックと第1搬送部との間に位置している。したがって、第2センシング素子と第2ポジショニング素子との間の距離が最大センシング距離を超えることはなく、何らかの極端な場面(落下または激しい振動など)において、第1突出部が第2延伸部から逸脱する可能性が低下する。第2キャリアが第1キャリアから離れようとするときに、第1制限ブロックが第1突出部に接する方式で、第1突出部が確実に第2延伸部の長さ範囲内に位置するようにできることを理解されたい。これに対応して、第1突出部の第2センシング素子は、第2延伸部の第2ポジショニング素子となおも連携して、第1キャリアに対する第2キャリアの位置を検出できる。
【0012】
いくつかの実施形態において、第1キャリアはさらに第2突出部を含み、第2突出部は第1搬送部の一側面に位置しており、第2ポジショニング素子は第2突出部に配置されている。
【0013】
いくつかの実施形態において、第2キャリアは第2搬送部および第3延伸部を含み、第3延伸部は第1キャリアに面した第2搬送部の一端に位置しており、第2センシング素子は第3延伸部に配置されている。したがって、第2突出部の第2センシング素子は、第3延伸部の第2ポジショニング素子と確実に連携して、第2キャリアの位置情報を取得できる。
【0014】
いくつかの実施形態では、第2搬送部から離れた第3延伸部の一端に第2制限ブロックが配置されており、第2突出部は第2制限ブロックと第2搬送部との間に位置している。第2キャリアが第1キャリアから離れようとするときに、第2制限ブロックが第2突出部に接する方式で、第2突出部が確実に第3延伸部の長さ範囲内に位置するようにできることを理解されたい。これに対応して、第2突出部の第2センシング素子は、第3延伸部の第2ポジショニング素子となおも連携して、第1キャリアに対する第2キャリアの位置を検出できる。
【0015】
いくつかの実施形態では、基部に対して第2キャリアをスライドさせる過程で、第2センシング素子および第2ポジショニング素子は互いに真向かいの状態を保ち、第2センシング素子が第2ポジショニング素子と連携して、第1キャリアに対する第2キャリアの位置情報を確実に取得できるようにする。
【0016】
いくつかの実施形態において、第1センシング素子は第1センシング信号を生成するように構成されており、第1センシング信号には基部に対する第1キャリアの位置情報が含まれる。第1センシング信号には、基部に対する第1キャリアの位置情報が含まれる。第1センシング信号に基づき、関連する制御回路は、基部と第1キャリアとの間の相対的な距離をより適切に決定して、第1キャリアの位置制御精度を改善できる。
【0017】
いくつかの実施形態において、第2センシング素子は第2センシング信号を生成するように構成されており、第2センシング信号には第1キャリアに対する第2キャリアの位置情報が含まれる。第2センシング信号には、第1キャリアに対する第2キャリアの位置情報が含まれる。第2センシング信号に基づき、関連する制御回路は、第2キャリアと第1キャリアとの間の相対的な距離をより適切に決定して、第2キャリアの位置制御精度を改善できる。
【0018】
いくつかの実装例において、第1ポジショニング素子は第1センシング信号を生成するように構成されており、第1センシング信号には基部に対する第1キャリアの位置情報が含まれる。第1センシング信号には、基部に対する第1キャリアの位置情報が含まれる。第1センシング信号に基づき、関連する制御回路は、基部と第1キャリアとの間の相対的な距離をより適切に決定して、第1キャリアの位置制御精度を改善できる。
【0019】
いくつかの実施形態において第2ポジショニング素子は第2センシング信号を生成するように構成されており、第2センシング信号には第1キャリアに対する第2キャリアの位置情報が含まれる。第2センシング信号には、第1キャリアに対する第2キャリアの位置情報が含まれる。第2センシング信号に基づき、関連する制御回路は、第2キャリアと第1キャリアとの間の相対的な距離をより適切に決定して、第2キャリアの位置制御精度を改善できる。
【0020】
いくつかの実施形態において、第1キャリアはズーミングを行うための第1レンズアセンブリを搬送するように構成されており、第2キャリアは、フォーカシングを行うための第2レンズアセンブリを搬送するように構成されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、リンク装置が動作すると、第1レンズアセンブリが最初に移動し、第2レンズアセンブリは第1レンズアセンブリに追従して移動する。第1レンズアセンブリおよび第2レンズアセンブリが予め決められた位置に移動した後に、第1レンズアセンブリを調整して最初にズーミングが行われ、次いで第2レンズアセンブリを調整してフォーカシングが行われる。第1キャリアと第2キャリアとの連携に基づいて、第1レンズアセンブリと第2レンズアセンブリとの相対的な位置関係が正確に認識され得るため、リンク装置を用いるカメラモジュールの結像効果が改善されることを理解されたい。
【0022】
いくつかの実施形態において、第1ポジショニング素子および第2ポジショニング素子は両方とも細長い形状の磁石であり、第1センシング素子および第2センシング素子は両方ともホールセンサである。あるいは、第1ポジショニング素子および第2ポジショニング素子は両方ともホールセンサであり、第1センシング素子および第2センシング素子は両方とも細長い形状の磁石である。これらの細長い形状の磁石は、対応するホールセンサと連携して位置検出を行うのに役立てることができる。
【0023】
本願はさらに、第1レンズアセンブリと、第2レンズアセンブリと、前述した実施形態のリンク装置とを含むカメラモジュールを提供する。第1レンズアセンブリは第1キャリアに配置されており、第2レンズアセンブリは第2キャリアに配置されている。
【0024】
いくつかの実施形態において、カメラモジュールはさらに制御回路を含む。制御回路は、第1センシング素子または第1ポジショニング素子の第1センシング信号に基づいて、第1キャリアの動きを適宜制御するように構成されている。例えば、第1レンズアセンブリは連続ズーミングを備えたレンズアセンブリであることを理解されたい。第1キャリアの位置が決定されるため、第1レンズアセンブリの位置が同期的に決定されて、特定の倍率でズーミングを行うよう第1レンズアセンブリの位置を制御するのに役立てることができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、制御回路はさらに、第1センシング信号および第2センシング素子の第2センシング信号に基づいて、第2キャリアの動きを適宜制御するように構成されている。あるいは、制御回路はさらに、第1センシング信号および第2ポジショニング素子の第2センシング信号に基づいて、第2キャリアの動きを適宜制御するように構成されている。例えば、第2レンズアセンブリはフォーカシングを備えたレンズアセンブリであることを理解されたい。第2キャリアの位置が決定されるため、第2レンズアセンブリの位置が同期的に決定されて、フォーカシングを行うよう第2レンズアセンブリの位置を制御することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、カメラモジュールが動作すると、第1レンズアセンブリが最初に移動し、第2レンズアセンブリは第1レンズアセンブリに追従して移動する。第1レンズアセンブリおよび第2レンズアセンブリが予め決められた位置に移動した後に、第1レンズアセンブリを調整して最初にズーミングが行われ、次いで第2レンズアセンブリを調整してフォーカシングが行われる。第1キャリアと第2キャリアとの連携に基づいて、第1レンズアセンブリと第2レンズアセンブリとの相対的な位置関係が正確に認識され得るため、リンク装置を用いるカメラモジュールの結像効果が改善されることを理解されたい。
【0027】
本願はさらに、前述した実施形態のカメラモジュールを含む電子デバイスを提供する。電子デバイスとしては、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、車載モニタ、ディスプレイ、または別のデバイスが挙げられ得る。
【0028】
本願では、第1キャリアと第2キャリアとの移動関係が、関連した動きとして設定される。第1キャリアが移動すると、第2キャリアは第1キャリアの動きに応答して適宜移動できるので、第1キャリアおよび第2キャリアの位置制御精度が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本願の一実施形態による第1レンズアセンブリ、第2レンズアセンブリ、およびイメージセンサの概略図である。
【0030】
【
図2】本願の一実施形態によるリンク装置の3次元図である。
【0031】
【0032】
【0033】
【
図5】本願の一実施形態によるリンク装置の概略分解図である。
【0034】
【
図6】本願の一実施形態によるリンク装置の部分概略図である。
【0035】
【
図7】本願の一実施形態による、別の視点から見たリンク装置の部分概略図である。
【0036】
【
図8】本願の一実施形態による、第1キャリアと第2キャリアとの間の相対的な動きの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下では、本願の実施形態の添付図面を参照して、本願の実施形態の技術的解決手段を明確に説明する。
【0038】
光学ズーミングを備えた一般的なカメラモジュールには、少なくとも2つの可動レンズ群が含まれている。この可動レンズ群のうちの一方は、何らかの固定倍率でのズーミングを備えたレンズアセンブリの動きを一定の範囲内で実現し、相対的な位置を変えることでズーミングを行うように構成されており、この可動レンズ群のうちの他方は、フォーカシングを備えたレンズアセンブリの動きを一定の範囲内で実現し、フォーカシングを行うように構成されている。この目的のために、一般的なカメラモジュールではボイスコイルアクチュエータがさらに提供されることで、ボイスコイルアクチュエータによりもたらされる推力が、対応するキャリアを動かして移動させるのに用いられる。同期的に、キャリアの動きがキャリア上のレンズアセンブリを同期的に動かして移動させ、ズーミングを備えたレンズアセンブリが予め決められた位置に到達できるようにしてよい。
【0039】
ズーミングを備えたレンズアセンブリは、キャリアで搬送される必要がある。これに対応して、レンズアセンブリの相対的な位置も、キャリアの相対的な位置に基づいて決定される。すなわち、キャリアの位置精度が、対応するレンズアセンブリのズーミング精度と密接に関連している。カメラモジュールにおいて、固定倍率でズーミングを行うためのレンズアセンブリは、キャリアの移動精度に対する要件が高いことを理解されたい。しかしながら、実際の使用過程では、一般的なカメラモジュールの場合、モータ移動システムおよびモータ移動検出・制御システムなどの構造設計の限界によって、キャリアの制御および位置フィードバックが時間どおりに行われず、これらのキャリアの検出精度が低い。
【0040】
これに基づき、一般的なカメラモジュールが何らかの固定倍率でズーミングを行う必要がある場合、モータキャリアの実際に移動する位置が、予め決められた位置から逸脱する。同期的に、モータキャリア上のレンズアセンブリの実際の位置も、予め決められた位置から逸脱する。ズーミングの分野では、そのような位置偏差の影響が顕著である。これが、カメラモジュールを用いる電子デバイスのユーザエクスペリエンスに一定程度まで影響を与える。
【0041】
例えば、第1キャリアは位置Aにあり、第2キャリアが位置Bにある。ここで、3倍の倍率でズーミングおよびフォーカシングを完了させるために、第1キャリアは位置Cに移動する必要があり、第2キャリアは位置Dに移動する必要がある。しかしながら、ポジショニング素子およびセンシング素子が製造プロセスおよび材料などの要因に影響されて、関連するキャリアの動きを十分に制御できない、すなわち、これらのキャリアの位置制御精度が低い。その結果として、第1キャリアは位置C+または位置C-に移動する場合があり、第2キャリアは位置D+または位置D-に移動する場合がある。
【0042】
位置C+および位置C-は位置Cと異なり、位置D+および位置D-も位置Dと異なることを理解されたい。この場合、一般的なカメラモジュールにより生成される画像では、ピンぼけまたはブラー(ぼやけ)などの問題が容易に生じることがある。このカメラモジュールの結像効果は不十分であり、これらの画像のユーザアクセプタンスは低い。
【0043】
前述した問題に基づいて、
図1~
図7の全てを参照して、本願の実施形態が、カメラモジュールに用いられるリンク装置、カメラモジュール、および電子デバイスを提供する。リンク装置100が関連するレンズアセンブリ(1100および1200)を搬送し、これらのレンズアセンブリと連携してズーミングおよびフォーカシングを行い、さらに連続光学ズーミング機能を行うことができる。
【0044】
カメラモジュールを用いる電子デバイスが撮影を行うときに、カメラモジュールのリンク装置は、関連するレンズアセンブリを動かして移動させ、これらのレンズアセンブリが予め決められた位置に正確に移動できるようにしてよい。したがって、カメラモジュールは特定の倍率でズーミングおよびフォーカシングを行うことができるため、ユーザの撮影エクスペリエンスが改善される。
【0045】
本願の実施形態における技術的解決手段の理解を容易にするために、各実施形態では、ズーミングを備えた第1レンズアセンブリを搬送するためのキャリアとして主に第1キャリアを使い、フォーカシングを備えた第2レンズアセンブリを搬送するためのキャリアとして第2キャリアを使い、広く用いられている携帯電話を電子デバイスとして使う一例を用いて、説明が提供される。しかしながら、第1キャリアおよび第2キャリアはそれぞれ、要件に基づいて別の種類のレンズアセンブリを搬送してよいことも理解されたい。電子デバイスとは、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、車載モニタ、ディスプレイ、または別のデバイスを指してもよい。これについては、本願において限定しない。
【0046】
図1は、第1レンズアセンブリ、第2レンズアセンブリ、およびイメージセンサの概略図である。
図2は、リンク装置の3次元図である。
図3は、リンク装置の断面図である。
図1~
図3の全てを参照して、本願の一実施形態が、基部110、第1キャリア120、および第2キャリア130を含むリンク装置100を提供する。基部110はスライディングシャフト112を有し、スライディングシャフト112は第1キャリア120および第2キャリア130を順に通り抜けることができる。
図2および
図3に示すように、例えば、第1キャリア120および第2キャリア130が安定してスライドするように、2つのスライディングシャフト112がある。スライディングシャフト112の数が要件に基づいて調整されてよく、1つ、3つ、または別の数のスライディングシャフト112があってもよいことを理解されたい。
【0047】
これに対応して、第1キャリア120および第2キャリア130は両方とも基部110にスライド可能に接続されてよく、キャリアのそれぞれの移動方向が基部110のスライディングシャフト112により限定されている。これに基づき、第1キャリア120および第2キャリア130を対応するモータで動かすと、両キャリアはスライディングシャフト112の長さ方向に沿って移動し、それぞれの相対的な位置を変えることができる。第1キャリア120の動きに基づいて、第1レンズアセンブリ1100を同期的に動かし、移動させることができる。第2キャリア130の動きに基づいて、第2レンズアセンブリ1200を同期的に動かし、移動させることができる。このように、第1レンズアセンブリ1100および第2レンズアセンブリ1200は互いに連携して、異なる倍率でズーミングおよびフォーカシングを行う。
【0048】
本願の実施形態における第1キャリア120および第2キャリア130の位置制御精度を改善するために、第1キャリア120および第2キャリア130の動きが、関連した動きに設定される。すなわち、第2キャリア130の動きは第1キャリア120の動きと関連している。第1キャリア120が移動すると、第2キャリア130も第1キャリア120の動きに応答して適宜移動することにより、第1キャリア120および第2キャリア130の位置制御精度が改善される。
【0049】
関連した動きという概念に基づいて、第1キャリア120および第2キャリア130による位置制御の精度を改善することが可能である。したがって、第1キャリア120の第1レンズアセンブリ1100は、予め決められた位置に正確に移動して、特定の倍率でズーミングを行うことができる。第2キャリア130の第2レンズアセンブリ1200も迅速に応答し、予め決められた位置に正確に移動してフォーカシングを行うことができる。
【0050】
第1キャリア120および第2キャリア130が関連して移動する場合、第1キャリア120および第2キャリア130のそれぞれの速度を使用要件に基づいて調整できることを理解されたい。すなわち、第1キャリア120および第2キャリア130の移動速度が異なってもよく、第1キャリア120および第2キャリア130の移動速度が不必要に同じであると理解されるべきではない。
【0051】
図4は、リンク装置の上面図である。
図5は、リンク装置の概略分解図である。
図2、
図3、
図4、および
図5の全てを参照すると、いくつかの実施形態において、第1キャリア120は第1搬送部122および第1延伸部124を含む。第1搬送部122は、第1レンズアセンブリ1100を搬送し、第1レンズアセンブリを動かして移動させることができる。第1搬送部122はさらに、スライディングシャフト112に対応するスルーホールを有する(図には示されていない)。第1搬送部122のスルーホールは、スライディングシャフト112が通り抜けるのに利用可能であってよく、これにより、第1キャリア120はスライディングシャフト112を用いてスライドすることができる。したがって、第1搬送部122を対応するモータで動かし、スライディングシャフト112に沿って移動させる場合、第1搬送部122は第1レンズアセンブリを同期的に動かして移動させ、第1レンズアセンブリの位置を変えることができる。第1レンズアセンブリは、位置を変えることにより、特定の倍率でズーミングを行うことができる。
【0052】
第1搬送部122の位置を決定し、第1レンズアセンブリの位置を同期的に決定するために、第1キャリア120と基部110との位置関係が各実施形態で確立されている。具体的には、基部110を基準として用いることで、第1キャリア120の相対的な位置が決定される。この理由のために、基部110に第1ポジショニング素子142が配置されており、第1ポジショニング素子142に対応する第1センシング素子144が第1キャリア120の第1延伸部124に配置されている。
【0053】
いくつかの実施形態において、例えば、
図2、
図4、および
図5などの添付図面に示されている第1センシング素子144は、実際には第1延伸部124の一側面に位置し、第1ポジショニング素子142に面している。これについては、
図3の断面図を参照して理解されるであろう。
【0054】
図6は、リンク装置の部分概略図である。
図2~
図6に示すように、第1延伸部124は第1搬送部122の一側面に位置し、基部110の方向に延伸している。第1延伸部124の延伸構造に基づくと、第1搬送部122がスライディングシャフト112の上をスライドするときに、第1延伸部124の第1センシング素子144は基部110の第1ポジショニング素子142とのセンシング関係を常に維持し、第1センシング素子144と第1ポジショニング素子142との連携によって、第1キャリア120の相対的な位置を決定できる。さらに、第1キャリア120の位置が決定されるため、第1レンズアセンブリの位置が同期的に決定されて、特定の倍率でズーミングを行うよう第1レンズアセンブリの位置を制御するのに役立てることができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、第1ポジショニング素子142は第1センシング素子144に対向して配置されている。第1キャリア120の移動過程で、第1ポジショニング素子142および第1センシング素子144は互いに真向かいの関係を常に維持し、連携して第1キャリア120の位置情報を取得できる。あるいは、場合によって、第1ポジショニング素子142と第1センシング素子144とが少し離れてずれていてもよいが、それでも第1ポジショニング素子142および第1センシング素子144は連携して第1キャリア120の位置情報を取得できる。
【0056】
図2~
図5の全てを参照すると、いくつかの実施形態において、第2キャリア130は第2搬送部132を含む。第2搬送部132は、第2レンズアセンブリを搬送し、第2レンズアセンブリを動かして移動させることができる。同様に、第2搬送部132もスライディングシャフト112に対応するスルーホールを有する(図には示されていない)。第2搬送部132のスルーホールは、スライディングシャフト112が通り抜けるのに利用可能であってよく、これにより、第2キャリア130はスライディングシャフト112を用いてスライドすることができる。したがって、第2搬送部132を対応するモータで動かし、スライディングシャフト112に沿って移動させる場合、第2搬送部132は第2レンズアセンブリを同期的に動かして移動させ、第2レンズアセンブリの位置を変えることができる。第2レンズアセンブリは、位置を変えることにより、フォーカシング機能を行うことができる。
【0057】
第2搬送部132の位置を決定して、第2レンズアセンブリの位置を同期的に決定するために、各実施形態のリンク装置100は、第2キャリア130と第1キャリア120との間に関連した位置関係を確立することで実現される。具体的には、第1キャリア120を動的な基準として用いることで、第2キャリア130の相対的な位置が適宜決定される。この理由のために、第1キャリア120に第2ポジショニング素子146がさらに配置されており、第2ポジショニング素子146に対応する第2センシング素子148が第2キャリア130に配置されている。第2キャリア130の相対的な位置は、第2センシング素子148と第2ポジショニング素子146との連携によって決定される。さらに、第2キャリア130の位置が決定されるため、第2レンズアセンブリの位置が同期的に決定されて、フォーカシングを行うよう第2レンズアセンブリの位置を制御するのに役立てることができる。
【0058】
例えば、各実施形態のリンク装置100は携帯電話に適用される。リンク装置100が携帯電話に用いられる場合、ユーザにより選択される、特定の倍率の焦点距離に基づいて、第1キャリア120は第1レンズアセンブリを動かして移動させ、第2キャリア130も第2レンズアセンブリを動かして移動させて、特定の倍率でズーミングおよびフォーカシングを行う。
【0059】
いくつかの実施形態において、第2ポジショニング素子146は第2センシング素子148に対向して配置されている。第1キャリア120および第2キャリア130の移動過程で、第2ポジショニング素子146および第2センシング素子148は、互いに真向かいの関係を常に維持し、連携して第2キャリア130の位置情報を取得できる。あるいは、場合によって、第2ポジショニング素子146と第2センシング素子148とが少し離れてずれていてもよいが、それでも第2ポジショニング素子146および第2センシング素子148は連携して第2キャリア130の位置情報を取得できる。
【0060】
第1キャリア120を基準として用いることで、第2キャリア130の相対的な位置が検出されることを理解されたい。基準として用いられる第1キャリア120が移動すると、第2キャリア130と第1キャリア120との相対的な位置関係が変化する。この変化は、第2センシング素子148と第2ポジショニング素子146との連携によって取得され得る。これに対応して、第2キャリア130を動かして移動させるモータの駆動力方向および作動時間を調整することにより、第2キャリア130は第1キャリア120の動きに迅速に応答し、同期した動きを行うことができる。次いで、第1キャリア120に対する第2キャリア130の位置を、第2センシング素子148と第2ポジショニング素子146との連携によって改めて検出できるので、閉ループ検出システムが形成される。第2キャリア130と第1キャリア120との相対的な位置関係は、複数回の閉ループ検出に基づいて正確に制御され、第2キャリア130を動かして予め決められた位置に、より正確に移動させることができるので、第2キャリア130の位置制御精度が改善される。
【0061】
第1レンズアセンブリを搬送する第1キャリア120と第2レンズアセンブリを搬送する第2キャリア130とがそれぞれ予め決められた位置に到達した後に、第1キャリア120の第1レンズアセンブリを調整して最初にズーミング操作が完了する。次いで、第2キャリア130を調整して第2キャリア130をわずかに移動させることにより、第2キャリア130の第2レンズアセンブリがフォーカシング操作を完了させる。これに基づき、リンク装置100を用いる携帯電話は、ズーミング操作およびフォーカシング操作を正確に行うことができるので、ユーザは必要な倍率で写真を取得し、ユーザの撮影エクスペリエンスが改善される。
【0062】
いくつかの実施形態において、第1センシング素子144は、第1ポジショニング素子142のセンシングに基づいて第1センシング信号を適宜生成する。第1センシング信号には、基部110に対する第1キャリア120の位置情報が含まれる。第2センシング素子148は、第2ポジショニング素子146のセンシングに基づいて第2センシング信号を適宜生成する。第2センシング信号には、第1キャリア120に対する第2キャリア130の位置情報が含まれる。
【0063】
第1センシング信号および第2センシング信号は、カメラモジュールの制御回路に送出されてよい。これに対応して、制御回路は、第1センシング信号に基づいて第1キャリア120の位置情報を取得し、第2センシング信号に基づいて第2キャリア130の位置情報を取得できる。さらに、第2センシング信号に含まれる第2キャリア130の位置情報は、第1キャリア120に基づいて決定される。これに基づき、制御回路は、第1センシング信号および第2センシング信号に基づいて、基部110、第1キャリア120、および第2キャリア130の相対的な距離をより適切に決定し、第1キャリア120および第2キャリア130の位置制御精度を改善し、2つのキャリアをより正確に制御して移動させることができる。
【0064】
図7は、別の視点から見たリンク装置の部分概略図である。
図2、
図3、
図4、
図5、および
図7の全てを参照すると、いくつかの実施形態では、第2キャリア130と第1キャリア120との間で関連した動きを行うために、第1キャリア120はさらに第2延伸部126を含む。第1延伸部124に対応して、第2延伸部126も第1搬送部122の一側面に位置している。しかしながら、第1延伸部124と異なり、第2延伸部126は第2キャリア130の方向に延伸している。第2延伸部126には、第2センシング素子148に対応する第2ポジショニング素子146が配置されている。第2搬送部132に加えて、第2キャリア130はさらに第1突出部134を含む。第1突出部134は第2搬送部132の一側面に位置しており、第2センシング素子148は第1突出部134に配置されている。スライディングシャフト112に対して、第2延伸部126および第1突出部134が同じ側に位置しているため、第1突出部134の第2センシング素子148は第2延伸部126の第2ポジショニング素子146と連携できることを理解されたい。
【0065】
いくつかの実施形態において、
図4および
図7などの添付図面に示されている第2センシング素子148は、実際には第1突出部134の一側面に位置し、第2ポジショニング素子146に面している。これについては、
図3の断面図および
図5の分解図などの添付図面を参照して理解されるであろう。
【0066】
いくつかの実施形態では、スライディングシャフト112の長さ方向に沿って、第2延伸部126の長さが第1突出部134の長さより長くなっている。これに基づき、第1キャリア120および第2キャリア130が関連して移動する過程で、第1突出部134の第2センシング素子148は第2ポジショニング素子146とのセンシング関係を常に維持し、第2ポジショニング素子146を用いて第2キャリア130の相対的な位置を検出できる。
【0067】
いくつかの実施形態では、第1キャリア120の関連構造体の位置関係を容易に理解するために、以下では、第1搬送部122が第1端部、第2端部、第1側面、および第2側面を含む一例を用いて説明を行う。第1端部および第2端部は、第1搬送部122の2つの反対の端部であることを理解されたい。例えば、第1端部は、基部110に近い第1搬送部122の一端であり、第2端部は、第2キャリア130に近い第1搬送部122の一端である。第1端部から第2端部への方向または第2端部から第1端部への方向が、スライディングシャフト112の長さ方向に相当し得る。第1側面および第2側面は、第1搬送部122の2つの反対の側面である。第1側面および第2側面は、スライディングシャフト112に対する、第1搬送部122の2つの側面に相当し得る。
【0068】
第1搬送部122の前述した定義に基づくと、例えば、第1延伸部124は第1搬送部122の第1側面に位置しており、第1延伸部124の延伸方向が第2端部から第1端部への方向である。しかしながら、第2センシング素子148による位置検出と第1センシング素子144による位置検出とが互いに独立しているので、第2延伸部126は第1搬送部122の第1側面に位置してもよく、第2延伸部126は第1搬送部122の第2側面に位置してもよい。しかしながら、第1延伸部124の場合に反して、第2延伸部126の延伸方向は第1端部から第2端部への方向であることを理解されたい。さらに、第2キャリア130の第1突出部134および第2延伸部126が同じ側に位置していることにより、第2センシング素子148は第2ポジショニング素子146をセンシングすることができる。
【0069】
なおも
図2~
図5および
図7を参照すると、いくつかの実施形態では、何らかの極端な場面において第1突出部134が第2延伸部126の長さ範囲から逸脱するという可能性を低下させるために、第1搬送部122から離れた第2延伸部126の一端に第1制限ブロック128が配置されている。第1制限ブロック128と、第2延伸部126と、第1搬送部122との間の連携によって、第1突出部134が第1制限ブロック128と第1搬送部122との間に制限されてよく、これにより、第2センシング素子148と第2ポジショニング素子146との間の距離が最大センシング距離を超えることはなくなる。
【0070】
何らかの極端な場面、例えば、リンク装置100を用いる携帯電話が高所から落下したり、比較的激しく揺さぶられたりした場合、第2キャリア130および第1キャリア120は互いに離れてしまうことがあるため、第2センシング素子148は第2ポジショニング素子146と連携して位置を検出できないことを理解されたい。この実施形態では、第1制限ブロック128の構造に基づくと、第2キャリア130が第1キャリア120から離れようとするときに、第1制限ブロック128が第1突出部134に接する方式で、第1突出部134が確実に第2延伸部126の長さ範囲内に位置するようにできる。これに対応して、第1突出部134の第2センシング素子148は、第2延伸部126の第2ポジショニング素子146となおも連携して、第1キャリア120に対する第2キャリア130の位置を検出できる。
【0071】
いくつかの実施形態では、第1制限ブロック128および第2延伸部126を同じ材料を用いて一体的に形成して、全体の強度を向上させることがある。例えば、第1制限ブロック128および第2延伸部126の両方の材料は高分子ポリマーである。
【0072】
いくつかの他の実施形態において、第1制限ブロック128および第2延伸部126は2つの独立した構成部品であってよく、両者は接合、溶接、ねじ留め、もしくは締まり嵌め、または別の方式で固定される。
【0073】
いくつかの他の実施形態において、第2キャリアは第2搬送部および第3延伸部を含むが、第1突出部を含まない。第3延伸部は、第1キャリアに面した第2搬送部の一端に位置しており、第1キャリアの方向に延伸している。第2センシング素子は第3延伸部に配置されている。
【0074】
第2キャリアの構造に対応して、第1キャリアには第2延伸部がないが、第1搬送部、第1延伸部、および第2突出部を含む。第2ポジショニング素子は第2突出部に配置されている。いくつかの実施形態において、第2突出部および第1延伸部は第1搬送部の同じ側に位置している。いくつかの他の実施形態において、第2突出部および第1延伸部は第1搬送部の異なる側に位置している。これについては、限定されない。
【0075】
第3延伸部と第2突出部との関係が、別の実施形態における第2延伸部と第1突出部との関係と類似していることを理解されたい。これにより、第2センシング素子と第2ポジショニング素子との連携も容易になり、位置検出機能を行うことができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、第2搬送部から離れた第3延伸部の一端に、対応する第2制限ブロックがさらに配置されて、第2突出部が第2制限ブロックと第2搬送部との間に制限され得る。別の実施形態における第1制限ブロックと類似して、第2キャリアは第1キャリアから離れようとするときに、第2制限ブロックが第2突出部に接する方式で、第2突出部が確実に第3延伸部の長さ範囲内に位置するようにできる。これに対応して、第2突出部の第2センシング素子は、第3延伸部の第2ポジショニング素子となおも連携して、第1キャリアに対する第2キャリアの位置を検出できる。
【0077】
図2~
図6を参照すると、いくつかの実施形態では、第1キャリア120の全体の強度を向上させるために、第1搬送部122、第1延伸部124、および第2延伸部126は一体的に形成されたキャリア構造であってよい。いくつかの他の実施形態では、第1キャリア120が第2突出部を含む場合、第1搬送部122、第1延伸部124、および第2突出部も一体的に形成されてよい。
【0078】
図2~
図5および
図7を参照すると、いくつかの実施形態では、第2キャリア130の全体の強度を向上させるために、第2搬送部132および第1突出部134は一体的に形成されたキャリア構造であってよい。いくつかの他の実施形態では、第2キャリア130が第2搬送部132および第3延伸部を含む場合、第2搬送部132および第3延伸部も一体的に形成されてよい。
【0079】
いくつかの実施形態において、第1ポジショニング素子142および第2ポジショニング素子146は両方とも磁石である。例えば、第1ポジショニング素子142および第2ポジショニング素子146は両方とも細長い形状の磁石であり、対応するセンシング素子と連携して位置検出を行うのに役立つ。これに対応して、第1センシング素子144および第2センシング素子148は両方ともホールセンサである。ホールセンサは、磁場の相対的な変化をセンシングすることで位置を検出できる。
【0080】
いくつかの他の実施形態において、第1ポジショニング素子142および第2ポジショニング素子146は両方ともホールセンサである。これに基づき、第1センシング信号は第1ポジショニング素子142により生成され、第2センシング信号は第2ポジショニング素子146により生成される。これに対応して、第1センシング素子144および第2センシング素子148は両方とも磁石である。例えば、第1センシング素子144および第2センシング素子148は両方とも細長い形状の磁石であり、対応するポジショニング素子と連携して位置検出を行うのに役立つ。
【0081】
いくつかの他の実施形態において、2つのポジショニング素子は異なってもよく、一方が磁石であり、他方がホールセンサである。これに対応して、2つの対応するセンシング素子のうちの一方がホールセンサであり、他方が磁石であって、それぞれ2つのポジショニング素子と連携する。
【0082】
いくつかの実施形態では、第1キャリア120を動かして移動させるために、第1キャリア120に第1駆動コイルが配置されてよく、これに対応して基部110に第1駆動磁石が配置されてよい。第1駆動コイルおよび第1駆動磁石によって、第1ボイスコイルアクチュエータが形成される。これに基づき、第1ボイスコイルアクチュエータは第1キャリア120を動かして移動させ、第1レンズアセンブリの相対的な位置を変えることができる。同様に、第2キャリア130に第2駆動コイルが配置されてよく、これに対応して基部110に第2駆動磁石が配置されてよい。第2駆動コイルおよび第2駆動磁石によって、第2ボイスコイルアクチュエータが形成される。これに基づき、第2ボイスコイルアクチュエータは第2キャリア130を動かして移動させ、第2レンズアセンブリの相対的な位置を変えることができる。
【0083】
図8は、第1キャリアおよび第2キャリアの相対的な動きの概略図である。
図8を参照すると、いくつかの実施形態では、前述の例と類似して、第1キャリア120は位置Aにあり、第2キャリア130は位置Bにある。ここで、3倍の倍率でズーミングおよびフォーカシングを完了させるために、第1キャリア120は位置Cに移動する必要があり、第2キャリア130は位置Dに移動する必要がある。本願のこの実施形態で提供されるリンク装置に基づいて、第1キャリア120の動きと第2キャリア130の動きとが関連している。第1キャリア120が位置Aから位置Cに移動すると、第2キャリア130と第1キャリア120との相対的な位置関係が変化する。この変化は、第2センシング素子と第2ポジショニング素子との連携によって取得される。したがって、第2キャリア130は、第1キャリア120の動きに迅速に応答して、位置Bから位置Dに同期的に移動できる。さらに、第2センシング素子と第2ポジショニング素子との連携によって、第2キャリア130は関連する制御回路および/または制御チップと連携して、第2キャリア130と第1キャリア120との相対的な位置関係を改めて検出するので、閉ループ検出システムが形成される。第2キャリア130と第1キャリア120との間の相対的な位置のフィードバックが、複数回の閉ループ検出に基づいてより正確になる。これにより、第1キャリア120を動かして位置Cに正確に移動させ、第2キャリア130を動かして位置Dに正確に移動させることができるので、3倍の倍率でズーミングおよびフォーカシングが行われる。
【0084】
図1~
図8の全てを参照すると、いくつかの実施形態では、リンク装置100をカメラモジュールに適用する場合、カメラモジュールはさらに、画像情報を取り込むように構成された何らかの構造体を含む。例えば、カメラモジュールはさらにイメージセンサ1300を含み、イメージセンサ1300は、第2レンズアセンブリ1200の、第1レンズアセンブリ1100から離れた側に配置されて、関連する画像情報を取り込む。
【0085】
いくつかの他の実施形態において、カメラモジュールはさらに、何らかの他の必要または不必要な構造体を含んでよい。例えば、カメラモジュールはさらに反射器を含み、反射器は外部光の入射角を変えることができる。したがって、カメラモジュールを携帯電話に適用する場合、リンク装置100は、携帯電話の長さ方向または幅方向に沿って配置されて、長いズーミングストロークおよびフォーカシングストロークを有してよい。これに基づき、携帯電話の撮影効果を適宜改善でき、携帯電話のユーザエクスペリエンスを改善できる。
【0086】
前述の説明は、単に本願の特定の実装例に過ぎない。当業者であれば、本願の原理から逸脱することなく、様々な改善または改良を加えるかもしれないが、そうした改善または改良も本願の保護範囲に含まれるものとすることに留意されたい。
【国際調査報告】