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特表2023-531321ビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマート計算法
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  • 特表-ビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマート計算法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】ビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマート計算法
(51)【国際特許分類】
   A61C 13/00 20060101AFI20230713BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20230713BHJP
【FI】
A61C13/00 Z
G16H10/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505776
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 CN2020114825
(87)【国際公開番号】W WO2022021551
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】202010742778.5
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522495728
【氏名又は名称】南京前知智能科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】NANJING PROFETA INTELLIGENT TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】12 Mozhou East Road,Jiangning District,Nanjing,Jiangsu 211111,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 亜鳴
(72)【発明者】
【氏名】▲パン▼ 恩林
(72)【発明者】
【氏名】杜 云漢
(72)【発明者】
【氏名】高 慧
(72)【発明者】
【氏名】孔 超
(72)【発明者】
【氏名】唐 宝
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA21
(57)【要約】
本発明は、ビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートアルゴリズム及びシステムを開示し、コンピュータ支援アルゴリズム技術分野に属する。本発明で提出されるスマートアルゴリズムは、まず所定の歯列欠損データに基づいて口腔内補綴物設計ソリューションデータベースを構築し、歯列欠損データ精確検索を行うことによって、口腔内補綴物設計精確テーマ及び対応する設計ソリューション推奨リストを取得してもよく、歯列欠損データ曖昧検索を行うことによって、口腔内補綴物設計曖昧テーマ及び対応する設計ソリューション推奨リストを取得してもよい。このスマートアルゴリズムに基づいて構築された口腔内補綴物設計ソリューションスマートシステムについて、このシステムは、取り外し可能な部分入れ歯のデジタルデザインに臨む場合に、従業員へ多量の異なる設計テーマの口腔内補綴物設計ソリューションを立体的に表示することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートアルゴリズムであって、
所定の歯列欠損データに基づいて口腔内補綴物設計ソリューションデータベースを構築するステップであって、前記データベースは、歯列欠損精確データ検索パス及び歯列欠損曖昧データ検索パスの2種類のデータ検索パスを提供するステップS1と、
スキャンデバイスにより現在の歯列欠損データを収集し、現在の歯列欠損データを精確的にコーディングして1組の歯列情報精確コードを取得するステップS2であって、前記歯列情報精確コードは、歯列欠損情報精確コード、歯列精確ロケーションコード、歯列の他の情報コードを含み、
前記歯列欠損情報精確コードに対してデータブロック区分を行い、歯列欠損情報曖昧コードを取得し、
前記歯列欠損情報曖昧コードのデータブロック中心位置を算出し、歯列曖昧ロケーションコードを取得し、
さらに、1組の前記歯列欠損情報精確コードは1組の前記歯列欠損情報曖昧コードに対応し、1組の前記歯列欠損情報曖昧コードは、複数組の前記歯列欠損情報精確コードに対応するステップS2と、
口腔内補綴物設計ソリューションデータベースには、複数組の口腔内補綴物部材情報が含まれるステップS3であって、前記口腔内補綴物部材情報は、口腔内補綴物部材タイプシーケンス、口腔内補綴物部材ロケーションコードを含み、
前記口腔内補綴物部材タイプシーケンスは、口腔内補綴物部材タイプがステップS2における歯列精確ロケーションコードに応じて形成されたシーケンスであり、
前記口腔内補綴物部材ロケーションコードは、口腔内補綴物部材精確ロケーションコード、口腔内補綴物部材曖昧ロケーションコードを含み、前記口腔内補綴物部材精確ロケーションコードは前記歯列精確ロケーションコードと一致し、前記口腔内補綴物部材曖昧ロケーションコードは前記歯列曖昧ロケーションコードと一致するステップS3と、
ステップS2における歯列欠損情報精確コード及びステップS3における口腔内補綴物部材情報に基づいて口腔内補綴物設計テーマコードを取得するステップS4であって、前記口腔内補綴物設計テーマコードは、口腔内補綴物設計精確テーマコード、口腔内補綴物設計曖昧テーマコードを含み、
前記口腔内補綴物設計精確テーマコードは、精確的に合致した複数組の口腔内補綴物部材情報の組み合わせであり、前記口腔内補綴物部材情報が精確的に合致するとは、口腔内補綴物部材タイプシーケンスと口腔内補綴物部材ロケーションコードとがいずれも完全に一致するという意味であり、
前記口腔内補綴物設計曖昧テーマコードは、曖昧に合致した口腔内補綴物部材情報の組み合わせであり、前記口腔内補綴物部材情報が曖昧に合致するとは、口腔内補綴物部材タイプシーケンスが完全に一致するが、口腔内補綴物部材ロケーションコードが一致していないという意味であるステップS4と、
異なる口腔内補綴物設計コンセプトに基づいて、本アルゴリズムで2種類の異なる口腔内補綴物設計ソリューション推奨リストを提供するステップS5であって、具体的には、
ステップS4で取得したすべての口腔内補綴物設計精確テーマコード、1つの歯列欠損情報精確コードにより、m個の口腔内補綴物設計精確テーマコードが取得され得るので、最終的にm個の口腔内補綴物設計精確テーマコードを含む第1推奨リストを取得するステップS5-1と、
ステップS4で取得したすべての口腔内補綴物設計曖昧テーマコードのうち、距離関数値が最小であるn個の歯列欠損情報精確コードを算出して取得するスッテプS5-2と、を含み、1つの歯列欠損情報精確コードによりm個の口腔内補綴物設計精確テーマコードが取得され得り、1つの口腔内補綴物設計精確テーマコードは1つの口腔内補綴物設計曖昧テーマコードに対応するので、最終的にk個の口腔内補綴物設計曖昧テーマコードを含む第2推奨リストを取得し、k≦n×mであり、
前記歯列欠損情報精確コードについて、デフォルトフォーマットは1桁文字及び16桁数字であり、且つ16桁数字が0又は1であり、前記データブロック区分とは、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、すべての隣接し連続する同一のコードを1つのデータブロックとして区分するという意味であり、具体的には、すべての隣接し連続する「0」を1つの「0」データブロックとして区分し、候補アバットメントを除去した後、すべての隣接し連続する「1」を1つの「1」データブロックとして区分し、前記歯列欠損情報精確コードにおいて、1つの歯のコードは1であり、その任意一側又は両側の隣接する歯のコードは0であると、この歯は候補アバットメントとなり、
前記データブロック中心位置算出は、各「0」データブロックの中心位置及び各「1」データブロックの中心位置をそれぞれ算出し、即ち、各「0」データブロック又は各「1」データブロックに対応する歯列領域内部の精確ロケーションコードに対して平均値を算出するステップS5と、を含む
ことを特徴とするビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートアルゴリズム。
【請求項2】
前記歯列欠損情報精確コードは、歯列初期姿勢を調整完了した後に、精確コーディング規則に応じて現在歯列におけるすべての歯に番号をつけたコーディングデータであり、前記歯列欠損情報精確コードのデフォルトフォーマットは、1桁文字及び16桁数字であり、精確コーディング規則としては、
(1)文字桁について、コーディングデータで表す歯列は上顎に属すると、文字桁がUであり、コーディングデータで表す歯列は下顎に属すると、文字桁がLであり、
(2)数字桁について、歯列初期姿勢調整完了後に、歯列における歯情報について左から右へ時計回りにコーディングし、この位置で歯が存在すると、この歯のコードは1であり、この位置で歯が欠損すると、この歯のコードは0であり、
前記歯列欠損情報曖昧コードは、前記歯列欠損情報精確コードに対してデータブロック区分を行って取得されたものであり、前記歯列欠損情報曖昧コード的フォーマットは、1桁文字、いくつかの「0」データブロック、いくつかの「1」データビット、いくつかの「1」データブロックであり、データブロック区分規則としては、具体的に、
(3)「0」データブロックの区分について、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、すべての隣接し連続する「0」を1つの「0」データブロックとして区分し、i-0としてマークし、iはこのデータブロックにおけるデータ「0」の数、即ち「0」データブロックの長さを表し、
(4)「1」データビットの区分について、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、各候補アバットメントを単独に「1」データビットとし、
(5)「1」データブロックの区分について、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、候補アバットメントを除去した後に、すべての隣接し連続する「1」を1つの「1」データブロックとして区分し、j-1としてマークし、jは、このデータブロックにおけるデータ「1」の数、即ち「1」データブロックの長さを表す
ことを特徴とする請求項1に記載のビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートアルゴリズム。
【請求項3】
前記歯列精確ロケーションコードは、歯列初期姿勢調整完了後に、歯列欠損情報精確コードを基に、歯列精確位置をコーディングし、具体的な規則としては、左から右へ時計回り方向で、精確ロケーションコードは順に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16であり、
前記歯列曖昧ロケーションコードは、前記歯列欠損情報曖昧コードのデータブロック中心位置を算出して取得されたものであり、データブロック中心位置算出規則としては、歯列欠損情報曖昧コードにおける「0」データブロック又は「1」データブロックに対して中心位置を算出し、即ち「0」データブロック又は「1」データブロックに対応する歯列領域内部の精確ロケーションコードに対して平均値を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載のビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートアルゴリズム。
【請求項4】
前記歯列の他の情報コードは、1つの歯列欠損情報精確コードを基に取得された他の情報であり、具体的には、
(1)歯緩み係数について、コードが1である歯については、その任意の一側又は両側の隣接する歯のコードが0であると、この歯を候補アバットメントとして定義し、その緩み係数を優先的に取得し、コードが1である歯については、その両側の隣接する歯のコードがいずれも1であると、この歯を一般的なアバットメントとして定義し、必要に応じてその緩み係数を取得し、緩み係数が0~1のいずれかの小数である場合に、数字が小さいほど、この歯の緩み度合いが高いという意味であり、
(2)歯回転行列について、コードが1である歯については、三次元回転行列Mを定義して歯の実際空間状態と基準健康状態との間の関係を反映し、下付き文字tが歯列精確ロケーションコードである
ことを特徴とする請求項1に記載のビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートアルゴリズム。
【請求項5】
前記口腔内補綴物部材タイプは、第1口腔内補綴物部材タイプ、第2口腔内補綴物部材田イプ、第3口腔内補綴物部材タイプを含み、
前記第1口腔内補綴物部材タイプは、歯列精確ロケーションコードと強く相関する重要部材であり、
前記第2口腔内補綴物部材タイプは、歯列精確ロケーションコードと弱く相関する二次部材であり、
前記第3口腔内補綴物部材タイプは、第1口腔内補綴物部材タイプと第2口腔内補綴物部材タイプとを接続する部材である
ことを特徴とする請求項1に記載のビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートアルゴリズム。
【請求項6】
前記第2推奨リストにおける口腔内補綴物設計曖昧テーマコードのソート方法としては、
(1)患者歯列欠損情報による順序付け
歯列欠損情報精確コードの距離関数値を小から大へ順序付け、即ち距離関数値が小さいほど、この歯列欠損情報精確コードに対応する口腔内補綴物設計曖昧テーマコードのソート位置がフロントにあり、
任意の2つの異なる歯列欠損情報精確コードについて、対応する同一の歯列欠損情報曖昧コードがあり、この場合にこれら2つの異なる歯列欠損情報精確コードの間の距離関数算出方法は、下記であり、
【数5】
上式で、第1歯列欠損情報精確コードの歯列曖昧ロケーションコードは、a…aであり、第2歯列欠損情報精確コードの歯列曖昧ロケーションコードはb…bであり、1≦i≦16であり、
好ましくは、歯列の他の情報コード、例えば、歯緩み係数、歯回転行列等の多次元情報に基づいて順序付け、
(2)主観的および客観的なスコアリング結果に基づくカスタムソート
専門家は、衛生、メカニカルバランス、美観等の複数の面で設計テーマを主観的に評価すると同時に、有限要素計算、インビトロの力学的検証等のテスト手段を導入して設計テーマを客観的に評価し、これらの主客観評価結果は、ユーザ定義のテーマソートへ根拠を提供する
ことを特徴とする請求項1に記載のビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートアルゴリズム。
【請求項7】
口腔内補綴物設計ソリューションデータベースに、新たな歯列欠損情報コードを補足記録するプロセスとしては、具体的に、
歯列欠損精確データ検索パス又は歯列欠損曖昧データ検索パスに関わらず、データベースにいずれも新な歯列欠損データの対応する設計テーマがない場合には、まず、技術者、医者によって所要の口腔内補綴物設計ソリューションが構想完成され提出され、且つ当該歯列欠損データの各精確コード及び曖昧コードが自動的に新規される
ことを特徴とする請求項1に記載のビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートアルゴリズム。
【請求項8】
ビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートシステムであって、
(1)手動、半自動又は自動で歯列欠損データを取得し、現在の歯列欠損データに対してコーディング処理を行い、歯列欠損情報精確コード、歯列精確ロケーションコード、歯列の他の情報コードを取得し、前記歯列欠損情報精確コードに対してデータブロックの区分を行って、歯列欠損情報曖昧コードを取得し、前記歯列欠損情報曖昧コードのデータブロック中心位置を算出し、歯列曖昧ロケーションコードを取得する口内歯列欠損データ取得モジュールと、
(2)歯列精確ロケーションコード及び歯列曖昧ロケーションコードに基づいて多量の異なる口腔内補綴物設計ソリューションを記憶する口腔内補綴物設計ソリューションデータベースモジュールと、
(3)歯列精確ロケーションコード及び歯列曖昧ロケーションコードに基づいて口腔内補綴物設計ソリューションをスマートに推奨する口腔内補綴物設計ソリューションスマート推奨モジュールと、
(4)スマートエイドツールを提供して口腔内補綴物設計ソリューションを快速的に修正する口腔内補綴物設計ソリューションスマート修正モジュールと、
(5)歯列精確ロケーションコード及び歯列曖昧ロケーションコードに基づいて口腔内補綴物設計ソリューションを新規する口腔内補綴物設計ソリューション保存ストレージモジュールと、を含み、
上記すべての設計ソリューションは、いずれも三次元データの形で記憶され表示され、そのファイルが製造装置、例えばCNC切断装置、3Dプリント装置等に直接的に対応することができる
ことを特徴とするビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ支援アルゴリズム技術分野に関し、具体的にビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートアルゴリズム及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の口腔内補綴物設計ソリューションについては、デジタルデザインの要求を満たすことができるが、専門家の経験は、蓄積するのに長い時間がかかり、下級歯科技術者にとっては、合格製品を設計できるように、多くのケースを覚えなければならない。口腔内補綴物の設計は、患者口内の解剖学的形態、力分析、安全衛生等の要素を総合的に考慮する必要があるが、口腔内補綴物は、具体的な設計実施段階で複数の設計コンセプトがあり、従業技術者/医師は、多くの場合に1つの設計コンセプトのみに専門することができるが、例えば、国内で最トップの北京大学口腔医学院と華西口腔医学院は、取り外し可能な部分入れ歯での設計コンセプトに大きい相違がある。同時に、国内の生活条件の漸進的な改善に伴って、患者は、口腔内補綴物の設計についてより高い要求を提出するため、市場で口腔内補綴物の技術者/医師の設計コンセプトを広げることができるスマート推奨アルゴリズム及びシステムが切迫して要求されている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、従来技術に存在する不足を克服するために、ビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートアルゴリズム及びシステムを提出することを目的とし、スマートアルゴリズムは、まず、所定の歯列欠損データに基づいて口腔内補綴物設計ソリューションデータベースを構築し、歯列欠損データ精確検索を実行することで、口腔内補綴物設計精確テーマ及び対応する設計ソリューション推奨リストを取得することができ、歯列欠損データ曖昧検索を実行することで、口腔内補綴物設計曖昧テーマ及び対応する設計ソリューション推奨リストを取得することもできる。このスマートアルゴリズムに基づいて構築された口腔内補綴物設計ソリューションスマートシステムについて、取り外し可能な部分入れ歯のデジタルデザインに臨む場合に、従業員へ多量の異なる設計テーマの口腔内補綴物設計ソリューションを立体的に表示することができる。
【0004】
上記技術課題を解決するために、本発明は下記の技術的解決策を提出する。
【0005】
本発明で提出されるビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートアルゴリズムは、下記のステップを含む。
ステップS1であって、所定の歯列欠損データに基づいて口腔内補綴物設計ソリューションデータベースを構築し、
このデータベースは、歯列欠損精確データ検索パスと歯列欠損曖昧データ検索パスという2種類のデータ検索パスを提供する。
ステップS2であって、スキャンデバイスにより現在の歯列欠損データを収集し、現在の歯列欠損データに対して精確的にコーディングして1組の歯列情報精確コードを取得する。
【0006】
歯列情報精確コードは、歯列欠損情報精確コード、歯列精確ロケーションコード、歯列の他の情報コードを含む。
【0007】
そのうち、歯列欠損情報精確コードは、歯列初期姿勢を調整完了した後に、精確コーディング規則に応じて現在歯列におけるすべての歯に番号をつけたコーディングデータであり、歯列欠損情報精確コードのデフォルトフォーマットは、1桁文字及び16桁数字であり、精確コーディング規則としては、
(1)文字桁について、コーディングデータで表す歯列は上顎に属すると、文字桁がUであり、コーディングデータで表す歯列は下顎に属すると、文字桁がLであり、
(2)数字桁について、歯列初期姿勢調整完了後に、歯列における歯情報について左から右へ時計回りにコーディングし、この位置で歯が存在すると、この歯のコードは1であり、この位置で歯が欠損すると、この歯のコードは0である。
【0008】
そのうち、歯列欠損情報曖昧コードは、歯列欠損情報精確コードに対してデータブロック区分を行って取得されたものであり、歯列欠損情報曖昧コードのフォーマットは、1桁文字、いくつかの「0」データブロック、いくつかの「1」データビット、いくつかの「1」データブロックであり、データブロック区分規則としては、具体的に、
(1)「0」データブロックの区分について、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、すべての隣接し連続する「0」を1つの「0」データブロックとして区分し、i-0としてマークし、iはこのデータブロックにおけるデータ「0」の数、即ち「0」データブロックの長さを表し、
(2)「1」データビットの区分について、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、各候補アバットメントを単独に「1」データビットとし、
(3)「1」データブロックの区分について、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、候補アバットメントを除去した後に、すべての隣接し連続する「1」を1つの「1」データブロックとして区分し、j-1としてマークし、jは、このデータブロックにおけるデータ「1」の数、即ち「1」データブロックの長さを表す。
【0009】
そのうち、歯列精確ロケーションコードは、歯列初期姿勢調整完了後に、歯列欠損情報精確コードを基に、歯列精確位置をコーディングし、具体的な規則としては、左から右へ時計回り方向で、精確ロケーションコードは順に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16である。
【0010】
そのうち、歯列曖昧ロケーションコードは、歯列欠損情報曖昧コードのデータブロック中心位置を算出して取得されたものであり、データブロック中心位置算出規則としては、歯列欠損情報曖昧コードにおける「0」データブロック又は「1」データブロックに対して中心位置を算出し、即ち「0」データブロック又は「1」データブロックの対応する歯列領域内部の精確ロケーションコードに対して平均値を算出する。
【0011】
そのうち、歯列の他の情報コードは、1つの歯列欠損情報精確コードを基に取得された歯の他の情報であり、具体的には、
(1)歯緩み係数について、コードが1である歯については、その任意の一側又は両側の隣接する歯のコードが0であると、この歯を候補アバットメントとして定義し、その緩み係数を優先的に取得し、コードが1である歯については、その両側の隣接する歯のコードがいずれも1であると、この歯を一般的なアバットメントとして定義し、必要に応じてその緩み係数を取得し、緩み係数が0~1のいずれかの小数である場合に、数字が小さいほど、この歯の緩み度合いが高いという意味であり、
(2)歯回転行列について、コードが1である歯については、三次元回転行列Mを定義して歯の実際空間状態と基準健康状態との間の関係を反映し、下付き文字tが歯列精確ロケーションコードである。
【0012】
ステップS3であって、腔内補綴物設計ソリューションデータベースには、複数組の口腔内補綴物部材情報が含まれ、口腔内補綴物部材情報は、口腔内補綴物部材タイプシーケンス、口腔内補綴物部材ロケーションコードを含む。
【0013】
口腔内補綴物部材タイプシーケンスは、口腔内補綴物部材タイプがステップS2における歯列精確ロケーションコードに応じて形成されたシーケンスである。
【0014】
さらに、口腔内補綴物部材タイプは、第1口腔内補綴物部材タイプ、第2口腔内補綴物部材タイプ、第3口腔内補綴物部材タイプを含む。第1口腔内補綴物部材タイプは、歯列精確ロケーションコードと強く相関する重要部材であり、第2口腔内補綴物部材タイプは、歯列精確ロケーションコードと弱く相関する二次部材であり、第3口腔内補綴物部材タイプは、第1口腔内補綴物部材タイプと第2口腔内補綴物部材タイプとを接続する部材である。
【0015】
口腔内補綴物部材ロケーションコードは、口腔内補綴物部材精確ロケーションコード、口腔内補綴物部材曖昧ロケーションコードを含む。口腔内補綴物部材精確ロケーションコードは歯列精確ロケーションコードと一致し、口腔内補綴物部材曖昧ロケーションコードは歯列曖昧ロケーションコードと一致する。
【0016】
ステップS4であって、ステップS2における歯列欠損情報精確コード及びステップS3における口腔内補綴物部材情報に基づいて口腔内補綴物設計テーマコードを取得し、口腔内補綴物設計テーマコードは、口腔内補綴物設計精確テーマコード、口腔内補綴物設計曖昧テーマコードを含む。
【0017】
口腔内補綴物設計精確テーマコードは、精確的に合致した複数組の口腔内補綴物部材情報の組み合わせであり、口腔内補綴物部材情報が精確的に合致するとは、口腔内補綴物部材タイプシーケンスと口腔内補綴物部材ロケーションコードとがいずれも完全に一致するという意味である。
【0018】
口腔内補綴物設計曖昧テーマコードは、曖昧に合致した複数組の口腔内補綴物部材情報の組み合わせであり、口腔内補綴物部材情報が曖昧に合致するとは、口腔内補綴物部材タイプシーケンスが完全に一致するが、口腔内補綴物部材ロケーションコードが一致していないという意味である。
【0019】
ステップS5であって、異なる口腔内補綴物設計コンセプトに基づいて、本アルゴリズムが2種類の異なる口腔内補綴物設計ソリューション推奨リストを提供し、具体的には、
ステップS5-1であって、ステップS4で取得したすべての口腔内補綴物設計精確テーマコード、1つの歯列欠損情報精確コードにより、m個の口腔内補綴物設計精確テーマコードが取得され得るので、最終的にm個の口腔内補綴物設計精確テーマコードを含む第1推奨リストを取得する。
【0020】
ステップS5-2であって、ステップS4で取得したすべての口腔内補綴物設計曖昧テーマコードのうち、距離関数値が最小であるn個の歯列欠損情報精確コードを算出して取得し、1つの歯列欠損情報精確コードによりm個の口腔内補綴物設計精確テーマコードが取得され得り、1つの口腔内補綴物設計精確テーマコードは1つの口腔内補綴物設計曖昧テーマコードに対応するので、最終的にk個の口腔内補綴物設計曖昧テーマコードを含む第2推奨リストを取得し、k≦n×mである。
【0021】
そのうち、第2推奨リストにおける口腔内補綴物設計曖昧テーマコードのソート方法としては、
(1)患者歯列欠損情報による順序付け
歯列欠損情報精確コードの距離関数値を小から大へ順序付け、即ち距離関数値が小さいほど、この歯列欠損情報精確コードに対応する口腔内補綴物設計曖昧テーマコードのソート位置がフロントにある。
【0022】
任意の2つの異なる歯列欠損情報精確コードについては、対応する同一の歯列欠損情報曖昧コードがあり、この場合にこれら2つの異なる歯列欠損情報精確コードの間の距離関数算出方法は、下記である。
【数1】
【0023】
上式で、第1歯列欠損情報精確コードの歯列曖昧ロケーションコードは、a…aであり、第2歯列欠損情報精確コードの歯列曖昧ロケーションコードはb…bであり、ただし、1≦i≦16である。
【0024】
好ましくは、歯列の他の情報コード、例えば、歯緩み係数、歯回転行列等の多次元情報に基づいて順序付ける。
【0025】
(2)主観的および客観的なスコアリング結果に基づくカスタムソート
専門家は、衛生、メカニカルバランス、美観等の複数の面で設計テーマを主観的に評価すると同時に、有限要素計算、インビトロの力学的検証等のテスト手段を導入して設計テーマを客観的に評価し、これらの主客観評価結果は、ユーザ定義のテーマソートへ根拠を提供する。
【0026】
口腔内補綴物設計ソリューションデータベースに、新たな歯列欠損情報コードを補足記録するプロセスとしては、具体的に、歯列欠損精確データ検索パス又は歯列欠損曖昧データ検索パスに関わらず、データベースにいずれも新な歯列欠損データの対応する設計テーマがない場合には、まず、技術者、医者によって所要の口腔内補綴物設計ソリューションが構想完成され提出され、且つ当該歯列欠損データの各精確コード及び曖昧コードが自動的に新規される。
【0027】
本発明で提出されるビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートシステムであって、
(1)手動、半自動又は自動で歯列欠損データを取得し、現在の歯列欠損データに対してコーディング処理を行い、歯列欠損情報精確コード、歯列精確ロケーションコード、歯列の他の情報コードを取得し、前記歯列欠損情報精確コードに対してデータブロックの区分を行って、歯列欠損情報曖昧コードを取得し、前記歯列欠損情報曖昧コードのデータブロック中心位置を算出し、歯列曖昧ロケーションコードを取得する口内歯列欠損データ取得モジュールと、
(2)歯列精確ロケーションコード及び歯列曖昧ロケーションコードに基づいて多量の異なる口腔内補綴物設計ソリューションを記憶する口腔内補綴物設計ソリューションデータベースモジュールと、
(3)歯列精確ロケーションコード及び歯列曖昧ロケーションコードに基づいて口腔内補綴物設計ソリューションをスマートに推奨する口腔内補綴物設計ソリューションスマート推奨モジュールと、
(4)スマートエイドツールを提供して口腔内補綴物設計ソリューションを快速的に修正する口腔内補綴物設計ソリューションスマート修正モジュールと、
(5)歯列精確ロケーションコード及び歯列曖昧ロケーションコードに基づいて口腔内補綴物設計ソリューションを新規する口腔内補綴物設計ソリューション保存ストレージモジュールと、を含む。
【0028】
上記すべての設計方案は、いずれも三次元データの形で記憶され表示され、そのファイルが製造装置、例えばCNC切断装置、3Dプリント装置等に直接的に対応することができる。
【0029】
本発明で提出されるビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートアルゴリズム及びシステムは、従来技術に比べて、下記の効果を有する。
【0030】
(1)所定の歯列欠損データに基づいて構築された口腔内補綴物設計ソリューションデータベースには、多量の設計テーマケースがあるだけでなく、衛生、メカニカルバランス、美観等の複数の面で設計テーマに対する専門家の主観的な評価、有限要素計算による客観的なシミュレーション評価、インビトロの力学的検証等のテスト手段による設計テーマへの客観的な評価が含まれるマルチソースの主観的および客観的評価情報も含まれる。
【0031】
(2)提出されるスマートシステムは、取り外し可能な部分入れ歯のデジタルデザイン等の分野に直接的に利用可能であり、複数の設計コンセプトの口腔内補綴物設計ソリューションが推奨されることができ、且つ、従業員が多量のケースを覚えることなく、システムの助けを借りて短時間で複数の設計コンセプトを把握することができ、アルゴリズムの助けを借りて患者に適する口腔内補綴物設計ソリューションを選択することができるように、立体的に表示されることによって、最終的に患者の満足度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明で提出されるビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートアルゴリズムが適用される上、下歯顎モデル模式図であり、図1(a)乃至図1(b)のプロセスは、歯列初期姿勢調整である。
図2】本発明で提出されるビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートアルゴリズムが適用される取り外し可能な部分入れ歯の三次元モデル図である。
図3】本発明で提出されるビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートシステムであり、このシステムにおけるすべての設計ソリューションはいずれも三次元データの形で記憶され表示される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施例に合わせて本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0034】
本発明でビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートアルゴリズムが提供され、このスマートアルゴリズムは、下記のステップを含む。
【0035】
ステップS1であって、所定の歯列欠損データに基づいて口腔内補綴物設計ソリューションデータベースを構築し、当該データベースは、歯列欠損精確データ検索パス及び歯列欠損曖昧データ検索パスという2種類のデータ検索パスを提供する。
【0036】
さらに、データベースは歯列欠損データ、口腔内補綴物部材データ及び口腔内補綴物設計テーマデータを含み、データベースを構築する前に、まず、歯列欠損データ、口腔内補綴物部材データ及び口腔内補綴物設計テーマデータに対して精確コーディング、曖昧コーディングを行い、
またさらに、データベースにおける精確コードと曖昧コードは下記の関係を満たし、即ち1組の精確コードが1組の曖昧コードに対応し、1組の曖昧コードが複数組の精確コードに対応する。
【0037】
ステップS2であって、スキャンデバイスにより現在の歯列欠損データを収集し、現在の歯列欠損データに精確的にコーディングして1組の歯列情報精確コードを取得し、
精確コーディングを行う前に、まず歯列初期姿勢調整を行う。図1(a)に示す上、下歯顎モデルから分かるように、上顎、下顎の歯数は、いずれも16以下であり、上、下顎骨に位置する歯は、歯槽骨に連続して並んで、放物線の弓形状が形成される。上顎や下顎モデルに関わらず、まず、デジタルモデルについて三次元方向を調整し、その歯元を画面内方に向けるとともに、歯弓放物線を下向くように保持し、図1(b)に示す。図1(a)から図1(b)までのプロセスは、歯列初期姿勢調整である。
【0038】
歯列情報精確コードは、歯列欠損情報精確コード、歯列精確ロケーションコード、歯列の他の情報コードを含む。
【0039】
歯列欠損情報精確コードは、歯列初期姿勢を調整完了した後に、精確コーディング規則に応じて歯列におけるすべての歯に番号をつけたコーディングデータであり、このコーディングデータのデフォルトフォーマットは、1桁文字及び16桁数字であり、精確コーディング規則としては、
(1)文字桁について、コーディングデータで表す歯列は上顎に属すると、文字桁がUであり、コーディングデータで表す歯列は下顎に属すると、文字桁がLであり、
(2)数字桁について、歯列初期姿勢調整完了後に、歯列における歯情報について左から右へ時計回りの順にコーディングし、この位置で歯が存在すると、この歯のコードは1であり、この位置で歯が欠損すると、この歯のコードは0である。
【0040】
好ましい本実施例において、歯列欠損情報精確コードはU0100100100011111である。
【0041】
歯顎モデルが入力される場合に、歯列欠損情報精確コードの取得方式は多く、ユーザによる手動入力方式であってもよいし、機械学習アルゴリズム、グラフアルゴリズム等のアルゴリズムによって自動的に生成されてからユーザによって確認される方式であってもよい。
【0042】
またさらに、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、歯列精確ロケーションコードを推測することができ、歯列初期姿勢を調整完了した後に、歯列精確位置をコーディングし、具体的な規則としては、左から右へ時計回り方向で、精確ロケーションコードは順に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16である。
【0043】
またさらに、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、歯の他の情報を取得し、具体的に、
(1)歯緩み係数について、コードが1である歯については、その任意の一側又は両側の隣接する歯のコードが0であると、この歯を候補アバットメントとして定義し、その緩み係数を優先的に取得し、コードが1である歯については、その両側の隣接する歯のコードがいずれも1であると、この歯を一般的なアバットメントとして定義し、必要に応じてその緩み係数を取得し、緩み係数が0~1のいずれかの小数である場合に、数字が小さいほど、この歯の緩み度合いが高いという意味であり、
(2)歯回転行列について、コードが1である歯については、三次元回転行列Mを定義して歯の実際空間状態と基準健康状態との間の関係を反映し、下付き文字tが歯列精確ロケーションコードである。
【0044】
伝統的な医学で、歯の軸傾き角とトルク角を用いて歯の奇形度合いを定義するが、このような方式は、コンピュータによる大規模算出に適しない。本発明で、軸傾き角と回転角をそれぞれ角-軸に変換して行列を表し、即ちM(軸傾き)とM(回転)である。この時に、奇変関係行列は、M=M(軸傾き)×M(回転)として表されることができる。
【0045】
角-軸で表す方法は、三次元において、回転について単一の回転角θと囲まれた単位ベクトル方向
【数2】
で定義されることができる。
【数3】
【0046】
好ましい本実施例において、歯列欠損情報精確コードU0100100100011111に対応する歯の他の情報は下表に示す。
【表1】
【0047】
上表で、ロケーションコードが2、5、8、12である歯は、候補アバットメントであり、ロケーションコードが13、14、15、16である歯は、一般的なアバットメントである。ロケーションコードが12である候補アバットメントの緩み係数が小さすぎる場合に、好ましくは、緩み係数が0.5未満である時に、それが隣接し且つ歯コードが1である歯、即ちロケーションコードが13である一般的なアバットメントの緩み係数を取得するとともに、当該歯を取り替えの候補アバットメントとする必要がある。
【0048】
歯列欠損情報精確コードに対してデータブロック区分を行い、歯列欠損情報曖昧コードを取得し、データブロック区分とは、1つの歯列欠損情報精確コードを基にすべての隣接し連続する同一のコードを1つのデータブロックとして区分し、具体的には、すべての隣接し連続する「0」を1つの「0」データブロックとし、候補アバットメントを除去した後、すべての隣接し連続する「1」を1つの「1」データブロックとして区分する。
【0049】
歯列欠損情報曖昧コードのフォーマットは、1桁文字、いくつかの「0」データブロック、いくつかの「1」データビット、いくつかの「1」データブロックである。曖昧コーディング規則としては、具体的に、
(1)「0」データブロックの区分について、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、すべての隣接し連続する「0」を1つのデータブロックとして区分し、i-0としてマークし、iはこのデータブロックにおけるデータ「0」の数、即ち「0」データブロックの長さを表し、
(2)「1」データビットの区分について、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、各候補アバットメントを単独に「1」データビットとし、
(3)「1」データブロックの区分について、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、候補アバットメントを除去した後に、すべての隣接し連続する「1」を1つのデータブロックとして区分し、j-1としてマークし、jは、このデータブロックにおけるデータ「1」の数、即ち「1」データブロックの長さを表す。
【0050】
好ましい本実施例において、歯列欠損情報精確コードU0100100100011111に対応する曖昧コードはU{1-0}1{2-0}1{2-0}1{3-0}1{3-1}1である。さらに、より簡略化した曖昧番号については、「0」データブロックと「1」データブロックの長さを無視することができ、曖昧コードはU0101010111として簡略化される。曖昧コード及び簡略化曖昧コードにより、アルゴリズムの算出速度を顕著に向上させることができる。
【0051】
またさらに、1つの歯列欠損情報曖昧コードを基に、歯列曖昧ロケーションコードを推測することができ、歯列初期姿勢を調整完了した後に、歯列精確位置に対して歯列領域ブロック分割を行ってコード変換を実現し、このコーディング規則としては、各「0」データブロックの中心位置及び各「1」データブロックの中心位置をそれぞれ算出し、即ち各「0」データブロック又は各「1」データブロックの対応する歯列領域内部の精確ロケーションコードに対して平均値を算出する。
【0052】
好ましい本実施例において、左から右へ時計回り方向で、歯列曖昧ロケーションコードは順に1、2、(3+4)/2、5、(6+7)/2、8、(9+11)/2、12、(13+15)/2、16である。
【0053】
上記分析から分かるように、1つの歯列欠損情報精確コードは1つの歯列欠損情報曖昧コードに対応し、1つの歯列欠損情報曖昧コードは、複数の歯列欠損情報精確コードに対応する。
【0054】
ステップS3であって、口腔内補綴物設計ソリューションデータベースには、複数組の口腔内補綴物部材情報が含まれ、前記口腔内補綴物部材情報は、口腔内補綴物部材タイプシーケンス、口腔内補綴物部材ロケーションコードを含む。
【0055】
口腔内補綴物部材タイプシーケンスは、口腔内補綴物部材タイプが歯列精確ロケーションコード、即ち数字1~16に応じて形成されたシーケンスであり、口腔内補綴物部材タイプは、第1口腔内補綴物部材タイプ、第2口腔内補綴物部材タイプ、第3口腔内補綴物部材タイプである。
【0056】
さらに、第1口腔内補綴物部材タイプは、歯列精確ロケーションコードと強く相関する重要部材、例えば、クラスプ、パンチングメタル、レストなどの部材であり、第2口腔内補綴物部材タイプは、歯列精確ロケーションコードと弱く相関する二次部材、例えば、小連結子、固定釘等の部材であり、第3口腔内補綴物部材タイプは、第1口腔内補綴物部材タイプと第2口腔内補綴物部材タイプを接続する部材、例えば、大連結子、舌バー等の部材である。
【0057】
好ましい本実施例において、図2に示す取り外し可能な部分入れ歯を例とすると、可能な口腔内補綴物部材タイプ情報は、下表に示す。
【表2】
【0058】
従って、口腔内補綴物部材タイプシーケンスは、{ユニオンクラスプ(3-4)、パンチングメタル(9-10)、T型クラスプ(11)、パンチングメタル(12-14)、スリーアームクラスプ(15)、小連結子(3)、固定ネジ釘(9)、固定ネジ釘(10)、舌バー(4-13)}である。
【0059】
口腔内補綴物部材ロケーションコードは、口腔内補綴物部材精確ロケーションコード、口腔内補綴物部材曖昧ロケーションコードを含む。口腔内補綴物部材精確ロケーションコードは歯列精確ロケーションコードと一致し、口腔内補綴物部材曖昧ロケーションコードは歯列曖昧ロケーションコードと一致する。
【0060】
ステップS4であって、ステップS2における歯列欠損情報精確コード及びステップS3における口腔内補綴物部材情報に基づいて口腔内補綴物設計テーマコードを取得し、口腔内補綴物設計テーマコードは、口腔内補綴物設計精確テーマコード、口腔内補綴物設計曖昧テーマコードを含む。
【0061】
さらに、当該ステップで取得された口腔内補綴物設計テーマコードは、口腔内補綴物部材のタイプに基づいて狙いを定めてコーディング規則の微調整を行ってもよく、微調整規則は一般的に経験に基づいて複数のサブ類を1つの類に合併する。
【0062】
口腔内補綴物設計精確テーマコードは、精確的に合致した複数組の口腔内補綴物部材情報の組み合わせであり、口腔内補綴物部材情報が精確的に合致するとは、口腔内補綴物部材タイプシーケンスと口腔内補綴物部材ロケーションコードとがいずれも完全に一致するという意味であり、
好ましい本実施例で、取り外し可能な部分入れ歯を例とすると、可能な口腔内補綴物設計精確テーマコードとしては、
精確テーマコード={ユニオンクラスプ(3-4)、パンチングメタル(9-10)、T型クラスプ(11)、パンチングメタル(12-14)、スリーアームクラスプ(15)、小連結子(3)、固定ネジ釘(9)、固定ネジ釘(10)、舌バー(4-13)}である。
【0063】
口腔内補綴物設計曖昧テーマコードは、曖昧に合致した複数組の口腔内補綴物部材情報の組み合わせであり、口腔内補綴物部材情報が曖昧に合致するとは、口腔内補綴物部材タイプシーケンスが完全に一致するが、口腔内補綴物部材ロケーションコードが一致していないという意味である。
【0064】
好ましい本実施例において、取り外し可能な部分入れ歯を例とすると、可能な口腔内補綴物設計曖昧テーマコードとしては、
曖昧テーマコード={ユニオンクラスプ、パンチングメタル、T型クラスプ、パンチングメタル、スリーアームクラスプ、小連結子、固定ネジ釘、固定ネジ釘、舌バー}である。
【0065】
これにより分かるように、各口腔内補綴物設計精確テーマコードは、1つの口腔内補綴物設計曖昧テーマコードに対応し、1つの口腔内補綴物設計曖昧テーマコードは、複数の口腔内補綴物設計精確テーマコードに対応する。
【0066】
ステップS5であって、異なる口腔内補綴物設計コンセプトに基づいて、本アルゴリズムで2種類の異なる口腔内補綴物設計ソリューション推奨リストを提供し、具体的には、
ステップS5-1であって、ステップS4で取得したすべての口腔内補綴物設計精確テーマコード、1つの歯列欠損情報精確コードにより、m個の口腔内補綴物設計精確テーマコードが取得され得るので、最終的にm個の口腔内補綴物設計精確テーマコードを含む第1推奨リストを取得し、
ステップS5-2であって、ステップS4で取得したすべての口腔内補綴物設計曖昧テーマコードのうち、距離関数値が最小であるn個の歯列欠損情報精確コードを算出して取得し、1つの歯列欠損情報精確コードによりm個の口腔内補綴物設計精確テーマコードが取得され得り、1つの口腔内補綴物設計精確テーマコードは1つの口腔内補綴物設計曖昧テーマコードに対応するので、最終的にk個の口腔内補綴物設計曖昧テーマコードを含む第2推奨リストを取得し、 k≦n×mである。
【0067】
実際適用において、第1推奨リスト及び第2推奨リストは、それぞれ歯列欠損精確データ検索パスと歯列欠損曖昧データ検索パスによって提供される。
【0068】
第1推奨リスト及び第2推奨リストにおいて、口腔内補綴物設計テーマコードソート方法は、2種類の方式を含む。
【0069】
(1)患者歯列欠損情報による順序付け
歯列欠損情報精確コードの距離関数値を小から大へ順序付け、即ち距離関数値が小さいほど、この歯列欠損情報精確コードに対応する口腔内補綴物設計曖昧テーマコードのソート位置がフロントにある。
【0070】
任意の2つの異なる歯列欠損情報精確コードについては、対応する同一の歯列欠損情報曖昧コードがあり、この場合にこれら2つの異なる歯列欠損情報精確コードの間の距離関数算出方法は、下記である。
【数4】
【0071】
上式で、第1歯列欠損情報精確コードの歯列曖昧ロケーションコードは、a…aであり、第2歯列欠損情報精確コードの歯列曖昧ロケーションコードはb…bであり、1≦i≦16である。
【0072】
好ましくは、歯列の他の情報コード、例えば、歯緩み係数、歯回転行列等の多次元情報に基づいて順序付ける。
【0073】
(2)主観的および客観的なスコアリング結果に基づくカスタムソート
専門家は、衛生、メカニカルバランス、美観等の複数の面で設計テーマを主観的に評価すると同時に、有限要素計算、インビトロの力学的検証等のテスト手段を導入して設計テーマを客観的に評価し、これらの主客観評価結果は、ユーザ定義のテーマソートへ根拠を提供する。
【0074】
口腔内補綴物設計ソリューションデータベースに、新たな歯列欠損情報コードを補足記録するプロセスは、具体的に、歯列欠損精確データ検索パス又は歯列欠損曖昧データ検索パスに関わらず、データベースにいずれも新な歯列欠損データの対応する設計テーマがない場合には、まず、技術者、医者によって所要の口腔内補綴物設計ソリューションが構想完成され提出され、且つ当該歯列欠損データの各精確コード及び曖昧コードが自動的に新規される。
【実施例2】
【0075】
本発明で提出されるビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートシステムは、図3に示すように、
(1)手動、半自動又は自動で歯列欠損データを取得し、現在の歯列欠損データに対してコーディング処理を行い、歯列欠損情報精確コード、歯列精確ロケーションコード、歯列の他の情報コードを取得し、前記歯列欠損情報精確コードに対してデータブロックの区分を行って、歯列欠損情報曖昧コードを取得し、前記歯列欠損情報曖昧コードのデータブロック中心位置を算出し、歯列曖昧ロケーションコードを取得する口内歯列欠損データ取得モジュールと、
(2)歯列精確ロケーションコード及び歯列曖昧ロケーションコードに基づいて多量の異なる口腔内補綴物設計ソリューションを記憶する口腔内補綴物設計ソリューションデータベースモジュールと、
(3)歯列精確ロケーションコード及び歯列曖昧ロケーションコードに基づいて口腔内補綴物設計ソリューションをスマートに推奨する口腔内補綴物設計ソリューションスマート推奨モジュールと、
(4)スマートエイドツールを提供して口腔内補綴物設計ソリューションを快速的に修正する口腔内補綴物設計ソリューションスマート修正モジュールと、
(5)歯列精確ロケーションコード及び歯列曖昧ロケーションコードに基づいて口腔内補綴物設計ソリューションを新規する口腔内補綴物設計ソリューション保存ストレージモジュールと、を含む。
【0076】
図3に示すように、上記すべての設計ソリューションは、いずれも三次元データの形で記憶され表示され、そのファイルが製造装置、例えばCNC切断装置、3Dプリント装置等に直接的に対応することができる。
【0077】
上記具体的な実施形態及び実施例は、本発明で提出されるビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートアルゴリズムの技術思想への具体的なサポートであり、これによって本発明の保護範囲を限定することができなく、本発明で提出される技術思想に応じて、本技術ソリューションを基に行われたいかなる等同の変化又は等效の変更であれば、いずれも本発明の技術ソリューションの保護範囲に属する。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ支援アルゴリズム技術分野に関し、具体的にビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマート計算法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の口腔内補綴物設計ソリューションについては、デジタルデザインの要求を満たすことができるが、専門家の経験は、蓄積するのに長い時間がかかり、下級歯科技術者にとっては、合格製品を設計できるように、多くのケースを覚えなければならない。口腔内補綴物の設計は、患者口内の解剖学的形態、力分析、安全衛生等の要素を総合的に考慮する必要があるが、口腔内補綴物は、具体的な設計実施段階で複数の設計コンセプトがあり、従業技術者/医師は、多くの場合に1つの設計コンセプトのみに専門することができるが、例えば、国内で最トップの北京大学口腔医学院と華西口腔医学院は、取り外し可能な部分入れ歯での設計コンセプトに大きい相違がある。同時に、国内の生活条件の漸進的な改善に伴って、患者は、口腔内補綴物の設計についてより高い要求を提出するため、市場で口腔内補綴物の技術者/医師の設計コンセプトを広げることができるスマート推奨アルゴリズム及びシステムが切迫して要求されている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、従来技術に存在する不足を克服するために、ビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマート計算法を提出することを目的とし、スマートアルゴリズムは、まず、所定の歯列欠損データに基づいて口腔内補綴物設計ソリューションデータベースを構築し、歯列欠損データ精確検索を実行することで、口腔内補綴物設計精確テーマ及び対応する設計ソリューション推奨リストを取得することができ、歯列欠損データ曖昧検索を実行することで、口腔内補綴物設計曖昧テーマ及び対応する設計ソリューション推奨リストを取得することもできる。このスマートアルゴリズムに基づいて構築された口腔内補綴物設計ソリューションスマートシステムについて、取り外し可能な部分入れ歯のデジタルデザインに臨む場合に、従業員へ多量の異なる設計テーマの口腔内補綴物設計ソリューションを立体的に表示することができる。
【0004】
上記技術課題を解決するために、本発明は下記の技術的解決策を提出する。
【0005】
本発明で提出されるビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマート計算法は、下記のステップを含む。
ステップS1であって、所定の歯列欠損データに基づいて口腔内補綴物設計ソリューションデータベースを構築し、
このデータベースは、歯列欠損精確データ検索パスと歯列欠損曖昧データ検索パスという2種類のデータ検索パスを提供する。
ステップS2であって、スキャンデバイスにより現在の歯列欠損データを収集し、現在の歯列欠損データに対して精確的にコーディングして1組の歯列情報精確コードを取得する。
【0006】
歯列情報精確コードは、歯列欠損情報精確コード、歯列精確ロケーションコード、歯列の他の情報コードを含む。
【0007】
そのうち、歯列欠損情報精確コードは、歯列初期姿勢を調整完了した後に、精確コーディング規則に応じて現在歯列におけるすべての歯に番号をつけたコーディングデータであり、歯列欠損情報精確コードのデフォルトフォーマットは、1桁文字及び16桁数字であり、精確コーディング規則としては、
(1)文字桁について、コーディングデータで表す歯列は上顎に属すると、文字桁がUであり、コーディングデータで表す歯列は下顎に属すると、文字桁がLであり、
(2)数字桁について、歯列初期姿勢調整完了後に、歯列における歯情報について左から右へ時計回りにコーディングし、この位置で歯が存在すると、この歯のコードは1であり、この位置で歯が欠損すると、この歯のコードは0である。
【0008】
そのうち、歯列欠損情報曖昧コードは、歯列欠損情報精確コードに対してデータブロック区分を行って取得されたものであり、歯列欠損情報曖昧コードのフォーマットは、1桁文字、いくつかの「0」データブロック、いくつかの「1」データビット、いくつかの「1」データブロックであり、データブロック区分規則としては、具体的に、
(1)「0」データブロックの区分について、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、すべての隣接し連続する「0」を1つの「0」データブロックとして区分し、i-0としてマークし、iはこのデータブロックにおけるデータ「0」の数、即ち「0」データブロックの長さを表し、
(2)「1」データビットの区分について、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、各候補アバットメントを単独に「1」データビットとし、
(3)「1」データブロックの区分について、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、候補アバットメントを除去した後に、すべての隣接し連続する「1」を1つの「1」データブロックとして区分し、j-1としてマークし、jは、このデータブロックにおけるデータ「1」の数、即ち「1」データブロックの長さを表す。
【0009】
そのうち、歯列精確ロケーションコードは、歯列初期姿勢調整完了後に、歯列欠損情報精確コードを基に、歯列精確位置をコーディングし、具体的な規則としては、左から右へ時計回り方向で、精確ロケーションコードは順に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16である。
【0010】
そのうち、歯列曖昧ロケーションコードは、歯列欠損情報曖昧コードのデータブロック中心位置を算出して取得されたものであり、データブロック中心位置算出規則としては、歯列欠損情報曖昧コードにおける「0」データブロック又は「1」データブロックに対して中心位置を算出し、即ち「0」データブロック又は「1」データブロックの対応する歯列領域内部の精確ロケーションコードに対して平均値を算出する。
【0011】
そのうち、歯列の他の情報コードは、1つの歯列欠損情報精確コードを基に取得された歯の他の情報であり、具体的には、
(1)歯緩み係数について、コードが1である歯については、その任意の一側又は両側の隣接する歯のコードが0であると、この歯を候補アバットメントとして定義し、その緩み係数を優先的に取得し、コードが1である歯については、その両側の隣接する歯のコードがいずれも1であると、この歯を一般的なアバットメントとして定義し、必要に応じてその緩み係数を取得し、緩み係数が0~1のいずれかの小数である場合に、数字が小さいほど、この歯の緩み度合いが高いという意味であり、
(2)歯回転行列について、コードが1である歯については、三次元回転行列Mを定義して歯の実際空間状態と基準健康状態との間の関係を反映し、下付き文字tが歯列精確ロケーションコードである。
【0012】
ステップS3であって、腔内補綴物設計ソリューションデータベースには、複数組の口腔内補綴物部材情報が含まれ、口腔内補綴物部材情報は、口腔内補綴物部材タイプシーケンス、口腔内補綴物部材ロケーションコードを含む。
【0013】
口腔内補綴物部材タイプシーケンスは、口腔内補綴物部材タイプがステップS2における歯列精確ロケーションコードに応じて形成されたシーケンスである。
【0014】
さらに、口腔内補綴物部材タイプは、第1口腔内補綴物部材タイプ、第2口腔内補綴物部材タイプ、第3口腔内補綴物部材タイプを含む。第1口腔内補綴物部材タイプは、歯列精確ロケーションコードと強く相関する重要部材であり、第2口腔内補綴物部材タイプは、歯列精確ロケーションコードと弱く相関する二次部材であり、第3口腔内補綴物部材タイプは、第1口腔内補綴物部材タイプと第2口腔内補綴物部材タイプとを接続する部材である。
【0015】
口腔内補綴物部材ロケーションコードは、口腔内補綴物部材精確ロケーションコード、口腔内補綴物部材曖昧ロケーションコードを含む。口腔内補綴物部材精確ロケーションコードは歯列精確ロケーションコードと一致し、口腔内補綴物部材曖昧ロケーションコードは歯列曖昧ロケーションコードと一致する。
【0016】
ステップS4であって、ステップS2における歯列欠損情報精確コード及びステップS3における口腔内補綴物部材情報に基づいて口腔内補綴物設計テーマコードを取得し、口腔内補綴物設計テーマコードは、口腔内補綴物設計精確テーマコード、口腔内補綴物設計曖昧テーマコードを含む。
【0017】
口腔内補綴物設計精確テーマコードは、精確的に合致した複数組の口腔内補綴物部材情報の組み合わせであり、口腔内補綴物部材情報が精確的に合致するとは、口腔内補綴物部材タイプシーケンスと口腔内補綴物部材ロケーションコードとがいずれも完全に一致するという意味である。
【0018】
口腔内補綴物設計曖昧テーマコードは、曖昧に合致した複数組の口腔内補綴物部材情報の組み合わせであり、口腔内補綴物部材情報が曖昧に合致するとは、口腔内補綴物部材タイプシーケンスが完全に一致するが、口腔内補綴物部材ロケーションコードが一致していないという意味である。
【0019】
ステップS5であって、異なる口腔内補綴物設計コンセプトに基づいて、本アルゴリズムが2種類の異なる口腔内補綴物設計ソリューション推奨リストを提供し、具体的には、
ステップS5-1であって、ステップS4で取得したすべての口腔内補綴物設計精確テーマコード、1つの歯列欠損情報精確コードにより、m個の口腔内補綴物設計精確テーマコードが取得され得るので、最終的にm個の口腔内補綴物設計精確テーマコードを含む第1推奨リストを取得する。
【0020】
ステップS5-2であって、ステップS4で取得したすべての口腔内補綴物設計曖昧テーマコードのうち、距離関数値が最小であるn個の歯列欠損情報精確コードを算出して取得し、1つの歯列欠損情報精確コードによりm個の口腔内補綴物設計精確テーマコードが取得され得り、1つの口腔内補綴物設計精確テーマコードは1つの口腔内補綴物設計曖昧テーマコードに対応するので、最終的にk個の口腔内補綴物設計曖昧テーマコードを含む第2推奨リストを取得し、k≦n×mである。
【0021】
そのうち、第2推奨リストにおける口腔内補綴物設計曖昧テーマコードのソート方法としては、
(1)患者歯列欠損情報による順序付け
歯列欠損情報精確コードの距離関数値を小から大へ順序付け、即ち距離関数値が小さいほど、この歯列欠損情報精確コードに対応する口腔内補綴物設計曖昧テーマコードのソート位置がフロントにある。
【0022】
任意の2つの異なる歯列欠損情報精確コードについては、対応する同一の歯列欠損情報曖昧コードがあり、この場合にこれら2つの異なる歯列欠損情報精確コードの間の距離関数算出方法は、下記である。
【数1】
【0023】
上式で、第1歯列欠損情報精確コードの歯列曖昧ロケーションコードは、a…aであり、第2歯列欠損情報精確コードの歯列曖昧ロケーションコードはb…bであり、ただし、1≦i≦16である。
【0024】
好ましくは、歯列の他の情報コード、例えば、歯緩み係数、歯回転行列等の多次元情報に基づいて順序付ける。
【0025】
(2)主観的および客観的なスコアリング結果に基づくカスタムソート
専門家は、衛生、メカニカルバランス、美観等の複数の面で設計テーマを主観的に評価すると同時に、有限要素計算、インビトロの力学的検証等のテスト手段を導入して設計テーマを客観的に評価し、これらの主客観評価結果は、ユーザ定義のテーマソートへ根拠を提供する。
【0026】
口腔内補綴物設計ソリューションデータベースに、新たな歯列欠損情報コードを補足記録するプロセスとしては、具体的に、歯列欠損精確データ検索パス又は歯列欠損曖昧データ検索パスに関わらず、データベースにいずれも新な歯列欠損データの対応する設計テーマがない場合には、まず、技術者、医者によって所要の口腔内補綴物設計ソリューションが構想完成され提出され、且つ当該歯列欠損データの各精確コード及び曖昧コードが自動的に新規される。
【0027】
本発明で提出されるビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマート計算法は、従来技術に比べて、下記の効果を有する。
【0028】
(1)所定の歯列欠損データに基づいて構築された口腔内補綴物設計ソリューションデータベースには、多量の設計テーマケースがあるだけでなく、衛生、メカニカルバランス、美観等の複数の面で設計テーマに対する専門家の主観的な評価、有限要素計算による客観的なシミュレーション評価、インビトロの力学的検証等のテスト手段による設計テーマへの客観的な評価が含まれるマルチソースの主観的および客観的評価情報も含まれる。
【0029】
(2)提出されるスマートシステムは、取り外し可能な部分入れ歯のデジタルデザイン等の分野に直接的に利用可能であり、複数の設計コンセプトの口腔内補綴物設計ソリューションが推奨されることができ、且つ、従業員が多量のケースを覚えることなく、システムの助けを借りて短時間で複数の設計コンセプトを把握することができ、アルゴリズムの助けを借りて患者に適する口腔内補綴物設計ソリューションを選択することができるように、立体的に表示されることによって、最終的に患者の満足度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明で提出されるビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマート計算法が適用される上、下歯顎モデル模式図であり、図1(a)乃至図1(b)のプロセスは、歯列初期姿勢調整である。
図2】本発明で提出されるビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマート計算法が適用される取り外し可能な部分入れ歯の三次元モデル図である。
図3】本発明で提出されるビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートシステムであり、このシステムにおけるすべての設計ソリューションはいずれも三次元データの形で記憶され表示される。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、実施例に合わせて本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0032】
本発明でビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートアルゴリズムが提供され、このスマート計算法は、下記のステップを含む。
【0033】
ステップS1であって、所定の歯列欠損データに基づいて口腔内補綴物設計ソリューションデータベースを構築し、当該データベースは、歯列欠損精確データ検索パス及び歯列欠損曖昧データ検索パスという2種類のデータ検索パスを提供する。
【0034】
さらに、データベースは歯列欠損データ、口腔内補綴物部材データ及び口腔内補綴物設計テーマデータを含み、データベースを構築する前に、まず、歯列欠損データ、口腔内補綴物部材データ及び口腔内補綴物設計テーマデータに対して精確コーディング、曖昧コーディングを行い、
またさらに、データベースにおける精確コードと曖昧コードは下記の関係を満たし、即ち1組の精確コードが1組の曖昧コードに対応し、1組の曖昧コードが複数組の精確コードに対応する。
【0035】
ステップS2であって、スキャンデバイスにより現在の歯列欠損データを収集し、現在の歯列欠損データに精確的にコーディングして1組の歯列情報精確コードを取得し、
精確コーディングを行う前に、まず歯列初期姿勢調整を行う。図1(a)に示す上、下歯顎モデルから分かるように、上顎、下顎の歯数は、いずれも16以下であり、上、下顎骨に位置する歯は、歯槽骨に連続して並んで、放物線の弓形状が形成される。上顎や下顎モデルに関わらず、まず、デジタルモデルについて三次元方向を調整し、その歯元を画面内方に向けるとともに、歯弓放物線を下向くように保持し、図1(b)に示す。図1(a)から図1(b)までのプロセスは、歯列初期姿勢調整である。
【0036】
歯列情報精確コードは、歯列欠損情報精確コード、歯列精確ロケーションコード、歯列の他の情報コードを含む。
【0037】
歯列欠損情報精確コードは、歯列初期姿勢を調整完了した後に、精確コーディング規則に応じて歯列におけるすべての歯に番号をつけたコーディングデータであり、このコーディングデータのデフォルトフォーマットは、1桁文字及び16桁数字であり、精確コーディング規則としては、
(1)文字桁について、コーディングデータで表す歯列は上顎に属すると、文字桁がUであり、コーディングデータで表す歯列は下顎に属すると、文字桁がLであり、
(2)数字桁について、歯列初期姿勢調整完了後に、歯列における歯情報について左から右へ時計回りの順にコーディングし、この位置で歯が存在すると、この歯のコードは1であり、この位置で歯が欠損すると、この歯のコードは0である。
【0038】
好ましい本実施例において、歯列欠損情報精確コードはU0100100100011111である。
【0039】
歯顎モデルが入力される場合に、歯列欠損情報精確コードの取得方式は多く、ユーザによる手動入力方式であってもよいし、機械学習アルゴリズム、グラフアルゴリズム等のアルゴリズムによって自動的に生成されてからユーザによって確認される方式であってもよい。
【0040】
またさらに、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、歯列精確ロケーションコードを推測することができ、歯列初期姿勢を調整完了した後に、歯列精確位置をコーディングし、具体的な規則としては、左から右へ時計回り方向で、精確ロケーションコードは順に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16である。
【0041】
またさらに、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、歯の他の情報を取得し、具体的に、
(1)歯緩み係数について、コードが1である歯については、その任意の一側又は両側の隣接する歯のコードが0であると、この歯を候補アバットメントとして定義し、その緩み係数を優先的に取得し、コードが1である歯については、その両側の隣接する歯のコードがいずれも1であると、この歯を一般的なアバットメントとして定義し、必要に応じてその緩み係数を取得し、緩み係数が0~1のいずれかの小数である場合に、数字が小さいほど、この歯の緩み度合いが高いという意味であり、
(2)歯回転行列について、コードが1である歯については、三次元回転行列Mを定義して歯の実際空間状態と基準健康状態との間の関係を反映し、下付き文字tが歯列精確ロケーションコードである。
【0042】
伝統的な医学で、歯の軸傾き角とトルク角を用いて歯の奇形度合いを定義するが、このような方式は、コンピュータによる大規模算出に適しない。本発明で、軸傾き角と回転角をそれぞれ角-軸に変換して行列を表し、即ちM(軸傾き)とM(回転)である。この時に、奇変関係行列は、M=M(軸傾き)×M(回転)として表されることができる。
【0043】
角-軸で表す方法は、三次元において、回転について単一の回転角θと囲まれた単位ベクトル方向
【数2】
で定義されることができる。
【数3】
【0044】
好ましい本実施例において、歯列欠損情報精確コードU0100100100011111に対応する歯の他の情報は下表に示す。
【表1】
【0045】
上表で、ロケーションコードが2、5、8、12である歯は、候補アバットメントであり、ロケーションコードが13、14、15、16である歯は、一般的なアバットメントである。ロケーションコードが12である候補アバットメントの緩み係数が小さすぎる場合に、好ましくは、緩み係数が0.5未満である時に、それが隣接し且つ歯コードが1である歯、即ちロケーションコードが13である一般的なアバットメントの緩み係数を取得するとともに、当該歯を取り替えの候補アバットメントとする必要がある。
【0046】
歯列欠損情報精確コードに対してデータブロック区分を行い、歯列欠損情報曖昧コードを取得し、データブロック区分とは、1つの歯列欠損情報精確コードを基にすべての隣接し連続する同一のコードを1つのデータブロックとして区分し、具体的には、すべての隣接し連続する「0」を1つの「0」データブロックとし、候補アバットメントを除去した後、すべての隣接し連続する「1」を1つの「1」データブロックとして区分する。
【0047】
歯列欠損情報曖昧コードのフォーマットは、1桁文字、いくつかの「0」データブロック、いくつかの「1」データビット、いくつかの「1」データブロックである。曖昧コーディング規則としては、具体的に、
(1)「0」データブロックの区分について、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、すべての隣接し連続する「0」を1つのデータブロックとして区分し、i-0としてマークし、iはこのデータブロックにおけるデータ「0」の数、即ち「0」データブロックの長さを表し、
(2)「1」データビットの区分について、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、各候補アバットメントを単独に「1」データビットとし、
(3)「1」データブロックの区分について、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、候補アバットメントを除去した後に、すべての隣接し連続する「1」を1つのデータブロックとして区分し、j-1としてマークし、jは、このデータブロックにおけるデータ「1」の数、即ち「1」データブロックの長さを表す。
【0048】
好ましい本実施例において、歯列欠損情報精確コードU0100100100011111に対応する曖昧コードはU{1-0}1{2-0}1{2-0}1{3-0}1{3-1}1である。さらに、より簡略化した曖昧番号については、「0」データブロックと「1」データブロックの長さを無視することができ、曖昧コードはU0101010111として簡略化される。曖昧コード及び簡略化曖昧コードにより、アルゴリズムの算出速度を顕著に向上させることができる。
【0049】
またさらに、1つの歯列欠損情報曖昧コードを基に、歯列曖昧ロケーションコードを推測することができ、歯列初期姿勢を調整完了した後に、歯列精確位置に対して歯列領域ブロック分割を行ってコード変換を実現し、このコーディング規則としては、各「0」データブロックの中心位置及び各「1」データブロックの中心位置をそれぞれ算出し、即ち各「0」データブロック又は各「1」データブロックの対応する歯列領域内部の精確ロケーションコードに対して平均値を算出する。
【0050】
好ましい本実施例において、左から右へ時計回り方向で、歯列曖昧ロケーションコードは順に1、2、(3+4)/2、5、(6+7)/2、8、(9+11)/2、12、(13+15)/2、16である。
【0051】
上記分析から分かるように、1つの歯列欠損情報精確コードは1つの歯列欠損情報曖昧コードに対応し、1つの歯列欠損情報曖昧コードは、複数の歯列欠損情報精確コードに対応する。
【0052】
ステップS3であって、口腔内補綴物設計ソリューションデータベースには、複数組の口腔内補綴物部材情報が含まれ、前記口腔内補綴物部材情報は、口腔内補綴物部材タイプシーケンス、口腔内補綴物部材ロケーションコードを含む。
【0053】
口腔内補綴物部材タイプシーケンスは、口腔内補綴物部材タイプが歯列精確ロケーションコード、即ち数字1~16に応じて形成されたシーケンスであり、口腔内補綴物部材タイプは、第1口腔内補綴物部材タイプ、第2口腔内補綴物部材タイプ、第3口腔内補綴物部材タイプである。
【0054】
さらに、第1口腔内補綴物部材タイプは、歯列精確ロケーションコードと強く相関する重要部材、例えば、クラスプ、パンチングメタル、レストなどの部材であり、第2口腔内補綴物部材タイプは、歯列精確ロケーションコードと弱く相関する二次部材、例えば、小連結子、固定釘等の部材であり、第3口腔内補綴物部材タイプは、第1口腔内補綴物部材タイプと第2口腔内補綴物部材タイプを接続する部材、例えば、大連結子、舌バー等の部材である。
【0055】
好ましい本実施例において、図2に示す取り外し可能な部分入れ歯を例とすると、可能な口腔内補綴物部材タイプ情報は、下表に示す。
【表2】
【0056】
従って、口腔内補綴物部材タイプシーケンスは、{ユニオンクラスプ(3-4)、パンチングメタル(9-10)、T型クラスプ(11)、パンチングメタル(12-14)、スリーアームクラスプ(15)、小連結子(3)、固定ネジ釘(9)、固定ネジ釘(10)、舌バー(4-13)}である。
【0057】
口腔内補綴物部材ロケーションコードは、口腔内補綴物部材精確ロケーションコード、口腔内補綴物部材曖昧ロケーションコードを含む。口腔内補綴物部材精確ロケーションコードは歯列精確ロケーションコードと一致し、口腔内補綴物部材曖昧ロケーションコードは歯列曖昧ロケーションコードと一致する。
【0058】
ステップS4であって、ステップS2における歯列欠損情報精確コード及びステップS3における口腔内補綴物部材情報に基づいて口腔内補綴物設計テーマコードを取得し、口腔内補綴物設計テーマコードは、口腔内補綴物設計精確テーマコード、口腔内補綴物設計曖昧テーマコードを含む。
【0059】
さらに、当該ステップで取得された口腔内補綴物設計テーマコードは、口腔内補綴物部材のタイプに基づいて狙いを定めてコーディング規則の微調整を行ってもよく、微調整規則は一般的に経験に基づいて複数のサブ類を1つの類に合併する。
【0060】
口腔内補綴物設計精確テーマコードは、精確的に合致した複数組の口腔内補綴物部材情報の組み合わせであり、口腔内補綴物部材情報が精確的に合致するとは、口腔内補綴物部材タイプシーケンスと口腔内補綴物部材ロケーションコードとがいずれも完全に一致するという意味であり、
好ましい本実施例で、取り外し可能な部分入れ歯を例とすると、可能な口腔内補綴物設計精確テーマコードとしては、
精確テーマコード={ユニオンクラスプ(3-4)、パンチングメタル(9-10)、T型クラスプ(11)、パンチングメタル(12-14)、スリーアームクラスプ(15)、小連結子(3)、固定ネジ釘(9)、固定ネジ釘(10)、舌バー(4-13)}である。
【0061】
口腔内補綴物設計曖昧テーマコードは、曖昧に合致した複数組の口腔内補綴物部材情報の組み合わせであり、口腔内補綴物部材情報が曖昧に合致するとは、口腔内補綴物部材タイプシーケンスが完全に一致するが、口腔内補綴物部材ロケーションコードが一致していないという意味である。
【0062】
好ましい本実施例において、取り外し可能な部分入れ歯を例とすると、可能な口腔内補綴物設計曖昧テーマコードとしては、
曖昧テーマコード={ユニオンクラスプ、パンチングメタル、T型クラスプ、パンチングメタル、スリーアームクラスプ、小連結子、固定ネジ釘、固定ネジ釘、舌バー}である。
【0063】
これにより分かるように、各口腔内補綴物設計精確テーマコードは、1つの口腔内補綴物設計曖昧テーマコードに対応し、1つの口腔内補綴物設計曖昧テーマコードは、複数の口腔内補綴物設計精確テーマコードに対応する。
【0064】
ステップS5であって、異なる口腔内補綴物設計コンセプトに基づいて、本アルゴリズムで2種類の異なる口腔内補綴物設計ソリューション推奨リストを提供し、具体的には、
ステップS5-1であって、ステップS4で取得したすべての口腔内補綴物設計精確テーマコード、1つの歯列欠損情報精確コードにより、m個の口腔内補綴物設計精確テーマコードが取得され得るので、最終的にm個の口腔内補綴物設計精確テーマコードを含む第1推奨リストを取得し、
ステップS5-2であって、ステップS4で取得したすべての口腔内補綴物設計曖昧テーマコードのうち、距離関数値が最小であるn個の歯列欠損情報精確コードを算出して取得し、1つの歯列欠損情報精確コードによりm個の口腔内補綴物設計精確テーマコードが取得され得り、1つの口腔内補綴物設計精確テーマコードは1つの口腔内補綴物設計曖昧テーマコードに対応するので、最終的にk個の口腔内補綴物設計曖昧テーマコードを含む第2推奨リストを取得し、k≦n×mである。
【0065】
実際適用において、第1推奨リスト及び第2推奨リストは、それぞれ歯列欠損精確データ検索パスと歯列欠損曖昧データ検索パスによって提供される。
【0066】
第1推奨リスト及び第2推奨リストにおいて、口腔内補綴物設計テーマコードソート方法は、2種類の方式を含む。
【0067】
(1)患者歯列欠損情報による順序付け
歯列欠損情報精確コードの距離関数値を小から大へ順序付け、即ち距離関数値が小さいほど、この歯列欠損情報精確コードに対応する口腔内補綴物設計曖昧テーマコードのソート位置がフロントにある。
【0068】
任意の2つの異なる歯列欠損情報精確コードについては、対応する同一の歯列欠損情報曖昧コードがあり、この場合にこれら2つの異なる歯列欠損情報精確コードの間の距離関数算出方法は、下記である。
【数4】
【0069】
上式で、第1歯列欠損情報精確コードの歯列曖昧ロケーションコードは、a…aであり、第2歯列欠損情報精確コードの歯列曖昧ロケーションコードはb…bであり、1≦i≦16である。
【0070】
好ましくは、歯列の他の情報コード、例えば、歯緩み係数、歯回転行列等の多次元情報に基づいて順序付ける。
【0071】
(2)主観的および客観的なスコアリング結果に基づくカスタムソート
専門家は、衛生、メカニカルバランス、美観等の複数の面で設計テーマを主観的に評価すると同時に、有限要素計算、インビトロの力学的検証等のテスト手段を導入して設計テーマを客観的に評価し、これらの主客観評価結果は、ユーザ定義のテーマソートへ根拠を提供する。
【0072】
口腔内補綴物設計ソリューションデータベースに、新たな歯列欠損情報コードを補足記録するプロセスは、具体的に、歯列欠損精確データ検索パス又は歯列欠損曖昧データ検索パスに関わらず、データベースにいずれも新な歯列欠損データの対応する設計テーマがない場合には、まず、技術者、医者によって所要の口腔内補綴物設計ソリューションが構想完成され提出され、且つ当該歯列欠損データの各精確コード及び曖昧コードが自動的に新規される。
【実施例2】
【0073】
本発明で提出されるビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートシステムは、図3に示すように、
(1)手動、半自動又は自動で歯列欠損データを取得し、現在の歯列欠損データに対してコーディング処理を行い、歯列欠損情報精確コード、歯列精確ロケーションコード、歯列の他の情報コードを取得し、前記歯列欠損情報精確コードに対してデータブロックの区分を行って、歯列欠損情報曖昧コードを取得し、前記歯列欠損情報曖昧コードのデータブロック中心位置を算出し、歯列曖昧ロケーションコードを取得する口内歯列欠損データ取得モジュールと、
(2)歯列精確ロケーションコード及び歯列曖昧ロケーションコードに基づいて多量の異なる口腔内補綴物設計ソリューションを記憶する口腔内補綴物設計ソリューションデータベースモジュールと、
(3)歯列精確ロケーションコード及び歯列曖昧ロケーションコードに基づいて口腔内補綴物設計ソリューションをスマートに推奨する口腔内補綴物設計ソリューションスマート推奨モジュールと、
(4)スマートエイドツールを提供して口腔内補綴物設計ソリューションを快速的に修正する口腔内補綴物設計ソリューションスマート修正モジュールと、
(5)歯列精確ロケーションコード及び歯列曖昧ロケーションコードに基づいて口腔内補綴物設計ソリューションを新規する口腔内補綴物設計ソリューション保存ストレージモジュールと、を含む。
【0074】
図3に示すように、上記すべての設計ソリューションは、いずれも三次元データの形で記憶され表示され、そのファイルが製造装置、例えばCNC切断装置、3Dプリント装置等に直接的に対応することができる。
【0075】
上記具体的な実施形態及び実施例は、本発明で提出されるビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマートアルゴリズムの技術思想への具体的なサポートであり、これによって本発明の保護範囲を限定することができなく、本発明で提出される技術思想に応じて、本技術ソリューションを基に行われたいかなる等同の変化又は等效の変更であれば、いずれも本発明の技術ソリューションの保護範囲に属する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマート計算法であって、
所定の歯列欠損データに基づいて口腔内補綴物設計ソリューションデータベースを構築するステップであって、前記データベースは、歯列欠損精確データ検索パス及び歯列欠損曖昧データ検索パスの2種類のデータ検索パスを提供するステップS1と、
スキャンデバイスにより現在の歯列欠損データを収集し、現在の歯列欠損データを精確的にコーディングして1組の歯列情報精確コードを取得するステップS2であって、前記歯列情報精確コードは、歯列欠損情報精確コード、歯列精確ロケーションコード、歯列の他の情報コードを含み、
前記歯列欠損情報精確コードに対してデータブロック区分を行い、歯列欠損情報曖昧コードを取得し、
前記歯列欠損情報曖昧コードのデータブロック中心位置を算出し、歯列曖昧ロケーションコードを取得し、
さらに、1組の前記歯列欠損情報精確コードは1組の前記歯列欠損情報曖昧コードに対応し、1組の前記歯列欠損情報曖昧コードは、複数組の前記歯列欠損情報精確コードに対応するステップS2と、
口腔内補綴物設計ソリューションデータベースには、複数組の口腔内補綴物部材情報が含まれるステップS3であって、前記口腔内補綴物部材情報は、口腔内補綴物部材タイプシーケンス、口腔内補綴物部材ロケーションコードを含み、
前記口腔内補綴物部材タイプシーケンスは、口腔内補綴物部材タイプがステップS2における歯列精確ロケーションコードに応じて形成されたシーケンスであり、
前記口腔内補綴物部材ロケーションコードは、口腔内補綴物部材精確ロケーションコード、口腔内補綴物部材曖昧ロケーションコードを含み、前記口腔内補綴物部材精確ロケーションコードは前記歯列精確ロケーションコードと一致し、前記口腔内補綴物部材曖昧ロケーションコードは前記歯列曖昧ロケーションコードと一致するステップS3と、
ステップS2における歯列欠損情報精確コード及びステップS3における口腔内補綴物部材情報に基づいて口腔内補綴物設計テーマコードを取得するステップS4であって、前記口腔内補綴物設計テーマコードは、口腔内補綴物設計精確テーマコード、口腔内補綴物設計曖昧テーマコードを含み、
前記口腔内補綴物設計精確テーマコードは、精確的に合致した複数組の口腔内補綴物部材情報の組み合わせであり、前記口腔内補綴物部材情報が精確的に合致するとは、口腔内補綴物部材タイプシーケンスと口腔内補綴物部材ロケーションコードとがいずれも完全に一致するという意味であり、
前記口腔内補綴物設計曖昧テーマコードは、曖昧に合致した口腔内補綴物部材情報の組み合わせであり、前記口腔内補綴物部材情報が曖昧に合致するとは、口腔内補綴物部材タイプシーケンスが完全に一致するが、口腔内補綴物部材ロケーションコードが一致していないという意味であるステップS4と、
異なる口腔内補綴物設計コンセプトに基づいて、2種類の異なる口腔内補綴物設計ソリューション推奨リストを提供するステップS5であって、具体的には、
ステップS4で取得したすべての口腔内補綴物設計精確テーマコード、1つの歯列欠損情報精確コードにより、m個の口腔内補綴物設計精確テーマコードが取得され得るので、最終的にm個の口腔内補綴物設計精確テーマコードを含む第1推奨リストを取得するステップS5-1と、
ステップS4で取得したすべての口腔内補綴物設計曖昧テーマコードのうち、距離関数値が最小であるn個の歯列欠損情報精確コードを算出して取得するスッテプS5-2と、を含み、1つの歯列欠損情報精確コードによりm個の口腔内補綴物設計精確テーマコードが取得され得り、1つの口腔内補綴物設計精確テーマコードは1つの口腔内補綴物設計曖昧テーマコードに対応するので、最終的にk個の口腔内補綴物設計曖昧テーマコードを含む第2推奨リストを取得し、k≦n×mであり、
前記歯列欠損情報精確コードについて、デフォルトフォーマットは1桁文字及び16桁数字であり、且つ16桁数字が0又は1であり、前記データブロック区分とは、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、すべての隣接し連続する同一のコードを1つのデータブロックとして区分するという意味であり、具体的には、すべての隣接し連続する「0」を1つの「0」データブロックとして区分し、候補アバットメントを除去した後、すべての隣接し連続する「1」を1つの「1」データブロックとして区分し、前記歯列欠損情報精確コードにおいて、1つの歯のコードは1であり、その任意一側又は両側の隣接する歯のコードは0であると、この歯は候補アバットメントとなり、
前記データブロック中心位置算出は、各「0」データブロックの中心位置及び各「1」データブロックの中心位置をそれぞれ算出し、即ち、各「0」データブロック又は各「1」データブロックに対応する歯列領域内部の精確ロケーションコードに対して平均値を算出するステップS5と、を含む
ことを特徴とするビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマート計算法
【請求項2】
前記歯列欠損情報精確コードは、歯列初期姿勢を調整完了した後に、精確コーディング規則に応じて現在歯列におけるすべての歯に番号をつけたコーディングデータであり、前記歯列欠損情報精確コードのデフォルトフォーマットは、1桁文字及び16桁数字であり、精確コーディング規則としては、
(1)文字桁について、コーディングデータで表す歯列は上顎に属すると、文字桁がUであり、コーディングデータで表す歯列は下顎に属すると、文字桁がLであり、
(2)数字桁について、歯列初期姿勢調整完了後に、歯列における歯情報について左から右へ時計回りにコーディングし、歯が存在すると、歯のコードは1であり、歯が欠損すると、歯のコードは0であり、
前記歯列欠損情報曖昧コードは、前記歯列欠損情報精確コードに対してデータブロック区分を行って取得されたものであり、前記歯列欠損情報曖昧コード的フォーマットは、1桁文字、いくつかの「0」データブロック、いくつかの「1」データビット、いくつかの「1」データブロックであり、データブロック区分規則としては、具体的に、
(3)「0」データブロックの区分について、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、すべての隣接し連続する「0」を1つの「0」データブロックとして区分し、i-0としてマークし、iはこのデータブロックにおけるデータ「0」の数、即ち「0」データブロックの長さを表し、
(4)「1」データビットの区分について、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、各候補アバットメントを単独に「1」データビットとし、
(5)「1」データブロックの区分について、1つの歯列欠損情報精確コードを基に、候補アバットメントを除去した後に、すべての隣接し連続する「1」を1つの「1」データブロックとして区分し、j-1としてマークし、jは、このデータブロックにおけるデータ「1」の数、即ち「1」データブロックの長さを表す
ことを特徴とする請求項1に記載のビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマート計算法
【請求項3】
前記歯列精確ロケーションコードは、歯列初期姿勢調整完了後に、歯列欠損情報精確コードを基に、歯列精確位置をコーディングし、具体的な規則としては、左から右へ時計回り方向で、精確ロケーションコードは順に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16であり、
前記歯列曖昧ロケーションコードは、前記歯列欠損情報曖昧コードのデータブロック中心位置を算出して取得されたものであり、データブロック中心位置算出規則としては、歯列欠損情報曖昧コードにおける「0」データブロック又は「1」データブロックに対して中心位置を算出し、即ち「0」データブロック又は「1」データブロックに対応する歯列領域内部の精確ロケーションコードに対して平均値を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載のビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマート計算法
【請求項4】
前記歯列の他の情報コードは、1つの歯列欠損情報精確コードを基に取得された他の情報であり、具体的には、
(1)歯緩み係数について、コードが1である歯については、その任意の一側又は両側の隣接する歯のコードが0であると、この歯を候補アバットメントとして定義し、その緩み係数を取得し、コードが1である歯については、その両側の隣接する歯のコードがいずれも1であると、この歯を一般的なアバットメントとして定義し、その緩み係数を取得し、緩み係数が0~1のいずれかの小数である場合に、数字が小さいほど、この歯の緩み度合いが高いという意味であり、
(2)歯回転行列について、コードが1である歯については、三次元回転行列Mを定義して歯の実際空間状態と基準健康状態との間の関係を反映し、下付き文字tが歯列精確ロケーションコードである
ことを特徴とする請求項1に記載のビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマート計算法
【請求項5】
前記口腔内補綴物部材タイプは、第1口腔内補綴物部材タイプ、第2口腔内補綴物部材田イプ、第3口腔内補綴物部材タイプを含み、
前記第1口腔内補綴物部材タイプは、歯列精確ロケーションコードと強く相関する重要部材であり、
前記第2口腔内補綴物部材タイプは、歯列精確ロケーションコードと弱く相関する二次部材であり、
前記第3口腔内補綴物部材タイプは、第1口腔内補綴物部材タイプと第2口腔内補綴物部材タイプとを接続する部材である
ことを特徴とする請求項1に記載のビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマート計算法
【請求項6】
前記第2推奨リストにおける口腔内補綴物設計曖昧テーマコードのソート方法としては、
(1)患者歯列欠損情報による順序付け
歯列欠損情報精確コードの距離関数値を小から大へ順序付け、即ち距離関数値が小さいほど、この歯列欠損情報精確コードに対応する口腔内補綴物設計曖昧テーマコードのソート位置がフロントにあり、
任意の2つの異なる歯列欠損情報精確コードについて、対応する同一の歯列欠損情報曖昧コードがあり、この場合にこれら2つの異なる歯列欠損情報精確コードの間の距離関数算出方法は、下記であり、
【数5】
上式で、第1歯列欠損情報精確コードの歯列曖昧ロケーションコードは、a…aであり、第2歯列欠損情報精確コードの歯列曖昧ロケーションコードはb…bであり、1≦i≦16であり、
歯緩み係数を含む歯列の他の情報コードに基づいて順序付け、
(2)主観的および客観的なスコアリング結果に基づくカスタムソート
専門家は、衛生、メカニカルバランス及び観の面で設計テーマを主観的に評価すると同時に、有限要素計算、インビトロの力学的検証を導入して設計テーマを客観的に評価し、これらの主客観評価結果は、ユーザ定義のテーマソートへ根拠を提供する
ことを特徴とする請求項1に記載のビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマート計算法
【請求項7】
口腔内補綴物設計ソリューションデータベースに、新たな歯列欠損情報コードを補足記録するプロセスとしては、具体的に、
歯列欠損精確データ検索パス又は歯列欠損曖昧データ検索パスに関わらず、データベースにいずれも新な歯列欠損データの対応する設計テーマがない場合には、まず、技術者、医者によって所要の口腔内補綴物設計ソリューションが構想完成され提出され、且つ当該歯列欠損データの各精確コード及び曖昧コードが自動的に新規される
ことを特徴とする請求項1に記載のビッグデータによる口腔内補綴物設計ソリューションのスマート計算法
【国際調査報告】