(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】COVID-19ワクチンを組み込むための破傷風ワクチンプラットフォーム
(51)【国際特許分類】
A61K 39/08 20060101AFI20230713BHJP
C07K 14/33 20060101ALI20230713BHJP
C07K 14/165 20060101ALI20230713BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230713BHJP
C12N 15/50 20060101ALI20230713BHJP
C12N 15/31 20060101ALI20230713BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230713BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230713BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230713BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230713BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20230713BHJP
A61K 39/04 20060101ALI20230713BHJP
A61K 39/002 20060101ALI20230713BHJP
A61K 39/145 20060101ALI20230713BHJP
A61K 39/02 20060101ALI20230713BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230713BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230713BHJP
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A61P 31/06 20060101ALI20230713BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20230713BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20230713BHJP
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A61P 33/06 20060101ALI20230713BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230713BHJP
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A61K 39/39 20060101ALI20230713BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
A61K39/08
C07K14/33 ZNA
C07K14/165
C12N15/63 Z
C12N15/50
C12N15/31
C12N1/15
C12N1/19
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A61K39/00 G
A61K39/00 H
A61K39/04
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A61P11/00
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A61P31/04
A61P31/06
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A61P33/00
A61P33/06
A61P35/00
A61P31/14
A61K39/215
A61K39/39
A61K48/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023517831
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 US2021044054
(87)【国際公開番号】W WO2021248145
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522468630
【氏名又は名称】プライム バイオ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シング,バル,ラム
(72)【発明者】
【氏名】パテル,クルティ
(72)【発明者】
【氏名】クマール,ラジュ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
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4H045EA31
4H045GA31
(57)【要約】
活性部位アミノ酸残基の突然変異によって調製される解毒された組換え破傷風神経毒素(DrTeNT)は、有効なワクチン候補であり、及びCovid-19に対するワクチン接種のために、SARS-CoV-2ウイルスタンパク質のエピトープを組み込むために使用される。DrTeNTは、リスクのないワクチンであり、ホルマリン又は任意の他の化学的アジュバントを含まない。DrTeNTの遺伝子クローンは、SAR-CoV-2ウイルスの最も適したエピトープに対応するDNA配列を挿入するために使用されている。結果として生じる組合せワクチンは、DrTeNTがアジュバントとして作用するためにより高い効力を有することになり、及びほとんどの集団が破傷風ワクチンであらかじめ免疫されているため、より高い安全性を有することになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の、破傷風神経毒素の全体又は一部の解毒された形態(DrTeNT)のタンパク質及び毒素、病原体又は疾患に由来する1つ以上のエピトープを含む突然変異組換えワクチン組成物であって、前記毒素、前記病原体又は前記疾患に対してヒト又は非ヒト哺乳動物を免疫することができる突然変異組換えワクチン組成物。
【請求項2】
前記毒素、病原体又は疾患は、動物、植物、菌類、細菌又はウイルスに由来する、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項3】
前記エピトープは、結核、マラリア、癌、インフルエンザ、肺炎、乾癬、疥癬及びライム病を含む1つ以上の疾患に由来する、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項4】
前記破傷風神経毒素の前記全体又は前記一部の前記解毒された形態(DrTeNT)は、少なくとも1つの突然変異軽鎖及び少なくとも1つの本来の重鎖を含む、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項5】
担体タンパク質としての前記DrTeNT及びSARS-CoV-2ウイルスの1つ以上のエピトープ又はサブユニットを含む、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項6】
SARS-Cov-2病原体の受容体結合ドメイン(RBD)エピトープをTeNT-Cov2タンパク質と連結しているハイブリッドタンパク質を含む、請求項5に記載のワクチン組成物。
【請求項7】
受容体結合ドメイン(RBD)エピトープを含むSARS-CoVスパイク(S)タンパク質のS1サブユニットを含む、請求項5に記載のワクチン組成物。
【請求項8】
ホルムアルデヒドは、存在しない、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項9】
ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)によって産生されるボツリヌス神経毒素(BoNT)に由来する1つ以上の神経毒素結合タンパク質(NAP)を含むアジュバントをさらに含む、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項10】
ミョウバン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ビタミンE及びコロイド粒子の1つ以上を含むアジュバントをさらに含む、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項11】
前記エピトープは、配列番号1~45の1つ以上に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項12】
配列番号1~6に対して少なくとも95%の配列同一性を有するエピトープを含む、請求項11に記載のワクチン組成物。
【請求項13】
DrTeNTタンパク質を含むポリペチドをコードする核酸;及び前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されるプロモーターを含む組換えTeNT又はDrTeNTベクター。
【請求項14】
毒素の、病原体の又は疾患に由来する1つ以上のエピトープをコードする核酸をさらに含む、請求項13に記載の組換えベクター。
【請求項15】
前記エピトープは、Covid-19に由来し、及び/又は少なくとも1つのSARS-CoVエピトープ若しくはサブユニットを含む、請求項14に記載の組換えベクター。
【請求項16】
RBD及びTent-Cov2ハイブリッドタンパク質(Tent-Cov2タンパク質)を発現するようにSARS-CoV受容体結合ドメイン(RBD)遺伝子及びTent-Cov2遺伝子をコードする、請求項15に記載の組換えベクター。
【請求項17】
請求項13~16のいずれか一項に記載の組換えベクターが導入されている細胞。
【請求項18】
請求項16に記載の組換えベクターを含む、Covid-19を治療及び/又は予防するためのワクチン又は医薬。
【請求項19】
DrTeNTタンパク質をコードする、単離された天然に存在しないポリペプチド配列。
【請求項20】
SARS-CoVエピトープ又はサブユニット遺伝子及びTent又はDrTeNT遺伝子をコードする核酸を含むベクターを投与することにより、Covid-19に対して哺乳動物を免疫する方法。
【請求項21】
前記ベクターは、インビボにおいてRBD及びTent-Cov2ハイブリッドタンパク質(Tent-Cov2タンパク質)を発現するようにSARS-CoV受容体結合ドメイン(RBD)遺伝子及びTent-Cov2遺伝子をコードする核酸を含む、請求項20に記載の免疫方法。
【請求項22】
前記ベクターは、皮下又は筋肉内投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
ワクチン組成物は、前記ベクターを分解から保護するためのアジュバント及び/又は担体をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記担体は、生体系に適したpH及び塩条件下で1つ以上の合成ポリマー又はバイオポリマーを含む脂質分子又はナノ担体である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ワクチン組成物は、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)によって産生されるボツリヌス神経毒素(BoNT)に由来する1つ以上の神経毒素結合タンパク質(NAP)を含むアジュバントをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記ワクチン組成物を経口、舌下又は鼻腔内投与することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年5月30日に提出され、全体が参照によって本明細書に援用される米国仮特許出願第63/032,544号に対する優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して、タンパク質又は核酸ベースのCOVID-19ワクチン;及びより詳細には、必ずしも免疫系全体に警告して強烈な免疫応答を取らせることなく、ワクチンの処理のために記憶細胞を直接活性化するための、以前に使用された破傷風ワクチンビヒクルに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
SARS(重症急性呼吸器症候群)及びMERS(中東呼吸器症候群)のようなコロナウイルスは、ヒトにおいて致命的な感染症を引き起こす。ごく最近のコロナウイルスは、2019-nCoVとしても知られているSARS-CoV-2(Cov-2)であり、中国の武漢から広がり始め、2019年後半から世界中に広がった。SARS-CoV-2ワクチンについてのいくつかの最近の動物実験により、2つの可能性がある安全性についての問題:細胞性免疫病理及び抗体依存性感染増強(ADE)が確認されており、これにより、送達プラットフォーム及びアジュバントが、宿主応答において、宿主における免疫病理に対して非常に重要な役割を果たすことが証明されている(1、2)。1960年代、ホルマリン不活化呼吸器合胞体ウイルス(RSV)ワクチンは、ADEによるものであり得る免疫増強性疾患を引き起こした(3)。
【0004】
SARS-CoV-2のようなウイルスによる感染は、自然、細胞性、養子などの宿主免疫応答のいくつかのメカニズムの引き金となる。宿主の免疫状態及びビリオンが多数ある免疫状態に応じて、これらの免疫応答は、ウイルスを一掃することによって感染を弱め、以降の感染した状況に対する今後の免疫応答のための長期記憶細胞を作り出すために最適以下のレベルで感染に対処し得、及び/又は血漿中及び感染細胞中のウイルスを中和するために総力をあげた強烈な免疫応答によってウイルスを克服し得る(1、2)。後者は、サイトカインストームと称されるものによって対処され、これは、ウイルス感染細胞だけでなく、正常細胞にも損傷をもたらし、患者に合併症を起こさせ、健康状態を悪化させ、これは、多くの場合に死を招く(4~6)。
【0005】
現在のワクチンによる試みのすべては、ウイルスベクター、ナノ粒子又は脂質小胞などの様々な手段によって送達される全ウイルスタンパク質又は対応するDNA/RNAベースのワクチンを使用する(1)。これらのアプローチ及びビヒクルは、強烈な免疫応答がサイトカインストームによって媒介されるなどの問題を提起し続けている。Covid-19ウイルスによる問題の一部は、その強毒な性質であり、これは、Covid-19ウイルスが細胞中に密かに入り込むことを可能にする。
【0006】
これらのアプローチのいずれも、以前に使用されたワクチンビヒクルを使用していない。以前に使用されたワクチンビヒクルの利点は、必ずしも免疫系全体に警告して強烈な免疫応答を取らせることなく、ワクチンの処理のために記憶細胞を直ちに活性化することであろう。同時に、抗原提示細胞(APC)は、SARS-CoV-2のS及びNタンパク質に由来するエピトープを処理することができ、これにより、より有効でおそらくより迅速な免疫応答を可能にするであろう。
【0007】
破傷風ワクチン
破傷風は、多くの場合、破傷風菌(Clostridium tetani)によって産生される破傷風神経毒素(TeNT)によって引き起こされる致死的な疾患であり、これは、一般的な切り傷、針の使用及び非衛生的な分娩行為に起因する傷に感染し得る。破傷風ワクチン接種は、少なくとも乳児の年齢中、世界中で共通のものになっている。破傷風は、多くの場合に致死的になる疾患であるため、世界人口の100パーセントを破傷風に対して免疫する必要がある。加えて、破傷風の追加免疫注射の必要が10年毎にあり、これは、よく見落されている。現在、世界で年間200,000人超が破傷風で死亡しており(主に母親及び新生児)、これは、有効な免疫により予防され得る。実際、世界の全人口は、破傷風ワクチンにより免疫されており、CoV-2ワクチンの破傷風ベースの送達を安全な提案にしている。
【0008】
ホルムアルデヒドによる破傷風毒素の化学的不活性化による破傷風トキソイドワクチンの産生は、1920年に最初に導入されて以来、事実上変わっておらず、これは、訓練を受けた医療スタッフによるトキソイドワクチン注射の投与を必要とする。針を伴わずにワクチンを送達することに関してワクチンを改善することが必要とされている。さらに、注射用ワクチンは、針による二次感染の可能性があり、ワクチンを注射するために医学的に訓練を受けた人を必要とする。ホルムアルデヒドがアレルギー反応を引き起こし得ることも報告されており、これには、>8cmの紅斑又は硬結、痛む及び腫れた腕並びに熱及び倦怠感などの全身症状が含まれ、いくつかの研究において報告されている(7~10)。この方法は、多くの人々、とりわけ子供にとって不便で恐ろしい方法である。全体では、親の24%及び子供の63%が針を恐れていると報告されている。針に対する恐れは、それぞれ親及び子供の7%及び8%が免疫を遵守しない主な理由であった(11)。
【0009】
さらに、患者に対する筋肉内注射に関して、注射部位の痛み、紅斑、圧痛及び硬結からなる局所反応が共通しており、通常、一時的な熱及び易刺激性を含む全身反応と関連付けられる。これらの反応は、製剤中に存在するホルムアルデヒドによるものであり、これは、注射時に副作用を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ワクチン産業内で必要とされているのは、解毒された破傷風神経毒素(TeNT)及び標的とされる病原体のエピトープを含むワクチン組成物であって、ホルムアルデヒドを含まないワクチン組成物である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
本発明の種々の実施形態は、少なくとも1つの突然変異軽鎖及び本来の重鎖を含有する、全破傷風神経毒素(TeNT)の解毒された形態を含み、これは、皮下若しくは筋肉内投与のためにタンパク質若しくは核酸ワクチンとして単独で又は経口/舌下及び鼻腔内送達のために神経毒素結合タンパク質(NAP)と組み合わせて使用することができる。この組換えワクチン候補(解毒された組換えTeNT又はDrTeNTタンパク質)は、とりわけ、コロナエピトープの免疫原性組換え断片と組み合わせることができるため、SARS-CoV-2ワクチンにとって大きい前進となる。
【0012】
一実施形態において、本発明は、経口/舌下及び/又は鼻腔内投与のためのワクチンの送達ビヒクル(例えば、アジュバント及び担体)として、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)によって産生されるボツリヌス神経毒素(BoNT)の神経毒素結合タンパク質(NAP)を用いる。
【0013】
本発明は、1つ以上の、破傷風神経毒素の全体又は一部の解毒された形態(DrTeNT)のタンパク質及び毒素、病原体又は疾患に由来する1つ以上のエピトープを含む突然変異組換えワクチン組成物及び免疫するための使用方法をさらに含み、ワクチン組成物は、動物、植物、菌類、細菌又はウイルスに由来する毒素、病原体又は疾患に対してヒト又は非ヒト哺乳動物を免疫することができる。また、エピトープは、非限定的な例として以下を含む1つ以上の疾患に由来する:結核、マラリア、癌、インフルエンザ、肺炎、乾癬、疥癬及びライム病。
【0014】
1つ以上の実施形態において、ワクチン組成物は、少なくとも1つの突然変異軽鎖及び少なくとも1つの本来の重鎖を有し;及び/又は担体タンパク質としてDrTeNTを有する破傷風神経毒素の全体若しくは一部の解毒された形態(DrTeNT)並びにSARS-CoV-2ウイルスの1つ以上のエピトープ又はサブユニット;及び/又はSARS-Cov-2病原体の受容体結合ドメイン(RBD)エピトープをTeNT-Cov2タンパク質と連結し;及び/又は受容体結合ドメイン(RBD)エピトープを含むSARS-CoVスパイク(S)タンパク質のS1サブユニット(若しくは他のサブユニット)を含むハイブリッドタンパク質を含む。
【0015】
1つ以上の実施形態において、本発明のワクチン組成物は、ホルムアルデヒドを含まないか又は含有しない。
【0016】
1つ以上の実施形態において、本発明のワクチン組成物は、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)によって産生されるボツリヌス神経毒素(BoNT)に由来する1つ以上の神経毒素結合タンパク質(NAP)を含むアジュバント;及び/又はミョウバン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ビタミンE及びコロイド粒子の1つ以上を含むアジュバントをさらに含む。
【0017】
1つ以上の実施形態において、本発明のワクチン組成物のエピトープは、配列番号1~45の1つ以上に対して少なくとも95%の配列同一性;及び/又は配列番号1~6に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0018】
本発明は、DrTeNTタンパク質を含むポリペプチドをコードする核酸;及び前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されるプロモーターを含む組換えTeNT又はDrTeNTベクターをさらに含む。ベクターは、毒素の、病原体の又は疾患に由来する1つ以上のエピトープをコードする核酸をさらに含む。一実施形態において、エピトープは、Covid-19に由来するか又は関するものであり、例えばRBD及びTent-Cov2ハイブリッドタンパク質(Tent-Cov2タンパク質)を発現するようにSARS-CoV受容体結合ドメイン(RBD)遺伝子及びTent-Cov2遺伝子をコードする。
【0019】
本発明は、組換えベクターが導入されている細胞;並びに組換えベクターを含む、Covid-19を治療及び/又は予防するためのワクチン組成物又は医薬;並びにインビボにおいてRBD及びTent-Cov2ハイブリッドタンパク質(Tent-Cov2タンパク質)を発現するようにSARS-CoV受容体結合ドメイン(RBD)遺伝子及びTent-Cov2遺伝子をコードするベクターを投与することによる治療方法をさらに含む。
【0020】
本発明の一態様は、必ずしも免疫系全体に警告して強烈な免疫応答を取らせることなく、ワクチンの処理のために記憶細胞を直ちに活性化することができる1つ以上のワクチンビヒクルである。
【0021】
別の態様は、SARS-CoV-2のS及びNタンパク質に由来するエピトープを処理することができる抗原提示細胞(APC)であり、これは、病原体(例えば、Covid-19)に対するより有効でおそらくより迅速な免疫応答を可能にするであろう。
【0022】
別の態様は、病原体エピトープ(若しくはSARS-CoV-2)とのハイブリッドとして又は別個のタンパク質若しくは遺伝子として併用投与されるDrTeNTタンパク質又は遺伝子を投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図面の簡単な説明
【
図1】DrTeNT遺伝子を含有するpDrTベクターマップの概略図である(3966bpは、6-Hisタグを含む)。DrTeNTは、pBN3ベクター(3452bp)において、EcoRIとPstI部位との間でクローニングされた。pDrTベクターの新しい構築物は、長さが7418bpである。
【
図2B】解毒された組換え破傷風毒素(drTENT)の活性部位におけるGlu234Ala及びGlu271Ala突然変異残基を示す。
【
図3】様々な投与ルートを介してウサギに送達された場合のDrTeNTタンパク質の免疫原性のグラフであり、産生される抗体は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して推定される。
【
図4】RBD及びTent-Cov-2タンパク質(Tent-Cov-2タンパク質)を産生するために受容体結合ドメイン(RBD)遺伝子及びTent-Cov2遺伝子を挿入するために使用されるpET-11aベクターの概略図である。
【
図5】SDS-PAGE電気泳動を使用するCovidのRBDタンパク質のタンパク質精製プロファイルを示すゲルである。
【
図6】Tent-Cov2タンパク質の精製プロファイルを示す。
【
図7】EDC反応を使用して2つのタンパク質を連結させる間の化学反応を示す。
【
図8】ウサギにおけるdrTeNTによる初回刺激前及び後のRBD、Tent-Cov2及びハイブリッドタンパク質の力価についてのELISA力価である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
本明細書で特許請求される本発明の組成物及び製剤について記載する前に、このような組成物及び製剤は、当然のことながら、変更され得るため、本発明は、記載されている特定の組成物及び製剤に限定されないことが理解されるべきである。本明細書で特許請求される本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲のみによって限定されるため、本明細書で使用される専門用語は、限定を意図するものではないことも理解されるべきである。
【0025】
さらに、特定の特徴、構造又は特性は、1つ以上の実施形態において、本開示から当業者に明らかであるように任意の適した方式で組み合わされ得る。さらに、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、いくつかの特徴を含み、他の実施形態に含まれる他の特徴を含まないが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、当業者によって理解されるように、本明細書で特許請求される本発明の範囲内にあり、異なる実施形態を形成する。例えば、添付の特許請求の範囲において、特許請求される実施形態のいずれも任意の組み合わせで使用することができる。
【0026】
経口又は鼻腔内ワクチン送達
経口送達系の利用(全体が参照によって本明細書に援用される、2019年3月14日に公開されたSingh、“Composition for Oral or Nasal Delivery of Tetanus, Diphtheria, and Pertussis Vaccine alone or in combination using Neurotoxin Associated Proteins”、米国特許出願公開第20190076518A1号)は、妊婦、乳児及び世界人口一般のワクチン接種計画を促進するであろう。同じ技術を、本発明の下で実現されるDrTeNT-CoVワクチン又はDrTeNTプラットフォーム上の任意の他のワクチンを送達するために取り入れることができる。現在、このようなワクチン送達系は、入手可能でもなければ、Covid-19に対してこの方向で進められていることが知られいてるいかなる試みもない。
【0027】
DrTeNT又はDrTeNT-CoVの経口/舌下又は鼻腔内送達は、破傷風菌(C. tetani)と同属の微生物であるボツリヌス菌(Clostridium botulinum)によって産生される神経毒素結合タンパク質、すなわちNAPによって促進されることが提唱されている。組換えタンパク質ワクチンを保護するためのアジュバントとしてNAPを使用することは、口腔における消化環境、超低pH及び胆汁酸並びにプロテアーゼのような腹部での厳しい消化環境における問題を解決することができる。さらに、本発明により、NAPは、DrTeNT及びSARS-CoVを腸管の酵素から保護し、ワクチンが免疫応答を誘起することを促進する。加えて、NAPは、タンパク質が上皮性関門を通過することを促進することがよく知られており(12~15)、これは、ワクチンを鼻腔内に送達することを可能にする。この新たに開発されたワクチンは、注射を必要としないことにより、ワクチンの注射に関する安全性の懸念についての問題も解決する。
【0028】
さらに、本発明は、ホルムアルデヒドの導入の問題を解決する。本発明は、ワクチン及び送達系の調製の両方により、患者へのホルムアルデヒドの導入の可能性を排除するであろう。
【0029】
本発明は、破傷風ワクチンの送達ビヒクルとして、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)によって産生されるボツリヌス神経毒素(BoNT)の神経毒素結合タンパク質(NAP)を用いる。BoNTは、NAPとの複合体の形態で産生される食品毒であり、NAPは、胃腸管の低pH及びプロテアーゼからBoNTを保護する。加えて、NAPは、BoNTが腸管及び鼻腔の粘膜層にわたって移動することを促進することが知られている。BoNT及びTeNTの構造の類似性並びにそれらの共通の作用様式を考慮すると、NAPは、破傷風ワクチンに結合して保護し、粘膜層にわたって移動させる。
【0030】
COVID-19ワクチンの経口/舌下送達系は、とりわけ乳児にとって、特に診療所を利用しにくい国で好都合な免疫療法を促進するであろう。COVID-19ワクチンの投与のための経口/舌下送達方法は、それほど痛みを伴わず、より安全であろう。汚染された針についての課題はないであろう。現在、多くのワクチンは、超低pH、胆汁酸及びプロテアーゼのような腹部での厳しい消化環境のため、経口ルートによって送達することができない。さらに、現行の注射用ワクチンに関するいくつかの安全性の懸念、例えばアレルギー反応及び/又は二次感染が軽減されるであろう。
【0031】
従って、SARS-CoV-2ワクチンの経口/舌下送達のためにボツリヌス神経毒素のNAPを使用する本発明の戦略は、非常に革新的で実用的である。経口/舌下送達は、他の投与ルートを上回る多くの著しい利点を提示する。経口ワクチンは、正式な医療現場以外で送達することができ、訓練を受けた職員を必要としないため、投与が安価である。ワクチン接種プロセスからの針の排除は、針の再使用及び廃棄に関する懸念を軽減することができ、これは、多くのワクチン接種に関する感染症の原因となることが示されている。しかしながら、ワクチン抗原は、免疫応答の誘導前に消化管において消化を受けるため、経口ワクチン接種は、歴史的にそれほど有効ではなさそうであると考えられてきた。NAPは、消化管における消化に耐えることがよく知られており、事実、搬送物が腸の上皮層にわたって移動することを促進することが知られているため、NAPは、これらの懸念に対処するために用いることができる(13)。事実、NAPの特定の単離成分は、保護及び移動プロセスにおいて決定的な役割を果たすことが実証されており(16、17)、これは、将来、それらの単離成分のみを使用して、より異物が混ざっていない経口送達系を開発するために活用することができる。現時点では、ヒトへの使用が承認されている経口ワクチンの数は、限られているが、臨床開発後期のものは、これよりも多い(経口コレラワクチン、チフスワクチン、結核等)(18~21)。大半のワクチンは、酸に不安定であり、消化管の酸からワクチンを保護する製剤で投与される必要がある。コレラ経口ワクチンの場合、コレラ経口ワクチンは、ワクチンを保護するために重炭酸バッファー中で製剤される。しかし、このようなバッファーは、このようなワクチン製剤を服用する人々の中に忍容性が良好でない人々もおり、腹部膨満、ガス、痙攣及び下痢など、ウイルスが運ぶ有害なGI症状が引き起こされることが報告されている(22)。
【0032】
SARS-CoV-2ウイルスは、RNAとして遺伝物質を運び、最も長い(27~32kb)既知のウイルスRNAゲノムの1つである。SARS-CoVの構造タンパク質は、表面スパイク糖タンパク質(S)、膜タンパク質(M)、小さいエンベロープ糖タンパク質(E)及びヌクレオカプシドタンパク質(N)を含む。これらの4つの構造タンパク質は、ビリオン集合に不可欠である(23)。
【0033】
スパイク(S)タンパク質は、ウイルスエンベロープから突き出て特徴的なスパイクを形成し、コロナウイルスでは、極低温電子顕微鏡下で「冠」のように見える(PBD-6VSB)(24)。スパイクタンパク質は、かなりグリコシル化されている。コロナウイルスのスパイク(S)糖タンパク質は、感染プロセスの開始時に宿主細胞へのウイルスの結合に不可欠であることが知られている。「S」タンパク質は、ホモ三量体であり;細胞侵入を担う唯一のウイルス膜タンパク質である。「S」タンパク質は、標的細胞上の受容体に結合し、続くウイルス-細胞融合を媒介し;従って、「S」タンパク質は、ワクチンの設計にとって重要な標的となる。Sタンパク質の二重の役割(すなわち宿主受容体認識並びにウイルス吸着及び侵入)のため、SARS-CoV-2に対する解毒剤又はワクチンの開発のための標的タンパク質となる。
【0034】
破傷風ベースのワクチン
SARS-CoVスパイク(S)タンパク質は、2つのサブユニットS1及びS2タンパク質から構成され;S1サブユニットは、宿主細胞受容体アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)と結び付く受容体結合ドメイン(RBD)を含有し;S2サブユニットは、ウイルス及び宿主細胞の膜の融合を媒介する。ヒトプロテアーゼは、スパイクタンパク質を特異的な部位でカットし、これは、SARS-CoV-2タンパク質がその立体構造を変化させ、ACE2受容体に結合することを促進する(24)。プロテアーゼによって媒介される侵入は、プロテアーゼがない場合に使用されるエンドソーム経路よりも100~1,000倍高い効率的な感染を促進した(25)。SARS-CoV-2スパイクタンパク質のタンパク分解性の切断は、細胞間融合及び/又はウイルス侵入にとって重要である。様々なプロテアーゼは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の切断並びに細胞間融合及び/又はウイルス侵入を活性化するそれらの役割に関与している。SARS-CoV-2上の様々なタンパク質に存在する種々のエピトープを同定する多くの研究が行われている(26~29)。本発明者らは、N末端-FSQILPDPSKGPSKRSFIEDLLFNKVTLACD-C(配列番号1)末端がSタンパク質の表面のより望ましい標的となると考えている。
【0035】
最近、ACE2受容体に直接結合しているRBD(S1)ドメインの結晶構造(PDB-6VW1)が公開された(30、31)。SARS-CoV-2タンパク質がACE2受容体に結合するとき、3つすべてのRBDは、それほど安定していない「アップ型」立体構造に転移する(30)。RBD配列481~505 NGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGY(配列番号2)及び配列TESNKKFLPFQQFGRDIAG(配列番号3)の結合に注目する。最終的なエピトープは、これらの配列の1つ以上を互いに連結することによって作製されるであろう。
【0036】
配列番号2及び3は、SARS-CoV-2に対するワクチンを設計するための見込みのあるエピトープとして選択された。ほとんどの研究は、20個ほどのアミノ酸残基のみを同定している。小さいペプチドのみでは、それのみが挿入された場合に十分な免疫応答を誘発することができない。免疫原性エピトープを含有する合成の小さいペプチドベースのワクチンは、DrTeNTのようなアジュバントと組み合わせた場合の抗体力価を超えることができる。本発明者らは、ネブラスカ大学リンカーン校によって開発されたSVMTriPソフトウェア(32)を使用して、エピトープとして使用することもできるすべてのSARS-CoV-2タンパク質から複数のエピトープを予測した(表3)。担体タンパク質(又はベクター)としてDrTeNTを使用する免疫応答を超えるという発想は、選択されたエピトープ(表2)に限定されず、例えば表3におけるSARS-CoV-2ウイルスのほぼすべてのエピトープで使用することができる。
【0037】
DrTeNTは、ボツリヌス菌(C. botulinum)のNAPタンパク質の非存在下において、筋肉内又はsubQ注射ルートにより、SARS-CoV-2ウイルスについてのエピトープと一緒に宿主に挿入することもできる。
図3に示されるように、DrTeNTがsubQルートを通して投与される場合、経口経路と比較してより免疫応答を誘発する。
【0038】
組換えTeNT又はDrTeNT:
本発明者らのグループは、皮下投与のためのワクチンとして単独で又は経口/舌下及び鼻腔内送達のために神経毒素結合タンパク質と組み合わせて使用することができる、突然変異軽鎖及び本来の重鎖を含有する全破傷風神経毒素の解毒された形態を開発した(
図1)。そのため、本発明者らの研究室においてすでに達成されている、まさにその組換えワクチン候補(解毒された組換えTeNT又はDrTeNT)を作製することは、とりわけ、それをコロナエピトープの免疫原性組換え断片と組み合わせることができるため、SARS-CoV-2ワクチンにとって大きい前進となる。
【0039】
図2Aは、破傷風毒素bの活性部位残基を示す。突然変異残基Glu234Ala及びGlu271Alaが破傷風毒素活性部位に示されている。
図2Bは、drTENTタンパク質の活性部位を示す。破傷風タンパク質の2つのアミノ酸残基は、解毒された組換え破傷風毒素タンパク質を作製するために突然変異されている。導入された突然変異により、それほど毒性でないタンパク質が作製された。
【0040】
図3は、皮下及び経口投与で投与された場合の、NAPと複合体を形成した及び形成していないDrTeNTの免疫原性を示す。アジュバントは、タンパク質を厳しい消化管環境から保護し、従って、アジュバントは、経口ワクチンとして使用することができる。示されるデータの通り、経口ミックス(DrTENT及びNAP)は、皮下及び経口ルートを通して注入される場合、同様の免疫応答を生成する。NAPあり及びなしのDrTeNTが皮下(subQ)投与及び経口ルートを通して投与される場合の、ウサギにおけるTeNT抗体産生についてのELISA力価である。
【0041】
DrTeNTの力価の発生
DrTeNTのsubQ投与について、10μgの毎月の用量は、1:128,000の安定した力価を産生するのに十分であったのに対して、経口投与について、10μgの用量を3回/月は、1:5,000の力価を得るために6ヵ月間与えられた。1:25,000の力価を得るためのDrTeNT及びNAPの混合物のsubQ及び経口投与に関するものである。
【0042】
【0043】
挿入されたSARS-CoV-2エピトープを有するDrTeNTクローン
drTENTタンパク質の7つの異なる部位を、ソフトウェアSVMTrip(商標):ネブラスカ大学リンカーン校によって製作された線状抗原エピトープを予測するためのツールを使用して選択した。それは、見込みのある免疫原性部位を選択するために使用した。SARS-Cov-2タンパク質のS1及びS2サブユニット由来のエピトープの組み合わせを挿入するために、7つの異なる部位を使用した。これらのエピトープに、可動性を補足するためにポリグリシンリンカーを付加した。SARS-Cov-2タンパク質由来のエピトープを追加して作製されたdrTeNTタンパク質をTent-Cov-2と呼ぶ。エピトープは、SARS-Cov-2タンパク質のS1及びS2サブユニットから選択し、表2及び表3において下記に挙げる。
【0044】
【0045】
【0046】
図4、5、6:Tent-Cov-2及びSARS-Cov-2タンパク質のRBD(319~541アミノ酸)の精製。
Tent-Cov2遺伝子及びRBD遺伝子をpET-11aベクターにおいてNdeI部位とXbaI部位との間に挿入した。0.05mg/mLカルベニシリンを有するあらかじめ調製したLB寒天プレートを使用して、新たに形質転換したTeNT-Covid-2(+)(TC2)プラスミド又はRBD(+)プラスミドBL21DE3コンピテント細胞を播種し、37℃で一晩インキューベートした。さらに14時間成長させた後、個々のコロニーを寒天プレート上で観察した。これらの寒天プレートを4℃に置き、一晩成長させる培養物に使用した。
【0047】
一晩スターター培養物は、滅菌2XYT培地とし、室温まで冷却した後に0.05mg/mlカルベニシリンを追加した。TC2又はRBDのいくつかのコロニーを約12~15時間、37℃、250rpmで成長させた。20mLの一晩培養物を3Lフラスコ、37℃、200rpm中1リットルの2XYT培地に追加した。濁度を600nmでモニターし、培養物が0.6~0.8の吸光度を有するようになったら、1mMイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を追加した。その後、一晩15~17時間、75rpm、室温でインキューベートした。細胞を4℃、13,000×g、20分間の遠心分離によってペレット化した。その後、ペレットを-20℃に保ち、冷凍した。
【0048】
新たに成長させた細胞の精製を、150mM塩化ナトリウムを有する50mM Tris HCl、pH8中で行った。これを手順の最初から最後まで低温に保った。溶解バッファーをこのバッファーとプロテアーゼ阻害剤タブレット、微量のリゾチーム及びDNアーゼで調製した。その後、TC2又はRBDの冷凍ペレットを溶解バッファー中に懸濁した。これを冷ビーズ上での3分間の処理により機械的に超音波で破壊した。1秒間オン/5秒間オフのサイクルとし、最大出力を18~22ワットとした。溶解物を13,000×g、45分間、4℃で遠心分離した。
【0049】
遠心分離する間、2mLのフレッシュなニッケルアガロースビーズを冷チャンバー中でTrisバッファーにより平衡化した。その後、不純物を除いた溶解物を1.5cm×20cmのカラムにおいて約8~14秒/滴でビーズに加えた。添加後、10mLの追加のフレッシュなTrisを、ビーズを洗浄するために使用した。その後、バッファーに追加したイミダゾールを使用して、タンパク質の画分を収集した。TC2は、20~100mMで変動するイミダゾール及び250mMイミダゾールを含有するバッファー、pH8により溶出させ、大半の純粋な産物は、250mMの溶出液中にあった。RBDは、最も純粋な産物を捕獲するために、それぞれ5mMイミダゾール及び10mMイミダゾールにより溶出させた。より高濃度のイミダゾールは、タンパク質を溶出したが、大量の非標的物質がRBDと混合していた。
【0050】
サンプルは、UV/VISスペクトロフォトグラフィーによって測定し、タンパク質は、以下の通り吸光度データを使用することによって推定した:(Abs235nm-Abs280nm)/2.51=約0.66mg/mlのTeNT-Cov-2及び0.3mg/mlのRBD。タンパク質は、20%のグリセロールを追加して保存し、急速冷凍し、少なくとも-20℃で保存した。サンプルの純度は、SDS-PAGE電気泳動によってモニターした。
【0051】
図5:
図5のレーンは、以下の通り、SARS-CoV-2由来のRBDタンパク質の精製を示す:レーン1.分子量マーカー;レーン2.細胞由来の溶解物;レーン3.カラムからのフロースルー;レーン4.5mMイミダゾール;レーン5.20mMイミダゾール;レーン6~7.50mMイミダゾール;レーン8~10.100mMイミダゾール;レーン11~12.200mMイミダゾール。
【0052】
図6:Tent-Cov-2(
図6)タンパク質の精製を以下の通り示す:レーン1.分子量マーカー;レーン2.カラムからのフロースルー;レーン3.細胞由来の溶解物;レーン4.バッファー洗浄;レーン5~6.20mMイミダゾール;レーン7.50mMイミダゾール;レーン8~10.100mMイミダゾール;レーン11~12.250mMイミダゾール。TC2についての主なバンドは、約97kDaで観察され、RBDについての主なバンドは、28kDa及び75kDa(三量体)で観察された。この物質をELISAによってさらに調べた。
【0053】
図7:ツーステップの連結を使用するスルホ-NHSへのEDC架橋によってTC2及びRBDを組み合わせることによるハイブリッドタンパク質の作製。
EDCは、ハイブリッドタンパク質を作製するために、SARS-Cov-2のRBDをTent-Cov2と連結させるために使用する架橋剤である。EDC及びスルホ-NHSは、第2のタンパク質のカルボキシルに影響を及ぼすことなく、両方のタンパク質のツーステップカップリングを可能にする。EDCは、カルボキシル基を活性化し、自然発生的に第一級アミンと反応してアミド結合を形成する。EDCは、NHSをカルボキシルにカップリングし、これによりNHSエステルを形成し、生理的pHでの第一級アミンへの効率的なコンジュゲーションを可能にする。EDC及びNHSを室温で平衡化した。コンジュゲーションバッファー1中1mg/mlのTent-Cov2溶液、0.4mg EDC及び1.1mgスルホ-NHSを混合し、室温で15分間インキューベートした。1.2μl 2-メルカプトエタノールを混合物に追加して、EDC反応をクエンチした。RBDタンパク質を反応混合物中に追加し、室温で2時間インキューベートした。反応を、ヒドロキシルアミンを追加することによってクエンチした。このように、ハイブリッドタンパク質は、Tent-Cov2をRBDタンパク質に付加することによって作製した。
【0054】
図8:ウサギにおける免疫応答
ウサギを、TC2、ハイブリッド及びRBDタンパク質による曝露の3ヵ月前に破傷風トキソイド及びdrTeNTに曝露した。初回刺激した及び初回刺激しなかったウサギを同じ7μgの3つすべてのタンパク質TC2、RBD及びハイブリッドに曝露した。ウサギ由来の血清を、ELISAを使用して免疫応答を確かめるために3ヵ月後に収集した。
【0055】
抗原を、プレートをコーティングするために調製した。5μg/ウェルのRBD抗原をリン酸緩衝食塩水(PBS)中で使用した。同様のプレートも、このようにして、PBS中5ug/ウェルを使用し、TeNT-Covidハイブリッド抗原により調製した。これを15時間4℃でインキューベートした。ウェルを、PBS中3%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.2mL/ウェルを使用して遮断した。これを1時間37℃で遮断した。プレートを、3~5分間、PBS+0.05% Tween20(PBST)、0.3mL/ウェル/洗浄を使用して3回洗浄した。
【0056】
洗浄後、プレートを、ウェルが乾燥するまで清浄なペーパータオルで乾かした。次に、PBS中3%BSA、0.1mLをすべてのウェルに追加した。一連の希釈を6-15-21の採血由来の血清で行った。
【0057】
ウサギNR9、NR10、P198及びP200をテストした。同様の希釈をTeNT-Covidハイブリッド抗原タンパク質に対しても行い;そのELISAに使用したウサギは、NR9、NR10、P198及びP199であった。血清希釈物を37℃で1~3時間インキューベートした。希釈は、1:200から始めて約1:6,000,000まで2倍希釈した。プレートを前述の通りPBSTにより洗浄した。
【0058】
二次抗体は、市販のヤギ抗ウサギペルオキシダーゼコンジュゲートIgG抗体を追加することによって調製した。PBS中3%BSAへの1:10,000の希釈である。0.1mL/ウェル、1時間、37℃。プレートを前述の通りもう一度洗浄し、清浄なペーパータオルで乾燥状態になるまで乾かした。
【0059】
その後、プレートをペルオキシダーゼ反応現像剤によって現像し、これをThermomaxプレートリーダーによってモニターした。その後、反応を450nmで読み取って読み取り値を得て、結果をプロットし、結果を出した。結果は、DrTentにより初回刺激したウサギが、DrTent中に組み入れたCovidエピトープに対して最も高い免疫応答を示したことを示唆する。これは、初回刺激しなかったワクチン接種よりもおよそ32倍高く、RBDワクチン接種よりも16倍高かった。
【0060】
結論
本開示の方法及び組成物は、様々な実施形態の形態で取り入れることができ、そのうちのごく少数が本明細書において開示されていることが認められるであろう。他の実施形態が存在し、本発明の趣旨から逸脱しないことも当業者に明らかであろう。従って、記載される実施形態は、例示であり、限定的なものとして解釈されるべきではない。
【0061】
移行の用語「含む」は、「包含する」、「含有する」又は「特徴とする」と同義であり、包含的又はオープンエンドであり、追加の列挙していない要素又は方法のステップを除外しない。移行句「からなる」は、請求項に明記していない任意の要素、ステップ、成分を除外する。移行句「から本質的になる」は、明記される物質又はステップ及び特許請求される本発明の基本的で新規な特性に実質的に影響を及ぼさないものに請求項の範囲を限定する。
【0062】
又は、本明細書において例示的に記載される技術は、本明細書において詳細に開示されない任意の要素の非存在下で適切に実施され得る。従って、例えば、本明細書におけるそれぞれの例において、用語「含む」、「から本質的になる」及び「からなる」のいずれも他の2つの用語のいずれかにより置き換えられ得る。用いられた用語及び表現は、限定ではなく、説明の用語として使用され、このような用語の使用及び表現は、示され、記載される特徴又はその部分のいかなる均等物も除外せず、種々の変更形態は、特許請求される技術の範囲内で可能である。
【0063】
用語「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、要素の1つ又は要素の1つ以上のいずれかが記載されていることが文脈上明白でない限り、それが修飾する要素の1つ又は複数を指すことができる(例えば、試薬は、1つ以上の試薬を意味し得る)。
【0064】
本明細書で使用される用語「約」は、基準となるパラメーターの10%以内(すなわちプラス又はマイナス5%)の値を指し、一連の値の初めに用語「約」を使用することにより、それぞれの値を修飾する。本明細書で使用されるように、用語「実質的に」は、述べられるようなほぼ同じ状態を指す。
【0065】
本開示のいくつかの実施形態が記載されたが、本開示は、それに限定されることを意図されず、本開示は、当技術分野で許容される限り範囲が広く、本明細書も同様に広く読まれることが意図される。そのため、上記の説明は、限定として解釈されるべきではなく、単に実施形態の例証として解釈されるべきである。
【0066】
商標:本明細書で使用される商品名は、識別目的のためのみのものであり、それらのそれぞれの権利者の所有物である。
【0067】
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【手続補正書】
【提出日】2022-04-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体タンパク質としての、1つ以上の、破傷風神経毒素の全体又は一部の解毒された形態(DrTeNT)のタンパク質及び毒素、病原体又は疾患に由来する1つ以上のエピトープ又はサブユニットを含む突然変異組換えワクチン組成物であって、前記毒素、前記病原体又は前記疾患に対してヒト又は非ヒト哺乳動物を免疫することができる突然変異組換えワクチン組成物。
【請求項2】
前記毒素、病原体又は疾患は、動物、植物、菌類、細菌又はウイルスに由来する、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項3】
前記1つ以上のエピトープ又はサブユニットは、結核、マラリア、癌、インフルエンザ、肺炎、乾癬、疥癬及びライム病を含む1つ以上の疾患に由来する、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項4】
前記破傷風神経毒素の前記全体又は前記一部の前記解毒された形態(DrTeNT)は、少なくとも1つの突然変異軽鎖及び少なくとも1つの本来の重鎖を含む、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項5】
担体タンパク質としての前記DrTeNT及びSARS-CoV-2ウイルスの1つ以上のエピトープ又はサブユニットを含む、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項6】
SARS-Cov-2病原体の受容体結合ドメイン(RBD)エピトープをTeNT-Cov2タンパク質と連結しているハイブリッドタンパク質を含む、請求項5に記載のワクチン組成物。
【請求項7】
受容体結合ドメイン(RBD)エピトープを含むSARS-CoVスパイク(S)タンパク質のS1サブユニットを含む、請求項5に記載のワクチン組成物。
【請求項8】
ホルムアルデヒドは、存在しない、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項9】
ボツリヌス菌(Clostridiumbotulinum)によって産生されるボツリヌス神経毒素(BoNT)に由来する1つ以上の神経毒素結合タンパク質(NAP)を含むアジュバントをさらに含む、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項10】
ミョウバン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ビタミンE及びコロイド粒子の1つ以上を含むアジュバントをさらに含む、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項11】
前記エピトープは、配列番号1~45の1つ以上に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項12】
配列番号1~6に対して少なくとも95%の配列同一性を有するエピトープを含む、請求項11に記載のワクチン組成物。
【請求項13】
DrTeNTタンパク質を含むポリペチドをコードする核酸;及び前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されるプロモーターを含む組換えTeNT又はDrTeNTベクター。
【請求項14】
毒素の、病原体の又は疾患に由来する1つ以上のエピトープをコードする核酸をさらに含む、請求項13に記載の組換えベクター。
【請求項15】
前記エピトープは、Covid-19に由来し、及び/又は少なくとも1つのSARS-CoVエピトープ若しくはサブユニットを含む、請求項14に記載の組換えベクター。
【請求項16】
RBD及びTent-Cov2ハイブリッドタンパク質(Tent-Cov2タンパク質)を発現するようにSARS-CoV受容体結合ドメイン(RBD)遺伝子及びTent-Cov2遺伝子をコードする、請求項15に記載の組換えベクター。
【請求項17】
請求項13~16のいずれか一項に記載の組換えベクターが導入されている細胞。
【請求項18】
請求項16に記載の組換えベクターを含む、Covid-19を治療及び/又は予防するためのワクチン又は医薬。
【請求項19】
担体タンパク質としてのDrTeNTタンパク質をコードする、単離された天然に存在しないポリペプチド配列。
【請求項20】
SARS-CoVエピトープ又はサブユニット遺伝子及びTent又はDrTeNT遺伝子をコードする核酸を含むベクターを投与することにより、Covid-19に対して哺乳動物を免疫する方法。
【請求項21】
前記ベクターは、インビボにおいてRBD及びTent-Cov2ハイブリッドタンパク質(Tent-Cov2タンパク質)を発現するようにSARS-CoV受容体結合ドメイン(RBD)遺伝子及びTent-Cov2遺伝子をコードする核酸を含む、請求項20に記載の免疫方法。
【請求項22】
前記ベクターは、皮下又は筋肉内投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
ワクチン組成物は、前記ベクターを分解から保護するためのアジュバント及び/又は担体をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記担体は、生体系に適したpH及び塩条件下で1つ以上の合成ポリマー又はバイオポリマーを含む脂質分子又はナノ担体である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ワクチン組成物は、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)によって産生されるボツリヌス神経毒素(BoNT)に由来する1つ以上の神経毒素結合タンパク質(NAP)を含むアジュバントをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記ワクチン組成物を経口、舌下又は鼻腔内投与することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】