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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(54)【発明の名称】ゴルフボールカバー用樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/32 20060101AFI20230714BHJP
   C08G 18/38 20060101ALI20230714BHJP
   C08G 18/72 20060101ALI20230714BHJP
   A63B 37/00 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
C08G18/32 006
C08G18/38 093
C08G18/72
A63B37/00 316
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519363
(86)(22)【出願日】2021-07-01
(85)【翻訳文提出日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 KR2021008326
(87)【国際公開番号】W WO2022005219
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0081338
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0085231
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514124698
【氏名又は名称】ネクセン コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】522118436
【氏名又は名称】ソンジュ ティ&シー コーポレーション,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ジュン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヨン ウー
(72)【発明者】
【氏名】ケオウン,ヨン イグ
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034CA03
4J034CA04
4J034CB03
4J034CB04
4J034CC03
4J034CC08
4J034DB04
4J034DF01
4J034DF02
4J034DF12
4J034DF16
4J034DF20
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG05
4J034DM01
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA01
4J034QB14
4J034RA03
(57)【要約】
本発明は、ゴルフボールカバー用樹脂組成物であって、ポリオール55~70重量部、イソシアネート30~40重量部及びポリシロキサン0.2乃至0.4重量部を含む熱可塑性ポリウレタン樹脂を含み、ポリシロキサンは末端のアルキル基に少なくとも一つのヒドロキシル基またはカルボキシル基を含む。ポリオール及びイソシアネートは、シリコンを含まない熱可塑性ポリウレタン樹脂を構成し、ポリシロキサン及びイソシアネートは主鎖にシリコンを含む熱可塑性ポリウレタン樹脂を構成することによって、ゴルフボールカバーに要求されるスカッフ抵抗性を向上させることができ、スリップ性を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール55~70重量部、イソシアネート30~40重量部及びポリシロキサン0.2~0.4重量部を含む熱可塑性ポリウレタン樹脂を含み、
前記ポリシロキサンは、化学式1の構造を有するゴルフボールカバー用樹脂組成物。
【化1】

(Rはアルキル基であり、Meはメチル基であり、Xは少なくとも一つのヒドロキシル基またはカルボキシル基を含むアルキル基である。)
【請求項2】
請求項1において、
前記化学式1のXは、1つ乃至3つのヒドロキシル基またはカルボキシル基を含むアルキル基であるゴルフボールカバー用樹脂組成物。
【請求項3】
請求項2において、
前記化学式1のXは、少なくとも1つのエステル基またはエーテル基をさらに含むゴルフボールカバー用樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1において、
前記ポリオール及び前記イソシアネートは、シリコンを含まない熱可塑性ポリウレタン樹脂を構成し、
前記ポリシロキサン及び前記イソシアネートは、主鎖(main chain)にシリコンを含む熱可塑性ポリウレタン樹脂を構成するゴルフボールカバー用樹脂組成物。
【請求項5】
請求項4において、
前記ポリオールは、エチレングリコール(ethylene glycol)、ジエチレングリコール(diethylene glycol)、トリエチレングリコール(triethylene glycol)、1,3-ブタンジオール(1,3-butanediol)、1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol)、ネオペンチルグリコール(neopentyl glycol)、1,6-ヘキサンジオール(1,6-hexanediol)、グリセリン(glycerin)、トリメチロールプロパン(trimethylolpropane)、ヘキサントリオール(hexantriol)、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)、ポリ-ε-カプロラクトン(PCL)及びポリヘキサメチレンカーボネート(PCD)からなる群から選ばれた少なくとも一つであるゴルフボールカバー用樹脂組成物。
【請求項6】
請求項4において、
前記イソシアネートは、ナフタレンジイソシアネート(NDI:1,5 naphthalene diisocyanate)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI: paraphenylene diisocyanate)、トリジンジイソシアネート(TODI:tolidine diisocyanate)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI:diphenyl methane diisocyanate)、トルエンジイソシアネート(TDI:tolunene diisocyanate)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI:hexamethylene diisocyanate)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI:dicyclohexylmethane diisocyanate)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI:isoporone diisocyanate)からなる群から選ばれた少なくとも一つであるゴルフボールカバー用樹脂組成物。
【請求項7】
請求項4において、
前記ポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)及び1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol)を含み、
前記イソシアネートは、MDI(Monomeric dihenylmethane diisocyanate)であるゴルフボールカバー用樹脂組成物。
【請求項8】
請求項7において、
前記ポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)56重量部及び1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol)9重量部を含み、
前記イソシアネートは、MDI(Monomeric dihenylmethane diisocyanate)35重量部で構成されるゴルフボールカバー用樹脂組成物。
【請求項9】
請求項8において、
前記ポリシロキサンは、化学式2の構造を有するゴルフボールカバー用樹脂組成物。
【化2】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフボールのカバーに適用される樹脂組成物に関する発明であって、熱可塑性ポリウレタン樹脂を合成するとき、ポリシロキサンを添加することを特徴とする発明に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフボールは、コア及びコアを取り囲むカバーから構成される。ゴルフボールカバーの製造には、ゴルフボールカバーの素材として耐久性に優れるアイオノマー(ionomer)樹脂が最も多く使用されてきた。しかしながら、アイオノマー樹脂は硬い性質があるので、アイオノマー樹脂を用いてゴルフボールカバーを製造する場合、ゴルフボールのスピン力が低下される問題が生じる。
【0003】
アイオノマー樹脂の代わりに熱硬化性ポリウレタン樹脂(Thermosetting polyurethane resin)を使用してもよい。しかしながら、熱硬化性ポリウレタン樹脂は、ゴルフボール分野で要求される耐カッティング性及び反発特性などを満たすほどの十分な物性を提供しない。これによって、熱硬化性ポリウレタン樹脂の代わりに熱可塑性ポリウレタン樹脂(Thermoplastic polyurethane resin)をゴルフボールカバーの素材として用いようとする研究がしつつある。しかしながら、ゴルフボールカバー用素材として熱可塑性ポリウレタン樹脂のみを使用する場合、ゴルフボールカバーに要求されるスカッフ抵抗(scuff resistance)に耐えられない限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はゴルフクラブによるゴルフボールを打撃するとき、ゴルフボールカバーのスカッフ抵抗性、すなわち、衝撃による破れ防止性能を向上させる樹脂組成物の考案を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ポリオール55~70重量部、イソシアネート30~40重量部及びポリシロキサン0.2~0.4重量部を含む熱可塑性ポリウレタン樹脂を含み、ポリシロキサンは化学式1の構造を有し、化学式1において、Rはアルキル基であり、Meはメチル基であり、Xは少なくとも一つのヒドロキシル基またはカルボキシル基を含むアルキル基である。
【0006】
【化1】
【0007】
好ましくは、化学式1のXは、1つ乃至3つのヒドロキシル基またはカルボキシル基を含むことができる。
【0008】
好ましくは、化学式1のXは、少なくとも1つのエステル基またはエーテル基をさらに含むことができる。
【0009】
好ましくは、ポリオール及びイソシアネートは、シリコンを含まない熱可塑性ポリウレタン樹脂を構成し、ポリシロキサン及びイソシアネートは主鎖(main chain)にシリコンを含む熱可塑性ポリウレタン樹脂を構成することができる。
【0010】
好ましくは、ポリオールはエチレングリコール(ethylene glycol)、ジエチレングリコール(diethylene glycol)、トリエチレングリコール(triethylene glycol)、1,3-ブタンジオール(1,3-butanediol)、1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol)、ネオペンチルグリコール(neopentyl glycol)、1,6-ヘキサンジオール(1,6-hexanediol)、グリセリン(glycerin)、トリメチロールプロパン(trimethylolpropane)、ヘキサントリオール(hexantriol)、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)、ポリ-ε-カプロラクトン(PCL)及びポリヘキサメチレンカーボネート(PCD)からなる群から選ばれた少なくとも一つであることができる。
【0011】
好ましくは、イソシアネートは、ナフタレンジイソシアネート(NDI:1,5 naphthalene diisocyanate)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI:paraphenylene diisocyanate)、トリジンジイソシアネート(TODI:tolidine diisocyanate)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI:diphenyl methane diisocyanate)、トルエンジイソシアネート(TDI:tolunene diisocyanate)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI:hexamethylene diisocyanate)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI:dicyclohexylmethane diisocyanate)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI:isoporone diisocyanate)からなる群から選ばれた少なくとも一つであることができる。
【0012】
好ましくは、ポリオールはポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)及び1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol)を含み、イソシアネートはMDI(Monomeric dihenylmethane diisocyanate)であることができる。
【0013】
好ましくは、ポリオールはポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)56重量部及び1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol)9重量部を含み、イソシアネートはMDI(Monomeric dihenylmethane diisocyanate)35重量部で構成することができる。
【0014】
好ましくは、ポリシロキサンは化学式2の構造を有する。
【0015】
【化2】
【発明の効果】
【0016】
本発明は熱可塑性ポリウレタン樹脂を合成するとき、ポリシロキサンを添加することによって、ゴルフボールカバーに要求されるスカッフ抵抗性を向上させることができ、延いては、スリップ性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について詳しく説明する。但し、本発明が例示的実施例によって制限されるか限定されるものではない。本発明の目的及び効果は、下記の説明によって自然に理解されるか、より明らかになり、下記の記載のみに本発明の目的及び効果が制限されるものではない。また、本発明を説明するにおいて、本発明と関連された公知の技術に関する具体的な説明が本発明の要旨をぼかすおそれがあると判断される場合には、その詳細な説明を略することにする。
【0018】
本発明は、ゴルフボールカバー用樹脂組成物であって、ポリオール55~70重量部、イソシアネート30~40重量部及びポリシロキサン0.2~0.4重量部を含む熱可塑性ポリウレタン樹脂を含み、ポリシロキサンは化学式3の構造を有し、化学式3において、Rはアルキル基であり、Meはメチル基であり、Xは少なくとも一つのヒドロキシル基またはカルボキシル基を含むアルキル基である。
【0019】
【化3】
【0020】
本発明は、熱可塑性ポリウレタン樹脂を合成するとき、未反応イソシアネートが残っているように熱可塑性ポリウレタン樹脂を先に合成し、未反応イソシアネート及びポリシロキサンを追加的に反応させる。ここでいう反応は、イソシアネート及びポリシロキサン間のウレタン反応をいう。これによって、本発明は主鎖(main chain)にシリコンを含む熱可塑性ポリウレタン樹脂を合成することができ、本発明はゴルフボールカバー用樹脂組成物であって、シリコンを含まない熱可塑性ポリウレタン樹脂及びシリコンを含む熱可塑性ポリウレタン樹脂全部を含むことができる。未反応イソシアネートの量は、ポリシロキサンの量と同一であっても、多くても良く、量の基準はモル(mol)数である。
【0021】
熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造するとき、30~40重量部のイソシアネートを添加することができる。イソシアネートは、ポリウレタン樹脂でハードセグメント(hard segment)を構成する。イソシアネートは、ポリオールとの反応モル比及びポリシロキサンとの反応モル比を考慮して添加することができる。
【0022】
イソシアネートは、通常のポリウレタンの製造に使用されるものと同一のものを使用してもよい。芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネートまたは置換族イソシアネートが挙げられる。好ましくは、ナフタレンジイソシアネート(NDI:1,5 naphthalene diisocyanate)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI:paraphenylene diisocyanate)、トリジンジイソシアネート(TODI:tolidine diisocyanate)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI:diphenyl methane diisocyanate)、トルエンジイソシアネート(TDI:tolunene diisocyanate)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI:hexamethylene diisocyanate)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI:dicyclohexylmethane diisocyanate)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI:isoporone diisocyanate)からなる群から選ばれた少なくとも一つであることができる。
【0023】
熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造するとき、55~70重量部のポリオールを添加することができる。ポリオールは、ポリウレタン樹脂でソフトセグメント(soft segment)を構成する。ポリオールを55重量部未満で添加する場合、硬さが過度に増加することがあり、70重量部を超えて添加する場合、硬さが過度に減少することがある。
【0024】
ポリオールは、エチレングリコール(ethylene glycol)、ジエチレングリコール(diethylene glycol)、トリエチレングリコール(triethylene glycol)、1,3-ブタンジオール(1,3-butanediol)、1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol)、ネオペンチルグリコール(neopentyl glycol)、1,6-ヘキサンジオール(1,6-hexanediol)、グリセリン(glycerin)、トリメチロールプロパン(trimethylolpropane)、ヘキサントリオール(hexantriol)、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)、ポリ-ε-カプロラクトン(PCL)及びポリヘキサメチレンカーボネート(PCD)からなる群から選ばれた少なくとも一つであることができる。
【0025】
熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造するとき、0.2~0.4重量部のポリシロキサンを添加することができる。ポリシロキサンの添加量は熱可塑性ポリウレタン樹脂100重量部を基準で定められる。0.2重量部未満のポリシロキサンを添加するとき、スリップ性及びスカッフ抵抗性の向上の効果が現われないか効果が微々たる。0.2~0.4重量部のポリシロキサンを添加するとき、スリップ性及びスカッフ抵抗性の向上の効果が現われる。0.4重量部を超えてポリシロキサンを添加するとき、スリップ性及びスカッフ抵抗性が低下する。
【0026】
ポリシロキサンは、下記の[化学式4]の構造を有する。[化学式4]において、Rはアルキル基であり、Meはメチル基である。
【0027】
【化4】
【0028】
化学式4のXは、少なくとも一つのヒドロキシル基またはカルボキシル基を含むアルキル基であることができる。化学式4のXは、1つ乃至3つのヒドロキシル基またはカルボキシル基を含み、一つまたは二つのヒドロキシル基またはカルボキシル基を含むことが好ましい。化学式4のXは、少なくとも1つのエステル基(ester group)またはエーテル基(ether group)をさらに含むことができる。ポリシロキサンの重量平均分子量は600乃至7000g/molである。
【0029】
ポリシロキサンは、CHISSO CORPORATION社のSilaplane FM-DA11、Silaplane FM-DA21、Silaplane FM-0411、Silaplane FM-0421、Silaplane FM-0428、Silaplane FM-0611、Silaplane FM-0621、FM-0625及びSilaplane-DA25からなる群から選ばれた少なくとも一つであることができる。
【0030】
本発明に係るゴルフボールカバー用樹脂組成物をゴルフボールカバーに適用する方法は、ポリシロキサンをマスターバッチ化して熱可塑性ポリウレタン樹脂と混合した後、押出及びペレット化してゴルフボールカバーで射出成形する方法であってもよく、熱可塑性ポリウレタン樹脂とポリシロキサンを直接混合した後、押出及びペレット化してゴルフボールカバーで射出成形する方法であってもよい。
【0031】
以下で、本発明の実施例及び比較例について説明する。本発明に係る熱可塑性ポリウレタン樹脂の合成方法は下記の通りである。
【0032】
1.PTMEG(Poly Tetra methylene Ether Glycol)[製造社:KOREA PTG(株)、製品名:PTMEG(Poly Tetra methylene Ether Glycol)]及び1,4-Butanediol[製造社:KOREA PTG(株)、製品名:1,4-ブタンジオール]を60℃に昇温させた後、第1の容器に投入し、5分間混合する。
【0033】
2.MDI(Monomeric dihenylmethane diisocyanate)[製造社:KOREA PTG(株)、製品名:COSMONATE PH]及びポリシロキサン(Modified polysiloxane)[製造社:CHISSO CORPORATION、製品名:SILAPLANE FM-DA11]を60℃に昇温させた後、第2の容器に投入し、5分間混合する。投入したポリシロキサンは下記の[化学式5]を有する。
【0034】
【化5】
【0035】
3.第1の容器のPTMEG及び1,4-Butanediol及び第2の容器のMDI及びポリシロキサンを混合して熱可塑性ポリウレタン樹脂を合成し、熱可塑性ポリウレタン樹脂を押出及びペレット化してゴルフボールカバーで射出成形した。ゴルフボールコアは、ゴルフボール分野で知られた公知の方法で製造した。
【0036】
4.前述した1乃至3の過程で三つの実施例(実施例1乃至3)及び四つの比較例(比較例1乃至4)を用意し、各実施例及び比較例の構成は表1の通りである。但し、比較例1を用意するときには、ポリシロキサンを添加しないので、PTMEG及び1,4-Butanediolを60℃に昇温させた後、第1の容器に投入し、5分間混合し、MDIを60℃に昇温させた後、第1の容器に投入し混合することによって、熱可塑性ポリウレタン樹脂を合成した。
【0037】
【表1】
【0038】
表1でPTMEG、1,4BG、MDI及びFM-DA11の各添加量はg(gram)を単位とする。表1を参照すると、PTMEGは各実施例及び比較例に6000gが添加され、PTMEGの分子量は1500g/molであるので、4molのPTMEGを添加したものである。1,4BGは各実施例及び比較例に941gが添加され、1,4BGの分子量は90.12g/molであるので、約10.44molの1,4BGを添加したものである。MDIは各実施例及び比較例に3680gが添加され、MDIの分子量は250g/molであるので、約14.72molのMDIを添加したものである。熱可塑性ポリウレタン樹脂100重量部はPTMEG56重量部、1,4-BG9重量部及びMDI35重量部を含むといえる。ポリシロキサンの添加量は表2の通りであり、表2においての単位は重量部乃至phrである。
【0039】
【表2】
【0040】
表3は、本発明の実施例1乃至3及び比較例1乃至4の物性評価結果を示す。評価対象物性は、スリップ性、硬さ、100%Modulus、300%Modulus、引張強度及びスカッフ抵抗性である。スリップ性の評価はゴルフボールカバーの運動摩擦係数(μ、coefficient of kinetic friction)を評価したものであり、評価規格はASTM D 1894:01による。硬さの評価(Shore A)はASTM D2240により、100%Modulus(Kgf/cm)、300% Modulus(Kgf/cm)及び引張強度(Kgf/cm)の評価はASTM D412による。
【0041】
スカッフ抵抗性の評価は、ロボット打撃機(Mechanical Tester)に52度 Wedge Ironを装着し、各ゴ-ルプボルを3回ずつ打撃する方式で行った。各ゴ-ルプボル内で相違する部位に打撃をし、ヘッドスピードは35m/sとなるようにした。ゴ-ルプボル打撃部位のカバー損傷の程度を相対評価して点数を付与した。カバーが掘れて、表面部位がない状態を1点(Worst)で定め、カバー損傷がない状態を5点(Best)で定める。
【0042】
【表3】
【0043】
表3を参照すると、ポリシロキサンの添加量が増加するほどスリップ性が向上する一方、硬さは一定となることを確認することができる。比較例1及び比較例2を比べると、ポリシロキサンを添加することによって、100%Modulus、300%Modulus及び引張強度が増加することを確認することができる一方、実施例3、比較例3及び比較例4を比べると、0.4超過のポリシロキサンを添加することによって、100%Modulus、300%Modulus及び引張強度が減少することを確認することができる。
【0044】
比較例1及び2のスカッフ抵抗性の評価結果を比べると、ポリシロキサンの添加によって、スカッフ抵抗性が向上することを確認することができる。比較例2及び実施例1のスカッフ抵抗性の評価結果を比べると、0.1phrのポリシロキサンをさらに添加することによって、すなわち、0.2phrのポリシロキサンを添加することによって、スカッフ抵抗性がさらに向上することを確認することができる。実施例2及び3のスカッフ抵抗性の結果を参照すると、実施例1のスカッフ抵抗性の結果と同一の結果が出ることを確認することができる。実施例3、比較例3及び比較例4のスカッフ抵抗性の評価結果を比べると、0.4phr超過のポリシロキサンを添加することによって、スカッフ抵抗性が低下することを確認することができる。
【0045】
以上で代表的な実施例を通じて本発明を詳細に説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、上述の実施例に対して本発明の範疇から逸脱しない限度内で多様な変形が可能であることが理解される。それ故、本発明の権利範囲は説明した実施例に限って決められてはいけなく、後述する請求の範囲のみならず請求の範囲と均等な概念から導出される全ての変更または変形された形態によって決められなければならない。
【国際調査報告】